JP6551087B2 - ポリ乳酸系積層フィルム、該積層フィルムを用いた熱収縮性積層フィルム、該熱収縮性積層フィルムを用いた成形品、熱収縮性ラベル、及び、該成形品を用いた、または該ラベルを装着した容器 - Google Patents

ポリ乳酸系積層フィルム、該積層フィルムを用いた熱収縮性積層フィルム、該熱収縮性積層フィルムを用いた成形品、熱収縮性ラベル、及び、該成形品を用いた、または該ラベルを装着した容器 Download PDF

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Description

本発明は、透明性と耐破断性に優れたポリ乳酸系積層フィルム関する。また該積層フィルムを用いた熱収縮性積層フィルム、該熱収縮性積層フィルムを用いた成形品、熱収縮性ラベル、及び、該成形品を用いた、または該ラベルを装着した容器に関するものである。
ポリ乳酸系樹脂は、澱粉の発酵により得られる乳酸を原料とした植物由来原料であり、地球温暖化対策や将来枯渇が予想される石油資源代替等の観点から、注目を集めている。このポリ乳酸系樹脂は、透明性や剛性に優れるといった特長がある一方で、硬くて脆いなどの短所もある。そのため、このようなポリ乳酸系樹脂の改質については、環境へ配慮した包装材としてポリ乳酸系樹脂を用いるために、従来から様々な技術検討がなされてきた。
ところで現在、お茶、ジュース、コーヒー等の飲料の多くは、ペットボトル等の容器に充填された状態で販売されており、近年では、ワイン等のアルコール飲料のペットボトル販売も見られるようになった。このように多様性が増す中、他商品との差異化や商品の視認性向上のために装着される熱収縮性ラベルの重要性は高まっている。また熱収縮性ラベルは、飲料のみならず、食品、トイレタリー、医療品、化学品、工業用品に至るまで様々な用途で使用されている。
この熱収縮性ラベルの印刷は、容器同士の擦れや引掻き等による印刷物の滑落防止の為、通常、フィルムの裏側に施されるため、熱収縮性ラベル用原反フィルムには高い透明性が要求される。そのため、フィルムの素材としては、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂、そして、ポリ乳酸系樹脂等が使用されており、中でもポリ乳酸系樹脂は、上記観点等の理由から、熱収縮性フィルムの素材としても注目を集めている。
しかしながら、一般に、ポリ乳酸系樹脂は耐衝撃性が低いため、グラビア印刷等の多くのロールを経由して高速でフィルムが通過する印刷工程や、製袋工程等の加工工程を経由する際に求められる耐破断性が不十分という課題がある。
ポリ乳酸系樹脂の脆性を改良する手法としては、エラストマーを添加する方法が知られている。例えば特許文献1には、脂肪族ポリエステルと変性エラストマーとの結晶性生分解性樹脂組成物が提案されている。また特許文献2には、脂肪族ポリエステルと熱可塑性エラストマーと無機充填剤からなる熱可塑性重合体組成物が提案されている。また特許文献3には、ポリ乳酸とポリウレタンの溶融混合樹脂組成物が提案されている。さらに特許文献4には、脂肪族ポリエステルと熱可塑性ポリウレタンエラストマーからなる樹脂組成物が提案されている。
特開2004−035691号公報 特開2008−063577号公報 特開2002−037995号公報 特開2008−266454号公報
しかしながら、特許文献1の技術は、機械特性に加えて耐熱性向上も目的としているため、ガラス転移点Tg以上でのアニール処理を必要とする。このような組成物では、熱収縮ラベルに必要な高い透明性や収縮率を確保することは困難である。また特許文献2の技術は、ポリ乳酸と熱可塑性エラストマーをブレンドしたときに考慮すべき透明性に関する言及がない。また特許文献3や4には、ポリ乳酸あるいは脂肪族ポリエステルに、ポリウレタンを配合する技術が開示されているが、これらもまた、ポリ乳酸系樹脂の脆性改良を主な目的としており、透明性は全く考慮されておらず、透明性を達成するために必要なエラストマーの組成に関する言及もなされていない。
このように、従来技術では、高い透明性とともに、耐破断性等の機械特性にも優れたフィルムを得ることは困難であった。
本発明は前記課題に鑑みてなされたものであり、すなわち本発明の目的は、耐破断性を満足させ、かつ優れた透明性を有する包装や収縮ラベル等の用途に適したポリ乳酸系積層フィルムを提供することにある。
また本発明のもう一つの課題は、透明性や耐破断性に優れた、収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用途に適した、上記ポリ乳酸系積層フィルムを用いた成形品および熱収縮性ラベル、ならびに該成形品または該熱収縮性ラベルを装着した容器を提供することにある。
このような従来技術の課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明者らは、以下の発明を完成させた。
すなわち本発明は、ポリ乳酸系樹脂(A)と熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(B)とを含む樹脂組成物からなるI層と、ポリ乳酸系樹脂(A)、ポリオレフィン系樹脂(C)、および相溶化剤(D)を含む樹脂組成物からなるII層が、I/II/Iの順に積層された少なくとも3層以上で構成される積層フィルムであって、前記熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(B)が、下記(a)及び(b)のうち少なくとも1つを満たすことを特徴とするポリ乳酸系積層フィルムによって達成される。
(a)ポリシロキサンを含む
(b)脂肪族イソシアネート及び脂環族イソシアネートのうち少なくとも1つを含む
本発明のポリ乳酸系積層フィルムは、前記I層を構成する樹脂組成物における、熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(B)の含有率が、樹脂組成物全体を100質量%としたとき、3質量%以上65質量%以下であることが好ましい。
本発明のポリ乳酸系積層フィルムは、前記II層を構成する樹脂組成物において、樹脂組成物全体を100質量%としたとき、ポリ乳酸系樹脂(A)を50質量%以上96質量%以下、ポリオレフィン系樹脂(C)を3質量%以上35質量%以下、相溶化剤(D)を1質量%以上15質量%以下含有することが好ましい。
本発明のポリ乳酸系積層フィルムは、前記相溶化剤(D)が、熱可塑性樹脂セグメントと、少なくとも1種以上のビニル系単量体から形成されるセグメントとを有するグラフト共重合体であることが好ましい。
また、本発明のもう1つの目的は、本発明のポリ乳酸系積層フィルムを用いた熱収縮性積層フィルム、該熱収縮性積層フィルムを用いた成形品、熱収縮性ラベル、及び前記成形品又は熱収縮性ラベルを装着した容器により達成される。
本発明によれば、透明性、外観、及び耐破断性に優れるポリ乳酸系積層フィルムを提供することができる。
さらに、本発明によれば、透明性、耐破断性、及び収縮仕上がり性に優れた、収縮結束用包装や収縮ラベル等の用途に適した熱収縮性フィルム、成形品、及び熱収縮性ラベルを提供することができる。さらに、本発明によれば、透明で綺麗な外観を有する前記成形品又は熱収縮ラベルを装着した容器を提供できる。
以下、本発明の実施形態の一例としてのポリ乳酸系積層フィルム(以下、「本発明のフィルム」と称する)、本発明の熱収縮性フィルム、本発明の成形品、本発明のラベル、本発明の容器について説明する。ただし、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「主成分とする」とは、主成分として含有される樹脂が有する作用・効果を妨げない範囲で、他の成分を含むことを許容する趣旨である。さらに、この用語は、具体的な含有率を制限するものではないが、構成成分全体の50質量%以上、好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上であって、100質量%以下の範囲を占める成分である。
<本発明のフィルム>
本発明のフィルムは、ポリ乳酸系樹脂(A)と熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(B)とを含む樹脂組成物からなるI層と、ポリ乳酸系樹脂(A)、ポリオレフィン系樹脂(C)、および相溶化剤(D)を含む樹脂組成物からなるII層が、I/II/Iの順に積層された少なくとも3層以上で構成されるポリ乳酸系積層フィルムである。
<I層>
本発明のフィルムは、ポリ乳酸系樹脂(A)と熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(B)とを含む樹脂組成物からなるI層を有する。
<ポリ乳酸系樹脂(A)>
本発明のフィルムのI層で使用されるポリ乳酸系樹脂(A)は、D−乳酸もしくはL−乳酸の単独重合体、またはこれらの共重合体であり、具体的には構造単位がD−乳酸であるポリ(D−乳酸)、構造単位がL−乳酸であるポリ(L−乳酸)、さらにはL−乳酸とD−乳酸の共重合体であるポリ(DL−乳酸)があり、また、D−乳酸とL−乳酸との共重合比の異なる複数の上記共重合体の混合樹脂も含まれる。
上記L−乳酸とD−乳酸との共重合体は、D−乳酸とL−乳酸との共重合比(以下「D/L比」と略する。)が、好ましくは「1/99」〜「10/90」または「90/10」〜「99/1」であり、より好ましくは「1/99」〜「9.5/90.5」または「90.5/9.5」〜「99/1」であり、さらに好ましくは「1/99」〜「9/91」または「91/9」〜「99/1」である。
D/L比が99より高い、または1未満の場合には、高い結晶性を示し、融点も高く、耐熱性および機械的物性に優れる傾向がある。しかしながら、熱収縮性フィルムとして使用する場合は、通常、印刷および溶剤を用いた製袋工程が伴うため、印刷適性および溶剤シール性を向上させるために構成材料自体の結晶性を適度に下げることが必要となる。また、結晶性が過度に高い場合、延伸時に配向結晶化が進行し、加熱時のフィルム収縮特性が低下する傾向がある。さらに、延伸条件を調整することによって結晶化を抑えたフィルムとしても、熱収縮時に加熱により結晶化が収縮より先に進行してしまい、その結果、収縮ムラや収縮不足を生じてしまう傾向がある。
一方、D/L比が90未満、10より高い場合は、結晶性がほぼ完全になくなってしまうため、その結果、加熱収縮後にラベル同士がぶつかった場合に熱にて融着してしまうなどのトラブルが発生することがある。また、延伸過程において、幅方向に厚みが揃いにくい傾向や、表面の平滑性を付与しにくく、透明性を阻害する傾向がある。
前記範囲にD/L比を調整することにより、このような問題を生じにくく、収縮特性の優れた熱収縮性フィルムを得ることが可能となる。本発明のフィルムでは、D/L比が異なるポリ乳酸系樹脂をブレンドすることも可能である。D/L比が異なるポリ乳酸系樹脂をブレンドすることによりポリ乳酸系樹脂のD/L比を比較的容易に調整できるため好ましい。この場合、複数の乳酸系重合体のD/L比を平均した値が上記範囲内に入るようにすればよい。使用用途に合わせて、D/L比の異なるポリ乳酸系樹脂を2種以上ブレンドし、結晶性を調整することにより、耐熱性と熱収縮特性のバランスをとることができる。
また、上記ポリ乳酸系樹脂(A)は、その本質的な性質を損なわない範囲内であれば、少量の共重合成分として、乳酸以外のα−ヒドロキシカルボン酸、テレフタル酸等の非脂肪族ジカルボン酸、コハク酸等の脂肪族ジカルボン酸、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等の非脂肪族ジオール、及びエチレングリコール等の脂肪族ジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。また、分子量増大を目的として、少量の鎖延長剤、例えば、ジイソシアネート化合物、エポキシ化合物、酸無水物等を使用することもできる。
乳酸以外のα−ヒドロキシカルボン酸の具体例としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシカプロン酸等の2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸やカプロラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン等のラクトン類が挙げられる。
また、前記ジカルボン酸の具体例としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられ、前記ジオールとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール,1,4−シクロへキサンジメタノール等が挙げられる。
乳酸と、乳酸以外のα−ヒドロキシカルボン酸、ジオール、またはジカルボン酸との共重合体の共重合比[乳酸/(乳酸以外のα−ヒドロキシカルボン酸、ジオール、またはジカルボン酸)]は、特に限定されないが、質量比で、好ましくは「100/0」〜「50/50」、より好ましくは「100/0」〜「60/40」、さらに好ましくは「100/0」〜「70/30」である。共重合比が上記範囲内であれば、剛性、透明性、耐衝撃性などの物性バランスの良好なフィルムを得ることができる。また、これらの共重合体の構造としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体が挙げられ、いずれの構造でもよい。但し、フィルムの耐衝撃性および透明性の観点から、ブロック共重合体またはグラフト共重合体が好ましい。
上記ポリ乳酸系樹脂(A)の重量平均分子量は、20,000以上、好ましくは40,000以上、さらに好ましくは60,000以上であり、上限値を考慮して、400,000以下、好ましくは350,000以下、さらに好ましくは300,000以下である。重量平均分子量が20,000以上であれば、適度な樹脂凝集力が得られ、フィルムの強伸度が不足したり、脆化したりすることを抑えることができる。一方、重量平均分子量が400,000以下であれば、溶融粘度を下げることができ、製造、生産性向上の観点から好ましい。重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、「GPC」と称する)により測定することができる。
上記ポリ乳酸系樹脂(A)の重合法としては、縮合重合法、開環重合法など、公知の方法を採用することも可能である。例えば縮合重合法であれば、D−乳酸、L−乳酸、または、これらの混合物を直接脱水縮合重合して任意の組成を有するポリ乳酸系樹脂を得ることができる。また、開環重合法では、乳酸の環状2量体であるラクチドを、必要に応じて重合調整剤などを用いながら、所定の触媒の存在下で開環重合することにより任意の組成を有するポリ乳酸系樹脂を得ることができる。上記ラクチドには、L−乳酸の二量体であるDL−ラクチドがあり、これらを必要に応じて混合して重合することにより、任意の組成、結晶性を有するポリ乳酸系樹脂を得ることができる。
上記ポリ乳酸系樹脂(A)の代表的なものとしては、「Ingeo biopolymer」(NatureWorks LLC社製)、「REVODE」(海正生物材料社製)などが挙げられる。
<熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(B)>
本発明のフィルムのI層で使用される熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(B)は、下記の(a)及び(b)のうち少なくとも1つを満たすことが重要である。
(a)ポリシロキサンを含む
(b)脂肪族イソシアネート及び脂環族イソシアネートのうち少なくとも1つを含む
熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(B)は、一般的に、ポリオール、ポリイソシアネート、さらに共重合可能な成分と、必要に応じて鎖延長剤を反応させて得られる。
ポリオール成分としては、具体的には、ポリエステル系ポリオール、ポリエステルエーテル系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール等が挙げられる。
ポリエステル系ポリオールとしては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸などの脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂環族ジカルボン酸が挙げられる。また、ジカルボン酸のエステル化合物、または、酸無水物と、ジオールとの縮合反応で得られるポリエステルポリオール、ε−カプロラクトン等のラクトンモノマーの開環重合で得られるポリラクトンジオール等が挙げられる。なお、上記のジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,4−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2,2−ジメチロールヘプタン等が挙げられ、これらは2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
また、ポリエステルエーテル系ポリオールとして、前記脂肪族ジカルボン酸、前記芳香族ジカルボン酸、前記脂肪族ジカルボン酸、及び、そのエステル化合物、または、酸無水物と、ジエチレングリコール、プロピレンオキサイド付加物などのグリコール等、または、これらの混合物との縮合反応物などが挙げられる。
ポリエーテル系ポリオールとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等の環状エーテルをそれぞれ重合させて得られるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、または、これらの共重合ポリエーテル等が挙げられる。
ポリカーボネート系ポリオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,4−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2,2−ジメチロールヘプタン、ジエチレングリコール等の多価アルコールの1種または2種以上と、炭酸エチレン、炭酸ジエチル等を反応させて得られるポリカーボネートポリオール等が挙げられる。また、ポリカプロラクトンポリオールとポリヘキサメチレンカーボネートとの共重合体であってもよい。
イソシアネート成分としては、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−トリメチレンヘキサメチレンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、1,5−オクチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネートなどの脂肪族イソシアネート;4,4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添トリレンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソプロピリデンジクトヘキシル−4,4´−ジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート;2,4−もしくは2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート(NDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(4−フェニルイソシアネート)チオフォスフェート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、ジフェニルスルホンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネートなどが挙げられる。
鎖延長剤成分としては、低分子量ポリオールが使用され、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,4−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2,2−ジメチロールヘプタン、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、グリセリン等の脂肪族ポリオール;1,4−ジメチロールベンゼン、ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物もしくはプロピレンオキサイド付加物等の芳香族グリコールが挙げられる。
本発明において、熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(B)が、(a)ポリシロキサンを含む場合のポリシロキサンとしては、具体的には、分子中に1個または2個以上の反応性基、例えば、アミノ基、エポキシ基、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、チオール基、イソシアネート基等の反応性基を有するポリシロキサン化合物が挙げられ、これらは単独または2種以上を使用していてもよい。
ポリシロキサンを含む熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(B)は、その組成中にポリシロキサンをシリコーン成分として、5〜40%含有することが好ましく、より好ましくは8〜30%、さらに好ましくは10〜20%含有する。シリコーン成分含有量が上記範囲であれば、本発明のフィルムの透明性は優れたものとなる。
上記(a)ポリシロキサンを含む熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(B)の市販品としては、例えば、大日精化工業社製「レザミンPS」シリーズが挙げられ、商業的に入手可能である。なおこれらの熱可塑性ポリウレタン系エラストマーは、単独で、または組成の異なるものを2種以上組み合わせて使用してもよい。
また、(b)脂肪族イソシアネート及び脂環族イソシアネートのうち少なくとも1つを含む熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(B)は、イソシアネート成分として、脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネートのいずれか1種または両方を含むものである。脂肪族イソシアネート及び脂環族イソシアネートの含有量は、熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(B)中のイソシアネート成分全体を100質量%としたとき、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%である。なお、本発明においては、脂肪族イソシアネートを含むものが、透明性の観点からはより好ましく用いられる。
イソシアネート成分として芳香族イソシアネートを主成分とする場合、熱可塑性ポリウレタン系エラストマーの平均屈折率は大きくなり、ポリ乳酸系樹脂(A)との屈折率差が大きくなる傾向がある。一方、イソシアネートの主成分が脂肪族イソシアネート及び/または脂環族イソシアネートである場合、得られる熱可塑性ポリウレタン系エラストマーの平均屈折率をポリ乳酸系樹脂(A)に近付けることができ、透明性が良好となる。
なお、(b)脂肪族イソシアネート及び脂環族イソシアネートのうち少なくとも1つを含む熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(B)としては、BASF社製「エラストラン」、DICコベストロポリマー社製「パンデックス」、「デスモパン」、「テキシン」、東ソー社製「ミラクトラン」、大日精化工業社製「レザミン」等が商業的に入手されるものとして挙げられる。これらは各々単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明で使用される熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(B)の製造方法は、従来から使用されている公知のものがいずれも使用できる。
熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(B)の重量平均分子量の下限値、及び、上限値は特に限定されるものではないが、下限値としては、30,000以上が好ましく、40,000以上がより好ましく、50,000以上がさらに好ましい。また、上限値としては、1,000,000以下が好ましく、900,000以下がより好ましく、800,000以下がさらに好ましい。
熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(B)の溶融粘度の下限値、及び、上限値は特に限定されるものではないが、下限値として、測定温度200℃における、せん断速度100sec−1におけるせん断の溶融粘度は、80Pa・s以上であることが好ましく、90Pa・s以上であることがより好ましく、100Pa・s以上であることがさらに好ましい。また、上限値として、300,000Pa・s以下が好ましく、200,000Pa・s以下がより好ましく、100,000Pa・s以下がさらに好ましい。
熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(B)の硬度は、シェアAで60〜99の範囲のものが好ましく使用できる。
<混合比>
本発明のフィルムのI層を構成する樹脂組成物の、ポリ乳酸系樹脂(A)と熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(B)との混合比は、(A)/(B)=97質量%/3質量%〜35質量%/65質量%とすることが好ましい。
熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(B)の混合比の下限は、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは8質量%以上であり、上限は、より好ましくは35質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下である。また、ポリ乳酸系樹脂(A)の混合比の下限は、より好ましくは65質量%以上、さらに好ましくは75質量%以上であり、上限は、より好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは92質量%以下である。
熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(B)の混合比が3質量%以上であれば、I層の耐破断性が向上し、積層構造を有する本発明フィルムにおいても、I層の耐破断性の向上により積層フィルム全体への破断の伝播を抑制することができ、熱収縮フィルムとしての要求品質に十分な引張破断伸度を得ることができる。また、熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(B)の混合比が65質量%以下であれば、透明性を満足することができる。
<II層>
本発明のII層は、ポリ乳酸系樹脂(A)、ポリオレフィン系樹脂(C)、および相溶化剤(D)からなる樹脂組成物を主成分とする。また、後に説明するとおりII層は内層として配される。
<ポリ乳酸系樹脂(A)>
II層で使用されるポリ乳酸系樹脂(A)は、上記I層で使用されるものと同様である。
<ポリオレフィン系樹脂(C)>
本発明で用いられるポリオレフィン系樹脂(C)は、従来一般に公知のものを適宜採用することができ、特に限定されるものではないが、特には軟質ポリオレフィン系樹脂が好適に使用される。軟質ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・メタクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。これらは1種で用いてもよく、2種以上の混合物で用いてもよい。本発明においては中でも、エチレン・α−オレフィン共重合体が、透明性や収縮特性の観点から好適に用いられる。
ポリオレフィン系樹脂(C)のMFRは、0.5〜20g/10分が好ましく、1〜20g/10分がより好ましく、1〜15g/10分がさらに好ましい。
MFRが上記範囲であれば、透明性、収縮特性等の調整が容易となり、好ましい。
ポリオレフィン系樹脂(C)の損失弾性率E’’のピーク温度は、−80〜0℃が好ましく、下限は、−70℃以上がより好ましく、−60℃以上がさらに好ましい。上限は、−10℃以下がより好ましく、−20℃以下がさらに好ましい。
損失弾性率E’’のピーク温度が上記範囲内であれば、フィルムの機械的強度が高く、また延伸性の低下などが起こらず好ましい。
ポリオレフィン系樹脂(C)は、振動周波数10Hz、歪み0.1%の条件で測定したときの20℃の貯蔵弾性率(E’)が、好ましくは100MPa以下、より好ましくは80MPa以下、さらに好ましくは50MPa以下である。また貯蔵弾性率(E’)の下限値はフィルム全体の腰(常温での剛性)を考慮し、好ましくは0.1MPa以上、より好ましくは1.0MP以上、さらに好ましくは3.0MPa以上である。20℃の貯蔵弾性率(E’)が上記範囲であるポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィンの結晶化度が低く、密度が小さくなるため、ポリオレフィン系樹脂の平均屈折率も低くなり、混合するポリ乳酸系樹脂との平均屈折率を近づけることができる。そのため、フィルムの内部ヘイズを低減することができ、耐破断性の改良と透明性の維持において、非常に有用である。また貯蔵弾性率(E’)が100MPa以下であれば、耐破断性の改良効果が低下することもなく、大幅な外観不良の発生を抑えることができる。一方、20℃の貯蔵弾性率(E’)が0.1MPa以上であれば、フィルム全体の腰が大幅に低下することを抑えることができるため好ましい。
さらにポリオレフィン系樹脂(C)は、振動周波数10Hzで測定したときの70℃の貯蔵弾性率(E’)が好ましくは50MPa以下、より好ましくは30MPa以下、さらに好ましくは20MPa以下、特に好ましくは10MPa以下とすることができる。70℃の貯蔵弾性率(E’)の下限値は、好ましくは0.1MPa以上、より好ましくは0.5MPa以上、さらに好ましくは1.0MPa以上である。本発明のフィルムをペットボトルの収縮ラベル用途等に使用する場合、ペットボトル等の被覆対象物へのラベル装着工程として、熱収縮加工工程を要する。また、内容物の劣化、破裂等を防止するため、熱収縮加工は60〜100℃にて行われるため、ポリオレフィン系樹脂(C)の70℃の貯蔵弾性率(E’)が50MPa以下であれば、熱収縮加工温度領域において、フィルムに十分な熱収縮率を発現させることができる。また70℃の貯蔵弾性率(E’)が0.1MPa以上であれば、熱収縮加工工程において、十分なフィルムの強度を維持することができるため、フィルムの破袋やよれ等が生じず被覆対象物への均一な装着を可能にしやすい。
なお、ポリオレフィン系樹脂の貯蔵弾性率(E’)は、20℃および70℃の温度下で、振動周波数10Hz、歪み0.1%、昇温速度2℃/分、チャック間2.5cmの条件の下、−150℃から200℃の範囲で動的粘弾性を測定することにより算出することができる。
本発明において、上記貯蔵弾性率(E’)の大きさは、例えば、エチレンと炭素数3以上20以下のα−オレフィンとの共重合体の含有量を増減するなどにより調整することができる。例えば、上記貯蔵弾性率(E’)を上げたい場合には、エチレンと炭素数3以上20以下のα−オレフィンとの共重合体の含有量を減らす、あるいはα−オレフィンとの共重合体におけるα−オレフィンの共重合比率を減らし、反対に貯蔵弾性率(E’)を下げたい場合には、エチレンと炭素数3以上20以下のα−オレフィンとの共重合体の含有量を増やし、あるいはα−オレフィンとの共重合体におけるα−オレフィンの共重合比率を増やすことによって調整可能である。
ポリオレフィン系樹脂(C)の質量平均分子量は、下限値が好ましくは50,000以上、より好ましくは100,000以上であり、上限値が700,000以下、より好ましくは600,000以下、さらに好ましくは500,000以下である。ポリオレフィン系樹脂の質量平均分子量が上記範囲内であれば、所望の機械物性や耐熱性等の実用物性を発現でき、また適度な溶融粘度が得られ、良好な成形加工性が得られる。
ポリオレフィン系樹脂(C)の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法、例えばチーグラー・ナッタ型触媒に代表されるマルチサイト触媒やメタロセン系触媒に代表されるシングルサイト触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等、また、ラジカル開始剤を用いた塊状重合法等が挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂(C)の市販品としては、例えば、「タフマー」(三井化学社製)、「バーシファイ」(ダウケミカル社製)、「ビスタマックス」(エクソンモービル社製)、「エルバロイ」(三井・デュポンポリケミカル社製)などが挙げられる。
<相溶化剤(D)>
本発明において相溶化剤(D)は、ポリ乳酸系樹脂とポリオレフィン系樹脂とを相溶化させ得るものであれば特に限定されないが、具体的には、ポリ乳酸系樹脂に対して反応性や親和性を有する部位と、ポリオレフィン系樹脂と親和性を有する部位とを兼ね備えた樹脂が好適に用いられる。
ここで、「ポリ乳酸系樹脂に対して反応性または親和性を有する」とは、ポリ乳酸系樹脂と親和性の高い官能基、またはポリ乳酸系樹脂と反応し得る官能基を有することを意味する。そのような特性を有する官能基の例としては、酸無水物基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、カルボン酸塩化物基、カルボン酸アミド基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、スルホン酸塩化物基、スルホン酸アミド基、スルホン酸塩基、エポキシ基、アミノ基、イミド基、またはオキサゾリン基などの官能基が挙げられ、中でも酸無水物基、カルボン酸基、またはカルボン酸エステル基が好ましい。
また、「ポリオレフィン系樹脂と親和性を有する部位」とは、ポリオレフィン系樹脂と親和性のある連鎖を有することを意味し、より詳しくは、直鎖または分岐した飽和炭化水素部位を主鎖、あるいはブロック鎖、グラフト鎖として有することを意味する。
また、相溶化剤(D)として用いるその他の好ましい樹脂としては、ポリエーテル/ポリオレフィンブロック共重合体や、スチレン系炭化水素と共役ジエン炭化水素との共重合体、またはその水素添加樹脂などが挙げられる。スチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体の具体例としては、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−エチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン共重合体などが挙げられる。
なお、相溶化剤(D)として好適に用いられる市販品としては、酸変性樹脂としては、「アドマー」(三井化学社製)、「モディック」(三菱化学社製)、「モディパー」(日油社製)、「レゼダ」(東亜合成社製)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体として、「レクスパールEEA」(日本ポリエチレン社製)、「エバフレックス−EEA」(三井・デュポンポリケミカル社製)、エチレン−メチル(メタ)アクリル酸共重合体として、「アクリフト」(住友化学社製)、「ニュクレル」(三井・デュポンポリケミカル社製)、エチレン−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体として「ボンダイン」(アルケマ社製)、エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−メタクリル酸グリシジル三元共重合体、エチレン−アクリル酸エチル−メタクリル酸グリシジル三元共重合体として「ボンドファースト」(住友化学社製)、酸変性スチレン系熱可塑性樹脂として、「タフテックM」(旭化成ケミカルズ社製)、「エポフレンド」(ダイセル社製)、スチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体、またはその水素添加樹脂として、「タフテックH」(旭化成ケミカルズ社製)、「クレイトン」(クレイトンポリマージャパン社製)、「ダイナロン」(JSR社製)、「セプトン」(クラレ社製)、「ハイブラー」(クラレ社製)、「タフプレン」(旭化成ケミカルズ社製)、ポリエーテル/ポリオレフィン共重合体としては、「ペレスタット」(三洋化成工業社製)などが挙げられる。
なお、本発明においては、相溶化剤(D)として上記の中から特に、熱可塑性樹脂セグメントと、少なくとも1種以上のビニル系単量体から形成されるセグメントとを有するグラフト共重合体が、本発明のII層に使用されるポリ乳酸系樹脂とポリオレフィン系樹脂とを相溶させる効果に優れるため、好適に用いられる。
上記グラフト共重合体の熱可塑性樹脂セグメントに使用される熱可塑性樹脂としては、具体的には、エチレン−αオレフィン共重合体ゴム、エチレン−αオレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴム、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、また2種以上組み合わせて用いてもよい。
上記グラフト共重合体のビニル系単量体から形成されるセグメントに使用されるビニル系単量体としては、アルキル鎖長の炭素数が1から20の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、酸基を有するビニル単量体、ヒドロキシル基を有するビニル単量体、エポキシ基を有するビニル単量体、シアノ基を有するビニル単量体、スチレンなどが挙げられ、これらの少なくとも1種以上で形成されるものであり、2種以上を併用することもできる。
さらに具体的にこのビニル単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリロニトリル、スチレン等が挙げられる。これらの中でも、ポリ乳酸樹脂との高い親和性から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、アクリロニトリル、スチレンが好ましい。
ビニル系重合体セグメントを形成するビニル系重合体の質量平均分子量〔テトラヒドロフラン(THF)中、スチレン換算によるゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)による測定値〕は、通常1,000〜2,000,000、好ましくは5,000〜1,200,000の範囲である。この質量平均分子量が1,000未満であると、グラフト共重合体の耐熱性が低下する傾向があり、質量平均分子量が2,000,000を超えると、グラフト共重合体の溶融粘度が高くなり、成形性が低下する傾向にある。
また、グラフト共重合体のメルトフローレート(MFR)又はメルトインデクス(MI)は、好ましくは0.01g/10分以上、より好ましくは0.1g/10分以上、さらに好ましくは1.0g/10分以上であり、500g/10分以下、好ましくは300g/10分以下、さらに好ましくは200g/10分以下である。このMFRはJIS K7210に規定された方法に準拠して、樹脂温度230℃、測定荷重21.18Nの条件で測定したものである。MFRが0.01g/10分以上500g/10分以下の範囲にあれば、グラフト共重合体とポリ乳酸系樹脂との良好な親和性が得られる。
グラフト共重合体は、熱可塑性樹脂セグメントが通常、5質量%以上、好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、99質量%以下、好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下からなり、ビニル系重合体セグメントは通常、1質量%以上、好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、95質量%以下、好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下である。熱可塑性樹脂セグメントが5質量%以上、又はビニル系重合体セグメントが95質量%以下であれば、ポリ乳酸樹脂へのグラフト共重合体の分散性が低下することもなく、良好な外観を有する成形体が得られる。一方、熱可塑性樹脂セグメントが99質量%以下、又はビニル系重合体セグメントが1質量%以上であれば、ポリ乳酸樹脂に対する十分な改良効果が得られる。このような知見に基づき、熱可塑性樹脂セグメントとビニル系重合体セグメントの割合を調整して、グラフト共重合体の極性を変更することにより、ポリ乳酸樹脂とグラフト共重合体との相互作用を調整することができる。
グラフト共重合体を製造する際のグラフト化法は、一般に知られている連鎖移動法、電離性放射線照射法等いずれの方法でも良いが、下記に示す方法が最も好ましい。なぜならば、製造方法が簡便で、グラフト効率が高く、熱によるビニル系重合体セグメントの二次的凝集が起こらず、グラフト共重合体をポリ乳酸樹脂と混合しやすくなり、両者の相互作用に優れているためである。
上記グラフト共重合体の市販品としては、例えば商品名「モディパー」(日油社製)、「レゼダ」(東亜合成社製)などが挙げられる。
相溶化剤は、2種以上を併用してもよく、その場合、ポリ乳酸系樹脂とポリオレフィン系樹脂との相溶性、混合樹脂の透明性、粘弾性値等を考慮して配合比を調整することができる。例えば、上記のグラフト共重合体と変性スチレン−芳香族系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体、芳香族ビニル系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体の水素添加物、又はこれらに極性基を導入した共重合体などを混合樹脂として用いることができる。2種以上の相溶化剤を使用した場合、ポリ乳酸系樹脂とポリオレフィン系樹脂との相溶効果をさらに促進させるため、フィルムの透明性を向上させることができ、好ましい。
<ポリ乳酸系樹脂、ポリオレフィン系樹脂および相溶化剤の質量比>
本発明において、前記II層を構成するポリ乳酸系樹脂(A)、ポリオレフィン系樹脂(C)、および相溶化剤(D)の質量比は、前記II層を構成する樹脂組成物100質量%に対して、ポリ乳酸系樹脂(A)が50質量%以上96質量%以下であり、ポリオレフィン系樹脂(C)が3質量%以上35質量%以下であり、相溶化剤(D)が1質量%以上15質量%以下であることが好ましい。
また、より好ましくは、ポリ乳酸系樹脂(A)が58質量%以上87質量%以下、ポリオレフィン系樹脂(C)が10質量%以上30質量%以下、相溶化剤(D)が3質量%以上12質量%以下であり、さらに好ましくは、ポリ乳酸系樹脂(A)が65質量%以上85質量%以下、ポリオレフィン系樹脂(C)が10質量%以上25質量%以下、相溶化剤(D)が5質量%以上10質量%以下である。ポリオレフィン系樹脂(C)の質量比が10質量%以上であれば、フィルムの耐破断性が著しく低減することがなく、また、35質量%以下であれば、II層に隣接するI層との層間剥離強度を所定の範囲に維持することができる。また、相溶化剤(D)の質量比が3質量%以上であれば、相溶効果が発揮され、外観不良などが発生し難くなり、また、12質量%以下であれば、フィルムの剛性を阻害することもなく好ましい。
<I層およびII層のその他の成分>
本発明のフィルムの各層には、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、さらに、従来公知のその他各種熱可塑性樹脂を含有してもよい。また、耳などのトリミングロス等から発生するリサイクル樹脂等を適宜添加することもできる。
その他の樹脂の具体例としては、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、(メタ)アクリル酸系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩素化ポリエチレン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂以外のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリブチレンサクシネート系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、セルロース系樹脂、ポリイミド系樹脂、硬質ポリウレタン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアミドビスマレイミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリケトン系樹脂、ポリサルフォン系樹脂、アラミド系樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられ、これらの樹脂を主成分とした共重合体や、コアシェル型多層構造重合体、及びこれらの変性体などが挙げられる。
これらのうち、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリブチレンサクシネート系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂は、ポリ乳酸系樹脂との相溶性に優れるため、ポリ乳酸系樹脂とブレンドすることによって収縮特性に影響を及ぼすガラス転移温度の調整や、ポリ乳酸系樹脂中に微分散されることによる更なる耐破断性の付与などに有効である。
また、本発明のフィルムの各層には、本発明の効果を著しく阻害しない範囲で、一般的に使用される添加剤を適宜添加してもよい。前記添加剤としては、シリカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム等の無機粒子、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料、難燃剤、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、溶融粘度改良剤、架橋剤、滑剤、核剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、着色剤などの添加剤が挙げられる。
<層構成>
本発明のフィルムは、I層およびII層が、I/II/Iの順に積層された少なくとも3層を有するものであればよく、必要に応じて、さらにその他の層を適宜追加しても構わない。本発明においては、I層を表裏層に配し、II層を内層に配することで、優れた透明性を実現し、かつ、優れた耐破断性などのフィルム物性バランスを得ることができ、加えて熱収縮性フィルムとした際には、優れた収縮特性を実現することが可能となる。
各層の厚み比は、上述した作用効果を考慮して設定すればよく、特に限定されるものではないが、I層のフィルム全体の厚みに対する厚み比は、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上、さらに好ましくは20%以上であり、前記厚み比の上限は好ましくは70%以下、より好ましくは60%以下、さらに好ましくは50%以下である。またII層のフィルム全体の厚みに対する厚み比は、好ましくは20%以上、より好ましくは25%以上、さらに好ましくは30%以上であり、上限は好ましくは90%以下、より好ましくは85%以下、さらに好ましくは80%以下である。フィルム全体の厚みに対するI層の厚み比が上記範囲内であれば、II層の表面荒れを抑制することができ、透明性、光沢性の優れたフィルムを得ることができる。また、フィルム全体の厚みに対するII層の厚み比が上記範囲内であれば、耐破断性の優れたフィルムを得ることができ、特に熱収縮性フィルムとしたときには、収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用途に適した熱収縮性積層フィルムをバランスよく得ることができる。
本発明のフィルムまたは熱収縮性フィルムの総厚みは、特に限定されるものではないが、透明性、収縮加工性、原料コスト等の観点からは薄い方が好ましい。具体的には、フィルムの総厚みは80μm以下が好ましく、より好ましくは70μm以下、さらに好ましくは60μm以下である。また、フィルムの総厚みの下限は特に限定されないが、ハンドリング性等を考慮すると、20μm以上であることが好ましい。
<本発明のフィルムの製造方法>
本発明のフィルムの製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用することができる。具体的には例えば、押出機等を用いて樹脂を溶融混練し、ペレット状とした後、Tダイ法、チューブラー法、プレス法などによりフィルムを形成する。積層方法としては、共押出法や、各層のフィルムを形成した後に、重ね合わせて熱融着する方法、接着剤等で接合する方法等が挙げられる。
<熱収縮性フィルムの製造方法>
本発明のフィルムを熱収縮性フィルムとする方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用することができる。フィルムの形態としては平面状、チューブ状の何れであってもよいが、生産性(原反フィルムの幅方向に製品として数丁取りが可能)や内面に印刷が可能という点から平面状が好ましい。
平面状のフィルムの製造方法としては、例えば、複数の押出機を用いて樹脂を溶融し、Tダイから共押出し、チルドロールで冷却固化し、縦方向にロール延伸をし、横方向にテンター延伸をし、アニールし、冷却し、印刷が施される場合にはその面にコロナ放電処理をして、巻取機にて巻き取ることによりフィルムを得る方法が挙げられる。また、チューブラー法により製造したフィルムを切り開いて平面状とする方法も挙げられる。
上記延伸における延伸倍率は、オーバーラップ用等、二方向に収縮させる用途では、縦方向が2倍以上10倍以下、横方向が2倍以上10倍以下、好ましくは縦方向が3倍以上6倍以下、横方向が3倍以上6倍以下程度である。一方、熱収縮性ラベル用等、主として一方向に収縮させる用途では、主収縮方向に相当する方向が2倍以上10倍以下、好ましくは3倍以上7倍以下、より好ましくは3倍以上5倍以下であり、それと直交する方向が1倍以上2倍以下(1倍とは延伸していな場合を指す。)、好ましくは1.01倍以上1.5倍以下の、実質的には一軸延伸の範疇にある倍率比を選定することが望ましい。上記範囲内の延伸倍率で延伸した二軸延伸フィルムは、主収縮方向と直交する方向の熱収縮率が大きくなりすぎることはなく、例えば、収縮ラベルとして用いる場合、容器に装着するとき容器の高さ方向にもフィルムが熱収縮する、いわゆる縦引け現象を抑えることができるため好ましい。
延伸温度は、用いる樹脂のガラス転移温度や熱収縮性フィルムに要求される特性によって変える必要があるが、概ね60℃以上、好ましくは70℃以上であり、上限が100℃以下、好ましくは90℃以下の範囲で制御される。
次いで、延伸したフィルムは、必要に応じて、自然収縮率の低減や熱収縮特性の改良等を目的として、50℃以上100℃以下程度の温度で熱処理や弛緩処理を行った後、分子配向が緩和しない時間内に速やかに冷却され、熱収縮性フィルムとなる。
また、本発明の熱収縮性フィルムには、必要に応じてコロナ処理、印刷、コーティング、蒸着等の表面処理や表面加工、さらには、各種溶剤やヒートシールによる製袋加工やミシン目加工などを施すことができる。
本発明の熱収縮性フィルムは、被包装物によって平面上から円筒状などに加工し包装に供することができる。ペットボトル等の円筒状の容器で印刷を要するものの場合、まずロールに巻き取られた広幅のフラットフィルムの一面に必要な画像を印刷し、そしてこれを必要な幅にカットしつつ印刷面が内側になるように折り畳んでセンターシール(シール部の形状はいわゆる封筒貼り)して円筒状とすれば良い。センターシール方法としては、有機溶剤による接着方法、ヒートシールによる方法、接着材による方法、インパルスしーらーによる方法が考えられる。この中でも、生産性、見栄えの観点から有機溶剤による接着方法が好適に使用される。
<熱収縮率>
本発明の熱収縮性フィルムは、80℃温水中に10秒間浸漬させた際の主収縮方向の熱収縮率が20%以上80%以下であることが好ましく、下限については30%以上であることが好ましく、上限に関しては70%以下であることがより好ましい。
上記熱収縮率を上記範囲とするには、後述の本発明の熱収縮性フィルムの製造方法における延伸工程における、延伸速度、延伸温度、延伸倍率、さらには、熱処理や弛緩処理における、温度、時間、脂環率等の延伸条件により調整することができる。
本発明における「熱収縮率」とは、後述するように、縦方向あるいは横方向について、収縮前の原寸に対する収縮量の比率を%値で表したものである。また、「主収縮方向」とは、縦方向と横方向のうち延伸方向の大きい方を意味し、例えば、ボトルに装着する場合にはその外周方向に相当する方向である。
上記主収縮方向の収縮率は、ペットボトルの収縮ラベル用途等の比較的短時間(数秒〜十数秒程度)での収縮加工工程への適応性を判断する指標となる。現在、ペットボトルのラベル装着用途に工業的に最も多く用いられている収縮加工機としては、収縮加工を行う加熱媒体として水蒸気を用いる蒸気シュリンカーと一般に呼ばれているものである。さらに熱収縮性フィルムは被覆対象物への熱の影響などの点からできるだけ低い温度で十分熱収縮することが必要である。しかしながら、温度依存性が高く、温度によって極端に収縮率が異なるフィルムの場合、蒸気シュリンカー内の温度斑に対して収縮挙動の異なる部位が発生し易いため、収縮斑、皺、アバタなどが発生し収縮仕上がり外観が悪くなる傾向にある。これら工業生産性も含めた観点から、80℃温水中に10秒間浸漬させた際のフィルム主収縮方向の熱収縮率が20%以上であれば、収縮加工時間内に十分に被覆対象物に密着でき、かつ斑、皺、アバタが発生せず良好な収縮仕上がり外観を得ることができるため好ましく、80℃温水中に10秒間浸漬させた際のフィルムの主収縮方向の熱収縮率の上限は、急激なフィルムの収縮を抑制する上で、80%以下であることがより好ましい。
また、本発明の熱収縮性フィルムが、熱収縮性ラベルとして用いられる場合、80℃の温水中に10秒間浸漬させた際の主収縮方向と直交する方向の熱収縮率は、−10%以上10%以下(マイナスの収縮率とは、温水浸漬後においてフィルムが膨張していることを示し、一軸延伸フィルムの場合、主収縮方向と直交する方向の熱収縮率測定において観察されることがある。)であることが好ましく、−8%以上8%以下であることがより好ましく、−5%以上5%以下であることがさらに好ましい。主収縮方向と直交する方向の熱収縮率が−10%以上10%以下のフィルムであれば、収縮後の主収縮方向と直交する方向の寸法変化が小さく、収縮後の印刷柄や文字の歪みや、容器に装着した場合における縦引け現象が生じにくいため好ましい。
<透明性:全ヘイズ>
本発明のフィルムの透明性は、JIS K7136に準拠して測定した場合、全ヘイズ値は10%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましく、7%以下であることがさらに好ましい。全ヘイズ値が10%以下であれば、フィルムを装着した被覆体や裏面印刷の視認性を十分に確保することができる。
<透明性:内部ヘイズ>
本発明のフィルムの透明性は、JIS K7136に準拠して測定した場合、内部ヘイズ値は10%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましく、6%以下であることがさらに好ましい。内部ヘイズ値が10%以下であれば、フィルムを装着した被覆体や裏面印刷の視認性を十分に確保することができる。
<引張破断伸度>
本発明のフィルムの耐破断性は、引張破断伸度により評価できる。この引張破断伸度は、雰囲気温度0℃の引張試験において、特にラベル用途ではフィルムの引き取り(流れ)方向(MD)で伸び率が100%以上、好ましくは150%以上、さらに好ましくは200%以上ある。雰囲気温度0℃での引張破断伸度が100%以上あれば印刷・製袋などの工程時にフィルムが破断するなどの不具合を生じにくくなり、好ましい。また、印刷・製袋などの工程の高速化にともなってフィルムに対してかかる張力が増加するような際にも、引張破断伸度が150%以上あれば破断しづらく、好ましい。上限については特に限定されないが、現在の工程の速度を考えた場合、500%ほどあれば十分だと考えられ、伸びを付与しすぎようとするとその反面フィルムの剛性が低下してしまう傾向となる。
また、本発明のフィルムは、23℃環境下の引張試験において、特にラベル用途ではフィルムの引き取り(流れ)方向(MD)で伸び率が100%以上、好ましくは200%以上、さらに好ましくは300%以上ある。23℃環境下での引張破断伸度が100%以上あれば印刷・製袋等の工程時にフィルムが破断する等の不具合が生じにくくなり、好ましい。また、印刷・製袋等の工程のスピードアップにともなってフィルムに対してかかる張力が増加するような際にも、引張破断伸度が100%以上あれば破断しづらく、好ましい。
<本発明の成形品、本発明のラベル、及び本発明の容器>
本発明の熱収縮性フィルムは、その用途が特に制限されるものではないが、これを基材として、必要に応じて印刷層、蒸着層、その他機能層を積層して形成することにより、ボトル(ブローボトル)、トレー、弁当箱、惣菜容器、乳製品容器などの様々な成形品として用いることができる。
また、本発明の熱収縮性フィルムを食品容器(例えば、清涼飲料水用または食品用のPETボトル、ガラス瓶、好ましくはPETボトル)用熱収縮性ラベルの基材として用いることができる。この場合、複雑な形状(例えば、中心がくびれた円柱、角のある四角柱、五角柱、六角柱など)であっても該形状に密着可能であり、シワやアバタ等のない美麗に装着されたラベルとなる。そして、このラベルを装着した食品容器は容器として使用することができる。なお、前記の成形品および容器は、通常の成形法を用いることにより作製することができる。
また、本発明のラベルは、優れた低温収縮性、収縮仕上り性を有するため、高温に加熱すると変形を生じるようなプラスチック成形品の熱収縮性ラベル素材のほか、熱膨張率や吸水性等がこの発明の熱収縮性フィルムとは極めて異なる材質、例えば金属、磁器、ガラス、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリメタクリル酸エステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂から選ばれる少なくとも1種を構成素材として用いたプラスチック包装体(容器)のラベル素材として好適に利用できる。
上記プラスチック包装体を構成する材質としては、上記の樹脂の他、ポリスチレン、ゴム変性耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、スチレン−ブチルアクリレート共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、(メタ)アクリル酸−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等を挙げることができる。これらのプラスチック包装体は2種以上の樹脂類の混合物でも、積層体であってもよい。
以上、本発明のフィルムを熱収縮性フィルムを代表例として説明したが、本発明のフィルムの用途は熱収縮性フィルムに限定されず、例えば、各種包装用フィルム、各種工業用フィルム、医療用、建材、電気・電子機材、情報記録用フィルム、シート材料、ラベル、粘着テープの基材等として用いることも有用である。
以下に、実施例を示すが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。
<評価方法>
実施例に示す測定及び評価は、次のように行った。実施例では、フィルムの引き取り(流れ)方向を「縦」方向(または「MD」)、その直角方向を「横」方向(または「TD」)と記載する。
(1)熱収縮率
得られた熱収縮性フィルムを縦10mm、横200mmの大きさに切り取り、80℃の温水バスに10秒間それぞれ浸漬し、収縮量を測定した。熱収縮率は、収縮前の原寸に対する収縮量の比率を%値で表示した。
○:80℃の熱収縮率が20%以上70%以下の場合
×:80℃の熱収縮率が20%未満、又は70%を超える場合
(2)引張破断伸度
得られた熱収縮性フィルムを主収縮方向と直交する方向(縦方向、MD)に110mm、主収縮方向に15mmの大きさに切り出し、JIS K7127に準拠し、引張速度200mm/minで、雰囲気温度23℃/0℃におけるフィルムの主収縮方向と直交する方向(縦方向、MD)での引張破断伸度を測定し、10回の測定値の平均値を測定し、下記基準にて判断した。
23℃引張破断伸度(縦方向、MD)
○:引張破断伸度が200%以上である場合
△:引張破断伸度が100%以上である場合
×:引張破断伸度が100%未満である場合
0℃引張破断伸度(縦方向、MD)
○:引張破断伸度が150%以上である場合
△:引張破断伸度が100%以上である場合
×:引張破断伸度が100%未満である場合
(3)全ヘイズ
得られた熱収縮性フィルムを、JIS K7136に準拠して、全ヘイズ値を測定し、下記基準にて判断した。
○:全ヘイズ値が10%以下の場合
×:全ヘイズ値が10%を超える場合
(4)内部ヘイズ
得られた熱収縮性フィルムを、JIS K7136に準拠して、内部ヘイズ値を測定し、下記基準にて判断した。
○:内部ヘイズ値が10%以下の場合
×:内部ヘイズ値が10%を超える場合
<使用した材料>
(ポリ乳酸系樹脂(A))
・Nature WorksLLC社製、商品名:NatureWorks4043D、D体/L体量=4.25/95.75、「A−1」と略する。
・Nature WorksLLC社製、商品名:NatureWorks4060D、D体/L体量=12/88、「A−2」と略する。
・Nature WorksLLC社製、商品名:NatureWorks4032D、D体/L体量=1.2/98.8、「A−3」と略する。
(熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(B))
・大日精化工業社製、商品名:レザミンPS22470、イソシアネート成分:芳香族イソシアネート、ポリオール成分:ポリエーテル系ポリオール、シリコーン成分含有量:16%、「B−1」と略する。
・東ソー社製、商品名:ミラクトランXN−2001、イソシアネート成分:脂肪族イソシアネート、ポリオール成分:ポリカーボネート系ポリオール、「B−2」と略する。
(ポリオレフィン系樹脂(C))
・三井化学社製、商品名:タフマーA4050S、ポリエチレン系樹脂(エチレン/ブテン‐1=72.4/27.6)、「C−1」と略する。
(相溶化剤(D))
・JSR社製、商品名:ダイナロン8660P、変性スチレン系エラストマー、以下「D−1」と略する。
・旭化成ケミカルズ社製、商品名:タフテックM1943、変性スチレン系エラストマー、以下「D−2」と略する。
・日油社製、商品名:モディパーA5200、(エチレン‐アクリル酸エチル)−メタクリル酸メチルグラフト共重合体(=70/30)、以下「D−3」と略する。
(実施例及び比較例)
表1に示す、ポリ乳酸系樹脂(A−1)を69質量%、ポリ乳酸系樹脂(A−2)を21質量%、ポリ乳酸系樹脂(A−3)を5質量%、熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(B−1)を5質量%の割合で配合し、2軸押出機(スクリュー径35mmφ)に投入し、設定温度200℃で溶融混合し、設定温度200℃のストランドダイスより押出した後、水槽にて冷却した樹脂組成物を、ストランドカッターにより切削し、ペレットを得て、後述する実施例1に示す検討に用いた(I層用樹脂(1)と称する)。
また、表1に示す、ポリ乳酸系樹脂(A−1)を65質量%、ポリ乳酸系樹脂(A−2)を20質量%、ポリ乳酸系樹脂(A−3)を5質量%、熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(B−1)を10質量%と変更した以外は、上記I層用樹脂(1)と同様の手法によりペレットを得て、後述する実施例2に示す検討に用いた(I層用樹脂(2)と称する)。
また、表1に示す、ポリ乳酸系樹脂(A−1)を69質量%、ポリ乳酸系樹脂(A−2)を21質量%、ポリ乳酸系樹脂(A−3)を5質量%、熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(B−2)を5質量%と変更した以外は、上記I層用樹脂(1)と同様の手法によりペレットを得て、後述する参考例2に示す検討に用いた(I層用樹脂(3)と称する)。
また、表1及び2に示す、ポリ乳酸系樹脂(A−1)を65質量%、ポリ乳酸系樹脂(A−2)を20質量%、ポリ乳酸系樹脂(A−3)を5質量%、熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(B−2)を10質量%と変更した以外は、上記I層用樹脂(1)と同様の手法によりペレットを得て、後述する参考例3参考例6〜8、比較例1〜3、及び参考例1に示す検討に用いた(I層用樹脂(4)と称する)。
また、表1に示す、ポリ乳酸系樹脂(A−1)を58質量%、ポリ乳酸系樹脂(A−2)を17質量%、ポリ乳酸系樹脂(A−3)を5質量%、熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(B−2)を20質量%と変更した以外は、上記I層用樹脂(1)と同様の手法によりペレットを得て、後述する参考例4に示す検討に用いた(I層用樹脂(5)と称する)。
また、表1に示す、ポリ乳酸系樹脂(A−1)を27質量%、ポリ乳酸系樹脂(A−2)を8質量%、ポリ乳酸系樹脂(A−3)を5質量%、熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(B−2)を60質量%と変更した以外は、上記I層用樹脂(1)と同様の手法によりペレットを得て、後述する参考例5に示す検討に用いた(I層用樹脂(6)と称する)。
また、表1に示す、ポリ乳酸系樹脂(A−1)を52質量%、ポリ乳酸系樹脂(A−2)を28質量%、ポリオレフィン系樹脂(C−1)を15質量%、相溶化剤(D−1)を5質量%と変更した以外は、上記I層用樹脂(1)と同様の手法によりペレットを得て、後述する実施例1〜6に示す検討に用いた(II層用樹脂(1)と称する)。
また、表1に示す、ポリ乳酸系樹脂(A−1)を58質量%、ポリ乳酸系樹脂(A−2)を32質量%、ポリオレフィン系樹脂(C−1)を5質量%、相溶化剤(D−1)を5質量%と変更した以外は、上記I層用樹脂(1)と同様の手法によりペレットを得て、後述する実施例7に示す検討に用いた(II層用樹脂(2)と称する)
また、表1に示す、ポリ乳酸系樹脂(A−1)を52質量%、ポリ乳酸系樹脂(A−2)を28質量%、ポリオレフィン系樹脂(C−1)を15質量%、相溶化剤(D−2)を5質量%と変更した以外は、上記I層用樹脂(1)と同様の手法によりペレットを得て、後述する実施例8に示す検討に用いた(II層用樹脂(3)と称する)。
また、表1に示す、ポリ乳酸系樹脂(A−1)を52質量%、ポリ乳酸系樹脂(A−2)を28質量%、ポリオレフィン系樹脂(C−1)を15質量%、相溶化剤(D−3)を5質量%と変更した以外は、上記I層用樹脂(1)と同様の手法によりペレットを得て、後述する実施例9に示す検討に用いた(II層用樹脂(4)と称する)。
また、表2に示す、ポリ乳酸系樹脂(A−1)を36質量%、ポリ乳酸系樹脂(A−2)を19質量%、ポリオレフィン系樹脂(C−1)40質量%、相溶化剤(D−1)を5質量%と変更した以外は、上記I層用樹脂(1)と同様の手法によりペレットを得て、後述する比較例1に示す検討に用いた(II層用樹脂(5)と称する)。
また、表2に示す、ポリ乳酸系樹脂(A−1)を55質量%、ポリ乳酸系樹脂(A−2)を30質量%、ポリオレフィン系樹脂(C−1)15質量%、と変更した以外は、上記I層用樹脂(1)と同様の手法によりペレットを得て、後述する比較例2に示す検討に用いた(II層用樹脂(6)と称する)。
また、表2に示す、ポリ乳酸系樹脂(A−1)を65質量%、ポリ乳酸系樹脂(A−2)を35質量%と変更した以外は、上記I層用樹脂(1)と同様の手法によりペレットを得て、後述する比較例3に示す検討に用いた(II層用樹脂(7)と称する)。
(実施例1)
2台の単軸押出機(三菱重工社製)、および2種3層マルチマニホールド口金により、I層/II層/I層の積層共押出が可能な設備において、II層を形成する単軸押出機に、先にペレット化したII層用樹脂(1)を導入し、I層を形成する単軸押出機に、I層用樹脂(1)を導入し各押出機設定温度200℃で溶融混合後、各層の厚みが、I層/II層/I層=25μm/150μm/25μmとなるように共押出し、50℃のキャストロールで引き取り、冷却固化させて幅200mm、厚さ200μmの未延伸積層シートを得た。次いで、このシートをフィルムテンター(京都機械社製)を用いて、予熱82℃、延伸82℃、熱処理82℃、予熱1ゾーン、延伸2ゾーン、熱処理3ゾーンにて、横方向に5倍延伸して、厚さ40μmの熱収縮性フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
(実施例2)
表1に示すように、実施例1におけるI層用樹脂(1)をI層用樹脂(2)に変更した以外は、実施例1と同様の手法により、熱収縮性フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
参考例2〜5
表1に示すように、実施例1におけるI層用樹脂(1)をそれぞれI層用樹脂(3)〜(6)に変更した以外は、実施例1と同様の手法により、熱収縮性フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
参考例6
表1に示すように、実施例1におけるI層用樹脂(1)をI層用樹脂(4)に変更し、II層用樹脂(1)をII層用樹脂(2)に変更した以外は、実施例1と同様の手法により、熱収縮性フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
参考例7
表1に示すように、実施例1におけるI層用樹脂(1)をI層用樹脂(4)に変更し、II層用樹脂(1)をII層用樹脂(3)に変更した以外は、実施例1と同様の手法により、熱収縮性フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
参考例8
表1に示すように、実施例1におけるI層用樹脂(1)をI層用樹脂(4)に変更し、II層用樹脂(1)をII層用樹脂(4)に変更した以外は、実施例1と同様の手法により、熱収縮性フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。













(比較例1)
表2に示すように、実施例1におけるI層用樹脂(1)をI層用樹脂(4)に変更し、II層用樹脂(1)をII層用樹脂(5)に変更した以外は、実施例1と同様の手法により積層製膜を実施した。口金−キャストロール間で押出されたシートが大きくネックインし、良好なシートが得られなかった。
(比較例2)
表2に示すように、実施例1におけるI層用樹脂(1)をI層用樹脂(4)に変更し、II層用樹脂(1)をII層用樹脂(6)に変更した以外は、実施例1と同様の手法により、熱収縮性フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
(比較例3)
表2に示すように、実施例1におけるI層用樹脂(1)をI層用樹脂(4)に変更し、II層用樹脂(1)をII層用樹脂(7)に変更した以外は、実施例1と同様の手法により、熱収縮性フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
(参考例1)
表2に示すように、実施例1におけるI層用樹脂(1)をI層用樹脂(4)に変更し、II層用樹脂(1)をI層用樹脂(4)に変更した以外は、実施例1と同様の手法により、熱収縮性フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
Figure 0006551087
Figure 0006551087
表1に示す結果のとおり、実施例1および実施例2で得られたフィルムに関しては、全へイズおよび内部ヘイズから見られる透明性は良好であった。また、フィルムのMDの引張破断伸度も23℃、0℃ともに良好な値を示した。一方、表2に示す結果のとおり、II層に本発明の規定する範囲を超える質量比のポリオレフィン系樹脂の用いた場合(比較例1)、製膜時に極度のネックインが発生し、良好なシートを製膜することができなかった。またII層に相溶化剤を配合しなかった場合(比較例2)、II層にポリオレフィン系樹脂および相溶化剤を配合しなかった場合(比較例3)、II層組成を変更して実質的にI層組成での単層フィルム様とした場合(参考例1)では、透明性は良好なものの、0℃における引張破断伸度が劣る値を示した。このように低温での引張破断伸度が不十分である場合、印刷工程等の工程において、ライン速度を増速した場合にフィルムが破断する危険性がある。
本発明のフィルムは、透明性、耐破断性に優れており、利用分野は多岐に亘るが、特に、熱収縮性フィルム、熱収縮性ラベル等に好適に使用することができる。

Claims (10)

  1. ポリ乳酸系樹脂(A)と熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(B)とを含む樹脂組成物からなるI層と、ポリ乳酸系樹脂(A)、ポリオレフィン系樹脂(C)、および相溶化剤(D)を含む樹脂組成物からなるII層とを有し、I/II/Iの順に積層された少なくとも3層以上で構成される積層フィルムであって、前記熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(B)が、ポリシロキサンを含むことを特徴とするポリ乳酸系積層フィルム
  2. 前記I層を構成する樹脂組成物における、熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(B)の含有率が、樹脂組成物全体を100質量%としたとき、3質量%以上65質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリ乳酸系積層フィルム。
  3. 前記II層を構成する樹脂組成物において、樹脂組成物全体を100質量%としたとき、ポリ乳酸系樹脂(A)を50質量%以上96質量%以下、ポリオレフィン系樹脂(C)を3質量%以上35質量%以下、相溶化剤(D)を1質量%以上15質量%以下含有することを特徴とする請求項1または2に記載のポリ乳酸系積層フィルム。
  4. 前記相溶化剤(D)が、熱可塑性樹脂セグメントと、少なくとも1種以上のビニル系単量体から形成されるセグメントとを有するグラフト共重合体であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のポリ乳酸系積層フィルム。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載のポリ乳酸系積層フィルムを少なくとも1方向に延伸してなり、80℃温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が20%以上80%以下であることを特徴とする熱収縮性積層フィルム。
  6. JIS K7136に準拠した全ヘーズ値が10%以下であることを特徴とする請求項5に記載の熱収縮性積層フィルム。
  7. JIS K7136に準拠した内部ヘーズ値が10%以下であることを特徴とする請求項5または6に記載の熱収縮性積層フィルム。
  8. 請求項5から7いずれかに記載の熱収縮性積層フィルムを基材として用いた成形品。
  9. 請求項5から7いずれかに記載の熱収縮性積層フィルムを基材として用いた熱収縮性ラベル。
  10. 請求項8に記載の成形品、または請求項9に記載の熱収縮性ラベルを装着した、容器。
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