JP6958111B2 - 熱収縮性積層フィルム - Google Patents
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Description
一方、高い酸素バリア性を有する包装材料としては、エチレンビニルアルコール系共重合体を用いた多層フィルムが知られているが、当該多層フィルムを熱収縮性フィルムとして利用する場合、エチレンビニルアルコール系共重合体の延伸性が乏しいことから、優れた収縮特性や好適な収縮応力を有する熱収縮性フィルムを得ることが困難であった。また、エチレンビニルアルコール系共重合体を用いた多層フィルムの場合、他の熱可塑性樹脂層を接着させるために、接着性樹脂層を選定することが最も重要な技術課題となる。
当該接合材料層として無水マレイン酸変性ポリプロピレンが用いられている。一方、熱可塑性エラストマー層としては、オレフィン系熱可塑性エラストマーや、ポリアミド系熱可塑性エラストマーが用いられている。
しかしながら、熱可塑性エラストマー層としてポリアミド系熱可塑性エラストマーを用いた場合においても、接合材料層が介在し、接合材料層には無水マレイン酸変性ポリプロピレンが使用されている。
すなわち、エチレンビニルアルコール共重合体よりなる層とポリアミド系エラストマー層を隣接させることにより、優れた層間接着を有することを発見できていない。
(I)層:熱可塑性樹脂を主成分としてなる樹脂組成物
(II)層:ハードセグメントとソフトセグメントの比率がハードセグメント/ソフトセグメント=10〜60質量%/40〜90質量%であるポリアミド系エラストマーを主成分としてなる樹脂組成物
(III)層:エチレンビニルアルコール系共重合体を主成分としてなる樹脂組成物
<(I)層>
本発明の熱収縮性積層フィルムにおける(I)層は、熱可塑性樹脂を主成分としてなる樹脂組成物から構成される。
中でも、透明性、剛性、共押出性、ガスバリア性、環境衛生性、臭気、後述する(II)層との層間接着性などの観点からポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂が好ましく、ポリエステル系樹脂がさらに好ましい。
熱収縮性を付与するにあたり、前記共重合体(A)と前記共重合体(B)の少なくとも2種を用いることにより熱収縮挙動を調整することができる。すなわち、前記共重合体(A)のガラス転移温度(Tg)と前記共重合体(B)のTgは大きく相違するため、双方を混合することにより、熱収縮性積層フィルムの熱収縮率が増加する温度範囲を拡大でき、その結果、熱収縮開始からの急激な収縮を抑制できる。また、前記共重合体(A)と前記共重合体(B)の少なくとも2種を用いることにより、前記2種の結晶性も制御することができる。そのため、過度な結晶化による熱収縮性の阻害などを抑制し、熱収縮性積層フィルムに十分な収縮率を付与することができる。
前記(I)層に好ましく用いることができるポリエチレンテレフタレート系共重合体(A)は、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸が含まれる。また、イソフタル酸を含むものが好ましい。テレフタル酸は、前記共重合体(A)を構成する全ジカルボン酸成分100mol%中に80〜100mol%の割合で含まれることが好ましく、より好ましくは83〜97mol%、さらに好ましくは86〜94mol%である。全ジカルボン酸成分100mol%中にテレフタル酸を80〜100mol%の割合で含まれれば、高い結晶性が得られるため、熱収縮性積層フィルムに十分な強度を確保することができるため好ましい。
前記(I)層に好ましく用いることができるポリブチレンテレフタレート系共重合体(B)は、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸が含まれる。また、イソフタル酸を含むものが好ましい。テレフタル酸は、前記共重合体(B)を構成する全ジカルボン酸成分100mol%中に80〜99mol%の割合で含まれることが好ましく、より好ましくは83〜96mol%、さらに好ましくは86〜93mol%である。全ジカルボン酸成分のうちテレフタル酸が80〜99mol%の割合で含まれれば、高い結晶性が得られるため、熱収縮性積層フィルムに十分な強度を確保することができる。
前記共重合体(A)と前記共重合体(B)の組成比が、(A)/(B)=70〜95質量%/5〜30質量%である場合、収縮特性の付与に好適なガラス転移温度や結晶性を調整することが可能となり、高い収縮率の発現や、耐衝撃性、耐破断性の優れた熱収縮性積層フィルムが得られるため好ましい。また、収縮特性に着目しても、上述の組成比にすることにより、室温保管時に収縮することを抑制することができる。また、収縮開始温度以上に加熱した際に、熱収縮性積層フィルムが急激に収縮することを抑制し、収縮包装において好適な収縮速度を制御しやすい。
本発明の熱収縮性積層フィルムにおける(II)層は、ハードセグメントとソフトセグメントの比率がハードセグメント/ソフトセグメント=10〜60質量%/40〜90質量%であるポリアミド系エラストマーを主成分としてなる樹脂組成物から構成される。
上記ハードセグメントの比率の下限は、好ましくは13質量%以上、より好ましくは16質量%以上であり、上限は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。また、ソフトセグメントの比率の下限は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上であり、上限は、好ましくは87質量%以下、より好ましくは84量%以下である。
前記ハードセグメントの比率を10質量%以上にすることにより、ポリアミド系エラストマーの形状保持、及び、熱可塑性エラストマーとしての疑似架橋点効果を保つことができる。前記ソフトセグメント比率を40質量%以上にすることにより、接着強度を向上できる。
さらには、前記ハードセグメントの比率を60質量%以下にすることにより、ポリアミド系エラストマーを主成分としてなる樹脂組成物から構成される(II)層の弾性率を抑制し、延伸時における(II)層に掛かる延伸応力を緩和することができる。そのため、熱収縮性積層フィルムの収縮時に受ける過度な収縮応力を抑制し、過度な収縮応力に起因する熱収縮性積層フィルムのデラミを抑制することができる。
すなわち、ポリアミド系エラストマーの上記ハードセグメントと上記ソフトセグメントの比率は、ハードセグメント/ソフトセグメント=10〜60質量%/40〜90質量%とすることが、熱収縮性積層フィルムの接着性、収縮時におけるデラミを抑制する観点から、本発明において重要となる。
本発明の熱収縮性積層フィルムにおける(III)層は、エチレンビニルアルコール系樹脂を主成分としてなる樹脂組成物から構成される。
本発明の熱収縮性積層フィルムの構成は、下記樹脂組成物から構成される(I)層、(II)層、(III)層が、(I)層/(II)層/(III)層の順に隣接する3層を有することが重要である。
(I)層:熱可塑性樹脂を主成分としてなる樹脂組成物
(II)層:ハードセグメントとソフトセグメントの比率がハードセグメント/ソフトセグメント=10〜60質量%/40〜90質量%であるポリアミド系エラストマーを主成分としてなる樹脂組成物
(III)層:エチレンビニルアルコール系共重合体を主成分としてなる樹脂組成物
例えば、(I)層/(II)層/(III)層/(IV)層、(IV)層/(I)層/(II)層/(III)層の4層構成や、(I)層/(II)層/(III)層/(IV)層/(V)層、(IV)層/(V)層/(I)層/(II)層/(III)層、(V)層/(I)層/(II)層/(III)層/(IV)層の5層構成が挙げられる。特に、ガスバリア性の向上の為、(III)層を保護する観点から、(I)層/(II)層/(III)層/(IV)層、(I)層/(II)層/(III)層/(IV)層/(V)層、(V)層/(I)層/(II)層/(III)層/(IV)層などの構成が好ましい。
特に、(III)層と他の層との接着性を考えると、(I)層/(II)層/(III)層/(II)層の順に隣接する4層を有することがより好ましく、(I)層/(II)層/(III)層/(II)層/(IV)層といった4種5層構成や、(I)層/(II)層/(III)層/(II)層/(I)層の3種5層構成が、熱収縮性積層フィルムのカール抑制、機械物性の保持、シートロール状物への成形性の観点から最も好ましい。
さらに、本発明の熱収縮性積層フィルムは、(I)層/(II)層/(III)層の順に隣接する3層を有していれば、上述の層以外にも層数を追加することもでき、追加される層数は制限されるものではない。
本発明の熱収縮性積層フィルムの各層の厚み比は、特に制限されるものではないが、好ましくは、熱収縮性積層フィルム全体の厚みに対して(III)層の厚みの割合の下限は、5%以上が好ましく、より好ましくは10%以上であり、上限は、好ましくは60%以下、より好ましくは50%以下である。(III)層の厚み割合が上記範囲内であれば、フィルムの酸素バリア性、収縮性が優れたものとなり好ましい。
なお、本発明の熱収縮性積層フィルムの総厚みについては、特に限定されるものではないが、透明性や収縮特性、原料コストなどの観点から薄い方が好ましく、上限は、好ましくは500μm以下、より好ましくは400μm以下、さらに好ましくは300μm以下である。下限は特に限定されないが、熱収縮性積層フィルムのハンドリング性を考慮すると20μm以上が好ましい。
本発明の熱収縮性積層フィルムを構成する各層には、上述した各成分の他に、本発明の効果を阻害しない範囲内で、耳などのトリミングロス等から発生するリサイクル樹脂や、シリカ、タルク、カオリン炭酸カルシウムなどの無機粒子、酸化チタン、カーボンブラックなどの顔料、難燃剤、耐候性安定剤、熱安定剤、帯電防止剤、溶融粘度改良剤、架橋剤、滑剤、核剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、着色剤などの添加剤を適宜添加することができる。
本発明の熱収縮性積層フィルムにおいては、内容物の様々な形状に応じた密着性を実現できるフィルムを得るためには、後述する熱収縮率が特定範囲を満たすことが好ましい。
本発明の熱収縮性積層フィルムは、80℃温水中で10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が20%以上であることが好ましく、より好ましくは30%以上、さらに好ましくは35%以上である。上限は特に制限はないが、80%以下が好ましい。
また、50℃温水中で10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が3%未満であることが好ましく、2%未満であることがより好ましく、1%未満であることがさらに好ましく、寸法が変化しない0%であることが最も好ましい。
また、100℃温水中で10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が40%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、60%以上であることがさらに好ましい。
熱収縮率が上記範囲とすることにより、多様な形状の、特に太い部分と細い部分の差が大きい内容物への密着性を良好にすることができる。なお、「主収縮方向」とは、熱収縮性積層フィルムにおける面方向において、最も大きな熱収縮率を有する方向を示す。仮に熱収縮性積層フィルムがボトル形状、チューブ形状などの3次元的な形状を有する場合は、成形物を面状(シート状)に切り出すことにより、主収縮方向を導き出すことができる。なお、熱収縮率を上記範囲とするには、延伸温度および延伸倍率により調整することができる。
本発明の熱収縮性積層フィルムは、100℃シリコンオイル中に1分間浸漬したときの主収縮方向の最大収縮応力が、3.0MPa以上9.5MPa以下の範囲とすることが最も重要である。上記最大収縮応力の下限は、好ましくは3.5MPa以上、より好ましくは4.0MPa以上であり、上限は、好ましくは9.0MPa以下、より好ましくは8.5MPa以下である。最大収縮応力が、3.0MPa未満だと、被覆物への収縮初期に発生しかけた余りシワを収縮過程で消すことができず、収縮仕上がり外観が良くない。また、9.5MPaより大きいと、収縮した際の容器の変形が発生し好ましくない。また、最大収縮応力が9.5MPaより大きいと、収縮時において各層に掛かる収縮応力が過剰となり、(II)層が保持する接着力の許容を超えやすく、デラミが生じやすいため好ましくない。
なお、収縮応力を上記範囲とするには、各層の配合を本発明で規定する組成とすることや、延伸倍率や熱処理温度により、調整することができる。中でも、ポリアミド系エラストマーを主成分としてなる樹脂組成物から構成される(II)層における、前記ポリアミド系エラストマーのハードセグメントとソフトセグメントの比率をハードセグメント/ソフトセグメント=10〜60質量%/40〜90質量%とすることが最も効果的である。
本発明の熱収縮性積層フィルムは、JIS K7136に準拠して測定した場合の、全ヘイズ値が10%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましく、6%以下であることがさらに好ましい。全ヘイズ値が10%以下であれば、フィルムを装着した被覆体の視認性を十分得ることができる。
本発明の熱収縮性積層フィルムは、雰囲気温度23℃、引張速度200mm/分の条件下で測定される、フィルム状物の引き取り(流れ)方向(又は、MD)の引張破断伸度が、100%以上であることが好ましく、より好ましくは150%以上、さらに好ましくは200%以上である。23℃環境下での引張破断伸度が上記範囲内であれば、印刷・製袋などの工程時にフィルム状物が破断するなどの不具合が生じにくく、好ましい。また被覆物との密着部分から破袋等が発生しにくく、好ましい。
雰囲気温度23℃での引張破断伸度を上記範囲とするには、各層の配合の調整、製膜工程での押出条件の調整ならびに延伸条件の調整、熱収縮率の調整、積層比の調整などを適宜行うことによって調整できる。
本発明の熱収縮性積層フィルムは、雰囲気温度0℃、引張速度100mm/分の条件下で測定される、フィルム状物の引き取り(流れ)方向(又は、MD)の引張破断伸度が、100%以上であることが好ましく、より好ましくは150%以上、さらに好ましくは200%以上である。0℃環境下での引張破断伸度が上記範囲内であれば、印刷・製袋などの工程時にフィルム状物が破断するなどの不具合が生じにくく、好ましい。また被覆物との密着部分から破袋等が発生しにくく、好ましい。
雰囲気温度0℃での引張破断伸度を上記範囲とするには、各層の配合の調整、製膜工程での押出条件の調整ならびに延伸条件の調整、熱収縮率の調整、積層比の調整などを適宜行うことによって調整できる。
本発明の熱収縮性積層フィルムは、23℃・0℃RHでの酸素透過度が20cc/m2・day・atm以下であることが好ましく、より好ましくは10cc/m2・day・atm以下であり、さらに好ましくは5cc/m2・day・atm以下である。酸素透過度が上記範囲内であれば、酸素バリア性は十分なものとなる。
本発明の熱収縮性積層フィルムの製造方法は、特に制限されるものではなく、従来公知の方法によって製造することができるが、フィルム状物の形態が好ましい。ここで、「フィルム状物」とは、厚いシートから薄いフィルムまでを包括した意を有する。フィルム状物としては、平面状、チューブ状のいずれであってもよいが、生産性(原反シートの幅方向に製品として数丁取りが可能)や内面に印刷が可能という観点から、平面状が好ましい。平面状のフィルムの製造方法としては、例えば、複数の押出機を用いて樹脂を溶融し、Tダイから共押出し、冷却ロールで冷却固化し、巻取機にて巻き取ることによりフィルムを得る方法が例示できる。また、収縮特性を付与するには、例えば、複数の押出機を用いて樹脂を溶融し、Tダイから共押出し、冷却ロールで冷却固化し、縦方向にロール延伸し、横方向にテンター延伸し、アニールし、冷却し、巻取機にて巻き取ることによりフィルムを得る方法が例示できる。また、チューブラー法により製造したフィルムを切り開いて平面状とする方法も適用できる。
押出温度は、180〜260℃程度が好ましく、より好ましくは190〜250℃である。押出温度やせん断の状態を最適化することにより、材料の分散状態を制御することも、下記記述するフィルムの種々の物理的特性、機械的特性を所望の値にするのに有効である。
本発明の熱収縮性積層フィルムは、各種包装資材として好適に使用することができる。包装資材として使用する場合の具体例としては例えば、本発明の熱収縮性積層フィルムを用いて袋を形成し、ここに食品や医薬品、工業薬品等の内容物を収納し、必要に応じて内部の空気を除去し、熱処理を施して収縮させ包装体とすることができる。
なお、実施例に示す測定値及び評価は次のように行った。フィルム状物の引き取り(流れ)方向を「縦」方向(又は、MD)、その直角方向を「横」方向(又は、TD)と記載する。
<測定方法>
得られた熱収縮性積層フィルムをMDに120mm、TDに15mmの大きさに切り出し、JIS K7127に準拠し、引張速度200mm/minで、雰囲気温度23℃におけるフィルムのMDの引張破断伸度を測定し、10回の測定値の平均値を測定し、下記基準に従い評価した。
得られた熱収縮性積層フィルムをTDに120mm、MDに15mmの大きさに切り出し、JIS K7127に準拠し、引張速度200mm/minで、雰囲気温度23℃におけるフィルムのTDの引張破断強度、伸度を測定し、10回の測定値の平均値を測定し、下記基準に従い評価した。
得られた熱収縮性積層フィルムをMDに120mm、TDに15mmの大きさに切り出し、JIS K7127に準拠し、引張速度100mm/minで雰囲気温度0℃におけるフィルムの引き取り方向(MD)の引張破断伸度を測定し、10回の測定値の平均値を測定した。
得られた熱収縮性積層フィルムをモダンコントロール社製のOXY−TRAN100型酸素透過率測定装置を使用し、23℃・0%RHで測定し、酸素透過率を測定した。
得られた熱収縮性積層フィルムをMD10mm、TD200mmの大きさに切り取り、50℃、80℃、100℃の温水バスに10秒間それぞれ浸漬し、TDの収縮量を測定した。また、得られた熱収縮性積層フィルムをTD5mm、MD200mmの大きさに切り取り、50℃、80℃、100℃の温水バスに10秒間それぞれ浸漬し、MDの収縮量を測定した。熱収縮率は、収縮前の原寸に対する収縮量の比率を%値で表示した。
得られた熱収縮性積層フィルムの透明性を評価するため、JIS K7136にて全ヘイズ値を測定した。
得られた熱収縮性積層フィルムの引き取り方向(MD)に沿ってニチバン製の18mm幅の透明粘着テープを貼り付け、馬簾状の冶具を用いてテープとフィルムを密着させた後、粘着テープを瞬時に剥がした際のフィルム状物の状態を評価した。
○:粘着テープを剥がすと、剥がす前の状態を保ちフィルムに剥離が生じない場合
△:粘着テープを剥がすと、フィルム内で部分的に剥離が発生する場合
×:粘着テープを剥がすと、フィルム内で全面に剥離が発生する場合
得られた熱収縮性積層フィルムの主収縮方向(TD)の収縮応力を測定するために、MD10mm、TD70mmの大きさに切り取り、チャック間隔50mmにてチャックロードセルにタルミが無い様に固定した。その後、100±0.5℃のシリコンバスに試料片を1分間浸漬し、TDの収縮応力を測定した。このとき、1分間での収縮応力の最大値を最大収縮応力として算出した。収縮応力は下記式に当てはめて計算した。
収縮応力(MPa)=ロードセルにかかる応力(N)/試料片の断面積(mm2)
得られた熱収縮性積層フィルムの収縮時のデラミを評価するために、MD100mm、TD200mmの大きさに切り取り、図1に示すように、縦130mm、横170mm、幅5mmの、中をくり抜いた矩形の金属枠2枚でフィルムのTD両端部を15mmずつはみ出した状態で挟持させ、100℃の温水中に10秒間浸漬させた。その後、金属枠を取り外し、フィルムTD端部の状態を確認し、下記基準にて判断した。
○:フィルムTD端部において、デラミが見られない
×:フィルムTD端部において、デラミが見られる。
<熱可塑性樹脂>
・1,4−シクロヘキサンジメタノール:21.8mol%、エチレングリコール:76.1mol%、ジエチレングリコール:2.0mol%、テレフタル酸:90.5mol%、イソフタル酸:9.5mol%を構成成分として含むポリエステル系樹脂(「PEs1」と略する。)
・1,4−ブタンジオール:100mol%、テレフタル酸:90mol%、イソフタル酸:10mol%を構成成分として含むポリエステル系樹脂(「PEs−2」と略する。)
<エチレンビニルアルコール系共重合体>
・クラレ社製 商品名:エバールSP482B、エチレン含有率32mol%、MFR=4.1g/10分、密度=1.16g/cm3(「EVOH1」と略する。)
<ポリアミド系エラストマー>
・ハードセグメントとして12ナイロン、ソフトセグメントとしてポリテトラメチレングリコールを構成成分として含むポリアミド系エラストマー(「AD1」と略する。)、密度1.01g/cm3、融点:134℃、MFR(測定温度235℃、測定荷重1kg):10g/10分、シェア硬度A:75、ハードセグメント/ソフトセグメント比率=20質量%/80質量%
・ハードセグメントとして12ナイロン、ソフトセグメントとしてポリテトラメチレングリコールを構成成分として含むポリアミド系エラストマー(「AD2」と略する。)、密度1.01g/cm3、融点:144℃、MFR(測定温度235℃、測定荷重1kg):8g/10分、シェア硬度A:83、ハードセグメント/ソフトセグメント比率=27質量%/73質量%
・ハードセグメントとして12ナイロン、ソフトセグメントとしてポリエチレングリコールを構成成分として含むポリアミド系エラストマー(「AD3」と略する。)、密度1.04g/cm3、融点:170℃、MFR(測定温度235℃、測定荷重1kg):7g/10分、シェア硬度D:60、ハードセグメント/ソフトセグメント比率=74質量%/26質量%
(I)層に用いる樹脂組成物として、「PEs1」を85質量%、「PEs2」を15質量%の割合で混合した後、2軸押出機(スクリュー径35mmφ)に投入し、押出機設定温度240℃にて、ストランド上に成形した後、水槽にて急冷し、ストランドをカットし、コンパウンドペレット(「PEsコンパウンド」と略する。)を得た。
その後、表1に示す配合、構成に従い、(I)層を構成する原料として、「PEsコンパウンド」を用い、(II)層を構成する原料として、ポリアミド系エラストマー「AD1」を用い、(III)層を構成する原料として、エチレンビニルアルコール系共重合体「EVOH1」を用いて、3台の単軸押出機にそれぞれ導入し、各単軸押出機にて溶融混練を行い、導管、合流ブロック、および3種5層マルチマニホールド口金の順に接合された、(I)層/(II)層/(III)層/(II)層/(I)層の積層共押出が可能な設備において、3種5層の積層体を採取した。
このとき、(I)層用の押出機設定温度を250℃、(II)層用および(III)層用の押出機設定温度を190〜200℃とし、各層の厚み比が、(I)層/(II)層/(III)層/(II)層/(I)層=70μm/15μm/30μm/15μm/70μmとなるよう共押出し、70℃のキャストロールで引き取り、冷却固化させて未延伸のシート状の積層体を得た。次いで、得られたシート状の積層体をフィルムテンターを用いて、80℃延伸温度にて、幅方向の延伸倍率5倍にて延伸し、次いで80℃熱処理温度で熱処理を行い、厚さ40μmの熱収縮性積層フィルムを得た。これについて評価を行った。結果を表1に示す。
(II)層を構成する原料として、ポリアミド系エラストマー「AD1」をポリアミド系エラストマー「AD2」に変更した以外は実施例1と同様の方法にて、厚さ200μmの未延伸のシート状の積層体を得た。その後、実施例1と同様の方法にて、得られたシート状の積層体を延伸、熱処理を行い、厚さ40μmの熱収縮性積層フィルムを得た。これについて評価を行った。結果を表1に示す。
(II)層を構成する原料として、ポリアミド系エラストマー「AD1」をポリアミド系エラストマー「AD3」に変更した以外は実施例1と同様の方法にて、厚さ200μmのシート状の積層体を得た。その後、実施例1と同様の方法にて、得られたシート状の積層体を延伸、熱処理を行い、厚さ40μmの熱収縮性積層フィルムを得た。これについて評価を行った。結果を表1に示す。
2 矩形の金属枠
3 固定具
Claims (4)
- 下記樹脂組成物から構成される(I)層、(II)層、(III)層が、(I)層/(II)層/(III)層の順に隣接する3層を有し、100℃のシリコンバス中に1分間浸漬したときの主収縮方向の最大収縮応力が3.0MPa以上9.5MPa以下である熱収縮性積層フィルム。
(I)層:ポリエステル系樹脂を主成分としてなる樹脂組成物
(II)層:ハードセグメントとソフトセグメントの比率がハードセグメント/ソフトセグメント=10〜60質量%/40〜90質量%であるポリアミド系エラストマーを主成分としてなる樹脂組成物
(III)層:エチレンビニルアルコール系共重合体を主成分としてなる樹脂組成物 - 50℃温水中で10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が3%未満であり、80℃温水中で10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が20%以上であり、100℃温水中で10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が40%以上である、請求項1に記載の熱収縮性積層フィルム。
- 前記エチレンビニルアルコール系共重合体のエチレン含有比率が20mol%以上50mol%以下である請求項1または2に記載の熱収縮性積層フィルム。
- 前記ポリエステル系樹脂が、ポリエチレンテレフタレート系共重合体(A)とポリブチレンテレフタレート系共重合体(B)の少なくとも2種からなる、請求項3に記載の熱収縮性積層フィルム。
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