JP5600566B2 - 熱収縮性積層フィルム - Google Patents
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Description
また、ポリ乳酸系樹脂の耐衝撃性を改良するために配合されるポリ乳酸系樹脂以外の樹脂成分がポリ乳酸系樹脂と非相溶の場合には、フィルム等を折り曲げたときに著しい白化が生じる。特に、熱収縮フィルムにおいては、一般的に製袋工程及びフィルム装着工程等、高張力下におけるフィルムの折り曲げが実施される機会が多く、それにより外観不良及び意匠性が低下することがある。このような熱収縮性フィルムは、優れた外観が要求される用途には用いることができない。そのため、耐折り曲げ白化性に優れたポリ乳酸系樹脂の熱収縮性フィルムが求められている。
[1]ポリ乳酸系樹脂を主成分とし、コアシェル型ゴムを含む樹脂組成物からなる(I)層と、ポリ乳酸系樹脂を主成分とし、エチレン−酢酸ビニル系樹脂を含む樹脂組成物からなる(II)層とを有する熱収縮性積層フィルムであって、前記(II)層を構成する樹脂組成物に含有されるエチレン−酢酸ビニル系樹脂の酢酸ビニル含有量が55〜85質量%であり、前記積層フィルムが少なくとも一方向に延伸され、かつ80℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が20%以上であり、JIS K7105に準拠して測定された厚み40μmのフィルムの全ヘイズ値が9.5%以下である、熱収縮性積層フィルム。
[2]前記コアシェル型ゴムにおけるシェル層が、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位を含有する重合体により構成されており、前記コアシェル型ゴムにおけるコア層が、アクリル系単位を含有する重合体により構成されている、上記[1]に記載の熱収縮性積層フィルム。
[3]前記(I)層を構成する樹脂組成物に含有されるコアシェル型ゴムの含有量が、該樹脂組成物100質量%に対し3質量%以上30質量%以下である、上記[1]又は[2]に記載の熱収縮性積層フィルム。
[4]前記(II)層を構成する樹脂組成物に含有されるエチレン−酢酸ビニル系樹脂の含有量が、該樹脂組成物100質量%に対し3質量%以上30質量%以下である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
[5]JIS K7127に準拠して測定された、引張速度100mm/min、雰囲気温度23℃におけるフィルムの主収縮方向と直交する方向(縦方向)での引張破断伸度が150%以上である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
[6]上記[1]〜[5]のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルムを基材として用いた成形品。
[7]上記[1]〜[5]のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルムを基材として用いた熱収縮性ラベル。
[8]上記[7]に記載の熱収縮性ラベルを装着した容器。
本発明の熱収縮性積層フィルムを用いた成形品及び熱収縮性ラベルは、収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用途に好適である。
なお、本明細書において、「主成分とする」とは、各層を構成する樹脂の作用・効果を妨げない範囲で他の成分を含むことを許容する趣旨である。さらに、この用語は、具体的な含有率を制限するものではないが、各層の構成成分全体の70質量%以上、好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であって、100質量%以下の範囲を占める成分である。
本発明の熱収縮性積層フィルムは、ポリ乳酸系樹脂を主成分とし、コアシェル型ゴムを含む樹脂組成物からなる(I)層と、ポリ乳酸系樹脂を主成分とし、エチレン−酢酸ビニル系樹脂を含む樹脂組成物からなる(II)層とを有する熱収縮性積層フィルムである。
本発明の熱収縮性積層フィルムの(I)層は、ポリ乳酸系樹脂を主成分とし、コアシェル型ゴムを含む樹脂組成物からなる。
本発明の熱収縮性積層フィルムの(I)層で使用されるポリ乳酸系樹脂は、D−乳酸もしくはL−乳酸の単独重合体、又はこれらの共重合体であり、具体的には、構造単位がD−乳酸であるポリ(D−乳酸)、構造単位がL−乳酸であるポリ(L−乳酸)、更にはD−乳酸とL−乳酸の共重合体であるポリ(DL−乳酸)が挙げられる。また、D−乳酸とL−乳酸との共重合比の異なる複数の上記共重合体の混合樹脂も含まれる。
なお、上記重量平均分子量は、テトラヒドロフラン(THF)中、スチレン換算によるゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)による測定値である。
本発明の熱収縮性積層フィルムの(I)層で使用されるコアシェル型ゴムは、コア層と、コア層を覆う少なくとも1層以上のシェル層とから構成される。シェル層の数は特に限定されるものではなく、単層であっても2層以上であっても構わない。コアシェル型ゴムの形状は、コアシェル構造を形成するものであれば特に限定されないが、好ましくは球状である。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸成分とアルコール成分とから構成されるエステルであればいずれであってもよいが、(メタ)アクリル酸成分と炭素数1〜15のアルコール成分とから構成されるエステルが好ましい。
中でも、不飽和カルボン酸エステル系単位を含有する重合体が好ましく、より好ましくは、コア層で用いられる(メタ)アクリル酸エステル単位とは相違する化学構造を有する(メタ)アクリル酸エステル単位を含有する重合体である。この場合、コアシェル構造を形成する観点からは、コア層で用いられる(メタ)アクリル酸エステル単位とは異なる化学構造を有する(メタ)アクリル酸エステル単位を含むものであればよく、その共重合成分として、コア層で用いられる(メタ)アクリル酸エステル単位を更に含んでいてもよい。
コアシェル型ゴムにおける(メタ)アクリル酸エステル単位の含有量は、耐衝撃性の観点から、コア層及びシェル層の合計100質量%に対して、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、特に好ましくは実質的に100質量%である。
なお、コアシェル型ゴム中、シリコーン樹脂は極力少ない方が望ましく、コア層及びシェル層の合計100質量%に対して、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下、特に好ましくは実質的に0%である。
本発明の熱収縮性積層フィルムの(II)層は、ポリ乳酸系樹脂を主成分とし、エチレン−酢酸ビニル系樹脂を含む樹脂組成物からなる。
本発明の熱収縮性積層フィルムの(II)層で使用されるポリ乳酸系樹脂は、(I)層で使用されるポリ乳酸系樹脂と同様であり、好ましい範囲も同様である。
本発明の熱収縮性積層フィルムの(II)層で使用されるエチレン−酢酸ビニル系樹脂は、酢酸ビニル含有量が55〜85質量%であり、好ましくは60〜80質量%である。酢酸ビニル含有量が55質量%未満であると、ポリ乳酸系樹脂との屈折率差が大きくなり、透明性が悪化するため好ましくない。一方、酢酸ビニル含有量が85質量%を超えると、ポリ乳酸系樹脂と完全に相溶してしまい、エチレン−酢酸ビニル系樹脂が耐衝撃性を発現する機能を低下させるため好ましくない。
また、エチレン−酢酸ビニル系樹脂としては、エチレンモノマー及び酢酸ビニルモノマー以外においても、他のモノマーを共重合したものも用いることができる。例えば、一酸化炭素やビニルエステル成分等が挙げられ、共重合可能なビニルエステル成分としては、具体的には、プロピオン酸ビニル、n−酪酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル等が挙げられる。中でも、エチレン−酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体が好適に用いることができる。
本発明においては、上記(I)層又は(II)層を構成する樹脂組成物は、本発明の効果を著しく阻害しない範囲で、前述した樹脂以外の熱可塑性樹脂や、その他添加剤を更に含有することができる。
(熱可塑性樹脂)
上記(I)層又は(II)層を構成する樹脂組成物は、本発明の効果を著しく阻害しない範囲で、前述した樹脂以外の熱可塑性樹脂をさらに含有することができる。
そのような熱可塑性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂(GPPS(汎用ポリスチレン))、HIPS(耐衝撃性ポリスチレン)、SBS(スチレン−ブタジエン共重合体)、SIS(スチレン−イソプレン共重合体)、SEBS(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合)、SEPS(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体)、スチレン−カルボン酸共重合体、ポリアミド系樹脂、ポリオキシメチレン系樹脂等が挙げられる。
また、上記(I)層又は(II)層を構成する樹脂組成物は、本発明の効果を著しく阻害しない範囲で、耐衝撃性、透明性、成形加工性及び熱収縮性フィルムの諸特性を向上させる目的で、軟質性樹脂を含有してもよい。
上記軟質性樹脂としては、ポリ乳酸系樹脂を除く脂肪族ポリエステル系樹脂、芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂、ジオールとジカルボン酸と乳酸系樹脂との共重合体等が挙げられる。
脂肪族ポリエステル系樹脂を構成する脂肪族ジカルボン酸残基としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等から誘導される残基が挙げられ、コハク酸残基又はアジピン酸残基が好ましい。また脂肪族多価アルコール残基としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等から誘導される脂肪族ジオール残基が挙げられ、1,4−ブタンジオール残基が好ましい。
また、上記(I)層又は(II)層を構成する樹脂組成物は、耐衝撃性、透明性、成形加工性及び熱収縮性フィルムの諸特性を向上させる目的で、本発明の効果を著しく阻害しない範囲で、可塑剤を含有してもよい。
この可塑剤としては、脂肪酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤等が挙げられる。
本発明の熱収縮性積層フィルムは、前述した樹脂組成物を用いて、公知の方法によって製造することができる。フィルムの形態としては平面状、チューブ状のいずれであってもよいが、生産性(原反フィルムの幅方向に製品として数丁取りが可能)や内面に印刷が可能という点から平面状が好ましい。
(熱収縮率)
本発明は、80℃温水中に10秒間浸漬させた際の主収縮方向の熱収縮率が20%以上であることが重要である。
なお、「主収縮方向」とは、縦方向と横方向のうち延伸方向の大きい方を意味し、例えば、ボトルに装着する場合にはその外周方向に相当する方向である。
しかしながら、温度依存性が高く、温度によって極端に収縮率が異なるフィルムの場合、蒸気シュリンカー内の温度斑に対して収縮挙動の異なる部位が発生し易いため、収縮斑、皺、アバタ等が発生し収縮仕上がり外観が悪くなる傾向にある。
なお、上記の熱収縮率の上限は、熱収縮によって延伸前のフィルムの長さより短くなることはないので、延伸前のフィルム長となる収縮率である。
本発明のフィルムにおいて、JIS K7105に準拠して測定された厚み40μmのフィルムの全ヘイズ値は9.5%以下であり、好ましくは8%以下、より好ましくは6%以下、更に好ましいは4%以下である。全ヘイズ値が10%以下であれば、フィルムを装着した被覆体の視認性を保持することができる。
なお、フィルムが40μmでない場合には、同じ層構成、層厚み比率で40μmのフィルムを作り直して測定してよいことは勿論であるが、JIS K7105に準拠して、その厚み(40μmではない厚み、元の厚みと言うこともある)での全ヘイズと内部ヘイズとを測定し、(全へイズ−内部へイズ)+内部へイズ/(元の厚み/40μm)の換算式で、厚み40μmの全ヘイズを算出することもできる。
本発明のフィルムの耐衝撃性は、引張破断伸度により評価できる。JIS K7127に準拠して測定された、引張速度100mm/min、雰囲気温度0℃におけるフィルムの主収縮方向と直交する方向(縦方向)(特にラベル用途ではフィルムの引き取り(流れ)方向(MD))での引張破断伸度が、好ましくは100%以上、より好ましくは150%以上、更に好ましくは200%以上である。雰囲気温度0℃での引張破断伸度が100%以上あれば印刷・製袋等の工程時にフィルムが破断する等の不具合を生じにくくなる。また、印刷・製袋等の工程の高速化にともなってフィルムに対してかかる張力が増加するような際にも、引張破断伸度が150%以上あれば破断しづらく、好ましい。上限については特に限定されないが、現在の一般的な工程の速度を考えた場合、500%ほどあれば十分だと考えられ、伸びを付与しすぎようとするとその反面、フィルムの剛性が低下してしまう傾向がある。
本発明のフィルムは、振動周波数10Hz、歪み0.1%、昇温速度2℃/分、チャック間2.5cmの条件の下、測定温度が−150℃〜150℃の範囲で、フィルム延伸方向と直交する方向について動的粘弾性を測定した際の、20℃における貯蔵弾性率(E’)が1,000MPa以上3,000MPa以下の範囲にあることが好ましく、1,200MPa以上2,500MPa以下の範囲であることが更に好ましい。フィルムの貯蔵弾性率E’が1,000MPa以上であれば、フィルム全体としての腰(常温での剛性)を高くすることができ、フィルムが柔らかくなり過ぎて変形しやすくなり、印刷、製袋等の2次加工時にロールテンションによってフィルムが伸びる等の不具合や、フィルムの厚みを薄くした場合において、ペットボトル等の容器に製袋したフィルムをラベリングマシン等で被せる際に、斜めに被ったり、フィルムの腰折れ等で歩留まりが低下したりしやすい等の問題点が発生し難いため、好ましい。一方、フィルムの貯蔵弾性率E’が3,000MPa以内であれば、硬くて伸びにくいフィルムになり、2次加工時にシワが入りやすくなる、使用時にカサカサした感触を感じさせるといった不具合が起きないため、好ましい。
本発明のフィルムの自然収縮率はできるだけ小さい方が望ましいが、一般的に熱収縮性フィルムの自然収縮率は、例えば、30℃、50%RHで30日保存後の自然収縮率は、好ましくは3.0%未満、より好ましくは2.0%以下、更に好ましくは1.5%以下である。上記条件下における自然収縮率が3.0%未満であれば作製したフィルムを長期保存する場合であっても容器等に安定して装着することができ、実用上問題を生じにくい。上記フィルムの自然収縮率を調整する手段としては、各層の樹脂組成を本発明で規定する範囲とすることが重要である。
本発明の熱収縮性積層フィルムは、被包装物によって平面状から円筒状等に加工し包装に供することができる。ペットボトル等の円筒状の容器で印刷を要するものの場合、まずロールに巻き取られた広幅のフラットフィルムの一面に必要な画像を印刷し、そしてこれを必要な幅にカットしつつ印刷面が内側になるように折り畳んでセンターシール(シール部の形状はいわゆる封筒貼り)して円筒状とすればよい。センターシール方法としては、有機溶剤による接着方法、ヒートシールによる方法、接着剤による方法、インパルスシーラーによる方法が考えられる。この中でも、生産性、見栄えの観点から有機溶剤による接着方法が好適に使用される。
また、本発明の熱収縮性積層フィルムは、センターシール法による接着において、フィルムの端面と端面を貼り合わせるために、フィルムを折り畳む工程が存在し、この時フィルムの流れ(MD)方向に沿って2本の折り目が生じる。加えてこのフィルムは、後のボトルへの装着を容易にさせることを目的とし、この折り目に平行となるような新しい折り目をつけるため、結果としてフィルムの流れ(MD)方向に計4本の折り目が生じる。ボトルへの収縮完了までの間に、この折り目部が白化すると、フィルムに施された印刷の視認性を阻害する要因となるため、実用上好ましくないので、折り曲げ白化が生じないようにするのが望ましい。上記フィルムの折り曲げ白化を抑制する手段としては、各層の樹脂組成を本発明で規定する範囲とすることが重要である。
本発明の成形品及び容器は、通常の成形法を用いることにより作製することができる。
なお、実施例に示す測定値及び評価は次のように行った。実施例では、積層フィルムの引き取り(流れ)方向を「縦」方向(MD)、その直角方向を「横」方向(TD)と記載する。
得られた熱収縮性フィルムを縦100mm、横100mmの大きさに切り取り、80℃の温水バスに10秒間それぞれ浸漬し、収縮量を測定した。熱収縮率は、横方向について、収縮前の原寸に対する収縮量の比率を%値で表示した。
得られた熱収縮性フィルムを主収縮方向と直交する方向(縦方向)に110mm、主収縮方向に15mmの大きさに切り出し、JIS K7127に準拠し、引張速度100mm/minで、雰囲気温度23℃、0℃、及び−10℃の各温度におけるフィルムの主収縮方向と直交する方向(縦方向)での引張破断伸度を測定し、10回の測定値の平均値を測定し、下記基準に従い評価した。
◎:引張破断伸度が300%以上の場合
○:引張破断伸度が150%以上、300%未満の場合
△:引張破断伸度が100%以上、150%未満の場合
×:引張破断伸度が100%未満の場合
得られた熱収縮性フィルムを主収縮方向と直交する方向(縦方向)に整袋機付属のニップロールにより、速度30m/min、張力30Nにて折り曲げ、その後フィルムを冶具に固定し、90℃で5分間保持させた時のフィルムの折り曲げ部の白化度合いを目視で確認し、4段階の評価基準により評価を行った。
◎:折り曲げ部が透明となり、目視では確認できない。
○:折り曲げ部の白化がごく僅かに生じるが、実用上全く問題ない。
△:折り曲げ部の白化がごく僅かに生じ、用途によっては問題となる。
×:折り曲げ部の白化が顕著に生じ、実用上問題である。
得られたフィルムの透明性を評価するため、JIS K7105にて全ヘイズ値を測定した。
◎:全ヘイズ値が6%以下の場合
○:全ヘイズ値が6%を超え、かつ、10%以下の場合
×:全ヘイズ値が10%を超える場合
得られたフィルムをMD160mm×TD235mmで切り出し、TDに10mm分重なるように折り、重なった部分をヒートシールし、円筒状とする。次いで、この円筒状のフィルムを500mlの多面体ボトルにボトルの下面までかぶせて仕上り評価用サンプルを作製した。評価用サンプルは蒸気加熱方式の長さ4m(3ゾーン構成)の収縮トンネル中を回転させずに、トンネル内の各ゾーンの温度を以下の温度条件として5秒間で通過させ、ボトルに収縮したフィルムの腰折れに起因する折れ込みやシワがないか、収縮不足ではないかの確認を行い評価した。評価は各サンプルN=10で行った。シュリンカー内の温度条件は以下のように設定した。
温度条件:1ゾーン/70〜75℃、2ゾーン/94〜97℃、3ゾーン/95〜101℃
蒸気を噴射するトンネル内のノズル位置:1ゾーン/フィルム下部、2ゾーン前半/フィルム中央部、2ゾーン後半/フィルム全体、3ゾーン/フィルム全体
温度調整:ノズルに通じる蒸気配管のバルブ開閉により蒸気量を調整して行う。
フィルム被覆後は下記基準で評価した。
◎:収縮が十分でシワ、アバタ、白化、歪みが全く生じない。
○:収縮が十分だが、シワ、アバタ、白化、歪みがごく僅かに生じるが、実用上問題にならない。
△:収縮が十分だが、シワ、アバタ、白化、歪みがごく僅かに生じ、用途によっては問題となる。
×:収縮が不充分、又はシワ、アバタ、歪みが顕著に生じる。
(ポリ乳酸系樹脂)
・NatureWorks LLC社製、商品名:NatureWorks 4060D、L体/D体量=88/12、以下「PLA(1)」と略する。
・NatureWorks LLC社製、商品名:NatureWorks 4043D、L体/D体量=95.75/4.25、以下「PLA(2)」と略する。
・カネカ社製、商品名:カネエースFM−40、コア:アクリル重合体、シェル:メタクリル酸メチル重合体、屈折率1.44、以下「コアシェル型ゴム(E1)」と略する。
・三菱レイヨン社製、商品名:メタブレンS2001、コア:シリコーン/アクリル重合体、シェル:メタクリル酸メチル重合体、屈折率1.44、以下「コアシェル型ゴム(E2)」と略する。
・LANXESS社製、商品名:Levapren700HV、エチレン−酢酸ビニル共重合体(エチレン/酢酸ビニル=30質量%/70質量%)、以下「EVA(A1)」と略する。
・LANXESS社製、商品名:Levapren800HV、エチレン−酢酸ビニル共重合体(エチレン/酢酸ビニル=20質量%/80質量%)、以下「EVA(A2)」と略する。
・LANXESS社製、商品名:Levapren500HV、エチレン−酢酸ビニル共重合体(エチレン/酢酸ビニル=50質量%/50質量%)、以下「EVA(A3)」と略する。
・LANXESS社製、商品名:Levapren900HV、エチレン−酢酸ビニル共重合体(エチレン/酢酸ビニル=10質量%/90質量%)、以下「EVA(A4)」と略する。
・三井・デュポンポリケミカル社製、商品名:エバフレックスEV260、エチレン−酢酸ビニル共重合体(エチレン/酢酸ビニル=74質量%/26質量%)、以下「EVA(A5)」と略する。
・三井・デュポンポリケミカル社製、商品名:エバフレックスEV360、エチレン−酢酸ビニル共重合体(エチレン/酢酸ビニル=64質量%/36質量%)、以下「EVA(A6)」と略する。
・三井・デュポンポリケミカル社製、商品名:エバフレックスEV45LX、エチレン−酢酸ビニル共重合体(エチレン/酢酸ビニル=55質量%/45質量%)、以下「EVA(A7)」と略する。
(I)層用及び(II)層用の樹脂組成物として、それぞれ表1に示す配合にて混合した後、2軸押出機(三菱重工業社製)に投入し、設定温度210℃で溶融混合し、設定温度210℃のストランドダイスより押出した後、水槽にて冷却した樹脂組成物を、ストランドカッターにより切削し、ペレットを得た。
次いで、2台の単軸押出機(三菱重工業社製)、及び2種3層マルチマニホールド口金により、(I)層/(II)層/(I)層の積層共押出が可能な設備において、(II)層を形成する単軸押出機に、先にペレット化した(II)層用樹脂を導入し、(I)層を形成する単軸押出機に、(I)層用樹脂を導入し、各押出機設定温度210℃で溶融混合後、各層の厚みが、(I)層/(II)層/(I)層=24μm/152μm/24μmとなるよう共押出し、55℃のキャストロールで引き取り、冷却固化させて幅200mm、厚さ200μmの未延伸積層シートを得た。
次いで、このシートを、フィルムテンター(京都機械社製)を用いて、予熱75℃、延伸75℃、熱処理85℃、予熱1ゾーン、延伸2ゾーン、熱処理3ゾーンにて、横方向に5倍延伸をして、厚さ40μmの熱収縮性フィルムを得た。
得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
比較例2で得られた、(I)層にコアシェル型のゴムを含有しないフィルムは、(I)層の耐破断性が悪くなることに起因すると考えられる、引張破断伸度の低下が確認された。また収縮仕上がり性に関しても、要求品質を満たすとは言い難いものであった。
比較例3で得られたフィルムは、全ヘイズが著しく増大し、フィルムの透明性が劣るものであった。これは(I)層に含有されるコアシェル型ゴムのコア層における構成成分が異なることに起因するものと考えられる。
比較例4〜8で得られた、エチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有量が55〜85%の範囲外であるフィルムは、フィルムのMDの引張破断伸度、透明性、収縮仕上がり性、及び耐折曲げ白化性についての要求品質をすべて満たすことができない。
Claims (8)
- ポリ乳酸系樹脂を主成分とし、コアシェル型ゴムを含む樹脂組成物からなる(I)層と、ポリ乳酸系樹脂を主成分とし、エチレン−酢酸ビニル系樹脂を含む樹脂組成物からなる(II)層とを有する熱収縮性積層フィルムであって、前記(II)層を構成する樹脂組成物に含有されるエチレン−酢酸ビニル系樹脂の酢酸ビニル含有量が55〜85質量%であり、前記積層フィルムが少なくとも一方向に延伸され、かつ80℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が20%以上であり、JIS K7105に準拠して測定された厚み40μmのフィルムの全ヘイズ値が9.5%以下である、熱収縮性積層フィルム。
- 前記コアシェル型ゴムにおけるシェル層が、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位を含有する重合体により構成されており、前記コアシェル型ゴムにおけるコア層が、アクリル系単位を含有する重合体により構成されている、請求項1に記載の熱収縮性積層フィルム。
- 前記(I)層を構成する樹脂組成物に含有されるコアシェル型ゴムの含有量が、該樹脂組成物100質量%に対し3質量%以上30質量%以下である、請求項1又は2に記載の熱収縮性積層フィルム。
- 前記(II)層を構成する樹脂組成物に含有されるエチレン−酢酸ビニル系樹脂の含有量が、該樹脂組成物100質量%に対し3質量%以上30質量%以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
- JIS K7127に準拠して測定された、引張速度100mm/min、雰囲気温度23℃におけるフィルムの主収縮方向と直交する方向(縦方向)での引張破断伸度が150%以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルムを基材として用いた成形品。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルムを基材として用いた熱収縮性ラベル。
- 請求項7に記載の熱収縮性ラベルを装着した容器。
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