JP2000273207A - ポリ乳酸系フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

ポリ乳酸系フィルムおよびその製造方法

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JP2000273207A
JP2000273207A JP7617099A JP7617099A JP2000273207A JP 2000273207 A JP2000273207 A JP 2000273207A JP 7617099 A JP7617099 A JP 7617099A JP 7617099 A JP7617099 A JP 7617099A JP 2000273207 A JP2000273207 A JP 2000273207A
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polylactic acid
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acid
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Hiroshi Nishimura
弘 西村
Munehiro Miyake
宗博 三宅
Tadashi Shudo
忠 首藤
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Unitika Ltd
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Unitika Ltd
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J5/00Manufacture of articles or shaped materials containing macromolecular substances
    • C08J5/18Manufacture of films or sheets
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J2367/00Characterised by the use of polyesters obtained by reactions forming a carboxylic ester link in the main chain; Derivatives of such polymers
    • C08J2367/04Polyesters derived from hydroxy carboxylic acids, e.g. lactones

Abstract

(57)【要約】 【課題】 柔軟で耐衝撃性に優れたポリ乳酸系フィルム
を提供する。 【解決手段】 ポリ乳酸(A)95〜60重量部、ガラ
ス転移点が0℃以下である生分解性脂肪族ポリエステル
(B)5〜40重量部、および、(A)成分と(B)成
分の合計100重量部に対し、可塑剤(C)5〜30重
量部の含有比率を有するポリマーからなるポリ乳酸系フ
ィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、柔軟で耐衝撃性に
優れたポリ乳酸系フィルムに関するものである。さらに
詳しくは、ポリ乳酸に、特定の生分解性脂肪族ポリエス
テル成分と可塑剤成分を配合することにより得られる、
柔軟で耐衝撃性に優れたフィルムに関するものである。
そして、本発明のフィルムは、たとえば、ゴミ袋、コン
ポストバッグ、肥料袋、米袋などの袋類、新聞・雑誌包
装、野菜包装、食品包装などの包装材料、施設園芸ハウ
スの外張り用・内張り用、トンネルハウス用、マルチ栽
培用、果実や野菜類の吊り紐用などの農業用フィルム、
結束用の紐、梱包バンド、その他の工業用フィルムなど
の用途に、その柔軟で耐衝撃性に優れた特性を生かして
幅広い分野で利用することのできるポリ乳酸系フィルム
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、環境保全に対する社会的要求の高
まりに伴い、微生物などにより分解される生分解性ポリ
マーが注目されている。生分解性ポリマーの具体例とし
ては、ポリブチレンサクシネート、ポリカプロラクト
ン、ポリ乳酸などの溶融成形可能な脂肪族ポリエステル
が挙げられる。
【0003】上記の脂肪族ポリエステルの中でも、自然
界に広く分布し、動植物や人畜に対して無害なポリ乳酸
は、融点が140〜175℃であり十分な耐熱性を有す
るとともに、比較的安価な熱可塑性樹脂であり、実用性
に優れた生分解性ポリマーとして期待されている。
【0004】従来より、上記の各種の用途に適用するた
めにポリ乳酸系フィルムが検討されているが、性能的に
脆く、柔軟性および耐衝撃性に欠けるため、実用に適し
たフィルムが得られていない。特に、ポリ乳酸系フィル
ムの未延伸フィルムは、前記特性が悪いため、一軸また
は二軸方向に延伸することにより改善することが試みら
れているが、延伸フィルムにおいても実用面では強度、
柔軟性および耐衝撃性の点において改善が求められてい
た。
【0005】ポリ乳酸系フィルムの柔軟性や耐衝撃性を
改善するために、乳酸と脂肪族エステルとの共重合体か
らなる延伸フィルムが提案されているが(特開平7−3
00520号公報)、強度、耐熱性、強靭性などは改良
されるものの、得られたフィルムの伸度は35%程度
(実施例)であり、柔軟性が不十分であった。
【0006】また、ポリ乳酸系重合体とガラス転移点が
0℃以下である生分解性脂肪族ポリエステルとからなる
シートを用いて真空成形したカップが耐衝撃性に優れる
ことが示されているが(特開平9−111107号公
報)、厚みの薄いフィルムでは、衝撃強度は実用上不十
分であった。
【0007】さらには、延伸処理することなく柔軟性を
改良する方法として、ポリ乳酸と脂肪族ポリエステルか
なる組成物に多官能イソシアネート化合物を反応させた
組成物の提案がなされているが(特開平10−1775
6号公報)、本来剛性の高いポリマーであるポリ乳酸成
分の比率が高い場合には柔軟化には限界があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
に従来のポリ乳酸系フィルムでは困難であった、フィル
ムの厚みが薄い場合でも、また、未延伸のフィルムにお
いても、強度、柔軟性および耐衝撃性を兼ね備えた、生
分解性を有するポリ乳酸系フィルムを提供しようとする
ものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究を
重ねた結果、ポリ乳酸に特定の脂肪族ポリエステルと可
塑剤を特定の割合で配合したポリマーを用いて製造した
フィルムが、上記課題を解決できることを見出し本発明
に到達した。すなわち、本発明の要旨は次の通りであ
る。
【0010】(1)ポリ乳酸(A)95〜60重量部、ガ
ラス転移点が0℃以下である生分解性脂肪族ポリエステ
ル(B)5〜40重量部、および、(A)成分と(B)成分の合
計100重量部に対し、可塑剤(C)5〜30重量部の含
有比率を有するポリマーからなるポリ乳酸系フィルム。
(2)ポリ乳酸(A)95〜60重量部、ガラス転移点が
0℃以下である生分解性脂肪族ポリエステル(B)5〜4
0重量部、および、(A)成分と(B)成分の合計100重量
部に対し、可塑剤(C)5〜30重量部の含有比率を有す
るポリマーを加熱溶融した後、インフレーション法によ
り製造するポリ乳酸系フィルムの製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明において用いられる、ポリ乳酸(A)として
は、乳酸の構造単位がL−乳酸であるポリL−乳酸、構
造単位がD−乳酸であるポリD−乳酸、さらにはL−乳
酸とD−乳酸の共重合体であるポリDL−乳酸、または
これらの混合体であり、数平均分子量は9万〜11万が
好ましい。
【0012】ポリ乳酸の相対粘度は、溶媒としてフェノ
ール/1,1,2,2,−テトラクロロエタン(重量比
1/1)の混合溶媒を用い、温度20℃、濃度0.5g/
dlの条件で測定した値が2.0〜2.5の範囲にあるこ
とが好ましい。また、ポリ乳酸の融点は、L体、D体の
モル比によって異なるが、140〜175℃の範囲のも
のが好ましい。
【0013】また、ポリ乳酸の分子量を増大させるため
に、少量の鎖長延長剤、たとえば、ビスオキサゾリン化
合物、ジイソシアネート化合物、エポキシ化合物、酸無
水物などを用いることができる。
【0014】本発明において用いられる、ガラス転移点
が0℃以下の生分解性脂肪族ポリエステル(B)として
は、ポリ乳酸系重合体を除く生分解性脂肪族ポリエステ
ル、たとえば、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を
縮合して得られる脂肪族ポリエステル、環状ラクトン類
を開環重合した脂肪族ポリエステル、合成系脂肪族ポリ
エステルなどが挙げられる。
【0015】脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を縮
合して得られる脂肪族ポリエステルとしては、エチレン
グリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロ
ヘキサンジメタノールなどの脂肪族ジオールと、コハク
酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二
酸などの脂肪族ジカルボン酸の中から、それぞれ1種類
以上選んで縮合重合することにより得られる。必要に応
じてイソシアネート化合物などを共重合して所望のポリ
マーを得ることができる。
【0016】環状ラクトン類を開環重合した脂肪族ポリ
エステルとしては、環状モノマーであるε−カプロラク
トン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラ
クトンなどが代表的な化合物として挙げられ、これらか
ら1種類以上を選んで重合される。
【0017】合成系脂肪族ポリエステルとしては、環状
酸無水物とオキシラン類、たとえば、無水コハク酸とエ
チレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどとの共重
合体などが挙げられる。
【0018】本発明における、ガラス転移点が0℃以下
の生分解性脂肪族ポリエステルとして特に好ましく用い
られるものは、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸と
を縮合して得られる脂肪族ポリエステルであり、その具
体例としては、ポリエチレンアジペート、ポリプロピレ
ンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキシル
アジペート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレン
サクシネートアジペートなどが挙げられる。
【0019】本発明において用いられる可塑剤(C)とし
ては、(A)成分、(B)成分に対して相溶し、かつ、不揮発
性であり、環境問題などの観点から無毒性で、さらにF
DAに合格しているものが好ましい。可塑剤の具体例と
しては、例えば、ジ−n−オクチルフタレート、ジ−2
−エチルヘキシルフタレート、ジベンジルフタレートな
どのフタル酸誘導体、ジイソノニルアジペート、ジ−n
−アルキル(C−6,8,10)アジペート、ジ−n−
ブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジ−2−エ
チルヘキシルアジペートなどのアジピン酸誘導体、ジ−
n−ブチルマレートなどのマレイン酸誘導体、トリエチ
ルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチル
トリエチルシトレート、アセチルトリ−n−ブチルシト
レート、アセチルトリ−(2−エチルヘキシル)シトレ
ートなどのクエン酸誘導体、モノブチルイタコネートな
どのイタコン酸誘導体、グリセリンモノリシノレートな
どのリシノール酸誘導体、トリクレジルフォスフェート
などのリン酸エステル系可塑剤、エポキシ化大豆油、エ
ポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸エステルなど
のエポキシ系可塑剤、グリセリン多価アルコールの酢酸
誘導体、乳酸、直鎖状乳酸オリゴマー、環状乳酸オリゴ
マーまたはラクチド、ε−カプロラクトンなどが挙げら
れ、特に好ましく用いられるのは、トリ−n−ブチルシ
トレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルト
リ−n−ブチルシトレート、アセチルトリ−(2−エチ
ルヘキシル)シトレートなどのクエン酸誘導体、ジイソ
ノニルアジペート、ジ−n−アルキル(C−6,8,1
0)アジペート、ジ−n−ブチルアジペートなどのアジ
ピン酸誘導体、エポキシ化大豆油、ε−カプロラクトン
である。また、これら可塑剤は2種以上混合して使用し
てもよい。
【0020】本発明のフィルムは、ポリ乳酸(A)95〜
60重量部、さらに好ましくは90〜70重量部、ガラ
ス転移点が0℃以下である生分解性脂肪族ポリエステル
(B)5〜40重量部、さらに好ましくは10〜30重量
部、および、(A)成分と(B)成分の合計100重量部に対
し、可塑剤(C)5〜30重量部、さらに好ましくは10
〜20重量部の含有比率を有するポリマーからなる。ポ
リ乳酸(A)が95重量部よりも多いと、柔軟性や耐衝撃
性が改善されないため、袋状物にした場合、ポリ乳酸に
由来する硬さと脆さのため、折り目箇所での割れや裂け
が生じやすくなるという問題が生じる。また、ポリ乳酸
(A)が60重量部未満になると、元来(A)成分と(B)成分
は非相溶性であるため、フィルムを成形した場合、溶融
張力の低下やスウェル現象など非相溶による原因により
製膜が困難となる。
【0021】また、可塑剤(C)の配合量は、(A)成分と
(B)成分との合計100重量部に対して5〜30重量部
とすることが必要である。(C)成分が5重量部未満で
は、たとえ(A)成分に(B)成分を配合してもフィルムの柔
軟性が実用的に不十分となる。また、(C)成分が30重
量部よりも多く加えると、フィルム表面へのブリードア
ウトが激しくなり、捲き取り後のフィルムにブロッキン
グ現象が生じて実用的に大きな問題となる。したがっ
て、フィルムの製膜性と、得られるフィルムの柔軟性と
耐衝撃性を向上させるためには上記の範囲であることが
必要である。
【0022】本発明のフィルムは、厚さ50μmのフィ
ルムの衝撃強度が4.0Kgf・cm以上であることが
好ましい。衝撃強度が4.0Kgf・cm未満の場合に
は、たとえば、袋にして内容物を入れた場合、袋が脆く
も裂けてしまい実用に耐えない。
【0023】本発明のフィルムには、滑剤やアンチブロ
ッキング剤を単独あるいは併用して配合することが可能
である。滑剤の種類は特に限定されないが、例えば、シ
リカ、タルク、炭酸カルシウムなどの無機物系滑剤、流
動パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、天然パ
ラフィン、合成パラフィン、ポリエチレンなどの脂肪族
炭化水素系滑剤、ステアリン酸、ラウリル酸、ヒドロキ
システアリン酸、硬化ひまし油などの脂肪酸系滑剤、ス
テアリン酸アマイド、オレイン酸アマイド、エルカ酸ア
マイド、ラウリン酸アマイド、エチレンビスステアリン
酸アマイド、エチレンビスオレイン酸アマイド、エチレ
ンビスラウリン酸アマイドなどの脂肪酸アマイド系滑
剤、ステアリン酸アルミ、ステアリン酸鉛、ステアリン
酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムなどの炭素数
12〜30の脂肪酸金属塩である金属石鹸系滑剤、グリ
セリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルなど
の多価アルコールの脂肪酸(部分)エステル系滑剤、ス
テアリン酸ブチルエステル、モンタンワックスなどの長
鎖エステルワックスなどの脂肪酸エステル系滑剤、また
はこれらを複合した複合滑剤などが挙げられる。
【0024】滑剤の配合量は、得られるフィルムの機械
的物性などを著しく損なわない範囲で添加されるが、通
常、フィルムを構成するポリマー100重量部に対し
て、0.1〜2重量部添加される。
【0025】アンチブロッキング剤としては特に限定さ
れないが、たとえば、シリカ、炭酸カルシウム、チタニ
ア、マイカ、タルク、ガラスビーズなどが挙げられる。
これらの内、得られるフィルムの透明性の観点から平均
粒径5〜50μmのシリカまたはガラスビーズが好まし
い。アンチブロッキング剤の配合量は、フィルムを構成
するポリマー100重量部に対し、0.1〜5重量部が
好ましい。
【0026】滑剤とアンチブロッキング剤を併用する場
合、その配合量はフィルムを構成するポリマー100重
量部に対し、滑剤とアンチブロッキング剤の総量が0.
2〜7重量部程度がフィルムの耐候性の持続性、製膜
性、外観性能において好ましい。
【0027】また、本発明のフィルムには、紫外線防止
剤、光安定剤、防曇剤、防霧剤、帯電防止剤、難燃剤、
着色防止剤、酸化防止剤、充填剤、顔料などの他の添加
剤も添加できる。
【0028】本発明のフィルムは、未延伸フィルムとし
て、フィルム状あるいはスリットした形状で使用するこ
ともできるし、また未延伸フィルムを真空成形等により
各種の形状に加工することもできる。また、未延伸フィ
ルムをロール延伸法やテンター法、チューブラ法などを
用いて、一軸ないし二軸延伸して各種の用途に用いるこ
とができる。
【0029】本発明のフィルムの製膜方法としては、通
常のTダイ法やインフレーション法を用いることができ
るが、インフレーション法は安定した製膜性が得られる
点で好ましい。
【0030】次に、本発明のフィルムをインフレーショ
ン法により製造する方法について記載する。まず、ポリ
乳酸(A)とガラス転移点が0℃以下の生分解性脂肪族ポ
リエステル(B)および可塑剤(C)を混合し、押出機に投入
し、溶融したポリマーを丸ダイから円筒状に引き上げ、
空冷しながら同時に風船状に膨らまして製膜する方法、
あるいは、丸ダイより溶融ポリマーを円筒状に冷却水と
ともに下方へ押出した後一旦折り畳み、それを上方へ引
き上げ、次いで加熱しながら風船状に膨らまして製膜す
ることができる。押出機中におけるポリマーの溶融温度
は、ポリ乳酸のL−乳酸とD−乳酸の組成比、(B)成分
の融点や配合量および(c)成分の配合量を考慮して適
時選択されるが、通常、180〜250℃の温度範囲で
ある。
【0031】原料として用いるポリマーは、(A)成
分、(B)成分、(C)成分を混合して押出機中に投入
しそのまま口金より押出してフィルムを作成する方法、
あるいは、ストランド形状に押出して一旦溶融混合した
組成のペレットを得た後、再度そのペレットを押出機に
投入して溶融しフィルムを製造する方法を用いることが
できる。また、この際、直接あるいは予めマスターバッ
チ化した滑剤やアンチブロッキング剤などの添加剤を添
加してもよい。なお、(A)成分や(B)成分は十分乾燥
し、水分除去した後、押出機で溶融することが必要であ
る。
【0032】
【作用】本発明のポリ乳酸系フィルムは、(A)成分、(B)
成分、(C)成分を同時に配合することにより得られるも
のであるが、(A)成分に、(B)成分あるいは(C)成分のど
ちらか一方のみを配合した2成分系の場合に比べて、フ
ィルムの柔軟性、衝撃強度を改良できた理由は明らかで
はないが、2成分系のフィルムのガラス転移点が室温よ
り高い温度であるのに対し、本発明における3成分系の
フィルムのガラス転移点は室温付近まで降下すること、
および、(C)成分の存在が、(A)成分、(B)成分をそれぞ
れ柔軟化すると同時に、(A)成分と(B)成分の相互作用を
強める働きをするために、フィルムの室温での延伸性と
靭性を発現させ、衝撃強度を改良できたものと推定され
る。
【0033】
【実施例】次に実施例により本発明をさらに具体的に説
明する。なお、実施例及び比較例において用いた原料お
よび各物性値の測定法は次の通りである。 (1)原料 ポリ乳酸:カーギル・ダウ・ポリマーズ社製、EcoP
LA4040D 融点150℃、ガラス転移点59℃、相対粘度2.2
0、数平均分子量10万生分解性脂肪族ポリエステル:
昭和高分子社製、ビオノーレ#3001融点94℃、ガ
ラス転移点−45℃ 可塑剤:アセチルトリ−n−ブチルシトレート(ATB
C、協和発酵社製)沸点343℃ 滑剤:富士デビソン社製、サイリア(登録商標)、粒径
1.6μm (2)測定法 (1)ガラス転移点 PERKIN ELMER社製、示差走査熱量計DSC-7により窒素雰
囲気下、昇温速度10℃/minで測定した。 (2)引張強度 ASTM D882に準じて測定した。 (3)引張伸度 ASTM D882に準じて測定した。 (4)衝撃強度 東洋精機製作所社製、フィルムインパクトテスターによ
り、20℃×65RH%の雰囲気下で、厚み50μmの
フィルムについて測定した。
【0034】実施例1 ポリ乳酸(A)85重量部、ビオノーレ#3001(B)15
重量部、ATBC(C)15重量部、滑剤としてシリカ
0.2重量部をシリンダー内径30mmの二軸押出機(池
貝鉄工社製、PCM-45)を用いて、温度220℃で溶融
混練した。続いて、ストランド形状に押し出した後、裁
断してペレットを得た。次いで、このペレットをシリン
ダー内径50mmの押出機(L/D=28、一軸押出機)を用
い、丸ダイ(200mmφ、リップ間隙1mm)より、温度
200℃で溶融押出した後、吹き上げ式のインフレーシ
ョン法により、フィルム厚み50μm、織り幅450mm
のインフレーションフィルムを得た。得られたフィルム
の物性値を表1に示す。実施例1〜5で得られたインフ
レーションフィルムは、引張強伸度および衝撃強度のい
ずれの物性についても優れた値を有していた。
【0035】実施例2〜5、比較例1〜7 (A)、(B)および(C)成分の配合量を表1に示すように変
えた他は、実施例1と同様にしてインフレーションフィ
ルムを得た。得られたインフレーションフィルムの物性
値を表1に示す。実施例2〜5で得られたインフレーシ
ョンフィルムは、引張強伸度および衝撃強度のいずれの
物性についても優れた値を有していた。比較例1では、
ガラス転移点が室温付近まで低下したが、(B)成分が配
合されていないため、得られたフィルムは靭性に劣り、
衝撃強度が低かった。比較例2では、(C)成分が配合さ
れておらず、得られるフィルムの柔軟性は改善されてい
るものの、依然として脆い状態で、衝撃強度も低かっ
た。比較例3はポリ乳酸のみからなるフィルムであるた
め、非常に脆く、衝撃強度も劣ったフィルムであった。
比較例4は、(C)成分が少なすぎるため、可塑化効果が
不十分であり、衝撃強度は低かった。比較例5は、(C)
成分が多すぎるため、(C)成分のフィルム表面へのブリ
ードアウトが生じて、フィルムロールのブロッキング現
象が著しく、実用性能を有するフィルムロールを得るこ
とができなかった。比較例6は、(B)成分が少なすぎる
ため、比較例1と同様に、得られたフィルムは靭性に劣
り、衝撃強度が低かった。比較例7は、(B)成分が多す
ぎるため、(A)成分との間で相分離を生じ、得られるフ
ィルムの強度は非常に低く、実用性能を有していなかっ
た。
【0036】
【表1】
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、従来のポリ乳酸系フィ
ルムよりも、ポリ乳酸のガラス転移点を大幅に降下させ
ることができるため、ポリ乳酸の欠点であった室温で硬
くて脆い性質を改良でき、耐衝撃性にも優れた実用に耐
えるフィルムが提供される。また、このフィルムは生分
解性であり、自然環境下で分解するため、ゴミ袋、コン
ポストバッグ、肥料袋、米袋などの袋類、新聞・雑誌包
装、野菜包装、食品包装などの包装分野、施設園芸ハウ
スの外張り用・内張り用、トンネルハウス用、マルチ栽
培用フィルムなどの農業用フィルム、果実や野菜類の吊
り紐、結束用の紐、梱包バンド、その他工業用途に適用
することが可能となり、ゴミ、廃棄の問題を有さない地
球に優しい実用的なフィルムとして極めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA42 AA44 AA86 AC04 AC09 AC10 AE04 AE11 AF52 AH04 BA01 BB09 BC01 4J002 CD163 CF032 CF181 EH036 EH076 EH096 EH106 EH146 EW046 FD023 FD026 FD170

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリ乳酸(A)95〜60重量部、ガラス
    転移点が0℃以下である生分解性脂肪族ポリエステル
    (B)5〜40重量部、および、(A)成分と(B)成分の合計
    100重量部に対し、可塑剤(C)5〜30重量部の含有
    比率を有するポリマーからなるポリ乳酸系フィルム。
  2. 【請求項2】 ポリ乳酸(A)90〜70重量部、ガラス
    転移点が0℃以下である生分解性脂肪族ポリエステル
    (B)10〜30重量部、および、(A)成分と(B)成分の合
    計100重量部に対し、可塑剤(C)10〜20重量部の
    含有比率を有するポリマーからなる請求項1記載のポリ
    乳酸系フィルム。
  3. 【請求項3】 フィルムの衝撃強度が、厚さ50μm当
    たり4.0Kgf・cm以上である請求項1又は2記載
    のポリ乳酸系フィルム。
  4. 【請求項4】 ポリ乳酸(A)95〜60重量部、ガラス
    転移点が0℃以下である生分解性脂肪族ポリエステル
    (B)5〜40重量部、および、(A)成分と(B)成分の合計
    100重量部に対し、可塑剤(C)5〜30重量部の含有
    比率を有するポリマーを加熱溶融した後、インフレーシ
    ョン法により製造するポリ乳酸系フィルムの製造方法。
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