JP2016190950A - 樹脂組成物および樹脂成形体 - Google Patents

樹脂組成物および樹脂成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】成型体にした場合に、難燃性を有しつつ、ブリードの発生が抑制される樹脂組成物を提供する。【解決手段】樹脂組成物全量に対して75質量%以上95質量%以下であるポリ乳酸樹脂と、樹脂組成物全量に対して2質量%以上10質量%以下である、構造中にリン酸基、硫酸基、亜硫酸基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する難燃剤と、樹脂組成物全量に対して0.1質量%以上7質量%以下である、カルボジイミド基を有し、かつ2つ以上の官能基を有する多官能性化合物と、樹脂組成物全量に対して0.1質量%以上5質量%以下である、グリセリン脂肪酸エステルまたはアジピン酸エステルから選択される少なくとも1つの化合物と、を含む樹脂組成物である。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物および樹脂成形体に関する。
従来、電気製品や電子・電気機器の部品には、ポリスチレン、ポリスチレン−ABS樹脂共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド、ポリアセタール等の高分子材料が、耐熱性、機械強度、特に、電子・電気機器の部品の場合には、環境変動に対する機械強度の維持性に優れることから用いられてきた。
一方、近年では、環境問題の観点から、上述の高分子材料に代えて、植物由来の材料であり、CO排出量が少なく、枯渇資源である石油の使用量が少なく、環境負荷が少ないポリ乳酸系樹脂材料を用いる検討がなされている。
例えば、特許文献1には、ポリ乳酸と、構造中にリン酸基、硫酸基、亜硫酸基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する固体の難燃剤と、カルボジイミド基を有する多官能性化合物と、結晶核剤と、を含む樹脂組成物が記載されている。
特開2013−124355号公報
本発明の目的は、ポリ乳酸樹脂と、構造中にリン酸基、硫酸基、亜硫酸基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する難燃剤と、カルボジイミド基を有し、かつ2つ以上の官能基を有する多官能性化合物と、グリセリン脂肪酸エステルまたはアジピン酸エステルから選択される少なくとも1つの化合物とを下記範囲で含まない場合に比較して、成型体にした場合に、難燃性を有しつつ、ブリードの発生が抑制される樹脂組成物およびその樹脂組成物を用いて得られる樹脂成形体を提供することである。
請求項1に係る発明は、樹脂組成物全量に対して75質量%以上95質量%以下であるポリ乳酸樹脂と、樹脂組成物全量に対して2質量%以上10質量%以下である、構造中にリン酸基、硫酸基、亜硫酸基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する難燃剤と、樹脂組成物全量に対して0.1質量%以上7質量%以下である、カルボジイミド基を有し、かつ2つ以上の官能基を有する多官能性化合物と、樹脂組成物全量に対して0.1質量%以上5質量%以下である、グリセリン脂肪酸エステルまたはアジピン酸エステルから選択される少なくとも1つの化合物と、を含む樹脂組成物である。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の樹脂組成物を用いて得られる樹脂成形体である。
請求項1に係る発明によると、ポリ乳酸樹脂と、構造中にリン酸基、硫酸基、亜硫酸基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する難燃剤と、カルボジイミド基を有し、かつ2つ以上の官能基を有する多官能性化合物と、グリセリン脂肪酸エステルまたはアジピン酸エステルから選択される少なくとも1つの化合物とを上記範囲で含まない場合に比較して、成型体にした場合に、難燃性を有しつつ、ブリードの発生が抑制される樹脂組成物が提供される。
請求項2に係る発明によると、ポリ乳酸樹脂と、構造中にリン酸基、硫酸基、亜硫酸基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する難燃剤と、カルボジイミド基を有し、かつ2つ以上の官能基を有する多官能性化合物と、グリセリン脂肪酸エステルまたはアジピン酸エステルから選択される少なくとも1つの化合物とを上記範囲で含まない場合に比較して、難燃性を有しつつ、ブリードの発生が抑制される樹脂成形体が提供される。
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
[樹脂組成物]
本実施形態に係る樹脂組成物は、(A)ポリ乳酸樹脂と、(B)構造中にリン酸基、硫酸基、亜硫酸基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する難燃剤と、(C)加水分解抑制剤として、カルボジイミド基を有し、かつ2つ以上の官能基を有する多官能性化合物と、(D)可塑剤として、グリセリン脂肪酸エステルまたはアジピン酸エステルから選択される少なくとも1つの化合物と、を含む。
本実施形態に係る樹脂組成物において、(A)ポリ乳酸樹脂の含有量は、樹脂組成物全量に対して75質量%以上95質量%以下であり、(B)構造中にリン酸基、硫酸基、亜硫酸基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する難燃剤の含有量は、樹脂組成物全量に対して2質量%以上10質量%以下であり、(C)カルボジイミド基を有し、かつ2つ以上の官能基を有する多官能性化合物の含有量は、樹脂組成物全量に対して0.1質量%以上7質量%以下であり、(D)グリセリン脂肪酸エステルまたはアジピン酸エステルから選択される少なくとも1つの化合物の含有量は、樹脂組成物全量に対して0.1質量%以上5質量%以下である。
本実施形態に係る樹脂組成物は、(B)難燃剤が樹脂組成物全量に対して2質量%以上10質量%以下という少量の添加量において、上記(A)〜(D)の成分の組み合わせにより、成型体にした場合に、難燃性を有しつつ、ブリード(染み出し)の発生が抑制される。成形体のドリップ性(燃焼のときの粘性)を制御することによって、従来技術では難しかった、75質量%以上のポリ乳酸樹脂を主原料とする樹脂材料において、V2以上の高難燃性を維持したまま、この構成で予測できなかったレベルまで、難燃剤に起因するブリードの発生が抑制され、さらには高温成形の際のバリ(突起)発生が抑制される。この理由は定かではないが、難燃性に関しては、難燃剤添加によるリンや硫酸等による消炎効果に加え、後述する(A)ポリ乳酸樹脂、(B)難燃剤、(C)加水分解抑制剤間の結合による粘度増加と、(D)可塑剤による粘度低減により、燃焼のときの溶融粘度が調整され、燃焼のときにドリップしやすくなったと推測される。さらに(B)難燃剤であるポリリン酸アンモニウムや、硝酸メラニンは、燃焼のときに発泡するため、その発泡効果により、樹脂内部に発泡断熱層が形成され、炎の熱を遮断するとともに、燃焼のときのドリップも促進していることが推測される。バリ発生の抑制に関しては上記増粘効果によるもの、ブリード発生の抑制に関しては難燃剤の添加量を低減したことに起因されると推測される。(B)難燃剤の添加量が上記量より多いと、難燃剤に起因するブリード発生の懸念がある。また、ポリ乳酸樹脂以外の添加剤の添加量が多いと、植物由来成分が少なくなり環境負荷度が高くなる。
本実施形態に係る樹脂組成物を成型体にした場合の、燃焼のときの最適な溶融粘度については定かではないが、スラスト式のレオメータにより測定される溶融粘度が、2000Pa/s以上7000Pa/s(180℃、1Hz、1%)の範囲に収まることが理想と推定される。
<(A)ポリ乳酸樹脂>
本実施形態に係る樹脂組成物は、樹脂成分として、ポリ乳酸樹脂を含む。ポリ乳酸樹脂は、植物由来であり、環境負荷の低減、具体的にはCOの排出量削減、石油等の枯渇性資源の使用量の削減効果がある。ポリ乳酸樹脂としては、乳酸の縮合体であれば、特に限定されるものではなく、ポリ−L−乳酸(以下「PLLA」ともいう)であっても、ポリ−D−乳酸(以下「PDLA」ともいう)であっても、それらが共重合やブレンドにより交じり合ったものでもよく、さらに、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸とを混合したものであり、これらのらせん構造が噛み合った耐熱性の高い、ステレオコンプレックス型ポリ乳酸(以下「SC−PLA」ともいう)であってもよい。
共重合体あるいは混合体におけるポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸の成分比(モル比の割合%)は特に制限はないが、鏡像異性体の純度が高い方が結晶化度が高く、耐熱性が高等の点から、L−乳酸/D−乳酸として、50/50以上99.99/0.01以下の範囲であることが好ましい。L−乳酸/D−乳酸が、50/50未満であると、成形体にした場合に機械的特性が低下する場合があり、99.99/0.01を超えると、コストが増加する場合がある。
ポリ乳酸樹脂は、合成したものを用いてもよいし、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、ユニチカ(株)製の「テラマックTE4000」、「テラマックTE2000」、「テラマックTE7000」、ネイチャーワークス社製の「Ingeo3251D」、「Ingeo3001D」、「Ingeo4032D」、浙江海正生物材料製の「REVODE110」、「REVODE190」等が挙げられる。また、ポリ乳酸樹脂は、1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
ポリ乳酸樹脂としては、植物由来のエチレングリコール、ジブタノール等の乳酸以外の他の共重合成分を含んでもよい。このような共重合成分は、全単量体成分中、通常1モル%以上50モル%以下の含有量とすればよい。また、ポリ乳酸樹脂としては、変性したものを用いてもよく、例えば、無水マレイン酸変性ポリ乳酸、エポキシ変性ポリ乳酸、アミン変性ポリ乳酸等を用いてもよい。
本実施形態に係る樹脂組成物において、(A)ポリ乳酸樹脂の含有量は、樹脂組成物全量に対して75質量%以上95質量%以下であり、樹脂組成物全量に対して85質量%以上95質量%以下であることが好ましい。(A)ポリ乳酸樹脂の含有量が、樹脂組成物全量に対して75質量%未満では、植物度が低下して環境負荷が大きくなり、一方、樹脂組成物全量に対して95質量%を超えると、樹脂組成物に対して難燃性を付与し難くなり、また、バリが発生しやすくなる。
ポリ乳酸樹脂の分子量は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、ポリ乳酸樹脂の重量平均分子量は、8,000以上200,000以下の範囲であることが好ましく、15,000以上120,000以下の範囲であることがより好ましい。ポリ乳酸樹脂の重量平均分子量が8,000未満の場合、樹脂組成物の燃焼速度が速くなり、成型体にした場合に、低温での機械的強度が低下する傾向があり、一方、ポリ乳酸樹脂の重量平均分子量が200,000を超える場合には、成型体にした場合に柔軟性が低下し、難燃性が低下する傾向にある。
樹脂組成物中におけるポリ乳酸樹脂の重量平均分子量は、樹脂組成物を液体窒素雰囲気下で冷却してその表面から測定用試料を削り取り、測定用試料を重水素化クロロホルムに0.1質量%の濃度で溶解させ、ゲルパーミッションクロマトグラフにて、分離されたポリ乳酸について測定した重量平均分子量を意味する。また、測定には、ゲルパーミッションクロマトグラフとして、東ソー社製「HLC−8220GPC」が用いられる。
<(B)難燃剤>
本実施形態に係る樹脂組成物は、難燃剤として、構造中にリン酸基、硫酸基、亜硫酸基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する化合物を含む。(B)難燃剤は、樹脂に難燃性を付与するとともに、構造中のリン酸基、硫酸基、亜硫酸基といった官能基が、加水分解抑制剤のカルボジイミド基と結合する。本実施形態において用いられる(B)難燃剤は、例えば200℃で固体である難燃剤である。構造中に官能基としてリン酸基を有する固体の難燃剤としては、例えば、ポリリン酸アンモニウムが挙げられ、例えば、「Exolit AP422」(クラリアントGmbH製、商品名)、「Exolit AP462」(クラリアントGmbH製、商品名)、「FR CROS 484」(ブーテンハイム・イベリカ社製、商品名)、「テラージュS10」(チッソ株式会社製、商品名)等が挙げられる。また、構造中に官能基としてリン酸基を有する固体の難燃剤としては、ポリリン酸メラミンが挙げられ、例えば、「MPP−A」(株式会社三和ケミカル製、商品名)等が挙げられる。
ここで、「Exolit AP422」(商品名)は、式(NHPO)n(式中、nは200から1000)であり、自動流動性の粉末状で、かつ水に対する溶解性が低いポリリン酸アンモニウムである。また、「Exolit AP462」(商品名)は、「Exolit AP422」をメラミン樹脂を用いてマイクロカプセル化したものである。また、「FR CROS 484」(商品名)は、体積平均粒子径(d50)が18μmのポリリン酸アンモニウム(II型)であり、ポリリン酸アンモニウム(II型)とは、多くの架橋や分岐を有する重合度1000以上の高分子ポリリン酸アンモニウムで、高い分解温度と低い水溶性を合わせ持つ。「テラージュS10」(商品名)は、上述のII型ポリリン酸アンモニウムである。
また、構造中に官能基として硫酸基を有する固体の難燃剤としては、例えば、硫酸メラミンである「アピノン901」(株式会社三和ケミカル製、商品名)、硫酸グアニジン、硫酸、硫酸エチルアミン、硫酸ピリジン等が挙げられる。
また、構造中に官能基として亜硫酸基を有する固体の難燃剤としては、亜硫酸アミン系の化合物が挙げられる。
(B)難燃剤は、1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
本実施形態に係る樹脂組成物において、(B)難燃剤の含有量は、樹脂組成物全量に対して2質量%以上10質量%以下であり、樹脂組成物全量に対して5質量%以上10質量%以下であることが好ましい。(B)難燃剤の含有量が、樹脂組成物全量に対して2質量%未満の場合、成形体にした場合の難燃性が低下する。一方、(B)難燃剤の含有量が、樹脂組成物全量に対して10質量%を超えると、成形体にした場合にブリードが発生する可能性が高くなり、また、ポリ乳酸樹脂の割合が低下するため、植物度が低下して環境負荷が大きくなる。
<(C)加水分解抑制剤>
本実施形態に係る樹脂組成物は、加水分解抑制剤として、カルボジイミド基を有し、かつ2つ以上の官能基を有する多官能性化合物を含む。この(C)加水分解抑制剤は、通常、ポリ乳酸樹脂のエステル結合分解の抑制や、末端封止等に用いられるが、本実施形態で用いられる(C)加水分解抑制剤は、カルボジイミド基を介して、ポリ乳酸樹脂のカルボン酸基と難燃剤のリン酸基、硫酸基、亜硫酸基といった官能基とを結合させるバインダとなり、成形体にした場合の溶融粘度を向上させると考えられる。本実施形態において用いられる多官能性化合物は、分子中に「−N=C=N−」で表されるカルボジイミド基を有し、(A)ポリ乳酸樹脂の末端基(例えば、カルボキシル基、水酸基等)や(B)難燃剤の上述した官能基と反応する官能基を2つ以上有する化合物である。
ポリ乳酸樹脂の末端基と反応する官能基を有する多官能性化合物としては、ジカルボジイミド化合物やポリカルボジイミド化合物等が挙げられ、ジカルボジイミド化合物としては、例えば、脂肪族ジカルボジイミド、芳香族ジカルボジイミド等が挙げられる。
上述したジカルボジイミド化合物、および、ポリカルボジイミドは、1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。ジカルボジイミド化合物としては、例えば、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド等が挙げられる。ジカルボジイミド化合物、および、ポリカルボジイミド化合物としては、例えば、「スタバクゾール 1−LF」(ラインケミー社製、商品名)、「カルボジライト HMV−8CA」、「カルボジライト LA1」(以上、日清紡ケミカル社製、商品名)等が挙げられる。ここで、「スタバクゾール 1−LF」は、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、「カルボジライト HMV−8CA」は水素添加メチレンジフェニルジイソシアネートを原料とするポリカルボジイミド、「カルボジライト LA1」は多官能性化合物であるポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)である。
本実施形態における(C)カルボジイミド基を有する多官能性化合物の含有量は、樹脂組成物全量に対して0.1質量%以上7質量%以下であり、樹脂組成物全量に対して0.3質量%以上5質量%以下であることが好ましい。(C)カルボジイミド基を有する多官能性化合物の含有量が、樹脂組成物全量に対して0.1質量%未満の場合、成形体にした場合の難燃性が低下する。一方、(C)カルボジイミド基を有する多官能性化合物の含有量が、樹脂組成物全量に対して7質量%を超えると、樹脂組成物の流動性が悪化して成形が困難となり、また、ポリ乳酸樹脂の割合が低下するため、植物度が低下して環境負荷が大きくなる。
<(D)可塑剤>
本実施形態に係る樹脂組成物は、可塑剤として、グリセリン脂肪酸エステルまたはアジピン酸エステルから選択される少なくとも1つの化合物を含む。この(D)可塑剤は、ポリ乳酸樹脂に可塑性を付与することによって、燃焼のときの樹脂の溶融粘度を下げ、ドリップによる消炎を促進する効果があると考えられる。ただし、(D)可塑剤の量が多すぎると、ブリードの発生や、バリの発生を促進する可能性がある。グリセリン脂肪酸エステルの中でも、バリの発生を抑制する観点から、ジグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。
ジグリセリン脂肪酸エステルは、ジグリセリンと脂肪酸とのエステルである。脂肪酸としては、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキン酸、アラキドン酸、イコサペンタエン酸、ガドレン酸、ベヘニン酸、エルカ酸、リグノセリン酸、セラコレイン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、セロプラスチン酸、リシノレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸が挙げられる。また、これらの脂肪酸を含有する天然油脂由来の混合脂肪酸でもよい。天然油脂としては例えば、アマニ油、エノ油、オイチシカ油、オリーブ油、カカオ油、カポック油、白カラシ油、ゴマ油、コメヌカ油、サフラワー油、シアナット油、シナキリ油、大豆油、茶実油、ツバキ油、コーン油、ナタネ油、パーム油、パーム核油、ひまし油、ひまわり油、綿実油、ヤシ油、木ロウ、落花生油等の植物性油脂、馬脂、牛脂、牛脚脂、牛酪脂、豚脂、山羊脂、羊脂、乳脂、魚油、鯨油等の動物性油脂等が挙げられる。これらの中でも相溶性の点から、炭素数6以上22以下の脂肪酸または炭素数6以上22以下の脂肪酸を含む天然油脂由来の混合脂肪酸が好ましい。ポリグリセリン脂肪酸エステルのエステル化度、すなわちエステル化前のグリセリンの水酸基の数に対するエステル化された水酸基の数の割合は特に限定されないが、全ての水酸基がエステル化されていないことが好ましい。
アジピン酸エステルは、アジピン酸とアルコールとのエステルである。アルコールとしては、例えば、オキソアルコール、イソノニルアルコール、イソデシルアルコール等が挙げられる。
上述した可塑剤は、1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。また、ジグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、「リケマール S−74」、「リケマール S−71−D」(以上、理研ビタミン株式会社製、商品名)等が挙げられ、アジピン酸エステルとしては、「DAIFATTY 101」(大八化学社製、商品名)等が挙げられる。
本実施形態における(D)可塑剤の含有量は、樹脂組成物全量に対して0.1質量%以上5質量%以下であり、樹脂組成物全量に対して0.3質量%以上3質量%以下であることが好ましい。(D)可塑剤の含有量が、樹脂組成物全量に対して0.1質量%未満の場合、成形体にした場合の難燃性が低下する。一方、(D)可塑剤の含有量が、樹脂組成物全量に対して5質量%を超えると、成形体にした場合の難燃性が低下し、ブリードが発生し、高温成形の際にバリが発生する可能性が高くなり、また、ポリ乳酸樹脂の割合が低下するため、植物度が低下して環境負荷が大きくなる。
<(E)結晶核剤>
本実施形態に係る樹脂組成物は、結晶核剤を含んでもよい。結晶核剤としては、一般にポリマの結晶核剤として用いられるものを特に制限なく用いてもよく、無機系結晶核剤および有機系結晶核剤のいずれを使用してもよい。無機系結晶核剤の具体例としては、タルク、カオリナイト、モンモリロナイト、合成マイカ、クレー、ゼオライト、シリカ、グラファイト、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、硫化カルシウム、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ネオジウムおよびフェニルホスホネートの金属塩等が挙げられる。これらの無機系結晶核剤は、組成物中での分散性を高めるために、有機物で修飾されていることが好ましい。
また、有機系結晶核剤の具体例としては、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸カルシウム、安息香酸マグネシウム、安息香酸バリウム、テレフタル酸リチウム、テレフタル酸ナトリウム、テレフタル酸カリウム、シュウ酸カルシウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、ミリスチン酸カルシウム、オクタコサン酸ナトリウム、オクタコサン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、トルイル酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム、サリチル酸亜鉛、アルミニウムジベンゾエート、カリウムジベンゾエート、リチウムジベンゾエート、ナトリウムβ−ナフタレート、ナトリウムシクロヘキサンカルボキシレート等の有機カルボン酸金属塩、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、スルホイソフタル酸ナトリウム等の有機スルホン酸塩、ステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、パルチミン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、トリメシン酸トリス(t−ブチルアミド)等のカルボン酸アミド、ベンジリデンソルビトールおよびその誘導体、ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート等のリン化合物金属塩、および2,2−メチルビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム等が挙げられる。
本実施形態で使用する結晶核剤としては、上記に例示したもののなかでも、特にタルク、有機カルボン酸金属塩、カルボン酸アミドから選択された少なくとも1種が好ましい。結晶核剤は、1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。なお、ポリ乳酸100質量部に予めクレイ1質量部が添加された、例えば、ユニチカ(株)社製の「テラマックTE7000」を適用してもよい。また、ポリ乳酸用の結晶核剤である日産化学社製の「エコプロモート」を適用してもよい。
本実施形態における(E)結晶核剤の含有量は、樹脂組成物全量に対して0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上2質量%以下であることがより好ましい。
<ゴム・熱可塑性エラストマ>
本実施形態に係る樹脂組成物は、ゴムおよび熱可塑性エラストマのうち少なくとも1つを含んでもよい。本実施形態に用いられるゴムおよび熱可塑性エラストマとしては、シリコーン・アクリル複合ゴム、アクリル系ゴム、ブタジエン系ゴム、天然ゴム等が挙げられる。中でもコアシェル型のゴムは、コアとシェルから構成される二重構造を有しており、コア部分は軟質なゴム状態であって、その表面のシェル部分は硬質な樹脂状態であり、ゴム自体としては粉末(粒子)状態である弾性体である。このコアシェル型のゴムは、例えばポリ乳酸樹脂と溶融混練した後も、その粒子状態は大部分が元の形態を保っている。配合されたゴムの大部分が元の形態を保っているので、ポリ乳酸樹脂組成物中への分散性がよく、表層での剥離等が起こりにくい。
コアシェル型のゴムとしては、商業的に入手可能なものとして、例えば、「メタブレンSX−005」、「メタブレンSRK200」、「メタブレンW600A」、「メタブレンC−223A」(三菱レイヨン社製、商品名)、「MR−01」、「MR−02」(カネカ社製、商品名)、「パラロイドEXL−2603」(呉羽化学工業社製、商品名)、「ハイブレンB621」(日本ゼオン社製、商品名)、「パラロイドKM330」(ローム&ハース社製、商品名)等が挙げられる。
例えば、三菱レイヨン(株)製の「メタブレンSX−005」、「メタブレンSRK200」、「メタブレンS−2001」、「メタブレンC−223A」は、粒子状のゴムの外部にグラフト層を持ったコアシェル構造であって、「メタブレンSRK200」、「メタブレンS−2001」は、コアがブラジエン系ゴムで、グラフト層がポリカーボネート(PC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、塩化ビニル樹脂(PVC)、ABS樹脂(ABS)、アクリル樹脂(MMA)からなり、「メタブレンSX−005」は、上記同様のコアで、更にグラフト層にポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)を含む。また、「メタブレンC−223A」はコアがシリコーン・アクリル複合ゴムで、グラフト層がPC,PBT,PA,PS,PVCである。
本実施形態におけるゴム・熱可塑性エラストマの含有量は、樹脂組成物全量に対して1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、また、樹脂組成物全量に対して5質量%以上15質量%以下であることがより好ましい。
<その他成分>
本実施形態に係る樹脂組成物は、その他、酸化防止剤、安定剤、紫外線吸収剤、ドリップ防止剤、その他の難燃剤を含有してもよい。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系、アミン系、リン系、イオウ系、ヒドロキノン系、キノリン系酸化防止剤等が挙げられる。酸化防止剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
安定剤としては、例えば、ポリアミド、ポリ−β−アラニン共重合体、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、メラミン、シアノグアニジン、メラミン−ホルムアルデヒド縮合体等の塩基性窒素含有化合物等の窒素含有化合物;有機カルボン酸金属塩(ステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム等)、金属酸化物(酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム等)、金属水酸化物(水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等)、金属炭酸塩等のアルカリまたはアルカリ土類金属含有化合物;ゼオライト;ハイドロタルサイト等が挙げられる。安定剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、サリチレート系、シュウ酸アニリド系等が挙げられる。紫外線吸収剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、本実施形態に係る樹脂組成物には、耐衝撃性が損なわれない範囲で、その他難燃剤を含有してもよい。その他難燃剤としては、シリコーン系難燃剤、窒素系難燃剤、無機水酸化物系難燃剤等が挙げられる。その他難燃剤は1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
その他難燃剤としては、合成したものを用いてもよいし市販品を用いてもよい。シリコーン系難燃剤の市販品としては、東レダウシリコーン製の「DC4−7081」等が挙げられる。窒素系難燃剤の市販品としては、下関三井化学製の「ピロリン酸メラミン」、ADEKA製の「FP2100」等が挙げられる。無機水酸化物系難燃剤の市販品としては、堺化学工業製「MGZ300」、日本軽金属製「B103ST」等が挙げられる。
ドリップ防止剤を含むことにより、成形体にした場合に抗ドリップ(溶融滴下)性が向上する。そのため、本実施形態に係る樹脂組成物においては、ドリップ防止剤を含むことによって難燃性が低下しやすくなるので、ドリップ防止剤を含まないことが好ましい。ドリップ防止剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられ、ポリテトラフルオロエチレンとしては、例えば、旭硝子株式会社製の「Fluon PTFE ファインパウダー」(「Fluon」は登録商標)、ダイキン工業社製の「M−111」等が挙げられ、「Fluon PTFE ファインパウダー」には、低リダクション比(低RR)ポリマーズである「CD1シリーズ」と、高リダクション比(高RR)コポリマーズである「CD0シリーズ」等が挙げられる。ドリップ防止剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、本実施形態に係る樹脂組成物は、ポリ乳酸以外の樹脂、離型剤、耐候剤、耐光剤、着色剤等を含有してもよい。
<各種測定方法>
樹脂組成物中の(A)ポリ乳酸樹脂、(B)構造中にリン酸基、硫酸基、亜硫酸基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する難燃剤、(C)カルボジイミド基を有し、かつ2つ以上の官能基を有する多官能性化合物、(D)グリセリン脂肪酸エステルまたはアジピン酸エステルから選択される少なくとも1つの化合物等の含有量は、H−NMR分析により測定する。樹脂組成物中のポリ乳酸に含まれるラクトン化合物等の不純物の含有量も、同様の方法により測定する。樹脂組成物を用いて得られる樹脂成形体中の(A)ポリ乳酸樹脂、(B)構造中にリン酸基、硫酸基、亜硫酸基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する難燃剤、(C)カルボジイミド基を有し、かつ2つ以上の官能基を有する多官能性化合物、(D)グリセリン脂肪酸エステルまたはアジピン酸エステルから選択される少なくとも1つの化合物等の含有量は、H−NMR分析により測定する。このようにして測定した樹脂成形体中のこれらの含有量から、樹脂組成物中の含有量が推定される。
樹脂組成物中のポリ乳酸樹脂の重量平均分子量は、高分子を溶媒に溶解し、この溶液をサイズ排除クロマトグラフ(GPC)にて、重量平均分子量を求める。テトラヒドロフラン(THF)溶解し分子量分布測定(GPC)により分析する。樹脂組成物を用いて得られる樹脂成形体中のポリ乳酸樹脂の重量平均分子量は、高分子を溶媒に溶解し、この溶液をサイズ排除クロマトグラフ(GPC)にて、重量平均分子量を求める。テトラヒドロフラン(THF)溶解し、分子量分布測定(GPC)により分析する。
樹脂組成物中のポリ乳酸樹脂のガラス転移温度は、熱分析装置(エスアイアイナノテクノロジ製、DSC6000型)を用いて、JIS K 7121の方法により測定する。樹脂組成物を用いて得られる樹脂成形体中のポリ乳酸樹脂のガラス転移温度は、熱分析装置(エスアイアイナノテクノロジ製、DSC6000型)を用いて、JIS K 7121の方法により測定する。
樹脂組成物および樹脂組成物を用いて得られる樹脂成形体について、元素分析装置、NMR装置、IR装置等を用いて、各材料の構造や組成比を測定することで、樹脂組成物中および樹脂成形体中のその他添加剤等の含有量が測定される。また、樹脂成形体中のその他添加剤等の含有量から、樹脂組成物中のその他添加剤等の含有量が推定される。
<樹脂組成物の製造方法>
本実施形態に係る樹脂組成物は、例えば、(A)ポリ乳酸樹脂と、(B)構造中にリン酸基、硫酸基、亜硫酸基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する難燃剤と、(C)カルボジイミド基を有し、かつ2つ以上の官能基を有する多官能性化合物と、(D)グリセリン脂肪酸エステルまたはアジピン酸エステルから選択される少なくとも1つの化合物と、場合によっては(E)結晶核剤と、さらに必要に応じてその他成分とを、混練して作製すればよい。
混練は、例えば、2軸混練装置(東芝機械製、TEM58SS)、簡易ニーダ(東洋精機製、ラボプラストミル)等の公知の混練装置を用いて行えばよい。ここで、混練の温度条件(シリンダ温度条件)としては、ポリ乳酸樹脂の分解温度未満であることが好ましく、例えば、150℃以上220℃以下の範囲が好ましく、160℃以上200℃以下の範囲がより好ましい。
<樹脂成形体>
本実施形態に係る樹脂成形体は、例えば、上述した本実施形態に係る樹脂組成物を成形することにより得られる。
例えば、射出成形、押し出し成形、ブロー成形、熱プレス成形等の成形方法により成形して、本実施形態に係る樹脂成形体が得られる。生産性等の理由から、本実施形態に係る樹脂組成物を射出成形して得られたものであることが好ましい。
射出成形は、例えば、日精樹脂工業製「NEX150」、日精樹脂工業製「NEX70000」、東芝機械製「SE50D」等の市販の装置を用いて行えばよい。この際、シリンダ温度としては、ポリ乳酸樹脂の分解抑制等の観点から、160℃以上240℃以下の範囲とすることが好ましく、170℃以上210℃以下の範囲とすることがより好ましい。また、金型温度としては、生産性等の観点から、30℃以上120℃以下の範囲とすることが好ましく、30℃以上60℃以下の範囲とすることがより好ましい。
本実施形態に係る樹脂成形体は、難燃性を有しつつ、ブリードの発生が抑制されたものである。
<電子・電気機器の部品>
本実施形態に係る樹脂成形体は、機械的強度(耐衝撃性、引張弾性率等)に優れたものになり得るため、電子・電気機器、家電製品、容器、自動車内装材等の用途に好適に用いられる。より具体的には、家電製品や電子・電気機器等の筐体、各種部品等、ラッピングフィルム、CD−ROMやDVD等の収納ケース、食器類、食品トレイ、飲料ボトル、薬品ラップ材等であり、中でも、電子・電気機器の部品に好適である。電子・電気機器の部品は、複雑な形状を有しているものが多く、また重量物であるので、重量物とならない場合に比べて高い耐衝撃性が要求されるが、本実施形態に係る樹脂成形体によれば、このような要求特性が十分満足される。本実施形態に係る樹脂成形体は、特に、画像形成装置や複写機等の筐体に適している。
以下実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例、比較例および参考例>
表1に示す組成(質量部)で原料を配合し、原材料を2軸混練装置(TEM58SS、東芝機械社製)に投入し、シリンダ温度180℃で混練して樹脂組成物(コンパウンド)を得た。次に、得られた樹脂組成物を用いて射出成形装置(日精樹脂工業社製、NEX−50)に投入し、樹脂温度190℃、金型温度100℃の温度で射出成形し、厚さ2mm、縦横50mmの試験片を得た。表1に示す各成分について、表2に商品名、メーカ名等を示す。
<測定・評価>
得られた試験片を用いて、下記各測定・評価を行った。表2に結果を示す。
(難燃性の試験方法)
UL−94におけるVテスト用UL試験片(厚さ1.6mm)を用い、UL−94の方法で、UL−Vテストを実施した。UL−Vテストの結果は、V−0が最も難燃性が高く、V−1がV−0についで、難燃性が高く、V−2がV−1に次いで難燃性が高いことを示す。NotVは、V−2よりも難燃性に劣ることを示す。ここで、V−2以上を合格とする。結果を表1に示す。
(バリの評価方法)
得られた試験片に対し、パーティングライン部に発生するバリ(突起)を目視およびマイクロスコープ(キーエンス社製、VH−500)で観察した。なお、評価基準は以下の通りであり、「△」以上を合格とした。結果を表1に示す。
◎:バリの発生が全くみられない
○:マイクロスコープで観察すると確認できるレベルであるが、目視ではバリの発生がみられない
△:目視でもバリが見られるが製品としては問題ないレベル
×:バリの発生が顕著であり、製品としても問題あるレベル
(ブリードの評価方法)
得られた試験片を、60℃90%RHの高温高湿槽(東洋精機社製、THN042PA)に投入し、予め定めた下記時間経過後のブリード(染み出し)の発生の有無を目視で確認した。なお、評価基準は以下の通りであり、「△」以上を合格とした。結果を表1に示す。
◎:1500時間、高温高湿下に晒してもブリードの発生が認められない
○:1000時間、高温高湿下に晒してもブリードの発生が認められない
△:500時間、高温高湿下に晒してもブリードの発生が認められない
×:500時間、高温高湿下に晒すとブリードの発生が認められる
(植物度)
表1における植物度は、樹脂組成物全量に対する植物由来の材料の割合であり、ここでは、樹脂組成物全量に対するポリ乳酸樹脂の割合である。
Figure 2016190950
Figure 2016190950
実施例では、比較例に比べ、成型体にした場合に、難燃性を有しつつ、ブリードの発生が抑制された。

Claims (2)

  1. 樹脂組成物全量に対して75質量%以上95質量%以下であるポリ乳酸樹脂と、
    樹脂組成物全量に対して2質量%以上10質量%以下である、構造中にリン酸基、硫酸基、亜硫酸基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する難燃剤と、
    樹脂組成物全量に対して0.1質量%以上7質量%以下である、カルボジイミド基を有し、かつ2つ以上の官能基を有する多官能性化合物と、
    樹脂組成物全量に対して0.1質量%以上5質量%以下である、グリセリン脂肪酸エステルまたはアジピン酸エステルから選択される少なくとも1つの化合物と、
    を含むことを特徴とする樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載の樹脂組成物を用いて得られることを特徴とする樹脂成形体。
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