JP6191302B2 - ポリアミド系樹脂積層フィルム、及び、該フィルムを用いた包装体 - Google Patents
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Description
本発明のポリアミド系樹脂積層フィルム(以下、「本発明のフィルム」と称する)は、脂肪族ポリアミド系樹脂を主成分としてなる層(A)、及び、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物とスチレン系ブロック共重合体とを99/1〜80/20質量%の割合で含有してなる層(B)の少なくとも2層を有する積層フィルムであって、前記スチレン系ブロック共重合体が、スチレンとイソブチレンを共重合成分として含み、スチレン含有量が5〜25モル%の範囲であり、かつ、数平均分子量が30000〜80000の範囲であることを特徴とするポリアミド系樹脂積層フィルムであり、原料として主として、脂肪族ポリアミド系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)、スチレン系ブロック共重合体を使用する。
本発明に用いる脂肪族ポリアミド系樹脂としては、下記環状ラクタムの開環重合物が好ましく使用できる。具体的には、アセトラクタム(ポリアミド2)、プロピオラクタム(ポリアミド3)、ブチロラクタム(ポリアミド4)、バレロラクタム(ポリアミド5)、カプロラクタム(ポリアミド6)、エナントラクタム(ポリアミド7)、カプリロラクタム(ポリアミド8)、ペラルゴラクタム(ポリアミド9)、カプリノラクタム(ポリアミド10)、ラウロラクタム(ポリアミド12)等である。また、下記アミノジカルボン酸の重縮合物も好適に使用できる。具体的には、アミノプロピオン酸(ポリアミド3)、アミノブチル酸(ポリアミド4)、アミノバレリアン酸(ポリアミド5)、アミノカプロン酸(ポリアミド6)、アミノエナント酸(ポリアミド7)、アミノカプリル酸(ポリアミド8)、アミノペラルゴン酸(ポリアミド9)、アミノカプリン酸(ポリアミド10)、アミノラウリン酸(ポリアミド12)等である。さらに、下記ジカルボン酸とジアミンとの重縮合物も好適に使用できる。具体的には、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリテトラメチレンセバカミド(ポリアミド410)、ポリテトラメチレンドデカミド(ポリアミド412)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリノナメチレンアジパミド(ポリアミド96)、ポリノナメチレンセバカミド(ポリアミド910)、ポリノナメチレンドデカミド(ポリアミド912)、ポリデカメチレンアジパミド(ポリアミド106)、ポリデカメチレンセバカミド(ポリアミド1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)等である。これらは、1成分単独もしくは多成分を組み合わせて共重合しても良い。また、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等いずれの共重合手法を用いても良い。これらの中でも、耐熱性、成形性、吸水性、機械強度のバランスに優れ、かつ安価に入手できることから、ポリアミド6とポリアミド66を使用することが特に好ましい。
本発明に使用されるEVOHは、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体をアルカリ触媒等によってケン化することによって得られる共重合体である。
本発明に使用されるスチレン系ブロック共重合体は、共重合成分としてスチレンとイソブチレンを含み、共重合体中のスチレン含量が5〜25モル%の範囲であり、かつ、数平均分子量が30000〜80000の範囲であることが重要である。
なお、分子量の測定は、ゲル浸透クロマトグラフ分析にて、Waters社製GPCシステム(カラム:昭和電工(株)製Shodex K−804(ポリスチレンゲル)、移動相:クロロホルム)を用い、分子量標準物質としてポリスチレンを使用して行った。
本発明のフィルムは、脂肪族ポリアミド系樹脂を主成分としてなる層(A)とエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物とスチレン系ブロック共重合体を含有する層(B)の少なくとも2層を有するものであればよいが、層(A)を少なくとも1方の最外層とする構成であることが好ましい。層(A)を少なくとも1方の最外層とすることにより、フィルムに柔軟性を付与することが可能となり、耐屈曲ピンホール性を向上させる効果を得ることができるため好ましい。
また、各層の厚みは、耐屈曲ピンホール性と酸素ガスバリア性の点から、層(A)は全層の30〜90%、層(B)は全層の10〜70%とすることが好ましい。
本発明のフィルムは、種々の方法で製造可能であるが、例えば、以下の方法により製造することが好ましい。すなわち、ポリアミド系樹脂を原料として用いて、実質的に無定型で配向していないフィルム(以下「未延伸フィルム」という)を、通常、共押出法で製造する。この未延伸フィルムの製造は、例えば、上記原料を1〜5台の押出機により溶融し、フラットダイ、または環状ダイから押出した後、急冷することによりフラット状、または環状の未延伸フィルムとする共押出法を採用することができる。
20cm×27.5cmの大きさに切断したフィルムを、温度23℃または5℃、相対湿度50%の条件下に、24時間以上放置してコンディショニングし、ゲルボフレックステスター(理学工業社製、No.901型(MIL−B−131Cの規格に準拠))を使用して、次のように屈曲テストを繰り返し、0.05m2当りのピンホール数を計測した。
上記長方形テストフイルムを長さ20cmの円筒状にし、当該巻架した円筒状フィルムの一端を上記テスターの円盤状固定ヘッドの外周に、他端を上記テスター円盤状可動ヘッドの外周にそれぞれ固定し、上記可動ヘッドを上記固定ヘッドの方向に、平行に対向した両ヘッド(固定ヘッドと可動ヘッドとは17.5cm隔てて対向している。)の軸に沿って8.8cm接近させる間に440゜回転させ、続いて回転させることなしに6.3cm直進させ、その後、これらの動作を逆に行わせ、上記可動ヘッドを最初の位置に戻すまでの行程を1サイクルとする屈曲テストを、1分あたり40サイクルの速度で、連続して3000サイクル(23℃)または500サイクル(5℃)行った後に、テストしたフィルムの固定ヘッド、可動ヘッドの外周に固定した部分を除いた17.5cm×27.5cm内の部分に生じたピンホール数を、ピンホールテスター(サンコー電子研究所製、TRD型)により1kVの電圧を印加して、計測した。フィルム0.05m2あたりの屈曲ピンホール発生数が4個以下のものを○、4個より多いものを×とした。
(株)日立ハイテクノロジーズのMOCON酸素透過率測定装置OX−TRANを用いて、JIS K−7126 B法に準拠して23℃、0%RHでの酸素透過率(cc/m2・24h・atm)を測定した。ガス透過率が5cc/m2・24h・atm以下のものを○、5cc/m2・24h・atmより大きいものを×とした。
日本電色工業(株)のヘーズメーターNDH−5000を用いて、JIS K−7105に準拠して全光線透過率(%)を測定した。全ヘーズが、人間の目で曇りを判別できるとされる5%以下のものを○、5%より大きいものを×とした。
(a)−1:ポリアミド6(宇部興産社製、UBEナイロン1022FD37)
(a)−2:ポリメタキシリレンアジパミド(三菱ガス化学社製、MXナイロンS6010)
(a)−3:ポリエーテルアミド(アルケマ社製、PEBAX4033)
(b)−1:EVOH(日本合成化学社製、ソアノールDC3203、エチレン含量:32モル%、屈折率:1.524)
(b)−2:EVOH(日本合成化学社製、ソアノールDT2904、エチレン含量:29モル%、屈折率:1.525)
(c)−1:スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(カネカ社製、SIBSTAR072T、スチレン含量:23モル%、数平均分子量:60000、屈折率:1.528)
(c)−2:スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(カネカ社製、SIBSTAR073T、スチレン含量:30モル%、数平均分子量:60000、屈折率:1.532)
(c)−3:スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(カネカ社製、SIBSTAR102T、スチレン含量:15モル%、数平均分子量:100000、屈折率:1.522)
(c)−4:スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体/スチレン−イソブチレンブロック共重合体(カネカ社製、SIBSTAR062T、スチレン含量:23モル%、数平均分子量:50000、屈折率:1.528)
(c)−5:スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(旭化成ケミカル社製、TUFTEC H−1052、スチレン含量:20モル%、数平均分子量:80000、屈折率:1.496)
層(A)の原料として(a)−1を、層(B)の原料として(b)−1と(c)−1とを90/10質量%の割合で混合したものをそれぞれ使用した。これらを65mmφ押出機2台を使用して別々に溶融させ、次いで層(A)については分配ブロックでほぼ半々に分割し、(A)/(B)/(A)の順番で共押出Tダイ内で積層させて3層構造の積層フィルムとして押出し、30℃のキャストロールに密着急冷し、それぞれ層(A)が55μm、 層(B)が40μm、層(A)が55μmとなる未延伸積層フィルムを得た。
層(B)の原料である(b)−1と(c)−1の割合を97/3質量%とした以外は実施例1と同様にして積層二軸延伸フィルムを製造し、評価を行った。結果を表1に示す。
(c)−1を(c)−4とした以外は実施例1と同様にして積層二軸延伸フィルムを製造し、評価を行った。結果を表1に示す。
(b)−1を(b)−2とした以外は実施例1と同様にして積層二軸延伸フィルムを製造し、評価を行った。結果を表1に示す。
層(A)の原料を、(a)−1と(a)−2とを90/10質量%の割合で混合したものとした以外は実施例1と同様にして積層二軸延伸フィルムを製造し、評価を行った。結果を表1に示す。
層(A)の原料を、(a)−1と(a)−3とを90/10質量%の割合で混合したものとした以外は実施例1と同様にして積層二軸延伸フィルムを製造し、評価を行った。結果を表1に示す。
層(A)と層(B)の層厚みを3.5μm/8μm/3.5μmとした以外は実施例1と同様にして積層二軸延伸フィルムを製造し、評価を行った。結果を表1に示す。
層(A)の原料として(a)−1を、層(B)の原料として(b)−1と(c)−1とを90/10質量%の割合で混合したものを、層(A)と層(B)の接着層(C)の原料としてオレフィン系エラストマー(三井化学社製、アドマーSF731、以下(d)−1と省略することがある)をそれぞれ使用した。これらを65mmφ押出機3台を使用して別々に溶融させ、次いで層(A)と層(C)については分配ブロックでほぼ半々に分割し、(A)/(C)/(B)/(C)/(A)の順番で共押出Tダイ内で積層させて5層構造の積層フィルムとして押出し、30℃のキャストロールに密着急冷し、それぞれ層(A)が35μm、 層(C)が20μm、層(B)が40μm、層(C)が20μm、層(A)が35μmとなる未延伸積層フィルムを得た。
層(B)の原料である(b)−1と(c)−1の割合を60/40質量%とした以外は実施例1と同様にして積層二軸延伸フィルムを製造し、評価を行った。結果を表1に示す。
(c)−1を(c)−2に変更した以外は実施例1と同様にして積層二軸延伸フィルムを製造し、評価を行った。結果を表1に示す。
(c)−1を(c)−3に変更した以外は実施例1と同様にして積層二軸延伸フィルムを製造し、評価を行った。結果を表1に示す。
(c)−1を(c)−4に変更した以外は実施例1と同様にして積層二軸延伸フィルムを製造し、評価を行った。結果を表1に示す。
Claims (8)
- 脂肪族ポリアミド系樹脂を主成分としてなる層(A)、及び、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物とスチレン系ブロック共重合体とを含有してなる層(B)の少なくとも2層を有する積層フィルムであって、
前記層(B)におけるスチレン系ブロック共重合体の含有量が、1〜20質量%であり、
前記スチレン系ブロック共重合体が、スチレンとイソブチレンを共重合成分として含み、スチレン含有量が5〜25モル%の範囲であり、かつ、数平均分子量が30000〜80000の範囲であり、
全ヘーズが5.0%以下である
ことを特徴とするポリアミド系樹脂積層フィルム。 - ゲルボフレックステスターによる屈曲試験におけるピンホール発生数が、23℃、相対湿度50%、3000回の条件と、5℃、相対湿度50%、500回の条件とで、それぞれ4個/0.05m 2 以下であり、且つ、
23℃、相対湿度0%の条件での酸素透過率が5cc/m 2 ・日・atm以下である請求項1に記載のポリアミド系樹脂積層フィルム。 - 前記層(B)におけるスチレン系ブロック共重合体の含有量が3〜10質量%である請求項1または2に記載のポリアミド系樹脂積層フィルム。
- 前記スチレン系ブロック共重合体が、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体、及び、スチレン−イソブチレンブロック共重合体の少なくとも1つを含む請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド系樹脂積層フィルム。
- MD、TDにそれぞれ延伸し、その後熱処理して得られる二軸延伸フィルムである、請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミド系樹脂積層フィルム。
- 前記層(A)が最外層に配される請求項1〜5のいずれかに記載のポリアミド系樹脂積層フィルム。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のポリアミド系樹脂積層フィルムを用いた包装用フィルム。
- 請求項7に記載の包装用フィルムを用いた包装体。
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