JP4628617B2 - 熱収縮性多層フィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱収縮性包装材料としての使用に適した、熱可塑性樹脂からなる外表面層(a)、ポリアミド系樹脂からなる中間層(b)、シール可能な樹脂からなる内表面層(c)を含む少なくとも3層からなる熱収縮性多層フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、熱収縮性多層フィルムを製袋機でバッグやパウチなどに製袋した後に内容物を充填したり、製袋加工しながら内容物、あるいはトレイに乗せた内容物を自動包装に供することが、主として、生肉、ハムやソーセージなどの食品、その他の製品の包装加工技術として広く行われている。
【0003】
このような用途に用いられる熱収縮性フィルムとして、ポリアミド樹脂を主たる構成材料とするフィルムが従来より多く提案されている。例えば脂肪族ジアミン/イソフタル酸と脂肪族ジアミン/テレフタル酸との共重合体である芳香族共重合ポリアミド樹脂と脂肪族ポリアミド樹脂とからなるポリアミド樹脂組成物からなる熱収縮性ポリアミドフィルム(特開昭62−41261号公報)、ポリエステル樹脂からなる表層又は外表面層、ポリアミド樹脂からなる中間層及びポリオレフィンからなるヒートシール層を含む二軸延伸積層フィルム又は熱収縮性多層フィルム(特開平4−99621号公報及び特開平11−300914号公報)などがあり、それぞれ意図した適性を有する包装用フィルムが得られている。
【0004】
しかしながら包装用フィルムに要求される特性は以下の(イ)〜(ト)に挙げるように、多様であり、必ずしもそれらの全てを満足するものは得られていなかったのが実情である。
(イ)まず包装用フィルムには、内容物を包装するに充分な強度と、内容物を美麗に透視し得る良好な外観の外皮を与えるものである必要がある。外観の向上のためには、内容物を包装後にフィルムを熱収縮させることが広く行われており、この目的のためには、フィルムは可及的に大なる熱収縮率を有することが好ましい。この点でポリアミド系樹脂からなるフィルムは、二軸延伸により優れた強度と大なる熱収縮率を有し得るものであり、上述した熱収縮性フィルムは、いずれもポリアミド系樹脂の持つこのような特質を利用するものであるが、ポリアミド系樹脂の単層では、包装用フィルムに要求される他の多くの特性を満たすことができない。
(ロ)例えば、包装用フィルムは内容物を包装後に密封するために、多くはヒートシールする方法がとられるが、ポリアミド系樹脂は一般にヒートシール性が良くない。従って、ポリアミド系樹脂層の内側にはシール可能な樹脂からなる内表面層が設けられる。
(ハ)吸水性のポリアミド系樹脂層が外表面層を構成すると、熱水収縮時の水分あるいは空気中の水分を吸収し、包装物を冷凍あるいは冷蔵するに際して、ポリアミド樹脂層の強度低下などの問題を起す。特に、冷凍時にポリアミド樹脂層の表面に存在する水分が凍って、その強度低下を起す。従って、ポリアミド樹脂層の外側には、非透水性あるいは透水性の小なる熱可塑性樹脂の層を設けることが好ましい。
(ニ)ポリアミド系樹脂はある程度のガスバリヤ性を有するが、酸化等による品質の劣化を極度に嫌う内容物の包装には、ポリアミド樹脂層に加えてガスバリヤ樹脂層を設けることが好ましい。
(ホ)上記(ロ)〜(ニ)に示す付加層の存在は、いずれも、ポリアミド系樹脂層単独では良好に示された二軸延伸後のフィルムの熱収縮性を減殺する方向に働く。
(ヘ)二軸延伸により熱収縮性を付与されたフィルムは、その後の包装使用までの保管期間中にあるいは50℃以下に加熱されたときに若干の収縮を示し、皺の発生あるいは寸法変化を起す傾向にあり、これは製品フィルムの外観のみならず、自動包装工程におけるトラブルの原因となりがちである。このような難点を除くためには、必要に応じて、二軸延伸後のフィルムを、60〜80℃で保持する熱処理が行われる。しかし、この熱処理も、二軸延伸後に得られたフィルムの熱収縮性を減殺する方向に働く。
(ト)ポリアミド系樹脂フィルムの好ましい二軸延伸処理の一態様として、インフレーション法があるが、このインフレーション法においては工業的に利用可能なインフレーション用気体圧力には一定の制約があり、ある程度の圧力範囲が実用される。従って、種々の範囲の径のインフレーションバブルを形成する場合、フィルム断面は、小径のバブル(例えば折幅として400mm未満、特に250mm未満)においては大なる変形応力が、大径のバブルにおいては小なる変形応力が作用する。従って、このように異なる二軸延伸応力の作用する広い範囲の径(従って広い範囲の折幅)にわたって、安定なインフレーション適性(安定なインフレーションバブルを形成し、その二軸延伸効果により高い熱収縮率を与える適性)を示す積層フィルム構成を得ることは、容易ではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の主要な目的は、上述した(イ)〜(ト)の特性を高度に満たし、特に熱処理後においても最高レベルの熱収縮率を示すポリアミド樹脂系の熱収縮性多層フィルムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らの研究によれば、上述の目的が、極めて限定的な組成のポリアミド系樹脂からなる中間層(b)と、特定の組成の熱可塑性樹脂からなる外表面層(a)と、特定の組成のシール可能な樹脂からなる内表面層(c)の組合せと、適切な二軸延伸処理と熱処理の組合せにより、達成されることが見出された。
【0007】
本発明は、このような知見に基づき、熱可塑性樹脂からなる外表面層(a)、ポリアミド系樹脂からなる中間層(b)、およびシール可能な樹脂からなる内表面層(c)を含む少なくとも3層からなり、外表面層(a)を構成する熱可塑性樹脂が、ポリエステル系樹脂またはポリオレフィン系樹脂であり、中間層(b)を構成するポリアミド系樹脂が、脂肪族ポリアミド樹脂85〜60重量%と、脂肪族ジアミン/イソフタル酸と脂肪族ジアミン/テレフタル酸との共重合体である芳香族共重合ポリアミド樹脂15〜40重量%との混合物であり、内表面層(c)を構成するシール可能な樹脂が、本質的に密度0.915未満のエチレンとαオレフィンとの共重合体であり、80℃における熱水収縮率が縦/横方向ともに30%以上且つ縦/横の少なくとも一方向において35%以上であり且つ90℃に於ける熱水収縮率が縦/横の少なくとも一方向において40%を超える、二軸延伸処理後に熱処理された袋包装用熱収縮性多層フィルムを与えるものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の熱収縮性多層フィルムは、熱可塑性樹脂からなる外表面層(a)、ポリアミド系樹脂からなる中間層(b)、およびシール可能な樹脂からなる内表面層(c)とを含む少なくとも3層からなる。
【0009】
外表面層(a)を構成する熱可塑性樹脂は、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂から選ばれる。該熱可塑性樹脂層(a)は、ポリアミド系樹脂からなる中間層(b)との積層状態において、適当な延伸性を有し、中間層(b)への水の浸透を妨げるような熱可塑性樹脂として用いられる。先に述べたように、ポリアミド系樹脂は、外表面層(a)に配置すると熱水収縮率が発現し易いけれども、熱水収縮時の水が外表面層(a)に残り、冷凍、冷蔵したときに凍って多層フィルムの強度の低下など取扱いに問題を起こす原因になる。
【0010】
ポリオレフィン系樹脂(「PO」)の例としては、VLDPE(直鎖状超低密度ポリエチレン)、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)などのエチレン−αオレフィン共重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)、EAA(エチレン−アクリル酸共重合体)、EMAA(エチレン−メタクリル酸共重合体)、EMA(エチレン−アクリル酸メチル共重合体)、EEA(エチレン−アクリル酸エチル共重合体)、EBA(エチレン−アクリル酸ブチル共重合体)等のポリオレフィン系樹脂が好ましく用いられる。これらの重合用触媒には、公知の従来型触媒(チグラーナッタ触媒)やシングルサイト触媒(メタロセン触媒)など用いられる。必要に応じて2種以上の樹脂を混合してもよい。共重合体のオレフィン以外のコモノマー成分は比較的少量で、20重量%未満が好ましい。延伸性の良好な外表面層(a)を与えるために、密度が0.915未満のエチレン−αオレフィン共重合体が、特に好ましい。外表面層(a)にポリオレフィン樹脂、特に内表面層(c)と同種のポリオレフィン樹脂、を配置すると、封筒貼りシールによる包装体を成形するのに有効である。
【0011】
また、外表面層を構成する別の好ましい熱可塑性樹脂としてポリエステル系樹脂(以下、代表的に「PET」と略称することがある)が用いられる。ポリエステル系樹脂を配置すると、80〜90℃の比較的低温での高い熱水収縮率を付与することが難しいとされていたが、これを外表面層(a)に配置して、後述する本発明の芳香族共重合ポリアミド樹脂からなる中間層(b)と組合せると、延伸性が改良され、熱処理しても高い熱収縮率が得られることが判った。ポリエステル系樹脂は、透明性、印刷性、耐熱性などの特性に優れ、本発明にとって、特に好ましい外表面層(a)構成樹脂である。
【0012】
外表面層(a)を構成するポリエステル系樹脂としては、脂肪族ポリエステル系樹脂と、芳香族ポリエステル系樹脂がある。
【0013】
ポリエステル系樹脂に用いるジカルボン酸成分としては、通常の製造方法でポリエステルが得られるものであれば良く、テレフタル酸、イソフタル酸が好ましく用いられるほか、不飽和脂肪酸の二量体なども用いられ、2種以上を使用してもよい。また、ポリエステル系樹脂に用いるジオール成分としては、通常の製造方法でポリエステル系樹脂が得られるものであれば良いが、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールあるいはポリテトラメチレンオキシドグリコールなどのポリアルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−アルキル−1,3−プロパンジオールなど挙げられ、2種以上を使用しても良い。
【0014】
これらの中で、好ましくは芳香族ジカルボン酸成分を含む芳香族ポリエステル系樹脂であり、ジカルボン酸成分としてのテレフタル酸と、炭素数が10以下のジオールとのポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどが用いられ、特に好ましくは、テレフタル酸の一部、好ましくは30モル%まで、更に好ましくは15モル%まで、を他のジカルボン酸、例えば、イソフタル酸で置き換えた共重合ポリエステルや、例えば、エチレングリコールなどのジオール成分の一部を他のジオール、例えば1,4−シクロヘキサンジメタノールで置き換えた共重合ポリエステル樹脂(例えばEastman社製「Kodapak PET#9921」)、あるいはポリエステルを主成分としたポリエステルとポリエーテルとの共重合体(例えばテレフタル酸および/またはそのエステル誘導体を主成分とするジカルボン酸成分とテトラメチレングリコールおよびテトラメチレンオキシドグリコールを主成分とするジオール成分とからなるポリエステルエーテルであり、好ましくはポリテトラメチレンオキシドグリコール残基を10〜15重量%含むもの)がよく用いられる。また、異種のポリエステル系樹脂を2種以上混合して用いても良い。
【0015】
ポリエステル系樹脂は、0.6〜1.2程度の極限粘度(例えば20℃のフェノール/テトラクロロエタン=6/4の混合溶媒中で測定)を持つものが好ましく用いられる。外表面層(a)には、例えば、熱可塑性ポリウレタンに代表される熱可塑性エラストマー等のポリエステル系樹脂以外の熱可塑性樹脂を、ポリエステル系樹脂の特性を阻害しない程度に含ませることができる。
【0016】
中間層(b)を構成するポリアミド系樹脂(「PA」)としては、脂肪族ポリアミド樹脂85〜60重量%と脂肪族ジアミン/イソフタル酸と脂肪族ジアミン/テレフタル酸との共重合体である芳香族共重合ポリアミド樹脂(「ナイロン6I/6T」と称されることがある)15〜40重量%との混合ポリアミド樹脂が用いられる。
【0017】
芳香族共重合ポリアミド樹脂が15重量%未満であると、本発明の高い熱水収縮率が得られない。芳香族共重合ポリアミド樹脂が40重量%を超えると、多層フィルムの押出加工性、延伸性が乏しくなる。例えば、多層フィルムが脆くなり、インフレーション成形時の破裂やTダイ成形時のクリップ切れが発生しがちであり、生産性が低下する。
【0018】
本発明の中間層(b)を構成する芳香族共重合ポリアミド樹脂は、イソフタル酸成分40〜98モル%、テレフタル酸成分2〜60モル%からなる酸成分と、ヘキサメチレンジアミン50〜100モル%および任意に、ビス(p−アミノシクロヘキシル)メタン0〜50モル%からなる脂肪族ジアミンから得られた共重合体が好ましい。この芳香族共重合ポリアミド樹脂は、通常、非晶性であり、結晶性があっても非常に小さく融点が明瞭でない。
【0019】
他方、脂肪族ポリアミド樹脂には、脂肪族ポリアミドホモ重合体と脂肪族ポリアミド共重合体があり、脂肪族ポリアミドホモ重合体は、ナイロン6、ナイロン66などが例示できる。脂肪族ポリアミド共重合体は、ナイロン6/66、ナイロン6/69、ナイロン6/610、ナイロン66/610、ナイロン6/12などが例示できる。脂肪族ポリアミド樹脂は、単独あるいは2種以上混合して、例えば、ナイロン6とナイロン6/66、ナイロン6とナイロン66などとして用いてもよい。脂肪族ポリアミド共重合体を使用すると高い熱水収縮率が安定して得られ易い。なかでもナイロン6/66、ナイロン6/69は、芳香族共重合ポリアミド樹脂との相溶性がよく、より好ましい。
【0020】
このように脂肪族ポリアミド樹脂と脂肪族ジアミン/イソフタル酸と脂肪族ジアミン/テレフタル酸との共重合体である芳香族共重合ポリアミド樹脂を特定の比で含むポリアミド系樹脂組成物を使用すると、80℃及び90℃の温度で高い熱水収縮率が安定して得られる。これに対し、上記脂肪族ポリアミド樹脂に、比較的低融点の脂肪族ポリアミド(共)重合体あるいは上記以外の低結晶性の脂肪族ポリアミドと芳香族ポリアミドの共重合体(例えばナイロン66とナイロン10とナイロンMXD6との三元共重合体)を混合した場合、添加量をより多くすると高い熱収縮率が得られるが、延伸性が低下する。特に、インフレーション延伸成形に於いて、以下のような不都合が生ずる。
1)折り幅250mm未満では、延伸性の安定性に乏しい。
2)折り幅400mm未満では、高い熱収縮率が得られない。
3)折り幅400mm以上では、高い熱収縮率を得るには、比較的低融点の脂肪族ポリアミド(共)重合体あるいは低結晶性の脂肪族ポリアミドと芳香族ポリアミドの共重合体の添加量がより多く必要となる。
いずれにしても、熱収縮性多層フィルムの実用的な折り幅の範囲を、同一の樹脂組成物で製造することが不可能になり、必要な折り幅に応じて樹脂の切替え作業が必要になり、生産性が低下し、経済的でなくなる。
【0021】
内表面層(c)を構成するシール可能な樹脂としては、本質的に密度0.915未満のエチレンとαオレフィンとの共重合体が用いられる。
【0022】
内表面層(c)はシール可能な樹脂からなるが、シール強度のみに注意して選択すると、所望の高い熱収縮率を得られない。高い熱収縮率を有しても、シール強度や耐熱性、例えば、多層フィルムの袋に内容物を充填する常温の時、それを熱収縮、熱殺菌させる温度の時など、それぞれ満足させる必要がある。本発明の構成するエチレン−αオレフィン共重合体は、本質的に密度0.915未満である。ここで、本質的とは、高い熱収縮率と、適切なシール強度や耐熱性が得られる範囲でこれらの樹脂を主体(55重量%以上)とし、他の樹脂との混合物であってもよいことを意味する。
【0023】
エチレン−αオレフィン共重合体の密度が0.915以上であると、所望の高い熱収縮率が得られない。エチレン−αオレフィン共重合体の密度が0.910以下が好ましく、シール強度や耐熱性から0.890以上が好ましく、0.902以上がより好ましい。
【0024】
エチレン−αオレフィン共重合体には、例えば、シングルサイト触媒(「SSC」)を用いて重合されたSSC−VLDPE、SSC−LLDPE、従来のVLDPE、LLDPEなどがあり、本発明では密度0.915未満の範囲のものが用いられる。必要に応じて2種以上を混合してもよい。
【0025】
また、これらの樹脂を主体とし、他の樹脂との混合可能な樹脂として、エチレン−αオレフィン共重合体、EVA、EAA、EMA、EEA、EBA等が用いられる。
【0026】
シングルサイト触媒を用いるエチレン−αオレフィン共重合体として、例えば、エクソン(EXXON)社の「エクザクト(EXACT)」、ダウケミカル社の「アフィニティー」、「エリート」、宇部興産(株)の「ユメリット」、三井化学(株)の「エボリュー」、日本ポリケム(株)「カーネル」、日本ポリオレフィン(株)の「ハーモレックス」などがある。
【0027】
本発明の多層フィルムには、任意にガスバリヤ性樹脂からなる中間層(d)を含めることができる。ガスバリヤ性樹脂としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体(すなわちエチレン−酢酸ビニル共重合体のけん化物、「EVOH」)、ポリメタキシリレンアジパミド樹脂(ナイロン「MXD6」)、脂肪族ジアミン/イソフタル酸と脂肪族ジアミン/テレフタル酸との共重合体である芳香族共重合ポリアミド樹脂(「ナイロン6I/6T」)などが挙げられる。
【0028】
種々の包装材料に要求されるガスバリヤ性に応じて、これらを含むそれぞれの混合物にすることができる。特に、ナイロンMXD6やナイロン6I/6Tは、延伸性の観点から、それぞれ混合物で使用されることが多い。また、これらの層の厚みは、ポリアミド系樹脂からなる中間層(b)の厚みより薄いことが押出加工性、延伸性から好ましく、およそ70%以下がより好ましい。
【0029】
EVOHはポリアミド系樹脂と混合してガスバリアー性樹脂の中間層(d)に使用すると、本発明の高い熱収縮率を容易に得られる。ここで使用されるポリアミド系樹脂は、EVOHと反応して架橋して、押出加工性に問題を生ずることがあるので、通常、ポリアミド系樹脂に、EVOHとの反応性を抑えゲル化を防止するために末端の官能基を封止するなどの、処理が施されることがある(例えば後述の実施例に用いるEMS社製「グリロン CF7」、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製「NOVAMID ENナイロン」等)。また、押出機やダイスにおいてもゲル化防止を考慮することが望ましい。
【0030】
接着性樹脂層は上記各層間の接着力が充分でない場合などに、必要に応じて中間層として設けることができる。接着性樹脂としては、酸素含有オレフィン(共)重合体を用いることができる。より好ましくは、接着性樹脂として、EVA、EEA、EAA、酸変性ポリオレフィン(オレフィン類の単独または共重合体などとマレイン酸やフマル酸などの不飽和カルボン酸や酸無水物やエステルもしくは金属塩などとの反応物など、例えば、酸変性VLDPE、酸変性LLDPE、酸変性EVA)等が使用できる。好適なものとしては、マレイン酸などの酸、またはこれらの無水物などで変性されたオレフィン系樹脂が挙げられる。
【0031】
上記の層構成において、いずれかの層に滑剤、帯電防止剤を添加することができる。
【0032】
滑剤の好ましい例としては、ベヘニン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、等をマスターバッチの形で加える。その好ましい添加量は、滑剤を例えば5〜20重量%含有するマスターバッチを用いて、滑剤が当該層の0.05〜2重量%となる量で加える。
【0033】
界面活性剤等の、帯電防止剤は添加すべき層の樹脂に対して0.05〜2重量%、更には0.1〜1重量%添加することが好ましい。
【0034】
本発明の熱収縮性多層フィルムの層構成の好ましい態様の例を次に記す。ただし、これらはあくまでも例示であって、本発明はこれらのみに限定されるものではない:
(1)ポリエステル樹脂/接着性樹脂/ポリアミド樹脂/接着性樹脂/シール性樹脂
(2)ポリエステル樹脂/接着性樹脂/ポリアミド樹脂/ガスバリア性樹脂/接着性樹脂/シール性樹脂
(3)ポリエステル樹脂/接着性樹脂/ポリアミド樹脂/ガスバリア性樹脂/ポリアミド樹脂/接着性樹脂/シール性樹脂
(4)ポリオレフィン樹脂/接着性樹脂/ポリアミド樹脂/接着性樹脂/シール性樹脂
(5)ポリオレフィン樹脂/接着性樹脂/ポリアミド樹脂/ガスバリア性樹脂/接着性樹脂/シール性樹脂
(6)ポリオレフィン樹脂/接着性樹脂/ポリアミド樹脂/ガスバリア性樹脂/ポリアミド樹脂/接着性樹脂/シール性樹脂
シール性を改善するために、接着性樹脂の層とシール性樹脂の層の間に、更に(含酸素)ポリオレフィン(共重合体)層を配置することもできる。
【0035】
本発明の熱収縮性多層フィルムは、上記各層を積層して、延伸することにより、最終的に厚さが12〜150μm、特に20〜100μmの範囲、の多層フィルムとして形成することが好ましい。
【0036】
より詳しくは、熱可塑性樹脂からなる外表面層(a)は、0.5〜18μm、特に1〜5μm、ポリアミド系樹脂からなる中間層(b)は3〜35μm、特に4〜25μm、シール性樹脂からなる内表面層(c)は10〜80μm、特に12〜55μmの範囲の厚さとすることが、それぞれ好ましい。特に、外表面層(a)がポリエステル系樹脂である場合には、二軸延伸適性を調和させるために、層(a)の厚さは層(b)のそれより小さく、より具体的には、前者が後者の3〜70%、特に6〜30%の範囲とすることが好ましい。
【0037】
必要に応じて設けられるガスバリヤ樹脂層(d)の厚さは、例えば1〜30μmの範囲、好ましくは2〜15μmの範囲である。ガスバリヤ性樹脂層の厚さが1μm未満では酸素ガスバリヤ性改善効果が乏しく、また、30μmを越えると該層の押出加工、ならびに多層フィルムの延伸加工が難しくなる。
【0038】
接着性樹脂層は複数設けることができるが、その厚さは各0.5〜5μmの範囲が好適である。
【0039】
本発明の熱収縮性多層フィルムは、複数の押出機を使用し、まず未延伸フィルムを共押出し、テンター法等の公知の方法で2軸延伸した後、少なくとも一軸方向に好ましくは15%以下、さらに好ましくは5〜10%の弛緩熱処理を行うことにより製膜することができる。延伸倍率は縦/横ともに、2.6倍以上、特に2.8〜3.5倍程度が好ましい。
【0040】
熱収縮性多層フィルムは、より好ましくは、インフレーション法により製造される。図1を参照して、その好ましい一態様について説明する。
【0041】
多層フィルムを構成する積層樹脂種数に応じた台数(1台のみ図示)の押出機1より環状ダイ2を経て熱可塑性樹脂からなる外表面層(a)、ポリアミド系樹脂からなる中間層(b)およびシール性樹脂からなる内表面層(c)の少なくとも3層を有する溶融管状体(パリソン)3を共押出しし、水浴4により各層に占める主たる樹脂の融点以下、好ましくは20℃以下、さらに好ましくは15℃以下に冷却しつつピンチローラ5で引き取る。次いで、引き取った管状体フィルム3aに、必要に応じ大豆油、グリセリンの脂肪酸エステル、プロピレングリコールなどに代表される開封剤を内封しつつ、各層に占める主たる樹脂の融点以下の、例えば80〜95℃の温水浴6中に導入して、加熱された管状体フィルム3bを上方に引き出し、一対のピンチローラ7および8間に導入した流体空気によりバブル状の管状体フィルム3cを形成し、10〜20℃の冷風エアリング9で冷却しながら、垂直方向(MD)および横方向に、好ましくは各2.5〜4倍、更に好ましくは各2.6〜3.5倍、最も好ましくは各2.8〜3.5倍、に同時二軸延伸する。次いで延伸後の管状体フィルム3dを下方に引き出し、一対のピンチローラ10および11間に導入した流体空気により再度バブル状の管状体フィルム3eを形成し、熱処理筒12中に保持する。そして、この熱処理筒12の吹出し口13よりスチームを単独で、あるいは空気とともに吹き付け、二軸延伸後の管状体フィルム3eを好ましくは60〜80℃、より好ましくは65℃〜75℃において、1〜20秒、好ましくは1.5〜10秒程度熱処理して、管状体フィルム3eを縦方向(MD)および横方向(TD)に各5〜15%、好ましくは各方向に5〜10%弛緩させる。熱処理後の管状体フィルム3fは、本発明の熱収縮性多層フィルムに相当するものであり、巻き取りロール14に巻き取られる。
【0042】
高い熱収縮性の改善で代表される諸特性の改善を実現する上で、MD/TDにおいて、それぞれ2.5乃至4倍、更に好ましくは2.6乃至3.5倍、最も好ましくは、2.8〜3.5、の延伸倍率を確保し、熱容量の大きいスチームを単独であるいは空気とともに好ましくは60℃乃至80℃、最も好ましくは65℃乃至75℃の低温で、且つ縦横方向に5%乃至15%、好ましくは各方向で5%乃至10%弛緩させながら、熱処理をすることが極めて好ましい。より低い延伸倍率では、熱処理後に必要なフィルムの熱収縮性が得られず、またフィルムの偏肉も大きくなり、包装適性が得られにくい。このようにして、熱処理後も高い熱収縮率を示す熱収縮性多層フィルムを得る。熱処理は、延伸加工後のフィルムの見映え、即ち、微少な寸法変化による皺の発生を抑え、自動包装機や製袋加工などの二次加工性に適正のある寸法安定性の優れた熱収縮性多層フィルムを得るために行われる。場合により、温水を用いて熱処理を行ってもよい。
【0043】
本発明の熱収縮性多層フィルムは、熱処理の結果として、縦/横の各方向において、それぞれ概ね5%以下、好ましくは3%以下、特に好ましくは2%以下の寸法変化率(23℃、50%相対湿度雰囲気に2週間放置後)を有するフィルムとして得られ、実質的に皺のない(リンクル・フリーの)フィルムとして熱収縮包装用途に供される。
【0044】
本発明の熱収縮性多層フィルムは、例えば、牛、豚などの生肉のチルド包装、ピロー包装(フローパック包装)、加工肉包装、ハードベーコンなどに代表されるスモークを強くかけた食品の包装、チーズ包装、テリーヌなどのセラミックジャー入りの包装、骨付き肉、エビ、蟹など突起のある食品の包装、魚貝類の包装、生肉、豚などの家禽、魚の冷凍包装など、特に、高い熱収縮率を必要とされる包装材料の分野に使用される。使用可能な温度領域の広い適用に適用性を持たせるために、80℃に於ける熱水収縮率が縦/横方向ともに30%以上とし、更に、少なくとも一方向において35%以上とする。さらに好ましくは、90℃に於ける熱水収縮率の少なくとも一方向が40%以上とする。大きな内容物を包装する状態で多層フィルムを熱収縮させた場合、内容物に接する多層フィルムの部分と接していない多層フィルムの部分の温度上昇が違うので、80℃と90℃の二つの温度で、所望の熱収縮率を満足するとよい。
【0045】
上述した本発明の熱収縮性多層フィルムの製造方法の延伸前あるいは後において、公知の方法により放射線照射することもできる。放射線照射により延伸性や耐熱性、機械的強度などが未照射のものに比べ改善される。放射線照射は、その適度な架橋効果により、延伸製膜性、耐熱性を優れた物にする効果がある。本発明では、電子線が好ましく、成形物を製造する上での取扱性や処理能力の高さなどの点で好都合である。
【0046】
前述の放射線の照射条件は、目的とする用途に応じて、適宜設定すればよく、一例をあげるならば、電子線の場合は、加速電圧が150〜500キロボルトの範囲、照射線量が10〜200キログレイ(kGy)の範囲が好ましい。
【0047】
上述した本発明の熱収縮性多層フィルムの内表面あるいは外表面もしくは両表面にコロナ放電処理、プラズマ処理、炎処理をおこなってもよい。特に、肉密着性付与のために、内表面のコロナ放電処理がよく用いられる。肉密着付与のために被包装体と接触する表面層のぬれ張力を、好ましくは32dyn/cm以上、より好ましくは34dyn/cm以上にするよう調整することが好ましい。
【0048】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本願明細書に記載した物性の測定法は、以下の通りである。
【0049】
<物性測定法>
1.熱水収縮率
フィルムの機械方向(縦方向、MD)および機械方向に垂直な方向(横方向、TD)に10cmの距離で印を付けたフィルム試料を、80℃あるいは90℃に調製した熱水に10秒間浸漬した後、取り出し、直ちに常温の水で冷却した。その後、印をつけた距離を測定し、10cmからの減少値の原長10cmに対する割合を百分率で表示した。1試料について5回試験をおこない、縦方向および横方向のそれぞれについて平均値で熱水収縮率を表示した。
【0050】
2.乾熱収縮率
厚み3mmのダンボール紙を網棚の上に敷いておいたギアーオーブン(株式会社ロバート製、MOG 600型)を160℃の温度まで加熱しておく。その中にフィルムの機械方向(縦方向、MD)および機械方向に垂直な方向(横方向、TD)に10cmの距離で印をつけたフィルム試料を入れる。この時、ギアーオーブンの扉は試料を入れた後、即座に閉めるようにする。扉の空いている時間は3秒以内とする。扉を閉め、30秒間ギアーオーブン中に測定用試料を放置した後、取り出し自然冷却する。その後、印をつけた距離を測定し、10cmからの減少値の原長10cmに対する割合を百分率で表示した。1試料について5回試験を行い、縦方向および横方向のそれぞれについて平均値で乾熱収縮率を表示した。
【0051】
3.寸法変化率
二軸延伸フィルムを製造した直後に、フィルムの機械方向(縦方向、MD)および機械方向に垂直な方向(横方向、TD)に10cmの距離で印をつける。フィルム試料を、23℃、50%相対湿度の雰囲気に2週間放置した後、印をつけた距離を測定し、10cmからの減少値の原長10cmに対する割合を百分率で表示した。1試料について5回試験をおこない、縦方向および横方向のそれぞれについて平均値で寸法変化率を表示した。
【0052】
<フィルム製造例>
次に実施例、比較例による熱収縮性多層フィルムの製造例について記載する。以下の製造例において使用した樹脂を、その略号とともに後記表1および2にまとめて記す。
【0053】
(実施例1)
図1に概略構成を示す装置を用い、層構成が、外側から内側へ順に且つかっこ内に示す厚み比で、PET+LUB−1=98+2重量%混合物(2)/M−PE(1.5)/NY−1+NY−3=80+20重量%混合物(8)/EVOH(5)/M−PE(1.5)/VLDPE−1+LUB−2=97+3重量%混合物(21)となるように、各樹脂を複数の押出機1でそれぞれ押し出しし、溶融された樹脂を環状ダイ2に導入し、ここで上記層構成となるように溶融接合し、共押出した。環状ダイ2出口から流出した溶融管状体3を水浴4中で、約16℃に急冷し、折幅129mmの偏平管状体3aとした。次いで、該偏平管状体3aを86℃の温水浴6中を通過させた後、バブル形状の管状体フィルム3cとし15〜20℃のエアリング9で冷却しながらインフレーション法により縦方向(MD)に2.9倍、横方向(TD)に3.1倍の延伸倍率で同時二軸延伸した。次いで該二軸延伸フィルム3dを、2mの筒長を有する熱処理筒12中に導き、バブル形状の管状体フィルム3eとし、吹き出し口13より吹き出させたスチームにより70℃に加熱し、縦方向に10%弛緩、横方向に10%弛緩させながら2秒間熱処理し、二軸延伸フィルム(熱収縮性多層フィルム)3fを製造した。得られた二軸延伸フィルムの偏平折幅は362mmで厚さは39μmであった。
【0054】
得られた二軸延伸フィルムの層構成および製膜(二軸延伸および熱処理)条件の概略を、他の実施例および比較例のそれとともにまとめて表3、4に記す。
【0055】
(実施例2〜12、比較例1〜7)
層構成、延伸条件および熱処理条件を、それぞれ表3あるいは4に記載の通り変更する以外は、実質的に実施例1と同様にして、それぞれの二軸延伸フィルム(熱収縮性多層フィルム)を得た。
【0056】
得られた多層フィルムの折幅は、実施例2および12が256mm、実施例6が515mm、実施例7が576mm、実施例10および11が206mm、比較例1および2が256mm、比較例3が450mm、比較例5が325mm、比較例7が576mm、比較例8が325mm、比較例9が256mm、それ以外は、概ね362mmであった。
【0057】
但し、比較例4においては得られた多層フィルムの折幅は平均で360mmであったが、延伸斑が激しく、実質折幅は345〜380mmで変動していた。またインフレーション部での破裂がしばしば発生し、製造性がないと判断された。
【0058】
また比較例3は、延伸倍率が2.3/2.3(=MD/TD)であり、それ以上は延伸倍率を大きくできず、その後の熱処理は行わなかった。
【0059】
(比較例10)
実施例1のNY−1+NY−3=80+20重量%混合物を、NY−3単独に変更した以外は、実施例1と全く同じにして、二軸延伸フィルムを製造しようとしたが、インフレーションバブルが形成できず、フィルムの製造が全く不可能であった。
【0060】
<性能評価>
上記各例で得られた熱収縮性多層フィルムについて、上記方法で熱水収縮率、乾熱収縮率および寸法変化率を測定したほか、いくつかの試料フィルムについて以下の方法で包装適性を評価した。なお、外表面層にポリエステル樹脂(PET)層を有する実施例1〜4、6〜8および10〜12の多層フィルムは、ポリオレフィン系樹脂層を有する実施例5および9の多層フィルムに比べて顕著に優れた光沢を示していた。
【0061】
ピロー包装テスト
得られたチューブ状フィルムの両方の耳部(ピンチライン)をスリットし、320mm幅のフラット状フィルムとした。半円形のポリスチレン製トレイ(寸法は、直径190mmの半円形部分の直径に隣接して幅25mm(×190mm)の矩形状部分を有する)を該フラットフィルムで、茨木精機社製CEP3000型ピロー包装機にて、周長290mm、カット長220mmになるように、35ショット/分の速度でピロー包装した。次いで、K&Uシステム社製の収縮トンネルで170℃の空気を5秒間吹き付け、収縮させた。包装物の外観を以下の基準で評価した。
○:半円トレーを真上から見て、トレーの円弧部分からフィルムの余剰部分(ドッグイヤー)を確認することは難しく、美麗な外観を有していた。
×:半円トレーを真上から見て、トレーの円弧部分に、フィルムの余剰部分(ドッグイヤー)が多く残っており商品性に劣る。
【0062】
生肉包装テスト
折幅256mmあるいは362mm、長さ700mmにカットした試料フィルムの一端を円底シールして製袋された袋(バッグ)に、約5〜7kgの腿肉を充填し、83−85℃で1秒間熱水収縮させた。包装物について、包装体耳部(上下縁部)の収縮の充分性(すなわち、肉汁のたまりの原因となる空隙の残りの有無)および充填部での包装体の張りを外観チェックして以下の基準で評価した。
○:耳部の収縮が充分。包装体の張り良好。
△:耳部の収縮がやや不足。包装体の張りがやや不良。
×:耳部の収縮が不足。包装体の張りが不足。
【0063】
結果を表5と6にまとめて記す。
【0064】
なお実施例7の多層フィルムについては、以下の方法によりフローパック包装適性(上記ピロー包装適性とほぼ類似する適性である)の評価を行った。
【0065】
すなわち、実施例7で得られたチューブ状フィルムをスリットし、シングルフィルムとした。このシングルフィルムをフローパック機にかけて、透明トレーに載った生肉のカット品全体を炭酸ガスと窒素ガスの混合ガスでガス置換しながらオーバーラップして必要な部分をヒートシールし、160℃の熱風トンネル中を3秒間通過させ包装体を製造した。該包装体は内容物をフィルムが過不足なくタイトに包み、外観の優れたものとなった。また、包装体を24時間冷蔵室に保管後、防曇効果を確認したところフィルムの内面に若干の水滴が付着していたが、内容物を鮮明に確認することが出来、十分な防曇性能を有することが確認できた。
【0066】
【表1】
Figure 0004628617
【0067】
【表2】
Figure 0004628617
【0068】
【表3】
Figure 0004628617
【0069】
【表4】
Figure 0004628617
【0070】
【表5】
Figure 0004628617
【0071】
【表6】
Figure 0004628617
【0072】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、ポリアミド樹脂系熱収縮性多層フィルムにおいて、極めて限定的な組成のポリアミド系樹脂からなる中間層(b)と、特定の組成の熱可塑性樹脂からなる外表面層(a)と、特定の組成のシール可能な樹脂からなる内表面層(c)の組合せと、適切な二軸延伸処理と熱処理の組合せにより、包装用フィルム、特に食品包装用フィルムに要求される諸特性を高度に満たし、特に熱処理後においても最高レベルの熱収縮率を示すポリアミド樹脂系の熱収縮性多層フィルムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱収縮性多層フィルムの製造に適した装置系の概略図。
【符号の説明】
1 押出機
2 環状ダイ
3 溶融管状体(3c:インフレーション中、3e:熱処理中)
6 温水浴
9 冷風エアリング
12 熱処理筒

Claims (13)

  1. 熱可塑性樹脂からなる外表面層(a)、ポリアミド系樹脂からなる中間層(b)、およびシール可能な樹脂からなる内表面層(c)を含む少なくとも3層からなり、外表面層(a)を構成する熱可塑性樹脂が、ポリエステル系樹脂またはポリオレフィン系樹脂であり、中間層(b)を構成するポリアミド系樹脂が、脂肪族ポリアミド樹脂85〜60重量%と、脂肪族ジアミン/イソフタル酸と脂肪族ジアミン/テレフタル酸との共重合体である芳香族共重合ポリアミド樹脂15〜40重量%との混合物であり、内表面層(c)を構成するシール可能な樹脂が、本質的に密度0.915未満のエチレンとαオレフィンとの共重合体であり、80℃における熱水収縮率が縦/横方向ともに30%以上且つ縦/横の少なくとも一方向において35%以上であり且つ90℃に於ける熱水収縮率が縦/横の少なくとも一方向において40%を超える、二軸延伸処理後に熱処理された袋包装用熱収縮性多層フィルム。
  2. 内表面層(c)が本質的に密度0.910以下のエチレンとαオレフィンとの共重合体からなる請求項1に記載の袋包装用熱収縮性多層フィルム。
  3. 内表面層(c)の厚みが12μ以上である請求項1または2に記載の袋包装用熱収縮性多層フィルム。
  4. 160℃に於ける乾熱収縮率が少なくとも一方向において35%以上である請求項1〜3のいずれかに記載の袋包装用熱収縮性多層フィルム。
  5. 23℃、50%相対湿度の雰囲気下2週間放置後の寸法変化率が縦/横のいずれの方向においても5%以下である請求項1〜4のいずれかに記載の袋包装用熱収縮性多層フィルム。
  6. 中間層(b)を構成する芳香族共重合ポリアミド樹脂が、イソフタル酸成分40〜98モル%およびテレフタル酸成分が2〜60モル%からなる酸成分と、ヘキサメチレンジアミン50〜100モル%、およびビス(p−アミノシクロヘキシル)メタン0〜50モル%からなる脂肪族ジアミンとから得られた共重合体を含む請求項1〜5のいずれかに記載の袋包装用熱収縮性多層フィルム。
  7. 中間層(b)を構成する脂肪族ポリアミド樹脂が、脂肪族ポリアミド共重合体である請求項1〜6のいずれかに記載の袋包装用熱収縮性多層フィルム。
  8. 管状である請求項1〜7のいずれかに記載の袋包装用熱収縮性多層フィルム。
  9. 折幅が400mm未満である請求項8に記載の袋包装用熱収縮性多層フィルム。
  10. 外表面層(a)がポリエステル系樹脂である請求項1〜9のいずれかに記載の袋包装用熱収縮性多層フィルム。
  11. ガスバリヤ樹脂からなる中間層(d)を更に有する請求項1〜10のいずれかに記載の袋包装用熱収縮性多層フィルム。
  12. ガスバリヤ樹脂がエチレン−ビニルアルコール共重合体である請求項11に記載の袋包装用熱収縮性多層フィルム。
  13. ガスバリヤ樹脂がエチレン−ビニルアルコール共重合体とポリアミド系樹脂との混合物を含む請求項11に記載の袋包装用熱収縮性多層フィルム。
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