JP2006056988A - 脂肪族ポリエステル樹脂組成物及びそれを用いた成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 (A)脂肪族ポリエステルと、(B)カルボキシル基含有重合体を含むポリブタジエンゴム系グラフト共重合体とを含有する脂肪族ポリエステル樹脂組成物は、耐衝撃性に優れ、さらには低温強度、耐熱性にも優れた成形品を提供することができる。前記脂肪族ポリエステルとしては、ポリ乳酸を用いることが好ましい。
【選択図】 なし
Description
ポリ乳酸としては、L−乳酸および/またはD−乳酸を主たる構成成分とする重合体であるが、本発明の目的を損なわない範囲で、乳酸以外の他の共重合成分を含んでいてもよい。
ポリブタジエンゴム系グラフト共重合体は、ポリブタジエンからなるコア層に、ビニル系単量体をグラフト重合して得られるグラフト共重合体であり、グラフト重合前、グラフト重合中あるいはグラフト重合後いずれかに、カルボキシル基含有重合体を添加することにより、(B)カルボキシル基含有重合体を含むポリブタジエンゴム系グラフト共重合体を得ることができる。
グラフト重合を三段グラフト重合で行う場合、グラフト一段目はメタクリル酸アルキルエステルを主成分とする単量体を重合することで、耐衝撃性の向上させるとともに、脂肪族ポリエステル樹脂との相溶性を向上させることができる。グラフト二段目は芳香族ビニル化合物を含む単量体を重合することで、グラフト共重合体の流動性を向上させる。グラフト三段目は、メタクリル酸アルキルエステルを主成分とする単量体を重合することで、得られる脂肪族ポリエステル樹脂組成物の表面の艶を向上させる効果がある。
不飽和酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、桂皮酸、無水マレイン酸およびブテントリカルボン酸などを使用できる。
また、他の単量体を共重合させることもできる。この様な単量体としては、例えば、スチレン、メタクリル酸メチル、アクリロニトリル、ブタジエン等から選ばれる1種または2種以上を使用できる。
なお、以上述べた種々の単量体は、単独または2種以上を併用して使用することができる。
とが好ましい。なお、必要に応じて、第1単量体または第1単量体混合物に、メタクリル酸アルキルエステルと共重合可能な他の1種以上のビニル系単量体を更に加えることもできる。
本発明で使用する結晶核剤としては、一般にポリマーの結晶核剤として用いられるものを特に制限なく使用することができ、無機系結晶核剤および有機系結晶核剤のいずれをも使用することができる。
本発明で使用する無機系結晶核剤以外の充填剤としては、通常熱可塑性樹脂の強化に用いられる繊維状、板状、粒状、粉末状のものを用いることができる。具体的には、ガラス繊維、アスベスト繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、金属繊維、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、マグネシウム系ウイスカー、珪素系ウイスカー、ワラストナイト、セピオライト、アスベスト、スラグ繊維、ゾノライト、エレスタダイト、石膏繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化硅素繊維及びホウ素繊維などの無機繊維状充填剤、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、再生セルロース繊維、アセテート繊維、ケナフ、ラミー、木綿、ジュート、麻、サイザル、亜麻、リネン、絹、マニラ麻、さとうきび、木材パルプ、紙屑、古紙及びウールなどの有機繊維状充填剤、ガラスフレーク、グラファイト、金属箔、セラミックビーズ、セリサイト、ベントナイト、ドロマイト、微粉珪酸、長石粉、チタン酸カリウム、シラスバルーン、珪酸アルミニウム、酸化珪素、石膏、ノバキュライト、ドーソナイトおよび白土などなどの板状や粒状の充填剤が挙げられる。これらの充填剤の中では、無機繊維状充填剤が好ましく、特にガラス繊維、ワラストナイトが好ましい。また、有機繊維状充填剤の使用も好ましく、脂肪族ポリエステル樹脂の生分解性を生かすという観点から、天然繊維や再生繊維がさらに好ましい。また、配合に供する繊維状充填剤のアスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)は5以上であることが好ましく、10以上であることがさらに好ましく、20以上であることがさらに好ましい。上記の充填剤は、エチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆または集束処理されていてもよく、アミノシランやエポキシシランなどのカップリング剤などで処理されていてもよい。
本発明で使用する可塑剤としては、一般にポリマーの可塑剤として用いられるものを特に制限なく用いることができ、例えばポリエステル系可塑剤、グリセリン系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、ポリアルキレングリコール系可塑剤及びエポキシ系可塑剤などを挙げることができる。
また、可塑剤の配合量は、(A)脂肪族ポリエステル樹脂100質量部に対して、0.01〜30質量部の範囲が好ましく、0.1〜20質量部の範囲がより好ましく、0.5〜10質量部の範囲がさらに好ましい。
各種評価、成形は以下の方法で行った。
(1)押出機
φ30mm、L/D=28の同方向二軸押し出し機を用い、脂肪族ポリエステル樹脂等、本発明における配合物をを溶融混練し、熱可塑性樹脂組成物ペレットを得た。
(2)射出成型機
上記熱可塑性樹脂組成物ペレットを用いて、射出成型法によりシャルピー衝撃強さ評価試片を成型した。
(3)アイゾット衝撃強度
ASTMに準拠して、23℃および0℃におけるアイゾット衝撃強度を評価した。
(4)耐熱性
ASTM D648に準じて、12.7mm×6.4mm×127mmの試験片の熱変形温度(荷重0.45MPa)を測定した。
(5)ラテックスの質量平均粒子径の測定
得られたラテックスを蒸留水で希釈したものを試料として、米国MATEC社製CHDF2000型粒度分布計を用いて測定した。測定条件は、MATEC社が推奨する標準条件で行った。専用の粒子分離用キャピラリー式カートリッジ及びキャリア液を用い、液性を中性、流速を1.4mL/min、圧力を28MPa、温度を35℃に保った状態で、濃度3%の希釈ラテックス試料0.1mLを測定に用いた。なお、標準粒子径物質として、米国DUKE社製の粒子径既知の単分散ポリスチレンを、0.03μmから0.8μmの範囲内で合計12点用いた。
以下の物質を70Lオートクレーブに仕込み、昇温して43℃となった時点で、レドックス系開始剤をオートクレーブ内に添加し反応を開始後、更に60℃まで昇温した。
1,3−ブタジエン 100部
t−ドデシルメルカプタン 0.4部
ロジン酸カリウム 0.75部
オレイン酸カリウム 0.75部
ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド 0.24部
脱イオン水 70部
硫酸第一鉄 0.003部
デキストローズ 0.3部
ピロリン酸ナトリウム 0.3部
脱イオン水 5部
重合開始から8時間反応させて、ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(b1)を得た。得られたブタジエン系ゴム重合体ラテックス(b1)の粒子径は90nmであった。
以下の混合物を70℃で4時間重合させ、転化率98%、pH5.0のカルボキシル基含有重合体(MAA−BA共重合体)含有エマルジョンを調製した。
n−ブチルアクリレート 85部
メタクリル酸 15部
オレイン酸ナトリウム 2.0部
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 1.0部
過硫酸カリウム 0.3部
脱イオン水 200部
ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(b1)を固形分として75部に対し、カルボキシル基含有重合体としてb2を固形分として2.0部添加し、室温にて30分攪拌した。
その後、オレイン酸カリウム1.5部と、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.6部とをフラスコ内に仕込み、内温を70℃に保持して、メチルメタクリレート9.0部と、n−ブチルアクリレート1.0部と、クメンハイドロキシパーオキサイドを上記単量体混合物を100とした場合に0.2部との混合物を1時間かけて滴下した後、1時間保持し、第1グラフト重合工程を行った。
その後、第1グラフト重合工程で得られた重合体の存在下で、第2段目としてスチレン12.5部と、クメンハイドロキシパーオキサイドをスチレン100とした場合に0.2部との混合物を1時間かけて滴下した後、3時間保持し、第2グラフト重合工程を行った。
その後、第2グラフト重合工程で得られた重合体の存在下で、第3段目としてメチルメタクリレート2.5部と、クメンハイドロキシパーオキサイドを、メチルメタクリレートを100とした場合に0.1部との混合物を0.5時間かけて滴下した後、1時間保持してから第3グラフト重合工程を終了して、グラフト共重合体ラテックスを得た。
得られたグラフト共重合体ラテックスにブチル化ハイドロキシトルエン0.5部を添加した後、0.2%硫酸水溶液を添加して凝析させ、90℃で熱処理固化した。その後凝固物を温水で洗浄し、さらに乾燥して、カルボキシル基含有重合体を含むポリブタジエンゴム系グラフト共重合体(B−1)を得た。
カルボキシル基含有重合体(b2)の添加を第1グラフト重合工程中に変更した以外はグラフト共重合体(B−1)の場合と同様にしてグラフト共重合体(B−2)を作製した。
カルボキシル基含有重合体(b2)の添加を第3グラフト重合後に変更した以外はグラフト共重合体(B−1)の場合と同様にしてグラフト共重合体(B−3)を作製した。
ブタジエン系ゴム重合体ラテックス(b1)の仕込み量およびカルボキシル基含有重合体(b2)の添加量を表1に示す量に変更した以外はグラフト共重合体(B−1)の場合と同様にしてグラフト共重合体(B−4)〜(B〜6)を作製した。
カルボキシル基含有重合体(b2)を添加せず、グラフト共重合体(B−1)の場合と同様にしてグラフト共重合体(C−1)を作製した。
以上で得られたグラフト重合体の質量平均粒子径を表1に示した。
(A)脂肪族ポリエステル
A−1:ポリ乳酸;レイシアH100(三井化学製)
(B)カルボキシル含有ブタジエン系グラフト共重合体:上記で製造したグラフト共重合体(B−1)〜(B−6)を使用した。
(C)ブタジエン系グラフト共重合体(C−1)
(D)結晶核剤
D−1:富士タルク工業製 LMS300(タルク;無機系結晶核剤)
D−2:日本化成製 スリパックスL(エチレンビスラウリン酸アミド;有機系結晶核剤)
(E)充填剤
E−1:日東紡績製 CS3J948(ガラス繊維)
E−2:Partek製 ウィックロール(ワラストナイト)
(F)可塑剤、
F−1:旭電化製 プルロニックF68(ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール共重合体)
表1に示す配合量で(A)脂肪族ポリエステル酸および(B)カルボキシル基含有重合体を含むポリブタジエンゴム系グラフト共重合体または(C)ブタジエン系グラフト共重合体をドライブレンドした後、220℃に設定した30mmφ二軸スクリュー押出機を使用して溶融混合ペレタイズを行った。
得られたペレットを220℃に設定したスクリューインライン型射出成形機を使用して試験片を金型温度40℃で成形した。
各サンプルの物性評価結果を表2に示す。
一方、比較例2に示すように、(C)ブタジエン系グラフト共重合体を用いた場合には、ポリ乳酸単体(比較例1)よりも衝撃強度は向上するものの、その効果は十分でない。
表2に示す配合量で(A)脂肪族ポリエステル、(B)カルボキシル基含有重合体を含むポリブタジエンゴム系グラフト共重合体または(C)ブタジエン系グラフト共重合体、結晶核剤、充填剤、可塑剤をドライブレンドした後、240℃に設定した30mmφ二軸スクリュー押出機を使用して溶融混合ペレタイズを行った。
得られたペレットを240℃に設定したスクリューインライン型射出成形機を使用して試験片を金型温度80℃で成形した。
各サンプルの物性評価結果を表3に示す。
一方、比較例4に示すように、(B)カルボキシル含有ブタジエン系グラフト共重合体を用いることなく、結晶核剤、可塑剤のみを用いた場合には、ポリ乳酸単体(比較例3)よりも衝撃強度および耐熱性は向上するものの、その効果は十分でない。また、比較例5に示すように、(C)ブタジエン系グラフト共重合体を用いた場合には、ポリ乳酸単体(比較例3)よりも衝撃強度および耐熱性は向上するものの、その効果は十分でない。
Claims (2)
- (A)脂肪族ポリエステルと、(B)カルボキシル基含有重合体を含むポリブタジエンゴム系グラフト共重合体とを含有する脂肪族ポリエステル樹脂組成物。
- 請求項1記載の脂肪族ポリエステル樹脂組成物を成形してなる成形品。
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