JP2017197667A - 樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents

樹脂組成物及びその成形品 Download PDF

Info

Publication number
JP2017197667A
JP2017197667A JP2016089984A JP2016089984A JP2017197667A JP 2017197667 A JP2017197667 A JP 2017197667A JP 2016089984 A JP2016089984 A JP 2016089984A JP 2016089984 A JP2016089984 A JP 2016089984A JP 2017197667 A JP2017197667 A JP 2017197667A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
polymer
graft copolymer
parts
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016089984A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6693254B2 (ja
Inventor
健二 八木
Kenji Yagi
健二 八木
光史 野殿
Mitsufumi Nodono
光史 野殿
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Chemical Group Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Chemical Holdings Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp, Mitsubishi Chemical Holdings Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2016089984A priority Critical patent/JP6693254B2/ja
Publication of JP2017197667A publication Critical patent/JP2017197667A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6693254B2 publication Critical patent/JP6693254B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】耐候性に優れ、折り曲げ白化の少ない成形品を提供する。【解決手段】ポリ乳酸系重合体(A)1〜100質量%及びメチルメタクリレート単量体単位を含有するアクリル系重合体(B)0〜99質量%の合計100質量部に対し、グラフト共重合体(C)を1〜50質量部含有する樹脂組成物であって、前記グラフト共重合体(C)が、アクリルゴム又はポリオルガノシロキサン/アクリルゴムであるゴム質重合体(C1)にビニル単量体(c2)をグラフト重合してなるものであり、前記グラフト共重合体(C)の質量平均粒子径が10〜120nmであり、前記グラフト共重合体(C)の屈折率Rcと、前記ポリ乳酸系重合体(A)及び前記アクリル系重合体(B)の合計屈折率Rabとが以下の式(1)を満足する、樹脂組成物。−0.03≦Rc−Rab≦+0.03 ・・・式(1)【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリ乳酸系重合体を含む樹脂組成物及びその成形品に関する。
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニル等からなるプラスチック製品の使用量は、現在、膨大な量となっており、これらの廃棄物処理が環境問題の一つとしてクローズアップされてきている。すなわち、現状の廃棄物処理は、焼却処分や埋設処理であるが、例えば、ポリエチレン等を焼却処分すると、その燃焼カロリーが高いため、焼却炉を傷め寿命を縮める原因となる。また、ポリ塩化ビニル等を焼却処分すると、有害ガスが発生する。
一方、プラスチック製品を埋設処理するには土地も限られている。また、自然環境中に廃棄された場合、これらプラスチックは、化学的安定性が極めて高いため、微生物などによる分解がほとんど起こらず、ほぼ半永久的に残存することになる。そのため、景観を損なう原因となったり、生物の生活環境を汚染するなどの問題が引き起こされている。
この様な状況下、近年では生分解性又は自然環境下で分解するプラスチックが注目されてきている。生分解性プラスチックは、土壌中や水中で、加水分解や生分解により、徐々に崩壊・分解が進行し、最終的に微生物の作用により無害な分解物となることが知られている。現在、実用化が検討されている生分解性プラスチックは、天然素材系のバイオセルロースや澱粉主体のプラスチック、脂肪族ポリエステル、変性PVA(ポリビニルアルコール)、セルロースエステル化合物、デンプン変性体、及びこれらのブレンド体に大別される。これら生分解性プラスチックの中で、加工性、コスト、機械特性、耐水性等の点で比較的バランスがとれていて、様々な用途に使いやすいものとしては、脂肪族ポリエステルが挙げられる。
脂肪族ポリエステルとしては、例えば、微生物産出系重合体としてポリ(ヒドロキシ酪酸/吉草酸)が知られており、合成系重合体としてポリカプロラクトンや、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールの縮合体が、半合成系重合体としてポリ乳酸系重合体が知られている。
ポリ乳酸系重合体は、非石油系原料、さつまいも、トウモロコシなどの原料を使用して合成されていることから、石油資源を使用しない植物系由来のプラスチックとして注目されており、これまで石油系プラスチックを使用していた用途においてポリ乳酸系重合体へ置き換えの動きが盛んである。
ポリ乳酸系重合体は、その透明性を生かしてフィルムやシート用途に使用されている。しかしながら、ポリ乳酸系重合体単体は強度が低く、フィルムやシートとして使用した際に十分な強度が得られないという課題がある。これを改善する方法として、特許文献1では、ポリ乳酸系重合体に対して、グラフト共重合体を添加する方法が開示されている。また、ポリ乳酸系重合体の持つ優れた透明性を生かしつつ強度を改善する方法としては、ポリ乳酸系重合体に対して特定の屈折率を有するグラフト共重合体を添加する方法が提案されている。(特許文献2〜3参照)
特開2003−2086396号公報 国際公開第05/123831号パンフレット 国際公開第05/085352号パンフレット
しかしながら、特許文献1で提案されている方法では強度を、特許文献2、3で提案されている方法では、ポリ乳酸系重合体の透明性を生かしつつ強度を改善することはできるが、得られたフィルムやシートを屈曲した際に屈曲部位が白化してしまう(以下、折り曲げ白化と呼ぶ)という課題を有する。また、グラフト共重合体に使用するゴム質重合体の種類によっては耐候性が不十分となり、屋外や日光が当たる場所で使用した場合に黄変が起こってしまう。そのため、低折り曲げ白化性や耐候性が要求される用途には不向きであった。
本発明の目的は、耐候性に優れ、折り曲げ白化の少ない成形品を提供することにある。
即ち、本発明の樹脂組成物の要旨は、以下の通りである。
[1]ポリ乳酸系重合体(A)1〜100質量%及びメチルメタクリレート単量体単位を含有するアクリル系重合体(B)0〜99質量%の合計100質量部に対し、グラフト共重合体(C)を1〜50質量部含有する樹脂組成物であって、
前記グラフト共重合体(C)が、アクリルゴム又はポリオルガノシロキサン/アクリルゴムであるゴム質重合体(C1)にビニル単量体(c2)をグラフト重合してなるものであり、前記グラフト共重合体(C)の質量平均粒子径が10〜120nmであり、前記グラフト共重合体(C)の屈折率Rcと、前記ポリ乳酸系重合体(A)及び前記アクリル系重合体(B)の合計屈折率Rabとが以下の式(1)を満足する、樹脂組成物。
−0.03≦Rc−Rab≦+0.03 ・・・式(1)
[2]前記グラフト共重合体(C)の質量平均粒子径が、10〜100nmである[1]に記載の樹脂組成物。
[3]前記ゴム質重合体(C1)を構成する単量体の合計100質量%中、架橋性単量体の含有量が0.3〜10質量%である[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4]前記ゴム質重合体(C1)を構成する単量体の合計100質量%中、架橋性単量体の含有量が、1〜10質量%である[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[5]前記ゴム質重合体(C1)を構成する単量体の合計100質量%中、架橋性単量体の含有量が、2〜10質量%である[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[6][1]〜[5]のいずれか1に記載の樹脂組成物を成形してなる成形品。
本発明の樹脂組成物によれば、耐候性に優れ、折り曲げ白化の少ない成形品を提供することができ、特に、シート・フィルムを折り曲げ成形やブロー成形、真空成形する場合において、外観の良好な成形品を容易に得ることができる。このような成形品は、これらの物性が要求される建材、自動車、玩具、文房具などの雑貨、OA機器、家電機器、さらにはパッケージ、自動販売機やパチンコなどの面板といった用途に特に好適に用いられる。
本発明の折り曲げ白化性評価の一実施形態を示す模式的断面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の樹脂組成物は、
ポリ乳酸系重合体(A)1〜100質量%及びメチルメタクリレート単量体単位を含有するアクリル系重合体(B)0〜99質量%の合計100質量部に対し、グラフト共重合体(C)を1〜50質量部含有する樹脂組成物であって、
前記グラフト共重合体(C)が、アクリルゴム又はポリオルガノシロキサン/アクリルゴムであるゴム質重合体(C1)にビニル単量体(c2)をグラフト重合してなるものであり、前記グラフト共重合体(C)の質量平均粒子径が10〜120nmであり、前記グラフト共重合体(C)の屈折率Rcと、前記ポリ乳酸系重合体(A)及び前記アクリル系重合体(B)の合計屈折率Rabとが以下の式(1)を満足する。
−0.03≦Rc−Rab≦+0.03 ・・・式(1)
グラフト共重合体(C)の質量平均粒子径は、キャピラリー式粒度分布計により測定することができる。
グラフト共重合体(C)の屈折率Rcは、アッベ屈折率計により測定することができる。
ポリ乳酸系重合体(A)とアクリル系重合体(B)の合計屈折率Rabとは、予め樹脂組成物を構成するポリ乳酸系重合体とアクリル系重合体をその使用比率で混合し、アッベ屈折率計によりその屈折率を測定して得られた値をいう。
グラフト共重合体(C)を上記所定のものとすることにより、透明性が高く、強度、耐候性に優れ、折り曲げ白化の少ない成形品を与える樹脂組成物を得ることができる。
<ポリ乳酸系重合体(A)>
本発明に使用するポリ乳酸系重合体(A)としては、ポリ乳酸又は乳酸モノマーと他の成分との共重合により得られる乳酸コポリマーを使用することができる。また、これらの重合体の混合物を使用することもできる。
ポリ乳酸は、従来公知の方法で合成することができる。例えば、特開平7−33861号公報、特開昭59−96123号公報、高分子討論会予稿集44巻第3198−3199頁に記載されるような乳酸からの直接脱水縮合、又は乳酸環状二量体ラクチドの開環重合によって合成することができる。
直接脱水縮合を行う場合、L−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸、又はこれらの混合物のいずれの乳酸を用いてもよい。また、開環重合を行う場合においては、L−ラクチド、D−ラクチド、DL−ラクチド、メソ−ラクチド、又はこれらの混合物のいずれのラクチドを用いてもよい。
ラクチドの合成、精製及び重合操作については、例えば、米国特許4057537号公報、公開欧州特許出願第261572号公報、Polymer Bulletin,14,491〜495(1985)、及びMakromol CheAG−187,1611−1628(1986)等の様々な文献に記載されている。
ポリ乳酸におけるL−乳酸単位及びD−乳酸単位の構成モル比(L/D)は、100/0〜0/100のいずれであってもよい。L/Dは、好ましくは100/0〜60/40であり、より好ましくは100/0〜80/20である。
乳酸コポリマーは、乳酸モノマー又はラクチドと、これらと共重合可能な他の成分とが共重合したものである。共重合可能な他の成分としては、2個以上のエステル結合形成性の官能基を持つジカルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン等が挙げられる。ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等が挙げられる。
前記多価アルコールとしては、例えば、ビスフェノールにエチレンオキシドを付加反応させたものなどの芳香族多価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、グリセリン、ソルビタン、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族多価アルコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのエーテルグリコール等が挙げられる。
前記ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、グリコール酸、ヒドロキシブチルカルボン酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、その他特開平6−184417号公報に記載されているもの等が挙げられる。
ラクトンとしては、例えば、グリコリド、ε−カプロラクトングリコリド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−ブチロラクトン、β−又はγ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、δ−バレロラクトン等が挙げられる。
乳酸コポリマーの生分解性は、コポリマーにおける乳酸単位の含量により影響される。このため、乳酸コポリマー中の乳酸単位の含有量は、用いる共重合成分にもよるが、好ましくは50モル%以上であり、さらに好ましくは70モル%以上とするのがよい。乳酸単位の含有量や共重合成分によって、得られる製品の機械特性や生分解性を向上させることができる。
ポリ乳酸系重合体(A)は、特に限定されないが、結晶性のものの場合、通常は融点が60〜200℃、質量平均分子量が5万〜50万のものが好ましく用いられる。質量平均分子量は、10万〜30万のものがより好ましく用いられる。
また、共重合体を使用する場合と同じ効果を得る目的で、ポリ乳酸と、他の脂肪族ポリエステルとを単にブレンドしてもよい。この場合において、ブレンド物に含まれるポリ乳酸の含有量等は、モル換算で50モル%以上が好ましく、さらに好ましくは70モル%以上とするのがよい。
ポリ乳酸系重合体(A)としては、市販されているものを使用でき、例えば、ネイチャーワークスLLC社製インジオバイオポリマー「2003D」、「4032D」、「4043D」などが挙げられる。
<アクリル系重合体(B)>
アクリル系重合体(B)は、メチルメタクリレート単量体単位を含有する重合体であり、メチルメタクリレートの単独重合体、若しくはメチルメタクリレートとこれと共重合可能な単量体との共重合体を使用することができる。共重合体を使用する場合、メチルメタクリレート単量体単位を50質量%以上、好ましくは70質量%以上含有する共重合体を使用することが好ましい。
メチルメタクリレートと共重合可能な他の単量体としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレートなどのアルキルアクリレート;エチルメタクリレート、ブチルメタクリレートなどの他のアルキルメタクリレート;スチレン等の芳香族ビニル単量体;アクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体;シクロヘキシルマレイミドやフェニルマレイミド、マレイン酸無水物、グルタル酸無水物を使用することもできる。
前述した単量体のうち、高い透明性と耐熱性の観点から、メチルメタクリレートとメチルアクリレートの共重合体を使用することが好ましい。
アクリル系重合体(B)の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の懸濁重合、塊状重合、乳化重合法等の各種方法が適用される。アクリル系重合体(B)の分子量は、特に限定されるものではないが、質量平均分子量4万〜30万が好ましい。
アクリル系重合体(B)としては、市販されているものが使用でき、例えば、三菱レイヨン株式会社製アクリペット「VH」、「MF」、「MD」、「UT−100」などが挙げられる。
また、フェニルマレイミドが共重合されているアクリル系重合体(B)としては、例えば、三菱レイヨン株式会社製PMIレジン「P35S」「P60S」などが挙げられる。
<グラフト共重合体(C)>
本発明におけるグラフト共重合体(C)は、アクリルゴム又はポリオルガノシロキサン/アクリルゴムであるゴム質重合体(C1)にビニル単量体(c2)をグラフト重合してなるものである。
<ゴム質重合体(C1)>
本発明のグラフト共重合体に用いられるゴム質重合体は、アクリルゴム又はポリオルガノシロキサン/アクリルゴムである。ゴム質重合体としてこれらのゴムを用いることで、耐候性に優れたグラフト共重合体を得ることができ、屋外や日光が当たる場所で使用しても黄変が起こらない。
(アクリルゴム)
本発明のアクリルゴムは、アルキル(メタ)アクリレートを重合して得られるゴムである。アクリルゴムは、アルキル(メタ)アクリレート、必要に応じて架橋剤(CI)、及び必要に応じグラフト交叉剤(GI)を重合することにより得られる。
アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、特に制限されないが、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、トリデシルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、メトキシトリプロピレングリコールアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併用して用いることができる。強度発現性の面で好ましいことから、アルキル(メタ)アクリレートとしては、特にn−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、トリデシルアクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等が好ましい。アルキル(メタ)アクリレートの使用量は、アクリルゴムを構成する全単量体100質量%中、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。
架橋剤(CI)としては、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、多官能メタクリル基変性シリコーン等が挙げられる。架橋剤(CI)の使用量は、アクリルゴムを構成する全単量体100質量%中、0〜10質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましく、2〜10質量%であることがさらに好ましい。
グラフト交叉剤(GI)としては、アリル基単独又はアリル基と(メタ)アクリロイル基を有する2官能以上の単量体を用いることができ、このような単量体としては、例えば、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。これらのグラフト交叉剤(GI)は、架橋剤としても機能する。グラフト交叉剤(GI)の使用量はアクリルゴムを構成する全単量体100質量%中、0〜10質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましく、2〜10質量%であることがさらに好ましい。
架橋剤(CI)並びにグラフト交叉剤(GI)は、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
アクリルゴムの調整時には、グラフト共重合体(C)の屈折率を調整する目的で、さらに芳香族ビニル単量体を併用してもよい。
芳香族ビニル単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。芳香族ビニル単量体の使用量は、アクリルゴムを構成する全単量体100質量%中、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
アクリルゴムは0℃以下のガラス転移温度をもつ重合体であることが強度発現性の面で好ましい。ここで、アクリル系ゴムのガラス転移温度は、動的機械的特性解析装置(DMA)によるTanδの転移点として測定される。
アクリルゴムの製造方法としては、特に限定はされないが、公知の乳化重合法によって重合することができる。
<ポリオルガノシロキサン/アクリルゴム>
ポリオルガノシロキサン/アクリルゴムは、オルガノシロキサンを重合して得られるポリオルガノシロキサンゴムと前述のアクリルゴムからなるゴムである。ポリオルガノシロキサンゴムは、オルガノシロキサン、必要に応じ架橋剤(CII)、及び必要に応じグラフト交叉剤(GII)を重合することにより得られる。
オルガノシロキサンとしては、3員環以上の各種の環状体が挙げられ、例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。中でも、好ましく用いられるのは3〜6員環のものである。これらは単独で又は2種以上を混合して用いられる。オルガノシロキサンの使用量は、ポリオルガノシロキサンゴムを構成する全単量体100質量%中、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
架橋剤(CII)としては、3官能性又は4官能性のシラン系架橋剤、例えば、トリメトキシメチルシラン、トリエトキシフェニルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。特に、4官能性の架橋剤が好ましく、この中でもテトラエトキシシランが特に好ましい。架橋剤(CII)の使用量は、ポリオルガノシロキサンゴムを構成する全単量体100質量%中、0〜10質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましく、2〜10質量%であることがさらに好ましい。
グラフト交叉剤(GII)としては、次式で表される単位を形成し得る化合物等が挙げられる。
CH =C(R)−COO−(CH −SiR (3−n)/2 (GII−1)
CH =C(R)−C −SiR (3−n)/2 (GII−2)
CH =CH−SiR (3−n)/2 (GII−3)
HS−(CH−SiR (3−n)/2 (GII−4)
(式中、R は、メチル基、エチル基、プロピル基、又はフェニル基であり、Rは水素原子又はメチル基であり、nは0、1又は2であり、pは1〜6の数を示す。)
上記式(GII−1)の単位を形成し得る化合物としては、メタクリロイルオキシシロキサンが特に好ましい。メタクリロイルオキシシロキサンの具体例としては、β−メタクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシブチルジエトキシメチルシラン等が挙げられる。
上記式(GII−2)の単位を形成し得る化合物としては、p−ビニルフェニルジメトキシメチルシランが挙げられる。
上記式(GII−3)の単位を形成し得る化合物としては、ビニルシロキサンが挙げられ、具体例としては、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサンが挙げられる。
上記式(GII−4)の単位を形成し得る化合物としては、γ−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メルカプトプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メルカプトプロピルジエトキシメチルシラン等が挙げられる。
グラフト交叉剤(GII)の使用量は、ポリオルガノシロキサンゴムを構成する全単量体100質量%中、0〜10質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましい。
ポリオルガノシロキサンゴムの製造方法としては、特に限定はされないが、乳化重合によって重合することが好ましい。
ポリオルガノシロキサン成分のラテックスの製造は、例えば、米国特許第2,891,920号公報、米国特許第3,294,725号公報等に記載された方法を用いることができる。本発明においては、例えば、オルガノシロキサン、架橋剤(CII)及び所望によりグラフト交叉剤(GII)の混合溶液を、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸等のスルホン酸系乳化剤の存在下で、例えばホモジナイザー等を用いて水と剪断混合する方法により製造することが好ましい。アルキルベンゼンスルホン酸はオルガノシロキサンの乳化剤として作用すると同時に重合開始剤ともなるので好適である。この際、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩、アルキルスルホン酸金属塩等を併用するとグラフト重合を行う際にポリマーを安定に維持するのに効果があるので好ましい。
ポリオルガノシロキサン/アクリルゴムにおけるアクリルゴムとしては、前述のアクリルゴムを用いることができる。
ポリオルガノシロキサン/アクリルゴム中の各ゴム成分の比率は、透明性や強度の観点からポリオルガノシロキサンゴムが1〜70質量%、アクリルゴムが99〜30質量%(両成分の合計量は100質量%)の範囲内にあることが好ましい。
ポリオルガノシロキサン/アクリル系複合ゴムは、トルエンにより90℃で4時間抽出して測定したゲル含量が80質量%以上であることが強度発現の観点から好ましい。
ポリオルガノシロキサン/アクリルゴムの製造方法としては、特に限定はされないが、乳化重合によってまずポリオルガノシロキサンゴムのラテックスを調製し、次にアクリルゴムを構成する単量体をポリオルガノシロキサンゴムラテックスの粒子に含浸させてからこれを重合する方法が好ましい。
<架橋性単量体の含有量>
ゴム質重合体(C1)中に含まれる架橋性単量体の含有量は、樹脂組成物の強度と折り曲げ白化性の双方に影響を及ぼす。ここで、架橋性単量体とは、架橋剤(CI、CII)及びグラフト交叉剤(GI)を指す。
これら架橋性単量体の合計の使用量は、ゴム質重合体(C1)を構成する単量体の合計100質量%中、0.3〜10質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましく、2〜10質量%であることがさらに好ましい。架橋性単量体の合計の使用量をこの範囲とすることで、強度を維持しつつ折り曲げ白化を効果的に抑制することができる。
<グラフト>
以上で説明したゴム質重合体(C1)の存在下に、ビニル単量体(c2)をグラフト重合させることにより、グラフト共重合体(C)を得ることができる。
ビニル単量体(c2)は、特に制限されない。その具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル単量体;メチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のメタクリル酸エステル;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物等の各種のビニル単量体が挙げられる。これらビニル単量体は、1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
ビニル単量体は、強度、耐熱性の点から、架橋性単量体を含んでいてもよい。その具体例としては、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、多官能メタクリル基変性シリコーン等、架橋剤として機能する単量体;アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。
グラフト重合には、一般的な滴下重合を用いることができる。また、1段、もしくは多段での重合が可能である。
<グラフト共重合体(C)>
グラフト共重合体におけるゴム質重合体(C1)とグラフトの比率は、両者の合計100質量部を基準として、ゴム質重合体の量が60〜99質量部であることが好ましく、70〜95質量部であることがより好ましい。また、グラフトの量が1〜40質量部であることが好ましく、5〜30質量部であることがより好ましい。グラフト部の量が1質量部以上であれば、得られるグラフト共重合体の樹脂組成物中での分散性が良好となり、樹脂組成物の加工性が向上する。一方、グラフト部の量が40質量部以下であれば、グラフト共重合体の強度発現性が向上する。
グラフト共重合体(C)の粒子径は、強度、透明性、折り曲げ白化性に影響を及ぼす。強度、透明性を維持しつつ、折り曲げ白化を抑制するため、グラフト共重合体(C)の質量平均粒子径は10〜120nmであり、10〜100nmとすることが好ましく、50〜100nmとすることがより好ましい。
グラフト共重合体(C)の質量平均粒子径を所望の範囲に調整する方法としては、ゴム質重合体(C1)の製造時に使用する乳化剤の量を調整する方法が挙げられる。
グラフト共重合体(C)は通常ラテックスとして得られる。このラテックスとして得られたグラフト共重合体は、噴霧回収、又は酸、塩等の凝析剤による湿式凝固により、粉体又は顆粒として回収することが好ましい。ただし、官能基を含む場合には、酸による湿式凝固は好ましくない。酸を用いた場合には、官能基が失活したり、官能基に悪影響を及ぼす場合があるからである。また、塩類を用いた湿式凝固を行う場合は、アルカリ土類金属塩、例えば酢酸カルシウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム等を用いることが好ましい。アルカリ土類金属を用いれば、水分及び熱によるマトリクス樹脂の分解等の劣化を極力抑制することができる。マトリクス樹脂の劣化が抑制できれば、樹脂組成物からなる成形品の耐湿熱性が向上する。耐湿熱性は、成形品の強度発現性に影響し、成形品のリサイクル性に大きな影響を与える。
さらに、リサイクル性を考慮した回収法としては、凝析剤用の塩類そのものを含まない噴霧回収法が有効である。噴霧回収する際には、グラフト共重合体以外に、フィラー類、あるいはその他の重合体を同時に共噴霧し、両者が合わさった粉体として回収することができる。共噴霧するものの種類を選ぶことにより、粉体性状のより好ましい取り扱い性を実現することもできる。共噴霧する成分としてはカルシウム成分をはじめ、シリカ、硬質ビニル系共重合体等が挙げられる。
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、ポリ乳酸系重合体(A)1〜100質量%及びメチルメタクリレート単量体単位を含有するアクリル系重合体(B)0〜99質量%の合計100質量部に対し、グラフト共重合体(C)を1〜50質量部含有する。
ポリ乳酸系重合体(A)とアクリル系重合体(B)との組成比は、前記の範囲内で任意に調整することができる。例えば、環境負荷低減への要求が高い用途ではポリ乳酸系重合体(A)の量が多いほど好ましく、耐熱性への要求が高い用途ではアクリル系重合体(B)の量が多いほど好ましい。
グラフト共重合体(C)の配合量も前記の範囲内で任意に調整することができるが、環境負荷を低減するという観点からは、1〜30質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましく、1〜15質量部がさらに好ましい。
グラフト共重合体(C)の屈折率Rcと、ポリ乳酸系重合体(A)とアクリル系重合体(B)の合計屈折率Rabの差であるRc−Rabは、樹脂組成物の透明性に影響を及ぼす。Rc−Rabの値は以下の式(1)を満足し、以下の式(2)を満足することがより好ましい。
−0.03≦Rc−Rab≦+0.03 ・・・式(1)
−0.025≦Rc−Rab≦+0.025 ・・・式(2)
グラフト共重合体(C)の屈折率Rcと、ポリ乳酸系重合体(A)とアクリル系重合体(B)の合計屈折率Rabとを所定範囲内とするためには以下の方法を用いる。
即ち、例えばアクリル系重合体(B)の含有量が多く、Rabが高い値を有する樹脂組成物に対しては、アクリルゴム及び、アクリルゴムの含有比率が高いポリオルガノシロキサン/アクリルゴムを用いて得られたグラフト共重合体を使用することが好ましい。この場合、アクリルゴムを重合する際に、より屈折率の高い芳香族ビニル単量体を共重合成分として含有させることにより、グラフト共重合体の屈折率Rcをさらに高くすることも可能である。
逆にRabが低い値を有する樹脂組成物に対しては、ポリオルガノシロキサンゴムの含有比率が高いポリオルガノシロキサン/アクリルゴムを用いて得られたグラフト共重合体を使用することが好ましい。さらに、ポリオルガノシロキサン/アクリルゴムにおけるアクリルゴムとして、アルキル鎖の長いアルキル(メタ)アクリレートを用いることにより、グラフト共重合体の屈折率Rcを低くすることもできる。また、アクリルゴムを用いて得られたグラフト共重合体を使用する場合には、アルキル鎖の長いアルキル(メタ)アクリレートを用いたアクリルゴムを用いることで、グラフト共重合体の屈折率Rcを低くすることができる。
さらに、ゴム質重合体にグラフト共重合するビニル系単量体の種類や量を調節することにより、グラフト共重合体(C)の屈折率Rcを調整することもできる。
本発明においては透明性を損なわない範囲で、さらにポリスチレン、HIPS、ABS、AS、MS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂等の他の熱可塑性樹脂を添加することができる。
これらの重合体の配合量は、ポリ乳酸系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)の合計100質量部に対して10質量部以下が好ましく、5質量部がさらに好ましいが、最も好ましいのは0質量部である。
本発明の樹脂組成物を調製する場合は、その物性を損なわない限りにおいて、熱可塑樹脂のコンパウンド時、混練時、成形時等の所望の段階で、従来より知られる各種難燃剤、安定剤等を添加できる。
本発明の樹脂組成物に使用できる難燃剤は、特に限定されないが、ハロゲン系難燃剤、リン酸系難燃剤、シリコーン系難燃剤を使用すると、強度等を損なうことなく、高い難燃性を発現することができるので好ましい。このような難燃剤としては、例えば、ハロゲン含有化合物、リン酸系化合物、シリコーン系化合物、ハロゲン含有有機金属塩系化合物等が挙げられる。
難燃剤の具体例としては、リン酸エステル化合物、亜リン酸エステル化合物、縮合リン酸エステル化合物等のリン酸系化合物;水酸化アルミニウム;三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等の酸アンチモン系化合物;含ハロゲンリン酸エステル化合物、含ハロゲン縮合リン酸エステル化合物、塩素化パラフィン、臭素化芳香族トリアジン、臭素化フェニルアルキルエーテル等の臭素化芳香族化合物等のハロゲン含有化合物;スルホンあるいは硫酸塩系化合物;エポキシ系反応型難燃剤;等が挙げられる。
難燃剤の配合量は、透明性の観点から、ポリ乳酸系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)の合計100質量部に対して10質量部以下が好ましく、5質量部がさらに好ましいが、最も好ましいのは0質量部である。
安定剤としては、金属系安定剤及びその他の安定剤が挙げられる。
金属系安定剤としては、例えば、三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、塩基性亜硫酸鉛、ケイ酸鉛等の鉛系安定剤;カリウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛、カドミウム、鉛等の金属と、2−エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、ベヘン酸等の脂肪酸から誘導される金属石けん系安定剤;アルキル基、エステル基等と、脂肪酸塩、マレイン酸塩、含硫化物等とから誘導される有機スズ系安定剤;Ba−Zn系、Ca−Zn系、Ba−Ca−Sn系、Ca−Mg−Sn系、Ca−Zn−Sn系、Pb−Sn系、Pb−Ba−Ca系等の複合金属石けん系安定剤;バリウム、亜鉛等の金属と、2−エチルヘキサン酸、イソデカン酸、トリアルキル酢酸等の分岐脂肪酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸等の不飽和脂肪酸、ナフテン酸等の脂肪環族酸、石炭酸、安息香酸、サリチル酸、それらの置換誘導体などの芳香族酸といった通常二種以上の有機酸とから誘導される金属塩系安定剤;これら安定剤を石油系炭化水素、アルコール、グリセリン誘導体等の有機溶剤に溶解し、さらに亜リン酸エステル、エポキシ化合物、発色防止剤、透明性改良剤、光安定剤、酸化防止剤、プレートアウト防止剤、滑剤等の安定化助剤を配合してなる金属塩液状安定剤等が挙げられる。
その他の安定剤としては、エポキシ樹脂、エポキシ化大豆油、エポキシ化植物油、エポキシ化脂肪酸アルキルエステルなどのエポキシ化合物;リンがアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アルコキシル基等で置換され、かつプロピレングリコール等の2価アルコール、ヒドロキノン、ビスフェノールA等の芳香族化合物を有する有機亜リン酸エステル;2,4−ジ−t−ブチル−3−ヒドロキシトルエン(BHT)や硫黄やメチレン基等で二量体化したビスフェノール等のヒンダードフェノール、サリチル酸エステル、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール等の紫外線吸収剤;ヒンダードアミン又はニッケル錯塩の光安定剤;カーボンブラック、ルチル型酸化チタン等の紫外線遮蔽剤;トリメロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール等の多価アルコール、β−アミノクロトン酸エステル、2−フェニルインドール、ジフェニルチオ尿素、ジシアンジアミドなどの含窒素化合物;ジアルキルチオジプロピオン酸エステルなどの含硫黄化合物;アセト酢酸エステル、デヒドロ酢酸、β−ジケトンなどのケト化合物;有機珪素化合物;ほう酸エステル;などが挙げられる。これら安定剤は、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
安定剤の使用量は、透明性の観点から、ポリ乳酸系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)の合計100質量部に対して5質量部以下が好ましく、2質量部がさらに好ましいが、最も好ましいのは0質量部である。
本発明の樹脂組成物には、その他、加工助剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、耐熱向上剤、離型剤、結晶核剤、流動性改良剤、着色剤、帯電防止剤、導電性付与剤、界面活性剤、防曇剤、抗菌剤等を添加することができる。
加工助剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体等が挙げられる。加工助剤の使用量は、透明性の観点から、ポリ乳酸系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)の合計100質量部に対して15質量部以下が好ましく、5質量部がさらに好ましいが、最も好ましいのは0質量部である。
可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジウンデシルフタレート、トリオクチルトリメリテート、トリイソオクチルトリメリテート等の芳香族多塩基酸のアルキルエステル;ジブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジシオノニルアジペート、ジブチルアゼレート、ジオクチルアゼレート、ジイソノニルアゼレート等の脂肪酸多塩基酸のアルキルエステル;トリクレジルフォスフェート等のリン酸エステル;アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸等の多価カルボン酸と、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール等の多価アルコールとの分子量600〜8,000程度の重縮合体の末端を、一価アルコール又は一価カルボン酸で封止した化合物等のポリエステル系可塑剤;エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化トール油脂肪酸−2−エチルヘキシル等のエポキシ系可塑剤;塩素化パラフィン等が挙げられる。可塑剤の使用量は、透明性の観点から、ポリ乳酸系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)の合計100質量部に対して30質量部以下が好ましく、10質量部がさらに好ましいが、最も好ましいのは0質量部である。
滑剤としては、例えば、流動パラフィン、低分子量ポリエチレン等の純炭化水素、ハロゲン化炭化水素、高級脂肪酸、オキシ脂肪酸等の脂肪酸、脂肪酸アミド、グリセリド等の脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸の脂肪アルコールエステル(エステルワックス)、金属石けん、脂肪アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール、脂肪酸と多価アルコールの部分エステル、脂肪酸とポリグリコール、ポリグリセロールの部分エステル等のエステル、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体等が挙げられる。耐熱向上剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体、イミド系共重合体、スチレン−アクリロニトリル系共重合体等が挙げられる。滑剤の使用量は、透明性の観点から、ポリ乳酸系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)の合計100質量部に対して5質量部以下が好ましく、1質量部がさらに好ましいが、最も好ましいのは0質量部である。
本発明の樹脂組成物を製造する方法は、特に制限されない。従来より知られる各種の混合方法を使用でき、通常は、溶融混合法が好ましい。また、必要に応じて少量の溶剤を使用してもよい。混合に使用する装置としては、押出機、バンバリーミキサー、ローラー、ニーダー等が挙げられる。これら装置は、回分的又は連続的に運転すればよい。成分の混合順は特に限定されない。
本発明の成形品は、前述した樹脂組成物を成形することにより得られる。成型方法は、特に限定されず、公知の成型方法のなかから本発明の樹脂組成物に適した方法を選択すればよい。例えば、押出機、射出成型機、ブロー成型機、インフレーション成型機、カレンダー成型機等の各種成型機を用いて成型する方法を挙げることができる。これらの内、特に高い透明性を付与する観点からは、押出機、射出成型機、ブロー成型機、カレンダー成型機により成形することが好ましい。また、上述の方法で一次成形した成形品を用い、折り曲げ成形やブロー成形などの二次加工を施してもよい。
このようにして得られた成形品は、例えば、建材、自動車、玩具、文房具などの雑貨、OA機器、家電機器、さらにはパッケージ、自動販売機やパチンコの面板などに利用できるが、強度、透明性、耐候性に優れ、折り曲げ白化が少なく、シート・フィルムを折り曲げ成形やブロー成形、真空成形する場合において外観の良好な成形品を容易に得ることができるため、特にパッケージ、自動販売機やパチンコなどの面板として好ましく用いられる。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
また、本実施例において「部」及び「%」は、特に断らない限り「質量部」及び「質量%」を意味する。
各種評価は以下の方法により行った。
(1)質量平均粒子径の測定
グラフト共重合体のラテックスを蒸留水で希釈したものを試料とし、米国MATEC社製、CHDF2000型粒度分布計を用いて測定した。測定条件は、MATEC社が推奨する標準条件とした。専用の粒子分離用キャピラリー式カートリッジ、及びキャリア液を用い、液性はほぼ中性、流速1.4ml/min、圧力を約4000psi、温度35℃ 、保った状態で、濃度約3%の希釈ラテックス試料0.1mlを測定に用いた。なお、標準粒子径物質として米国DUKE社製の粒子径既知の単分散ポリスチレンを0.02μmから0.8μmの範囲内で合計12点用いた。
(2)評価用試験片の作製
スリットダイを備えた異方向コニカル二軸押出機(ラボプラストミル、(株)東洋精機製作所製)を用い、ポリ乳酸系重合体(A)、アクリル系重合体(B)、グラフト共重合体(C)を所定の比率で溶融混練し、押出し成形により幅8mm、厚み0.7mmの帯状の樹脂組成物成形体を得た。
得られた帯状の樹脂組成物成形体を、はさみを用いて200mmの長さに切断することで評価用試験片とした。
(3)屈折率
・ポリ乳酸系重合体(A)とアクリル系重合体(B)の合計屈折率Rabの測定
ポリ乳酸系重合体(A)とアクリル系樹脂(B)のみで作製した樹脂組成物成形体を用い、加熱プレス法(190℃、予熱3分後に加圧5分、その後冷却2分)により厚さ約1mmの薄膜を作製した。得られた薄膜を用い、ASTM−D542に準じてアッベ屈折率計により測定した。接触液には塩化亜鉛飽和水溶液を用いた。
・グラフト共重合体(C)の屈折率Rcの測定
加熱プレス法(150℃、予熱5分後に加圧1分、その後冷却2分)により、グラフト共重合体(C)の粉体から厚さ約1mm薄膜を作製した。その薄膜を用い、ASTM−D542に準じて、アッベ屈折率計により屈折率を測定した。接触液には塩化亜鉛飽和水溶液を用いた。
(4)強度の評価
前記評価用試験片の切断部を目視により観察し、クラックの有無から評価を行った。
+: 切断部にクラックあり
−: 切断部にクラックなし
(5)透明性の評価
前記評価用試験片を用い、後述の比較例3で作製した試験片を『+』とし、これを基準に目視で評価を行った。
++: 透明性に優れる
+ : 比較例3と同等
− : 透明性に劣る
(6)折り曲げ白化性の評価
図1は、折り曲げ試験に用いた装置の模式図である。折り曲げ白化性は、図1の装置を用いて下記の方法により評価した。
評価用試験片100の両端を厚み3mmの金属製スペーサー101に固定し、常温でスペーサー101ごと750mm/minの速度でプレスすることにより、試験片100の中央部を一定の曲率と折り曲げ速度で折り曲げた。試験片100の屈曲部を伸ばした後、屈曲部の白化度合いを目視で観察し、後述の比較例3で作製した試験片を『−』とし、これを基準に評価を行った。
+++: 著しく白化が少ない
++: 白化が少ない
+: わずかに白化が少ない
−: 同等
また、屈曲部が破断したものについては『判定不能』とした。
(7)耐候性評価
JIS K7350−4に準拠して、サンシャインウェザーメーター(条件:63℃、50%、水噴霧時間 12分/60分)で前記評価用試験片を500時間暴露処理した。処理後の試験片と、処理を行っていない試験片の色調を目視で観察し、評価を行った。
+: 黄変なし
−: 黄変
(製造例1)アクリルゴムグラフト共重合体(M−1)の製造:
ブチルアクリレート75部と、アリルアクリレート0.38部(ブチルアクリレートに対して0.5%に相当する量)、ターシャリブチルハイドロパーオキサイド0.23部(ブチルアクリレートに対して0.3部に相当する量)を混合し、モノマー混合液(MM1)を得た。
コンデンサー及び撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、脱イオン水174部と、炭酸ナトリウム0.02部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.5部を仕込み、窒素置換及び混合撹拌しながら80℃まで加熱し、硫酸第一鉄0.8×10−4部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩2.3×10−4部、ロンガリット0.23部及び脱イオン水3部の混合液を投入し、10分間保持した。ここにモノマー混合液(MM1)の2.5%を一括で投入し、その後80℃で15分間保持することで1段目の重合を完了した。次いで、モノマー混合液(MM1)の97.5%を240分間にわたり滴下し、その後80℃で120分間保持することで2段目の重合を完了し、アクリルゴムのラテックスを得た。
前記アクリルゴムのラテックスに、ロンガリット0.05部及び脱イオン水0.6部の混合液を投入し、15分間保持した後、ターシャリブチルハイドロパーオキサイド0.04部と、メチルメタクリレート24.9部及びn−ブチルアクリレート0.1部との混合液を80℃にて90分間にわたり滴下し、その後80℃で60分間保持することでグラフト重合を完了し、アクリルゴムグラフト共重合体(M−1)のラテックスを得た。
グラフト共重合体(M−1)のラテックスに、0.5%酢酸カルシウム水溶液を添加して凝析させ、90℃で熱処理固化した。その後、凝固物を脱イオン水で洗浄し、75℃で16時間乾燥することで粉末状のアクリルゴムグラフト共重合体(M−1)を得た。
(製造例2〜3)アクリルゴムグラフト共重合体(M−2)〜(M−3)の製造:
モノマー混合液として表1に示す(MM2)〜(MM3)を用いた以外は製造例1と同様にして、アクリルゴムグラフト共重合体(M−2)〜(M−3)のラテックス及び粉末状のアクリルゴムグラフト共重合体(M−2)〜(M−3)を得た。
(製造例4)アクリルゴムグラフト共重合体(M−4)の製造:
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの仕込み量を1.0部とした以外は製造例3と同様にして、アクリルゴムグラフト共重合体(M−4)のラテックス及び粉末状のアクリルゴムグラフト共重合体(M−4)を得た。
(製造例5)アクリルゴムグラフト共重合体(M−5)の製造:
コンデンサー及び撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、脱イオン水200部、ロンガリット0.28部、硫酸第一鉄0.3×10−4部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.8×10−4部、炭酸ナトリウム0.03部及びフォスファノールRS−610NA(東邦化学(株)製)0.31部を仕込み、窒素置換及び混合撹拌しながら加熱した。80℃となった時点で、以下の成分からなるモノマー混合液(MM5)を180分間にわたり滴下し、80℃で120分間保持して重合を完結させた。
(モノマー混合液(MM5))
スチレン 11.6部
n−ブチルアクリレート 50.9部
アリルメタクリレート 0.56部
ターシャリブチルハイドロパーオキサイド 0.19部
フォスファノールRS−610NA 0.69部
次いで、ロンガリット0.08部及び脱イオン水3部の混合液を投入し、15分間保持した後、メチルメタクリレート35.6部、メチルアクリレート1.9部、ターシャリブチルハイドロパーオキサイド0.16部、オクチルメルカプタン0.16部及びフォスファノールRS−610NA 0.25部の混合液を120分間にわたり滴下し、その後80℃で60分間保持することでグラフト重合を完了し、アクリルゴムグラフト共重合体(M−5)のラテックスを得た。
グラフト共重合体(M−5)のラテックスに、1.6%酢酸カルシウム水溶液を添加して凝析させ、90℃で熱処理固化した。その後、凝固物を脱イオン水で洗浄し、75℃で16時間乾燥することで粉末状のアクリルゴムグラフト共重合体(M−5)を得た。
(製造例6)アクリルゴムグラフト共重合体(M−6)の製造:
以下の成分からなるモノマー混合液(MM6)を、ドデシルジフェニルエーテルスルホン酸ジナトリウムを1.9部溶解した脱イオン水157部に加え、ホモミキサーにて10,000rpmで予備撹拌し、さらにホモジナイザーにより20MPaの圧力で乳化、分散させ、(メタ)アクリレートエマルジョンを得た。
(モノマー混合液(MM6))
2−エチルヘキシルアクリレート 99.5部
アリルメタクリレート 0.50部
このエマルジョンを、コンデンサー及び撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに移し、ターシャリブチルハイドロパーオキサイド0.5部を添加した後、窒素置換及び混合撹拌しながら加熱した。50℃となった時点で、硫酸第一鉄0.1×10−2部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.3×10−2部、ロンガリット0.24部及び脱イオン水3部の混合液を投入し、60℃にて90分間保持して、1段目の重合工程を完了して、アクリルゴムのラテックスを得た。
コンデンサー及び撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、前記アクリルゴムのラテックスを固形分換算で20部、ターシャリブチルハイドロパーオキサイド0.28部と、n−ブチルアクリレート68.6部及びアリルメタクリレート1.4部を仕込み、窒素置換及び混合撹拌しながら加熱し、45℃となった時点で硫酸第一鉄0.1×10−2部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.3×10−2部、ロンガリット0.3部及び脱イオン水3部の混合液を投入し、65℃にて60分間保持した。
次いで、メチルメタクリレート10部とターシャリブチルハイドロパーオキサイド0.05部との混合液を65℃にて30分間にわたり滴下し、その後65℃で60分間保持してグラフト重合を完了し、アクリルゴムグラフト共重合体(M−6)のラテックスを得た。
グラフト共重合体(M−6)のラテックスに、0.6%酢酸カルシウム水溶液を添加して凝析させ、90℃で熱処理固化した。その後、凝固物を脱イオン水で洗浄し、75℃で16時間乾燥することで粉末状のアクリルゴムグラフト共重合体(M−6)を得た。
(製造例7)ブタジエン/アクリルゴムグラフト共重合体(M−7)の製造:
(1)ブタジエン/アクリルゴム重合体ラテックスの製造
70Lオートクレーブに、以下の成分を仕込み、昇温した。
1,3−ブタジエン 20部
n−ブチルアクリレート 80部
牛脂脂肪酸カリウム 0.93部
M−ラウロイルザルコシンナトリウム 0.39部
ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド 0.22部
脱イオン水 200部
43℃となった時点で、硫酸第一鉄0.2×10−2部、デキストローズ0.16部、ピロリン酸ナトリウム0.24部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.9×10−3部、脱イオン水5部の混合液を投入して反応を開始後、さらに60℃まで昇温して300分間保持した。
次いで、牛脂脂肪酸カリウム0.39部、M−ラウロイルザルコシンナトリウム0.16部を投入し、ゴム重合体ラテックスを得た。
(2)カルボキシル基含有共重合体の重合
コンデンサー及び撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、以下の成分を仕込み、63℃で4時間重合させることで、カルボキシル基含有共重合体のエマルジョンを作製した。
n−ブチルアクリレート 85部
メタクリル酸 15部
オレイン酸ナトリウム 1.75部
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 3.75部
過硫酸カリウム 0.3部
脱イオン水 200部
得られたカルボキシル基含有共重合体のエマルジョンの転化率は98%、pHは5.0であった。
(3)ブタジエン/アクリルゴムグラフト共重合体(M−7)の製造
コンデンサー及び撹拌翼を備えたセパラブルフラスコに、(1)で得られたブタジエン/アクリルゴム重合体ラテックスを固形分換算で80部、(2)で得られたカルボキシル基含有共重合体を固形分換算で2.0部仕込み、室温にて30分攪拌した。
次いで、ビニルコハク酸カリウム2.0部と、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.6部を投入し、内温を70℃に保持して、メチルメタクリレート19部と、n−ブチルアクリレート1.0部と、クメンハイドロキシパーオキサイド0.08部との混合液を70分にわたり滴下した後、90分間保持してグラフト重合を完了し、ブタジエン/アクリルゴムグラフト共重合体(M−7)のラテックスを得た。
グラフト共重合体ラテックスにブチル化ハイドロキシトルエン0.5部を添加した後、18.8%酢酸カルシウム水溶液を添加して凝析させ、90℃で熱処理固化した。その後、凝固物を脱イオン水で洗浄し、75℃で16時間乾燥することで粉末状のブタジエン/アクリルゴムグラフト共重合体(M−7)を得た。
以上の製造例1〜7で得られたグラフト共重合体の、ゴム質重合体を構成する単量体、ゴム質重合体を構成する単量体の合計100%中の架橋性単量体の含有量、質量平均粒子径、屈折率を表2にまとめる。
なお、表中の略号は、それぞれ下記の単量体を示す。
n−BA; n−ブチルアクリレート
AMA; アリルメタクリレート
BDMA; 1,3−ブチレングリコールジメタクリレート
St; スチレン
2EHA; 2−エチルヘキシルアクリレート
Bd; 1,3−ブタジエン
[実施例1〜4、比較例1〜3]
ポリ乳酸系重合体(A)としてインジオバイオポリマー4032D(ネイチャーワークスLLC 製)を使用した。グラフト共重合体(C)としては、グラフト共重合体(M−1)〜(M−6)を使用した。各材料を表3に示す割合でハンドブレンドした後、スリットダイを備えた異方向コニカル二軸押出機(ラボプラストミル、(株)東洋精機製作所製)を用いて、バレル温度185℃、スリットダイ温度180℃、スクリュー回転数30rpmにて押出し成形し、得られた帯状の樹脂組成物成形体を切断することにより試験片を作製し、各評価に供した。結果を表3に示す。
[実施例5、比較例4〜5]
ポリ乳酸系重合体(A)としてインジオバイオポリマー4032D(ネイチャーワークスLLC 製)を使用した。アクリル系重合体(B)としては、アクリペットVH(三菱レイヨン(株)製、メチルメタクリレート(MMA)−メチルアクリレート(MA)共重合体、質量平均分子量(GPC測定)=6万)を使用した。グラフト共重合体(C)としては、グラフト共重合体(M−5)、(M−7)を使用した。各材料を表4に示す割合でハンドブレンドした後、スリットダイを備えた異方向コニカル二軸押出機(ラボプラストミル、(株)東洋精機製作所製)を用いて、バレル温度185℃、スリットダイ温度180℃、スクリュー回転数30rpmにて押出し成形し、得られた帯状の樹脂組成物成形体を切断することにより試験片を作製し、各評価に供した。結果を表4に示す。
本実施例、比較例の結果から、本発明の樹脂組成物は、強度、透明性、耐候性に優れ、折り曲げ白化の少ない成形品を与えることがわかる。
(比較例1及び比較例4)
比較例1及び比較例4の熱可塑性樹脂組成物は、グラフト共重合体を含まないため、強度が不十分であり、折り曲げ白化評価時に試験片が破断した。
(比較例2)
比較例1の熱可塑性樹脂組成物は、Rc−Rabの値が0.03より大きいため、透明性が低位となり、試験片が白濁した。
(比較例3)
比較例3の熱可塑性樹脂組成物は、グラフト共重合体の粒子径が大きいため、折り曲げ白化評価における白化が大きかった。
(比較例5)
比較例5の熱可塑性樹脂組成物は、ゴム質重合体中に架橋性単量体を含まないため、折り曲げ白化評価における白化が大きかった。また、ゴム質重合体中がジエン系ゴムを含むため、耐候試験において黄変が見られた。
本発明の樹脂組成物によれば、強度、透明性、耐候性に優れ、折り曲げ白化の少ない成形品を提供することができ、特に、シート・フィルムを折り曲げ成形やブロー成形、真空成形する場合において、外観の良好な成形品を容易に得ることができる。よって、本発明の樹脂組成物を、従来使用されていた透明ポリ塩化ビニル樹脂やポリエチレンテレフタレートなどの石油系汎用プラスチックの代替品として用いることができ、建材、自動車、玩具、文房具などの雑貨、OA機器、家電機器、さらにはパッケージ、自動販売機やパチンコなどの面板といった用途に広く利用することができる。
100 試験片
101 金属スペーサー

Claims (6)

  1. ポリ乳酸系重合体(A)1〜100質量%及び
    メチルメタクリレート単量体単位を含有するアクリル系重合体(B)0〜99質量%の合計100質量部に対し、
    グラフト共重合体(C)を1〜50質量部含有する樹脂組成物であって、
    前記グラフト共重合体(C)が、
    アクリルゴム又はポリオルガノシロキサン/アクリルゴムであるゴム質重合体(C1)にビニル単量体(c2)をグラフト重合してなるものであり、
    前記グラフト共重合体(C)の質量平均粒子径が10〜120nmであり、
    前記グラフト共重合体(C)の屈折率Rcと、前記ポリ乳酸系重合体(A)及び前記アクリル系重合体(B)の合計屈折率Rabとが以下の式(1)を満足する、樹脂組成物。
    −0.03≦Rc−Rab≦+0.03 ・・・式(1)
  2. 前記グラフト共重合体(C)の質量平均粒子径が、10〜100nmである請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記ゴム質重合体(C1)を構成する単量体の合計100質量%中、架橋性単量体の含有量が0.3〜10質量%である請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記ゴム質重合体(C1)を構成する単量体の合計100質量%中、架橋性単量体の含有量が、1〜10質量%である請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  5. 前記ゴム質重合体(C1)を構成する単量体の合計100質量%中、架橋性単量体の含有量が、2〜10質量%である請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物を成形してなる成形品。
JP2016089984A 2016-04-28 2016-04-28 樹脂組成物及びその成形品 Active JP6693254B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016089984A JP6693254B2 (ja) 2016-04-28 2016-04-28 樹脂組成物及びその成形品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016089984A JP6693254B2 (ja) 2016-04-28 2016-04-28 樹脂組成物及びその成形品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017197667A true JP2017197667A (ja) 2017-11-02
JP6693254B2 JP6693254B2 (ja) 2020-05-13

Family

ID=60238769

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016089984A Active JP6693254B2 (ja) 2016-04-28 2016-04-28 樹脂組成物及びその成形品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6693254B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113402866A (zh) * 2021-07-08 2021-09-17 长春工业大学 一种基于形状记忆调控药物释放的聚合物
WO2022085801A1 (ja) 2020-10-23 2022-04-28 三菱ケミカル株式会社 樹脂組成物及びその成形品

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005085352A1 (ja) * 2004-03-05 2005-09-15 Mitsubishi Rayon Co., Ltd. 熱可塑性樹脂組成物およびこれを用いた成形品
WO2005123831A1 (ja) * 2004-06-16 2005-12-29 Unitika Ltd. ポリ乳酸含有樹脂組成物及びそれより得られる成形体
JP2006089602A (ja) * 2004-09-24 2006-04-06 Mitsubishi Rayon Co Ltd 脂肪族ポリエステル樹脂組成物およびその成形品
JP2008007594A (ja) * 2006-06-28 2008-01-17 Mitsubishi Rayon Co Ltd 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品
JP2010106597A (ja) * 2008-10-31 2010-05-13 Riken Technos Corp 壁装用積層樹脂シートおよびこれを用いてなる壁紙
JP2010229393A (ja) * 2009-03-03 2010-10-14 Toray Ind Inc ポリ乳酸系フィルム

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005085352A1 (ja) * 2004-03-05 2005-09-15 Mitsubishi Rayon Co., Ltd. 熱可塑性樹脂組成物およびこれを用いた成形品
WO2005123831A1 (ja) * 2004-06-16 2005-12-29 Unitika Ltd. ポリ乳酸含有樹脂組成物及びそれより得られる成形体
JP2006089602A (ja) * 2004-09-24 2006-04-06 Mitsubishi Rayon Co Ltd 脂肪族ポリエステル樹脂組成物およびその成形品
JP2008007594A (ja) * 2006-06-28 2008-01-17 Mitsubishi Rayon Co Ltd 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品
JP2010106597A (ja) * 2008-10-31 2010-05-13 Riken Technos Corp 壁装用積層樹脂シートおよびこれを用いてなる壁紙
JP2010229393A (ja) * 2009-03-03 2010-10-14 Toray Ind Inc ポリ乳酸系フィルム

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022085801A1 (ja) 2020-10-23 2022-04-28 三菱ケミカル株式会社 樹脂組成物及びその成形品
CN116348510A (zh) * 2020-10-23 2023-06-27 三菱化学株式会社 树脂组合物及其成型品
EP4234598A4 (en) * 2020-10-23 2024-04-17 Mitsubishi Chem Corp RESIN COMPOSITION AND MOLDED ARTICLES THEREOF
CN113402866A (zh) * 2021-07-08 2021-09-17 长春工业大学 一种基于形状记忆调控药物释放的聚合物

Also Published As

Publication number Publication date
JP6693254B2 (ja) 2020-05-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4644667B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物およびこれを用いた成形品
JP5183204B2 (ja) 生分解性樹脂組成物およびその成形体
JP5201835B2 (ja) 生分解性樹脂組成物およびその成形体
JP4773958B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP2004285258A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
KR101970847B1 (ko) 생분해성 필름
EP2676996B1 (en) Thermoplastic resin composition and molded articles thereof
JP2005320409A (ja) 耐衝撃性熱可塑性樹脂組成物
JP2007231149A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP2005344075A (ja) ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物
JP2007161837A (ja) スチレン系樹脂組成物
JP6693254B2 (ja) 樹脂組成物及びその成形品
JP6213261B2 (ja) 脂肪族ポリエステル樹脂用衝撃強度改質剤、脂肪族ポリエステル樹脂組成物、及びその成形体
JP2011241347A (ja) ポリ乳酸系樹脂組成物、ポリ乳酸系耐熱シートおよび成形体
JP2002129042A (ja) 生分解性樹脂の改質剤および生分解性樹脂組成物
JP2006045487A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP2011157538A (ja) 樹脂組成物
JP2015113442A (ja) ポリ乳酸系樹脂組成物およびそれからなる成形体
JP5102936B2 (ja) 脂肪族ポリエステル樹脂組成物及びそれを用いた成形品
JP2006348159A (ja) ポリ乳酸系樹脂組成物、その成形体及びそれらの製造方法
EP4234598A1 (en) Resin composition and molded article thereof
JP2007284560A (ja) 熱可塑性樹脂組成物及びその成形体
JP2022069369A (ja) 樹脂組成物及びその成形品
JP2006089602A (ja) 脂肪族ポリエステル樹脂組成物およびその成形品
JP2006056988A (ja) 脂肪族ポリエステル樹脂組成物及びそれを用いた成形品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181012

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190719

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190820

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191017

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200317

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200330

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6693254

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151