JP5052243B2 - 熱収縮性積層フィルム、並びに該フィルムを用いた成形品、熱収縮性ラベル及び該成形品又は熱収縮性ラベルを装着した容器 - Google Patents

熱収縮性積層フィルム、並びに該フィルムを用いた成形品、熱収縮性ラベル及び該成形品又は熱収縮性ラベルを装着した容器 Download PDF

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Description

本発明は、植物由来の樹脂を用いた熱収縮性積層フィルムに関し、特に低温収縮性、腰強さ(常温での剛性)、及び収縮仕上がり性に優れ、かつ自然収縮率が小さい、収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用途に適した熱収縮性積層フィルム、該フィルムを用いた成形品、ラベル及び容器に関する。
現在、ジュース等の清涼飲料、ビール等のアルコール飲料等は、瓶、ペットボトル等の容器に充填された状態で販売されている。その際、他商品との差別化や商品の視認性を向上させるために、容器の外側に印刷を施した熱収縮性ラベルを装着していることが多い。この熱収縮性ラベルの素材としては、通常、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略することがある。)系樹脂、ポリスチレン(以下「PS」と略することがある。)系樹脂、ポリオレフィン(以下「PO」と略することがある。)系樹脂が用いられている。
一方、石油枯渇問題を解消し、かつ環境保護という観点より、最近では石油由来の樹脂に代替する樹脂の開発が盛んに行われている。中でも石油由来樹脂の代替樹脂としてポリ乳酸(以下「PLA」と略することがある。)系樹脂が脚光を浴びている。このPLA系樹脂は、澱粉の発酵により得られる乳酸を原料とする植物由来樹脂であり、化学工学的に量産でき、かつ透明性、剛性等に優れるという特徴を有する。そのため、PLA系樹脂は、PET系樹脂やPS系樹脂より優れた低温収縮性と優れた剛性とを兼ね備えた代替材料として、フィルム包装材料分野や射出成形分野において注目されている。
しかしながら、PLA系樹脂を用いた熱収縮性フィルムは、収縮温度に対し、鋭敏な収縮率変化を示すため、均一な収縮が得られにくく、収縮ムラ等の収縮仕上がりの面で課題があった。
上記PLA系熱収縮性フィルムの課題を解決する手段として、PLA系樹脂とPO系樹脂とを組み合わせた積層フィルムが報告されている(例えば、特許文献1及び2参照)。しかしながら、特許文献1に記載されたフィルムは、表面層で使用されるPO系樹脂の粘度平均分子量が1,000乃至7,000と低いため、機械強度や耐熱性などの物性を十分に発現することができず、熱収縮性フィルムの用途としては不適切なものであった。また、特許文献2に記載されたフィルムは、充填材を35質量%以上80質量%以下の範囲で含有した外側層を有するため、延伸後のフィルムは透明性を有さず、機械強度に劣っていた。さらに、特許文献2に記載のフィルムは表面に微細孔が多数あるため、印刷性、すべり性などに劣り、ラベル用途として用いることは困難であった。
また、ポリオレフィン系樹脂を主成分とし、ポリ乳酸系樹脂と酢酸ビニル−エチレン共重合体、アクリル変性ポリテトラフルオロエチレン、又はポリスチレン系共重合体とを含有する樹脂組成物が例示されている(特許文献3参照)。しかしながら、この樹脂組成物は、ロール加工を行う際の付着物抑制、及び生分解性の維持を主目的としており、熱収縮性フィルムへ適応させる場合、熱収縮性、収縮仕上がり性、及び延伸性に欠けるという問題がある。
また、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする層及びポリ乳酸を主成分とする層を有する収縮シートが知られている(特許文献4参照)。しかしながら、このシートは、コンビニエンスストアなどで販売される弁当、惣菜などの収縮包装用フィルムを作製することを目的としインフレーション法による収縮シート成形を試みたものであり、本発明のような低温高収縮性が要求される熱収縮性ラベルとして使用した場合、十分な低温収縮特性を得ることはできない。 また、該フィルムは中間層で使用されるPLA系樹脂と両外層で使用されるPO系樹脂との相溶性が劣るため、例えば、フィルムの耳などのトリミングロス等から発生するリサイクル可能な樹脂を添加(以下、「再生添加」と称する)した際に、フィルム全体の十分な透明性が維持できないという問題があった。
特開2003−276144号公報 特開2002−347184号公報 特開2003−301077号公報 特開2002−019053号公報
本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたものであり、本発明の課題は、低温収縮性、腰強さ(常温での剛性)、及び収縮仕上がり性に優れ、かつ再生添加が可能な、収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用途に適した熱収縮性積層フィルム(以下「本発明のフィルム」ともいう。)を提供することにある。
さらに本発明のもう一つの課題は、収縮包装、収縮結束包装、収縮ラベル等の用途に適した本発明のフィルムを用いた成形品、熱収縮性ラベル 及び該成形品又は熱収縮性ラベルを装着した容器を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために、フィルムを形成する各層の組成物及び各層の組み合わせを鋭意検討した結果、上記従来技術の課題を解決し得る熱収縮性フィルムを得ることに成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の課題は、下記(I)層と(II)層との少なくとも2層からなる積層フィルムを少なくとも一方向に延伸してなる熱収縮性積層フィルムであって、各層が下記樹脂を主成分としてなり、かつ80℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が30%以上であることを特徴とする熱収縮性積層フィルムにより解決される。
(I)層:ポリオレフィン系樹脂(A)と、ポリ乳酸系樹脂(B)と、及びポリオレフィン系樹脂(A)及びポリ乳酸系樹脂(B)の屈折率を調整可能な調整剤(C)とからなり、前記調整剤(C)の溶解パラメーター(SP値)が10.0(cal/cm30.5以上12.5(cal/cm30.5以下であり、前記調整剤(C)の屈折率が1.500以上であり、かつ前記調整剤(C)の含有量がポリオレフィン系樹脂(A)及びポリ乳酸系樹脂(B)の混合樹脂100質量部に対して2質量部以上30質量部以下である混合樹脂組成物
(II)層:少なくとも1種のポリ乳酸系樹脂
本発明のフィルムは、前記(I)層が、ポリオレフィン系樹脂(A)とポリ乳酸系樹脂(B)の相溶化を促進させる樹脂(D)を、ポリオレフィン系樹脂(A)及びポリ乳酸系樹脂(B)の混合樹脂100質量部に対して1質量部以上20質量部以下さらに含有することができる。
本発明のフィルムは、前記(I)層と前記(II)層との間に接着性樹脂を主成分としてなる(III)層を有することができる。
本発明のフィルムにおいて、前記(I)層のポリオレフィン系樹脂(A)及びポリ乳酸系樹脂(B)の質量比(A/B)は85/5〜60/40であることが好ましい。
本発明のフィルムにおいて、前記(I)層を構成するポリ乳酸系樹脂(B)及び/又は前記(II)層を構成するポリ乳酸系樹脂は、D−乳酸とL−乳酸との共重合体であって、D−乳酸とL−乳酸との比(D/L比)が3/97〜15/85、又は85/15〜97/3であることが好ましい。
本発明のフィルムにおいて、前記ポリオレフィン系樹脂(A)は、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、又はこれらの混合物であることが好ましい。
本発明のフィルムにおいて、前記調整剤(C)はジエチルフタレート、ジメチルフタレート、n−ブチルベンゼンスルホンアミド、ブチルベンジルフタレート、トリクレジルホスファイト、クレジルジフェニルホスファイト、及びトリフェニルホスファイトからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。


本発明のフィルムにおいて、前記樹脂(D)は、酢酸ビニル、アクリル酸、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エチル、メチル(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、及び(メタ)アクリル酸グリシジルからなる群から選ばれる少なくとも1種とエチレンとの共重合体、変性スチレン系樹脂、並びに変性オレフィン系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明のもう一つの課題は、上記熱収縮性積層フィルムを基材として用いた成形品、熱収縮性ラベル、及び前記成形品又は前記熱収縮性ラベルを装着した容器により達成される。
本発明のフィルムは、PO系樹脂(A)とPLA系樹脂(B)と、PO系樹脂(A)及びPLA系樹脂(B)の屈折率を調整可能な調整剤(C)とを主成分としてなる(I)層と、少なくとも1種のPLA系樹脂を主成分としてなる(II)層とを積層させた熱収縮性フィルムである。そのため本発明によれば、PLA系樹脂単独で構成される熱収縮性フィルムやPO系樹脂単独で構成される熱収縮性フィルムでは得られなかった、優れた低温収縮性、腰強さ(常温での剛性)、収縮仕上がり性を有し、自然収縮率が小さく、再生添加が可能な、収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用途に適した熱収縮性積層フィルムを提供できる。本発明のフィルムで使用されるPLA系樹脂は植物由来の樹脂であるため、本発明の熱収縮性積層フィルムによれば、バイオマスの利用を促進し、循環型社会を目指す上で好適である。
また、本発明の成形品及び熱収縮ラベルは、本発明のフィルムを基材として用いているため、本発明によれば、腰強さ、収縮仕上がり性の良好な成形品、熱収縮性ラベルを提供できる。さらに、本発明の容器は、前記成形品又は熱収縮性ラベルを装着しているため、本発明によれば、外観の見栄えの良好な容器を提供できる。
以下、発明のフィルム、並びに本発明のフィルムを用いた成形品、熱収縮性ラベル、及び該成形品又は熱収縮性ラベルを装着した容器(以下、これらを「本発明の成形品」、「本発明のラベル」及び「本発明の容器」ともいう。)について詳細に説明する。
なお、本明細書において、「主成分としてなり」とは、各層を構成する樹脂の作用・効果を妨げない範囲で、他の成分を含むことを許容する趣旨である。さらに、この用語は、具体的な含有率を制限するものではないが、各層の構成成分全体の70質量%以上、好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上100質量%以下の範囲を占める成分である。
また、本明細書において「主収縮方向」とは、フィルムの縦方向(長手方向)とフィルムの横方向(幅方向)のうち熱収縮率の大きい方向を意味し、例えば、ボトルに装着する場合にはその外周方向に相当する方向を意味し、「直交方向」とは主収縮方向と直交する方向を意味する。
[熱収縮性フィルム]
本発明のフィルムにおける第一の態様は、PO系樹脂(A)とPLA系樹脂(B)とPO系樹脂(A)及びPLA系樹脂(B)の屈折率を調整可能な調整剤(C)(以下「調整剤(C)」と略する。)を所定の混合比で混合した混合樹脂組成物を主成分としてなる(I)層と、少なくとも1種のPLA系樹脂を主成分としてなる(II)層との少なくとも2層からなる積層フィルムを、少なくとも一方向に延伸してなる熱収縮性積層フィルムである。
<(I)層>
1.PO系樹脂
本発明において、(I)層に含まれるPO系樹脂(A)の種類は特に限定されず、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂や、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体などのエチレン系共重合体を用いることができる。熱収縮特性、機械的物性及び成形性の観点から、PO系樹脂(A)としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、又はこれらの混合物を用いることが好ましい。
PO系樹脂(A)がポリエチレン系樹脂である場合、ポリエチレン系樹脂としては、密度が0.940g/cm3以上0.970g/cm3以下の高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、密度が0.920g/cm3以上0.940g/cm3未満の中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、密度が0.920g/cm3未満の低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)や直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)が挙げられる。
上記ポリエチレン系樹脂は、上記の高密度、中密度及び低密度のいずれか又は2種以上を混合したものであってもよいが、フィルムの腰(常温での剛性)、収縮特性等の観点からその密度は0.800g/cm3以上0.945g/cm3以下の範囲が好ましく、0.850g/cm3以上0.935g/cm3以下の範囲がより好ましく、0.900g/cm3以上0.925g/cm3以下の範囲がさらに好ましい。ポリエチレン系樹脂の密度が0.800g/cm3以上であればフィルム全体の腰(常温での剛性)や耐熱性を著しく低下させないため、実用上好ましい。一方、ポリエチレン系樹脂の密度が0.945g/cm3以下であれば、低温での延伸性が維持され、実用温度域(70℃以上90℃以下程度)の熱収縮率が充分得ることができる点で好ましい。
上記ポリエチレン系樹脂において、延伸性、フィルムの耐衝撃性、透明性等の観点からは直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)が特に好適に用いられる。LLDPEとしては、エチレンと炭素数3乃至20、好ましくは炭素数4乃至12のα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等が例示される。この中でも1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンとの共重合体が好適に用いられる。また、共重合するα−オレフィンは1種のみを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いても構わない。
また、上記ポリエチレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は特に制限されるものではないが、通常、MFR(JIS K7210、温度:190℃、荷重:21.2N)が0.5g/10分以上、好ましくは1.0g/10分以上であり、かつ15g/10分以下、好ましくは10g/10分以下であることが望ましい。ポリエチレン系樹脂のMFRは、均一な厚みのフィルムを得るためにPLA系樹脂の溶融時の粘度に類似したものを選択することが好ましい。
次にPO系樹脂(A)がポリプロピレン系樹脂である場合、ポリプロピレン系樹脂としては、ホモプロピレン樹脂、ランダムポリプロピレン樹脂、ブロックポリプロピレン樹脂、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−ブテンゴム、エチレンジエンゴムなどが挙げられる。中でも延伸性、透明性、剛性などの観点からランダムポリプロピレン樹脂が特に好適に使用される。
前記ランダムポリプロピレン樹脂において、プロピレンと共重合させるα−オレフィンとしては、好ましくは炭素数2以上、より好ましくは炭素数4以上であり、かつ炭素数20以下、好ましくは炭素数12以下のものが挙げられる。そのようなα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどを例示できる。本発明においては、延伸性、熱収縮特性、フィルムの耐衝撃性や透明性、剛性等の観点から、α−オレフィンとしてエチレン単位の含有率が2質量%以上10質量%以下のランダムポリプロピレンが特に好適に用いられる。また、共重合するα−オレフィンは1種のみを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いても構わない。
また、前記ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、特に制限されるものではないが、通常、MFR(JIS K7210、温度:230℃、荷重:21.2N)が、0.5g/10分以上、好ましくは1.0g/分以上であり、かつ15g/10分以下、好ましくは10g/10分以下であるものが用いられる。ポリプロピレンのMFRは、均一な厚みのフィルムを得るためにPLA系樹脂の溶融時の粘度に類似したものを選択することが好ましい。
PO系樹脂(A)としてエチレン−酢酸ビニル共重合体を用いる場合、エチレン−酢酸ビニル共重合体中のエチレン単量体単位の含有率は50質量%以上、好ましくは60質量%以上であり、95質量%以下、好ましくは85質量%以下のものが好適に用いられる。エチレン単量体単位の含有率が50質量%以上であれば、フィルム全体の剛性を良好に維持できるため、好ましい。一方、エチレン単量体単位の含有率が95質量%以下であれば、フィルム全体の腰(常温での剛性)や耐熱性を著しく低下させないため、実用上好ましい。
前記エチレン−酢酸ビニル共重合体のメルトフローレート(MFR)は、特に制限されるものではないが、通常、MFR(JIS K7210、温度:190℃、荷重:21.2N)が、0.5g/10分以上、好ましくは1.0g/10分以上であり、かつ15g/10分以下、好ましくは10g/10分以下のものを用いることができる。エチレン−酢酸ビニル共重合体のMFRは均一な厚みのフィルムを得るためにPLA系樹脂の溶融時の粘度に類似したものを選択することが好ましい。
PO系樹脂(A)の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法、例えばチーグラー・ナッタ型触媒に代表されるマルチサイト触媒やメタロセン系触媒に代表されるシングルサイト触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等、また、ラジカル開始剤を用いた塊状重合法等が挙げられる。
本発明のフィルムにおいて、PO系樹脂の市販品を例示すれば、例えばポリエチレン系樹脂として商品名「ノバテックHD、LD、LL」「カーネル」「タフマーA,P」(日本ポリエチレン社製)、「サンテックHD、LD」(旭化成ケミカルズ社製)、「HIZEX」「ULTZEX」「EVOLUE」(三井化学社製)、「UBEポリエチレン」「UMERIT」(宇部興産社製)、「NUCポリエチレン」「ナックフレックス」(日本ユニカ社製)、「Engage」(ダウケミカル社製)などが挙げられる。またポリプロピレン系樹脂としては、例えば、商品名「ノバテックPP」「WINTEC」「タフマーXR」(日本ポリプロ社製)、「三井ポリプロ」(三井化学社製)、「住友ノーブレン」「タフセレン」「エクセレンEPX」(住友化学社製)、「IDEMITSU PP」「IDEMITSU TPO」(出光興産社製)、「Adflex」「Adsyl」(サンアロマー社製)などが挙げられる。また、エチレン酢酸ビニル共重合体としては、例えば「エバフレックス」(三井・デュポンポリケミカル社製)、「ノバテックEVA」(日本ポリエチ社製)などが挙げられる。
本発明のフィルムにおいて、前記PO系樹脂(A)は炭化水素樹脂類をさらに含有していてもよい。炭化水素樹脂類をPO系樹脂(A)に含有させた場合、PO系樹脂(例えば、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂)などの結晶化を抑制し、フィルムの透明性が向上させるほか、低温での延伸性が維持でき、熱収縮特性の向上が期待できる。
本発明において炭化水素樹脂類とは、石油樹脂類、テルペン樹脂、ロジン系樹脂などを指す。石油樹脂類としては、シクロペンタジエン又はその二量体からの脂環式石油樹脂やC9成分からの芳香族石油樹脂を例示できる。また、テルペン樹脂としては、β−ピネンからのテルペン樹脂やテルペン−フェノール樹脂が例示できる。また、ロジン系樹脂としては、ガムロジン、ウッドロジン等のロジン樹脂、グリセリンやペンタエリスリトール等で変性したエステル化ロジン樹脂等が例示できる。炭化水素樹脂類は、ポリオレフィン系樹脂等に混合した場合に比較的良好な相溶性を示すことが知られているが、色調、熱安定性、及び相溶性から水素添加誘導体を用いることが好ましく、水添石油樹脂や部分水添石油樹脂が特に好ましい。
上記炭化水素樹脂類は、分子量に応じて種々の軟化温度を有するものがあるが、本発明では軟化温度が100℃以上、好ましくは110℃以上であり、150℃以下、好ましくは140℃以下のものが好適に用いられる。軟化温度が100℃以上であれば、混合した際にシート表面にブリードし、ブロッキングを招いたり、シート全体の機械的強度が低下して破れやすくなったりすることがなく、実用的で好ましい。一方、軟化温度が150℃以下であれば、ポリオレフィン系樹脂との相溶性が良好に維持され、経時的にフィルム表面にブリードし、ブロッキングや透明性の低下を招いたりすることがなく好ましい。
上記炭化水素樹脂類の含有率は、PO系樹脂(A)の全量に対して5質量%以上であることが好ましく、8質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることがさらに好ましい。一方、前記含有率の上限は50質量%以下であり、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましい。炭化水素樹脂類の含有率が5質量%以上であれば、フィルムの透明性や収縮特性の向上効果が顕著であり、また50質量%以下であれば耐衝撃性が低下したりするなどの問題が発生し難く好ましい。
上記炭化水素樹脂類としては、例えば、三井化学(株)の商品名「ハイレッツ」、「ペトロジン」、荒川化学工業(株)の商品名「アルコン」、ヤスハラケミカル(株)の商品名「クリアロン」、出光石油化学(株)の商品名「アイマーブ」、トーネックス(株)の商品名「エスコレッツ」などの市販されている商品を使用することができる。
2.PLA系樹脂(B)
次に(I)層に含まれるPLA系樹脂(B)について説明する。本発明におけるPLA系樹脂とは、D−乳酸若しくはL−乳酸の単独重合体又はそれらの共重合体であり、これらの混合物も含まれる。より具体的には、構造単位がd−乳酸であるポリ(D−乳酸)、構造単位がL−乳酸であるポリ(L−乳酸)、L−乳酸とD−乳酸との共重合体であるポリ(DL−乳酸)、又はこれらの混合物である。
PLA系樹脂がD−乳酸とL−乳酸との混合物である場合、D−乳酸とL−乳酸との混合比はD−乳酸/L−乳酸=99.8/0.2〜75/25であるか、又はD−乳酸/L−乳酸=0.2/99.8〜25/75であることが好ましく、D−乳酸/L−乳酸=99.5/0.5〜80/20、又はD−乳酸/L−乳酸=0.5/99.5〜20/80であることがさらに好ましい。
D−乳酸単独又はL−乳酸単独からなるPLAは、非常に高い結晶性を示し、融点が高く、耐熱性及び機械的物性に優れる傾向がある。しかしながら、熱収縮性フィルムとして使用する場合は、通常、印刷及び溶剤を用いた製袋工程が伴うため、印刷適性及び溶剤シール性を向上させるために構成材料自体の結晶性を適度に下げることが必要となる。また、結晶性が過度に高い場合、延伸時に配向結晶化が進行し、収縮特性が低下する傾向がある。これらのことより、本発明のフィルムで用いられるPLA系樹脂(B)の好ましいD−乳酸とL−乳酸の混合比は、D−乳酸/L−乳酸=99/1〜85/15、又はD−乳酸/L−乳酸=1/99〜15/85であることが好ましい。
本発明において、PLA系樹脂(B)は、異なる共重合比を有するD−乳酸とL−乳酸の共重合体を混合して使用することもできる。その場合には、複数の乳酸系重合体のD−乳酸とL−乳酸との共重合比を平均した値が前記範囲内に入るように調整すればよい。使用用途に合わせて、D−乳酸とL−乳酸との共重合体比の異なるポリ乳酸系樹脂を二種以上混合し、結晶性を調整することにより、耐熱性と熱収縮特性のバランスをとることができる。
また、PLA系樹脂(B)は、乳酸と、α−ヒドロキシカルボン酸や脂肪族ジオール、脂肪族ジカルボン酸との共重合体であってもよい。ここで、乳酸に共重合される「α−ヒドロキシカルボン酸」としては、乳酸の光学異性体(L−乳酸に対してはD−乳酸、D−乳酸に対してはL−乳酸をそれぞれ指す。)、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒロドキシ−3−メチル酪酸、2−メチル酪酸、2−ヒドロキシカプロラクトン酸などの2官能脂肪族ヒドロキシ−カルボン酸、及びカプロラクトン、ブチルラクトン、バレロラクトンなどのラクトン類が挙げられる。また、乳酸に共重合される「脂肪族ジオール」としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。また共重合される「脂肪族ジカルボン酸」としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸及びドデカン二酸などが挙げられる。
乳酸と、α−ヒドロキシカルボン酸、脂肪族ジオール、又は脂肪族ジカルボン酸との共重合体の共重合比は乳酸/α−ヒドロキシカルボン酸、脂肪族ジオール、又は脂肪族ジカルボン酸=90/10〜10/90の範囲であることが好ましく、より好ましくは80/20〜20/80であり、さらに好ましくは30/70〜70/30である。共重合比が上記範囲内であれば、剛性、透明性、耐衝撃性などの物性バランスの良好なフィルムを得ることができる。
PLA系樹脂(B)は、縮合重合法、開環重合法などの公知の重合法により作製することができる。例えば、縮合重合法であれば、D−乳酸、L−乳酸、又はこれらの混合物を直接脱水縮合重合して任意の組成を有するPLA系樹脂を得ることができる。また、開環重合法では、乳酸の環状2量体であるラクチドを、必要に応じて重合調整剤などを用いながら、所定の触媒の存在下で開環重合することにより任意の組成を有するポリ乳酸系樹脂を得ることができる。前記ラクチドには、L−乳酸の二量体であるDL−ラクチドがあり、これらを必要に応じて混合して重合することにより、任意の組成、結晶性を有するPLA系樹脂を得ることができる。さらには、分子量増大を目的として少量の鎖延長剤、例えば、ジイソシアネート化合物、ジエポキシ化合物、酸無水物、酸クロライドなどを使用しても構わない。
PLA系樹脂(B)の重量(質量)平均分子量は、20,000以上、好ましくは40,000以上、さらに好ましくは60,000以上であり、上限は400,000以下、好ましくは350,000以下、さらに好ましくは300,000以下であることが望ましい。重量(質量)平均分子量が20,000以上であれば、適度な樹脂凝集力が得られ、フィルムの強伸度が不足したり、脆化したりすることを抑えることができる。一方、重量(質量)平均分子量が400,000以下であれば、溶融粘度を下げることができ、製造、生産性向上の観点からは好ましい。
PLA系樹脂の市販品としては、例えば、「NatureWorks」(NatureWorksLLC社製)、「LACEA」(三井化学社製)などが挙げられる。
本発明において、(I)層に含まれるPO系樹脂(A)とPLA系樹脂(B)との質量比(混合比)は、樹脂(A)/樹脂(B)=97/3〜70/30であることが重要であり、好ましくは95/5〜70/30、さらに好ましくは90/10〜70/30であることが望ましい。PO系樹脂(A)の含有率を70質量%以上とすることで、フィルムの耐衝撃性、透明性の優れたフィルムとすることができる。一方、PLA系樹脂(B)を3質量%以上含ませることにより、熱収縮特性に優れ、かつ自然収縮性の抑制されたフィルムを得ることができる。
3.調整剤(C)
次に調整剤(C)について説明する。本発明のフィルムにおいて、(I)層には屈折率を調整するための調整剤(C)が添加される。調整剤(C)の溶解パラメーター(SP値)は10.0(cal/cm3)0.5以上であり、好ましくは10.5(cal/cm3)0.5以上であり、さらに好ましくは10.7(cal/cm3)0.5以上であり、かつ12.5(cal/cm3)0.5以下であり、好ましくは12.0(cal/cm3)0.5以下であり、さらに好ましくは11.5(cal/cm3)0.5以下である。なお、SP値はFedors法[Polym.Eng.Sci.14(2)152,(1974)]よって算出される値である。
一方、調整剤(C)の屈折率は1.500以上、好ましくは1.530以上、さらに好ましくは1.550以上である。前記調整剤(C)の屈折率の上限は本発明の添加目的より高ければ高いほど良いため特に制限はないが、一般的には1.650以下、もしくは1.620以下、さらには1.590以下のものが通常には用いられる。
PO系樹脂とPLA系樹脂とは比較的近い屈折率を有するため、それら混合した場合、一見するとPO系樹脂にPS系樹脂やPET系樹脂をブレンドした場合よりも透明性が改善されるかのように思われる。しかしながら、PO系樹脂とPLA系樹脂を単にブレンドしただけでは、両者の相溶性の相違から熱収縮性フィルムを作製した場合に、十分な透明性を得ることができない。本発明のフィルムでは、このPO系樹脂とPLA系樹脂との混合樹脂に所定のSP値と所定の屈折率とを兼ね備えた調整剤を添加することにより、熱収縮性フィルムの透明性を改善することができる。
上記の所定のSP値と所定の屈折率とを兼ね備えた調整剤(C)を添加することによってフィルムの透明性が向上する機構は明らかではないが、以下のように推測できる。すなわち、本発明のフィルムの(I)層は、PO系樹脂とPLA系樹脂との混合樹脂を含み、その混合比に依存してPO系樹脂から形成される海相中にPLA系樹脂から形成される島相が分散している、いわゆる海島構造を有している。海相を形成するPO系樹脂の屈折率は1.490〜1.520の範囲にあり、また島相を形成するPLA系樹脂の屈折率は1.450程度である。PO系樹脂とPLA系樹脂との屈折率差より、フィルム形成時の透明性は混合樹脂の両樹脂の混合比が近づくにつれて低下してゆく傾向がある。
一方、海相を形成するPO系樹脂のSP値はおおよそ8.0〜8.6(cal/cm3)0.5の範囲であり、島相を形成するPLA系樹脂のSP値は11.2(cal/cm3)0.5程度である。
上記混合樹脂に本発明で規定したSP値と屈折率とを有する調整剤(C)を添加することにより、調整剤(C)はSP値の近いPLA相に相溶してPLA相へ移行しやすくなり、PLA系樹脂と、PLA系樹脂よりも高い屈折率を有する調整剤(C)とが優先的に混合される。その結果、PLA相(島相)全体の屈折率が上昇し、PO系樹脂で構成される海相の屈折率により近づくことができ、フィルムの透明性が向上すると推測できる。
それゆえ、本発明の(I)層に用いられる調整剤(C)は、PLA相に移行させ、PLA相の屈折率をPO相の屈折率に近づけることにより、フィルムの透明性を向上させるためには、屈折率が10.0(cal/cm30.5以上12.5(cal/cm3)0.5以下の範囲であり、かつ屈折率が1.500以上であることが重要である。
上記調整剤(C)は、本発明で規定される範囲のSP値と屈折率とを有していれば特に限定されないが、PLA相への移行のしやすさの観点からは可塑剤や低分子化合物が好適に用いられる。可塑剤や低分子化合物の具体的な分子量は特に制限されないが、重量平均分子量が5,000以下であることが好ましく、3,000以下であることがより好ましく、1,000以下であることがさらに好ましい。
調整剤(C)として使用可能な可塑剤としては、例えば、ジエチルフタレート、ジメチルフタレート、n−ブチルベンゼンスルホンアミド、ブチルベンジルフタレート、トリクレジルホスファイト、クレジルジフェニルホスファイト、トリフェニルホスファイトなどが挙げられ、中でもトリフェニルホスファイトが好適に用いられる。
また、調整剤(C)として使用可能な低分子化合物としては、屈折率を向上させ得る芳香族基を有する化合物が好ましく、例えば、芳香族基を有するエポキシ樹脂やポリエステル系オリゴマー、低分子量ポリスチレン、芳香族系炭化水素樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。
(I)層に含有する調整剤(C)の含有量は、(I)層を構成するPO系樹脂(A)及びPLA系樹脂(B)の混合樹脂100質量部に対して、2質量部以上、好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは7質量部以上であり、30質量部以下、好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは15質量部以下であることが望ましい。調整剤(C)の含有量が2質量部以上であれば、透明性向上効果を発揮でき、また30質量部以下であれば、PO相へ調整剤(C)が移行したり、また混合樹脂相外へ移行したりすることを抑制できる。
4.相溶化剤(D)
本発明のフィルムは、上記PO系樹脂(A)、PLA系樹脂(B)、及び調整剤(C)以外に、PO系樹脂(A)とPLA系樹脂(B)の分散性を向上させ、より透明性や耐衝撃性の優れたフィルムとする目的で、PO系樹脂(A)とPLA系樹脂(B)の相溶化を促進させる樹脂(D)(以下「相溶化剤(D)」ともいう。)を含有させることもできる。相溶化剤(D)としては、PO系樹脂(A)とPLA系樹脂(B)との分散性を向上させるものであれば特に限定されるものではない。
(I)層に添加可能な好適な相溶化剤(D)を例示すれば、酢酸ビニル、アクリル酸、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エチル、メチル(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、及び(メタ)アクリル酸グリシジルからなる群から選ばれる少なくとも1種以上とエチレンとの共重合体;例えば無水マレイン酸変性SEBS、無水マレイン酸変性SEPS、エポキシ変性SEBS、エポキシ変性SEPSなどに代表される変性スチレン系樹脂;不飽和カルボン酸又はその無水物などで変性された変性オレフィン系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。相溶化剤(D)は単独であっても、2種以上を含有していてもよい。
相溶化剤(D)の含有量は、PO系樹脂(A)及びPLA系樹脂(B)の混合樹脂100質量部に対し、1質量部以上、好ましくは2質量部以上、さらに好ましくは3質量部以上であり、かつ30質量部以下、好ましくは25質量部以下、より好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは15質量部以下であることが望ましい。相溶化剤(D)の含有量が前記混合樹脂100質量部に対し1質量部以上含まれれば、フィルムに優れた透明性と耐衝撃性を付与できる。一方、相溶化剤(D)の含有量を30質量部以下とすることで、フィルムの剛性を維持できる。
相溶化剤(D)の市販品としては、例えば、エチレン系共重合体として「ボンドファースト」「ボンダイン」「アクリフト」(住友化学社製)、「エルバロイ」(三井・デュポンポリケミカル社製)、変性スチレン系樹脂として「エポフレンド」(ダイセル化学社製)、「タフテックM」(旭化成ケミカルズ社製)、「レゼダ」(日本合成社製)、変性ポリオレフィン系樹脂として「アドマー」(三井化学社製)、「モディック」(三菱化学社製)、「モディパーAシリーズ」(日本油脂社製)などが挙げられる。
<(II)層>
本発明のフィルムにおいて、(II)層は少なくとも1種のPLA系樹脂を主成分としてなる。(II)層で使用されるPLA系樹脂は、(I)層で例示したPLA系樹脂(B)の少なくとも1種からなる樹脂であり、特に構造単位がL−乳酸とD−乳酸との共重合体(ポリ(DL−乳酸))からなる樹脂を好適に用いることができる。(II)層を構成するPLA系樹脂は(I)層と同一でもよく、異なる共重合比を有するPLA系樹脂を単独又は2種以上を混合して用いることができる。
本発明のフィルムは、PLA系樹脂を主成分とする(II)層を有するため、ポリエチレンテレフタレート系樹脂やポリスチレン系樹脂からなる層と比較して優れた低温収縮性と剛性とを熱収縮性フィルムに付与できる。また、本発明において、(II)層はPLA系樹脂を主成分として構成されるため、(II)層がPO系樹脂で構成される熱収縮性フィルムと比較して印刷時に良好なインキ密着性が得られ、製膜後のコロナ処理等を省略でき、製造工程を簡略化できる。さらに、本発明のフィルムは、PLA系樹脂を主成分とする(II)層を表裏層として採用することにより、製袋時にTHFなどの溶剤によるシール性を良好にし、シール時における接着剤の使用を省略でき、製造コストの低廉化に資することができる。
本発明フィルムは、フィルムの収縮特性及び剛性(腰強さ)を損なわない範囲内で、フィルムの耐衝撃性を向上させる目的で(II)層を構成するPLA系樹脂にPLA系樹脂以外の他のゴム成分を添加することが好ましい。このゴム成分は特に限定されるものではないが、PLA系樹脂以外の脂肪族ポリエステル、芳香族−脂肪族ポリエステル、ジオールとジカルボン酸と乳酸系樹脂との共重合体やコアシェル構造ゴムなどを好適に使用できる。
前記脂肪族ポリエステルとしては、ポリヒロドキシカルボン酸、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸とを縮合して得られる脂肪族ポリエステル、環状ラクトン類を開環重合して得られる脂肪族ポリエステル、合成系脂肪族ポリエステルなどが挙げられる。前記ヒドロキシカルボン酸としては、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシカプロラクロン酸などのヒドロキシカルボン酸の単独重合体や共重合体を挙げることができる。
脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸とを縮合して得られる脂肪族ポリエステルとしては、次に説明する脂肪族ジオール及び脂肪族ジカルボン酸の中からそれぞれ1種類又は2種類以上を選んで縮合するか、あるいは必要に応じてイソシアネート化合物などで分子量をジャンプアップして所望の高分子として得ることができる重合体が挙げられる。ここで、脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどを挙げることができ、脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などが挙げられる。
また、環状ラクトン類を開環縮合した脂肪族ポリエステルとしては、環状モノマーであるε−カプロラクトン、σ−バレロラクトン、β−メチル−σ−バレロラクトンなどの開環重合体を挙げることができる。これらの環状モノマーは一種だけでなく、複数種を選択して共重合することもできる。
また、合成系脂肪族ポリエステルとしては、環状酸無水物とオキシラン類との共重合体、例えば、無水コハク酸とエチレンオキサイドとの共重合体、プロピオンオキサイドなどとの共重合体などを挙げることができる。
これらポリ乳酸系樹脂以外の脂肪族ポリエステルの代表的なものとしては、コハク酸と1,4−ブタンジオールとアジピン酸とを重合して得られる「ビオノーレ」(昭和高分子社製)を商業的に入手することができる。また、ε−カプロラクトンを開環縮合して得られるものとしては、「セルグリーン」(ダイセル化学工業社製)が挙げられる。
次に、芳香族−脂肪族ポリエステルとしては、脂肪族鎖の間に芳香環を導入することによって結晶性を低下させたものを用いることができる。芳香族−脂肪族ポリエステルは、例えば、芳香族ジカルボン酸と、脂肪族ジカルボン酸と、脂肪族ジオールとを縮合して得られる。
ここで、前記芳香族ジカルボン酸としては、例えばイソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、テレフタル酸が最も好適に用いられる。また、脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などが挙げられ、アジピン酸が最も好適に用いられる。なお、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸あるいは脂肪族ジオールは、それぞれ二種類以上を用いてもよい。
芳香族脂肪族ポリエステルの代表的なものとしては、テトラメチレンアジペートとテレフタレートの共重合体、ポリブチレンアジペートとテレフタレートの共重合体などが挙げられる。テトラメチレンアジペートとテレフタレートの共重合体としてEasterBio(Eastman Chemicals社製)、またポリブチレンアジペートとテレフタレートの共重合体として、Ecoflex(BASF社製)を商業的に入手することができる。
ポリ乳酸系樹脂とジオールとジカルボン酸の共重合体の構造としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体が挙げられ、いずれの構造でもよい。但し、フィルムの耐衝撃性及び透明性の観点から、ブロック共重合体又はグラフト共重合体が好ましい。ランダム共重合体の具体例としては「GS−Pla」(三菱化学社製)が挙げられ、ブロック共重合体又はグラフト共重合体の具体例としては「プラメート」(大日本インキ化学工業社製)が挙げられる。
ポリ乳酸系樹脂とジオールとジカルボン酸の共重合体の製造方法は、特に限定されないがジオールとジカルボン酸とを脱水縮合した構造を持つポリエステルまたはポリエーテルポリオールを、ラクチドと開環重合あるいはエステル交換反応させて得る方法が挙げられる。また、ジオールとジカルボン酸とを脱水縮合した構造を持つポリエステル又はポリエーテルポリオールを、ポリ乳酸系樹脂と脱水・脱グリコール縮合あるいはエステル交換反応させて得る方法がある。
ポリ乳酸系樹脂とジオールとジカルボン酸の共重合体は、イソシアネート化合物やカルボン酸無水物を用い手所定の分子量に調整することが可能である。但し、加工性、機械的特性の観点から、重量(質量)平均分子量は50,000以上、好ましくは100,000以上であり、かつ300,000以下、好ましくは250,000以下のものが望ましい。
コアシェル構造ゴムとしては、例えば、(メタ)アクリル酸−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体などのジエン系コアシェル型重合体、(メタ)アクリル酸−スチレン−アクリロニトリル共重合体などのアクリル系コアシェル型重合体、シリコーン−(メタ)アクリル酸−メチル(メタ)アクリル酸共重合体、シリコーン−(メタ)アクリル酸−アクリロニトリル−スチレン共重合体などのシリコーン系コアシェル型共重合体が挙げられる。この中でもポリ乳酸系樹脂との相溶性が良好であり、フィルムの耐衝撃性、透明性のバランスのとれるシリコーン−(メタ)アクリル酸−メチル(メタ)アクリル酸共重合体がより好適に用いられる。
具体的には、「メタブレン」(三菱レイヨン社製)、「カネエース」(カネカ社製)などが商業的に入手できる。
上記ゴム成分の添加量は、(II)層の主成分として含まれるPLA系樹脂100質量部に対し、100質量部以下、好ましくは80質量部以下、さらに好ましくは70質量部以下であることが好ましい。ゴム成分の添加量を100質量部以下とすることにより、フィルムの剛性、透明性を損なわず、熱収縮ラベルとして好適に使用することができる。また、ゴム成分の添加量を10質量部以上、好ましくは15質量部以上、さらに好ましくは20質量部以上とすることにより、フィルムに良好な耐衝撃性を付与することができる。
次に、本発明のフィルムの第2の態様(以下「第2態様」という。)について説明する。第2態様としては、前記(I)層と(II)層との間に接着性の向上を目的とした接着層として機能する(III)層を有する態様を例示できる。
<(III)層>
第2態様に含まれる(III)層は、接着性樹脂を主成分とする接着層である。接着性樹脂としては、上述した(II)層のPLA系樹脂に対し反応性又は親和性を有する部位と、(I)層のPO系樹脂と親和性を有する部位とを兼ね備えた樹脂が好適に用いられる。
具体的には、下記(a)、(b)及び(c)からなる群より選ばれる少なくとも1種の共重合体又は樹脂を用いることが好ましい。
(a)酢酸ビニル、アクリル酸、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エチル、メチル(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、及びメタクリル酸グリシジルからなる群から選ばれる1種の単位と、エチレン単量体単位とからなる共重合体(以下「エチレン系共重合体」ともいう。)
(b)軟質の芳香族系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体又はこれらの水素添加誘導体
(c)変性ポリオレフィン系樹脂
先ず(a)のエチレン系共重合体について説明する。上記エチレン系共重合体は、(I)層において相溶化剤としても機能し得るものであり、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メチル(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル−無水マレイン酸三元共重合体、エチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸三元共重合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−メタクリル酸グリシジル三元共重合体、エチレン−アクリル酸エチル−メタクリル酸グリシジル三元共重合体が挙げられる。中でも、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−メチル(メタ)アクリル酸共重合体を好適に使用できる。
上記エチレン系共重合体は、エチレン単量体単位の含有率が50質量%以上95質量%以下、好ましくは60質量%以上85質量%以下であることが望ましい。エチレン単量体単位の含有率が50モル%以上であれば、フィルム全体の剛性を良好に維持できるため、好ましい。一方、エチレン単位の含有率が95質量%以下であれば、柔軟性を十分に維持でき、フィルムに応力が加わった場合に、(I)層と(II)層の間に生じる応力への緩衝作用が働くため、層間剥離を抑えることができる。
上記エチレン系共重合体は、MFR(JIS K7210、温度:190℃、荷重:21.2N)が0.1g/10分以上、好ましくは1.0g/10分以上であり、15g/10分以下、好ましくは10g/10分以下のものが好適に用いられる。MFRが0.1g/10分以上であれば、押出加工性を良好に維持でき、一方、MFRが10g/10分以下で有れば積層フィルムの厚み斑や力学強度の低下を起こしにくく、好ましい。
上記エチレン系共重合体は、エチレン−酢酸ビニル−無水マレイン酸三元共重合体として「ボンダイン」(住友化学社製)、エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−メタクリル酸グリシジル三元共重合体、エチレン−アクリル酸エチル−メタクリル酸グリシジル三元共重合体として「ボンドファースト」(住友化学社製)などが商業的に入手できる。
次に、上記(b)の共重合体及びその水素添加誘導体について説明する。軟質の芳香族系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体を構成する芳香族系炭化水素としては、スチレンが好適に用いられ、α−メチルスチレン等のスチレン同族体なども用いることができる。また、共役ジエン系炭化水素としては、1,3−ブタジエン、1,2−イソプレン、1,4−イソプレン、1,3−ペンタジエン等が挙げられ、これらは水素添加誘導体であってもよい。これらは単独で、又は2種以上を混合して用いてもよい。
上記芳香族系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体又はその水素添加誘導体は、芳香族系炭化水素の含有率が共重合体の総量の5質量%以上、好ましくは7質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、かつ50質量%以下、好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは35質量%以下である軟質な共重合体であることが望ましい。芳香族系炭化水素の含有率が5質量%以上であれば、フィルムを(I)層に再生添加した場合に、良好な相溶性が得られ、フィルムの白濁化を抑えることができる。一方、芳香族系炭化水素の含有率が50質量%以下であれば、(II)層の柔軟性を低下させることなく、フィルムに応力が加わった場合に、(I)層と(II)層の間に生じる応力への緩衝作用が働くため、層間剥離を抑えることができる。
上記芳香族系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体の水素添加誘導体としては、スチレン−共役ジエン系ランダム共重合体の水素添加誘導体を好ましく用いることができる。スチレン−共役ジエン系ランダム共重合体の水素添加誘導体の詳細な内容及びその製造方法については、特開平2−158643号、特開平2−305814号及び特開平3−72512号の各公報に開示されている。
芳香族系炭化水素−共役ジエン系炭化水素共重合体は、上記例示した各々の共重合体を単独に、又は2種以上を混合して使用することができる。
芳香族系炭化水素−共役ジエン系炭化水素共重合体の市販品としては、スチレン−ブタジエンブロック共重合体エラストマーとして商品名「タフプレン」(旭化成ケミカルズ社製)、スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加誘導体として商品名「タフテックH」(旭化成ケミカルズ社製)、商品名「クレイトンG」(クレイトンジャパン社製)、スチレン−ブタジエンランダム共重合体の水素添加誘導体として商品名「ダイナロン」(JSR社製)、スチレン−イソプレンブロック共重合体の水素添加誘導体として商品名「セプトン」(クラレ)、スチレン−ビニルイソプレンブロック共重合体エラストマーとして商品名「ハイブラー」(クラレ社製)等が挙げられる。
また、上記芳香族系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体又はその水素添加誘導体は、極性基を導入することで、ポリ乳酸系樹脂を主成分とする(II)層との層間接着性を一層向上させることができる。導入する極性基としては、酸無水物基、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、カルボン酸塩化物基、カルボン酸アミド基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、スルホン酸塩化物基、スルホン酸アミド基、スルホン酸塩基、エポキシ基、アミノ基、イミド基、オキサゾリン基、水酸基などが挙げられる。極性基を導入したスチレン系化合物と共役ジエンの共重合体又はその水素添加誘導体としては、無水マレイン酸変性SEBS、無水マレイン酸変性SEPS、エポキシ変性SEBS、エポキシ変性SEPSなどが代表的に挙げられる。これらの共重合体は、各々単独に又は2種以上を混合して使用することができる。
具体的には、商品名「タフテックM」(旭化成ケミカルズ社製)、「エポフレンド」(ダイセル化学社製)などが市販されている。
次に、上記(c)の変性ポリオレフィン樹脂について説明する。本発明において、(II)層を構成し得る変性ポリオレフィン樹脂とは、不飽和カルボン酸又はその無水物、あるいはシラン系カップリング剤で変性されたポリオレフィンを主成分とする樹脂をいう。不飽和カルボン酸又はその無水物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、イタコン酸、無水イタコン酸あるいはこれらの誘導体のモノエポキシ化合物と上記酸とのエステル化合物、分子内にこれらの酸と反応し得る基を有する重合体と酸との反応生成物などが挙げられる。また、これらの金属塩も使用することができる。これらの中でも、無水マレイン酸がより好ましく用いられる。また、これらの共重合体は、各々単独に、又は2種以上を混合して使用することができる。
また、シラン系カップリング剤としては、ビニルトリエトキシシラン、メタクロイルオキシトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリアセチルオキシシランなどを挙げることができる。
変性ポリオレフィン樹脂を製造するには、例えば、予めポリマーを重合する段階でこれらの変性モノマーを共重合させることもできるし、一旦重合したポリマーにこれらの変性モノマーをグラフト共重合させることもできる。また変性はこれらの変性モノマーを単独で又は複数を併用し、その含有率が0.1質量%以上5質量%以下の範囲のものが好適に使用される。この中でもグラフト変性したものが好適に用いられる。
具体的には、商品名「アドマー」(三井化学社製)、「モディック」(三菱化学社製)などが市販されている。
また、本発明では、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内であれば、成形加工性、生産性及び熱収縮性フィルムの諸物性を改良・調整する目的で、(I)層、(II)層及び(III)層の各層にシリカ、タルク、カオリン等の無機粒子、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料、難燃剤、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、溶融粘度改良剤、架橋剤、滑剤、核剤、可塑剤、老化防止剤などの添加剤を適宜添加できる。
<フィルムの層構成>
本発明のフィルムは、PO系樹脂(A)とPLA系樹脂(B)と調整剤(C)とを主成分とする(I)層と、少なくとも1種のPLA系樹脂を主成分とする(II)層との少なくとも2層から構成される。
本発明のフィルムは、少なくとも上記2層を有すれば、層構成は特に限定されるものではない。好ましくは、フィルムの積層構成が(II)層/(I)層/(II)層からなる3層構成であり、より好ましくは(II)層/(III)層/(I)層/(III)層/(II)層からなる5層構成である。この層構成を採用することにより、本発明の目的である低温収縮性、フィルムの腰(常温での剛性)、収縮仕上がり性に優れ、かつ自然収縮が小さく、フィルムの層間剥離が抑制された、収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用途に適した熱収縮性積層フィルムを生産性、経済性よく得ることができる。
次に、本発明の好適な実施形態の例である(II)層/(I)層/(II)層の3層構成のフィルム、及び(II)層/(III)層/(I)層/(III)層/(II)層からなる5層構成のフィルムについて説明する。
各層の厚み比は、上述した作用効果を考慮して設定すればよく、特に限定されるものではない。フィルム全体の厚みに対する(II)層の厚み比は10%以上、好ましくは15%以上、さらに好ましくは20%以上であり、かつ70%以下、好ましくは50%以下、さらに好ましくは45%以下、最も好ましくは40%以下の範囲にすることができる。またフィルム全体の厚みに対する(I)層の厚み比は、20%以上、好ましくは25%以上、さらに好ましくは30% 以上であり、かつ90%以下、好ましくは85%以下、さらに好ましくは80%以下である。
(I)層と(II)層との間に(III)層を有する場合、(III)層はその機能から、0.5μm以上、好ましくは0.75μm以上、さらに好ましくは1μm以上であり、6μm以下、好ましくは5μm以下である。
各層の厚み比が上記範囲内であれば、フィルムの低温収縮性、腰強さ(常温での剛性)、収縮仕上がり性に優れ、かつ自然収縮が小さく、フィルムの層間剥離が抑制された、収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用途に適した熱収縮性積層フィルムが得ることができる。
本発明のフィルムの総厚みは特に限定されるものではないが、透明性、収縮加工性、原料コスト等の観点からは薄い方が好ましい。具体的には延伸後のフィルムの総厚みが80μm以下であり、好ましくは70μm以下であり、さらに好ましくは50μm以下であり、最も好ましくは40μm以下である。また、フィルムの総厚みの下限は特に限定されないが、フィルムのハンドリング性を考慮すると、10μm以上であることが好ましい。
<物理的・機械的特性>
本発明のフィルムは、80℃温水中10秒浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が30%以上であることが重要である。
これは、ペットボトルの収縮ラベル用途等の比較的短時間(数秒〜十数秒程度)での収縮加工工程への適応性を判断する指標となる。例えば、ペットボトルの収縮ラベル用途に適用される熱収縮性フィルムに要求される必要収縮率はその形状によって様々であるが一般に20%から70%程度迄の範囲である。
また、現在ペットボトルのラベル装着用途に工業的に最も多く用いられている収縮加工機としては、収縮加工を行う加熱媒体として水蒸気を用いる蒸気シュリンカーと一般に呼ばれているものである。熱収縮性フィルムは被覆対象物への熱の影響などの点からできるだけ低い温度で十分熱収縮することが必要である。さらに、近年のラベリング工程の高速化に伴い、より低温で素早く収縮する要求が高くなってきた。このような工業生産性も考慮して、前記条件における熱収縮率が30%以上のフィルムであれば、収縮加工時間内に十分に被覆対象物に密着することができるため好ましい。これらのことから、80℃の温水中に10秒浸漬したときの熱収縮率は、主収縮方向に30%以上、好ましくは40%以上、さらに好ましくは45%以上であり、上限は85%以下、好ましくは80%以下、さらに好ましくは75%以下であることが望ましい。
本発明のフィルムの耐衝撃性は、引張破断伸度により評価され、0℃環境下の引張試験において、特にラベル用途ではフィルムの引き取り(流れ)方向(MD)で引張破断伸度が100%以上、好ましくは150%以上、さらに好ましくは200%以上ある。0℃環境下での引張破断伸度が100%以上あれば印刷・製袋などの工程時にフィルムが破断するなどの不具合を生じにくくなり好ましい。また、印刷・製袋などの工程のスピードアップに伴ってフィルムに対してかかる張力が増加するような場合にも、引張破断伸度が100%以上あれば破断しづらく好ましい。 一方、引張破断伸度の上限は特に制限はないが500%程度であることが好ましい。
本発明のフィルムの透明性は、例えば、厚み50μmのフィルムをJIS K7105に準拠して測定した場合、フィルムのヘーズ値は15%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、7%以下であることがさらに好ましい。フィルムのヘーズ値が15%以下であれば、フィルムの透明性が得られ、ディスプレー効果を奏することができる。
また、本発明のフィルムは、リサイクルさられた本発明のフィルムを含む場合においても、厚み50μmのフィルムをJIS K7105に準拠して測定した場合におけるフィルムのヘーズ値が15%以下、好ましくは10%以下、さらに好ましくは7%以下であることができる。リサイクルされた本発明のフィルムを再生添加した後のフィルムのヘーズ値が15%以下であれば、再利用時においても良好な透明性を維持することができる。これにより、本発明のフィルムは、フィルムの製造工程において発生したフィルム両端部(耳)等を原料として再利用でき、かつ得られたフィルムにおける透明性を良好に維持することができる。再生添加後のフィルムのヘーズ値は、再生添加時の添加量を考慮して、調整剤(C)の含有量を適宜調節することによりヘーズ値を調整することができる。本発明の調整剤(C)は前記のようにPO系樹脂から形成される海相中にPLA系樹脂から形成される島相が分散している、いわゆる海島構造中において島相を形成するPLA系樹脂に選択的に以降させその屈折率を上昇させることを目的としている。従って、調整剤(C)の屈折率が高い場合には少量添加にて十分効果が発揮されるが、屈折率が低い場合には添加量を多くすることにより調整可能である。
<熱収縮性フィルムの製造方法>
本発明のフィルムは、公知の方法によって製造することができる。フィルムの形態としては平面状、チューブ状の何れであってもよいが、生産性(原反フィルムの幅方向に製品として数丁取りが可能)や内面に印刷が可能という点から平面状が好ましい。平面状のフィルムの製造方法としては、例えば、複数の押出機を用いて樹脂を溶融し、Tダイから共押出し、チルドロールで冷却固化し、縦方向にロール延伸をし、横方向にテンター延伸をし、アニールし、冷却し、(印刷が施される場合にはその面にコロナ放電処理をして、)巻取機にて巻き取ることによりフィルムを得る方法が例示できる。また、チューブラー法により製造したフィルムを切り開いて平面状とする方法も適用できる。
延伸倍率はオーバーラップ用等、二方向に収縮させる用途では、縦方向が2倍以上、好ましくは3倍以上であり、かつ10倍以下、好ましくは6倍以下であり、また横方向が2倍以上、好ましくは3倍以上であり、かつ10倍以下、好ましくは6倍以下である。一方、熱収縮性ラベル用等、主として一方向に収縮させる用途では、主収縮方向に相当する方向が2倍以上10倍以下、好ましくは4倍以上8倍以下、それと直交する方向が1倍以上2倍以下(1倍とは延伸していな場合を指す)、好ましくは1.1倍以上1.5倍以下の、実質的には一軸延伸の範疇にある倍率比を選定することが望ましい。前記範囲内の延伸倍率で延伸した二軸延伸フィルムは、主収縮方向と直交する方向の熱収縮率が大きくなりすぎることはなく、例えば、収縮ラベルとして用いる場合、容器に装着するとき容器の高さ方向にもフィルムが熱収縮する、いわゆる縦引け現象を抑えることができるため好ましい。
延伸温度は、用いる樹脂のガラス転移温度や熱収縮性フィルムに要求される特性によって変える必要があるが、本発明のフィルムの場合、概ね50℃以上、好ましくは60℃以上であり、上限が130℃以下、好ましくは110℃以下の範囲で制御することができる。次いで、延伸したフィルムは、必要に応じて、自然収縮率の低減や熱収縮特性の改良等を目的として、50℃以上100℃以下程度の温度で熱処理や弛緩処理を行った後、分子配向が緩和しない時間内に速やかに冷却され、熱収縮性フィルムとなる。
また本発明のフィルムは、必要に応じてコロナ処理、印刷、コーティング、蒸着等の表面処理や表面加工、さらには、各種溶剤やヒートシールによる製袋加工やミシン目加工などを施すことができる。
本発明のフィルムは、被包装物によってフラット状から円筒状等に加工して包装に供される。ペットボトル等の円筒状の容器で印刷を要するものの場合、まずロールに巻き取られた広幅のフラットフィルムの一面に必要な画像を印刷し、そしてこれを必要な幅にカットしつつ印刷面が内側になるように折り畳んでセンターシール(シール部の形状はいわゆる封筒貼り)して円筒状とすれば良い。センターシール方法としては、有機溶剤による接着方法、ヒートシールによる方法、接着剤による方法、インパルスシーラーによる方法が考えられる。この中でも、生産性、見栄えの観点から有機溶剤による接着方法が好適に使用される。
[成形品、熱収縮性ラベル及び容器]
本発明のフィルムは、フィルムの低温収縮性、収縮仕上がり性、透明性、自然収縮等に優れているため、その用途が特に制限されるものではないが、必要に応じて印刷層、蒸着層その他機能層を形成することにより、ボトル(ブローボトル)、トレー、弁当箱、総菜容器、乳製品容器等の様々な成形品として用いることができる。特に本発明のフィルムを食品容器(例えば清涼飲料水用または食品用のPETボトル、ガラス瓶、好ましくはPETボトル)用熱収縮性ラベルとして用いる場合、複雑な形状(例えば、中心がくびれた円柱、角のある四角柱、五角柱、六角柱など)であっても該形状に密着可能であり、シワやアバタ等のない美麗なラベルが装着された容器が得られる。本発明の成形品及び容器は、通常の成形法を用いることにより作製することができる。
本発明のフィルムは、優れた収縮特性、収縮仕上がり性を有するため、高温に加熱すると変形を生じるようなプラスチック成形品の熱収縮性ラベル素材のほか、熱膨張率や吸水性等が本発明の熱収縮性フィルムとは極めて異なる材質、例えば金属、磁器、ガラス、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリメタクリル酸エステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂から選ばれる少なくとも1種を構成素材として用いた包装体(容器)の熱収縮性ラベル素材として好適に利用できる。
本発明のフィルムが利用できるプラスチック包装体を構成する材質としては、前記の樹脂の他、ポリスチレン、ゴム変性耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、スチレン−ブチルアクリレート共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、(メタ)アクリル酸−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等を挙げることができる。これらのプラスチック包装体は2種以上の樹脂類の混合物でも、積層体であってもよい。
以下に本発明のフィルムについて、実施例を用いてさらに詳細に説明する。
なお、実施例に示す測定値及び評価は次のように行った。実施例では、フィルムの引き取り(流れ)方向をMD、その直角方向をTDと記載する。
(1)熱収縮率
フィルムをMD100mm、TD100mmの大きさに切り取り、80℃の温水バスに10秒間それぞれ浸漬し、収縮量を測定した。熱収縮率は、MD及びTDについて、収縮前の原寸に対する収縮量の比率を%値で表示した。
熱収縮率(%)={(収縮前の寸法−収縮後の寸法)/収縮前の寸法}×100
(2)フィルムの透明性
JIS K7105に準拠してフィルム厚み50μmでフィルムのヘーズ値を測定し、下記基準にて判断した。
◎:ヘーズ値が10%未満
○:ヘーズ値が10%以上15%未満
×:ヘーズ値が15%以上
(3)フィルムの外観
得られたフィルムの外観を下記の基準で評価した。
◎:フィルムに斑がほとんどなく、外観が良い。
○:フィルムの斑は多少あるが、実用上問題はない。
×:フィルムの斑が激しく、著しく外観が悪い。
(4)引張破断伸度
JIS K7127に準じて、1号形試験片(全長100mm、幅15mmの短冊)を掴み具間距離40mmにおいて、温度、23℃では試験速度200mm/分の条件でフィルム主収縮方向(TD)と直交する方向(MD)について、温度0℃では試験速度100mm/分の条件で直交する方向(MD)について引張破断伸度を測定した。
<23℃>
◎:引張破断伸度がTD50%以上、MD400%以上
○:引張破断伸度がTD40%以上50%未満、MD200%以上400%未満
×:引張破断伸度がTD30%未満、MD200%未満
<0℃>
◎:引張破断伸度がMD300%以上
○:引張破断伸度がMD100%以上300%未満
×:引張破断伸度がMD100%未満
(5)引張弾性率
JISK7127に準じて、温度23℃の条件でフィルムの主収縮方向と直交方向(縦方向)について測定した。
[使用した樹脂]
1.PO系樹脂(A)
PO1:日本ポリエチ社製LLDPE「カーネルKF261」
SP値8.56(cal/cm30.5、屈折率1.499、MFR2.4g/10分、
融点102℃
2.PLA系樹脂(B)
(1)PLA1
NatureWorksLLC社製ポリ乳酸「NatureWorks4050D」
SP値11.2(cal/cm30.5、屈折率1.453、L体:D体比=95:5
(2)PLA2
NatureWorksLLC社製ポリ乳酸「NatureWorks4060D」
SP値11.2(cal/cm30.5、屈折率1.453、L体:D体比=88:12
(3)PLA3
大日本インキ化学工業社製軟質ポリ乳酸系樹脂「プラメートPD150」
3.調整剤(C)
C1:大八化学工業社製トリフェニルホスファイト「TPP」
SP値:10.7(cal/cm30.5、屈折率:1.587
4.相溶化剤
D1:住友化学社製Et‐GMA共重合体「ボンドファースト7M」
5.接着性樹脂
AD1:クラレ社製水添SIS「ハイブラー7125」
(実施例1)
表1に示すように、(II)層を構成する樹脂として、PLA1を40質量%、PLA2を50質量%、PLA3を10質量%混合した樹脂を用い、(I)層を構成する樹脂として、PO1を70質量%、PLA1を11質量%、PLA2を16質量%、PLA3を1質量%、及びAD1を2質量%混合した樹脂100質量部に対して、調整剤(C)としてC1を5.5質量部、さらに相溶化剤(D)としてD1を4.5質量部混合した樹脂を(I)層を構成する樹脂として、さらに(III)層を構成する樹脂としてAD1を100質量部それぞれ用いた。
各樹脂をそれぞれ別個の三菱重工業株式会社製単軸押出機に投入し、設定温度200℃〜230℃で溶融混合後、各層の厚みが(I)層/(III)層/(II)層/(III)層/(I)層=40μm/10μm/150μm/10μm/40μmとなるよう3種5層ダイスより共押出し、50℃のキャストロールで引き取り、冷却固化させて幅300mm、厚さ250μmの未延伸積層シートを得た。次いで、京都機械株式会社製フィルムテンターにて、予熱温度80℃、延伸温度75℃で横一軸方向に5.0倍に延伸した後、85℃で熱弛緩処理を行い、厚さ50μmの熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムについて各評価を行い、評価項目の全てが優秀な結果を示したフィルムを(◎)、一部の評価に良が含まれているフィルムを(○)、1つでも基準を満たしていないフィルムを(×)として総合評価した。評価した結果を表2に示す。
(比較例1)
(I)層に調整剤(C)を含まないこと以外は実施例1と同様の方法により熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムにつき実施例1と同様の評価を行い、その結果を表2に示す。
Figure 0005052243
Figure 0005052243
表1及び2より、本発明で規定される範囲の層構成からなる熱収縮性フィルムは、低温収縮性、腰の強さ、収縮仕上がり性、及び透明性がいずれも優れたフィルムであった。これに対し、(I)層に調整剤(C)を含まない場合(比較例1)には、良好な透明性は得られなかった。
これより、本発明の熱収縮性積層フィルムは、低温収縮性を有し、腰の強さがあり、収縮仕上がり性と透明性に優れた熱収縮性フィルムであることが分かる。
低温収縮性、透明性、収縮仕上がり性を有するため、熱収縮性を必要とする包装等の成形品、特にシュリンクラベル等の用途に適した熱収縮性積層フィルムを提供することが出来る。また、PLA系樹脂は植物由来であるためバイオマス利用を促進し、さらに再生添加が可能であるため、リサイクルに貢献し得る。

Claims (11)

  1. 下記(I)層と(II)層との少なくとも2層からなる積層フィルムを少なくとも一方向に延伸してなる熱収縮性積層フィルムであって、各層が下記樹脂を主成分としてなり、かつ80℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が30%以上であることを特徴とする熱収縮性積層フィルム。
    (I)層:ポリオレフィン系樹脂(A)と、ポリ乳酸系樹脂(B)と、ポリオレフィン系樹脂(A)及びポリ乳酸系樹脂(B)の屈折率を調整可能な調整剤(C)とからなり、前記調整剤(C)の溶解パラメーター(SP値)が10.0(cal/cm 3 ) 0.5 以上12.5(cal/cm 3 ) 0.5 以下であり、前記調整剤(C)の屈折率が1.500以上であり、かつ前記調整剤(C)の含有量がポリオレフィン系樹脂(A)及びポリ乳酸系樹脂(B)の混合樹脂100質量部に対して2質量部以上30質量部以下である混合樹脂組成物
    (II)層:少なくとも1種のポリ乳酸系樹脂
  2. 前記(I)層が、ポリオレフィン系樹脂(A)とポリ乳酸系樹脂(B)の相溶化を促進させる樹脂(D)を、ポリオレフィン系樹脂(A)及びポリ乳酸系樹脂(B)の混合樹脂100質量部に対して1質量部以上20質量部以下含有する請求項1に記載の熱収縮性積層フィルム。
  3. 前記(I)層と前記(II)層との間に接着性樹脂を主成分としてなる(III)層を有する請求項1又は2に記載の熱収縮性積層フィルム。
  4. 前記(I)層のポリオレフィン系樹脂(A)とポリ乳酸系樹脂(B)との質量比(A/B)が97/3〜70/30である請求項1〜3のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
  5. 前記(I)層を構成するポリ乳酸系樹脂(B)及び/又は前記(II)層を構成するポリ乳酸系樹脂が、D−乳酸とL−乳酸との共重合体であって、D−乳酸とL−乳酸との比(D/L比)が3/97〜15/85、又は85/15〜97/3である請求項1〜4のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
  6. 前記(I)層を構成するポリオレフィン系樹脂(A)が、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、又はこれらの混合物である請求項1〜5のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
  7. 前記調整剤(C)がジエチルフタレート、ジメチルフタレート、n−ブチルベンゼンスルホンアミド、ブチルベンジルフタレート、トリクレジルホスファイト、クレジルジフェニルホスファイト、及びトリフェニルホスファイトからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜6のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
  8. 前記樹脂(D)が酢酸ビニル、アクリル酸、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エチル、メチル(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、及び(メタ)アクリル酸グリシジルからなる群から選ばれる少なくとも1種とエチレンとの共重合体、変性スチレン系樹脂、並びに変性オレフィン系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜7のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルムを基材として用いた成形品。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルムを基材として用いた熱収縮性ラベル。
  11. 請求項9に記載の成形品又は請求項10に記載の熱収縮性ラベルを装着した容器。
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