JP7124326B2 - フィルムおよび包装体 - Google Patents
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Description
なお、酸素透過率は、JIS K7126-2法に基づき、23℃、0%RHの条件下における、厚み50μmのフィルムの測定値である。また、水蒸気透過率は、JIS K7129B法に基づき、40℃、90%RHの条件下における、厚み50μmのフィルムの測定値である。また、破壊エネルギーは、ASTM D3763に基づき、ハイドロショット高速試験機により、23℃雰囲気下で測定した値である。
なお、本願のフィルムは、所定の層を少なくとも1層含めば、上記の効果を奏することが可能となるが、該所定の層以外に、防湿層等の各種機能層を設けてもよく、そのような形態を除外する趣旨ではない。
本発明のフィルムは、エチレン-酢酸ビニル共重合体鹸化物(A)、ガラス転移温度130℃以下の環状オレフィン樹脂(B)、および、芳香族ビニル-イソブチレンブロック共重合体及び/又はその水素添加物(C)を含む層を少なくとも1層以上含むフィルムである。
本フィルムに使用するエチレン-酢酸ビニル共重合体鹸化物(A)は、フィルム製膜安定性の点から、エチレン含有比20モル%以上50モル%以下が好ましく、下限は25モル%以上がより好ましく、上限は48モル%以下がより好ましい。係る範囲のエチレン含有比であれば、得られるフィルムが酸素バリア性、フィルム成形性に優れる。また、エチレン-酢酸ビニル共重合体(A)の鹸化度は、酸素バリア性の観点から、90モル%以上が好ましく、95モル%以上がより好ましく、98モル%以上が更に好ましい。
本フィルムに使用する環状オレフィン樹脂(B)は、例えば、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン(DCPD)、1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロナフタレン(DMON)、テトラシクロドデセン(TCD)などのシクロオレフィン骨格を有する樹脂であり、中でもノルボルネン骨格を有する樹脂が好ましい。また、環状オレフィンポリマー(COP)や、環状オレフィンとエチレンなどの共重合体である環状オレフィンコポリマー(COC)等を用いることができ、エチレン-酢酸ビニル共重合体鹸化物との相溶性を鑑みると、エチレンとの共重合体である環状オレフィンコポリマーが特に好ましい。
本フィルムに環状オレフィン樹脂(B)を用いることにより、水蒸気バリア性の向上を図ることができる。
また、環状オレフィン樹脂(B)のメルトボリュームフローレート(Volume flow index、MVR)は、1.0ml/10min以上50ml/10min以下が好ましく、下限は10ml/10min以上がより好ましく、20ml/10min以上が更に好ましい。
一般に、環状オレフィン樹脂は、シクロオレフィンモノマー重合比率が高いほど、ガラス転移温度は高く、MVRは低い傾向にある。
すなわち、環状オレフィン樹脂(B)のガラス転移温度が小さいほど、また、MVRに表される溶融流動性が大きいほど、分散平均径が小さくなる傾向があり、この知見を用いて、透明性、ガスバリア性、水蒸気バリア性の制御が可能である。更には、フィルムの引張伸び性の向上にも寄与する。
以下、芳香族ビニル-イソブチレンブロック共重合体及び/又はその水素添加物(C)をブロック共重合体(C)と呼称することがある。
本フィルムで使用する芳香族ビニル-イソブチレンブロック共重合体(C)は、芳香族ビニルモノマー単位からなる重合体ブロックと、イソブチレン単位からなる重合体ブロックとを有するブロック共重合体よりなり、芳香族ビニルブロックは付加重合によりビニル芳香族モノマーから誘導される単位である。
芳香族ビニルブロック及び/又は水素化芳香族ビニルブロックの割合が5質量%以上の場合には、本フィルムの機械的特性が良好となり、一方、芳香族ビニルブロック及び/又は水素化芳香族ビニルブロックの割合が80質量%以下、とりわけ75質量%以下であると、溶融粘度が高くなり過ぎず、本フィルムの成形性や加工性が良好となる。なお、芳香族ビニルブロック及び/又は水素化芳香族ビニルブロックを複数有する場合は、その総和として質量%である。同様に、複数のイソブチレンブロックを有する場合は、その総和の質量%である。
エチレン-酢酸ビニル共重合体鹸化物(A)、環状オレフィン樹脂(B)、および芳香族ビニル-イソブチレンブロック共重合体及び/又はその水素添加物(C)を含む層における各成分の含有比率は、(A)が50質量%以上90質量%以下、(B)が5質量%以上30質量%以下、(C)が5質量%以上30質量%以下である。
(B)の含有比率は、本フィルムの水蒸気バリア性の点から、下限は8質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。また本フィルムの透明性、機械特性の点から、上限は25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。
(C)の含有比率は、本フィルムの耐衝撃性の点から、下限は8質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。上限は25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。
本フィルムは、エチレン-酢酸ビニル共重合体鹸化物(A)、環状オレフィン樹脂(B)、および芳香族ビニル-イソブチレンブロック共重合体及び/又はその水素添加物(C)を含む層を少なくとも1層有すればよく、当該層からなる単層フィルムでも、その他の成分からなる層を積層した多層フィルムでもよい。
その他の成分からなる層としては、例えばポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリオレフィン樹脂を酸変性させた接着性樹脂などの熱可塑性樹脂層や、シリカ、アルミナ、酸化インジウム、酸化亜鉛、それらの混合物などの無機薄膜層などが挙げられる。
熱可塑性樹脂を積層する場合は、例えば本フィルムにポリアミド樹脂層を積層させたフィルム、好ましくは本フィルムの両面にそれぞれポリアミド樹脂層を有するフィルムとすると、フィルムに強靭性、耐ピンホール性を付与でき、好ましい。また両外層のポリアミド樹脂層の内側に接着樹脂層を設けると、各層間の密着性が良好となる。
本フィルムには、その特性を阻害しない範囲であれば、各種樹脂層に添加剤を含有することができる。添加剤としては例えば、着色剤、無機充填剤、有機充填剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、滑剤、加水分解防止剤、帯電防止剤、防曇剤、可塑剤、難燃剤などを挙げることができる。これらの添加剤の添加量は特に限定されるものではなく、本発明の所望とする物性を阻害することのない範囲において適宜決定することができる。
本フィルムは、単層フィルムの場合も、多層フィルムの場合も、公知のTダイ法、チューブラー法などの方法で作製することができる。多層フィルムの場合は、生産性、経済性の点から、共押出法での作製が好ましい。
また、本フィルムは、無延伸フィルム、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルムの何れでもよく、公知の方法で作製することができる。縦延伸倍率と横延伸倍率は、特に限定しないが、それぞれ1.1~5.0倍程度が好ましく、1.2~3.5倍程度がより好ましい。
エチレン-酢酸ビニル共重合体鹸化物(A)、環状オレフィン樹脂(B)、および芳香族ビニル-イソブチレンブロック共重合体(C)を含む層の厚みは、特に制限はないが、単層フィルムの場合は、例えば10μm以上150μm以下が好ましく、下限は15μm以上がより好ましく、上限は100μm以下がより好ましい。厚みが係る範囲であれば、食料品、工業部品、医薬品、医療品等の包装フィルムとしての耐衝撃性などの機械特性、ガスバリア性などに優れたフィルムとなる。
また、本フィルムがさらにポリアミドからなる層を有する場合、当該層の厚みは、エチレン-酢酸ビニル共重合体鹸化物(A)、環状オレフィン樹脂(B)、および芳香族ビニル-イソブチレンブロック共重合体(C)を含む層の厚みに対して、0.5~2.0倍の比率が好ましい。また、層間に接着樹脂層を設ける場合は、該接着樹脂層の厚みは1μm以上、10μm以下が好ましい。
本フィルムの透明性は、意匠性、内容物の視認性等の観点から、JIS K7136に基づき測定される厚み50μmの本フィルムの全光線透過率の値が88%以上であることが好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。なお、全光線透過率の値の上限は特に限定されず、可能な限り高い方が好ましい。
また同様の方法で測定される全ヘーズの値は10%未満であることが好ましく、8%未満がより好ましく、5%以下がさらに好ましい。なお、全ヘーズ値の下限は特に限定されず、可能な限り小さい方が好ましい。全光線透過率、全ヘーズの値が係る範囲であれば、本フィルムは透明性に優れ、包装フィルムとして用いた際に内容物の視認性が良好である。
本フィルムはエチレン-酢酸ビニル共重合体鹸化物を単独で用いたフィルムと同程度の耐衝撃性を有するものであり、ASTM D3763に基づき測定されるハイドロショット高速試験機による破壊エネルギーが0.10J以上が好ましく、0.15J以上がより好ましく、0.20J以上がさらに好ましい。係る範囲の破壊エネルギーを有するフィルムであれば、内容物を包装し、例えば輸送の際に生じる衝撃によっても、破断やピンホールなどが生じにくい。
本フィルムはエチレン-酢酸ビニル共重合体鹸化物を単独で用いたフィルムと同程度の引張特性を示すものであり、JIS K7127-2に基づき測定される試験速度200mm/minで測定される厚み50μmのフィルムのMD方向への引張破断伸びが300%以上であることが好ましい。係る範囲の引張破断伸びのフィルムであれば、内容物を包装した際に、破断やピンホールが生じにくい。
本フィルムは適度な酸素ガスバリア性を有し、JIS K7126-2法に基づき、23℃、0%RHの条件下で測定される厚み50μmフィルムの酸素透過率が、0.3ml/(m2・24hr・atm)未満であることが好ましい。係る範囲の酸素透過度であれば、包装フィルムとして内容物の長期保存性に優れたフィルムとなり、値が低いほど良好となる。
本フィルムは適度な水蒸気バリア性を有し、JIS K7129B法に基づき、40℃、90%RHの条件下で測定される厚み50μmフィルムの水蒸気透過率が、20g/(m2・24hr)未満であること好ましく、15g/(m2・24hr)未満がより好ましい。係る範囲の水蒸気透過率であれば、エチレン-酢酸ビニル共重合体鹸化物(A)では得られない水蒸気バリア性を付与することができ、酸素、水蒸気共に良好なガスバリア性フィルムを提供できる。
以下の略号で示す樹脂を配合して温度230℃で押出し、50μm厚の単層無延伸フィルムを作製し、評価結果を表1に示した。
PE-2:エチレン-酢酸ビニル共重合体鹸化物(エチレン含有量:25モル%、鹸化度99%)
CO-1:環状オレフィンコポリマー(Tg78℃、MVF32ml/10min)
CO-2:環状オレフィンコポリマー(Tg138℃、MVF30ml/10min)
CO-3;環状オレフィンコポリマー(Tg158℃、MVF14ml/10min)
SI-1:スチレン-イソブチレン-スチレンブロック共重合体(スチレン含有量:20質量%、ブロック共重合体の数平均分子量:60,000)
SI-2:スチレン-イソブチレン-スチレンブロック共重合体(スチレン含有量:20質量%、ブロック共重合体の数平均分子量:70,000)
SI-3:スチレン-イソブチレン-スチレンブロック共重合体(スチレン含有量:30質量%、ブロック共重合体の数平均分子量:70,000)
SB-1:スチレン-エチレンブチレン-スチレンブロック共重合体スチレン(スチレン含有量:20質量%、ブロック共重合体の数平均分子量:50,000)
JIS K7136に基づいて、全光線透過率透過率と全ヘーズの値を測定した。
ASTM D3763に基づき測定されるハイドロショット高速試験機による破壊エネルギーを23℃雰囲気下で測定した。
JIS K7127-2に基づき、試験速度200mm/minでのMD方向への引張破断伸度を測定した。
JIS K7126-2法に基づき、23℃、0%RHの条件下における酸素透過率を測定した。
JIS K7129B法に基づき、40℃、90%RHの条件下における水蒸気透過率を測定した。
Claims (7)
- エチレン-酢酸ビニル共重合体鹸化物(A)、ガラス転移温度100℃以下の環状オレフィン樹脂(B)、および、芳香族ビニル-イソブチレンブロック共重合体及び/又はその水素添加物(C)を含む層を少なくとも1層有するフィルムであって、
(A)が50質量%以上90質量%以下、(B)が5質量%以上30質量%以下、(C)が5質量%以上30質量%以下であることを特徴とするフィルム。 - 酸素透過率が0.30ml/(m2・24h・atm)未満であり、水蒸気透過率が20g/(m2・24h)未満であり、且つ破壊エネルギーが0.10J以上である請求項1に記載のフィルム。
- 前記環状オレフィン樹脂(B)が、ノルボルネン骨格を有する環状オレフィンとエチレンとの共重合体である環状オレフィン共重合体である請求項1または2に記載のフィルム。
- 前記芳香族ビニル-イソブチレンブロック共重合体及び/又はその水素添加物(C)が、スチレン-イソブチレン-スチレンブロック共重合体及び/又はその水素添加物である請求項1~3の何れかに記載のフィルム。
- さらに、ポリアミド樹脂からなる層を有する、請求項1~4の何れかに記載のフィルム。
- 延伸フィルムである請求項1~5の何れかに記載のフィルム。
- 食料品、工業部品、医薬品、又は医療品を包装するための請求項1~6の何れかに記載のフィルムで形成した包装体。
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