JP2023045643A - ポリアミド系樹脂フィルムおよび包装体 - Google Patents

ポリアミド系樹脂フィルムおよび包装体 Download PDF

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Abstract

【課題】高湿度環境下においても吸水伸び、寸法変化が生じにくい低吸水性と良好な製膜性とを有し、透明性および耐衝撃性が良好である、ポリアミド系樹脂フィルムを提供する。【解決手段】所定の脂肪族ポリアミド樹脂(a1)と所定の芳香族ポリアミド樹脂(a2)とを含む層(A)、および、バリア性樹脂(b)を含む層(B)の少なくとも2層を有するポリアミド系樹脂フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、食品や医薬品包装材料等に好適に利用することができるポリアミド系樹脂フィルム、および、該フィルムを用いてなる包装体に関する。
ポリアミド系樹脂からなるフィルムは、耐衝撃性、強度などの機械的特性、耐熱性、さらには二軸延伸などの成形加工性に優れていることから、様々な用途として用いられている樹脂材料である。
また、ポリアミド系樹脂はポリオレフィン樹脂等の汎用プラスチックに比べて酸素等のバリア性には優れているが、食品や医薬品包装などの内容物の長期保存が求められるバリア性のレベルには不十分であることが知られているため、エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物(EVOH)やポリメタキシリレンアジパミド(MXD6ポリアミド)をはじめとする高いバリア性を有する樹脂の層と多層化させることによって機械物性、成形加工性、バリア性等を合わせ持たせたポリアミド系樹脂フィルムが広く用いられてきている。
一方で、ポリアミド系樹脂を用いた二軸延伸フィルムは、一般に主成分として汎用性、生産性の点でポリアミド6を用いるため、ポリアミド6が有する比較的高い吸水特性により、高湿度環境下においては吸水伸び、寸法変化が生じ易いという不具合が潜在的に存在し、印刷やラミネート、ボイル・レトルト処理など、包装材作製の二次工程で問題が発生しやすい。また、バリア性樹脂層の吸水を防ぐ点を含め、低吸水性に優れたポリアミド系二軸延伸フィルムが求められている。
特許文献1には、水に対する良好な寸法安定性を有し、かつ耐屈曲疲労性に優れたポリアミド系樹脂フィルムについて、低吸湿性ポリアミド系樹脂として、ポリアミド6T、ポリアミド6T/6、ポリアミドMXD、ポリアミド12等および耐屈曲疲労性改良剤を含む技術が開示されているが、耐屈曲疲労性改良剤を含むことにより透明性が低下する傾向があり、使用環境によってはフィルムの耐衝撃性が不十分であった。
また、昨今の環境対応意識の高まりにより、プラスチック素材のバイオマス原料化検討が盛んにおこなわれている。ポリアミドも、ひまし油を原料とするセバシン酸と1,10-デカンジアミンを縮合して得られるポリアミド10,10や、同じく11-アミノウンデカン酸を重合して得られるポリアミド11等が工業化されており、これらはアミド結合がポリアミド6に比べて少ないことに起因する吸水性の低さから、低吸湿性ポリアミド系樹脂として注目されているが、特許文献1に記載の技術では、同様に透明性や、使用環境によってはフィルムの耐衝撃性が不十分であった。
さらに、アミド結合間の直鎖が長く結晶化度が高い為に延伸が難しく、ポリアミド6などと比較して製膜性が良くない傾向があった。
特開2010-121136号公報
本発明が解決しようとする課題は、高湿度環境下においても吸水伸び、寸法変化が生じにくい低吸水性と良好な製膜性とを有し、透明性および耐衝撃性が良好である、ポリアミド系樹脂フィルムを提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、以下の本発明を完成するに至った。
[1] 脂肪族ポリアミド樹脂(a1)と芳香族ポリアミド樹脂(a2)とを含む層(A)、および、バリア性樹脂(b)を含む層(B)の少なくとも2層を有するポリアミド系樹脂フィルムであって、
下記(1)および(2)を満たすポリアミド系樹脂フィルム。
(1)前記脂肪族ポリアミド樹脂(a1)が、炭素数10以上のジアミン及び/又は炭素数10以上のジカルボン酸を含むポリアミド、炭素数10以上のカプロラクタムを開環重合して得られる分子構造を有するポリアミドから選ばれる少なくとも1種である
(2)前記芳香族ポリアミド樹脂(a2)が、炭素数6以上のジアミン並びにテレフタル酸及び/又はイソフタル酸の分子構造を有するポリアミド、あるいは、炭素数6以上のアミノカルボン酸並びにテレフタル酸及び/又はイソフタル酸の分子構造を有するポリアミドから選ばれる少なくとも1種である
[2] 前記脂肪族ポリアミド樹脂(a1)が、ポリアミド6,10、ポリアミド10,10、ポリアミド11、ポリアミド12から選ばれる少なくとも1種である、[1]に記載のポリアミド系樹脂フィルム。
[3] 前記芳香族ポリアミド樹脂(a2)が、シクロアルカン由来の分子構造を有する、[1]または[2]のいずれか1項に記載のポリアミド系樹脂フィルム。
[4] 前記バリア性樹脂(b)が、ポリメタキシリレンアジパミド及び/又はエチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物である、[1]~[3]のいずれか1項に記載のポリアミド系樹脂フィルム
[5] JIS K7209(2000)に準拠して測定した吸水率が3.8%以下である、[1]~[4]のいずれか1項に記載のポリアミド系樹脂フィルム
[6] 前記層(A)/前記層(B)/前記層(A)の順に、少なくとも3層を有する、[1]~[5]のいずれか1項に記載のポリアミド系樹脂フィルム。
[7] 二軸延伸してなる、[1]~[6]のいずれか1項に記載のポリアミド系樹脂フィルム。
[8] [1]~[7]のいずれか1項に記載のポリアミド系樹脂フィルムを用いてなる包装体。
本発明によれば、低吸水性を有し、製膜性に優れ、透明性および耐衝撃性が良好であるポリアミド系樹脂フィルムを提供することができる。その特徴から、本発明のポリアミド系樹脂フィルムは、比較的高湿環境下での使用に適し、食料品、医薬衣料品、工業部品等の包装体として好適に用いることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、「本発明のポリアミド系樹脂フィルム」を「本発明のフィルム」、「脂肪族ポリアミド樹脂(a1)と芳香族ポリアミド樹脂(a2)とを含む層(A)」を「層(A)」、「バリア性樹脂(b)を含む層(B)」を「層(B)」と称することがある。
ポリアミド樹脂(脂肪族ポリアミド樹脂(a1)および芳香族ポリアミド樹脂(a2))とバリア性樹脂(b)の双方を含む層である場合は、層中のポリアミド樹脂の含有率が50質量%以上の場合を層(A)、ポリアミド樹脂の含有率が50質量%未満の場合を層(B)とする。
ポリアミド系樹脂フィルムは、空気中の湿気(水分)を吸湿する場合と、水を含む食品を包装しその水を吸水する場合とがあり、本発明の説明では、吸湿性と吸水性とを同義として用いる。
「X~Y」(X、Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含するものである。
<ポリアミド系樹脂フィルム>
本発明のポリアミド系樹脂フィルムは、脂肪族ポリアミド樹脂(a1)と芳香族ポリアミド樹脂(a2)とを含む層(A)とバリア性樹脂(b)を含む層(B)との少なくとも2層を有するポリアミド系樹脂フィルムであって、
下記(1)および(2)を満たすポリアミド系樹脂フィルムである。
(1)前記脂肪族ポリアミド樹脂(a1)が、炭素数10以上のジアミン及び/又は炭素数10以上のジカルボン酸を含むポリアミド、炭素数10以上のカプロラクタムを開環重合して得られる分子構造を有するポリアミドから選ばれる少なくとも1種である
(2)前記芳香族ポリアミド樹脂(a2)が、炭素数6以上のジアミン並びにテレフタル酸及び/又はイソフタル酸の分子構造を有するポリアミド、あるいは、炭素数6以上のアミノカルボン酸並びにテレフタル酸及び/又はイソフタル酸の分子構造を有するポリアミドから選ばれる少なくとも1種である
(脂肪族ポリアミド樹脂(a1)と芳香族ポリアミド樹脂(a2)とを含む層(A))
・脂肪族ポリアミド樹脂(a1)
本発明における脂肪族ポリアミド樹脂(a1)は、炭素数10以上のジアミン及び/又は炭素数10以上のジカルボン酸を含むポリアミド、炭素数10以上のカプロラクタムを開環重合して得られる分子構造を有するポリアミドから選ばれる少なくとも1種である。
層(A)は、上記脂肪族ポリアミド樹脂(a1)以外の、脂肪族ポリアミド樹脂(c)を含んでいてもよい。脂肪族ポリアミド樹脂(c)としては、例えば、ポリアミド6、ポリアミド6,6、などを挙げることができるが、ポリアミド系樹脂フィルムの吸水性を低減させる観点から、脂肪族ポリアミド樹脂(c)の含有量は、層(A)全体を100質量%として、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、5質量%以下が特に好ましく、含まないことが最も好ましい。
また、層(A)は1層でもよく、複数層でもよい。複数層の場合は、各層の樹脂組成が異なっていてもよい。
脂肪族ポリアミド樹脂(a1)の分子構造は、ポリアミド系樹脂フィルムに多用されるポリアミド6よりもアルキル鎖が長いため、脂肪族ポリアミド樹脂(a1)は疎水性が高く、フィルムの吸水性を低減し、引いてはフィルムの吸水による寸法変化を低減できる。なお、「炭素数10以上のジアミン及び/又は炭素数10以上のジカルボン酸を含むポリアミド」とは、炭素数10以上のジアミン及び/又は炭素数10以上のジカルボン酸が縮合重合した残基を含むことを意味し、「炭素数10以上のカプロラクタムを開環重合して得られる分子構造を有するポリアミド」とは、例えば、以下に示すポリアミド11、ポリアミド12の他に、ポリアミド11またはポリアミド12とポリアルキレンエーテルグリコールとの共重合体を包含することを意味する。これらは1種類で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
ポリアミド10またはポリアミド11とポリアルキレンエーテルグリコールとの共重合体におけるポリアルキレンエーテルグリコールとしては、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール等が挙げられ、耐屈曲ピンホール性の点からポリオキシテトラメチレングリコールが好ましい。また、ポリアミド10またはポリアミド11の分子構造特性をフィルムへ寄与させるため、ポリアミド10またはポリアミド11の共重合組成比は65質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。ポリアミド10またはポリアミド11の共重合組成比を係る範囲とすることで、長鎖アルキル鎖の寄与が大きくなり、低吸水性に優れる。
脂肪族ポリアミド樹脂(a1)は、低吸水性の点からポリアミド10、ポリアミド11、ポリアミド4,10、ポリアミド5,10、ポリアミド6,10、ポリアミド8,10、ポリアミド9,10、ポリアミド10,10、ポリアミド10,12が好ましく、ポリアミド6,10、ポリアミド10,10、ポリアミド11、ポリアミド12がより好ましい。さらに耐衝撃性も兼ね備えている点からポリアミド10,10、ポリアミド11がさらに好ましい。
脂肪族ポリアミド樹脂(a1)は、炭素数10以上のジアミン及び/又は炭素数10以上のジカルボン酸を含むポリアミド、炭素数が10以上のカプロラクタムを開環重合して得られる分子構造を有するポリアミドから選ばれる少なくとも1種であることで、フィルムへ優れた低吸水性と十分な耐衝撃性を付与することができる。
脂肪族ポリアミド樹脂(a1)の分子構造は、代表的なポリアミド樹脂であるポリアミド6に比べ炭化水素鎖が長いので、単位質量当たりのアミド結合基数濃度が低いことにより低吸水性を示す。また、脂肪族ポリアミド樹脂(a1)は、ポリアミド6に比べ単位質量当たりのアミド結合基数濃度が低いため、フィルム製膜、特に二軸延伸した場合のポリアミド樹脂同士の水素結合の割合が小さくなってフィルムの弾性を低下させ、耐衝撃性を増大させる。
また、近年の社会問題である環境負荷を低減する点では、脂肪族ポリアミド樹脂(a1)の中でバイオマス由来成分を含むポリアミド10、ポリアミド11、ポリアミド4,10、ポリアミド5,10、ポリアミド6,10、ポリアミド8,10、ポリアミド9,10、ポリアミド10,10、ポリアミド10,12、ポリアミド10T、ポリアミド11T、ポリアミド11-ポリオキシテトラメチレングリコールが好ましい。
中でも、ポリアミド11、ポリアミド10,10は、バイオマス由来100%の樹脂であり好ましい。ポリアミド10,10は、セバシン酸、およびセバシン酸をアミノ化して得た1,10-デカンジアミンを共縮重合反応することによって得られる。ポリアミド11は、ヒマシ油から得られる11-アミノウンデカン酸の開環重合によって得られる。
脂肪族ポリアミド樹脂(a1)は、フィルムの耐熱性の点で、融点180℃以上が好ましく、185℃以上がより好ましい。融点の上限は特に限定されないが、通常270℃以下である。
脂肪族ポリアミド樹脂(a1)は、フィルムの耐衝撃性の点で、密度1200kg/m以下が好ましく、1180kg/m以下がより好ましい。
脂肪族ポリアミド樹脂(a1)のバイオマス度は50%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましく、95%以上が特に好ましく、100%が最も好ましい。
脂肪族ポリアミド樹脂(a1)は、JIS K6920-2(2009)に準拠して、96%HSOを溶媒とし、試料濃度1.0質量%、温度25℃の条件で測定した相対粘度が2.5~5.5であることが好ましく、より好ましくは2.8~4.5であり、さらに好ましくは3.0~4.0である。前記範囲の相対粘度の脂肪族ポリアミド樹脂(a1)を用いることにより、フィルムの耐衝撃性を向上させ易くなる傾向がある。また、2種以上の脂肪族ポリアミド樹脂(a1)を混合して用いる場合、相対粘度は同じであってもよく、異なっていてもかまわない。前記相対粘度は、混合される夫々の脂肪族ポリアミド樹脂(a1)の相対粘度を測定し、加重平均して得られた値を相対粘度とする。
・芳香族ポリアミド樹脂(a2)
芳香族ポリアミド樹脂(a2)は、炭素数6以上のジアミン並びにテレフタル酸及び/又はイソフタル酸の分子構造を有するポリアミド、あるいは、炭素数6以上のアミノカルボン酸並びにテレフタル酸及び/又はイソフタル酸の分子構造を有するポリアミドから選ばれる少なくとも1種である。
なお、「炭素数6以上のジアミン並びにテレフタル酸及び/又はイソフタル酸の分子構造を有するポリアミド」とは、ジアミン並びにテレフタル酸及び/又はイソフタル酸を縮合重合して得られる分子構造を有するポリアミドを意味し、「炭素数6以上のアミノカルボン酸並びにテレフタル酸及び/又はイソフタル酸の分子構造を有するポリアミド」とは、アミノカルボン酸並びにテレフタル酸及び/又はイソフタル酸を縮合重合して得られる分子構造を有するポリアミドを意味する。
炭素鎖の長い脂肪族ポリアミド樹脂(a1)の結晶性を抑える観点から、立体障害の大きいテレフタル酸やイソフタル酸由来の骨格を持つ芳香族ポリアミド樹脂(a2)を用いることで結晶化度を低減させ、延伸性(製膜性)を改善することができる。加えてさらに、芳香族ポリアミド樹脂(a2)は、シクロアルカン由来の分子構造を有することが好ましい。これにより、上記の結晶化抑制効果を増大させ、均質で透明性に優れたポリアミド系樹脂フィルムを得ることができる。
上記の通り、芳香族ポリアミド樹脂(a2)は、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸を含むことが、ポリアミド樹脂(a1)の結晶化抑制と延伸性(製膜性)をより向上させ、さらに、機械強度も良好となる傾向があるため、テレフタル酸およびイソフタル酸の両方を含むことが好ましい。
芳香族ポリアミド樹脂(a2)を構成するアミノカルボン酸の炭素数は、低吸水性の点から10以上が好ましく、11以上がより好ましい。
・他の成分
層(A)は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の樹脂、熱可塑性エラストマー、添加剤等を含有することができる。
他の樹脂としては、脂肪族ポリアミド樹脂(a1)および芳香族ポリアミド樹脂(a2)以外のポリアミド系樹脂や、アラミド系樹脂などを添加してもよい。その他、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩素化ポリエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリブチレンサクシネート系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、セルロース系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアミドビスマレイミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリケトン系樹脂、ポリサルフォン系樹脂、フッ素系樹脂などが挙げられる。
層(A)の合計質量100質量%に対して、他の樹脂の含有率は50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましく、10質量%以下であることが最も好ましい。
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー等が挙げられる。
これらは、ハードセグメントとして、ポリアミド、ポリエステル、ポリスチレン、ポリオレフィンの分子骨格を有し、その中にソフトセグメントとして、ポリアルキレンエーテルグリコールやゴム成分を有して、弾性を示す樹脂種である。ここで、ポリアミド系エラストマーは、ソフトセグメントが50質量%以上のものを云う。
また、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマーは、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸やその誘導体や無水物により変性処理したものであると、脂肪族ポリアミド樹脂(a1)、芳香族ポリアミド樹脂(a2)との親和性が高くなり分散混和性が良く、フィルムの耐ピンホール性や透明性が向上する傾向があり好ましい。
好適な熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ポリアミド11やポリアミド12とポリオキシテトラメチレングリコールとのブロック共重合体及びその酸変性物、ポリブチレンテレフタレートとポリオキシテトラメチレングリコールとのブロック共重合体及びその酸変性物、スチレン-イソブチレン-スチレンブロック共重合体(SIBS)が好ましい。
層(A)の合計質量を100質量%とする場合、熱可塑性エラストマーの含有率はフィルム製膜性、高透明性、低吸水性の観点から10質量%以下が好ましい。
添加剤としては、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候剤、滑剤、フィラー、核剤、可塑剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、難燃剤、染料、顔料、安定剤、カップリング剤、耐衝撃改良材等を含有することができる。
層(A)の構成成分の合計100質量%に対して、添加剤の含有率はフィルム製膜性、高透明性、低吸水性の観点から5質量%以下が好ましい。
・層(A)の組成
本発明のフィルムでは、層(A)の合計質量を100質量%とする場合に、層(A)が脂肪族ポリアミド樹脂(a1)を好ましくは1~99質量%、より好ましくは30~95質量%、さらに好ましくは50~92質量%、特に好ましくは60~90質量%含有する。
また、層(A)が芳香族ポリアミド樹脂(a2)を、好ましくは1~99質量%、
より好ましくは5~70質量%、さらに好ましくは8~50質量%、特に好ましくは10~40質量%含有する。
層(A)が複数存在する場合には、各層(A)の組成は、同じであっても、異なっていてもよい。係る構成により、ポリアミド系樹脂フィルムの低吸水性と耐衝撃性、および環境負荷の低減を可能にしつつ、製膜性を良好にすることができる。
層(A)中に、脂肪族ポリアミド樹脂(a1)と芳香族ポリアミド樹脂(a2)とが含まれる場合、両者は、非相溶分散形態を為し、組成比の高い成分が海(マトリックス)、組成比の少ない成分が島(ドメイン)となる海/島構造をとり易くなる傾向がある。海/島構造をとる場合、脂肪族ポリアミド樹脂(a1)と芳香族ポリアミド樹脂(a2)のうち組成比の少ない方の組成比が40質量%以下であると、ドメイン径が小さくなり易く、フィルムのヘーズを低減できフィルムの透明性の点で好ましい。また、海/島相界面を起点とするボイド発生も抑制され易く、安定したフィルム製膜にも有効である。
(バリア性樹脂(b)を含む層(B))
本発明のフィルムは、バリア性樹脂(b)を含む層(B)を設けることにより、バリア性を付与することができ、包装材に用いた際に内容物の劣化や腐敗を防ぎ長期保管性を高めることに有用である。
バリア性樹脂としては、公知の樹脂を使用でき、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物(EVOH)系樹脂、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)等のメタキシリレンジアミン由来の構造単位を含む半芳香族ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)系樹脂などが挙げられる。中でも、酸素バリア性、成形性の点で、エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物(EVOH)系樹脂、メタキシリレンジアミン由来の構造単位を含む半芳香族ポリアミドが好ましく、脂肪族ポリアミド樹脂を含む層(A)との層間密着性の点でメタキシリレンジアミン由来の構造単位を含む半芳香族ポリアミドがより好ましい。
・エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物
本発明に使用されるエチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物(EVOH)は、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体をアルカリ触媒等により鹸化することによって得られる共重合体であり、エチレン構造単位、ビニルアルコール構造単位(未ケン化のビニルエステル構造単位を含む)の他、以下に示すコモノマーに由来する構造単位が、さらに含まれていてもよい。前記コモノマーとしては、プロピレン、イソブテン、α-オクテン、α-ドデセン、α-オクタデセン等のα-オレフィン;3-ブテン-1-オール、4-ペンテン-1-オール、3-ブテン-1、2-ジオール等のヒドロキシ基含有α-オレフィン類やそのエステル化物、アシル化物などのヒドロキシ基含有α-オレフィン誘導体;不飽和カルボン酸又はその塩,部分アルキルエステル,完全アルキルエステル,ニトリル,アミド若しくは無水物;不飽和スルホン酸又はその塩;ビニルシラン化合物;塩化ビニル;スチレン等が挙げられる。
さらに、ウレタン化、アセタール化、シアノエチル化、オキシアルキレン化等で後変性されたEVOH系樹脂を用いることもできる。これらのEVOHは、1種類を単独で用いても良く、2種類以上を混合して用いてもよい。
エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物中のエチレン含有率は、特に限定されるものではないが、フィルム製膜安定性の観点から、一般に5モル%以上が好ましく、より好ましくは10モル%以上であり、特に好ましいのは20モル%以上である。エチレン含有率の上限はバリア性の観点から、48モル%以下が好ましく、38モル%以下がより好ましく、30モル%以下が更に好ましい。また、エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物のケン化度は、96%以上が好ましく、98%以上がより好ましい。本発明のフィルムにおいて、エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物中のエチレン含有量、およびケン化度が上記範囲であることにより、製膜性とバリア性のバランスに優れたものとなり、層(A)との共押出や、二軸延伸などの成形加工に好適である。
・メタキシリレンジアミン由来の構造単位を含む半芳香族ポリアミド
本発明に使用されるメタキシリレンジアミン由来の構造単位を含む半芳香族ポリアミドの例としては、例えばポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、メタキシリレン/パラキシリレンアジパミド共重合体、並びにこれらに脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、メタキシリレンジアミンおよびパラキシリレンジアミン以外の芳香族ジアミン、芳香族ジカルボン酸、ラクタム、ω-アミノカルボン酸、芳香族アミノカルボン酸等を共重合した共重合体が挙げられる。中でもバリア性、成形性の観点からポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)が好ましい。
ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)とは、主としてメタキシリレンジアミンとアジピン酸との重合生成物を意味する。ポリメタキシリレンアジパミドを構成するジアミン成分を100モル%とした場合、70モル%以上、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上がメタキシリレンジアミンである。オルトキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン等の異性体、または、炭素数6~12の脂肪族ジアミン等を30モル%以下含んでもよいが、バリア性や耐熱性の点から、これらは含まれていない方が好ましい。ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)を構成するジカルボン酸成分を100モル%とした場合、70モル%以上、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上がアジピン酸である。炭素数7~12の脂肪族ジカルボン酸や、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の環状脂肪族ジカルボン酸等を30モル%以下含んでもよいが、バリア性や延伸性の点から、これらは含まれていない方が好ましい。
・他の成分
バリア性樹脂(b)を含む層(B)は、本発明の効果を損なわない範囲で他の樹脂や熱可塑性エラストマーなどを含有することができる。例えば、熱可塑性エラストマーの含有させる場合、層(B)の柔軟性を向上させ、フィルムの耐ピンホール性を向上させ易くなる傾向がある。熱可塑性エラストマーとしては、上述の層(A)に含有可能な種類を同様に使用できる。
層(B)を100質量%とした場合に、熱可塑性エラストマーの含有量は20質量%以下が好ましく、1~15質量%がより好ましい。熱可塑性エラストマーの含有量が20質量%以下であることによって、フィルムのバリア性や透明性の低下を抑えられ、また、フィルム製膜におけるゲル発生が抑制されるのでフィルム生産性の点で好ましい。
(層構成)
本発明のフィルムは、層(A)および層(B)の少なくとも2層を有すればよい。
複数の層(A)を配設する場合は、組成の同一な層(A)でもよく、組成の異なる層(A)でもよい。層(A1)/層(A2)/層(B)の様な層構成の場合は、層(A1)と層(B)の層間接着性向上のために、層(A2)に層(A1)及び/又は層(B)と共通な樹脂を含めることが好ましく、例えば、層(A2)は、脂肪族ポリアミド樹脂(a1)及び/又は芳香族ポリアミド樹脂(a2)とバリア性樹脂(b)(例えば、ポリアミドMXD6)とを含むと好適である。
複数の層(B)を配設する場合も、組成の同一な層(B)でもよく、組成の異なる層(B)でもよい。
また、層(A)と層(B)の他に、他の層(C)を有してもよい。
他の層(C)の成分は特に制限はないが、層(C)を層(A)と層(B)との間に配設する場合は、層間接着性の向上のために、接着性樹脂を用いると好ましく、例えば酸変性ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。層(C)をフィルムの表層に配する場合は、フィルムの耐ピンホール性や耐摩擦・磨耗性の向上のために、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6,66、ポリアミドMXD6、ポリエステル等からなる層を設けると好ましい。
各層順としては、特に限定はないが、例えば、[A/B]の2層構成、[A/B/A]、[A/B/C]、[A/C/B]、[C/A/B]の3層構成、[A/A/B/A/A]、[A/C/B/C/A]、[C/A/B/A/C]、[A/B/C/B/A]の5層構成などがフィルム製膜安定性の点で好ましい。中でも、[A/B/A]、[A/A/B/A/A]、[A/C/B/C/A]、[C/A/B/A/C]のような層(B)の両側に低吸水性を有する層(A)を配する構成、つまり、層(A)/層(B)/層(A)の順に少なくとも3層を有すること(この順であれば、層(A)と層(B)との間に他の層(例えば層(C))を配してもよい。)が、層(B)の吸水を防ぎフィルムのバリア性を向上させる点、層(B)を含めフィルムに十分な耐衝撃性を付与する点で好ましい。
なお、上記層構成において、層(A)を「A」とし、層(B)を「B」とし、層(C)を「C」として表現している。
以下、脂肪族ポリアミド樹脂(a1)を樹脂(a1)、ポリアミドMXD6をMXD6、ポリアミド6をPA6、芳香族ポリアミド樹脂(a2)を樹脂(a2)、エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物をEVOH、熱可塑性エラストマーをエラストマーと略記し、層組成を例示する。
[A/B/A]の好ましい層構成としては、例えば、以下が挙げられる。
・[樹脂(a1)+樹脂(a2)]/[EVOH]/[樹脂(a1)+樹脂(a2)]
・[樹脂(a1)+樹脂(a2)]/[MXD6+エラストマー]/[樹脂(a1)+樹脂(a2)]
[A/A/B/A/A]の好ましい層構成としては、例えば、以下が挙げられる。
・[樹脂(a1)+樹脂(a2)]/[樹脂(a1)+樹脂(a2)+MXD6]/[MXD6+エラストマー]/[樹脂(a1)+樹脂(a2)+MXD6]/[樹脂(a1)+樹脂(a2)]
・[樹脂(a1)+樹脂(a2)]/[樹脂(a1)+MXD6]/[MXD6+エラストマー]/[樹脂(a1)+MXD6]/[樹脂(a1)+樹脂(a2)]
・[樹脂(a1)+樹脂(a2)]/[樹脂(a1)+樹脂(a2)+MXD6+エラストマー]/[MXD6+エラストマー]/[樹脂(a1)+樹脂(a2)+MXD6+エラストマー]/[樹脂(a1)+樹脂(a2)]
本発明のフィルムの総厚は、特に限定されるものではないが、加工性、透明性、ハンドリング性の点から、5~50μmが好ましく、10~30μmがより好ましく、12~25μmが更に好ましい。総厚が上記範囲内であれば、ポリアミド系フィルムとしての機械特性が良好で、バリア性にも優れたフィルムとなる。
各層厚は、フィルムの機械物性と酸素バリア性の点から、フィルム総厚100%に対する層(A)の厚比は25~90%、層(B)の厚比は10~75%とすることが好ましい。なお、層(A)および/または層(B)が複数ある場合は、総厚に対する層(A)または層(B)層の合計厚の比率である。
層(A)、層(B)、層(C)の各層厚は、特に限定されるものではないが、1~15μmが好ましい。より好ましくは2~10μm、更に好ましくは3~8μmである。層(A)、層(B)、層(C)がそれぞれ複数ある場合は、1層ごとに異なる層厚であってもよいし、同じ層厚であってもよい。
本発明のフィルムは、印刷、コーティング、蒸着などの表面処理や表面加工を行うことができる。また、ポリオレフィンやポリエステル等の他の樹脂層や他のフィルムや粘着層、金属箔、紙などを積層して使用することができ、積層方法は公知の方法を用いることが可能で、例えばドライラミネート法、ウェットラミネート法、サンドラミネート法、押出ラミネート法などが挙げられる。また、積層の際に、本発明のフィルム表面にコロナ放電、アンカーコート等の表面処理を施してもよい。
また、本発明のフィルムを包装材に用いる場合は、内容物の品質保持や腐敗防止の観点から、アルミニウム、酸化珪素、アルミナ、ダイヤモンドライクカーボン等を蒸着加工する、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)系樹脂などのバリア性コート剤を塗布する等により、さらにバリア性や防湿性を向上させることができる。
<本発明のフィルムの製造方法>
本発明のフィルムは、脂肪族ポリアミド樹脂(a1)と芳香族ポリアミド樹脂(a2)とを含む層(A)、および、バリア性樹脂(b)を含む層(B)を少なくとも有するフィルム構成であればよく、公知の方法により製造することができる。
原材料の各種ポリアミド(脂肪族ポリアミド樹脂(a1)、芳香族ポリアミド樹脂(a2))やバリア性樹脂(b)は、吸水した樹脂を使用すると熱溶融し押し出す際に水蒸気やオリゴマーが発生しフィルム化を阻害する。そのため、原材料の準備においては、事前に樹脂を乾燥して水分含有率を0.1質量%以下とするのが好ましい。
それら樹脂を各層用の押出機にそれぞれ投入し、溶融した樹脂をフィードブロック、またはマルチマニホールドのフラットダイ、または環状ダイで合流させてから、多層フィルムとして共押出した後、急冷することによりフラット状、または環状の未延伸フィルムを得ることができる。
本発明のポリアミド系樹脂フィルムは、未延伸フィルムとして使用してもよいが、少なくとも一方向に延伸した延伸フィルムとしてもよく、縦横の二方向に延伸した二軸延伸フィルムとして構わない。
例えば、二軸延伸フィルムとする場合、未延伸フィルムをテンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸等の公知の方法を用い、フィルムの流れ方向(縦方向、MD)とこれに直角な幅方向(横方向、TD)に二軸延伸する。例えば、テンター式逐次二軸延伸方法の場合には、未延伸フィルムを40~100℃の温度範囲に加熱し、ロール式縦延伸機によって縦方向に延伸し、続いてテンター式横延伸機によって80~230℃の温度範囲内で横方向に延伸することにより製造することができる。また、テンター式同時二軸延伸やチューブラー式同時二軸延伸方法の場合は、例えば、40~230℃の温度範囲において、縦横同時に各軸方向に延伸することにより製造することができる。
延伸倍率は、フィルムの流れ方向(縦方向、MD)、幅方向(横方向、TD)において、各々2.0~5.0倍が好ましく、各々2.5~4.5倍がより好ましい。二軸延伸方向の延伸倍率が各々2.0倍以上により延伸配向が進み、フィルム強度などの機械物性が良好となり、また延伸倍率が各々5.0倍以下により、延伸時にフィルムが破断し難く生産性がよい。
更に、フィルムの寸法安定性を向上させるために、上記の二軸延伸フィルムを熱固定することができる。熱固定温度は、170℃~225℃が好ましく、180~220℃がより好ましい。これにより、常温寸法安定性のよい二軸延伸フィルムを得ることが出来る。
熱固定による結晶化収縮の応力を緩和させるために、熱固定中に幅方向に0~15%、好ましくは3~10%の範囲で弛緩処理を行うこともできる。
また、弛緩処理の後、140℃~200℃の温度で、幅方向に2~9%、好ましくは3~7%、更に好ましくは4~7%の範囲で再延伸を行うことができる。再延伸温度が上記範囲内にあれば、適度な延伸時の応力が得られて均質な延伸となり、幅方向の横収縮率が均等になりやすい。
<本発明のフィルムの各種物性>
(低吸水性)
本発明のフィルムの吸水率は、3.8%以下が好ましく、3.5%以下がより好ましく、3.3%以下がさらに好ましい。3.8%以下とすることで、水分によるフィルム寸法変化を抑制しやすくなり、フィルムの寸法安定性を向上させることができる。二軸延伸フィルムとした場合、結晶配向化も進みにくくなるため、寸法安定性を向上させる易くなる。
吸水率は、以下の吸水試験により求められる。
本発明のフィルムを直径100mmの円形フィルム試験片とし、これを23℃相対湿度50%条件下で24時間以上保管し質量(s)を秤量する。次いで、フィルム試験片を23℃の蒸留水に24時間浸漬させた後、表面に付着した水を拭き取ってフィルム試験片の質量(e)を秤量し、下式1で吸水率を算出する。4枚のフィルム試験片を試験し、平均値を求める。
{(e)-(s)}/(s)×100(%) (式1)
(耐衝撃性)
本発明のフィルムの耐衝撃性は、JIS P8134(1998)の衝撃あな開け強さ試験に準じて評価できる。貫通部がフィルム試験片にあなを開けた際の-20℃および23℃におけるパンクチャー衝撃強度が、-20℃および23℃のいずれにおいても、0.3J以上が好ましく、0.4J以上がより好ましい。パンクチャー衝撃強度が係る範囲であれば、フィルムは耐衝撃性に優れ、包装材に用いた際に穴があき難く良好であるといえる。
(引張破断応力、引張破断伸び)
引張破断応力は、流れ方向(MD)、幅方向(TD)共に、また、-20℃、23℃の両温度条件において、150MPa以上が好ましく、200MPa以上がより好ましい。上限は特にないが、500MPa程度である。係る範囲の引張破断応力のフィルムであれば、内容物を包装した際に、フィルムの剛性を維持しつつ、屈曲によるピンホールや破断が生じにくい。
引張破断伸びは、フィルムの流れ方向(MD)、幅方向(TD)共に、また、-20℃、23℃の両温度条件において、35%以上が好ましく、40%以上がより好ましい。フィルムは低温であるほど伸び難く、また冷凍食品包装において耐突刺し性が弱くなるため、-20℃条件下で引張破断伸びが35%以上であることが有用となる。引張破断伸びの上限は特にないが、150%程度である。
引張破断伸び、引張破断応力は、JIS K7127(1999)、試験速度200mm/min、-20℃、及び23℃の温度条件で測定する。
(透明性)
本発明のフィルムは、ヘーズ10.0%以下が好ましく、8.0%以下がより好ましく、低いほど好ましい。ヘーズ値が係る範囲であれば、フィルムは透明性に優れ、意匠性や、包装フィルムとして用いた際に内容物の視認性が良好である。
ヘーズは、JIS K7136(2000)に基づき測定される。
(バリア性)
本発明のフィルムは、23℃相対湿度50%の条件下での酸素透過率が20cc/m/24h/atm以下であることが好ましく、15cc/m/24h/atm以下であることが更に好ましく、より低い値であることが望まれる。酸素透過率が20cc/m/24h/atm以下であれば、包装用フィルムとして、内容物の変質を防止し、新鮮に保つのに十分な酸素バリア性を維持することができるため好ましい。
(バイオマス度)
層(A)にバイオマス由来の脂肪族ポリアミド樹脂(a1)および/または芳香族ポリアミド樹脂(a2)を用いた場合、当該層の組成比と、フィルム総厚に対する層厚比により、フィルムのバイオマス度が算出できる。近年の環境問題の観点からは、フィルムのバイオマス度を高くすることが望まれており、例えば1%以上が好ましく、5%以上がより好ましく、10%以上が更に好ましく、高いほどよい。
(突刺強度)
本発明のフィルムの突刺強度は、-20℃および23℃のいずれにおいても、5.0g以上が好ましく、6.0g以上がより好ましく、7.0g以上がさらに好ましい。突刺強度が係る範囲であれば、フィルムは耐穴開性に優れ、包装フィルムとして耐久性が良好となる。突刺強度は、JIS Z1707(2019)に基づき測定される。
<包装体>
本発明のフィルムは、公知のラミネート法によりシーラントフィルム等と積層し、袋体、チューブや、蓋材と底材とを組み合わせた容器等の包装体に成形し利用できる。
以下に本発明は実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<原材料>
実施例、比較例に用いた樹脂の略号、成分、物性等は次の通りである。
(脂肪族ポリアミド樹脂(a1))
PA6: ポリアミド6、相対粘度3.4、融点220℃、密度1140kg/m、バイオマス度0%
PA10,10: ポリアミド10,10、相対粘度3.4、融点190℃、密度1030kg/m、バイオマス度100%
PA11: ポリアミド11、相対粘度3.4、融点220℃、密度1140kg/m、バイオマス度100%
(芳香族ポリアミド樹脂(a2))
a2―1: Rilsan Clear G120(ARKEMA社製): 11-アミノウンデカン酸/4,4‘-メチレンビス(2-メチルシクロヘキシルアミン)/テレフタル酸/イソフタル酸由来成分含有ポリアミド、バイオマス度44%
a2-2: Selar PA3426(DuPont社製): ヘキサメチレンジアミン/テレフタル酸・イソフタル酸由来成分含有ポリアミド、バイオマス度0%
(熱可塑性エラストマー)
PA12-PTMG: ポリアミド12―ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)ブロック共重合体、PTMG共重合組成比70質量%
(バリア性樹脂)
MXD6: ポリメタキシリレンアジパミド
<フィルム作製、フィルム層構成>
(実施例1~3、比較例1~3)
原材料を表1に示す質量比で配合した層(A1)、層(A2)の樹脂組成物を各φ40mmの押出機に投入し、層(B)の樹脂組成物をφ32mmの押出機に投入し、それぞれ250℃で溶融させ、分配ブロックで分配し、共押出Tダイ内で多層化させて溶融フィルムを押出し、30℃の冷却ロールの上で急冷して未延伸のポリアミド系樹脂フィルムを作製した。
得られた未延伸のポリアミド系樹脂フィルムを、ロール式縦延伸機を用いて56℃条件で流れ方向に3.0倍延伸し、次いでテンター式横延伸機にて120℃条件で幅方向に4.9倍延伸し、続いて、215℃条件で熱固定した後、幅方向に8%弛緩させた。その後、室温まで冷却し、クリップの把持部に相当する両端部はトリミングし、トリミング後のフィルムをロール状に巻き取り、層構成[層(A1)3.4μm/層(A2)2.6μm/層(B)3.0μm/層(A2)2.6μm/層(A1)3.4μm]、総厚15.0μmのポリアミド系樹脂フィルム(幅530mm)を得た。各層厚は、フィルムを垂直に断面出しし、顕微鏡観察により計測した。
<評価>
得られたポリアミド系樹脂フィルムについて、下記の評価を行い、結果を表1に纏めた。
製膜性については、実施例1~3は、ポリアミド10,10やポリアミド11である脂肪族ポリアミド樹脂(a1)以外に特定の芳香族ポリアミド樹脂(a2)を使用することで結晶性を低減させ、フィルムの延伸を阻害する球晶の発生が抑制され製膜性が向上したと考えらえる。比較例1は、脂肪族ポリアミド樹脂(a1)にポリアミド6を使用しているため、比較的結晶性が低いため製膜性は問題なかった。
また、比較例2および比較例3は、脂肪族ポリアミド樹脂(a1)としてポリアミド10,10やポリアミド11のみを使用しているため、結晶性が高く、フィルム延伸を阻害する球晶の発生しやすくなり、製膜性が良くなかった。
(1)フィルム厚みムラ
ポリアミド系樹脂フィルムの全幅(530mm)を幅方向に等分した10点での厚みを測定し、最大値と最小値の差で、以下の基準で評価した。
厚み測定には、ミツトヨ社製ID-F125を使用した。
10μm以下:◎
10μm超20μm以下:〇
20μm超:×
(2)吸水性(吸水率(%))
ポリアミド系樹脂フィルムを直径100mmの円形フィルム試験片とし、これを23℃相対湿度50%条件下で24時間以上保管し質量(s)を秤量した。そのフィルム試験片を23℃の蒸留水に24時間浸漬させた後、表面に付着した水を拭き取ってフィルム試験片の質量(e)を秤量し、下式1で吸水率(単位:%)を算出した。4枚のフィルム試験片を試験し、平均値を求めた。
{(e)-(s)}/(s)×100 (式1)
吸水性は、以下の基準により評価した。
2.0%以下:◎
2.0%超3.8%以下:〇
3.8%超:×
(3)耐衝撃性(パンクチャー衝撃強度(J))
JIS P8134(1998)の衝撃あな開け強さ試験により、パンクチャー衝撃強度(単位:J)を測定した。装置の架台は、仕事量の損失がないようにしっかりした基礎に設置し、振子は90度の弧状の腕を有し、その腕の先端には貫通部が取り付けられており、自由に振動することができるものである。
(4)引張破断応力(MPa)、引張破断伸び(%)
JIS K7127(1999)に基づき、試験速度200mm/min、-20℃及び23℃温度条件下で、流れ方向(MD)、幅方向(TD)への引張破断応力(単位:MPa)、引張破断伸び(単位:%)を測定した。
(5)透明性(ヘーズ(%))
JIS K7136(2000)に準拠してヘーズ(単位:%)を測定した。
(6)バイオマス度(%)
原材料のポリアミド樹脂のバイオマス度、層組成比、および層厚比からバイオマス度(%)を算出した。
(7)突刺強度(g)
JIS Z1707(2019)に基づき突刺し強度を測定した。
(8)バリア性(酸素透過率)
酸素透過率測定装置(OX-Tran2/21:MOCON社製)を用い、JIS K7126-1(2006)に準拠して23℃、50%RHでの酸素透過率(cc/m・24hr・atm)を測定した。
15cc/m・24hr・atm以下:◎
15cc/m・24hr・atm超20cc/m・24hr・atm以下:〇
20cc/m・24hr・atm超:×
Figure 2023045643000001
実施例1~3のポリアミド系樹脂フィルムでは、層(A1)および層(A2)において、所定の脂肪族ポリアミド樹脂(a1)と所定の芳香族ポリアミド樹脂(a2)とを含んでおり、比較例1に比べフィルム吸水率が低く、パンクチャー衝撃強度で表される耐衝撃性は、ポリアミドフィルムとして十分な強度であった。また、引張破断応力、引張破断伸びも良好であった。さらに、製膜性が比較例2、比較例3に比べて改善され、厚みムラに関しても良好であった。
本発明のフィルムは、優れた低吸水性と、十分な耐衝撃性、製膜性を有するポリアミド系樹脂フィルムであり、食料品、医薬衣料品、工業部品等の包装に好適に用いることができる。特に、高湿度下での用途や、水分を含む内容物の包装に有用である。更に、バイオマス由来の樹脂原料を用いることにより、環境負荷の低減にも大いに役立つ。

Claims (8)

  1. 脂肪族ポリアミド樹脂(a1)と芳香族ポリアミド樹脂(a2)とを含む層(A)、および、バリア性樹脂(b)を含む層(B)の少なくとも2層を有するポリアミド系樹脂フィルムであって、
    下記(1)および(2)を満たすポリアミド系樹脂フィルム。
    (1)前記脂肪族ポリアミド樹脂(a1)が、炭素数10以上のジアミン及び/又は炭素数10以上のジカルボン酸を含むポリアミド、炭素数10以上のカプロラクタムを開環重合して得られる分子構造を有するポリアミドから選ばれる少なくとも1種である
    (2)前記芳香族ポリアミド樹脂(a2)が、炭素数6以上のジアミン並びにテレフタル酸及び/又はイソフタル酸の分子構造を有するポリアミド、あるいは、炭素数6以上のアミノカルボン酸並びにテレフタル酸及び/又はイソフタル酸の分子構造を有するポリアミドから選ばれる少なくとも1種である
  2. 前記脂肪族ポリアミド樹脂(a1)が、ポリアミド6,10、ポリアミド10,10、ポリアミド11、ポリアミド12から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載のポリアミド系樹脂フィルム。
  3. 前記芳香族ポリアミド樹脂(a2)が、シクロアルカン由来の分子構造を有する、請求項1または2に記載のポリアミド系樹脂フィルム。
  4. 前記バリア性樹脂(b)が、ポリメタキシリレンアジパミド及び/又はエチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物である、請求項1~3のいずれか1項に記載のポリアミド系樹脂フィルム。
  5. JIS K7209(2000)に準拠して測定した吸水率が3.8%以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載のポリアミド系樹脂フィルム。
  6. 前記層(A)/前記層(B)/前記層(A)の順に少なくとも3層を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載のポリアミド系樹脂フィルム。
  7. 二軸延伸してなる、請求項1~6のいずれか1項に記載のポリアミド系樹脂フィルム。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載のポリアミド系樹脂フィルムを用いてなる包装体。
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