JP2022077210A - ポリアミド系二軸延伸フィルムおよび包装体 - Google Patents

ポリアミド系二軸延伸フィルムおよび包装体 Download PDF

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Abstract

【課題】低収縮性、透明性、耐衝撃性を兼備したポリアミド系二軸延伸フィルムを提供する。【解決手段】少なくともポリアミド樹脂層(A)とガスバリア性樹脂層(B)とを有するフィルムにおいて、前記ポリアミド樹脂層(A)が、ポリアミド6を50~99質量%と、脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸の縮合重合物であり融解熱が60J/g以下のポリアミド樹脂(a)を1~50質量%含むことを特徴とするポリアミド系二軸延伸フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、熱水収縮率が低く、耐衝撃性の高いポリアミド系二軸延伸フィルム、および該フィルムを用いた包装体に関する。
ポリアミド系樹脂からなるフィルムは、耐衝撃性、強度などの機械的特性、耐熱性、さらには二軸延伸などの成形加工性に優れていることから、様々な用途として用いられている樹脂材料である。
また、ポリアミド系樹脂はポリオレフィン樹脂等の汎用プラスチックに比べて酸素等のガスバリア性には優れているが、食品や医薬品包装などの内容物の長期保存が求められるガスバリア性のレベルには不十分であることが知られているため、エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物(EVOH)やメタキシリレンジアジパミド(MXD6ナイロン)をはじめとする高いガスバリア性を有する樹脂と多層化させることによって機械物性、成形加工性、ガスバリア性等を合わせ持たせたポリアミド系樹脂フィルムが広く用いられてきている。
一方で、ポリアミド系樹脂を用いた二軸延伸フィルムは、延伸後に自然収縮もしくは熱収縮してしまうため、印刷時にピッチずれが生じたり、ボイル、レトルト処理時に層間剥離が生じたりする等の問題が発生してしまう。そのため、二軸延伸起因のフィルムの収縮を低減する方法として、二軸延伸後にテンター内で熱固定し、ポリアミド系フィルムの結晶化を促進する方法が使用されている。しかしながら、当該方法では、フィルムの収縮を低減できるものの、分子鎖が固定化されてしまうために柔軟性に乏しいフィルムとなってしまうことから、ポリアミド系二軸延伸フィルムの特徴であり且つ市場要求であるところの耐衝撃性や耐ピンホール性が低下してしまう。
そのため、低収縮性と耐衝撃性のバランスに優れたポリアミド系二軸延伸フィルムが求められている。
特許文献1には、ガスバリア性、耐ピンホール性、柔軟性、耐衝撃性に優れ、かつレトルト時の収縮率が小さいポリアミド延伸フィルムとして、メタキシリレンジアミンと炭素数6~12のα,ω-脂肪族ジカルボン酸を主原料として得られたポリアミド樹脂を主成分とする層、および脂肪族ポリアミド樹脂を主成分とする層からなる多層フィルムをロール/テンター式の逐次二軸延伸法で製造するに際し、縦延伸ロール温度および延伸倍率、横延伸温度および延伸倍率、ならびに熱固定温度および時間を特定範囲に制御することを特徴とする二軸延伸フィルムが開示されている。しかしながら、当該技術では、得られるフィルムの耐衝撃性が十分ではなかった。
特許文献2には、耐屈曲ピンホール性や耐突刺し性に優れたポリアミド系フィルムとして、ポリアミドを86~98重量%、及び耐屈曲剤を2~14重量%含有する技術が開示されている。しかしながら、当該技術では、ポリアミドに対して非相溶な耐屈曲剤をブレンドすると、二軸延伸時の透明性の悪化や、熱収縮の増大などが懸念される。
特開2008-94048号公報 特開2017-02114号公報
上記実情に鑑みて、本発明の課題は、低収縮性、透明性、耐衝撃性を兼備したポリアミド系二軸延伸フィルム及び該フィルムを用いた包装体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、少なくともポリアミド樹脂層(A)とガスバリア性樹脂層(B)とを有するフィルムにおいて、前記ポリアミド樹脂層(A)が、ポリアミド6を50~99質量%と、脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸の縮合重合物であり融解熱が60J/g以下のポリアミド樹脂(a)を1~50質量%含むことを特徴とするポリアミド系二軸延伸フィルムにより、上述の課題を解決することを見出し、以下の本発明を完成するに至った。
第1の本発明は、少なくともポリアミド樹脂層(A)とガスバリア性樹脂層(B)とを有するフィルムにおいて、前記ポリアミド樹脂層(A)が、ポリアミド6を50~99質量%と、脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸の縮合重合物であり融解熱が60J/g以下のポリアミド樹脂(a)を1~50質量%とを含むことを特徴とするポリアミド系二軸延伸フィルムである。
第1の本発明において、前記ポリアミド樹脂(a)が、分子構造にヘキサメチレンジアミンを有することが好ましい。
第1の本発明において、ヘーズが5.0%以下であり、127℃、5分間の熱水収縮率がフィルム流れ方向、幅方向共に12.0%以下であることが好ましい。
第1の本発明において、ゲルボフレックス試験の23℃、屈曲3000回条件と、5℃、屈曲回数500回条件のピンホール数が共に4.0個/481cm未満であることが好ましい。
第1の本発明において、パンクチャー衝撃強度が1.6J以上であることが好ましい。
第2の本発明は、第1の本発明の二軸延伸フィルムを用いた包装体である。
本発明によれば、低収縮性、透明性、耐衝撃性のバランスに優れたポリアミド系二軸延伸フィルムを提供することができる。その特徴から、本発明のポリアミド系二軸延伸フィルムは、食料品、医薬衣料品、工業部品等の包装体として好適に用いることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、「本発明のポリアミド系二軸延伸フィルム」を「本発明のフィルム」、「ポリアミド樹脂層(A)」を「層(A)」、「ガスバリア性樹脂層(B)」を「層(B)」と称することがある。
また、「X~Y」(X、Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含するものである。
<ポリアミド樹脂層(A)>
本発明のポリアミド系二軸延伸フィルムのポリアミド樹脂層(A)は、ポリアミド6と、脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸の縮合重合物であり融解熱が60J/g以下のポリアミド樹脂(a)とを含む。
ポリアミド6とポリアミド樹脂(a)との組成比は、層(A)中のポリアミド6とポリアミド樹脂(a)の合計量を100質量%とした場合に、(50~99)質量%:(1~50)質量%(ポリアミド6:ポリアミド樹脂(a)、以下同様。)であり、(60~98)質量%:(2~40)質量%が好ましく、(70~97)質量%:(3~30)質量%がより好ましい。係る組成比範囲であるとポリアミド6中にポリアミド樹脂(a)が均等に分散、分配しやすく、透明性を維持しながら耐衝撃性、低収縮性を付与することができる。一方で、ポリアミド6が50質量%未満、ポリアミド樹脂(a)が50質量%超であると、フィルム製膜性、延伸性が著しく悪化し、透明性や機械物性が不十分となる。
(ポリアミド6)
本発明に用いるポリアミド6としては、ε-カプロラクタムの開環重合により得られる公知の樹脂を使用できる。フィルム製膜性の点で、JIS K6920-2:2009、96%硫酸の条件で測定される相対粘度が1.0~5.0であることが好ましく、2.0~4.5がさらに好ましく、2.5~4.0が特に好ましい。係る範囲であれば、エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物やメタキシレンジアジパミドなどのガスバリア性樹脂で構成されるガスバリア性樹脂層(B)や、脂肪族ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、その他樹脂等で構成される他の層(C)等と安定して共押出製膜しやすく、層間の粘度差による流れムラも少ない。
また本発明に用いるポリアミド6の融点は、200℃~250℃が好ましく、210℃~240℃がより好ましい。ポリアミド6の融解熱は64~70J/gが好ましい。ポリアミド6の融点、融解熱が係る範囲であれば、耐熱性に優れ、押出成形性や、二軸延伸フィルムの成形が容易となる。
(ポリアミド樹脂(a))
本発明に用いるポリアミド樹脂(a)は、融解熱が60J/g以下であり、脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸の縮合重合反応により得られるポリアミド樹脂である。
ポリアミド樹脂(a)は、一般に「ポリアミドn,m(n,mは単量体の炭素数に由来する指数)」等で表記される脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸の縮合重合物であることにより、分子構造の観点からポリアミド6に比べて分子鎖の不均一性を有する。そのため、ポリアミド樹脂層(A)が100質量%のポリアミド6で構成される場合に比べ、層(A)の結晶配向性が緩和され、フィルムの収縮応力が低くなり、フィルムの収縮性が低減する。
ポリアミド樹脂(a)の融解熱が60J/g以下であると、ポリアミド6よりも融解熱が相対的に低いので、ポリアミド樹脂層(A)が100質量%のポリアミド6で構成される場合に比べ、層(A)全体の融解熱が低くなる、言い換えると層(A)の全体的な結晶性が低くなることで、層(A)の耐衝撃性、ひいてはフィルムの耐衝撃性が向上する。融解熱は58J/g以下が好ましく、55J/g以下がより好ましい。
ポリアミド樹脂の融解熱(ΔHm)は、示差走査熱量計(DSC)を用い、走査速度10℃/minで0℃から250℃まで昇温し、250℃で1分間保持し、その後、走査速度10℃/minで0℃まで降温する。その後、再度、走査速度10℃/minで250℃まで再昇温した際の融解熱(ΔHm、単位J/g)を分析解析した。
ポリアミド樹脂(a)としては、例えば、ポリアミド6,66、ポリアミド6,10、ポリアミド6,12、ポリアミド6,66,12等の分子構造にヘキサメチレンジアミンを有する脂肪族ポリアミド樹脂や、ポリアミド4,6、ポリアミド4,10、ポリアミド5,6、ポリアミド5,10、ポリアミド6,10、ポリアミド9,10、ポリアミド10,10、ポリアミド10,12等のバイオマス由来の脂肪族ポリアミド樹脂などが好ましい。これらは1種類で用いても良く、2種以上を用いても良い。
中でも、ポリアミド樹脂(a)として、分子構造にヘキサメチレンジアミンを有するポリアミド樹脂を用いると、ポリアミド6との相溶性、親和性が高いので、層(A)中のポリアミド6/ポリアミド樹脂(a)の海/島分散構造が微細となり、二軸延伸時の海/島相界面のボイド発生による白化を抑制でき、フィルムの透明性が向上する点で好ましい。バイオマス由来のポリアミド樹脂は、ポリアミド樹脂(a)として本発明の効果を発現するほか、環境負荷の低減にも有効であり好ましい。ポリアミド6,10は分子構造にヘキサメチレンジアミンを有し、かつ原料がバイオマス由来であり、両者の利点を兼ね備える樹脂である。さらに、ポリアミド6,10は樹脂のバイオマス度が60~65%と高く、環境負荷の低減効率が高い点からも好ましい。
なお、バイオマス由来のポリアミド樹脂を用いた場合、層(A)の組成比と、フィルム総厚に対する層(A)の厚み比により、フィルムのバイオマス度が算出できる。例えば、ポリアミド樹脂(a)にポリアミド6,10を用いた場合、フィルムのバイオマス度は0.5~40%が好ましく、1~30%がより好ましい。
中でも、ポリアミド6,66(ΔHm49J/g)、ポリアミド6,10(ΔHm51J/g)、ポリアミド6,12(ΔHm52J/g)、ポリアミド6,66,12(ΔHm36J/g)は、当該樹脂自体の結晶性が低く、かつポリアミド6との相溶性がよく、フィルムの透明性、低収縮性、耐衝撃性に寄与する観点から好ましい。
特に、ポリアミド6,10は、溶融状態から冷却した際の結晶化速度がポリアミド6に比べて速いので、ポリアミド樹脂層(A)全体の結晶性を低減でき、フィルムの収縮率を抑制することができ好ましい。ポリアミド6,10(ポリヘキサメチレンセバカミド)は、ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸との縮合重合により製造される。セバシン酸は、例えばトウゴマの種子から取れるひまし油や、10-ヒドロキシー12-オクタデセン酸などの植物原料から作ることができる。
本発明に用いるポリアミド樹脂(a)の230℃、2.16kg重におけるメルトフローレート(MFR)は、0.1~30g/10minが好ましく、1~20g/10minがより好ましく、2~10g/10minが更に好ましい。ポリアミド樹脂(a)のMFRが係る範囲であれば、ポリアミド6との相溶性が向上し、押出成形時の粘度ムラや分散不良を抑えることができる。
(他の成分)
ポリアミド樹脂層(A)は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の樹脂、熱可塑性エラストマー、添加剤等を含有することができる。
他の樹脂としては、ポリアミド12、ポリアミド6,6、ポリアミド4T、ポリアミド5T、ポリアミドM-5T、ポリアミド9T、ポリアミド10T、ポリアミド11T、ポリアミド12T、ポリアミドMXD6、ポリアミドPXD6、ポリアミドMXD10、ポリアミドPXD6等の半結晶性芳香族ポリアミド樹脂や、ポリアミドPACMT、ポリアミドPACMI、ポリアミドPACM12、ポリアミドPACM14等の非晶性芳香族ポリアミド樹脂が挙げられる。
中でも、ポリアミド12を含有するとフィルムに低吸水性、柔軟性を付与でき、ポリアミド6,6を含有するとフィルムの耐熱性、機械強度などが向上し好ましい。また、後述のガスバリア性樹脂層(B)にポリアミドMXD6を用い、層(A)にもポリアミドMXD6を含有すると、層(A)と層(B)の層間密着性が良好になると共に、フィルムの酸素ガスバリア性が向上して好ましい。
層(A)中の他の樹脂の含有率は、0~20質量%が好ましい。
熱可塑性エラストマーとしては、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、アクリル系エラストマーなどが挙げられる。
ポリアミド系エラストマーとしては、脂肪族ポリアミドをハードセグメント、ポリアルキレンエーテルグリコールをソフトセグメントとしたブロック共重合体が挙げられ、ポリアミド6およびポリアミド樹脂(a)との親和性が高く、ポリアミド系二軸延伸フィルムに柔軟性を付与する点で好適である。中でも、PA6-ポリエチレングリコール(PEG)ブロック共重合体、PA6-ポリテトラメチレングリコール(PTMG)ブロック共重合体、PA11-PEGブロック共重合体、PA11-PTMG、PA12-PEGブロック共重合体、PA12-PTMGブロック共重合体が好ましく、PA11-PTMG、PA12-PTMGがより好ましい。
ポリエステル系エラストマーとしては、ポリアルキレンエーテルグリコールをソフトセグメントとしたブロック共重合体、中でもポリブチレンテレフタレートのグリコールまたはジオールの一部がポリアルキレンエーテルグリコールセグメントのものが特に好ましい。
ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー中のポリアルキレンエーテルグリコールセグメントの含有量の下限は、好ましくは30質量%、より好ましくは40質量%、更に好ましくは50質量%、上限は、好ましくは90質量%、より好ましくは85質量%、更に好ましくは80質量%である。ポリアルキレンエーテルグリコールセグメントの含有量が上記上限以下であると硬度及び機械強度の点で好ましく、上記下限以上であると柔軟性及び耐衝撃性の点で好ましい。ポリアルキレンエーテルグリコールセグメントの含有量は核磁気共鳴スペクトル法(H-NMR)を使用し、その水素原子の化学シフトとその含有量に基づいて算出することができる。
また、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー中のポリアルキレンエーテルグリコールは、変性されていてもよい。変性成分としては、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸および/またはその無水物、グリシジル酸、アミン、エポキシ、イソシアネート等が挙げられる。中でも、無水マレイン酸等のα、β-エチレン性不飽和カルボン酸および/またはその無水物でグラフト変性したエラストマーが好ましい。変性率は、0.01~10質量%であることが好ましい。下限は0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましい。上限は7質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましい。変性率は、H-NMRにより求めることができる。
ポリスチレン系エラストマーとしては、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重体(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン-エチレン・プロピレン共重合体(SEP)、スチレン-エチレン・プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン-エチレン・ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン-エチレン-エチレン・プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEEPS)、スチレン-イソブチレンブロック共重合体(SIB)、スチレン-イソブチレン-スチレンブロック共重合体(SIBS)などが挙げられる。
層(A)中の熱可塑性エラストマーの含有率は、0~30質量%が好ましい。
添加剤としては、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候剤、滑剤、フィラー、核剤、可塑剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、難燃剤、染料、顔料、安定剤、カップリング剤、耐衝撃改良材等を含有することができる。
<ガスバリア性樹脂層(B)>
本発明のフィルムは、ガスバリア性樹脂からなる層(B)を設けることにより、ガスバリア性を付与することができ、包装材に用いた際に内容物の劣化や腐敗を防ぎ長期保管性を高めることに有用である。
ガスバリア性樹脂としては、公知の樹脂を使用でき、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物(EVOH)系樹脂、ポリメタキシリレンジアジパミド(ポリアミドMXD6)等のメタキシリレンジアミンを含む半芳香族ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)系樹脂などが挙げられる。中でも、酸素ガスバリア性、成形性の点で、エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物(EVOH)系樹脂、メタキシリレンジアミンを含む半芳香族ポリアミドが好ましい。
(エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物)
本発明に使用されるエチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物(EVOH)は、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体をアルカリ触媒等によってケン化することによって得られる共重合体である。エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物中のエチレン含有率は、特に限定されるものではないが、フィルム製膜安定性の観点から、一般に5モル%以上が好ましく、より好ましくは10モル%以上であり、特に好ましいのは20モル%以上である。一方、エチレン含有率の上限はガスバリア性の観点から、48モル%以下が好ましく、38モル%以下がより好ましく、30モル%以下が更に好ましい。またエチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物のケン化度は、96%以上が好ましく、98%以上がより好ましい。本発明のフィルムにおいて、エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物中のエチレン含有量、およびケン化度が上記範囲であることにより、製膜性とガスバリア性のバランスに優れたものとなり、層(A)との共押出や、二軸延伸などの成形加工に好適である。
また、エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物は、必要に応じて種々変性されていても良い。変性エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物としては、例えば、プロピレン、イソブテン等による変性エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物、炭素数3~30のα-オレフィンの少なくとも1種による変性エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物、アクリル酸エステルをグラフト重合して得られる変性エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物、(メタ)アクリル酸エステル-エチレン-酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル-3、4ジアセトキシブテンからなる3元共重合体をケン化して得られる変性エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物、エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物の水酸基をシアノエチル基により変性した変性エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物、ポリエステルをビニルアルコールと解重合反応させてなるポリエステルグラフト物を含有する変性エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物、酢酸ビニル-エチレン-ケイ素含有オレフィン性不飽和単量体の共重合体をケン化して得られる変性エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物、ピロリドン環含有単量体-エチレン-酢酸ビニルからなる3元共重合体をケン化して得られる変性エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物、アクリルアミド-エチレン-酢酸ビニルからなる3元共重合体をケン化して得られるエチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物、酢酸アリル-エチレン-酢酸ビニルからなる3元共重合体をケン化して得られる変性エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物、酢酸イソプロペニル-エチレン-酢酸ビニルからなる3元共重合体をケン化して得られるエチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物、ポリエーテル成分がエチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物の末端に付加している変性エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物、ポリエーテル成分がエチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物の枝ポリマーとしてグラフト状に付加している変性エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物、アルキレンオキサイドがエチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物に付加した変性エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物などが挙げられる。
また、これらの変性エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物は単独で用いても良いし、2種類以上を混合して用いても良く、エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物と混合して用いても良い。
(メタキシリレンジアミンを含む半芳香族ポリアミド)
本発明に使用されるメタキシリレンジアミンを含む半芳香族ポリアミドの例としては、例えばポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、ポリメタキシリレンピメラミド、ポリメタキシリレンスベラミド、ポリメタキシリレンアゼラミド、ポリメタキシリレンセバカミド、ポリメタキシリレンドデカンジアミド等のような単独重合体、及びメタキシリレン/パラキシリレンアジパミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンピメラミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンスベラミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンアゼラミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンセバカミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンドデカンジアミド共重合体等のような共重合体、ならびにこれらの単独重合体又は共重合体の成分に一部ヘキサメチレンジアミンの如き脂肪族ジアミン、ピペラジンの如き脂環式ジアミン、パラ-ビス-(2-アミノエチル)ベンゼンの如き芳香族ジアミン、テレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸、ε-カプロラクタムの如きラクタム、アミノヘプタン酸の如きω-アミノカルボン酸、パラ-アミノメチル安息香酸の如き芳香族アミノカルボン酸等を共重合した共重合体等が挙げられる。中でもガスバリア性、成形性の観点からポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)が好ましい。
ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)とは、主としてメタキシリレンジアミンとアジピン酸との重合生成物を意味する。
前記ポリメタキシリレンアジパミドを構成するジアミン成分を100モル%とした場合、70モル%以上、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上がメタキシリレンジアミンである。オルトキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン等の異性体、または、炭素数6~12の脂肪族ジアミン等を30モル%以下含んでもよいが、ガスバリア性や耐熱性の点から、できればこれらは含まれていない方が好ましい。
前記ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)を構成するジカルボン酸成分を100モル%とした場合、70モル%以上、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上がアジピン酸である。炭素数7~12の脂肪族ジカルボン酸や、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の環状脂肪族ジカルボン酸等を30モル%以下含んでもよいが、ガスバリア性や延伸性の点から、できればこれらは含まれていない方が好ましい。
(他の成分)
ガスバリア性樹脂層(B)は、本発明の効果を損なわない範囲で熱可塑性エラストマーを含有できる。熱可塑性エラストマーの含有により、ガスバリア性樹脂層(B)の柔軟性を向上させ、フィルムの耐ピンホール性を向上させることが可能である。熱可塑性エラストマーとしては、上述のポリアミド樹脂層(A)に含有可能な種類を同様に使用できる。
層(B)を100質量%とした場合に、熱可塑性エラストマーの含有量は20質量%以下が好ましく、1~15質量%がより好ましい。熱可塑性エラストマーの含有量が20質量%以下であることによって、フィルムのガスバリア性や透明性の低下を抑えられ、また、フィルム製膜におけるゲル発生が抑制されるのでフィルム生産性の点で好ましい。
<層構成>
本発明のフィルムは、少なくともポリアミド樹脂層(A)とガスバリア性樹脂層(B)とを有すればよい。複数の層(A)を配設する場合は、組成の同一な層(A)でもよく、組成の異なる層(A)でもよい。複数の層(B)を配設する場合も同様である。また、層(A)、層(B)の他に、他の層(C)を有してもよい。
各層順としては、特に限定はないが、例えば、[A/B]の2層構成、[A/B/A]、[A/B/C]、[A/C/B]、[C/A/B]の3層構成、[A/A/B/A/A]、[A/C/B/C/A]、[C/A/B/A/C]、[A/B/C/B/A]の5層構成などがフィルム製膜安定性の点で好ましい。
他の層(C)の成分は、特に制限はないが、層(C)を層(A)と層(B)の間に配設する場合は、層間接着性の向上のためには、層(A)及び/又は層(B)と共通な成分を含める、または接着性樹脂を用いると好ましい。
また、層(C)を層(A)の外側、言い換えるとフィルムの表層側に設ける場合は、フィルムの耐ピンホール性や耐摩擦・磨耗性の向上のためには、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6,66等の脂肪族ポリアミドを用いると好ましい。
本発明のフィルムの総厚は、特に限定されるものではないが、例えば加工性、実用性を考慮した場合、下限値は5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、12μm以上が更に好ましい。上限値は50μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましく、25μm以下が更に好ましい。総厚が上記範囲内であれば、ポリアミド系二軸延伸フィルムとしての剛性が良好であり、耐屈曲ピンホール性、耐衝撃性などの機械特性にも優れ、さらにはガスバリア性にも優れたフィルムとなる。
各層厚は、耐屈曲ピンホール性と酸素ガスバリア性の点から、フィルム総厚100%に対する層(A)の厚比は25~90%、層(B)の厚比は10~70%とすることが好ましい。なお、層(A)および/または層(B)が複数ある場合は、総厚に対する層(A)または層(B)層の合計厚の比率である。
層(A)、層(B)、層(C)の各層厚は、特に限定されるものではないが、1~15μmが好ましい。より好ましくは2~10μm、更に好ましくは3~8μmである。層(A)、層(B)、層(C)がそれぞれ複数ある場合は、1層ごとに異なる層厚であってもよいし、同じ層厚であってもよい。
本発明のフィルムは、印刷、コーティング、蒸着などの表面処理や表面加工を行うことができる。また、ポリオレフィンやポリエステル等の他の樹脂層や他のフィルムや粘着層、金属箔、紙などを積層して使用することができ、積層方法は公知の方法を用いることが可能で、例えばドライラミネート法、ウェットラミネート法、サンドラミネート法、押出ラミネート法などが挙げられる。また、積層の際に、本発明のフィルム表面にコロナ放電、アンカーコート等の表面処理を施してもよい。
また、本発明のフィルムを包装材に用いる場合は、内容物の品質保持や腐敗防止の観点から、更にガスバリア性樹脂層を積層する、あるいは、アルミニウム、酸化珪素、アルミナ、ダイヤモンドライクカーボン等を蒸着加工する、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)系樹脂などのガスバリア性コート剤を塗布する等により、さらにガスバリア性や防湿性を向上させることができる。
<製造方法>
本発明のフィルムは、二軸延伸したフィルムであればよく、公知の方法により製造することができる。
原材料である層(A)のポリアミド6、ポリアミド樹脂(a)、層(B)のガスバリア性樹脂は、いずれも吸湿性が大きい樹脂種であり、吸湿した樹脂を使用すると熱溶融し押し出す際に水蒸気やオリゴマーが発生しフィルム化を阻害する。そのため、原材料の準備においては、事前に樹脂を乾燥して水分含有率を0.1質量%以下とするのが好ましい。
それら樹脂を各層用の押出機にそれぞれ投入し、溶融した樹脂をフィードブロック、またはマルチマニホールドのフラットダイ、または環状ダイで合流させてから、多層フィルムとして共押出した後、急冷することによりフラット状、または環状の未延伸フィルムを得る。
次いで、未延伸フィルムをテンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸等の公知の方法を用い、フィルムの流れ方向(縦方向、MD)とこれに直角な幅方向(横方向、TD)に二軸延伸する。例えば、テンター式逐次二軸延伸方法の場合には、未延伸フィルムを40~100℃の温度範囲に加熱し、ロール式縦延伸機によって縦方向に延伸し、続いてテンター式横延伸機によって60~140℃の温度範囲内で横方向に延伸することにより製造することができる。また、テンター式同時二軸延伸やチューブラー式同時二軸延伸方法の場合は、例えば、60~200℃の温度範囲において、縦横同時に各軸方向に延伸することにより製造することができる。
延伸倍率は、フィルムの流れ方向(縦方向、MD)、幅方向(横方向、TD)において、各々2.0~5.0倍が好ましく、各々2.5~4.5倍がより好ましい。二軸延伸方向の延伸倍率が各々2.0倍以上により、延伸配向が進み、フィルム強度などの機械物性が良好となり、また延伸倍率が各々5.0倍以下により、延伸時にフィルムが破断し難く生産性が良い。
更に、フィルムの寸法安定性を向上させるために、上記の二軸延伸フィルムを熱固定することができる。熱固定温度は、200℃~225℃が好ましく、205~220℃がより好ましい。これにより、常温寸法安定性のよい、任意の熱収縮性、耐衝撃性、耐屈曲ピンホール性を有する二軸延伸フィルムを得ることが出来る。また、本発明のフィルムは、層(A)にポリアミド樹脂(a)を含むことにより、低収縮性と耐衝撃性を向上させることができる。
また、熱固定による結晶化収縮の応力を緩和させるために、熱固定中に幅方向に0~15%、好ましくは3~10%の範囲で弛緩処理を行うこともできる。
また、弛緩処理の後、140℃~200℃の温度で、幅方向に2~9%、好ましくは3~7%、更に好ましくは4~7%の範囲で再延伸を行うことができる。再延伸温度が上記範囲内にあれば、適度な延伸時の応力が得られて均質な延伸となり、幅方向の横収縮率が均等になりやすい。
<フィルム物性>
(熱水収縮率)
本フィルムは、95℃、5分間の熱水収縮率、および127℃、5分間の熱水収縮率がフィルム流れ方向(MD)、幅方向(TD)ともに0.1%以上12.0%以下であることが好ましい。上限は10.0%以下がより好ましい。下限は0.3%以上がより好ましく、0.5%以上が更に好ましい。
上記の熱水収縮率が0.1%以上であると、二軸延伸フィルムの耐衝撃性、耐屈曲ピンホール性と低収縮性との兼備が可能となり易い。また、熱水収縮率が12.0%以下であると、印刷、ラミネート、製袋加工などの後加工で負荷される熱による収縮が起き難く、印刷時のずれやラミネート時のしわの発生や、製袋品の歪みを抑制できる。
一般に、ポリアミド系二軸延伸フィルムでは、熱水収縮率が高いと柔軟で、低温耐ピンポール性には有利であるが、フィルム機械強度や上述の後加工性は不十分となりやすいところ、本発明のフィルムの場合は、ポリアミド系樹脂層(A)においてポリアミド6にポリアミド樹脂(a)を混合することにより、フィルムの強度を維持しつつポリアミド6の配向が緩和されるため、低い熱水収縮率でも、十分なフィルム機械強度、耐衝撃性、耐屈曲ピンホール性を兼備しやすい利点がある。
熱水収縮率は、後述の実施例の評価に記載の方法により測定できる。
(耐衝撃性)
本発明のフィルムの耐衝撃性は、貫通部がフィルム試験片に穴を開けた際のパンクチャー衝撃強度によって評価でき、1.6J以上が好ましく、1.8J以上がより好ましく、2.0J以上がさらに好ましい。パンクチャー衝撃強度が係る範囲であれば、フィルムは耐衝撃性に優れ、包装材に用いた際に穴があき難く良好である。
本発明のフィルムの耐衝撃性は、JIS P8134:1998の衝撃あな開け強さ試験により測定される。装置の架台は、仕事量の損失がないようにしっかりした基礎に設置し、振子は90度の弧状の腕を有し、その腕の先端には貫通部が取り付けられており、自由に振動することができるものとする。
(透明性)
本発明のフィルムは、ヘーズ5.0%以下が好ましく、4.5%以下がより好ましく、3.0%以下が更に好ましい。ヘーズ値が係る範囲であれば、フィルムは透明性に優れ、意匠性や、包装フィルムとして用いた際に内容物の視認性が良好である。
ヘーズは、JIS K7136:2000に基づき測定される。
(引張破断応力、引張破断伸び)
本発明のフィルムは機械強度に優れるものであり、引張破断応力が、縦方向(MD)、横方向(TD)とも100~400MPaの範囲であることが好ましく、下限は150MPa以上がより好ましく、200MPa以上が更に好ましい。係る範囲の引張破断応力のフィルムであれば、内容物を包装した際に、フィルムの剛性を維持しつつ、屈曲によるピンホールや破断が生じにくい。
引張破断伸びは、縦方向(MD)、横方向(TD)の何れかが80%以上300%以下が好ましく、下限は100%以上がより好ましい。また、縦方向(MD)、横方向(TD)の両方が係る範囲であるとフィルムが強靭性に優れ、より好ましい。
引張破断応力、引張破断伸びは、JIS K7127:1999、試験速度200mm/min、23℃の条件で測定される。
(耐屈曲ピンホール性)
本発明のフィルムは、ゲルボフレックステスターを用い、23℃相対湿度50%下で屈曲回数3000回、5℃相対湿度50%下で屈曲回数500回の各条件で屈曲試験を行い、発生したピンホール数を計測した。各条件で3回試験しその平均値を算出した。ピンホール数は、何れの条件においても4.0個/481cm未満が好ましく、3.0個/481cm以下がより好ましく、2.0個/481cm以下が更に好ましく、1.0個/481cm以下が特に好ましい。また一般に、環境温度が低いほどフィルムの柔軟性が失われるので、低温条件下でピンホール数が少ないことが望ましい。4.0個/481cm未満であれば、包装体が運搬・保管される際のフィルムの屈曲や、包装体同士の衝突によるピンホールが発生しにくく、ガスバリア性の低下による内容物の酸化劣化を抑え易い。
(酸素ガスバリア性)
本発明のフィルムは、23℃相対湿度50%の条件下での酸素透過率が10cc/m/24h/atm以下であることが好ましく、5cc/m/24h/atm以下であることが更に好ましく、より低い値であることが望まれる。酸素透過率が10cc/m/24h/atm以下であれば、包装用フィルムとして、内容物の変質を防止し、新鮮に保つのに十分な酸素ガスバリア性を維持することができるため好ましい。
(バイオマス度)
バイオマス由来のポリアミド樹脂を用いた場合、該樹脂のバイオマス度と、該樹脂を含む層の組成比と、フィルム総厚に対する該層の厚み比により、フィルム全体のバイオマス度(%)が算出できる。フィルム全体のバイオマス度は0.5~40%が好ましく、1~30%がより好ましい。
以下に本発明は実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<原材料>
実施例、比較例に用いた樹脂の略号、成分、物性等は次の通りである。
ポリアミド樹脂の相対粘度は、JIS K6920-2:2009、96%硫酸の条件で測定した。
ポリアミド樹脂の融解熱(ΔHm)は、示差走査熱量計(DSC)を用い、走査速度10℃/minで0℃から250℃まで昇温し、250℃で1分間保持し、その後、走査速度10℃/minで0℃まで降温する。その後、再度、走査速度10℃/minで250℃まで再昇温した際の融解熱(ΔHm、単位J/g)を分析解析した。
(ポリアミド樹脂)
n1: ポリアミド6、相対粘度3.4、融点222.5℃、ΔHm68J/g
a1: ポリアミド6,10、ΔHm51J/g、バイオマス度62%
a2: ポリアミド6,66、ΔHm49J/g
(他の樹脂)
e1: ポリアミド12―PTMGブロック共重合体、PTMG70質量%
(ガスバリア性樹脂)
b1: エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物(EVOH)、エチレン含有量25モル%
b2: ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)
<フィルム作製>
(実施例1、比較例1)
原材料を表1に示す質量比で配合した表層(層(A)、層(C))の樹脂組成物をφ40mmの押出機に投入し、ガスバリア層(層(B))の樹脂組成物をφ32mmの押出機に投入し、それぞれ溶融させた樹脂組成物を分配ブロックで分配かつ共押出Tダイ内で多層化させて溶融フィルムを押出し、30℃の冷却ロールの上で急冷して未延伸多層フィルムを作製した。
実施例1、比較例1では、「表層/ガスバリア性樹脂層/表層」の3層構成の多層フィルムとした。
得られた未延伸多層フィルムを55℃条件のロール式縦延伸機を用いて縦方向に3.0倍延伸し、次いで120℃条件のテンター式横延伸機にて横方向に4.0倍延伸し、続いて、215℃条件で熱固定を行った。その後、室温まで冷却し、クリップの把持部に相当する両端部はトリミングし、トリミング後のフィルムをロール状に巻き取り、総厚15.0μmの二軸延伸多層フィルムを得た。
各層厚は、フィルムを垂直に断面出しし、顕微鏡観察により計測した。得られたフィルムについて、下記の評価を行い、結果を表1に纏めた。
(実施例2~4、比較例2~3)
原材料を表1に示す質量比で配合した表層(層(A)、層(C))の樹脂組成物をφ65mmの各押出機に投入し、ガスバリア性樹脂層(層(B))の樹脂組成物をφ50mmの押出機に投入し、それぞれ溶融させた樹脂組成物を分配ブロックで分配かつ共押出Tダイ内で多層化させた溶融フィルムを押出し、30℃の冷却ロールの上で急冷して未延伸多層フィルムを作製した。
実施例2、比較例2では、「表層/ガスバリア性樹脂層/表層」の3層構成の多層フィルムとし、実施例3,4、比較例3では、「表層/中間層/ガスバリア層/中間層/表層」の5層構成の多層フィルムとした。
得られた未延伸多層フィルムを55℃条件のロール式縦延伸機を用いて縦方向に3.0倍延伸し、次いで120℃条件のテンター式横延伸機にて横方向に3.5倍延伸し、続いて、215℃条件で熱固定を行った。その後、室温まで冷却し、クリップの把持部に相当する両端部はトリミングし、トリミング後のフィルムをロール状に巻き取り、総厚15.0μmのポリアミド系二軸延伸フィルムを得た。
各層厚は、フィルムを垂直に断面出しし、顕微鏡観察により計測した。得られたフィルムについて、下記の評価を行い、結果を表1に纏めた。
<評価>
(1)熱水収縮率
フィルムの両端部および中央の3点において、フィルムの流れ方向(縦方向、MD)と幅方向(横方向、TD)に各々平行な120mm角の試験片を切り出し、このサンプルの縦横方向にそれぞれ100mm超の基準線を3本引いた。この試験片を23℃相対湿度50%雰囲気下に24時間静置して基準線を測長し、熱処理前の長さをFとした。次いで試験片を95℃の熱水中に5分間浸するか、あるいは、127℃、5分間のオートクレーブ処理を施した。その後、23℃相対湿度50%雰囲気下に30分間静置した後、前記の基準線を測長し、熱処理後の長さをGとした。以下の式を使用して、各試験片の流れ方向、幅方向の3本の熱水収縮率(単位:%)の平均値を算出し、フィルム両端部および中央の平均値からフィルム流れ方向、幅方向の熱水収縮率(単位:%)を算出した。
(式) (F-G)/F×100 (%)
(2)耐衝撃性
JIS P8134:1998の衝撃あな開け強さ試験により、パンクチャー衝撃強度(単位:J)を測定した。装置の架台は、仕事量の損失がないようにしっかりした基礎に設置し、振子は90度の弧状の腕を有し,その腕の先端には貫通部が取り付けられており、自由に振動することができるものである。
(3)透明性
JIS K7136:2000に準拠してヘーズ(単位:%)を測定した。
(4)引張破断応力、引張破断伸び
JIS K7127:1999に基づき、試験速度200mm/min、23℃条件下での縦方向、横方向(MD方向、TD方向)への引張破断応力(単位:MPa)、引張破断伸び(単位:%)を測定した。
(5)耐屈曲ピンホール性
フィルムから20cm×28cmの大きさの試験片を切り出し、以下に示す所定の温度、相対湿度50%の条件下に、24時間以上静置して調温湿し、MIL-B-131Cの規格に準拠した理学工業社製ゲルボフレックステスターNo.901型を使用して、次のように屈曲テストを繰り返し、481cm当たりのピンホール数を計測した。フィルムを長さ20cm、円周28cmの円筒状にし、当該巻架した円筒状フィルムの一端を上記テスターの円盤状固定ヘッドの外周に、他端を上記テスター円盤状可動ヘッドの外周にそれぞれ固定した。固定ヘッドと可動ヘッドとは17.5cm隔てて対向している。
次いで、上記可動ヘッドを上記固定ヘッドの方向に、平行に対向した両ヘッドの軸に沿って8.8cm接近させる間に440゜回転させ、続いて回転させることなしに6.3cm直進させ、その後、これらの動作を逆に行わせ、上記可動ヘッドを最初の位置に戻すまでの行程を1回とする屈曲テストを、1分あたり40回の速度で、連続して所定の回数行った。その後、屈曲テストしたフィルムの固定ヘッドと可動ヘッドの外周に固定した部分を除いた17.5cm×27.5cmの面積481cm内の部分に生じたピンホール数(単位:個/481cm)を、サンコー電子研究所製ピンホールテスターTRD型により1kVの電圧を印加して、計測した。
温度、湿度、屈曲試験回数は、(i)温度5℃相対湿度50%、屈曲回数500回、(ii)温度23℃相対湿度50%、屈曲回数3000回の2条件で行った。
(6)酸素ガスバリア性
JIS K-7126 B法に準拠して23℃相対湿度50%条件下での酸素透過率(単位:cc/(m・24h・atm))を測定した。
(7)バイオマス度
各フィルムのバイオマス度は、トウゴマの種子から取れるひまし油から作られたセバシン酸を用いて縮合重合された、すなわちバイオマス由来のポリアミド樹脂であるポリアミド6,10(a1)のバイオマス度と、該樹脂を含む層の組成比と、フィルム総厚に対する該層の厚み比により算出した。
Figure 2022077210000001
実施例1は、比較例1に比べ、表層に融解熱が低く、柔軟なポリアミド縮合重合物であるポリアミド6,66を含み、127℃5分間の熱水収縮率が低かった。
実施例2は、比較例2に比べ、表層にポリアミド6,10を含み、127℃5分間の熱水収縮率が小さかった。同様に、実施例3は、比較例3に比べ、表層にポリアミド6,10を含み、127℃5分間の熱水収縮率が小さかった。これらは、層(A)に、ポリアミド6と、結晶化速度の速いポリアミド6,10とを混合したことにより、層(A)全体の結晶化が容易に進行したためと考えられる。また、ポリアミド6,10は、ポリアミド6に比べ融解熱が小さく結晶化度も低い特性を持つため、パンクチャー衝撃強度が向上し、二軸延伸フィルムに耐衝撃性を付与することができたものと考えられる。
実施例4は、表層とガスバリア性樹脂層(B)の間の中間層に、融解熱が低く、柔軟なポリアミド縮合重合物であるポリアミド6,10とポリアミド6,66を混合しており、比較例3に比べ、熱水収縮率が低く、耐衝撃性を向上させることができた。
本発明のフィルムは、低収縮性、透明性、耐衝撃性を兼備したポリアミド系二軸延伸フィルムであり、食料品、医薬衣料品、工業部品等の包装に好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. 少なくともポリアミド樹脂層(A)とガスバリア性樹脂層(B)とを有するフィルムにおいて、
    前記ポリアミド樹脂層(A)が、ポリアミド6を50~99質量%と、脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸の縮合重合物であり融解熱が60J/g以下のポリアミド樹脂(a)を1~50質量%とを含むことを特徴とするポリアミド系二軸延伸フィルム。
  2. 前記ポリアミド樹脂(a)が、分子構造にヘキサメチレンジアミンを有する、請求項1に記載のポリアミド系二軸延伸フィルム。
  3. ヘーズが5.0%以下であり、127℃、5分間の熱水収縮率がフィルム流れ方向、幅方向共に12.0%以下である請求項1または2に記載のポリアミド系二軸延伸フィルム。
  4. ゲルボフレックス試験の23℃、屈曲3000回条件と、5℃、屈曲回数500回条件のピンホール数が共に4.0個/481cm未満である請求項1~3のいずれかに記載のポリアミド系二軸延伸フィルム。
  5. パンクチャー衝撃強度が1.6J以上である請求項1~4のいずれかに記載のポリアミド系二軸延伸フィルム。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載の二軸延伸フィルムを用いた包装体。
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