以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のフィルム用ポリアミド樹脂組成物は、(A)ポリアミド樹脂と、(B)(B1)数平均分子量200〜4,000のポリアルキレングリコール、又は(B2)ポリアルキレングリコールと脂肪酸との部分エステル化合物エステル化合物、及び/又は(C)(C1)多価アルコールと脂肪酸との部分エステル化合物、又は(C2)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物、及び(D)エチレン含有量50〜95質量%、ケン化度70〜99.9モル%のエチレン/酢酸ビニル共重合体部分ケン化物を含有する。
本発明において使用される(A)ポリアミド樹脂は、主鎖中にアミド結合(−CONH−)を有する重合体であり、カプロラクタムから誘導される単位の含有量は、得られるフィルムの熱的・機械的特性の観点から、全重合単位に対して、50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましく、75モル〜100モル%であることがさらに好ましい。
具体的には、ポリカプロアミド(ポリアミド6)や、カプロラクタムから誘導される単位を50モル%以上含有する共重合体がさらに好ましい。カプロラクタムから誘導される単位の含有量が、全重合単位に対して50モル%以上である限りにおいて、カプロラクタムから誘導される単位を除く他の重合単位を共重合することも可能である。
他の重合単位としては、カプロラクタムを除くラクタム、アミノカルボン酸、又はジアミンとジカルボン酸からなるナイロン塩から誘導される単位が挙げられる。
ラクタムとしては、エナントラクタム、ウンデカンラクタム、ドデカンラクタム、α−ピロリドン、α−ピペリドン等、アミノカルボン酸としては、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
また、ナイロン塩を構成するジアミンとしては、1,2−エタンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,13−トリデカンジアミン、1,14−テトラデカンジアミン、1,15−ペンタデカンジアミン、1,16−ヘキサデカンジアミン、1,17−ヘプタデカンジアミン、1,18−オクタデカンジアミン、2−/3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン等の脂肪族ジアミン、1,3−/1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3−/1,4−シクロヘキサンジメチルアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、5−アミノ−2,2,4−トリメチル−1−シクロペンタンメチルアミン、5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン(イソホロンジアミン)、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ビス(アミノエチル)ピペラジン、ノルボルナンジメチルアミン、トリシクロデカンジメチルアミン等の脂環式ジアミン、m−/p−キシリレンジアミン等の芳香族ジアミンが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
一方、ナイロン塩を構成するジカルボン酸としては、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,3−/1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ジシクロヘキサンメタン−4,4’−ジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−/2,6−/2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
得られるフィルムの耐熱性、機械的強度、透明性、経済性、入手の容易さ等を考慮して、ポリアミド6、ポリアミド6/66共重合体(ポリアミド6とポリアミド66の共重合体、以下、共重合体は同様に記載)、ポリアミド6/69共重合体、ポリアミド6/610共重合体、ポリアミド6/612共重合体、ポリアミド6/12共重合体、ポリアミド6/66/12共重合体、ポリアミド6/6T共重合体、ポリアミド6/6I共重合体、ポリアミド6/IPD6共重合体、ポリアミド6/IPDT共重合体、ポリアミド6/MXD6共重合体、及びポリアミド6/MXDT共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、ポリアミド6、ポリアミド6/66共重合体、ポリアミド6/12共重合体、ポリアミド6/IPD6共重合体、ポリアミド6/IPDT共重合体、及びポリアミド6/66/12共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種がより好ましく、ポリアミド6、ポリアミド6/66共重合体、ポリアミド6/12共重合体、及びポリアミド6/66/12共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種がさらに好ましい。
JIS K−6920に準じて、96質量%の硫酸中、ポリマー濃度1質量%、温度25℃の条件下にて測定した(A)ポリアミド樹脂の相対粘度は、得られるフィルムの機械的性質を確保することと、溶融時の粘度を適正な範囲にして成形性を確保する観点から、2.0〜5.0であることが好ましく、2.5〜4.5であることがより好ましい。
尚、(A)ポリアミド樹脂の末端基の種類及びその濃度や分子量分布に特別の制約は無い。分子量調節や成形加工時の溶融安定化のため、分子量調節剤として、モノアミン、ジアミン、モノカルボン酸、ジカルボン酸のうちの1種あるいは2種以上を適宜組合せて添加することができる。例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等の脂肪族モノアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン、アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族モノアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン等の脂肪族ジアミン、シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン等の脂環式ジアミン、m−/p−フェニレンジアミン、m−/p−キシリレンジアミン等の芳香族ジアミンや酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソブチル酸等の脂肪族モノカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、α−/β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸、アジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−/1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−/2,6−/2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これら分子量調節剤の使用量は分子量調節剤の反応性や重合条件により異なるが、最終的に得ようとするポリアミド樹脂の相対粘度が前記の範囲になるように適宜決められる。
(A)ポリアミド樹脂の製造装置としては、バッチ式反応釜、一槽式ないし多槽式の連続反応装置、管状連続反応装置、一軸型混練押出機、二軸型混練押出機等の混練反応押出機等、公知のポリアミド製造装置が挙げられる。重合方法としては溶融重合、溶液重合や固相重合等の公知の方法を用い、常圧、減圧、加圧操作を繰り返して重合することができる。これらの重合方法は単独で、あるいは適宜、組合せて用いることができる。
本発明において使用される(B1)数平均分子量200〜4,000のポリアルキレングリコールは、アルキレングリコールから誘導される単位から構成されるエーテル重合体である。ポリアルキレングリコールとしては、入手の容易さ、安全衛生の観点から、炭素数2〜6のアルキレングリコールから誘導される単位から構成される重合体が好ましく、炭素数2〜3のアルキレングリコールから誘導される単位から構成される重合体がより好ましく、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等が挙げられる。これらアルキレングリコールから誘導される単位は、ブロック又はランダムに共重合されてもよく、例えば、ポリエチレングリコール/プロピレングリコール重合体、ポリエチレングリコール/テトラメチレングリコール重合体等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
(B1)ポリアルキレングリコールの数平均分子量は、フィルム成形後の表面へのブリードアウトを防止し、柔軟性付与剤としての改良効果や共押出やラミネートで積層フィルムとした際の良好な接着性や印刷性を十分に確保する観点から、200〜4,000であり、300〜2,000であることが好ましく、300〜1,000であることがより好ましい。尚、ここでいう「数平均分子量」とは、JIS K−1557−1に準拠した末端OH定量法から算出されたものである。
本発明において使用される(B2)ポリアルキレングリコールと脂肪酸との部分エステル化合物とは、アルキレングリコールから誘導される単位から構成されるポリアルキレングリコールと脂肪酸との部分エステル誘導体である。
(B2)ポリアルキレングリコールと脂肪酸との部分エステル化合物を構成する脂肪酸としては、柔軟性付与効果やポリアミド樹脂との相溶性を十分に確保する観点から、炭素数6〜30の脂肪酸が好ましく、炭素数8〜24の脂肪酸がより好ましく、飽和、不飽和脂肪酸どちらであっても構わない。また、直鎖、分岐鎖の何れを含む構造でもあってもよい。具体的には、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ベヘン酸、エルカ酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。脂肪酸の炭素骨格には、水酸基等の置換基が存在していてもよい。
(B2)ポリアルキレングリコールと脂肪酸との部分エステル化合物を構成するポリアルキレングリコールとしては、入手の容易さ、安全衛生の観点から、炭素数2〜6のアルキレングリコールから誘導される単位から構成される重合体が好ましく、炭素数2〜3のアルキレングリコールから誘導される単位から構成される重合体がより好ましく、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等が挙げられる。これらアルキレングリコールから誘導される単位は、ブロック又はランダムに共重合されてもよく、例えば、ポリエチレングリコール/プロピレングリコール重合体、ポリエチレングリコール/テトラメチレングリコール重合体等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。同アルキレングリコールの数平均分子量は、フィルム成形後の表面へのブリードアウトを防止し、柔軟性付与剤としての改良効果や共押出やラミネートで積層フィルムとした際の良好な接着性や印刷性を十分に確保する観点から、200〜4,000であることが好ましく、300〜3,000であることがより好ましく、300〜2,000であることがさらに好ましい。
(B2)ポリアルキレングリコールと脂肪酸との部分エステル化合物は実質的に部分エステルであることが必要であり、フィルム成形後の表面へのブリードアウトを防止し、ポリアミド樹脂との相溶性を十分に確保する観点から、化合物中の水酸基全体の30%以上がエステル化せず残存していることが好ましく、50%以上がエステル化せずに残存していることがより好ましい。即ち、部分エステル化率は、70%未満であることが好ましく、50%未満であることがより好ましい。上記水酸基の割合を満たす限りにおいては、水酸基の割合が異なる2種類以上の(B2)ポリアルキレングリコールと脂肪酸との部分エステル化合物の混合物でも構わない。この場合、(B2)ポリアルキレングリコールと脂肪酸との部分エステル化合物の混合物における水酸基の割合は、混合物を構成する化合物の水酸基の割合及び配合割合により決まる。
(B2)ポリアルキレングリコールと脂肪酸との部分エステル化合物としては、ポリエチレングリコールと脂肪酸との部分エステル、ポリプロピレングリコールと脂肪酸との部分エステルが挙げられ、具体例としては、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノミリステート、ポリエチレングリコールモノパルミテート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリエチレングリコールモノベへネート、ポリプロピレングリコールモノラウレート、ポリプロピレングリコールモノミリステール、ポリプロピレングリコールモノパルミテート、ポリプロピレングリコールモノステアレート、ポリプロピレングリコールモノオレエート、ポリプロピレングリコールモノベへネート等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
本発明において使用される(C1)多価アルコールと脂肪酸との部分エステル化合物は、多価アルコールと脂肪酸との部分エステル誘導体であり、(C2)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物は、多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル誘導体である。
(C1)多価アルコールと脂肪酸との部分エステル化合物や(C2)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物を構成する多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−/1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−/1,3−/1,4−/1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,7−ヘプタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリ−(トリメチロールプロパン)、トリメチロールブタン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,4−ブタンテトロール、ソルビタン、イソソルバイド、ソルビトール、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール、キシロース、アラビノース、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、シュクロース、ラフィノース、ゲンチアノース、メレジトース等が挙げられる。これらの中でも、グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタン、ソルビトールが好ましい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
(C1)多価アルコールと脂肪酸との部分エステル化合物や(C2)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物を構成する脂肪酸としては、柔軟性付与効果やポリアミド樹脂との相溶性を十分に確保する観点から、炭素数6〜30の脂肪酸が好ましく、炭素数8〜24の脂肪酸がより好ましく、飽和、不飽和脂肪酸でどちらであっても構わない。また、直鎖、分岐鎖の何れを含む構造でもあってもよい。具体的には、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ベヘン酸、エルカ酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。脂肪酸の炭素骨格には、水酸基等の置換基が存在していてもよい。
(C1)多価アルコールと脂肪酸との部分エステル化合物や(C2)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物は実質的に部分エステルであることが必要であり、フィルム成形後の表面へのブリードアウトを防止し、ポリアミド樹脂との相溶性を十分に確保する観点から、化合物中の水酸基全体の30%以上がエステル化せず残存していることが好ましく、50%以上がエステル化せずに残存していることがより好ましい。即ち、部分エステル化率は、70%未満であることが好ましく、50%未満であることがより好ましい。上記水酸基の割合を満たす限りにおいては、水酸基の割合が異なる2種類以上の(C1)多価アルコールと脂肪酸との部分エステル化合物や(C2)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物の混合物でも構わない。この場合、(C1)多価アルコールと脂肪酸との部分エステル化合物や(C2)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物の混合物における水酸基の割合は、混合物を構成する化合物の水酸基の割合及び配合割合により決まる。
(C1)多価アルコールと脂肪酸との部分エステル化合物としては、柔軟性付与効果や、得られるフィルムの透明性や衛生安全性を確保する観点から、グリセリン脂肪酸部分エステル、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル、トリメチロールエタン脂肪酸部分エステル、トリメチロールプロパン脂肪酸部分エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル、ソルビタン脂肪酸部分エステル、ソルビトール脂肪酸部分エステルが好ましい。
(C1)多価アルコールと脂肪酸との部分エステル化合物の具体例としては、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノイソラウレート、グリセリンモノミリステート、グリセリンモノイソミリステート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノイソパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノイソステアレート、グリセリンモノオレエート、グリセリンモノイソオレエート、グリセリンモノベヘネート等のグリセリン脂肪酸部分エステルや、ジグリセリンモノミリステート、ジグリセリンジミリステート、ジグリセリンモノパルミテート、ジグリセリンジパルミテート、ジグリセリンモノステアレート、ジグリセリンジステアレート、ジグリセリンモノベヘネート、ジグリセリンジベヘネート、トリグリセリンモノミリステート、トリグリセリンジミリステート、トリグリセリンモノパルミテート、トリグリセリンジパルミテート、トリグリセリンモノステアレート、トリグリセリンジステアレート、トリグリセリンモノベヘネート、トリグリセリンジベヘネート、テトラグリセリンモノミリステート、テトラグリセリンジミリステート、テトラグリセリントリミリステート、テトラグリセリンモノパルミテート、テトラグリセリンジパルミテート、テトラグリセリントリパルミテート、テトラグリセリンモノステアレート、テトラグリセリンジステアレート、テトラグリセリントリステアレート、テトラグリセリンモノベヘネート、テトラグリセリンジベヘネート、テトラグリセリントリベヘネート、ペンタグリセリンモノミリステート、ペンタグリセリンジミリステート、ペンタグリセリントリミリステート、ペンタグリセリンモノパルミテート、ペンタグリセリンジパルミテート、ペンタグリセリントリパルミテート、ペンタグリセリンモノステアレート、ペンタグリセリンジステアレート、ペンタグリセリントリステアレート、ペンタグリセリンモノベヘネート、ペンタグリセリンジベヘネート、ペンタグリセリントリベヘネート、ヘキサグリセリンモノミリステート、ヘキサグリセリンジミリステート、ヘキサグリセリントリミリステート、ヘキサグリセリンテトラミリステート、ヘキサグリセリンモノパルミテート、ヘキサグリセリンジパルミテート、ヘキサグリセリントリパルミテート、ヘキサグリセリンテトラパルミテートヘキサグリセリンモノステアレート、ヘキサグリセリンジステアレート、ヘキサグリセリントリステアレート、ヘキサグリセリンテトラステアレート、ヘキサグリセリンモノベヘネート、ヘキサグリセリンジベヘネート、ヘキサグリセリントリベヘネート、ヘキサグリセリンテトラベヘネート、デカグリセリンモノミリステート、デカグリセリンジミリステート、デカグリセリントリミリステート、デカグリセリンテトラミリステート、デカグリセリンペンタミリステート、デカグリセリンモノパルミテート、デカグリセリンジパルミテート、デカグリセリントリパルミテート、デカグリセリンテトラパルミテート、デカグリセリンペンタパルミテート、デカグリセリンモノステアレート、デカグリセリンジステアレート、デカグリセリントリステアレート、デカグリセリンテトラステアレート、デカグリセリンペンタステアレート、デカグリセリンモノベヘネート、デカグリセリンジベヘネート、デカグリセリントリベヘネート、デカグリセリンテトラベヘネート、デカグリセリンペンタベヘネート等のポリグリセリン脂肪酸部分エステル、トリメチロールエタンモノラウレート、トリメチロールエタンモノイソラウレート、トリメチロールエタンモノミリステート、トリメチロールエタンモノイソミリステート、トリメチロールエタンモノパルミテート、トリメチロールエタンモノイソパルミテート、トリメチロールエタンモノステアレート、トリメチロールエタンモノイソステアレート、トリメチロールエタンモノオレエート、トリメチロールエタンモノイソオレエート、トリメチロールエタンモノベヘネート等のトリメチロールエタン脂肪酸部分エステル、トリメチロールプロパンモノラウレート、トリメチロールプロパンモノイソラウレート、トリメチロールプロパンモノミリステート、トリメチロールプロパンモノイソミリステート、トリメチロールプロパンモノパルミテート、トリメチロールプロパンモノイソパルミテート、トリメチロールプロパンモノステアレート、トリメチロールプロパンモノイソステアレート、トリメチロールプロパンモノオレエート、トリメチロールプロパンモノイソオレエート、トリメチロールプロパンモノベヘネート等のトリメチロールプロパン脂肪酸部分エステル、ペンタエリスリトールモノラウレート、ペンタエリスリトールモノイソラウレート、ペンタエリスリトールジラウレート、ペンタエリスリトールジイソラウレート、ペンタエリスリトールモノミリステート、ペンタエリスリトールモノイソミリステート、ペンタエリスリトールジミリステート、ペンタエリスリトールジイソミリステート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノイソパルミテート、ペンタエリスリトールジパルミテート、ペンタエリスリトールジイソパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールモノイソステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールジイソステアレート、ペンタエリスリトールモノオレエート、ペンタエリスリトールモノイソオレエート、ペンタエリスリトールジオレエート、ペンタエリスリトールジイソオレエート、ペンタエリスリトールモノベヘネート、ペンタエリスリトールジベヘネート等のペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノイソラウレート、ソルビタンジラウレート、ソルビタンジイソラウレート、ソルビタンモノミリステート、ソルビタンモノイソミリステート、ソルビタンジミリステート、ソルビタンジイソミリステート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノイソパルミテート、ソルビタンジパルミテート、ソルビタンジイソパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンジイソステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソオレエート、ソルビタンジオレエート、ソルビタンジイソオレエート、ソルビタンモノベヘネート、ソルビタンジベヘネート等のソルビタン脂肪酸部分エステル、ソルビトールモノラウレート、ソルビトールモノイソラウレート、ソルビトールジラウレート、ソルビトールジイソラウレート、ソルビトールモノミリステート、ソルビトールモノイソミリステート、ソルビトールジミリステート、ソルビトールジイソミリステート、ソルビトールモノパルミテート、ソルビトールモノイソパルミテート、ソルビトールジパルミテート、ソルビトールジイソパルミテート、ソルビトールモノステアレート、ソルビトールモノイソステアレート、ソルビトールジステアレート、ソルビトールジイソステアレート、ソルビトールモノオレエート、ソルビトールモノイソオレエート、ソルビトールジオレエート、ソルビトールジイソオレエート、ソルビトールモノベヘネート、ソルビトールジベヘネート等のソルビトール脂肪酸部分エステルが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
(C2)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物を構成するアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラエチレンオキサイド等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらのアルキレンオキサイドは単独でも、ブロック又はランダムに共重合されたものでもよい。これらの中でも、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、及びこれらの共重合体が好ましい。アルキレンオキサイドの付加モル数は、特に限定されないが、フィルム成形後の表面へのブリードアウトを防止し、柔軟性付与剤としての改良効果や共押出やラミネートで積層フィルムとした際の良好な接着性や印刷性を十分に確保する観点から、0.1〜60モルであることが好ましく、0.5〜50モルであることがより好ましい。
(C2)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物としては、柔軟性付与効果や、得られるフィルムの透明性や衛生安全性を確保する観点から、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル、ポリオキシプロピレングリセリン脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレンペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステルが好ましい。
(C2)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物の具体例としては、ポリオキシエチレングリセリンモノラウレート、ポリオキシエチレングリセリンモノミリステート、ポリオキシエチレングリセリンモノパルミテート、ポリオキシエチレングリセリンモノステアレート、ポリオキシエチレングリセリンモノオレエート、ポリオキシエチレングリセリンモノベへネート、ポリオキシエチレングリセリンジラウレート、ポリオキシエチレングリセリンジミリステート、ポリオキシエチレングリセリンジパルミテート、ポリオキシエチレングリセリンジステアレート、ポリオキシエチレングリセリンジオレエート、ポリオキシエチレングリセリンジベへネート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル、ポリオキシプロピレングリセリンモノラウレート、ポリオキシプロピレングリセリンモノミリステート、ポリオキシプロピレングリセリンモノパルミテート、ポリオキシプロピレングリセリンモノステアレート、ポリオキシプロピレングリセリンモノオレエート、ポリオキシプロピレングリセリンモノベへネート等のポリオキシプロピレングリセリン脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールモノラウレート、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールモノミリステート、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールモノパルミテート、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールモノステアレート、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールモノオレエート、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールモノベへネート、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールジラウレート、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールジミリステート、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールジパルミテート、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールジステアレート、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールジオレエート、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールジベへネート等のポリオキシエチレンペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノミリステート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノベへネート、ポリオキシエチレンソルビタンジラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンジミリステート、ポリオキシエチレンソルビタンジパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンジステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンジオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンジベへネート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレンソルビトールモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビトールモノミリステート、ポリオキシエチレンソルビトールモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビトールモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビトールモノベへネート、ポリオキシエチレンソルビトールジラウレート、ポリオキシエチレンソルビトールジミリステート、ポリオキシエチレンソルビトールジパルミテート、ポリオキシエチレンソルビトールジステアレート、ポリオキシエチレンソルビトールジオレエート、ポリオキシエチレンソルビトールジベへネート、ポリオキシエチレンソルビトールトリラウレート、ポリオキシエチレンソルビトールトリミリステート、ポリオキシエチレンソルビトールトリパルミテート、ポリオキシエチレンソルビトールトリステアレート、ポリオキシエチレンソルビトールトリオレエート、ポリオキシエチレンソルビトールトリベへネート、ポリオキシエチレンソルビトールソルビトールテトララウレート、ポリオキシエチレンソルビトールテトラミリステート、ポリオキシエチレンソルビトールテトラパルミテート、ポリオキシエチレンソルビトールテトラステアレート、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエート、ポリオキシエチレンソルビトールテトラベへネート等のポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステルが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
(B)(B1)数平均分子量200〜4,000のポリアルキレングリコール、又は(B2)ポリアルキレングリコールと脂肪酸との部分エステル化合物、及び/又は(C)(C1)多価アルコールと脂肪酸との部分エステル化合物、又は(C2)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物の合計配合量[(B)+(C)]は、得られるフィルムの柔軟性や印刷性やラミネート性を十分確保し、フィルム厚みムラの発生を防止する観点から、(A)ポリアミド樹脂100質量部に対し、0.05〜0.5質量部であり、0.06〜0.4質量部であることが好ましく、0.07〜0.3質量部であることがより好ましい。
(B)(B1)数平均分子量200〜4,000のポリアルキレングリコール、又は(B2)ポリアルキレングリコールと脂肪酸との部分エステル化合物、及び/又は(C)(C1)多価アルコールと脂肪酸との部分エステル化合物、又は(C2)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物は、それぞれ単独で用いても、両者混合して用いてもよく、いずれの場合であってもその使用量は、上記の範囲内で使用すればよい。
(B1)数平均分子量200〜4,000のポリアルキレングリコール、又は(B2)ポリアルキレングリコールと脂肪酸との部分エステル化合物、及び/又は(C1)多価アルコールと脂肪酸との部分エステル化合物、又は(C2)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物を(A)ポリアミド樹脂に添加する方法としては、(A)ポリアミド樹脂の重合工程の任意の段階で添加する重合内添法や予め高濃度の(B1)数平均分子量200〜4,000のポリアルキレングリコール、又は(B2)ポリアルキレングリコールと脂肪酸との部分エステル化合物、及び/又は(C1)多価アルコールと脂肪酸との部分エステル化合物、又は(C2)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物を(A)ポリアミド樹脂に一軸又は二軸の押出機を使用して練り込み、これを成形時に希釈して使用するいわゆるマスターバッチ法、成形に使用する添加剤濃度で(B1)数平均分子量200〜4,000のポリアルキレングリコール、又は(B2)ポリアルキレングリコールと脂肪酸との部分エステル化合物、及び/又は(C1)多価アルコールと脂肪酸との部分エステル化合物、又は(C2)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物を予め(A)ポリアミド樹脂に練り込み使用する練り込み法、成形時に、(A)ポリアミド樹脂に対して、所定量の(B1)数平均分子量200〜4,000のポリアルキレングリコール、又は(B2)ポリアルキレングリコールと脂肪酸との部分エステル化合物、及び/又は(C1)多価アルコールと脂肪酸との部分エステル化合物、又は(C2)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物を添加するドライブレンド法、アルコール等の有機溶剤に(B1)数平均分子量200〜4,000のポリアルキレングリコール、又は(B2)ポリアルキレングリコールと脂肪酸との部分エステル化合物、及び/又は(C1)多価アルコールと脂肪酸との部分エステル化合物、又は(C2)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物を溶解した溶液を(A)ポリアミド樹脂原料にスプレー法や浸漬法で付着させ、その後有機溶剤を蒸発させる方法等が挙げられる。また、(B1)数平均分子量200〜4,000のポリアルキレングリコール、又は(B2)ポリアルキレングリコールと脂肪酸との部分エステル化合物、及び/又は(C1)多価アルコールと脂肪酸との部分エステル化合物、又は(C2)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物は、室温で固体の場合があるので、(A)ポリアミド樹脂原料を予め(B1)数平均分子量200〜4,000のポリアルキレングリコール、又は(B2)ポリアルキレングリコールと脂肪酸との部分エステル化合物、及び/又は(C1)多価アルコールと脂肪酸との部分エステル化合物、又は(C2)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物の融点以上に加熱しておき、この状態の原料に固体のまま(B1)数平均分子量200〜4,000のポリアルキレングリコール、又は(B2)ポリアルキレングリコールと脂肪酸との部分エステル化合物、及び/又は(C1)多価アルコールと脂肪酸との部分エステル化合物、又は(C2)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物を加えて原料の熱で融解し、そのまま均一に付着させる方法も可能である。
また、(B1)数平均分子量200〜4,000のポリアルキレングリコール、又は(B2)ポリアルキレングリコールと脂肪酸との部分エステル化合物、及び/又は(C1)多価アルコールと脂肪酸との部分エステル化合物、又は(C2)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物の(A)ポリアミド樹脂への配合は、同時に行なっても、別々に異なる方法で行なってもどちらでも構わない。
本発明において使用される(D)エチレン/酢酸ビニル共重合体部分ケン化物は、高圧法、乳化法等公知の製造法によって製造されたエチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)を公知の方法によりケン化することにより得られ、エチレン含有量は50〜95質量%であり、ケン化度は70〜99.9モル%である。(D)エチレン/酢酸ビニル共重合体部分ケン化物のエチレン含有量は、ポリアミド樹脂との適正な相溶性や耐屈曲疲労性の改良効果を確保し、良好な透明性を有するフィルムを得る観点から、50〜95質量%であり、55〜90質量%であることが好ましく、60〜85質量%であることがより好ましい。(D)エチレン/酢酸ビニル共重合体部分ケン化物は、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)を、例えば、メタノール、エタノール等の低沸点アルコールと水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート等のアルカリからなる系で処理し、ケン化したものであり、エチレン/酢酸ビニル共重合体中のケン化度は、ポリアミド樹脂との相溶性や耐屈曲疲労性の改良効果を確保し、優れた透明性を有するフィルムを得る観点から、70〜99.9モル%であり、80〜99.9モル%であることが好ましい。
尚、エチレン/酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)は、通常、エチレン含有量が50質量%未満のエチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)を99モル%以上で完全にケン化した樹脂で、硬くてガスバリア性に優れる樹脂であるが、本発明に係わる(D)エチレン/酢酸ビニル共重合体部分ケン化物は柔軟性を向上させ、耐屈曲疲労性を改良する目的で使用され、エチレン/酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)とは異なる特性を有する重合体である。
(D)エチレン/酢酸ビニル共重合体部分ケン化物のメルトフローレート(MFR)(190℃,2160g荷重下)は、0.1〜40g/10分であることが好ましく、0.5〜25g/10分であることがより好ましい。
(D)エチレン/酢酸ビニル共重合体部分ケン化物は重合体中にα,β−不飽和カルボン酸やその誘導体を含有してもよい。α,β−不飽和カルボン酸その誘導体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エンドビシクロ−[2,2,1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸、及びその金属塩(Na、Zn、K、Ca、Mg)、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、エンドビシクロ−[2,2,1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。エチレン/酢酸ビニル共重合体部分ケン化物重合体中へのα,β−不飽和カルボン酸やその誘導体の導入方法は、α,β−不飽和カルボン酸類と溶融状態、溶液状態、スラリー状態、気相状態で反応する共重合法、あるいは常法に従ってα,β−不飽和カルボン酸やその誘導体を、重合を効率よく生起させるために有機過酸化物を加え、溶融混練するグラフト重合法が挙げられ、いずれかにより製造することができる。
(D)エチレン/酢酸ビニル共重合体部分ケン化物の配合量[(D)]は、耐屈曲疲労性の改良効果や得られるフィルムの透明性を十分に確保する観点から、(A)ポリアミド樹脂100質量部に対して、0.5〜7質量部であり、1.0〜5質量部であることが好ましい。
(D)エチレン/酢酸ビニル共重合体部分ケン化物の配合方法としては、(A)ポリアミド樹脂と(D)エチレン/酢酸ビニル共重合体部分ケン化物に、必要に応じて各種添加剤を配合し、公知の方法で混合することによって製造される。例えば、タンブラーやミキサーを用いて、成形時に原料を直接添加するドライブレンド法、成形時に使用する濃度で予め原料を一軸又は二軸の押出機を用いて溶融混練する練り込み法、あるいは予め高濃度で原料を一軸又は二軸の押出機を用いて練り込み、これを成形時に希釈して使用するマスターバッチ法等が挙げられる。また、(D)エチレン/酢酸ビニル共重合体部分ケン化物の(A)ポリアミド樹脂への配合は、(B1)数平均分子量200〜4,000のポリアルキレングリコール、又は(B2)ポリアルキレングリコールと脂肪酸との部分エステル化合物、及び/又は(C1)多価アルコールと脂肪酸との部分エステル化合物、又は(C2)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物と同時に行なっても、別々に異なる方法で行なってもどちらでも構わない。
本発明のフィルム用ポリアミド樹脂組成物においては、(B)(B1)数平均分子量200〜4,000のポリアルキレングリコール、又は(B2)ポリアルキレングリコールと脂肪酸との部分エステル化合物、及び/又は(C)(C1)多価アルコールと脂肪酸との部分エステル化合物、又は(C2)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物の合計配合量[(B)+(C)]、及び(D)エチレン/酢酸ビニル共重合体部分ケン化物の配合量[(D)]は、それぞれ、上記の範囲から選択されるとともに、(B1)数平均分子量200〜4,000のポリアルキレングリコール、又は(B2)ポリアルキレングリコールと脂肪酸との部分エステル化合物と(C1)多価アルコールと脂肪酸との部分エステル化合物、又は(C2)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物の合計配合量を[(B)+(C)]、(D)エチレン/酢酸ビニル共重合体部分ケン化物の配合量を[(D)]としたとき、0.1≦[(B)+(C)]X[(D)]≦0.5を満たし、0.15≦[(B)+(C)]X[(D)]≦0.45であることが好ましく、0.2≦[(B)+(C)]X[(D)]≦0.4であることがより好ましい。[(B)+(C)]X[(D)]が前記の範囲にあることにより、得られるフィルムの透明性や耐屈曲疲労性が良好であり、フィルム製膜時の厚みムラや目脂発生頻度が少なく、連続生産性に優れる。
本発明のフィルム用ポリアミド樹脂組成物には、得られるフィルムの特性を損なわない範囲内で、通常配合される各種の添加剤及び改質剤、例えば、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、フィラー、粘着性付与剤、シール性改良剤、防曇剤、結晶核剤、離型剤、可塑剤、架橋剤、発泡剤、着色剤(顔料、染料等)、(D)エチレン/酢酸ビニル共重合体部分ケン化物以外の耐屈曲疲労性改良材等を添加することができる。
熱安定剤としては、フェノール系及び/又はリン系化合物が例示できる。フェノール系化合物としては、ヒンダードフェノール系化合物がより好ましく用いられ、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチル−ハイドロキノン、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ(t−ペンチル)フェニルアクリレート、2,2'−メチレンビス[4−メチル−6−(α−メチル−シクロヘキシル)フェノール]、4,4'−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、2,2'−エチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ヒドラゾビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロシキ−ヒドロシンナモイル)、N、N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート、3,9−ビス[2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスフォネート−ジエチルエステル、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d・f][1・3・2]ジオキサホスフェピン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
リン系化合物としては、例えばトリエチルホスファイト、トリ−n−ブチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、ジフェニルモノオクチルホスファイト、トリ(p−クレジル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、フェニルジデシルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、トリオレイルホスファイト、トリステアリルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4'−ジイルビスホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−6−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、ビス[2,4−ジ(1−フェニルイソプロピル)フェニル]ペンタエリスリトールジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、トリス(モノ,ジノニルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニルオキシ)−4,4’−ジフェニレン−ジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニルオキシ)4,4'−ビフェニレン−ジホスホナイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)2−エチルヘキシルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン−トリホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)ジホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フルオロホスファイト、ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)メチルホスファイト、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト、テトラ(C12−C15混合アルキル)−4,4'−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、トリス[2−[[2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェフィン−6−イル]オキシ]エチル]アミン(2,2’,2''−ニトリロ[トリエチル−トリス(3,3',5,5'−テトラ−t−ブチル−1,1'−ビフェニル−2,2'−ジイル)]ホスファイト)、2−(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)−5−エチル−5−ブチル−1,3,2−オキサホスホリナン、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
フェノール系及び/又はリン系化合物を添加する場合は、得られるフィルムの透明性や接着性、印刷性を損なわず、フィルム製膜時の溶融安定性、操業安定性を確保する観点から、(A)ポリアミド樹脂100質量部に対し、0.005〜0.3質量部程度使用するようにすればよく、0.01〜0.2質量部であることが好ましく、0.02〜0.1質量部であることがより好ましい。
フィルム用ポリアミド樹脂組成物には、さらなる目脂発生防止のため、ヒドロキシ脂肪酸マグネシウム塩を添加してもよい。ヒドロキシ脂肪酸マグネシウム塩は、ヒドロキシ飽和又は不飽和脂肪酸カルボン酸とマグネシウムの塩であり、具体的には、ヒドロキシラウリン酸マグネシウム塩、ヒドロキシミリスチン酸マグネシウム塩、ヒドロキシパルミチン酸マグネシウム塩、ヒドロキシステアリン酸マグネシウム塩、ヒドロキシベヘン酸マグネシウム塩等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
ヒドロキシ脂肪酸マグネシウム塩を添加する場合は、フィルムの透明性や印刷性等が損なわず、目脂発生防止の効果を確保する観点から、(A)ポリアミド樹脂100質量部に対し、0.003〜0.3質量部程度使用するようにすればよく、0.004〜0.2質量部であることが好ましく、0.005〜0.1質量部であることがより好ましい。
さらに、フィルム用ポリアミド樹脂組成物には、フィルムの透明性を損なわない範囲内で、耐屈曲疲労性を改良する目的で、(D)エチレン/酢酸ビニル共重合体部分ケン化物以外のオレフィン系共重合体、及びその変性物やエラストマー等の耐屈曲疲労性改良材を含有することができる。オレフィン系共重合体としては、エチレン/炭素数3〜10のα−オレフィン共重合体、エチレン/α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/α,β−不飽和カルボン酸共重合体、アイオノマー重合体等が挙げられる。
オレフィン系共重合体の変性物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エンドビシクロ−[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸等のカルボキシル基及びその金属塩(Na、Zn、K、Ca、Mg)、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、エンドビシクロ−[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物等の酸無水物基、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、シトラコン酸グリシジル等のエポキシ基等の官能基が含有された上記ポリオレフィン系共重合体が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
エラストマーとしては、ポリエステルエラストマー、ポリエーテルエステルアミドエラストマー、ポリエーテルアミドエラストマー等のポリアミド系エラストマー、両末端にポリスチレン相、ゴム中間相として水素添加型ポリオレフィンを有し、ポリスチレン相が架橋点を担っているブロック共重合体であるスチレン系エラストマー等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
オレフィン系共重合体、及びその変性物やエラストマーの配合量は、耐屈曲疲労性の改良効果を確保し、得られるフィルムの透明性を損なわない範囲で、(A)ポリアミド樹脂100質量部に対し、0.5〜10質量部程度使用するようにすればよく、1〜8質量部であることが好ましく、2〜7質量部であることがより好ましい。
本発明においては、(A)ポリアミド樹脂、(B1)数平均分子量200〜4,000のポリアルキレングリコール、又は(B2)ポリアルキレングリコールと脂肪酸との部分エステル化合物、及び/又は(C1)多価アルコールと脂肪酸との部分エステル化合物、又は(C2)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物、及び(D)エチレン含有量50〜95質量%、ケン化度70〜99.9モル%のエチレン/酢酸ビニル共重合体部分ケン化物からなるフィルム用ポリアミド樹脂組成物を使用して、公知のフィルム製造方法を適用し、製膜することによりポリアミドフィルムが得られる。例えば、フィルム用ポリアミド樹脂組成物を押出機で溶融混練し、T−ダイあるいはコートハンガーダイによりフラットフィルム状に押出し、キャスティングロール面上にキャスティング、冷却してフィルムを製造するキャスティング法、リング状ダイにより筒状に溶融押出したチューブ状物を空冷あるいは水冷してフィルムを製造するチューブラー法等がある。製造されたフィルムは実質的に無配向の未延伸フィルムとして使用できるが、得られるフィルムの強度及びガスバリア性の観点から二軸延伸フィルムであることが好ましい。
得られた未延伸フィルムを延伸するには、従来から知られている工業的方法により行うことができる。例えば、キャスティング法によって製造するフィルムは、未延伸シートをテンター式同時二軸延伸機で縦横同時に延伸する同時二軸延伸法、Tダイより溶融押出しした未延伸シートをロール式延伸機で縦方向に延伸した後、テンター式延伸機で横方向に延伸する逐次二軸延伸法、環状ダイより成形したチューブ状シートを気体の圧力でインフレーション式に縦横同時に延伸するチューブラー延伸法が挙げられる。延伸工程はポリアミドフィルムの製造に引続き、連続して実施しても良いし、ポリアミドフィルムを一旦巻き取り、別工程として延伸を実施しても良い。
延伸フィルムの延伸倍率は使用用途によって異なるが、テンター式二軸延伸法、チューブラー法において、通常、縦方向、横方向ともに1.5〜4.5倍であることが好ましく、2.5〜4.0倍であることがより好ましい。延伸温度は、30〜210℃であることが好ましく、50〜200℃であることがより好ましい。
上記方法により延伸されたフィルムは、引続き熱処理をすることが望ましい。熱処理することにより常温における寸法安定性を付与することができる。この場合の熱処理温度は、110℃を下限として該フィルム用ポリアミド樹脂組成物の融点より5℃低い温度を上限とする範囲を選択するのがよく、これにより常温寸法安定性のよい、任意の熱収縮率をもった延伸フィルムを得ることができる。延伸フィルムは、熱収縮性が乏しいか、あるいは実質的に有していないものが望ましい。よって、延伸後に行なわれる熱処理条件において、熱処理温度は150℃以上であることが好ましく、180〜220℃であることがより好ましく、緩和率は、幅方向に20%以内であることが好ましく、3〜10%であることがより好ましい。
熱処理操作により、充分に熱固定された延伸フィルムは、常法に従い、冷却して巻き取ることができる。
さらに、本発明に係わるポリアミドフィルムは、印刷性、ラミネート、粘着剤付与性を高めるため、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、酸処理等の表面処理を行うことができる。また、必要に応じて、このような処理がなされた後、印刷、ラミネート、粘着剤塗布、ヒートシール等の二次加工工程を経てそれぞれの目的とする用途に使用することができる。
本発明に係わるポリアミドフィルムは、耐屈曲疲労性、透明性や印刷性に優れ、単独での利用価値が高いが、これに他の熱可塑性樹脂を積層することにより、さらに多くの特性を付加させることが可能である。具体的には本発明のポリアミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性樹脂層を積層して、積層フィルムとして使用することも好ましい。
該積層フィルムを製造するに当たっては、該フィルム用ポリアミド樹脂組成物よりなる層の片面又は両面に他の基材を積層するが、その積層方法としては、共押出法、押出ラミネート法、ドライラミネート法等が挙げられる。共押出法は、該フィルム用ポリアミド樹脂組成物と他の熱可塑性樹脂を共押出する方法であり、共押出シート成形、共押出キャスティングフィルム成形、共押出インフレーションフィルム成形等が挙げられる。押出ラミネート法は、本発明のポリアミドフィルムと熱可塑性樹脂等の基材に、それぞれアンカーコート剤を塗布し、乾燥後、その間に熱可塑性樹脂等を溶融押出しながらロール間で冷却し圧力をかけて圧着することによりラミネートフィルムを得る方法である。ドライラミネート法は、有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステル系化合物、ポリウレタン化合物等の公知の接着剤を本発明のポリアミドフィルムに塗布し、乾燥後、熱可塑性樹脂等の基材と張り合わせることによりラミネートフィルムを得る方法である。ラミネート後のフィルムは、エージングすることで、接着強度を上げることができる。ラミネートする際には、ポリアミドフィルムの片面又は両面をコロナ処理して使用することが好ましい。特に必要に応じて接着性樹脂とともに共押出法により積層する方法は、アンカーコート剤や公知の接着剤等の表面処理工程が不要なため、環境に優しく、低コストであるため好ましい。
積層される熱可塑性樹脂としては、本発明において規定された(A)ポリアミド樹脂以外の、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11)、ポリドデカンアミド(ポリアミド12)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリテトラメチレンセバカミド(ポリアミド410)、ポリペンタメチレンアジパミド(ポリアミド56)、ポリペンタメチレンセバカミド(ポリアミド510)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリデカメチレンセバカミド(ポリアミド1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)、ポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212)、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、ポリメタキシリレンセバカミド(ポリアミドMXD10)、ポリメタキシリレンテレフタラミド(ポリアミドMXDT)、ポリメタキシリレンイソフタラミド(ポリアミドMXDI)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ポリアミドPACM12)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンテレフタラミド(ポリアミドPACMT)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンイソフタラミド(ポリアミドPACMI)、ポリビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ポリアミドジメチルPACM12)、ポリイソホロンアジパミド(ポリアミドIPD6)、ポリイソホロンドデカミド(ポリアミドIPD12)、ポリイソホロンテレフタラミド(ポリアミドIPDT)、ポリイソホロンイソフタラミド(ポリアミドIPDI)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ポリアミド6T)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ポリアミド6I)、ポリ2−メチルペンタメチレンテレフタルアミド(ポリアミドM5T)、ポリ2−メチルペンタメチレンイソフタルアミド(ポリアミドM5I)、ポリノナメチレンテレフタラミド(ポリアミド9T)、ポリノナメチレンイソフタルアミド(ポリアミド9I)、ポリ2−メチルオクタメチレンテレフタラミド(ポリアミドM8T)、ポリ2−メチルオクタメチレンイソフタルアミド(ポリアミドM8I)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタラミド(ポリアミドTMHT)、ポリトリメチルヘキサメチレンイソフタルアミド(ポリアミドTMHI)、ポリデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド10T)、ポリデカメチレンイソフタルアミド(ポリアミド10I)、ポリドデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド12T)、ポリドデカメチレンイソフタルアミド(ポリアミド12I)やこれらポリアミド原料単量体を数種用いた共重合体等が挙げられる。さらに、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン/プロピレン共重合体(EPR)、エチレン/ブテン共重合体(EBR)、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)、エチレン/アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン/メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン/アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン/アクリル酸エチル共重合体(EEA)等のポリオレフィン系樹脂及び、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エンドビシクロ−[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸等のカルボキシル基及びその金属塩(Na、Zn、K、Ca、Mg)、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、エンドビシクロ−[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物等の酸無水物基、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、シトラコン酸グリシジル等のエポキシ基等の官能基が含有された化合物により変性された、上記ポリオレフィン系樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、PET/PEI共重合体、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶ポリエステル(LCP)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)等のポリエステル系樹脂、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド(PPO)等のポリエーテル系樹脂、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)等のポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリチオエーテルスルホン(PTES)等のポリチオエーテル系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリルエーテルケトン(PAEK)等のポリケトン系樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、メタクリロニトリル/スチレン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS)、メタクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合体(MBS)等のポリニトリル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル(PEMA)等のポリメタクリレート系樹脂、ポリ酢酸ビニル(PVAc)等のポリビニルエステル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/メチルアクリレート共重合体等のポリビニル系樹脂、酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート(PC)等のポリカーボネート系樹脂、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド等のポリイミド系樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(TFE/HFP,FEP)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデン共重合体(TFE/HFP/VDF,THV)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)等のフッ素系樹脂、熱可塑性ポリウレタン系樹脂、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー等が挙げられる。また、本発明において規定した前記(A)ポリアミド樹脂を積層することも可能であり、フィルム強度のバランス、ガスバリア性の観点から、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)やエチレン/酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)を積層することが好ましい。
また、得られたポリアミドフィルムには、ヒートシール性を付与する観点から、シーラント層を設けることが望ましい。シーラント層として使用される材料は、熱融着できる樹脂であればよく、一般にポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられ、ポリオレフィン系樹脂を使用することが好ましい。具体的には、ポリプロピレン(PP)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン/メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン/アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン/アクリル酸エチル共重合体(EEA)、アイオノマー樹脂、アモルファスポリエステル(A−PET)等が挙げられる。
さらに、無延伸、一軸又は二軸延伸熱可塑性樹脂フィルム又はシートや熱可塑性樹脂以外の任意の基材、例えば、紙、金属系材料、織布、不織布、金属綿、木材等を積層することも可能である。金属系材料としては、アルミニウム、鉄、銅、ニッケル、金、銀、チタン、モリブデン、マグネシウム、マンガン、鉛、錫、クロム、ベリリウム、タングステン、コバルト等の金属や金属化合物及びこれら2種類以上からなるステンレス鋼等の合金鋼、アルミニウム合金、黄銅、青銅等の銅合金、ニッケル合金等の合金類等が挙げられる。特に、ガスバリアや水蒸気バリア性を向上させるために、金属及び/又は金属化合物を蒸着することも可能である。蒸着する材料としては、ケイ素や、アルミニウム、チタン、亜鉛、ジルコニウム、マグネシウム、スズ、銅、鉄等の金属や、これらの酸化物、窒化物、フッ素物、硫化物等が挙げられる。具体的には、SiOx(x=1.0〜2.0)、アルミナ、マグネシア、硫化亜鉛、チタニア、ジルコニア、酸化セリウム等の無機酸化物や、HMDSO(ヘキサメチルジシロキサン)等の有機化合物、シランガスのような無機ガスをキャリアガス及び酸化させるための酸素と混合後、反応により得られる酸化珪素等が挙げられる。蒸着簿膜の作製方法としては、公知の方法、物理的堆積法(PVD法)として真空蒸着法、EB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、化学的堆積法(CVD法)としてプラズマCVD法や化学反応法等を用いることができる。
本発明に関わるポリアミドフィルムの厚みは用途により適宜決定すればよく、特に制限されないが、ポリアミドフィルムの厚みは、得られるフィルムの強度、透明性や耐屈曲疲労性を勘案して、ポリアミド単層フィルムの場合、その厚みは5〜100μmであることが好ましく、10〜80μmであることがより好ましく、10〜60μmであることがさらに好ましい。
ポリアミド積層フィルムの場合、その厚みは、得られるフィルムの強度、ガスバリア性、耐屈曲疲労性、透明性等のバランスを勘案し、5〜200μmであることが好ましく、10〜150μmであることがより好ましく、12〜100μmであることがさらに好ましい。
また、本発明のフィルム用ポリアミド樹脂組成物からなる層を含むポリアミド積層フィルムの場合、全体厚みに対する、フィルム用ポリアミド樹脂組成物からなる層の厚み比率は25〜85%であることが好ましく、30〜75%であることがより好ましい。
以下において実施例及び比較例を掲げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の要旨を越えない限り以下の例に限定されるものではない。フィルムの各種評価方法と使用した原材料を次に示す。
透明性
ASTM D−1003に準じ、直読ヘイズコンピューター(スガ試験機(株)製、HGM−2DP)を使用して、ヘイズを測定した。
ヘイズ値が5.0%以下の場合、フィルムの透明性に優れていると判断した。
耐屈曲疲労性
8インチ×11インチの大きさに切断したフィルムを、温度23℃、相対湿度65%の条件下に、24時間以上放置してコンディショニングした。ゲルボフレックステスター(理学工業(株)製)を使用し、MIL−B−131Cに準拠した方法にて、まず、得られたフィルムサンプルを直径8.89cm(3.5インチ)の固定ヘッドと、固定ヘッドから17.78cm(7インチ)離れて平行に配置されている同径の可動ヘッドに円筒状に取り付けた。可動ヘッドの真ん中に取り付けたシャフトで、可動ヘッドの動きをコントロールする。最初、可動ヘッドを440度ひねりながら固定ヘッドに8.89cm(3.5インチ)近づけ、次に水平運動で固定ヘッドにさらに6.35cm(2.5インチ)近づけた後、正反対の動きで元の状態に戻した。このサイクルを1回として、温度0℃、1000回の屈曲繰り返しテスト後に生じたピンホール個数を計測した。
ピンホール数が5個以下の場合、耐屈曲疲労性に優れていると判断した。
印刷性
濡れ指数をJIS K−6768に準拠して測定した。濡れ指数が、36mN/m以上の場合、印刷性に優れていると判断した。
フィルム厚みムラ
該原料樹脂組成物を使用して、円形ダイを備えた40mmφの押出機において、押出温度260℃にて溶融させ、20℃の水により冷却しながら、引き取りを行い、ブローアップ比1.5の条件にて未延伸フィルムを連続して製造した。
製膜開始1時間後及び3時間後の未延伸フィルムをサンプリングし、端部を切り開き、フィルム厚み連続測定器(アンリツ電気(株)製、検知機型番:K−306C、広範囲電子マイクロメータ及びフィルム送り装置及び記録計型番:K−310C)により、走行速度を25mm/秒で幅方向(フィルム長314mm)のフィルム厚みを計測し、下式から厚みムラを算出した。
厚みムラ(%)=[(フィルム厚みの最大値−フィルム厚みの最小値)/厚みの平均値]×100
製膜開始1時間後のフィルム厚みムラと3時間後のフィルム厚みムラの経時変化率(偏肉度の経時変化率)を下式から算出し、偏肉度の経時変化率が15%以内の場合、厚みムラが小さいと判断した。
偏肉度の経時変化率(%)=[(製膜開始3時間後のフィルム厚みムラ−製膜開始1時間後のフィルム厚みムラ)/製膜開始1時間後のフィルム厚みムラ]×100
連続生産性
該原料樹脂組成物を使用して、円形ダイを備えた40mmφの押出機にて、押出温度280℃にて溶融させ、20℃の水により冷却しながら、引き取りを行い、未延伸フィルムを連続して製造した。円形ダイリップ口にポリマー劣化物、添加剤の凝集体が蓄積した目脂の発生が認められるまで運転を行い、8時間以上の連続運転が可能の場合、連続生産性に優れていると判断した。
使用した原材料
(A)ポリアミド樹脂
(A−1)ポリアミド6(宇部興産(株)製、UBE NYLON 1022B、相対粘度3.35、融点220℃、カプロラクタムから誘導される単位の含有量100モル%)
(A−2)ポリアミド6/66共重合体(宇部興産(株)製、UBE NYLON 5034B、相対粘度4.05、融点191℃、カプロラクタムから誘導される単位の含有量80モル%)
(B1)ポリアルキレングリコール
(B1−1)ポリエチレングリコール(日本油脂(株)製、PEG 400、数平均分子量:400)
(B1−2)ポリエチレングリコール(日本油脂(株)製、PEG 1,000、数平均分子量:1,000)
(B1−3)ポリエチレングリコール(日本油脂(株)製、PEG 20,000、数平均分子量:20,000)
(B2)ポリアルキレングリコールと脂肪酸との部分エステル化合物
(B2−1)ポリエチレングリコールモノステアレート(日本油脂(株)製、ノニオン S−15.4、ポリエチレングリコールの数平均分子量:1,410、エステル化率50%)
(B2−2)ポリエチレングリコールジステアレート(花王(株)製、エマノーン 3299V、ポリエチレングリコールの数平均分子量:6,160、エステル化率100%)
(C1)多価アルコールと脂肪酸との部分エステル化合物
(C1−1)グリセリンモノステアレート(理研ビタミン(株)製、リケマール S−100A、エステル化率33%)
(C1−2)ペンタエリスリトールモノステアレート(花王(株)製、エキセパール PE−MS、エステル化率25%)
(C1−3)グリセリントリカプリレート(花王(株)製、ココナード RK、エステル化率100%)
(C1−4)ペンタエリスリトールテトラステアレート(コグニスジャパン(株)製、LOXIOL VP861、エステル化率100%)
(C2)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物
(C2−1)ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(日本油脂(株)製、ノニオン LT−221、エチレンオキサイドの付加モル数:20モル、エステル化率25%)
(C2−2)ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート(花王(株)製、レオドール TW−S320V、エチレンオキサイドの付加モル数:20モル、エステル化率75%)
(D)エチレン/酢酸ビニル共重合体部分ケン化物
(D−1)エチレン/酢酸ビニル共重合体部分ケン化物(東ソー(株)製、メルセン H−6051、エチレン含有量 72質量%、ケン化度 99モル%、MFR 5.5 g/10分(190℃,2160g荷重下))
(D−2)エチレン/酢酸ビニル共重合体部分ケン化物(三井武田ケミカル(株)製、デュミランD−159、エチレン含有量 68質量%、ケン化度 90モル%、MFR 23.0 g/10分(190℃,2160g荷重下))
(D−3)エチレン/酢酸ビニル系共重合体部分ケン化物(東ソー(株)製、メルセン H−6410M、エチレン含有量 72質量%、ケン化度 40モル%、MFR 16.0g/10分(190℃,2160g荷重下))
(D−4)エチレン/酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)(日本合成化学(株)製、ソアノールDC3203、エチレン含有量13質量%、ケン化度 99モル%以上、MFR 3.8 g/10分(210℃,2160g荷重下))
(E)ポリオレフィン系重合体
(E−1)エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)(東ソー(株)製、ウルトラセン751、エチレン含有量 72質量%、ケン化度 0モル%、MFR 6.0 g/10分(190℃,2160g荷重下))
(E−2)エチレン/アクリル酸エチル共重合体(EEA)(三井・デュポンポリケミカル(株)製、エバフレックス A703、MFR 5.0 g/10分(190℃,2160g荷重下))
実施例1
円筒型混合機を用いて、(A)ポリアミド6(A−1)100質量部に対して、(B1)ポリエチレングリコール(B1−1)0.15質量部、(D)エチレン/酢酸ビニル共重合体部分ケン化物(D−1)2.0質量部を配合し、二軸押出機((株)日本製鋼所製、TEX30型)に供給し、押出機設定温度250℃、スクリュー回転数100rpmの条件で、溶融混練して、造粒し、乾燥し、ポリアミド樹脂組成物を得た。
さらに、円筒型混合機を用いて、同樹脂組成物100質量部に対して、エチレンビスステアリルアミド0.07質量部を配合し、円形ダイを備えた40mmφ一軸フルフライトスクリューの押出機にて、押出温度250℃にて溶融させ、20℃の水により冷却しながら、引き取りを行い、実質的に無定形で配向していないチューブラー状のポリアミド未延伸フィルムを得た。
引き続き、気体の圧力でインフレーション式に縦横同時に延伸するチューブラー延伸法にて、延伸温度180℃、延伸倍率(縦、横ともに)3.0倍にて延伸を行った。
その後、チューブ状フィルムの端を切り開き、フラット状のフィルムをテンター内に導入し、幅方向に緩和処理を行ないつつ、210℃にて熱固定処理を行なった。フィルム両端をクリップから解放し、耳部をトリミングして巻き取り、厚み15μmの二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。
得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。上記の方法にて、フィルム厚みムラ、連続生産性について評価した結果を表1に示す。
実施例2
実施例1において、(A)ポリアミド6(A−1)をポリアミド6/66共重合体(A−2)に変え、延伸温度を150℃、熱固定温度を170℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて、フィルム厚みムラ、連続生産性について評価した結果を表1に示す。
実施例3〜6
実施例1において、(B1)ポリエチレングリコール(B1−1)と(D)エチレン/酢酸ビニル共重合体部分ケン化物(D−1)の配合量を表1に示す量に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて、フィルム厚みムラ、連続生産性について評価した結果を表1に示す。
実施例7
実施例1において、(B1)ポリエチレングリコール(B1−1)を(B1−2)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて、フィルム厚みムラ、連続生産性について評価した結果を表1に示す。
実施例8
実施例1において、(B1)ポリエチレングリコール(B1−1)を(B2)ポリエチレングリコールモノステアレート(B2−1)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて、フィルム厚みムラ、連続生産性について評価した結果を表1に示す。
実施例9
実施例1において、(B1)ポリエチレングリコール(B1−1)を(C1)グリセリンモノステアレート(C1−1)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて、フィルム厚みムラ、連続生産性について評価した結果を表1に示す。
実施例10
実施例1において、(B1)ポリエチレングリコール(B1−1)を(C1)ペンタエリスリトールモノステアレート(C1−2)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて、フィルム厚みムラ、連続生産性について調査した評価を表1に示す。
実施例11
実施例1において、(B1)ポリエチレングリコール(B1−1)を(C2)ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(C2−1)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて、フィルム厚みムラ、連続生産性について評価した結果を表1に示す。
実施例12
実施例1において、(D)エチレン/酢酸ビニル共重合体部分ケン化物(D−1)を(D−2)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて、フィルム厚みムラ、連続生産性について評価した結果を表1に示す。
比較例1
実施例1において、(B1)ポリエチレングリコール(B1−1)を使用しない以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて、フィルム厚みムラ、連続生産性について評価した結果を表1に示す。
比較例2〜3
実施例1において、(B1)ポリエチレングリコール(B1−1)の配合量を表1に示す量になるように変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて、フィルム厚みムラ、連続生産性について評価した結果を表1に示す。
比較例4
実施例1において、(D)エチレン/酢酸ビニル共重合体部分ケン化物(D−1)を使用しない以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて、フィルム厚みムラ、連続生産性について評価した結果を表1に示す。
比較例5〜6
実施例1において、(D)エチレン/酢酸ビニル共重合体部分ケン化物(D−1)の配合量を表1に示す量に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて、フィルム厚みムラ、連続生産性について評価した結果を表1に示す。
比較例7
実施例4において、(B1)ポリエチレングリコール(B1−1)の配合量を表1に示す量になるように変更した以外は、実施例4と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて、フィルム厚みムラ、連続生産性について評価した結果を表1に示す。
比較例8
実施例5において、(B1)ポリエチレングリコール(B1−1)の配合量を表1に示す量になるように変更した以外は、実施例5と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて、フィルム厚みムラ、連続生産性について評価した結果を表1に示す。
比較例9
実施例1において、(B1)ポリエチレングリコール(B1−1)を(B1−3)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて、フィルム厚みムラ、連続生産性について評価した結果を表1に示す。
比較例10
実施例1において、(B1)ポリエチレングリコール(B1−1)を(B2)ポリエチレングリコールジステアレート(B2−2)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて、フィルム厚みムラ、連続生産性について評価した結果を表1に示す。
比較例11
実施例1において、(B1)ポリエチレングリコール(B1−1)を(C1)グリセリントリカプリレート(C1−3)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて、フィルム厚みムラ、連続生産性について評価した結果を表1に示す。
比較例12
実施例1において、(B1)ポリエチレングリコール(B1−1)を(C1)ペンタエリスリトールテトラステアレート(C1−4)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて、フィルム厚みムラ、連続生産性について評価した結果を表1に示す。
比較例13
実施例1において、(B1)ポリエチレングリコール(B1−1)を(C2)ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート(C2−2)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて、フィルム厚みムラ、連続生産性について評価した結果を表1に示す。
比較例14
実施例1において、(D)エチレン/酢酸ビニル共重合体部分ケン化物(D−1)を(D−3)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて、フィルム厚みムラ、連続生産性について評価した結果を表1に示す。
比較例15
実施例1において、(D)エチレン/酢酸ビニル共重合体部分ケン化物(D−1)をエチレン/酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)(D−4)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて、フィルム厚みムラ、連続生産性について評価した結果を表1に示す。
比較例16
実施例1において、(D)エチレン/酢酸ビニル共重合体部分ケン化物(D−1)を(E)エチレン/酢酸ビニル共重合体(E−1)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて、フィルム厚みムラ、連続生産性について評価した結果を表1に示す。
比較例17
実施例1において、(D)エチレン/酢酸ビニル共重合体部分ケン化物(D−1)を(E)エチレン/アクリル酸エチル共重合体(E−2)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて、フィルム厚みムラ、連続生産性について評価した結果を表1に示す。
表1から明らかなように、(B)成分を使用しない比較例1の二軸延伸フィルムは、耐屈曲疲労性に劣り、フィルム厚みムラが大きく、(B)成分の配合量が規定範囲未満である比較例2の二軸延伸フィルムは、耐屈曲疲労性に劣り、フィルム厚みムラが大きかった。一方、(B)成分の配合量が規定範囲を超える比較例3の二軸延伸フィルムは、気泡が発生し安定した製膜が不可であった。
(D)成分を使用しない比較例4や、(D)成分の配合量が規定範囲未満である比較例5の二軸延伸フィルムは、耐屈曲疲労性に劣り、(D)成分の配合量が規定範囲を超える比較例6の二軸延伸フィルムは、透明性に劣り、フィルム厚みムラが大きく、連続生産性に劣っていた。
さらに、(B)成分と(C)成分の合計配合量と(D)成分の配合量の積が規定範囲未満である比較例7の二軸延伸フィルムは、耐屈曲疲労性に劣っており、(B)成分と(C)成分の合計配合量と(D)成分の配合量の積が規定範囲を超える比較例8の二軸延伸フィルムは、透明性や連続生産性に劣っていた。
本発明に規定されている以外の(B)成分を使用した比較例9、10、本発明に規定されている以外の(C)成分を使用した比較例11、12、13の二軸延伸フィルムは、透明性、印刷性、耐屈曲疲労性、連続運転性に劣っていた。
本発明に規定されている以外の(D)成分を使用した比較例14や、他のポリオレフィン成分を使用した比較例16、17の二軸延伸フィルムは、透明性に劣り、フィルム厚みムラが大きかった。本発明に規定されている以外の(D)成分を使用した比較例15の二軸延伸フィルムは、耐屈曲疲労性、連続運転性に劣っていた。
一方、本発明に規定されているポリアミド樹脂組成物より得られる実施例1から12の二軸延伸フィルムは、透明性、耐屈曲疲労性や印刷性に優れ、フィルム製膜時の厚みムラが小さく、目脂発生頻度が少なく、優れた連続生産性を有することは明らかである。