JP5971174B2 - 燃料容器 - Google Patents

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Description

本発明は、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む樹脂組成物からなる層を有する燃料容器に関する。
プラスチック製燃料容器としては、ポリエチレン製単層型のものが使用されているが、比較的高いガソリン透過性を有するという欠点がある。これに対し、バリア層にナイロンを用い、その両側に接着性樹脂層を介して高密度ポリエチレン層を設けた3種5層構造の多層の燃料容器が提案されている。また、ポリエチレンにナイロンを混合して溶融押出することにより、ポリエチレン層中にナイロンを不連続な薄層状に分散させてなる燃料容器も提案されている。
しかしながら、これらの燃料容器は、なお、ガソリンバリア性が不十分であった。また、ガソリンにメタノール、エタノール、メチルターシャリーブチルエーテル(MTBE)等の酸素元素含有化合物がブレンドされたガソリン(以下、含酸素ガソリンと略称することがある)、生物由来の脂肪酸エステルを含有するバイオディーゼル燃料等に対するバリア性にも問題があった。
一方、エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、EVOHと略称することがある)は、燃料バリア性、耐油性、耐溶剤性、保香性などに優れており、かかる特性を生かして、各種容器等、広い用途に用いられている。そして、エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下EVOHと略称することがある。)層を有する容器は、上述の燃料容器よりも良好な燃料のバリア性を有することが知られている。しかしながら、EVOHは弾性率が高く、大型の容器や複雑な形状の容器などにおいては、耐衝撃性が問題となることがあった。EVOHは他の樹脂に対する接着性が低いため、EVOHと他の樹脂を積層させた多層容器もまた衝撃による層間剥離が生じ易く問題であった。また、EVOHは弾性率が高いため、深い絞り形状や複雑な形状に二次加工することが容易ではなかった。
このようなことから、柔軟性及び他の熱可塑性樹脂に対する接着性に優れ、なおかつ二次加工性にも優れた樹脂が求められている。すなわち、EVOHが本来有する燃料バリア性をできるだけ損なわず、柔軟性、接着性及び二次加工性が改善された樹脂が求められている。
特許文献1には、EVOHの水酸基に一価のエポキシ化合物を反応させて得られる変性EVOHからなる層を有する燃料容器が記載されている。そして、当該燃料容器は、燃料のバリア性、耐衝撃性及び成形性が良好であったと記載されている。しかしながら、前記変性EVOHは、EVOHとエポキシ化合物を溶融状態で反応させて得られるため、製造工程が増え、製造コストが高くなる問題があった。
特許文献2には、エチレン、酢酸ビニル及び3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを共重合してからケン化し、3,4−ジヒドロキシ−1−ブテン単位が共重合された変性EVOHからなる層を有する燃料容器が記載されていて、当該燃料容器は、燃料バリア性能等に優れていることが記載されている。しかしながら、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンは、酢酸ビニルに比べて重合反応性が同等なので、低重合率で共重合体を取出した際には重合後にその多くが残留してしまう。そのため、洗浄や廃水処理の負荷が増大するし、製造コストの上昇が避けられなかった。
特開2004−161874号 WO2005/121194号
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、耐衝撃性、燃料のバリア性及び二次加工性に優れ、なおかつ生産性にも優れた燃料容器を提供するものである。
上記課題は、下記式(I)で表され、全単量体単位に対するa、b及びcの含有率(モル%)が下記式(1)〜(3)を満足し、かつ下記式(4)で定義されるケン化度(DS)が90モル%以上である変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む樹脂組成物からなる層を有する燃料容器を提供することによって解決される。
Figure 0005971174
[式(I)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、該アルキル基は水酸基、アルコキシ基又はハロゲン原子を含んでもよい。X、Y及びZは、それぞれ独立に水素原子、ホルミル基又は炭素数2〜10のアルカノイル基を表す。]
18≦a≦55 (1)
0.01≦c≦20 (2)
[100−(a+c)]×0.9≦b≦[100−(a+c)] (3)
DS=[(X、Y及びZのうち水素原子であるものの合計モル数)/(X、Y及びZの合計モル数)]×100 (4)
このとき、R、R、R及びRが水素原子であることが好適である。X、Y及びZが、それぞれ独立に水素原子又はアセチル基であることも好適である。
前記燃料容器が、前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体以外の熱可塑性樹脂からなる層をさらに有することも好適である。このとき、前記熱可塑性樹脂がポリオレフィンであることが好適であり、中間層が前記樹脂組成物からなる層であり、その両面に接着性樹脂層を介して前記熱可塑性樹脂からなる内外層が配置されていることも好適である。
前記燃料容器が、前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体及び前記熱可塑性樹脂を含む回収物を含む層をさらに有することが好適である。
前記燃料容器が、ブロー成形により製造されたものであることが好適であり、熱成形により製造されたものであることも好適である。
本発明に用いられる変性エチレン−ビニルアルコール共重合体は、柔軟性、種々の樹脂との接着性、及び燃料のバリア性に優れるうえに、二次加工性及び生産性にも優れる。したがって、本発明の燃料容器は、耐衝撃性及び燃料のバリア性に優れるうえに、二次加工性及び生産性にも優れている。
実施例1で得られた変性エチレン−酢酸ビニル共重合体のH−NMRスペクトルである。 実施例1で得られた変性エチレン−ビニルアルコール共重合体のH−NMRスペクトルである。
本発明の燃料容器は、下記式(I)で表され、全単量体単位に対するa、b及びcの含有率(モル%)が下記式(1)〜(3)を満足し、かつ下記式(4)で定義されるケン化度(DS)が90モル%以上である変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む樹脂組成物からなる層(以下、樹脂組成物層と略称することがある)を有するものである。この変性エチレン−ビニルアルコール共重合体は、エチレン単位及びビニルアルコール単位に加えて、共重合体の主鎖に1,3−ジオール構造を有する単量体単位を有することによって、当該単量体単位を含まないエチレン−ビニルアルコール共重合体に比べて結晶性が低下しているので、柔軟性、種々の樹脂に対する接着性及び二次加工性を向上させることができる。また、この変性エチレン−ビニルアルコール共重合体は、1,3−ジオール構造の強い水素結合力により、結晶性の低下に起因する燃料のバリア性の低下を軽減させることができる。すなわち、燃料のバリア性能の低下を最小限に抑えながら、柔軟性、接着性及び二次加工性を向上させることができる。さらに後述するように、この変性エチレン−ビニルアルコール共重合体は、低コストで製造することができる。このような変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む樹脂組成物からなる層を用いることにより、本発明の燃料容器は、優れた耐衝撃性及び燃料のバリア性を有するとともに、二次加工性にも優れ、なおかつ低コストで製造できる。
Figure 0005971174
式(I)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、該アルキル基は水酸基、アルコキシ基又はハロゲン原子を含んでもよい。X、Y及びZは、それぞれ独立に水素原子、ホルミル基又は炭素数2〜10のアルカノイル基を表す。
式(I)において、R、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。R、R、R及びRは同じ基であってもよいし、異なっていてもよい。該アルキル基の構造は特に限定されず、一部に分岐構造や環状構造を有していてもよい。また、該アルキル基は水酸基、アルコキシ基又はハロゲン原子を含んでもよい。R、R、R及びRは、好ましくは、水素又は炭素数1〜5のアルキル基であり、より好ましくは水素原子である。当該アルキル基の好適な例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基などの直鎖又は分岐を有するアルキル基が挙げられる。
式(I)において、X、Y及びZは、それぞれ独立に水素原子、ホルミル基又は炭素数2〜10のアルカノイル基を表す。X、Y又はZが水素原子である場合には、式(I)が水酸基を有し、X、Y又はZがホルミル基又はアルカノイル基である場合には、式(I)がエステル基を有する。当該アルカノイル基としては、炭素数が2〜5のアルカノイル基であることが好ましく、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基などが好適なものとして例示される。これらの中でも、アセチル基が特に好適である。X、Y及びZは、いずれも、水素原子、又は水素原子を含む混合物であることが好ましい。
Xを含む単量体単位は、通常、ビニルエステルをケン化することによって得られる。したがって、Xが、水素原子とホルミル基又は炭素数2〜10のアルカノイル基との混合物であることが好ましい。単量体(酢酸ビニル)の入手のし易さや製造コストを考慮すれば、Xが、水素原子とアセチル基との混合物であることが特に好ましい。
一方、Y及びZを含む単量体単位は、1,3−ジエステル構造を有する不飽和単量体単位を共重合してからケン化することによっても製造できるし、1,3−ジオール構造を有する不飽和単量体単位をそのまま共重合することによっても製造できる。したがって、Y及びZは、いずれも水素原子のみであってもよいし、水素原子とホルミル基又は炭素数2〜10のアルカノイル基との混合物、より好適には、水素原子とアセチル基との混合物であってもよい。
前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体は、全単量体単位に対するa、b及びcの含有率(モル%)が下記式(1)〜(3)を満足する。
18≦a≦55 (1)
0.01≦c≦20 (2)
[100−(a+c)]×0.9≦b≦[100−(a+c)] (3)
aは、全単量体単位に対するエチレン単位の含有率(モル%)を示したものであり、18〜55モル%である。エチレン単位含有率が18モル%未満では、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体の溶融成形性が悪化する。aは、好適には22モル%以上である。一方、エチレン単位含有率が55モル%を超えると、得られる容器の燃料のバリア性が不足する。aは、好適には50モル%以下である。
cは、全単量体単位に対する、式(I)中で右端に示されたY及びZを含む単量体単位の含有率(モル%)を示したものであり、0.01〜20モル%である。cが0.01モル%未満では、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体の二次加工性が不十分となる。cは、好適には0.1モル%以上であり、より好適には0.5モル%以上である。一方、cが20モル%を超えると、結晶性が極度に低下することによって得られる容器の燃料のバリア性が低下する。cは、好適には10モル%以下であり、より好適には5モル%以下である。
bは、全単量体単位に対するビニルアルコール単位及びビニルエステル単位の含有率(モル%)を示したものである。これが下記式(3)を満足する。
[100−(a+c)]×0.9≦b≦[100−(a+c)] (3)
すなわち、本発明の変性エチレン−ビニルアルコール共重合体においては、エチレン単位と式(I)中で右端に示されたY及びZを含む単量体単位以外の単量体単位のうちの90%以上がビニルアルコール単位又はビニルエステル単位であるということである。式(3)を満足しない場合、燃料のバリア性が不十分となる。好適には下記式(3’)を満足し、より好適には下記式(3”)を満足する。
[100−(a+c)]×0.95≦b≦[100−(a+c)] (3’)
[100−(a+c)]×0.98≦b≦[100−(a+c)] (3”)
前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体は、下記式(4)で定義されるケン化度(DS)が90モル%以上である。
DS=[(X、Y及びZのうち水素原子であるものの合計モル数)/(X、Y及びZの合計モル数)]×100 (4)
ここで、「X、Y及びZのうち水素原子であるものの合計モル数」は、水酸基のモル数を示し、「X、Y及びZの合計モル数」は、水酸基とエステル基の合計モル数を示す。ケン化度(DS)が90モル%未満になると、十分な燃料のバリア性能が得られないばかりか、前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体の熱安定性が不十分となり、溶融成形時にゲルやブツが発生しやすくなる。ケン化度(DS)は、好適には95モル%以上であり、より好適には98モル%以上であり、さらに好適には99モル%以上である。
ケン化度(DS)は、核磁気共鳴(NMR)法によって得ることができる。上記a、b及びcで示される単量体単位の含有率も、NMR法によって得ることができる。また、前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体は、通常ランダム共重合体である。ランダム共重合体であることは、NMRや融点の測定結果から確認できる。
前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体の好適なメルトフローレート(MFR)(190℃、2160g荷重下)は0.1〜30g/10分であり、より好適には0.3〜25g/10分、更に好適には0.5〜20g/10分である。但し、融点が190℃付近あるいは190℃を超えるものは2160g荷重下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶対温度の逆数を横軸、MFRの対数を縦軸にプロットし、190℃に外挿した値で表す。
ここで、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体が、異なる2種類以上の変性エチレン−ビニルアルコール共重合体の混合物からなる場合、a、b、cで示される単量体単位の含有率、ケン化度、MFRは、配合重量比から算出される平均値を用いる。
前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体の製造方法は特に限定されない。例えば、エチレン、下記式(II)で示されるビニルエステル、及び下記式(III)で示される不飽和単量体をラジカル重合させて下記式(IV)で示される変性エチレン−ビニルエステル共重合体を得た後に、それをケン化する方法が挙げられる。
Figure 0005971174
式(II)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜9のアルキル基を表す。当該アルキル基の炭素数は、好適には1〜4である。式(II)で示されるビニルエステルとしては、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、カプロン酸ビニルなどが例示される。経済的観点からは酢酸ビニルが特に好ましい。
Figure 0005971174
式(III)中、R、R、R及びRは式(I)に同じである。R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜9のアルキル基を表す。当該アルキル基の炭素数は、好適には1〜4である。式(III)で示される不飽和単量体としては、2−メチレン−1,3−プロパンジオールジアセテート、2−メチレン−1,3−プロパンジオールジプロピオネート、2−メチレン−1,3−プロパンジオールジブチレートなどが挙げられる。中でも、2−メチレン−1,3−プロパンジオールジアセテートが、製造が容易な点から好ましく用いられる。
Figure 0005971174
式(IV)中、R、R、R、R、R、R、R、a、b及びcは、式(I)〜(III)に同じである。こうして得られた変性エチレン−ビニルエステル共重合体は、その後ケン化処理される。
また、上記式(III)で示される不飽和単量体の代わりに、下記式(V)で示される不飽和単量体を共重合してもよく、この場合はケン化処理によって、上記式(II)で示される不飽和単量体由来の単位のみがケン化されることになる。
Figure 0005971174
式(V)中、R、R、R及びRは、式(I)と同じである。式(V)で示される不飽和単量体としては、2−メチレン−1,3−プロパンジオールが挙げられる。
本発明で用いられる式(III)及び式(V)で示される不飽和単量体は、ビニルエステル単量体との共重合反応性が高いため、共重合反応が進行しやすい。したがって、得られる変性エチレン−ビニルエステル共重合体の変性量や重合度を高くすることが容易である。また、低重合率で重合反応を停止させても重合終了時に残留する未反応の当該不飽和単量体の量が少ないので、環境面及びコスト面においても優れている。式(III)及び式(V)で示される不飽和単量体は、この点において、アリルグリシジルエーテルや3,4−ジアセトキシ−1−ブテンなど、アリル位に官能基を有する炭素原子が1個だけである他の単量体よりも優れている。ここで、式(III)で示される不飽和単量体は、式(V)で示される不飽和単量体よりも反応性が高い。
エチレンと、上記式(II)で示されるビニルエステルと、上記式(III)あるいは(V)で示される不飽和単量体とを共重合して、変性エチレン−ビニルエステル共重合体を製造する際の重合方式は、回分重合、半回分重合、連続重合、半連続重合のいずれでもよい。また、重合方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の方法を採用できる。無溶媒又はアルコールなどの溶媒中で重合を進行させる塊状重合法又は溶液重合法が、通常採用される。高重合度の変性エチレン−ビニルエステル共重合体を得る場合には、乳化重合法の採用が選択肢の一つとなる。
溶液重合法において用いられる溶媒は特に限定されないが、アルコールが好適に用いられ、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなどの低級アルコールがより好適に用いられる。重合反応液における溶媒の使用量は、目的とする変性エチレン−ビニルアルコール共重合体の粘度平均重合度や、溶媒の連鎖移動を考慮して選択すればよく、反応液に含まれる溶媒と全単量体との重量比(溶媒/全単量体)は、0.01〜10の範囲、好ましくは0.05〜3の範囲から選択される。
エチレンと、上記式(II)で示されるビニルエステルと、上記式(III)あるいは(V)で示される不飽和単量体とを共重合する際に使用される重合開始剤は、公知の重合開始剤、例えばアゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、レドックス系開始剤から重合方法に応じて選択される。アゾ系開始剤としては、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)が挙げられる。過酸化物系開始剤としては、例えばジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネートなどのパーカーボネート系化合物;t−ブチルパーオキシネオデカネート、α−クミルパーオキシネオデカネート、過酸化アセチルなどのパーエステル化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド;2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテートなどが挙げられる。過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素などを上記開始剤に組み合わせて使用してもよい。レドックス系開始剤は、例えば上記の過酸化物系開始剤と亜硫酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酒石酸、L−アスコルビン酸、ロンガリットなどの還元剤とを組み合わせた重合開始剤である。重合開始剤の使用量は、重合触媒により異なるために一概には決められないが、重合速度に応じて調整される。重合開始剤の使用量は、ビニルエステル単量体に対して0.01〜0.2モル%が好ましく、0.02〜0.15モル%がより好ましい。重合温度は特に限定されないが、室温〜150℃程度が適当であり、好ましくは40℃以上かつ使用する溶媒の沸点以下である。
エチレンと、上記式(II)で示されるビニルエステルと、上記式(III)あるいは(V)で示される不飽和単量体とを共重合する際には、本発明の効果が阻害されない範囲であれば、連鎖移動剤の存在下で共重合してもよい。連鎖移動剤としては、例えばアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドなどのアルデヒド類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;2−ヒドロキシエタンチオールなどのメルカプタン類;ホスフィン酸ナトリウム一水和物などのホスフィン酸塩類などが挙げられる。なかでも、アルデヒド類及びケトン類が好適に用いられる。重合反応液への連鎖移動剤の添加量は、連鎖移動剤の連鎖移動係数及び目的とする変性エチレン−ビニルエステル共重合体の重合度に応じて決定されるが、一般にビニルエステル単量体100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましい。
こうして得られた変性エチレン−ビニルエステル共重合体をケン化して、前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を得ることができる。このとき、共重合体中のビニルエステル単位はビニルアルコール単位に変換される。また、式(III)で示される不飽和単量体に由来するエステル結合も同時に加水分解され、1,3−ジオール構造に変換される。このように、一度のケン化反応によって種類の異なるエステル基を同時に加水分解することができる。
変性エチレン−ビニルエステル共重合体のケン化方法としては、公知の方法を採用できる。ケン化反応は、通常、アルコール又は含水アルコールの溶液中で行われる。このとき好適に使用されるアルコールは、メタノール、エタノールなどの低級アルコールであり、特に好ましくはメタノールである。ケン化反応に使用されるアルコール又は含水アルコールは、その重量の40重量%以下であれば、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、ベンゼンなどの他の溶媒を含んでもよい。ケン化に使用される触媒は、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物や、ナトリウムメチラートなどのアルカリ触媒、鉱酸などの酸触媒である。ケン化を行う温度は限定されないが、20〜120℃の範囲が好適である。ケン化の進行に従ってゲル状の生成物が析出してくる場合には、生成物を粉砕した後、洗浄、乾燥して、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を得ることができる。
前記変性エチレン−ビニルアルコール系重合体は、本発明の効果が阻害されない範囲であれば、エチレン、上記式(II)で示されるビニルエステル、及び上記式(III)あるいは(V)で示される不飽和単量体と共重合可能な、他のエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を含んでもよい。このようなエチレン性不飽和単量体としては、例えば、プロピレン、n−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセンなどのα−オレフィン類;アクリル酸及びその塩;アクリル酸エステル基を有する不飽和単量体;メタクリル酸及びその塩;メタクリル酸エステル基を有する不飽和単量体;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸及びその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミン及びその塩(例えば4級塩);メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸及びその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミン及びその塩(例えば4級塩);メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル、2,3−ジアセトキシ−1−ビニルオキシプロパンなどのビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル類;塩化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン類;酢酸アリル、2,3−ジアセトキシ−1−アリルオキシプロパン、塩化アリルなどのアリル化合物;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸及びその塩又はエステル;ビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン化合物;酢酸イソプロペニルなどが挙げられる。
こうして得られた前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体に、他の成分を配合して、前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む樹脂組成物を得る。
このとき、前記樹脂組成物がアルカリ金属塩を含有することが好ましい。このようにアルカリ金属塩を含有する樹脂組成物とすることによって、他の樹脂と積層した時の層間接着性が良好になる。アルカリ金属塩のカチオン種は特に限定されないが、ナトリウム塩又は及びカリウム塩が好適である。アルカリ金属塩のアニオン種も特に限定されない。カルボン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、リン酸水素塩、ホウ酸塩、水酸化物等として添加することができる。アルカリ金属塩の含有量は、アルカリ金属元素換算で10〜500ppmであることが好ましい。前記樹脂組成物中のアルカリ金属塩の含有量が10ppm未満の場合には層間接着性が不十分になる場合があり、より好適には50ppm以上である。一方、アルカリ金属塩の含有量が500ppmを超える場合には溶融安定性が不十分になる場合があり、より好適には300ppm以下である。
前記樹脂組成物がリン酸化合物を含有することも好ましい。このようにリン酸化合物を含有する樹脂組成物とすることによって、溶融成形時の着色を防止することができる。本発明に用いられるリン酸化合物は特に限定されず、リン酸、亜リン酸等の各種の酸やその塩等を用いることができる。リン酸塩としては第1リン酸塩、第2リン酸塩、第3リン酸塩のいずれの形で含まれていてもよいが、第1リン酸塩が好ましい。そのカチオン種も特に限定されるものではないが、アルカリ金属塩であることが好ましい。これらの中でもリン酸2水素ナトリウム及びリン酸2水素カリウムが好ましい。前記樹脂組成物中のリン酸化合物の含有量は、好適にはリン酸根換算で5〜200ppmであることが好ましい。リン酸化合物の含有量が5ppm未満の場合には、溶融成形時の耐着色性が不十分になる場合がある。一方、リン酸化合物の含有量が200ppmを超える場合には溶融安定性が不十分になる場合があり、より好適には160ppm以下である。
前記樹脂組成物がホウ素化合物を含有してもよい。このようにホウ素化合物を含有する樹脂組成物とすることによって、加熱溶融時のトルク変動を抑制することができる。本発明に用いられるホウ素化合物としては特に限定されず、ホウ酸類、ホウ酸エステル、ホウ酸塩、水素化ホウ素類等が挙げられる。具体的には、ホウ酸類としては、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸などが挙げられ、ホウ酸エステルとしてはホウ酸トリエチル、ホウ酸トリメチルなどが挙げられ、ホウ酸塩としては上記の各種ホウ酸類のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、ホウ砂などが挙げられる。これらの化合物のうちでもオルトホウ酸(以下、単にホウ酸と表示する場合がある)が好ましい。ホウ素化合物の含有量は、好適にはホウ素元素換算で20〜2000ppm以下であることが好ましい。ホウ素化合物の含有量が20ppm未満の場合には、加熱溶融時のトルク変動の抑制が不十分になる場合があり、より好適には50ppm以上である。一方、ホウ素化合物の含有量が2000ppmを超える場合にはゲル化しやすく、成形性が悪化する場合があり、より好適には1000ppm以下である。
また、本発明の効果が阻害されない範囲あれば、溶融安定性等を改善するために、ハイドロタルサイト化合物、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系熱安定剤、高級脂肪族カルボン酸の金属塩(例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等)の一種以上を前記樹脂組成物に0.001〜1重量%含有させても構わない。
前記樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、その他の成分を含有していていもよい。例えば、前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体以外の熱可塑性樹脂、可塑剤、滑剤、安定剤、界面活性剤、色剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、乾燥剤、架橋剤、金属塩、充填剤、各種繊維などの補強剤、酸化防止剤などが挙げられる。その他の成分の具体的な例としては次のようなものが挙げられる。
酸化防止剤:2,5−ジ−t−ブチル−ハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4’−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’−チオビス−(6−t−ブチルフェノール)等。
紫外線吸収剤:エチレン−2−シアノ−3’,3’−ジフェニルアクリレート、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等。
可塑剤:フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、ワックス、流動パラフィン、リン酸エステル等。
帯電防止剤:ペンタエリスリットモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、硫酸化ポリオレフィン類、ポリエチレンオキシド、カーボワックス等。
滑剤:エチレンビスステアロアミド、ブチルステアレート等。
着色剤:カーボンブラック、フタロシアニン、キナクリドン、インドリン、アゾ系顔料、ベンガラ等。
充填剤:グラスファイバー、バラストナイト、ケイ酸カルシウム等。
通常、前記樹脂組成物は、前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を50重量%以上含む。燃料のバリア性がより高くなる観点からは、前記樹脂組成物が、前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を75重量%以上含むことが好適であり、95重量%以上含むことがより好適であり、98重量%以上含むことがさらに好適である。
前記樹脂組成物の製造方法は特に限定されない。前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体とその他の成分とを、公知の方法により混合することにより前記樹脂組成物を得ることができる。また、その他の成分が溶解した水溶液に前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を浸漬して、前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体にその他の成分を含有させることにより、前記樹脂組成物を得ることもできる。
前記樹脂組成物を成形して、本発明の燃料容器が得られる。本発明の燃料容器は、前記樹脂組成物からなる層のみからなる単層容器であってもよいし、さらに、その他の材料の層を積層した多層容器であってもよい。力学的強度及び燃料のバリア性をさらに高めるためには、多層容器とすることが好適である。本発明の燃料容器は、前記樹脂組成物層と、前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体以外の熱可塑性樹脂からなる層(以下、他の熱可塑性樹脂層と略称することがある)とを有する多層容器であることが好適である。
前記樹脂組成物層と、他の熱可塑性樹脂層とを積層する場合には、両層の間に接着性樹脂層を配置することが好ましい。前記多層容器は、樹脂組成物層の片側にのみ他の熱可塑性樹脂層が配置されたものであっても構わないが、中間層が樹脂組成物層であり、その両面に接着性樹脂層を介して他の熱可塑性樹脂からなる内外層が配置されたものであることが好適である。
他の熱可塑性樹脂層に用いられる、前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体以外の熱可塑性樹脂(以下、他の熱可塑性樹脂と略称することがある)としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などのポリオレフィン;ポリアミド;ポリエステル;ポリスチレン;ポリ塩化ビニル;アクリル樹脂;ポリ塩化ビニリデン;ポリアセタール;ポリカーボネートなどが例示される。
なかでも前記熱可塑性樹脂がポリオレフィンであることが好適である。この場合には、上述した、多層にすることによって得られる効果が特に優れている。さらに、通常の条件下だけでなく、高湿度下での燃料のバリア性も向上する。
なかでも、高密度ポリエチレンが特に好適に使用される。本発明における高密度ポリエチレンとは、たとえばチグラー触媒を用い、低圧法又は中圧法により得られるもので、密度0.93g/cm以上、好適には0.94g/cm以上のものである。密度は、通常0.965g/cm以下である。本発明において高密度ポリエチレンの好適なメルトインデックス(MI)は、(190℃、2160g荷重下で測定した値)は、0.001〜0.6g/10分、好適には0.005〜0.1g/10分である。
このような高密度ポリエチレン層を、前記樹脂組成物層の片面又は両面に積層することにより、耐衝撃性及び燃料のバリア性がさらに優れた燃料容器を得ることができる。高密度ポリエチレン層は、最内層、又は、最内層及び最外層にあることが好適な態様である。
接着性樹脂層に使用される樹脂は特に限定されるものではないが、ポリウレタン系、ポリエステル系一液型あるいは二液型硬化性接着剤;カルボキシル基、カルボン酸無水物基又はエポキシ基を有するポリオレフィンを用いることが好ましい。なかでも、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体との接着性にも、カルボキシル基、カルボン酸無水物基又はエポキシ基を含有しない他の熱可塑性樹脂との接着性にも優れている点から、後者がより好ましい。
カルボキシル基を含有するポリオレフィンとしては、アクリル酸やメタクリル酸を共重合したポリオレフィンなどが挙げられる。このとき、アイオノマーに代表されるようにポリオレフィン中に含有されるカルボキシル基の全部あるいは一部が金属塩の形で存在していてもよい。カルボン酸無水物基を有するポリオレフィンとしては、無水マレイン酸やイタコン酸でグラフト変性されたポリオレフィンが挙げられる。また、エポキシ基を含有するポリオレフィン系樹脂としては、グリシジルメタクリレートを共重合したポリオレフィンが挙げられる。これらカルボキシル基、カルボン酸無水物基又はエポキシ基を有するポリオレフィンのうちでも、無水マレイン酸等のカルボン酸無水物で変性されたポリオレフィン、特にポリエチレン及びポリプロピレンが接着性に優れる点から好ましい。
本発明の燃料容器が、前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体及び前記他の熱可塑性樹脂を含む回収物を含む層(以下、回収物層と略称することがある)をさらに有しても構わない。ここで、回収物としては、成形品を製造する場合に発生する成形ロス部分や、一般消費者に使用された後のスクラップの粉砕物等が挙げられる。前記層中の回収物の含有量は、通常、50重量%以上であり、75重量%以上が好適である。回収物層中の前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体の含有量は、50重量%未満であり、20重量%以下が好適である。なお、回収物層に含有される前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体は、回収物に由来するものである。
他の熱可塑性樹脂層をT、接着性樹脂層をAD、及び回収物層をREGと表すとき、次のような層構成が例としてあげられる。
3層:樹脂組成物層/AD/T;
4層:樹脂組成物層/AD/REG/T、樹脂組成物層/AD/T/REG;
5層:T/AD/樹脂組成物層/AD/T、REG/AD/樹脂組成物層/AD/T、T/AD/樹脂組成物層/AD/REG;
6層:T/REG/AD/樹脂組成物層/AD/T、REG/T/AD/樹脂組成物層/AD/T、T/REG/AD/樹脂組成物層/AD/REG、REG/T/AD/樹脂組成物層/AD/REG;
7層:T/REG/AD/樹脂組成物層/AD/REG/T、T/REG/AD/樹脂組成物層/AD/T/REG、REG/T/AD/樹脂組成物層/AD/T/REG、REG/T/AD/樹脂組成物層/AD/REG/T;
ただし、層構成は、上記に限定されるものではない。これらのうち、好適な層構成としては、T/AD/樹脂組成物層/AD/T、T/REG/AD/樹脂組成物層/AD/T等が挙げられる。
これらの各層の厚みはとくに限定されるものではないが、他の熱可塑性樹脂層の合計厚みは好適には300〜10000μm、より好適には500〜8000μm、さらに好適には800〜6000μmである。接着性樹脂層の合計厚みは好適には5〜1000μm、より好適には10〜500μm、さらに好適には20〜300μmである。樹脂組成物層の合計厚みは好適には5〜1000μm、より好適には20〜800μm、さらに好適には50〜600μmである。また全体厚みは好適には300〜12000μm、より好適には500〜8500μm、さらに好適には1000〜7000μmである。なお、これらの厚みは燃料容器の胴部における平均厚みをいう。全体厚みが大きすぎると重量が大きくなりすぎ、自動車等の燃費に悪影響を及ぼし、燃料容器のコストも上昇する。一方全体厚みが小さすぎると剛性が保てず、容易に破壊されてしまう問題がある。したがって、容量や用途に対応した厚みを設定することが重要である。
なお、本発明において多層容器を形成する各層に各種の添加剤を配合することもできる。このような添加剤としては、酸化防止剤、可塑剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、フィラー等が挙げられ、具体的には、樹脂組成物層に添加することができるものとして前述したようなものが挙げられる。
本発明の燃料容器を成形する方法は、特に限定されるものではない。例えば、一般のポリオレフィンの分野において実施されている成形方法、例えば、押出成形、ブロー成形、射出成形、熱成形等を挙げることができる。なかでも、ブロー成形法及び熱成形法が好適であり、特に共押出ブロー成形法あるいは共押出シート熱成形法が好適である。
これまで、共押出ブロー成形法あるいは共押出シート熱成形法によって燃料容器を製造する場合においては、通常中間層として用いられるEVOH層に対して容器形状に二次加工する際に延展効果が働き、EVOH層の容器内における厚みが均一とならないことがあった。特に容器の角部などにおいてEVOH層にネッキング現象が起こった場合には、その部位におけるEVOH層の厚みが容器全体のEVOH層厚みの平均値に対して著しく薄くなり、容器全体のバリア性を損なうことがあった。この現象に関しては、特に共押出シート熱成形法の場合に、角部のEVOH厚みの低下に伴うバリア低下が顕著となることが多かった。本発明で使用する変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を含有する樹脂組成物は、柔軟性及び延伸性に優れていることから、二次加工性に優れているため、このような問題を低減することができる。したがって、共押出ブロー成形法あるいは共押出シート熱成形法によって燃料容器を成形する場合に、本発明の構成とする実益が大きい。
ブロー成形法によって多層容器を製造する場合には、共射出ブロー成形と共押出ブロー成形のいずれの方法も採用可能であるが、複雑な容器形状に対応することが容易な共押出ブロー成形が好適である。共押出ブロー成形においては、溶融押出により多層のパリソンを形成し、このパリソンを一対のブロー成形用金型で挟持する。このとき、前記金型によりパリソンを喰切ると共に対向する喰切部を融着させる。次いで当該パリソンを前記金型内で膨張させることにより容器の形に成形する。ただし、自動車用燃料容器など、大型容器を成形する場合は金型によりパリソンを挟持した際に、溶着させるが、喰切は行わないことが多い。その場合、パリソンを膨張させた後に、容器表面からからはみ出た部分を任意の高さでカッターなどで切断することが多い。
また、本発明の燃料容器をブロー成形する際の金型温度は、5〜30℃であることが好適であり、10〜30℃であることがより好ましく、10〜20℃であることがさらに好ましい。金型温度が5℃未満の場合は、金型表面が結露しやすくなり、得られる成形品の外観が不良となるおそれがある。また、金型温度が30℃を超える場合は、成形後の冷却時間が長くなるために生産性が低下するおそれがあり、成形品が充分に冷却できない場合は、ひずみが発生するおそれがある。
また、熱成形法によって製造する場合には、前記樹脂組成物層を有するシートを熱成形して熱成形シートを得た後、二つの熱成形シートの端部同士をヒートシールすることによって接合して燃料容器を製造する。このとき、前記樹脂組成物層を有する多層シートを使用すれば、多層容器を製造することができる。
分野において実施されている成形方法によりシートを作製し、得られた多層シートを熱成形することにより、熱成形シートが得られる。前記多層シートを製造するための方法としては、例えばTダイ成形、共押出成形、ドライラミネート成形等を採用することができ、特に共押出成形が好適である。
本発明でいう熱成形とは、シート等を加熱して軟化させた後に、金型形状に成形することをいう。成形方法としては、真空あるいは圧空を用い、必要に応じてプラグを併用して金型形状に成形する方法(ストレート法、ドレープ法、エアスリップ法、スナップバック法、プラグアシスト法など)やプレス成形する方法などが好適なものとして挙げられる。成形温度、真空度、圧空の圧力又は成形速度等の各種成形条件は、プラグ形状や金型形状又は原料シートの性質等により適当に設定される。
前記多層シートを熱成形する際の成形温度は特に限定されるものではなく、前記多層シートの構成によって適宜調整する。例えば、成形温度としては、130〜200℃であることが好ましく、135〜195℃であることがより好ましく、140〜190℃であることがさらに好ましい。
なお、上記熱成形の作業性を向上させる観点からは、ヒートシール部分が多少大きめになるような条件で熱成形を行い、熱成形を行った後に、不要な部分をカッターなどで切断することが好ましい。このようにして得られた熱成形シートからなる上底面及び下底面を、前記熱成形シートの端部同士をヒートシールして接合することによって、本発明の燃料容器が得られる。
得られた成形品や成形途中のパリソンやシートなどの容器前駆体に対して、放射線照射などによる架橋を施してもよい。
本発明における燃料容器とは、自動車、オートバイ、船舶、航空機、発電機及び工業用、農業用機器に搭載された燃料容器、もしくは、これら燃料容器に燃料を補給するための携帯用容器、さらには、これらを稼動するために用いる燃料を保管するための容器を意味する。また燃料としてはレギュラーガソリン、メタノール、エタノール、トルエン又はMTBE等をブレンドしたガソリン、バイオディーゼル燃料が代表例としてあげられるが、その他の重油、軽油、灯油なども例示される。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
実施例1
(1)変性エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVAc)の合成
ジャケット、攪拌機、窒素導入口、エチレン導入口及び開始剤添加口を備えた50L加圧反応槽に、酢酸ビニル(式(II)において、Rがメチル基:以下、VAcと称する)を21kg、メタノール(以下、MeOHと称する)を2.1kg、2−メチレン−1,3−プロパンジオールジアセテート(式(III)において、R、R、R及びRが水素原子で、R及びRがメチル基:以下、MPDAcと称する)を1.1kg仕込み、60℃に昇温した後、30分間窒素バブリングして反応槽内を窒素置換した。次いで反応槽圧力(エチレン圧力)が4.2MPaとなるようにエチレンを導入した。反応槽内の温度を60℃に調整した後、開始剤として16.8gの2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業株式会社製「V−65」)をメタノール溶液として添加し、重合を開始した。重合中はエチレン圧力を4.2MPaに、重合温度を60℃に維持した。4.5時間後にVAcの重合率が34%となったところで冷却して重合を停止した。反応槽を開放して脱エチレンした後、窒素ガスをバブリングして脱エチレンを完全に行った。次いで減圧下で未反応のVAcを除去した後、MPDAc由来の構造単位が共重合により導入された変性エチレン−酢酸ビニル共重合体(本明細書中、変性EVAcと称することがある)にMeOHを添加して20質量%MeOH溶液とした。
(2)変性EVAcのケン化
ジャケット、攪拌機、窒素導入口、還流冷却器及び溶液添加口を備えた10L反応槽に(1)で得た変性EVAcの20質量%MeOH溶液4715gを仕込んだ。この溶液に窒素を吹き込みながら60℃に昇温し、水酸化ナトリウムの濃度が2規定のMeOH溶液を14.7mL/分の速度で2時間添加した。水酸化ナトリウムMeOH溶液の添加終了後、系内温度を60℃に保ちながら2時間攪拌してケン化反応を進行させた。その後酢酸を254g添加してケン化反応を停止した。その後、80℃で加熱攪拌しながら、イオン交換水3Lを添加し、反応槽外にMeOHを流出させ、変性エチレンービニルアルコール共重合体(以下、変性EVOHと称する)を析出させた。デカンテーションにより析出した変性EVOHを収集し、ミキサーで粉砕した。得られた変性EVOH粉末を1g/Lの酢酸水溶液(浴比20:粉末1kgに対して水溶液20Lの割合)に投入して2時間攪拌洗浄した。これを脱液し、さらに1g/Lの酢酸水溶液(浴比20)に投入して2時間攪拌洗浄した。これを脱液したものを、イオン交換水(浴比20)に投入して攪拌洗浄を2時間行い脱液する操作を3回繰り返して精製を行った。次いで、酢酸0.5g/L及び酢酸ナトリウム0.1g/Lを含有する水溶液10Lに4時間攪拌浸漬してから脱液し、これを60℃で16時間乾燥させることで変性EVOHの粗乾燥物を503g得た。
(3)変性EVOH含水ペレットの製造
ジャケット、攪拌機及び還流冷却器を備えた3L攪拌槽に、(2)を2回繰返して得た変性EVOHの粗乾燥物758g、水398g及びMeOH739gを仕込み、85℃に昇温して溶解させた。この溶解液を径4mmのガラス管を通して5℃に冷却した水/MeOH=90/10の混合液中に押し出してストランド状に析出させ、このストランドをストランドカッターでペレット状にカットすることで変性EVOHの含水ペレットを得た。得られた変性EVOHの含水ペレットの含水率をメトラー社製ハロゲン水分計「HR73
」で測定したところ、55質量%であった。
(4)変性EVOH組成物ペレットの製造
上記(3)で得た変性EVOHの含水ペレット1577gを1g/Lの酢酸水溶液(浴比20)に投入して2時間攪拌洗浄した。これを脱液し、さらに1g/Lの酢酸水溶液(浴比20)に投入して2時間攪拌洗浄した。脱液後、酢酸水溶液を更新し同様の操作を行った。酢酸水溶液で洗浄してから脱液したものを、イオン交換水(浴比20)に投入して攪拌洗浄を2時間行い脱液する操作を3回繰り返して精製を行い、ケン化反応時の触媒残渣が除去された、変性EVOHの含水ペレットを得た。当該含水ペレットを酢酸ナトリウム濃度0.525g/L、酢酸濃度0.8g/L、リン酸濃度0.007g/Lの水溶液(浴比20)に投入し、定期的に攪拌しながら4時間浸漬させた。これを脱液し、80℃で3時間、及び105℃で16時間乾燥させることによって、酢酸、ナトリウム塩及びリン酸化合物を含有した変性EVOH組成物ペレットを得た。
(5)変性EVAc中の各構造単位の含有量
変性EVAc中の、エチレン単位含有率(式(IV)におけるaモル%)、酢酸ビニル由来の構造単位の含有量(式(IV)におけるbモル%)及びMPDAc由来の構造単位の含有量(式(IV)におけるcモル%)は、ケン化前の変性EVAcをH−NMR測定して算出した。
まず、(1)において得られた変性EVAcのMeOH溶液を少量サンプリングし、イオン交換水中で変性EVAcを析出させた。析出物を収集し、真空下、60℃で乾燥させることで変性EVAcの乾燥品を得た。次に、得られた変性EVAcの乾燥品を内部標準物質としてテトラメチルシランを含むジメチルスルホキシド(DMSO)−d6に溶解し、500MHzのH−NMR(日本電子株式会社製:「GX−500」)を用いて80℃で測定した。
図1に、実施例1で得られた変性EVAcのH−NMRスペクトルを示す。当該スペクトル中の各ピークは、以下のように帰属される。
・0.6〜1.0ppm:末端部位エチレン単位のメチレンプロトン(4H)
・1.0〜1.85ppm:中間部位エチレン単位のメチレンプロトン(4H)、MPD
Ac由来の構造単位の主鎖部位メチレンプロトン(2H)、酢酸ビニル単位のメチレンプ
ロトン(2H)
・1.85−2.1ppm:MPDAc由来の構造単位のメチルプロトン(6H)と酢酸
ビニル単位のメチルプロトン(3H)
・3.7−4.1ppm:MPDAc由来の構造単位の側鎖部位メチレンプロトン(4H

・4.4−5.3ppm:酢酸ビニル単位のメチンプロトン(1H)
上記帰属にしたがい、0.6〜1.0ppmの積分値をx、1.0〜1.85ppmの積分値をy、3.7−4.1ppmの積分値をz、4.4−5.3ppmの積分値をwとした場合、エチレン単位の含有量(a:モル%)、ビニルエステル単位の含有量(b:モル%)及びMPDAc由来の構造単位の含有量(c:モル%)は、それぞれ以下の式にしたがって算出される。
a=(2x+2y−z−4w)/(2x+2y+z+4w)×100
b=8w/(2x+2y+z+4w)×100
c=2z/(2x+2y+z+4w)×100
上記方法により算出した結果、エチレン単位の含有量(a)は32.0モル%、ビニルエステル単位の含有量(b)は64.1モル%、MPDAc由来の構造単位の含有量(c)は3.9モル%であった。変性EVAcにおけるa、b及びcの値は、ケン化処理後の変性EVOHにおけるa、b及びcの値と同じである。
(6)変性EVOHのケン化度
ケン化後の変性EVOHについても同様にH−NMR測定を行った。上記(2)で得られた変性EVOHの粗乾燥物を、内部標準物質としてテトラメチルシラン、添加剤としてテトラフルオロ酢酸(TFA)を含むジメチルスルホキシド(DMSO)−d6に溶解し、500MHzのH−NMR(日本電子株式会社製:「GX−500」)を用いて80℃で測定した。図2に、実施例1で得られた変性EVOHのH−NMRスペクトルを示す。1.85〜2.1ppmのピーク強度が大幅に減少していることから、酢酸ビニルに含まれるエステル基に加え、MPDAc由来の構造単位に含まれるエステル基もケン化されて水酸基になっていることは明らかである。ケン化度は酢酸ビニル単位のメチルプロトン(1.85〜2.1ppm)と、ビニルアルコール単位のメチンプロトン(3.15〜4.15ppm)のピーク強度比より算出した。変性EVOHのケン化度は99.9モル%以上であった。
(7)変性EVOHの融点
上記(4)で得られた変性EVOH組成物ペレットについて、JIS K7121に準じて、30℃から215℃まで10℃/分の速度にて昇温した後100℃/分で−35℃まで急冷して再度−35℃から195℃まで10℃/分の昇温速度にて測定を実施した(セイコー電子工業株式会社製示差走査熱量計(DSC)「RDC220/SSC5200H」)。温度の校正にはインジウムと鉛を用いた。2ndランのチャートから前記JISにしたがって融解ピーク温度(Tpm)を求め、これを変性EVOHの融点とした。融点は151℃であった。
(8)変性EVOH組成物中のナトリウム塩含有量とリン酸化合物含有量
上記(4)で得られた変性EVOH組成物ペレット0.5gをテフロン(登録商標)製圧力容器に入れ、ここに濃硝酸5mLを加えて室温で30分間分解させた。30分後蓋をし、湿式分解装置(株式会社アクタック製:「MWS−2」)により150℃で10分間、次いで180℃で5分間加熱することで分解を行い、その後室温まで冷却した。この処理液を50mLのメスフラスコ(TPX製)に移し純水でメスアップした。この溶液について、ICP発光分光分析装置(パーキンエルマー社製「OPTIMA4300DV」)により含有金属の分析を行い、ナトリウム元素及びリン元素の含有量を求めた。ナトリウム塩含有量は、ナトリウム元素換算値で150ppmであり、リン酸化合物含有量は、リン酸根換算値で10ppmであった。
(9)ブロー成形容器の作製
高密度ポリエチレン(HDPE)として三井石油化学製「HZ8200B」(190℃、2160g荷重におけるMFR=0.01g/10分)、接着性樹脂として三井化学製「アドマーGT4」(190℃、2160g荷重下におけるMFR=0.2g/10分)を、バリア材として実施例1で作製した変性EVOH組成物ペレットを用いた。鈴木製工所製ブロー成形機TB−ST−6Pにて各樹脂の押出温度及びダイス温度を210℃に設定し、HDPE/接着性樹脂/バリア材/接着性樹脂/HDPEの層構成を有する3種5層パリソンを押し出し、15℃の金型内でブローし、20秒冷却して、500mLの多層容器を得た。前記容器の胴部における平均厚みは2175μmであり、各層の厚みは、(内側)HDPE/接着性樹脂/バリア材/接着性樹脂/HDPE(外側)=1000/50/75/50/1000μmであった。容器は特に問題なく成形できた。また、容器の外観は良好であった。
(10)燃料のバリア性評価
上記(9)で得られた多層容器にモデルガソリン{トルエン(45重量%):イソオクタン(45重量%):メタノール(10重量%)の比の混合物}300mlを入れ、アルミホイルを用いて漏れがないように完全に栓をしたうえで40℃、65%RHの雰囲気下に放置して、14日後のボトル重量減少量(n=6の平均値)を求めた。重量減少量は0.45gであった。
(11)破壊高さの測定
上記(9)で得られた多層容器に、エチレングリコールを内容積に対して60%充填し、40℃の冷凍室に3日間放置した後コンクリート上に落下させ、ボトルの破壊(容器内部のエチレングリコールが漏れる)する落下高さを求めた。破壊高さは、n=30の試験結果を用いて、JIS試験法(K7211の「8.計算」の部分)に示される計算方法を用いて、50%破壊高さを求めた。破壊高さは7.2mであった。評価結果を表1にまとめて示す。
(12)多層シートの作製
バリア材として実施例1で作製した変性EVOH組成物ペレットを用い、3種5層共押出装置を用いて、多層シート(HDPE/接着性樹脂/バリア材/接着性樹脂/HDPE)を作製した。シートの層構成は、内外層のHDPE樹脂(三井化学製「HZ8200B」)が450μm、接着性樹脂(三井化学製「アドマーGT4」)が各50μm、中間層のバリア材が75μmであった。
(13)熱成形容器の作製
上記(12)で得られた多層シートを熱成形機(浅野製作所製:真空圧空深絞り成形機「FX−0431−3型」)にて、シート温度を160℃にして、圧縮空気(気圧5kgf/cm)により丸カップ形状(金型形状:上部75mmφ、下部60mmφ、深さ75mm、絞り比S=1.0)に熱成形することにより、熱成形容器を得た。成形条件を以下に示す。
ヒーター温度:400℃
プラグ :45φ×65mm
プラグ温度 :150℃
金型温度 :70℃
得られた熱成形容器は内容積約150mlのカップ型容器であり、このカップ型容器の底部付近を切断し、カップの底の角部における変性EVOH組成物からなる中間層の厚みを光学顕微鏡による断面観察により測定した(n=5の平均値)。カップ角部における中間層の厚みは30μmであった。評価結果を表1にまとめて示す。
(14)熱成形容器の評価
上記(13)で得られた熱成形容器にモデルガソリン{トルエン(45重量%):イソオクタン(45重量%):メタノール(10重量%)の比の混合物}140mlを入れて、前記(12)で得られた共押出シートを円形に切断したものをカップ上部にのせたのち、内容物が漏れないように完全にふたをした状態で熱板溶着法により成形し、内部にモデルガソリンを封入したカップ型容器を得た。これを40℃、65%RHの雰囲気下に放置して、14日後のカップ重量減少量(n=6の平均値)を求めた。重量減少量は0.35gであった。評価結果を表1にまとめて示す。
(15)耐衝撃性評価
上記(4)で得られた変性EVOH組成物ペレットを用いて、射出成形機(日精製、FS−80S)を用いて、射出片を作製し、アイゾット試験機を用いて、室温の条件で、JIS K7110に準じて衝撃強度を求めた。10個の射出片を測定し、測定結果の平均値を衝撃強度とした。評価結果を表1にまとめて示す。
比較例1
実施例1の(1)において、MeOH量を6.3kgにし、エチレン圧力を3.7MPaにし、開始剤の量を4.2gにし、MPDAcを仕込まなかった以外は、同様の方法で重合を行い、未変性のEVAcを得た。4時間後にVAcの重合率が44%となったところで冷却し重合を停止した。引き続き、実施例1と同様にして、未変性のEVOHを合成し、エチレン単位含有率32モル%、ケン化度99.9%以上、融点183℃のEVOH組成物ペレットが得られた。引き続き、実施例1と同様にブロー成形容器、熱成形容器及び耐衝撃性評価用の試験片を作製して、それぞれ評価した。その結果を表1にまとめて示す。
Figure 0005971174

Claims (9)

  1. 下記式(I)で表され、全単量体単位に対するa、b及びcの含有率(モル%)が下記式(1)〜(3)を満足し、かつ下記式(4)で定義されるケン化度(DS)が90モル%以上である変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む樹脂組成物からなる層を有する燃料容器。
    Figure 0005971174
    [式(I)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、該アルキル基は水酸基、アルコキシ基又はハロゲン原子を含んでもよい。X、Y及びZは、それぞれ独立に水素原子、ホルミル基又は炭素数2〜10のアルカノイル基を表す。]
    18≦a≦55 (1)
    0.01≦c≦20 (2)
    [100−(a+c)]×0.9≦b≦[100−(a+c)] (3)
    DS=[(X、Y及びZのうち水素原子であるものの合計モル数)/(X、Y及びZの合計モル数)]×100 (4)
  2. 、R、R及びRが水素原子である請求項1に記載の燃料容器。
  3. X、Y及びZが、それぞれ独立に水素原子又はアセチル基である請求項1又は2に記載の燃料容器。
  4. 前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体以外の熱可塑性樹脂からなる層をさらに有する請求項1〜3のいずれかに記載の燃料容器。
  5. 前記熱可塑性樹脂がポリオレフィンである請求項4に記載の燃料容器。
  6. 中間層が前記樹脂組成物からなる層であり、その両面に接着性樹脂層を介して前記熱可塑性樹脂からなる内外層が配置された請求項4又は5に記載の燃料容器。
  7. 前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体及び前記熱可塑性樹脂を含む回収物を含む層をさらに有する請求項4〜6に記載の燃料容器。
  8. ブロー成形により製造される請求項1〜6のいずれかに記載の燃料容器。
  9. 熱成形により製造される請求項1〜6のいずれかに記載の燃料容器。
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