JPH078297A - 生体物質の測定方法 - Google Patents
生体物質の測定方法Info
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Abstract
どの検体中の生体物質の新規な測定法を提供することを
目的とする。 【構成】 本発明の方法は、酵素反応を用いて生体物質
を測定する方法であり、ピルビン酸脱炭酸酵素及びアル
デヒド脱水素酵素の存在下、NAD(P)+類をNAD
(P)H類に還元する反応を用い、NAD(P)H類の
生成量に基づいて生体物質を測定することからなる。本
発明の方法では、NAD(P)H類の生成量に基づいて
生体物質を測定するので、測定限界が高く、また検体中
の還元物質などの影響を受けないという利点を有する。
従って、本発明によれば、生体物質を高精度且つ高範囲
に測定することができ、自動分析にも適用することがで
きるという効果を奏する。
Description
する。より詳細には、臨床検査などの分野で用いられ、
血清、血漿、尿などの検体中の生体物質の測定(定量及
び活性測定)に関する。
においては、生体物質の定量や酵素活性の測定が頻繁に
行われており、この測定には反応特異性の高い酵素反応
を用いた方法が汎用されている。このような酵素反応を
用いた生体物質の測定法においては、例えば、測定対
象である生体物質が関与し且つ過酸化水素を生成する酵
素反応系を用い、生成した過酸化水素をパーオキシダー
ゼの存在下、発色性物質と反応させることにより発色さ
せ、その吸光度変化量に基づいて生体物質を測定する方
法;測定対象である生体物質が関与し且つNAD
(P)H[還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチ
ド(リン酸)]からNAD(P)+[酸化型ニコチンア
ミドアデニンジヌクレオチド(リン酸)]を生成する酵
素反応系を用い、NAD(P)Hの吸光度減少量に基づ
いて生体物質を測定する方法などが用いられており、ま
た測定対象である生体物質が関与し且つNAD+から
NADHを生成する酵素反応系を用い、NADHの吸光
度増加量に基づいて生体物質を測定する方法(特開平5
−95798号公報参照)が知られている。
いては、検体中に存在する還元性物質(例えば、尿酸、
アスコルビン酸、ビリルビン、ヘモグロビン等)や酸化
性物質などにより過酸化水素の分解などが生じやすく、
正確な値を与えない場合がある。一方、上記の方法に
おいては、十分量の基質[NAD(P)H、補酵素等]
を反応系に添加することが困難なので定量限界が低く、
また測定波長における検体の吸収(濁り、溶血、黄疸
等)により測定できる範囲が狭くなるという問題があ
る。このような問題から、酵素反応による生体物質の測
定に際しては、NAD(P)Hを生成する反応系を用
い、生成するNAD(P)Hの吸光度の上昇に基づいて
生体物質を測定する方法が好適であり、自動分析にも適
している。
してピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体が用いられてお
り、当該酵素複合体は3種の酵素が非共有結合で分子集
合した複合体なので、高純度の酵素複合体を得ることが
困難である。また、還元作用を示すコエンザイムAを利
用しなければならず、コエンザイムAが測定値に影響を
与えるおそれがある。更に、ひとつの酵素作用としてリ
ポアミド−FADが関与するためにホルマザン法への応
用が困難であり、また干渉を受けやすい。加えて、一般
に検体にはLDH(ラクテートデヒドロゲナーゼ)が含
まれており、上記の方法では検体中のLDHの干渉
(即ち、LDHによる乳酸+NAD+⇔ピルビン酸+N
ADHの酵素反応が生ずるので、NADH量の変動等が
起る)を考慮しなければならないという問題がある。L
DHはNAD+には作用するがNADP+には作用しない
ため、基質としてNADP+を用いればLDHの干渉は
回避できるが、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体はN
ADP+に作用しないので、基質をNADP+に変更して
も上記の問題を解消することはできない。
(P)Hを生成する酵素反応であり、単独で又は他の酵
素反応系と共役させることにより、生体物質の測定に広
く利用できる酵素反応を鋭意検討した結果、ピルビン酸
脱炭酸酵素(E.C 4.1.1.1、以下、PDCという)及び
アルデヒド脱水素酵素(E.C 1.2.1.3,1.2.1.4,1.2.1.
5、以下、AlDHという)の存在下、NAD(P)+、
チオ−NAD(P)+、3−アセチル−NAD(P)+な
どのNAD(P)+類からその還元体であるNAD
(P)H類を生成する酵素反応が極めて有用であり、か
かる反応は生体物質の測定に普遍的に利用できる酵素反
応であることを見出して本発明を完成した。即ち、本発
明は、NAD(P)H類の生成量を測定することによ
り、簡便且つ高精度で生体物質を測定することができる
方法を提供することを目的とする。
なされた本発明の生体物質の測定方法は、酵素反応を用
いて生体物質を測定する方法であり、PDC及びAlD
Hの存在下、NAD(P)+類をNAD(P)H類に還
元する反応を用い、NAD(P)H類の生成量に基づい
て生体物質を測定することからなり、また酵素反応を用
いて生体物質を測定する方法であり、当該測定方法がピ
ルビン酸とNAD(P)H類を生成する酵素反応又はこ
の酵素反応を含む反応系からなるとき、PDC及びAl
DHの存在下、NAD(P)+類をNAD(P)H類に
還元する反応を、上記酵素反応又は酵素反応系と共役さ
せることにより、生成したピルビン酸を消費すると共に
NAD(P)H類の生成量を増加させ、NAD(P)H
類の生成量に基づいて生体物質を測定することからな
る。
の存在下、NAD(P)+類からNAD(P)H類を生
成する酵素反応は下記酵素反応式1及び2で示される。
NAD(P)+類はそれ自体が生体物質として測定の対
象とされ、また多くの生体物質は酵素反応によりこれら
のいずれかの物質に変換することができるので、当該酵
素反応と上記酵素反応式1及び2で示される酵素反応を
共役させることにより、測定対象である生体物質をNA
D(P)H類の生成量として測定することができる。酵
素反応式1及び2で示される酵素反応はそれぞれ公知で
あるが、酵素反応式1及び2で示される酵素反応により
NAD(P)+からNAD(P)Hを生成させる反応を
利用して生体物質を測定する例は知られていない。以
下、本発明をより詳細に説明する。
いられるPDCは、植物及び微生物に広く存在する酵素
であり、例えば、コムギ胚芽、酵母などから分離・精製
することにより得ることができる。また、上記酵素反応
式2で示される酵素反応に用いられるAlDHは、動物
及び微生物に広く存在する酵素であり、例えば、動物肝
などから分離・精製することにより得ることができる。
本発明において、PDC及びAlDHの由来は特に限定
されない。
DHが触媒する酵素反応は、アセトアルデヒドの酸化的
脱水素反応であり、この間にNAD(P)+類は還元さ
れてNAD(P)H類が生成する。ここにおけるNAD
(P)+類には、通常単にNAD(P)+と称されるβ−
NAD(P)+[本明細書においても、単にNAD
(P)+と記す]の他に、例えば、α−NAD(P)+、
チオ−NAD(P)+、3−アセチル−NAD(P)+、
デスオキシ−NAD(P)+、イソニコチン酸ヒドラジ
ド−NAD(P)+、6−アミノ−NAD(P)+、1,
N6−エテノ−NAD(P)+、デアミノ−NAD(P)
+、デアミド−NAD(P)+、3−ピリジンアルデヒド
−NAD(P)+、3−ピリジンアルデヒド−デアミノ
−NAD(P)+などが包含されるが、上記酵素反応式
2の酵素反応に基づいて還元体を生成するNAD(P)
+アナログであればこれらに限定されるものではない。
NAD(P)H類は上記のNAD(P)+類の還元型を
意味する。また、酵素反応1の酵素反応はチアミンピロ
リン酸(TPP)の存在下に反応が進行するので、反応
系にはTPPを添加するのが好ましい。更に、PDCは
Mg2+により活性化されるので、反応系にはMg2+を添
加するのが好ましい。
応は、ピルビン酸及びNAD(P)+類を基質とする反
応であり、上記2種の物質のいずれかを基質とすること
により他の物質をNAD(P)H類の生成量に基づいて
定量することができる。また、基質であるピルビン酸及
びNAD(P)+類を過剰に添加することにより、補欠
分子族であるTPPや活性化因子であるMg2+をNAD
(P)H類の生成量に基づいて定量することができる。
NAD(P)H類の生成量は種々の方法により測定する
ことができるが、通常、簡便且つ高精度で測定すること
ができるので吸光度測定法により行われる。測定波長は
NAD(P)H類の種類により適宜選択され、例えば、
NAD(P)H、3−アセチル−NAD(P)H、デア
ミノ−NAD(P)Hなどの場合には340nm、チオ
−NAD(P)Hの場合には405nmの波長が選択さ
れる。NAD(P)H類の生成量の測定法として、テト
ラゾリウム塩を共存させてホルマザンに変換し、生成ホ
ルマザンの呈色度を測定する方法などを用いてもよい。
反応系を用いることにより、酵素反応式1及び2の酵素
反応の基質であるピルビン酸又はNAD(P)+類に導
くことができる。従って、これらの酵素反応系と酵素反
応式1及び2で示される酵素反応系を共役させることに
より、各種生体物質(基質、補欠分子族、活性化因子な
ど)量又は生体物質としての酵素の活性を、NAD
(P)H類の生成量として測定することができる。これ
らの例を挙げると、基質としては、例えば、ADP、尿
素窒素、クレアチン、クレアチニン、遊離脂肪酸、シア
ル酸、中性脂肪、リン脂質、アミノ酸などが例示され、
補欠分子族としては、例えば、TPP、ピリドキサルリ
ン酸、テトラヒドロ葉酸などが例示され、活性化因子と
しては、例えば、マグネシウムイオン、カリウムイオ
ン、マンガンイオン、カルシウムイオン、ナトリウムイ
オン、クロルイオン、炭酸水素イオンなどが例示され、
酵素としては、例えば、ピルベートキナーゼ(PK)、
コリンエステラーゼ(ChE)、クレアチンホスフェー
トキナーゼ(CPK)、マレートデヒドロゲナーゼ(M
DH)、ラクテートデヒドロゲナーゼ(LDH)、アラ
ニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)又はアスパル
テートアミノトランスフェラーゼ(AST)などが例示
される。これらの基質、酵素などを用いた酵素反応であ
り、ピルビン酸又はNAD(P)+類を生成する酵素反
応の例を下記に示す。なお、下記の酵素反応式中、酵素
反応によりADPに導いたものについては、以後、酵素
反応式3によりピルビン酸に導く。また、Pはリン酸残
基を意味する。
質を測定する方法が、ピルビン酸とNAD(P)H類を
生成する酵素反応又はこの酵素反応を含む反応系からな
るとき、酵素反応式1及び2で示される酵素反応を、上
記酵素反応又は酵素反応系と共役させることにより、生
成したピルビン酸を消費できると共にNAD(P)H類
の生成量を2倍とすることができる。この方法によれ
ば、生成したピルビン酸による反応阻害を回避すること
ができ、また2倍のNAD(P)H類が生成するので測
定精度の向上が図れるという効果を奏する。
などの定量及び酵素活性)を例をもって具体的に説明す
るが、本発明の方法はこれらに限定されるものではな
い。 1)酵素反応系により生成したピルビン酸及び/又は内
因性のピルビン酸を、酵素反応式1及び2の酵素反応に
よりNAD(P)H類の増加量として測定する方法。ピ
ルビン酸の測定法としては、LDHを用いるNADHの
減少量測定法、パーオキシダーゼを用いた過酸化水素法
などが知られているが、本発明の方法は以下の点で優れ
ている。 NAD(P)H類の増加量を測定するので定量限界が
高い。 NAD(P)H類の分子吸光係数が明確なため定量が
容易である。 NAD(P)H類の生成系は、血清等の検体中の還元
性物質の影響を受けない。 NAD(P)H類の発色は、他の色素(例えば、キノ
ン色素等)に比べて安定である。
(P)+類及び/又は内因性のNAD(P)+類を、酵素
反応式1及び2の酵素反応によりNAD(P)H類の増
加量として測定する方法。NAD(P)+類の測定法と
しては、種々の方法が知られているが、本発明の方法に
よれば上記1)に記載した効果と同じ効果が得られる。
1及び2の酵素反応とを組合せ、酵素反応系により生成
したADP及び/又は内因性のADPを、NAD(P)
H類の増加量として測定する方法。ADPの測定法とし
ては、PK、ATP及びPEPを併用したLDH法又は
POP法などが知られているが、本発明の方法によれば
上記1)に記載した効果と同じ効果が得られる。
素反応式3の酵素反応と、酵素反応式1及び2の酵素反
応とを組合せ、検体中のクレアチン又はクレアチニンを
NAD(P)H類の増加量として測定する方法。クレア
チン又はクレアチニンの測定法としては、Creatinine a
midohydrolase(C1)-Creatine amidinohydrolase(C2)-Sa
rcosine oxidase(SOD)-POD系、C1-C2-SOD-Formaldehyde
dehydrogenase(FDH)系などが広く用いられているが、
本発明の方法によれば、上記1)に記載した効果に加
え、従来法に比べて共役系の酵素反応数が少ないという
利点を有する。
式3の酵素反応と、酵素反応式1及び2の酵素反応とを
組合せ、検体中の尿素窒素をNAD(P)H類の増加量
として測定する方法。尿素窒素の測定法としては、Glut
amate dehydrogenase (GLDH)-Urease法、PK-LDH-Urea a
midolyase法などが知られているが、本発明の方法によ
れば上記1)に記載した効果と同じ効果が得られ、更に
検体中のアンモニアの影響を受けることもない利点を有
する。
応式1及び2の酵素反応とを組合せ、検体中のシアル酸
をNAD(P)H類の増加量として測定する方法。シア
ル酸の測定法としては、LDH法、Pyruvate oxidase (PO
P)法、N-Acetyl-D-mannosamine dehydrogenase (AMDH)
法などが知られているが、本発明の方法によれば上記
1)に記載した効果と同じ効果が得られる。
応式3の酵素反応と、酵素反応式1及び2の酵素反応と
を組合せ、検体中の中性脂肪をNAD(P)H類の増加
量として測定する方法。中性脂肪の測定法としては、Li
poprotein lipase (LPL)により生成するグリセロールを
測定する方法に基づき、Glycerol kinase (GK)-Glycero
l-3-phosphateoxidase (GPO)法、Glycerol oxidase (GO
D)法、Glycerol dehydrogenase (GDH)法などが知られて
いるが、本発明の方法によれば上記1)に記載した効果
と同じ効果が得られる。
応式1及び2の酵素反応とを組合せ、検体中のLDHの
酵素活性(乳酸からピルビン酸へ)をNAD(P)H類
の増加量として測定する方法。現在用いられているLD
Hの測定法は、ピルビン酸やNAD(P)Hに対するK
mが小さいために生成物阻害を受けやすく、反応直線部
分が短いので正確に測定するには初速度を測定する必要
がある。それに対し、本発明の方法では下記の点で優れ
る。 反応生成物であるピルビン酸が酵素反応式1及び2の
酵素反応により消失するので、反応直線性が向上し、長
時間域での測定が可能となる。 1モルの乳酸から2モルのNAD(P)H類が生成す
るため感度が2倍になり、低活性の検体(特に、LDH
のアイソザイム測定等)においても正確に測定すること
ができる利点を有する。
応式1及び2の酵素反応とを組合せ、検体中のMDHの
酵素活性をNAD(P)H類の増加量として測定する方
法。現在、アイソザイム測定(電気泳動等)などによ
り、心筋梗塞や肝疾患の場合にMDHが上昇することが
知られており臨床的に有用である。本発明の方法によれ
ば、NAD(P)H類の生成でMDH活性を測定するこ
とができ、また上記と同様に反応直線性が向上すると共
に2モルのNAD(P)H類が生成するので、感度の向
上が図れる。
応式1及び2の酵素反応とを組合せ、検体中のALTの
酵素活性をNAD(P)H類の増加量として測定する方
法。現在使用されているALTの測定法は、ALTの作
用により生成したピルビン酸を測定するLDH法やPO
P法であるが、本発明の方法によれば前記1)に記載し
た効果と同じ効果が得られる。
反応式1及び2の酵素反応とを組合せ、検体中のAST
の酵素活性をNAD(P)H類の増加量として測定する
方法。現在使用されているASTの測定法は、ASTの
作用により生成したオキサロ酢酸を測定するMDH法とOxa
loacetate decarboxylase (OADC)-POP法であるが、本発
明の方法によれば前記1)に記載した効果と同じ効果が
得られる。
り、検体中のマグネシウムイオンをNAD(P)H類の
増加量として測定する方法。マグネシウムイオンの測定
法としては、キシリジンブルー法、GK-G6PDH法などが知
られているが、本発明の方法による測定によれば上記
1)に記載した効果と同様な効果が得られる。
応式1及び2の酵素反応とを組合せ、検体中のカリウム
イオンをNAD(P)H類の増加量として測定する方
法。カリウムイオンの測定法としては炎光法、電極法等
が知られている。酵素反応式3の酵素反応は活性化因子
としてカリウムイオンを必要とするので、酵素反応式1
及び2の酵素反応と組合せることにより、検体中のカリ
ウムイオンを測定することができ、この方法によれば上
記1)に記載した効果と同様な効果が得られる。
される酵素反応の基質及びPDC及びAlDHの使用量
としては酵素反応が円滑に進行する量であればよく、測
定対象となる生体物質の種類、検体中の含量、共役させ
る酵素反応の種類、反応時間及び温度などにより適宜調
整されるが、PDC及びAlDHの濃度は0.1〜10
0単位/ml程度、好ましくは0.5〜30単位/ml
程度、より好ましくは1〜5単位/ml程度とされる。
ピルビン酸及びNAD(P)+類の濃度は、これらが測
定対象物質の酵素反応系から由来するときは当然にその
濃度となるが、基質として反応系に添加する場合には、
ピルビン酸の濃度は0.5〜10mM程度、好ましくは
1〜5mM程度、NAD(P)+類の濃度は1〜10m
M程度、好ましくは2〜5mM程度とされる。また、T
PPの濃度としては、0.05〜1mM程度、好ましくは
0.1〜0.5mM程度とされ、Mg2+の濃度としては
0.1〜5mM程度、好ましくは0.5〜3mM程度と
される。
ぼさない適当な緩衝液(例えば、トリス−HCl緩衝
液、リン酸緩衝液、モノ又はジエタノールアミン緩衝液
等)を用いて行われる。また、測定手法は特に限定され
ず、エンドポイト法、レートアッセイ法などの適宜な手
法を用いることができる。なお、前述したように、ピル
ビン酸デヒドロゲナーゼ複合体を用いた方法において
は、検体中にLDHが存在する場合には、LDHが測定
値に影響を与えるので、LDHの測定以外の場合には、
反応系にLDH阻害剤(例えば、オキサミン酸及びその
塩、蓚酸及びその塩等)を必ず添加する必要がある。し
かし、NADP+はLDHの基質とならないので、本発
明の方法においてNADP+を用いることにより、かか
る問題を解消することができる。測定対象である生体物
質を含有する検体としては、例えば、血清、血漿、尿、
髄液などが例示される。
類の生成量に基づいて生体物質を測定するので測定限界
が高く、また分子吸光係数が明確になっているNAD
(P)H類を測定するので、測定値の信頼性が高い。更
に、本発明の測定方法は、検体中の還元性物質などの影
響を受けないという利点を有する。従って、本発明によ
れば、生体物質を簡便にして高精度で測定することがで
き、自動分析にも容易に適用することができるという効
果を奏する。
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。なお、以下の実施例において、PDCは大腸
菌由来を、AlDHは酵母又は大腸菌由来を、PKはブ
タ心臓由来を用いた。
液に調製し、精製水にて5段階希釈系列のサンプルを作
成する。測定試薬1.0mlに上記ピルビン酸サンプル
20μlを加え、37℃、5分間加温後の340nmの
吸光度で、試薬ブランクを対照に測定する。図1に示す
ようにピルビン酸が定量的に測定できた。
製し、精製水にて5段階希釈系列のサンプルを作成す
る。測定試薬1.0mlにADPサンプル20μlを加
え37℃、5分間加温後の340nmの吸光度を試薬ブ
ランクを対照に測定する。図2に示すようにADPが定
量的に測定できた。
し、精製水にて5段階希釈系列のサンプルを作成する。
測定試薬1.0mlにクレアチンサンプル20μlを加
え37℃、5分間加温後の340nmの吸光度を試薬ブ
ランクを対照に測定する。図3に示すようにクレアチン
が定量的に測定できた。
し、精製水にて5段階希釈系列のサンプルを作成する。
測定試薬1.0mlにクレアチニンサンプル20μlを
加え37℃、5分間加温後の340nmの吸光度を、試
薬ブランクを対照に測定する。図4に示すようにクレア
ニチンが定量的に測定できた。
Mの水溶液に調製し、精製水にて5段階希釈系列のサン
プルを作成する。測定試薬1.0mlに、上記のNAD
+サンプル又はNADP+サンプルを20μlを加え37
℃、5分間加温後の340nmの吸光度を、試薬ブラン
クを対照に測定する。図5及び図6に示すようにNAD
(P)+が定量的に測定できた。
D−1)200μlを加え、37℃、340nmの吸光
度変化を記録し、1分間当りの吸光度変化量を試薬ブラ
ンク対照に計算する。同様に、対照試薬2.8mlにヒ
ト由来LDH(LD−1)200μlを、加え37℃、
340nmの吸光度変化を記録し、1分間当り吸光度変
化量を試薬ブランク対照に計算する。各測定試薬での反
応経過を図7に示し、また1分間当りの吸光度変化量を
表1に示す。
においては直線部分が短く、その後、生成物(ピルビン
酸)阻害を受け反応が抑制される。それに対して、本発
明の測定方法においては、生成ピルビン酸の影響を回避
できるので直線部分が長く、また感度も高い。現在使用
されているLDH測定(乳酸→ピルビン酸)は対照試薬
のように初速度しか測定することができないが、PDC
及びAlDHを共役させることにより長い範囲での測定
が可能であり感度が2倍に上昇する。LDHやMDHの
ように、NAD+又はNADP+を補酵素とし且つ反応系
を共役させることによりピルビン酸生成に導ける活性測
定法において、PDC及びAlDHを共役させること
は、反応直線性の向上と感度の上昇が得られ、低活性の
ものの測定に有利である。
37℃、5分間加温後、340nmの吸光度(A1)を
測定し、さらに第2試薬35μlを加え、37℃、5分
間加温し、340nmの吸光度(A2)を測定する。A2
とA1より吸光度変化量を計算する。血清検体に代え、
クレアチニン標準液(5mg/dl)及び精製水につい
ても同様に測定し、その値を用いて血中クレアチニン濃
度を算出する。対照法としてJaffe法を用いた市販の試
薬を用いて、同じ検体を測定した。その結果を表2に示
す。表2に示されるようによい相関性(Y=1.02X-0.22)を
示した。
37℃、5分間加温後、340nmの吸光度(A1)を
測定し、さらに第2試薬40μlを加え、37℃、5分
間加温し、340nmの吸光度(A2)を測定する。A2
とA1より吸光度変化量を計算する。血清検体に代え、
尿素窒素標準液(30mg/dl)及び精製水について
も同様に測定し、その値を用いて血中尿素窒素濃度を算
出する。対照法としてGLDH−ウレアーゼ法を用いた
市販の試薬を用いて同じ検体を測定した。その結果を表
3に示す。表3に示されるようによい相関性(Y=0.97X+
0.12)を示した。
37℃、5分間加温後、340nmの吸光度(A1)を
測定し、さらに第2試薬35μlを加え、37℃、5分
間加温し、340nmの吸光度(A2)を測定する。A2
とA1より吸光度変化量を計算する。血清検体に代え、
シアル酸標準液[N−アセチルノイラミン酸(NANA)10
0mg/dl]及び精製水についても同様に測定し、そ
の値を用いて血中シアル酸濃度を算出する。対照法とし
てND−NAL−LDH法を用いた市販品を用いて、同
じ検体について測定した。その結果を表4に示す。表4
に示されるようによい相関性(Y=1.00X-0.31)を示した。
37℃、5分間加温後、340nmの吸光度(A1)を
測定し、さらに第2試薬40μlを加え、37℃、5分
間加温し、340nmの吸光度(A2)を測定する。A2
とA1より吸光度変化量を計算する。血清検体に代え、
TG標準液(200mg/dl)及び精製水についても
同様に測定し、その値を用いて血中中性脂肪濃度を算出
する。対照法としてLPL−GK−GPO法を用いた市
販の試薬を用いて、同じ検体を測定した。その結果を表
5に示す。表5に示されるようによい相関性(Y=1.00X+
1.21)を示した。
37℃、5分間加温後、第2試薬80μlを加え37℃
で1分から5分の反応直線部分の1分間当りの340n
mの吸光度変化を測定する。同様に、精製水でも操作
し、検体の1分間当りの340nmの吸光度変化量を算
出する。対照試薬も同様に操作するが、第2試薬添加
後、37℃で30秒から2分までの反応直線部分(初速
度)の1分間当りの340nmの吸光度変化量を算出す
る。その結果を表6に示す。表6に示されるようによい
相関性(Y=2.03X)を示した。
え、37℃、5分間加温する(この時、内因性のピルビ
ン酸の消去を行う)。その後、第2試薬70μlを加え
37℃で1分から5分の反応直線部分の1分間当りの3
40nmの吸光度変化を測定する。同様に、精製水でも
操作し、検体の1分間当りの340nmの吸光度変化量
を算出する。対照試薬も同様に操作し、検体の1分間当
りの340nmの吸光度変化量を算出する。その結果を
表7に示す。表7に示されるように、よい相関性(Y=1.9
9X)を示した。
る。その結果を表8に示す。表8に示されるように、高
感度となることにより、再現性もよくなる。
え、37℃、5分間加温する(この時、内因性のピルビ
ン酸の消去を行う)。その後、第2試薬100μlを加
え37℃で1分から5分の反応直線部分の1分間当りの
340nmの吸光度変化を測定する。同様に、精製水で
も操作し、検体の1分間当りの340nmの吸光度変化
量を算出する。また、NADPHの見かけの分子吸光係
数を用いて求めたFactor(4984)を乗じ、ALT活性(I
U/L)を導く。対照法としてLDH法を用いた市販の
試薬を用いてALT活性(IU/L)を求める。その結
果を表9に示す。表9に示されるようによい相関性(Y=
1.02X-0.23)を示した。
え、37℃、5分間加温する(この時、内因性のピルビ
ン酸の消去を行う)。その後、第2試薬100μlを加
え37℃で1分から5分の反応直線部分の1分間当りの
340nmの吸光度変化を測定する。同様に、精製水で
も操作し、検体の1分間当りの340nmの吸光度変化
量を算出する。また、NADPHの見かけの分子吸光係
数を用いて求めたFactor(4984)を乗じ、AST活性(I
U/L)を導く。対照法としてMDH法を用いた市販の
試薬を用いてAST活性(IU/L)を求める。その結
果を表10に示す。表10に示されるようによい相関性
(Y=1.00X+0.31)を示した。
液に調製し、精製水にて5段階希釈系列のサンプルを作
成する。測定試薬1.0mlに上記ピルビン酸サンプル
10μlを加え、37℃、5分間加温後の405nmの
吸光度で、試薬ブランクを対照に測定する。図8に示す
ようにピルビン酸が定量的に測定できた。
し、精製水にて5段階希釈系列のサンプルを作成する。
測定試薬1.0mlにチオ−NAD+サンプル10μl
を加え、37℃、5分間加温後の405nmの吸光度
を、試薬ブランクを対照に測定する。図9に示すように
チオ−NAD+が定量的に測定できた。
37℃、5分間加温後、436nmの吸光度(A1)を
測定し、さらに第2試薬40μlを加え、37℃、5分
間加温し、436nmの吸光度(A2)を測定する。A1
とA2より吸光度変化量を計算する。血清検体に代え、
尿素窒素標準液(30mg/dl)及び精製水について
も同様に測定し、その値を用いて血中尿素窒素濃度を算
出する。対照法としてGLDH−ウレアーゼ法を用いた
市販の試薬を用いて同じ検体を測定した。その結果を表
11に示す。表11に示されるようによい相関性(Y=1.0
1X-0.28)を示した。
方法) 測定試薬 トリス−HCl緩衝液 50 mM pH7.5 TPP 0.2mM MgCl2 1.0mM AlDH 2.0単位/ml 3−アセチル−NAD+ 2.5mM PDC 1.0単位/ml 測定方法:ピルビン酸ナトリウムを約13mMの水溶
液に調製し、精製水にて5段階希釈系列のサンプルを作
成する。測定試薬1.0mlに上記ピルビン酸サンプル
20μlを加え、37℃、10分間加温後の340nm
の吸光度で、試薬ブランクを対照に測定する。図10に
示すようにピルビン酸が定量的に測定できた。
法) 測定試薬 トリス−HCl緩衝液 50 mM pH7.5 TPP 0.2mM MgCl2 1.0mM AlDH 2.0単位/ml デアミノ−NAD+ 2.5mM PDC 1.0単位/ml 測定方法:ピルビン酸ナトリウムを約13mMの水溶
液に調製し、精製水にて5段階希釈系列のサンプルを作
成する。測定試薬1.0mlに上記ピルビン酸サンプル
20μlを加え、37℃、20分間加温後の340nm
の吸光度で、試薬ブランクを対照に測定する。図11に
示すようにピルビン酸が定量的に測定できた。
調製し、精製水にて5段階希釈系列のサンプルを作成す
る。測定試薬1.0mlに上記塩化マグネシウムサンプ
ル10μlを加え、37℃での2〜5分時の340nm
における1分間当りの吸光度変化量を試薬ブランクを対
照に測定する。図12に示すようにマグネシウムイオン
が定量的に測定できた。
し、精製水にて5段階希釈系列のサンプルを作成する。
測定試薬1.0mlに上記塩化カリウムサンプル10μ
lを加え、37℃での2〜5分時の340nmにおける
1分間当りの吸光度変化量を試薬ブランクを対照に測定
する。図13に示すようにカリウムイオンが定量的に測
定できた。
37℃、5分間加温する。つぎに第2試薬70μlを加
え、37℃で1分〜5分の反応直線部分の1分間当りの
340nmの吸光度変化量(A)を求める。検体の代り
に精製水を用い、同様な操作を行い、1分間当りの34
0nmの吸光度変化量を(B)を求め、下式によりコリ
ンエステラーゼ活性値(U/L)を算出する。 ここで、検体としてコリンエステラーゼを高値に含む血
清を1/10、1/5、2/5、3/5、4/5、5/
5に希釈して用い、検量線を作成した。その結果を図1
4に示す。図14に示されるように良好な直線性に示し
た。次に、対照法として、DMBT(2,3−ジメトキ
シベンゾイルチオコリンヨーダイト)を用いた市販の試
薬を用いて、同じ検体についてコリンエステラーゼ活性
値(U/L)を求めた。その結果を表12に示す。表1
2に示されるように、よい相関性[相関係数(r)=
0.999]を示した。
を示す図である(NAD(P)+類としてNADP+を使
用)。
す図である(NAD(P)+類としてNADP+を使
用)。
を示す図である(NAD(P)+類としてNADP+を使
用)。
線を示す図である(NAD(P)+類としてNADP+を
使用)。
示す図である。
を示す図である。
を示す図である。
を示す図である(NAD(P)+類としてチオ−NAD+
を使用)。
量線を示す図である。
線を示す図である(NAD(P)+類として3−アセチ
ル−NAD+を使用)。
線を示す図である(NAD(P)+類としてデアミノ−
NAD+を使用)。
定の検量線を示す図である(NAD(P)+類としてN
ADP+を使用)。
検量線を示す図である(NAD(P)+類としてNAD
P+を使用)。
活性の測定例を示す図である(NAD(P)+類として
NADP+を使用)。
Claims (3)
- 【請求項1】 酵素反応を用いて生体物質を測定す
る方法において、ピルビン酸脱炭酸酵素及びアルデヒド
脱水素酵素の存在下、酸化型ニコチンアミドアデニンジ
ヌクレオチド(リン酸)類[以下、NAD(P)+類と
いう]を還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド
(リン酸)類[以下、NAD(P)H類という]に還元
する反応を用い、NAD(P)H類の生成量に基づいて
生体物質を測定することを特徴とする生体物質の測定方
法。 - 【請求項2】 検体に、被検物質よりピルビン酸を
生成させる試薬、NAD(P)+類、ピルビン酸脱炭酸
酵素及びアルデヒド脱水素酵素を反応させ、生成するN
AD(P)H類量に基づいて被検物質を測定する請求項
1記載の生体物質の測定方法。 - 【請求項3】 酵素反応を用いて生体物質を測定す
る方法において、当該方法がピルビン酸とNAD(P)
H+類を生成する酵素反応又はこの酵素反応を含む反応
系からなるとき、ピルビン酸脱炭酸酵素及びアルデヒド
脱水素酵素の存在下、NAD(P)+類をNAD(P)
H類に還元する反応を、上記酵素反応又は酵素反応系と
共役させることにより、生成したピルビン酸を消費する
と共にNAD(P)H類の生成量を増加させ、NAD
(P)H類の生成量に基づいて生体物質を測定すること
を特徴とする生体物質の測定方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17599693A JP3586737B2 (ja) | 1993-06-22 | 1993-06-22 | 生体物質の測定方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17599693A JP3586737B2 (ja) | 1993-06-22 | 1993-06-22 | 生体物質の測定方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH078297A true JPH078297A (ja) | 1995-01-13 |
JP3586737B2 JP3586737B2 (ja) | 2004-11-10 |
Family
ID=16005889
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP17599693A Expired - Fee Related JP3586737B2 (ja) | 1993-06-22 | 1993-06-22 | 生体物質の測定方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3586737B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011103825A (ja) * | 2009-11-19 | 2011-06-02 | Nitto Boseki Co Ltd | Adpの測定方法およびadp測定用キット |
-
1993
- 1993-06-22 JP JP17599693A patent/JP3586737B2/ja not_active Expired - Fee Related
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