JP4452014B2 - ポリ乳酸系樹脂フィルム、及び、ポリ乳酸系樹脂溶断シール袋 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生分解性樹脂フィルムに関し、特には、ポリ乳酸系樹脂を用いて形成してなるフィルム、及びそのようなフィルムからなる溶断シール袋に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のプラスチック容器やプラスチック包装材料等のプラスチック製品は、使い捨てされることが多い。使用済みのプラスチック製品を廃棄する際には、焼却又は埋め立て等の処理が為されるが、環境保護等の観点から、この処理の仕方が大きな問題となっている。包装材料として使用される代表的なプラスチックとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が挙げられるが、これらのプラスチックは燃焼時の発熱量が多いので、燃焼処理中に燃焼炉を傷める恐れがある。また、現在でも使用量の多いポリ塩化ビニルは、焼却すると有害なガスを発生する。このため、これらのプラスチック製品は埋め立て処理されることが多い。
【0003】
一方、埋め立て処分する場合においても、これらのプラスチック製品は化学的安定性が高いので、自然環境下ではほとんど分解されない。このため、半永久的に土中に残留し、ゴミ処理用地の能力を短期間で飽和させてしまう。また、自然環境中に投棄されると、景観を損なったり、海洋生物等の生活環境を破壊してしまう。
【0004】
そこで、近年、環境保護の観点から、生分解性プラスチックに関する研究、開発が活発に行われている。生分解性プラスチックは、土中や水中で、加水分解や生分解により、徐々に崩壊・分解が進行し、最終的に微生物の作用により無害な分解物となる。生分解性プラスチックとしては、ポリ乳酸系樹脂、脂肪族ポリエステル、変性PVA(ポリビニールアルコール)、セルロースエステル化合物、デンプン変性体、及び、これらのブレンド体等があり、これらは既に実用化され始めている。
【0005】
特に、ポリ乳酸系樹脂は、コストパフォーマンスが高く、出発原料が植物に由来するので石油資源の枯渇から脱却できるといった理由から、大きな注目を集めている。ポリ乳酸系樹脂フィルムは高剛性や透明性を有しており、そのような特性を活かして、ポリスチレン(PS)やポリエチレンテレフタレート(PET)の代替材料として利用されている。例えば、特開平7−207041号公報には、PSやPET等の代替材料として、延伸加工を施して配向させたポリ乳酸系樹脂フィルムが開示されている。
【0006】
一方、食品包装をはじめとする電子、医療、薬品、化粧品等の各種包装用フィルム、農業用フィルム、工業用保護フィルム、粘着テープ等の材料には、ポリプロピレン延伸フィルム(OPP)が広く用いられている。このような分野において使用されるフィルムの材料には、2次加工工程や実用面から、柔軟性、溶断シール強度、耐熱性、湿熱耐久性といった特性が要求される。しかしながら、ポリ乳酸系樹脂からなるフィルムは、硬すぎたり、溶断シール強度が低すぎるといった問題点があり、OPPへの代替は行われていない。
【0007】
このような問題点を解決するために、特開平7−177826号公報や特表平8−501584号公報には、ポリ乳酸系樹脂に可塑剤を添加したフィルムが開示されている。しかしながら、そのようなフィルムであっても、OPPへの代替として用いるためには、やはり耐熱性(熱寸法安定性)や湿熱耐久性が乏しく、実用的ではない。また、溶断シール機を用いて溶断シール袋を作る際に、それらのフィルムは機械への良好な適性を有しているとは言えない。
【0008】
【特許文献1】
特開平7−207041号公報
【特許文献2】
特開平7−177826号公報
【特許文献3】
特表平8−501584号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記問題に鑑み、本発明は、ポリ乳酸系樹脂が本来有している生分解性に加え、OPPに類似した物理特性と、優れた耐熱性、湿熱耐久性、良好な巻き取り性、耐ブロッキング性を有すると共に、含有する可塑剤のブリードアウトを抑制したポリ乳酸系樹脂フィルム、及び、このポリ乳酸系樹脂フィルムを用いて形成されたポリ乳酸系樹脂溶断シール袋を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明のポリ乳酸系樹脂フィルムは、少なくとも表裏層を有する積層体を延伸したフィルムであって、前記表裏層が、それぞれ、ポリ乳酸系樹脂と、平均粒子径が0.5〜5μmの不活性粒子を、該ポリ乳酸系樹脂100質量部に対して0.02〜0.5質量部含有し、かつ、フィルム全体としては、ポリ乳酸系樹脂67〜96質量%と可塑剤4〜33質量%とを合計で100質量%となるように含むことを特徴とする。
ここで、前記フィルムの20℃における貯蔵弾性率は、0.5〜3.0GPaであることができる。
また、前記フィルムは、120℃×15分における加熱収縮率が、縦方向及び横方向共に10%以下であることができる。
また、前記可塑剤は、常圧における沸点が220℃以上であるか、又は、5〜10torrにおける沸点が170℃以上であることができる。
本発明のポリ乳酸系樹脂溶断シール袋は、上記ポリ乳酸系樹脂フィルムを溶断シールすることにより袋状に成形してなることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のポリ乳酸系樹脂フィルムは、両表面に表面層及び裏面層を有し、表面層と裏面層との間に中間層を有する積層体であって、表面層及び裏面層は、平均粒子径が0.5〜5μmの不活性粒子を含有する。また、中間層は、1層又は2層以上からなってもよく、可塑剤及びポリ乳酸系樹脂を含むが、表裏面層及び中間層を含むフィルム全体において、ポリ乳酸系樹脂:可塑剤=96〜67質量%:4〜33質量%である。
【0012】
なお、フィルムとは、JISにおける定義上、長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいう。ところで、シートとは、薄く、一般にその厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう。(JIS K 6900)。フィルムとシートの境界は定かでなく、明確に区別しにくいので、本願においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
【0013】
本発明のポリ乳酸系樹脂フィルムは、ポリ乳酸系樹脂を主成分とする樹脂組成物からなる。本発明において使用されるポリ乳酸系樹脂としては、構造単位がL−乳酸であるポリ(L−乳酸)、構造単位がD−乳酸であるポリ(D−乳酸)、構造単位がL−乳酸及びD−乳酸の両方である共重合体、即ち、ポリ(DL−乳酸)、及びこれらの混合体が挙げられる。
ポリ乳酸系樹脂の構成としてはD−乳酸:L−乳酸=100:0〜90:10、もしくはL−乳酸:D−乳酸=0:100〜10:90であることが好ましい。かかる範囲を外れる構成の乳酸系樹脂は、結晶性が低くなり耐熱性に劣るものとなる。なお、本発明においては、異なったL−乳酸(以下、L体と称すこともある)とD−乳酸(以下、D体と称すこともある)の共重合比を有する複数の乳酸系樹脂をブレンドしてもよく、この場合には、複数の乳酸系樹脂のL体とD体の共重合比の平均値が上記範囲に入るようにする。L体またはD体のホモポリマーと、共重合体をブレンドすると、ブリードのしにくさと耐熱性の発現とのバランスをとることができるので好ましい。
【0014】
ポリ乳酸系樹脂の重合法としては、縮合重合法、開環重合法等の公知の方法を採用することができる。例えば、縮合重合法では、L−乳酸又はD−乳酸、あるいはこれらの混合物等を直接脱水縮合重合して、任意の組成を有するポリ乳酸系樹脂を得ることができる。
また、開環重合法(ラクチド法)では、乳酸の環状2量体であるラクチドを、必要に応じて重合調整剤等を用いながら、適当な触媒、例えばオクチル酸スズ等を使用してポリ乳酸系樹脂を得ることができる。ラクチドには、L−乳酸の2量体であるL−ラクチド、D−乳酸の2量体であるD−ラクチド、さらに、L−乳酸とD−乳酸からなるDL−ラクチドがあり、これらを必要に応じて混合して重合することにより任意の組成、結晶性を有するポリ乳酸系樹脂を得ることができる。
【0015】
本発明においては、耐熱性を向上させる等のために、少量の共重合成分として、テレフタル酸等の非脂肪族ジカルボン酸、及び/又はビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等の非脂肪族ジオール等を用いることができる。また、分子量増大を目的として、少量の鎖延長剤、例えば、ジイソシアネート化合物、エポキシ化合物、酸無水物等を使用することもできる。
本発明に用いられるポリ乳酸系樹脂は、さらに乳酸及び/又は乳酸以外のα−ヒドロキシカルボン酸等の他のヒドロキシカルボン酸単位との共重合体であっても、脂肪族ジオール及び/又は脂肪族ジカルボン酸との共重合体であっても良い。
ただし、ポリ乳酸成分は50質量%以上含むものとする。
【0016】
他のヒドロキシカルボン酸単位としては、乳酸の光学異性体(L−乳酸に対してはD−乳酸、D−乳酸に対してはL−乳酸)、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3、3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシカプロン酸等の2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸やカプロラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン等のラクトン類が挙げられる。
【0017】
ポリ乳酸系樹脂に共重合される脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。また、脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、及び、ドデカン二酸等が挙げられる。
【0018】
本発明において使用されるポリ乳酸系樹脂は、重量平均分子量が5万〜40万の範囲であることが好ましく、さらには、10万〜25万の範囲であることが好ましい。ポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量が小さすぎると機械物性や耐熱性等の実用物性がほとんど発現されず、大きすぎると溶融粘度が高くなりすぎて成形加工性に劣ることがある。
【0019】
本発明においては、耐衝撃性や耐寒性を向上させる等のために、ガラス転移温度(Tg)が0℃以下の脂肪族ポリエステル樹脂や、脂肪族芳香族ポリエステル樹脂を、ポリ乳酸系樹脂100質量部に対して70質量部以下でブレンドしても良い。このような脂肪族ポリエステル樹脂としては、例えば、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を縮合して得られる脂肪族ポリエステル、環状ラクトン類を開環重合した脂肪族ポリエステル、合成系脂肪族ポリエステル等のポリ乳酸系樹脂を除く脂肪族ポリエステル樹脂が挙げられる。
【0020】
具体的には、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を縮合して得られる脂肪族ポリエステルは、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族ジオール、またはこれらの無水物や誘導体と、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸、またはこれらの無水物や誘導体の中からそれぞれ1種類以上選んで縮合重合することにより得られる。この際に、必要に応じてイソシアネート化合物等でジャンプアップすることにより、所望のポリマーを得ることができる。また、耐熱性や機械強度を高めるために、ジカルボン酸成分として50mol%以下のテレフタル酸等の芳香族モノマー成分を共重合しても良い。このような成分を含む生分解性プラスチックとして、例えば、商品名「イースターバイオ」(イーストマンケミカル社製)や、商品名「エコフレックス」(BASF社製)が挙げられる。
【0021】
或いは、環状ラクトン類を開環重合した脂肪族ポリエステルは、環状モノマーとして、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン等から1種類以上を選択して、重合することにより得ることができる。
さらに、合成系脂肪族ポリエステルとしては、無水コハク酸等の環状酸無水物と、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のオキシラン類との共重合体等が挙げられる。
【0022】
本発明のポリ乳酸系樹脂フィルムは、全体として、ポリ乳酸系樹脂96〜67質量%と、可塑剤4〜33質量%とを合計で100質量%となるように含有している。可塑剤の量がこの範囲を逸脱すると、OPPに類似した特性を有するフィルムとして好適な特性が付与されなくなる。即ち、可塑剤の量が4質量%より少ない場合には、ポリ乳酸系樹脂の軟質化そのものが進まず、一方、33質量%より多い場合には、フィルム成形する際の溶融押出時に粘度が下がり過ぎたり、耐熱性が得られないという問題が生じてしまう。
【0023】
可塑剤としては、相溶性や生分解性の観点から、次に示す化合物の中から少なくとも1種類を選択して混合することが好ましい。
(1) H5C3(OH)3-n(OOCCH3)n ただし、0<n≦3
即ち、グリセリンのモノ−、ジ−、又はトリアセテ−トである。これらは、単独でも混合物でも構わないが、nは3に近い方が好ましい。
(2)グリセリンアルキレート又はジグリセリンテトラアルキレート
アルキル基は炭素数2〜20であり、水酸基の残基があってもよい。例えば、グリセリントリプロピオネート、グリセリントリブチレート、ジグリセリンテトラアセテート、アセチル化モノグリセライド変性物(例えば、商品名:PL009(理研ビタミン株式会社製))が挙げられる。
(3)エチレングリコールアルキレート
アルキル基は炭素数1〜20であり、水酸基の残基があってもよい。例えば、エチレングリコールジアセテートが挙げられる。
(4)エチレン繰り返し単位が5以下のポリエチレングリコールアルキレート
アルキル基は炭素数1〜20であり、水酸基の残基があってもよい。例えば、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジアセテートが挙げられる。
(5)脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル
アルキル基は炭素数1〜20である。例えば、ステアリン酸ブチルが挙げられる。
(6)脂肪族ジカルボン酸アルキルエステル
アルキル基は炭素数1〜20であり、カルボキシル基の残基があってもよい。例えば、ジ(2−エチルヘキシル)アジペート、ジ(2−エチルヘキシル)アゼレートが挙げられる。
(7)芳香族ジカルボン酸アルキルエステル
アルキル基は炭素数1〜20であり、カルボキシル基の残基があってもよい。例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートが挙げられる。
(8)脂肪族トリカルボン酸アルキルエステル
アルキル基は炭素数1〜20であり、カルボキシル基の残基があってもよい。例えば、クエン酸トリメチルエステルが挙げられる。
(9)重量平均分子量2万以下の低分子量脂肪族ポリエステル
例えば、コハク酸とエチレングリコール/プロピレングリコール縮合体(商品名:ポリサイザー(大日本インキ株式会社製))が挙げられる。
(10)天然油脂及びそれらの誘導体
例えば、大豆油、エポキシ化大豆油、ひまし油、桐油、菜種油が挙げられる。
【0024】
可塑剤は、常圧(1気圧)における沸点が好ましくは220℃以上、さらに好ましくは250℃以上であるか、或いは、5〜10torrにおける沸点が好ましくは170℃以上、さらに好ましくは180℃以上である。常圧における沸点が220℃未満か、あるいは5〜10torrにおける沸点が170℃未満では、耐熱性向上に好適なD体とL体の比を有するポリ乳酸系樹脂を溶融押出加工する際に、押出温度で可塑剤が揮発しやすくなることがある。なお、ポリ乳酸系樹脂はL体とD体の組成比によって融点が変化することや、脂肪族ポリエステルとの混合割合等を考慮して、適宜押出温度を選択する必要がある。
【0025】
また、ポリ乳酸系樹脂に対する相溶性の観点から、可塑剤の溶解性パラメータ(SP値)は9.0〜11.0の範囲であることが好ましい。例えば、ジグリセリンテトラアセテート(5torrにおける沸点193℃、SP値10.3)は、比較的ブリードし難く、経済性の観点からも可塑剤として好ましい。また、アセチルトリブチルシトレート(5torrにおける沸点約210℃、SP値9.4)は、食品包装用として衛生性の観点から特に好ましい。
【0026】
しかしながら、上記のように好ましい可塑剤であっても、可塑剤の添加量によっては、表面及び裏面から可塑剤がブリードアウトし、表面がべとつくことがある。したがって、このフィルムで製品等を包装した場合には、被包装体である製品等を汚染することがある。特に、フィルムの柔軟性を高めるために可塑剤を多く含有させた場合や、或いは、比較的相溶性の低い可塑剤を使用した場合には大きな問題となる。また、可塑剤を多く含有させると柔軟性は向上するが、フィルムのガラス転移温度が室温以下にまでなると、フィルムの表面が粘着性を示すことがある。さらに、フィルムの巻き取り性が低くなるという問題も生じてしまう。
【0027】
ところで、OPPやPET等のフィルムにおいては、巻き取り性を向上させ、巻き上げ状態を良好にするために、フィルム表面を粗すことが行われている。例えば、フィルム材料に無機粒子等を混合してフィルム成形し、延伸して熱処理を行うことにより、フィルム表面に突起状物を形成することができる。この突起状物によってフィルム表面の摩擦係数が低下すると共に、巻き上げたフィルムとフィルムとの間に隙間ができて適度に空気を含むので、ロール状に巻回したフィルムの外観がきれいに仕上がる。これに対して、適度に空気を含まない場合には、巻き上げた状態がぎすぎすした感じになり、所謂フィッシュアイのような「粒跡」が、巻き上げたフィルムの随所に現れるようになる。可塑剤がフィルム表面にブリードアウトしている場合には、摩擦は更に大きくなり、フィルム製品としての品質が損なわれる。さらに、可塑剤を多量に混合したフィルムは、延伸工程や熱処理工程によって突起状物が形成され難く、形成されたとしても突起高さが低いものとなり、巻き取り性を向上させるまでに至らない。突起高さを高くするためには、フィルム材料に混合する粒子の径を大きくすることが考えられるが、その場合にはフィルムの透明性が低下するので、透明性が要求される場合には適していない。
【0028】
本発明においては、ポリ乳酸系樹脂フィルムを中間層及び表裏面層を有する積層構成とし、中間層は比較的多くの量の可塑剤を配合した層とし、表裏面層は可塑剤が配合されていないか、或いは、比較的低い割合で配合されている層とする。具体的には、表裏面層は、ポリ乳酸系樹脂85〜100質量%と可塑剤0〜15質量%とを合計で100質量%となるように含むことが好ましい。本発明においては、表裏層に可塑剤を含まないことが特に好ましい。可塑剤の配合割合が15質量%を越えると、表面層と裏面層のガラス転移温度が室温より低下し、フィルム表面が粘着性を示すようになるからである。また、可塑剤が表面層、裏面層の表面にブリードアウトしてくるからである。これらの表面層及び裏面層には、不活性粒子がさらに配合されている。
【0029】
このように、表面層及び裏面層に含まれる可塑剤の割合を低く抑えることにより、表面層及び裏面層のガラス転移温度が室温以下にならないようにすることができる。また、フィルム形成の際、中間層に含まれる可塑剤が表面層及び裏面層に移行しようとするが、熱処理工程においてフィルム表面が結晶化するので、表裏面層への可塑剤の移行を阻止することができる。このため、可塑剤がフィルム表面にブリードアウトすることのない、耐熱性があるフィルムを得ることができる。さらに、不活性粒子を含有する表面層及び裏面層は可塑剤の配合割合が低いので、延伸工程や熱処理工程において突起状物を形成する際にも、突起高さが低くなることがない。したがって、表面層及び裏面層に配合する不活性粒子の径を大きくする必要もなく、また、透明性を維持することができるので透明性が要求される場合にも対応することができる。
【0030】
表面層及び裏面層に混合する不活性粒子は、平均粒子径が0.5〜5μmの範囲であることが必要であり、1〜4μmの範囲であることが好ましい。また、混合する粒子の部数は、表面層(又は裏面層)を構成するポリ乳酸系樹脂及び可塑剤の合計質量が100質量部に対して、0.02〜0.5質量部であることが必要であり、0.05〜0.4質量部であることが好ましい。不活性粒子の平均粒子径が0.5μm未満か、配合量が0.05質量部未満であると、透明性には優れるがフィルムのすべりが悪くなり、巻き取り性が低下する。一方、平均粒子径が5μmより大きいか、配合量が0.5質量部より多いと、巻き取り性は向上するが、透明性が低下する。従って、フィルムに透明性が要求される場合には、平均粒子径が5μm以下で、配合量が0.5質量部以下であることが必要である。具体的には、フィルム全体におけるヘイズを10%以下に設計することが好ましい。
【0031】
表面層及び裏面層に混合される不活性粒子としては、OPPやPETフィルム等に使用されている公知の不活性粒子を使用することができる。これには、例えば、シリカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン等の無機粒子や、アクリレート粒子、スチレン粒子等の樹脂系有機粒子等が挙げられる。しかしながら、樹脂系有機粒子は、使用する可塑剤によって膨潤したり溶解することがあるので、組み合わせについて考慮する必要があり、また、生分解性という観点から天然にある無機粒子と比較すると、使用を避ける方が好ましい。
【0032】
本発明のポリ乳酸系樹脂フィルムの製造においては、先に述べた不活性粒子の他に、諸物性を調整する目的で、熱安定剤、抗酸化剤、UV吸収剤、光安定剤、顔料、着色剤、滑剤、核剤、無機フィラー等の添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で添加することもできる。
【0033】
本発明のポリ乳酸系樹脂フィルムの製造方法としては、通常の延伸フィルム成形法であれば、任意の方法を採ることができる。例えば、テンター延伸法、ロール延伸法、チューブラー法、インフレーション法等が挙げられる。ここでは、テンター法による延伸フィルムの製造方法について言及するが、これらに限定されるものではない。
【0034】
また、ポリ乳酸系樹脂フィルムの製造においては、組成物原料を、あらかじめ同方向2軸押出機、ニーダー、ヘンシェルミキサー等を用いてプレコンパウンドしても構わないし、各原料をドライブレンドして直接フィルム押出機に投入しても構わない。可塑剤等の液状成分は、固体成分と同時にブレンドしても良いし、固体成分とは別に、ポンプ等を用いて押出機のベント口から注入しても良い。
【0035】
延伸フィルム、特に2軸延伸フィルムの製造では、必要に応じて赤外線ヒーターを併用しつつ、加熱ロールにフィルムを接触させロール間の周速差により縦延伸を行う工程と、レール上を稼動しているクリップによってフィルムを把持し、加熱炉に導いて延伸及び熱処理を行う工程とを有する逐次二軸延伸法、フィルムを把持したクリップが縦方向に加速されながら横方向にも拡がって、縦横同時にフィルムが延伸される同時二軸延伸法がある。
ポリ乳酸系樹脂フィルムの延伸条件としては、フィルム温度が20〜140℃となるようにすることが好ましく、さらに好ましくは40〜110℃であり、また、延伸倍率が少なくとも1軸方向について1.5〜5.0倍の範囲となるように調整することが好ましい。フィルム温度が20〜140℃の範囲内であり、延伸倍率が少なくとも1軸方向について1.5〜5.0倍の範囲内となるように調整すれば、フィルムの破断や白化、ドローダウン等のトラブルが発生することもないからである。
【0036】
本発明においては、フィルムの延伸を行った後、熱処理を施すことが好ましい。例えば、フィルムを加熱炉で一旦加熱して延伸した後、幅を固定して熱処理を行うことができる。熱処理条件は、温度が135〜160℃であることが好ましく、さらに好ましくは140〜155℃であり、処理時間が1秒〜5分の範囲であることが好ましい。温度が135℃未満では熱処理効果が得られ難く、160℃より高いとフィルムがドローダウンしやすい。また、処理時間が1秒未満では熱処理効果が得られ難く、5分を上回ると熱処理設備が長大なものになり、経済性が低下する。
【0037】
本発明においては、ポリ乳酸系樹脂のD体とL体の比、及び可塑剤の種類や配合量の選択、延伸工程及び熱処理工程における条件設定を適当に行うことにより、フィルムの縦方向(MD)、及びフィルムの横方向(TD)のフィルムの加熱収縮率を両方とも10%以下にすることが好ましい。120℃×15分におけるフィルムの加熱収縮率が10%以下であれば、フィルムの耐熱性(熱寸法安定性)を維持することができ、また、印刷を施したり、製袋等の2次加工の際に、あるいは保管の際にフィルムの収縮、波打ち、カール等の不具合が発生することがない。
【0038】
また、本発明においては、周波数10Hz、温度20℃の下で動的粘弾性測定によって得られたフィルム全体としての貯蔵弾性率(E’)が0.5〜3.0GPaの範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜2.5GPaである。貯蔵弾性率E’が0.5GPa未満になると柔らかくなり過ぎて変形しやすくなるので、印刷、製袋等の2次加工時にロールテンションによってフィルムが伸びてしまい、位置ずれやカールを起こし易くなる。また、自己支持性が乏しくなりやすいので、商品のディスプレー効果に劣ることがある。一方、貯蔵弾性率E’が3.0GPaより大きくなると、硬くて伸びにくいフィルムになる傾向にあるので、2次加工時にシワが入りやすかったり、使用時にカサカサした感触を感じさせることがあり、使い難くなる。いずれにしても、貯蔵弾性率(E’)が0.5〜3.0GPaの範囲内であれば、OPPに類似した特性や風合いのフィルムを得ることができる。
フィルムの貯蔵弾性率(E’)を上記の範囲に保つためには、可塑剤量の配合割合を先に述べたような好ましい範囲にすることが最も重要であるが、その他に、ポリ乳酸系樹脂の組成、可塑剤の種類、成形加工条件等の組み合わせにおいて適宜調整することができる。
【0039】
フィルムの厚みは特に限定されないが、包装用や袋用として用いる場合には全体として7〜100μmの厚みを有することが好ましい。その内、表面層及び裏面層の厚みは、それぞれ0.5μm以上あることが好ましい。表面層又は裏面層の厚みが0.5μmを下回ると、混合する不活性粒子の径によっては該粒子が脱落したり、中間層に含まれる可塑剤が表面層又は裏面層に移行してしまい、ブリードアウトの抑制効果が低下することがある。
【0040】
以上説明したようなポリ乳酸系樹脂フィルムは、OPPに類似する物性を有しており、容易に溶断シールを行うことができ、溶断シール袋を形成することができる。ポリ乳酸系樹脂の2軸延伸フィルムが可塑剤を含まない場合には、硬すぎて伸びにくいため寸法差の吸収しろが乏しく、製袋時にシワが入りやすいが、本発明のポリ乳酸系樹脂フィルムは良好な溶断シール加工を行うことができる。また、ポリ乳酸系樹脂の2軸延伸フィルムが可塑剤を含まない場合には、溶断シール強度が出にくいが、本発明のポリ乳酸系樹脂フィルムでは、OPPと同等の強度を発現することができる。
さらに、可塑剤を全く含まないか、或いは、低い割合で含み、かつ、不活性粒子が混合されている表面層と裏面層を設けることにより、フィルムの良好な巻き取り性及び耐ブロッキング性を有すると共に、含有する可塑剤のブリードアウトを抑制したフィルムを提供することができる。
【0041】
【実施例】
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるものではない。実施例中に示す測定値や評価は、下記に示すような条件で測定等を行った。
【0042】
《測定方法及び評価方法》
(1)貯蔵弾性率(E’)
粘弾性スペクトロメーター「VES−F3」(岩本製作所株式会社製)を用い、振動周波数10Hz、温度20℃で、フィルムの縦方向(MD)について貯蔵弾性率を測定した。
【0043】
(2)加熱収縮率
フィルム片を120℃のオーブン中に、15分間吊り下げ、下記式に基づいて加熱収縮率(%)を求めた。ただし、オーブン中で加熱する前のフィルムの長さをL1、加熱処理後のフィルムの長さをL2とした。
加熱収縮率(%)=((L1−L2)/L1)×100
【0044】
(3)ヘイズ
JIS K 7105に基づいて、全光線透過率及び拡散透過率を求め、次式によって算出した。
ヘイズ(%)=(拡散透過率/全光線透過率)×100
【0045】
(4)巻き取り性
製膜時にワインダーで巻き上げたフィルムをスリッターによって所定の幅(ここでは、幅500mm)に切断してロール状に巻き上げた。この時のロール状に巻回したフィルムの外観を目視観察し、以下に示す基準によって評価を行った。
評価基準:
「◯」…「しわ」も「粒跡」も認められない、良好な製品であった。
「△」…「粒跡」は見られないがフィルムにしわが入りやすかった。
「×」…フィルムにしわが入り、またロール状に巻き上げたフィルムに「粒跡」が認められた劣悪な製品であった。
【0046】
(5)溶断シール製袋機適性
溶断シール製袋機「HK65V」(トタニ技研株式会社製)を用い、幅500mmのフィルムをロール状に巻回したサンプルを用い、間口100mm×長さ250mmのサイドシール袋を最適条件で1000枚作製した、得られた袋の外観を目視観察し、以下の評価基準に基づいて評価を行った。
評価基準:
「○」…シワやカールの発生がない袋が900〜1000枚できた。
「△」…シワやカールの発生がない袋が700〜899枚できた。
「×」…シワやカールの発生がない袋が699枚以下しかできなかった。
【0047】
次に、実施例において使用した不活性粒子を配合したポリ乳酸系樹脂ペレット(マスターバッチ)の作製方法について、以下に示す。
《マスターバッチの作製》
(1)マスタバッチA
ポリ乳酸系樹脂(カーギルダウ社製の「Nature Works 4031D」、L:D=98.6:1.4、重量平均分子量が約20万)中に、平均粒子径約3μmの粒状シリカ(富士シリシア化学株式会社製、商品名:サイリシア730)を2質量%の割合で混合し、40mmφ小型同方向二軸押出機(三菱重工株式会社製)を用いて温度200℃でコンパウンドし、ペレット形状にした。このペレットをマスターバッチAとする。
【0048】
(2)マスターバッチB
ポリ乳酸系樹脂(カーギルダウ社製の「Nature Works 4031D」)中に、平均粒子径約1.4μmの粒状シリカ(富士シリシア化学株式会社製、商品名:サイリシア310P)を5質量%混合し、40mmφ小型同方向二軸押出機(三菱重工株式会社製)を用いて温度200℃でコンパウンドし、ペレット形状にした。このペレットをマスターバッチBとする。
【0049】
(2)マスターバッチC
ポリ乳酸系樹脂(カーギルダウ社製の「Nature Works 4031D」)中に、平均粒子径約6μmのシリカ(同社製、商品名:サイリシア770)を5%混合し、40mmφ小型同方向二軸押出機(三菱重工株式会社製)を用いて温度200℃でコンパウンドし、ペレット形状にした。このペレットをマスターバッチCとする。
【0050】
(4)マスターバッチD
ポリ乳酸系樹脂(カーギルダウ社製の「Nature Works 4031D」)中に、平均粒子径約0.3μmの軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業株式会社製、商品名:タマパールTP−222H)を5質量%混合し、40mmφ小型同方向二軸押出機(三菱重工株式会社製)を用いて温度200℃でコンパウンドし、ペレット形状にした。このペレットをマスターバッチDとする。
【0051】
(実施例1)
中間層用原料として、ポリ乳酸系樹脂(カーギルダウ社製の「Nature Works 4031D」)と可塑剤としてジグリセリンテトラアセテート(略称:DGTA)(理研ビニル株式会社製、商品名:リケマールPL710)とを84:16(質量%)の割合で、58mmφ同方向二軸押出機(東芝機械株式会社製)のフィード口に供給した。ただし、ポリ乳酸系樹脂の供給にはベルト式フィーダーを用い、可塑剤の供給にはモーノポンプ(兵神装備株式会社製)を用いた。さらに、混合した原料を190℃で溶融した。
一方、表面層及び裏面層用原料として、ポリ乳酸系樹脂(「Nature Works 4031D」)とマスターバッチAとを、このポリ乳酸系樹脂とマスターバッチAとの合計が100質量部に対してシリカの配合部数が0.05部になるように調整して混合し、41mmφ同方向二軸押出機(東芝機械株式会社製)に供給した。さらに、混合した原料を200℃で溶融した。
次に、58mmφ同方向二軸押出機及び41mmφ同方向二軸押出機からそれぞれ別の導管で中間層及び表裏層用原料の溶融樹脂を導き、表面層:中間層:裏面層の単位時間当りの押出量比が3:19:3になるように押出量をそれぞれ調整しながらマルチマニホールド式の口金を使用して押し出した。押し出された溶融樹脂をキャスティングロールによって30℃に急冷し、190μm厚のシートとした。その後、該シートを逐次2軸テンター(三菱重工株式会社製)に通紙し、48℃で2.5倍に縦延伸を行い、60℃で3倍に横延伸を行った。続いて、140℃で8秒間熱処理を行って幅約1400mm、膜厚25μmの延伸フィルムを得た。さらに、得られたフィルムをスリッター(西村製作所株式会社製)を用いて幅500mmの2丁取りにし、内径76mmの紙管を芯にしてロール状に巻回した。得られたポリ乳酸系樹脂フィルム及びロール状のポリ乳酸系樹脂フィルムについて、貯蔵弾性率、加熱収縮率、ヘイズ、巻き取り性及び製袋機適性の評価を行った。その評価結果を表1に示す。
【0052】
(実施例2)
実施例1において、中間層用の原料として配合される可塑剤の種類をアセチルトリブチルシトレート(略称:ATBC、大日本インキ化学株式会社製)に、配合量を13質量%に変更し、表面層及び裏面層を、マスターバッチB、ポリ乳酸系樹脂(「Nature Works 4031D」)、及び可塑剤としてATBCを用い、シリカの配合量が0.4部となるように調整し、各層の単位時間当りの押出量比が4:17:4となるように適宜調整しながら、かつ下記に示す延伸条件に変更した以外は実施例1と同様にして延伸フィルムを作製した。また、ロール状に巻回したポリ乳酸系フィルムを得た。延伸条件は、47℃で2.5倍に縦延伸を行い、55℃で2.8倍に横延伸を行った。また、熱処理条件は、熱処理温度が145℃、熱処理時間が8秒であった。得られたポリ乳酸系樹脂フィルム及びロール状のポリ乳酸系樹脂フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。その評価結果を表1に示す。
【0053】
(実施例3)
実施例1において、表裏層及び中間層用の原料として配合される可塑剤の種類をジブチルフタレート(略称:DBP、大八化学工業株式会社製)に変更し、配合量をそれぞれ13質量%、18質量%とした。また、表面層及び裏面層にはマスターバッチAを用い、シリカの配合量が0.2質量部となるように調整した。各層の単位時間当りの押出量比が3:19:3となるように適宜調整しながら、かつ下記に示す延伸条件に変更した以外は実施例1と同様にして延伸フィルムを作製した。また、ロール状に巻回したポリ乳酸系フィルムを得た。延伸条件は、46℃で2.5倍に縦延伸を行い、57℃で2.8倍に横延伸を行った。また、熱処理条件は、熱処理温度が142℃、熱処理時間が10秒であった。得られたポリ乳酸系樹脂フィルム及びロール状のポリ乳酸系樹脂フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。その評価結果を表1に示す。
【0054】
(比較例1)
実施例1において、中間層用の原料として配合される可塑剤の配合量が16質量%となるようにし、表面層及び裏面層を、マスターバッチD、及び合成したポリ乳酸系樹脂を用い、炭酸カルシウムの配合量が0.4質量部となるように調整し、各層の単位時間当りの押出量比が3:17:3となるように適宜調整しながら、かつ延伸条件を下記に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、ポリ乳酸系延伸フィルムを作製した。また、ロール状に巻回したポリ乳酸系フィルムを得た。延伸条件は、48℃で2.5倍に縦延伸し、60℃で3.0倍に横延伸を行った。また、熱処理条件は、熱処理温度が145℃、熱処理時間が8秒であった。得られたポリ乳酸系樹脂フィルム及びロール状のポリ乳酸系樹脂フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。その評価結果を表1に示す。
【0055】
(比較例2)
実施例1において、中間層用の原料として配合される可塑剤の種類をアセチルトリブチルシトレート(略称:ATBC、大日本インキ化学株式会社製)に、配合量を0.3部に変更し、表面層及び裏面層を、マスターバッチC、合成したポリ乳酸系樹脂、及び可塑剤としてATBCを用い、シリカの配合量が0.3質量部となるように調整し、各層の単位時間当りの押出量比が4:17:4となるように適宜調整し、かつ延伸条件を下記に示す延伸条件に変更した以外は実施例1と同様にして延伸ポリ乳酸系フィルムを作製した。また、ロール状に巻回したポリ乳酸系樹脂フィルムを得た。延伸条件は、46℃で2.5倍に縦延伸を行い、52℃で2.8倍に横延伸を行った。また、熱処理条件は、熱処理温度が130℃、熱処理時間が8秒であった。得られたポリ乳酸系樹脂フィルム及びロール状のポリ乳酸系樹脂フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。その評価結果を表1に示す。
【0056】
(比較例3)
実施例1において、中間層用の原料として配合される可塑剤の種類をアセチルトリブチルシトレート(略称:ATBC、大日本インキ化学株式会社製)に変更し、表面層及び裏面層を、マスターバッチA、合成したポリ乳酸系樹脂、及び可塑剤としてATBCを用い、シリカの配合量が0.8質量部となるように調整し、各層の単位時間当りの押出量比が4:17:4となるように適宜調整しながら、かつ下記に示す延伸条件に変更した以外は実施例1と同様にして延伸フィルムを作製した。また、ロール状に巻回したポリ乳酸系樹脂フィルムを得た。延伸条件は、46℃で2.5倍に縦延伸を行い、50℃で2.8倍に横延伸を行った。また、熱処理条件は、熱処理温度が145℃、熱処理時間が8秒であった。得られたポリ乳酸系樹脂フィフィルム及びロール状のポリ乳酸系樹脂フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。その評価結果を表1に示す。
【0057】
(比較例4)
上記ポリ乳酸系樹脂、マスターバッチA、及び、可塑剤としてATBCを、これらが86.5:0.5:13(質量%)の割合になるように調整しながら58mmφ同方向二軸押出機(東芝機械株式会社製)のフィード口に供給した。ただし、ポリ乳酸系樹脂及びマスターバッチAの供給にはベルト式フィーダーを用い、可塑剤の供給にはモーノポンプ(兵神装備株式会社製)を用いた。さらに、混合した原料を190℃で溶融した。溶融樹脂を口金から単層として押し出し、これをキャスティングロールで20℃に急冷して190μm厚のシートとした。その後、逐次2軸テンター(三菱重工株式会社製)に通紙し、48℃で2.5倍の縦延伸、及び、55℃で3倍の横延伸を行い、続いて、140℃で20秒間熱処理を行って幅約1400mm、膜厚25μmの延伸フィルムを得た。さらに、得られたフィルムをスリッター(西村製作所株式会社)を用いて幅500mmの2丁取りにし、内径76mmの紙管に巻き上げた。得られたポリ乳酸系樹脂フィルム及びロール状のポリ乳酸系樹脂フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。その評価結果を表1に示す。
【0058】
(比較例5)
比較例4において、シリカの配合量が0.3質量部となるようにマスターバッチAの配合割合を調整し、かつ熱処理温度を120℃に変更した以外は、比較例4と同様にしてポリ乳酸系樹脂フィルムを得た。また、ロール状に巻回したポリ乳酸系樹脂フィルムを得た。得られたポリ乳酸系樹脂フィルム及びロール状のポリ乳酸系フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。その評価結果を表1に示す。
【0059】
(比較例6)
比較例4において、シリカの配合量が0.3質量部となるようにマスターバッチAの配合割合を調整した以外は、比較例4と同様にしてポリ乳酸系樹脂フィルムを得た。また、ロール状に巻回したポリ乳酸系樹脂フィルムを得た。得られたポリ乳酸系樹脂フィルム及びロール状のポリ乳酸系フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。その評価結果を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
表1から明らかなように、実施例1〜3は、貯蔵弾性率(E’)が0.5〜3.0GPaの範囲内にあり、フィルムとしての使用に適した弾性を有していると言える。また、加熱収縮率がMD及びTD共に10%以下であり、2次加工や保管する際の取り扱いについても問題ないと言える。実施例1〜3は、巻き取り性に優れており、製袋機適性においてもシワやカールの発生がない袋が900枚以上できた。実施例1〜3は、さらに、ヘイズが小さく、フィルムとしての透明性に優れていることが分かった。
一方、粒子径が0.5μmより小さい不活性粒子を表面層及び裏面層に添加した比較例1は、巻き取り性及び製袋機適性に劣ったものであり、粒子径が5μmより大きい不活性粒子を表面層及び裏面層に添加した比較例2は、ヘーズが高くて透明性に劣ったものであり、かつ、熱処理温度が130℃と低いので、加熱収縮率が10%より大きく、製袋機適性に劣ったものであることが分かった。表面層及び裏面層の可塑剤の添加量が15質量%より多い比較例3は、巻き取り性及び製袋機適性に劣ったものであり、また、不活性粒子の添加量が0.5質量部より多いのでヘーズが高いフィルムであった。単層構成の比較例4〜6は、可塑剤の配合量がフィルム全体としては16質量%であるので、製袋機適性においてシワやカールの発生しない袋が699枚以下しかできなかった。
【0062】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、OPPに類似した物理特性と優れた耐熱性を有すると共に、可塑剤のブリードが少なく、透明で巻き取り性に優れた生分解性のフィルムを提供することができる。また、このポリ乳酸系樹脂フィルムを溶断シールすることにより優れた溶断シール袋を提供することができる。このようなポリ乳酸系樹脂フィルム及びポリ乳酸系樹脂溶断シール袋は、使用後の廃棄時においても自然環境に悪影響を与えることがないので、包装材や工業材分野で有用に使用することができる。
Claims (5)
- 少なくとも表裏層および中間層を有する積層体を延伸したフィルムであって、前記表裏層が、それぞれ、ポリ乳酸系樹脂と、平均粒子径が0.5〜5μmの不活性粒子を、該ポリ乳酸系樹脂100質量部に対して0.02〜0.5質量部含有し、該表裏層が可塑剤を含有するかあるいは含有しておらず、該中間層が可塑剤を含有していて、該中間層における可塑剤の含有量が該表裏層における可塑剤の含有量よりも多く、かつ、フィルム全体としては、ポリ乳酸系樹脂67〜96質量%と可塑剤4〜33質量%とを合計で100質量%となるように含むポリ乳酸系樹脂フィルムを溶断シールすることにより袋状に成形してなることを特徴とするポリ乳酸系樹脂溶断シール袋。
- 前記フィルムの20℃における貯蔵弾性率が0.5〜3.0GPaであることを特徴とする請求項1記載のポリ乳酸系樹脂溶断シール袋。
- 前記フィルムは、120℃×15分における加熱収縮率が、縦方向及び横方向共に10%以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の溶断シールすることにより袋状に成形してなることを特徴とするポリ乳酸系樹脂溶断シール袋。
- 前記可塑剤が、常圧における沸点が220℃以上であるか、又は、5〜10torrにおける沸点が170℃以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のポリ乳酸系樹脂溶断シール袋。
- 前記表裏層が、ポリ乳酸系樹脂85〜100質量%と可塑剤0〜15質量%とを合計で100質量%となるように含有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のポリ乳酸系樹脂溶断シール袋。
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