JP5971173B2 - 熱収縮フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む樹脂組成物からなる層を有する熱収縮フィルムに関する。
熱収縮フィルムは、食品の包装材料等として広く用いられている。特に、食肉やその加工品等の形状や大きさが不均一な食品の包装材料として熱収縮フィルムが好適に用いられている。食品の包装材料には、食品鮮度保持のため、ガスバリア性に優れていることや、保香性に優れていることが求められる。このようなことから、熱収縮フィルムには、熱収縮性に優れていることに加えて、ガスバリア性や保香性等にも優れていることが求められる。
熱収縮フィルムに用いられるバリア材として、ポリ塩化ビニリデンが知られている(特許文献1)。しかしながら、ポリ塩化ビニリデンを使用したフィルムを焼却処理する際に有害なガスが発生する。したがって、環境への負荷が大きかった。
一方、エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、EVOHと略記することがある)は、透明性、ガスバリア性、保香性、耐溶剤性、耐油性などに優れており、かかる特性を生かして、食品包装容器、医薬品包装容器、工業薬品包装容器、農薬包装容器等の各種包装容器をはじめとして、広い用途に用いられている。
EVOHからなる層を有する熱収縮フィルムは、透明性、ガスバリア性、保香性、耐溶剤性、耐油性などに優れている。そのため、当該熱収縮フィルムは、食品等の包装材料として好適に用いられている。
近年、より高い倍率で延伸された熱収縮フィルムが求められている。高い倍率で延伸することにより、熱収縮率が向上する。このようなことから、EVOHが本来有する透明性、ガスバリア性、保香性、耐溶剤性、耐油性などの性能をできるだけ損なわず、延伸性及び熱収縮性が改善された熱収縮フィルムが求められている。
特許文献2には、EVOHの水酸基に一価のエポキシ化合物を反応させて得られる変性EVOHを用いた熱収縮フィルムが記載されている。特許文献2の実施例には、前記変性EVOHからなる層を有する熱収縮フィルムが記載されており、当該熱収縮フィルムは、延伸性、ガスバリア性及び熱収縮性が良好であったと記載されている。しかしながら、前記変性EVOHは、EVOHとエポキシ化合物を溶融状態で反応させて得られるため、製造工程が増え、製造コストが高くなる問題があった。さらに、前記熱収縮フィルムは、なお、バリア性、延伸性、熱収縮性等が不十分である場合があった。
特許文献3には、エチレン、酢酸ビニル及び3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを共重合して得られる変性EVOHを用いた熱収縮フィルムが記載されている。そして、当該熱収縮フィルムは、延伸性、熱収縮性、ガスバリア性、透明性および耐デラミ性に優れたものであると記載されている。しかしながら、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンは、酢酸ビニルに比べて重合反応性が同等なので、低重合率で共重合体を取出した際には重合後にその多くが残留してしまう。そのため、洗浄や廃水処理の負荷が増大するし、製造コストの上昇も避けられないという問題があった。さらに、前記熱収縮フィルムは、なお、バリア性、延伸性、熱収縮性等が不十分である場合があった。
特開平10−248482号公報 WO02/092643号 WO2005/121194号
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、バリア性、延伸性及び熱収縮性に優れ、しかも生産性にも優れた熱収縮フィルムを提供するものである。
上記課題は、下記式(I)で表され、全単量体単位に対するa、b及びcの含有率(モル%)が下記式(1)〜(3)を満足し、かつ下記式(4)で定義されるケン化度(DS)が90モル%以上である変性EVOHを含む樹脂組成物からなる層を有する熱収縮フィルムを提供することによって解決される。
Figure 0005971173
[式(I)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、該アルキル基は水酸基、アルコキシ基又はハロゲン原子を含んでもよい。X、Y及びZは、それぞれ独立に水素原子、ホルミル基又は炭素数2〜10のアルカノイル基を表す。]
18≦a≦55 (1)
0.01≦c≦20 (2)
[100−(a+c)]×0.9≦b≦[100−(a+c)] (3)
DS=[(X、Y及びZのうち水素原子であるものの合計モル数)/(X、Y及びZの合計モル数)]×100 (4)
このとき、R、R、R及びRが水素原子であることが好適である。X、Y及びZが、それぞれ独立に水素原子又はアセチル基であることも好適である。
前記樹脂組成物がアルカリ金属塩をアルカリ金属元素換算で10〜500ppm含有することが好適である。前記熱収縮フィルムが、面積倍率7倍以上に延伸されてなるものであることも好適である。前記熱収縮フィルムが、さらに前記変性EVOH以外の熱可塑性樹脂からなる層を有することも好適である。
本発明の熱収縮フィルムは、バリア性、延伸性及び熱収縮性に優れ、しかも生産性にも優れている。
実施例1で得られた変性エチレン−酢酸ビニル共重合体のH−NMRスペクトルである。 実施例1で得られた変性エチレン−ビニルアルコール共重合体のH−NMRスペクトルである。
本発明の変性エチレン−ビニルアルコール共重合体は、下記式(I)で表され、全単量体単位に対するa、b及びcの含有率(モル%)が下記式(1)〜(3)を満足し、かつ下記式(4)で定義されるケン化度(DS)が90モル%以上であるものである。この変性エチレン−ビニルアルコール共重合体は、エチレン単位及びビニルアルコール単位に加えて、共重合体の主鎖に1,3−ジオール構造を有する単量体単位を有することによって、当該単量体単位を含まないエチレン−ビニルアルコール共重合体に比べて結晶性が低下しているので、柔軟性及び二次加工性を向上させることができる。これにより、得られる熱収縮フィルムの延伸性及び熱収縮性が向上する。また、この変性エチレンービニルアルコール共重合体は、1,3−ジオール構造の強い水素結合力により、結晶性の低下に起因するバリア性の低下を軽減させることができる。すなわち、バリア性能の低下を最小限に抑えながら、延伸性及び熱収縮性を向上させることができる。
Figure 0005971173
式(I)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、該アルキル基は水酸基、アルコキシ基又はハロゲン原子を含んでもよい。X、Y及びZは、それぞれ独立に水素原子、ホルミル基又は炭素数2〜10のアルカノイル基を表す。
式(I)において、R、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。R、R、R及びRは同じ基であってもよいし、異なっていてもよい。該アルキル基の構造は特に限定されず、一部に分岐構造や環状構造を有していてもよい。また、該アルキル基は水酸基、アルコキシ基又はハロゲン原子を含んでもよい。R、R、R及びRは、好ましくは、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であり、水素原子がより好適である。当該アルキル基の好適な例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基などの直鎖又は分岐を有するアルキル基が挙げられる。
式(I)において、X、Y及びZは、それぞれ独立に水素原子、ホルミル基又は炭素数2〜10のアルカノイル基を表す。X、Y又はZが水素原子である場合には、式(I)が水酸基を有し、X、Y又はZがホルミル基又はアルカノイル基である場合には、式(I)がエステル基を有する。当該アルカノイル基としては、炭素数が2〜5のアルカノイル基であることが好ましく、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基などが好適なものとして例示される。これらの中でも、アセチル基が特に好適である。X、Y及びZは、いずれも、水素原子、又は水素原子を含む混合物であることが好ましい。
Xを含む単量体単位は、通常、ビニルエステルをケン化することによって得られる。したがって、Xが、水素原子とホルミル基又は炭素数2〜10のアルカノイル基との混合物であることが好ましい。単量体(酢酸ビニル)の入手のし易さや製造コストを考慮すれば、Xが、水素原子とアセチル基との混合物であることが特に好ましい。
一方、Y及びZを含む単量体単位は、1,3−ジエステル構造を有する不飽和単量体単位を共重合してからケン化することによっても製造できるし、1,3−ジオール構造を有する不飽和単量体単位をそのまま共重合することによっても製造できる。したがって、Y及びZは、いずれも水素原子のみであってもよいし、水素原子とホルミル基又は炭素数2〜10のアルカノイル基との混合物、より好適には、水素原子とアセチル基との混合物であってもよい。
本発明の変性エチレン−ビニルアルコール共重合体は、全単量体単位に対するa、b及びcの含有率(モル%)が下記式(1)〜(3)を満足する。
18≦a≦55 (1)
0.01≦c≦20 (2)
[100−(a+c)]×0.9≦b≦[100−(a+c)] (3)
aは、全単量体単位に対するエチレン単位の含有率(モル%)を示したものであり、18〜55モル%である。エチレン単位含有率が18モル%未満では、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体の溶融成形性が悪化する。aは、好適には22モル%以上である。一方、エチレン単位含有率が55モル%を超えると、熱収縮フィルムのバリア性が不足する。aは、好適には50モル%以下である。
cは、全単量体単位に対する、式(I)中で右端に示されたY及びZを含む単量体単位の含有率(モル%)を示したものであり、0.01〜20モル%である。cが0.01モル%未満では、熱収縮フィルムの延伸性及び熱収縮性が不十分となる。cは、好適には0.1モル%以上であり、より好適には0.5モル%以上である。一方、cが20モル%を超えると、結晶性が極度に低下することによって熱収縮フィルムのバリア性が低下する。cは、好適には10モル%以下であり、より好適には5モル%以下である。
bは、全単量体単位に対するビニルアルコール単位及びビニルエステル単位の含有率(モル%)を示したものである。これが下記式(3)を満足する。
[100−(a+c)]×0.9≦b≦[100−(a+c)] (3)
すなわち、本発明の変性エチレン−ビニルアルコール共重合体においては、エチレン単位と式(I)中で右端に示されたY及びZを含む単量体単位以外の単量体単位のうちの90%以上がビニルアルコール単位又はビニルエステル単位であるということである。式(3)を満足しない場合、ガスバリア性が不十分となる。好適には下記式(3’)を満足し、より好適には下記式(3”)を満足する。
[100−(a+c)]×0.95≦b≦[100−(a+c)] (3’)
[100−(a+c)]×0.98≦b≦[100−(a+c)] (3”)
前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体は、下記式(4)で定義されるケン化度(DS)が90モル%以上である。
DS=[(X、Y及びZのうち水素原子であるものの合計モル数)/(X、Y及びZの合計モル数)]×100 (4)
ここで、「X、Y及びZのうち水素原子であるものの合計モル数」は、水酸基のモル数を示し、「X、Y及びZの合計モル数」は、水酸基とエステル基の合計モル数を示す。ケン化度(DS)が90モル%未満になると、十分なバリア性能が得られないばかりか、前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体の熱安定性が不十分となり、溶融成形時にゲルやブツが発生しやすくなる。ケン化度(DS)は、好適には95モル%以上であり、より好適には98モル%以上であり、さらに好適には99モル%以上である。
ケン化度(DS)は、核磁気共鳴(NMR)法によって得ることができる。上記a、b及びcで示される単量体単位の含有率も、NMR法によって得ることができる。また、前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体は、通常ランダム共重合体である。ランダム共重合体であることは、NMRや融点の測定結果から確認できる。
前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体の好適なメルトフローレート(MFR)(190℃、2160g荷重下)は0.1〜30g/10分であり、より好適には0.3〜25g/10分、更に好適には0.5〜20g/10分である。但し、融点が190℃付近あるいは190℃を超えるものは2160g荷重下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶対温度の逆数を横軸、MFRの対数を縦軸にプロットし、190℃に外挿した値で表す。
ここで、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体が、異なる2種類以上の変性エチレン−ビニルアルコール共重合体の混合物からなる場合、a、b、cで示される単量体単位の含有率、ケン化度、MFRは、配合重量比から算出される平均値を用いる。
前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体の製造方法は特に限定されない。例えば、エチレン、下記式(II)で示されるビニルエステル、及び下記式(III)で示される不飽和単量体をラジカル重合させて下記式(IV)で示される変性エチレン−ビニルエステル共重合体を得た後に、それをケン化する方法が挙げられる。
Figure 0005971173
式(II)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜9のアルキル基を表す。当該アルキル基の炭素数は、好適には1〜4である。式(II)で示されるビニルエステルとしては、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、カプロン酸ビニルなどが例示される。経済的観点からは酢酸ビニルが特に好ましい。
Figure 0005971173
式(III)中、R、R、R及びRは式(I)に同じである。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜9のアルキル基を表す。当該アルキル基の炭素数は、好適には1〜4である。式(III)で示される不飽和単量体としては、2−メチレン−1,3−プロパンジオールジアセテート、2−メチレン−1,3−プロパンジオールジプロピオネート、2−メチレン−1,3−プロパンジオールジブチレートなどが挙げられる。中でも、2−メチレン−1,3−プロパンジオールジアセテートが、製造が容易な点から好ましく用いられる。
Figure 0005971173
式(IV)中、R、R、R、R、R、R、R、a、b及びcは、式(I)〜(III)に同じである。こうして得られた変性エチレン−ビニルエステル共重合体は、その後ケン化処理される。
また、上記式(III)で示される不飽和単量体の代わりに、下記式(V)で示される不飽和単量体を共重合してもよく、この場合はケン化処理によって、上記式(II)で示される不飽和単量体由来の単位のみがケン化されることになる。
Figure 0005971173
式(V)中、R、R、R及びRは、式(I)と同じである。式(V)で示される不飽和単量体としては、2−メチレン−1,3−プロパンジオールが挙げられる。
本発明で用いられる式(III)及び式(V)で示される不飽和単量体は、ビニルエステル単量体との共重合反応性が高いため、共重合反応が進行しやすい。したがって、得られる変性エチレン−ビニルエステル共重合体の変性量や重合度を高くすることが容易である。また、低重合率で重合反応を停止させても重合終了時に残留する未反応の当該不飽和単量体の量が少ないので、環境面及びコスト面においても優れている。式(III)及び式(V)で示される不飽和単量体は、この点において、アリルグリシジルエーテルや3,4−ジアセトキシ−1−ブテンなど、アリル位に官能基を有する炭素原子が1個だけである他の単量体よりも優れている。ここで、式(III)で示される不飽和単量体は、式(V)で示される不飽和単量体よりも反応性が高い。
エチレンと、上記式(II)で示されるビニルエステルと、上記式(III)あるいは(V)で示される不飽和単量体とを共重合して、変性エチレン−ビニルエステル共重合体を製造する際の重合方式は、回分重合、半回分重合、連続重合、半連続重合のいずれでもよい。また、重合方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の方法を採用できる。無溶媒又はアルコールなどの溶媒中で重合を進行させる塊状重合法又は溶液重合法が、通常採用される。高重合度の変性エチレン−ビニルエステル共重合体を得る場合には、乳化重合法の採用が選択肢の一つとなる。
溶液重合法において用いられる溶媒は特に限定されないが、アルコールが好適に用いられ、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなどの低級アルコールがより好適に用いられる。重合反応液における溶媒の使用量は、目的とする変性エチレン−ビニルアルコール共重合体の粘度平均重合度や、溶媒の連鎖移動を考慮して選択すればよく、反応液に含まれる溶媒と全単量体との重量比(溶媒/全単量体)は、0.01〜10の範囲、好ましくは0.05〜3の範囲から選択される。
エチレンと、上記式(II)で示されるビニルエステルと、上記式(III)あるいは(V)で示される不飽和単量体とを共重合する際に使用される重合開始剤は、公知の重合開始剤、例えばアゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、レドックス系開始剤から重合方法に応じて選択される。アゾ系開始剤としては、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)が挙げられる。過酸化物系開始剤としては、例えばジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネートなどのパーカーボネート系化合物;t−ブチルパーオキシネオデカネート、α−クミルパーオキシネオデカネート、過酸化アセチルなどのパーエステル化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド;2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテートなどが挙げられる。過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素などを上記開始剤に組み合わせて使用してもよい。レドックス系開始剤は、例えば上記の過酸化物系開始剤と亜硫酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酒石酸、L−アスコルビン酸、ロンガリットなどの還元剤とを組み合わせた重合開始剤である。重合開始剤の使用量は、重合触媒により異なるために一概には決められないが、重合速度に応じて調整される。重合開始剤の使用量は、ビニルエステル単量体に対して0.01〜0.2モル%が好ましく、0.02〜0.15モル%がより好ましい。重合温度は特に限定されないが、室温〜150℃程度が適当であり、好ましくは40℃以上かつ使用する溶媒の沸点以下である。
エチレンと、上記式(II)で示されるビニルエステルと、上記式(III)あるいは(V)で示される不飽和単量体とを共重合する際には、本発明の効果が阻害されない範囲であれば、連鎖移動剤の存在下で共重合してもよい。連鎖移動剤としては、例えばアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドなどのアルデヒド類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;2−ヒドロキシエタンチオールなどのメルカプタン類;ホスフィン酸ナトリウム一水和物などのホスフィン酸塩類などが挙げられる。なかでも、アルデヒド類及びケトン類が好適に用いられる。重合反応液への連鎖移動剤の添加量は、連鎖移動剤の連鎖移動係数及び目的とする変性エチレン−ビニルエステル共重合体の重合度に応じて決定されるが、一般にビニルエステル単量体100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましい。
こうして得られた変性エチレン−ビニルエステル共重合体をケン化して、前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を得ることができる。このとき、共重合体中のビニルエステル単位はビニルアルコール単位に変換される。また、式(III)で示される不飽和単量体に由来するエステル結合も同時に加水分解され、1,3−ジオール構造に変換される。このように、一度のケン化反応によって種類の異なるエステル基を同時に加水分解することができる。
変性エチレン−ビニルエステル共重合体のケン化方法としては、公知の方法を採用できる。ケン化反応は、通常、アルコール又は含水アルコールの溶液中で行われる。このとき好適に使用されるアルコールは、メタノール、エタノールなどの低級アルコールであり、特に好ましくはメタノールである。ケン化反応に使用されるアルコール又は含水アルコールは、その重量の40重量%以下であれば、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、ベンゼンなどの他の溶媒を含んでもよい。ケン化に使用される触媒は、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物や、ナトリウムメチラートなどのアルカリ触媒、鉱酸などの酸触媒である。ケン化を行う温度は限定されないが、20〜120℃の範囲が好適である。ケン化の進行に従ってゲル状の生成物が析出してくる場合には、生成物を粉砕した後、洗浄、乾燥して、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を得ることができる。
本発明の変性エチレン−ビニルアルコール共重合体は、本発明の効果が阻害されない範囲であれば、エチレン、上記式(II)で示されるビニルエステル、及び上記式(III)あるいは(V)で示される不飽和単量体と共重合可能な、他のエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を含んでもよい。このようなエチレン性不飽和単量体としては、例えば、プロピレン、n−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセンなどのα−オレフィン類;アクリル酸及びその塩;アクリル酸エステル基を有する不飽和単量体;メタクリル酸及びその塩;メタクリル酸エステル基を有する不飽和単量体;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸及びその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミン及びその塩(例えば4級塩);メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸及びその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミン及びその塩(例えば4級塩);メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル、2,3−ジアセトキシ−1−ビニルオキシプロパンなどのビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル類;塩化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン類;酢酸アリル、2,3−ジアセトキシ−1−アリルオキシプロパン、塩化アリルなどのアリル化合物;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸及びその塩又はエステル;ビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン化合物;酢酸イソプロペニルなどが挙げられる。
こうして得られた前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体に、他の成分を配合して、前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む樹脂組成物を得る。
このとき、前記樹脂組成物がアルカリ金属塩を含有することが好ましい。このようにアルカリ金属塩を含有する樹脂組成物とすることによって、他の樹脂と積層した時の層間接着性が良好になる。アルカリ金属塩のカチオン種は特に限定されないが、ナトリウム塩又は及びカリウム塩が好適である。アルカリ金属塩のアニオン種も特に限定されない。カルボン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、リン酸水素塩、ホウ酸塩、水酸化物等として添加することができる。前記樹脂組成物中のアルカリ金属塩の含有量は、アルカリ金属元素換算で10〜500ppmであることが好ましい。アルカリ金属塩の含有量が10ppm未満の場合には層間接着性が不十分になる場合があり、より好適には50ppm以上である。一方、アルカリ金属塩の含有量が500ppmを超える場合には溶融安定性が不十分になる場合があり、より好適には300ppm以下である。
前記樹脂組成物がリン酸化合物を含有することも好ましい。このようにリン酸化合物を含有する樹脂組成物とすることによって、溶融成形時の着色を防止することができる。本発明に用いられるリン酸化合物は特に限定されず、リン酸、亜リン酸等の各種の酸やその塩等を用いることができる。リン酸塩としては第1リン酸塩、第2リン酸塩、第3リン酸塩のいずれの形で含まれていてもよいが、第1リン酸塩が好ましい。そのカチオン種も特に限定されるものではないが、アルカリ金属塩であることが好ましい。これらの中でもリン酸2水素ナトリウム及びリン酸2水素カリウムが好ましい。前記樹脂組成物中のリン酸化合物の含有量は、好適にはリン酸根換算で5〜200ppmであることが好ましい。リン酸化合物の含有量が5ppm未満の場合には、溶融成形時の耐着色性が不十分になる場合がある。一方、リン酸化合物の含有量が200ppmを超える場合には溶融安定性が不十分になる場合があり、より好適には160ppm以下である。
前記樹脂組成物がホウ素化合物を含有してもよい。このようにホウ素化合物を含有する樹脂組成物とすることによって、加熱溶融時のトルク変動を抑制することができる。本発明に用いられるホウ素化合物としては特に限定されず、ホウ酸類、ホウ酸エステル、ホウ酸塩、水素化ホウ素類等が挙げられる。具体的には、ホウ酸類としては、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸などが挙げられ、ホウ酸エステルとしてはホウ酸トリエチル、ホウ酸トリメチルなどが挙げられ、ホウ酸塩としては上記の各種ホウ酸類のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、ホウ砂などが挙げられる。これらの化合物のうちでもオルトホウ酸(以下、単にホウ酸と表示する場合がある)が好ましい。ホウ素化合物の含有量は、好適にはホウ素元素換算で20〜2000ppm以下であることが好ましい。ホウ素化合物の含有量が20ppm未満の場合には、加熱溶融時のトルク変動の抑制が不十分になる場合があり、より好適には50ppm以上である。一方、ホウ素化合物の含有量が2000ppmを超える場合にはゲル化しやすく、成形性が悪化する場合があり、より好適には1000ppm以下である。
また、本発明の効果が阻害されない範囲あれば、溶融安定性等を改善するために、ハイドロタルサイト化合物、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系熱安定剤、高級脂肪族カルボン酸の金属塩(例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等)の一種以上を前記樹脂組成物に0.001〜1重量%含有させても構わない。
前記樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、その他の成分を含有していていもよい。例えば、前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体以外の熱可塑性樹脂、可塑剤、滑剤、安定剤、界面活性剤、色剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、乾燥剤、架橋剤、金属塩、充填剤、各種繊維などの補強剤、酸化防止剤などが挙げられる。その他の成分の具体的な例としては次のようなものが挙げられる。
酸化防止剤:2,5−ジ−t−ブチル−ハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4’−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)等。
紫外線吸収剤:エチレン−2−シアノ−3’,3’−ジフェニルアクリレート、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等。
可塑剤:フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、ワックス、流動パラフィン、リン酸エステル等。
帯電防止剤:ペンタエリスリットモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、硫酸化ポリオレフィン類、ポリエチレンオキシド、カーボワックス等。
滑剤:エチレンビスステアロアミド、ブチルステアレート等。
着色剤:カーボンブラック、フタロシアニン、キナクリドン、インドリン、アゾ系顔料、ベンガラ等。
充填剤:グラスファイバー、アスベスト、バラストナイト、ケイ酸カルシウム等。
通常、前記樹脂組成物は、前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を50重量%以上含む。バリア性がより高くなる観点からは、前記樹脂組成物が、前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を75重量%以上含むことが好適であり、95重量%以上含むことがより好適であり、98重量%以上含むことがさらに好適である。
前記樹脂組成物の製造方法は特に限定されない。前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体とその他の成分とを、公知の方法により混合することにより前記樹脂組成物を得ることができる。また、その他の成分が溶解した水溶液に前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を浸漬して、前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体にその他の成分を含有させることにより、前記樹脂組成物を得ることもできる。
前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体の溶液を用いて成形することによりフィルムを得ることもできるが、前記樹脂組成物を溶融成形することによりフィルムを得ることが好ましい。本発明の熱収縮フィルムは、前記樹脂組成物からなる層のみからなる単層フィルムであってもよい。単層フィルムの製造に採用される溶融成形方法としては、押出成形、インフレーション成形などの方法が例示される。単層フィルムの厚みは、3〜5000μmが好適であり、10〜500μmがより好適である。こうして得られたフィルムは、後述する延伸工程に供される。
本発明の熱収縮フィルムは、前記樹脂組成物からなる層(以下、変性EVOH層と呼ぶことがある)と、前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体以外の熱可塑性樹脂からなる層(以下、他の熱可塑性樹脂層と呼ぶことがある)とを有する多層フィルムであることが好適である。このとき、一方の外層に変性EVOH層を、他方の外層に他の熱可塑性樹脂層を配置する構成、又は、変性EVOH層を中間層とし、その両側の外層に他の熱可塑性樹脂層を配置する構成が好ましく、後者がより好適である。変性EVOH層と他の熱可塑性樹脂層とが接着性樹脂層を介して接着されてなることも好ましい。
延伸前の多層フィルムにおける、変性EVOH層の厚みは、3〜250μmが好適であり、10〜100μmがより好適である。一方、他の熱可塑性樹脂層の厚みは特に制限されず、要求される透湿性、耐熱性、ヒートシール性、透明性などの性能や用途を考慮して適宜選択される。延伸前の多層フィルム全体の厚みは特に限定されないが、通常15〜6000μmである。
他の熱可塑性樹脂層に用いられる熱可塑性樹脂としては、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン−プロピレン(ブロック又はランダム)共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン共重合体、ポリブテン、ポリペンテン等のオレフィンの単独又は共重合体、或いはこれらを不飽和カルボン酸又はそのエステルでグラフト変性したものなどのポリオレフィン;ポリエステル;ポリアミド(共重合ポリアミドも含む);ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;アクリル樹脂;ポリスチレン;ポリビニルエステル;ポリエステルエラストマー;ポリウレタンエラストマー;塩素化ポリスチレン;塩素化ポリプロピレン;芳香族ポリケトン又は脂肪族ポリケトン、及びこれらを還元して得られるポリアルコール;ポリアセタール;ポリカーボネート等が挙げられる。なかでも、ヒートシール性及び熱収縮性が優れる観点からはエチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、ポリエチレンが好適に用いられ、突刺強度や耐ピンホール性等の機械強度が優れる観点からはポリアミドが好適に用いられる。
他の熱可塑性樹脂層に用いられる熱可塑性樹脂としてポリオレフィンを用いた場合の熱収縮フィルムの構成例として、ポリエチレン層/接着性樹脂層/変性EVOH層/接着性樹脂層/ポリエチレン層、ポリプロピレン層/接着性樹脂層/変性EVOH層/接着性樹脂層/ポリプロピレン層、アイオノマー層/接着性樹脂層/変性EVOH層/接着性樹脂層/アイオノマー層、エチレン−酢酸ビニル共重合体層/接着性樹脂層/変性EVOH層/接着性樹脂層/エチレン−酢酸ビニル共重合体層等が好適なものとして挙げられる。
他の熱可塑性樹脂層に用いられる熱可塑性樹脂としてポリアミドを用いる場合、ポリアミド層と変性EVOH層とが隣接する構成が好ましく用いられる。このような構成をとることで優れたバリア性と耐突き刺し強度とが得られる。さらに変性EVOH層に代えて汎用のバリア性樹脂を用いた場合に比べ、収縮後における透明性が優れる。ポリアミド層と変性EVOH層との間に接着性樹脂層を挟まない構成がより好ましい。
このようにポリアミド層と変性EVOH層が隣接する場合の構成として、ポリアミド層をN、前記変性EVOH及びポリアミド以外の熱可塑性樹脂層をTとすると、N/変性EVOH層/T、T/N/変性EVOH層/N/T、N/変性EVOH層/N/T、N/N/変性EVOH層/N/Tなどの構成が例示できる。N/変性EVOH層/接着性樹脂層/エチレン−酢酸ビニル共重合体層、ポリエチレン層/接着性樹脂層/N/変性EVOH層/N/接着性樹脂層/ポリエチレン層、N/変性EVOH層/N/接着性樹脂層/ポリエチレン層、N/接着性樹脂層/N/変性EVOH層/N/接着性樹脂層/ポリエチレン層等が好適なものとして挙げられる。
前記多層フィルムは各種の製造方法によって得ることができ、共押出法、ドライラミネート法、サンドラミネート法、押出ラミネート法、共押出ラミネート法、溶液コート法、などを採用することができる。これらの内、共押出法は、前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む樹脂組成物と、他の熱可塑性樹脂を、押出機より同時に押出して溶融状態下に積層し、ダイス出口から多層フィルム状に吐出する方法である。共押出法で製膜する場合、変性EVOH層と他の熱可塑性樹脂層を接着性樹脂層を挟んで積層する方法が好ましい。接着性樹脂としては、カルボキシル基、カルボン酸無水物基又はエポキシ基を有するポリオレフィンを用いることが好ましい。このような接着性樹脂は、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体との接着性にも、カルボキシル基、カルボン酸無水物基又はエポキシ基を含有しない他の熱可塑性樹脂との接着性にも優れている。
カルボキシル基を含有するポリオレフィンとしては、アクリル酸やメタクリル酸を共重合したポリオレフィンなどが挙げられる。このとき、アイオノマーに代表されるようにポリオレフィン中に含有されるカルボキシル基の全部あるいは一部が金属塩の形で存在していてもよい。カルボン酸無水物基を有するポリオレフィンとしては、無水マレイン酸やイタコン酸でグラフト変性されたポリオレフィンが挙げられる。また、エポキシ基を含有するポリオレフィン系樹脂としては、グリシジルメタクリレートを共重合したポリオレフィンが挙げられる。これらカルボキシル基、カルボン酸無水物基又はエポキシ基を有するポリオレフィンのうちでも、無水マレイン酸等のカルボン酸無水物で変性されたポリオレフィン、特にポリエチレン及びポリプロピレンが接着性に優れる点から好ましい。
こうして得られた延伸前の単層又は多層のフィルムの、20℃、85%RHにおける酸素透過速度が100cc・20μm/m・day・atm以下であることが好適である。酸素透過速度は、より好適には10cc・20μm/m・day・atm以下であり、さらに好適には5cc・20μm/m・day・atm以下である。
得られた単層又は多層のフィルムを延伸する。延伸は、一軸延伸であってもよいし、二軸延伸であってもよい。二軸延伸は、同時二軸延伸であってもよいし、逐次二軸延伸であってもよい。延伸方法としては、テンター延伸法、チューブラー延伸法、ロール延伸法などが例示される。本発明の熱収縮フィルムは、高い倍率で延伸されたものであることが好適である。具体的には、面積倍率7倍以上に延伸されてなる熱収縮フィルムが特に好適である。延伸温度は、通常50〜130℃である。フィルムを延伸する前に、放射線照射などによる架橋を施してもよい。収縮性をより高める観点からは、フィルムを延伸した後に、速やかに冷却することが好適である。
こうして得られた本発明の熱収縮フィルムの、20℃、85%RHにおける酸素透過速度が50cc・20μm/m・day・atm以下であることが好適である。酸素透過速度は、より好適には10cc・20μm/m・day・atm以下であり、さらに好適には5cc・20μm/m・day・atm以下である。
本発明の熱収縮フィルムは、バリア性、延伸性及び熱収縮性に優れ、しかも生産性にも優れている。したがって、食品包装容器、医薬品包装容器、工業薬品包装容器、農薬包装容器等の各種包装容器の材料として好適に用いられる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
実施例1
(1)変性エチレン−酢酸ビニル共重合体(変性EVAc)の合成
ジャケット、攪拌機、窒素導入口、エチレン導入口及び開始剤添加口を備えた50L加圧反応槽に、酢酸ビニル(式(II)において、Rがメチル基:以下、VAcと称する)を21kg、メタノール(以下、MeOHと称する)を2.1kg、2−メチレン−1,3−プロパンジオールジアセテート(式(III)において、R、R、R及びRが水素原子で、R6及びR7がメチル基:以下、MPDAcと称する)を1.1kg仕込み、60℃に昇温した後、30分間窒素バブリングして反応槽内を窒素置換した。次いで反応槽圧力(エチレン圧力)が4.2MPaとなるようにエチレンを導入した。反応槽内の温度を60℃に調整した後、開始剤として16.8gの2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業株式会社製「V−65」)をメタノール溶液として添加し、重合を開始した。重合中はエチレン圧力を4.2MPaに、重合温度を60℃に維持した。4.5時間後にVAcの重合率が34%となったところで冷却して重合を停止した。反応槽を開放して脱エチレンした後、窒素ガスをバブリングして脱エチレンを完全に行った。次いで減圧下で未反応のVAcを除去した後、MPDAc由来の構造単位が共重合により導入された変性エチレン−酢酸ビニル共重合体(本明細書中、変性EVAcと称することがある)にMeOHを添加して20質量%MeOH溶液とした。
(2)変性EVAcのケン化
ジャケット、攪拌機、窒素導入口、還流冷却器及び溶液添加口を備えた10L反応槽に(1)で得た変性EVAcの20質量%MeOH溶液4715gを仕込んだ。この溶液に窒素を吹き込みながら60℃に昇温し、水酸化ナトリウムの濃度が2規定のMeOH溶液を14.7mL/分の速度で2時間添加した。水酸化ナトリウムMeOH溶液の添加終了後、系内温度を60℃に保ちながら2時間攪拌してケン化反応を進行させた。その後酢酸を254g添加してケン化反応を停止した。その後、80℃で加熱攪拌しながら、イオン交換水3Lを添加し、反応槽外にMeOHを流出させ、変性エチレンービニルアルコール共重合体(以下、変性EVOHと称する)を析出させた。デカンテーションにより析出した変性EVOHを収集し、ミキサーで粉砕した。得られた変性EVOH粉末を1g/Lの酢酸水溶液(浴比20:粉末1kgに対して水溶液20Lの割合)に投入して2時間攪拌洗浄した。これを脱液し、さらに1g/Lの酢酸水溶液(浴比20)に投入して2時間攪拌洗浄した。これを脱液したものを、イオン交換水(浴比20)に投入して攪拌洗浄を2時間行い脱液する操作を3回繰り返して精製を行った。次いで、酢酸0.5g/L及び酢酸ナトリウム0.1g/Lを含有する水溶液10Lに4時間攪拌浸漬してから脱液し、これを60℃で16時間乾燥させることで変性EVOHの粗乾燥物を503g得た。
(3)変性EVOH含水ペレットの製造
ジャケット、攪拌機及び還流冷却器を備えた3L攪拌槽に、(2)を2回繰返して得た変性EVOHの粗乾燥物758g、水398g及びMeOH739gを仕込み、85℃に昇温して溶解させた。この溶解液を径4mmのガラス管を通して5℃に冷却した水/MeOH=90/10の混合液中に押し出してストランド状に析出させ、このストランドをストランドカッターでペレット状にカットすることで変性EVOHの含水ペレットを得た。得られた変性EVOHの含水ペレットの含水率をメトラー社製ハロゲン水分計「HR73
」で測定したところ、55質量%であった。
(4)変性EVOH組成物ペレットの製造
上記(3)で得た変性EVOHの含水ペレット1577gを1g/Lの酢酸水溶液(浴比20)に投入して2時間攪拌洗浄した。これを脱液し、さらに1g/Lの酢酸水溶液(浴比20)に投入して2時間攪拌洗浄した。脱液後、酢酸水溶液を更新し同様の操作を行った。酢酸水溶液で洗浄してから脱液したものを、イオン交換水(浴比20)に投入して攪拌洗浄を2時間行い脱液する操作を3回繰り返して精製を行い、ケン化反応時の触媒残渣が除去された、変性EVOHの含水ペレットを得た。当該含水ペレットを酢酸ナトリウム濃度0.525g/L、酢酸濃度0.8g/L、リン酸濃度0.007g/Lの水溶液(浴比20)に投入し、定期的に攪拌しながら4時間浸漬させた。これを脱液し、80℃で3時間、及び105℃で16時間乾燥させることによって、酢酸、ナトリウム塩及びリン酸化合物を含有した変性EVOH組成物ペレットを得た。
(5)変性EVAc中の各構造単位の含有量
変性EVAc中の、エチレン単位含有率(式(IV)におけるaモル%)、酢酸ビニル由来の構造単位の含有量(式(IV)におけるbモル%)及びMPDAc由来の構造単位の含有量(式(IV)におけるcモル%)は、ケン化前の変性EVAcを1H−NMR測定して算出した。
まず、(1)において得られた変性EVAcのMeOH溶液を少量サンプリングし、イオン交換水中で変性EVAcを析出させた。析出物を収集し、真空下、60℃で乾燥させることで変性EVAcの乾燥品を得た。次に、得られた変性EVAcの乾燥品を内部標準物質としてテトラメチルシランを含むジメチルスルホキシド(DMSO)−d6に溶解し、500MHzの1H−NMR(日本電子株式会社製:「GX−500」)を用いて80℃で測定した。
図1に、実施例1で得られた変性EVAcの1H−NMRスペクトルを示す。当該スペクトル中の各ピークは、以下のように帰属される。
・0.6〜1.0ppm:末端部位エチレン単位のメチレンプロトン(4H)
・1.0〜1.85ppm:中間部位エチレン単位のメチレンプロトン(4H)、MPD
Ac由来の構造単位の主鎖部位メチレンプロトン(2H)、酢酸ビニル単位のメチレンプ
ロトン(2H)
・1.85−2.1ppm:MPDAc由来の構造単位のメチルプロトン(6H)と酢酸
ビニル単位のメチルプロトン(3H)
・3.7−4.1ppm:MPDAc由来の構造単位の側鎖部位メチレンプロトン(4H

・4.4−5.3ppm:酢酸ビニル単位のメチンプロトン(1H)
上記帰属にしたがい、0.6〜1.0ppmの積分値をx、1.0〜1.85ppmの積分値をy、3.7−4.1ppmの積分値をz、4.4−5.3ppmの積分値をwとした場合、エチレン単位の含有量(a:モル%)、ビニルエステル単位の含有量(b:モル%)及びMPDAc由来の構造単位の含有量(c:モル%)は、それぞれ以下の式にしたがって算出される。
a=(2x+2y−z−4w)/(2x+2y+z+4w)×100
b=8w/(2x+2y+z+4w)×100
c=2z/(2x+2y+z+4w)×100
上記方法により算出した結果、エチレン単位の含有量(a)は32.0モル%、ビニルエステル単位の含有量(b)は64.1モル%、MPDAc由来の構造単位の含有量(c)は3.9モル%であった。変性EVAcにおけるa、b及びcの値は、ケン化処理後の変性EVOHにおけるa、b及びcの値と同じである。
(6)変性EVOHのケン化度
ケン化後の変性EVOHについても同様に1H−NMR測定を行った。上記(2)で得られた変性EVOHの粗乾燥物を、内部標準物質としてテトラメチルシラン、添加剤としてテトラフルオロ酢酸(TFA)を含むジメチルスルホキシド(DMSO)−d6に溶解し、500MHzの1H−NMR(日本電子株式会社製:「GX−500」)を用いて80℃で測定した。図2に、実施例1で得られた変性EVOHの1H−NMRスペクトルを示す。1.85〜2.1ppmのピーク強度が大幅に減少していることから、酢酸ビニルに含まれるエステル基に加え、MPDAc由来の構造単位に含まれるエステル基もケン化されて水酸基になっていることは明らかである。ケン化度は酢酸ビニル単位のメチルプロトン(1.85〜2.1ppm)と、ビニルアルコール単位のメチンプロトン(3.15〜4.15ppm)のピーク強度比より算出した。変性EVOHのケン化度は99.9モル%以上であった。
(7)変性EVOHの融点
上記(4)で得られた変性EVOH組成物ペレットについて、JIS K7121に準じて、30℃から215℃まで10℃/分の速度にて昇温した後100℃/分で−35℃まで急冷して再度−35℃から195℃まで10℃/分の昇温速度にて測定を実施した(セイコー電子工業株式会社製示差走査熱量計(DSC)「RDC220/SSC5200H」)。温度の校正にはインジウムと鉛を用いた。2ndランのチャートから前記JISにしたがって融解ピーク温度(Tpm)を求め、これを変性EVOHの融点とした。融点は151℃であった。
(8)変性EVOH組成物中のナトリウム塩含有量とリン酸化合物含有量
上記(4)で得られた変性EVOH組成物ペレット0.5gをテフロン(登録商標)製圧力容器に入れ、ここに濃硝酸5mLを加えて室温で30分間分解させた。30分後蓋をし、湿式分解装置(株式会社アクタック製:「MWS−2」)により150℃で10分間、次いで180℃で5分間加熱することで分解を行い、その後室温まで冷却した。この処理液を50mLのメスフラスコ(TPX製)に移し純水でメスアップした。この溶液について、ICP発光分光分析装置(パーキンエルマー社製「OPTIMA4300DV」)により含有金属の分析を行い、ナトリウム元素及びリン元素の含有量を求めた。ナトリウム塩含有量は、ナトリウム元素換算値で150ppmであり、リン酸化合物含有量は、リン酸根換算値で10ppmであった。
(9)フィルムの作製
上記(4)で得られた変性EVOH組成物ペレットを用いて、株式会社東洋精機製作所製20mm押出機「D2020」(D(mm)=20、L/D=20、圧縮比=2.0、スクリュー:フルフライト)を用いて以下の条件にて単層製膜を行い、変性EVOH組成物の単層フィルムを得た。
シリンダー温度:供給部175℃、圧縮部190℃、計量部190℃
ダイ温度:190℃
スクリュー回転数:40〜100rpm
吐出量:0.4〜1.5kg/時間
引取りロール温度:80℃
引取りロール速度:0.8〜3.2m/分
フィルム厚み:20〜150μm
なお、本明細書中の他の実施例では、以下の通り、変性EVOHの融点にしたがって、単層フィルムを作製する際の押出機の温度条件を設定した。
シリンダー温度:
供給部:175℃
圧縮部:変性EVOHの融点+30〜45℃
計量部:変性EVOHの融点+30〜45℃
ダイ温度:変性EVOHの融点+30〜45℃
(10)延伸試験
上記(9)で得られた厚さ150μmの単層フィルムを株式会社東洋精機製作所製パンタグラフ式二軸延伸装置にかけ、80℃で2×2倍〜4×4倍の延伸倍率において同時二軸延伸を行うことにより熱収縮フィルムを得た。フィルムが破れずに、ムラ及び局部的偏肉がなく延伸できた最大の延伸倍率を最大延伸倍率とした。その結果、4×4倍の延伸倍率においても、伸縮ムラ及び局部的偏肉がなく延伸できた。また、3×3倍の延伸倍率で延伸して得られた熱収縮フィルムを、以下の基準に従い評価した。その結果を表1に示す。
判定: 基準
A :延伸ムラ及び局部的偏肉が認められず、外観が良好であった。
B :延伸ムラ又は局部的偏肉が生じた。または、フィルムに破れが生じた。
(11)シュリンク試験
上記(10)で得られた延伸倍率3×3の熱収縮フィルムを10cm×10cmにカットし、80℃の熱水に10秒浸漬させ、シュリンク率(%)を下記のように算出した。シュリンク率は、85.3%であった。
シュリンク率(%)={(S−s)/S}×100
S:シュリンク前のフィルムの面積
s:シュリンク後のフィルムの面積
(12)酸素透過速度測定
上記(9)で得られた厚さ20μmの単層フィルムを20℃、85%RHの条件下で3日間調湿後、同条件下で酸素透過速度の測定(Mocon社製「OX−TORAN MODEL 2/21」)を行った。その結果、酸素透過速度(OTR)は4.5cc・20μm/m・day・atmであった。また、上記(10)で得られた3×3倍の延伸倍率で延伸して得られた熱収縮フィルムで同様に酸素透過速度(OTR)を測定したところ、3.3cc・20μm/m・day・atmであった。
(13)変性EVOH組成物層及びアイオノマー樹脂層を有する多層熱収縮フィルムの作製
上記(4)で得られた変性EVOH組成物ペレットを用いて多層フィルム[層構成:アイオノマー樹脂層/接着性樹脂層/変性EVOH組成物層/接着性樹脂層/アイオノマー樹脂層、厚み(μm):100/50/50/50/100]を作製した。このとき用いた共押出装置及び条件は下記のとおりである。フィルムの構成は両外層のアイオノマー樹脂(三井デュポンポリケミカル製「ハイミラン1652」)層が各100μm、また接着性樹脂(三井化学製「アドマーNF500」)層が各50μm、さらに変性EVOH組成物層が50μmである。得られた多層フィルムを用いて、パンタグラフ式二軸延伸機にて80℃で30秒間予熱後に延伸倍率4×4倍で同時二軸延伸を行い、熱収縮フィルムを得た。得られた熱収縮フィルムを下記(16)の方法により評価した。結果を表2に示す。
(共押出成形条件)
・各樹脂の押出温度:供給部/圧縮部/計量部/ダイ=170℃/170℃/変性EVOHの融点+30〜45℃/変性EVOHの融点+30〜45℃
押出機:
・アイオノマー樹脂 32φ押出機 GT−32−A型(株式会社プラスチック工学研究所製)
・接着性樹脂 25φ押出機 P25−18−AC型(大阪精機工作株式会社製)
・変性EVOH 20φ押出機 ラボ機ME型CO−EXT(株式会社東洋精機製)
Tダイ:300mm幅3種5層用(株式会社プラスチック工学研究所製)
冷却ロールの温度:50℃
引取速度:4m/分
(14)変性EVOH組成物層及びエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)層を有する多層熱収縮フィルムの作製
上記(4)で得られた変性EVOH組成物ペレットを用いて多層フィルム[層構成:EVA層/接着性樹脂層/変性EVOH組成物層/接着性樹脂層/EVA層、厚み(μm):300/50/50/50/300]を作製した。このとき用いた共押出装置及び条件は下記のとおりである。EVAとして三井デュポンポリケミカル製「エバフレックスEV340」、接着性樹脂として三井化学製「アドマーVF500」を用いた。得られた多層フィルムを用いて、東洋精機製パンタグラフ式二軸延伸装置にて80℃で30秒間予熱後、延伸倍率3×3倍で同時二軸延伸を行い、熱収縮フィルムを得た。得られた熱収縮フィルムを下記(16)の方法により評価した。結果を表2に示す。
(共押出条件)
・各樹脂の押出温度:供給部/圧縮部/計量部/ダイ=170℃/170℃/変性EVOHの融点+30〜45℃/変性EVOHの融点+30〜45℃
押出機:
・EVA 32φ押出機 GT−32−A型(株式会社プラスチック工学研究所製)
・接着性樹脂 25φ押出機 P25−18−AC型(大阪精機工作株式会社製)
・変性EVOH組成物 20φ押出機 ラボ機ME型CO−EXT(株式会社東洋精機製)
Tダイ:300mm幅3種5層用(株式会社プラスチック工学研究所製)
冷却ロールの温度:50℃
引取速度:4m/分
(15)変性EVOH組成物層及びポリアミド層を有する多層熱収縮フィルムの作製
上記(4)で得られた変性EVOH組成物ペレットを用いて多層フィルム[層構成:ポリアミド層/変性EVOH組成物層/ポリアミド層/接着性樹脂層/ポリエチレン層、厚み(μm):100/50/100/75/175]を作製した。このとき用いた共押出装置及び条件は下記のとおりである。ポリアミドとして宇部興産製「UBEナイロン5034B」、接着性樹脂として三井化学製「アドマーNF587」、ポリエチレンとして日本ポリエチレン株式会社製「ノバテックLD LF128」を用いた。得られた多層フィルムを用いて、東洋精機製パンタグラフ式二軸延伸装置にて80℃で30秒間予熱後、延伸倍率3×3倍で同時二軸延伸を行い、熱収縮フィルムを得た。得られた熱収縮フィルムを下記(16)の方法により評価した。結果を表2に示す。
(共押出条件)
・ポリアミドの押出温度:供給部/圧縮部/計量部/ダイ=220/240/260/260℃
・変性EVOH組成物の押出温度:供給部/圧縮部/計量部/ダイ=170/170/変性EVOHの融点+30〜45/260℃
押出機:
・ポリアミド 32φ押出機 GT−32−A型(株式会社プラスチック工学研究所製)
・接着性樹脂 25φ押出機 P25−18−AC型(大阪精機工作株式会社製)
・変性EVOH組成物 20φ押出機 ラボ機ME型CO−EXT(株式会社東洋精機製)
Tダイ:300mm幅3種5層用(株式会社プラスチック工学研究所製)
冷却ロールの温度:60℃
引取速度:4m/分
(16)収縮後の外観評価
上記(13)〜(15)で得られた多層熱収縮フィルムを10cm×10cmにカットし、90℃の熱水に10秒浸漬させ、収縮後のフィルムを目視し、下記の基準で評価した。結果を表2に示す。
A:着色も白化も生じることなく、均一に収縮した。
B:着色または白化が生じた。
実施例2
実施例1の(1)において、開始剤の量を8.4gにし、MPDAcの仕込量を0.92kgにした以外は、同様の方法で重合を行った。5時間後にVAcの重合率が35%となったところで冷却し重合を停止した。引き続き、実施例1と同様に変性EVOHを合成した。得られた変性EVOHを用いて、実施例1と同様にして単層熱収縮フィルムの作製及び評価を行った。結果を、表1にまとめて示す。なお、上記(10)に従い、3×3倍の延伸倍率で延伸して得られた熱収縮フィルムの酸素透過速度(OTR)を上記(12)に従い測定したところ、2.3cc・20μm/m・day・atmであった。
実施例3
実施例1の(1)において、エチレン圧力を4.1MPaにし、MPDAcの代わりに2−メチレン−1,3−プロパンジオールを1.5kg添加した以外は、同様の方法で重合を行った。5時間後にVAcの重合率が28%となったところで冷却し重合を停止した。引き続き、実施例1と同様に変性EVOHを合成して評価した。得られた変性EVOHを用いて、実施例1と同様にして単層熱収縮フィルムの作製及び評価を行った。結果を、表1にまとめて示す。
実施例4
実施例1の(1)において、開始剤の量を8.4gにし、MPDAcの仕込量を0.5kgにした以外は、同様の方法で重合を行った。6時間後にVAcの重合率が52%となったところで冷却し重合を停止した。引き続き、実施例1と同様に変性EVOHを合成した。得られた変性EVOHを用いて、実施例1と同様にして単層熱収縮フィルムの作製及び評価を行った。結果を、表1にまとめて示す。
実施例5
実施例1の(1)において、MeOHの量を6.3kgにし、エチレン圧力を3.8MPaにし、開始剤の量を8.4gにし、MPDAcの仕込量を98gにした以外は、同様の方法で重合を行った。4時間後にVAcの重合率が47%となったところで冷却し重合を停止した。引き続き、実施例1と同様に変性EVOHを合成した。得られた変性EVOHを用いて、実施例1と同様にして単層熱収縮フィルムの作製及び評価を行った。結果を、表1にまとめて示す。
実施例6
実施例4と同様にして変性EVAcを合成し、変性EVAcのメタノール溶液を得た。引き続き、水酸化ナトリウムのMeOH溶液を3.7mL/分の速度で添加した以外は、実施例1の(2)と同様の方法でケン化処理した。こうして得られた変性EVOHを用いて、実施例1と同様にして単層熱収縮フィルムの作製及び評価を行った。結果を、表1にまとめて示す。
す。
実施例7
実施例1の(1)において、MeOH量を2.5kgにし、開始剤の量を8.4gにし、エチレン圧力を3.4MPaにし、MPDAcの仕込量を0.77kgにした以外は、同様の方法で重合を行った。4時間後にVAcの重合率が32%となったところで冷却し重合を停止した。引き続き、実施例1と同様に変性EVOHを合成した。得られた変性EVOHを用いて、実施例1と同様にして単層熱収縮フィルムの作製及び評価を行った。結果を、表1にまとめて示す。
実施例8
実施例1の(1)において、MeOH量を1.1kgにし、開始剤の量を16.8gにし、エチレン圧力を6.0MPaにし、MPDAcの仕込量を1.1kgにした以外は、同様の方法で重合を行った。4時間後にVAcの重合率が22%となったところで冷却し重合を停止した。引き続き、実施例1と同様に変性EVOHを合成した。得られた変性EVOHを用いて、実施例1と同様にして単層熱収縮フィルムの作製及び評価を行った。結果を、表1にまとめて示す。
比較例1
実施例1の(1)において、MeOH量を6.3kgにし、エチレン圧力を3.7MPaにし、開始剤の量を4.2gにし、MPDAcを仕込まなかった以外は、同様の方法で重合を行い、未変性のEVAcを得た。4時間後にVAcの重合率が44%となったところで冷却し重合を停止した。引き続き、実施例1と同様にして、未変性のEVOHを合成して評価した。得られた未変性EVOHを用いて、実施例1と同様にして単層熱収縮フィルム及び多層熱収縮フィルムの作製及び評価を行った。結果を、表1と2にまとめて示す。
比較例2
実施例1の(1)において、MeOH量を6.3kgにし、開始剤の量を4.2gにし、エチレン圧力を2.9MPaにし、MPDAcを添加しなかった以外は、同様の方法で重合を行い、未変性のEVAcを得た。4時間後にVAcの重合率が50%となったところで冷却し重合を停止した。引き続き、実施例1と同様にして、未変性のEVOHを合成した。得られた未変性EVOHを用いて、実施例1と同様にして単層熱収縮フィルムの作製及び評価を行った。結果を、表1にまとめて示す。
比較例3
実施例1の(1)において、MeOH量を4.2kgにし、開始剤の量を4.2gにし、エチレン圧力を5.3MPaにし、MPDAcを添加しなかった以外は、同様の方法で重合を行い、未変性のEVAcを得た。3時間後にVAcの重合率が29.3%となったところで冷却し重合を停止した。引き続き、実施例1と同様にして、未変性のEVOHを合成した。得られた未変性EVOHを用いて、実施例1と同様にして単層熱収縮フィルムの作製及び評価を行った。結果を、表1にまとめて示す。
比較例4
市販のPVDC系熱収縮フィルム(旭化成製バリアロン−S)の収縮後の外観を評価した。収縮後の外観は、(16)に記載した方法により評価した。なお、上記PVDC系熱収縮フィルムの層構成は下記のとおりである。評価した結果を、表2にまとめて示す。
層構成:ポリエチレン/エチレン−酢酸ビニル共重合体/ポリ塩化ビニリデン/エチレン−酢酸ビニル共重合体/ポリエチレン(厚み7/18/9/25/13:単位はμm)
Figure 0005971173
Figure 0005971173

Claims (6)

  1. 下記式(I)で表され、全単量体単位に対するa、b及びcの含有率(モル%)が下記式(1)〜(3)を満足し、かつ下記式(4)で定義されるケン化度(DS)が90モル%以上である変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む樹脂組成物からなる層を有する熱収縮フィルム。
    Figure 0005971173
    [式(I)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、該アルキル基は水酸基、アルコキシ基又はハロゲン原子を含んでもよい。X、Y及びZは、それぞれ独立に水素原子、ホルミル基又は炭素数2〜10のアルカノイル基を表す。]
    18≦a≦55 (1)
    0.01≦c≦20 (2)
    [100−(a+c)]×0.9≦b≦[100−(a+c)] (3)
    DS=[(X、Y及びZのうち水素原子であるものの合計モル数)/(X、Y及びZの合計モル数)]×100 (4)
  2. 、R、R及びRが水素原子である請求項1に記載の熱収縮フィルム。
  3. X、Y及びZが、それぞれ独立に水素原子又はアセチル基である請求項1又は2に記載の熱収縮フィルム。
  4. 前記樹脂組成物がアルカリ金属塩をアルカリ金属元素換算で10〜500ppm含有する請求項1〜3のいずれかに記載の熱収縮フィルム
  5. 面積倍率7倍以上に延伸されてなる請求項1〜4に記載の熱収縮フィルム。
  6. さらに前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体以外の熱可塑性樹脂からなる層を有する請求項1〜5のいずれかに記載の熱収縮フィルム。
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