JP3862557B2 - 透明な耐衝撃性ポリ乳酸系延伸フィルム又はシート、及び、その製造方法 - Google Patents

透明な耐衝撃性ポリ乳酸系延伸フィルム又はシート、及び、その製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明性、耐衝撃性、再製膜性(リサイクル性)に優れた生分解性を有するポリ乳酸系延伸フィルム又はシート、及び、その製造方法に関するものである。更に詳しくは、熱収縮性又は熱非収縮性の延伸フィルム又はシート、具体的には、弁当や惣菜容器等に用いられるオーバーラップ用収縮性フィルムや成形シート、チャック付きバッグや透明窓付き紙箱等に用いられる非収縮性フィルムやシートなどの包装体に有用なポリ乳酸系延伸フィルム又はシート、及び、その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
透明性、耐衝撃性、再製膜性(リサイクル性)に優れる樹脂材料として、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の材料が挙げられ、幅広く使用されている。しかしながら、これの樹脂材料の廃棄に関わる自然環境保護の観点から、燃焼熱量が低く、土壌中で分解し、且つ安全であるものが望まれ、ポリ乳酸重合体などの脂肪族ポリエステル等の生分解性樹脂を用いた製品、具体的にはフィルム・シートやボトルなどの容器や成形物、繊維、不織布、発泡体、それらを用いた複合材料等の研究が活発に行われている。
【0003】
ポリ乳酸重合体は、光学活性中心を有する乳酸の重縮合体であって、ポリマーを構成するL−乳酸及び/又はD−乳酸単量体単位の構成比率から下記式により計算される光学純度(OP:単位%)に応じて、
OP=|[L]−[D]| ,但し、[L]+[D]=100
(ここで、[L]はポリ乳酸重合体を構成するL−乳酸の重量%、[D]はポリ乳酸重合体を構成するD−乳酸の重量比率%、||は計算値の絶対値を表す。)
【0004】
光学純度が80%以上と高いものは結晶性、光学純度が80%未満と低いものは非晶性となる性質を持ち、他の生分解性樹脂に比べて、曇り度(ASTM−D1003−95に準拠)が約4%未満及び引張弾性率(ASTM−D882−95aに準拠)が約2〜5GPaと透明性と剛性に優れている一方で、ガラス転位温度Tgは約60℃で、他の生分解性樹脂の中では特別に高いことから、室温(23℃)では脆性である性質を持つ。又、結晶化温度も約100℃と相当高く、光学純度が80%以上の結晶性のものであっても、溶融状態から急冷されると非晶状態となる性質を持つことから、ガラス転位温度付近から結晶化温度までの温度領域(約50〜100℃)で容易に成形加工することが出来、特に、それを延伸又は熱処理加工したフィルム・シート状物は、引張破断強度(ASTM−D882−95aに準拠)が約70〜300MPaと機械的強度が強く、巻物状原反フィルムから連続的に裁断加工等される場合に要求される機械適性にも優れ、高度な透明性を要求される各種包装用フィルムやシートとして適している。
【0005】
しかし、ポリ乳酸重合体が本来有する脆性のために、包装体輸送時に要求される耐衝撃性が劣る欠点を有することから、耐衝撃性の優れるポリ乳酸重合体以外のガラス転位温度Tgの低い(0℃以下の)生分解性脂肪族ポリエステルを混合させることにより耐衝撃性を改善する試みが成されている。ここでいうポリ乳酸重合体以外の生分解性脂肪族ポリエステルとは、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールを主成分として重縮合した脂肪族ポリエステル、環状ラクトン類を開環重合した脂肪族ポリエステル、合成系脂肪族ポリエステル、菌体内で生合成される脂肪族ポリエステル等の結晶性樹脂であって、その結晶融点は60〜150℃の範囲内でガラス転位温度は室温(23℃)以下にあり、室温ではゴム状態で耐衝撃性がある一方で、溶融状態から急冷されても結晶化が進行して結晶サイズが大きくなり易く、透明性に劣る欠点を有する。よって、ポリ乳酸重合体とポリ乳酸重合体以外の生分解性脂肪族ポリエステルの混合物からなるフィルム又はシートに関して、耐衝撃性の向上と高度な透明性を、例え製造時に発生する屑を再利用したリサイクル原料を使用した場合においても、満足できる再製膜性(リサイクル性)に優れたポリ乳酸系フィルム及びシート、及び、その製造方法は未だに得られていない。
【0006】
ポリ乳酸重合体(A)とガラス転位温度Tgが0℃以下の生分解性脂肪族ポリエステル(B)の混合物を主体としてなるポリ乳酸系樹脂からなるポリ乳酸系延伸フィルム及びシートに関しては、例えば、特開平7−265775号公報には溶融樹脂吐出口となる口金(ダイリップ)間隙の1/3倍の厚みになる様に(ダイ出口からの面積倍率で3倍)キャスティングロールにて1軸延伸したシート、特開2000−273207号公報にはダイリップ間隙の1/20倍になる様に8.89×2.25倍(ダイ出口からの面積倍率で20倍)インフーション法により2軸延伸したシート、特開2001−130183号公報にはキャスティングロール及びテンターにて2.4×3.1倍(ダイ出口からの面積倍率で7.4倍)延伸したフィルム又はシートが開示されているが、いずれもポリ乳酸重合体(A)と生分解性脂肪族ポリエステル(B)の混合割合で(B)が10%以上の場合に曇り度(Haze)が5%以上となり、実用レベルの透明性を達成しているとは言えず、透明性に劣る問題がある。
【0007】
又、特開2001−151906号には、ポリ乳酸重合体(A)とガラス転位温度Tgが0℃以下の生分解性脂肪族ポリエステル(B)の溶融粘度が一定関係にあるポリ乳酸系樹脂をキャスティングロール及びテンターにて1.05×5.0倍(ダイ出口からの面積倍率で5.1倍)延伸したフィルム又はシートが、改善された透明性を発現することが開示されている。しかし、曇り度(Haze)が6%以上10%以下と未だ透明性のレベルが不充分であり、更には、ポリ乳酸系樹脂からなるフィルム又はシートの製膜時に発生するトリム屑を押出ペレット化してリサイクル原料とする場合に、リサイクルされるポリ乳酸系樹脂は分子量低下を起こして溶融粘度の関係が一定範囲より外れることになる為、リサイクル回数及びリサイクル混入割合に応じて曇り度(Haze)が10%を超える程に透明性が悪化して、再製膜性(リサイクル性)に劣る問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、透明性、耐衝撃性、再製膜性(リサイクル性)に優れたポリ乳酸系延伸フィルム又はシート、及び、その製造方法、更には、それによる包装体、複合材料を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、ポリ乳酸重合体とポリ乳酸重合体以外のガラス転位温度Tgが0℃以下の生分解性脂肪族ポリエステルを特定の割合で含む混合物を主体としてなるポリ乳酸系樹脂からなるフィルム及びシートにおいて、特定のダイ出口からの面積倍率で延伸加工することによって、フィルム外表面に対してほぼ平行な状態で特定の大きさを有する層状又は棒状片の形態を主体としてミクロ相分離させて脂肪族ポリエステルを存在させることが可能となり、本発明の目的を達成しうることを見い出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は下記の通りである。
L −乳酸及び/又はD −乳酸が主成分(80〜100重量%)のポリ乳酸重合体(A)とポリ乳酸重合体(A)以外の示差走査熱量測定(JIS−K7121)でのガラス転移温度Tgが0℃以下である生分解性脂肪族ポリエステル(B)の重量割合(A):(B)が90:10〜60:40の混合物を主体(50〜100重量%)としてなるポリ乳酸系樹脂からなるフィルム又はシートおいて、フィルム又はシートの切断面における(A)相中(B)相のドメインが層状又は棒状片を主体とする形態でフィルム又はシート外表面に対してほぼ平行にミクロ相分離して存在し、該層状又は棒状片の厚み(D)が1片当り150nm未満であることを特徴とするポリ乳酸系延伸フィルム又はシート。
【0011】
つまり、本発明は、ポリ乳酸重合体(A)とガラス転移温度Tgが0℃以下である生分解性脂肪族ポリエステル(B)の混合物を主体(50〜100重量%)としてなるポリ乳酸系樹脂からなるフィルム又はシートおいて、下記の3つの要件の組合せである。
▲1▼ポリ乳酸重合体(A)とガラス転移温度Tgが0℃以下の生分解性脂肪族ポリエステル(B)の重量割合は90:10〜60:40である。
これは、透明性は優れるが脆性であるポリ乳酸重合体(A)と透明性が劣るが耐衝撃性の優れるガラス転移温度Tgが0℃以下の生分解性脂肪族ポリエステル(B)の混合割合を示し、この範囲において生分解性延伸フィルム又はシートの透明性と耐衝撃性を両立できる。
【0012】
▲2▼フィルム又はシートの縦又は横方向の切断面におけるポリ乳酸重合体(A)相中に存在する生分解性脂肪族ポリエステル(B)相のドメインは、層状又は棒状片の形態を主体とする。
これは、生分解性脂肪族ポリエステル(B)が、球状のドメインではなく層状又は棒状片を主体とした形態でフィルム又はシート外表面に対してほぼ平行に分散して存在する(図1〜5参照)ことで、耐衝撃性の優れる脂肪族ポリエステルに対するフィルム又はシート外表面の垂直方向より与えられる被衝撃面積が増えて、ポリ乳酸系樹脂の耐衝撃性を高度に改善できる。
【0013】
▲3▼フィルム又はシートの切断面における生分解性脂肪族ポリエステル(B)の層状又は棒状片の厚み(D)は1片当り150nm未満でミクロ相分離している。
これは、フィルム又はシートの縦及び横方向の切断面において、透明性の劣る脂肪族ポリエステル(B)の層状又は棒状片の長さ(L)は可視光波長以上であるが、層状又は棒状片の厚み(D)が可視光波長(約400〜800nm)の下限値の約1/2より小さいことで、透過性を阻害する要因として働く脂肪族ポリエステルの結晶サイズが可視光波長より小さくなるものと考えられ、透明性を高度に発現できる。
【0014】
本発明について、以下に具体的に説明する。
本発明のポリ乳酸系延伸フィルム又はシートとは、最終的に微生物によって分解されるポリ乳酸系樹脂からなる延伸フィルム又はシートをいう。
本発明のポリ乳酸系樹脂を構成するポリ乳酸重合体(A)とは、L−乳酸単位又はD−乳酸単位の単独重合体、L−乳酸単位及びD−乳酸単位の共重合体、L−乳酸及び/又はD−乳酸、DL−乳酸単位を主成分(80〜100重量%)として他のヒドロキシカルボン酸、ラクトン類、ジカルボン酸、多価アルコールからなる群の単量体との共重合体から少なくとも1種選ばれた樹脂組成物である。
【0015】
該単量体のヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸等、;ラクトン類としては、グリコリド、ラクチド、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンおよびこれらにメチル基などの種々の基が置換したラクトン類等、;ジカルボン酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等、;多価アルコールとしては、ビスフェノール/エチレンオキサイド付加反応物などの芳香族多価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、グリセリン、ソルビタン、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族多価アルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのエーテルグリコール等が挙げられる。
【0016】
好ましいポリ乳酸重合体(A)としては、透明性の観点から、分子構造的には分子間に働く力の目安になる分子の凝集エネルギー密度(CED)の平方根であるSP値(溶解度係数)が接近した相溶系組成であって、特定量の光学純度の高い緻密な結晶部分と光学純度の低い乱疎な非晶部分が海島状の分子構造を有する組成物が挙げられる。より好ましくは、光学純度が100〜80%と高い高結晶性ポリ乳酸(A1)と光学純度が80〜0%と低い低結晶性ポリ乳酸(A2)との混合樹脂(混合比A1:A2=0:100〜100:0)からなる組成物が挙げられ、更に好ましくは、透明性の観点から、ポリ乳酸重合体(A)における(A2)の混合割合が20%以上の組成物が挙げられる。
【0017】
ポリ乳酸重合体(A)の重合方法としては、縮合重合法(溶液法:特開平7−2987号公報に記載された方法等)、開環重合法(ラクチド法:特開平9−31171号公報に記載された方法等)などの公知の方法を採用でき、L−乳酸、D−乳酸に由来する単量体比率(L/D比)を変化させることにより、結晶性や融点を自在に調整することができる。例えば、縮重合法(溶液法)では、L−乳酸またはD−乳酸あるいはこれらの混合物を直接脱水縮重合して、任意の組成を持ったポリ乳酸を得ることができる。また、開環重合法(ラクチド法)では、乳酸の環状2量体であるラクチドを、必要に応じて重合調整剤等を用いながら、選ばれた触媒を使用してポリ乳酸を得ることができる。また、ポリイソシアネート、ポリエポキシ化合物、酸無水物、多官能酸塩化物などの結合剤を使用して分子量を増大する重合方法を用いることもできる。ポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量は5万〜100万の範囲が好ましく、さらに好ましくは重量平均分子量10万〜50万の範囲である。分子量が5万より小さいと機械的強度や耐熱性等の実用物性が十分に得られず、分子量が100万を越えると成形加工性に劣る問題がある。
【0018】
本発明のポリ乳酸系樹脂を構成するポリ乳酸重合体(A)以外の生分解性脂肪族ポリエステル(B)とは、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールを主成分(50〜100重量%)として重縮合した脂肪族ポリエステル、環状ラクトン類を開環重合した脂肪族ポリエステル、合成系脂肪族ポリエステル、菌体内で生合成される脂肪族ポリエステルから少なくとも1種選ばれた、示差走査熱量測定(JIS−K7121)でのガラス転移温度Tgが0℃以下、より好ましくは、−20℃以下のポリ乳酸系樹脂(A)とは実質的に相溶性の無い樹脂組成物である。Tgが0℃を超えると耐衝撃性向上の効果を発現しない場合が多い。脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールを主成分として重縮合した脂肪族ポリエステルとしては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の脂肪族カルボン酸(生分解性を妨げない範囲で、テレフタル酸等の芳香族カルボン酸を含んでも良い)と、エチレングリコール、1,3−プロピオングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル等の脂肪族ジオールの中からそれぞれ1種以上選んだ重縮合が例として挙げられる。環状ラクトン類を開環重合した脂肪族ポリエステルとしては、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン等の環状モノマーの中から1種以上選んだ開環重合体が例として挙げられる。合成系脂肪族ポリエステルとしては、無水コハク酸とエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等の環状酸無水物とオキシラン類の共重合体が例として挙げられる。
【0019】
本発明のガラス転移温度Tgが0℃以下の生分解性脂肪族ポリエステル(B)として特に好ましく用いられるものは、上記の内で比較的透明性の良いとされる脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールを主成分として重縮合した脂肪族ポリエステルであり、その具体例としては、ポリエチレンアジペート、ポリプロピレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキセンアジペート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペートなどが挙げられる。
【0020】
脂肪族ポリエステル(B)の重合方法としては、直接法、間接法などの公知の方法を採用できる。直接法では、例えば、脂肪族ジカルボン酸成分として上記ジカルボン酸化合物その酸無水物又は誘導体を選択し、脂肪族ジオール成分として上記ジオール化合物又はその誘導体を選択して重縮合を行う方法で、重縮合に際して発生する水分を除去しながら高分子量物を得ることができる。間接法では、直接法により重縮合されたオリゴマーに少量の鎖延長剤、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物を添加して高分子量化して得ることができる。脂肪族ポリエステルの重量平均分子量は、2万〜50万の範囲が好ましく、さらに好ましくは重量平均分子量15万〜25万の範囲である。分子量が2万より小さいと機械的強度等の実用物性が十分に得られず、分子量が50万を越えると成形加工性に劣る問題がある。
【0021】
本発明のポリ乳酸系樹脂の主体と成すポリ乳酸重合体(A)とガラス転移温度Tgが0℃以下の生分解性脂肪族ポリエステル(B)の混合物の重量割合(合計100%)は、90:10〜60:40の範囲内である。脂肪族ポリエステル(B)が10%未満であると耐衝撃性の改善が不充分であり、40%を超えると溶融張力の低下やダイスエル現象などによる原因により製膜性が困難となる場合があり、更には、脂肪族ポリエステル(B)の層状片厚みも大きくなって透明性も悪化する。好ましい重量割合(A):(B)は、90:10〜75:25である。
本発明のポリ乳酸系樹脂としては、上記したバージン原料以外に該樹脂製膜時に発生するトリム屑等のリサイクル原料を単独で、又は該バージン原料に混入して使用することができる。
【0022】
又、本発明のポリ乳酸系延伸フィルム又はシートにおけるポリ乳酸重合体(A)と生分解性脂肪族ポリエステル(B)との混合状態は、フィルム又はシートの切断面において、(A)相中に分散して存在する(B)相ドメインの主体とする形態は層状又は棒状片であって、例えば、一割未満の大きな球状(楕円状)のゲル状相(異物)や4割未満の5nm未満の球状(楕円状)の微小相を除いた主要(5割以上)の形態が層状又は棒状片として、フィルム又はシート外表面(表及び裏平面)に対してほぼ平行に分散して存在している。(A)相中(B)相ドメインの主体とする形態が球状(楕円状)ではなく層状又は棒状片であることで、フィルム又はシートの厚み方向に対して(B)相間に挟まれた耐衝撃性の弱い(A)相の幅(厚み)が相対的に小さくなり、更には、フィルム又はシート外表面(表及び裏平面)の垂直方向より与えられる耐衝撃性の強い(B)相に対する被衝撃面積が増えて、耐衝撃性を高度に発現できる。
【0023】
加えて、フィルム又はシートの厚み方向切断面における層状又は棒状片の厚み(D)は1片当り150nm未満(例えば、5nm以上150nm未満)で、フィルム厚み方向に対してミクロ相分離して存在する。層状又は棒状片の厚み(D)が150nm以上であると、例えば、透過性を阻害する要因としての脂肪族ポリエステルの結晶サイズが可視光波長(約400〜800nm)より大きくなったりして、透明性が劣る問題があり、好ましくは125nm以下(例えば、5nm以上125nm以下)、より好ましくは100nm以下(例えば、5nm以上100nm以下)、更に好ましくは75nm以下(例えば、5nm以上75nm以下)である。又、フィルム又はシートの厚み方向切断面における層状又は棒状片の厚みと垂直方向の長さ(L)は、いずれも層状又は棒状片の厚みと同程度であると、フィルム又はシート外表面(表及び裏平面)の垂直方向より与えられる耐衝撃性の強い(B)相に対する被衝撃面積が不足して、耐衝撃性に劣る問題がある。フィルム又はシートの縦又は横方向の何れか一方向の厚み方向切断面における層状又は棒状片の長さ(L)及び間隔(l)は、特に限定されないが、好ましくは該長さ(L)は1μm以上(例えば、1μm以上15μm以下)、該間隔(l)は5nm以上(例えば、5nm以上15μm以下)、より好ましくは該長さ(L)は5μm以上(例えば、5μm以上15μm以下)、該間隔(l)は25nm以上(例えば、25nm以上15μm以下)である。
【0024】
一般に、実質的に互いに非相溶な樹脂混合物(ポリマープレンド)において、相分離したドメインの安定した形態は、大きさは数μm〜数十μmとマクロ相分離しており、又、その分布も広く、形状も不定形で相互配置関係もランダムであるとされている(「ポリマーブレンド」第173頁、秋山三郎ら著、株式会社CMC編)。これは、溶融時に機械的に同方向二軸押出機等で十分混練して押出機出口でミクロ相分離に近い状態にしても、押出機から円管等を用いて搬送されてTダイや円形ダイ等の口金(ダイリップ)よりフィルム/シート状又は環状に吐出され押出成形される間に分散状態として安定なマクロ相分離になること、及び、特定の溶融粘度の関係にあるミクロ相分離状態に近い樹脂混合物の組成でも、数回押出機で繰り返して再生加工されるリサイクル原料の状態では粘度関係が範囲外になり、分散状態として安定なマクロ相分離状態になることに一致する。
【0025】
しかし、本発明者らは、本発明のポリ乳酸系延伸フィルム又はシートにおけるポリ乳酸重合体(A)中に分散して存在するガラス転位温度Tgが0℃以下の脂肪族ポリエステル(B)の相分離状態は、ダイリップ出口からの延伸倍率(面積倍率)を特定の範囲にすることで、分散状態がダイ出口でマクロ相分離であっても、フィルム又はシートの厚み方向に数nm〜数百nmのドメインサイズでミクロ相分離の分散状態にできること、更には、このミクロ相分離状態がポリ乳酸重合体の透明性を損なうことなく耐衝撃性を改善できる状態であることを見出したのである。
【0026】
本発明のポリ乳酸系延伸フィルム又はシートにおけるポリ乳酸重合体(A)中に分散して存在するガラス転位温度Tgが0℃以下の脂肪族ポリエステル(B)の相分離状態は、樹脂相互の相溶性や溶融粘度の関係が担う部分以上に、成形加工条件によって変位することから、生分解性延伸フィルム又はシートの性能を表す意義において、その有用性は大きく、上記した(A)相中の(B)相の層状又は棒状片の大きさが上記した特定の範囲内になるように、後述の様な市販の装置(透過型電子顕微鏡等)を用いた簡便なスクリーニング法により、樹脂組成及び延伸及び/又は熱処理加工条件を適宜選択することが可能である。
【0027】
つまり、本発明が従来技術と最も相違する点は、ガラス転位温度Tgが0℃以下の脂肪族ポリエステル(B)が特定の層状又は棒状片としてポリ乳酸重合体(A)中に分散して存在する生分解性延伸フィルム又はシートが、良好な透明性を損なうことなく耐衝撃性を向上させることができる点であり、加えて、製膜時に発生するトリム屑を押出ペレット化してリサイクル原料とする場合に伴う分子量低下による耐衝撃性の劣化、及び、溶融粘度差の拡大による相分離ドメインサイズの拡大による透明性の劣化が実用上問題のない様な再製膜性(リサイクル性)を備える点である。
【0028】
ここで、良好な透明性とは、例えば、包装体の内容物をフィルム又はシートを透してみた場合に、内容物の外観(輪郭)を明瞭に認識できる様に包装フィルム等において要求される実用レベルに相当する、濁度計(ASTM−D1003−95)での曇り度(Haze)が5%未満のものを示す。好ましくは、内容物の色が白く霞んで見えことの無い透明感のあるレベルの4%未満、より好ましくは、内容物の表面に印字された小さな文字の輪郭までも明瞭に見える3%未満である。耐衝撃性の向上とは、ポリ乳酸重合体(A)の単体フィルム又はシートと比較して、ASTM−D1709−91(A法)に準拠したダート衝撃強度が2倍以上改善されることである。又、良好な再製膜性(リサイクル性)とは、ポリ乳酸系樹脂を乾燥して溶融押出及び延伸して得られたフィルム又はシートを粉砕加工した原料を、再度同様に乾燥して溶融押出及び延伸後に粉砕加工する工程を3回繰り返して得られたリサイクル原料を用いて製膜したフィルム及びシートに関して、上記の様に良好な透明性及び耐衝撃性の向上があるものを示す。
【0029】
次に、本発明のポリ乳酸系延伸フィルム又はシートの製造方法について述べる。
ポリ乳酸重合体(A)及びガラス転位温度Tgが0℃以下の生分解性脂肪族ポリエステル(B)等の混合方法や混合装置は、特に限定されないが、例えば、同一の単軸又は二軸押出混練機にそれぞれの原料を供給して溶融混合して行われ、そのまま口金(ダイリップ)より押出して直接にフィルム又はシートに加工する方法、或いはストランド形状に押出してペレットを作製した後に再度押出してフィルム又はシートに加工する方法が挙げられる。溶融押出温度としては、ポリ乳酸系樹脂の融点及び混合比率を考慮して適宜選択されるが、通常100〜250℃の温度範囲が選ばれる。
【0030】
フィルム又はシートの延伸及び/又は熱処理加工の方法としては、インフレーション法やテンター法などの従来公知の延伸方法にて、一軸延伸、或いは、同時又は逐次二軸延伸することにより得られる。詳しくは、(1)押出されたチューブ状またはシート状の樹脂を溶融状態からインフレーション法又はキャスト法により延伸する非収縮性フィルム又はシートを得る溶融延伸法、(2)押出されたチューブ状又はシート状の樹脂を溶融状態から急冷して非晶状態に近い状態で固化させた後、続いてそのチューブ状又はシート状の樹脂をガラス転移温度以上融点以下に再加熱してインフレーション法又はロール・テンター法で延伸したり、或いは、その後にフィルム又はシートの熱収縮性の抑制の為にフィルム又はシートを把持した状態等で熱処理を行って収縮性或いは非収縮性フィルム又はシートを得る様な冷間延伸法、によって得られる。
【0031】
ここでいう溶融延伸法は、ポリ乳酸重合体(A)及び生分解性脂肪族ポリエステル(B)が共に結晶成分が融解した状態(完全な非晶状態)で、(A)の融点以上の温度で延伸される製法であり、透明性に優れるが、延伸配向が弱い為に耐衝撃性は弱いレベルとなる。一方、冷間延伸法は、ポリ乳酸重合体(A)は非晶状態であるが、結晶化速度の比較的速い生分解性脂肪族ポリエステル(B)は部分的に結晶化が進んだ状態(非完全な非晶状態)で、(A)のガラス転移温度以上融点以下に再加熱して延伸される製法であり、延伸に伴い脂肪族ポリエステル(B)の結晶サイズが大きくなり易い、又は、層状又は棒状片の厚みが薄くなり難いことにより、溶融延伸法よりは透明性が劣るが、延伸配向が強い為に耐衝撃性は強いレベルとなる。
【0032】
フィルム又はシートの延伸倍率としては、延伸方法に関わらず、押出し口金(ダイリップ)間隔に対して、最終の延伸フィルム又はシートの厚みが1/200倍以上1/40倍以下の範囲になる様に、即ち、押出し口金(ダイリップ)出口直後のフィルム又はシートの面積に対して、最終の延伸フィルム又はシートの面積が40倍以上200倍以下になる様に、少なくとも1軸方向に延伸する。(以下、押出し口金(ダイリップ)出口直後のフィルム又はシートの面積/最終の延伸フィルム又はシートの面積の比を、「ダイ出口からの面積倍率」という。)
ダイ出口からの面積倍率で40倍未満ではポリ乳酸重合体(A)中に分散するガラス転位温度Tgが0℃以下の脂肪族ポリエステル(B)の層状又は棒状片の厚み(D)が150nm以上に厚くなって、透明性や耐衝撃性に劣る問題がある。一方、ダイ出口からの面積倍率が200倍を超えると、延伸安定性が極端に低下して、 安定した製膜が行えなくなる問題がある。
【0033】
殊に、冷間延伸法において、溶融状態から急冷し非晶状態に近い状態で固化させたもの(本発明ではパリソンと呼ぶ)を再加熱後に冷間延伸する場合は、ポリ乳酸系樹脂を溶融状態にて押出し口金(ダイリップ)間隔に対してパリソンの厚みが1/2倍以上1/20倍以下の範囲になる様に、面積倍率で2倍以上20倍以下にになる様に少なくとも1軸方向に溶融延伸後に、パリソンの大きさに対してMD方向(押出方向)及びTD方向(MDと垂直な方向)それぞれに1.5〜6倍冷間延伸して、最終的に、ダイリップ間隔に対して延伸フィルム又はシートの厚みが1/200倍以上1/40倍以下の範囲になる様に、ダイ出口からの面積倍率で40倍以上200倍以下の範囲になる様に少なくとも1軸方向に延伸する。
【0034】
好ましいパリソン作成時の溶融延伸の範囲は、透明性や延伸安定性の範囲から、ダイリップ間隔に対してパリソンの厚みが1/3倍以上1/18倍以下の範囲で、ダイ出口からの面積倍率で3倍以上18倍以下である。又、パリソンからフィルム又はシートへの冷間延伸の範囲は、延伸安定性や剛性等による機械適性の観点から、パリソンの大きさに対してMD方向及びTD方向それぞれに1.5〜6倍、より好ましくは2〜5倍である。
延伸倍率は大きい方が得られるフィルム又はシートの強度及び厚み精度の観点から好ましいが、パリソンの大きさに対する延伸倍率がMD方向もTD方向も両方6倍を越える冷間延伸は、延伸安定性が極端に低下して、 安定した製膜が行えなくなることがある。
【0035】
又、フィルム又はシートの熱処理加工としては、非収縮フィルム又はシートを得る場合には、熱処理温度は約100℃〜160℃の間、熱処理時間は少なくとも2〜10秒の範囲内である。かかる範囲を下回ると得られたフィルムの熱収縮率が高くて非収縮フィルムにはならず、かかる範囲を上回ると熱処理中にフィルムが融解し破断する場合がある。
延伸後のフィルム又はシートの厚みは、好ましくは5〜500μm、より好ましくは7〜250μm、更に好ましくは10〜100μmであるが、本発明では特に限定されるものではない。
【0036】
本発明のポリ乳酸系延伸フィルム又はシートには、所望により当該技術分野において通常用いられる添加剤、例えば、可塑剤、充填剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、造核剤、架橋剤、着色剤等を本発明の要件と特性を損なわない範囲で配合することが可能である。可塑剤としては、当業界で一般に用いられているものから選択使用でき、樹脂組成物に10重量%程度添加してもブリードアウトしないものが好ましい。例えば、脂肪族多価カルボン酸エステル、脂肪酸多価アルコールエステル、オキシ酸エステル、エポキシ系可塑剤等が含まれる。具体例としては、トリアセチン(TA)、トリブチリン(TB)、ブチルフタリルブチルグリコレート(BPBG)、アセチルクエン酸トリブチル(ATBC)、ジオクチルセバケート(DBS)、トリエチレングリコールジアセテート、グリセリンエステル類、オレイン酸ブチル(BO)、アジピン酸エーテル・エステル、エポキシ化大豆油(ESO)、等が挙げられる。
【0037】
充填剤としては、一般に合成樹脂分野において強度や耐久性などの諸性質を改善する目的で添加される物質である。充填剤の種類としては無機系と有機系があるが目的とするフィルムにより適宜選択して使用できる。無機系充填剤としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、珪素、アンチモン、チタン等の金属の酸化物、その水和物(水酸化物)、硫酸塩、炭酸塩、珪酸塩のごとき化合物、これらの複塩並びにこれらの混合物に大別される。具体例としては、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ)、その水和物、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム(マグネシア)、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛(亜鉛華)、鉛丹及び鉛白のごとき鉛の酸化物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ホワイトカーボン、マイカ、タルク、ガラス繊維、ガラス粉末、ガラスビーズ、クレー、珪藻土、シリカ、ワラストナイト、酸化鉄、酸化アンチモン、酸化チタン(チタニア)、リトポン、軽石粉、硫酸アルミニウム(石膏など)、珪酸ジルコニウム、炭酸バリウム、ドロマイト、二硫化モリブデン及び砂鉄が挙げられる。一方、有機系充填剤としては、セルロース系、澱粉系(可塑化澱粉も含む)等が挙げられる。酸化防止剤としてはp−t−ブチルヒドロキシトルエン、p−t−ブチルヒドロキシアニソール等のヒンダードフェノール系酸化防止剤;熱安定剤としてはトリフェニルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリスノリルフェニルホスファイト等;紫外線吸収剤としてはp−t−ブチルフェニルサリシレート、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2,4,5−トリヒドロキシブチロフェノン等;滑剤としてはステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、パルミチン酸ナトリウム等;帯電防止剤としてはN,N−ビス(ヒドロキシエチル)アルキルアミン、アルキルアミン、アルキルアリルスルホネート、アルキルスルフォネート等;難燃剤としてはヘキサブロモシクロドデカン、トリス−(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、ペンタブロモフェニルアリルエーテル等;造核剤としてはポリエチレンテレフタレート、ポリ−トランスシクロヘキサンジメタノールテレフタレート、パルミチン酸アミド等が挙げられる。
【0038】
又、 本発明のポリ乳酸系延伸フィルム又はシートは、単体材料でもそれに異種又は同種の材料が積層された複合材料でも良い。更には、印刷、コーテイング、ラミネート等の目的で、ポリオレフィン系樹脂製品に比べて親水性ではあるが、ポリ乳酸系延伸フィルム又はシートの表面をコロナ処理などによりさらに親水化処理することもできる。その際の表面張力としては、40dyn/cm〜60dyn/cmの範囲が好ましい。
【0039】
【発明の実施の形態】
実施例および比較例によって本発明を説明する。
実施例および比較例で用いた評価方法について以下に説明する。
まず、ポリ乳酸系延伸フィルム又はシートの構成組成の評価方法は以下の通りである。
(1)ポリ乳酸重合体(A)の光学純度OP
ポリ乳酸系樹脂を構成する主体の樹脂であるポリ乳酸重合体(A)の光学純度(OP:単位%)は、前述の通り、ポリ乳酸重合体(A)を構成するL−乳酸及び/又はD−乳酸単量体単位の構成比率から下記式により計算される。
OP=|[L]−[D]| ,但し、[L]+[D]=100
【0040】
ポリ乳酸重合体(A)を構成するL−乳酸及び/又はD−乳酸単量体単位の構成比率は、以下の測定条件で、試料を1N−NaOHでアルカリ分解後に1N−HClで中和して蒸留水で濃度調整した加水分解試料(液)について、光学異性体分離カラムを装着した島津製作所製の高速液体クロマトグラフィー(HPLC:LC−10A−VP)にて、紫外線UV254nmでのL−乳酸とD−乳酸の検出ピーク面積比(垂線法による面積測定)から、ポリ乳酸重合体(A)を構成するL−乳酸の重量比率[L](単位%)、ポリ乳酸重合体(A)を構成するD−乳酸の重量比率[D](単位%)を求め、1重合体当り3点の算術平均(四捨五入)をもって測定値とした。
カラム:東ソー製TSKgel−Enantio−L1 [4.6mm経×25cm長]
移動相:1mM−CuSO4 水溶液
試料溶液濃度:25pg/μL [ポリ乳酸重合体としての濃度]
試料溶液注入量:10μL
溶媒流速:0.5〜0.8ml/分
カラム温度:40℃
【0041】
(2)ポリ乳酸重合体(A)及び生分解性脂肪族ポリエステル(B)の重量平均分子量Mw
東ソー製のゲルパーミエイションクロマトグラフィー装置(GPC:データ処理部GPC−8020、検出器RI−8020)を用いて、以下の測定条件で、標準ポリスチレンを用いてポリスチレン換算で分子量500以下のものを除く高分子物の分散の重量平均値として重量平均分子量Mwを求め、1試料当り3点の算術平均(有効数字2桁)をもって測定値とした。
カラム:昭和電工製Shodex K −805とK −801の連結カラム[7.8mm経×60cm長]
溶離液:クロロホルム
試料溶液濃度:0.2wt/vol%
試料溶液注入量:200μL
溶媒流速:1ml/分
カラム・検出器温度:40℃
【0042】
(3)ポリ乳酸重合体(A)及び生分解性脂肪族ポリエステル(B)の融点Tm、ガラス転移温度Tg
JIS−K7121に準拠して、樹脂の融点Tm、ガラス転移温度Tgを測定した。すなわち、標準状態(23℃65%RH)で状態調節(23℃1週間放置)した試料から試験片として長手方向(MD)及び幅方向(TD)に各々2点(2箇所)ずつ約10mgを切り出した後、パーキンエルマー(Perkin−Elmer)社製の示差走査熱量計(熱流速型DSC)、DSC−7型を用いて、窒素ガス流量25ml/分、10℃/分で室温(23℃)から200℃まで昇温し(1次昇温)、200℃で10分間保持して完全に融解させた後、30℃/分で−100℃まで降温させて−100℃で2分間保持し、更に上記昇温条件で2回目の昇温(2次昇温)する間に描かれるDSC曲線のうち、1次昇温時の融解(吸熱)ピーク頂点から融点Tm(℃)、2次昇温時の階段状変化部分曲線と各ベースライン延長線から縦軸方向に等距離にある直線との交点(中間点ガラス転移温度)をTg(単位℃)として測定し、1試料当り4点の算術平均(小数点以下四捨五入)をもって測定値とした。
【0043】
(4)生分解性脂肪族ポリエステル(B)の層状又は棒状片厚み(D)の測定標準状態(23℃65%RH)で状態調節(23℃1週間放置)したポリ乳酸系延伸フィルム又はシートから試験片として幅方向(TD)に等間隔に3箇所30μm厚×10mm角のフィルムに切り出した後、四酸化オスミウム及び四酸化ルテニウムの二重染色を施し、エポキシ系樹脂に包埋した後、ウルトラミクロトーム、LKB2088を用いて0.1〜1μmの超薄切り片を、該フィルムの縦方向(MD方向)又は横方向(TD方向)に沿って該フィルムの平面に対し垂直(即ち、厚み方向)に切り出し、検鏡試料とした。該検鏡試料について、日立製作所製の透過型電子顕微鏡(TEM)、H7100型を用いて(MD及びTD方向のフィルム厚み方向の切断面が観察面)、4万倍の倍率の測定写真から染色された生分解性脂肪族ポリエステル(B)のドメインのうち、1割未満の球状(楕円状)のゲル状異物や4割未満の5nm未満の球状(楕円状)微小相を除いた主要な(5割以上の)形態としての層状又は棒状片について、層状又は棒状片の間隔が5nm以上の染色界面の比較的明確で検鏡試料切片厚み方向(超薄切り片厚み0.1〜1μm方向)に分散して存在する層状又は棒状片の重なりの無い部分3点を選んで、1検鏡試料当り18点のうちフィルム厚み方向(測定写真の短辺の左右方向)の層状又は棒状片の染色された幅の最大値を、1片当りの層状又は棒状片の厚み(D)とした。尚、測定に当っては、測定写真の層状又は棒状片の染色された幅を1mm刻みのスケールを用いて、1mm測定幅当り25nmと読み替えて測定した。尚、層状又は棒状片が一見厚く見える部分については、その部分の層状又は棒状片を測定写真の上下方向(フィルムのMD又はTD方向)に辿ってみると、厚みの薄い層状又は棒状片が集合している部分であることが分かる。これは層状又は棒状片の間隔が5nm未満又は5nm未満の微小な球状(楕円状)相が介在して染色界面が不明確になることが原因であり、層状又は棒状片はミクロ相分離して存在していることから、上記のように測定した。
【0044】
次に、ポリ乳酸系延伸フィルム又はシートの性能評価の方法は以下の通りである。
<透明性>
標準状態(23℃65%RH)で状態調節(23℃1週間放置)したポリ乳酸系延伸フィルム又はシートから試験片として50μm厚み×50mm角の正方形状フィルムに切り出した後、ASTM−D1003−95に準拠して、日本電色工業製の濁度計( ヘーズメーター)、NDH−1001DP型を用いて、曇り度(Haze:単位%)を標準状態下で測定し、1種フィルム又はシート当り6点の算術平均値(有効数字2桁)もって測定値とした。透明性は、フィルム又はシートを用いて包装体とした時における被包装物の視認性の観点から以下のように評価した。
【0045】
Figure 0003862557
【0046】
<耐衝撃性>
標準状態(23℃65%RH)で状態調節(23℃1週間放置)したポリ乳酸系延伸フィルム又はシートから試験片として50μm厚み×225mm×250mm角の四角形状フィルムを種フィルム又はシート当り30枚切り出した後、ASTM−D1709−91(A法)に準拠して、東洋精機製のダート衝撃試験装置を用いて、50%破壊エネルギー(Dart強度:単位mJ)を標準状態下で測定した(有効数字2桁)。耐衝撃性は、フィルム又はシートのDart強度が、同製法で得られた参考例のポリ乳酸重合体(A)単体フィルム又はシートに対するDart強度の改善効果(Dart強度比)により、以下のように評価した。
Figure 0003862557
【0047】
<再製膜性(リサイクル性)>
ポリ乳酸重合体(A)と生分解性脂肪族ポリエステル(B)の混合物を主体とするポリ乳酸系樹脂原料を各々乾燥した後に同方向2軸押出機を用いて溶融混練して押出して後述の実施例、比較例及び参考例の様に延伸加工したフィルム又はシートを粉砕加工して得られる粉砕原料を、単軸押出機にてペレタイズして再生原料を得た。この再生原料を同様に乾燥して溶融押出及び延伸後に粉砕加工する工程を更に2回繰り返してリサイクル原料を作成した。このリサイクル原料を用いて同様に製膜し、上記の透明性及び耐衝撃性を評価した。
【0048】
<総合評価>
上記の透明性、耐衝撃性に関して、リサイクル原料を使用しない基本特性、及び、リサイクル原料を使用した再製膜性についての総合結果指標を以下に示す。
Figure 0003862557
【0049】
以下の実施例および比較例においては、ポリ乳酸系延伸フィルム又はシートの一つの形態である溶融延伸法や冷間延伸法によるフィルムについて評価を行った。そして、ポリ乳酸系樹脂は、公知の縮重合法(溶液法)や開環重合法(ラクチド法)により得られた表1に示すポリ乳酸重合体を用いた。尚、市販されているポリ乳酸重合体も同様な方法で得られることは言うまでも無く、表1に示す脂肪族ポリエステルと同様に商業的に容易に入手可能である。
但し、本発明におけるポリ乳酸系延伸フィルム及びシートの樹脂組成及び形態がこれに限定されるものではない。
【0050】
(実施例1)、(比較例1)及び(参考例1)
表2に示す実施例1、比較例1及び参考例1は、表1のポリ乳酸重合体(A)と脂肪族ポリエステル(B)からなる表2の樹脂組成(重量部表示、但し(A)+(B)=100部)のポリ乳酸系樹脂による冷間延伸法のポリ乳酸系延伸フィルムについて評価したものである。
フィルムへの延伸加工は、表2の樹脂組成となる様に表1の樹脂原料を各々乾燥した後に同方向2軸押出機を用いて溶融混練し、最終的にダイ出口からの面積倍率(ダイリップ間隔/延伸フィルム厚みの寸法比)が表2中の延伸倍率になる様に、表2中の各種ダイリップ間隔のTダイを用いて樹脂温度200℃の樹脂を板状に押出し、35℃のキャステイングロールにて急冷して得た600μ厚みの実質的に非晶質シートを、75℃に加熱して長手(MD)方向に3倍ロール延伸、次いでテンターで延伸温度80℃にて幅(TD)方向に4倍延伸して、その後延伸した状態でフィルムを室温付近まで冷却することで、表2中の厚みの延伸フィルムを得た。又、前述のリサイクル原料についても、同様に延伸フィルムを作成した。
【0051】
図1〜図4は、実施例1No.2のリサイクル前の原料によるポリ乳酸系延伸フィルムの縦方向(MD方向)及び横方向(TD方向)の厚み方向切断面4万倍及び2万倍の倍率の測定写真(写真の長辺がMD又はTD方向、短辺がフィルム厚み方向)の一例である。これらの図より、(A)相中(B)相のドメイン(測定写真の黒く着色されて見える部分)が層状又は棒状片を主体とする形態でフィルム又はシート外表面に対してほぼ平行にミクロ相分離して存在しており、部分的に層状片が重なって層状又は棒状片の厚み(D)が見掛け上150nm以上に見える部分にも層状片の界面が存在し、独立して層状又は棒状片が分散して存在していることが分かる。そして、1片当りの層状又は棒状片の厚み(D)は最大で約75nmであり、その長さ(L)は約1μm以上が主体であることが分かる。
【0052】
表2内の評価結果に示すように、冷間延伸法において、層状又は棒状片の厚み(D)が125nm以下である、重量比(A)/(B)が90/10〜60/40、且つ、ダイ出口からの面積倍率(ダイリップ間隔/延伸フィルム厚みの寸法比)が40〜200倍の範囲に相当する実施例1は、透明性、耐衝撃性、再製膜性(リサクル性)の全てに実用レベル以上であり、重量比(A)/(B)が90/10〜75/25のもの(実施例1No.1〜3)は透明性に良好なものであった。特に脂肪族ポリエステル(B)が脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールを主成分として重縮合した(B1)(B2)であるもの、及び、ポリ乳酸重合体(A)が光学純度の低い非晶性ポリ乳酸を20%以上含むもの(実施例No.5及びNo.6)は透明性に非常に優れたものであった。層状又は棒状片の厚み(D)が150nm以上である従来レベルの比較例1No.2は、透明性及び耐衝撃性の改善効果が低く、特にリサイクル原料使用時に透明性の劣化が酷く、再製膜性(リサイクル性)に劣る結果となった。尚、参考例1のリサイクル前のDart強度は600mJであり、表2中の冷間延伸法のDart強度比の基数1とした。
【0053】
(実施例2)、(比較例2)及び(参考例2)
表2に示す実施例2、比較例2及び参考例2は、表1のポリ乳酸重合体(A)と脂肪族ポリエステル(B)からなる表2の樹脂組成(重量部表示、但し(A)+(B)=100部)のポリ乳酸系樹脂による溶融延伸法のポリ乳酸系延伸フィルムについて評価したものである。
フィルムへの延伸加工は、表2の樹脂組成となる様に表1の樹脂原料を各々乾燥した後に同方向2軸押出機を用いて溶融混練し、最終的にダイ出口からの面積倍率(ダイリップ間隔/延伸フィルム厚みの寸法比)が表2中の延伸倍率になる様に、表2中の各種ダイリップ間隔の円形ダイより樹脂温度200℃の樹脂を環状に押出し、空冷リングで冷却しながら溶融状態からブローアップ比(幅方向)が2.5倍、長手(MD)方向に8〜16倍で延伸して、その後延伸した状態でフィルムを室温付近まで冷却することで、表2中の厚みの延伸フィルムを得た。又、前述のリサイクル原料についても、同様に延伸フィルムを作成した。
【0054】
図5は、実施例2No.2のリサイクル原料によるポリ乳酸系延伸フィルムの縦方向(MD方向)の厚み方向切断面4万倍の測定写真の一例である。図1〜図4と同様に、(A)相中(B)相のドメイン(測定写真の黒く着色されて見える部分)が1 状又は棒状片を主体とする形態でフィルム又はシート外表面に対してほぼ平行にミクロ相分離して存在しており、部分的に層状片が重なって層状又は棒状片の厚み(D)が見掛け上150nm以上に見える部分にも層状片の界面が存在し、独立して層状又は棒状片が分散して存在していることが分かる。そして、1片当りの層状又は棒状片の厚み(D)は最大で約125nmであり、その長さ(L)は約1μm以上が主体であることが分かる。
【0055】
表2内の評価結果に示すように、溶融延伸法において、層状又は棒状片の厚み(D)が125nm以下である、重量比(A)/(B)が90/10〜60/40、且つ、ダイ出口からの面積倍率(ダイリップ間隔/フィルム厚みの寸法比)が40倍以上の実施例2は、透明性、耐衝撃性、再製膜性の全てに良好であり、重量比(A)/(B)が90/10〜75/25のもの(実施例2No.1及びNo.2)は透明性に優れたものであった。層状又は棒状片の厚み(D)が150nm以上である従来レベルの比較例2は、透明性の改善効果が低く、特にリサイクル原料使用時に透明性及び耐衝撃性の劣化が酷く、再製膜性(リサイクル性)に劣る結果となった。尚、参考例2のリサイクル前のDart強度は80mJであり、表2中の溶融延伸法のDart強度比の基数1とした。
【0056】
【表1】
Figure 0003862557
【0057】
【表2】
Figure 0003862557
【0058】
【発明の効果】
本発明のポリ乳酸系延伸フィルムは自然環境中での生分解性を有し、透明性、耐衝撃性、再製膜性(リサイクル性)に優れたものある。また、本発明のポリ乳酸系延伸フィルムは、熱収縮性又は熱非収縮性の延伸フィルム又はシート状物、それによって包装された包装体、並びに、それを用いた複合材料として、具体的には、弁当や惣菜容器オーバーラップ用等の収縮性フィルム又はシート状物、又は、チャック付きバッグ用等の非収縮性フィルム又はシート状物として、非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1No.2のリサイクル前の原料でのフィルムMD方向の切断面4万倍の測定写真の一例である。
【図2】実施例1No.2のリサイクル前の原料でのフィルムMD方向の切断面2万倍の測定写真の一例である。
【図3】実施例1No.2のリサイクル前の原料でのフィルムTD方向の切断面4万倍の測定写真の一例である。
【図4】実施例1No.2のリサイクル前の原料でのフィルムTD方向の切断面2万倍の測定写真の一例である。
【図5】実施例2No.2のリサイクル原料でのフィルムMD方向の切断面4万倍の測定写真の一例である。

Claims (8)

  1. L −乳酸及び/又はD −乳酸が主成分のポリ乳酸重合体(A)とポリ乳酸重合体(A)以外の示差走査熱量測定(JIS−K7121)でのガラス転移温度Tgが0℃以下である生分解性脂肪族ポリエステル(B)の重量割合(A):(B)が90:10〜60:40の混合物を主体としてなるポリ乳酸系樹脂からなるフィルム又はシートおいて、フィルム又はシートの厚み方向切断面における(A)相中(B)相のドメインが層状又は棒状片を主体とする形態でフィルム又はシート外表面に対してほぼ平行にミクロ相分離して存在し、該層状又は棒状片の厚み(D)が1片当り150nm未満であることを特徴とするポリ乳酸系延伸フィルム又はシート。
  2. 該ポリ乳酸重合体(A)と該生分解性脂肪族ポリエステル(B)の重量割合(A):(B)が90:10〜75:25であることを特徴とする請求項1に記載のポリ乳酸系延伸フィルム又はシート。
  3. 該ポリ乳酸重合体(A)が、光学純度OP(A1)の結晶性ポリ乳酸(A1)と光学純度OP(A2)の非晶性ポリ乳酸(A2)を混合した下記式(1)及び(2)を満足する組成物からなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のポリ乳酸系延伸フィルム又はシート。
    (1) 80%≦OP(A1)≦100%, 0%≦OP(A2)<80%
    (2) 20%≦[A2]/([A1]+[A2])≦100%
    [但し、[A1]+[A2]=100%であり、OP(A1)及び[A1]は結晶性ポリ乳酸(A1)の光学純度(単位%)及び重量比率(単位%)、OP(A2)及び[A2]は非晶性ポリ乳酸(A2)の光学純度(単位%)及び重量比率(単位%)を表す。]
  4. 該生分解性脂肪族ポリエステル(B)が、ポリエチレンアジペート、ポリプロピレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキセンアジペート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペートの群より選ばれる少なくとも1種の脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールを主成分として重縮合した脂肪族ポリエステルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリ乳酸系延伸フィルム又はシート。
  5. 濁度計(ASTM−D1003−95)での曇り度(Haze)が5%未満であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリ乳酸系延伸フィルム又はシート。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のフィルム又はシートよりなる層を少なくとも1層含む複合体であることを特徴とするポリ乳酸系延伸フィルム又はシート。
  7. 該ポリ乳酸系樹脂を溶融押出して製膜する際に、最終的なフィルム又はシートの厚みが押出し口金(ダイリップ)間隙に対して1/200倍以上1/40倍以下の範囲の厚み(又は最終的なフィルム又はシートの面積が押出し口金(ダイリップ)出口直後のフィルム又はシートの面積に対して40倍以上200倍以下の範囲の面積)になる様に、少なくとも1軸方向に延伸することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリ乳酸系延伸フィルム又はシートの製造方法。
  8. 該口金から溶融押出しされた該ポリ乳酸系樹脂を、溶融状態で押出し口金(ダイリップ)間隙に対して1/2倍以上1/20倍以下の範囲の厚み(又は押出し口金(ダイリップ)出口直後のフィルム又はシートの面積に対して2倍以上20倍以下の範囲の面積)になる様に、少なくとも1軸方向に延伸後、急冷して実質的に非晶状態と成した後に少なくとも1軸方向に延伸することを特徴とする請求項7に記載のポリ乳酸系延伸フィルム又はシートの製造方法。
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