JP2006056988A - 脂肪族ポリエステル樹脂組成物及びそれを用いた成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐衝撃性および低温強度に優れるとともに、さらに耐熱性にも優れる脂肪族ポリエステル樹脂組成物およびそれからなる成形品を提供すること。
【解決手段】 (A)脂肪族ポリエステルと、(B)カルボキシル基含有重合体を含むポリブタジエンゴム系グラフト共重合体とを含有する脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、耐衝撃性に優れ、さらには低温強度、耐熱性にも優れた成形品を提供することができる。前記脂肪族ポリエステルとしては、ポリ乳酸を用いることが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、耐衝撃性および低温強度に優れる脂肪族ポリエステル樹脂組成物、さらに耐熱性にも優れる脂肪族ポリエステル樹脂組成物およびそれからなる成形品に関するものである。
最近、地球環境保全の見地から、土中、水中に存在する微生物の作用により自然環境下で分解される生分解性ポリマーが注目され、様々な生分解性ポリマーが開発されている。これらのうち溶融成形が可能な生分解性ポリマーとして、例えば、ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、コハク酸やアジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸成分とエチレングリコールやブタンジオールなどのグリコール成分とからなるポリエチレンサクシネートやポリブチレンアジペート、ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステルが知られている。
脂肪族ポリエステルの中でも、ポリ乳酸は、比較的コストが安く、融点もおよそ170℃と高く、溶融成形可能な生分解性ポリマ−として期待されている。また、最近ではモノマーである乳酸が微生物を利用した発酵法により安価に製造されるようになり、より一層低コストでポリ乳酸を生産できるようになってきたため、生分解性ポリマーとしてだけでなく、汎用ポリマーとしての利用も検討されるようになってきた。しかし、その一方で、耐衝撃性や柔軟性が低いなどの物性的な欠点を有しており、その改良が望まれている。
一般に、樹脂の耐衝撃性を改良するために、オレフィン共重合体などのゴム状ポリマーをブレンドすることは知られており、ポリ乳酸においても、変性オレフィン化合物を添加する方法(例えば、特許文献1および2参照)が知られているが、これらの方法では、耐衝撃性改良効果が不十分であり、さらなる改善が必要とされている。
また、ポリ乳酸樹脂は、ガラス転移温度が60℃であり、それ以上の温度では剛性が急激に低下するため、成形品として使用する場合には、60℃以上の高温での熱変形が大きくなるという性質を有しており、ゴム状ポリマーをブレンドすることによりさらに熱変形が大きくなり耐熱性が低下するため実用的でないという問題もある。
特開平9−316310号公報 特開2001−123055号公報
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果、達成されたものであり、その目的とするところは、耐衝撃性および低温強度に優れる脂肪族ポリエステル樹脂組成物、さらに耐熱性にも優れる脂肪族ポリエステル樹脂組成物およびそれからなる成形品を提供することにある。
本発明の要旨は、(A)脂肪族ポリエステルと、(B)カルボキシル基含有重合体を含むポリブタジエンゴム系グラフト共重合体とを含有する脂肪族ポリエステル樹脂組成物にある。
本発明によれば、耐衝撃性に優れ、さらには低温強度、耐熱性にも優れる脂肪族ポリエステル樹脂組成物および成形品を提供することができる。
本発明に使用する(A)脂肪族ポリエステルとしては、特に限定されるものではなく、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を主たる構成成分とする重合体、脂肪族多価カルボン酸と脂肪族多価アルコールを主たる構成成分とする重合体などが挙げられる。具体的には、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を主たる構成成分とする重合体としては、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリ3−ヒドロキシ酪酸、ポリ4−ヒドロキシ酪酸、ポリ4−ヒドロキシ吉草酸、ポリ3−ヒドロキシヘキサン酸またはポリカプロラクトンなどが挙げられ、脂肪族多価カルボン酸と脂肪族多価アルコールを主たる構成成分とする重合体としては、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペートまたはポリブチレンサクシネートなどが挙げられる。これらの脂肪族ポリエステルは、単独ないし2種以上を用いることができる。これらの脂肪族ポリエステルの中でも、ヒドロキシカルボン酸を主たる構成成分とする重合体が好ましく、特にポリ乳酸が好ましく使用される。
ポリ乳酸としては、L−乳酸および/またはD−乳酸を主たる構成成分とする重合体であるが、本発明の目的を損なわない範囲で、乳酸以外の他の共重合成分を含んでいてもよい。
かかる他の共重合成分単位としては、例えば、多価カルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトンなどが挙げられ、具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸などの多価カルボン酸類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオ−ル、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ビスフェノ−ルA、ビスフェノールにエチレンオキシドを付加反応させた芳香族多価アルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどの多価アルコール類、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸類、グリコリド、ε−カプロラクトングリコリド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−ブチロラクトン、β−またはγ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、δ−バレロラクトンなどのラクトン類などを使用することができる。これらの共重合成分は、単独ないし2種以上を用いることができる。
ポリ乳酸で高い耐熱性を得るためには、乳酸成分の光学純度が高い方が好ましく、総乳酸成分の内、L体あるいはD体が80モル%以上含まれることが好ましく、さらには90モル%以上含まれることが好ましく、95モル%以上含まれることが特に好ましい。
(A)脂肪族ポリエステルの製造方法としては、既知の重合方法を用いることができ、特にポリ乳酸については、乳酸からの直接重合法、ラクチドを介する開環重合法などを採用することができる。
(A)脂肪族ポリエステルの分子量や分子量分布は、実質的に成形加工が可能であれば、特に限定されるものではなく、質量平均分子量としては、好ましくは1万以上、より好ましくは4万以上、特に好ましくは8万以上であるのがよい。ここでいう質量平均分子量とは、溶媒としてヘキサフルオロイソプロパノールを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリメタクリル酸メチル(PMMA)換算の質量平均分子量である。
(A)脂肪族ポリエステルの融点は、特に限定されるものではなく、90℃以上であることが好ましく、さらに150℃以上であることが好ましい。
本発明においては、(B)カルボキシル基含有重合体を含むポリブタジエンゴム系グラフト共重合体を使用する。
ポリブタジエンゴム系グラフト共重合体は、ポリブタジエンからなるコア層に、ビニル系単量体をグラフト重合して得られるグラフト共重合体であり、グラフト重合前、グラフト重合中あるいはグラフト重合後いずれかに、カルボキシル基含有重合体を添加することにより、(B)カルボキシル基含有重合体を含むポリブタジエンゴム系グラフト共重合体を得ることができる。
ポリブタジエンゴム系グラフト共重合体を構成するグラフト層の数は、特に限定されるものではなく、1層以上であればよく、2層以上または3層以上であってもよい。
グラフト重合を三段グラフト重合で行う場合、グラフト一段目はメタクリル酸アルキルエステルを主成分とする単量体を重合することで、耐衝撃性の向上させるとともに、脂肪族ポリエステル樹脂との相溶性を向上させることができる。グラフト二段目は芳香族ビニル化合物を含む単量体を重合することで、グラフト共重合体の流動性を向上させる。グラフト三段目は、メタクリル酸アルキルエステルを主成分とする単量体を重合することで、得られる脂肪族ポリエステル樹脂組成物の表面の艶を向上させる効果がある。
メタクリル酸アルキルエステルと共重合可能なビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレンならびに各種ハロゲン置換およびアルキル置換スチレン等の芳香族ビニル、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート等のアクリル酸アルキルエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、エチレングリコールグリシジルエーテル等のグリシジル基を有するビニル系単量体等を使用することができる。これらの単量体は、単独または二種以上を併用して使用することができる。
ポリブタジエンゴム系グラフト共重合体中のブタジエンゴム重合体の含有量は30〜99質量%とすることが好ましく、70〜95%がより好ましい。ブタジエン系ゴム重合体の含有量が30質量%より少ない場合、得られる樹脂組成物の耐衝撃性が低下する傾向にある。一方、ブタジエンゴム重合体の含有量が99質量%を超えた場合、粉体回収時にポリマー同士が融着し、回収が困難になったり、樹脂組成物への分散性が低下することがある。
グラフト共重合体に含まれる酸基含有共重合体としては、アルキルアクリレートとアルキルアクリレートと共重合可能な少なくとも1種以上の不飽和酸単量体とを重合して得られる共重合体であることが好ましい。このような共重合体は、少なくとも1種の陰イオン界面活性剤の存在下に前記単量体を重合して得られることができる。この場合のpHは4以上であることが好ましい。また、アルキルアクリレートのアルキル基の炭素数は1〜12が好ましい。
共重合体中のアルキルアクリレートは、70質量%以上99質量%以下であることが好ましく、不飽和酸単量体は1質量%以上30質量%以下が好ましい。不飽和酸単量体が1質量%未満の場合、衝撃強度を向上させる効果が現れないことがある。
アルキルアクリレートとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート等を使用できる。
不飽和酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、桂皮酸、無水マレイン酸およびブテントリカルボン酸などを使用できる。
また、他の単量体を共重合させることもできる。この様な単量体としては、例えば、スチレン、メタクリル酸メチル、アクリロニトリル、ブタジエン等から選ばれる1種または2種以上を使用できる。
カルボキシル基含有重合体を製造する際に留意しなければならないのは、重合に用いる乳化剤の選定である。乳化剤としてはアニオン、カチオン、ノニオン乳化剤のどれを用いても重合体を得ることができるが、乳化剤の種類によって著しく肥大化能力が異なる。この様な観点から、陰イオン界面活性剤が好ましい。また、同様の観点から、リン酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩以外の陰イオン界面活性剤が好ましい。
本発明においては、前述したカルボキシル基含有重合体を含むラテックスを、ポリブタジエンゴム系グラフト共重合体のコアをなすブタジエンゴム重合体ラテックスに少量添加すると、ブタジエンゴム重合体の十分な肥大化を達成できる。適当な条件を選べば固形分として0.01質量%の酸基含共重合体を添加することで、ブタジエン系ゴム重合体粒子の粒子径が2倍以上に肥大化する場合もあり、0.5質量%添加することにより、70nmの粒子径を300nm以上に肥大化させることもできる。
なお、カルボキシル基含有重合体の添加量は、ブタジエンゴム重合体100質量部(固形分として)に対して、十分な肥大化を実現するために固形分として0.01質量部(固形分として)以上が好ましく、他の特性が損なわれることを避けるために固形分として10質量部以下が好ましい。
ブタジエンゴム重合体粒子を酸基含有共重合体により肥大化して得られるラテックスに、芳香族ビニル、メタクリル酸アルキルエステル及びアクリル酸アルキルエステル等の1種以上を含むビニル系単量体または単量体混合物をグラフト重合することにより、(B)カルボキシル基含有重合体を含むポリブタジエンゴム系グラフト共重合体を得ることができる。
芳香族ビニルとしては、スチレン、α−メチルスチレン、各種ハロゲン置換およびアルキル置換スチレン等を使用できる。また、メタクリル酸アルキルエステルとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等を使用できる。更に、アクリル酸アルキルエステルとしては、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート等を使用できる。
加えて、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、エチレングリコールグリシジルエーテル等のグリシジル基を有するビニル系単量体;その他の架橋性単量体を併用することもできる。
なお、以上述べた種々の単量体は、単独または2種以上を併用して使用することができる。
更に、グラフト共重合体の製造には、必要に応じて過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ化合物;上記化合物と亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、チオ硫酸塩、第一金属塩、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、デキストローズ等を組み合わせたレドックス系開始剤等を重合開始剤として使用することができる。
グラフト重合の方法としては、乳化重合法が用いられる。重合温度は、重合開始剤の種類にもよるが40〜80℃程度の範囲で適宜行うことができる。乳化剤としては公知の乳化剤を適宜用いることができる。
また、重合方法は多段グラフト重合とすることが好ましい。すなわち、ラテックスを反応系内に予め仕込んでおき、グラフトさせるモノマーを分割添加、または連続添加する方式とすることが好ましい。このような重合方式をとることで、所望の構造を有するグラフト共重合体を比較的容易に得ることができる。
より具体的には、肥大化されたラテックスのグラフト重合を2段以上で行うことが好ましく、グラフト1段目で使用される第1単量体または第1単量体混合物はメタクリル酸アルキルエステルを含み、グラフト重合全体で使用される単量体または単量体混合物(b3)の30〜80質量%であるこ
とが好ましい。なお、必要に応じて、第1単量体または第1単量体混合物に、メタクリル酸アルキルエステルと共重合可能な他の1種以上のビニル系単量体を更に加えることもできる。
また、グラフト2段目で使用される第2単量体または第2単量体混合物(b3.2)は芳香族ビニルを含み、グラフト重合全体で使用される単量体または単量体混合物(b3)の10〜50質量%であることが好ましい。なお、必要に応じて、第2単量体または第2単量体混合物(b3.2)に、芳香族ビニルと共重合可能な他の1種以上のビニル系単量体を更に加えることもできる。
更に、グラフト3段目で使用される第3単量体または第3単量体混合物(b3.3)はメタクリル酸アルキルエステルを含み、グラフト重合全体で使用される単量体または単量体混合物(b3)の5〜10質量%であることが好ましい。なお、必要に応じて、第3単量体または第3単量体混合物(b3.3)に、メタクリル酸アルキルエステルと共重合可能な他の1種以上のビニル系単量体を更に加えることもできる。
以上の様にして得られたグラフト共重合体ラテックスは、必要に応じて、適当な酸化防止剤や添加剤を加え、硫酸、塩酸、りん酸等の酸や塩化カルシウム、塩化ナトリウム等の塩などの凝析剤を適宜使用し、熱処理して固化した後、脱水、洗浄を経て乾燥あるいは噴霧乾燥して粉末状のグラフト共重合体(B)とされる。
本発明に使用する(B)カルボキシル基含有重合体を含むポリブタジエンゴム系グラフト共重合体は、グラフト重合中あるいはグラフト重合後にカルボキシル基含有重合体を添加することによっても製造できる。
本発明におけるカルボキシル基含有重合体を含むポリブタジエンゴム系グラフト共重合体の一次粒子径は、特に限定されるものではないが、0.01μm以上、1000μm以下であることが好ましく、さらに、0.05μm以上、2μm以下であることがより好ましく、特に0.1μm以上、1μm以下であることが最も好ましい。
本発明において、(A)脂肪族ポリエステルと、(B)カルボキシル基含有重合体を含むポリブタジエンゴム系グラフト共重合体の質量比は、特に限定されるものではないが、99/1〜50/50であることが好ましく、さらに、99/1〜60/40であることがより好ましく、特に99/1〜70/30であることが最も好ましい。
本発明においては、(A)脂肪族ポリエステル中に、(B)カルボキシル基含有重合体を含むポリブタジエンゴム系グラフト共重合体Bが細かく分散し、分散状態が良好なものほど耐衝撃性を向上させる効果が大きい。
本発明においては、耐熱性が向上するという観点から、さらに結晶核剤を配合することが好ましい。
本発明で使用する結晶核剤としては、一般にポリマーの結晶核剤として用いられるものを特に制限なく使用することができ、無機系結晶核剤および有機系結晶核剤のいずれをも使用することができる。
無機系結晶核剤の具体例としては、タルク、カオリナイト、モンモリロナイト、マイカ、合成マイカ、クレー、ゼオライト、シリカ、グラファイト、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタン、硫化カルシウム、窒化ホウ素、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ネオジウムおよびフェニルホスホネートの金属塩などが挙げられ、耐熱性を向上させる効果が大きいという観点から、タルク、カオリナイト、モンモリロナイトおよび合成マイカが好ましい。これらは単独ないし2種以上を用いることができる。これらの無機系結晶核剤は、組成物中での分散性を高めるために、有機物で修飾されていることが好ましい。
無機系結晶核剤の配合量は、(A)脂肪族ポリエステル樹脂100質量部に対して、0.01〜100質量部が好ましく、0.05〜50質量部がより好ましく、0.1〜30質量部がさらに好ましい。
また、有機系結晶核剤の具体例としては、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸カルシウム、安息香酸マグネシウム、安息香酸バリウム、テレフタル酸リチウム、テレフタル酸ナトリウム、テレフタル酸カリウム、シュウ酸カルシウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、ミリスチン酸カルシウム、オクタコサン酸ナトリウム、オクタコサン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、トルイル酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム、サリチル酸亜鉛、アルミニウムジベンゾエート、カリウムジベンゾエート、リチウムジベンゾエート、ナトリウムβ−ナフタレート、ナトリウムシクロヘキサンカルボキシレートなどの有機カルボン酸金属塩、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、スルホイソフタル酸ナトリウムなどの有機スルホン酸塩、ステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、パルチミン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、トリメシン酸トリス(t−ブチルアミド)などのカルボン酸アミド、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプロピレン、ポリブテン、ポリ−4−メチルペンテン、ポリ−3−メチルブテン−1、ポリビニルシクロアルカン、ポリビニルトリアルキルシラン、高融点ポリ乳酸などのポリマー、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸コポリマーのナトリウム塩、スチレン−無水マレイン酸コポリマーのナトリウム塩などのカルボキシル基を有する重合体のナトリウム塩またはカリウム塩(いわゆるアイオノマー)、ベンジリデンソルビトールおよびその誘導体、ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェートなどのリン化合物金属塩および2,2−メチルビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウムなどが挙げられ、耐熱性を向上させる効果が大きいという観点からは、有機カルボン酸金属塩およびカルボン酸アミドが好ましい。これらは単独ないし2種以上用いることができる。
有機系結晶核剤の配合量は、(A)脂肪族ポリエステル樹脂100質量部に対して、0.01〜30質量部が好ましく、0.05〜10質量部がより好ましく、0.1〜5質量部がさらに好ましい。
本発明においては、耐熱性が向上するという観点から、さらに無機系結晶核剤以外の充填剤を配合することが好ましい。
本発明で使用する無機系結晶核剤以外の充填剤としては、通常熱可塑性樹脂の強化に用いられる繊維状、板状、粒状、粉末状のものを用いることができる。具体的には、ガラス繊維、アスベスト繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、金属繊維、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、マグネシウム系ウイスカー、珪素系ウイスカー、ワラストナイト、セピオライト、アスベスト、スラグ繊維、ゾノライト、エレスタダイト、石膏繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化硅素繊維及びホウ素繊維などの無機繊維状充填剤、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、再生セルロース繊維、アセテート繊維、ケナフ、ラミー、木綿、ジュート、麻、サイザル、亜麻、リネン、絹、マニラ麻、さとうきび、木材パルプ、紙屑、古紙及びウールなどの有機繊維状充填剤、ガラスフレーク、グラファイト、金属箔、セラミックビーズ、セリサイト、ベントナイト、ドロマイト、微粉珪酸、長石粉、チタン酸カリウム、シラスバルーン、珪酸アルミニウム、酸化珪素、石膏、ノバキュライト、ドーソナイトおよび白土などなどの板状や粒状の充填剤が挙げられる。これらの充填剤の中では、無機繊維状充填剤が好ましく、特にガラス繊維、ワラストナイトが好ましい。また、有機繊維状充填剤の使用も好ましく、脂肪族ポリエステル樹脂の生分解性を生かすという観点から、天然繊維や再生繊維がさらに好ましい。また、配合に供する繊維状充填剤のアスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)は5以上であることが好ましく、10以上であることがさらに好ましく、20以上であることがさらに好ましい。上記の充填剤は、エチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆または集束処理されていてもよく、アミノシランやエポキシシランなどのカップリング剤などで処理されていてもよい。
充填剤の配合量は、(A)脂肪族ポリエステル樹脂100質量部に対して、0.1〜200質量部が好ましく、0.5〜100質量部がさらに好ましい。
本発明においては、耐熱性が向上するという観点から、さらに可塑剤を配合することが好ましい。
本発明で使用する可塑剤としては、一般にポリマーの可塑剤として用いられるものを特に制限なく用いることができ、例えばポリエステル系可塑剤、グリセリン系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、ポリアルキレングリコール系可塑剤及びエポキシ系可塑剤などを挙げることができる。
ポリエステル系可塑剤の具体例としては、アジピン酸、セバチン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸などの酸成分と、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどのジオール成分からなるポリエステルやポリカプロラクトンなどのヒドロキシカルボン酸からなるポリエステルなどを挙げることができる。これらのポリエステルは単官能カルボン酸もしくは単官能アルコールで末端封鎖されていてもよく、またエポキシ化合物などで末端封鎖されていてもよい。
グリセリン系可塑剤の具体例としては、グリセリンモノアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンモノアセトモノステアレート、グリセリンジアセトモノオレートおよびグリセリンモノアセトモノモンタネートなどを挙げることができる。
多価カルボン酸系可塑剤の具体例としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジベンジル、フタル酸ブチルベンジルなどのフタル酸エステル、トリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリヘキシルなどのトリメリット酸エステル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸n−オクチル−n−デシルアジピン酸エステルなどのセバシン酸エステル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチルなどのクエン酸エステル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシルなどのアゼライン酸エステル、セバシン酸ジブチル、およびセバシン酸ジ−2−エチルヘキシルなどのセバシン酸エステルなどを挙げることができる。
ポリアルキレングリコール系可塑剤の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド)ブロック及び/またはランダム共重合体、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノール類のエチレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のプロピレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のテトラヒドロフラン付加重合体などのポリアルキレングリコールあるいはその末端エポキシ変性化合物、末端エステル変性化合物および末端エーテル変性化合物などの末端封鎖化合物などを挙げることができる。
エポキシ系可塑剤とは、一般にはエポキシステアリン酸アルキルと大豆油とからなるエポキシトリグリセリドなどを指すが、その他にも、主にビスフェノールAとエピクロロヒドリンを原料とするような、いわゆるエポキシ樹脂も使用することができる。
その他の可塑剤の具体例としては、ネオペンチルグリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレートなどの脂肪族ポリオールの安息香酸エステル、ステアリン酸アミドなどの脂肪酸アミド、オレイン酸ブチルなどの脂肪族カルボン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチルなどのオキシ酸エステル、ペンタエリスリトール、各種ソルビトール、ポリアクリル酸エステル、シリコーンオイルおよびパラフィン類などを挙げることができる。
本発明で使用する可塑剤としては、上記に例示したものの中でも、特にポリエステル系可塑剤及びポリアルキレングリコール系可塑剤から選択した少なくとも1種が好ましい。本発明に使用する可塑剤は、単独ないし2種以上用いることができる。
また、可塑剤の配合量は、(A)脂肪族ポリエステル樹脂100質量部に対して、0.01〜30質量部の範囲が好ましく、0.1〜20質量部の範囲がより好ましく、0.5〜10質量部の範囲がさらに好ましい。
本発明においては、結晶核剤と可塑剤を各々単独で用いてもよいが、両者を併用して用いることが好ましい。
本発明において、本発明の目的を損なわない範囲で安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、滑剤、離形剤、難燃剤、染料または顔料を含む着色剤、帯電防止剤などを添加することができる。
本発明において、本発明の目的を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリエーテルイミドなど)または熱硬化性樹脂(例えばフェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂など)または軟質熱可塑性樹脂(例えばエチレン/グリシジルメタクリレート共重合体、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、エチレン/プロピレンターポリマー、エチレン/ブテン−1共重合体など)などの少なくとも1種以上をさらに含有することができる。
本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、(A)脂肪族ポリエステル、(B)カルボキシル基含有重合体を含むポリブタジエンゴム系グラフト共重合体、結晶核剤、充填剤、可塑剤および必要に応じてその他の添加剤を予めブレンドした後、融点以上において、一軸または二軸押出機で、均一に溶融混練する方法や溶液中で混合した後に溶媒を除く方法などが好ましく用いられる。
本発明において、得られた組成物は、通常公知の射出成形、押出成形などの任意の方法で成形することができ、あらゆる形状の成形品として広く用いることができる。成形品とは、フィルム、シート、繊維・布、不織布、射出成形品、押出し成形品、真空圧空成形品、ブロー成形品、または他の材料との複合体などであり、自動車用資材、電機・電子機器用資材、農業用資材、園芸用資材、漁業用資材、土木・建築用資材、文具、医療用品またはその他の用途として有用である。
以下実施例により本発明を説明する。
各種評価、成形は以下の方法で行った。
(1)押出機
φ30mm、L/D=28の同方向二軸押し出し機を用い、脂肪族ポリエステル樹脂等、本発明における配合物をを溶融混練し、熱可塑性樹脂組成物ペレットを得た。
(2)射出成型機
上記熱可塑性樹脂組成物ペレットを用いて、射出成型法によりシャルピー衝撃強さ評価試片を成型した。
(3)アイゾット衝撃強度
ASTMに準拠して、23℃および0℃におけるアイゾット衝撃強度を評価した。
(4)耐熱性
ASTM D648に準じて、12.7mm×6.4mm×127mmの試験片の熱変形温度(荷重0.45MPa)を測定した。
(5)ラテックスの質量平均粒子径の測定
得られたラテックスを蒸留水で希釈したものを試料として、米国MATEC社製CHDF2000型粒度分布計を用いて測定した。測定条件は、MATEC社が推奨する標準条件で行った。専用の粒子分離用キャピラリー式カートリッジ及びキャリア液を用い、液性を中性、流速を1.4mL/min、圧力を28MPa、温度を35℃に保った状態で、濃度3%の希釈ラテックス試料0.1mLを測定に用いた。なお、標準粒子径物質として、米国DUKE社製の粒子径既知の単分散ポリスチレンを、0.03μmから0.8μmの範囲内で合計12点用いた。
(製造例1) ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(b1)の製造
以下の物質を70Lオートクレーブに仕込み、昇温して43℃となった時点で、レドックス系開始剤をオートクレーブ内に添加し反応を開始後、更に60℃まで昇温した。
1,3−ブタジエン 100部
t−ドデシルメルカプタン 0.4部
ロジン酸カリウム 0.75部
オレイン酸カリウム 0.75部
ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド 0.24部
脱イオン水 70部
レドックス系開始剤
硫酸第一鉄 0.003部
デキストローズ 0.3部
ピロリン酸ナトリウム 0.3部
脱イオン水 5部
重合開始から8時間反応させて、ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(b1)を得た。得られたブタジエン系ゴム重合体ラテックス(b1)の粒子径は90nmであった。
[カルボキシル基含有重合体(b2)の重合]
以下の混合物を70℃で4時間重合させ、転化率98%、pH5.0のカルボキシル基含有重合体(MAA−BA共重合体)含有エマルジョンを調製した。
n−ブチルアクリレート 85部
メタクリル酸 15部
オレイン酸ナトリウム 2.0部
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 1.0部
過硫酸カリウム 0.3部
脱イオン水 200部
[実施例1] グラフト共重合体(B−1)
ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(b1)を固形分として75部に対し、カルボキシル基含有重合体としてb2を固形分として2.0部添加し、室温にて30分攪拌した。
その後、オレイン酸カリウム1.5部と、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.6部とをフラスコ内に仕込み、内温を70℃に保持して、メチルメタクリレート9.0部と、n−ブチルアクリレート1.0部と、クメンハイドロキシパーオキサイドを上記単量体混合物を100とした場合に0.2部との混合物を1時間かけて滴下した後、1時間保持し、第1グラフト重合工程を行った。
その後、第1グラフト重合工程で得られた重合体の存在下で、第2段目としてスチレン12.5部と、クメンハイドロキシパーオキサイドをスチレン100とした場合に0.2部との混合物を1時間かけて滴下した後、3時間保持し、第2グラフト重合工程を行った。
その後、第2グラフト重合工程で得られた重合体の存在下で、第3段目としてメチルメタクリレート2.5部と、クメンハイドロキシパーオキサイドを、メチルメタクリレートを100とした場合に0.1部との混合物を0.5時間かけて滴下した後、1時間保持してから第3グラフト重合工程を終了して、グラフト共重合体ラテックスを得た。
得られたグラフト共重合体ラテックスにブチル化ハイドロキシトルエン0.5部を添加した後、0.2%硫酸水溶液を添加して凝析させ、90℃で熱処理固化した。その後凝固物を温水で洗浄し、さらに乾燥して、カルボキシル基含有重合体を含むポリブタジエンゴム系グラフト共重合体(B−1)を得た。
[実施例2]グラフト共重合体(B−2)
カルボキシル基含有重合体(b2)の添加を第1グラフト重合工程中に変更した以外はグラフト共重合体(B−1)の場合と同様にしてグラフト共重合体(B−2)を作製した。
[実施例3]グラフト共重合体(B−3)
カルボキシル基含有重合体(b2)の添加を第3グラフト重合後に変更した以外はグラフト共重合体(B−1)の場合と同様にしてグラフト共重合体(B−3)を作製した。
[実施例4〜6]グラフト共重合体(B−4〜B−6)
ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(b1)の仕込み量およびカルボキシル基含有重合体(b2)の添加量を表1に示す量に変更した以外はグラフト共重合体(B−1)の場合と同様にしてグラフト共重合体(B−4)〜(B〜6)を作製した。
[比較例1]グラフト共重合体(C−1)
カルボキシル基含有重合体(b2)を添加せず、グラフト共重合体(B−1)の場合と同様にしてグラフト共重合体(C−1)を作製した。
以上で得られたグラフト重合体の質量平均粒子径を表1に示した。
Figure 2006056988
実施例および比較例は、下記材料を表に示す配合で用いた。
(A)脂肪族ポリエステル
A−1:ポリ乳酸;レイシアH100(三井化学製)
(B)カルボキシル含有ブタジエン系グラフト共重合体:上記で製造したグラフト共重合体(B−1)〜(B−6)を使用した。
(C)ブタジエン系グラフト共重合体(C−1)
(D)結晶核剤
D−1:富士タルク工業製 LMS300(タルク;無機系結晶核剤)
D−2:日本化成製 スリパックスL(エチレンビスラウリン酸アミド;有機系結晶核剤)
(E)充填剤
E−1:日東紡績製 CS3J948(ガラス繊維)
E−2:Partek製 ウィックロール(ワラストナイト)
(F)可塑剤、
F−1:旭電化製 プルロニックF68(ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール共重合体)
実施例1〜8および比較例1〜2
表1に示す配合量で(A)脂肪族ポリエステル酸および(B)カルボキシル基含有重合体を含むポリブタジエンゴム系グラフト共重合体または(C)ブタジエン系グラフト共重合体をドライブレンドした後、220℃に設定した30mmφ二軸スクリュー押出機を使用して溶融混合ペレタイズを行った。
得られたペレットを220℃に設定したスクリューインライン型射出成形機を使用して試験片を金型温度40℃で成形した。
各サンプルの物性評価結果を表2に示す。
Figure 2006056988
実施例1〜8示すように、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、ポリ乳酸単体(比較例1)よりも衝撃強度が大幅に向上し、耐衝撃性が向上した。
一方、比較例2に示すように、(C)ブタジエン系グラフト共重合体を用いた場合には、ポリ乳酸単体(比較例1)よりも衝撃強度は向上するものの、その効果は十分でない。
実施例9〜12および比較例3〜5
表2に示す配合量で(A)脂肪族ポリエステル、(B)カルボキシル基含有重合体を含むポリブタジエンゴム系グラフト共重合体または(C)ブタジエン系グラフト共重合体、結晶核剤、充填剤、可塑剤をドライブレンドした後、240℃に設定した30mmφ二軸スクリュー押出機を使用して溶融混合ペレタイズを行った。
得られたペレットを240℃に設定したスクリューインライン型射出成形機を使用して試験片を金型温度80℃で成形した。
各サンプルの物性評価結果を表3に示す。
Figure 2006056988
実施例9〜12に示すように、本発明の脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、ポリ乳酸単体(比較例7)よりも衝撃強度および耐熱性が大幅に向上した。
一方、比較例4に示すように、(B)カルボキシル含有ブタジエン系グラフト共重合体を用いることなく、結晶核剤、可塑剤のみを用いた場合には、ポリ乳酸単体(比較例3)よりも衝撃強度および耐熱性は向上するものの、その効果は十分でない。また、比較例5に示すように、(C)ブタジエン系グラフト共重合体を用いた場合には、ポリ乳酸単体(比較例3)よりも衝撃強度および耐熱性は向上するものの、その効果は十分でない。

Claims (2)

  1. (A)脂肪族ポリエステルと、(B)カルボキシル基含有重合体を含むポリブタジエンゴム系グラフト共重合体とを含有する脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
  2. 請求項1記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物を成形してなる成形品。
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