JP7300142B2 - Nadh及びnadphの安定化法 - Google Patents
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Description
本発明は、臨床検査、臨床病理学及び医学などの生命科学分野、並びに分析化学などの化学分野等において有用なものである。
NADH及びNADPH(以下総称して「NADH類」ということがある。)は、種々の脱水素酵素の補酵素として働く。
検体中のASTは、L-アスパラギン酸及びα-ケトグルタル酸を基質として接触させることにより、オキサロ酢酸とL-グルタミン酸を生成する。
このオキサロ酢酸は、リンゴ酸脱水素酵素(MD)の作用によりL-リンゴ酸に変化し、同時に補酵素としてのNADHはNAD+[酸化型]に変化する。
NADHは、340nmに吸収極大を持つので、この吸光度の減少速度を測定することによりAST活性値を求めることができる。
「水溶液中において、NADH又はNADPHと共にTAPS、CAPS、CHES、Bis-Tris Propane、Tricine、Bicine、DIPSO、及びHEPESからなる群から選ばれるものを共存させることを特徴とする、NADH及びNADPHの安定化方法。」
本発明のNADH及びNADPHの安定化方法は、水溶液中において、NADH又はNADPHと共に第2級アミン又は第3級アミンを共存させることを特徴とするものである。
特に、第1級アミンを含有させた場合に比べて、第2級アミン又は第3級アミンを含有させた場合は、その安定化の効果がより高いものである。
本発明のNADH及びNADPHの安定化方法におけるNADH及びNADPHとしては、NADH及びNADPHだけに限られず、NADH及びNADPHの類縁体や誘導体を含むものとする。
例えば、チオNADHやチオNADPHも、本発明におけるNADH及びNADPHに含まれる。
塩の形態としては、例えば、第1族元素、又は第2族元素等との塩を挙げることができる。
極微量域から高濃度域(0.01mM~1mM)まで、適応することができる。
(1)総論
本発明のNADH及びNADPHの安定化方法においては、共存させる第2級アミン又は第3級アミンは、第2級アミン又は第3級アミンであればよく、特に限定はない。
本発明のNADH及びNADPHの安定化方法において、第2級アミンは第2級アミンであればよく、特に限定はない。
本発明のNADH及びNADPHの安定化方法において、第3級アミンは第3級アミンであればよく、特に限定はない。
水溶液中において、第2級アミン又は第3級アミンの濃度の下限は、特に限定はないが、5mM以上が好ましく、10mM以上がより好ましく、50mM以上が特に好ましい。
本発明において、水溶液は、水を主な溶媒とするものであればよく、特に限定はない。
この水溶液としては、例えば、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、又は緩衝液等を挙げることができる。
本発明を、測定試薬に応用する場合の例を以下に示す。
L-アスパラギン酸ナトリウム(例えば、1mM~3000mM)
NADH・2Na(例えば、0.01mM~1mM)
第2級アミン又は第3級アミン(例えば、5mM~3000mM)
リンゴ酸脱水素酵素(例えば、100U/L~100000U/L)
L-アスパラギン酸ナトリウム(例えば、0mM~3000mM)
α-ケトグルタル酸(例えば、1mM~500mM)
検体中のASTは、L-アスパラギン酸及びα-ケトグルタル酸を基質として接触させることにより、オキサロ酢酸とL-グルタミン酸を生成する。
このオキサロ酢酸は、リンゴ酸脱水素酵素(MD)の作用によりL-リンゴ酸に変化し、同時に補酵素としてのNADHと水素イオンはNAD+に変化する。
NADHは、340nmに吸収極大を持つので、この吸光度の減少速度を測定することによりAST活性値を求めることができる。
検体5.7μLに前記の第1試薬100μLを添加し、37℃で5分間インキュベートした後、前記の第2試薬33μLを添加し、37℃で5分間インキュベートした。この第2試薬を添加した後、主波長340nm及び副波長405nmでNADHの吸光度の減少速度を測定して、検体中のAST活性値を求める。
L-アラニン(例えば、1mM~3000mM)
NADH・2Na(例えば、0.01mM~1mM)
第2級アミン又は第3級アミン(例えば、5mM~3000mM)
乳酸脱水素酵素(例えば、100U/L~100000U/L)
L-アラニン(例えば、0mM~3000mM)
α-ケトグルタル酸(例えば、1mM~500mM)
検体中のALTは、L-アラニン及びα-ケトグルタル酸を基質としてピルビン酸とL-グルタミン酸を生成する。
このピルビン酸は乳酸脱水素酵素の作用によりL-乳酸に変化し、同時にNADHと水素イオンはNAD+に変わる。
NADHは340nmに吸収極大を持つので、この吸光度の減少速度を測定してALT活性値を求めることができる。
検体5.7μLに前記の第1試薬100μLを添加し、37℃で5分間インキュベートした後、前記の第2試薬33μLを添加し、37℃で5分間インキュベートした。この第2試薬を添加した後、主波長340nm及び副波長405nmでNADHの吸光度の減少速度を測定して、検体中のALT活性値を求める。
(i)第1試薬(酵素試液A)[pH6.0~pH14.0]
NADPH・4Na(例えば、0.01mM~1mM)
第2級アミン又は第3級アミン(例えば、5mM~3000mM)
グルタミン酸脱水素酵素(例えば、100U/L~100000U/L)
α-ケトグルタル酸(例えば、1mM~500mM)
ウレアーゼ(例えば、100U/L~100000U/L)
α-ケトグルタル酸(例えば、0mM~500mM)
まず、アンモニアとα-ケトグルタル酸とNADPHと水素イオンをグルタミン酸脱水素酵素によりグルタミン酸とNADP+と水に変換し、検体中の内因性のアンモニアを消去する。
この検体中の内因性のアンモニアを消去した後、検体中の尿素はウレアーゼの作用によりアンモニアと二酸化炭素に分解される。
このアンモニアとα-ケトグルタル酸はグルタミン酸脱水素酵素の作用によりグルタミン酸に変化し、同時にNADPHはNADP+に変わる。
NADPHは340nmに吸収極大を持つので、この吸光度の減少速度を測定して尿素窒素値を求めることができる。
検体1.7μLに前記の第1試薬100μLを添加し、37℃で5分間インキュベートした後、前記の第2試薬25μLを添加し、37℃で5分間インキュベートした。この第2試薬を添加した後、主波長340nm及び副波長405nmでNADPHの吸光度の減少速度を測定して、検体中の尿素窒素値を求める。
(i)第1試薬(酵素試液A)[pH6.0~pH14.0]
グルタミン酸脱水素酵素(例えば、100U/L~100000U/L)
イソクエン酸脱水素酵素(ICDH)(例えば、1U/L~100000U/L)
L-イソクエン酸カリウム(例えば、0.1mM~1000mM)
NADPH・4Na(例えば、0.01mM~1mM)
第2級アミン又は第3級アミン(例えば、5mM~3000mM)
α-ケトグルタル酸(例えば、1mM~500mM)
ウレアーゼ(例えば、100U/L~100000U/L)
α-ケトグルタル酸(例えば、0mM~500mM)
まず、アンモニアとα-ケトグルタル酸とNADPHと水素イオンをグルタミン酸脱水素酵素によりグルタミン酸とNADP+と水に変換し、検体中の内因性のアンモニアを消去する。
このとき生じたNADP+はL-イソクエン酸と共にイソクエン酸脱水素酵素の作用により、NADPHとα-ケトグルタル酸と二酸化炭素に変換される。
検体中の内因性のアンモニアを消去した後、検体中の尿素はウレアーゼの作用によりアンモニアと二酸化炭素に分解される。
このアンモニアとα-ケトグルタル酸はグルタミン酸脱水素酵素の作用によりグルタミン酸に変化し、同時にNADPHはNADP+に変わる。
NADPHは340nmに吸収極大を持つので、この吸光度の減少速度を測定して尿素窒素値を求めることができる。
検体3.8μLに前記の第1試薬100μLを添加し、37℃で5分間インキュベートした後、前記の第2試薬25μLを添加し、37℃で5分間インキュベートした。この第2試薬を添加した後、主波長340nm及び副波長405nmでNADPHの吸光度の減少速度を測定して、検体中の尿素窒素値を求める。
本発明における第2級アミン又は第3級アミンによるNADH類の安定化の効果を確かめた。
0.3mMのNADH二ナトリウム又はNADPH四ナトリウム(4水塩)に第2級アミン又は第3級アミンを共存させて、pHをpH9.25に調整して各々の水溶液を調製した。
前記1で調製した各水溶液を、5℃及び37℃それぞれで7日間保存した。
前記2にて5℃で保存した各水溶液の340nmにおける吸光度(吸光度1)を、分光光度計[日本分光社;V-630]で測定した。
また、前記2にて37℃で保存した各水溶液の340nmにおける吸光度(吸光度2)を、分光光度計[日本分光社;V-630]で測定した。
前記3の「吸光度2」の値を「吸光度1」の値で除した値に100を乗じて、「残存濃度比率」(単位:パーセント)の値を求めた。
測定結果を表2に示した。
このことより、水溶液中において、NADH又はNADPHと共に第2級アミン又は第3級アミンを共存させることにより、NADH及びNADPHを安定化することができることが確かめられた。
Claims (1)
- 水溶液中において、NADH又はNADPHと共にTAPS、CAPS、CHES、Bis-Tris Propane、Tricine、Bicine、DIPSO、及びHEPESからなる群から選ばれるものを共存させることを特徴とする、NADH及びNADPHの安定化方法。
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