JP2006089602A - 脂肪族ポリエステル樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】 耐衝撃性、耐応力白化性および加工性に優れる脂肪族ポリエステル樹脂組成物およびその成形品を提供する。
【解決手段】 (A)脂肪族ポリエステルと;(B)ポリオルガノシロキサンとポリアルキル(メタ)アクリレートゴムとを含む複合ゴムに、ビニル系単量体をグラフト重合して得られたグラフト共重合体とを含有し、複合ゴム(100質量%)中のポリオルガノシロキサンの含有量が、0.1〜10質量%である脂肪族ポリエステル樹脂組成物を用いる。
【選択図】 なし
【解決手段】 (A)脂肪族ポリエステルと;(B)ポリオルガノシロキサンとポリアルキル(メタ)アクリレートゴムとを含む複合ゴムに、ビニル系単量体をグラフト重合して得られたグラフト共重合体とを含有し、複合ゴム(100質量%)中のポリオルガノシロキサンの含有量が、0.1〜10質量%である脂肪族ポリエステル樹脂組成物を用いる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、脂肪族ポリエステル樹脂組成物およびその成形品に関する。
最近、地球環境保全の見地から、土中、水中に存在する微生物の作用により自然環境下で分解される生分解性ポリマーが注目され、様々な生分解性ポリマーが開発されている。これらのうち溶融成形が可能な生分解性ポリマーとして、例えば、ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、コハク酸、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸成分と、エチレングリコール、ブタンジオール等のグリコール成分とからなるポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステルが知られている。
脂肪族ポリエステルの中でも、ポリ乳酸は、比較的コストが安く、融点もおよそ170℃と高く、溶融成形可能な生分解性ポリマーとして期待されている。また最近では、モノマーである乳酸が、微生物を利用した発酵法により安価に製造されるようになり、より一層低コストでポリ乳酸を生産できるようになってきたため、生分解性ポリマーとしてだけでなく、汎用ポリマーとしての利用も検討されるようになってきた。しかし、その一方で、耐衝撃性、耐応力白化性、加工性、耐熱性が低いという欠点を有しており、その改良が望まれている。
通常、樹脂の耐衝撃性を改良するために、オレフィン共重合体等のゴム状ポリマーをブレンドすることは知られており、ポリ乳酸においても、変性オレフィン化合物を添加する方法(例えば、特許文献1および2参照)が知られている。しかし、これらの方法では、耐衝撃性改良効果が不十分であり、さらなる改善が必要とされている。
また、ポリ乳酸は、ガラス転移温度が60℃であり、それ以上の温度では剛性が急激に低下するため、成形品として使用する場合には、60℃以上の高温での熱変形が大きくなるという性質を有している。ポリ乳酸にゴム状ポリマーをブレンドすると、さらに熱変形が大きくなり、耐熱性が低下するため実用的でないという問題もある。
特開平9−316310号公報
特開2001−123055号公報
よって、本発明の目的は、耐衝撃性、耐応力白化性および加工性に優れる脂肪族ポリエステル樹脂組成物およびその成形品を提供することにある。
また、本発明の目的は、さらに耐熱性に優れる脂肪族ポリエステル樹脂組成物およびその成形品を提供することにある。
また、本発明の目的は、さらに耐熱性に優れる脂肪族ポリエステル樹脂組成物およびその成形品を提供することにある。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、(A)脂肪族ポリエステルと;(B)ポリオルガノシロキサンとポリアルキル(メタ)アクリレートゴムとを含む複合ゴムに、ビニル系単量体をグラフト重合して得られたグラフト共重合体とを含有し、複合ゴム(100質量%)中のポリオルガノシロキサンの含有量が、0.1〜10質量%であることを特徴とする。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、さらに強化材を含有してもよい。
本発明の成形品は、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物を成形してなるものである。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、さらに強化材を含有してもよい。
本発明の成形品は、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物を成形してなるものである。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、(A)脂肪族ポリエステルと;(B)ポリオルガノシロキサンとポリアルキル(メタ)アクリレートゴムとを含む複合ゴムに、ビニル系単量体をグラフト重合して得られたグラフト共重合体とを含有し、複合ゴム(100質量%)中のポリオルガノシロキサンの含有量が、0.1〜10質量%であるため、耐衝撃性、耐応力白化性および加工性に優れる。
また、さらに強化材を含有していれば、さらに耐熱性に優れる。
本発明の成形品は、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物を成形してなるものであるため、耐衝撃性、耐応力白化性に優れる。
また、さらに強化材を含有していれば、さらに耐熱性に優れる。
本発明の成形品は、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物を成形してなるものであるため、耐衝撃性、耐応力白化性に優れる。
<(A)脂肪族ポリエステル>
(A)脂肪族ポリエステルとしては、特に限定されるものではなく、(i)脂肪族ヒドロキシカルボン酸を主たる構成成分とする重合体;(ii)脂肪族多価カルボン酸と脂肪族多価アルコールを主たる構成成分とする重合体などが挙げられる。
(i)の重合体としては、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリ3−ヒドロキシ酪酸、ポリ4−ヒドロキシ酪酸、ポリ4−ヒドロキシ吉草酸、ポリ3−ヒドロキシヘキサン酸、ポリカプロラクトン等が挙げられる。
(ii)の重合体としては、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンサクシネート等が挙げられる。
(A)脂肪族ポリエステルは、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。(A)脂肪族ポリエステルの中でも、(i)の重合体が好ましく、特にポリ乳酸が好ましい。
(A)脂肪族ポリエステルとしては、特に限定されるものではなく、(i)脂肪族ヒドロキシカルボン酸を主たる構成成分とする重合体;(ii)脂肪族多価カルボン酸と脂肪族多価アルコールを主たる構成成分とする重合体などが挙げられる。
(i)の重合体としては、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリ3−ヒドロキシ酪酸、ポリ4−ヒドロキシ酪酸、ポリ4−ヒドロキシ吉草酸、ポリ3−ヒドロキシヘキサン酸、ポリカプロラクトン等が挙げられる。
(ii)の重合体としては、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンサクシネート等が挙げられる。
(A)脂肪族ポリエステルは、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。(A)脂肪族ポリエステルの中でも、(i)の重合体が好ましく、特にポリ乳酸が好ましい。
ポリ乳酸は、L−乳酸および/またはD−乳酸を主たる構成成分とする重合体である。本発明の目的を損なわない範囲で、乳酸以外の他の共重合成分を含んでいてもよい。
他の共重合成分としては、例えば、多価カルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトンなどが挙げられ、具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸等の多価カルボン酸類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ビスフェノールA、ビスフェノールにエチレンオキシドを付加反応させた芳香族多価アルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の多価アルコール類;グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸類;グリコリド、ε−カプロラクトングリコリド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−ブチロラクトン、β−またはγ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類等が挙げられる。他の共重合成分は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリ乳酸において高い耐熱性を得るためには、乳酸成分の光学純度が高い方が好ましく、総乳酸成分の内、L体またはD体が80モル%以上含まれることが好ましく、90モル%以上含まれることがさらに好ましく、95モル%以上含まれることが特に好ましい。
(A)脂肪族ポリエステルの製造方法としては、既知の重合方法を用いることができる。ポリ乳酸については、乳酸からの直接重合法、ラクチドを介する開環重合法などを採用することができる。
(A)脂肪族ポリエステルの分子量および分子量分布は、実質的に成形加工が可能であれば、特に限定されない。質量平均分子量は、好ましくは1万以上、より好ましくは4万以上、特に好ましくは8万以上である。ここでいう質量平均分子量とは、溶媒としてヘキサフルオロイソプロパノールを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリメタクリル酸メチル(PMMA)換算の質量平均分子量である。
(A)脂肪族ポリエステルの融点は、特に限定されるものではなく、90℃以上であることが好ましく、さらに150℃以上であることが好ましい。
<(B)グラフト共重合体>
(B)グラフト共重合体は、ポリオルガノシロキサンとアルキル(メタ)アクリレートゴムとを含有するポリオルガノシロキサン/アクリル系ゴム(以下、複合ゴムと記す)に、1種以上のビニル系単量体をグラフト重合して得られたものである。本発明において、(メタ)アクリレートは、アクリレートおよび/またはメタクリレートを意味する。
(B)グラフト共重合体は、ポリオルガノシロキサンとアルキル(メタ)アクリレートゴムとを含有するポリオルガノシロキサン/アクリル系ゴム(以下、複合ゴムと記す)に、1種以上のビニル系単量体をグラフト重合して得られたものである。本発明において、(メタ)アクリレートは、アクリレートおよび/またはメタクリレートを意味する。
(ポリオルガノシロキサン)
ポリオルガノシロキサンは、オルガノシロキサン、および必要に応じて架橋剤、グラフト交叉剤を用いて乳化重合により調製することができる。以下、オルガノシロキサン、架橋剤、およびグラフト交叉剤をまとめてシロキサン混合物という。
ポリオルガノシロキサンは、オルガノシロキサン、および必要に応じて架橋剤、グラフト交叉剤を用いて乳化重合により調製することができる。以下、オルガノシロキサン、架橋剤、およびグラフト交叉剤をまとめてシロキサン混合物という。
オルガノシロキサンとしては、3員環以上の各種の環状体が挙げられ、好ましくは3〜6員環のものである。例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。これらは、1種を単独で、または2種以上を混合して用いられる。オルガノシロキサンの使用量は、シロキサン混合物(100質量%)中、50質量%以上、好ましくは70質量%以上である。
架橋剤としては、3官能性または4官能性のシラン系架橋剤、例えば、トリメトキシメチルシラン、トリエトキシフェニルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。特に、4官能性の架橋剤が好ましく、この中でもテトラエトキシシランが特に好ましい。架橋剤の使用量は、シロキサン混合物(100質量%)中、0〜20質量%である。
グラフト交叉剤としては、下記式(GI−1)〜(GI−4)で表される単位を形成し得る化合物が挙げられる。(式中、R1 はメチル基、エチル基、プロピル基またはフェニル基を示し、R2 は水素原子またはメチル基を示し、nは0,1または2を示し、pは1〜6の整数を示す。)
式(GI−1)で表される単位を形成し得る(メタ)アクリロイルオキシシロキサンは、グラフト効率が高いため有効なグラフト鎖を形成することが可能であり、耐衝撃性発現の点で有利である。(メタ)アクリロイルオキシシロキサンの中でも、メタクリロイルオキシシロキサンが特に好ましい。メタクリロイルオキシシロキサンとしては、β−メタクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラン、δ−メタクリロイルオキシブチルジエトキシメチルシラン等が挙げられる。
式(GI−2)で表される単位を形成し得る化合物しては、p−ビニルフェニルジメトキシメチルシランが挙げられる。
式(GI−3)で表される単位を形成し得るビニルシロキサンとしては、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサンが挙げられる。
式(GI−4)で表される単位を形成し得るメルカプトシロキサンとしては、γ−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メルカプトプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メルカプトプロピルジエトキシメチルシラン等が挙げられる。
式(GI−3)で表される単位を形成し得るビニルシロキサンとしては、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサンが挙げられる。
式(GI−4)で表される単位を形成し得るメルカプトシロキサンとしては、γ−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メルカプトプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メルカプトプロピルジエトキシメチルシラン等が挙げられる。
これらグラフト交叉剤は、1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
グラフト交叉剤の使用量は、シロキサン混合物(100質量%)中、0.01〜20質量%が好ましく、0.05〜10質量%がより好ましい。
グラフト交叉剤の使用量は、シロキサン混合物(100質量%)中、0.01〜20質量%が好ましく、0.05〜10質量%がより好ましい。
ポリオルガノシロキサンのラテックスの製造方法としては、例えば、米国特許第2,891,920号明細書、米国特許第3,294,725号明細書等に記載された方法が挙げられる。本発明においては、例えば、オルガノシロキサン、架橋剤およびグラフト交叉剤からなるシロキサン混合物を、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸等のスルホン酸系乳化剤の存在下で、ホモジナイザー等を用いて水と剪断混合し、乳化液とした後、昇温して縮合反応を進行させる方法により製造することが好ましい。アルキルベンゼンスルホン酸は、オルガノシロキサンの乳化剤として作用すると同時に、重合開始剤ともなるので好適である。この際、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩、アルキルスルホン酸金属塩等を併用するとグラフト重合を行う際にポリマーを安定に維持するのに効果があるので好ましい。
(アルキル(メタ)アクリレートゴム)
アルキル(メタ)アクリレートゴムは、アルキル(メタ)アクリレート、架橋剤およびグラフト交叉剤からなるアクリルゴム原料混合物を重合させて得られるものである。
アルキル(メタ)アクリレートゴムは、アルキル(メタ)アクリレート、架橋剤およびグラフト交叉剤からなるアクリルゴム原料混合物を重合させて得られるものである。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレート;ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ラウリルメタクリレート等のアルキルメタクリレート等が挙げられる。特に、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレートが好ましい。
架橋剤としては、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。これら架橋剤は、1種を単独で、または2種以上を混合して用いられる。
グラフト交叉剤としては、例えば、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。アリルメタクリレートは、架橋剤として用いることもできる。これらグラフト交叉剤は、1種を単独で、または2種以上を混合して用いられる。
架橋剤およびグラフト交叉剤の合計の使用量は、アクリルゴム原料混合物(100質量%)中、0.001〜20重量%が好ましく、0.01〜3重量%がより好ましい。
架橋剤およびグラフト交叉剤の合計の使用量は、アクリルゴム原料混合物(100質量%)中、0.001〜20重量%が好ましく、0.01〜3重量%がより好ましい。
(複合ゴム)
複合ゴムは、どのような方法で製造されたものであってもよいが、乳化重合法によって製造されたものが最適である。
複合ゴムは、例えば、乳化重合法で得られたポリオルガノシロキサンのラテックス中へ、アクリルゴム原料混合物を添加し、ポリオルガノシロキサン粒子へ含浸させた後、通常のラジカル重合開始剤を作用させてアクリルゴム原料混合物を重合させることにより得られる。このようにして乳化重合により調製された複合ゴムは、ビニル系単量体をグラフト重合させることが可能である。
複合ゴムは、どのような方法で製造されたものであってもよいが、乳化重合法によって製造されたものが最適である。
複合ゴムは、例えば、乳化重合法で得られたポリオルガノシロキサンのラテックス中へ、アクリルゴム原料混合物を添加し、ポリオルガノシロキサン粒子へ含浸させた後、通常のラジカル重合開始剤を作用させてアクリルゴム原料混合物を重合させることにより得られる。このようにして乳化重合により調製された複合ゴムは、ビニル系単量体をグラフト重合させることが可能である。
複合ゴムとしては、ポリオルガノシロキサンの主骨格がジメチルシロキサンの繰り返し単位を有し、ポリアルキル(メタ)アクリレートゴムの主骨格がn−ブチルアクリレートの繰り返し単位を有する複合ゴムが好ましい。
複合ゴムは、トルエンにより90℃で4時間抽出して測定したゲル含量が、50質量%以上であることが好ましい。
複合ゴムは、トルエンにより90℃で4時間抽出して測定したゲル含量が、50質量%以上であることが好ましい。
複合ゴム(100質量%)中のポリオルガノシロキサンの含有量は、0.1〜10質量%であり、アルキル(メタ)アクリレートゴムの含有量は、99.9〜90質量%である(両成分の合計量は100質量%である)。ポリオルガノシロキサンの含有量をこの範囲とすることにより、脂肪族ポリエステル樹脂組成物の耐衝撃性、耐応力白化性および加工性が良好となる。
(ビニル系単量体)
複合ゴムにグラフト重合されるビニル系単量体としては、芳香族アルケニル化合物、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、シアン化ビニル化合物、グリシジル基含有単量体等が挙げられる。
複合ゴムにグラフト重合されるビニル系単量体としては、芳香族アルケニル化合物、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、シアン化ビニル化合物、グリシジル基含有単量体等が挙げられる。
芳香族アルケニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。
メタクリル酸エステルとしては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等が挙げられる。
アクリル酸エステルとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等が挙げられる。
シアン化ビニル化合物としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
グリシジル基含有単量体としては、(メタ)アクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、イタコン酸ジグリシジル、アリルグリシジルエーテル、スチレン−4−グリシジルエーテル、4−グリシジルスチレン等が挙げられる。グリシジル基含有単量体としては、耐衝撃性および耐熱性を向上する効果が大きいという観点から、(メタ)アクリル酸グリシジルが好ましい。
これらビニル系単量体は、1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
メタクリル酸エステルとしては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等が挙げられる。
アクリル酸エステルとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等が挙げられる。
シアン化ビニル化合物としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
グリシジル基含有単量体としては、(メタ)アクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、イタコン酸ジグリシジル、アリルグリシジルエーテル、スチレン−4−グリシジルエーテル、4−グリシジルスチレン等が挙げられる。グリシジル基含有単量体としては、耐衝撃性および耐熱性を向上する効果が大きいという観点から、(メタ)アクリル酸グリシジルが好ましい。
これらビニル系単量体は、1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
ビニル系単量体の量は、特に制限はないが、複合ゴムとビニル系単量体の質量比(複合ゴム/ビニル系単量体)が、30/70〜95/5が好ましい。ビニル系単量体が多すぎると、耐衝撃性改良効果が低下することがあり、ビニル系単量体が少なすぎると、(B)グラフト共重合体の粉体特性が低下することがある。
((B)グラフト共重合体の製造方法)
(B)グラフト共重合体は、ビニル系単量体を複合ゴムのラテックスに加え、ラジカル重合技術によって一段あるいは多段でグラフト重合させ、得られたグラフト共重合体ラテックスを凝析剤により塩析、凝固することにより分離回収、またはスプレードライ法等による直接回収により得ることができる。
グラフト重合の方法としては、乳化重合法が用いられる。重合温度は、重合開始剤の種類にもよるが40〜80℃程度の範囲で適宜行うことができる。乳化剤としては公知の乳化剤を適宜用いることができる。
(B)グラフト共重合体は、ビニル系単量体を複合ゴムのラテックスに加え、ラジカル重合技術によって一段あるいは多段でグラフト重合させ、得られたグラフト共重合体ラテックスを凝析剤により塩析、凝固することにより分離回収、またはスプレードライ法等による直接回収により得ることができる。
グラフト重合の方法としては、乳化重合法が用いられる。重合温度は、重合開始剤の種類にもよるが40〜80℃程度の範囲で適宜行うことができる。乳化剤としては公知の乳化剤を適宜用いることができる。
凝析剤としては、金属化合物が好ましく、特にアルカリ土類金属塩化合物、例えば硫酸マグネシウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム等が好ましい。中でも、熱安定性の観点から、酢酸カルシウムがより好ましい。
グラフト重合においては、グラフト共重合体の枝にあたる成分が幹成分にグラフトせずに枝成分だけで重合して得られる、フリーポリマーも一部副生し、グラフト共重合体とフリーポリマーとの混合物として得られる。本発明においては、これらを合わせてグラフト共重合体という。
グラフト重合においては、グラフト共重合体の枝にあたる成分が幹成分にグラフトせずに枝成分だけで重合して得られる、フリーポリマーも一部副生し、グラフト共重合体とフリーポリマーとの混合物として得られる。本発明においては、これらを合わせてグラフト共重合体という。
グラフト共重合体ラテックスには、得られる(B)グラフト共重合体の耐衝撃性を向上させるために、カルボキシル基含有共重合体ラテックスを加えてもよい。カルボキシル酸基含有共重合体ラテックスとしては、アルキルアクリレートと、アルキルアクリレートと共重合可能な少なくとも1種以上の不飽和酸単量体とを含む混合物を、少なくとも1種の陰イオン界面活性剤の存在下に重合して得られる、pH4以上のラテックスが好ましい。
アルキルアクリレートのアルキル基の炭素数は1〜12が好ましい。
アルキルアクリレートとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート等が挙げられる。
アルキルアクリレートとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート等が挙げられる。
不飽和酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、桂皮酸、無水マレイン酸、ブテントリカルボン酸等が挙げられる。
アルキルアクリレートは、70質量%以上99質量%以下が好ましく、不飽和酸単量体は、1質量%以上30質量%以下が好ましい。不飽和酸単量体が1質量%未満の場合、衝撃強度を向上させる効果が現れないことがある。
また、他の単量体を共重合させることもできる。他の単量体としては、例えば、スチレン、メタクリル酸メチル、アクリロニトリル、ブタジエン等が挙げられる。
アルキルアクリレートは、70質量%以上99質量%以下が好ましく、不飽和酸単量体は、1質量%以上30質量%以下が好ましい。不飽和酸単量体が1質量%未満の場合、衝撃強度を向上させる効果が現れないことがある。
また、他の単量体を共重合させることもできる。他の単量体としては、例えば、スチレン、メタクリル酸メチル、アクリロニトリル、ブタジエン等が挙げられる。
カルボキシル基含有共重合体の添加量は、特に制限はないが、(B)グラフト共重合体の固形分100質量部に対して、固形分として0.01質量部以上が好ましく、他の特性が損なわれることを避けるために固形分として10質量部以下が好ましい。
(B)グラフト共重合体の一次粒子径は、特に限定されるものではないが、質量平均粒子径で0.01〜1000μmが好ましく、0.05〜2μmがより好ましく、0.1〜1μmが特に好ましい。
<脂肪族ポリエステル樹脂組成物>
(A)脂肪族ポリエステルと(B)グラフト共重合体の質量比((A)脂肪族ポリエステル/(B)グラフト共重合体)は、特に限定されるものではないが、99/1〜50/50であることが好ましく、99/1〜60/40であることがより好ましく、99/1〜70/30であることが最も好ましい。
本発明においては、(A)脂肪族ポリエステル中に(B)グラフト共重合体が細かく分散し、分散状態が良好なものほど耐衝撃性を向上させる効果が大きい。
(A)脂肪族ポリエステルと(B)グラフト共重合体の質量比((A)脂肪族ポリエステル/(B)グラフト共重合体)は、特に限定されるものではないが、99/1〜50/50であることが好ましく、99/1〜60/40であることがより好ましく、99/1〜70/30であることが最も好ましい。
本発明においては、(A)脂肪族ポリエステル中に(B)グラフト共重合体が細かく分散し、分散状態が良好なものほど耐衝撃性を向上させる効果が大きい。
<強化材>
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、耐熱性が向上するという観点から、さらに強化材を含有してもよい。
強化材としては、結晶核剤、充填材が挙げられる。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、耐熱性が向上するという観点から、さらに強化材を含有してもよい。
強化材としては、結晶核剤、充填材が挙げられる。
(結晶核剤)
結晶核剤としては、通常、ポリマーの結晶核剤として用いられるものを特に制限なく使用することができ、無機系結晶核剤および有機系結晶核剤のいずれをも使用することができる。
結晶核剤としては、通常、ポリマーの結晶核剤として用いられるものを特に制限なく使用することができ、無機系結晶核剤および有機系結晶核剤のいずれをも使用することができる。
無機系結晶核剤としては、タルク、カオリナイト(カオリン)、モンモリロナイト、マイカ、合成マイカ、クレイ、ゼオライト、シリカ、グラファイト、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタン、硫化カルシウム、窒化ホウ素、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ネオジウム、フェニルホスホネートの金属塩等が挙げられる。これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
耐熱性を向上させる効果が大きいという観点から、マイカ、タルク、カオリン、クレイが好ましい。マイカ、タルク、カオリン、クレイの平均粒子径は10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがさらに好ましく、3μm以下であることがさらに好ましい。
耐熱性を向上させる効果が大きいという観点から、マイカ、タルク、カオリン、クレイが好ましい。マイカ、タルク、カオリン、クレイの平均粒子径は10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがさらに好ましく、3μm以下であることがさらに好ましい。
無機系結晶核剤は、組成物中での分散性を高めるために、アミノシラン、エポキシシラン等のカップリング剤による処理または各種有機物による修飾処理が施されていることが好ましい。
無機系結晶核剤の含有量は、(A)脂肪族ポリエステル100質量部に対して、0.01〜100質量部が好ましく、0.05〜50質量部がより好ましく、0.1〜30重量部がさらに好ましい。
無機系結晶核剤の含有量は、(A)脂肪族ポリエステル100質量部に対して、0.01〜100質量部が好ましく、0.05〜50質量部がより好ましく、0.1〜30重量部がさらに好ましい。
有機系結晶核剤としては、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸カルシウム、安息香酸マグネシウム、安息香酸バリウム、テレフタル酸リチウム、テレフタル酸ナトリウム、テレフタル酸カリウム、シュウ酸カルシウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、ミリスチン酸カルシウム、オクタコサン酸ナトリウム、オクタコサン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、トルイル酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム、サリチル酸亜鉛、アルミニウムジベンゾエート、カリウムジベンゾエート、リチウムジベンゾエート、ナトリウムβ−ナフタレート、ナトリウムシクロヘキサンカルボキシレート等の有機カルボン酸金属塩;p−トルエンスルホン酸ナトリウム、スルホイソフタル酸ナトリウム等の有機スルホン酸塩;ステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、パルチミン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、トリメシン酸トリス(t−ブチルアミド)等のカルボン酸アミド;低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプロピレン、ポリブテン、ポリ−4−メチルペンテン、ポリ−3−メチルブテン−1、ポリビニルシクロアルカン、ポリビニルトリアルキルシラン、高融点ポリ乳酸等のポリマー;エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸コポリマーのナトリウム塩、スチレン−無水マレイン酸コポリマーのナトリウム塩等のカルボキシル基を有する重合体のナトリウム塩またはカリウム塩(いわゆるアイオノマー);ベンジリデンソルビトールおよびその誘導体;ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート等のリン化合物金属塩;2,2−メチルビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム等が挙げられる。これらは1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
耐熱性を向上させる効果が大きいという観点からは、有機カルボン酸金属塩、カルボン酸アミドが好ましい。
有機系結晶核剤の含有量は、(A)脂肪族ポリエステル100質量部に対して、0.01〜30質量部が好ましく、0.05〜10質量部がより好ましく、0.1〜5重量部がさらに好ましい。
有機系結晶核剤の含有量は、(A)脂肪族ポリエステル100質量部に対して、0.01〜30質量部が好ましく、0.05〜10質量部がより好ましく、0.1〜5重量部がさらに好ましい。
(充填材)
充填材としては、通常、熱可塑性樹脂の強化に用いられる繊維状、板状、粒状、粉末状のものを用いることができる。具体的には、ガラス繊維、アスベスト繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、金属繊維、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、マグネシウム系ウイスカー、珪素系ウイスカー、ワラストナイト、セピオライト、アスベスト、スラグ繊維、ゾノライト、エレスタダイト、石膏繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化硅素繊維、ホウ素繊維等の無機繊維状充填材;ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、再生セルロース繊維、アセテート繊維、ケナフ、ラミー、木綿、ジュート、麻、サイザル、亜麻、リネン、絹、マニラ麻、さとうきび、木材パルプ、紙屑、古紙、ウール等の有機繊維状充填材;ガラスフレーク、グラファイト、金属箔、セラミックビーズ、セリサイト、ベントナイト、ドロマイト、微粉珪酸、長石粉、チタン酸カリウム、シラスバルーン、珪酸アルミニウム、酸化珪素、石膏、ノバキュライト、ドーソナイト、白土等の板状または粒状の充填材が挙げられる。
充填材としては、通常、熱可塑性樹脂の強化に用いられる繊維状、板状、粒状、粉末状のものを用いることができる。具体的には、ガラス繊維、アスベスト繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、金属繊維、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、マグネシウム系ウイスカー、珪素系ウイスカー、ワラストナイト、セピオライト、アスベスト、スラグ繊維、ゾノライト、エレスタダイト、石膏繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化硅素繊維、ホウ素繊維等の無機繊維状充填材;ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、再生セルロース繊維、アセテート繊維、ケナフ、ラミー、木綿、ジュート、麻、サイザル、亜麻、リネン、絹、マニラ麻、さとうきび、木材パルプ、紙屑、古紙、ウール等の有機繊維状充填材;ガラスフレーク、グラファイト、金属箔、セラミックビーズ、セリサイト、ベントナイト、ドロマイト、微粉珪酸、長石粉、チタン酸カリウム、シラスバルーン、珪酸アルミニウム、酸化珪素、石膏、ノバキュライト、ドーソナイト、白土等の板状または粒状の充填材が挙げられる。
これらの充填材の中では、無機繊維状充填材が好ましく、特にガラス繊維、ワラストナイトが好ましい。また、有機繊維状充填材の使用も好ましく、(A)脂肪族ポリエステルの生分解性を生かすという観点から、天然繊維または再生繊維がさらに好ましい。また、繊維状充填材のアスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)は5以上であることが好ましく、10以上であることがさらに好ましく、20以上であることがさらに好ましい。充填材は、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂で被覆または集束処理されていてもよく、アミノシラン、エポキシシラン等のカップリング剤等で処理されていてもよい。
充填材の含有量は、(A)脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対して、0.1〜200重量部が好ましく、0.5〜100重量部がさらに好ましい。
充填材の含有量は、(A)脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対して、0.1〜200重量部が好ましく、0.5〜100重量部がさらに好ましい。
(他の添加剤)
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤等)、滑剤、離型剤、難燃剤(臭素系難燃剤、燐系難燃剤、アンチモン化合物等)、染料、顔料を含む着色剤、核化剤等を添加することができる。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤等)、滑剤、離型剤、難燃剤(臭素系難燃剤、燐系難燃剤、アンチモン化合物等)、染料、顔料を含む着色剤、核化剤等を添加することができる。
また、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂(例えばポリアミド、アクリル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリエーテルイミド等)、熱硬化性樹脂(例えばフェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等)の1種以上をさらに含有させることができる。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、(A)脂肪族ポリエステル、(B)グラフト共重合体、および必要に応じて他の成分をあらかじめブレンドした後、樹脂の融点以上において、1軸または2軸押出機を用いて均一に溶融混練する方法;各成分を溶液中で混合した後に溶媒を除く方法等が挙げられる。
<成形品>
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、独特の特性を持つ組成物であり、射出成形、押出成形等の方法によって、各種成形品に加工し利用することができる。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、独特の特性を持つ組成物であり、射出成形、押出成形等の方法によって、各種成形品に加工し利用することができる。
本発明の成形品としては、射出成形品、押出成形品、ブロー成形品、フィルム、繊維、シート等が挙げられる。フィルムとしては、未延伸フィルム、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルム等の各種フイルムが挙げられ、繊維としては、未延伸糸、延伸糸、超延伸糸等の各種繊維が挙げられる。また、これらの成形品は、電気・電子部品(各種ハウジング、歯車、ギア等)、建築部材、土木部材、農業資材、自動車部品(内装・外装部品等)、日用品等の各種用途に利用することができる。
以下、実施例により本発明を説明する。実施例中の「部」および「%」は、それぞれ質量部および質量%である。
各種評価、成形は以下の方法で行った。
(1)押出機:
φ30mm、L/D=28の同方向二軸押し出し機を用い、(A)脂肪族ポリエステル、(B)グラフト共重合体等、各成分を溶融混練し、脂肪族ポリエステル樹脂組成物ペレットを得た。
(2)射出成型機:
上記ペレットを用いて、射出成型法によりアイゾット衝撃強度評価用サンプルを成形した。
各種評価、成形は以下の方法で行った。
(1)押出機:
φ30mm、L/D=28の同方向二軸押し出し機を用い、(A)脂肪族ポリエステル、(B)グラフト共重合体等、各成分を溶融混練し、脂肪族ポリエステル樹脂組成物ペレットを得た。
(2)射出成型機:
上記ペレットを用いて、射出成型法によりアイゾット衝撃強度評価用サンプルを成形した。
(3)アイゾット衝撃強度:
ASTM D256に準拠して、23℃におけるアイゾット衝撃強度を評価した。
(4)耐応力白化性:
厚さ1mmのシートを成形した。デュポン式衝撃強度測定装置を用い、先端径1cmの撃芯を、200g荷重で50cmの高さから落錘してシートを変形させ、変形部分の白化度を、A(良)〜C(不良)、D(破断)の四段階で目視評価した。
(5)耐熱性:
ASTM D648に準じて、12.7mm×6.4mm×127mmの試験片の熱変形温度(荷重0.45MPa)を測定した。
(6)加工性:
各成分を配合、予備混合し、関西ロール製8インチ加熱ロールにて溶融混練することにより、約1mmのシートを作製し、○(良)、△(やや不良)、×(不良)で評価した。
ASTM D256に準拠して、23℃におけるアイゾット衝撃強度を評価した。
(4)耐応力白化性:
厚さ1mmのシートを成形した。デュポン式衝撃強度測定装置を用い、先端径1cmの撃芯を、200g荷重で50cmの高さから落錘してシートを変形させ、変形部分の白化度を、A(良)〜C(不良)、D(破断)の四段階で目視評価した。
(5)耐熱性:
ASTM D648に準じて、12.7mm×6.4mm×127mmの試験片の熱変形温度(荷重0.45MPa)を測定した。
(6)加工性:
各成分を配合、予備混合し、関西ロール製8インチ加熱ロールにて溶融混練することにより、約1mmのシートを作製し、○(良)、△(やや不良)、×(不良)で評価した。
(7)ラテックスの質量平均粒子径の測定:
得られたラテックスを蒸留水で希釈したものを試料として、米国MATEC社製CHDF2000型粒度分布計を用いて測定した。測定条件は、MATEC社が推奨する標準条件で行った。専用の粒子分離用キャピラリー式カートリッジおよびキャリア液を用い、液性を中性、流速を1.4mL/min、圧力を28MPa、温度を35℃に保った状態で、濃度3%の希釈ラテックス試料0.1mLを測定に用いた。標準粒子径物質として、米国DUKE社製の粒子径既知の単分散ポリスチレンを、0.03μmから0.8μmの範囲内で合計12点を用いた。
得られたラテックスを蒸留水で希釈したものを試料として、米国MATEC社製CHDF2000型粒度分布計を用いて測定した。測定条件は、MATEC社が推奨する標準条件で行った。専用の粒子分離用キャピラリー式カートリッジおよびキャリア液を用い、液性を中性、流速を1.4mL/min、圧力を28MPa、温度を35℃に保った状態で、濃度3%の希釈ラテックス試料0.1mLを測定に用いた。標準粒子径物質として、米国DUKE社製の粒子径既知の単分散ポリスチレンを、0.03μmから0.8μmの範囲内で合計12点を用いた。
[製造例1]
グラフト共重合体(B−1)の製造:
テトラエトキシシラン2部、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン0.5部およびオクタメチルシクロテトラシロキサン97.5部を混合し、シロキサン混合物100部を得た。ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムおよびドデシルベンゼンスルホン酸をそれぞれ0.67部溶解させた蒸留水200部に、シロキサン混合物100部を加え、ホモミキサーにて10,000rpmで予備攪拌した後、ホモジナイザーにより200kg/cm2 の圧力で乳化、分散させ、オルガノシロキサンエマルジョンを得た。これをコンデンサーおよび攪拌翼を備えたセパラブルフラスコに移し、混合攪拌しながら85℃で4時間加熱した後、20℃で放置し、6時間後に水酸化ナトリウム水溶液でこのエマルジョンのpHを7.0にして、重合を完結し、ポリオルガノシロキサンのラテックスを得た。得られたポリオルガノシロキサンの重合率は89.1%であり、ポリオルガノシロキサンの質量平均粒子径は0.19μmであった。
グラフト共重合体(B−1)の製造:
テトラエトキシシラン2部、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン0.5部およびオクタメチルシクロテトラシロキサン97.5部を混合し、シロキサン混合物100部を得た。ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムおよびドデシルベンゼンスルホン酸をそれぞれ0.67部溶解させた蒸留水200部に、シロキサン混合物100部を加え、ホモミキサーにて10,000rpmで予備攪拌した後、ホモジナイザーにより200kg/cm2 の圧力で乳化、分散させ、オルガノシロキサンエマルジョンを得た。これをコンデンサーおよび攪拌翼を備えたセパラブルフラスコに移し、混合攪拌しながら85℃で4時間加熱した後、20℃で放置し、6時間後に水酸化ナトリウム水溶液でこのエマルジョンのpHを7.0にして、重合を完結し、ポリオルガノシロキサンのラテックスを得た。得られたポリオルガノシロキサンの重合率は89.1%であり、ポリオルガノシロキサンの質量平均粒子径は0.19μmであった。
このポリオルガノシロキサンのラテックスを固形分として7.0部採取し、攪拌機を備えたセパラブルフラスコに入れ、蒸留水208部を加え、窒素置換をしてから50℃に昇温し、アリルメタクリレートを1.5%含むn−ブチルアクリレート82.0部およびtert−ブチルヒドロペルオキシド0.33部の混合物を仕込み、30分間攪拌し、この混合物をポリオルガノシロキサンに浸透させた。ついで、硫酸第一鉄0.001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.003部、ロンガリット0.24部および蒸留水10部の混合物を仕込み、ラジカル重合を開始させ、その後内温70℃で1時間保持し重合を完了して複合ゴムのラテックスを得た。このラテックスを一部採取し、複合ゴムの質量平均粒子径を測定したところ0.25μmであった。
この複合ゴムのラテックス中に、メチルメタクリレート10.9部、n−ブチルアクリレート0.1部およびtert−ブチルヒドロペルオキシド0.05部の混合物を、60℃にて30分間にわたり滴下し、その後、70℃で1時間保持し、複合ゴムへのグラフト重合を完了した。グラフト共重合体(B−1)の質量平均粒子径は0.27μmであった。45℃の1.5%硫酸アルミニウム水溶液100部に対し、得られたグラフト共重合体(B−1)のラテックス100部(固形分として約30%)を添加し、その後、90℃まで昇温して凝固し、水により洗浄を繰り返した後、固形分を分離して80℃で24時間乾燥し、グラフト共重合体(B−1)の粉体を得た。
[製造例2〜5]
グラフト共重合体(B−2)、(B−3)、(B’−4)、(B’−5)の製造:
製造例1において、ポリオルガノシロキサンおよびn−ブチルアクリレートの量を表1に示すように変更した以外は、製造例1と同様の方法にて、グラフト共重合体(B−2)、(B−3)、(B’−4)、(B’−5)を得た。
グラフト共重合体(B−2)、(B−3)、(B’−4)、(B’−5)の製造:
製造例1において、ポリオルガノシロキサンおよびn−ブチルアクリレートの量を表1に示すように変更した以外は、製造例1と同様の方法にて、グラフト共重合体(B−2)、(B−3)、(B’−4)、(B’−5)を得た。
[製造例6]
グラフト共重合体(B−6)の製造:
製造例1において、複合ゴムの製造後に、カルボキシル基含有共重合体(n−ブチルアクリレート/メタクリル酸=85/15)を固形分として2部添加した以外は、同様の方法にて、グラフト共重合体(B−6)を得た。
グラフト共重合体(B−6)の製造:
製造例1において、複合ゴムの製造後に、カルボキシル基含有共重合体(n−ブチルアクリレート/メタクリル酸=85/15)を固形分として2部添加した以外は、同様の方法にて、グラフト共重合体(B−6)を得た。
(各成分)
(A)脂肪族ポリエステル:
A−1:三井化学(株)製、ポリ乳酸、レイシアH100。
(B)グラフト共重合体:
上記で製造したグラフト共重合体(B−1)〜(B−3)、(B’−4)、(B’−5)、(B−6)。
(C)強化材:
C−1:マイカ(山口雲母工業所社製、21PU、平均粒子径6μm)。
C−2:タルク(富士タルク社製、LMS100、平均粒子径2μm)。
C−3:タルク(富士タルク社製、NK−48、平均粒子径12μm)。
C−4:カオリン(エンゲルハルド社製、トランスリンク445、平均粒子径2μm)。
C−5:クレイ(サザンクレイ社製、クロイサイト30B)。
(A)脂肪族ポリエステル:
A−1:三井化学(株)製、ポリ乳酸、レイシアH100。
(B)グラフト共重合体:
上記で製造したグラフト共重合体(B−1)〜(B−3)、(B’−4)、(B’−5)、(B−6)。
(C)強化材:
C−1:マイカ(山口雲母工業所社製、21PU、平均粒子径6μm)。
C−2:タルク(富士タルク社製、LMS100、平均粒子径2μm)。
C−3:タルク(富士タルク社製、NK−48、平均粒子径12μm)。
C−4:カオリン(エンゲルハルド社製、トランスリンク445、平均粒子径2μm)。
C−5:クレイ(サザンクレイ社製、クロイサイト30B)。
[実施例1〜4、比較例1〜3]
表2に示す配合量で(A)脂肪族ポリエステル、および(B)グラフト共重合体をドライブレンドした後、樹脂温度を200℃に設定した30mmφ二軸スクリュー押出機を使用して溶融混合ペレタイズを行った。
得られたペレットを、220℃に設定した射出成形機を用い、金型温度40℃で成形して、サンプルを得た。
各サンプルの物性評価結果を表2に示す。
表2に示す配合量で(A)脂肪族ポリエステル、および(B)グラフト共重合体をドライブレンドした後、樹脂温度を200℃に設定した30mmφ二軸スクリュー押出機を使用して溶融混合ペレタイズを行った。
得られたペレットを、220℃に設定した射出成形機を用い、金型温度40℃で成形して、サンプルを得た。
各サンプルの物性評価結果を表2に示す。
表2に示すように、実施例1〜4の脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、耐衝撃性、耐応力白化性、および加工性に優れている。一方、比較例1〜3の脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、耐衝撃性、耐応力白化性、および加工性が不十分である。
[実施例5〜9、比較例4]
表3に示す配合量で(A)脂肪族ポリエステル、(B)グラフト共重合体、(C)強化材をドライブレンドした後、230℃に設定した30mmφ二軸スクリュー押出機を使用して溶融混合ペレタイズを行った。
得られたペレットを、230℃に設定した射出成形機を用い、金型温度80℃で成形して、サンプルを得た。
各サンプルの物性評価結果を表3に示す。
表3に示す配合量で(A)脂肪族ポリエステル、(B)グラフト共重合体、(C)強化材をドライブレンドした後、230℃に設定した30mmφ二軸スクリュー押出機を使用して溶融混合ペレタイズを行った。
得られたペレットを、230℃に設定した射出成形機を用い、金型温度80℃で成形して、サンプルを得た。
各サンプルの物性評価結果を表3に示す。
実施例5〜9の脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、耐衝撃性、耐応力白化性、および耐熱性に優れている。一方、比較例4の脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、耐衝撃性が不十分である。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、耐衝撃性、耐応力白化性、および加工性に優れており、これからなる成形品は、電気・電子部品(各種ハウジング、歯車、ギア等)、建築部材、土木部材、農業資材、自動車部品(内装・外装部品等)、日用品等の各種用途に利用することができる。
Claims (3)
- (A)脂肪族ポリエステルと、
(B)ポリオルガノシロキサンとポリアルキル(メタ)アクリレートゴムとを含む複合ゴムに、ビニル系単量体をグラフト重合して得られたグラフト共重合体とを含有し、
複合ゴム(100質量%)中のポリオルガノシロキサンの含有量が、0.1〜10質量%であることを特徴とする脂肪族ポリエステル樹脂組成物。 - さらに強化材を含有する請求項1記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
- 請求項1または請求項2記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物を成形してなる成形品。
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