JP5283390B2 - ポリ乳酸系シートまたはフィルム、およびその製造方法 - Google Patents

ポリ乳酸系シートまたはフィルム、およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は耐衝撃性、耐引裂性、耐熱性、剛性、透明性に優れるポリ乳酸系シートまたはフィルム、および該シートまたはフィルムの製造方法に関するものである。
近年、地球温暖化や石油資源枯渇等の不安から、天然資源由来の原料から製造されたバイオマス由来プラスチックが注目されている。また地球環境保全の見地から、土中、水中に存在する微生物の作用により自然環境下で分解される生分解性プラスチックもまた注目されている。中でもポリ乳酸はトウモロコシ等の澱粉を原料にして製造されることから炭酸ガスの循環が可能なプラスチック(バイオマス由来プラスチック)であり、かつ自然環境下で分解されるプラスチック(生分解性プラスチック)であることから非常に高い注目を集めている。しかし、ポリ乳酸のシートやフィルムは透明で高い剛性を有するという特徴があるが、一方で耐衝撃性、耐引裂性、耐熱性が低いという欠点を有しており、その改良が望まれている。
ポリ乳酸の耐衝撃性の改良方法として、ポリ乳酸に多層構造重合体としてコア−シェル型ゴムを添加する方法(特許文献1)が開示されており、この方法を用いることでポリ乳酸に変性オレフィン化合物を添加する方法(特許文献2)やポリ乳酸に、ポリ乳酸以外の脂肪族ポリエステル及び変性オレフィン化合物を添加する方法(特許文献3)よりも高い耐衝撃性を得られることが知られている。しかし特許文献1の方法では耐衝撃性の改良効果は高いものの、耐引裂性の改良効果は乏しい。また耐衝撃性を得るためには多量のコア−シェル型ゴムを添加しなければならないため、ポリ乳酸の特徴であるバイオマス由来度や生分解性度が低下してしまうこと、透明性や剛性が低下すること、耐熱性が改良されないといった問題がある。
さらに耐熱性を改良するために結晶核剤を使用する方法(上記特許文献3)が開示されているが、この方法では著しく透明性に劣るという欠点がある。
特開2003−286396号公報 特開平09−316310号公報 特開2001−123055号公報
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果、達成されたものであり、その目的とするところは、耐衝撃性、耐引裂性、耐熱性、剛性、透明性に優れるポリ乳酸系シートまたはフィルム、および該シートまたはフィルムの製造方法に関するものである。
本発明は乳酸を主成分とする重合体(A)と脂肪族カルボン酸および鎖状分子ジオールを主成分とする脂肪族ポリエステル(B)とコア−シェル型ゴム(C)からなり、該重合体(A)100重量部に対して、該脂肪族ポリエステル(B)とコア−シェル型ゴム(C)の合計量が30〜80重量部であり、該脂肪族ポリエステル(B)とコア−シェル型ゴム(C)との重量比率が該脂肪族ポリエステル(B)/コア−シェル型ゴム(C)で30/70〜70/30(ただし、(B)+(C)=100)である樹脂組成物の溶融体を二軸伸長変形により成形して、該脂肪族ポリエステル(B)が該重合体(A)中で枝状もしくは網目状に連なった三次元構造を形成していることを特徴とするポリ乳酸系シートまたはフィルムに関する。
次に、乳酸を主成分とする重合体(A)と脂肪族カルボン酸および鎖状分子ジオールを主成分とする脂肪族ポリエステル(B)とコア−シェル型ゴム(C)からなり、該重合体(A)100重量部に対して、該脂肪族ポリエステル(B)とコア−シェル型ゴム(C)の合計量が30〜80重量部であり、該脂肪族ポリエステル(B)とコア−シェル型ゴム(C)との重量比率が該脂肪族ポリエステル(B)/コア−シェル型ゴム(C)で30/70〜70/30(ただし、(B)+(C)=100)である樹脂組成物の溶融体を二軸伸長変形により成形して、該脂肪族ポリエステル(B)が該重合体(A)中で枝状もしくは網目状に連なった三次元構造を形成しており、100℃における加熱収縮率が10%未満であることを特徴とするポリ乳酸系シートまたはフィルムに関する。
次に、乳酸を主成分とする重合体(A)と脂肪族カルボン酸および鎖状分子ジオールを主成分とする脂肪族ポリエステル(B)とコア−シェル型ゴム(C)からなり、該重合体(A)100重量部に対して、該脂肪族ポリエステル(B)とコア−シェル型ゴム(C)の合計量が30〜80重量部であり、該脂肪族ポリエステル(B)とコア−シェル型ゴム(C)との重量比率が該脂肪族ポリエステル(B)/コア−シェル型ゴム(C)で30/70〜70/30(ただし、(B)+(C)=100)である樹脂組成物の溶融体、二軸伸長変形させて、該脂肪族ポリエステル(B)を枝状もしくは網目状に連なった三次元構造にすることを特徴とするポリ乳酸系シートまたはフィルムの製造方法に関する。
本発明のシートまたはフィルムは、乳酸を主成分とする重合体(A)(以下「重合体(A)」ともいう)に脂肪族カルボン酸および鎖状分子ジオールを主成分とする脂肪族ポリエステル(B)(以下「脂肪族ポリエステル(B)」ともいう)とコア−シェル型ゴム(C)を添加することで、重合体(A)の透明性や剛性を大きく損なうことなく、重合体(A)に不足している耐衝撃性、耐引裂性、耐熱性を脂肪族ポリエステル(B)およびコア−シェル型ゴム(C)の特性により改良された、耐衝撃性、耐引裂性、耐熱性、剛性、透明性を兼ね備えたシートまたはフィルムであり、特殊な成形条件や成形装置を使用することなくポリ乳酸系のシートまたはフィルムを得ることができるため、既存の設備を使用し、安価に、効率よくシートまたはフィルムを製造できる。
まず、本発明に用いる重合体(A)、脂肪族ポリエステル(B)およびコア−シェル型ゴム(C)について説明する。
本発明の重合体(A)としては、一般的にポリ乳酸と称される重合体が好適に使用できる。
ポリ乳酸とは、実質的にL−乳酸及び/又はD−乳酸由来のモノマー単位のみで構成された熱可塑性樹脂である。ここで「実質的に」とは、本発明の効果を損なわない範囲で、L−乳酸またはD−乳酸に由来しない、他のモノマー単位を含んでいても良いという意味である。製造方法としては、既知の任意の重合方法を採用する事ができる。最も代表的に知られているのは、乳酸の無水環状二量体であるラクチドを開環重合する方法(ラクチド法)であるが、乳酸を直接縮合重合しても構わない。また、分子量としては、特に限定しないが通常、重量平均分子量で30,000〜1,000,000であり、好ましくは100,000〜300,000の範囲である。乳酸を主成分とする重合体が、L−乳酸および/またはD−乳酸に由来するモノマー単位だけからなる場合には、重合体は結晶性で高融点を有し、L−乳酸、D−乳酸由来のモノマー単位の比率を変化させることにより、結晶性・融点を自在に調節する事ができるので、用途に応じ、実用特性を制御する事を可能にする。
また、本発明で用いる重合体(A)には、望むべき物性や用途に応じて、ポリ乳酸の中から適宜選択し、使用することができる。また必要に応じて2種類以上のポリ乳酸を組み合わせて用いてもかまわない。
ちなみに、本発明に用いることが可能な重合体(A)としては既に上市されているものがある。三井化学社より上市されているレイシア(商品名)やトヨタ自動車社より上市されているU’z(商品名)や富士ケミカル社より上市されているラクリエ(商品名)やユニチカ社より上市されているテラマック(商品名)として市販されており、本発明ではこのような乳酸を主成分とする重合体を好適に用いることができる。
次に、本発明の脂肪族ポリエステル(B)としては、一般的に脂肪族ポリエステルと称される重合体が好適に使用できる。
脂肪族ポリエステルは、実質的に脂肪族ジカルボン酸と鎖状分子ジオールの重縮合により得られるポリマーである。ここで「実質的に」とは、本発明の効果を損なわない範囲で、脂肪族ジカルボン酸または鎖状分子ジオールに由来しない、他のモノマー単位を含んでいても良いという意味である。
脂肪族ポリエステルの具体例としては、ポリエチレンアジペート、ポリプロピレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキセンアジペート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペートなどが挙げることができる。
また、分子量としては、重量平均分子量で20,000〜1,000,000であるが、成型加工性や得られた成形体の物性の点から80,000〜300,000の範囲が好適に使用される。
本発明で用いる脂肪族ポリエステル(B)には、望むべき物性や用途に応じて、脂肪族ポリエステルの中から適宜選択し、使用することができる。また必要に応じて2種類以上の脂肪族ポリエステルを組み合わせても構わない。
ちなみに、本発明に用いることが可能な脂肪族ポリエステル(B)としては、既に上市されているものがある。日本触媒社より上市されているルナーレSE(商品名)、昭和高分子社より上市されているビオノーレ(商品名)や三菱化学社より上市されているGSPla(商品名)、利来化学社より上市されているEnPol(商品名)として市販されており、本発明ではこのような脂肪族カルボン酸および鎖状分子ジオールを主成分とする脂肪族ポリエステルを好適に用いることができる。
次に、本発明のコア−シェル型ゴム(C)としては、一般的に、ゴム弾性を有する重合体から構成されるコア層とそれを覆う1以上のシェル層から構成され、隣接し合った層が異種の重合体から構成されているコア−シェル型ゴムを好適に使用できる。
コア−シェル型ゴムのコア層としては、ゴム弾性を有する成分から構成される重合体であればよく、例えば、アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位などのアクリル成分、スチレン単位やα−メチルスチレン単位などのスチレン成分、ジメチルシロキサン単位やフェニルメチルシロキサン単位などのシリコーン成分、アクリロニトリル単位やメタクリロニトリル単位などのニトリル成分、ブタジエン単位やイソプレン単位などの共役ジエン成分またはウレタン成分などから構成される重合体が挙げられる。また、これらの成分を2種類以上組み合わせて構成された共重合体も挙げられ、例えば、アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位などのアクリル成分およびジメチルシロキサン単位やフェニルメチルシロキサン単位などのシリコーン成分から構成される共重合体、アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位などのアクリル成分およびα−メチルスチレン単位などのスチレン成分から構成される共重合体、アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位などのアクリル成分およびブタジエン単位やイソプレン単位などの共役ジエン成分から構成される共重合体、アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位などのアクリル成分およびジメチルシロキサン単位やフェニルメチルシロキサン単位などのシリコーン成分およびスチレン単位やα−メチルスチレン単位などのスチレン成分から構成される共重合体などが挙げられる。
本発明において、コア−シェル型ゴム(C)のコア層には上記の成分から構成される重合体または共重合体を好適に使用することができる。中でも、耐衝撃性に優れることから重合体または共重合体のガラス転移温度は20℃以下が好ましく、0℃以下がより好ましい。
コア−シェル型ゴムのシェル層としては、熱可塑性を有する成分から構成され、コア層の重合体よりもガラス転移温度が高い重合体が一般的に使用される。例えば、熱可塑性を有する重合体としては、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位、グリシジル基含有ビニル系単位、脂肪族ビニル系単位、芳香族ビニル系単位、シアン化ビニル系単位、マレイミド系単位、不飽和ジカルボン酸系単位、不飽和ジカルボン酸無水物系単位またはその他のビニル系単位などから得られる重合体が挙げられる。
本発明において、コア−シェル型ゴム(C)のシェル層には上記の重合体を好適に使用することができる。中でも、重合体(A)及び脂肪族ポリエステル(B)との接着性および透明性の観点から不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位、不飽和グリシジル基含有系単位および/または不飽和ジカルボン酸無水物系単位から得られる重合体が好ましく、さらに不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位から得られる重合体が好ましい。不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、耐衝撃性に優れることから(メタ)アクリル酸メチルがより好ましい。
本発明のコア−シェル型ゴム(C)の好ましい例としては、アクリル系コア−シェル型ゴム、スチレン/ブタジエン系コア−シェル型ゴム、シリコーン/アクリル系コア−シェル型ゴムが挙げられ、具体的にはコア層がアクリル酸ブチル重合体でシェル層がメタアクリル酸メチル重合体、コア層がブタジエン/スチレン重合体でシェル層がメタアクリル酸メチル重合体、コア層がアクリル酸ブチル/スチレン共重合体でシェル層がメタアクリル酸メチル重合体、コア層がシリコーン−アクリル重合体でシェル層がメタアクリル酸メチル重合体、コア層がシリコーン/アクリル共重合体でシェル層がメタアクリル酸メチル/メタアクリル酸グリシジル共重合体などが挙げられる。
本発明のコア−シェル型ゴム(C)の平均粒子径は、耐衝撃性に優れることから0.01〜100μmが好ましく、より好ましくは0.01〜10μm、さらに透明性に優れることから0.01〜3μmが好ましい。
本発明のコア−シェル型ゴム(C)のコア層とシェル層の重量比は、特に限定されるものではないが、コア−シェル型ゴム全体に対して、コア層が50〜90重量%であることが好ましく、60〜80重量%であることがより好ましい。
ちなみに、本発明に用いることが可能なコア−シェル型ゴム(C)としては、既に上市されているものがある。三菱レイヨン社より上市されているメタブレン、カネカ社より上市されているカネエース、クレハ社より上市されているパラロイド、武田薬品工業社より上市されているスタフィロイド、クラレ社より上市されているパラペットとして市販されており、本発明ではこのような、コア−シェル型ゴムを好適に用いることができる。
本発明で用いる重合体(A)100重量部に対して、脂肪族ポリエステル(B)とコア−シェル型ゴム(C)の合計量が30〜80重量部であり、好ましく30〜70重量部、さらに好ましくは30〜50重量部である。脂肪族ポリエステル(B)とコア−シェル型ゴム(C)の合計量が30重量部より少なくなると耐衝撃性や耐引裂性の改善効果が得られ難くなり、80重量部より多くなると著しく透明性が悪くなる。
本発明において、脂肪族ポリエステル(B)とコア−シェル型ゴム(C)の重量比は脂肪族ポリエステル(B)/コア−シェル型ゴム(C)が30/70〜70/30、好ましくは40/60〜60/40である(脂肪族ポリエステル(B)+コア−シェル型ゴム(C)=100)。脂肪族ポリエステル(B)の重量比が30より低く、コア−シェル型ゴム(C)が70より高くなるか、または脂肪族ポリエステル(B)の重量比が70より高く、コア−シェル型ゴム(C)が30より低くなると耐熱性、耐衝撃性、耐引裂性を兼ね備えたシートまたはフィルムを得るのが困難となる。
また、本発明のシートまたはフィルムにおいては、組成物中に含まれるコア−シェル型ゴム(C)の少なくとも50%以上が脂肪族ポリエステル(B)中に分散している形態が好ましく、理由は定かではないが本形態とすることで高い耐衝撃性や耐引裂性を有するシートまたはフィルムとすることができる。コア−シェル型ゴム(C)の少なくとも50%以上が脂肪族ポリエステル(B)中に分散していることは、本発明のシートまたはフィルムを、重合体(A)を溶解させ、脂肪族ポリエステル(B)を溶解できない溶剤に浸漬した後に回収される溶け残った成分の重量を測定し、その値が[脂肪族ポリエステル(B)の配合量+コア−シェル型ゴム(C)の配合量×0.5]を超えることで確認できる。
重合体(A)、脂肪族ポリエステル(B)およびコア−シェル型ゴム(C)を主成分とする組成物において、脂肪族ポリエステル(B)が重合体(A)中でフィブリル構造、または枝状もしくは網目状に連なった三次元構造をとるためには、成形時に、重合体(A)、脂肪族ポリエステル(B)およびコア−シェル型ゴム(C)を主成分とする組成物を一軸または二軸伸長変形させ成形することが好ましい。
本発明において一軸伸長変形とは、日本レオロジー協会編「講座・レオロジー」などに記載されている変形様式を言い、例えば、高分子組成物(ブレンド物を含む)の溶融体を縦、横、斜め等の何れか一方向に延伸する方法が挙げられる。具体的には一軸またはニ軸押出成形装置でダイスより押し出された溶融体を流れ方向(MD方向)または流れ方向と垂直方向(TD方向)のいずれか一方向に延伸する成形(溶融延伸)を挙げることができる。
ここでいう溶融体とは、組成物(ブレンド物を含む)中の樹脂が融解している状態を指し、具体的には、組成物中の樹脂の融解温度またはガラス転移温度のうち、高い温度以上(組成物中に複数の樹脂が含まれる場合には、組成物中に含まれる樹脂それぞれの融解温度またはガラス転移温度の中で、最も高い温度以上)の状態であり、組成物が著しく熱劣化などの悪影響を受けない温度での状態を指す。また、溶融延伸とは溶融体を延伸することを指す。
本発明において、成形時に、重合体(A)、脂肪族ポリエステル(B)およびコア−シェル型ゴム(C)を主成分とする組成物を一軸伸長変形させることで、重合体(A)中で脂肪族ポリエステル(B)をフィブリル構造とすることができる。
ここで、フィブリル構造とは非相溶な樹脂混合(ポリマーブレンド)体において、体積分率の低い樹脂(本発明においては脂肪族ポリエステル(B)を指す)の球状(又は楕円状)の微小相及びゲル状相(異物)を除いた主要(50%以上)の形態が棒状片または繊維状であって、フィルム又はシート外表面(表及び裏平面)に対してほぼ平行に分散している形態を指す。
本発明のシートまたはフィルム中における脂肪族ポリエステル(B)が形成する棒状片または繊維状のフィブリル構造については特に限定されないが、好ましくは0.15μm〜10.0μm、さらに好ましくは0.5〜6.0μmの厚みの棒状片または繊維状のフィブリル構造である。棒状片または繊維状の厚みが0.15μm未満である場合には、得られたシートまたはフィルムの耐引裂性、耐衝撃性に劣る場合があり、一方10.0μmを超える場合には透明性が悪くなる場合がある。
本発明のシートまたはフィルムを一軸伸長変形させ成形する時の装置の設定温度は、150〜250℃が好ましく、さらには180〜230℃が好ましい。設定温度が150℃未満では、溶融時の粘度が高く硬いため加工が困難となる場合あり、さらに得られたシートまたはフィルムは表面平滑性が劣ってしまう可能性がある。一方250℃を超えると、溶融時の粘度が低く流動性が高くなるため加工が困難となる場合があり、さらに熱劣化を起こす可能性がある。
本発明のシートまたはフィルムを一軸伸長変形させ成形する時の溶融延伸倍率は200%〜3000%が好ましく、より好ましくは500〜2000%である。延伸倍率が200%未満でシートまたはフィルムを製造した場合には透明性や耐衝撃性、耐引裂性耐熱性可能性があり、延伸倍率3000%以上でシートまたはフィルムを製造した場合には延伸ムラなどが発生し、厚さの均一なシートまたはフィルムを得ることが困難になる場合がある。ここで、溶融延伸する場合の延伸倍率とは、100×[溶融延伸前のシートまたはフィルムの厚み]/[溶融延伸後のシートまたはフィルムの厚み]のことを指す。
本発明の一軸伸長変形での成形で得られたシートまたはフィルムの厚みは特に限定はされないが、1.00mm未満が好ましく、より好ましくは0.50mm以下、さらに好ましくは0.30mm以下である。シートまたはフィルムの厚みが1mm以上である場合には、シートまたはフィルムの表面平滑性に劣ってしまう。厚さが1.0mm以上のシートまたはフィルムを得る場合には、厚さが1.00mm未満のシートを複数枚積層することによって製造する方が好ましい。一方、厚みの下限については成形する装置にもよるが、加工性、厚みの均一性を考えると0.01mm以上が好ましく、0.03mm以上がさらに好ましい。
本発明における二軸伸長変形とは、日本レオロジー協会編「講座・レオロジー」などに記載されている変形様式を言い、例えば、高分子組成物(ブレンド物を含む)の溶融体をロールなどの間隙に溶融樹脂だまり(通常、バンクと称される)を形成させ、その形成されているバンクよりも狭い間隙を通し圧延させる成形方法が挙げられる。具体的にはロール成形装置、カレンダー成形装置、ダイスより押し出された溶融樹脂をロールで圧延する設備を備えた押出成形装置などによる成形、ダイスより押し出された溶融樹脂を流れ方向(MD方向)及び流れ方高と垂直方向(TD方向)に同時に延伸する成形を挙げることができる。カレンダー成形あるいはロール成形においては、溶融樹脂がバンクを通過する過程でロール軸方向(TD方向)および該ロール軸方向と垂直な方向(ロール間隙の進行方向、MD方向)に同時に二次元的に引き伸ばされることにより、溶融体が二軸伸長変形される。
本発明において、成形時に、重合体(A)、脂肪族ポリエステル(B)およびコア−シェル型ゴム(C)を主成分とする組成物を二軸伸長変形させることで、重合体(A)中で脂肪族ポリエステル(B)を枝状もしくは網目状に連なった三次元構造とすることができる。
ここで枝状もしくは網目状に連なった三次元構造とは、一般的に、組成物中に含まれる樹脂成分が、熱的な測定手法(例えば、示差走査熱量計による測定)や粘弾性的な測定手法(例えば、動的粘弾性による測定)、顕微鏡による観察手法(走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡による観察)などで均一な状態にはなく、海−島構造を形成している状態でもなく、各々の樹脂成分が成形体中で三次元的に連続した構造を形成している状態を指し、本発明においても本概念が適用される。
本発明のシートまたはフィルム中における脂肪族ポリエステル(B)が形成する枝状もしくは網目状に連なった三次元構造については特に限定されないが、好ましくは0.3μm〜10.0μm、さらに好ましくは0.5〜6.0μmの厚みで枝状または球状粒子が三次元的に連続して連なった構造が好ましい。枝状または球状粒子が三次元的に連続して連なった構造の厚みが0.3μm未満である場合には、得られたシートまたはフィルムの耐熱性や耐引裂性が劣る場合があり、一方10.0μmを超える場合には透明性が悪くなる場合がある。
本発明のシートまたはフィルムをニ軸伸長変形での成形時の装置の設定温度は、150〜230℃が好ましく、さらには170〜200℃が好ましい。設定温度が150℃未満では、溶融時の粘度が高く硬いため加工が困難となる場合あり、さらに得られたシートまたはフィルムは表面平滑性が劣ってしまう可能性がある。一方230℃を超えると、溶融時の粘度が低く流動性が高くなるため加工が困難となる場合があり、さらに熱劣化を起こす可能性がある。
本発明のシートまたはフィルムをニ軸伸長変形での成形時の装置にて製造する場合、少なくとも一方向に溶融延伸することで、さらに薄いシートまたはフィルムを効率よく製造することができる。
溶融延伸する場合の延伸倍率は、120〜500%が好ましく、より好ましくは130〜400%、さらに好ましくは150〜350%である。延伸倍率が120%未満でシートまたはフィルムを製造した場合には溶融延伸することによる生産効率の改善程度に乏しく、延伸倍率500%以上でシートまたはフィルムを製造した場合には延伸ムラなどが発生し、厚さの均一なシートまたはフィルムを得ることが困難になる場合がある。ここで、溶融延伸する場合の延伸倍率とは、100×[溶融延伸前のシートまたはフィルムの厚み]/[溶融延伸後のシートまたはフィルムの厚み]のことを指す。
本発明のニ軸伸長変形での成形で得られたシートまたはフィルムの厚みは特に限定はされないが、1.00mm未満が好ましく、より好ましくは0.50mm以下、さらに好ましくは0.30mm以下である。シートまたはフィルムの厚みが1mm以上である場合には、シートまたはフィルムの表面平滑性に劣る場合がある。厚さが1.0mm以上のシートまたはフィルムを得る場合には、厚さが1.00mm未満のシートまたはフィルムを複数枚積層することによって製造する方が好ましい。一方、厚みの下限については成形する装置にもよるが、加工性、厚みの均一性を考えると0.03mm以上が好ましく、0.05mm以上がさらに好ましい。
本発明の重合体(A)、脂肪族ポリエステル(B)およびコア−シェル型ゴム(C)を主成分とする組成物において、脂肪族ポリエステル(B)が重合体(A)中でフィブリル構造、または枝状もしくは網目状に連なった三次元構造を形成したシートまたはフィルムを成形する上では、透明性、耐衝撃効果の観点から二軸伸長変形が好ましく、成形装置としては、シートまたはフィルムを製造するスピードや、得られたシートもしくはフィルムの厚み精度の点から、ロール成形装置、カレンダー成形装置が好ましい。
本発明に用いられる重合体(A)、脂肪族ポリエステル(B)およびコア−シェル型ゴム(C)を主成分とする組成物、さらには本発明のシートまたはフィルムには、必要に応じて、ヒンダードフェノール系、チオエーテル系、アミン系、リン系などの酸化防止剤、可塑剤、無機充填剤、紫外線吸収剤、光安定剤、紫外線遮蔽剤、帯電防止剤、難燃剤、着色防止剤、増粘剤、抗菌剤、防カビ剤、界面活性剤、蛍光剤、架橋剤など、一般的に樹脂に添加される他の配合剤を添加してもよい。
また、必要に応じて、一般的に樹脂に添加される滑剤を単独あるいは併用して用いることが可能である。滑剤の種類は特に限定されないが、本発明のシートまたはフィルムを成形加工する場合、成形条件によっては、劣化や蒸発が起こり、成形加工が困難になる可能性があることから、炭素数20以上の脂肪酸および/または炭素数20以上の脂肪酸エステルおよび/または炭素数20以上の脂肪酸金属塩を配合することが好ましい。具体的には、ベヘン酸、ベヘン酸エステル、ベヘン酸カルシウム、ベヘン酸亜鉛、ベヘン酸マグネシウム、ベヘン酸リチウム、モンタン酸、モンタン酸エステル、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、モンタン酸マグネシウムなどが挙げられる。
滑剤の配合量は、得られる成形体の機械的物性を損なわない範囲で添加されるが、通常、成形体を構成する樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部、好ましくはて0.5〜2重量部であり、本発明で用いられる重合体(A)、脂肪族ポリエステル(B)およびコア−シェル型ゴム(C)を主成分とする組成物(成形体を構成する樹脂は、重合体(A)、脂肪族ポリエステル(B)およびコア−シェル型ゴム(C)の合計の重量部)においても同様である。
本発明のシートまたはフィルムを得るに当たって予備混練が必要な場合には、通常、熱可塑性樹脂において用いられている公知の装置を利用することができる。例えば、重合体(A)、脂肪族ポリエステル(B)、コア−シェル型ゴム(C)、および必要に応じて滑剤や酸化防止剤などの配合剤を添加したものを高速攪拌機、低速攪拌機、ヘンシェルミキサーなどで均一に混合し、バッチ式混練ミキサー、バンバリーミキサー、コニーダ、押出機などで溶融混合し、直ちに成形してもよい。また、溶融混合した後、一旦ペレット化し、その後成形してもよい。
本発明のシートまたはフィルムは、必要に応じて溶融延伸した後、ドラムなどに接触させて冷却するのが好ましい。冷却するドラムの設定温度は、好ましくは30〜120℃、より好ましくは40〜100℃、さらに好ましくは50〜80℃である。120℃より高い温度では冷却が不十分となり成形後のシートまたはフィルムが収縮したり、伸びたりする可能性があり、30℃より低い温度では急激な冷却によりシートまたはフィルムにしわが発生したり、成形中に切断したりする可能性があるため好ましくない。
本発明のシートまたはフィルムは、一軸伸長変形またはニ軸伸長変形後、必要に応じて溶融延伸を行い、冷却した後、重合体(A)のガラス転移温度以上、溶融温度未満の温度で延伸(冷延伸)してもかまわない。このときの延伸倍率(冷延伸倍率)は、101%以上150%未満、好ましくは103%以上130%未満、さらに好ましくは、105%以上120%未満である。冷延伸倍率が101%未満の場合は、成形中にシートまたはフィルムにたるみが発生する場合があり、150%以上の場合には、配向化して長さ方向の引裂き強度が弱くなったり、延伸ムラが発生し、均一な厚みのシートまたはフィルムが得られなくなったり、製造中にシートまたはフィルムの切断や破断が発生したりする場合があるため、好ましくない。ここでいう、冷延伸倍率とは、100×[冷延伸前のシートまたはフィルムの厚み]/[冷延伸後のシートまたはフィルムの厚み]のことを指す。
本発明のシートまたはフィルムは、印刷性、ラミネート性、コーティング適性を向上させるために一般的に行われる表面処理を施しても良い。表面処理方法としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、酸処理などが挙げられる。
次に、実施例より本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
まず、実施例または比較例に使用した材料について以下に説明し、次いで実施例・比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
なお、以下実施例12を参考例と読み替える。
<重合体(A)>
A−1:DSC法におけるガラス転移点63℃および融点156℃でMFR(190℃、2.16kg荷重下)=2.4(g/10分)のペレット状のポリ乳酸樹脂(商品名レイシア H−440、三井化学社製)
A−2:DSC法におけるガラス転移点63℃および融点175℃でMFR(190℃、2.16荷重下)=3.5(g/10分)のペレット状のポリ乳酸樹脂(商品名U′z S−06、トヨタ自動車社製)
A−3:DSC法におけるガラス転移点63℃でMFR(190℃、2.16kg荷重下)=2.5(g/10分)のペレット状のポリ乳酸樹脂(商品名レイシア H−280、三井化学社製)
<脂肪族ポリエステル(B)>
B−1:DSC法におけるガラス転移点−32℃および融点115℃でMFR(190℃、2.16kg荷重下)=4.5(g/10分)のペレット状のポリエステル系樹脂(商品名;GSPlaAZ91T、三菱化学社製)
B−2:DSC法におけるガラス転移点−32℃および融点115℃でMFR(190℃、2.16kg荷重下)=20.0(g/10分)のペレット状のポリエステル系樹脂(商品名;GSPlaAZ71T、三菱化学社製)
<コア−シェル型ゴム(C)>
C−1:アクリル系コア−シェル型ゴム(商品名;パラペットSA、クラレ社製)
C−2:アクリル系コア−シェル型ゴム(商品名;メタブレンW−341、三菱レイヨン社製)
C−3:スチレン/ブタジエン系コア−シェル型ゴム(商品名;カネエースB11A、鐘淵化学工業社製)
<滑剤(D)>
D−1:モンタン酸(商品名;Licowax S、クラリアントジャパン社製)
<酸化防止剤(E)>
E−1:テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(商品名;アデカスタブAO−60、旭電化社製)
<実施例1〜10、比較例1〜11>(ロール成形)
表1〜4に示した重合体(A)、脂肪族ポリエステル(B)、コア−シェル型ゴム(C)、滑剤(D)、酸化防止剤(E)からなる配合物を、容量100cc(0.0001立方メートル)のバッチ式ミキサーで5分間溶融混練した。次に、180℃に設定した10インチ(直径0.254m)の2本ロール成形装置を用いて圧延した後、直ちに延伸倍率300%で溶融延伸を行い、厚さ100μmのシートを作製した。ここで、延伸倍率とは、100×[溶延伸前のシートまたはフィルムの厚み]/[溶融延伸後のシートまたはフィルムの厚み]のことを指す。
<実施例11>(カレンダー成形)
表2に示した重合体(A)、脂肪族ポリエステル(B)、コア−シェル型ゴム(C)、滑剤(D)、酸化防止剤(E)からなる配合物を、ヘンシェルミキサーで均一に混合した後、バンバリーミキサーで樹脂温度が170℃の範囲になるまで混練した。これを180℃に設定した逆L型形4本カレンダー成形装置を用いて圧延した後、直ちに延伸倍率300%で溶融延伸を行い、厚さ100μmのシートを作製した。ここで、延伸倍率とは、100×[溶延伸前のシートまたはフィルムの厚み]/[溶融延伸後のシートまたはフィルムの厚み]のことを指す。
<実施例12>(押出成形)
表2に示した重合体(A)、脂肪族ポリエステル(B)、コア−シェル型ゴム(C)、滑剤(D)、酸化防止剤(E)からなる配合物をドライブレンドした後、180℃に設定した二軸押出成形装置を用いて溶融混合ペレタイズを行った。
得られたペレットを180℃に設定したTダイ一軸押出成形装置を用いて溶融混練後、直ちに1500%となるように溶融延伸を行い、厚さ100μmのシートを作製した。
<比較例12>(プレス成形)
表4に示した重合体(A)、脂肪族ポリエステル(B)、コア−シェル型ゴム(C)、滑剤(D)、酸化防止剤(E)からなる配合物を、180℃に設定した容量100cc(0.0001立方メートル)のバッチ式ミキサーで5分間溶融混練した。次いで、圧縮成形機を用い180℃で10分間加熱、圧縮後、30℃で5分冷却して、厚さ100μmのシートを作製した。
<耐熱性>
実施例1〜12、比較例1〜12については得られたシートから150mm角のシートを切り出し、このシートを100℃に設定したオーブン中で20分間熱処理した後、取り出して、その熱処理前後でのシート長さ方向(MD方向)の長さの変化から加熱収縮率を求めた。比較例12については長さ方向(MD)と幅方向(TD)の区別がないため、方向を区別せず一方向のみ測定を行った以外は、実施例1〜12および比較例1〜12と同様に評価した。結果については、加熱収縮率が5.0%未満の場合を○、5.0%以上10.0%未満の場合を△、10.0%以上の場合を×として評価し、それぞれ表に記載した。
<耐衝撃性>
得られたシートを用いて、東洋精機株式会社製フィルムインパクトテスターにて測定した。
<引裂強度>
実施例1〜12、比較例1〜12については得られたシートを用いて、東洋精機製作所製、エレメンドルフ引裂試験機にてJIS K−7128に準拠して、それぞれ長さ方向(MD)について測定した。比較例12については、長さ方向(MD)と幅方向(TD)の区別がないため、一方向のみ測定を行った以外は、実施例1〜12および比較例1〜12と同様に評価した。
<引張弾性率>
実施例1〜12、比較例1〜12については得られたシートを用いて、東洋精機製作所製、テンシロン引張試験機にてJIS K−7127に準拠した形にてシート長さ方向(MD方向)の引張弾性率を測定した。比較例12については、長さ方向(MD)と幅方向(TD)の区別がないため、方向を区別せず一方向のみ測定を行った以外は、実施例1〜12および比較例1〜12と同様に評価した。
<透明性>(ヘイズ)
得られたシートを用いて、日本電色工業社製、HazeMeter NDH2000にて測定した。外部ヘイズの影響を取り除くために流動パラフィンで満たした角型石英セルの中にサンプルを投入して実施した。

Figure 0005283390













Figure 0005283390












Figure 0005283390










Figure 0005283390
<試験例1>
実施例1〜12で得られたシート約0.02gを、クロロホルム(関東化学社製 高速液体クロマトグラフィー用)/アセトン(関東化学社製 特級)の60/40(w/w)溶液20g中に浸漬し、24時間後の形態を観察した結果、実施例1〜11で得られたシートはシート状物、実施例12得られたシートは繊維状物が得られた。溶剤中に残ったシート状物及び繊維状物を取り出し、室温で3日間乾燥させた後、重量を測った結果、いずれも、表1、2に示した[脂肪族ポリエステル(B)の配合量+コア−シェル型ゴム(C)の配合量×0.7]とほぼ一致した。
次に、上記の乾燥させたシート状物をDSC(型式;Pyris1、Perkin Elmer社製)にて、
第一ステップ:室温→(80℃/分)→200℃(保持5分)
第二ステップ:200℃→(40℃/分)→−40℃
第三ステップ:−40℃→(10℃/分)→200℃
の条件で昇降温させ測定を行った結果、すべてのシート状物は第三ステップで脂肪族ポリエステル(B)に由来する融解ピークのみ観察された。
因みに、比較例2で得られたシート約0.02gを、クロロホルム/アセトンの60/40(w/w)溶液20g中に浸漬し、24時間後の形態を観察した結果、比較例2で得られたシートは実施例1〜11で得られたシートと同様にシート状物のものが得られた。溶剤中に残ったシート状物を取り出し、室温で3日間乾燥させた後、重量を測った結果、いずれも、表3に示した脂肪族ポリエステル(B)の配合量と一致した。
そして、上記の乾燥させたシート状物をDSC(型式;Pyris1、Perkin Elmer社製)にて、
第一ステップ:室温→(80℃/分)→200℃(保持5分)
第二ステップ:200℃→(40℃/分)→−40℃
第三ステップ:−40℃→(10℃/分)→200℃
の条件で昇降温させ測定を行った結果、すべてのシート状物は第三ステップで脂肪族ポリエステル(B)に由来する融解ピークしか観察されず、シート状物は比較例2で使用した脂肪族ポリエステル(B)が連続的に連なっているものであった。
一方、比較例3で得られたシート約0.02gを、クロロホルム/アセトンの60/40(w/w)溶液20g中に浸漬し、24時間後の形態を観察した結果、シート形状を保てなかった。
上記比較例2で得られたシートの実験例及び比較例3で得られたシートの実験例から、前期実施例1〜11で得られたシートの実験例において溶剤浸漬後に残ったシート状物は、連続的に連なった脂肪族ポリエステル(B)中にコアーシェル型ゴム(C)の配合量の50%を超える量が分散しているシートであるといえる。また、前記実施例12で得られたシートの実験例において溶剤浸漬後に残った繊維状物は、繊維状の脂肪族ポリエステル(B)中にコアーシェル型ゴム(C)の配合量の50%を超える量が分散した繊維状物であるといえる。
<試験例2>
試験例1で実施した溶剤浸漬試験後、溶剤中に残ったシート状物及び繊維状物を取り出してクロロホルム/アセトン=60/40(w/w)の溶液で3回洗浄し、メタノール溶液に24時間浸漬した後、メタノール溶液から取り出し、室温で3日間乾燥させ、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。
その結果、実施例1〜11で溶け残ったシート状物はすべて枝状もしくは網目状に連なった三次元構造が観察された。なお、実施例2で得られたシートの溶剤浸漬試験後、溶剤中に残ったシート状物(前述した方法で洗浄、乾燥したシート)の倍率3,500倍の走査型電子顕微鏡写真を図1に示す。
また、実施例12で溶け残った繊維状物はフィブリルが観察された。なお、実施例12で得られたシートの溶剤浸漬試験後、溶剤中に残った繊維状物(前述した方法で洗浄、乾燥したシート)の倍率3,500倍の走査型電子顕微鏡写真を図2に示す。
<比較試験例1>
比較例12で得られたシート約0.02gを、クロロホルム/アセトンの60/40(w/w)溶液20g中に浸漬し、24時間後の形態を観察した結果、シートは形状を保てず、バラバラとなってしまった。溶剤中で形状を保持できず浮遊していた成分を回収し、室温で3日間乾燥させた後、重量を測った結果、表4に示した脂肪族ポリエステル(B)とコア−シェル型ゴム(C)の合わせた配合量の約80%であった。
次に、上記の浮遊していた成分の乾燥物をDSC(型式;Pyris1、Perkin Elmer社製)にて、
第一ステップ:室温→(80℃/分)→200℃(保持5分)
第二ステップ:200℃→(40℃/分)→−40℃
第三ステップ:−40℃→(10℃/分)→200℃
の条件で昇降温させ測定を行った結果、第三ステップで脂肪族ポリエステル(B)に由来する融解ピークしか観察されず、脂肪族ポリエステル(B)は非連続状態で存在しているものであった。
<比較試験例2>
比較試験例1で実施した溶剤浸漬試験後、溶剤中で形状を保持できず浮遊していた成分を回収してクロロホルム/アセトン=60/40(w/w)の溶液で3回洗浄し、メタノール溶液に24時間浸漬した後、メタノール溶液から回収し、室温で3日間乾燥させ、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。
その結果、溶剤中で形状を保持できず浮遊していた成分は直径5〜30μmの粒子であり、比較例12で作成したシート中は、脂肪族ポリエステル(B)は連続相を形成せず、粒子状で存在しているものであった。
本発明のシートまたはフィルムは、重合体(A)に脂肪族ポリエステル(B)とコア−シェル型ゴム(C)を添加することで、重合体(A)の剛性、透明性を維持し、重合体(A)に不足している耐衝撃性、耐引裂性、耐熱性を脂肪族ポリエステル(B)およびコア−シェル型ゴム(C)の特性により改良された、耐衝撃性、耐引裂性、耐熱性、剛性、透明性を兼ね備えたシートまたはフィルムであり、特殊な成形条件や成形装置を使用することなく、既存の設備を使用して安価に、効率よくポリ乳酸系のシートまたはフィルムを得ることができるため、建材化粧用、包装用、表示ラベル用などのシート、フィルムとして広く利用することができる。
実施例2で得られたシートの溶剤浸漬試験後、溶剤中に残ったシート状物の倍率3,500倍の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例12で得られたシートの溶剤浸漬試験後、溶剤中に残った繊維状物の倍率3,500倍の走査型電子顕微鏡写真である。

Claims (3)

  1. 乳酸を主成分とする重合体(A)と脂肪族カルボン酸および鎖状分子ジオールを主成分とする脂肪族ポリエステル(B)とコア−シェル型ゴム(C)からなり、該重合体(A)100重量部に対して、該脂肪族ポリエステル(B)とコア−シェル型ゴム(C)の合計量が30〜80重量部であり、該脂肪族ポリエステル(B)とコア−シェル型ゴム(C)との重量比率が該脂肪族ポリエステル(B)/コア−シェル型ゴム(C)で30/70〜70/30(ただし、(B)+(C)=100)である樹脂組成物の溶融体を、カレンダー成形装置またはロール成形装置を用いて、ロールの間隙に当該組成物からなる溶融樹脂溜まり(バンク)を形成させるとともに、溶融樹脂がバンクを通過する過程でロール軸方向(TD方向)およびロール軸とは垂直方向[ロール間隙の進行方向(MD方向)]に同時に二次元的に引き延ばされる二軸伸長変形により成形して、該脂肪族ポリエステル(B)が該重合体(A)中で枝状もしくは網目状に連なった三次元構造を形成していることを特徴とするポリ乳酸系シートまたはフィルム。
  2. 100℃における加熱収縮率が10%未満であることを特徴とする請求項1に記載のポリ乳酸系シートまたはフィルム。
  3. 請求項1に記載の樹脂組成物の溶融体を、カレンダー成形装置またはロール成形装置を用いて、ロールの間隙に当該組成物からなる溶融樹脂溜まり(バンク)を形成させるとともに、溶融樹脂がバンクを通過する過程でロール軸方向(TD方向)およびロール軸とは垂直方向[ロール間隙の進行方向(MD方向)]に同時に二次元的に引き延ばされる二軸伸長変形させて、前記脂肪族ポリエステル(B)を枝状もしくは網目状に連なった三次元構造にすることを特徴とするポリ乳酸系シートまたはフィルムの製造方法。
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