JP5700605B2 - 熱収縮性フィルム、並びに該フィルムを用いた成形品、熱収縮性ラベル、および該成形品を用いた、または該ラベルを装着した容器 - Google Patents
熱収縮性フィルム、並びに該フィルムを用いた成形品、熱収縮性ラベル、および該成形品を用いた、または該ラベルを装着した容器Info
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Description
更に、近年の環境配慮型商品を求める観点より樹脂そのものの使用量を抑える目的でフィルムの厚みを薄くする、同時に低コスト化の要求に応える観点からもフィルムを薄くしても同様の性能を有する熱収縮性フィルムを得ることにある。
一方、ディスプレー効果、アイキャッチ性に代表される様に飲料等の商品の価値を高める為にラベルは重要な役割を成しており、例えば小売店等で消費者が不意に商品を落とした際にラベルが破れることなく形態を維持することが求められる。その中で、先のリサイクル性を高める為に施されたミシン目部分は強度的に非常に弱くなるため、商品の落下時にミシン目部分で簡単に破袋しないことが求められる。これをミシン目の耐破袋性と表現する。
これらより、一見相反すると思われるミシン目適性とミシン目の耐破袋性を両立することが本発明の重要な課題であり、近年のフィルムの薄肉化が求められる中では、より難易度が増している。
[1] ポリ乳酸系樹脂(A)を主成分とし、軟質成分(B)を含む樹脂組成物からなる表裏層を少なくとも1層有する熱収縮性フィルムであって、前記軟質成分(B)は、コアシェル型ゴムであり、前記コアシェル型ゴムは、コア層とシェル層の合計質量に対して(メタ)アクリル酸エステルを80%以上含有し、かつ、コア層の質量に対して(メタ)アクリル酸エステルを70%以上含有し、前記フィルムの主収縮方向(TD)の引張破断強度が200MPa以上、引張破断伸度が50%以上であることを特徴とする熱収縮性フィルム。
[2] 主収縮方向と直交する方向の製膜後に30℃の環境下で30日経過後の引張破断伸度が200%以上であることを特徴とする上記[1]に記載の熱収縮性フィルム。
[4] JISK7136に基づくヘーズ値が7%以下であることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれかに記載の熱収縮性フィルム。
コア層中の重合体に含まれるモノマー:(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸アリル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸3−メトキシブチル、アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、アクリル酸トリフルオロエチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸トリメチルシリル
シェル層中の重合体に含まれるモノマー:メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸シクロアルキルエステル、メタクリル酸アリールエステル、メタクリル酸アラルキルエステル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸トリメチルシリル、メタクリル酸トリメトキシシリルプロピル
[6] 前記コアシェル型ゴムの含有量が、層を構成する樹脂組成物100質量%に対して3〜30質量%であることを特徴とする上記[1]〜[5]のいずれかに記載の熱収縮性フィルム。
[8] 上記[1]〜[6]のいずれかに記載の熱収縮性フィルムを基材として有する熱収縮性ラベル。
[9] 上記[7]に記載の成形品を用いた、又は上記[8]に記載の熱収縮性ラベルを装着した容器。
また、近年の環境配慮型商品を求める観点より樹脂そのものの使用量を抑える目的でフィルムの厚みを薄くする、同時に低コスト化の要求に応える観点からもフィルムを薄くしても同様の性能を有する熱収縮性フィルムを提供することが出来る。
なお、本明細書において、「主成分とする」とは、主成分として含有される樹脂が有する作用・効果を妨げない範囲で、他の成分を含むことを許容する趣旨である。
本発明のフィルムはポリ乳酸系樹脂(A)を主成分とし、軟質成分(B)を含む樹脂組成物からなる層を少なくとも1層有する熱収縮性フィルムであって、かつ所定の引張破断強度、引張破断伸度を有する熱収縮性フィルムである。
(A)成分(ポリ乳酸系樹脂)
(A)成分は、本発明における層を構成する樹脂組成物の主成分として含有される。
(A)成分であるポリ乳酸系樹脂とは、D−乳酸若しくはL−乳酸の単独重合体、又はそれらの共重合体をいい、具体的には構造単位がD−乳酸であるポリ(D−乳酸)、構造単位がL−乳酸であるポリ(L−乳酸)、さらにはL−乳酸とD−乳酸の共重合体であるポリ(DL−乳酸)があり、これらの共重合体の混合樹脂も含まれる。
次に、(B)成分である軟質成分について説明する。本発明では軟質成分として、脂肪族ポリエステル重合体、芳香族−脂肪族ポリエステル共重合体、軟質ポリオレフィン、コアシェル型ゴム等が挙げられるが、フィルムとしての透明性、強度を維持する為にコアシェル型ゴムが好ましい。以下、(B)成分がコアシェル型ゴムである場合について説明する。
コアシェル型ゴムは、コア層と、コア層を覆う少なくとも1層以上のシェル層とから構成される重合体である。該シェルの層数は特に限定されるものではなく、単層であっても2層以上であっても構わない。
その中でもフィルムの外観の点で、アクリル酸エステルを含む重合体であるのが好ましい。アクリル酸エステルは、アクリル酸成分とアルコール成分から構成されるアクリル酸エステルであればいずれであってもよいが、炭素数1〜15のアルコール成分を有するアクリル酸エステルが好ましい。好ましいアクリル酸エステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等のアクリル酸1級アルキルエステル;アクリル酸グリシジル、アクリル酸アリル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸3−メトキシブチル、アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、アクリル酸トリフルオロエチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸トリメチルシリル等を挙げることができる。(メタ)アクリル酸エステル(a)は1種類を用いても又は2種類以上を用いてもよい。
また、コア層中におけるアクリル酸エステル成分は、耐衝撃性向上のため70%以上であることが好ましい。
中でも、不飽和カルボン酸エステル系であるのが好ましく、より好ましくは、上記コア層で好ましいとしたアクリル酸エステルとは相違する化学構造を有するアクリル酸エステルを含む重合体である。尚、アクリル酸エステル(a)と相違する化学構造を有するアクリル酸エステル(b)を少なくとも含んでいればよく、その重合成分としてアクリル酸エステル(a)を更に含んでいてもよい。
また、コアシェル型ゴム(B)成分におけるアクリル酸エステルは、耐衝撃性向上のため80%以上(コアとシェルを併せた質量に対して)であることが好ましい。
尚、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル又はメタクリル」を意味する。
なお、(B)成分の平均粒径は、一般的に動的光散乱法やレーザー回折法により測定することができる。
本発明では、本発明の効果を著しく阻害しない範囲で、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂(汎用ポリスチレン(GPPS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、スチレン−ブタジエン共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン共重合体(SIS)、スチレン−エチレン−ブタジエン共重合体(SEBS)、スチレンエチレン−プロピレン共重合体(SEPS)、スチレン−カルボン酸共重合体等)、ポリアミド系樹脂、ポリオキシメチレン系樹脂などの熱可塑性樹脂を少なくとも1種を、前記の(I)層を構成する樹脂組成物に添加することができる。
尚、その場合であっても、(A)成分のポリ乳酸系樹脂は、樹脂のみの合計100質量%中、50%以上であるのが、本発明の効果を充分に奏するには、望ましい。
本発明のフィルムの構成は、前述したとおり、(A)成分、及び(B)成分、含む樹脂組成物からなる層を少なくとも1層有すれば、層構成は特に限定されるものではない。積層構成をとる場合も十分想定され、例えば2種3層の積層構成をとる場合は表面/裏面に配する層を(II)層、中心層に配する層を(I)層と積層することにより、(I)層と(II)層の材料配合を種々調整することにより熱収縮性フィルムの特性を調整することができる。
また、本発明のフィルムを積層構成にする場合、各層の積層比は特に制限されるものではなく、上記の各層の材料配合の調整と併せて、各層の積層比を種々調整することにより熱収縮性フィルムの特性を調整することができる。
特には、上記した、好ましい層構成の(II)層/(I)層/(II)層の3層の場合、その厚みの比率は、1:2:1:〜1:10:1の範囲であるのが好ましい。
本発明のフィルムは、公知の方法によって製造することができる。フィルムの形態としては平面状、チューブ状の何れであってもよいが、生産性(原反フィルムの幅方向に製品として数丁取りが可能)や内面に印刷が可能という点から平面状が好ましい。平面状のフィルムの製造方法としては、例えば、複数の押出機を用いて樹脂を溶融し、Tダイから共押出し、チルドロールで冷却固化し、縦方向にロール延伸をし、横方向にテンター延伸をし、アニールし、冷却し、巻取機にて巻き取ることによりフィルムを得る方法が例示できる。また、チューブラー法により製造したフィルムを切り開いて平面状とする方法も適用できる。
押出温度は、180〜230℃であるのが好ましく、より好ましくは、190〜220℃である。押出の温度やせん断の状態を最適化することにより材料の分散状態を制御することも、下記詳述するフィルムの種々の物理的特性・機械的特性を所望の値にするのに有効である。
(主収縮方向の引張破断強度、引張破断伸度)
本発明のフィルムの耐衝撃性は、引張破断強度ならびに引張破断伸度により評価される。主収縮方向の23℃環境下の引張試験において、引張破断強度が200MPa以上、好ましくは220MPa以上、より好ましくは250MPa以上であり、実用性の観点から、350MPa以下であるのが好ましい。
また、引張破断伸度が50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上であり、実用性の観点から、150%以下であるのが好ましい。
本発明において、引張破断強度ならびに引張破断伸度は、例えば、層の材料配合の調整と併せて、製膜工程での押出条件の調整、延伸条件の調整、熱収縮率の調整、積層フィルム構成の場合は積層比をも適宜行うことなどによって、上記値に調整することができる。
ここで言う押出条件の調整とは、一例として押出の温度やせん断の状態を最適化することで材料の分散状態を制御することが挙げられる。また延伸条件の調整とは、一例として延伸温度や延伸倍率を最適化してフィルムの配向状態を制御することが挙げられる。
フィルムの主収縮方向と直交する方向、特に飲料用のラベル用途ではフィルムの引き取り方向(MD)の引張破断伸度が0℃環境下の引張試験において、製膜直後並びに30℃環境下で30日間経過した後も好ましくは200%以上、より好ましくは220%以上、さらに好ましくは250%以上を有することである。製膜直後での0℃環境下での引張破断伸度が200%以上あれば印刷・製袋などの工程時にフィルムが破断するなどの不具合を生じにくく好ましいのは勿論だが、実際の商品の流通過程においては倉庫内で一時滞留することも十分想定される。そのような過程を経た後に印刷・製袋を行ってもフィルムの破断などの不具合を起こさない為に、30℃環境下で30日間経過させた後でも0℃環境下での引張破断伸度が200%以上を有することが好ましい。
上限については特に限定されないが、過剰に引張破断伸度を付与してもかえってフィルムの剛性を損なう可能性が有るため、500%程度が妥当である。
本発明において、製膜後に30℃の環境下で30日間経過後の引張破断伸度は、例えば、層の材料配合の調整と併せて、製膜工程での押出条件の調整ならびに延伸条件の調整、熱収縮率の調整、積層フィルム構成の場合は積層比をも適宜行うことなどによって、上記値に調整することができる。
本発明のフィルムを飲料用PETボトルのラベルに用いる場合、PETボトルのリサイクル性を高める為に設けられているミシン目に沿って、ラベルが切れることが求められる。その際、JISK7128−3(旧:直角法,C法)引き裂き強さのフィルムの引き取り方向(MD)、主収縮方向(TD)の比:MD/TDが1〜2の範囲に入ることが好ましい。MD<TDとなると、ミシン目に沿って消費者がラベルを切ろうとしてもミシン目から外れてりんごの皮を剥くような状態になりやすく、PETボトルからラベルを剥がすのが非常に手間となる。
本発明において、MDとTDの比は、例えば、層の材料配合の調整と併せて、製膜工程での押出条件の調整ならびに延伸条件の調整、熱収縮率の調整、積層フィルム構成の場合は積層比をも適宜行うことなどによって、上記値に調整することができる。
本発明において、上記したポリ乳酸系樹脂(A)と軟質成分(B)を含む樹脂組成物からなるフィルムに加えて、更なるフィルムを積層した際の、その層間の剥離強度は、4N/15mm以上であるのが好ましく、実質的に剥離できないことが最も好ましい。
本発明において、層間の剥離強度は、例えば、層の材料配合の調整と併せて、製膜工程での押出条件の調整ならびに延伸条件の調整、熱収縮率の調整、積層フィルム構成の場合は積層比をも適宜行うことなどによって、上記値に調整することができる。
本発明のフィルムは、70℃温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が5%以上であることが好ましく、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは15%以上である。また、80℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が20%以上であることが好ましく、より好ましくは30%以上、さらに好ましくは35%以上である。また、上限は、70℃温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が40%以下であるのが好ましく、80℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率は70%以下であるのが好ましい。
ここで、「熱収縮率」とは、後述するように、縦方向あるいは横方向について、収縮前の原寸に対する収縮量の比率を%値で表したものである。これは、ペットボトルの収縮ラベル用途等の比較的短時間(数秒〜十数秒程度)での収縮加工工程への適応性を判断する指標となる。なお、「主収縮方向」とは、縦方向と横方向のうち延伸方向の大きい方を意味し、例えば、ボトルに装着する場合にはその外周方向に相当する方向である。
このことより本発明のフィルムは、70℃温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が5%以上40%以下であることが、また80℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が20%以上70%以下であることが好ましい。
熱収縮率を上記値にするには、本発明に規定される組成を有するフィルムとすることが必要であるが、さらに、この値は、延伸温度および延伸倍率により適宜調整することができる。
本発明のフィルムの透明性は、例えば、厚さ40μmのフィルムをJIS K7136にて測定した場合、ヘーズ値は7%以下であることが好ましく、6%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。ヘーズ値が7%以下であれば、フィルムの透明性が得られ、ディスプレー効果を奏することができる。
また、本発明のフィルムは、種々ロス等により生じる再生原料を添加した場合、厚さ40μmのフィルムをJIS K7136にて測定したときのヘーズ値は7%以下、好ましくは6%以下であり、さらに好ましくは5%以下である。
本発明は、前記熱収縮性積層フィルムを基材として用いた成形品(本発明の成形品)に関し、また本発明は、前記熱収縮性積層フィルムを基材として用いた熱収縮性ラベル(本発明のラベル)に関し、さらに本発明は、前記成形品を用いた、又は前記熱収縮性ラベルを装着した容器(本発明の容器)に関する。
なお、前記の成形品および容器は、通常の成形法を用いることにより作製することができる。
実施例では、積層フィルムの引き取り方向をMD、主収縮方向TDと記載する。
(1)主収縮方向(TD)の引張破断強度、引張破断伸度
得られた熱収縮性フィルムを主収縮方向(TD)に120mm、フィルムの引き取り方向(MD)に15mmの大きさに切り出し、JIS K7127に準拠し、引張速度200mm/minで、雰囲気温度23℃におけるフィルムの主収縮方向(TD)の引張破断強度、伸度を測定し、5回の測定値の平均値を測定し、下記基準に従い評価した。
◎:引張破断強度が220MPa以上、引張破断伸度が60%以上の場合
○:引張破断強度が200MPa以上、引張破断伸度が50%以上の場合
×:引張破断強度が200MPa未満、引張破断伸度が50%未満の場合
得られた熱収縮性フィルムの製膜直後のフィルム、及び30℃環境下で30日間経過させたフィルムを引き取り方向(MD)に120mm、フィルムの主収縮方向(TD)に15mmの大きさに切り出し、JIS K7127に準拠し、引張速度100mm/minで、雰囲気温度0℃におけるフィルムの引き取り方向(MD)の引張破断伸度を測定し、10回の測定値の平均値を測定し、下記基準に従い評価した。
◎:製膜直後、30℃30日経過後の引張破断伸度が300%以上の場合
○:製膜直後、30℃30日経過後の引張破断伸度が200%以上の場合
×:製膜直後、30℃30日経過後の引張破断伸度が200%未満の場合
JIS K7128−3に基づき、フィルムの流れ方向(MD)、主収縮方向(TD)の引き裂き強さを各々6回測定し、それらの平均値を求め、そのMD/TDの比率を算出した。
得られたフィルムを多色印刷機で8色の印刷を施し、MD100m×TD235mmでスリットし、TDに10mm分重なるように折り、重なった部分をメチルエチルケトンで溶剤シールし、円筒状とする。その際に、シール部の両側にMDに沿って、穴部0.5mm、ブリッジ部2.5mmのミシン目を設ける。次いで、この円筒状のフィルムをMD145mmで切断し、500mlの多面体ボトルにボトルの下面までかぶせて耐ミシン目破袋性評価用サンプルを作製した。評価用サンプルは蒸気加熱方式の長さ3m(3ゾーン構成)の収縮トンネル中を回転させずに5秒間で通過させ、ミシン目が直径0.5mmの円形状となる条件を設定した。
蒸気を噴射するトンネル内のノズル位置: 1 ゾーン/ フィルム下部、2 ゾーン前半/フィルム中央部、2 ゾーン後半/ フィルム全体、3 ゾーン/ フィルム全体
温度調整: ノズルに通じる蒸気配管のバルブ開閉により蒸気量を調整して行う。
各ゾーンの温度はフィルムによりことなるが、1ゾーン:70℃〜80℃、2ゾーン:80℃〜90℃、3ゾーン:80℃〜90℃を目安に調整した。
この評価用ボトルを10本用意し、5℃の環境下で20時間保冷した後取り出して、40cmの高さからコンクリート面に自由落下させて、ミシン目から破袋するまでの落下回数を計測し、10本の平均値を算出した。
ミシン目が破袋するまでの落下回数が平均4回以上あれば、実用上の不具合は無いと考えられる。
得られたフィルムをMD100m×TD235mmでスリットし、TDに10mm分重なるように折り、重なった部分をメチルエチルケトンで溶剤シールし、円筒状とする。その際に、シール部の両側にMDに沿って、穴部0.5mm、ブリッジ部2.5mmのミシン目を設ける。次いで、この円筒状のフィルムをMD165mmで切断し、500mlの多面体ボトルにボトルの下面までかぶせてミシン目適性評価用サンプルを作製した。評価用サンプルは蒸気加熱方式の長さ3m(3ゾーン構成)の収縮トンネル中を回転させずに5秒間で通過させ、ミシン目が直径0.5mmの円形状となる条件を設定した。
この評価用ボトルを10本用意し、収縮したフィルムをミシン目に沿って切りながら剥がすことが出来るかどうかを以下の基準に沿って評価した。
蒸気を噴射するトンネル内のノズル位置: 1 ゾーン/ フィルム下部、2 ゾーン前半/フィルム中央部、2 ゾーン後半/ フィルム全体、3 ゾーン/ フィルム全体
温度調整: ノズルに通じる蒸気配管のバルブ開閉により蒸気量を調整して行う。
各ゾーンの温度はフィルムによりことなるが、1ゾーン:70℃〜80℃、2ゾーン:80℃〜90℃、3ゾーン:80℃〜90℃を目安に調整した。
下記基準で評価した。
○:10本中、ミシン目に沿って切れないフィルムが無い
×:10本中、ミシン目に沿って切れずボトルの周方向に切れてしまうものが2本以上ある。
得られたフィルムの透明性を評価するため、JIS K7136にてヘーズ値を測定した。
◎:ヘーズ値が5%以下の場合
○:ヘーズ値が5%を超え、かつ、7%以下の場合
×:ヘーズ値が7%を超える場合
積層フィルムの端面を表層と、中心層・裏層との2層に分離し、フィルムの主収縮方向(TD)に15mm、フィルムの引き取り方向(MD)に150mmの大きさに切り出し、引張速度50mm/min.で23℃環境下におけるフィルムの主収縮方向(TD)の層間剥離強度を測定し、3回の測定値の平均値を測定した。
◎:層間剥離強度が高く、実質剥離できない
○:層間剥離強度が4N/15nmm以上
×:層間剥離強度が4N/15mm未満
得られたフィルムの引き取り方向(MD)に沿ってニチバン製の18mm幅の透明粘着テープを貼り付け、馬簾状の冶具を用いてテープとフィルムを密着させた後、粘着テープを瞬時に剥がした際のフィルムの状態を評価した。
○:粘着テープを剥がすと、剥がす前の状態を保ちフィルムに剥離が生じない場合
×:粘着テープを剥がすと、フィルム内で剥離が発生する場合
得られたフィルムを縦40mm、横200mmの大きさに切り取り、70℃、並びに80℃の温水バスに10秒間それぞれ浸漬し、収縮量を測定した。熱収縮率は、主収縮方向(TD)について、収縮前の原寸に対する収縮量の比率を%値で計測した。
(A)成分(ポリ乳酸系樹脂)
・Nature WorksLLC社製、商品名:NatureWorks4043D、D体/L体量=4.25/95.75、「PLA1」と略する。
・Nature WorksLLC社製、商品名:NatureWorks4060D、D体/L体量=12/88、「PLA2」と略する。
・カネカ社製、商品名:カネエースFM−40、コア層:アクリル酸ブチル重合体、シェル層: メタクリル酸メチル重合体(コア層67質量%、コア層中のアクリル系重合体含有量100質量%)、屈折率1.44、「コアシェルゴム1」と略する。
・三菱レイヨン社製、商品名:メタブレンS2006、コア層:シリコーン/ アクリル重合体、シェル層: メタクリル酸メチル重合体(コア層71質量%、コア層中のアクリル系重合体含有量63質量%)、屈折率1.44、「コアシェルゴム2」と略する。
・LANXESS社製、商品名:Levapren700HV、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVAと称する)「EVA1」と略する。
・ダウケミカル社製、商品名:バーシファイ2400、ポリプロピレン−エチレンランダム共重合体、「PO」と略する。
・日油社製、商品名:モディパーA5200[(エチレン−アクリル酸エチル)−メタクリル酸メチルグラフト共重合体「相溶化剤」と略する。
(A)層および(B)層を含む2種3層の積層フィルムを製造するために、各原材料をそれぞれ表1に示す配合にて混合した後、2台の2軸押出機および2種3層マルチマニホールド口金により、(B)層/(A)層/(B)層の積層共押出が可能な設備において、各押出機設定温度200〜220℃で溶融混合後、各層の厚み比が、(B)層/(A)層/(B)層=1/6/1となるよう共押出し、50℃のキャストロールで引き取り、冷却固化させて未延伸積層シートを得た。次いで、このシートをフィルムテンターを用いて、延伸温度75℃、TD延伸倍率5倍にて、厚さ25〜45μmの熱収縮性フィルムを得た。
一方、比較例1〜6で得られたフィルムは引き裂き強さのMD/TD比が一定範囲に入る為にミシン目適性は良好であるが、主収縮方向(TD)の引張破断強度、破断伸度が低い為にミシン目の耐破袋性に劣る。また、比較例4のフィルムは軟質成分としてEVAを用いており、30日経過後の破断伸度が大きく低下しているため倉庫等で保管された後で印刷工程、製袋工程、自動装着工程を経る際にフィルム/ラベルが破断する懸念が有る。
特に、比較例1,3のフィルムは、主収縮方向(TD)の引張破断強度、破断伸度が不十分な為に厚みが薄くなった場合にミシン目の耐破袋性が不十分となる懸念がある。
Claims (9)
- ポリ乳酸系樹脂(A)を主成分とし、軟質成分(B)を含む樹脂組成物からなる表裏層を少なくとも1層有する熱収縮性フィルムであって、
前記軟質成分(B)は、コアシェル型ゴムであり、
前記コアシェル型ゴムは、コア層とシェル層の合計質量に対して(メタ)アクリル酸エステルを80%以上含有し、かつ、コア層の質量に対して(メタ)アクリル酸エステルを70%以上含有し、
前記フィルムの主収縮方向(TD)の引張破断強度が200MPa以上、引張破断伸度が50%以上であることを特徴とする熱収縮性フィルム。 - 主収縮方向と直交する方向の製膜後に30℃の環境下で30日経過後の引張破断伸度が200%以上であることを特徴とする請求項1に記載の熱収縮性フィルム。
- 前記ポリ乳酸系樹脂(A)を主成分とし、軟質成分(B)を含む樹脂組成物からなる層と、その他の層との層間の剥離強度が4N/15mm以上であることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の熱収縮性フィルム。
- JISK7136に基づくヘーズ値が7%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱収縮性フィルム。
- 前記コアシェル型ゴムが、以下のモノマーから選ばれる1種以上を含む重合体を有するコア層と、前記モノマーと相違する以下のモノマーから選ばれる1種以上を含む重合体を有するシェル層とから構成される重合体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱収縮性フィルム。
コア層中の重合体に含まれるモノマー:(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸アリル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸3−メトキシブチル、アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、アクリル酸トリフルオロエチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸トリメチルシリル
シェル層中の重合体に含まれるモノマー:メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸シクロアルキルエステル、メタクリル酸アリールエステル、メタクリル酸アラルキルエステル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸トリメチルシリル、メタクリル酸トリメトキシシリルプロピル - 前記コアシェル型ゴムの含有量が、層を構成する樹脂組成物100質量%に対して3〜30質量%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱収縮性フィルム。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の熱収縮性フィルムを基材として有する成形品。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の熱収縮性フィルムを基材として有する熱収縮性ラベル。
- 請求項7に記載の成形品を用いた、又は請求項8に記載の熱収縮性ラベルを装着した容器。
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