JP5354848B2 - 熱収縮性空孔含有フィルム、並びに該フィルムを基材とした成形品、熱収縮性ラベル及び容器 - Google Patents
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Description
下記のA成分とB成分とを主成分として含み、B成分の含有量がA成分100質量部に対して10質量部以上90質量部以下である混合樹脂組成物からなる未延伸フィルムを少なくとも一方向に延伸して得られる熱収縮性空孔含有フィルムであって、
A成分からなるマトリックス中に分散しているB成分からなる分散ドメインの主収縮方向と直交する方向の主収縮方向に対するアスペクト比が5以上50以下であり、
80℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が30%以上であり、
示差走査熱量分析における第二昇温過程における結晶融解熱量(△Hm)と第一降温過程における結晶化熱量(△Hc)との差(δ△H)が5J/g以上であることを特徴とする熱収縮性空孔含有フィルム。
A成分:D−乳酸及びL−乳酸の共重合体であり、D−乳酸とL−乳酸との共重合比がD−乳酸/L−乳酸=1/99〜10/90又は90/10〜99/1であるポリ乳酸系樹脂組成物
B成分:A成分に非相溶であり、かつ振動周波数10Hz、歪み0.1%、チャック間2.5cm、昇温速度1℃/分で昇温して測定したときの80℃における貯蔵弾性率が0.25GPa以上2.0GPa以下であり、メルトフローレートが5.0g/10分以下であるポリオレフィン系樹脂組成物
なお、本明細書において、「主成分として含有する」とは、各層を構成する樹脂の作用・効果を妨げない範囲で、他の成分を含むことを許容する趣旨である。さらに、この用語は、具体的な含有率を制限するものではないが、各層の構成成分全体の70質量%以上、好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であり、かつ100質量%以下を占める成分である。
本発明のフィルムは、下記A成分及びB成分を混合した樹脂組成物からなる未延伸フィルムを少なくとも一方向に延伸することにより得られる熱収縮性空孔含有フィルムである。
A成分として用いられるポリ乳酸系樹脂組成物としては、乳酸の単独重合体(具体的には構造単位がL−乳酸若しくはD−乳酸の単独重合体(すなわち、ポリ(L−乳酸)又はポリ(D−乳酸)))、構造単位がL−乳酸及びD−乳酸の両方を有する共重合体(すなわちポリ(DL−乳酸))や、これらの混合体(以下、これらをまとめて「乳酸系樹脂」という。)を主成分とする樹脂組成物が挙げられる。さらに、ポリ乳酸系樹脂組成物には、L−乳酸やD−乳酸と、乳酸以外のα−ヒドロキシカルボン酸、及び/又はジオール成分とジカルボン酸成分との共重合体を主成分とする乳酸系共重合体(以下「乳酸系共重合体」という。)も含まれる。共重合体における共重合の割合は特に指定されないが、乳酸系樹脂及び乳酸系共重合体の機械的特性、特に後述するビカット軟化点の範囲を超えない程度の割合で共重合することが望ましい。上記乳酸系樹脂及び乳酸系共重合体は、単独で用いても混合して用いても構わない。
本発明において、B成分は、上記A成分に非相溶で、振動周波数10Hz、歪み0.1%、チャック間2.5cm、昇温速度1℃/分で40℃から150℃まで昇温して測定したときの80℃における貯蔵弾性率が0.25GPa以上2.0GPa以下であるポリオレフィン系樹脂組成物である。
本発明のフィルムは、A成分とB成分を含有することにより空孔を形成することができ、それによって光線透過率を抑えること(すなわち遮光性を付与すること)は可能であるが、さらに充填剤(以下「C成分」ともいう。)を含有させることにより、光線透過率をさらに抑えることができる。
本発明フィルムは、さらに耐破断性を向上させる目的で、軟質成分(以下「D成分」という。)を添加することが好ましい。このようなD成分としては、上記A成分以外の脂肪族ポリエステル、芳香族脂肪族ポリエステル、ジオールとジカルボン酸と乳酸系樹脂との共重合体、コアシェル構造型ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(EAA、EMA)、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体(EAMA、EMMA)、スチレン−イソブチレン共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブタジエン共重合体(SEBS)、酸変性SEBS等のスチレン系エラストマー等が好適に用いられ、その中でも、上記A成分以外の脂肪族ポリエステル、芳香族脂肪族ポリエステル、ジオールとジカルボン酸と乳酸系樹脂との共重合体、コアシェル構造型ゴム、及びエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等がさらに好適に用いられる。
本発明のフィルムは、単層で用いてもよいし、易接着性、易印刷性、滑り性などの付与のための表面層を設けるなど、積層構成の一層として用いても構わない。単層構成で用いる場合、フィルムの厚みは、30μm以上、好ましくは40μm以上、さらに好ましくは50μm以上であり、かつ200μm以下、好ましくは175μm以下、さらに好ましくは150μm以下とすることが望ましい。また、積層構成で用いる場合には、中間層として用いることが好ましい。その場合、フィルム全体の厚みに対する本発明のフィルムの厚み比は、20%以上、好ましくは25%以上、さらに好ましくは30%以上とし、かつ95%以下、好ましくは90%以下、さらに好ましくは85%以下とすることが望ましい。
本発明のフィルムは、上記A成分とB成分(必要に応じてC成分、D成分)とを混合した混合樹脂組成物で構成される未延伸フィルムを少なくとも一方向に延伸することにより作製できる。
なお、本明細書において「主収縮方向」とは、縦方向と横方向のうち延伸の大きい方向を意味し、例えば、ボトルに装着する場合にはその外周方向に相当する方向である。また、「主収縮方向と直交する方向」とは、延伸の大きい方向と直交する方向をいう。
本発明のフィルムは、結晶化及び結晶融解に伴う熱量変化の値が所定の範囲内であることが必要である。つまり、示差走査熱量分析における第二昇温過程における結晶融解熱量ΔHmと第一降温過程における結晶化熱量ΔHcとの値との差(ΔHm−ΔHc=δΔH)が5J/g以上であることが必要である。
本発明のフィルムの嵩比重は0.50以上、より好ましくは0.60以上、さらに好ましくは0.70以上であって、1.00未満、好ましくは0.95以下、さらに好ましくは0.90以下であることが望ましい。嵩比重1.00未満であれば、このフィルムを液比重法によって分離することが容易となるため好ましい。一方、嵩比重が0.50以上であれば、存在する空孔によって、フィルム強度が不十分となる等の不具合を生じることなく好ましい。
本発明のフィルムは、80℃温水中で10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が30%以上であり、好ましくは35%以上、さらに好ましくは40%以上であり、かつ80%以下、好ましくは75%以下であることが望ましい。これは、例えばペットボトルの収縮ラベル用途に適用される熱収縮性フィルムでは、その形状によって様々であるが、一般に20%乃至70%程度の熱収縮率が要求されるため、そのような用途において好適に対応し得るようにするためである。
本発明のフィルムの自然収縮率はできるだけ小さいほうが望ましいが、一般的に熱収縮性フィルムの自然収縮率は、例えば、30℃で30日保存後の自然収縮率が3.0%以下、好ましくは2.0%以下、さらに好ましくは1.5%以下であることが望ましい。上記条件下における自然収縮率が3.0%であれば作製したフィルムを長期保存する場合であっても容器等に安定して装着することができ、実用上問題を生じにくい。
本発明のフィルムの耐破断性は引張破断伸度により評価され、0℃環境下の引張試験において、特にラベル用途ではフィルムの引き取り(流れ)方向(MD)で伸び率が100%以上、好ましくは150%以上、さらに好ましくは200%以上ある。0℃環境下での引張破断伸度が100%以上あれば、印刷・製袋などの工程時にフィルムが破断するなどの不具合を生じ難くなり好ましい。また、印刷・製袋などの工程のスピードアップに伴い、フィルムにかかる張力が増加するような場合においても、引張破断伸度が100%以上あれば破断し難く好ましい。
本発明のフィルムの腰(常温での剛性)は、フィルムの主収縮方向と直交する方向の引張弾性率が1.2GPa以上であることが好ましく、1.4GPaであることがより好ましく、1.6GPa以上であることがさらに好ましい。また、通常使用される熱収縮性フィルムの引張弾性率の上限値は3.0GPa程度であり、好ましくは2.9GPa程度であり、さらに好ましは2.8GPa程度である。フィルムの主収縮方向と直交する方向の引張弾性率が1.2GPa以上あれば、フィルム全体としての腰(常温での剛性)を高くすることができ、特にフィルムの厚みを薄くした場合においても、ペットボトルなどの容器に製袋したフィルムをラベリングマシン等で被せる際に、斜めに被ったり、フィルムの腰折れなどで歩留まりが低下したりしやすいなどの問題点が発生し難く、好ましい。なお、本明細書においてフィルムの主収縮方向とは、縦方向と横方向のうち延伸方向の大きい方を意味し、例えば、ボトルに装着する場合にはその外周方向に相当する方向である。
本発明のフィルムは、フィルムの印刷適性、高剛性、耐破断性、収縮仕上がり性等に優れているため、その用途が特に制限されるものではないが、必要に応じて印刷層、蒸着層その他機能層を形成することにより、ボトル(ブローボトル)、トレー、弁当箱、総菜容器、乳製品容器等の様々な成形品として用いることができる。特に本発明のフィルムを食品容器(例えば清涼飲料水用又は食品用のPETボトル、ガラス瓶、好ましくはPETボトル)用熱収縮性ラベルとして用いる場合、複雑な形状(例えば、中心がくびれた円柱、角のある四角柱、五角柱、六角柱など)であっても該形状に密着可能であり、シワやアバタ等のない美麗なラベルが装着された容器が得られる。本発明の成形品及び容器は、通常の成形法を用いることにより作製することができる。
[嵩比重]
得られたフィルムを正確にTD10cm×MD10cmの大きさに切り出して重量w(g)を量り、そのフィルムの50点の厚みt(μm)を測りとり、下記の式により嵩比重(g/cm3)を算出した。
嵩比重=(w/t)×100
得られたフィルムを80℃で25%収縮させた後、MD1cm×TD1cmの小片に細かく粉砕し、水に浮かべて浮くか否か(すなわち、嵩比重が1.00g/cm3未満であるか否か)を下記の基準で判別した。
◎:全てが浮く場合
○:浮くものと沈むものがある場合、又は水中に漂うものがある場合
×:全てが沈む場合
安田精機製作所製メルトインデクサー(120SAS−2000)を用い、JIS K7210(測定温度:230℃、荷重:21.18N)に準拠してポリオレフィン系樹脂組成物のメルトフローレートを測定した。
熱プレス装置(神藤金属工業所製)によりポリオレフィン系樹脂を用いて厚み200μmの未延伸フィルムを作製し、次いで、4mm×60mmの大きさに切り出し、粘弾性スペクトロメーター(アイティー計測(株)製:DVA−200)を用い、振動周波数10Hz、歪み0.1%、チャック間2.5cm、昇温速度1℃/分で40℃から150℃までの範囲で長手方向(辺長60mmの方向)について測定し、80℃おける貯蔵弾性率を測定した。
得られたフィルムをミクロトームでTD1mm×MD10mmの大きさに切り出し、電子顕微鏡で10カ所観察し、フィルム中のA成分に非相溶のB成分からなる分散ドメインのMDのTDに対するアスペクト比(長径/短径)を算出した。
得られたフィルムから約10mgとなるように切り出したサンプルを、パーキンエルマー社製示差走査熱量分析装置DSC−7によりJIS K7121に準じ0℃から200℃まで10℃/分にて昇温し、200℃にて1分間保温した後、10℃/分の降温により0℃まで冷却した際の吸熱ピーク面積の積分値をΔHc、さらに0℃にて1分間保持した後、再度200℃まで10℃/分の昇温により得られた発熱ピークの積分値をΔHmとし、その差(ΔHm−ΔHc)をδΔHとした。
フィルムの製造工程及び使用時の耐破断性を評価するため、下記測定を行った。
測定対象サンプルを、MD110mm×TD15mmの短冊形に切り出し、JIS K6732に準拠し、チャック間距離40mm、引張速度100mm/分で、雰囲気温度0℃におけるフィルムのMDでの引張伸度を測定し、10回の測定値の平均値を表に示した。
得られたフィルムを、MD100mm×TD100mmの大きさに切り出し、80℃温水バスに10秒間浸漬し、次いで直ちに水冷した後の収縮量を測定した。熱収縮率は、収縮前の原寸に対する収縮量の比率のMD/TDのうち大きい値を%値で表示した。
得られたフィルムをMD100mm×TD1000mmの大きさに切り取り、30℃の雰囲気の恒温槽に30日間放置し、主収縮方向について、収縮前の原寸に対する収縮量を測定し、その比率を%値で表示した。
測定対象のフィルムを被覆したときの外観を下記のとおり3段階に評価した。
10mm間隔の格子目を印刷したフィルムをMD100mm×TD298mmの大きさに切り取り、TDのフィルム両端を10mm重ねてテトロヒドロフラン(THF)溶剤で接着し、円筒状フィルムを作製した。この円筒状フィルムを、容量1.5Lの円筒型ペットボトルに装着し、蒸気加熱方式の長さ3.2m(3ゾーン)の収縮トンネル中を回転させずに、約4秒間で通過させた。各ゾーンでのトンネル内雰囲気温度は、蒸気量を蒸気バルブで調整し、70℃から85℃までの範囲とした。フィルム被覆後は下記基準で評価した。
◎:収縮が十分でシワ、アバタ、格子目の歪みが生じない。
○:収縮は十分であるが、所々シワ、アバタ又は格子目の歪みが生じている。
×:収縮は十分だがシワ、アバタ、格子目の歪みが顕著に生じる。
又は、収縮が十分でなく、ボトルへの被覆が不十分である。
表1に示すように、A成分として、Nature WorksLLC社製のポリ乳酸系樹脂「Nature Works 4050D(L体:D体=95:5、重量平均分子量20万、以下「PLA2」と略称)」100質量部と、B成分として日本ポリプロ(株)製のポリプロピレン系樹脂「FY6H(MFR:1.90g/分、貯蔵弾性率0.72GPa、以下「PO1」と略称)」30質量部とを混合し、三菱重工(株)製の40mmφ小型同方向二軸押出機を用いて、200℃、100rpmで混練し、ストランド形状に押出して水槽で急冷し、その後、切断してペレットを作製した。
得られたペレットを、三菱重工業株式会社製単軸押出機に投入し、設定温度200℃で溶融混合後、ダイスより押出し、60℃のキャストロールで引き取り、冷却固化させて未延伸単層シートを得た。次いで、京都機械株式会社製フィルムテンターにて、予熱温度75℃、延伸温度72℃で横一軸方向に4.0倍延伸した後、冷風で急冷して、厚さ80μmの熱収縮性空孔含有フィルムを得た。得られたフィルムの測定及び評価結果を表2に示す。
表1に示すように、実施例1において、A成分をNature WorksLLC社製のポリ乳酸系樹脂「Nature Works 4032D(L体:D体=99.5:0.5、重量平均分子量20万、以下「PLA1」と略称)」20質量部と「PLA2」80質量部との混合物(D体含有量:4.0%)に変更した以外は実施例1と同様にして熱収縮性空孔含有フィルムを得た。得られたフィルムについて、実施例1と同様の測定及び評価を行った。その結果を表2に示す。
表1に示すように、実施例1において、A成分を「PLA2」70質量部とNature WorksLLC社製のポリ乳酸系樹脂「Nature Works 4060D(L体:D体=88:12、重量平均分子量20万、以下「PLA3」と略称)30質量部との混合物に変更した以外は実施例1と同様にして熱収縮性空孔含有フィルムを得た。得られたフィルムについて、実施例1と同様の測定及び評価を行った。その結果を表2に示す。
表1に示すように、実施例1において、A成分を「PLA2」100質量部に、B成分を「PO1」20質量部に変更した以外は実施例1と同様にして熱収縮性空孔含有フィルムを得た。得られたフィルムについて、実施例1と同様の測定及び評価を行った。その結果を表2に示す。
表1に示すように、実施例1で得られたペレットと、PLA2とPLA3とを50:50で混合し実施例1と同様にペレット化したものとを、別個の三菱重工業株式会社製単軸押出機に投入し、設定温度200℃で溶融混合後、2種3層マルチマニフォールドダイスより押出し、60℃のキャストロールで引き取り、冷却固化させて未延伸積層シートを得た。このとき、PLA2とPLA3との混合組成物によって形成される層が表裏層に、PLA2とPO1との混合樹脂(実施例1で得られたペレット)からなる層が中間層となるように押出した。
次いで、京都機械株式会社製フィルムテンターにて、予熱温度75℃、延伸温度72℃で横一軸方向に4.0倍延伸した後、冷風で急冷して、厚さ100μmの熱収縮性空孔含有フィルムを得た。このときの厚み比は、表層/中間層/裏層=10/80/10(μm)である。得られたフィルムの測定及び評価結果を表2に示す。
表1に示すように、A成分を「PLA1」100質量部に変更した以外は実施例1と同様にして熱収縮性空孔含有フィルムを得た。得られたフィルムについて、実施例1と同様の測定及び評価を行った。その結果を表2に示す。
表1に示すように、A成分を「PLA3」100質量部に変更した以外は実施例1と同様にして熱収縮性空孔含有フィルムを得た。得られたフィルムについて、実施例1と同様の測定及び評価を行った。その結果を表2に示す。
表1に示すように、A成分を「PLA2」40質量部と「PLA3」60質量部との混合物に変更した以外は実施例1と同様にして熱収縮性空孔含有フィルムを得た。得られたフィルムについて、実施例1と同様の測定及び評価を行った。その結果を表2に示す。
表1に示すように、A成分を「PLA2」90質量部と「PLA3」10質量部との混合物に変更し、ダイスのリップギャップとキャスティング条件を調整しフィルムのアスペクト比を変更した以外は実施例1と同様にして熱収縮性空孔含有フィルムを得た。得られたフィルムについて、実施例1と同様の測定及び評価を行った。その結果を表2に示す。
表1に示すように、B成分を日本ポリプロ(株)製のポリプロピレン系樹脂「FB3HAT(以下「PO2」と略称:MFR=7.5g/分:貯蔵弾性率=0.51GPa)」変更した以外は実施例1と同様にして熱収縮性空孔含有フィルムを得た。得られたフィルムについて、実施例1と同様の測定及び評価を行った。その結果を表2に示す。
表1に示すように、B成分の代わりにA成分と相溶可能な樹脂組成物である昭和高分子製ポリブチレンサクシネート樹脂「ビオノーレ3003(以下「BN」と略称)」30質量部添加した以外は実施例1と同様にして熱収縮性フィルムを得た。得られたフィルムについて、実施例1と同様の測定及び評価を行った。その結果を表2に示す。
実施例1において、延伸後に寸法を固定したまま80℃の熱風にて熱固定を行った以外は、実施例1と同様にして空孔含有フィルムを得た。得られたフィルムについて、実施例1と同様の測定及び評価を行った。その結果を表2に示す。
これに対し、ポリ乳酸系樹脂組成物(A成分)中のD体含有量が1%未満である場合、得られたフィルムの熱収縮率が不足し、収縮仕上がりが不十分なものであることが分かる(比較例1)。また、ポリ乳酸系樹脂組成物(A成分)中のD体含有量が10%を超える場合、得られたフィルムは十分な空隙を有さず、比重分離にも適さないものであった(比較例2)。また、フィルムのδΔH値が5J/g未満である場合、得られたフィルムは十分な空隙を有さず、不均一に白化したような外観を示し、比重分離にも適さないものであった(比較例3)。また、ポリオレフィン系樹脂組成物(B成分)のアスペクト比が本発明の範囲よりも低い場合には、得られたフィルムは十分な空隙、収縮特性を備えていたが、耐破断性に劣っていた(比較例4)。また、MFRが大きいポリオレフィン系樹脂組成物を用いた場合、アスペクト比が本発明の範囲よりも大きくなり、得られたフィルムは十分な耐破断性及び収縮特性を発現せず、また十分な空孔を形成しなかったため、嵩比重も所望の値よりも大きくなった(比較例5)。また、ポリ乳酸系樹脂組成物と相溶可能なポリオレフィン系樹脂組成物を用いた場合、得られたフィルムは良好な耐破断性を示したが、ほとんど空孔を形成しなかったため、嵩比重が所望の値よりも大きくなり、また、自然収縮率もやや大きくなった(比較例6)。また、延伸後に熱固定を行った場合、良好な低温収縮特性を発現せず、ボトルへの緊密な被覆も得られなかった(比較例7)。
これより本発明のフィルムは、嵩比重が小さく、リサイクル性に優れると共に、剛性と低温収縮性に優れ、収縮包装、収縮結束包装や熱収縮性ラベル等の用途に適した熱収縮性空孔含有フィルムであることが分かる。
Claims (7)
- 下記のA成分とB成分とを主成分として含み、B成分の含有量がA成分100質量部に対して10質量部以上90質量部以下である混合樹脂組成物からなる未延伸フィルムを少なくとも一方向に延伸して得られる熱収縮性空孔含有フィルムであって、
A成分からなるマトリックス中に分散しているB成分からなる分散ドメインの主収縮方向と直交する方向の主収縮方向に対するアスペクト比が5以上50以下であり、
80℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率が30%以上であり、
示差走査熱量分析における第二昇温過程における結晶融解熱量(△Hm)と第一降温過程における結晶化熱量(△Hc)との差(δ△H)が5J/g以上であることを特徴とする熱収縮性空孔含有フィルム。
A成分:D−乳酸及びL−乳酸の共重合体であり、D−乳酸とL−乳酸との共重合比がD−乳酸/L−乳酸=1/99〜10/90又は90/10〜99/1であるポリ乳酸系樹脂組成物
B成分:A成分に非相溶であり、かつ振動周波数10Hz、歪み0.1%、チャック間2.5cm、昇温速度1℃/分で昇温して測定したときの80℃における貯蔵弾性率が0.25GPa以上2.0GPa以下であり、メルトフローレートが5.0g/10分以下であるポリオレフィン系樹脂組成物 - 前記ポリオレフィン系樹脂組成物のメルトフローレートが1.0g/10分以上5.0g/10分以下である請求項1に記載の熱収縮性空孔含有フィルム。
- 嵩比重が0.50以上1.00未満である請求項1または2のいずれかに記載の熱収縮性空孔含有フィルム。
- 25%以下の範囲で熱収縮させた後の嵩比重が1.00未満である請求項3に記載の熱収縮性空孔含有フィルム。
- 前記請求項1乃至4のいずれかに記載の熱収縮性空孔含有フィルムを用いた成形品。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の熱収縮性空孔含有フィルムを用いた熱収縮性ラベル。
- 請求項5に記載の成形品又は請求項6に記載の熱収縮性ラベルを装着した容器。
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