JP2022151568A - ポリアミド系樹脂フィルムおよび包装体 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐衝撃性、透明性、および、酸素ガスバリア性に優れたポリアミド系樹脂フィルムを提供する。【解決手段】脂肪族ポリアミド樹脂(a)を主成分とする層(A)、前記脂肪族ポリアミド樹脂(a)と、芳香族ポリアミド樹脂(b)及び/又は熱可塑性エラストマーとを含む層(B)、及び前記芳香族ポリアミド樹脂(b)とポリアミド11の分子構造をハードセグメントとするポリアミド系エラストマー(e)とを含む層(C)を少なくとも各1層以上有するフィルムであって、前記層(A)、前記層(B)、前記層(C)の順に層を配し、前記層(C)を構成する樹脂の合計を100質量%とする場合に、前記ポリアミド系エラストマー(e)を1.0質量%以上20.0質量%以下含有することを特徴とするポリアミド系樹脂フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミド系樹脂フィルム、および該フィルムを用いた包装体に関する。
ポリアミド系樹脂は、耐衝撃性、強度などの機械的特性、耐熱性、さらには二軸延伸などの成形加工性に優れていることから、様々な用途として用いられている樹脂材料である。
また、ポリアミド系樹脂はポリオレフィン樹脂等の汎用プラスチックに比べて酸素等のガスバリア性には優れているが、食品や医薬品包装などの内容物の長期保存が求められるガスバリア性のレベルには不十分であることが知られているため、エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物(EVOH)やメタキシリレンジアジパミド(MXD6ナイロン)をはじめとする高いガスバリア性を有する樹脂の層と多層化させることによって機械物性、成形加工性、ガスバリア性等を合わせ持たせたポリアミド系樹脂フィルムが広く用いられてきている。
他方、エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物やメタキシリレンジアジパミド等からなる層は、ガスバリア性は高いが、剛性が高く柔軟性に乏しいため、ポリアミド系樹脂フィルムとして要求される柔軟性、強靭性に応えるため、当該層にポリアミド系エラストマーを混合する技術が開発されてきた(例えば、特許文献1~3)。中でも、耐屈曲ピンホール性向上の観点から、ポリラウリルラクタムとポリオキシテトラメチレングリコールとを主成分とする共重合体(PA12-PTMG)のポリアミド系エラストマーが利用されてきた。
しかしながら、PA12-PTMGは、ハードセグメントであるポリラウリルラクタムの開環重縮合からなるポリアミド12の分子構造部分の結晶化速度が遅く、球晶構造が疎大になり易く、ガスバリア性樹脂層、ひいてはポリアミド系樹脂フィルムの更なる耐衝撃性向上が課題であった。
特開平8-224844号公報 特開平11-254615号公報 特開2002-187246号公報
上記実情を鑑みて、本発明の課題は、耐衝撃性、透明性、および酸素ガスバリア性に優れたポリアミド系樹脂フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、以下の発明により上述の課題を解決することを見出した。
[1] 脂肪族ポリアミド樹脂(a)を主成分とする層(A)、前記脂肪族ポリアミド樹脂(a)と、芳香族ポリアミド樹脂(b)及び/又は熱可塑性エラストマーとを含む層(B)、及び前記芳香族ポリアミド樹脂(b)とポリアミド11の分子構造をハードセグメントとするポリアミド系エラストマー(e)とを含む層(C)を少なくとも各1層以上有するフィルムであって、前記層(A)、前記層(B)、前記層(C)の順に層を配し、前記層(C)を構成する樹脂の合計を100質量%とする場合に、前記ポリアミド系エラストマー(e)を1.0質量%以上20.0質量%以下含有することを特徴とするポリアミド系樹脂フィルム。
[2] 前記層(A)または前記層(B)が、前記ポリアミド系エラストマー(e)を含む[1]に記載のポリアミド系樹脂フィルム。
[3] 前記脂肪族ポリアミド樹脂(a)が、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド1010の群から選ばれる1種以上である[1]又は[2]に記載のポリアミド系樹脂フィルム。
[4] 二軸延伸してなる[1]~[3]の何れかに記載のポリアミド系樹脂フィルム。
[5] [1]~[4]の何れかに記載のポリアミド系樹脂フィルムを用いてなる包装体。
本発明によれば、耐衝撃性、透明性、および酸素ガスバリア性に優れたポリアミド系樹脂フィルムを提供することができる。その特徴から、本発明のポリアミド系樹脂フィルムは、スープ、調味料等の液体充填包装向けの使用を初めとした食料品、医薬衣料品、工業部品等の包装体として好適に用いることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、「本発明のポリアミド系樹脂フィルム」を「本発明のフィルム」と称することがある。
本発明における「主成分とする」とは、固形分組成比が50質量%以上を意味し、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましい。
また、「X~Y」(X、Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含するものである。
<層(A)>
本発明のポリアミド系樹脂フィルムは、脂肪族ポリアミド樹脂(a)を主成分とする層(A)を少なくとも1層有する。層(A)は1層でもよく、複数層でもよい。複数層の場合は各層(A)の樹脂組成は異なっていてもよい。
(脂肪族ポリアミド樹脂(a))
層(A)に用いる脂肪族ポリアミド樹脂(a)は、公知の各種ラクタムの開環重合により生成するポリアミド樹脂、公知の脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸の縮合重合により生成するポリアミド樹脂をいう。例えば、ポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド7、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド46、ポリアミド410、ポリアミド510、ポリアミド66、ポリアミド69、ポリアミド610、ポリアミド611、ポリアミド6/66、ポリアミド6/610、ポリアミド6/611、ポリアミド612、ポリアミド6/612、ポリアミド810、ポリアミド910、ポリアミド1010、ポリアミド1012等が挙げられる。
これらの中で、フィルム製膜性、汎用性の点から、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド6/66が好ましく、ポリアミド6がより好ましい。
また、環境負荷低減の点では、原料がバイオマス由来である炭素数10のジアミン及び/又は炭素数10のジカルボン酸を含むポリアミドやポリアミド11の分子構造を有する樹脂が好ましく、ポリアミド11、ポリアミド410、ポリアミド510、ポリアミド610、ポリアミド810、ポリアミド910、ポリアミド1010、ポリアミド1012が好ましい。中でも、ポリアミド11、ポリアミド1010は、共にバイオベース炭素含有率が100%に近い上、ポリアミド6、ポリアミド66等よりも耐衝撃性が高く低吸水性であり、より好ましい。
これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
バイオベース炭素含有率は、ISO 16620-2に定まり、製品中の全炭素質量のうち、バイオマス由来成分の炭素質量の割合である。
脂肪族ポリアミド樹脂(a)として、ポリアミド6と、ポリアミド11及び/又はポリアミド1010とを混合して用いる場合は、それらの合計を100質量%とする場合、ポリアミド6とポリアミド11及び/又はポリアミド1010との混合組成比は1~99:1~99(ポリアミド6:ポリアミド11及び/又はポリアミド1010)が好ましく、二軸延伸性を向上させる点では50~99:1~50がより好ましく、環境負荷低減性、耐衝撃性、低吸水性を向上させる点では1~50:50~99がより好ましい。なお、ポリアミド6と、ポリアミド11及びポリアミド1010とを混合して用いる場合は、その中のポリアミド11とポリアミド1010との合計を100質量%とすると、ポリアミド11とポリアミド1010との混合組成比は、10~90:10~90が好ましく、隣接する層との層間密着性の点で15~85:15~85がより好ましい。
脂肪族ポリアミド樹脂(a)として、ポリアミド11とポリアミド1010との2種のみを混合して用いる場合は、両者の合計を100質量%とする場合、ポリアミド11とポリアミド1010の混合組成比は1~99:1~99が好ましく、隣接する他層との層間密着性の点で5~95:5~95がより好ましい。
ポリアミド6は、ε-カプロラクタムの開環重合により得られる公知の樹脂を使用できる。
フィルム製膜性の点で、JIS K6920-2:2009、96%硫酸の条件で測定されるポリアミド6の相対粘度が1.0~5.0であることが好ましく、2.0~4.5がさらに好ましく、2.5~4.0が特に好ましい。係る範囲であれば、層(B)、層(C)等と安定して共押出製膜しやすく、層間の粘度差による流れムラも少なく好ましい。
ポリアミド6の融点は、200℃~250℃が好ましく、210℃~240℃がより好ましい。ポリアミド6の融点が係る範囲であれば、耐熱性、押出成形性に優れ、二軸延伸フィルムの成形が容易となる。
ポリアミド6のガラス転移温度は、一般に50℃前後であり、45℃~60℃が好ましい。ポリアミド6のガラス転移温度が係る範囲であれば、製膜性、延伸性に優れ、二軸延伸フィルムの成形が容易となる。
ポリアミド11は、ヒマシ油から得られる11-アミノウンデカン酸の縮重合によって得られ、バイオベース炭素含有率が100%に近く、公知の樹脂を使用できる。
ポリアミド1010は、ひまし油から作られるセバシン酸およびセバシン酸をアミノ化して得られる1,10-デカンジアミンを共縮重合反応によって得られ、バイオベース炭素含有率が100%に近く、公知の樹脂を使用できる。
ポリアミド11及びポリアミド1010は、ポリアミド6に比べ炭化水素鎖が長いので、単位質量当たりのアミド結合基数濃度が低いことにより低吸水性を示す。また、ポリアミド6に比べ単位質量当たりのアミド結合基数濃度が低いため、フィルム製膜、特に二軸延伸した場合のポリアミド樹脂同士の水素結合の割合が小さくなってフィルムの弾性を低下させ、耐衝撃性を増大させ得る。従って、層(A)にポリアミド11及び/又はポリアミド1010を用いることで、ポリアミド系樹脂フィルムの環境負荷低減、低吸水性、耐衝撃性の向上に有効である。
また、ポリアミド11及びポリアミド1010は、ポリアミド6との相溶性が高いため、ポリアミド樹脂(a)としてポリアミド6と、ポリアミド11及び/又はポリアミド1010を混合して用いた場合、ポリアミド6との非相溶混合形態において微細な海/島構造を設計できる。そのため、二軸延伸時の海/島相界面のボイド形成を抑制し、透明性に優れた二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムを得ることができ好適である。ポリアミド11、ポリアミド1010は、耐熱性の点で、融点180℃以上が好ましく、185℃以上がより好ましい。ガラス転移温度は、30℃~60℃が好ましく、35℃~50℃がより好ましい。また、フィルムの耐衝撃性の点で、密度1100kg/m以下が好ましく、1080kg/m以下がより好ましい。
層(A)は、脂肪族ポリアミド樹脂(a)を主成分として含有すればよく、他の樹脂成分を含むことができる。例えば、後述の芳香族ポリアミド(b)、熱可塑性エラストマー等である。
熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ウレタン系エラストマー、及びそれらの酸変性物などが挙げられる。中でも、脂肪族ポリアミド樹脂(a)との相溶性が高く、フィルムの耐ピンホール性の向上の点、透明性の点から、ポリアミド系エラストマーが好ましく、特に後述のポリアミド11の分子構造をハードセグメントとして含むポリアミド系エラストマー(e)が好ましい。
熱可塑性エラストマーの含有率は、層(A)を構成する樹脂成分の合計を100質量%とする場合に、0~50質量%が好ましく、1~30質量%がより好ましい。
<層(B)>
本発明のポリアミド系樹脂フィルムは、脂肪族ポリアミド樹脂(a)と、芳香族ポリアミド樹脂(b)及び/又は熱可塑性エラストマーとを含む層(B)を少なくとも1層有する。層(B)は1層でもよく、複数層でもよい。複数層の場合は各層(B)の樹脂組成は異なっていてもよい。
層(B)に用いる脂肪族ポリアミド樹脂(a)は、層(A)に用いる脂肪族ポリアミド樹脂(a)と同様の種類から選択することができる。共押出性、層間密着性、透明性の点から、層(A)に用いる脂肪族ポリアミド樹脂(a)と同じ種類を用いることが好ましく、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド1010の群から1種以上を選択して用いることがより好ましい。ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド1010を用いる場合の混合組成比は、層(A)の範囲と同様である。
(芳香族ポリアミド樹脂(b))
芳香族ポリアミド樹脂(b)としては、例えばポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、メタキシリレン/パラキシリレンアジパミド共重合体、並びにこれらに脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、メタキシシレンおよびパラキシリレン以外の芳香族ジアミン、芳香族ジカルボン酸、ラクタム、ω-アミノカルボン酸、芳香族アミノカルボン酸等を共重合した共重合体が挙げられる。中でもガスバリア性、成形性の観点からポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)が好ましい。
ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)とは、主としてメタキシリレンジアミンとアジピン酸との重合生成物を意味する。ポリメタキシリレンアジパミドを構成するジアミン成分を100モル%とした場合、70モル%以上、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上がメタキシリレンジアミンである。オルトキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン等の異性体、または、炭素数6~12の脂肪族ジアミン等を30モル%以下含んでもよいが、ガスバリア性や耐熱性の点から、これらは含まれていない方が好ましい。ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)を構成するジカルボン酸成分を100モル%とした場合、70モル%以上、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上がアジピン酸である。炭素数7~12の脂肪族ジカルボン酸や、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の環状脂肪族ジカルボン酸等を30モル%以下含んでもよいが、ガスバリア性や延伸性の点から、これらは含まれていない方が好ましい。
層(B)の脂肪族ポリアミド樹脂(a)と芳香族ポリアミド樹脂(b)とを混合して用いると、脂肪族ポリアミド樹脂(a)を主成分とする層(A)および芳香族ポリアミド樹脂(b)を含む層(C)の双方の層との親和性を高めることで層間密着性を向上でき、層(A)の機械特性と層(C)のガスバリア性とを効果的にフィルムへ反映させることができる。
脂肪族ポリアミド樹脂(a)と芳香族ポリアミド樹脂(b)との混合組成比は、両者の合計を100質量%とする場合、60~99:1~40が好ましく、70~95:5~30がより好ましく、80~90:10~20が更に好ましい。
なお、層(B)を、脂肪族ポリアミド樹脂(a)および芳香族ポリアミド樹脂(b)からなる層とした場合、得られるフィルムの透明性をさらに向上させることができる。
層(B)は、耐衝撃性や耐屈曲性の向上のため、熱可塑性エラストマーを含むことができる。層(B)に使用可能な熱可塑性エラストマーの種類は、層(A)に使用可能な熱可塑性エラストマーの種類と同様であり、中でも、ポリアミド系エラストマー(e)が好ましい。
熱可塑性エラストマーの含有率は、層(B)を構成する樹脂成分の合計を100質量%とする場合に、0~50質量%が好ましく、3~30質量%がより好ましく、5~20質量%が更に好ましい。
<層(C)>
本発明のポリアミド系樹脂フィルムは、芳香族ポリアミド樹脂(b)とポリアミド11の分子構造をハードセグメントとするポリアミド系エラストマー(e)とを含む層(C)を少なくとも1層有する。層(C)は1層でもよく、複数層でもよい。複数層の場合は各層(C)の樹脂組成は異なっていてもよい。
層(C)に用いる芳香族ポリアミド樹脂(b)は、層(B)に用いる芳香族ポリアミド樹脂(b)と同様の種類から選択することができる。共押出性、層間密着性、透明性の点から、層(B)に用いる芳香族ポリアミド樹脂(b)と同じ種類を用いることが好ましい。
(ポリアミド系エラストマー(e))
ポリアミド系エラストマー(e)は、ポリアミド11の分子構造を有するハードセグメントと、ソフトセグメントとで構成される。
ハードセグメントがポリアミドであるため、各層を構成する脂肪族ポリアミド樹脂(a)、芳香族ポリアミド樹脂(b)との相溶性が高く、これら樹脂中に微分散するので、エラストマーとして耐衝撃性を向上する機能を十分発揮でき、透明性も良好となる。さらに、ハードセグメントがポリアミド11の分子構造であるので、他のポリアミドの分子構造の場合よりも、更に耐衝撃性を高めることができる。そのため、芳香族環の配列とアミド結合による分子鎖配向により、高いガスバリア性と剛性を示す芳香族ポリアミド樹脂(b)に対して、ポリアミド系エラストマー(e)を混合することにより、層(C)およびポリアミド系樹脂フィルムの耐衝撃性を効果的に向上させることができる。また、ポリアミド11の分子構造は、バイオマス由来からなるため、環境負荷の低減も担うことができる。
ポリアミド系エラストマー(e)のソフトセグメントとしては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール等が挙げられ、柔軟性の点からポリオキシテトラメチレングリコールが好ましい。
また、ポリアミド系エラストマー(e)は、酸変性物であってもよい。
好適なポリアミド系エラストマー(e)としては、ポリアミド11とポリオキシテトラメチレングリコールとのブロック共重合体及びその酸変性物が挙げられる。
ポリアミド系エラストマー(e)は、耐熱性の点から、融点は120℃~180℃が好ましい。融点は、ハードセグメントの組成比が多いほど高く、組成比が少ないほど低い傾向がある。
ポリアミド系エラストマー(e)中のハードセグメントの共重合組成比は、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%以上80質量%以下がより好ましく、30質量%以上70質量%以下が更に好ましい。ハードセグメントの共重合組成比が高いとバイオベース炭素含有率が高く、共重合組成比が低いと弾性が高い傾向となる。
層(C)は、弾性の高い芳香族ポリアミド樹脂(b)を含むため、ポリアミド系エラストマー(e)のハードセグメントの共重合組成比が高いと相溶性が良好であり、また、ポリアミド系エラストマー(e)のハードセグメントの共重合組成比が高いとポリアミド系樹脂フィルムの耐衝撃性が向上することから、40質量%以上70質量%以下が好ましく、45質量%以上70質量%以下がより好ましく、50質量%以上70質量%以下が更に好ましい。
層(A)、層(B)にポリアミド系エラストマー(e)を用いる場合は、ポリアミド系エラストマー(e)のハードセグメントの共重合組成比は、10質量%以上70質量%以下が好ましく、下限は20質量%以上がより好ましく、30質量%以上が更に好ましい。
層(C)は、層(C)を構成する樹脂の合計を100質量%とする場合、ポリアミド系エラストマー(e)を1.0質量%以上20.0質量%以下含有する。2.0質量%以上15.0質量%以下が好ましく、3.0質量%以上12.0質量%以下が更に好ましい。係る範囲により、剛性の高い芳香族ポリアミド樹脂(b)を含有する層(C)の柔軟性を高め、ポリアミド系樹脂フィルムの耐衝撃性を向上させると共に、ガスバリア性を兼備できる。また、芳香族ポリアミド樹脂(b)との混合分散の影響によるヘーズの増大を抑制し、ポリアミド系樹脂フィルムの透明性を良好にすることができる。
層(C)は、芳香族ポリアミド樹脂(b)とポリアミド系エラストマー(e)を含めばよく、他の樹脂成分も含むことができる。例えば、他の熱可塑性エラストマー等である。
他の熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、及びそれらの酸変性物などが挙げられる。
(添加剤)
本発明のフィルムを形成する各層は、本発明の効果を損なわない範囲で添加剤等を含有することができる。添加剤としては、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候剤、滑剤、フィラー、核剤、可塑剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、難燃剤、染料、顔料、安定剤、カップリング剤、耐衝撃改良材等が挙げられる。
<層構成>
本発明のフィルムは、脂肪族ポリアミド樹脂(a)を主成分とする層(A)、脂肪族ポリアミド樹脂(a)と、芳香族ポリアミド樹脂(b)及び/又は熱可塑性エラストマーとを含む層(B)、及び芳香族ポリアミド樹脂(b)とポリアミド系エラストマー(e)とを含む層(C)を少なくとも各1層以上有し、層(A)、層(B)、層(C)の順に層を配する。
なお、「層(A)、層(B)、層(C)の順に層を配する」とは、本発明のポリアミド系樹脂フィルムが少なくとも「A/B/C」の3層構成を備えていればよく、その他の層構成については特に限定されない意味である。また、各層は複数層で構成されていてもよく、「A/B/C」の3層構成には、「A/A/B/C」や「A/B/B/C」や「A/B/C/C」も含む意味である。
層構成の例としては、[A/B/C]の3層構成、[A/B/C/A]、[A/B/C/B]の4層構成、[A/B/C/B/A]、[A/B/C/A/B]の5層構成、[A/A/B/C/B/A/A]、[A/B/B/C/B/B/A]の7層構成などが挙げられ、フィルム製膜安定性の点で層(C)を中心とした対称構成である[A/B/C/B/A]、[A/A/B/C/B/A/A]、[A/B/B/C/B/B/A]等の層構成が好ましい。
また、各層間には、本発明の効果を損なわない範囲で、他の層(D)を配してもよい。
層(D)の成分は、特に限定しないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
本発明のフィルムの総厚は、特に限定されるものではないが、加工性、透明性、ハンドリング性の点から、下限は5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、12μm以上が更に好ましい。生産性、ハンドリング性の点から、上限は50μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましく、25μm以下が更に好ましい。総厚が上記範囲内であれば、ポリアミド系二軸延伸フィルムとしての機械特性が良好で、ガスバリア性にも優れたフィルムとなる。
各層厚は、ポリアミド系樹脂フィルムとしての強靭性とガスバリア性の点から、フィルム総厚100%に対する層(A)の厚比は25~90%、層(B)の厚比は10~75%、層(C)の厚比は10~75%とすることが好ましい。なお、層(A)、(B)、(C)がそれぞれ複数ある場合は、総厚に対する各層の合計厚の比率として考える。
層(A)、層(B)、層(C)の各層厚は、特に限定されるものではないが、1~15μmが好ましい。より好ましくは2~10μm、更に好ましくは3~8μmである。層(A)、層(B)、層(C)がそれぞれ複数ある場合は、1層ごとに異なる層厚であってもよいし、同じ層厚であってもよい。
本発明のフィルムは、印刷、コーティング、蒸着などの表面処理や表面加工を行うことができる。また、ポリオレフィンやポリエステル等の他の樹脂層や他のフィルムや粘着層、金属箔、紙などを積層して使用することができ、積層方法は公知の方法を用いることが可能で、例えばドライラミネート法、ウェットラミネート法、サンドラミネート法、押出ラミネート法などが挙げられる。また、積層の際に、本発明のフィルム表面にコロナ放電、アンカーコート等の表面処理を施してもよい。
本発明のフィルムを包装材に用いる場合は、内容物の品質保持や腐敗防止の観点から、フィルムの片面または両面に、アルミニウム、酸化珪素、アルミナ、ダイヤモンドライクカーボン等を蒸着加工する、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)系樹脂などのガスバリア性コート剤を塗布する等により、さらにガスバリア性や防湿性を向上させることができる。
<製造方法>
本発明のフィルムは、層(A)、層(B)、及び層(C)を少なくとも各1層以上有するフィルム構成であればよく、公知の方法により製造することができる。製造工程は、例えば次の順である。
原材料の脂肪族ポリアミド樹脂(a)、芳香族ポリアミド樹脂(b)、および、ポリアミド系エラストマー(e)等は、熱溶融し押し出す際に水蒸気やオリゴマーの発生によりフィルム製膜を阻害する可能性を排除するため、事前に乾燥して水分含有率を0.1質量%以下とするのが好ましい。
それら樹脂を各層用の押出機にそれぞれ投入し、溶融した樹脂をフィードブロック、またはマルチマニホールドのフラットダイ、または環状ダイで合流させてから、多層フィルムとして共押出した後、急冷することによりフラット状、または環状の未延伸フィルムを得ることができる。
二軸延伸フィルムを得るには、未延伸フィルムをテンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸等の公知の方法を用い、フィルムの流れ方向(縦方向、MD)とこれに直角な幅方向(横方向、TD)に二軸延伸する。例えば、テンター式逐次二軸延伸方法の場合には、未延伸フィルムを40~100℃の温度範囲に加熱し、ロール式縦延伸機によって縦方向に延伸し、続いてテンター式横延伸機によって100~230℃の温度範囲内で横方向に延伸することにより製造することができる。また、テンター式同時二軸延伸やチューブラー式同時二軸延伸方法の場合は、例えば、40~230℃の温度範囲において、縦横同時に各軸方向に延伸することにより製造することができる。
延伸倍率は、フィルムの流れ方向(縦方向、MD)、幅方向(横方向、TD)において、各々2.0~5.0倍が好ましく、各々3.0~5.0倍がより好ましい。係る範囲の延伸倍率によりフィルムの延伸配向が進み、フィルム強度などの機械物性が良好となり、また、延伸時にフィルムが破断し難く生産性が良い。
更に、フィルムの寸法安定性を向上させるために、上記の二軸延伸フィルムを熱固定することができる。熱固定温度は、200℃~225℃が好ましく、205~220℃がより好ましい。これにより、常温寸法安定性のよい二軸延伸フィルムを得ることが出来る。
熱固定による結晶化収縮の応力を緩和させるために、熱固定中に幅方向に0~15%、好ましくは3~10%の範囲で弛緩処理を行うこともできる。
また、弛緩処理の後、140℃~200℃の温度で、幅方向に2~9%、好ましくは3~7%、更に好ましくは4~7%の範囲で再延伸を行うことができる。再延伸温度が上記範囲内にあれば、適度な延伸時の応力が得られて均質な延伸となり、幅方向の横収縮率が均等になりやすい。
<フィルム物性>
(耐衝撃性)
本発明のフィルムは、優れた耐衝撃性を示す。
本発明のフィルムの耐衝撃性は、貫通部がフィルム試験片にあなを開けた際のパンクチャー衝撃強度によって評価できる。低温条件、常温条件ともパンクチャー衝撃強度の値が高いことが望ましいが、低温条件(-20℃)は常温条件(23℃)に比べ脆性破壊が起きやすいので、値は低い傾向にある。常温条件(23℃)におけるパンクチャー衝撃強度は1.25J以上が好ましく、1.30J以上がより好ましく、1.35J以上がさらに好ましい。低温条件(-20℃)におけるパンクチャー衝撃強度は1.00J以上が好ましく、1.05J以上がより好ましく、1.10J以上がさらに好ましい。パンクチャー衝撃強度が係る範囲であれば、フィルムは耐衝撃性に優れ、包装材に用いた際に穴があき難く良好である。また、低温輸送、保管においても包装体が破損し難い。
本発明のフィルムの耐衝撃性は、衝撃試験機により測定され、例えば、島津製作所製ハイドロショット衝撃試験機HTM-1を用い、試験片をクランプで固定し、試験速度3m/sec、打抜治具1/2インチφ、ストライカ先端径1/2インチφ、打抜受台50mmφの条件で測定できる。
(耐屈曲ピンホール性)
本発明のフィルムは、層(C)にポリアミド系エラストマー(e)を用いることにより、十分な耐屈曲ピンホール性が発現されやすい。
耐屈曲ピンホール性は、ゲルボフレックステスターを用い、特定の温度、相対湿度の条件で屈曲試験を行い、発生したピンホール数を計測することで評価できる。ピンホール数は、例えば、温度23℃、相対湿度50%の環境下で10.0個/481cm以下が好ましく、5.0個/481cm以下がより好ましく、より少ないことが好ましい。また一般に、環境温度が低いほどフィルムの柔軟性が失われるので、低温条件下でピンホール数が少ないことが望ましい。10.0個/481cm以下であれば、包装体が運搬・保管される際のフィルムの屈曲や、包装体同士の衝突によるピンホールが発生しにくく、ガスバリア性の低下による内容物の酸化劣化も抑え易い。
(引張破断応力、引張破断伸び)
引張破断応力は、流れ方向(MD)、幅方向(TD)共に、また、-20℃、23℃の両温度条件において、150MPa以上が好ましく、200MPa以上がより好ましい。上限は特にないが、500MPa程度である。係る範囲の引張破断応力のフィルムであれば、内容物を包装した際に、フィルムの剛性を維持しつつ、屈曲や衝撃によるピンホールや破断が生じにくい。
引張破断伸びは、フィルムの流れ方向(MD)、幅方向(TD)共に、また、-20℃、23℃の両温度条件において、35%以上が好ましく、40%以上がより好ましい。フィルムは低温であるほど伸び難く、また冷凍食品包装において耐突刺し性が弱くなるため、-20℃条件下で引張破断伸びが35%以上であることが有用となる。引張破断伸びの上限は特にないが、150%程度である。
引張破断伸び、引張破断応力は、JIS K7127:1999、試験速度200mm/min、-20℃、及び23℃の温度条件で測定する。
(透明性)
本発明のフィルムは、ヘーズ10.0%以下が好ましく、8.0%以下がより好ましく、5.0%以下が更に好ましい。ヘーズが係る範囲であれば、フィルムは透明性に優れ、意匠性や、包装フィルムとして用いた際に内容物の視認性が良好である。
ヘーズは、JIS K7136:2000に基づき測定される。
(酸素ガスバリア性)
本発明のフィルムは、23℃相対湿度50%の条件下での酸素透過率が10.0cc/m/24h/atm以下であることが好ましく、9.0cc/m/24h/atm以下であることがより好ましく、8.0cc/m/24h/atm以下であることが更に好ましく、より低い値であることが望まれる。酸素透過率が10.0cc/m/24h/atm以下であれば、包装用フィルムとして、内容物の変質を防止し、新鮮に保つのに十分な酸素ガスバリア性を維持することができるため好ましい。
酸素ガスバリア性は、JIS K7126―1 B法:2006に準拠して測定される。
(バイオベース炭素含有率)
脂肪族ポリアミド樹脂(a)にバイオマス由来のものを用いた場合、またポ、リアミド系エラストマー(e)のうちのポリアミド11骨格はバイオマス由来であるので、各層の組成比と、フィルム総厚に対する各層厚比により、フィルムのバイオベース炭素含有率を算出できる。近年の環境問題の観点からは、フィルムのバイオベース炭素含有率は高いほどが望ましく、0.5%以上が好ましく、1.0%以上がより好ましく、2.0%以上が更に好ましく、5.0%以上が特に好ましい。
バイオベース炭素含有率は、ISO 16620-2:2019に準じて求められる。また、フィルムのバイオベース炭素含有率は、原材料のバイオベース炭素含有率、層組成比、および層厚比から算出することもできる。
<包装体>
本発明のポリアミド系樹脂フィルムは、公知のラミネート法によりシーラントフィルム等と積層し、袋体、チューブ等の包装体としたり、本発明のポリアミド系樹脂フィルムにより蓋材または底材を構成し、これを組み合わせて容器等の包装体としたりして、利用できる。
以下に本発明について実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<原材料>
実施例、比較例に用いた樹脂の略号、成分、物性等は次の通りである。
樹脂の融点、ガラス転移温度は、JIS K7121:2012に準拠して測定された値である。
樹脂のバイオベース炭素含有率は、ISO 16620-2:2019に準じて求められた値である。
(脂肪族ポリアミド樹脂(a))
・PA6: ポリアミド6、相対粘度3.4、ガラス転移温度48℃、融点215℃、バイオベース炭素含有率0%
(芳香族ポリアミド樹脂(b))
・MXD6: ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、バイオベース炭素含有率0%
(ポリアミド系エラストマー)
・EL1: ポリアミド11―ポリテトラメチレングリコールブロック共重合体、ポリアミド11共重合組成比31質量%、バイオベース炭素含有率31%、融点146℃
・EL2: ポリアミド11-ポリテトラメチレングリコールブロック共重合体、ポリアミド11共重合組成比46質量%、バイオベース炭素含有率46%、融点148℃
・EL3: ポリアミド11-ポリテトラメチレングリコールブロック共重合体、ポリアミド11共重合組成比65質量%、バイオベース炭素含有率65%、融点167℃
・EL4: ポリアミド12-ポリテトラメチレングリコールブロック共重合体、ポリアミド12共重合組成比46質量%、バイオベース炭素含有率0%、融点160℃
(エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物)
・EVOH:エチレン組成比25質量%、バイオベース炭素含有率0%、融点195℃
<フィルム作製、フィルム層構成>
(実施例1~7、比較例1~3)
各層の原材料を表1に示す質量比で配合し、層(A)の樹脂組成物をスクリュー径40mmφの押出機に投入し、層(B)の樹脂組成物をスクリュー径32mmφの押出機に投入し、層(C)の樹脂組成物をスクリュー径32mmφの押出機に投入し、それぞれ250℃で溶融させ、分配ブロックで分配し、共押出Tダイ内で多層化させて溶融フィルムを押出し、30~40℃の冷却ロールの上で急冷して未延伸多層フィルムを作製した。
得られた未延伸多層フィルムを、ロール式縦延伸機を用いて56℃条件で流れ方向に3.0倍延伸し、次いでテンター式横延伸機にて120℃条件で幅方向に4.9倍延伸し、続いて、215℃条件で熱固定した後、幅方向に8%弛緩させた。その後、室温まで冷却し、クリップの把持部に相当する両端部はトリミングし、トリミング後のフィルムをロール状に巻き取り、層構成[層(A)3.5μm/層(B)2.0μm/層(C)4.0μm/層(B)2.0μm/層(A)3.5μm]、総厚15.0μmの二軸延伸多層フィルムを得た。
各層厚は、フィルムを垂直に断面出しし、顕微鏡観察により計測した。
フィルムのバイオベース炭素含有率は、原材料のバイオベース炭素含有率、層組成比、および層厚比から算出した。
得られた二軸延伸多層フィルムについて、下記の評価を行い、結果を表1に纏めた。
<評価>
(耐衝撃性)
JIS P8134:1998に準拠して島津製作所製ハイドロショット衝撃試験機HTM-1を用い、試験片をクランプで固定し、試験速度3m/sec、打抜治具1/2インチφ、ストライカ先端径1/2インチφ、打抜受台50mmφの条件で測定した。23℃と-20℃の二つの条件で評価した。
○: 1.25J以上(23℃)かつ1.00J以上(-20℃)
×: 1.25J未満(23℃)または1.00J未満(-20℃)
(透明性(ヘーズ))
JIS K7136:2000に準拠してヘーズ(単位:%)を測定した。
(酸素ガスバリア性)
JIS K7126-1 B法:2000に準拠して23℃、50%RHでの酸素透過率(単位:cc/m/24h/atm)を測定し以下の基準で評価した。
○:10.0cc/m/24h/atm以下
×:10.0cc/m/24h/atmを超える
Figure 2022151568000001
実施例1~7は、層(C)を構成する樹脂の合計100質量%に対し、ポリアミド系エラストマー(e)に相当するEL1、EL2、EL3を1.0質量%以上配合しており、ポリアミド12の分子構造をハードセグメントとして有するEL4を配合した比較例1に比べて、耐衝撃性が良好な傾向であった。中でも、常温23℃条件の耐衝撃性は、何れも1.25J以上と比較的高い値を示した。
透明性は、実施例1~7では、何れもヘーズ10.0%以下と実用上問題ない範囲であり、層(B)にPA6とMXD6を含有する実施例1,2,5では、ヘーズ5.0%以下と更に良好であった。また、層(C)にEL4を用いた比較例1に比べ、EL3、EL2を用いた実施例1、実施例5では、ヘーズが低く透明性がやや良好であった。
また、酸素透過率は、実施例1~7では、層(C)に、芳香族ポリアミド樹脂であるMXD6を含むため、10.0cc/m/24h/atm以下と良好な酸素ガスバリア性を示した。
本発明のフィルムは、優れた耐衝撃性、透明性および酸素ガスバリア性を有するポリアミド系樹脂フィルムであることから、食料品、医薬衣料品、工業部品等の包装に好適に用いることができる。特に、スープ、調味料等の液体充填包装向けの包装に有用である。更に、バイオマス由来の樹脂原料を用いることにより、環境負荷の低減にも大いに役立つ。

Claims (5)

  1. 脂肪族ポリアミド樹脂(a)を主成分とする層(A)、
    前記脂肪族ポリアミド樹脂(a)と、芳香族ポリアミド樹脂(b)及び/又は熱可塑性エラストマーとを含む層(B)、及び
    前記芳香族ポリアミド樹脂(b)とポリアミド11の分子構造をハードセグメントとするポリアミド系エラストマー(e)とを含む層(C)を少なくとも各1層以上有するフィルムであって、
    前記層(A)、前記層(B)、前記層(C)の順に層を配し、
    前記層(C)を構成する樹脂の合計を100質量%とする場合に、前記ポリアミド系エラストマー(e)を1.0質量%以上20.0質量%以下含有することを特徴とするポリアミド系樹脂フィルム。
  2. 前記層(A)または前記層(B)が、前記ポリアミド系エラストマー(e)を含む請求項1に記載のポリアミド系樹脂フィルム。
  3. 前記脂肪族ポリアミド樹脂(a)が、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド1010の群から選ばれる1種以上である請求項1又は2に記載のポリアミド系樹脂フィルム。
  4. 二軸延伸してなる請求項1~3の何れか1項に記載のポリアミド系樹脂フィルム。
  5. 請求項1~4の何れか1項に記載のポリアミド系樹脂フィルムを用いてなる包装体。
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