JP2003160675A - 透明な耐衝撃性ポリ乳酸系延伸フィルム又はシート、及び、その製造方法 - Google Patents

透明な耐衝撃性ポリ乳酸系延伸フィルム又はシート、及び、その製造方法

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JP2003160675A JP2001362653A JP2001362653A JP2003160675A JP 2003160675 A JP2003160675 A JP 2003160675A JP 2001362653 A JP2001362653 A JP 2001362653A JP 2001362653 A JP2001362653 A JP 2001362653A JP 2003160675 A JP2003160675 A JP 2003160675A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透明性、耐衝撃性、再製膜性(リサイクル
性)に優れたポリ乳酸系延伸フィルム又はシートを提供
すること。 【解決手段】 L −乳酸及び/又はD −乳酸が主成分の
ポリ乳酸重合体(A)とポリ乳酸重合体(A)以外の示
差走査熱量測定(JIS−K7121)でのガラス転移
温度Tgが0℃以下である生分解性脂肪族ポリエステル
(B)の重量割合(A):(B)が90:10〜60:
40の混合物を主体としてなるポリ乳酸系樹脂からなる
フィルム又はシートおいて、フィルム又はシートの切断
面における(A)相中(B)相のドメインが層状又は棒
状片を主体とする形態でフィルム又はシート外表面に対
してほぼ平行にミクロ相分離して存在し、該層状又は棒
状片の厚み(D)が1片当り150nm未満であること
を特徴とするポリ乳酸系延伸フィルム又はシート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明性、耐衝撃
性、再製膜性(リサイクル性)に優れた生分解性を有す
るポリ乳酸系延伸フィルム又はシート、及び、その製造
方法に関するものである。更に詳しくは、熱収縮性又は
熱非収縮性の延伸フィルム又はシート、具体的には、弁
当や惣菜容器等に用いられるオーバーラップ用収縮性フ
ィルムや成形シート、チャック付きバッグや透明窓付き
紙箱等に用いられる非収縮性フィルムやシートなどの包
装体に有用なポリ乳酸系延伸フィルム又はシート、及
び、その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】透明性、耐衝撃性、再製膜性(リサイク
ル性)に優れる樹脂材料として、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の材料が挙げ
られ、幅広く使用されている。しかしながら、これの樹
脂材料の廃棄に関わる自然環境保護の観点から、燃焼熱
量が低く、土壌中で分解し、且つ安全であるものが望ま
れ、ポリ乳酸重合体などの脂肪族ポリエステル等の生分
解性樹脂を用いた製品、具体的にはフィルム・シートや
ボトルなどの容器や成形物、繊維、不織布、発泡体、そ
れらを用いた複合材料等の研究が活発に行われている。
【0003】ポリ乳酸重合体は、光学活性中心を有する
乳酸の重縮合体であって、ポリマーを構成するL−乳酸
及び/又はD−乳酸単量体単位の構成比率から下記式に
より計算される光学純度(OP:単位%)に応じて、 OP=|[L]−[D]| ,但し、[L]+[D]=
100 (ここで、[L]はポリ乳酸重合体を構成するL−乳酸
の重量%、[D]はポリ乳酸重合体を構成するD−乳酸
の重量比率%、||は計算値の絶対値を表す。)
【0004】光学純度が80%以上と高いものは結晶
性、光学純度が80%未満と低いものは非晶性となる性
質を持ち、他の生分解性樹脂に比べて、曇り度(AST
M−D1003−95に準拠)が約4%未満及び引張弾
性率(ASTM−D882−95aに準拠)が約2〜5
GPaと透明性と剛性に優れている一方で、ガラス転位
温度Tgは約60℃で、他の生分解性樹脂の中では特別
に高いことから、室温(23℃)では脆性である性質を
持つ。又、結晶化温度も約100℃と相当高く、光学純
度が80%以上の結晶性のものであっても、溶融状態か
ら急冷されると非晶状態となる性質を持つことから、ガ
ラス転位温度付近から結晶化温度までの温度領域(約5
0〜100℃)で容易に成形加工することが出来、特
に、それを延伸又は熱処理加工したフィルム・シート状
物は、引張破断強度(ASTM−D882−95aに準
拠)が約70〜300MPaと機械的強度が強く、巻物
状原反フィルムから連続的に裁断加工等される場合に要
求される機械適性にも優れ、高度な透明性を要求される
各種包装用フィルムやシートとして適している。
【0005】しかし、ポリ乳酸重合体が本来有する脆性
のために、包装体輸送時に要求される耐衝撃性が劣る欠
点を有することから、耐衝撃性の優れるポリ乳酸重合体
以外のガラス転位温度Tgの低い(0℃以下の)生分解
性脂肪族ポリエステルを混合させることにより耐衝撃性
を改善する試みが成されている。ここでいうポリ乳酸重
合体以外の生分解性脂肪族ポリエステルとは、脂肪族ジ
カルボン酸と脂肪族ジオールを主成分として重縮合した
脂肪族ポリエステル、環状ラクトン類を開環重合した脂
肪族ポリエステル、合成系脂肪族ポリエステル、菌体内
で生合成される脂肪族ポリエステル等の結晶性樹脂であ
って、その結晶融点は60〜150℃の範囲内でガラス
転位温度は室温(23℃)以下にあり、室温ではゴム状
態で耐衝撃性がある一方で、溶融状態から急冷されても
結晶化が進行して結晶サイズが大きくなり易く、透明性
に劣る欠点を有する。よって、ポリ乳酸重合体とポリ乳
酸重合体以外の生分解性脂肪族ポリエステルの混合物か
らなるフィルム又はシートに関して、耐衝撃性の向上と
高度な透明性を、例え製造時に発生する屑を再利用した
リサイクル原料を使用した場合においても、満足できる
再製膜性(リサイクル性)に優れたポリ乳酸系フィルム
及びシート、及び、その製造方法は未だに得られていな
い。
【0006】ポリ乳酸重合体(A)とガラス転位温度T
gが0℃以下の生分解性脂肪族ポリエステル(B)の混
合物を主体としてなるポリ乳酸系樹脂からなるポリ乳酸
系延伸フィルム及びシートに関しては、例えば、特開平
7−265775号公報には溶融樹脂吐出口となる口金
(ダイリップ)間隙の1/3倍の厚みになる様に(ダイ
出口からの面積倍率で3倍)キャスティングロールにて
1軸延伸したシート、特開2000−273207号公
報にはダイリップ間隙の1/20倍になる様に8.89
×2.25倍(ダイ出口からの面積倍率で20倍)イン
フーション法により2軸延伸したシート、特開2001
−130183号公報にはキャスティングロール及びテ
ンターにて2.4×3.1倍(ダイ出口からの面積倍率
で7.4倍)延伸したフィルム又はシートが開示されて
いるが、いずれもポリ乳酸重合体(A)と生分解性脂肪
族ポリエステル(B)の混合割合で(B)が10%以上
の場合に曇り度(Haze)が5%以上となり、実用レ
ベルの透明性を達成しているとは言えず、透明性に劣る
問題がある。
【0007】又、特開2001−151906号には、
ポリ乳酸重合体(A)とガラス転位温度Tgが0℃以下
の生分解性脂肪族ポリエステル(B)の溶融粘度が一定
関係にあるポリ乳酸系樹脂をキャスティングロール及び
テンターにて1.05×5.0倍(ダイ出口からの面積
倍率で5.1倍)延伸したフィルム又はシートが、改善
された透明性を発現することが開示されている。しか
し、曇り度(Haze)が6%以上10%以下と未だ透
明性のレベルが不充分であり、更には、ポリ乳酸系樹脂
からなるフィルム又はシートの製膜時に発生するトリム
屑を押出ペレット化してリサイクル原料とする場合に、
リサイクルされるポリ乳酸系樹脂は分子量低下を起こし
て溶融粘度の関係が一定範囲より外れることになる為、
リサイクル回数及びリサイクル混入割合に応じて曇り度
(Haze)が10%を超える程に透明性が悪化して、
再製膜性(リサイクル性)に劣る問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、透明性、耐
衝撃性、再製膜性(リサイクル性)に優れたポリ乳酸系
延伸フィルム又はシート、及び、その製造方法、更に
は、それによる包装体、複合材料を提供することを目的
とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記課題
を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、ポリ乳酸重合
体とポリ乳酸重合体以外のガラス転位温度Tgが0℃以
下の生分解性脂肪族ポリエステルを特定の割合で含む混
合物を主体としてなるポリ乳酸系樹脂からなるフィルム
及びシートにおいて、特定のダイ出口からの面積倍率で
延伸加工することによって、フィルム外表面に対してほ
ぼ平行な状態で特定の大きさを有する層状又は棒状片の
形態を主体としてミクロ相分離させて脂肪族ポリエステ
ルを存在させることが可能となり、本発明の目的を達成
しうることを見い出し、本発明を完成した。
【0010】すなわち、本発明は下記の通りである。L
−乳酸及び/又はD −乳酸が主成分(80〜100重量
%)のポリ乳酸重合体(A)とポリ乳酸重合体(A)以
外の示差走査熱量測定(JIS−K7121)でのガラ
ス転移温度Tgが0℃以下である生分解性脂肪族ポリエ
ステル(B)の重量割合(A):(B)が90:10〜
60:40の混合物を主体(50〜100重量%)とし
てなるポリ乳酸系樹脂からなるフィルム又はシートおい
て、フィルム又はシートの切断面における(A)相中
(B)相のドメインが層状又は棒状片を主体とする形態
でフィルム又はシート外表面に対してほぼ平行にミクロ
相分離して存在し、該層状又は棒状片の厚み(D)が1
片当り150nm未満であることを特徴とするポリ乳酸
系延伸フィルム又はシート。
【0011】つまり、本発明は、ポリ乳酸重合体(A)
とガラス転移温度Tgが0℃以下である生分解性脂肪族
ポリエステル(B)の混合物を主体(50〜100重量
%)としてなるポリ乳酸系樹脂からなるフィルム又はシ
ートおいて、下記の3つの要件の組合せである。 ポリ乳酸重合体(A)とガラス転移温度Tgが0℃以
下の生分解性脂肪族ポリエステル(B)の重量割合は9
0:10〜60:40である。これは、透明性は優れる
が脆性であるポリ乳酸重合体(A)と透明性が劣るが耐
衝撃性の優れるガラス転移温度Tgが0℃以下の生分解
性脂肪族ポリエステル(B)の混合割合を示し、この範
囲において生分解性延伸フィルム又はシートの透明性と
耐衝撃性を両立できる。
【0012】フィルム又はシートの縦又は横方向の切
断面におけるポリ乳酸重合体(A)相中に存在する生分
解性脂肪族ポリエステル(B)相のドメインは、層状又
は棒状片の形態を主体とする。これは、生分解性脂肪族
ポリエステル(B)が、球状のドメインではなく層状又
は棒状片を主体とした形態でフィルム又はシート外表面
に対してほぼ平行に分散して存在する(図1〜5参照)
ことで、耐衝撃性の優れる脂肪族ポリエステルに対する
フィルム又はシート外表面の垂直方向より与えられる被
衝撃面積が増えて、ポリ乳酸系樹脂の耐衝撃性を高度に
改善できる。
【0013】フィルム又はシートの切断面における生
分解性脂肪族ポリエステル(B)の層状又は棒状片の厚
み(D)は1片当り150nm未満でミクロ相分離して
いる。これは、フィルム又はシートの縦及び横方向の切
断面において、透明性の劣る脂肪族ポリエステル(B)
の層状又は棒状片の長さ(L)は可視光波長以上である
が、層状又は棒状片の厚み(D)が可視光波長(約40
0〜800nm)の下限値の約1/2より小さいこと
で、透過性を阻害する要因として働く脂肪族ポリエステ
ルの結晶サイズが可視光波長より小さくなるものと考え
られ、透明性を高度に発現できる。
【0014】本発明について、以下に具体的に説明す
る。本発明のポリ乳酸系延伸フィルム又はシートとは、
最終的に微生物によって分解されるポリ乳酸系樹脂から
なる延伸フィルム又はシートをいう。本発明のポリ乳酸
系樹脂を構成するポリ乳酸重合体(A)とは、L−乳酸
単位又はD−乳酸単位の単独重合体、L−乳酸単位及び
D−乳酸単位の共重合体、L−乳酸及び/又はD−乳
酸、DL−乳酸単位を主成分(80〜100重量%)と
して他のヒドロキシカルボン酸、ラクトン類、ジカルボ
ン酸、多価アルコールからなる群の単量体との共重合体
から少なくとも1種選ばれた樹脂組成物である。
【0015】該単量体のヒドロキシカルボン酸として
は、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキ
シ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草
酸、6−ヒドロキシカプロン酸等、;ラクトン類として
は、グリコリド、ラクチド、β−プロピオラクトン、γ
−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラ
クトンおよびこれらにメチル基などの種々の基が置換し
たラクトン類等、;ジカルボン酸としては、コハク酸、
グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、
セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等、;多価ア
ルコールとしては、ビスフェノール/エチレンオキサイ
ド付加反応物などの芳香族多価アルコール、エチレング
リコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘ
キサンジオール、オクタンジオール、グリセリン、ソル
ビタン、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコ
ールなどの脂肪族多価アルコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコールなどのエーテルグリコー
ル等が挙げられる。
【0016】好ましいポリ乳酸重合体(A)としては、
透明性の観点から、分子構造的には分子間に働く力の目
安になる分子の凝集エネルギー密度(CED)の平方根
であるSP値(溶解度係数)が接近した相溶系組成であ
って、特定量の光学純度の高い緻密な結晶部分と光学純
度の低い乱疎な非晶部分が海島状の分子構造を有する組
成物が挙げられる。より好ましくは、光学純度が100
〜80%と高い高結晶性ポリ乳酸(A1)と光学純度が
80〜0%と低い低結晶性ポリ乳酸(A2)との混合樹
脂(混合比A1:A2=0:100〜100:0)から
なる組成物が挙げられ、更に好ましくは、透明性の観点
から、ポリ乳酸重合体(A)における(A2)の混合割
合が20%以上の組成物が挙げられる。
【0017】ポリ乳酸重合体(A)の重合方法として
は、縮合重合法(溶液法:特開平7−2987号公報に
記載された方法等)、開環重合法(ラクチド法:特開平
9−31171号公報に記載された方法等)などの公知
の方法を採用でき、L−乳酸、D−乳酸に由来する単量
体比率(L/D比)を変化させることにより、結晶性や
融点を自在に調整することができる。例えば、縮重合法
(溶液法)では、L−乳酸またはD−乳酸あるいはこれ
らの混合物を直接脱水縮重合して、任意の組成を持った
ポリ乳酸を得ることができる。また、開環重合法(ラク
チド法)では、乳酸の環状2量体であるラクチドを、必
要に応じて重合調整剤等を用いながら、選ばれた触媒を
使用してポリ乳酸を得ることができる。また、ポリイソ
シアネート、ポリエポキシ化合物、酸無水物、多官能酸
塩化物などの結合剤を使用して分子量を増大する重合方
法を用いることもできる。ポリ乳酸系樹脂の重量平均分
子量は5万〜100万の範囲が好ましく、さらに好まし
くは重量平均分子量10万〜50万の範囲である。分子
量が5万より小さいと機械的強度や耐熱性等の実用物性
が十分に得られず、分子量が100万を越えると成形加
工性に劣る問題がある。
【0018】本発明のポリ乳酸系樹脂を構成するポリ乳
酸重合体(A)以外の生分解性脂肪族ポリエステル
(B)とは、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールを主
成分(50〜100重量%)として重縮合した脂肪族ポ
リエステル、環状ラクトン類を開環重合した脂肪族ポリ
エステル、合成系脂肪族ポリエステル、菌体内で生合成
される脂肪族ポリエステルから少なくとも1種選ばれ
た、示差走査熱量測定(JIS−K7121)でのガラ
ス転移温度Tgが0℃以下、より好ましくは、−20℃
以下のポリ乳酸系樹脂(A)とは実質的に相溶性の無い
樹脂組成物である。Tgが0℃を超えると耐衝撃性向上
の効果を発現しない場合が多い。脂肪族ジカルボン酸と
脂肪族ジオールを主成分として重縮合した脂肪族ポリエ
ステルとしては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、
スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸
等の脂肪族カルボン酸(生分解性を妨げない範囲で、テ
レフタル酸等の芳香族カルボン酸を含んでも良い)と、
エチレングリコール、1,3−プロピオングリコール、
1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメ
タノ−ル等の脂肪族ジオールの中からそれぞれ1種以上
選んだ重縮合が例として挙げられる。環状ラクトン類を
開環重合した脂肪族ポリエステルとしては、ε−カプロ
ラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレ
ロラクトン等の環状モノマーの中から1種以上選んだ開
環重合体が例として挙げられる。合成系脂肪族ポリエス
テルとしては、無水コハク酸とエチレンオキサイド、プ
ロピレンオキサイド等の環状酸無水物とオキシラン類の
共重合体が例として挙げられる。
【0019】本発明のガラス転移温度Tgが0℃以下の
生分解性脂肪族ポリエステル(B)として特に好ましく
用いられるものは、上記の内で比較的透明性の良いとさ
れる脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールを主成分とし
て重縮合した脂肪族ポリエステルであり、その具体例と
しては、ポリエチレンアジペート、ポリプロピレンアジ
ペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキセンアジペ
ート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシ
ネートアジペートなどが挙げられる。
【0020】脂肪族ポリエステル(B)の重合方法とし
ては、直接法、間接法などの公知の方法を採用できる。
直接法では、例えば、脂肪族ジカルボン酸成分として上
記ジカルボン酸化合物その酸無水物又は誘導体を選択
し、脂肪族ジオール成分として上記ジオール化合物又は
その誘導体を選択して重縮合を行う方法で、重縮合に際
して発生する水分を除去しながら高分子量物を得ること
ができる。間接法では、直接法により重縮合されたオリ
ゴマーに少量の鎖延長剤、例えば、ヘキサメチレンジイ
ソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレ
ンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネー
ト等のジイソシアネート化合物を添加して高分子量化し
て得ることができる。脂肪族ポリエステルの重量平均分
子量は、2万〜50万の範囲が好ましく、さらに好まし
くは重量平均分子量15万〜25万の範囲である。分子
量が2万より小さいと機械的強度等の実用物性が十分に
得られず、分子量が50万を越えると成形加工性に劣る
問題がある。
【0021】本発明のポリ乳酸系樹脂の主体と成すポリ
乳酸重合体(A)とガラス転移温度Tgが0℃以下の生
分解性脂肪族ポリエステル(B)の混合物の重量割合
(合計100%)は、90:10〜60:40の範囲内
である。脂肪族ポリエステル(B)が10%未満である
と耐衝撃性の改善が不充分であり、40%を超えると溶
融張力の低下やダイスエル現象などによる原因により製
膜性が困難となる場合があり、更には、脂肪族ポリエス
テル(B)の層状片厚みも大きくなって透明性も悪化す
る。好ましい重量割合(A):(B)は、90:10〜
75:25である。本発明のポリ乳酸系樹脂としては、
上記したバージン原料以外に該樹脂製膜時に発生するト
リム屑等のリサイクル原料を単独で、又は該バージン原
料に混入して使用することができる。
【0022】又、本発明のポリ乳酸系延伸フィルム又は
シートにおけるポリ乳酸重合体(A)と生分解性脂肪族
ポリエステル(B)との混合状態は、フィルム又はシー
トの切断面において、(A)相中に分散して存在する
(B)相ドメインの主体とする形態は層状又は棒状片で
あって、例えば、一割未満の大きな球状(楕円状)のゲ
ル状相(異物)や4割未満の5nm未満の球状(楕円
状)の微小相を除いた主要(5割以上)の形態が層状又
は棒状片として、フィルム又はシート外表面(表及び裏
平面)に対してほぼ平行に分散して存在している。
(A)相中(B)相ドメインの主体とする形態が球状
(楕円状)ではなく層状又は棒状片であることで、フィ
ルム又はシートの厚み方向に対して(B)相間に挟まれ
た耐衝撃性の弱い(A)相の幅(厚み)が相対的に小さ
くなり、更には、フィルム又はシート外表面(表及び裏
平面)の垂直方向より与えられる耐衝撃性の強い(B)
相に対する被衝撃面積が増えて、耐衝撃性を高度に発現
できる。
【0023】加えて、フィルム又はシートの厚み方向切
断面における層状又は棒状片の厚み(D)は1片当り1
50nm未満(例えば、5nm以上150nm未満)
で、フィルム厚み方向に対してミクロ相分離して存在す
る。層状又は棒状片の厚み(D)が150nm以上であ
ると、例えば、透過性を阻害する要因としての脂肪族ポ
リエステルの結晶サイズが可視光波長(約400〜80
0nm)より大きくなったりして、透明性が劣る問題が
あり、好ましくは125nm以下(例えば、5nm以上
125nm以下)、より好ましくは100nm以下(例
えば、5nm以上100nm以下)、更に好ましくは7
5nm以下(例えば、5nm以上75nm以下)であ
る。又、フィルム又はシートの厚み方向切断面における
層状又は棒状片の厚みと垂直方向の長さ(L)は、いず
れも層状又は棒状片の厚みと同程度であると、フィルム
又はシート外表面(表及び裏平面)の垂直方向より与え
られる耐衝撃性の強い(B)相に対する被衝撃面積が不
足して、耐衝撃性に劣る問題がある。フィルム又はシー
トの縦又は横方向の何れか一方向の厚み方向切断面にお
ける層状又は棒状片の長さ(L)及び間隔(l)は、特
に限定されないが、好ましくは該長さ(L)は1μm以
上(例えば、1μm以上15μm以下)、該間隔(l)
は5nm以上(例えば、5nm以上15μm以下)、よ
り好ましくは該長さ(L)は5μm以上(例えば、5μ
m以上15μm以下)、該間隔(l)は25nm以上
(例えば、25nm以上15μm以下)である。
【0024】一般に、実質的に互いに非相溶な樹脂混合
物(ポリマープレンド)において、相分離したドメイン
の安定した形態は、大きさは数μm〜数十μmとマクロ
相分離しており、又、その分布も広く、形状も不定形で
相互配置関係もランダムであるとされている(「ポリマ
ーブレンド」第173頁、秋山三郎ら著、株式会社CM
C編)。これは、溶融時に機械的に同方向二軸押出機等
で十分混練して押出機出口でミクロ相分離に近い状態に
しても、押出機から円管等を用いて搬送されてTダイや
円形ダイ等の口金(ダイリップ)よりフィルム/シート
状又は環状に吐出され押出成形される間に分散状態とし
て安定なマクロ相分離になること、及び、特定の溶融粘
度の関係にあるミクロ相分離状態に近い樹脂混合物の組
成でも、数回押出機で繰り返して再生加工されるリサイ
クル原料の状態では粘度関係が範囲外になり、分散状態
として安定なマクロ相分離状態になることに一致する。
【0025】しかし、本発明者らは、本発明のポリ乳酸
系延伸フィルム又はシートにおけるポリ乳酸重合体
(A)中に分散して存在するガラス転位温度Tgが0℃
以下の脂肪族ポリエステル(B)の相分離状態は、ダイ
リップ出口からの延伸倍率(面積倍率)を特定の範囲に
することで、分散状態がダイ出口でマクロ相分離であっ
ても、フィルム又はシートの厚み方向に数nm〜数百n
mのドメインサイズでミクロ相分離の分散状態にできる
こと、更には、このミクロ相分離状態がポリ乳酸重合体
の透明性を損なうことなく耐衝撃性を改善できる状態で
あることを見出したのである。
【0026】本発明のポリ乳酸系延伸フィルム又はシー
トにおけるポリ乳酸重合体(A)中に分散して存在する
ガラス転位温度Tgが0℃以下の脂肪族ポリエステル
(B)の相分離状態は、樹脂相互の相溶性や溶融粘度の
関係が担う部分以上に、成形加工条件によって変位する
ことから、生分解性延伸フィルム又はシートの性能を表
す意義において、その有用性は大きく、上記した(A)
相中の(B)相の層状又は棒状片の大きさが上記した特
定の範囲内になるように、後述の様な市販の装置(透過
型電子顕微鏡等)を用いた簡便なスクリーニング法によ
り、樹脂組成及び延伸及び/又は熱処理加工条件を適宜
選択することが可能である。
【0027】つまり、本発明が従来技術と最も相違する
点は、ガラス転位温度Tgが0℃以下の脂肪族ポリエス
テル(B)が特定の層状又は棒状片としてポリ乳酸重合
体(A)中に分散して存在する生分解性延伸フィルム又
はシートが、良好な透明性を損なうことなく耐衝撃性を
向上させることができる点であり、加えて、製膜時に発
生するトリム屑を押出ペレット化してリサイクル原料と
する場合に伴う分子量低下による耐衝撃性の劣化、及
び、溶融粘度差の拡大による相分離ドメインサイズの拡
大による透明性の劣化が実用上問題のない様な再製膜性
(リサイクル性)を備える点である。
【0028】ここで、良好な透明性とは、例えば、包装
体の内容物をフィルム又はシートを透してみた場合に、
内容物の外観(輪郭)を明瞭に認識できる様に包装フィ
ルム等において要求される実用レベルに相当する、濁度
計(ASTM−D1003−95)での曇り度(Haz
e)が5%未満のものを示す。好ましくは、内容物の色
が白く霞んで見えことの無い透明感のあるレベルの4%
未満、より好ましくは、内容物の表面に印字された小さ
な文字の輪郭までも明瞭に見える3%未満である。耐衝
撃性の向上とは、ポリ乳酸重合体(A)の単体フィルム
又はシートと比較して、ASTM−D1709−91
(A法)に準拠したダート衝撃強度が2倍以上改善され
ることである。又、良好な再製膜性(リサイクル性)と
は、ポリ乳酸系樹脂を乾燥して溶融押出及び延伸して得
られたフィルム又はシートを粉砕加工した原料を、再度
同様に乾燥して溶融押出及び延伸後に粉砕加工する工程
を3回繰り返して得られたリサイクル原料を用いて製膜
したフィルム及びシートに関して、上記の様に良好な透
明性及び耐衝撃性の向上があるものを示す。
【0029】次に、本発明のポリ乳酸系延伸フィルム又
はシートの製造方法について述べる。ポリ乳酸重合体
(A)及びガラス転位温度Tgが0℃以下の生分解性脂
肪族ポリエステル(B)等の混合方法や混合装置は、特
に限定されないが、例えば、同一の単軸又は二軸押出混
練機にそれぞれの原料を供給して溶融混合して行われ、
そのまま口金(ダイリップ)より押出して直接にフィル
ム又はシートに加工する方法、或いはストランド形状に
押出してペレットを作製した後に再度押出してフィルム
又はシートに加工する方法が挙げられる。溶融押出温度
としては、ポリ乳酸系樹脂の融点及び混合比率を考慮し
て適宜選択されるが、通常100〜250℃の温度範囲
が選ばれる。
【0030】フィルム又はシートの延伸及び/又は熱処
理加工の方法としては、インフレーション法やテンター
法などの従来公知の延伸方法にて、一軸延伸、或いは、
同時又は逐次二軸延伸することにより得られる。詳しく
は、(1)押出されたチューブ状またはシート状の樹脂
を溶融状態からインフレーション法又はキャスト法によ
り延伸する非収縮性フィルム又はシートを得る溶融延伸
法、(2)押出されたチューブ状又はシート状の樹脂を
溶融状態から急冷して非晶状態に近い状態で固化させた
後、続いてそのチューブ状又はシート状の樹脂をガラス
転移温度以上融点以下に再加熱してインフレーション法
又はロール・テンター法で延伸したり、或いは、その後
にフィルム又はシートの熱収縮性の抑制の為にフィルム
又はシートを把持した状態等で熱処理を行って収縮性或
いは非収縮性フィルム又はシートを得る様な冷間延伸
法、によって得られる。
【0031】ここでいう溶融延伸法は、ポリ乳酸重合体
(A)及び生分解性脂肪族ポリエステル(B)が共に結
晶成分が融解した状態(完全な非晶状態)で、(A)の
融点以上の温度で延伸される製法であり、透明性に優れ
るが、延伸配向が弱い為に耐衝撃性は弱いレベルとな
る。一方、冷間延伸法は、ポリ乳酸重合体(A)は非晶
状態であるが、結晶化速度の比較的速い生分解性脂肪族
ポリエステル(B)は部分的に結晶化が進んだ状態(非
完全な非晶状態)で、(A)のガラス転移温度以上融点
以下に再加熱して延伸される製法であり、延伸に伴い脂
肪族ポリエステル(B)の結晶サイズが大きくなり易
い、又は、層状又は棒状片の厚みが薄くなり難いことに
より、溶融延伸法よりは透明性が劣るが、延伸配向が強
い為に耐衝撃性は強いレベルとなる。
【0032】フィルム又はシートの延伸倍率としては、
延伸方法に関わらず、押出し口金(ダイリップ)間隔に
対して、最終の延伸フィルム又はシートの厚みが1/2
00倍以上1/40倍以下の範囲になる様に、即ち、押
出し口金(ダイリップ)出口直後のフィルム又はシート
の面積に対して、最終の延伸フィルム又はシートの面積
が40倍以上200倍以下になる様に、少なくとも1軸
方向に延伸する。(以下、押出し口金(ダイリップ)出
口直後のフィルム又はシートの面積/最終の延伸フィル
ム又はシートの面積の比を、「ダイ出口からの面積倍
率」という。)ダイ出口からの面積倍率で40倍未満で
はポリ乳酸重合体(A)中に分散するガラス転位温度T
gが0℃以下の脂肪族ポリエステル(B)の層状又は棒
状片の厚み(D)が150nm以上に厚くなって、透明
性や耐衝撃性に劣る問題がある。一方、ダイ出口からの
面積倍率が200倍を超えると、延伸安定性が極端に低
下して、 安定した製膜が行えなくなる問題がある。
【0033】殊に、冷間延伸法において、溶融状態から
急冷し非晶状態に近い状態で固化させたもの(本発明で
はパリソンと呼ぶ)を再加熱後に冷間延伸する場合は、
ポリ乳酸系樹脂を溶融状態にて押出し口金(ダイリッ
プ)間隔に対してパリソンの厚みが1/2倍以上1/2
0倍以下の範囲になる様に、面積倍率で2倍以上20倍
以下にになる様に少なくとも1軸方向に溶融延伸後に、
パリソンの大きさに対してMD方向(押出方向)及びT
D方向(MDと垂直な方向)それぞれに1.5〜6倍冷
間延伸して、最終的に、ダイリップ間隔に対して延伸フ
ィルム又はシートの厚みが1/200倍以上1/40倍
以下の範囲になる様に、ダイ出口からの面積倍率で40
倍以上200倍以下の範囲になる様に少なくとも1軸方
向に延伸する。
【0034】好ましいパリソン作成時の溶融延伸の範囲
は、透明性や延伸安定性の範囲から、ダイリップ間隔に
対してパリソンの厚みが1/3倍以上1/18倍以下の
範囲で、ダイ出口からの面積倍率で3倍以上18倍以下
である。又、パリソンからフィルム又はシートへの冷間
延伸の範囲は、延伸安定性や剛性等による機械適性の観
点から、パリソンの大きさに対してMD方向及びTD方
向それぞれに1.5〜6倍、より好ましくは2〜5倍で
ある。延伸倍率は大きい方が得られるフィルム又はシー
トの強度及び厚み精度の観点から好ましいが、パリソン
の大きさに対する延伸倍率がMD方向もTD方向も両方
6倍を越える冷間延伸は、延伸安定性が極端に低下し
て、 安定した製膜が行えなくなることがある。
【0035】又、フィルム又はシートの熱処理加工とし
ては、非収縮フィルム又はシートを得る場合には、熱処
理温度は約100℃〜160℃の間、熱処理時間は少な
くとも2〜10秒の範囲内である。かかる範囲を下回る
と得られたフィルムの熱収縮率が高くて非収縮フィルム
にはならず、かかる範囲を上回ると熱処理中にフィルム
が融解し破断する場合がある。延伸後のフィルム又はシ
ートの厚みは、好ましくは5〜500μm、より好まし
くは7〜250μm、更に好ましくは10〜100μm
であるが、本発明では特に限定されるものではない。
【0036】本発明のポリ乳酸系延伸フィルム又はシー
トには、所望により当該技術分野において通常用いられ
る添加剤、例えば、可塑剤、充填剤、酸化防止剤、熱安
定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、造核
剤、架橋剤、着色剤等を本発明の要件と特性を損なわな
い範囲で配合することが可能である。可塑剤としては、
当業界で一般に用いられているものから選択使用でき、
樹脂組成物に10重量%程度添加してもブリードアウト
しないものが好ましい。例えば、脂肪族多価カルボン酸
エステル、脂肪酸多価アルコールエステル、オキシ酸エ
ステル、エポキシ系可塑剤等が含まれる。具体例として
は、トリアセチン(TA)、トリブチリン(TB)、ブ
チルフタリルブチルグリコレート(BPBG)、アセチ
ルクエン酸トリブチル(ATBC)、ジオクチルセバケ
ート(DBS)、トリエチレングリコールジアセテー
ト、グリセリンエステル類、オレイン酸ブチル(B
O)、アジピン酸エーテル・エステル、エポキシ化大豆
油(ESO)、等が挙げられる。
【0037】充填剤としては、一般に合成樹脂分野にお
いて強度や耐久性などの諸性質を改善する目的で添加さ
れる物質である。充填剤の種類としては無機系と有機系
があるが目的とするフィルムにより適宜選択して使用で
きる。無機系充填剤としては、マグネシウム、カルシウ
ム、バリウム、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、珪
素、アンチモン、チタン等の金属の酸化物、その水和物
(水酸化物)、硫酸塩、炭酸塩、珪酸塩のごとき化合
物、これらの複塩並びにこれらの混合物に大別される。
具体例としては、例えば、酸化アルミニウム(アルミ
ナ)、その水和物、水酸化カルシウム、酸化マグネシウ
ム(マグネシア)、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛(亜
鉛華)、鉛丹及び鉛白のごとき鉛の酸化物、炭酸マグネ
シウム、炭酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ホ
ワイトカーボン、マイカ、タルク、ガラス繊維、ガラス
粉末、ガラスビーズ、クレー、珪藻土、シリカ、ワラス
トナイト、酸化鉄、酸化アンチモン、酸化チタン(チタ
ニア)、リトポン、軽石粉、硫酸アルミニウム(石膏な
ど)、珪酸ジルコニウム、炭酸バリウム、ドロマイト、
二硫化モリブデン及び砂鉄が挙げられる。一方、有機系
充填剤としては、セルロース系、澱粉系(可塑化澱粉も
含む)等が挙げられる。酸化防止剤としてはp−t−ブ
チルヒドロキシトルエン、p−t−ブチルヒドロキシア
ニソール等のヒンダードフェノール系酸化防止剤;熱安
定剤としてはトリフェニルホスファイト、トリラウリル
ホスファイト、トリスノリルフェニルホスファイト等;
紫外線吸収剤としてはp−t−ブチルフェニルサリシレ
ート、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベン
ゾフェノン、2,4,5−トリヒドロキシブチロフェノ
ン等;滑剤としてはステアリン酸カルシウム、ステアリ
ン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、パルミチン酸ナトリ
ウム等;帯電防止剤としてはN,N−ビス(ヒドロキシ
エチル)アルキルアミン、アルキルアミン、アルキルア
リルスルホネート、アルキルスルフォネート等;難燃剤
としてはヘキサブロモシクロドデカン、トリス−(2,
3−ジクロロプロピル)ホスフェート、ペンタブロモフ
ェニルアリルエーテル等;造核剤としてはポリエチレン
テレフタレート、ポリ−トランスシクロヘキサンジメタ
ノールテレフタレート、パルミチン酸アミド等が挙げら
れる。
【0038】又、 本発明のポリ乳酸系延伸フィルム又は
シートは、単体材料でもそれに異種又は同種の材料が積
層された複合材料でも良い。更には、印刷、コーテイン
グ、ラミネート等の目的で、ポリオレフィン系樹脂製品
に比べて親水性ではあるが、ポリ乳酸系延伸フィルム又
はシートの表面をコロナ処理などによりさらに親水化処
理することもできる。その際の表面張力としては、40
dyn/cm〜60dyn/cmの範囲が好ましい。
【0039】
【発明の実施の形態】実施例および比較例によって本発
明を説明する。実施例および比較例で用いた評価方法に
ついて以下に説明する。まず、ポリ乳酸系延伸フィルム
又はシートの構成組成の評価方法は以下の通りである。 (1)ポリ乳酸重合体(A)の光学純度OP ポリ乳酸系樹脂を構成する主体の樹脂であるポリ乳酸重
合体(A)の光学純度(OP:単位%)は、前述の通
り、ポリ乳酸重合体(A)を構成するL−乳酸及び/又
はD−乳酸単量体単位の構成比率から下記式により計算
される。 OP=|[L]−[D]| ,但し、[L]+[D]=
100
【0040】ポリ乳酸重合体(A)を構成するL−乳酸
及び/又はD−乳酸単量体単位の構成比率は、以下の測
定条件で、試料を1N−NaOHでアルカリ分解後に1
N−HClで中和して蒸留水で濃度調整した加水分解試
料(液)について、光学異性体分離カラムを装着した島
津製作所製の高速液体クロマトグラフィー(HPLC:
LC−10A−VP)にて、紫外線UV254nmでの
L−乳酸とD−乳酸の検出ピーク面積比(垂線法による
面積測定)から、ポリ乳酸重合体(A)を構成するL−
乳酸の重量比率[L](単位%)、ポリ乳酸重合体
(A)を構成するD−乳酸の重量比率[D](単位%)
を求め、1重合体当り3点の算術平均(四捨五入)をも
って測定値とした。 カラム:東ソー製TSKgel−Enantio−L1
[4.6mm経×25cm長] 移動相:1mM−CuSO4 水溶液 試料溶液濃度:25pg/μL [ポリ乳酸重合体とし
ての濃度] 試料溶液注入量:10μL 溶媒流速:0.5〜0.8ml/分 カラム温度:40℃
【0041】(2)ポリ乳酸重合体(A)及び生分解性
脂肪族ポリエステル(B)の重量平均分子量Mw 東ソー製のゲルパーミエイションクロマトグラフィー装
置(GPC:データ処理部GPC−8020、検出器R
I−8020)を用いて、以下の測定条件で、標準ポリ
スチレンを用いてポリスチレン換算で分子量500以下
のものを除く高分子物の分散の重量平均値として重量平
均分子量Mwを求め、1試料当り3点の算術平均(有効
数字2桁)をもって測定値とした。 カラム:昭和電工製Shodex K −805とK −801の
連結カラム[7.8mm経×60cm長] 溶離液:クロロホルム 試料溶液濃度:0.2wt/vol% 試料溶液注入量:200μL 溶媒流速:1ml/分 カラム・検出器温度:40℃
【0042】(3)ポリ乳酸重合体(A)及び生分解性
脂肪族ポリエステル(B)の融点Tm、ガラス転移温度
Tg JIS−K7121に準拠して、樹脂の融点Tm、ガラ
ス転移温度Tgを測定した。すなわち、標準状態(23
℃65%RH)で状態調節(23℃1週間放置)した試
料から試験片として長手方向(MD)及び幅方向(T
D)に各々2点(2箇所)ずつ約10mgを切り出した
後、パーキンエルマー(Perkin−Elmer)社
製の示差走査熱量計(熱流速型DSC)、DSC−7型
を用いて、窒素ガス流量25ml/分、10℃/分で室
温(23℃)から200℃まで昇温し(1次昇温)、2
00℃で10分間保持して完全に融解させた後、30℃
/分で−100℃まで降温させて−100℃で2分間保
持し、更に上記昇温条件で2回目の昇温(2次昇温)す
る間に描かれるDSC曲線のうち、1次昇温時の融解
(吸熱)ピーク頂点から融点Tm(℃)、2次昇温時の
階段状変化部分曲線と各ベースライン延長線から縦軸方
向に等距離にある直線との交点(中間点ガラス転移温
度)をTg(単位℃)として測定し、1試料当り4点の
算術平均(小数点以下四捨五入)をもって測定値とし
た。
【0043】(4)生分解性脂肪族ポリエステル(B)
の層状又は棒状片厚み(D)の測定標準状態(23℃6
5%RH)で状態調節(23℃1週間放置)したポリ乳
酸系延伸フィルム又はシートから試験片として幅方向
(TD)に等間隔に3箇所30μm厚×10mm角のフ
ィルムに切り出した後、四酸化オスミウム及び四酸化ル
テニウムの二重染色を施し、エポキシ系樹脂に包埋した
後、ウルトラミクロトーム、LKB2088を用いて
0.1〜1μmの超薄切り片を、該フィルムの縦方向
(MD方向)又は横方向(TD方向)に沿って該フィル
ムの平面に対し垂直(即ち、厚み方向)に切り出し、検
鏡試料とした。該検鏡試料について、日立製作所製の透
過型電子顕微鏡(TEM)、H7100型を用いて(M
D及びTD方向のフィルム厚み方向の切断面が観察
面)、4万倍の倍率の測定写真から染色された生分解性
脂肪族ポリエステル(B)のドメインのうち、1割未満
の球状(楕円状)のゲル状異物や4割未満の5nm未満
の球状(楕円状)微小相を除いた主要な(5割以上の)
形態としての層状又は棒状片について、層状又は棒状片
の間隔が5nm以上の染色界面の比較的明確で検鏡試料
切片厚み方向(超薄切り片厚み0.1〜1μm方向)に
分散して存在する層状又は棒状片の重なりの無い部分3
点を選んで、1検鏡試料当り18点のうちフィルム厚み
方向(測定写真の短辺の左右方向)の層状又は棒状片の
染色された幅の最大値を、1片当りの層状又は棒状片の
厚み(D)とした。尚、測定に当っては、測定写真の層
状又は棒状片の染色された幅を1mm刻みのスケールを
用いて、1mm測定幅当り25nmと読み替えて測定し
た。尚、層状又は棒状片が一見厚く見える部分について
は、その部分の層状又は棒状片を測定写真の上下方向
(フィルムのMD又はTD方向)に辿ってみると、厚み
の薄い層状又は棒状片が集合している部分であることが
分かる。これは層状又は棒状片の間隔が5nm未満又は
5nm未満の微小な球状(楕円状)相が介在して染色界
面が不明確になることが原因であり、層状又は棒状片は
ミクロ相分離して存在していることから、上記のように
測定した。
【0044】次に、ポリ乳酸系延伸フィルム又はシート
の性能評価の方法は以下の通りである。 <透明性>標準状態(23℃65%RH)で状態調節
(23℃1週間放置)したポリ乳酸系延伸フィルム又は
シートから試験片として50μm厚み×50mm角の正
方形状フィルムに切り出した後、ASTM−D1003
−95に準拠して、日本電色工業製の濁度計( ヘーズメ
ーター)、NDH−1001DP型を用いて、曇り度
(Haze:単位%)を標準状態下で測定し、1種フィ
ルム又はシート当り6点の算術平均値(有効数字2桁)
もって測定値とした。透明性は、フィルム又はシートを
用いて包装体とした時における被包装物の視認性の観点
から以下のように評価した。
【0045】 評価尺度: 評価記号 曇り度 尺度 ◎ 3.0未満 透明性に優れ、内容物の文字の色調及び輪 郭が明瞭。 ○ 3.0以上4.0未満 透明性が良く、内容物の外観の色調及び輪 郭が明瞭。 △ 4.0以上5.0未満 内容物の色が若干白っぽく見えるが、実用 レベル。 × 5.0以上 透明性に劣り、内容物の外観がやや霞んで 見える。
【0046】<耐衝撃性>標準状態(23℃65%R
H)で状態調節(23℃1週間放置)したポリ乳酸系延
伸フィルム又はシートから試験片として50μm厚み×
225mm×250mm角の四角形状フィルムを種フィ
ルム又はシート当り30枚切り出した後、ASTM−D
1709−91(A法)に準拠して、東洋精機製のダー
ト衝撃試験装置を用いて、50%破壊エネルギー(Da
rt強度:単位mJ)を標準状態下で測定した(有効数
字2桁)。耐衝撃性は、フィルム又はシートのDart
強度が、同製法で得られた参考例のポリ乳酸重合体
(A)単体フィルム又はシートに対するDart強度の
改善効果(Dart強度比)により、以下のように評価
した。 評価尺度: 評価記号 Dart強度比 尺度 ○ 2倍以上 ポリ乳酸重合体からの改善効果が有効に認めら れる。 × 2倍未満 ポリ乳酸重合体からの改善効果に有効性なし。
【0047】<再製膜性(リサイクル性)>ポリ乳酸重
合体(A)と生分解性脂肪族ポリエステル(B)の混合
物を主体とするポリ乳酸系樹脂原料を各々乾燥した後に
同方向2軸押出機を用いて溶融混練して押出して後述の
実施例、比較例及び参考例の様に延伸加工したフィルム
又はシートを粉砕加工して得られる粉砕原料を、単軸押
出機にてペレタイズして再生原料を得た。この再生原料
を同様に乾燥して溶融押出及び延伸後に粉砕加工する工
程を更に2回繰り返してリサイクル原料を作成した。こ
のリサイクル原料を用いて同様に製膜し、上記の透明性
及び耐衝撃性を評価した。
【0048】<総合評価>上記の透明性、耐衝撃性に関
して、リサイクル原料を使用しない基本特性、及び、リ
サイクル原料を使用した再製膜性についての総合結果指
標を以下に示す。 評価尺度: 評価記号 尺度 ◎ ×、△が無くて◎が2つ以上の場合で、課題は更に高水準に達成さ れる。 ○ ×、△が無くて○又は◎がある場合で、課題は高水準に達成される 。 △ ×が無くて△がある場合で、課題は達成されており、実用レベル。 × ×がある場合で、課題は達成されていない。
【0049】以下の実施例および比較例においては、ポ
リ乳酸系延伸フィルム又はシートの一つの形態である溶
融延伸法や冷間延伸法によるフィルムについて評価を行
った。そして、ポリ乳酸系樹脂は、公知の縮重合法(溶
液法)や開環重合法(ラクチド法)により得られた表1
に示すポリ乳酸重合体を用いた。尚、市販されているポ
リ乳酸重合体も同様な方法で得られることは言うまでも
無く、表1に示す脂肪族ポリエステルと同様に商業的に
容易に入手可能である。但し、本発明におけるポリ乳酸
系延伸フィルム及びシートの樹脂組成及び形態がこれに
限定されるものではない。
【0050】(実施例1)、(比較例1)及び(参考例
1) 表2に示す実施例1、比較例1及び参考例1は、表1の
ポリ乳酸重合体(A)と脂肪族ポリエステル(B)から
なる表2の樹脂組成(重量部表示、但し(A)+(B)
=100部)のポリ乳酸系樹脂による冷間延伸法のポリ
乳酸系延伸フィルムについて評価したものである。フィ
ルムへの延伸加工は、表2の樹脂組成となる様に表1の
樹脂原料を各々乾燥した後に同方向2軸押出機を用いて
溶融混練し、最終的にダイ出口からの面積倍率(ダイリ
ップ間隔/延伸フィルム厚みの寸法比)が表2中の延伸
倍率になる様に、表2中の各種ダイリップ間隔のTダイ
を用いて樹脂温度200℃の樹脂を板状に押出し、35
℃のキャステイングロールにて急冷して得た600μ厚
みの実質的に非晶質シートを、75℃に加熱して長手
(MD)方向に3倍ロール延伸、次いでテンターで延伸
温度80℃にて幅(TD)方向に4倍延伸して、その後
延伸した状態でフィルムを室温付近まで冷却すること
で、表2中の厚みの延伸フィルムを得た。又、前述のリ
サイクル原料についても、同様に延伸フィルムを作成し
た。
【0051】図1〜図4は、実施例1No.2のリサイ
クル前の原料によるポリ乳酸系延伸フィルムの縦方向
(MD方向)及び横方向(TD方向)の厚み方向切断面
4万倍及び2万倍の倍率の測定写真(写真の長辺がMD
又はTD方向、短辺がフィルム厚み方向)の一例であ
る。これらの図より、(A)相中(B)相のドメイン
(測定写真の黒く着色されて見える部分)が層状又は棒
状片を主体とする形態でフィルム又はシート外表面に対
してほぼ平行にミクロ相分離して存在しており、部分的
に層状片が重なって層状又は棒状片の厚み(D)が見掛
け上150nm以上に見える部分にも層状片の界面が存
在し、独立して層状又は棒状片が分散して存在している
ことが分かる。そして、1片当りの層状又は棒状片の厚
み(D)は最大で約75nmであり、その長さ(L)は
約1μm以上が主体であることが分かる。
【0052】表2内の評価結果に示すように、冷間延伸
法において、層状又は棒状片の厚み(D)が125nm
以下である、重量比(A)/(B)が90/10〜60
/40、且つ、ダイ出口からの面積倍率(ダイリップ間
隔/延伸フィルム厚みの寸法比)が40〜200倍の範
囲に相当する実施例1は、透明性、耐衝撃性、再製膜性
(リサクル性)の全てに実用レベル以上であり、重量比
(A)/(B)が90/10〜75/25のもの(実施
例1No.1〜3)は透明性に良好なものであった。特
に脂肪族ポリエステル(B)が脂肪族ジカルボン酸と脂
肪族ジオールを主成分として重縮合した(B1)(B
2)であるもの、及び、ポリ乳酸重合体(A)が光学純
度の低い非晶性ポリ乳酸を20%以上含むもの(実施例
No.5及びNo.6)は透明性に非常に優れたもので
あった。層状又は棒状片の厚み(D)が150nm以上
である従来レベルの比較例1No.2は、透明性及び耐
衝撃性の改善効果が低く、特にリサイクル原料使用時に
透明性の劣化が酷く、再製膜性(リサイクル性)に劣る
結果となった。尚、参考例1のリサイクル前のDart
強度は600mJであり、表2中の冷間延伸法のDar
t強度比の基数1とした。
【0053】(実施例2)、(比較例2)及び(参考例
2) 表2に示す実施例2、比較例2及び参考例2は、表1の
ポリ乳酸重合体(A)と脂肪族ポリエステル(B)から
なる表2の樹脂組成(重量部表示、但し(A)+(B)
=100部)のポリ乳酸系樹脂による溶融延伸法のポリ
乳酸系延伸フィルムについて評価したものである。フィ
ルムへの延伸加工は、表2の樹脂組成となる様に表1の
樹脂原料を各々乾燥した後に同方向2軸押出機を用いて
溶融混練し、最終的にダイ出口からの面積倍率(ダイリ
ップ間隔/延伸フィルム厚みの寸法比)が表2中の延伸
倍率になる様に、表2中の各種ダイリップ間隔の円形ダ
イより樹脂温度200℃の樹脂を環状に押出し、空冷リ
ングで冷却しながら溶融状態からブローアップ比(幅方
向)が2.5倍、長手(MD)方向に8〜16倍で延伸
して、その後延伸した状態でフィルムを室温付近まで冷
却することで、表2中の厚みの延伸フィルムを得た。
又、前述のリサイクル原料についても、同様に延伸フィ
ルムを作成した。
【0054】図5は、実施例2No.2のリサイクル原
料によるポリ乳酸系延伸フィルムの縦方向(MD方向)
の厚み方向切断面4万倍の測定写真の一例である。図1
〜図4と同様に、(A)相中(B)相のドメイン(測定
写真の黒く着色されて見える部分)が1 状又は棒状片を
主体とする形態でフィルム又はシート外表面に対してほ
ぼ平行にミクロ相分離して存在しており、部分的に層状
片が重なって層状又は棒状片の厚み(D)が見掛け上1
50nm以上に見える部分にも層状片の界面が存在し、
独立して層状又は棒状片が分散して存在していることが
分かる。そして、1片当りの層状又は棒状片の厚み
(D)は最大で約125nmであり、その長さ(L)は
約1μm以上が主体であることが分かる。
【0055】表2内の評価結果に示すように、溶融延伸
法において、層状又は棒状片の厚み(D)が125nm
以下である、重量比(A)/(B)が90/10〜60
/40、且つ、ダイ出口からの面積倍率(ダイリップ間
隔/フィルム厚みの寸法比)が40倍以上の実施例2
は、透明性、耐衝撃性、再製膜性の全てに良好であり、
重量比(A)/(B)が90/10〜75/25のもの
(実施例2No.1及びNo.2)は透明性に優れたも
のであった。層状又は棒状片の厚み(D)が150nm
以上である従来レベルの比較例2は、透明性の改善効果
が低く、特にリサイクル原料使用時に透明性及び耐衝撃
性の劣化が酷く、再製膜性(リサイクル性)に劣る結果
となった。尚、参考例2のリサイクル前のDart強度
は80mJであり、表2中の溶融延伸法のDart強度
比の基数1とした。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
【発明の効果】本発明のポリ乳酸系延伸フィルムは自然
環境中での生分解性を有し、透明性、耐衝撃性、再製膜
性(リサイクル性)に優れたものある。また、本発明の
ポリ乳酸系延伸フィルムは、熱収縮性又は熱非収縮性の
延伸フィルム又はシート状物、それによって包装された
包装体、並びに、それを用いた複合材料として、具体的
には、弁当や惣菜容器オーバーラップ用等の収縮性フィ
ルム又はシート状物、又は、チャック付きバッグ用等の
非収縮性フィルム又はシート状物として、非常に有用で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1No.2のリサイクル前の原料でのフ
ィルムMD方向の切断面4万倍の測定写真の一例であ
る。
【図2】実施例1No.2のリサイクル前の原料でのフ
ィルムMD方向の切断面2万倍の測定写真の一例であ
る。
【図3】実施例1No.2のリサイクル前の原料でのフ
ィルムTD方向の切断面4万倍の測定写真の一例であ
る。
【図4】実施例1No.2のリサイクル前の原料でのフ
ィルムTD方向の切断面2万倍の測定写真の一例であ
る。
【図5】実施例2No.2のリサイクル原料でのフィル
ムMD方向の切断面4万倍の測定写真の一例である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29K 67:00 B29K 67:00 105:32 105:32 B29L 7:00 B29L 7:00 Fターム(参考) 4F071 AA43 AA44 AA86 AF23 AF30 AH04 BB07 BC01 4F210 AA24 AE10 AG01 AH54 AR12 QA02 QA03 QC06 QD13 QG01 QG18 QW15 4J002 CF032 CF181 GG02

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 L −乳酸及び/又はD −乳酸が主成分の
    ポリ乳酸重合体(A)とポリ乳酸重合体(A)以外の示
    差走査熱量測定(JIS−K7121)でのガラス転移
    温度Tgが0℃以下である生分解性脂肪族ポリエステル
    (B)の重量割合(A):(B)が90:10〜60:
    40の混合物を主体としてなるポリ乳酸系樹脂からなる
    フィルム又はシートおいて、フィルム又はシートの厚み
    方向切断面における(A)相中(B)相のドメインが層
    状又は棒状片を主体とする形態でフィルム又はシート外
    表面に対してほぼ平行にミクロ相分離して存在し、該層
    状又は棒状片の厚み(D)が1片当り150nm未満で
    あることを特徴とするポリ乳酸系延伸フィルム又はシー
    ト。
  2. 【請求項2】 該ポリ乳酸重合体(A)と該生分解性脂
    肪族ポリエステル(B)の重量割合(A):(B)が9
    0:10〜75:25であることを特徴とする請求項1
    に記載のポリ乳酸系延伸フィルム又はシート。
  3. 【請求項3】 該ポリ乳酸重合体(A)が、光学純度O
    (A1)の結晶性ポリ乳酸(A1)と光学純度OP(A2)
    非晶性ポリ乳酸(A2)を混合した下記式(1)及び
    (2)を満足する組成物からなることを特徴とする請求
    項1又は請求項2に記載のポリ乳酸系延伸フィルム又は
    シート。 (1) 80%≦OP(A1)≦100%, 0%≦OP
    (A2)<80% (2) 20%≦[A2]/([A1]+[A2])≦
    100% [但し、[A1]+[A2]=100%であり、OP
    (A1)及び[A1]は結晶性ポリ乳酸(A1)の光学純度
    (単位%)及び重量比率(単位%)、OP(A2)及び[A
    2]は非晶性ポリ乳酸(A2)の光学純度(単位%)及
    び重量比率(単位%)を表す。]
  4. 【請求項4】 該生分解性脂肪族ポリエステル(B)
    が、ポリエチレンアジペート、ポリプロピレンアジペー
    ト、ポリブチレンアジペート、ポリヘキセンアジペー
    ト、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネ
    ートアジペートの群より選ばれる少なくとも1種の脂肪
    族ジカルボン酸と脂肪族ジオールを主成分として重縮合
    した脂肪族ポリエステルであることを特徴とする請求項
    1〜3のいずれかに記載のポリ乳酸系延伸フィルム又は
    シート。
  5. 【請求項5】 濁度計(ASTM−D1003−95)
    での曇り度(Haze)が5%未満であることを特徴と
    する請求項1〜4のいずれかに記載のポリ乳酸系延伸フ
    ィルム又はシート。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載のフィル
    ム又はシートよりなる層を少なくとも1層含む複合体で
    あることを特徴とするポリ乳酸系延伸フィルム又はシー
    ト。
  7. 【請求項7】 該ポリ乳酸系樹脂を溶融押出して製膜す
    る際に、最終的なフィルム又はシートの厚みが押出し口
    金(ダイリップ)間隙に対して1/200倍以上1/4
    0倍以下の範囲の厚み(又は最終的なフィルム又はシー
    トの面積が押出し口金(ダイリップ)出口直後のフィル
    ム又はシートの面積に対して40倍以上200倍以下の
    範囲の面積)になる様に、少なくとも1軸方向に延伸す
    ることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポ
    リ乳酸系延伸フィルム又はシートの製造方法。
  8. 【請求項8】 該口金から溶融押出しされた該ポリ乳酸
    系樹脂を、溶融状態で押出し口金(ダイリップ)間隙に
    対して1/2倍以上1/20倍以下の範囲の厚み(又は
    押出し口金(ダイリップ)出口直後のフィルム又はシー
    トの面積に対して2倍以上20倍以下の範囲の面積)に
    なる様に、少なくとも1軸方向に延伸後、急冷して実質
    的に非晶状態と成した後に少なくとも1軸方向に延伸す
    ることを特徴とする請求項7に記載のポリ乳酸系延伸フ
    ィルム又はシートの製造方法。
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