JP4182859B2 - クレアチンキナーゼ測定用液状試薬キットおよびその安定化方法 - Google Patents

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Description

本発明は、クレアチンキナーゼ測定用液状試薬キットおよびその安定化方法に関する。更に詳細には、長期間安定なクレアチンキナーゼ測定用液状試薬キットであって、血清や血漿などの検体中に存在するミオキナーゼに影響されることなく、簡便にかつ正確に検体中のクレアチンキナーゼを測定することのできるクレアチンキナーゼ測定用液状試薬キット、およびその安定化方法に関する。
クレアチンキナーゼ(以下、CPKと略記することもある)は、骨格筋、心筋、平滑筋、脳などに分布する酵素であり、クレアチンがATPの存在によりクレアチンリン酸に変換する反応を触媒しており、エネルギー代謝上重要な役割を果している。進行性筋ジストロフィー症、多発性筋症、急性心筋梗塞、甲状腺機能低下症などにおいては、CPKは高値を示し、CPKは筋障害、中でも心疾患を検出するための重要なマーカーとなっており、従ってCPK測定は従来から日常臨床検査において重要な項目となっている。
CPKの測定法としては、分析機器の性能の向上に伴い、UV法と言われる方法が広く使用されている。この測定方法は日本臨床化学会(JSCC)より勧告法(非特許文献1)が提唱されており、この勧告法に基づいて各種の測定試薬が販売されている。これら従来のCPK測定は以下に示す反応式に基づいている。

CPK:クレアチンキナーゼ
ADP:アデノシン5’−二リン酸
ATP:アデノシン5’−三リン酸
HK:ヘキソキナーゼ
NADP:酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸
NADPH:還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸
G6PDH:グルコース‐6‐リン酸脱水素酵素
即ち、検体中に存在するCPKに対して、基質であるクレアチンリン酸とADPを作用させてクレアチンとATPに変換し、ここで生成するATPを、へキソキナーゼ、グルコース−6−リン酸脱水酵素により、NADPHに導き、最終的に生成するNADPHを340nmでの吸光度により測定して、検体中のCPKを測定する。なお、ヘキソキナーゼに代えてグルコキナーゼを用いることもでき、またNADPに代えてNAD(酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)を用いることもできる。NADを用いた場合には、最終的に生成するNADHを340nmでの吸光度により測定する。このようにしてCPKを測定する際には、CPKは血清や血漿などの検体中においては不活性化されているため、活性化剤として、2−メルカプトール、還元型グルタチオン、ジチオトレイトール、チオグリセロールなどのチオール化合物を検体に添加する必要がある。上記した日本臨床化学会の勧告法では、活性化剤としてN−アセチルシステインが用いられている。
上記の反応式に基づいてCPKを測定するために用いる測定用試薬は、通常各試薬を二つの試薬成分に分け、自動分析装置などに供されている。試薬成分を第一試薬、第二試薬に分ける際には、それぞれの試薬の安定性や、CPK測定の際に妨害物質として作用する血清や血漿などの検体中に存在するミオキナーゼの影響を除くためのダブルカイネティック法と呼ばれる測定法などが考慮されて、それぞれの試薬組成、濃度が決定される。ミオキナーゼの影響を除くためのダブルカイネティック法は、検体中のミオキナーゼに、ADPを作用させてATPを発生させ、発生したATPを上記反応式で示したようにCPK測定の場合と同様にしてNADPHに導き、あらかじめ、ミオキナーゼの影響をATP発生速度として測定しておき、その後に、CPKを測定する方法である。
近年、臨床検査薬の液状化が進み、長期間安定性を有する液状試薬が望まれるようになり、CPK測定試薬においても同様であり、CPK測定用液状試薬の安定化にはこれまでいろいろな方法が考えられてきた。例えば、特許文献1に提案されているように、CPK活性化剤として推奨されているN−アセチルシステインを、やや強い酸性溶液中に保存する方法が挙げられる。しかし、この方法は第二試薬にCPK活性化剤を含むことになるため、CPK測定の際にはラグタイムが発生する。また、この方法においては、検体中のミオキナーゼの影響を排除できないなどの問題がある。
更に、特許文献2にあるように、安定化剤として有機または無機イオウ化合物を添加する方法も提案されているが、問題の根本的な解決には至っていないといえる。例えば、添加するイオウ化合物自体が濃度によって、N−アセチルシステインとともにCPK活性化剤として働き、測定値が高くなる場合や逆にCPK阻害剤として働く場合がある。そのため、イオウ化合物を添加することで、ヒト血清や管理血清測定値が変動してしまい、上記した日本臨床化学会(JSCC)勧告法による測定値と差が生じるため、標準液によって測定値の補正が必要になり、測定者の負担が大きくなるなどの問題がある。
一方、特許文献3には、NADP、グルコース、およびグルコース−6−リン酸脱水素酵素を一つの成分中には含まず、更に、チオグリセロールを用いたCPK測定試薬が記載されている。しかし、この方法では、検体中のミオキナーゼの影響を排除できないという問題がある。
臨床化学、19(2)、184−208(1990) 欧州特許公開0686561号公報 特表2003−517264号公報 特開2000−189195
そこで、本発明の目的は、長期間安定なCPK測定用液状試薬キットであって、検体中のミオキナーゼの影響を排除し、かつ、標準液による補正が不必要であり、簡便でかつ正確なCPKの測定を可能にするCPK測定用液状試薬キットおよびその安定化方法を提供することにある。
特許文献3には、グルコース−6−リン酸脱水素酵素、NADP、グルコースを一つの成分中に含むと、問題があると記載されている。本発明者らは、グルコースあるいは場合によりNADPもしくはNADを特定の低濃度範囲でグルコース−6−リン酸脱水素酵素と共存させた場合には、測定用液状試薬は長期間安定となり、またCPK測定の際にミオキナーゼの影響も有効に排除でき、従って目的とするCPK測定用液状試薬およびその安定化方法が達成できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、第一試薬として、グルコース、グルコース−6−リン酸脱水素酵素、アデノシン5’−二リン酸、ヘキソキナーゼもしくはグルコキナーゼ、N−アセチルシステイン、およびNADPもしくはNADを含み、第二試薬として、クレアチンリン酸、およびグルコースを含む2試薬系のクレアチンキナーゼ測定用液状試薬キットにおいて、
i)第一試薬中のグルコース濃度が0.05〜0.4mMであり、かつ、
ii)第二試薬中のグルコースの濃度が、第一試薬と第二試薬とを混合した時のグルコース終濃度で16〜25mMになるように調整されている
ことを特徴とするクレアチンキナーゼ測定用液状試薬キットである。
更に本発明は、第一試薬として、グルコース、グルコース−6−リン酸脱水素酵素、アデノシン5’−二リン酸、ヘキソキナーゼもしくはグルコキナーゼ、N−アセチルシステイン、およびNADPもしくはNADを含み、第二試薬として、クレアチンリン酸、およびグルコースを含む2試薬系のクレアチンキナーゼ測定用液状試薬キットの安定化方法であって、
i)第一試薬中のグルコース濃度を0.05〜0.4mMとし、かつ、
ii)第二試薬中のグルコースの濃度を、第一試薬と第二試薬とを混合した時のグルコース終濃度で16〜25mMになるように調整する
ことを特徴とするクレアチンキナーゼ測定用液状試薬キットの安定化方法である。
本発明により、長期間安定なCPK測定用液状試薬キットであり、かつ、簡単で正確にCPKを測定できるCPK測定用液状試薬キットが提供される。例えば、本発明のCPK測定用測定液状試薬キットは、安定化剤として有機または無機イオウ化合物を用いる必要がないため、標準液による補正を必要とせずきわめて簡単にCPKを測定できる。更に本発明のCPK測定用液状試薬キットは、血清や血漿などの検体中のミオキナーゼに影響されることなく、正確にCPKを測定することができる。
以下、発明を更に詳細に説明する。
先ず、本発明のCPK測定用液状キット試薬を用いた血清や血漿などの検体中のCPK測定には、ダブルカイネティック法が採用されるため、説明の便宜上、このダブルカイネティック法を先に説明し、その後に、本発明のCPK測定用試薬キットおよびその安定化方法について説明する。
ダブルカイネティック法で血清や血漿などの検体中のクレアチンキナーゼを測定する原理を以下に説明する。まず第一段階として、検体に第一試薬を添加すると、検体中にCPK測定の際の妨害物質として存在するミオキナーゼは、マグネシウムとアデノシン5’−二リン酸(ADP)存在下でATPを発生させる。この段階でのATP発生速度をあらかじめ測定しておく。この段階では、第一試薬にクレアチンリン酸が存在しないので、検体中のクレアチンキナーゼからは、ATPは発生しない。次いで、第二段階として、得られる混合液に、クレアチンリン酸を含む第二試薬を加える。これにより、検体中のクレアチンキナーゼからATPが発生し始める。この段階でのATP発生速度を測定する。この段階でもミオキナーゼからは第一段階から引き続いてATPが発生し続ける。つまり、第二段階では、クレアチンキナーゼとミオキナーゼの両方の酵素からATPが生成するので、ATP速度を合わせて測定していることになる。従って、検体中のクレアチンキナーゼによりATPを発生する速度は、第二段階のATP発生速度から第一段階のミオキナーゼによるATP発生速度を差し引くことにより求めることができる。これにより、検体中にミオキナーゼが存在していても、クレアチンキナーゼを正確に測定することができる。
第一段階および第二段階で発生するATPは、共役酵素であるヘキソキナーゼもしくはグルコキナーゼとグルコースにより、グルコース‐6‐リン酸に変換される。さらに、変換されたグルコース‐6‐リン酸はグルコース‐6‐リン酸脱水素酵素により、6-ホスホグルコン酸に変換される。このとき補酵素NADPもしくはNADは還元されてNADPHもしくはNADHになる。この反応で生成されるNADPHもしくはNADHの増加速度を波長340nmの吸光度の増加速度として測定することで、ATP発生速度としてとらえることができ、この発生速度に比例するCPK活性を求めることができる。
本発明のCPK測定用液状試薬キットは、上記したダブルカイネティック法によりCPKを測定するために用いられるものであり、第一試薬として、グルコース、グルコース−6−リン酸脱水素酵素(G6PDH)、アデノシン5’−二リン酸(ADP)、共役酵素であるヘキソキナーゼもしくはグルコキナーゼ、CPK活性化剤であるN−アセチルシステイン、および補酵素であるNADPもしくはNADを含み、第二試薬として、CPKの基質であるクレアチンリン酸、およびグルコース、場合により更にNADPもしくはNADを含む。
各試薬成分の濃度は、日本臨床化学会(JSCC)勧告法に基づく場合には、第一試薬および第二試薬の測定に供されるそれぞれの試薬量により計算で求めることができる。
第一試薬の緩衝液は、従来公知の緩衝液を適宜選択して使用することができる。具体的には、pH6.0〜8.0に緩衝能を持つ緩衝液、たとえばIFCC、JSCC勧告法に使用されるpH6.0〜8.0のイミダゾール緩衝液であれば何ら問題なく使用することができる。また、複数の緩衝液を組み合わせて第一試薬のpHをpH6.0〜8.0に設定することもできる。第一試薬のpHは、安定性の点からpH6.0〜7.0が好ましい。第二試薬の緩衝液も、公知の緩衝液を適宜選択して使用することができる。具体的には、第一試薬と同様にイミダゾールなどが使用できる。また、緩衝液のpHは特に規定されないが、第一試薬と混合した際にpH6.6付近となるようにpHおよび緩衝液濃度を設定するのが好ましい。
本発明においては、第一試薬中のグルコース濃度は、0.05〜0.4mMであり、好ましくは0.05〜0.3mM、特に好ましくは0.1〜0.25mMである。0.4mMを超えると試薬の安定性が悪くなりやすく、0.05mM未満であると検体中のミオキナーゼの影響を受けやすくなる。また、第二試薬中のグルコース濃度は、第一試薬と第二試薬とを合わせたときの濃度が16〜25mMとなるように調整され、好ましくは20mM程度になるように調整される。第一試薬および第二試薬のグルコース濃度をこのようにすることにより、液状試薬キットの安定化が図れ、かつ検体中のCPK測定の際の妨害物質であるミオキナーゼの影響を排除することができる。
本発明においては、第一試薬中のNADPもしくはNADの濃度は通常0.01〜5mM、好ましくは、0.01〜0.6mMである。第二試薬中のNADPもしくはNADの濃度は、終濃度で好ましくは1〜5mM、特に好ましくは2mM程度になるように調整される。第一試薬および第二試薬のグルコース濃度と共に、NADPもしくはNADの濃度をこのようにすることにより、更に、液状試薬キットの安定化が図れ、かつ検体中のCPK測定の際の妨害物質であるミオキナーゼの影響を排除することができる。
本発明においては、N−アセチルシステインは第一試薬に含まれる。検体中のクレアチニンキナーゼを第一段階であらかじめ活性化しておくためである。第一試薬中に含まれるN−アセチルシステイン濃度は、終濃度で好ましくは2〜100mM、より好ましくは5〜50mMとなる濃度である。
本発明に用いられるヘキソキナーゼもしくはグルコキナーゼとしては、その由来は特に限定されない。第一試薬中のヘキソキナーゼもしくはグルコキナーゼ濃度は、終濃度で通常1000U/l以上となる濃度が好ましく、更に好ましくは終濃度で1500〜5000U/lである。同様に、グルコース‐6‐リン酸脱水素酵素としては、その由来は特に限定されない。グルコース‐6‐リン酸脱水素酵素の濃度としては、終濃度が通常500U/l以上、好ましくは終濃度1000〜5000U/lとなる濃度である。
第二試薬に用いるクレアチンリン酸の濃度は、終濃度で通常1〜500mM、好ましくは終濃度10〜100mMとなる濃度である。
上記の第一試薬および第二試薬には、上記の成分の他に、必要により、一般的に添加される成分である、EDTA等のキレート化剤やアジ化ナトリウムなどの防腐剤、各種界面活性化剤を適宜添加することができる。また、日本臨床化学会(JSCC)勧告法にて規定されているヘキソキナーゼの活性化剤であるマグネシウムイオン、ミオキナーゼの阻害剤(AMP、AP5A等)を適宜添加することができる。
このように第一試薬および第二試薬で構成されたCPK測定用液状試薬キットによって、血清や血漿などの検体中のCPKの測定に供される。本発明の測定用液状試薬キットを用いて検体中のCPKを測定する場合、用いる検体と第一試薬と第二試薬の容量比は、使用する自動分析装置により異なるが、通常1:(10〜100):(3〜25)である。
以下に、本発明を実施例により更に詳細に説明する。
グルコースに対するCPK測定試薬の安定性
グルコースに対するCPK測定用液状試薬の安定性を検証した。即ち、100mMイミダゾール緩衝液(pH6.60)にグルコース以外の各試薬を添加した試薬に対して、グルコースを20mMから0.2mMまで適宜添加した第一試薬を調製した。第二試薬は、100mMイミダゾール(pH8.20)にクレアチンリン酸、グルコースを添加した試薬を調製した。なお、第二試薬のグルコースは、第一試薬と混合した際に、この混合液中のグルコース濃度が20mMとなるように添加した。試薬組成は下記に記した。これらの試薬組成、濃度は日本臨床化学会(JSCC)勧告法に基づいている。
第一試薬組成
イミダゾール 100mM pH6.60
酢酸マグネシウム四水和物 10mM
EDTA・2Na 2mM
NADP 2.55mM
ADP 2.55mM
AMP 6.375mM
AP5A 12.75μM
N−アセチルシステイン 25.5mM
ヘキソキナーゼ 3825U/L
グルコース‐6‐リン酸脱水素酵素 3825U/L
グルコース 20mM、1mM、0.5mM、
0.3mM、0.2mMまたは0.1mM

第二試薬組成
イミダゾール 100mM pH8.20
酢酸マグネシウム四水和物 10mM
EDTA・2Na 2mM
クレアチンリン酸 153mM
グルコース 20mM、96mM、98mM、
98.8mM、99.2mMまたは
99.6mM
CPKの活性は日立7170S型自動分析装置を用い、試料としてコントロール血清4μLに対し第一試薬160μL、第二試薬40μLを反応させ、主波長340nm、副波長405nmとし、該分析装置のダブルカイネティック機能で10〜16および24〜34測光ポイント間(R1添加後3分後から5分後およびR2添加後3分後から5分後に相当)において、それぞれの吸光度変化率を追跡した。CPKの活性値は分析装置内で下記式より算出される。

CPK活性値(IU/L)={(ΔE2/min)/ε×(V2/v)×10}−{(ΔE1/min)/ε×(V1/v)×10}

ΔE1/min:10〜16ポイント間の1分間あたりの吸光度変化率
ΔE2/min:24〜34ポイント間の1分間あたりの吸光度変化率
ε:モル分子吸光係数(NADPHの場合、6.22×10 L/mol・cm)
V1:反応液量(試料+第一試薬)
V2:反応液量(試料+第一試薬+第二試薬)
v:試料液量
調製した第一試薬および第二試薬は冷蔵(4℃)にて9ヶ月間保存しその後にCPK測定に用いた。
CPK測定用液状試薬の安定性は、コントロール血清の測定値の変動として確認した。なお、コントロール血清はJSCC準拠法で測定したときCRP活性値が154IU/Lのものを使用し、CPK活性値の変動を防ぐため−80℃にて保存した。CPK活性値の結果を表1に示す。
表1に示したように、第一試薬中のグルコース濃度が0.5mM以上になると、コントロール血清測定値が調製後9ヶ月目には低下してしまうことがわかる。したがって、第一試薬中のグルコース濃度は0.4mM以下が望ましいといえる。
ミオキナーゼの影響
第一試薬中のグルコース濃度を変化させた場合のミオキナーゼの影響を検証した。前述したように、ミオキナーゼの反応により生成されるATPはグルコースとヘキソキナーゼの作用およびグルコース‐6‐リン酸脱水素酵素により、最終的にNADPHが生成される。ダブルカイネティック法では、この反応のためにグルコースを消費することになるので、第一試薬中のグルコース濃度を低下させたときに、ミオキナーゼの影響としてCPK測定値へ影響を及ぼす可能性があると考えられるため実験を行った。
CPK測定試薬は実施例1にて調製した試薬をそのまま使用した。試料は、コントロール血清にミオキナーゼを0〜500U/Lまで添加したものを使用した(容量比100:7)。また、CPK活性値はダブルカイネティック法を用い、実施例1と同様に算出した。結果を表2に示す。

表2に示したように、第一試薬中のグルコース濃度に関わらず測定値に変動がないことから、ミオキナーゼの影響はないといえる。つまり、第一試薬中のグルコース濃度を0.1mMという低濃度にした場合でも、ダブルカイネティック法での測定に全く支障がないことがわかる。
グルコースおよびNADP に対するCPK測定試薬の安定性
グルコースおよびNADPに対するCPK測定試薬の安定性を検証した。即ち、100mMイミダゾール緩衝液(pH6.60)にNADP以外の各試薬を添加した試薬に対して、NADPを2.55mMから0.255mMまで適宜濃度添加した第一試薬を調製した。なお、グルコース濃度は0.2mMとした。第二試薬は、100mMイミダゾール緩衝液(pH8.20)にクレアチンリン酸、グルコース、NADPを添加した試薬を調製した。第二試薬のNADP濃度は、第一試薬と混合した際に、この混合液中のNADP濃度が2mMとなるように添加した。試薬組成は下記に記した。これらの試薬組成、濃度は実施例1と同様に日本臨床化学会(JSCC)勧告法に基づいている。また、調製した第一試薬および第二試薬は実施例1と同様に9ヶ月間冷蔵保存した。
第一試薬組成
イミダゾール 100mM pH6.60
酢酸マグネシウム四水和物 10mM
EDTA・2Na 2mM
NADP 2.55mM、1.275mM、
0.51mMまたは0.255mM
ADP 2.55mM
AMP 6.375mM
AP5A 12.75μM
N−アセチルシステイン 25.5mM
ヘキソキナーゼ 3825U/L
グルコース‐6‐リン酸脱水素酵素 3825U/L
グルコース 0.2mM

第二試薬組成
イミダゾール 100mM pH8.20
酢酸マグネシウム四水和物 10mM
EDTA・2Na 2mM
クレアチンリン酸 153mM
グルコース 99.2mM
NADP 0mM、5.1mM、8.16mMまたは
9.18mM
CPK活性値はダブルカイネティック法を用い、実施例1と同様に算出した。
また、測定試料も実施例1と同一のコントロール血清を使用し、調製後9ヶ月目まで測定し、CPK測定試薬の安定性を検証した。結果を表3に示す。
表3に示したように、特に第一試薬中のグルコース濃度が0.2mMで、NADP濃度が0.01mM〜0.6mMの時に、コントロール血清測定値は調製後9ヶ月目まで低下しないことがわかる。
ミオキナーゼの影響
実施例2にて述べたように、ダブルカイネティック法を用いる測定では第一試薬中のNADPもグルコースと同様に消費されるため、第一試薬中のNADP濃度を変化させた場合のミオキナーゼの影響を検証した。
CPK測定試薬は実施例3にて調製した試薬をそのまま使用した。試料は、実施例2と同様に、コントロール血清にミオキナーゼを0〜500U/Lまで添加したものを使用した。また、CPK活性値はダブルカイネティック法を用い算出した。結果を表4に示す。
表4に示したように、第一試薬中のNADP濃度に関わらず測定値に変動がないことから、ミオキナーゼの影響はないといえる。つまり、第一試薬中のNADP濃度を0.255mMという低濃度にした場合でも、ダブルカイネティック法での測定に全く支障がないことがわかる。
以上に詳細に説明した通り、本発明により、長期間安定なCPK測定用液状試薬キットであり、かつ、簡単で正確にCPKを測定できるCPK測定用液状キットが提供される。本発明のCPK測定用測定液状試薬キットは、安定化剤として有機または無機イオウ化合物を用いる必要がないため、標準液による補正を必要とせずきわめて簡単にCPKを測定できる。更に本発明のCPK測定用液状試薬キットは、血清や血漿などの検体中のミオキナーゼに影響されることなく、正確にCPKを測定することができる。

Claims (5)

  1. 第一試薬として、グルコース、グルコース−6−リン酸脱水素酵素、アデノシン5’−二リン酸、ヘキソキナーゼもしくはグルコキナーゼ、N−アセチルシステイン、およびNADPもしくはNADを含み、第二試薬として、クレアチンリン酸、およびグルコースを含む2試薬系のクレアチンキナーゼ測定用液状キットにおいて、
    i)第一試薬中のグルコース濃度が0.05〜0.4mMであり、かつ、
    ii)第二試薬中のグルコースの濃度が、第一試薬と第二試薬とを混合した時のグルコース終濃度で16〜25mMになるように調整されている
    ことを特徴とするクレアチンキナーゼ測定用液状試薬キット。
  2. 第一試薬中のNADPもしくはNAD濃度が0.01〜0.6mMであり、かつ、第二試薬がNADPもしくはNADを含み、第二試薬中のNADPもしくはNAD濃度が、第一試薬と第二試薬とを混合した時の終濃度で1〜5mMになるように調整されている請求項1の液状試薬キット。
  3. 検体中のクレアチンキナーゼ測定の際に、標準液による測定値の補正が必要とされる安定化剤を実質的に含むことなく安定化され、かつ、検体中のクレアチンキナーゼを測定する際に検体中のミオキナーゼの影響を排除できる請求項1または2の液状試薬キット。
  4. 第一試薬として、グルコース、グルコース−6−リン酸脱水素酵素、アデノシン5’−二リン酸、ヘキソキナーゼもしくはグルコキナーゼ、N−アセチルシステイン、およびNADPもしくはNADを含み、第二試薬として、クレアチンリン酸、およびグルコースを含む2試薬系のクレアチンキナーゼ測定用液状試薬キットの安定化方法であって、
    i)第一試薬中のグルコース濃度を0.05〜0.4mMとし、かつ、
    ii)第二試薬中のグルコースの濃度を、第一試薬と第二試薬とを混合した時のグルコース終濃度で16〜25mMになるように調整する
    ことを特徴とするクレアチンキナーゼ測定用液状試薬キットの安定化方法。
  5. 第一試薬中のNADPもしくはNAD濃度を0.01〜0.6mMとし、かつ、第二試薬中にNADPもしくはNADを含有させ、第二試薬中のNADPもしくはNAD濃度を、第一試薬と第二試薬とを混合した時の終濃度で1〜5mMになるように調整する請求項4の安定化方法。
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