JP2011136428A - ポリ乳酸系熱収縮性積層フィルム、並びに該フィルムを用いた成形品、熱収縮性ラベル、及び該成形品を用いた、又は該ラベルを装着した容器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリ乳酸系樹脂を主成分とし、エチレン−酢酸ビニル系樹脂を含む樹脂組成物からなる(A)層と、ポリ乳酸系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、及びポリ乳酸系樹脂とポリオレフィン系樹脂との相溶性を向上させる相溶化剤を含む樹脂組成物からなる(B)層の少なくとも2層を有する積層フィルムであって、前記積層フィルムが少なくとも一方向に延伸され、かつ80℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が20%以上であることを特徴とする熱収縮性積層フィルム。
【選択図】なし
Description
この植物由来原料プラスチックの中でも、特に、ポリ乳酸系樹脂は澱粉の発酵により得られる乳酸を原料とし、化学工学的に量産可能であり、かつ、透明性や剛性が優れていることから、ポリスチレンや芳香族ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)の代替材料として、フィルム包装材や射出成形分野において注目されている。
ポリ乳酸系樹脂の脆性を改良する手法として、ポリ乳酸とポリオレフィン化合物からなるフィルム(特許文献1参照)や、ポリ乳酸と変性オレフィン化合物からなる成形品(特許文献2参照)や組成物(特許文献3参照)、ポリ乳酸とシンジオタクチックポリプロピレンからなる成形物(特許文献4参照)、乳酸を主成分とする重合体、脂肪族カルボン酸、および鎖状分子ジオールを主成分とする脂肪族ポリエステルの可塑剤からなる、可塑化されたポリ乳酸フィルム(特許文献5参照)、ポリ乳酸とエポキシ化ジエン系ブロック共重合体からなる生分解性樹脂組成物(特許文献6参照)、ポリ乳酸、脂肪族ポリエステル、およびポリカプロラクトンからなる乳酸系重合体組成物(特許文献7参照)、結晶性ポリ乳酸と、天然ゴムおよびポリイソプレンから選ばれた少なくとも1種のゴム成分とからなるポリ乳酸系樹脂組成物(特許文献8参照)等を用いる方法が開示されている。
また、ポリ乳酸系樹脂の透明性を維持したまま、脆性を改良する方法として、脂肪族ポリエステルと多層構造重合体とを含有する樹脂組成物において、引張伸度や耐衝撃性を向上させた方法(特許文献9参照)やポリ乳酸系樹脂にゴム質重合体とビニル系単体とをグラフト重合して得られたグラフト共重合体を配合する方法(特許文献10参照)が提案されている。しかしながら、印刷工程や製袋工程を経る熱収縮フィルムに求められる耐破断性としては不十分であるとともに、これらの耐衝撃性改質材では、印刷溶剤、接着溶剤等により劣化されやすいといった課題がある。
一方、ポリ乳酸とエチレン−酢酸ビニル共重合体とを含有する樹脂組成物、フィルム(特許文献11、12参照)やポリ乳酸とエチレン−酢酸ビニル共重合体とポリ乳酸以外の脂肪族ポリエステルとを含有するフィルム(特許文献13参照)が提案されている。これらの系では、溶剤による劣化は少ないものの、熱収縮性フィルムとしての耐破断性の観点からは不十分である。
本発明のもう一つの課題は、収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用途に適した、上記熱収縮性積層フィルムを用いた成形品および熱収縮性ラベル、ならびに該成形品または該熱収縮性ラベルを装着した容器を提供することにある。
すなわち、本発明の上記課題は、ポリ乳酸系樹脂を主成分とし、エチレン−酢酸ビニル系樹脂を含む樹脂組成物からなる(A)層と、ポリ乳酸系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、及びポリ乳酸系樹脂とポリオレフィン系樹脂との相溶性を向上させる相溶化剤を含む樹脂組成物からなる(B)層の少なくとも2層を有する積層フィルムであって、前記積層フィルムが少なくとも一方向に延伸され、かつ80℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が20%以上であることを特徴とする熱収縮性積層フィルム(以下、「第1の発明」という)によって達成される。
第1の発明において、前記(A)層を構成する樹脂組成物に含有されるエチレン−酢酸ビニル系樹脂の含有量が、(A)層を構成する樹脂組成物を100質量%として、該樹脂組成物に対し、3〜30質量%であることが好ましい。
第1の発明において、前記(B)層に含有される相溶化剤が、幹成分と枝成分からなるグラフト共重合体であり、前記グラフト共重合体の幹成分、または枝成分が、エチレン単位、αオレフィン単位、及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる群から選ばれる熱可塑性樹脂セグメントから構成されるグラフト共重合体であることが好ましい。
第1の発明において、JIS K7127に準拠し、引張速度100mm/min、雰囲気温度23℃におけるフィルムの主収縮方向と直交する方向(縦方向)での引張破断伸度が150%以上であることが好ましい。
第3の発明は、第1の発明の熱収縮性積層フィルムを基材として有する熱収縮性ラベルに関する。
第4の発明は、第2の発明の成形品を用いた、または第3の発明の熱収縮性ラベルを装着した容器に関する。
また、第2ないし第4の発明によれば、収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用途に適した、前記熱収縮性積層フィルムを用いた成形品および熱収縮性ラベル、ならびに該成形品を用いた、または該熱収縮性ラベルを装着した容器を提供することができる。
なお、本明細書において、「主成分とする」とは、主成分として含有される樹脂が有する作用・効果を妨げない範囲で、他の成分を含むことを許容する趣旨である。さらに、この用語は、具体的な含有率を制限するものではないが、各層の構成成分全体の70質量%以上、好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であって、100質量%以下の範囲を占める成分である。
第1の発明は、ポリ乳酸系樹脂を主成分とし、エチレン−酢酸ビニル系樹脂を含む樹脂組成物からなる(A)層と、ポリ乳酸系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、及びポリ乳酸系樹脂とポリオレフィン系樹脂との相溶性を向上させる相溶化剤を含む樹脂組成物からなる(B)層の2層を少なくとも有する積層フィルムであって、前記積層フィルムが少なくとも一方向に延伸され、かつ80℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が20%以上であることを特徴とする熱収縮性積層フィルム、に関する。
(A)層は、ポリ乳酸系樹脂を主成分とし、エチレン−酢酸ビニル系樹脂を含む樹脂組成物からなる。
(ポリ乳酸系樹脂)
第1の発明の(A)層で使用されるポリ乳酸系樹脂は、D−乳酸もしくはL−乳酸の単独重合体、またはこれらの共重合体であり、具体的には構造単位がD−乳酸であるポリ(D−乳酸)、構造単位がL−乳酸であるポリ(L−乳酸)、さらにはL−乳酸とD−乳酸の共重合体であるポリ(DL−乳酸)があり、また、D−乳酸とL−乳酸との共重合比の異なる複数の上記共重合体の混合樹脂も含まれる。
第1の発明では、D/L比が異なるポリ乳酸系樹脂をブレンドすることも可能であり、ブレンドした方がポリ乳酸系樹脂のD/L比をより容易に調整できるので好ましい。この場合には、複数の乳酸系重合体のD/L比を平均した値が上記範囲内に入るようにすればよい。使用用途に合わせて、D/L比の異なるポリ乳酸系樹脂を2種以上ブレンドし、結晶性を調整することにより、耐熱性と熱収縮特性のバランスをとることができる。
また、前記ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸が挙げられ、前記ジオールとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール,1,4−シクロへキサンジメタノール等の非脂肪族ジオールが挙げられる。
第1の発明の(A)層で使用されるエチレン−酢酸ビニル系樹脂は、その酢酸ビニル含有量が好ましくは45〜90質量%のものが用いられるが、より好ましくは酢酸ビニル含有量60〜80質量%である。酢酸ビニル含有量が45質量%以上であると、ポリ乳酸系樹脂との屈折率差が適度なものとなり、透明性が維持され好ましい。また、酢酸ビニル含有量が90質量%以下であると、ポリ乳酸と適度に相溶し、エチレン−酢酸ビニル系樹脂が耐衝撃性を発現する機能が保たれ好ましい。
上記エチレン−酢酸ビニル系樹脂では、エチレンモノマー、酢酸ビニルモノマー以外の他のモノマー成分を共重合したものも用いることができる。このようなモノマー成分として、例えば、一酸化炭素やビニルエステル成分などが挙げられ、エチレンと共重合可能なビニルエステル成分としては、具体的には、酢酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n − 酪酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニルなどが挙げられる。中でも、エチレン−酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体を好適に用いることができる。
上記エチレン−酢酸ビニル系樹脂の含有量が3質量%以上であれば、(A)層の耐破断性が向上し、積層構造を有する本発明のフィルムにおいても、(A)層の耐破断性の向上により積層フィルム全体への破断の伝播を抑制することができ、シュリンクフィルムとしての要求品質に十分な引張破断伸度を得ることができる。また、エチレン−酢酸ビニル系樹脂の添加量が30質量%以下であれば、(A)層と後述する(B)層との層間における剥離が生じることがないため、印刷工程、製袋工程でのハンドリングが良好となる。
第1の発明の(B)層は、ポリ乳酸系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、及びポリ乳酸系樹脂とポリオレフィン系樹脂との相溶性を向上させる相溶化剤を含む樹脂組成物からなる。また、後に説明するとおり(B)層は内層であることが好ましい。
(B)層において用いるポリ乳酸系樹脂は、上記した(A)層におけるものと同様のものを使用することができる。
(ポリオレフィン系樹脂)
(B)層において使用されるポリオレフィン系樹脂は、振動周波数10Hzの条件で測定したときの20℃の貯蔵弾性率(E’)が、好ましくは100MPa以下、より好ましくは80MPa以下、さらに好ましくは50MPa以下である。また、フィルム全体の腰(常温での剛性)を考慮して、貯蔵弾性率(E’)は好ましくは0.1MPa以上、より好ましくは1.0MP以上、さらに好ましくは3.0MPa以上である。20℃の貯蔵弾性率(E’)が上記範囲にあるポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィンの結晶化度が低く、密度が小さくなるため、ポリオレフィン系樹脂の平均屈折率も低くなり、混合するポリ乳酸系樹脂との平均屈折率を近づけることができる。そのため、第1の発明の内部ヘイズを低減することが達成できるため、耐破断性の改良と透明性の維持において有用である。また貯蔵弾性率(E’)が100MPa以下であれば、耐破断性の改良効果が低下することもなく、大幅な外観不良の発生を抑えることができる。一方、貯蔵弾性率(E’)が0.1MPa以上であれば、フィルム全体の腰が大幅に低下することを抑えることができる。
なお、ポリオレフィン系樹脂の貯蔵弾性率(E’)は、20℃および70℃の温度下で、振動周波数10Hz、歪み0.1%、昇温速度2℃/分、チャック間2.5cmの条件の下、−150℃から200℃の範囲で動的粘弾性を測定することにより算出することができる。
ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂は、重合方法や共重合成分などにより多様な種類が存在するため特に限定されるものではないが、以下に、第1の発明で用いられる好ましいポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂を例示する。
上記直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)としては、エチレンと炭素数3以上20以下、好ましくは炭素数4以上12以下のα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等が例示される。この中でも1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好適に用いられる。また、共重合するα−オレフィンは1種のみを単独で、または2種以上を組み合わせて用いても構わない。
上記ポリエチレン系樹脂の密度は0.910g/cm3以下であることが好ましく、0.905g/cm3以下がより好ましく、0.900g/cm3以下がさらに好ましい。また、下限は特に限定されないが、0.800g/cm3以上が好ましく、0.850g/cm3以上がより好ましく、0.880g/cm3以上がさらに好ましい。密度が0.910g/cm3以下であれば、ポリ乳酸との親和性も向上し、さらに延伸性が維持され実用温度域(70℃以上90℃以下程度)の熱収縮率を充分得ることができる点で好ましく、一方、密度が0.800g/cm3以上であればフィルム全体の腰(常温での剛性)や耐熱性を著しく低下させないため、実用上好ましい。
また、ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、通常、MFR(JIS K7210、温度:230℃、荷重:21.18N)が、0.5g/10分以上、好ましくは1.0g/10分以上であり、かつ15g/10分以下、好ましくは10g/10分以下であることが望ましい。
上記エチレン系共重合体におけるエチレン含有率は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは75質量%以上であり、かつ好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは85質量%以下である。エチレン含有率が70質量%以上であれば、フィルム全体の耐破断性と収縮特性を良好に維持できる。
第1の発明において、相溶化剤は、前記ポリ乳酸系樹脂と前記ポリオレフィン系樹脂との相溶性を向上させるものであり、これらの樹脂を相溶化させる樹脂を主成分としてなるものである。相溶化剤は、ポリ乳酸系樹脂とポリオレフィン系樹脂とを相溶化させる樹脂であれば特に限定されないが、ポリ乳酸系樹脂とポリオレフィン系樹脂との相溶性、及び得られるフィルムの透明性の観点から、幹成分と枝成分からなるグラフト共重合体であることが好ましく、前記グラフト共重合体の幹成分または枝成分が、エチレン単位、αオレフィン単位、及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる群から選ばれる熱可塑性樹脂セグメントから構成されるグラフト共重合体を用いることがより好ましい。
ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸n−ブチル、ポリアクリル酸イソブチル、ポリアクリル酸2−エチルヘキシル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸n−ブチル、ポリメタクリル酸イソブチル、ポリメタクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。
エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体の具体例としては、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体、エチレン−アクリル酸イソブチル共重合体、エチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸n−ブチル共重合体、エチレン−メタクリル酸イソブチル共重合体、エチレン−メタクリル酸2−エチルヘキシル共重合体等が挙げられる。
具体的に例示するならば、例えば、幹成分としてポリエチレン、枝成分としてポリメタクリル酸メチルからなるグラフト共重合体や、幹成分としてエチレン−アクリル酸エチル共重合体、枝成分としてポリメタクリル酸メチルからなるグラフト共重合体等、あるいはその組み合わせからなるグラフト共重合体が好ましく用いられる。
上記のグラフト共重合体の市販品としては、例えば商品名「モディパー」(日本油脂社製)、「レゼダ」(東亜合成社製)などが挙げられる。
第1の発明において、前記(B)層を構成するポリ乳酸系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、および相溶化剤の含有量は、前記(B)層を構成する樹脂組成物を100質量%とし、これに対して、ポリ乳酸系樹脂が60〜89質量%であり、ポリオレフィン系樹脂が10〜40質量%であり、相溶化剤が1〜15質量%であることが好ましい。
また、より好ましくは、ポリ乳酸系樹脂が70〜87質量%、ポリオレフィン系樹脂が10〜30質量%、相溶化剤が3〜12質量%であり、さらに好ましくは、ポリ乳酸系樹脂が75〜85質量%、ポリオレフィン系樹脂が10〜25質量%、相溶化剤が5〜10質量%である。
ポリオレフィン系樹脂の含有量が10質量%以上であれば、フィルムの耐破断性が著しく低減することがなく、また、40質量%以下であれば、(B)層に隣接する(A)層との層間剥離強度を所定の範囲に維持することができる。また、相溶化剤の含有量が1質量%以上であれば、相溶効果が発揮され、外観不良などが発生し難くなり、また、15質量%以下であれば、フィルムの剛性を阻害することもなく好ましい。
さらに第1の発明では、上記(A)層および(B)層の各々には本発明の効果を著しく阻害しない範囲で上記ポリオレフィン系樹脂以外の、(メタ)アクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂(GPPS(汎用ポリスチレン))、HIPS(耐衝撃性ポリスチレン)、SBS(スチレン−ブタジエン共重合体)、SIS(スチレン−イソプレン共重合体)、SEBS(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合)、SEPS(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体)、スチレン−カルボン酸共重合体等)、ポリアミド系樹脂、ポリオキシメチレン系樹脂などの熱可塑性樹脂を少なくとも1種含有することができる。
上記(メタ)アクリル系樹脂の中でも、メタクリル系樹脂が好ましい。このメタクリル系樹脂とは、メタクリル酸メチル単独重合体、又はメタクリル酸メチルを50質量%以上と、他のビニル単量体との共重合体をいう。ビニル単量体としては、メタクリル酸エステル類、アクリル酸エステル類、不飽和酸類、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。
また、上記アクリル酸エステル類の具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル等が挙げられる。さらに、上記不飽和酸類の具体例としては、メタクリル酸、アクリル酸等が挙げられる。
上記メタクリル系樹脂の中でも、剛性、成形性の観点から、メタクリル酸メチルの単独重合体であるポリメチルメタクリレート(PMMA)、およびメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸、メタクリル酸から選ばれる2種以上からなる共重合体が好適に用いられる。
第1の発明においては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)が最も好適に用いられる。本樹脂をブレンドすることによって、メタクリル系樹脂のガラス転移温度を高くすることが可能であり、その結果、収縮時での急激な収縮開始を緩和し、良好な収縮仕上がり性が得られる。
上記(メタ)アクリル系樹脂の市販品としては、例えば、「スミペックス」(住友化学社製)、「アクリペット」(三菱レイヨン社製)、「パラペット」(クラレ社製)、「アルテュグラス」(アトフィナ・ジャパン社製)、「デルペット」(旭化成ケミカルズ社製)などが挙げられる。
上記軟質性樹脂としては、ポリ乳酸系樹脂を除く脂肪族ポリエステル系樹脂、芳香族脂肪族ポリエステル系樹脂、ジオールとジカルボン酸と乳酸系樹脂との共重合体等が挙げられる。
好適に用いられる脂肪族ジカルボン酸残基は、コハク酸残基またはアジピン酸残基であり、脂肪族多価アルコール残基は1,4−ブタンジオール残基である。
上記ポリ乳酸を除く脂肪族ポリエステル系樹脂の含有量は、(A)層または(B)層を構成する樹脂組成物全体を基準(100質量%)として、5質量%以上、好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上であり、かつ30質量%以下、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
上記脂肪酸エステル系可塑剤の具体例としては、ジブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジ(2−エチルヘキシル)アジペート、ジ(n−オクチル)アジペート、ジ(n−デシル)アジペート、ジブチルジグリコールアジペート、ジブチルセバケート、ジ(2−エチルヘキシル)セバケート、ジ(n−ヘキシル)アゼレート、ジ(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジ(2−エチルヘキシル)ドデカンジオネート等が挙げられる。
また、上記フタル酸エステル系可塑剤の具体例としては、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート等が挙げられる。さらに、上記トリメリット酸エステル系可塑剤の具体例としては、トリ(2−エチルヘキシル)トリメリテート等が挙げられる。
前記アンチブロッキング剤を例示すると、シリカ、タルク、炭酸カルシウムなどの無機粒子、無機酸化物、炭酸塩、または、架橋アクリル系、架橋ポリエステル系、架橋ポリスチレン系、シリコーン系等の有機粒子などが挙げられる。また、多段階で重合せしめた多層構造を形成した有機粒子も用いることができる。中でも、シリカや有機粒子が好ましく用いられる。
第1の発明の熱収縮性積層フィルムは、(A)層及び(B)層を含む少なくとも2層を有し、各層はこれを構成する前記樹脂組成物を用いて、公知の方法によって製造することができる。フィルムの形態としては平面状、チューブ状の何れであってもよいが、生産性(原反フィルムの幅方向に製品として数丁取りが可能)や内面に印刷が可能という点から平面状が好ましい。
平面状のフィルムの製造方法としては、例えば、複数の押出機を用いて樹脂を溶融し、Tダイから共押出し、チルドロールで冷却固化し、縦方向にロール延伸をし、横方向にテンター延伸をし、アニールし、冷却し、印刷が施される場合にはその面にコロナ放電処理をして、巻取機にて巻き取ることによりフィルムを得る方法が挙げられる。また、チューブラー法により製造したフィルムを切り開いて平面状とする方法も挙げられる。
次いで、延伸したフィルムは、必要に応じて、自然収縮率の低減や熱収縮特性の改良等を目的として、50℃以上100℃以下程度の温度で熱処理や弛緩処理を行った後、分子配向が緩和しない時間内に速やかに冷却され、熱収縮性フィルムとなる。
また、第1の発明の熱収縮性積層フィルムは、必要に応じてコロナ処理、印刷、コーティング、蒸着等の表面処理や表面加工、さらには、各種溶剤やヒートシールによる製袋加工やミシン目加工などを施すことができる。
第1の発明の熱収縮性積層フィルムは、(A)層および(B)層の少なくとも2層を有する積層フィルムである。上記熱収縮性積層フィルムは、好ましくは、(A)層を最外層として有し、(B)層を内層として有する形態である。また、第1の発明の熱収縮性積層フィルムは、少なくとも(A)層と(B)層を有すればよいから、例えば、(A)層と(B)層を積層した2層構成であってもよいし、(A)層/(B)層/(A)層のように、(A)層が両側の最外層に有する3層を含む3層以上の構成であってもよいが、寸法安定性や溶剤シール性の観点から、3層構成が好ましい。また、他の層((C)層)を積層した層構成を備えたフィルムであってもよい。
具体的には、(A)層/(B)層、(A)層/(B)層/(A)層、(A)層/(B)層/(C)層/(A)層、(A)層/(B)層/(C)層/(B)層/(A)層などの層構成を備えた積層フィルムが好ましく挙げられる。この場合、各層の積層比は用途、目的に応じて適宜調整することができる。なお、ここで、(C)層としては、例えば、バリア層、隠蔽そう、断熱層等が挙げられる。
上記の積層体を形成する方法としては、共押出法、各層のフィルムを形成した後に、重ね合わせて熱融着する方法、接着剤等で接合する方法等が挙げられる。
各層の厚み比は、前述した作用効果を考慮して設定すればよく、特に限定されるものではないが、表裏(A)層の合計厚みのフィルム全体の厚みに対する厚み比は、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上、さらに好ましくは20%であり、また、好ましくは70%以下、より好ましくは60%以下、さらに好ましくは50%以下である。また中間層(B)層のフィルム全体の厚みに対する厚み比は、好ましくは20%以上、より好ましくは25%以上、さらに好ましくは30%以上であり、また、好ましくは90%以下、より好ましくは85%以下、さらに好ましくは80%以下である。フィルム全体の厚みに対する表裏層の厚み比が上記範囲内であれば、ポリ乳酸系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、および相溶化剤を含む樹脂組成物からなる中間層(B)層の表面荒れを抑制することができ、透明性、光沢性の優れたフィルムを得ることができる。また、フィルム全体の厚みに対する中間層の厚み比が上記範囲内であれば、耐破断性の優れたフィルムを得ることができ、収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用途に適した熱収縮性積層フィルムがバランスよく得ることができる。
(熱収縮率)
第1の発明については、積層フィルムを80℃温水中に10秒間浸漬した後の主収縮方向の熱収縮率が20%以上であることが重要であり、好ましくは30%以上である。本発明における「熱収縮率」とは、後述するように、縦方向あるいは横方向について、収縮前の原寸に対する収縮量の比率を%値で表したものである。また、「主収縮方向」とは、縦方向と横方向のうち延伸方向の大きい方を意味し、例えば、ボトルに装着する場合にはその外周方向に相当する方向である。
なお、上記の熱収縮率の上限は記載されていないが、熱収縮によって、延伸前のフィルムの長さより短くなることはないので、熱収縮率の上限は、延伸前のフィルム長となる収縮率である。上記熱収縮率の値もまた、前記主収縮方向の熱収縮率と同様に調整しうる。
第1の発明の熱収縮性積層フィルムの透明性は、厚み50μmの該フィルムをJIS K7105に準拠した場合、ヘイズ値が10%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましく、6%以下であることがさらに好ましく、4%以下であることが最も好ましい。ヘイズ値が10%以下であれば、フィルムを装着した被覆体の視認性を保持することができる。
第1の発明において、熱収縮性積層フィルムのヘイズ値を10%以下とするには、例えば、(B)層を構成するポリ乳酸系樹脂とポリオレフィン系樹脂との屈折率差を小さくする、あるいは(A)層を構成するエチレン−酢酸ビニル系樹脂の酢酸ビニル含有量を45〜90質量%の範囲内で増加させるなどの手段により調製することができる。
第1の発明の熱収縮性積層フィルムの耐衝撃性は、引張破断伸度により評価できる。この引張破断伸度は、雰囲気温度0℃の引張試験において、特にラベル用途ではフィルムの引き取り(流れ)方向(MD)で伸び率が、好ましくは100%以上、より好ましくは150%以上、さらに好ましくは200%以上ある。雰囲気温度0℃での引張破断伸度が100%以上あれば印刷・製袋などの工程時にフィルムが破断するなどの不具合を生じにくくなり、好ましい。また、印刷・製袋などの工程の高速化にともなってフィルムに対してかかる張力が増加するような際にも、引張破断伸度が150%以上あれば破断しづらく、好ましい。上限については特に限定されないが、現在の工程の速度を考えた場合、500%ほどあれば十分だと考えられ、伸びを付与しすぎようとするとその反面フィルムの剛性が低下してしまう傾向となる。
第1の発明において、このような引張破断伸度の値は、例えば、(B)層のポリオレフィン系樹脂の含有量を増加する、1〜15質量%の範囲内で相溶化剤の含有量を増加するか、あるいは(A)層のエチレン−酢酸ビニル系樹脂の含有量を3〜30質量%の範囲内で増加させる、酢酸ビニル含有量を減少させることにより達成することができる。
第1の発明については、振動周波数10Hz、歪み0.1%、昇温速度2℃/分、チャック間2.5cmの条件の下、測定温度が−150℃から150℃の範囲で、フィルム延伸方向と直交する方向について、熱収縮性積層フィルムの動的粘弾性を測定した際の、20℃における貯蔵弾性率(E’)が1,000〜3,000MPaの範囲にあることが好ましく、1,200〜2,500MPaの範囲であることがさらに好ましい。フィルムの貯蔵弾性率E’が1,000MPa以上であれば、フィルム全体としての腰(常温での剛性)を高くすることができ、フィルムが柔らかくなり過ぎて変形しやすくなり、印刷、製袋等の2次加工時にロールテンションによってフィルムが伸びる等の不具合や、フィルムの厚みを薄くした場合において、ペットボトル等の容器に製袋したフィルムをラベリングマシン等で被せる際に、斜めに被ったり、フィルムの腰折れ等で歩留まりが低下したりしやすい等の問題点が発生し難いため、好ましい。一方、フィルムの貯蔵弾性率E’が3,000MPa以内であれば、硬くて伸びにくいフィルムになり、2次加工時にシワが入りやすくなる、使用時にカサカサした感触を感じさせるといった不具合が起きないため、好ましい。
第1の発明の熱収縮性積層フィルムの自然収縮率はできるだけ小さい方が望ましいが、一般的に熱収縮性フィルムの自然収縮率は、例えば、30℃50%RHで30日保存後の自然収縮率は、好ましくは3.0%未満、より好ましくは2.0%以下、さらに好ましくは1.5%以下である。上記条件下における自然収縮率が3.0%未満であれば作製したフィルムを長期保存する場合であっても容器等に安定して装着することができ、実用上問題を生じにくい。上記フィルムの自然収縮率を調整する手段としては、各層の樹脂組成を本発明で規定する範囲とすることが重要であるが、特に混合樹脂層のフィルム全体の厚みに対する厚み比を10%以上とすることが好ましい。
第1の発明の熱収縮性積層フィルムは、被包装物によって平面状から円筒状等に加工し包装に供することができる。ペットボトル等の円筒状の容器で印刷を要するものの場合、まずロールに巻き取られた広幅のフラットフィルムの一面に必要な画像を印刷し、そしてこれを必要な幅にカットしつつ印刷面が内側になるように折り畳んでセンターシール(シール部の形状はいわゆる封筒貼り)して円筒状とすれば良い。センターシール方法としては、有機溶剤による接着方法、ヒートシールによる方法、接着剤による方法、インパルスシーラーによる方法が考えられる。この中でも、生産性、見栄えの観点から有機溶剤による接着方法が好適に使用される。
すなわち、第1の発明は、フィルムの熱収縮特性、収縮仕上がり性、透明性等に優れているため、その用途が特に制限されるものではないが、これを基材として、必要に応じて印刷層、蒸着層、その他機能層を積層して形成することにより、ボトル(ブローボトル)、トレー、弁当箱、総菜容器、乳製品容器等の様々な成形品として用いることができる。
なお、実施例に示す測定値および評価は次のように行った。実施例では、積層フィルムの引き取り(流れ)方向を「縦」方向(または「MD」)、その直角方向を「横」方向(または「TD」)と記載する。
得られた熱収縮性フィルムを縦100mm、横100mmの大きさに切り取り、70℃及び、80℃の温水バスに10秒間それぞれ浸漬し、収縮量を測定した。熱収縮率は、横方向(TD)について、収縮前の原寸に対する収縮量の比率を%値で表示した。
得られた熱収縮性フィルムを主収縮方向と直交する方向(縦方向、MD)に110mm、主収縮方向に15mmの大きさに切り出し、JIS K7127に準拠し、引張速度100mm/minで、雰囲気温度23℃におけるフィルムの主収縮方向と直交する方向(縦方向、MD)での引張破断伸度を測定し、10回の測定値の平均値を測定し、下記基準に従い評価した。測定値および評価の結果を表1に示した。
◎:引張破断伸度が300%を超える場合
○:引張破断伸度が150%を超え、300%以下である場合
×:引張破断伸度が150%以下である場合
得られたフィルムの透明性を評価するため、JIS K7105にて全ヘイズ値を測定した。
◎:全ヘイズ値が6%以下の場合
○:全ヘイズ値が6%を超え、かつ、10%以下の場合
×:全ヘイズ値が10%を超える場合
(ポリ乳酸系樹脂)
・Nature WorksLLC社製、商品名:NatureWorks4060D、D体/L体量=12/88、「PLA(1)」と略する。
・Nature WorksLLC社製、商品名:NatureWorks4043D、D体/L体量=4.25/93.75、「PLA(2)」と略する。
・ダウケミカル社製、商品名:バーシファイ2400、ポリプロピレン−エチレンランダム共重合体[ポリプロピレン/エチレン=85/15、10Hz貯蔵弾性率:10MPa(20℃)、3MPa(70℃)]、「PO(1)」と略する。
・日油社製、商品名:モディパーA5200[(エチレン−アクリル酸エチル)−メタクリル酸メチルグラフト共重合体(=70/30)、10Hz貯蔵弾性率:85MPa(20℃)、14MPa(70℃)]、「Comp(1)」と略する。
・LANXESS社製、商品名:Levapren500HV、エチレン−酢酸ビニル共重合体(エチレン/酢酸ビニル=50質量%/50質量%)(「EVA(1)」と略する。)
・LANXESS社製、商品名:Levapren600HV、エチレン−酢酸ビニル共重合体(エチレン/酢酸ビニル=40質量%/60質量%)(「EVA(2)」と略する。)
・LANXESS社製、商品名:Levapren700HV、エチレン−酢酸ビニル共重合体(エチレン/酢酸ビニル=30質量%/70質量%)(「EVA(3)」と略する。)
・LANXESS社製、商品名:Levapren800HV、エチレン−酢酸ビニル共重合体(エチレン/酢酸ビニル=20質量%/80質量%)(「EVA(4)」と略する。)
・LANXESS社製、商品名:Levapren900HV、エチレン−酢酸ビニル共重合体(エチレン/酢酸ビニル=10質量%/90質量%)(「EVA(5)」と略する。)
・LANXESS社製、商品名:LevaprenVP800XL、予備架橋型エチレン−酢酸ビニル共重合体(エチレン/酢酸ビニル=20質量%/80質量%)(「EVA(6)」と略する。)
(A)層、及び(B)層に用いた樹脂組成物は、各原材料を、それぞれ表1に示す配合にて混合した後、2軸押出機(三菱重工業社製)に投入し、設定温度210℃で溶融混合し、設定温度210℃のストランドダイスより押出した後、水槽にて冷却し、ストランドカッターにより切削し、ペレットとした。
次いで、2台の単軸押出機(三菱重工業社製)、および2種3層マルチマニホールド口金により、(A)層/(B)層/(A)層の積層共押出が可能な設備において、(B)層を形成する単軸押出機に、先にペレット化した(B)層用樹脂を導入し、(A)層を形成する単軸押出機に、(A)層用樹脂を導入し、各押出機設定温度210℃で溶融混合後、各層の厚みが、(A)層/(B)層/(A)層=30μm/190μm/30μmとなるよう共押出し、50℃のキャストロールで引き取り、冷却固化させて幅200mm、厚さ250μmの未延伸積層シートを得た。次いで、このシートをフィルムテンター(京都機械社製)を用いて、予熱75℃、延伸75℃、熱処理85℃、予熱1ゾーン、延伸3ゾーン、熱処理2ゾーンにて、横方向に5倍延伸をして、厚さ50μmの熱収縮性フィルムを得た。
なお、比較例1においては、上記の設備の(A)層を形成する単軸押出機に先にペレット化した(B)層用樹脂を導入した以外は上記と同様の条件で製膜した。また、比較例3、比較例4においても、上記の設備の(B)層を形成する単軸押出機に先にペレット化した(A)層用樹脂を導入した以外は上記と同様の条件で製膜した。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
また、比較例5で得られた積層フィルムでは、フィルムに斑状のムラが生じており、シュリンクフィルムとして十分でない外観であった。
本発明に規定する熱収縮性フィルム(実施例1〜10)は、ポリ乳酸系樹脂とポリオレフィン系樹脂、及び相溶化剤から構成される熱収縮性単層フィルム(比較例1)や、(A)層にエチレン−酢酸ビニル系樹脂を用いない熱収縮性積層フィルム(比較例2)、また、ポリ乳酸系樹脂とエチレン−酢酸ビニル系樹脂のみから構成される熱収縮性単層フィルム(比較例3、比較例4)、(B)層に相溶化剤を用いない熱収縮性積層フィルム(比較例5)と比較し、フィルムの透明性と耐破断性を両立し、シュリンクフィルムとしての要求特性を満たす良好なフィルムであることを示した。
Claims (9)
- ポリ乳酸系樹脂を主成分とし、エチレン−酢酸ビニル系樹脂を含む樹脂組成物からなる(A)層と、ポリ乳酸系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、及びポリ乳酸系樹脂とポリオレフィン系樹脂とを相溶させる相溶化剤を含む樹脂組成物からなる(B)層の少なくとも2層を有する積層フィルムであって、前記積層フィルムが少なくとも一方向に延伸され、かつ80℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が20%以上であることを特徴とする熱収縮性積層フィルム。
- 前記(A)層を構成する樹脂組成物に含有されるエチレン−酢酸ビニル系樹脂中の酢酸ビニル含有量が45〜90質量%であることを特徴とする、請求項1に記載の熱収縮性積層フィルム。
- 前記(A)層を構成する樹脂組成物に含有されるエチレン−酢酸ビニル系樹脂の含有量が、(A)層を構成する樹脂組成物を100質量%として、該樹脂組成物に対し、3〜30質量%であることを特徴とする、請求項1または2に記載の熱収縮性積層フィルム。
- 前記(B)層に含有される相溶化剤が、幹成分と枝成分からなるグラフト共重合体であり、前記グラフト共重合体の幹成分または枝成分が、エチレン単位、αオレフィン単位、及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位からなる群から選ばれる熱可塑性樹脂セグメントから構成されるグラフト共重合体であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
- 前記(B)層を構成する樹脂組成物を100質量%として、該樹脂組成物に対し、前記(B)層に含まれるポリ乳酸系樹脂の含有量が60〜89質量%であり、ポリオレフィン系樹脂の含有量が10〜40質量%であり、相溶化剤の含有量が1〜15質量%であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
- JIS K7127に準拠し、引張速度100mm/min、雰囲気温度23℃におけるフィルムの主収縮方向と直交する方向(縦方向)での引張破断伸度が150%以上であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルムを基材として有する成形品。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルムを基材として有する熱収縮性ラベル。
- 請求項7に記載の成形品を用いた、または請求項8に記載の熱収縮性ラベルを装着した容器。
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