JP5351007B2 - ポリ乳酸系熱収縮性積層フィルム、並びに該フィルムを用いた成形品、熱収縮性ラベル、及び該成形品を用いた、又は該ラベルを装着した容器 - Google Patents

ポリ乳酸系熱収縮性積層フィルム、並びに該フィルムを用いた成形品、熱収縮性ラベル、及び該成形品を用いた、又は該ラベルを装着した容器 Download PDF

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Description

本発明は、収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用途に適した熱収縮性積層フィルム、この熱収縮性積層フィルムを用いた成形品および熱収縮性ラベル、並びに、この成形品およびラベルを装着した容器に関する。
現在、ジュース等の清涼飲料、ビール等のアルコール飲料等は、瓶またはペットボトルなどの容器に充填された状態で販売されている。その際、他商品との差別化や商品の視認性向上のために、容器の外側に印刷が施された熱収縮性ラベルが装着されている。この熱収縮性ラベルの素材としては、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン、芳香族ポリエステル等が一般的に使用されている。また、枯渇性資源の節約の観点より、植物由来原料プラスチックで構成されたラベルも検討されている。
この植物由来原料プラスチックの中でも、特に、ポリ乳酸系樹脂は澱粉の発酵により得られる乳酸を原料とし、化学工学的に量産可能であり、かつ、透明性や剛性が優れていることから、ポリスチレンや芳香族ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)の代替材料として、フィルム包装材や射出成形分野において注目されている。
しかしながら、ポリ乳酸系樹脂を用いた熱収縮性フィルムは、室温において剛性であり、低温収縮性を有し、かつ自然収縮性が良好であるものの、非常に脆い材料である。熱収縮性フィルムへの用途展開を鑑みた場合、熱収縮性フィルムは、製膜後、印刷工程や製袋工程等の種々の二次加工工程を経る。一般的な印刷手法であるグラビア印刷では、多くのロールを経由し印刷されることや、生産性向上を目的とし高速で印刷されるため、ポリ乳酸系樹脂を用いた熱収縮性フィルムは、これらの二次加工工程を経由する際に熱収縮性フィルムに求められる耐破断性としては不十分であった。
ポリ乳酸系樹脂の脆性を改良する手法として、ポリ乳酸とポリオレフィン化合物からなるフィルム(特許文献1参照)や、ポリ乳酸と変性オレフィン化合物からなる成形品(特許文献2参照)や組成物(特許文献3参照)、ポリ乳酸とシンジオタクチックポリプロピレンからなる成形物(特許文献4参照)、乳酸を主成分とする重合体、脂肪族カルボン酸、および鎖状分子ジオールを主成分とする脂肪族ポリエステルの可塑剤からなる、可塑化されたポリ乳酸フィルム(特許文献5参照)、ポリ乳酸とエポキシ化ジエン系ブロック共重合体からなる生分解性樹脂組成物(特許文献6参照)、ポリ乳酸、脂肪族ポリエステル、およびポリカプロラクトンからなる乳酸系重合体組成物(特許文献7参照)、結晶性ポリ乳酸と、天然ゴムおよびポリイソプレンから選ばれた少なくとも1種のゴム成分とからなるポリ乳酸系樹脂組成物(特許文献8参照)等を用いる方法が開示されている。
しかしながら、上記のポリカプロラクトン、変性オレフィン化合物、エポキシ化ジエン系ブロック共重合体、天然ゴム、ポリイソプレン等を乳酸系樹脂に混合した場合、耐衝撃性の改良効果は見られるものの、その結果、透明性を著しく損なうこととなり、例えば、包装材等の内容物を確認する必要がある用途に使用するには十分な技術とは言い難い。
また、ポリ乳酸系樹脂の透明性を維持したまま、脆性を改良する方法として、脂肪族ポリエステルと多層構造重合体とを含有する樹脂組成物において、引張伸度や耐衝撃性を向上させた方法(特許文献9参照)やポリ乳酸系樹脂にゴム質重合体とビニル系単体とをグラフト重合して得られたグラフト共重合体を配合する方法(特許文献10参照)が提案されている。しかしながら、印刷工程や製袋工程を経る熱収縮フィルムに求められる耐破断性としては不十分であるとともに、これらの耐衝撃性改質材では、印刷溶剤、接着溶剤等により劣化されやすいといった課題がある。
一方、ポリ乳酸とエチレン−酢酸ビニル共重合体とを含有する樹脂組成物、フィルム(特許文献11、12参照)やポリ乳酸とエチレン−酢酸ビニル共重合体とポリ乳酸以外の脂肪族ポリエステルとを含有するフィルム(特許文献13参照)が提案されている。これらの系では、溶剤による劣化は少ないものの、熱収縮性フィルムとしての耐破断性の観点からは不十分である。
特開2005−68232号公報 特開平9−316310号公報 特開平5−179110号公報 特開平10−251498号公報 特開2000−191895号公報 特開2000−219803号公報 特開2001−31853号公報 特開2003−183488号公報 特開2003−286396号公報 特開2004−285258号公報 特開平9−151310号公報 特開平9−235455号公報 特開平9−235456号公報
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の課題は、フィルムの耐破断性を満足させ、かつ優れた透明性や低温収縮特性を有する、収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用途に適したポリ乳酸系熱収縮性積層フィルムを提供することにある。
本発明のもう一つの課題は、収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用途に適した、上記熱収縮性積層フィルムを用いた成形品および熱収縮性ラベル、ならびに該成形品または該熱収縮性ラベルを装着した容器を提供することにある。
本発明者らは、ポリ乳酸系樹脂を主成分とし、エチレン−酢酸ビニル系樹脂を含む樹脂組成物からなる層と、ポリ乳酸系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、およびポリ乳酸系樹脂とポリオレフィン系樹脂との相溶性を向上させる相溶化剤を含む樹脂組成物からなる層を有する層構成、並びに、各層の配合、組成につき鋭意検討した結果、耐破断性、透明性、低温収縮性の諸特性を満足し得る熱収縮性積層フィルムの作製に成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の上記課題は、ポリ乳酸系樹脂を主成分とし、エチレン−酢酸ビニル系樹脂を含む樹脂組成物からなる(A)層と、ポリ乳酸系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、及びポリ乳酸系樹脂とポリオレフィン系樹脂との相溶性を向上させる相溶化剤を含む樹脂組成物からなる(B)層の少なくとも2層を有する積層フィルムであって、前記積層フィルムが少なくとも一方向に延伸され、かつ80℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が20%以上であることを特徴とする熱収縮性積層フィルム(以下、「第1の発明」という)によって達成される。
第1の発明において、前記(A)層を構成する樹脂組成物に含有されるエチレン−酢酸ビニル系樹脂中の酢酸ビニル含有量が45〜90質量%であることが好ましい。
第1の発明において、前記(A)層を構成する樹脂組成物に含有されるエチレン−酢酸ビニル系樹脂の含有量が、(A)層を構成する樹脂組成物を100質量%として、該樹脂組成物に対し、3〜30質量%であることが好ましい。
第1の発明において、前記(B)層に含有される相溶化剤が、幹成分と枝成分からなるグラフト共重合体であり、前記グラフト共重合体の幹成分、または枝成分が、エチレン単位、αオレフィン単位、及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる群から選ばれる熱可塑性樹脂セグメントから構成されるグラフト共重合体であることが好ましい。
第1の発明において、前記(B)層を構成する樹脂組成物を100質量%として、該樹脂組成物に対し、前記(B)層に含まれるポリ乳酸系樹脂の含有量が60〜89質量%であり、ポリオレフィン系樹脂の含有量が10〜40質量%であり、相溶化剤の含有量が1〜15質量%であることが好ましい。
第1の発明において、JIS K7127に準拠し、引張速度100mm/min、雰囲気温度23℃におけるフィルムの主収縮方向と直交する方向(縦方向)での引張破断伸度が150%以上であることが好ましい。
第2の発明は、第1の発明の熱収縮性積層フィルムを基材として有する成形品に関する。
第3の発明は、第1の発明の熱収縮性積層フィルムを基材として有する熱収縮性ラベルに関する。
第4の発明は、第2の発明の成形品を用いた、または第3の発明の熱収縮性ラベルを装着した容器に関する。
第1の発明によれば、熱収縮性フィルムとして十分な耐破断性、透明性を有し、かつ、低温収縮特性に優れた熱収縮性積層フィルムを提供することができる。
また、第2ないし第4の発明によれば、収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用途に適した、前記熱収縮性積層フィルムを用いた成形品および熱収縮性ラベル、ならびに該成形品を用いた、または該熱収縮性ラベルを装着した容器を提供することができる。
以下、第1ないし第4の発明について詳細に説明する。
なお、本明細書において、「主成分とする」とは、主成分として含有される樹脂が有する作用・効果を妨げない範囲で、他の成分を含むことを許容する趣旨である。さらに、この用語は、具体的な含有率を制限するものではないが、各層の構成成分全体の70質量%以上、好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であって、100質量%以下の範囲を占める成分である。
[第1の発明]
第1の発明は、ポリ乳酸系樹脂を主成分とし、エチレン−酢酸ビニル系樹脂を含む樹脂組成物からなる(A)層と、ポリ乳酸系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、及びポリ乳酸系樹脂とポリオレフィン系樹脂との相溶性を向上させる相溶化剤を含む樹脂組成物からなる(B)層の2層を少なくとも有する積層フィルムであって、前記積層フィルムが少なくとも一方向に延伸され、かつ80℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が20%以上であることを特徴とする熱収縮性積層フィルム、に関する。
<(A)層>
(A)層は、ポリ乳酸系樹脂を主成分とし、エチレン−酢酸ビニル系樹脂を含む樹脂組成物からなる。
(ポリ乳酸系樹脂)
第1の発明の(A)層で使用されるポリ乳酸系樹脂は、D−乳酸もしくはL−乳酸の単独重合体、またはこれらの共重合体であり、具体的には構造単位がD−乳酸であるポリ(D−乳酸)、構造単位がL−乳酸であるポリ(L−乳酸)、さらにはL−乳酸とD−乳酸の共重合体であるポリ(DL−乳酸)があり、また、D−乳酸とL−乳酸との共重合比の異なる複数の上記共重合体の混合樹脂も含まれる。
上記L−乳酸とD−乳酸との共重合体は、D−乳酸とL−乳酸との共重合比(以下「D/L比」と略する。)が、好ましくは「3/97」〜「15/85」または「85/15」〜「97/3」であり、より好ましくは「5/95」〜「15/85」または「85/15」〜「95/5」であり、さらに好ましくは「8/92」〜「15/85」または「85/15」〜「92/8」であり、特に好ましくは「10/90」〜「15/85」または「85/15」〜「90/10」である。
D−乳酸の共重合比が97より高く、または3未満の場合には、高い結晶性を示し、融点も高く、耐熱性および機械的物性に優れる傾向がある。しかしながら、熱収縮性フィルムとして使用する場合は、通常、印刷および溶剤を用いた製袋工程が伴うため、印刷適性および溶剤シール性を向上させるために構成材料自体の結晶性を適度に下げることが必要となる。また、結晶性が過度に高い場合、延伸時に配向結晶化が進行し、加熱時のフィルム収縮特性が低下する傾向がある。さらに、延伸条件を調整することによって結晶化を抑えたフィルムとしても、熱収縮時に加熱により結晶化が収縮より先に進行してしまいその結果、収縮ムラや収縮不足を生じてしまう傾向がある。従って、本発明においては、D−乳酸の前記共重合比は、3以上、97以下、更には上述の好適範囲とすることが好ましい。
一方、D−乳酸の共重合比が85未満、15より高い場合は、結晶性がほぼ完全になくなってしまうため、その結果、加熱収縮後にラベル同士がぶつかった場合に熱にて融着してしまうなどのトラブルが発生することがある。そこで、前記範囲にポリ乳酸樹脂のD−乳酸とL−乳酸との構成比を調整することにより、前記のような問題を生じない収縮特性の優れた熱収縮フィルムを得ることが可能となる。
第1の発明では、D/L比が異なるポリ乳酸系樹脂をブレンドすることも可能であり、ブレンドした方がポリ乳酸系樹脂のD/L比をより容易に調整できるので好ましい。この場合には、複数の乳酸系重合体のD/L比を平均した値が上記範囲内に入るようにすればよい。使用用途に合わせて、D/L比の異なるポリ乳酸系樹脂を2種以上ブレンドし、結晶性を調整することにより、耐熱性と熱収縮特性のバランスをとることができる。
また、上記ポリ乳酸系樹脂は、その本質的な性質を損なわない範囲内であれば、少量の共重合成分として、乳酸以外のα−ヒドロキシカルボン酸、テレフタル酸等の非脂肪族ジカルボン酸、コハク酸等の脂肪族ジカルボン酸、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等の非脂肪族ジオール、及びエチレングリコール等の脂肪族ジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。また、分子量増大を目的として、少量の鎖延長剤、例えば、ジイソシアネート化合物、エポキシ化合物、酸無水物等を使用することもできる。
乳酸以外のα−ヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシカプロン酸等の2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸やカプロラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン等のラクトン類が挙げられる。
また、前記ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸が挙げられ、前記ジオールとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール,1,4−シクロへキサンジメタノール等の非脂肪族ジオールが挙げられる。
乳酸と、乳酸以外のα−ヒドロキシカルボン酸、脂肪族ジオール、または脂肪族ジカルボン酸との共重合体の共重合比[乳酸/(乳酸以外のα−ヒドロキシカルボン酸、脂肪族ジオール、または脂肪族ジカルボン酸)]は、質量比で、好ましくは「95/5」〜「10/90」、より好ましくは「90/10」〜「20/80」、さらに好ましくは「80/20」〜「30/70」である。共重合比が上記範囲内であれば、剛性、透明性、耐衝撃性などの物性バランスの良好なフィルムを得ることができる。また、これらの共重合体の構造としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体が挙げられ、いずれの構造でもよい。但し、フィルムの耐衝撃性および透明性の観点から、ブロック共重合体またはグラフト共重合体が好ましい。
上記ポリ乳酸系樹脂の質量平均分子量は、20,000以上、好ましくは40,000以上、さらに好ましくは60,000以上であり、上限値を考慮して、400,000以下、好ましくは350,000以下、さらに好ましくは300,000以下である。質量平均分子量が20,000以上であれば、適度な樹脂凝集力が得られ、フィルムの強伸度が不足したり、脆化したりすることを抑えることができる。一方、質量平均分子量が400,000以下であれば、溶融粘度を下げることができ、製造、生産性向上の観点から好ましい。質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、GPC)により測定することができる。
上記ポリ乳酸系樹脂の重合法としては、縮合重合法、開環重合法など、公知の方法を採用することも可能である。例えば縮合重合法であれば、D−乳酸、L−乳酸、または、これらの混合物を直接脱水縮合重合して任意の組成を有するポリ乳酸系樹脂を得ることができる。また、開環重合法では、乳酸の環状2量体であるラクチドを、必要に応じて重合調整剤などを用いながら、所定の触媒の存在下で開環重合することにより任意の組成を有するポリ乳酸系樹脂を得ることができる。上記ラクチドには、L−乳酸の二量体であるDL−ラクチドがあり、これらを必要に応じて混合して重合することにより、任意の組成、結晶性を有するポリ乳酸系樹脂を得ることができる。
第1の発明に好ましく使用されるポリ乳酸系樹脂の代表的なものとしては、Nature Works LLC社製の「Nature Works」等が商業的に入手されるものとして挙げられる。また、ポリ乳酸系樹脂とジオールとジカルボン酸とのランダム共重合体の具体例としては、例えば「GS−Pla」(三菱化学社製)が挙げられる。上記ポリ乳酸系樹脂は、第1の発明において、(A)層を構成する樹脂組成物の主成分として含有される。
<エチレン−酢酸ビニル系樹脂>
第1の発明の(A)層で使用されるエチレン−酢酸ビニル系樹脂は、その酢酸ビニル含有量が好ましくは45〜90質量%のものが用いられるが、より好ましくは酢酸ビニル含有量60〜80質量%である。酢酸ビニル含有量が45質量%以上であると、ポリ乳酸系樹脂との屈折率差が適度なものとなり、透明性が維持され好ましい。また、酢酸ビニル含有量が90質量%以下であると、ポリ乳酸と適度に相溶し、エチレン−酢酸ビニル系樹脂が耐衝撃性を発現する機能が保たれ好ましい。
また、上記エチレン−酢酸ビニル系樹脂は、予備架橋されたものも好適に使用することができる。
上記エチレン−酢酸ビニル系樹脂では、エチレンモノマー、酢酸ビニルモノマー以外の他のモノマー成分を共重合したものも用いることができる。このようなモノマー成分として、例えば、一酸化炭素やビニルエステル成分などが挙げられ、エチレンと共重合可能なビニルエステル成分としては、具体的には、酢酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n − 酪酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニルなどが挙げられる。中でも、エチレン−酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体を好適に用いることができる。
第1の発明に好ましく使用されるエチレン−酢酸ビニル系樹脂の代表的なものとしては、LANXESS社製の「Levapren」、「Levamelt」、「Baymod」や、三井・デュポンポリケミカル社製の「エバフレックス」等が商業的に入手されるものとして挙げられる。予備架橋されたエチレン−酢酸ビニル系樹脂の代表的なものとしては、LANXESS社製の「LevaprenVP」等が商業的に入手されるものとして挙げられる。また、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体の代表的なものとしては、三井・デュポンポリケミカル社製の「エルバロイ」等が商業的に入手されるものとして挙げられる。これらのエチレン−酢酸ビニル系樹脂は、各々単独に、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
第1の発明において、前記(A)層を構成する樹脂組成物に含有されるエチレン−酢酸ビニル系樹脂の含有量は、前記(A)層を構成する樹脂組成物を100質量%として、該樹脂組成物に対して、3〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは4〜25質量%であり、さらに好ましくは5〜20質量%である。
上記エチレン−酢酸ビニル系樹脂の含有量が3質量%以上であれば、(A)層の耐破断性が向上し、積層構造を有する本発明のフィルムにおいても、(A)層の耐破断性の向上により積層フィルム全体への破断の伝播を抑制することができ、シュリンクフィルムとしての要求品質に十分な引張破断伸度を得ることができる。また、エチレン−酢酸ビニル系樹脂の添加量が30質量%以下であれば、(A)層と後述する(B)層との層間における剥離が生じることがないため、印刷工程、製袋工程でのハンドリングが良好となる。
<(B)層>
第1の発明の(B)層は、ポリ乳酸系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、及びポリ乳酸系樹脂とポリオレフィン系樹脂との相溶性を向上させる相溶化剤を含む樹脂組成物からなる。また、後に説明するとおり(B)層は内層であることが好ましい。
(ポリ乳酸系樹脂)
(B)層において用いるポリ乳酸系樹脂は、上記した(A)層におけるものと同様のものを使用することができる。
(ポリオレフィン系樹脂)
(B)層において使用されるポリオレフィン系樹脂は、振動周波数10Hzの条件で測定したときの20℃の貯蔵弾性率(E’)が、好ましくは100MPa以下、より好ましくは80MPa以下、さらに好ましくは50MPa以下である。また、フィルム全体の腰(常温での剛性)を考慮して、貯蔵弾性率(E’)は好ましくは0.1MPa以上、より好ましくは1.0MP以上、さらに好ましくは3.0MPa以上である。20℃の貯蔵弾性率(E’)が上記範囲にあるポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィンの結晶化度が低く、密度が小さくなるため、ポリオレフィン系樹脂の平均屈折率も低くなり、混合するポリ乳酸系樹脂との平均屈折率を近づけることができる。そのため、第1の発明の内部ヘイズを低減することが達成できるため、耐破断性の改良と透明性の維持において有用である。また貯蔵弾性率(E’)が100MPa以下であれば、耐破断性の改良効果が低下することもなく、大幅な外観不良の発生を抑えることができる。一方、貯蔵弾性率(E’)が0.1MPa以上であれば、フィルム全体の腰が大幅に低下することを抑えることができる。
さらに、上記ポリオレフィン系樹脂は、振動周波数10Hzで測定したときの70℃の貯蔵弾性率(E’)が50MPa以下、好ましくは30MPa以下、より好ましくは20MPa以下、さらに好ましくは10MPa以下である。一方、貯蔵弾性率(E’)の下限値を考慮すると、0.1MPa以上、好ましくは0.5MPa以上、さらに好ましくは1.0MPa以上である。第1の発明をペットボトルの収縮ラベル用途等に使用する場合、ペットボトル等の被覆対象物へのラベル装着工程として、熱収縮加工工程を要し、また、内容物の劣化、破裂等を防止するため、熱収縮加工は60〜100℃にて行われる。そのため、第1の発明で使用されるポリオレフィン系樹脂の70℃の貯蔵弾性率(E’)が50MPa以下であれば、熱収縮加工温度領域において、フィルムに十分な熱収縮率を発現させることができる。また70℃の貯蔵弾性率(E’)が0.1MPa以上であれば、熱収縮加工工程において、十分なフィルムの強度を維持することができるため、フィルムの破袋やよれ等が生じず被覆対象物への均一な装着を可能にしやすい。
なお、ポリオレフィン系樹脂の貯蔵弾性率(E’)は、20℃および70℃の温度下で、振動周波数10Hz、歪み0.1%、昇温速度2℃/分、チャック間2.5cmの条件の下、−150℃から200℃の範囲で動的粘弾性を測定することにより算出することができる。
上記貯蔵弾性率(E’)の大きさは、例えば、ポリオレフィン系樹脂が、後述するエチレンと炭素数3以上20以下のα−オレフィンとの共重合体を含有する場合は、その含有量を増減することにより調整することができる。例えば、上記貯蔵弾性率(E’)を上げたい場合には、エチレンと炭素数3以上20以下のα−オレフィンとの共重合体の含有量を減らす、あるいはα−オレフィンとの共重合体におけるα−オレフィンの共重合比率を減らし、反対に貯蔵弾性率(E’)を下げたい場合には、エチレンと炭素数3以上20以下のα−オレフィンとの共重合体の含有量を増やし、あるいはα−オレフィンとの共重合体におけるα−オレフィンの共重合比率を増やすことによって調整可能である。
(B)層において、使用されるポリオレフィン系樹脂は振動周波数10Hz、歪み0.1%の条件下で測定したときの20℃の貯蔵弾性率(E’)が前記載の範囲を満たしていれば特に限定されず、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂や、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体などのエチレン系共重合体が挙げられる。第1の発明においては、70℃の貯蔵弾性率(E’)を所定の範囲に調整する観点、並びに、熱収縮特性、機械的物性および成形性の観点から、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、またはこれらの混合物を用いることが好ましい。
ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂は、重合方法や共重合成分などにより多様な種類が存在するため特に限定されるものではないが、以下に、第1の発明で用いられる好ましいポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂を例示する。
ポリエチレン系樹脂としては、密度が0.92〜0.94g/cm3の中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、密度が0.92g/cm3未満の低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、および直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)が挙げられる。この中でも延伸性、フィルムの耐衝撃性、透明性等の観点からは、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)が特に好適に用いられる。
上記直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)としては、エチレンと炭素数3以上20以下、好ましくは炭素数4以上12以下のα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等が例示される。この中でも1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好適に用いられる。また、共重合するα−オレフィンは1種のみを単独で、または2種以上を組み合わせて用いても構わない。
(B)層において、ポリオレフィン系樹脂は、上記ポリエチレン系樹脂成分を70質量%以上含有することが好ましく、より好ましくは、75質量%以上含有する。上記含有量が70質量%以上であればフィルム全体の腰を維持することができる。
上記ポリエチレン系樹脂の密度は0.910g/cm3以下であることが好ましく、0.905g/cm3以下がより好ましく、0.900g/cm3以下がさらに好ましい。また、下限は特に限定されないが、0.800g/cm3以上が好ましく、0.850g/cm3以上がより好ましく、0.880g/cm3以上がさらに好ましい。密度が0.910g/cm3以下であれば、ポリ乳酸との親和性も向上し、さらに延伸性が維持され実用温度域(70℃以上90℃以下程度)の熱収縮率を充分得ることができる点で好ましく、一方、密度が0.800g/cm3以上であればフィルム全体の腰(常温での剛性)や耐熱性を著しく低下させないため、実用上好ましい。
上記ポリエチレン系樹脂としては、メルトフローレート(MFR:JIS K7210、温度:190℃、荷重:21.18N)が0.1〜10g/10分のものが好適に用いられる。MFRが0.1g/10分以上であれば、押出加工性を良好に維持でき、一方、MFRが10g/10分以下であれば積層フィルムの厚み斑や力学強度の低下を起こしにくく、好ましい。
次に、(B)層で用いられるポリプロピレン系樹脂としては、ホモプロピレン樹脂のほか、ホモプロピレン樹脂と比較して、柔軟性を有する軟質ポリプロピレン系樹脂が挙げられる。軟質ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、ランダムポリプロピレン樹脂、ブロックポリプロピレン樹脂、プロピレン−エチレンゴムなどが挙げられる。これら中でも延伸性、耐破断性の観点から、ランダムポリプロピレン樹脂が特に好適に使用される。
上記ランダムポリプロピレン樹脂において、プロピレンと共重合させるα−オレフィンとしては、好ましくは炭素数2以上20以下、より好ましくは炭素数4以上12以下のものが挙げられ、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどを例示できる。本発明においては、延伸性、熱収縮特性、フィルムの耐衝撃性や透明性、剛性等の観点から、プロピレン単位の含有率が95質量%以下、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下のランダムポリプロピレンが特に好適に用いられる。また、共重合するα−オレフィンは1種のみを単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、通常、MFR(JIS K7210、温度:230℃、荷重:21.18N)が、0.5g/10分以上、好ましくは1.0g/10分以上であり、かつ15g/10分以下、好ましくは10g/10分以下であることが望ましい。
以上のポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂は、より具体的には、ポリエチレン系樹脂として、商品名「ノバテックLD、LL」、「カーネル」、「タフマーA、P」(以上、日本ポリエチ社製)、「サンテックHD、LD」(旭化成ケミカルズ社製)、「HIZEX」、「ULTZEX」、「EVOLUE」(以上、三井化学社製)、「モアテック」(出光興産社製)、「UBEポリエチレン」、「UMERIT」(以上、宇部興産社製)、「NUCポリエチレン」、「ナックフレックス」(以上、日本ユニカー社製)、「Engage」(ダウケミカル社製)などとして市販されている。これらの樹脂は、各々単独に、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
ポリプロピレン系樹脂は、商品名「ノバテックPP」、「WINTEC」、「タフマーXR」(以上、日本ポリプロ社製)、「三井ポリプロ」(三井化学社製)、「住友ノーブレン」「タフセレン」、「エクセレンEPX」(以上、住友化学社製)、「IDEMITSU PP」、「IDEMITSU TPO」(以上、出光興産社製)、「Adflex」、「Adsyl」(以上、サンアロマー社製)、「VERSIFY」(ダウケミカル社製)などとして市販されている。これらの樹脂は、各々単独に、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、(B)層におけるポリオレフィン系樹脂として、さらに上記エチレンと共重合可能なモノマーとの共重合体(エチレン系共重合体)も好適に用いることができる。エチレン系共重合体を例示すれば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体などが挙げられる。
上記エチレン系共重合体におけるエチレン含有率は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは75質量%以上であり、かつ好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは85質量%以下である。エチレン含有率が70質量%以上であれば、フィルム全体の耐破断性と収縮特性を良好に維持できる。
エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)の市販品としては、例えば、「エバフレックス」(三井デュポンポリケミカル社製)、「ノバテックEVA」(三菱化学社製)、「エバテート」(住友化学社製)が挙げられる。また、エチレン−エチルアクリレート共重-合体(EEA)の市販品としては、例えば「エバフレックスEEA」(三井デュポンポリケミカル社製)、エチレン−メチルアクリレート共重合体としては、例えば「エルバロイAC」(三井デュポンポリケミカル社製)などがそれぞれ挙げられる。これらの共重合体は、各々単独に、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記エチレン系共重合体のMFRは、特に制限されるものではないが、通常、MFR(JIS K7210、温度:190℃、荷重:21.18N)が、下限値を考慮すれば、好ましくは0.5g/10分以上、より好ましくは1.0g/10分以上であり、上限値を考慮すれば、好ましくは15g/10分以下、より好ましくは10g/10分以下である。
(B)層で使用されるポリオレフィン系樹脂は、質量平均分子量の下限値が好ましくは50,000、より好ましくは100,000であり、上限値が700,000、より好ましくは600,000、さらに好ましくは500,000である。ポリオレフィン系樹脂の質量平均分子量が上記範囲内であれば、所望の機械物性や耐熱性等の実用物性を発現でき、また適度な溶融粘度が得られ、良好な成形加工性が得られる。質量平均分子量は前述の方法で測定できる。
また、上記ポリオレフィン系樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法、例えばチーグラー・ナッタ型触媒に代表されるマルチサイト触媒やメタロセン系触媒に代表されるシングルサイト触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等、また、ラジカル開始剤を用いた塊状重合法等が挙げられる。
(相溶化剤)
第1の発明において、相溶化剤は、前記ポリ乳酸系樹脂と前記ポリオレフィン系樹脂との相溶性を向上させるものであり、これらの樹脂を相溶化させる樹脂を主成分としてなるものである。相溶化剤は、ポリ乳酸系樹脂とポリオレフィン系樹脂とを相溶化させる樹脂であれば特に限定されないが、ポリ乳酸系樹脂とポリオレフィン系樹脂との相溶性、及び得られるフィルムの透明性の観点から、幹成分と枝成分からなるグラフト共重合体であることが好ましく、前記グラフト共重合体の幹成分または枝成分が、エチレン単位、αオレフィン単位、及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる群から選ばれる熱可塑性樹脂セグメントから構成されるグラフト共重合体を用いることがより好ましい。
グラフト共重合体の幹成分、及び/または枝成分となる熱可塑性樹脂セグメントに使用する熱可塑性樹脂は、例えば、ポリエチレン、ポリαオレフィン、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、αオレフィン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン−αオレフィン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体からなる群から選ばれる。これらは単独で用いてもよく、また2種以上組み合わせて用いてもよい。
上記αオレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、2−メチル−1−プロペン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセンなどが挙げられる。これらのαオレフィンは単独でもしくは2種以上組み合わせて用いられる。
ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸n−ブチル、ポリアクリル酸イソブチル、ポリアクリル酸2−エチルヘキシル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸n−ブチル、ポリメタクリル酸イソブチル、ポリメタクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。
エチレン−αオレフィン共重合体の具体例としては、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体等が挙げられる。
エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体の具体例としては、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体、エチレン−アクリル酸イソブチル共重合体、エチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸n−ブチル共重合体、エチレン−メタクリル酸イソブチル共重合体、エチレン−メタクリル酸2−エチルヘキシル共重合体等が挙げられる。
第1の発明において相溶化剤は、幹成分と枝成分からなるグラフト共重合体であることが好ましく、前記グラフト共重合体の幹成分、または枝成分が、エチレン単位、αオレフィン単位、及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる群から選ばれる熱可塑性樹脂セグメントから構成されるグラフト共重合体であることが好ましい。また、幹成分と枝成分の組み合わせとして、幹成分または枝成分のどちらか一方がポリ乳酸系樹脂との相溶性が大きい成分から構成されることが好ましく、かつ、他方の枝成分または幹成分はポリオレフィン系樹脂との相溶性が大きい成分から構成されることがさらに好ましい。
具体的に例示するならば、例えば、幹成分としてポリエチレン、枝成分としてポリメタクリル酸メチルからなるグラフト共重合体や、幹成分としてエチレン−アクリル酸エチル共重合体、枝成分としてポリメタクリル酸メチルからなるグラフト共重合体等、あるいはその組み合わせからなるグラフト共重合体が好ましく用いられる。
また、前記グラフト共重合体のメルトフローレート(MFR)又はメルトインデクス(MI)は、好ましくは0.01g/10分以上、より好ましくは0.1g/10分以上、さらに好ましくは1.0g/10分以上であり、好ましくは500g/10分以下、より好ましくは300g/10分以下、さらに好ましくは200g/10分以下である。上記MFRはJIS K7210に規定された方法に準拠して、樹脂温度230℃、測定荷重21.18Nの条件で測定したものである。MFRが0.01〜500g/10分の範囲にあれば、グラフト共重合体とポリ乳酸系樹脂との良好な親和性が得られる。
また、前記グラフト共重合体における前記枝成分の好ましい含有量は、グラフト共重合体を構成する幹成分と枝成分の合計を100質量%として、これに対し、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、また、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下である。上記好ましい範囲内においては、前記グラフト共重合体が、ポリ乳酸系樹脂とポリオレフィン系樹脂とを相溶させる効果を発現しやすく、分散性が低下することもなく、良好な外観を有する成形体が得られる。また、幹成分と枝成分の割合を調整することにより、グラフト共重合体の極性を変更し、ポリ乳酸系樹脂やポリオレフィン系樹脂との相互作用を調整することも可能である。
上記のグラフト共重合体の市販品としては、例えば商品名「モディパー」(日本油脂社製)、「レゼダ」(東亜合成社製)などが挙げられる。
相溶化剤として2種以上の樹脂を使用する場合、ポリ乳酸系樹脂とポリオレフィン系樹脂との相溶性、混合樹脂の透明性、粘弾性値等を考慮して配合比を調整することができる。例えば、上記のグラフト共重合体と、変性スチレン−芳香族系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体、芳香族ビニル系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体の水素添加物、又はこれらに極性基を導入した共重合体などを混合樹脂として用いることができる。2種以上の相溶化剤を使用した場合、ポリ乳酸系樹脂とポリオレフィン系樹脂との相溶効果をさらに促進させ、フィルムの透明性を向上させるため好ましい。
(ポリ乳酸系樹脂、ポリオレフィン系樹脂および相溶化剤の含有量)
第1の発明において、前記(B)層を構成するポリ乳酸系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、および相溶化剤の含有量は、前記(B)層を構成する樹脂組成物を100質量%とし、これに対して、ポリ乳酸系樹脂が60〜89質量%であり、ポリオレフィン系樹脂が10〜40質量%であり、相溶化剤が1〜15質量%であることが好ましい。
また、より好ましくは、ポリ乳酸系樹脂が70〜87質量%、ポリオレフィン系樹脂が10〜30質量%、相溶化剤が3〜12質量%であり、さらに好ましくは、ポリ乳酸系樹脂が75〜85質量%、ポリオレフィン系樹脂が10〜25質量%、相溶化剤が5〜10質量%である。
ポリオレフィン系樹脂の含有量が10質量%以上であれば、フィルムの耐破断性が著しく低減することがなく、また、40質量%以下であれば、(B)層に隣接する(A)層との層間剥離強度を所定の範囲に維持することができる。また、相溶化剤の含有量が1質量%以上であれば、相溶効果が発揮され、外観不良などが発生し難くなり、また、15質量%以下であれば、フィルムの剛性を阻害することもなく好ましい。
<(A)層および(B)層の他の添加物>
さらに第1の発明では、上記(A)層および(B)層の各々には本発明の効果を著しく阻害しない範囲で上記ポリオレフィン系樹脂以外の、(メタ)アクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂(GPPS(汎用ポリスチレン))、HIPS(耐衝撃性ポリスチレン)、SBS(スチレン−ブタジエン共重合体)、SIS(スチレン−イソプレン共重合体)、SEBS(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合)、SEPS(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体)、スチレン−カルボン酸共重合体等)、ポリアミド系樹脂、ポリオキシメチレン系樹脂などの熱可塑性樹脂を少なくとも1種含有することができる。
特に、(メタ)アクリル系樹脂は、ポリ乳酸系樹脂との相溶性に優れるため、ポリ乳酸系樹脂とブレンドすることによって収縮特性に影響を及ぼすガラス転移温度を調整することが可能となり、収縮仕上がり性を向上させるのに有効な樹脂となる。
上記(メタ)アクリル系樹脂の中でも、メタクリル系樹脂が好ましい。このメタクリル系樹脂とは、メタクリル酸メチル単独重合体、又はメタクリル酸メチルを50質量%以上と、他のビニル単量体との共重合体をいう。ビニル単量体としては、メタクリル酸エステル類、アクリル酸エステル類、不飽和酸類、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。
上記ビニル単量体として例示されるメタクリル酸エステル類の具体例としては、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等が挙げられる。
また、上記アクリル酸エステル類の具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル等が挙げられる。さらに、上記不飽和酸類の具体例としては、メタクリル酸、アクリル酸等が挙げられる。
上記のメタクリル系樹脂を構成する共重合体には、ポリブタジエン、ブタジエン−アクリル酸ブチル共重合体、ポリアクリル酸ブチル共重合体等のエラストマー成分や、無水グルタル酸単位、グルタルイミド単位をさらに含んでいてもよい。
上記メタクリル系樹脂の中でも、剛性、成形性の観点から、メタクリル酸メチルの単独重合体であるポリメチルメタクリレート(PMMA)、およびメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸、メタクリル酸から選ばれる2種以上からなる共重合体が好適に用いられる。
第1の発明においては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)が最も好適に用いられる。本樹脂をブレンドすることによって、メタクリル系樹脂のガラス転移温度を高くすることが可能であり、その結果、収縮時での急激な収縮開始を緩和し、良好な収縮仕上がり性が得られる。
上記(メタ)アクリル系樹脂の含有量は、(A)層または(B)層を構成する樹脂組成物全体を基準(100質量%)として、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上であり、かつ好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。
上記(メタ)アクリル系樹脂の市販品としては、例えば、「スミペックス」(住友化学社製)、「アクリペット」(三菱レイヨン社製)、「パラペット」(クラレ社製)、「アルテュグラス」(アトフィナ・ジャパン社製)、「デルペット」(旭化成ケミカルズ社製)などが挙げられる。
さらに第1の発明では、上記樹脂組成物中に、この発明の効果を著しく阻害しない範囲で、耐衝撃性、透明性、成形加工性および熱収縮性フィルムの諸特性を向上させる目的で軟質性樹脂を添加してもよい。
上記軟質性樹脂としては、ポリ乳酸系樹脂を除く脂肪族ポリエステル系樹脂、芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂、ジオールとジカルボン酸と乳酸系樹脂との共重合体等が挙げられる。
上記軟質性樹脂の中でも特に、ポリ乳酸系樹脂を除く脂肪族ポリエステル系樹脂が好ましい。このポリ乳酸系樹脂を除く脂肪族ポリエステル系樹脂とは、脂肪族ジカルボン酸またはその誘導体と脂肪族多価アルコールとを主成分とする脂肪族ポリエステルである。脂肪族ポリエステル系樹脂を構成する脂肪族ジカルボン酸残基としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等から誘導される残基が挙げられる。また脂肪族多価アルコール残基としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等から誘導される脂肪族ジオール残基が挙げられる。
好適に用いられる脂肪族ジカルボン酸残基は、コハク酸残基またはアジピン酸残基であり、脂肪族多価アルコール残基は1,4−ブタンジオール残基である。
上記脂肪族ジカルボン酸残基を形成するための脂肪族ジカルボン酸は、その融点が100℃以上170℃以下にあるものが好ましい。融点をその範囲に調整することによって通常収縮が行われる60℃から100℃の範囲でも、脂肪族ポリエステルは結晶状態を保つことが可能となり、その結果、収縮時に柱のような役割を担うことによって、さらに良好な収縮仕上がり性を得ることが可能となる。
上記ポリ乳酸を除く脂肪族ポリエステル系樹脂の含有量は、(A)層または(B)層を構成する樹脂組成物全体を基準(100質量%)として、5質量%以上、好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上であり、かつ30質量%以下、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
第1の発明において、耐衝撃性、透明性、成形加工性および熱収縮性フィルムの諸特性を向上させる目的で、第1の発明の効果を著しく阻害しない範囲で、可塑剤をさらに添加してもよい。この可塑剤としては、脂肪酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤などが挙げられる。
上記脂肪酸エステル系可塑剤の具体例としては、ジブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジ(2−エチルヘキシル)アジペート、ジ(n−オクチル)アジペート、ジ(n−デシル)アジペート、ジブチルジグリコールアジペート、ジブチルセバケート、ジ(2−エチルヘキシル)セバケート、ジ(n−ヘキシル)アゼレート、ジ(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジ(2−エチルヘキシル)ドデカンジオネート等が挙げられる。
また、上記フタル酸エステル系可塑剤の具体例としては、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート等が挙げられる。さらに、上記トリメリット酸エステル系可塑剤の具体例としては、トリ(2−エチルヘキシル)トリメリテート等が挙げられる。
第1の発明においては、フィルムの滑り性付与やブロッキング防止のため、本発明の効果を著しく阻害しない範囲で、非相溶性の樹脂をブレンドする手法を採ってもよく、アンチブロッキング剤をさらに添加してもよい。
前記アンチブロッキング剤を例示すると、シリカ、タルク、炭酸カルシウムなどの無機粒子、無機酸化物、炭酸塩、または、架橋アクリル系、架橋ポリエステル系、架橋ポリスチレン系、シリコーン系等の有機粒子などが挙げられる。また、多段階で重合せしめた多層構造を形成した有機粒子も用いることができる。中でも、シリカや有機粒子が好ましく用いられる。
前記アンチブロッキング剤はフィルム表面を荒らすことにより、滑り性や耐ブロッキング性を発現させるため、適切な添加量、及び種類を選択しなければ、透明性や、フィルムの光沢を阻害してしまう。従って、上記アンチブロッキング剤の添加量は、(A)層に添加する場合、(A)層を構成する樹脂組成物全体の質量を基準(100質量%)として、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.015質量%以上、さらに好ましくは0.02質量%以上であり、かつ、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、さら好ましくは1質量%以下とする。前記アンチブロッキング剤の添加量が少なすぎる(0.01質量%未満)と、フィルム表面へアンチブロッキング剤が析出しづらく、フィルム表面に凹凸を形成しづらいため、十分な滑り性や耐ブロッキング性を発現しづらい。また、逆にアンチブロッキング剤が多すぎる(2質量%超)と、フィルム表面の過剰な凹凸が生じやすく、表面荒れによる透明性の阻害や、過剰な滑り性の付与によるフィルムロールの巻きづれなどが生じやすい。
前記アンチブロッキング剤の形状は、特に限定されるものではないが、(A)層内での凝集抑制、均一分散の観点、透過する光の乱反射抑制、及びフィルム表面に形成される凹凸の観点から球状のものが好ましく用いられる。前記アンチブロッキング剤の平均粒径は、0.5μm以上、好ましくは1μm以上であり、かつ、10μm以下、好ましくは8μm以下、さらに好ましくは6μm以下であることが望ましい。前記アンチブロッキング剤の平均粒径が小さすぎる(0.5μm未満)と、表面へ析出しづらく、また、表面に析出したアンチブロッキング剤においても、滑り性や耐ブロッキング性を発現するに十分な凹凸を付与しづらい。一方、前記アンチブロッキング剤の平均粒径が大きすぎる(10μm超)と、本発明のフィルムに印刷を施し、意匠性を高める場合において、インキ抜けなどが生じやすく、印刷図柄の外観を損ねるため好ましくない。前記アンチブロッキング剤の粒径の分布は、特に制限されるものではないが、前記粒径の大小による弊害の関係より、粒径分布が狭いものの方が好ましい。粒径分布が広くなりすぎると、前述した好ましく用いられる粒径の範囲より逸脱するものが含まれる可能性があり、好ましくない。上記平均粒径及び粒径分布は、粒子径・粒度分布測定装置により測定することができる。
<第1の発明の熱収縮性積層フィルムの製造方法>
第1の発明の熱収縮性積層フィルムは、(A)層及び(B)層を含む少なくとも2層を有し、各層はこれを構成する前記樹脂組成物を用いて、公知の方法によって製造することができる。フィルムの形態としては平面状、チューブ状の何れであってもよいが、生産性(原反フィルムの幅方向に製品として数丁取りが可能)や内面に印刷が可能という点から平面状が好ましい。
平面状のフィルムの製造方法としては、例えば、複数の押出機を用いて樹脂を溶融し、Tダイから共押出し、チルドロールで冷却固化し、縦方向にロール延伸をし、横方向にテンター延伸をし、アニールし、冷却し、印刷が施される場合にはその面にコロナ放電処理をして、巻取機にて巻き取ることによりフィルムを得る方法が挙げられる。また、チューブラー法により製造したフィルムを切り開いて平面状とする方法も挙げられる。
上記延伸における延伸倍率は、オーバーラップ用等、二方向に収縮させる用途では、好ましくは縦方向が2〜10倍、横方向が2〜10倍、より好ましくは縦方向が3〜6倍、横方向が3〜6倍程度である。一方、熱収縮性ラベル用等、主として一方向に収縮させる用途では、主収縮方向に相当する方向が、好ましくは2〜10倍、より好ましくは3〜7倍、さらに好ましくは3〜5倍であり、それと直交する方向が、好ましくは1〜2倍(1倍とは延伸していな場合を指す。)、より好ましくは1.01〜1.5倍の、実質的には一軸延伸の範疇にある倍率比を選定することが望ましい。上記範囲内の延伸倍率で延伸した二軸延伸フィルムは、主収縮方向と直交する方向の熱収縮率が大きくなりすぎることはなく、例えば、収縮ラベルとして用いる場合、容器に装着するとき容器の高さ方向にもフィルムが熱収縮する、いわゆる縦引け現象を抑えることができるため好ましい。
延伸温度は、用いる樹脂のガラス転移温度や熱収縮性フィルムに要求される特性によって適宜選択できるが、概ね60℃以上、好ましくは70℃以上であり、100℃以下、好ましくは90℃以下の範囲で制御される。
次いで、延伸したフィルムは、必要に応じて、自然収縮率の低減や熱収縮特性の改良等を目的として、50℃以上100℃以下程度の温度で熱処理や弛緩処理を行った後、分子配向が緩和しない時間内に速やかに冷却され、熱収縮性フィルムとなる。
また、第1の発明の熱収縮性積層フィルムは、必要に応じてコロナ処理、印刷、コーティング、蒸着等の表面処理や表面加工、さらには、各種溶剤やヒートシールによる製袋加工やミシン目加工などを施すことができる。
<熱収縮性積層フィルムの層構成>
第1の発明の熱収縮性積層フィルムは、(A)層および(B)層の少なくとも2層を有する積層フィルムである。上記熱収縮性積層フィルムは、好ましくは、(A)層を最外層として有し、(B)層を内層として有する形態である。また、第1の発明の熱収縮性積層フィルムは、少なくとも(A)層と(B)層を有すればよいから、例えば、(A)層と(B)層を積層した2層構成であってもよいし、(A)層/(B)層/(A)層のように、(A)層が両側の最外層に有する3層を含む3層以上の構成であってもよいが、寸法安定性や溶剤シール性の観点から、3層構成が好ましい。また、他の層((C)層)を積層した層構成を備えたフィルムであってもよい。
具体的には、(A)層/(B)層、(A)層/(B)層/(A)層、(A)層/(B)層/(C)層/(A)層、(A)層/(B)層/(C)層/(B)層/(A)層などの層構成を備えた積層フィルムが好ましく挙げられる。この場合、各層の積層比は用途、目的に応じて適宜調整することができる。なお、ここで、(C)層としては、例えば、バリア層、隠蔽そう、断熱層等が挙げられる。
上記の積層体を形成する方法としては、共押出法、各層のフィルムを形成した後に、重ね合わせて熱融着する方法、接着剤等で接合する方法等が挙げられる。
次に、第1の発明の好適な実施形態の一つである(A)層/(B)層/(A)層の3層構成の積層フィルムについて説明する。
各層の厚み比は、前述した作用効果を考慮して設定すればよく、特に限定されるものではないが、表裏(A)層の合計厚みのフィルム全体の厚みに対する厚み比は、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上、さらに好ましくは20%であり、また、好ましくは70%以下、より好ましくは60%以下、さらに好ましくは50%以下である。また中間層(B)層のフィルム全体の厚みに対する厚み比は、好ましくは20%以上、より好ましくは25%以上、さらに好ましくは30%以上であり、また、好ましくは90%以下、より好ましくは85%以下、さらに好ましくは80%以下である。フィルム全体の厚みに対する表裏層の厚み比が上記範囲内であれば、ポリ乳酸系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、および相溶化剤を含む樹脂組成物からなる中間層(B)層の表面荒れを抑制することができ、透明性、光沢性の優れたフィルムを得ることができる。また、フィルム全体の厚みに対する中間層の厚み比が上記範囲内であれば、耐破断性の優れたフィルムを得ることができ、収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用途に適した熱収縮性積層フィルムがバランスよく得ることができる。
第1の発明の熱収縮性積層フィルムの総厚みは、特に限定されるものではないが、透明性、収縮加工性、原料コスト等の観点からは薄い方が好ましい。具体的には、延伸後のフィルムの総厚みは80μm以下が好ましく、より好ましくは70μm以下であり、さらに好ましくは60μm以下である。また、フィルムの総厚みの下限は特に限定されないが、フィルムのハンドリング性を考慮すると、20μm程度であることが好ましい。
<熱収縮性積層フィルムの物理的・機械的特性>
(熱収縮率)
第1の発明については、積層フィルムを80℃温水中に10秒間浸漬した後の主収縮方向の熱収縮率が20%以上であることが重要であり、好ましくは30%以上である。本発明における「熱収縮率」とは、後述するように、縦方向あるいは横方向について、収縮前の原寸に対する収縮量の比率を%値で表したものである。また、「主収縮方向」とは、縦方向と横方向のうち延伸方向の大きい方を意味し、例えば、ボトルに装着する場合にはその外周方向に相当する方向である。
上記主収縮方向の熱収縮率は、ペットボトルの収縮ラベル用途等の比較的短時間(数秒〜十数秒程度)での収縮加工工程への適応性を判断する指標となる。現在、ペットボトルのラベル装着用途に工業的に最も多く用いられている収縮加工機としては、収縮加工を行う加熱媒体として水蒸気を用いる蒸気シュリンカーと一般に呼ばれているものである。さらに熱収縮性フィルムは被覆対象物への熱の影響などの点からできるだけ低い温度で十分熱収縮することが必要である。しかしながら、温度依存性が高く、温度によって極端に収縮率が異なるフィルムの場合、蒸気シュリンカー内の温度斑に対して収縮挙動の異なる部位が発生し易いため、収縮斑、皺、アバタなどが発生し収縮仕上がり外観が悪くなる傾向にある。これら工業生産性も含めた観点から、80℃温水中に10秒間浸漬させた際のフィルム主収縮方向の熱収縮率が20%以上であれば、収縮加工時間内に十分に被覆対象物に密着でき、かつ斑、皺、アバタが発生せず良好な収縮仕上がり外観を得ることができるため好ましい。このことより第1の発明における、80℃温水中に10秒間浸漬させた際のフィルムの主収縮方向の熱収縮率は20%以上70%以下であることが好ましい。
第1の発明において、熱収縮性積層フィルムの主収縮方向の熱収縮率を20%以上とするには、前述した第1の発明の熱収縮性積層フィルムの製造方法における延伸工程において、延伸速度、延伸温度、延伸倍率、さらには、熱処理や弛緩処理における、温度、時間、弛緩率等の延伸条件により調整することができる。例えば、フィルムの主収縮方向の熱収縮率を増加させたい場合には、延伸速度を上げる、延伸温度を下げる、延伸倍率を上げる、熱処理温度を下げる等の手段により達成することができる。また、逆に熱収縮率を減少させたい場合には、延伸速度を下げる、延伸温度を上げる、熱処理温度を上げる、弛緩率を下げる等の手段により達成することができる。
また、第1の発明の熱収縮性積層フィルムが熱収縮性ラベルとして用いられる場合、80℃の温水中に10秒間浸漬させた際の主収縮方向と直交する方向の熱収縮率は、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましい。主収縮方向と直交する方向の熱収縮率が10%以下のフィルムであれば、収縮後の主収縮方向と直交する方向の寸法自体が短くなったり、収縮後の印刷柄や文字の歪み等が生じやすかったり、角型ボトルの場合において縦ひけ等が生じたりする等のトラブルが発生し難い。
なお、上記の熱収縮率の上限は記載されていないが、熱収縮によって、延伸前のフィルムの長さより短くなることはないので、熱収縮率の上限は、延伸前のフィルム長となる収縮率である。上記熱収縮率の値もまた、前記主収縮方向の熱収縮率と同様に調整しうる。
(透明性)
第1の発明の熱収縮性積層フィルムの透明性は、厚み50μmの該フィルムをJIS K7105に準拠した場合、ヘイズ値が10%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましく、6%以下であることがさらに好ましく、4%以下であることが最も好ましい。ヘイズ値が10%以下であれば、フィルムを装着した被覆体の視認性を保持することができる。
第1の発明において、熱収縮性積層フィルムのヘイズ値を10%以下とするには、例えば、(B)層を構成するポリ乳酸系樹脂とポリオレフィン系樹脂との屈折率差を小さくする、あるいは(A)層を構成するエチレン−酢酸ビニル系樹脂の酢酸ビニル含有量を45〜90質量%の範囲内で増加させるなどの手段により調製することができる。
(引張破断伸度)
第1の発明の熱収縮性積層フィルムの耐衝撃性は、引張破断伸度により評価できる。この引張破断伸度は、雰囲気温度0℃の引張試験において、特にラベル用途ではフィルムの引き取り(流れ)方向(MD)で伸び率が、好ましくは100%以上、より好ましくは150%以上、さらに好ましくは200%以上ある。雰囲気温度0℃での引張破断伸度が100%以上あれば印刷・製袋などの工程時にフィルムが破断するなどの不具合を生じにくくなり、好ましい。また、印刷・製袋などの工程の高速化にともなってフィルムに対してかかる張力が増加するような際にも、引張破断伸度が150%以上あれば破断しづらく、好ましい。上限については特に限定されないが、現在の工程の速度を考えた場合、500%ほどあれば十分だと考えられ、伸びを付与しすぎようとするとその反面フィルムの剛性が低下してしまう傾向となる。
また、第1の発明の熱収縮性積層フィルムの23℃環境下の引張試験において、特にラベル用途ではフィルムの引き取り(流れ)方向(MD)で伸び率が150%以上、好ましくは200%以上、さらに好ましくは300%以上である。23℃環境下での引張破断伸度が150%以上あれば印刷・製袋等の工程時にフィルムが破断する等の不具合が生じにくくなり、好ましい。また、印刷・製袋等の工程のスピードアップにともなってフィルムに対してかかる張力が増加するような際にも、引張破断伸度が150%以上あれば破断しづらく、好ましい。
第1の発明において、このような引張破断伸度の値は、例えば、(B)層のポリオレフィン系樹脂の含有量を増加する、1〜15質量%の範囲内で相溶化剤の含有量を増加するか、あるいは(A)層のエチレン−酢酸ビニル系樹脂の含有量を3〜30質量%の範囲内で増加させる、酢酸ビニル含有量を減少させることにより達成することができる。
(貯蔵弾性率E’)
第1の発明については、振動周波数10Hz、歪み0.1%、昇温速度2℃/分、チャック間2.5cmの条件の下、測定温度が−150℃から150℃の範囲で、フィルム延伸方向と直交する方向について、熱収縮性積層フィルムの動的粘弾性を測定した際の、20℃における貯蔵弾性率(E’)が1,000〜3,000MPaの範囲にあることが好ましく、1,200〜2,500MPaの範囲であることがさらに好ましい。フィルムの貯蔵弾性率E’が1,000MPa以上であれば、フィルム全体としての腰(常温での剛性)を高くすることができ、フィルムが柔らかくなり過ぎて変形しやすくなり、印刷、製袋等の2次加工時にロールテンションによってフィルムが伸びる等の不具合や、フィルムの厚みを薄くした場合において、ペットボトル等の容器に製袋したフィルムをラベリングマシン等で被せる際に、斜めに被ったり、フィルムの腰折れ等で歩留まりが低下したりしやすい等の問題点が発生し難いため、好ましい。一方、フィルムの貯蔵弾性率E’が3,000MPa以内であれば、硬くて伸びにくいフィルムになり、2次加工時にシワが入りやすくなる、使用時にカサカサした感触を感じさせるといった不具合が起きないため、好ましい。
フィルム延伸方向と直交する方向について20℃における貯蔵弾性率(E’)を1,000MPa以上3,000MPa以下の範囲とするためには、各層の樹脂組成を本発明で規定する範囲とすることが重要であるが、単層の場合、混合樹脂の剛性や脂組成を調節することで調整が可能である。また積層フィルムの場合、フィルム全体の厚みに対する外層と内層との厚み比率を変更させることで調整可能である。例えば、貯蔵弾性率(E’)を高くしたい場合は積層フィルム全体の厚みに対するPL(A)層の比率を上げる、混合樹脂層の剛性を上げることで調整できる。
(自然収縮率)
第1の発明の熱収縮性積層フィルムの自然収縮率はできるだけ小さい方が望ましいが、一般的に熱収縮性フィルムの自然収縮率は、例えば、30℃50%RHで30日保存後の自然収縮率は、好ましくは3.0%未満、より好ましくは2.0%以下、さらに好ましくは1.5%以下である。上記条件下における自然収縮率が3.0%未満であれば作製したフィルムを長期保存する場合であっても容器等に安定して装着することができ、実用上問題を生じにくい。上記フィルムの自然収縮率を調整する手段としては、各層の樹脂組成を本発明で規定する範囲とすることが重要であるが、特に混合樹脂層のフィルム全体の厚みに対する厚み比を10%以上とすることが好ましい。
[第2の発明(成形品)、第3の発明(熱収縮性ラベル)、及び第4の発明(容器)]
第1の発明の熱収縮性積層フィルムは、被包装物によって平面状から円筒状等に加工し包装に供することができる。ペットボトル等の円筒状の容器で印刷を要するものの場合、まずロールに巻き取られた広幅のフラットフィルムの一面に必要な画像を印刷し、そしてこれを必要な幅にカットしつつ印刷面が内側になるように折り畳んでセンターシール(シール部の形状はいわゆる封筒貼り)して円筒状とすれば良い。センターシール方法としては、有機溶剤による接着方法、ヒートシールによる方法、接着剤による方法、インパルスシーラーによる方法が考えられる。この中でも、生産性、見栄えの観点から有機溶剤による接着方法が好適に使用される。
第2の発明は、前記第1の発明の熱収縮性積層フィルムを基材として用いた成形品に関し、また、第3の発明は、前記第1の発明の熱収縮性積層フィルムを基材として用いた熱収縮性ラベルに関する。また、第4の発明は、前記成形品を用いた、または熱収縮性ラベルを装着した容器に関する。
すなわち、第1の発明は、フィルムの熱収縮特性、収縮仕上がり性、透明性等に優れているため、その用途が特に制限されるものではないが、これを基材として、必要に応じて印刷層、蒸着層、その他機能層を積層して形成することにより、ボトル(ブローボトル)、トレー、弁当箱、総菜容器、乳製品容器等の様々な成形品として用いることができる。
特に第1の発明の熱収縮性積層フィルムを食品容器(例えば、清涼飲料水用または食品用のPETボトル、ガラス瓶、好ましくはPETボトル)用熱収縮性ラベルとして用いる場合、複雑な形状(例えば、中心がくびれた円柱、角のある四角柱、五角柱、六角柱など)であっても該形状に密着可能であり、シワやアバタ等のない美麗なラベルが装着された容器が得られる。この発明の成形品および容器は、通常の成形法を用いることにより作製することができる。
また、第1の発明の熱収縮性積層フィルムは、優れた低温収縮性、収縮仕上り性を有するため、高温に加熱すると変形を生じるようなプラスチック成形品の熱収縮性ラベル素材のほか、熱膨張率や吸水性等がこの発明の熱収縮性フィルムとは極めて異なる材質、例えば金属、磁器、ガラス、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリメタクリル酸エステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂から選ばれる少なくとも1種を構成素材として用いたプラスチック包装体(容器)の熱収縮性ラベル素材として好適に利用できる。
上記プラスチック包装体を構成する材質としては、上記の樹脂の他、ポリスチレン、ゴム変性耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、スチレン−ブチルアクリレート共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、(メタ)アクリル酸−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等を挙げることができる。これらのプラスチック包装体は2種以上の樹脂類の混合物でも、積層体であってもよい。
以下に本発明のフィルムについて、実施例を用いて説明する。
なお、実施例に示す測定値および評価は次のように行った。実施例では、積層フィルムの引き取り(流れ)方向を「縦」方向(または「MD」)、その直角方向を「横」方向(または「TD」)と記載する。
(1)熱収縮率
得られた熱収縮性フィルムを縦100mm、横100mmの大きさに切り取り、70℃及び、80℃の温水バスに10秒間それぞれ浸漬し、収縮量を測定した。熱収縮率は、横方向(TD)について、収縮前の原寸に対する収縮量の比率を%値で表示した。
(2)引張破断伸度
得られた熱収縮性フィルムを主収縮方向と直交する方向(縦方向、MD)に110mm、主収縮方向に15mmの大きさに切り出し、JIS K7127に準拠し、引張速度100mm/minで、雰囲気温度23℃におけるフィルムの主収縮方向と直交する方向(縦方向、MD)での引張破断伸度を測定し、10回の測定値の平均値を測定し、下記基準に従い評価した。測定値および評価の結果を表1に示した。
◎:引張破断伸度が300%を超える場合
○:引張破断伸度が150%を超え、300%以下である場合
×:引張破断伸度が150%以下である場合
(3)ヘイズ値
得られたフィルムの透明性を評価するため、JIS K7105にて全ヘイズ値を測定した。
◎:全ヘイズ値が6%以下の場合
○:全ヘイズ値が6%を超え、かつ、10%以下の場合
×:全ヘイズ値が10%を超える場合
また、各実施例、比較例で使用した原材料は、下記の通りである。
(ポリ乳酸系樹脂)
・Nature WorksLLC社製、商品名:NatureWorks4060D、D体/L体量=12/88、「PLA(1)」と略する。
・Nature WorksLLC社製、商品名:NatureWorks4043D、D体/L体量=4.25/93.75、「PLA(2)」と略する。
(ポリオレフィン系樹脂)
・ダウケミカル社製、商品名:バーシファイ2400、ポリプロピレン−エチレンランダム共重合体[ポリプロピレン/エチレン=85/15、10Hz貯蔵弾性率:10MPa(20℃)、3MPa(70℃)]、「PO(1)」と略する。
(相溶化剤)
・日油社製、商品名:モディパーA5200[(エチレン−アクリル酸エチル)−メタクリル酸メチルグラフト共重合体(=70/30)、10Hz貯蔵弾性率:85MPa(20℃)、14MPa(70℃)]、「Comp(1)」と略する。
(エチレン−酢酸ビニル系樹脂)
・LANXESS社製、商品名:Levapren500HV、エチレン−酢酸ビニル共重合体(エチレン/酢酸ビニル=50質量%/50質量%)(「EVA(1)」と略する。)
・LANXESS社製、商品名:Levapren600HV、エチレン−酢酸ビニル共重合体(エチレン/酢酸ビニル=40質量%/60質量%)(「EVA(2)」と略する。)
・LANXESS社製、商品名:Levapren700HV、エチレン−酢酸ビニル共重合体(エチレン/酢酸ビニル=30質量%/70質量%)(「EVA(3)」と略する。)
・LANXESS社製、商品名:Levapren800HV、エチレン−酢酸ビニル共重合体(エチレン/酢酸ビニル=20質量%/80質量%)(「EVA(4)」と略する。)
・LANXESS社製、商品名:Levapren900HV、エチレン−酢酸ビニル共重合体(エチレン/酢酸ビニル=10質量%/90質量%)(「EVA(5)」と略する。)
・LANXESS社製、商品名:LevaprenVP800XL、予備架橋型エチレン−酢酸ビニル共重合体(エチレン/酢酸ビニル=20質量%/80質量%)(「EVA(6)」と略する。)
実施例1〜10、および比較例1〜5
(A)層、及び(B)層に用いた樹脂組成物は、各原材料を、それぞれ表1に示す配合にて混合した後、2軸押出機(三菱重工業社製)に投入し、設定温度210℃で溶融混合し、設定温度210℃のストランドダイスより押出した後、水槽にて冷却し、ストランドカッターにより切削し、ペレットとした。
次いで、2台の単軸押出機(三菱重工業社製)、および2種3層マルチマニホールド口金により、(A)層/(B)層/(A)層の積層共押出が可能な設備において、(B)層を形成する単軸押出機に、先にペレット化した(B)層用樹脂を導入し、(A)層を形成する単軸押出機に、(A)層用樹脂を導入し、各押出機設定温度210℃で溶融混合後、各層の厚みが、(A)層/(B)層/(A)層=30μm/190μm/30μmとなるよう共押出し、50℃のキャストロールで引き取り、冷却固化させて幅200mm、厚さ250μmの未延伸積層シートを得た。次いで、このシートをフィルムテンター(京都機械社製)を用いて、予熱75℃、延伸75℃、熱処理85℃、予熱1ゾーン、延伸3ゾーン、熱処理2ゾーンにて、横方向に5倍延伸をして、厚さ50μmの熱収縮性フィルムを得た。
なお、比較例1においては、上記の設備の(A)層を形成する単軸押出機に先にペレット化した(B)層用樹脂を導入した以外は上記と同様の条件で製膜した。また、比較例3、比較例4においても、上記の設備の(B)層を形成する単軸押出機に先にペレット化した(A)層用樹脂を導入した以外は上記と同様の条件で製膜した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
Figure 0005351007
実施例1〜10で得られたフィルムに関しては、フィルムの外観も良好で、全ヘイズ値から見られる透明性も良好であった。また、フィルムのMDの引張破断伸度も熱収縮性フィルムとしての要求品質を満たす良好な値を示した。一方、比較例1で得られた(B)層単層フィルムに関しては、引張破断伸度は良好なものの、表面荒れによる全ヘイズが著しく増大し、フィルムの透明性を保持するのに困難が生じる。また、比較例2〜4で得られたフィルムに関しては、フィルムの透明性は良好なものの、引張破断伸度が低く、シュリンクフィルムの加工工程である印刷工程や製袋工程で求められる耐破断性を得るのに十分でない。
また、比較例5で得られた積層フィルムでは、フィルムに斑状のムラが生じており、シュリンクフィルムとして十分でない外観であった。
本発明に規定する熱収縮性フィルム(実施例1〜10)は、ポリ乳酸系樹脂とポリオレフィン系樹脂、及び相溶化剤から構成される熱収縮性単層フィルム(比較例1)や、(A)層にエチレン−酢酸ビニル系樹脂を用いない熱収縮性積層フィルム(比較例2)、また、ポリ乳酸系樹脂とエチレン−酢酸ビニル系樹脂のみから構成される熱収縮性単層フィルム(比較例3、比較例4)、(B)層に相溶化剤を用いない熱収縮性積層フィルム(比較例5)と比較し、フィルムの透明性と耐破断性を両立し、シュリンクフィルムとしての要求特性を満たす良好なフィルムであることを示した。
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う熱収縮性フィルム、該フィルムを用いた成形品および熱収縮性ラベル、並びに、該成形品およびラベルを装着してなる容器もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
本発明の熱収縮性フィルムは、収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用途に好適に用いることができる。

Claims (11)

  1. ポリ乳酸系樹脂を主成分とし、エチレン−酢酸ビニル系樹脂を含む樹脂組成物からなる(A)層と、ポリ乳酸系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、及びポリ乳酸系樹脂とポリオレフィン系樹脂とを相溶させるグラフト共重合体からなる相溶化剤を含む樹脂組成物からなる(B)層とを有してなり、前記(A)層及び前記(B)層が、(A)層/(B)層/(A)層の順で積層されてなる構成単位を有する積層フィルムであって、
    前記(A)層を構成する樹脂組成物に含有されるエチレン−酢酸ビニル系樹脂の含有量が、(A)層を構成する樹脂組成物を100質量%として、該樹脂組成物に対し、3〜30質量%であり、
    前記(B)層を構成する樹脂組成物を100質量%として、該樹脂組成物に対し、前記(B)層に含まれるポリ乳酸系樹脂の含有量が60〜89質量%であり、ポリオレフィン系樹脂の含有量が10〜40質量%であり、相溶化剤の含有量が1〜15質量%であり、
    [前記構成単位の表裏(A)層の合計厚み]/[積層フィルムの全厚み]の比が10〜70%であり、[前記構成単位の中間に位置する(B)層の厚み]/[積層フィルムの全厚み]の比が20〜90%であり、
    前記積層フィルムが少なくとも一方向に延伸され、かつ80℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が20%以上であることを特徴とする熱収縮性積層フィルム。
  2. 前記(A)層を構成する樹脂組成物に含有されるエチレン−酢酸ビニル系樹脂中の酢酸ビニル含有量が45〜90質量%であることを特徴とする、請求項1に記載の熱収縮性積層フィルム。
  3. 前記(A)層を構成する樹脂組成物に含有されるエチレン−酢酸ビニル系樹脂の含有量が、(A)層を構成する樹脂組成物を100質量%として、該樹脂組成物に対し、4〜25質量%であることを特徴とする、請求項1または2に記載の熱収縮性積層フィルム。
  4. 前記(B)層に含有される相溶化剤が、幹成分と枝成分からなるグラフト共重合体であり、前記グラフト共重合体の幹成分または枝成分が、エチレン単位、αオレフィン単位、及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる群から選ばれる熱可塑性樹脂セグメントから構成されるグラフト共重合体であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
  5. 前記(B)層を構成する樹脂組成物を100質量%として、該樹脂組成物に対し、前記(B)層に含まれるポリ乳酸系樹脂の含有量が70〜87質量%であり、ポリオレフィン系樹脂の含有量が10〜30質量%であり、相溶化剤の含有量が3〜12質量%であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
  6. JIS K7127に準拠し、引張速度100mm/min、雰囲気温度23℃におけるフィルムの主収縮方向と直交する方向(縦方向)での引張破断伸度が150%以上であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
  7. 前記(A)層/(B)層/(A)層の3層からなることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
  8. 前記(B)層に含まれるポリ乳酸系樹脂が、振動周波数10Hzの条件で測定した20℃の貯蔵弾性率(E’)が100MPa以下であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルムを基材として有する成形品。
  10. 請求項1〜のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルムを基材として有する熱収縮性ラベル。
  11. 請求項に記載の成形品を用いた、または請求項10に記載の熱収縮性ラベルを装着した容器。
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