JP5052243B2 - 熱収縮性積層フィルム、並びに該フィルムを用いた成形品、熱収縮性ラベル及び該成形品又は熱収縮性ラベルを装着した容器 - Google Patents
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Description
(I)層:ポリオレフィン系樹脂(A)と、ポリ乳酸系樹脂(B)と、及びポリオレフィン系樹脂(A)及びポリ乳酸系樹脂(B)の屈折率を調整可能な調整剤(C)とからなり、前記調整剤(C)の溶解パラメーター(SP値)が10.0(cal/cm3)0.5以上12.5(cal/cm3)0.5以下であり、前記調整剤(C)の屈折率が1.500以上であり、かつ前記調整剤(C)の含有量がポリオレフィン系樹脂(A)及びポリ乳酸系樹脂(B)の混合樹脂100質量部に対して2質量部以上30質量部以下である混合樹脂組成物
(II)層:少なくとも1種のポリ乳酸系樹脂
本発明のフィルムにおいて、前記調整剤(C)はジエチルフタレート、ジメチルフタレート、n−ブチルベンゼンスルホンアミド、ブチルベンジルフタレート、トリクレジルホスファイト、クレジルジフェニルホスファイト、及びトリフェニルホスファイトからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明のフィルムにおける第一の態様は、PO系樹脂(A)とPLA系樹脂(B)とPO系樹脂(A)及びPLA系樹脂(B)の屈折率を調整可能な調整剤(C)(以下「調整剤(C)」と略する。)を所定の混合比で混合した混合樹脂組成物を主成分としてなる(I)層と、少なくとも1種のPLA系樹脂を主成分としてなる(II)層との少なくとも2層からなる積層フィルムを、少なくとも一方向に延伸してなる熱収縮性積層フィルムである。
1.PO系樹脂
本発明において、(I)層に含まれるPO系樹脂(A)の種類は特に限定されず、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂や、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体などのエチレン系共重合体を用いることができる。熱収縮特性、機械的物性及び成形性の観点から、PO系樹脂(A)としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、又はこれらの混合物を用いることが好ましい。
次に(I)層に含まれるPLA系樹脂(B)について説明する。本発明におけるPLA系樹脂とは、D−乳酸若しくはL−乳酸の単独重合体又はそれらの共重合体であり、これらの混合物も含まれる。より具体的には、構造単位がd−乳酸であるポリ(D−乳酸)、構造単位がL−乳酸であるポリ(L−乳酸)、L−乳酸とD−乳酸との共重合体であるポリ(DL−乳酸)、又はこれらの混合物である。
次に調整剤(C)について説明する。本発明のフィルムにおいて、(I)層には屈折率を調整するための調整剤(C)が添加される。調整剤(C)の溶解パラメーター(SP値)は10.0(cal/cm3)0.5以上であり、好ましくは10.5(cal/cm3)0.5以上であり、さらに好ましくは10.7(cal/cm3)0.5以上であり、かつ12.5(cal/cm3)0.5以下であり、好ましくは12.0(cal/cm3)0.5以下であり、さらに好ましくは11.5(cal/cm3)0.5以下である。なお、SP値はFedors法[Polym.Eng.Sci.14(2)152,(1974)]よって算出される値である。
本発明のフィルムは、上記PO系樹脂(A)、PLA系樹脂(B)、及び調整剤(C)以外に、PO系樹脂(A)とPLA系樹脂(B)の分散性を向上させ、より透明性や耐衝撃性の優れたフィルムとする目的で、PO系樹脂(A)とPLA系樹脂(B)の相溶化を促進させる樹脂(D)(以下「相溶化剤(D)」ともいう。)を含有させることもできる。相溶化剤(D)としては、PO系樹脂(A)とPLA系樹脂(B)との分散性を向上させるものであれば特に限定されるものではない。
本発明のフィルムにおいて、(II)層は少なくとも1種のPLA系樹脂を主成分としてなる。(II)層で使用されるPLA系樹脂は、(I)層で例示したPLA系樹脂(B)の少なくとも1種からなる樹脂であり、特に構造単位がL−乳酸とD−乳酸との共重合体(ポリ(DL−乳酸))からなる樹脂を好適に用いることができる。(II)層を構成するPLA系樹脂は(I)層と同一でもよく、異なる共重合比を有するPLA系樹脂を単独又は2種以上を混合して用いることができる。
第2態様に含まれる(III)層は、接着性樹脂を主成分とする接着層である。接着性樹脂としては、上述した(II)層のPLA系樹脂に対し反応性又は親和性を有する部位と、(I)層のPO系樹脂と親和性を有する部位とを兼ね備えた樹脂が好適に用いられる。
(a)酢酸ビニル、アクリル酸、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エチル、メチル(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、及びメタクリル酸グリシジルからなる群から選ばれる1種の単位と、エチレン単量体単位とからなる共重合体(以下「エチレン系共重合体」ともいう。)
(b)軟質の芳香族系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体又はこれらの水素添加誘導体
(c)変性ポリオレフィン系樹脂
本発明のフィルムは、PO系樹脂(A)とPLA系樹脂(B)と調整剤(C)とを主成分とする(I)層と、少なくとも1種のPLA系樹脂を主成分とする(II)層との少なくとも2層から構成される。
本発明のフィルムは、80℃温水中10秒浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が30%以上であることが重要である。
これは、ペットボトルの収縮ラベル用途等の比較的短時間(数秒〜十数秒程度)での収縮加工工程への適応性を判断する指標となる。例えば、ペットボトルの収縮ラベル用途に適用される熱収縮性フィルムに要求される必要収縮率はその形状によって様々であるが一般に20%から70%程度迄の範囲である。
本発明のフィルムは、公知の方法によって製造することができる。フィルムの形態としては平面状、チューブ状の何れであってもよいが、生産性(原反フィルムの幅方向に製品として数丁取りが可能)や内面に印刷が可能という点から平面状が好ましい。平面状のフィルムの製造方法としては、例えば、複数の押出機を用いて樹脂を溶融し、Tダイから共押出し、チルドロールで冷却固化し、縦方向にロール延伸をし、横方向にテンター延伸をし、アニールし、冷却し、(印刷が施される場合にはその面にコロナ放電処理をして、)巻取機にて巻き取ることによりフィルムを得る方法が例示できる。また、チューブラー法により製造したフィルムを切り開いて平面状とする方法も適用できる。
本発明のフィルムは、フィルムの低温収縮性、収縮仕上がり性、透明性、自然収縮等に優れているため、その用途が特に制限されるものではないが、必要に応じて印刷層、蒸着層その他機能層を形成することにより、ボトル(ブローボトル)、トレー、弁当箱、総菜容器、乳製品容器等の様々な成形品として用いることができる。特に本発明のフィルムを食品容器(例えば清涼飲料水用または食品用のPETボトル、ガラス瓶、好ましくはPETボトル)用熱収縮性ラベルとして用いる場合、複雑な形状(例えば、中心がくびれた円柱、角のある四角柱、五角柱、六角柱など)であっても該形状に密着可能であり、シワやアバタ等のない美麗なラベルが装着された容器が得られる。本発明の成形品及び容器は、通常の成形法を用いることにより作製することができる。
なお、実施例に示す測定値及び評価は次のように行った。実施例では、フィルムの引き取り(流れ)方向をMD、その直角方向をTDと記載する。
フィルムをMD100mm、TD100mmの大きさに切り取り、80℃の温水バスに10秒間それぞれ浸漬し、収縮量を測定した。熱収縮率は、MD及びTDについて、収縮前の原寸に対する収縮量の比率を%値で表示した。
熱収縮率(%)={(収縮前の寸法−収縮後の寸法)/収縮前の寸法}×100
JIS K7105に準拠してフィルム厚み50μmでフィルムのヘーズ値を測定し、下記基準にて判断した。
◎:ヘーズ値が10%未満
○:ヘーズ値が10%以上15%未満
×:ヘーズ値が15%以上
得られたフィルムの外観を下記の基準で評価した。
◎:フィルムに斑がほとんどなく、外観が良い。
○:フィルムの斑は多少あるが、実用上問題はない。
×:フィルムの斑が激しく、著しく外観が悪い。
JIS K7127に準じて、1号形試験片(全長100mm、幅15mmの短冊)を掴み具間距離40mmにおいて、温度、23℃では試験速度200mm/分の条件でフィルム主収縮方向(TD)と直交する方向(MD)について、温度0℃では試験速度100mm/分の条件で直交する方向(MD)について引張破断伸度を測定した。
<23℃>
◎:引張破断伸度がTD50%以上、MD400%以上
○:引張破断伸度がTD40%以上50%未満、MD200%以上400%未満
×:引張破断伸度がTD30%未満、MD200%未満
<0℃>
◎:引張破断伸度がMD300%以上
○:引張破断伸度がMD100%以上300%未満
×:引張破断伸度がMD100%未満
JISK7127に準じて、温度23℃の条件でフィルムの主収縮方向と直交方向(縦方向)について測定した。
1.PO系樹脂(A)
PO1:日本ポリエチ社製LLDPE「カーネルKF261」
SP値8.56(cal/cm3)0.5、屈折率1.499、MFR2.4g/10分、
融点102℃
(1)PLA1
NatureWorksLLC社製ポリ乳酸「NatureWorks4050D」
SP値11.2(cal/cm3)0.5、屈折率1.453、L体:D体比=95:5
(2)PLA2
NatureWorksLLC社製ポリ乳酸「NatureWorks4060D」
SP値11.2(cal/cm3)0.5、屈折率1.453、L体:D体比=88:12
(3)PLA3
大日本インキ化学工業社製軟質ポリ乳酸系樹脂「プラメートPD150」
C1:大八化学工業社製トリフェニルホスファイト「TPP」
SP値:10.7(cal/cm3)0.5、屈折率:1.587
D1:住友化学社製Et‐GMA共重合体「ボンドファースト7M」
AD1:クラレ社製水添SIS「ハイブラー7125」
表1に示すように、(II)層を構成する樹脂として、PLA1を40質量%、PLA2を50質量%、PLA3を10質量%混合した樹脂を用い、(I)層を構成する樹脂として、PO1を70質量%、PLA1を11質量%、PLA2を16質量%、PLA3を1質量%、及びAD1を2質量%混合した樹脂100質量部に対して、調整剤(C)としてC1を5.5質量部、さらに相溶化剤(D)としてD1を4.5質量部混合した樹脂を(I)層を構成する樹脂として、さらに(III)層を構成する樹脂としてAD1を100質量部それぞれ用いた。
各樹脂をそれぞれ別個の三菱重工業株式会社製単軸押出機に投入し、設定温度200℃〜230℃で溶融混合後、各層の厚みが(I)層/(III)層/(II)層/(III)層/(I)層=40μm/10μm/150μm/10μm/40μmとなるよう3種5層ダイスより共押出し、50℃のキャストロールで引き取り、冷却固化させて幅300mm、厚さ250μmの未延伸積層シートを得た。次いで、京都機械株式会社製フィルムテンターにて、予熱温度80℃、延伸温度75℃で横一軸方向に5.0倍に延伸した後、85℃で熱弛緩処理を行い、厚さ50μmの熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムについて各評価を行い、評価項目の全てが優秀な結果を示したフィルムを(◎)、一部の評価に良が含まれているフィルムを(○)、1つでも基準を満たしていないフィルムを(×)として総合評価した。評価した結果を表2に示す。
(I)層に調整剤(C)を含まないこと以外は実施例1と同様の方法により熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムにつき実施例1と同様の評価を行い、その結果を表2に示す。
これより、本発明の熱収縮性積層フィルムは、低温収縮性を有し、腰の強さがあり、収縮仕上がり性と透明性に優れた熱収縮性フィルムであることが分かる。
Claims (11)
- 下記(I)層と(II)層との少なくとも2層からなる積層フィルムを少なくとも一方向に延伸してなる熱収縮性積層フィルムであって、各層が下記樹脂を主成分としてなり、かつ80℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が30%以上であることを特徴とする熱収縮性積層フィルム。
(I)層:ポリオレフィン系樹脂(A)と、ポリ乳酸系樹脂(B)と、ポリオレフィン系樹脂(A)及びポリ乳酸系樹脂(B)の屈折率を調整可能な調整剤(C)とからなり、前記調整剤(C)の溶解パラメーター(SP値)が10.0(cal/cm 3 ) 0.5 以上12.5(cal/cm 3 ) 0.5 以下であり、前記調整剤(C)の屈折率が1.500以上であり、かつ前記調整剤(C)の含有量がポリオレフィン系樹脂(A)及びポリ乳酸系樹脂(B)の混合樹脂100質量部に対して2質量部以上30質量部以下である混合樹脂組成物
(II)層:少なくとも1種のポリ乳酸系樹脂 - 前記(I)層が、ポリオレフィン系樹脂(A)とポリ乳酸系樹脂(B)の相溶化を促進させる樹脂(D)を、ポリオレフィン系樹脂(A)及びポリ乳酸系樹脂(B)の混合樹脂100質量部に対して1質量部以上20質量部以下含有する請求項1に記載の熱収縮性積層フィルム。
- 前記(I)層と前記(II)層との間に接着性樹脂を主成分としてなる(III)層を有する請求項1又は2に記載の熱収縮性積層フィルム。
- 前記(I)層のポリオレフィン系樹脂(A)とポリ乳酸系樹脂(B)との質量比(A/B)が97/3〜70/30である請求項1〜3のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
- 前記(I)層を構成するポリ乳酸系樹脂(B)及び/又は前記(II)層を構成するポリ乳酸系樹脂が、D−乳酸とL−乳酸との共重合体であって、D−乳酸とL−乳酸との比(D/L比)が3/97〜15/85、又は85/15〜97/3である請求項1〜4のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
- 前記(I)層を構成するポリオレフィン系樹脂(A)が、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、又はこれらの混合物である請求項1〜5のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
- 前記調整剤(C)がジエチルフタレート、ジメチルフタレート、n−ブチルベンゼンスルホンアミド、ブチルベンジルフタレート、トリクレジルホスファイト、クレジルジフェニルホスファイト、及びトリフェニルホスファイトからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜6のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
- 前記樹脂(D)が酢酸ビニル、アクリル酸、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エチル、メチル(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、及び(メタ)アクリル酸グリシジルからなる群から選ばれる少なくとも1種とエチレンとの共重合体、変性スチレン系樹脂、並びに変性オレフィン系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜7のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルムを基材として用いた成形品。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルムを基材として用いた熱収縮性ラベル。
- 請求項9に記載の成形品又は請求項10に記載の熱収縮性ラベルを装着した容器。
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