JP2011152786A - ポリ乳酸樹脂射出成形体の製造方法 - Google Patents

ポリ乳酸樹脂射出成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】強度と可撓性を両立し、かつ成形性に優れるポリ乳酸樹脂射出成形体の製造方法、及び該製造方法により得られるポリ乳酸樹脂射出成形体を提供すること。
【解決手段】下記工程(1)及び工程(2)を含むポリ乳酸樹脂射出成形体の製造方法。
工程(1):ポリ乳酸樹脂、結晶化度が50%未満であるセルロース、及び結晶核剤を含有するポリ乳酸樹脂組成物を、超臨界流体と接触させながら溶融混練する工程
工程(2):工程(1)で得られた溶融物を金型内に充填し、射出成形する工程
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリ乳酸樹脂射出成形体の製造方法に関する。更に詳しくは、日用雑貨品、家電部品、自動車部品等として好適に使用し得るポリ乳酸樹脂射出成形体の製造方法、及び該製造方法により得られるポリ乳酸樹脂射出成形体に関する。
生分解性樹脂の中でもポリ乳酸樹脂は、原料となるL−乳酸がトウモロコシ、芋等から抽出した糖分を用いて発酵法により生産されるため安価であること、原料が植物由来であるために総酸化炭素排出量が極めて少ないこと、また樹脂の特性として剛性が強く透明性が高いことが挙げられるため、現在その利用が期待されている。
しかし、ポリ乳酸樹脂は、前記特性に加えて、脆く、硬いことから、可撓性に欠けるという特性も有するため、その用途は限定されており、日用雑貨品、家電部品、自動車部品等の分野における使用実績はほとんどない。また、射出成形体等に成形した場合も、可撓性や耐衝撃性のような機械的強度が不足したり、折り曲げたときの白化やヒンジ特性が劣る等の問題が生じたりするため、使用されていないのが現状である。
また、ポリ乳酸樹脂は、結晶化速度が遅く、延伸等の機械的工程を行わない限り射出成形後は非晶状態を有するが、ポリ乳酸樹脂のガラス転移点(Tg)が60℃と低いため、温度が55℃以上となる環境下では使用できない問題がある。
これに対して、ポリ乳酸樹脂の耐熱性を向上させるためには、成形加工時に結晶化させることが重要であり、例えば、特許文献1では、ポリ乳酸を主成分とする成形材料を溶融して成形するに際し、溶融した成形材料と超臨界状態の気体を接触させてから賦形した後、冷却して結晶化する方法が開示されている。
また、特許文献2では、特定の構造を有する結晶核剤を用いて熱処理することにより結晶化速度を向上させているが、該結晶核剤が、熱処理温度より高く、かつ溶融混練温度より低い融点を有するため、溶融混練時には溶解してその分散性が向上し、熱処理時には結晶核の生成が安定して行われると報告されている。
特許文献3では、L−乳酸単位とD−乳酸単位を特定の組成で有するポリ乳酸を組み合わせたステレオコンプレックス乳酸は、結晶化速度が速いため、成形温度を高温にすることなく、80〜130℃の金型温度で成形することが可能であることから、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体の注入によるものを含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、サンドイッチ成形、及び超高速射出成形等の各種成形法に適用することができると報告されている。
特許文献4では、ポリ乳酸樹脂と特定の構造を有する結晶核剤を含有する樹脂組成物を、超臨界流体と接触させながら溶融混練して、射出成形する方法が開示されている。
特開2003−236944号公報 特開2006−176747号公報 特開2007−191549号公報 特開2009−83484号公報
特許文献1、3、4には、ポリ乳酸樹脂の射出成形に超臨界流体を使用することが開示されている。しかしながら、超臨界流体を使用して得られる樹脂組成物は、結晶化が速くなり結晶性が高くなって耐熱性が向上するものの、機械的強度が十分ではないことが判明した。
機械的強度を向上させる方法としては、フィラーを配合する方法が公知であり、フィラーとしては、例えば、特許文献1には、無機系繊維の他に、アラミド繊維、竹繊維、リュウゼツラン繊維等の有機系繊維が挙げられている。しかし、これら繊維の結晶化度については何ら記載がない。
またさらに、強度の高い樹脂成形体ほど可撓性に劣ることから、強度と可撓性を両立する、さらなるポリ乳酸樹脂成形体が要求されている。
本発明の課題は、強度と可撓性を両立し、かつ成形性に優れるポリ乳酸樹脂射出成形体の製造方法、及び該製造方法により得られるポリ乳酸樹脂射出成形体を提供することにある。
そこで、本発明者らは、前記課題を解決する為に検討を重ねた結果、ポリ乳酸樹脂と結晶核剤を含有するポリ乳酸樹脂組成物を、超臨界流体を使用して射出成形する際に、結晶化度が50%未満のセルロースを配合することで、得られる射出成形体が強度及び可撓性を両立し、かつ成形性にも優れるものであることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、
〔1〕 下記工程(1)及び工程(2)を含むポリ乳酸樹脂射出成形体の製造方法、
工程(1):ポリ乳酸樹脂、結晶化度が50%未満であるセルロース、及び結晶核剤を含有するポリ乳酸樹脂組成物を、超臨界流体と接触させながら溶融混練する工程
工程(2):工程(1)で得られた溶融物を金型内に充填し、射出成形する工程
ならびに
〔2〕 前記〔1〕記載の製造方法により得られるポリ乳酸樹脂射出成形体
に関する。
本発明の製造方法により得られるポリ乳酸樹脂射出成形体は、強度と可撓性を両立し、かつ成形性に優れるという優れた効果を奏するものである。また、フィラーとしてバイオマス資源であるセルロースを含有するため、低コスト化、総酸化炭素の低排出量化が可能となる。
本発明のポリ乳酸樹脂射出成形体の製造方法は、
工程(1):ポリ乳酸樹脂、セルロース、及び結晶核剤を含有するポリ乳酸樹脂組成物を、超臨界流体と接触させながら溶融混練する工程、ならびに
工程(2):工程(1)で得られた溶融物を金型内に充填し、射出成形する工程
を含むものであるが、該セルロースが結晶化度が50%未満のものであることに大きな特徴を有する。ポリ乳酸樹脂を含有する射出成形体では無機フィラーの代わりに生分解性を有する補強材としてセルロース等の植物繊維を使用することがある。このような射出成形体においては、通常、結晶化度が80%程度であるセルロースの結晶化度をさらに高めることにより強度の高い射出成形体が得られる。しかし、ポリ乳酸樹脂に結晶化度の高いセルロースを配合すると、得られる射出成形体の可撓性が低下して、セルロースの有する強度増強効果を十分発揮させることができない。また、強度が高い樹脂は可撓性に劣ることから、樹脂強度と可撓性を両立する更なるポリ乳酸樹脂射出成形体が要求される。そこで、本発明者らが検討した結果、驚くべきことに、ポリ乳酸樹脂と結晶核剤を含有するポリ乳酸樹脂組成物を超臨界流体と接触させながら溶融混練する際に、結晶化度が50%未満であるセルロースを配合したところ、得られる組成物の射出成形体が強度に優れながらも可撓性にも優れ、かつ、成形性にも優れることが判明した。その詳細な理由は不明であるが、結晶化度が50%未満であるセルロースにおいては分子内に強固な水素結合の存在割合が減るため、ポリ乳酸樹脂との相互作用が高まるとともに、該セルロースが可塑剤的な役割を担うことから、強度と可撓性の両立が図れると推察される。また、溶融混練時に超臨界流体を使用することで該超臨界流体が均一に分布して結晶核剤の結晶核生成を促進するために成形性が向上すると推察される。なお、本明細書において、「強度」は後述の「曲げ弾性率」により、「可撓性」は後述の「曲げ破断歪み率」により評価される特性のことを意味する。
<ポリ乳酸樹脂組成物>
本発明の製造方法は、ポリ乳酸樹脂、結晶化度が50%未満であるセルロース、及び結晶核剤を含有するポリ乳酸樹脂組成物を使用する。
[ポリ乳酸樹脂]
ポリ乳酸樹脂は、原料モノマーとして乳酸成分のみを縮重合させて得られるポリ乳酸、及び/又は、原料モノマーとして乳酸成分とヒドロキシカルボン酸成分とを用い、それらを縮重合させて得られるポリ乳酸を含有する。
乳酸には、L−乳酸(L体)、D−乳酸(D体)の光学異性体が存在する。本発明では、乳酸成分として、いずれかの光学異性体のみ、又は双方を含有してもよいが、成形性の観点から、いずれかの光学異性体を主成分とする光学純度が高い乳酸を用いることが好ましい。なお、本明細書において「主成分」とは、乳酸成分中の含有量が50モル%以上である成分のことをいう。
乳酸成分におけるL体又はD体の含有量、即ち、前記異性体のうちいずれか多い方の含有量は、乳酸成分のみ又は乳酸成分とヒドロキシカルボン酸成分とを縮重合させる場合のいずれにおいても、80〜100モル%が好ましく、85〜100モル%がより好ましく、90〜100モル%がさらに好ましく、98〜100モル%がさらに好ましい。なお、乳酸成分におけるL体及びD体の総含有量は、実質的に100モル%であることが好ましいことから、前記異性体のうちいずれか少ない方の含有量は、乳酸成分中、0〜20モル%が好ましく、0〜15モル%がより好ましく、0〜10モル%がさらに好ましく、0〜2モル%がさらに好ましい。
一方、ヒドロキシカルボン酸成分としては、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸等のヒドロキシカルボン酸化合物が挙げられ、1種又は2種以上を組み合わせて利用することができる。これらのなかでも、ポリ乳酸樹脂射出成形体の強度と可撓性の両立、耐熱性、及び透明性の観点から、グリコール酸、ヒドロキシカプロン酸が好ましい。
また、本発明においては、前記乳酸及びヒドロキシカルボン酸化合物の2量体が、それぞれの成分に含有されてもよい。乳酸の2量体としては、乳酸の環状二量体であるラクチドが例示され、ヒドロキシカルボン酸化合物の2量体としては、グリコール酸の環状二量体であるグリコリドが例示される。なお、ラクチドにはL−乳酸の環状二量体であるL−ラクチド、D−乳酸の環状二量体であるD−ラクチド、D−乳酸とL−乳酸とが環状二量化したメソ−ラクチド、及びD−ラクチドとL−ラクチドとのラセミ混合物であるDL−ラクチドがあり、本発明ではいずれのラクチドも用いることができるが、ポリ乳酸樹脂射出成形体の強度と可撓性の両立、耐熱性、及び透明性の観点から、D−ラクチド及びL−ラクチドが好ましい。なお、乳酸の2量体は、乳酸成分のみを縮重合させる場合、及び乳酸成分とヒドロキシカルボン酸成分とを縮重合させる場合、いずれの乳酸成分に含有されていてもよい。
乳酸の2量体の含有量は、ポリ乳酸樹脂射出成形体の強度と可撓性の両立の観点から、乳酸成分中、80〜100モル%が好ましく、90〜100モル%がより好ましい。
ヒドロキシカルボン酸化合物の2量体の含有量は、ポリ乳酸樹脂射出成形体の強度と可撓性の両立の観点から、ヒドロキシカルボン酸成分中、80〜100モル%が好ましく、90〜100モル%がより好ましい。
乳酸成分のみの縮重合反応、及び、乳酸成分とヒドロキシカルボン酸成分との縮重合反応は、特に限定はなく、公知の方法を用いて行うことができる。
かくして、原料モノマーを選択することにより、例えば、L−乳酸又はD−乳酸いずれかの成分85モル%以上100モル%未満とヒドロキシカルボン酸成分0モル%超15モル%以下からなるポリ乳酸が得られるが、なかでも、乳酸の環状二量体であるラクチド、グリコール酸の環状二量体であるグリコリド及びカプロラクトンを原料モノマーとして用いて得られるポリ乳酸が好ましい。
また、本発明において、ポリ乳酸として、ポリ乳酸樹脂射出成形体の強度と可撓性の両立、耐熱性、及び透明性の観点から、異なる異性体を主成分とする乳酸成分を用いて得られた2種類のポリ乳酸からなるステレオコンプレックスポリ乳酸を用いてもよい。
ステレオコンプレックスポリ乳酸を構成する一方のポリ乳酸〔以降、ポリ乳酸(A)と記載する〕は、L体90〜100モル%、D体を含むその他の成分0〜10モル%を含有する。他方のポリ乳酸〔以降、ポリ乳酸(B)と記載する〕は、D体90〜100モル%、L体を含むその他の成分0〜10モル%を含有する。なお、L体及びD体以外のその他の成分としては、2個以上のエステル結合を形成可能な官能基を持つジカルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン等が挙げられ、また、未反応の前記官能基を分子内に2つ以上有するポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート等であってもよい。
ステレオコンプレックスポリ乳酸における、ポリ乳酸(A)とポリ乳酸(B)の重量比〔ポリ乳酸(A)/ポリ乳酸(B)〕は、10/90〜90/10が好ましく、20/80〜80/20がより好ましく、40/60〜60/40がさらに好ましい。
ポリ乳酸樹脂における、ポリ乳酸の含有量は、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは実質的に100重量%である。
なお、ポリ乳酸樹脂は、前記方法により合成することができるが、市販の製品としては、例えば、レイシアH−100、H−280、H−400、H−440等の「レイシアシリーズ」(三井化学社製)、3001D、3051D、4032D、4042D、6201D、6251D、7000D、7032D等の「Nature Works」(ネイチャーワークス社製)、エコプラスチックU’z S−09、S−12、S−17等の「エコプラスチックU’zシリーズ」(トヨタ自動車社製)が挙げられる。これらのなかでも、ポリ乳酸樹脂射出成形体の強度と可撓性の両立、及び耐熱性の観点から、レイシアH−100、H−280、H−400、H−440(三井化学社製)、3001D、3051D、4032D、4042D、6201D、6251D、7000D、7032D(ネイチャーワークス社製)、エコプラスチックU’z S−09、S−12、S−17(トヨタ自動車社製)が好ましい。
本発明においては、前記ポリ乳酸樹脂以外に、他の生分解性樹脂が含有されていてもよい。他の生分解性樹脂としては、ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート/アジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリリンゴ酸、ポリグリコール酸、ポリジオキサノン、ポリ(2−オキセタノン)等の脂肪族ポリエステル樹脂;ポリブチレンサクシネート/テレフタレート、ポリブチレンアジペート/テレフタレート、ポリテトラメチレンアジペート/テレフタレート等の脂肪族芳香族コポリエステル樹脂;デンプン、セルロース、キチン、キトサン、グルテン、ゼラチン、ゼイン、大豆タンパク、コラーゲン、ケラチン等の天然高分子と前記の脂肪族ポリエステル樹脂あるいは脂肪族芳香族コポリエステル樹脂との混合物等の生分解性を有するポリエステル樹脂等が挙げられる。前記ポリ乳酸樹脂の含有量は、特に限定されないが、ポリ乳酸樹脂射出成形体の強度と可撓性の両立、耐熱性、及び、生産性の観点から、組成物に含まれる全樹脂中、50重量%以上が好ましく、80重量%以上がより好ましく、90重量%以上がさらに好ましい。
ポリ乳酸樹脂の含有量は、ポリ乳酸樹脂組成物中、50重量%以上が好ましく、60重量%以上がより好ましく、70重量%以上がさらに好ましい。
[セルロース]
本発明で用いられるセルロースは、結晶化度が50%未満のセルロースである。
本明細書において、セルロースの結晶化度は、X線回折法による回折強度値からSegal法により算出したセルロースI型結晶化度であり、下記計算式(A)により定義される。
セルロースI型結晶化度(%)=[(I22.6−I18.5)/I22.6]×100 (A)
〔式中、I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度、I18.5は,アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す〕
ここで、セルロースI型結晶化度とは、セルロース全体のうち結晶領域量の占める割合のことを意味する。従って、セルロースI型結晶化度が50%未満であるセルロースとは、結晶領域量が50%未満であるセルロース、即ち、非晶質部分が50%超えて存在するセルロースであることが分かる。本明細書においては、このように非晶質部分が50%超えて存在するセルロースを非晶質セルロース、結晶領域量が50%以上存在するセルロースを結晶性セルロースということもある。なお、セルロースI型とは天然セルロースの結晶形のことであり、セルロースI型結晶化度は、セルロースの物理的性質、及び化学的性質とも関係し、その値が大きいほど硬度、密度等は増すが、伸びや柔軟性、化学反応性は低下する。
本発明で用いられるセルロースの結晶化度は、50%未満であり、ポリ乳酸樹脂射出成形体の強度及び可撓性を両立する観点から、45%以下が好ましく、30%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましく、10%以下がさらに好ましく、X線回折分析においてI型結晶が検出されない、実質的に0%であることがさらに好ましい。なお、計算式(A)で定義されたセルロースI型結晶化度では、計算上マイナスの値になる場合があるが、マイナスの値の場合はセルロースI型結晶化度は0%とする。また、本発明では、結晶化度が異なるセルロースを2種以上組み合わせて用いてもよいが、その場合のセルロースの結晶化度とは、用いられるセルロースの加重平均により求められる結晶化度を意味し、その値が前記範囲内であることが好ましい。
セルロースは、結晶化度が50%未満であれば特に限定はないが、例えば、セルロース含有原料に後述の機械的処理等を施すことにより得られるセルロースであることが好ましい。
セルロース含有原料としては、特に制限はなく、幹、枝、葉、茎、根、種子、果実等の植物の各部位、例えば、稲わら、トウモロコシ茎等の植物茎・葉類;籾殻、パーム殻、ココナッツ殻等の植物殻類等が使用できる。また、間伐材、剪定枝、各種木材チップ、木材から製造されるウッドパルプ、綿の種子の周囲の繊維から得られるコットンリンターパルプ等のパルプ類;新聞紙、段ボール、雑誌、上質紙等の紙類を使用してもよいが、着色の少ないポリ乳酸樹脂成形体を得る観点からは、パルプが好ましい。またさらに、新聞紙、段ボール、雑誌、上質紙等の紙類(古紙)を再生した再生パルプや再生紙を使用することもできる。
再生パルプや再生紙は、脱墨剤使用による脱墨や、脱灰分処理により原料古紙からインキ、灰分を剥離することにより製造することができる。脱墨処理としては、洗浄法とフローテーション法に大別されるが、着色の少ないポリ乳酸樹脂成形体を得る観点からは、フローテーション法が好ましい。脱墨剤としては、特に限定されるものではなく公知のものを使用することができるが、脱墨、脱灰分性能の観点から、ポリオキシエチレンアルキルエーテルや、アルコールやフェノール系化合物にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加させたノニオン界面活性剤が好ましく、ポリ乳酸樹脂射出成形体の強度と可撓性の両立の観点からアルコールにアルキレンオキサイドを付加させたノニオン界面活性剤がより好ましく、下記一般式(B)で表される化合物がさらに好ましい。
−O−(C2xO)(AO)(C2yO)−H (B)
〔式中、
:炭素数8〜24の1価アルコール又は炭素数6〜16の直鎖もしくは分岐のアルキル基もしくはアルケニル基を有するアルキルフェノールから水酸基を除いた残基
AO:エチレンオキサイド基を必須として含む炭素数2〜4の1種類以上のアルキレンオキサイド基がブロック又はランダムに配列する基
x,y:それぞれ3又は4で、同一でも異なっていてもよい
l:1≦l≦300
m:50<m≦300
n:1≦n≦300
を意味する〕
また、セルロース含有原料としては、市販の結晶性セルロースも使用できる。市販の結晶性セルロースとしては、例えばKCフロック(日本製紙ケミカル社製)、セオラス(旭化成ケミカルズ社製)等がある。
これらのセルロース含有原料の形態は、特に限定はなく、チップ状、シート状等各種形態のものが使用できる。なお、市販のパルプのセルロースI型結晶化度は、通常80%以上であり、市販の結晶性セルロースのセルロースI型結晶化度は、通常80%以上である。本発明で用いるセルロース含有原料のセルロースI型結晶化度は、少なくとも50%以上であることが好ましい。
前記セルロース含有原料は、該原料から水を除いた場合の残余の成分中のセルロース含有量が好ましくは20重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上のものであることが望ましい。例えば、市販のパルプは、水を除いた場合の残余の成分中のセルロース含有量が、通常75〜99重量%であり、他の成分としてはリグニン等を含有する。なお、原料から水を除く方法としては、特に限定はなく、例えば、真空乾燥やドライエアーによる乾燥により行なうことができる。本明細書において、前記セルロース含有量とはセルロース量及びヘミセルロース量の合計量を意味し、セルロース含有量は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
また、セルロース含有原料としてパルプ類、再生紙等を使用する場合、ポリ乳酸樹脂射出成形体の耐衝撃性を向上させる観点から、セルロース含有原料中のリグニン量は、好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは8重量%以下であることが望ましい。なお、リグニンの構造単位としては、特に制限されるものではなく、公知のものが挙げられるが、ポリ乳酸樹脂成形体の耐衝撃性を向上させる観点から、グアイアシル型、シリンギル型、p−ヒドロキシフェニル型であることが望ましい。
リグニンを低減する方法としては、例えば、特開2008−92910号公報記載のアルカリ蒸解法や特開2005−229821号公報記載の硫酸分解法等が挙げられる。
アルカリ蒸解(単に、蒸解ともいう)法としては、ソーダ法又はクラフト法を挙げることができる。
ソーダ法は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ薬剤を使用してリグニンを除去する方法である。
クラフト法は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ薬剤と硫化ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等のイオウ元素を含む薬剤とを共用してリグニンを除去する方法である。
アルカリ薬剤の添加量は、蒸解に供するセルロース含有原料乾燥重量の5〜40重量%とすることが好ましい。
また、アルカリ蒸解は、前記アルカリ薬剤以外に、添加剤として、キノン系蒸解助剤、酸素、過酸化水素、ポリサルファイドを使用することができる。これらの添加剤は、含有するリグニンの性質、量に応じて使用できるが、アルカリ薬剤のみで蒸解できる場合には、使用しなくてもよい。添加する場合には、蒸解に供するセルロース含有原料重量の10重量%以下が好ましい。
アルカリ蒸解に供するセルロース含有原料は、蒸解を進行しやすくするために、あらかじめ粉砕するか、チップ状に切削・破砕して用いてもよい。アルカリ蒸解時のセルロース含有原料の蒸解混合物中の濃度は5〜50重量%、反応温度は好ましくは100〜200℃、より好ましくは140〜200℃、加熱時間は60〜500分であることが望ましく、前記条件は、チップの形状及び寸法並びに含有するリグニンの性質及びその量に応じて変更することができる。
また、セルロース含有原料として再生パルプや再生紙等を使用する場合、ポリ乳酸樹脂の結晶性と、ポリ乳酸樹脂射出成形体の強度と可撓性の両立の観点から、セルロース含有原料の灰分含量は、好ましくは35重量%以下、より好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下である。なお、本明細書において、セルロース含有原料の灰分含量は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
また、セルロース含有原料の水分含量は、20重量%以下が好ましく、15重量%以下がより好ましく、10重量%以下がさらに好ましい。セルロース含有原料の水分含量が20重量%以下であれば、容易に粉砕できるとともに機械的処理により結晶化度を容易に低下させることができる。なお、本明細書において、セルロース含有原料の水分含量は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
機械的処理とは、セルロース含有原料を粉砕処理することであり、かかる処理により、セルロースの結晶化度を低下させ、効率的に非晶化させることができる。なお、効率的に結晶化度を低下させる観点から、嵩密度と平均粒径が調整されたセルロース含有原料を粉砕処理に供してもよいし、ポリ乳酸樹脂射出成形体の耐久性の観点から、水分含量が調整されたセルロース含有原料を粉砕処理に供してもよい。
(嵩密度と平均粒径が調整されたセルロース含有原料の調製方法)
セルロース含有原料の嵩密度と平均粒径の調整方法としては、特に限定されないが、セルロースの結晶構造を破壊して粉末化させる観点から、圧縮せん断力を作用させて粉砕する方法が好ましい。なお、以降、圧縮せん断力を作用させてセルロース含有原料の嵩密度と平均粒径を調整するために行う粉砕を1次粉砕、1次粉砕により得られたセルロース含有原料又は水分含量が調整されたセルロース含有原料を非晶化するために行う粉砕を2次粉砕という。
1次粉砕の前には、セルロース含有原料をチップ状又は直方体状に粗粉砕しておくことが好ましい。チップ状にしたセルロース含有原料の大きさとしては、好ましくは1〜50mm角、より好ましくは1〜30mm角である。1〜50mm角のチップ状に粗粉砕することにより、1次粉砕を効率良く容易に行うことができる。なお、粗粉砕後のセルロース含有原料の大きさは、ノギスを用いて測定することができる。
粗粉砕方法としては、シュレッダー、ロータリーカッター、又はスリッターカッター等の裁断機を使用する方法が挙げられる。ロータリーカッターを使用する場合、得られるチップ状セルロース含有原料の大きさは、スクリーン(篩)の目開きを変えることにより、制御することができる。スクリーンの目開きは、1〜50mmが好ましく、1〜30mmがより好ましい。スクリーンの目開きが1mm以上であれば、セルロース含有原料が綿状化することがなく、後の1次粉砕に供するセルロース含有原料として適度な嵩高さを有するために取扱い性が向上する。スクリーンの目開きが50mm以下であれば、後の1次粉砕に供するセルロース含有原料として適度な大きさを有するために1次粉砕において負荷を低減することができる。
また、シート状のセルロース含有原料を用いる場合、シュレッダー又はスリッターカッターを使用することが好ましく、生産性の観点から、スリッターカッターを使用することがより好ましい。
スリッターカッターでは、シート状のセルロース含有原料を、シートの長手方向に沿った縦方向にロールカッターで縦切りして細長い短冊状とし、次に、固定刃と回転刃でシートの幅方向に沿って短く横切りすることにより、直方体状のセルロース含有原料を容易に得ることができる。スリッターカッターとしては、ホーライ社製のシートペレタイザを好ましく使用でき、この装置を使用すると、シート状のセルロース含有原料を約1〜20mm角に粗粉砕することができる。
圧縮せん断力を作用させてセルロース含有原料を機械的に粉砕する方法、即ち、1次粉砕する方法としては、従来よく用いられる衝撃式の粉砕機、例えば、カッターミル、ハンマーミル、ピンミル等や押出機を用いて粉砕する方法が挙げられるが、セルロース含有原料が綿状化して嵩高くなりにくく、所望の嵩密度及び平均粒径を有するセルロース含有原料が得られ、取扱い性が向上することから、押出機を用いる方法が好ましい。
押出機としては、単軸、二軸のどちらの形式でもよいが、搬送能力を高める等の観点から、二軸押出機が好ましい。
二軸押出機としては、シリンダーの内部に2本のスクリューが回転自在に挿入された押出機であり、従来から公知のものが使用できる。2本のスクリューの回転方向は、同一でも逆方向でもよいが、搬送能力を高める観点から、同一方向の回転が好ましい。また、スクリューの噛み合い条件としては、完全噛み合い、部分噛み合い、非噛み合いの各形式の押出機のいずれでもよいが、処理能力を向上させる観点から、完全噛み合い型、部分噛み合い型が好ましい。
押出機としては、強い圧縮せん断力を加える観点から、スクリューのいずれかの部分に、いわゆるニーディングディスク部を備えることが好ましい。
ニーディングディスク部とは、複数のニーディングディスクで構成され、これらを連続して、一定の位相で、例えば90°ずつに、ずらしながら組み合わせたものであり、スクリューの回転にともなって、狭い隙間にセルロース含有原料を強制的に通過させることで極めて強いせん断力を付与することができる。スクリューの構成としては、ニーディングディスク部と複数のスクリューセグメントとが交互に配置されることが好ましい。二軸押出機の場合、2本のスクリューが、同一の構成を有することが好ましい。
処理方法としては、セルロース含有原料、好ましくは前記チップ状セルロース含有原料を押出機に投入し、連続的に処理する方法が好ましい。せん断速度としては、10sec−1以上が好ましく、20〜30000sec−1がより好ましく、50〜3000sec−1がさらに好ましい。せん断速度が10sec−1以上であれば、有効に高嵩密度化が進行する。その他の処理条件としては、特に制限はなく、処理温度は5〜200℃が好ましい。
また、押出機によるパス回数としては、1パスでも十分効果を得ることができるが、セルロース含有原料を高嵩密度化する観点から、1パスで不十分な場合は、2パス以上行うことが好ましい。また、生産性の観点からは、1〜10パスが好ましい。パスを繰返すことにより、粗大粒子が粉砕され、粒径のばらつきが少ない粉末状セルロース含有原料を得ることができる。2パス以上行う場合、生産能力を考慮し、複数の押出機を直列に並べて処理を行ってもよい。
前記1次粉砕により嵩密度と平均粒径が調整されたセルロース含有原料(以降、1次粉砕により得られたセルロース含有原料、又は1次粉砕後のセルロース含有原料ともいう)が得られる。なお、1次粉砕によってセルロース含有量は変動することなく、1次粉砕後の原料から水を除いた場合の残余の成分中のセルロース含有量は、好ましくは20重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上である。また、1次粉砕によってセルロース結晶化度は低減するものの、1次粉砕後のセルロース含有原料のセルロース結晶化度は好ましくは60%以上である。
1次粉砕後のセルロース含有原料の嵩密度は、100kg/m以上が好ましく、120kg/m以上がより好ましく、150kg/m以上がさらに好ましい。この嵩密度が100kg/m以上であれば、セルロース含有原料が適度な容積を有するために取扱い性が向上する。また、2次粉砕に用いる粉砕機へ原料仕込み量を多くすることができるので、処理能力が向上する。一方、この嵩密度の上限としては、取扱い性及び生産性の観点から、500kg/m以下が好ましく、400kg/m以下がより好ましく、350kg/m以下がさらに好ましい。これらの観点から、嵩密度としては、100〜500kg/mが好ましく、120〜400kg/mがより好ましく、150〜350kg/mがさらに好ましい。なお、本明細書において、セルロース含有原料の嵩密度は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
また、1次粉砕後のセルロース含有原料の平均粒径は、1.0mm以下が好ましく、0.7mm以下がより好ましく、0.5mm以下がさらに好ましい。平均粒径が1.0mm以下であれば、2次粉砕に用いる粉砕機に供給する際に、粉砕機においてセルロース含有原料を効率的に分散させることができ、長時間を要することなく所定の粒径に到達することができる。一方、平均粒径の下限としては、生産性の観点から、0.01mm以上が好ましく、0.05mm以上がより好ましい。これらの観点から、平均粒径としては、0.01〜1.0mmが好ましく、0.01〜0.7mmがより好ましく、0.05〜0.5mmがさらに好ましい。なお、1次粉砕後のセルロース含有原料の平均粒径は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。また、1次粉砕後のセルロース含有原料の水分含量は、4.5重量%超が好ましく、10重量%以下が好ましい。
(水分含量が調整されたセルロース含有原料の調製方法)
一方、セルロース含有原料の水分含量の調整方法としては、乾燥処理を行う工程を含む方法であれば、その処理方法としては限定されず公知の乾燥方法を適宜選択すればよい。乾燥方法としては、例えば、熱風受熱乾燥法、伝導受熱乾燥法、除湿空気乾燥法、冷風乾燥法、マイクロ波乾燥法、赤外線乾燥法、天日乾燥法、真空乾燥法、凍結乾燥法等が挙げられる。これらの乾燥方法は、単独でも又は2種以上組み合わせて行ってもよい。また、乾燥処理はバッチ処理、連続処理のいずれでも可能である。
前記の乾燥方法において、公知の乾燥機を適宜選択して使用することができ、例えば、「粉体工学概論」(社団法人日本粉体工業技術会編集 粉体工学情報センター、1995年発行)176頁に記載の乾燥機等が挙げられる。乾燥機は1種でも又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
乾燥処理における温度は、乾燥手段、乾燥時間等により一概には決定できないが、10〜250℃が好ましく、50〜150℃がより好ましく、60〜120℃がさらに好ましい。処理時間としては、0.01〜2hrが好ましく、0.02〜1hrがより好ましい。必要に応じて減圧下で乾燥処理を行ってもよく、圧力としては、1〜120kPaが好ましく、50〜105kPaがより好ましい。
また、乾燥処理の前には、セルロース含有原料をチップ状又は直方体状に粗粉砕しておくことが好ましい。粗粉砕したセルロース含有原料の大きさとしては、チップ状とする場合は、好ましくは1〜50mm角、より好ましくは1〜30mm角である。直方体状とする場合は、好ましくは1〜20mm角である。前記大きさに粗粉砕することにより、乾燥処理及び2次粉砕を効率良く容易に行うことができる。なお、粗粉砕方法としては、セルロース含有原料の1次粉砕の前に行う粗粉砕処理と同様の方法が挙げられる。
なお、市販のパルプ類、バイオマス資源として利用される紙類、木材類、植物茎・葉類、植物穀類等の一般に利用可能なセルロース含有原料は、5重量%以上、通常5〜30重量%程度の水分を含有している。
したがって、本発明における乾燥処理したセルロース含有原料の水分含量は4.5重量%以下が好ましく、4.3重量%以下がより好ましく、4.0重量%以下がさらに好ましく、3.5重量%以下がさらに好ましく、3.0重量%以下がよりさらに好ましい。この水分含量が4.5重量%以下であれば、容易に2次粉砕できるとともに、ポリ乳酸樹脂射出成形体の耐久性の観点から好ましい。一方、この水分含量の下限としては、2次粉砕の生産性及び乾燥効率の観点から、0.2重量%以上が好ましく、0.3重量%以上がより好ましく、0.4重量%以上がさらに好ましく、0.6重量%以上がよりさらに好ましい。以上の観点から、2次粉砕に供する乾燥処理したセルロース含有原料の水分含量は、0.2〜4.3重量%が好ましく、0.3〜4.0重量%がより好ましく、0.4〜3.5重量%がさらに好ましく、0.6〜3.0重量%がよりさらに好ましい。
また、水分含量が調整されたセルロース含有原料の嵩密度は、前記1次粉砕後のセルロース原料の嵩密度と同様の値を有することが好ましい。なお、乾燥処理によってセルロース含有量は変動することなく、乾燥処理後の原料から水を除いた場合の残余の成分中のセルロース含有量は、好ましくは20重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上である。また、乾燥処理によってセルロース結晶化度も変動せず、乾燥処理後のセルロース結晶化度は、通常、80%以上である。
更に前記水分含量が調整されたセルロース含有原料の平均粒径は、1.0mm超50.0mm以下が好ましく、2.0mm超50.0mm以下がより好ましい。なお、前記水分含量が調整されたセルロース含有原料の平均粒径は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
次に、前記1次粉砕又は前記乾燥処理により得られたセルロース含有原料を非晶化するために2次粉砕に供する。
2次粉砕に用いる粉砕機(以降、粉砕機Aともいう)としては、媒体式粉砕機が好ましい。媒体式粉砕機には容器駆動式粉砕機と媒体攪拌式粉砕機とがある。容器駆動式粉砕機としては転動ミル、振動ミル、遊星ミル、遠心流動ミル等が挙げられる。この中で、粉砕効率が高く、生産性の観点から、振動ミルが好ましい。媒体攪拌式粉砕機としてはタワーミル等の塔型粉砕機;アトライター、アクアマイザー、サンドグラインダー等の攪拌槽型粉砕機;ビスコミル、パールミル等の流通槽型粉砕機;流通管型粉砕機;コボールミル等のアニュラー型粉砕機;連続式のダイナミック型粉砕機等が挙げられる。この中で、粉砕効率が高く、生産性の観点から、攪拌槽型粉砕機が好ましい。媒体攪拌式粉砕機を用いる場合の攪拌翼の先端の周速は、好ましくは0.5〜20m/s、より好ましくは1〜15m/sである。なお、粉砕機の種類は「化学工学の進歩 第30集 微粒子制御」(社団法人 化学工学会東海支部編、1996年10月10日発行、槇書店)を参照することができる。また、処理方法としては、バッチ式、連続式のどちらでも良い。
粉砕機の媒体の材質としては、特に制限はなく、例えば、鉄、ステンレス、アルミナ、ジルコニア、炭化珪素、チッ化珪素、ガラス等が挙げられる。媒体の形状としては、特に制限はなく、ボール、ロッド、チューブ等が挙げられる。なお、ロッドとは棒状の媒体であり、ロッドの断面が四角形、六角形等の多角形、円形、楕円形等のものを用いることができる。
粉砕機Aが振動ミルであって、媒体がロッドの場合には、ロッドの外径としては、好ましくは0.5〜200mm、より好ましくは1.0〜100mm、更に好ましくは5〜50mmである。ロッドの大きさが前記の範囲内であれば、所望の粉砕力が得られるとともに、ロッドのかけら等が混入してセルロース含有原料が汚染されることなく効率的にセルロースを非晶化させることができる。
ロッドの充填率は、容器駆動式粉砕機の機種により好適な充填率が異なるが、好ましくは10〜70%、より好ましくは15〜60%の範囲である。充填率がこの範囲内であれば、セルロース含有原料とロッドとの接触頻度が向上して、粉砕効率を向上させることができる。ここで充填率とは、容器駆動式粉砕機の攪拌部の容積に対するロッドの見かけの体積をいう。また、セルロース含有原料とロッドとの接触頻度を高め粉砕効率を向上させる観点から、ロッドは複数本使用することが好ましい。
また、粉砕機Aが攪拌槽型粉砕機であって、媒体がボールの場合には、ボールの外径としては、好ましくは0.1〜100mm、より好ましくは0.5〜50mmの範囲である。ボールの大きさが前記の範囲内であれば、所望の粉砕力が得られるとともに、ボールのかけら等が混入してセルロース含有原料が汚染されることなく効率的にセルロースを非晶化させることができる。
ボールの充填率は、攪拌槽型粉砕機の機種により好適な充填率が異なるが、好ましくは10〜97%、より好ましくは15〜95%の範囲である。充填率がこの範囲内であれば、セルロース含有原料とボールとの接触頻度が向上するとともに、媒体の動きを妨げずに、粉砕効率を向上させることができる。ここで充填率とは、攪拌槽型粉砕機の攪拌部の容積に対するボールの見かけの体積をいう。
処理時間としては、粉砕機の種類、媒体の種類、大きさ及び充填率等により一概に決定できないが、結晶化度を低下させる観点から、好ましくは0.01〜50hr、より好ましくは0.05〜20hr、さらに好ましくは0.10〜10hrであり、さらにより好ましくは0.10〜5hrである。処理温度は、特に制限はないが、熱による劣化を防ぐ観点から、好ましくは5〜250℃、より好ましくは10〜200℃である。
かくして、結晶化度が50%未満のセルロースが得られる。
このようにして得られたセルロースは、結晶化度が50%未満に非晶化されているが、ポリ乳酸樹脂射出成形体の強度と可撓性の両立、及び取扱性の観点から、平均粒径が150μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましい。また、ポリ乳酸樹脂射出成形体の強度と可撓性の両立の観点から、90nm以上であることが好ましく、100nm以上であることがより好ましい。従って、前記2次粉砕により得られたセルロースは、適宜、分級工程、篩工程等を行って、粒径を調整してもよい。なお、セルロースの平均粒径は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
また、本発明においては、得られるポリ乳酸樹脂射出成形体の強度を維持しながら可撓性や耐衝撃性をさらに向上させる観点から、ポリ乳酸樹脂組成物に含有させるセルロースは、50%未満の結晶化度を有するセルロースに平均粒径が30μm以下となるよう小粒径化処理して得られたものであることが好ましい。
小粒径化処理の方法としては、結晶化度が50%未満になるよう調整されたセルロースに、粉砕助剤を添加して粉砕機にて粉砕処理(以降、3次粉砕ともいう)を行う方法が挙げられる。3次粉砕に供するセルロースとしては、結晶化度が50%未満になるよう調整されたものであれば特に限定はないが、前記機械的処理により結晶化度が50%未満になるよう調整されたセルロースであることが好ましい。従って、本発明におけるポリ乳酸樹脂組成物に含有される結晶化度が50%未満であるセルロースは、前記機械的処理により得られたセルロース、即ち、粉砕機Aで処理して得られたセルロースに、さらに、粉砕助剤を添加して粉砕処理することにより得られたものであることが好ましい。
3次粉砕に用いる粉砕機(以降、粉砕機Bともいう)としては、媒体式粉砕機が好ましく、2次粉砕に好適な粉砕機(粉砕機A)と同様のものが例示される。なお、粉砕機Aと粉砕機Bは同一のものを用いても、異なるものを用いてもよい。
粉砕機の媒体の材質としては、特に制限はなく、例えば、鉄、ステンレス、アルミナ、ジルコニア、炭化珪素、チッ化珪素、ガラス等が挙げられる。媒体の形状としては、特に制限はなく、ボール、ロッド、チューブ等が挙げられるが、セルロースの微粒化効率の観点から、粉砕機Bとしては、ロッドを充填した振動ミルが好ましい。
ロッドの外径は、好ましくは0.5〜200mm、より好ましくは1〜100mm、さらに好ましくは5〜50mmであり、ロッドの長さは、粉砕機の容器の長さよりも短いものであれば特に限定されない。ロッドの大きさが前記の範囲内にあれば、所望の粉砕力が得られ、効率的にセルロースの平均粒径を低減させることができる。ロッドの充填率は前記と同様である。
3次粉砕に用いられる粉砕助剤としては、セルロース中の水酸基との相互作用によりセルロースへの吸着を促進する観点から、アルコール、脂肪族アミド、芳香族カルボン酸アミド、ロジン酸アミド、脂肪酸の金属塩、芳香族スルホン酸ジアルキルエステルの金属塩、フェニルホスホン酸金属塩、リン酸エステルの金属塩、ロジン酸類の金属塩、脂肪酸エステル類、カルボヒドラジド類、N−置換尿素類、メラミン化合物の塩、ウラシル類及びポリエーテルが挙げられる。なかでも、ポリ乳酸樹脂射出成形体の熱安定性の観点から、アルコール、脂肪族アミド、芳香族カルボン酸アミド、脂肪酸の金属塩、フェニルホスホン酸金属塩、リン酸エステルの金属塩、脂肪酸エステル類及びポリエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、セルロースの粉砕効率及びポリ乳酸樹脂射出成形体の耐衝撃性を向上させる観点から、アルコール、脂肪族アミド、脂肪酸の金属塩、フェニルホスホン酸金属塩、脂肪酸エステル類及びポリエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
粉砕助剤に用いられるアルコールとしては、セルロースの凝集抑制及び平均粒径を低減する観点から、好ましくは炭素数5〜40、より好ましくは炭素数10〜30、さらに好ましくは炭素数14〜22の直鎖又は分岐鎖のアルコールが好ましい。また、セルロースへの吸着を促進するためのセルロース中の水酸基との相互作用の観点から、アルコール中にアルデヒド基、カルボニル基、アミノ基、アミド基、イミノ基、イミド基、シアノ基、チオール基、エステル基、エーテル基等の置換基を有していても構わない。
前記アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、セトステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール等が挙げられ、その中でもセルロースの粉砕効率とポリ乳酸樹脂射出成形体の耐衝撃性を向上させる観点から、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等が好ましい。
粉砕助剤に用いられる脂肪族アミドとしては、セルロースへの吸着を促進するためのセルロース中の水酸基との相互作用の観点から、脂肪族アミド中にアルデヒド基、カルボニル基、アミノ基、イミノ基、イミド基、シアノ基、チオール基、エステル基、エーテル基等の置換基を有していても構わない。
前記脂肪族アミドの化合物の具体例としては、12−ヒドロキシステアリン酸モノエタノールアミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスカプリル酸アミド、メチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド等が挙げられ、その中でもセルロースの粉砕効率及びポリ乳酸樹脂射出成形体の耐衝撃性を向上させる観点から、メチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド等のアルキレンビスヒドロキシ脂肪酸アミドが好ましく、エチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミドがより好ましい。
粉砕助剤に用いられる脂肪酸の金属塩としては、セルロースの凝集抑制及び平均粒径を低減する観点から、好ましくは炭素数12〜24、より好ましくは炭素数14〜20の脂肪酸の金属塩が好ましい。また、セルロースへの吸着を促進するためのセルロース中の水酸基との相互作用の観点から、脂肪酸中にアルデヒド基、カルボニル基、アミノ基、アミド基、イミノ基、イミド基、シアノ基、チオール基、エステル基、エーテル基等の置換基を有していても構わない。
前記脂肪酸の金属塩としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等が挙げられ、その中でもセルロースの粉砕効率及びポリ乳酸樹脂射出成形体の耐衝撃性を向上させる観点から、ミリスチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウムが好ましい。
粉砕助剤に用いられるフェニルホスホン酸金属塩は、置換基を有しても良いフェニル基とホスホン基〔−PO(OH)〕を有するフェニルホスホン酸の金属塩であり、フェニル基の置換基としては、炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ基の炭素数が1〜10のアルコキシカルボニル基等が挙げられる。フェニルホスホン酸の具体例としては、無置換のフェニルホスホン酸、メチルフェニルホスホン酸、エチルフェニルホスホン酸、プロピルフェニルホスホン酸、ブチルフェニルホスホン酸、ジメトキシカルボニルフェニルホスホン酸、ジエトキシカルボニルフェニルホスホン酸等が挙げられ、無置換のフェニルホスホン酸が好ましい。
フェニルホスホン酸の金属塩としては、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、バリウム、銅、亜鉛、鉄、コバルト、ニッケル等の塩が挙げられ、ポリ乳酸樹脂射出成形体の耐衝撃性を向上させる観点から、亜鉛塩が好ましい。
粉砕助剤に用いられる脂肪酸エステル類としては、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
COOR (1)
式中、R、Rは特に限定はないが、ポリ乳酸樹脂射出成形体の耐衝撃性を向上する観点から、Rは、炭素数が好ましくは1〜50、より好ましくは1〜40、更に好ましくは2〜30の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基又はアルキルエーテル基が、Rは、炭素数が好ましくは1〜50、より好ましくは1〜30、さらに好ましくは2〜20のアルキル基、アルケニル基、エーテル基、アルキルエーテル基及び水酸基を含むアルキル基、グリセライドから一つのアシルオキシ基を除いた残基、又はアルキレンオキシ基が好ましい。
また、セルロースへの吸着を促進するためのセルロース中の水酸基との相互作用の観点から、脂肪酸エステル中にアルデヒド基、カルボニル基、アミノ基、アミド基、イミノ基、イミド基、シアノ基、チオール基、エーテル基等の置換基を有していても構わない。
前記脂肪酸エステル類としては、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸オクチル、ステアリン酸ステアリル、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノステアレート、ペンタエリスリトールモノオレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド、12−ヒドロキシステアリン酸ジグリセライド、12−ヒドロキシステアリン酸モノグリセライド、ペンタエリスリトール−モノ−12−ヒドロキシステアレート、ペンタエリスリトール−ジ−12−ヒドロキシステアレート、ペンタエリスリトール−トリ−12−ヒドロキシステアレート又は、コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステル化合物等が挙げられ、その中でもセルロースの粉砕効率とポリ乳酸樹脂射出成形体の耐衝撃性を向上させる観点から、12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトール−モノ−12−ヒドロキシステアレート、ペンタエリスリトール−ジ−12−ヒドロキシステアレート、ペンタエリスリトール−トリ−12−ヒドロキシステアレート又はコハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステル化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ペンタエリスリトールモノステアレート、コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステル化合物がより好ましい。
粉砕助剤に用いられるポリエーテルとしては、下記一般式(2)で表される化合物が好ましい。
−O−〔(RO)−H〕 (2)
式中、R、R、pは特に限定はないが、ポリ乳酸樹脂射出成形体の耐衝撃性を向上させる観点から、Rは、水素原子、又は炭素数1〜50のアルキル基もしくはアルケニル基が好ましく、Rは、炭素数2〜4のアルキレン基が好ましく、エチレン基又はプロピレン基がより好ましい。また、pは平均付加モル数を示し、好ましくは2〜400の数、より好ましくは5〜200の数、さらに好ましくは5〜150の数がよい。
一般式(2)の化合物の具体例としては、下記一般式(3)で表される化合物がセルロースの粉砕効率とポリ乳酸樹脂射出成形体の耐衝撃性を向上させる観点から好ましい。
−O−(CO)(CO)−H (3)
式中、Rは、水素原子、又は炭素数1〜22のアルキル基であり、s及びtはそれぞれエチレンオキシド(EO)及びプロピレンオキシド(PO)の平均付加モル数を示し、それぞれ独立して、好ましくは0〜200の数、より好ましくは2〜100の数であり(ただし、s=0かつt=0であることはない)、EOとPOの両方を含む場合は、ランダムあるいはブロック付加体であっても良い。
におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、各種デシル基、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種ヘキサデシル基、各種オクタデシル基等が挙げられる。Rとしては、セルロースの粉砕効率とポリ乳酸樹脂射出成形体の耐衝撃性を向上させる観点から、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基が好ましい。
本発明に使用されるポリエーテルの重量平均分子量は、100〜20000の範囲が好ましく、400〜20000の範囲がより好ましい。重量平均分子量は、溶媒としてクロロホルムを用いたGPC法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
また、本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲で、前記粉砕助剤以外に、他の粉砕助剤を用いることができる。他の粉砕助剤としては、トリメシン酸トリス(t−ブチルアミド)、m−キシリレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、1,3,5―ベンゼントリカルボン酸トリシクロヘキシルアミド等の芳香族カルボン酸アミド;p−キシリレンビスロジン酸アミド等のロジン酸アミド;5−スルホイソフタル酸ジメチル二バリウム、5−スルホイソフタル酸ジメチル二カルシウム等の芳香族スルホン酸ジアルキルエステルの金属塩;ナトリウム−2,2‘−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート、アルミニウムビス(2,2’−メチレンビス−4,6−ジ−t−ブチルフェニルホスフェート)等のリン酸エステルの金属塩;メチルデヒドロアビエチン酸カリウム等のロジン酸類の金属塩;デカメチレンジカルボニルジベンゾイルヒドラジド等のカルボヒドラジド類;キシレンビスステアリル尿素等のN−置換尿素類;メラミンシアヌレート等のメラミン化合物の塩;6−メチルウラシル等のウラシル類が挙げられる。
前記の粉砕助剤は、単独で又は2種以上を任意の割合で組み合わせて用いることもできる。
本発明において、粉砕助剤の添加量は、3次粉砕に供されるセルロース100重量部に対して、好ましくは0.1〜100重量部であり、より好ましくは0.5〜50重量部、さらに好ましくは1.0〜30重量部であり、さらにより好ましくは2〜20重量部である。粉砕助剤の添加量が、3次粉砕に供されるセルロース100重量部に対して、0.1重量部以上であれば、セルロースの平均粒径の低減が可能となり、100重量部以下であれば、平均粒径が30μm以下のセルロースを効率良く得ることができる。
3次粉砕の処理時間は、粉砕機の種類や、粉砕機に充填する媒体の種類、大きさ、及び充填率等により適宜調整しうるが、効率的にセルロースの平均粒径を低減させる観点から、好ましくは0.01〜50hr、より好ましくは0.05〜20hr、さらに好ましくは0.10〜10hr、さらに好ましくは0.10〜5hr、さらに好ましくは0.10〜3.5hrである。粉砕処理温度は、特に制限はないが、熱劣化を防ぐ観点から、好ましくは5〜250℃、より好ましくは10〜200℃、さらに好ましくは15〜150℃である。
かくして、3次粉砕により、セルロース粒子同士の強い凝集が抑制された微粒化セルロースが得られる。微粒化セルロースの平均粒径は、好ましくは0.1〜30μm、より好ましくは0.1〜20μmである。
また、本発明においては、ポリ乳酸樹脂射出成形体の可撓性をさらに向上させる観点から、前記2次粉砕により得られた50%未満の結晶化度を有するセルロースや、前記2次粉砕及び3次粉砕を経て得られた、50%未満の結晶化度を有し、かつ30μm以下の平均粒径を有するセルロースの表面を、シランカップリング剤やチタンカップリング剤の表面処理剤等で処理することができる。
表面処理剤としては、特に限定はなく公知のものを用いることができ、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が例示される。
表面処理剤の処理量としては、ポリ乳酸樹脂射出成形体の強度と可撓性の両立の観点から、表面処理されるセルロース100重量部に対して、0.1〜5重量部が好ましく、0.3〜3重量部がより好ましく、0.5〜2重量部がさらに好ましい。
表面処理の方法としては特に限定はなく、公知の方法に従って行うことができる。
結晶化度が50%未満であるセルロースの含有量は、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、適度な曲げ強度や曲げ弾性率が得られる観点から、1重量部以上が好ましく、また、曲げ強度や曲げ弾性率が高くなり過ぎない観点から、350重量部以下が好ましい。また、ポリ乳酸樹脂射出成形体の可撓性と耐衝撃性の観点から、1〜300重量部が好ましく、5〜100重量部がより好ましく、5〜50重量部がさらに好ましい。すなわち、ポリ乳酸樹脂射出成形体の曲げ強度、曲げ弾性率、可撓性及び耐衝撃性を得る観点から、結晶化度が50%未満であるセルロースの含有量は、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、1〜300重量部が好ましく、5〜100重量部がより好ましく、5〜50重量部がさらに好ましい。なお、本明細書において、「含有量」とは、「含有量」、「使用量」又は「配合量」を意味する。
[結晶核剤]
結晶核剤としては、ポリ乳酸樹脂射出成形体の強度と可撓性の両立、成形性、耐熱性、耐衝撃性及び結晶核剤の耐ブルーム性の観点から、特開2008−115372号公報や特開2008−174718号公報に記載の結晶核剤、即ち、分子中に水酸基とアミド基とを有する化合物及びヒドロキシ脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、これらの少なくとも1種とフェニルホスホン酸金属塩とを併用することがより好ましく、分子中に水酸基とアミド基とを有する化合物とフェニルホスホン酸金属塩を併用することがさらに好ましい。
分子中に水酸基とアミド基とを有する化合物としては、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ、ポリ乳酸樹脂射出成形体の強度と可撓性の両立を図る観点から、水酸基を2つ以上有し、アミド基を2つ以上有する脂肪酸ビスアミドが好ましく、ポリ乳酸樹脂射出成形体の成形性、耐熱性、耐衝撃性及び結晶核剤の耐ブルーム性の観点から、メチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド等のアルキレンビスヒドロキシステアリン酸アミドがより好ましく、エチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミドがさらに好ましい。
分子中に水酸基とアミド基とを有する化合物の融点は、混練時の結晶核剤の分散性を向上させ、またポリ乳酸樹脂組成物の結晶化速度を向上させる観点から、65℃以上が好ましく、70〜220℃がより好ましく、80〜190℃がさら好ましい。
ヒドロキシ脂肪酸エステルの具体例としては、12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド、12−ヒドロキシステアリン酸ジグリセライド、12−ヒドロキシステアリン酸モノグリセライド等のヒドロキシ脂肪酸エステルが挙げられる。ポリ乳酸樹脂射出成形体の強度と可撓性の両立、成形性、耐熱性、耐衝撃性及び結晶核剤の耐ブルーム性の観点から、12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセライドが好ましい。
フェニルホスホン酸金属塩としては、置換基を有しても良いフェニル基とホスホン基〔−PO(OH)〕を有するフェニルホスホン酸の金属塩であり、フェニル基の置換基としては、炭素数1〜10のアルキル基、アルコキシ基の炭素数が1〜10のアルコキシカルボニル基等が挙げられる。フェニルホスホン酸の具体例としては、無置換のフェニルホスホン酸、メチルフェニルホスホン酸、エチルフェニルホスホン酸、プロピルフェニルホスホン酸、ブチルフェニルホスホン酸、ジメトキシカルボニルフェニルホスホン酸、ジエトキシカルボニルフェニルホスホン酸等が挙げられ、無置換のフェニルホスホン酸が好ましい。
フェニルホスホン酸の金属塩としては、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、バリウム、銅、亜鉛、鉄、コバルト、ニッケル等の塩が挙げられ、ポリ乳酸樹脂射出成形体の耐衝撃性を向上させる観点から、亜鉛塩が好ましい。
本発明において結晶核剤として、分子中に水酸基とアミド基とを有する化合物及びヒドロキシ脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種と、フェニルホスホン酸金属塩とを併用する場合、これらの割合は、本発明の効果を発現する観点から、分子中に水酸基とアミド基とを有する化合物及びヒドロキシ脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種/フェニルホスホン酸金属塩(重量比)=20/80〜80/20が好ましく、30/70〜70/30がより好ましく、40/60〜60/40がさらに好ましい。
結晶核剤の総含有量は、ポリ乳酸樹脂射出成形体の強度と可撓性の両立、及び耐衝撃性を得る観点から、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、0.05〜5重量部が好ましく、0.10〜3重量部がより好ましく、0.20〜2重量部がさらに好ましく、0.20〜1重量部がさらにより好ましい。
本発明においては、前記ポリ乳酸樹脂、結晶化度が50%未満であるセルロース、及び結晶核剤以外に、さらに、可塑剤、加水分解抑制剤等を適宜用いてもよい。
[可塑剤]
本発明において用いられる結晶化度が50%未満であるセルロースは、従来の樹脂組成物に用いられるセルロースに比べて結晶化度が著しく低減されている。そのため、それ自体で可塑剤的な役割を果たすものであるが、ポリ乳酸樹脂射出成形体の強度と可撓性のさらなる向上及び耐衝撃性の観点から、本発明におけるポリ乳酸射出成形体は可塑剤を含有することが好ましい。
可塑剤としては、特に限定はなく公知のものが挙げられ、例えば、ジ−n−オクチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフタル酸エステル、ジオクチルイソフタレート等のイソフタル酸エステル、ジ−n−ブチルアジペート、ジオクチルアジペート等のアジピン酸エステル、ジ−n−ブチルマレート等のマレイン酸エステル、アセチルトリ−n−ブチルシトレート等のクエン酸エステル、モノブチルイタコネート等のイタコン酸エステル、ブチルオレート等のオレイン酸エステル、ジアセチルカプリル酸モノグリセライド、ジアセチルラウリン酸モノグリセライド、リシノール酸モノグリセライド、デカグリセリンモノエレート等の多価アルコールエステル、トリクレジルホスフェート等のリン酸エステル、ポリエチレングリコール(以下PEG)、PEGジアセテート、ポリプロピレングリコール(以下PPG)、PEG−PPG−PEGブロックポリマー、PPG−PEG−PPGブロックポリマー等のポリアルキレングリコール類、トリエチレングリコールモノメチルエーテル乳酸オリゴマーエステル等の乳酸オリゴマーエステル類、ジエチレングリコールロジンエステルアセテート等のロジン酸エステル類が使用できる。なかでも、ポリ乳酸樹脂射出成形体の可撓性及び成形性を向上させる観点から、カルボン酸エステル及び/又はリン酸エステルが好ましく、その中でも、ポリ乳酸樹脂射出成形体の強度と可撓性の両立の観点から、分子内に2個以上のエステル基を有し、エステルを構成するアルコール成分の少なくとも1種が水酸基1個当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを平均0.5〜5モル付加したエステル化合物(以下、「AO付加エステル化合物)という)を含有することが好ましい。
前記カルボン酸エステルとしては、耐揮発性及び成形性を向上させる観点から、下記式(I)で表されるオリゴエステルが好ましい。
O−CO−R−CO−〔(OR−CO−R−CO−〕 (I)
(式中、Rは炭素数が1〜4のアルキル基、Rは炭素数が2〜4のアルキレン基、Rは炭素数が2〜6のアルキレン基であり、aは1〜6の数、bは1〜6の数を示し、但し、全てのRは同一でも異なっていてもよく、全てのRは同一でも異なっていてもよい)
式(I)におけるRは、炭素数が1〜4のアルキル基を示し、1分子中に2個存在して、分子の両末端に存在する。Rは炭素数が1〜4であれば、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。アルキル基の炭素数としては、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ可塑化効果を発現させる観点から、1〜4が好ましく、1〜2がより好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられ、なかでも、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ可塑化効果を発現させる観点から、メチル基が好ましい。
式(I)におけるRは、炭素数が2〜4のアルキレン基を示し、直鎖のアルキレン基が好適例として挙げられる。具体的には、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基が挙げられ、なかでも、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ可塑化効果を発現させる観点から、エチレン基、1,3−プロピレン基が好ましく、エチレン基がより好ましく、可塑化効果を発現させる観点及び経済性の観点から、エチレン基、1,4−ブチレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。但し、全てのRは同一でも異なっていてもよい。
式(I)におけるRは、炭素数が2〜6のアルキレン基を示し、ORはオキシアルキレン基を示す。Rは炭素数が2〜6であれば、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。アルキレン基の炭素数としては、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ可塑化効果を発現させる観点から、2〜6が好ましく、2〜3がより好ましい。具体的には、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,3−ブチレン基、1,4−ブチレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基、1,2−ペンチレン基、1,4−ペンチレン基、1,5−ペンチレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基、1,2−ヘキシレン基、1,5−ヘキシレン基、1,6−ヘキシレン基、2,5−ヘキシレン基、3−メチル−1,5−ペンチレン基が挙げられ、なかでも、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ可塑化効果を発現させる観点から、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基が好ましい。但し、全てのRは同一でも異なっていてもよい。
aはオキシアルキレン基の平均の繰り返し数を示し、1〜6の数である。aが大きくなると、式(I)で表されるエステル化合物のエーテル基価が上がり、酸化されやすくなり安定性が低下する。ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させる観点から、1〜4の数が好ましく、1〜3の数がより好ましい。
bは平均重合度を示し、1〜6の数である。ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ可塑化効果及び可塑化効率を向上させる観点から、1〜4の数が好ましい。
式(I)で表される化合物の具体例としては、Rがメチル基、Rがエチレン基、Rがエチレン基であって、aが2、bが1.5のエステル、Rがエチル基、Rが1,4−ブチレン基、Rが1,3−プロピレン基であって、aが1、bが2のエステル、Rがブチル基、Rが1,3−プロピレン基、Rがエチレン基であって、aが3、bが1.5のエステル、Rがメチル基、Rがエチレン基、Rが1,6−ヘキシレン基であって、aが1、bが3のエステル等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上含有されていてもよい。これらのなかでも、Rが全てメチル基、Rがエチレン基又は1,4−ブチレン基、Rがエチレン基又は1,3−プロピレン基であって、aが1〜3の数、bが1〜4の数である化合物が好ましく、Rが全てメチル基、Rがエチレン基又は1,4−ブチレン基、Rがエチレン基又は1,3−プロピレン基であって、aが1〜3の数、bが1〜3の数である化合物がより好ましい。
また、耐揮発性を向上させる観点から、コハク酸、グルタル酸、及びアジピン酸から選ばれる少なくとも1つの二塩基酸と、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、及び1,3−プロパンンジオールから選ばれる少なくとも1つの2価アルコールのオリゴエステル〔式(I)中、b=1.2〜3〕が好ましい。
前記リン酸エステルとしては、可撓性を向上させる観点から、下記式(II):
Figure 2011152786
(式中、R、R10、R11はそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基を示し、A、A、Aはそれぞれ独立して炭素数2又は3のアルキレン基を示し、d、e、fはそれぞれ独立してオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す正の数であって、d+e+fが4〜12を満足する数である)
で表される化合物が好ましい。
式(II)で表される化合物は、ポリエーテル型リン酸トリエステルであり、対称構造でも非対称構造でも構わないが、製造上の簡便さからは、対称構造のリン酸トリエステルが好ましい。
、R10、R11は、それぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基を示し、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基が挙げられるが、エチル基、プロピル基、ブチル基が好ましい。
、A、Aは、それぞれ独立して炭素数2又は3のアルキレン基を示し、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。具体的には、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基が挙げられる。また、A、A、Aは、隣接する酸素原子とオキシアルキレン基(アルキレンオキサイド)を形成し、式(II)で表される化合物における繰り返し構造を形成する。
d、e、fは、それぞれ独立してオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す正の数であって、d+e+fが4〜12であり、ポリ乳酸樹脂との相溶性を向上させ、可塑化効果を向上させる観点から、好ましくは5〜10を満足する数である。可塑化効果が向上することで、少ない添加量でも十分な可塑化効果を生分解性樹脂に付与できる。
式(II)で表される化合物の具体例としては、式(III):
Figure 2011152786
で表されるトリス(エトキシエトキシエチル)ホスフェート〔式(II)中、R、R10、R11はいずれもエチル基、A、A、Aはいずれもエチレン基、d、e、fはいずれも2で、d+e+f=6〕の他に、トリス(メトキシエトキシエチル)ホスフェート、トリス(プロポキシエトキシエチル)ホスフェート、トリス(ブトキシエトキシエチル)ホスフェート、トリス(メトキシエトキシエトキシエチル)ホスフェート、トリス(エトキシエトキシエトキシエチル)ホスフェート等の対称ポリエーテル型リン酸トリエステルやビス(エトキシエトキシエチル)メトキシエトキシエトキシエチルホスフェート、ビス(メトキシエトキシエトキシエチル)エトキシエトキシエチルホスフェート等の非対称ポリエーテル型リン酸トリエステル、あるいは炭素数1〜4のアルコールのポリオキシエチレン付加物又はポリオキシプロピレン付加物の混合物を式(II)を満たすようにリン酸トリエステル化した非対称ポリエーテル型リン酸エステルが挙げられるが、可撓性を向上させる観点から、トリス(エトキシエトキシエチル)ホスフェートが好ましい。
また、前記AO付加エステル化合物としては、特開2008−115372号公報や特開2008−174718号公報に記載の可塑剤、即ち、分子内に2個以上のエステル基を有し、エステルを構成するアルコール成分の少なくとも1種が水酸基1個当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを平均0.5〜5モル付加したエステル化合物が挙げられ、例えば、水酸基1個当たり炭素数2又は3のアルキレンオキシ基が平均0.5〜5モル付加したアルコールのアルキレンオキサイド付加物等のアルコール成分と公知のカルボン酸成分との縮重合により得られる化合物が好ましい。
前記アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合は、公知の方法、例えば、特開2008−174735号公報等に記載の方法に従って行うことができる。
本発明においては、ポリ乳酸樹脂射出成形体の強度と可撓性の両立、成形性、可塑性、及び可塑剤の耐ブリード性の観点から、具体的には、コハク酸又はアジピン酸とポリエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステル化合物、及び酢酸とグリセリン又はエチレングリコールのエチレンオキサイド付加物とのエステル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、コハク酸又はアジピン酸とポリエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステル化合物がより好ましい。
また、耐揮発性の観点からは、アジピン酸と、ジエチレングリコールモノメチルエーテル/ベンジルアルコール混合物(重量比:1/1)とのエステル化合物が好ましい。
なお、前記AO付加エステル化合物は、可塑剤としての機能を十分発揮させる観点から、全てエステル化された飽和エステルであることが好ましい。
前記AO付加エステル化合物の平均分子量は、ポリ乳酸樹脂射出成形体の強度と可撓性の両立、ならびに可塑剤の耐ブリード性及び耐揮発性の観点から、好ましくは250〜700であり、より好ましくは300〜600であり、さらに好ましくは350〜550であり、さらに好ましくは400〜500である。なお、平均分子量は、JIS K0070に記載の方法で鹸化価を求め、次式より計算で求めることができる。
平均分子量=56,108×(エステル基の数)/鹸化価
可塑剤が前記AO付加エステル化合物を含有する場合、ポリ乳酸樹脂及び結晶化度が50%未満であるセルロースに対する相溶性が良好となる。そのため耐ブリード性が向上するとともに、前記樹脂の軟質化効果も向上する。この樹脂の軟質化向上により、該樹脂が結晶化するときはその成長速度も向上すると考えられる。その結果、低い金型温度でもポリ乳酸樹脂が柔軟性を保持しているため、短い金型保持時間でポリ乳酸樹脂の結晶化が進み良好な成形性を示すものと考えられる。また、結晶化度が50%未満であるセルロースとの相溶性が向上する結果、両者の相互作用によりポリ乳酸樹脂射出成形体の優れた強度と可撓性の両立が達成できるものと考えられる。
可塑剤として、前記エステル化合物、即ち、カルボン酸エステル及び/又はリン酸エステルとそれ以外の可塑剤を使用することができる。前記AO付加エステル化合物の含有量は、特に限定されないが、ポリ乳酸樹脂射出成形体の強度と可撓性の両立、及び可塑剤の耐ブリード性の観点から、可塑剤中、60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、90重量%以上がさらに好ましく、実質100重量%であることがさらにより好ましい。
可塑剤の含有量は、ポリ乳酸樹脂射出成形体の強度と可撓性の両立、及び耐衝撃性を得る観点から、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、5〜50重量部が好ましく、7〜30重量部がより好ましく、8〜30重量部がさらに好ましく、8〜20重量部がさらにより好ましい。また、可塑剤のブリードアウトを低減させ、ポリ乳酸樹脂射出成形体の成形性を高める観点からは、可塑剤の含有量は、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、10重量部以下が好ましい。
[加水分解抑制剤]
加水分解抑制剤としては、ポリカルボジイミド化合物やモノカルボジイミド化合物等のカルボジイミド化合物が挙げられ、ポリ乳酸樹脂射出成形体の強度と可撓性の両立、及び成形性の観点からポリカルボジイミド化合物が好ましく、ポリ乳酸樹脂射出成形体の耐熱性、耐衝撃性及び加水分解抑制剤の耐ブルーム性の観点から、モノカルボジイミド化合物が好ましい。
ポリカルボジイミド化合物としては、ポリ(4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)等が挙げられ、モノカルボジイミド化合物としては、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド等が挙げられる。
前記カルボジイミド化合物は、ポリ乳酸樹脂射出成形体の成形性、耐熱性、耐衝撃性及び加水分解抑制剤の耐ブルーム性を満たすために、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。また、ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)はカルボジライトLA−1(日清紡績社製)を、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミドはスタバクゾール1、スタバクゾール1−LF(Rhein Chemie社製)をそれぞれ購入して使用することができる。
加水分解抑制剤の含有量は、ポリ乳酸樹脂射出成形体の成形性の観点から、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、0.05〜3重量部が好ましく、0.10〜2重量部がより好ましく、0.20〜1重量部がさらに好ましい。
また、本発明におけるポリ乳酸樹脂組成物には、前記以外に、更にヒンダードフェノール又はフォスファイト系の酸化防止剤、又は炭化水素系ワックス類やアニオン型界面活性剤である滑剤等の他の成分を配合することができる。酸化防止剤、及び滑剤のそれぞれの含有量は、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、0.05〜3重量部が好ましく、0.10〜2重量部がより好ましい。
さらに、本発明におけるポリ乳酸樹脂組成物は、前記以外の他の成分として、帯電防止剤、防曇剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、防カビ剤、抗菌剤、発泡剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。
<工程(1)>
工程(1)では、前記ポリ乳酸樹脂組成物を超臨界流体と接触させながら溶融混練する。
超臨界流体とは、超臨界状態の気体を圧縮し液体化したものであり、具体的には二酸化炭素、水、炭化水素等が挙げられ、二酸化炭素が好ましい。二酸化炭素の臨界温度は31.2℃であり、これ以上の温度では圧力による相変化を生じない超臨界状態を呈する。超臨界状態の気体を圧縮し密度が液体に近づくと溶解力が高まり、ポリ乳酸樹脂組成物への溶解度が急激に上昇する。そのため、実用的には7MPa以上の圧力で圧縮した二酸化炭素がより好ましい。
工程(1)において、ポリ乳酸樹脂組成物を超臨界流体と接触させながら溶融混練する方法としては、例えば、超臨界流体の導入口を有する押出機や射出成形機等を用い、二酸化炭素等の超臨界流体を圧入しながらポリ乳酸樹脂組成物を溶融混練する方法が挙げられる。超臨界流体が圧入されるポリ乳酸樹脂組成物としては、ポリ乳酸樹脂成形体の強度と可撓性の両立の観点から、前記ポリ乳酸樹脂、結晶化度が50%未満であるセルロース、及び結晶核剤、必要により、その他の成分を、予め170〜220℃で溶融混練して得られたペレット状であることが好ましい。ポリ乳酸樹脂組成物の結晶化速度を向上させる観点から、超臨界流体は、ポリ乳酸樹脂組成物に対し、0.1〜10重量%の割合で圧入させることが好ましく、0.5〜8重量%の割合で圧入させることがより好ましい。
工程(1)における溶融混練温度、即ち、ポリ乳酸樹脂組成物を超臨界流体と接触させながら溶融混練する温度は、結晶核剤等の分散性の観点から、好ましくは170〜240℃であり、より好ましくは170〜220℃である。圧入された二酸化炭素等の超臨界流体は溶融状態のポリ乳酸樹脂組成物と機械的に混練されることが好ましく、これにより溶融状態のポリ乳酸樹脂組成物に均一に高濃度の超臨界流体が溶解する。
<工程(2)>
工程(2)は、工程(1)で得られた溶融物を金型内に充填し、成形する工程である。本発明の製造方法により得られるポリ乳酸樹脂射出成形体は、物性を維持する観点から無発泡であることが好ましい。従って、本発明の製造方法により得られるポリ乳酸樹脂射出成形体の発泡倍率は、1.5倍以下が好ましく、1.2倍以下がより好ましく、1.10倍以下がさらに好ましく、1.05倍以下がさらにより好ましい。ポリ乳酸樹脂射出成形体の発泡倍率を低く抑える方法としては、得られる射出成形体の形状を薄肉に設計したり、射出速度を上げたり、或いは、金型内を超臨界流体の超臨界状態を保つために予め窒素ガス等の気体で加圧しておくことが好ましく、金型内の圧力は超臨界流体の臨界圧力以上が好ましい。
工程(2)における金型温度は、ポリ乳酸樹脂組成物の結晶化速度向上の観点から、10〜90℃が好ましく、20〜85℃がより好ましく、50〜85℃がさらに好ましい。
かくして本発明の製造方法により、強度と可撓性に優れたポリ乳酸樹脂射出成形体が得られる。従って、本発明はまた、本発明の製造方法により得られるポリ乳酸樹脂射出成形体を提供する。
本発明のポリ乳酸樹脂射出成形体は、特定のポリ乳酸樹脂組成物に超臨界流体を接触させることにより、強度と可撓性に優れたポリ乳酸樹脂射出成形体を、短い成形時間で、また低い金型温度でも効率的に得ることができるという優れた成形性を有するものである。本発明の格別優れた効果が発現できる理由は定かではないが、特定のポリ乳酸樹脂組成物に含有される結晶化度が50%未満であるセルロースと超臨界流体との相乗的な作用によるものと考えられる。
〔樹脂の融点〕
樹脂の融点は、DSC装置(パーキンエルマー社製、ダイアモンドDSC)を用いて、JIS−K7121に基づく示差走査熱量測定の昇温法による結晶融解吸熱ピーク温度より求められる。融点の測定は、昇温速度10℃/分で20℃から250℃まで昇温して行う。
〔水分含量が調整されたセルロース含有原料の平均粒径〕
目開きXμm、0.9Xμmの篩を用意し、試料50gを篩の上に置いて篩分けする。その際、目開きXμmの篩を通過し、目開き0.9Xμmの篩を通過せずに篩上に残ったセルロースの重量が90重量%(45g)以上である場合を、セルロース含有原料の平均粒径Xμmとする。
〔1次粉砕により得られたセルロース含有原料、非晶質セルロース及び結晶性セルロースの平均粒径〕
1次粉砕により得られたセルロース含有原料、非晶質セルロース及び結晶性セルロースの平均粒径とは、体積中位粒径(D50)のことを意味し、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「LA−920」(堀場製作所社製)を用いて測定する。測定条件は、粒径測定前に超音波で1分間処理し、測定時の分散媒体として水を用い、体積中位粒径(D50)を、温度25℃にて測定する。
〔セルロース含有原料の嵩密度〕
嵩密度は、ホソカワミクロン社製の「パウダーテスター」を用いて測定する。測定は、ふるいを振動させて、サンプルをシュートを通じ落下させ、規定の容器(容量100mL)に受け、該容器中のサンプルの重量を測定することにより算出する。ただし綿状化したサンプルについては、ふるいを通さずにシュートを通じ落下させ、規定の容器(容量100mL)に受け、該容器中のサンプルの重量を測定することにより算出する。
〔セルロースI型結晶化度〕
セルロースI型結晶化度は、サンプルのX線回折強度を、リガク社製の「Rigaku RINT 2500VC X−RAY diffractometer」を用いて以下の条件で測定し、前記計算式に基づいて算出する。なお、測定用サンプルは、面積320mm×厚さ1mmのペレットを圧縮して作製する。
X線源:Cu/Kα−radiation
管電圧:40kv
管電流:120mA
測定範囲:回折角2θ=5〜45°
スキャンスピード:10°/min
〔セルロース含有原料の水分含量〕
水分含量は、赤外線水分計(ケット科学研究所社製、「FD−610」)を使用し、150℃にて測定を行う。
〔セルロース含有量〕
セルロース含有量は、社団法人日本分析化学会編、分析化学便覧(改訂四版、平成3年11月30日、丸善社発行)の1081頁〜1082頁に記載のホロセルロース定量法に準拠して測定する。
〔セルロース含有原料の灰分含量〕
灰分含量は、2.0gのセルロース含有原料をるつぼ中に秤量し、電気炉(ADVANTEC社製、KM−600)を使用し、500℃、2時間焼成を行い、残渣の重量から求める。
〔結晶核剤の融点〕
融点は、DSC装置(パーキンエルマー社製、ダイアモンドDSC)を用い、昇温速度10℃/分で20℃から500℃まで昇温して測定を行う。
〔可塑剤の平均分子量〕
平均分子量は、JIS K0070に記載の方法で鹸化価を求め、次式より計算で求める。
平均分子量=56,108×(エステル基の数)/鹸化価
可塑剤の製造例1(コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル)
攪拌機、温度計、脱水管を備えた3Lフラスコに、無水コハク酸500g、トリエチレングリコールモノメチルエーテル2463g、パラトルエンスルホン酸一水和物9.5gを仕込み、空間部に窒素(500mL/分)を吹き込みながら、減圧下(4〜10.7kPa)、110℃で15時間反応させた。反応液の酸価は1.6(KOHmg/g)であった。反応液に吸着剤キョーワード500SH(協和化学工業社製)27gを添加して80℃、2.7kPaで45分間攪拌してろ過した後、液温115〜200℃、圧力0.03kPaでトリエチレングリコールモノメチルエーテルを留去し、80℃に冷却後、残液を減圧ろ過して、ろ液として、コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステルを得た。得られたジエステルは、酸価0.2(KOHmg/g)、鹸化価276(KOHmg/g)、水酸基価1以下(KOHmg/g)、色相APHA200であった。
可塑剤の製造例2(酢酸とグリセリンにエチレンオキサイドを3モル付加させたエチレンオキサイド付加物とのトリエステル化合物)
オートクレーブに花王社製化粧品用濃グリセリン1モルに対しエチレンオキサイド3モルのモル比で規定量仕込み、1モル%のKOHを触媒として反応圧力0.3MPaの定圧付加し、圧力が一定になるまで150℃で反応した後、80℃まで冷却し、触媒未中和の生成物を得た。この生成物に触媒の吸着剤としてキョーワード600S(協和化学工業社製)を触媒重量の8倍添加し、窒素微加圧下で80℃、1時間吸着処理をおこなった。さらに処理後の液をNo.2のろ紙にラヂオライト#900をプレコートしたヌッツェで吸着剤を濾過し、グリセリンエチレンオキサイド3モル付加物(以下POE(3)グリセリンという)を得た。これを四つ口フラスコに仕込み、105℃に昇温して300r/minで攪拌し、無水酢酸をPOE(3)グリセリン1モルに対し3.6モルの比率で規定量を約1時間で滴下し反応させた。滴下後110℃で2時間熟成し、さらに120℃で1時間熟成した。熟成後、減圧下で未反応の無水酢酸及び副生の酢酸をトッピングし、さらにスチーミングして、POE(3)グリセリントリアセテートを得た。
可塑剤の製造例3(コハク酸とジエチレングリコールのオリゴエステル)
4ツ口フラスコ(攪拌機、温度計、滴下漏斗、蒸留管、窒素吹き込み管付き)にジエチレングリコール999g(9.41モル)、及び28%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液23.6g(ナトリウムメトキシド0.122モルを入れ、常圧(101.3kPa)、120℃で0.5時間攪拌しながらメタノールを留出させた後、コハク酸ジメチル(和光純薬工業社製)4125g(28.2モル)を3時間かけて滴下し反応させながら、同時に反応により生じるメタノールを留出させた。次に、圧力50〜760mmHg、75℃でメタノールを留出させた後、さらに、28%ナトリウムメトキシド含有メタノール溶液4.4g(ナトリウムメトキシド0.023モル)を添加し、圧力22〜760mmHg、100℃でメタノールを留出させた。キョーワード600S(協和化学工業社製)41gを添加し、圧力30mmHg、80℃で1時間攪拌した後、減圧ろ過を行った。ろ液を圧力2mmHg、70〜190℃で加熱して、未反応のコハク酸ジメチルを留去し、黄色の液体を得た。
可塑剤の製造例4(トリス(エトキシエトキシエチル)ホスフェート)
1リットル四つ口フラスコに、ジエチレングリコールモノエチルエーテル600g(4.47モル)を加え、乾燥窒素ガスを毎分50mLの流量で吹き込みながら、減圧下(20kPa)で攪拌した。次いで反応系内を室温(15℃)に保ちながらオキシ塩化リン114g(0.745モル)をゆっくりと滴下し、その後、40〜60℃で5時間熟成した。その後、16重量%の水酸化ナトリウム水溶液149gを添加して中和し、過剰の未反応ジエチレングリコールモノエチルエーテルを70〜120℃の温度条件で減圧留去し、さらに水蒸気と接触させて粗リン酸トリエステル367gを得た。さらに、この粗リン酸トリエステルに16重量%の塩化ナトリウム水溶液300gを加えて洗浄した。その後、分相した下相を廃水し、残りの上相を75℃の減圧下で脱水した後、さらにろ過で固形分を除去し、目的とするトリス(エトキシエトキシエチル)ホスフェート266gを得た(収率80%)。このトリス(エトキシエトキシエチル)ホスフェートは無色透明の均一液体であり、クロルイオン分析を行った結果、クロルイオン含量は10mg/kg以下であった。
次に、結晶化度が50%未満であるセルロースの製造例を示す。本実施例において、結晶化度が50%未満であるセルロースのことを「非晶質セルロース」、結晶化度が50%以上であるセルロースのことを「結晶性セルロース」と記載し、以下の製造例によって得られた非晶質セルロースの平均粒径及び結晶化度を表1〜5に示す。なお、結晶性セルロースとしては、旭化成ケミカルズ社製のセオラスTG−101(セルロースI型結晶化度82%、セルロース平均粒径30μm)を用いた。
非晶質セルロースの製造例1
〔粗粉砕処理〕
セルロース含有原料として、シート状木材パルプ(Borregard社製「Blue Bear Ultra Ether」、800mm×600mm×1.5mm、セルロース含有量96重量%(セルロース含有原料から水を除いた残余の成分中の含有量、以下同じ)、セルロースI型結晶化度81%、水分含量7.0重量%、嵩密度200kg/m)をシュレッダー(明光商会社製、「MSX2000−IVP440F」)にかけ、約10mm×5mm×1.5mmのチップ状パルプにした。
〔1次粉砕(押出機処理)〕
得られたチップ状パルプを二軸押出機(スエヒロEPM社製、「EA−20」)に2kg/hrで投入し、せん断速度660sec−1、スクリュー回転数300r/minで外部から冷却水を流しながら、1パス処理した。なお、前記二軸押出機は、完全噛み合い型同方向回転二軸押出機であり、2列に配置されたスクリューは、スクリュー径40mmのスクリュー部と、互い違い(90°)に12ブロックを組み合わせたニーディングディスク部とを有し、2本のスクリューは、同じ構成を有するものである。また、二軸押出機の温度は、処理にともなう発熱により、30〜70℃であった。押出機処理後(1次粉砕後)に得られたパルプは、嵩密度219kg/m、平均粒径120μmであった。
〔2次粉砕(粉砕機処理)〕
押出機処理後に得られたパルプを、粉砕機Aとしてバッチ式攪拌槽型粉砕機(五十嵐機械社製「サンドグラインダー」:容器容積800mL、5mmΦジルコニアビーズを720g充填、充填率25%、攪拌翼径70mm)に50g投入した。容器ジャケットに冷却水を通しながら、攪拌回転数2000r/minで、180分粉砕処理を行った。操作の際の温度は、30〜70℃の範囲であった。
処理終了後、攪拌槽型粉砕機内の壁面や底部にパルプの固着物等は見られなかった。2次粉砕処理後に得られたパルプを前記攪拌槽型粉砕機から取り出し、75μm目開きの篩をかけ、篩下品として、45g(投入量の90重量%)の非晶質セルロースAを得た。
非晶質セルロースの製造例2
製造例1と同様にして押出機処理後(1次粉砕後)に得られたパルプ50gを、2次粉砕に用いる粉砕機として振動ミル(中央化工機社製、「MB−1」、容器全容量3.5L)に投入し、ロッド(断面形状:円形、直径:30mm、長さ:218mm、材質:ステンレス)11本を振動ミルに充填(充填率48%)して、振幅8mm、回転数1200回転/分の条件で、60分間処理を行った。操作の際の温度は、30℃であった。
処理終了後、振動ミル内の壁面や底部にパルプの固着物等は見られなかった。2次粉砕処理後に得られたパルプを前記振動ミルから取り出し、75μm目開きの篩をかけ、篩下品として、30g(投入量の60重量%)の非晶質セルロースBを得た。
非晶質セルロースの製造例3
〔1次粉砕(押出機処理)〕
セルロース含有原料として、松チップ(ドギーマンハヤシ社製 快適ふんわりベッド、セルロース含有量66重量%、セルロースI型結晶化度72%、水分含量7.2重量%、嵩密度160kg/m)を用いる以外は、製造例1と同様にして、1次粉砕を行った。押出機処理後(1次粉砕後)に得られたセルロース含有原料は、嵩密度225kg/m、平均粒径105μmであった。
〔2次粉砕(粉砕機処理)〕
押出機処理後(1次粉砕後)に得られたセルロース含有原料50gを、2次粉砕に用いる粉砕機(粉砕機A)として製造例2と同様の粉砕機を用い、製造例2と同様の条件で75分間処理を行った。操作の際の温度は、30℃であった。
処理終了後、粉砕機の壁面や底部にチップの固着物等は見られなかった。2次粉砕処理後に得られたチップを粉砕機から取り出し、75μm目開きの篩をかけ、篩下品として、43g(投入量の85重量%)の非晶質セルロースCを得た。
非晶質セルロースの製造例4
〔粗粉砕処理〕
セルロース含有原料として、製造例1で用いたパルプと同じパルプを、シートペレタイザ(ホーライ社製、「SG(E)−220」)にかけ、約4mm×4mm×1.5mmの大きさに粗粉砕した。
〔乾燥処理〕
粗粉砕処理により得られたパルプを、棚乾燥機〔アドバンテック(ADVANTEC)社製 真空定温乾燥機「DRV320DA」〕を用いて、乾燥後のパルプの水分含量が、0.8重量%になるように乾燥した。
〔2次粉砕〕
乾燥処理により得られたパルプ50gを、2次粉砕に用いる粉砕機として製造例2と同様の粉砕機を用い、製造例2と同様の条件で、40分間処理(2次粉砕処理)を行った。操作の際の温度は、30℃であった。
処理終了後、粉砕機内の壁面や底部にパルプの固着物等は見られなかった。得られた2次粉砕処理物を粉砕機から取り出し、75μm目開きの篩をかけ、42.5g(投入量の85重量%)の非晶質セルロースDを得た。
非晶質セルロースの製造例5
〔粗粉砕処理〕
セルロース含有原料として、脱墨パルプ(國光社製、セルロース含有量92重量%、セルロースI型結晶化度80%、水分含量7.7重量%、嵩密度223kg/m)を、製造例1と同様のシュレッダーにかけ、約10mm×5mm×2.0mmの大きさに粗粉砕した。
〔乾燥処理〕
粗粉砕処理により得られたパルプを、製造例4と同様の棚乾燥機を用いて、乾燥後のパルプの水分含量が、1.0重量%になるように乾燥した。
〔2次粉砕〕
乾燥処理により得られたパルプ50gを、2次粉砕に用いる粉砕機として製造例2と同様の粉砕機を用い、製造例2と同様の条件で、45分間処理(2次粉砕処理)を行った。操作の際の温度は、30℃であった。
処理終了後、粉砕機内の壁面や底部にパルプの固着物等は見られなかった。得られた2次粉砕処理物を粉砕機から取り出し、75μm目開きの篩をかけ、40g(投入量の80重量%)の非晶質セルロースEを得た。
非晶質セルロースの製造例6
製造例1において、2次粉砕の処理時間を180分から45分に変更した以外は、製造例1と同様にして、非晶質セルロースFを得た。
非晶質セルロースの製造例7
製造例1において、2次粉砕の処理時間を180分から90分に変更した以外は、製造例1と同様にして、非晶質セルロースGを得た。
非晶質セルロースの製造例8
〔3次粉砕(粉砕機処理)〕
非晶質セルロースD50gと、粉砕助剤としてPE−MS(ペンタエリスリトールモノステアレート、花王社製、「エキセパールPE−MS」)5gとを混合し、その混合物の全量を、粉砕機Bとして振動ミル(中央化工機社製、「MB−1」、容器全容量3.5L)に投入し、ロッド(断面形状:円形、外径:30mm、長さ:218mm、材質:ステンレス)11本を振動ミルに充填(充填率48%)して、振幅8mm、回転数1200回転/分の条件で15分間粉砕処理を行って、非晶質セルロースHを得た。
非晶質セルロースの製造例9
粉砕助剤の種類を、PPA−Zn(無置換のフェニルホスホン酸亜鉛塩、日産化学工業社製、「PPA−Zn」)に変更した以外は、製造例8と同様にして、非晶質セルロースIを得た。
非晶質セルロースの製造例10
粉砕助剤の種類を、ステアリルアルコール(花王社製、カルコール8098)に変更した以外は、製造例8と同様にして、非晶質セルロースJを得た。
非晶質セルロースの製造例11
粉砕助剤の種類を、ステアリン酸ナトリウム(花王社製、ルナックS−98)に変更した以外は、製造例8と同様にして、非晶質セルロースKを得た。
非晶質セルロースの製造例12
粉砕助剤の種類を、(MeEOSA(コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル、前述の可塑剤の製造例1により調製されたもの)に変更した以外は、製造例8と同様にして、非晶質セルロースLを得た。
非晶質セルロースの製造例13
粉砕助剤の種類を、OHC18EB(エチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド、日本化成社製、「スリパックスH」)に変更した以外は、製造例8と同様にして、非晶質セルロースMを得た。
非晶質セルロースの製造例14
〔粗粉砕処理〕
セルロース含有原料として、雑誌(集英社製「MORE」、297mm×210mm×0.5mm、結晶化度81%、セルロース含有量60重量%、水分含量7.7重量%、嵩密度200kg/m、灰分含量32.6重量%)を、シュレッダー(明光商会社製、「MSX2000−IVP440F」)にかけ、約10mm×5mm×0.5mmの大きさに粗粉砕した。
〔乾燥処理〕
粗粉砕処理により得られた雑誌小片を、製造例4と同様の棚乾燥機を用いて、乾燥後の水分含量が、0.7重量%になるように乾燥した。
〔2次粉砕〕
乾燥処理により得られた雑誌小片50gを、2次粉砕に用いる粉砕機として製造例2と同様の粉砕機を用い、製造例2と同様の条件で、40分間処理(2次粉砕処理)を行った。操作の際の温度は、30℃であった。
処理終了後、粉砕機内の壁面や底部に雑誌小片の固着物等は見られなかった。得られた2次粉砕処理物を粉砕機から取り出し、75μm目開きの篩をかけ、42g(投入量の84重量%)の非晶質セルロースNを得た。
非晶質セルロースの製造例15
〔脱墨処理(脱墨・脱灰分処理)〕
セルロース含有原料として、雑誌(集英社製「MORE」、297mm×210mm×0.5mm、結晶化度81%、セルロース含有量60重量%、水分含量7.7重量%、嵩密度200kg/m、灰分含量32.6重量%)を、シュレッダー(明光商会社製、「M400」により約20mm×50mm×0.5mmの大きさに裁断後、その一定量を卓上離解機に入れて、そこに50℃の温水、苛性ソーダ0.2重量%(対原料古紙)、及び脱墨剤(アルコールアルキレンオキサイド付加物:DI−7250、花王社製)0.1重量%(対原料古紙)加えて、古紙濃度5重量%の溶液を調製した。その後、温度50℃にて15分間離解し、古紙をパルプスラリー化した。離解後、脱水してパルプ濃度を18重量%としたところに、温水、苛性ソーダ0.6重量%(対原料古紙)、珪酸ソーダ2.2重量%(対原料古紙)、30%−過酸化水素水3.5重量%(対原料古紙)及び脱墨剤(DI−7250、花王社製)0.2重量%(対原料古紙)を加えて、パルプ濃度15重量%に調整し、再び、卓上離解機で1分間混合し、温度55℃で120分間熟成処理を行った。その後、水を加えてパルプ濃度を4重量%まで希釈し、さらに卓上離解機で3分間離解した。次いで、温水を加えてパルプ濃度を1重量%に調整し、温度30℃で10分間フローテーション処理を施して脱墨、脱灰分処理を行い、所定の灰分含量のパルプスラリーを得た。得られたパルプスラリーは、メッシュワイヤー(#80)でパルプ濃度6重量%まで濃縮後、水を加えてパルプ濃度を1重量%まで希釈し、TAPPIシートマシンにてパルプシートを調製した(灰分含有量15.9重量%)。
得られた脱墨処理パルプシートを用いる以外は、製造例14と同様にして、粗粉砕処理、乾燥処理、2次粉砕を順に行って非晶質セルロースOを得た。
非晶質セルロースの製造例16
脱墨処理において、フローテーション処理の処理時間を20分間に変更して灰分含有量6.0重量%のパルプシートを調製して用いる以外は、製造例15と同様にして、非晶質セルロースPを得た。
非晶質セルロースの製造例17〜22
表5に示す非晶質セルロース100重量部に対して、表5に示す種類と量のシランカップリング剤を添加して、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製、FM−10B)を用いて混合して表面処理を行って、非晶質セルロースQ〜Vを得た。
Figure 2011152786
Figure 2011152786
Figure 2011152786
Figure 2011152786
Figure 2011152786
実施例1〜36及び比較例1〜5
原料として、表6〜9に示すポリ乳酸樹脂、結晶核剤、可塑剤、加水分解抑制剤、及び充填剤(非晶質セルロース又は結晶性セルロース)を用いて、これらを二軸押出機(池貝鉄工社製、PCM−45)にて190℃で溶融混練し、ストランドカットを行い、ポリ乳酸樹脂組成物のペレットを得た。なお、得られたペレットは、70℃減圧下で1日乾燥し、水分含量を1重量%以下とした。
その後、得られたペレットをシリンダー温度を200℃とした射出成形機(日本製鋼所社製、Mucell 85トン)に供給して溶融するとともに、射出成形機のシリンダー部に設けられたガス導入口から、8MPaの圧力の超臨界流体(超臨界状態の二酸化炭素)を、表6〜9に示す濃度となるように圧入し、スクリューで混練して溶融状態のポリ乳酸樹脂組成物と接触させた。
次に、射出成形機の先端に取り付けられた金型内の温度を80℃に保ち、この金型内に、超臨界状態の二酸化炭素と接触させた溶融ポリ乳酸樹脂組成物を60MPaで射出成形し、テストピース〔角柱状試験片(125mm×12mm×6mm及び150mm×30mm×1mm)〕を得た。得られたテストピースについて、以下の試験例1〜3の方法に従って特性を調べた。結果を表6〜9に示す。
<試験例1>〔強度(曲げ弾性率)、可撓性(曲げ破断歪み率)〕
角柱状試験片(125mm×12mm×6mm)について、JIS K7203に基づいて、テンシロン(オリエンテック社製テンシロン万能試験機 RTC−1210A)を用いて、クロスヘッド速度を3mm/minに設定して曲げ試験を行い、曲げ弾性率、曲げ破断歪み率を求めた。いずれも数値が高いほど、強度、可撓性が優れていることを示す。なお、曲げ破断歪み率については、測定範囲内の荷重をかけて破断しなかったものは、破断せずとした。
<試験例2>〔成形性〕
角柱状試験片(150mm×30mm×1mm)について、変形がなく取り出しが容易と判断されるまでに有する時間を、離型に必要な金型保持時間として測定した。なお、金型内部及びランナー部分でテストピースの結晶化速度が速いほど、離型に必要な金型保持時間は短くなり、成形性が優れていることを示す。
<試験例3>〔発泡性〕
発泡性は下記式により発泡倍率を求めて評価した。なお、成形体の密度は、JIS K−7112(B法:ピクノメーター法)に基づいて測定した。
Figure 2011152786
なお、表6〜9における原料は以下の通りである。
〔ポリ乳酸樹脂〕
NW4032D:Nature Works社製、融点160℃、L体純度98.6%
〔結晶核剤〕
OHC18EB:エチレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミド(日本化成社製、スリパックスH、融点145℃)
PPA−Zn:無置換のフェニルホスホン酸亜鉛塩(日産化学工業社製、融点無し)
〔可塑剤〕
(MeEOSA:可塑剤の製造例1により調製されたコハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル、平均分子量410
(AcEO)Gly:可塑剤の製造例2より調製された酢酸とグリセリンにエチレンオキサイドを3モル付加させたエチレンオキサイド付加物とのトリエステル化合物、平均分子量350
DAIFATTY−101:アジピン酸と、ジエチレングリコールモノメチルエーテル/ベンジルアルコール=1/1混合物とのジエステル(大八化学工業社製)、平均分子量338
MeSA−DEG(b=1.5):可塑剤の製造例3より調製されたコハク酸とジエチレングリコールのオリゴエステル(式(I)中のb=1.5)、平均分子量430
TEP:可塑剤の製造例4より調製されたトリス(エトキシエトキシエチル)ホスフェート、平均分子量447
リケマールPL−019:グリセリンジアセトモノ(カプリル酸/カプリン酸)エステル(理研ビタミン社製)
ATBC:アセチルトリ−n−ブチルシトレート(ジェイプラス社製)
DOA:ジオクチルアジペート(和光純薬工業社製、試薬)
〔加水分解抑制剤〕
PCI:ポリカルボジイミド化合物(日清紡社製、カルボジライトLA−1)
Figure 2011152786
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Figure 2011152786
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表6〜9の結果から明らかなように、本発明の製造方法により得られるポリ乳酸樹脂射出成形体(実施例1〜36)は、充填剤以外は同じ組成の成形体に比べて、成形性に優れ、高い曲げ弾性率及び曲げ破断歪み率を示し、かつ、低発泡性でもある。このように結晶化度が50%未満である非晶質セルロースを含有した場合でも強度と可撓性を両立させることができることが示唆される。一方、比較例1〜3は、充填剤が異なる以外は、実施例と同様の結晶核剤と超臨界流体を用いているにも関わらず、成形性が劣るものとなっている。このことから、結晶化度が50%未満である非晶質セルロースを用いることにより結晶核生成が促進されて成形性が向上することも示唆される。
本発明の製造方法により得られるポリ乳酸樹脂射出成形体は、日用雑貨品、家電部品、自動車部品等の様々な工業用途に好適に使用することができる。

Claims (6)

  1. 下記工程(1)及び工程(2)を含むポリ乳酸樹脂射出成形体の製造方法。
    工程(1):ポリ乳酸樹脂、結晶化度が50%未満であるセルロース、及び結晶核剤を含有するポリ乳酸樹脂組成物を、超臨界流体と接触させながら溶融混練する工程
    工程(2):工程(1)で得られた溶融物を金型内に充填し、射出成形する工程
  2. 結晶化度が50%未満であるセルロースが、結晶化度が50%以上のセルロースを含有する、嵩密度が100〜500kg/m、平均粒径が0.01〜1.0mmのセルロース含有原料であって、かつ該原料から水を除いた場合の残余の成分中のセルロース含有量が20重量%以上であるセルロース含有原料を、粉砕機で処理して得られたものである、請求項1記載のポリ乳酸樹脂射出成形体の製造方法。
  3. 結晶化度が50%未満であるセルロースが、結晶化度が50%以上のセルロースを含有する、平均粒径が1.0mm超50mm以下のセルロース含有原料であって、水分含量が4.5重量%以下であり、該原料から水を除いた場合の残余の成分中のセルロース含有量が20重量%以上であるセルロース含有原料を、粉砕機で処理して得られたものである、請求項1記載のポリ乳酸樹脂射出成形体の製造方法。
  4. 結晶化度が50%未満であるセルロースの含有量がポリ乳酸樹脂100重量部に対して10〜100重量部である、請求項1〜3いずれか記載のポリ乳酸樹脂射出成形体の製造方法。
  5. 得られるポリ乳酸樹脂射出成形体の発泡倍率が1.5倍以下である、請求項1〜4いずれか記載のポリ乳酸樹脂射出成形体の製造方法。
  6. 請求項1〜5いずれか記載の製造方法により得られるポリ乳酸樹脂射出成形体。
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