JP3982228B2 - ポリアミド積層二軸延伸フィルム - Google Patents

ポリアミド積層二軸延伸フィルム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸素バリア性、耐屈曲疲労性かつ、レトルト処理後でも、機械的強度保持率が高いなど耐熱水性に優れた食品包装用に適するポリアミド積層二軸延伸フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリアミドからなるフィルムは、単層フィルムあるいはラミネートフィルムの基材として、また、他樹脂との共押出による多層フィルムの構成素材として使用されてきた。しかしながら、これらフィルムは、それぞれ長所および短所を有しており、それら目的に適合した用途に使用されている。
【0003】
例えば、脂肪族ポリアミドよりなるフィルムは、引張強度、耐屈曲疲労性等の機械的性質においては優れているが、酸素バリア性については十分ではなかった。一方、酸素バリア性が良好なフィルムとして、キシリレンジアミンと脂肪酸ジカルボン酸とからなるポリアミド構成単位を主成分とする芳香族ポリアミド重合体からなるフィルムが提案されている。しかしながら、このフィルムは透明性、耐油性においては優れているが、耐屈曲疲労性は劣っているため、その用途には制限が有った。
【0004】
上記の脂肪族ポリアミドフィルム、芳香族ポリアミドフィルムの双方の利点、すなわち機械的強度、耐屈曲疲労性、および酸素バリア性に優れているという性質を併せ持つフィルムを得るために、この2種類のポリアミドを共押出して、インフレーション法により積層二軸延伸フィルムを製造する方法(特開昭57−51427号公報)や脂肪族ポリアミドを主成分とする層の間に、芳香族ポリアミドを主成分とする層を配置する層構成の積層フィルム(特開昭56−155762号公報)が提案されている。そして、この提案された積層二軸延伸フィルムは、耐熱水性に優れており、温度100℃程度の熱水中に包装物を入れて処理するレトルト食品用包装に使用されている。
【0005】
しかしながら、上記に提案されている積層二軸延伸フィルムも、酸素を含む空気と温度130℃を超える高温蒸気との雰囲気下におけるハイレトルト処理においては、酸化によるフィルムの劣化が起こり、強度の低下による製品の破袋が生じるという問題があった。この現象は、レトルト時に釜中に存在する空気中の酸素と水蒸気の混合気体がポリアミドを酸化劣化させるためで有る。通常、レトルト処理作業においては、製品の破袋を防ぐために、コンプレッサーによる加圧を行っており、この時、槽内に空気が導入され、酸化劣化の原因となる。芳香族ポリアミドからなるフィルムは、脂肪族ポリアミドと比較して酸化による劣化に強いことが知られているが、脂肪族ポリアミドと混合したフィルムまたは脂肪族ポリアミドフィルムとの積層フィルムとした場合、脂肪族ポリアミドフィルムの部分が、空気を含んだ高温の蒸気にさらされると酸化劣化するため耐熱水性に問題があった。
【0006】
近年、生麺、調理食品や漬物などの食品類を充填包装する工程において、長期保存を目的に内容物を充填後、滅菌処理のために行われるレトルト処理時の温度は、約130℃と高くなる傾向にあり、食品包装用フィルムは、約130℃の熱水や水蒸気での処理により、機械的性質や透明性が変化しないことが求められている。
そこで、高温高湿度のレトルト処理を行っても、機械的性質の低下が少ないポリアミドフィルムに関する開発が進められている。
特開平8−156205号公報には、特定のフェノール酸化防止剤が配合されたポリアミド積層二軸延伸フィルムが開示されている。しかしながら、このポリアミド積層二軸延伸フィルムでも、レトルト処理後の機械的性質は用途によっては、十分と言えない。
【0007】
また、レトルト処理後は、内容物の劣化を防ぐため、さらに5℃以下のような低温度下で保管、流通される場合がある。このような使用下においては、繰り返し屈曲疲労の結果生じるピンホールによる充填物の漏れ出し、酸素の侵入による内容物の腐りなどの問題が発生し、チルドビーフ包装、冷凍食品包装などの用途には、その使用が制限されるという問題点があった。
【0008】
特に上記積層フィルムは、酸素バリア性を向上させるために芳香族ポリアミドの割合を増やすと、フィルムの耐屈曲疲労性が低下し、また、耐屈曲性や強靭性を向上させるために、脂肪族ポリアミドの割合を増やせば、積層フィルム全体が厚くなり、軟包装用には使用できなくなり、酸素バリア性および耐屈曲疲労性の両方とも満足いくレベルのものではなかった。
【0009】
そのため、繰り返し屈曲疲労による屈曲疲労性を改良したポリアミド積層フィルムに関する開発が進められている。
特開平5−492号公報、特開平5−64868号公報、特開平5−77373号公報、特開平5−104689号公報、特開平5−193081号公報、特開平6−255054号公報、特開平6−293119号公報、特開平7−117198号公報、特開平10−151714号公報に特定のポリオレフィン系重合体やエラストマーを配合したポリアミド積層フィルムが提案されいる。しかしながら、これらのフィルムは、レトルト処理後の屈曲疲労性に関する技術的示唆がなされていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の実状を鑑み、優れた酸素バリア性、耐屈曲疲労性、強靭性を併せ持ち、高温高湿度下のレトルト処理後でも、機械的性質の低下が少なく、レトルト処理後においても、低温下での使用に耐え得る屈曲疲労性に優れたポリアミド積層二軸延伸フィルム、すなわち、レトルト処理から冷凍保存まで、高温から低温まで、使用可能な温度範囲が広いポリアミド積層二軸延伸フィルムを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の要望を満たすポリアミド積層二軸延伸フィルムの開発を目的に種々検討した結果、本発明を完成するに至ったものである。
【0012】
すなわち、本発明は、下記組成の重合体(A)と、重合体(P)3.0重量%以下が含有されてなる(a)層、重合体(B)と、重合体(P)0.3〜5.0重量%が含有されてなる(b)層、前記重合体(A)と重合体(B)との混合物(C)と、重合体(P)0.3〜5.0重量%が含有されてなる(c)層のうち、(a)層と(a)層以外の少なくとも1種の層を含む構成であって、(a)層は(b)層または(c)層と直接積層されていることを特徴とするポリアミド積層二軸延伸フィルムを提供するものである。
重合体(A):m-および/またはp-キシリレンジアミンと炭素数6〜12のα、ω-脂肪酸ジカルボン酸とからなるポリアミド構成単位を分子鎖中に70モル%以上含有する芳香族ポリアミド
重合体(B):末端基濃度の異なる2種類以上の脂肪族ポリアミド樹脂からなる脂肪族ポリアミド樹脂混合物であり、末端アミノ基濃度[X](μeq/ポリマー1g)と末端カルボキシル基濃度[Y](μeq/ポリマー1g)とした時、5≦[X]−[Y]≦45、20≦[X]≦65の条件を満たし、かつ相対粘度が2.5〜4.5であることを特徴とする脂肪族ポリアミド
重合体(P):ASTM D−790に準拠して測定した曲げ弾性率が1〜300MPaのオレフィン系共重合体からなる軟質重合体
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるポリアミド積層二軸延伸フィルムの主要原料は、2種類のポリアミド系重合体(以下それぞれ「重合体(A)」、「重合体(B)」という。)とポリオレフィン系重合体(以下、「重合体(P)」という。)である。ポリアミド系重合体の1種である重合体(A)は、m-および/またはp-キシリレンジアミンと炭素数6〜12のα、ω-脂肪酸ジカルボン酸とからなるポリアミド構成単位を分子鎖中に70モル%以上含有する芳香族ポリアミドである。
【0014】
重合体(A)の具体例としては、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリメタキシリレンピメラミド、ポリメタキシリレンスベラミド、ポリメタキシリレンアゼラミド、ポリメタキシリレンセパカミド、ポリメタキシリレンドデカンジアミド、ポリパラキシリレンアゼラミド、ポリパラキシリレンデカナミドのような単独重合体、メタキシリレン/パラキシリレンアジパミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンピペラミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンスペラミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンアゼラミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンセパカミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンドデカンジアミド共重合体のような共重合体が挙げられる。
【0015】
この他、m-および/またはp-キシリレンジアミンと炭素数6〜12のα、ω-脂肪酸ジカルボン酸とからなるポリアミド構成単位を分子鎖中に70モル%以上含有する限り、この成分と他のポリアミド構造成分とからなる共重合体であってもよい。他のポリアミド構成成分としては、ジアミン成分、ジカルボン酸成分およびその他の成分が挙げられる。ジアミン成分の具体例としては、ヘキサメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族アミン、ピペラジンなどのような脂環式ジアミン、p−ビスー(2−アミノエチル)ベンゼン等の芳香族ジアミンがあり、ジカルボン酸成分の具体例としては、アジピン酸、アゼライン酸、セパチン酸などのような脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などのような脂環式ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、などの芳香族ジカルボン酸などがあり、他の成分には、ε−カプロラクタムのようなラクタム、12−アミノドデカン酸のようなω−アミノカルボン酸、またp−アミノメチル安息香酸のような芳香族アミノカルボン酸などがある。
【0016】
ただし、重合体(A)は、m-および/またはp-キシリレンジアミンと炭素数6〜12のα、ω-脂肪酸ジカルボン酸とからなるポリアミド構成単位を分子鎖中に70モル%以上含有するものでなければならない。分子鎖中における上記特定のポリアミド構成単位の割合が70モル%未満のものを使用すると、最終的に得られる積層二軸延伸フィルムに付与しようとした酸素ガスバリア性が目標値(温度25℃、相対湿度65%条件下で15cc/m・24H・atm以下)に達せず、好ましくない。また、好ましい分子鎖中における上記特定のポリアミド構成単位の割合は、80〜100モル%である。
【0017】
ポリアミド系重合体の他の1種である重合体(B)は、末端基濃度の異なる2種類以上の脂肪族ポリアミド樹脂からなる脂肪族ポリアミド樹脂混合物(以下、末端調整脂肪族ポリアミド樹脂混合物と呼ぶ)である。
【0018】
重合体(B)末端調整脂肪族ポリアミド樹脂混合物は、その末端アミノ基濃度を[X](μeq/ポリマー1g)、末端カルボキシル基濃度を[Y](μeq/ポリマー1g)とした時、5≦[X]−[Y]≦45、20≦[X]≦65の条件を満たす必要がある。好ましくは、8≦[X]−[Y]≦40、20≦[X]≦60である。[X]−[Y]<5の場合、レトルト後の機械的強度,耐屈曲疲労性の低下が大きくなり、本発明の効果が期待できなくなる。さらに、[X]−[Y]>45であると、溶融安定性が悪くなり、フィルム外観不良をきたす場合がある。また、[X]<20であることは、後記の軟質重合体の相溶性の点から好ましくない。[X]>65であると、脂肪族ポリアミド樹脂混合物の溶融安定性が低下し、また成形時、後記の軟質重合体と溶融した場合、ゲル状物などの外観不良が発生しやすくなる。
【0019】
なお、末端アミノ基濃度[X](μeq/ポリマー1g)は、ポリアミド樹脂をフェノール・メタノール混合溶液に溶解し、0.02Nの塩酸で滴定して測定することができる。末端カルボキシル基濃度[Y](μeq/ポリマー1g)は、ポリアミド樹脂をベンジルアルコールに溶解し、0.05Nの水酸化ナトリウム溶液で滴定して測定することができる。
【0020】
本発明の重合体(B)末端調整脂肪族ポリアミド樹脂混合物は末端基濃度の異なる2種類以上の脂肪族ポリアミド樹脂で構成されるため、末端調整脂肪族ポリアミド樹脂混合物の末端アミノ基濃度、末端基カルボキシル濃度は、構成する脂肪族ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度、末端カルボキシル基濃度および配合割合により決まる。また、重合体(B)末端調整脂肪族ポリアミド樹脂混合物が上記の末端基濃度条件を満たすためには、末端基濃度の異なる2種類以上の脂肪族ポリアミド樹脂の少なくとも1種類は、その末端基がアミン類により調整された脂肪族ポリアミド樹脂(以下、末端調整脂肪族ポリアミド樹脂と呼ぶ)を構成成分とする必要がある。
【0021】
重合体(B)末端調整脂肪族ポリアミド樹脂混合物の構成成分である、末端基濃度の異なる2種類以上の脂肪族ポリアミド樹脂は、アミド結合を持つ鎖状のポリアミドであればよく、具体例としては、ナイロン6等のラクタム重合体、ポリヘキサメチレンアジパミド等の脂肪族ジアミン類と脂肪族ジカルボン酸類とからなる脂肪族ポリアミド類、ω−アミノカルボン酸類の重合体、およびε−カプロラクタム、またはヘキサメチレンアジパミド、ω−アミノドデカン酸等を主成分とし、これらと重合可能な他のポリアミド構成成分を2〜40重量%とからなる共重合体、などが挙げられる。
【0022】
ε−カプロラクタムを主成分とする共重合体の場合には、共重合化可能な構成単位として、脂肪族ジアミン類と脂肪族ジカルボン酸類とのナイロン塩やω−アミノカルボン酸類が挙げられ、またヘキサメチレンアジパミドを主成分とする共重合体の場合、共重合化可能な構成単位として、ラクタム類が挙げられ、ω−アミノドデカン酸を主成分とする共重合体の場合には、共重合化可能な構成単位として、ラクタム類が挙げられる。
【0023】
ラクタム類としては、例えば、ε―カプロラクタム、ω−エナントラクタム、ω−ラウロラクタム、α―ピロリドン、α―ピペリドンなどを挙げることができる。ω−アミノカルボン酸類としては、例えば、6―アミノカプロン酸、7―アミノヘプタン酸、9―アミノノナン酸、11―アミノウンデカン酸、12―アミノドデカン酸などを挙げることができる。ナイロン塩を構成する脂肪族ジアミン類としては、例えば、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンが挙げられ、ナイロン塩を構成する脂肪族ジカルボン酸類としては、例えば、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカジオン酸、ヘキサデカジオン酸、ヘキサデセンジオン酸、ニイコサジエンジオン酸、ジグリコール酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸が挙げられる。
【0024】
これら中でも、ナイロン6と称されるポリ−ε−カプロラクタムの単独重合体、ナイロン66と称されるポリヘキサメチレンアジパミドの単独重合体、ナイロン12と称されるポリラウリルラクタムの単独重合体、および、ポリ−ε−カプロラクタムを主成分としたポリヘキサメチレンアジパミドとの共重合体ナイロン6/66,ポリ−ε−カプロラクタムを主成分としたポリラウリルラクタムとの共重合体ナイロン6/12が経済性や入手の容易さから好ましい。
【0025】
末端調整脂肪族ポリアミド樹脂は前記のポリアミド原料を用い、アミン類の存在下、溶融重合、溶液重合や固相重合などの公知の方法で重合、または共重合させることにより得ることができる。アミン類は、重合反応中の任意の段階で添加できる。
【0026】
添加されるアミン類の使用量は製造しようとする末端調整脂肪族ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度、末端カルボキシル基濃度および相対粘度を考慮して、公知の方法により適宜決められる。通常、ポリアミド原料に対して(繰り返し単位を構成するモノマーまたはモノマーユニット1モル)、そのアミノ基の量として、それぞれ、0.5〜20meq/モル、好ましくは、1.0〜10meq/molの割合で添加する(アミノ基の当量は、カルボキシル酸と1:1で反応してアミド基を形成するアミノ基の量を1当量とする。)。この量があまりに少ないと発明の効果を有するポリアミド樹脂の製造ができなくなり、逆に多すぎると粘度の高いポリアミド樹脂の製造が困難となる。
【0027】
また、アミン類としてはモノアミン、ジアミン等が挙げられる。アミン類の他に、上記の末端比率条件の範囲を外れない限り、必要に応じて、モノカルボン酸,ジカルボン酸などのカルボン酸類を加えても良い。また、添加するアミン類およびカルボン酸類は、添加量が少ないため、脂肪族アミン類、脂肪族カルボン酸類のほか、脂環式アミン類/カルボン酸類、芳香族アミン類/カルボン酸類であっても構わない。
【0028】
添加するモノアミンの具体例としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシレンアミン、エイコシルアミン、ドコシルアミンなどの脂肪族モノアミン、シクロヘキシルアミン、メチルシクロヘキシルアミンなどの脂環式モノアミン、ベンジルアミン、β―フエニルメチルアミンなどの芳香族モノアミン、N-Nジメチルアミン、N−Nジエチルアミン、N−Nジプロピルアミン、N−Nジブチルアミン、N−Nジヘキシルアミン、N−Nジオクチルアミンなどの対称第二アミン、N−メチル−N−エチルアミン、N−メチル−Nブチルアミン、N−メチル−Nドデシルアミン、N−メチル−Nオクタデシルアミン、N−エチル−Nヘキサデシルアミン、N−エチル−Nオクタデシルアミン、N−プロピル−Nヘキサデシルアミン、N−プロピル−Nベンジルアミンなどの混成第二アミンが挙げられる。
【0029】
添加するジアミンの具体例としては、、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン、ヘキサデカメチレンジアミン、オクタデカメチレンジアミン、ノナデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン、シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジン、ビス(4,4’−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス−(4’−アミノシクロヘキシル)プロパンなどの脂環式ジアミン、およびメタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン等の芳香族ジアミンを挙げることができる。
【0030】
その他、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、カプリン酸、ペラルゴン酸、ウンデカン酸、ラウリル酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキン酸、ベヘン酸、エルカ酸などの脂肪族モノカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、メチルシクロヘキサンカルボン酸などの脂環式モノカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、エチル安息香酸、フエニル酢酸、α―ナフタレンカルボン酸、β―ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸などの芳香族モノカルボン酸や、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカンジオン酸、ヘキサデカジオン酸、ヘキサデセンジオン酸、オクタデカジオン酸、オクタデセンジオン酸、エイコサンジオン酸、エイコセンジオン酸、ドコサンジオン酸、ジグリコール酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、メタキシリレンジカルボン酸、パラキシリレンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸を添加しても良い。
【0031】
重合体(B)末端調整脂肪族ポリアミド樹脂混合物は、JIS K 6810に準じて測定した相対粘度が、2.5〜4.5、好ましくは、3.0〜4.0である。この相対粘度は、末端調整脂肪族ポリアミド樹脂混合物を構成する脂肪族ポリアミド樹脂の相対粘度および配合割合により決まる。末端調整脂肪族ポリアミド樹脂混合物の相対粘度が2.5より小さい場合、得られるポリアミドフィルムの機械的性質が低くなる。また、4.5より大きくなると、溶融時の粘度が高くなり、フィルムの成形が困難となる。
【0032】
単独の脂肪族ポリアミド樹脂で、本発明の末端調整脂肪族ポリアミド樹脂混合物と同一の末端基濃度の範囲内にあり、相対粘度も同一の範囲内にあるものを得ることは可能である。しかし、相対粘度の高いものを得ようとした場合、長時間の重合を要するため、生産上不利である。また、重合時間を短縮しようとしても、減圧度の他に、重合温度等を上げなければならず、長時間フィルムの製造を続けると、ゲル状物が多数発生するなどの現象が起こる場合があり、本発明の目的を達成することが難しい。
【0033】
また、末端調整脂肪族ポリアミド樹脂混合物を構成する脂肪族ポリアミド樹脂は、混合の容易さや製造されるフィルムの均一性の観点から、ナイロン6、ナイロン6/66,ナイロン6/12どうしなど、出来るだけ、同種のポリアミド樹脂を使用することが好ましい。
重合体(B)末端調整脂肪族ポリアミド樹脂混合物を構成する末端基濃度の異なる2種類以上の脂肪族ポリアミド樹脂の配合は、本発明の末端基濃度および相対粘度の条件範囲内に適合さえすれば、特に制約はなく、任意の割合で配合することができる。
【0034】
混合物(C)は重合体(A)と重合体(B)の混合物である。この混合物は、バージン原料同士を混合したものであってもよいし、また、本発明のポリアミド積層二軸延伸フィルムを製造する際に生成する規格外のフィルムや、フィルム側端部の切断端材(耳トリム)として発生するスクラップ混合物、あるいは該スクラップ混合物にバージン原料を加えて調整したものであってもよい。その混合割合は特に制限はないが、芳香族ポリアミドと脂肪族ポリアミドとを重量比で7:3〜1:9の範囲内で選ぶのが好ましい。
【0035】
重合体(A)、重合体(B)および混合物(C)は、いずれも吸湿性が大きく、吸湿したものを使用すると、原料を溶融押出しする際、加水分解が起こるためオリゴマーが発生し、フィルム製造が困難となるので、事前に乾燥し水分含有率が0.1重量%以下とするのが好ましい。
【0036】
本発明における重合体(P)とは、ASTM D−790に準拠して測定した曲げ弾性率が1〜300MPaであるオレフィン系共重合体からなる。かかる軟質重合体とは、エチレン・酢酸ビニル部分鹸化物系共重合体、アイオノマー重合体、変性エチレン・α−オレフィン系共重合体、変性エチレン・α,β−不飽和カルボン酸エステル系共重合体、変性エチレン・酢酸ビニル部分鹸化物系共重合体からなる群より選択される少なくとも1種以上の共重合体である。
【0037】
エチレン・酢酸ビニル部分鹸化物系共重合体とはエチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)を部分鹸化した化合物である。原料となるエチレン・酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含量が20〜50重量%のものが通常用いられるが、好ましくは30〜45重量%である。酢酸ビニル含量が20%未満であると、ポリエチレンの結晶性を抑えることができず透明性に劣る。一方、酢酸ビニル含量が50重量%を超えると柔軟化して耐屈曲疲労性の改良効果が得られるが、鹸化工程にて製造が困難となる。
エチレン・酢酸ビニル共重合体を公知の鹸化法、例えば、メタノール、エタノールなどの低沸点アルコールと水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラートなどのアルカリからなる系で処理する方法で、鹸化度が50〜98モル%、好ましくは60〜98モル%になるように鹸化することで、エチレン・酢酸ビニル部分鹸化物系共重合体を得ることが出来る。鹸化度が50モル%以下であるとポリアミド樹脂との相溶性が改善されず透明性が改良されない。一方、鹸化度が98モル%超えると結晶性が高くなり、柔軟性が得られなくなる。
【0038】
アイオノマー重合体とは、オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸共重合体のカルボキシル基の少なくとも一部が金属イオンの中和によりイオン化されたものである。オレフィンとしてはエチレンが好ましく用いられ、α,β−不飽和カルボン酸としてはアクリル酸、メタクリル酸が好ましく用いられるが、ここに例示したものに限定されるものではない。金属イオンはナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛等のイオンを挙げることできる。また、その他の不飽和単量体成分として、α,β−不飽和カルボン酸エステル単量体を含有していてもよい。 アイオノマー樹脂のα,β−不飽和カルボン酸単量体の含有量2〜25重量%の範囲であり、好ましくは、5〜15重量%の範囲である。α,β−不飽和カルボン酸単量体の含有率が2重量%未満の場合、ポリアミド樹脂混合物との相溶性から、フィルムの透明性が悪化する。一方、25重量%を超える場合、製造が困難であるとともに、樹脂自体が脆くなるという欠点を有している。さらに、アイオノマー樹脂の金属イオン中和度は20〜80%の範囲であり、好ましくは、50〜70%の範囲である。金属イオン中和度が20%未満の場合、ポリアミド樹脂混合物との相溶性から、フィルムの透明性が悪化する。一方、80%を超える場合、アイオノマー樹脂の流動性が低下し、フィルムの透明性が悪化するため好ましくない。
【0039】
変性エチレン・α−オレフィン系共重合体、変性エチレン・α,β−不飽和カルボン酸エステル系共重合体、変性エチレン・酢酸ビニル部分鹸化物系共重合体(以下、変性ポリオレフィン系共重合体と記す。)とはエチレン・α−オレフィン系共重合体、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸エステル系共重合体、エチレン・酢酸ビニル部分鹸化物系共重合体にα,β−不飽和カルボン酸あるいはその誘導体を上記共重合体に対して、グラフト重合させた重合体のことである。
【0040】
上記のエチレン・α−オレフィン系共重合体とは、エチレンと炭素数3以上のα−オレフィンを共重合した重合体であり、炭素数3以上のα−オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、デセン−1、4−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1が挙げられ、好ましくはプロピレン、ブテン−1が挙げられる。エチレン・α−オレフィン系共重合体における炭素数3以上のα−オレフィンの割合は、10〜50重量%であり、好ましくは20〜40重量%である。炭素数3以上のα−オレフィンの割合が10重量%未満であると、耐屈曲疲労性改良効果が必ずしも充分に発揮されず、また50重量%を超えると、エチレン・α−オレフィン系共重合体の重合が困難となる場合がある。
【0041】
上記のエチレン・α,β−不飽和カルボン酸エステル系共重合体とは、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸エステル単量体を共重合した重合体であり、α,β−不飽和カルボン酸エステル単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチルなどのアクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチルなどのメタクリル酸エステル等を挙げることができる。好ましくは、安価で入手でき、且つ熱安定性に優れている、エチレン・アクリル酸エチル共重合体やエチレン・メタクリル酸メチル共重合体を挙げられる。エチレン・α,β−不飽和カルボン酸エステル系共重合体におけるα,β−不飽和カルボン酸エステル単量体の割合は、10〜35重量%であり、好ましくは15〜30重量%である。α,β−不飽和カルボン酸エステル単量体の割合が10重量%未満であると、これを配合したポリアミド樹脂組成物からなるポリアミドフィルムは高温水中で加熱した場合、エチレン・α,β−不飽和カルボン酸エステル系共重合体が結晶化して、フィルムが白濁するので好ましくない。また35重量%を超えると、成形中強い臭気を発生し、作業環境を悪化させるため好ましくない。
【0042】
グラフト重合させるα,β−不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、あるいは、これらの酸無水物、またはエステルなどが挙げられ、好ましくは、無水マレイン酸が挙げれる。また、変性ポリオレフィン系共重合体は、公知の製造方法、例えば、未変性ポリオレフィン系共重合体に不飽和カルボン酸類とを溶融状態で反応させる方法、溶液状態で反応させる方法、スラリー状態で反応させる方法、気相状態で反応させる方法等のいずれかにより製造することができる。
【0043】
変性エチレン・α−オレフィン系共重合体、変性エチレン・α,β−不飽和カルボン酸エステル系共重合体、変性エチレン・酢酸ビニル部分鹸化物系共重合体に占める不飽和カルボン酸類の含有率は0.05〜3.0重量%の範囲であり、好ましくは、0.1〜2.0重量%の範囲である。不飽和カルボン酸類の含有率が0.05重量%未満の場合、ポリアミド樹脂混合物との相溶性から、フィルムの透明性が悪化する。一方、3.0重量%を超える場合、それに見合う効果の向上が期待できないので、経済的に不利となる。
【0044】
(B)軟質重合体のメルトフローレートは、230℃、2160g荷重において、1.0〜100g/10分、好ましくは、2.0〜50g/10分であることが望ましい。これら、軟質重合体(B)の中でも、得られるフィルムの透明性の点から、エチレン・酢酸ビニル部分鹸化物系共重合体が好ましい。
【0045】
本発明の積層二軸延伸ポリアミドフィルムの構成成分である重合体(P)の(a)層に含まれる混合割合は、(a)層に含有されているすべての重合体合計量に対して、3.0重量%以下であり、得られる積層フィルムの耐屈曲疲労性が満足いくレベルであれば、重合体(P)を添加する必要が無い場合もある。重合体(P)を添加する場合には、0.1〜3.0重量%、好ましくは、0.5〜2.0重量%の範囲が望ましい。添加量が0.1重量%未満の場合、耐屈曲疲労性はほとんど改良されず、3.0重量%を超えると、フィルムの透明性が悪化する。
また、重合体(P)の(b),(c)層に含まれる混合割合は、(b),(c)層に含有されているすべての重合体合計量に対して0.3〜5.0重量%、好ましくは0.5〜4.0重量%の範囲である。重合体(P)の添加量が0.3重量%未満の場合、耐屈曲性はほとんど改良されず、5.0重量%を超えると、フィルムの透明性が悪化する。
(c)層は、積層フィルムを製造する際に発生した規格外フィルムや切断端材(耳トリム)をリサイクル使用する時は、これらに重合体(P)が含まれているため、新たに重合体(P)を加えなくても良い場合があるが、(c)層に含まれる重合体(P)の量を調整する場合には、新たに加えても良い。
【0046】
(a)層を構成する重合体(A)と重合体(P)の混合は、必要に応じて各種添加剤を配合し、公知の方法で行うことができる。タンブラーやミキサーなどの公知の混合装置を使用し、各々の重合体のペレット同士を上記の混合割合になるように均一にドライブレンドする方法、各々の重合体のペレット同士を成形時に使用する濃度で予めドライブレンドし、一軸または二軸の押出機を用いて溶融混練し混合する練り込み法、また、一軸または二軸の押出機を用いて予め高濃度の重合体(P)を含有するポリアミド樹脂組成物を製造し、これを成形時に希釈して使用するマスターバッチ法などが挙げられる。また、(b)層を構成する重合体(B)と重合体(P)の混合、および(c)層を構成する重合体(A)と重合体(B)との混合物(C)と重合体(P)の混合も、同様に行うことができる。
【0047】
本発明に係わるポリアミド積層二軸延伸フィルムは、重合体(A)と重合体(P)が含有されてなる(a)層、重合体(B)と重合体(P)が含有されてなる(b)層、これら重合体(A)と重合体(B)との混合物(C)と重合体(P)が含有されてなる(c)層のうち、(a)層と(a)層以外の少なくとも1種の層を含む構成であって、(a)層は(b)層または(c)層と直接積層されていることを特徴とする。
【0048】
ポリアミド積層二軸延伸フィルムの層構成の具体例は、2層構成の場合、(a)/(c)、(a)/(b)、3層構成の場合、(a)/(b)/(c)、(b)/(a)/(c)、(b)/(c)/(a)、(b)/(a)/(b)、(c)/(a)/(c)、4層構成の場合、(b)/(c)/(a)/(b)、5層構成の場合、(b)/(c)/(a)/(c)/(b)、(b)/(a)/(c)/(a)/(b)、(c)/(b)/(a)/(b)/(c)等が挙げられるが、これら例示したものに限定されるものでない。本発明の達成度、製造の簡便さを考慮すると、3層以上5層以下とするのが好ましい。また、積層フィルムを製造する際、規格外フィルムや切断端材(耳トリム)が発生するが、これらを使用し、経済性や資源の有効利用を考慮すると、(c)/(a)/(c)や(b)/(a)/(c)の3層構成が好ましく、成形トラブルの少ないという点から、(b)/(a)/(b)が好ましい。
【0049】
重合体(A)、重合体(B)および混合物(C)には、得られるフィルムの特性を損なわない範囲内で、フェノール系、リン系、イオウ系酸化防止剤、紫外線吸収剤を含む耐候剤、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムなどの金属石鹸やエチレンビスステアロアミドなどのビスアミド化合物を含む滑剤、シリカ、タルク、カオリンなどのフィラー、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、防雲剤、染料、顔料などの各種添加剤を添加することができる。特に、フェノール,リン系酸化防止剤を添加することが望ましい。フェノール系酸化防止剤としては、例えば、3,9-ビス[2-(3-(3-t- ブチル-4- ヒドロキシ-5- メチルフェニル)プロピオニルオキシ)-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10- テトラオキサスピロ〔5・5〕ウンデカン、ペンタエリスリチル テトラキス[3-(3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシフェニル)プロピオネート] 、N,N'- ビス[3-(3,5-ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシフェニル)プロピオニル) ヘキサメチレンジアミン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5- ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリエチレングリコール ビス[3-(3-t-ブチル-4- ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート] 、4,4-ブチリデンビス(3- メチル-6-t- ブチルフェノール)、4,4-チオビス(3- メチル-6-t- ブチルフェノール)、n-オクタデシル 3-(3,5- ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリス(4-t- ブチル-3- ヒドロキシ-2,6- ジメチルベンジル) イソシアヌレート、2,4-ビス(n- オクチルチオ)-6-(3,5- ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシアニリノ)-1,3,5-トリアジン、トリス(3,5- ジ-t- ブチル-4- ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2-t-ブチル-6-(3-t-ブチル-5- メチル-2- ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、2,4-ジ-t- ペンチル-6-[1-(2- ヒドロキシ-3,5- ジ-t- ペンチルフェニル)エチル] フェニル アクリレート、2,2'- エチリデンビス(4,6- ジ-t- ブチルフェノール)、2,2'- エチリデンビス(4,6- ジ-t- ペンチルフェノール) 、2,2'- メチレンビス(4- メチル-6-t- ブチルフェノール) 、2,6-ジ-t- ブチル-4- メチルフェノール、これら2種以上のの混合物等が挙げられる。 これらの中でも3,9-ビス[2-(3-(3-t- ブチル-4- ヒドロキシ-5- メチルフェニル)プロピオニルオキシ)-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンを添加することが好ましい。
リン系酸化防止剤としては、例えばジステアリル ペンタエリスリトール ジフォスファイト、トリス(2,4- ジ-t- ブチルフェニル) フォスファイト、ビス(2,4- ジ-t- ブチルフェニル) ペンタエリスリトール ジフォスファイト、テトラキス(2,4- ジ-t- ブチルフェニル) 4,4'- ビフェニレン ジフォスフォナイト、ビス(2,6- ジ-t-ブチル-4- メチルフェニル) ペンタエリスリトール ジフォスファイト、2,2'- メチレンビス(4,6- ジ-t- ブチルフェニル)オクチル フォスファイト、テトラトリデシル 4,4'- ブチリデンビス(3- メチル-6-t-ブチルフェニル) ジフォスファイト、2,2'- エチリデンビス(4,6-ジ-t- ブチルフェニル) フルオロフォスフォナイト、ビス(2,4,6- トリ-t- ブチルフェニル) ペンタエリスリトール ジフォスファイト、2,4-ジ-t- ブチル-6- メチルフェニル エチルフォスファイト、2-[(2,4,8,10- テトラキス(1,1-ジメチルエチル)ジベンゾ(D,F)(1,3,2-ジオキサフォスフェフィン-6- イル) オキシ)-N,N-ビス(2-((2,4,8,10-テトラキス(1,1- ジメチルエチル)ジベンゾ(D,F)(1,3,2)ジオキサフォスフェピン-6- イル) オキシ) −エチル)エタンアミン、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフエニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d・f][1・3・2]ジオキサホスフェビン等が挙げられる。これらの中でも、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフエニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d・f][1・3・2]ジオキサホスフェビンを添加することが好ましい。
【0050】
本発明のポリアミド積層二軸延伸フィルムは、公知の一般的方法により製造することができる。例えば共押出シート成形、共押出キャスティングフィルム成形、共押出インフレーションフィルム成形など所謂共押出法により製造することができる。重合体(P)を含有する重合体(A)、重合体(P)を含有する重合体(B)、重合体(P)を含有する混合物(C)よりなる原料を別々の押出機で溶融混練し、T−ダイあるいはコートハンガーダイによりフラットフィルム状に押出し、キャスティングロール面上にキャスティング、冷却してフィルムを製造する多層キャスティング法、リング状ダイにより筒状に溶融押出したチューブ状物を空冷あるいは水冷してフィルムを製造する多層チューブラー法等がある。これらにより、実質的に無定型で配向していない積層未延伸フィルムを製造する。この際、必要に応じて、3種の各層間に接着層として、無水マレイン酸変性ポリオレフィン、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、アイオノマー樹脂等を設けてもよい。
【0051】
次に、積層未延伸フィルムを、フィルムの流れ方向(縦方向)およびこれと直角方向(横方向)に各々2.5〜5倍の範囲で二軸延伸する。縦方向および横方向の二軸方向の延伸倍率が各々2.5倍より小さい場合、延伸の効果が少なく、フィルムの強度が劣る。また二軸延伸方向の延伸倍率が各々5倍より大きい場合は、延伸時にフィルムが裂けたり、破断したりし製造上好ましくない。よって、延伸倍率は上記の範囲内とするのがよい。
【0052】
また、延伸工程は積層未延伸フィルムの製造に引続き、連続して実施しても良いし、積層未延伸フィルムを一旦巻き取り、別工程として延伸を実施しても良い。二軸延伸の方法は、テンター式逐次二軸延伸法、テンター式同時二軸延伸法、チューブラー延伸法など公知の延伸方法が採用できる。例えば、テンター式逐次二軸延伸法の場合、積層未延伸フィルムを50〜110℃の温度範囲に加熱し、ロール式縦延伸機によって縦方向に2.5〜5倍に延伸し、続いてテンター式横延伸機によって60〜120℃の温度範囲内で横方向に2.5〜5倍に延伸することにより積層二軸延伸フィルムを製造することができる。テンター式同時二軸延伸法やチューブラー延伸法の場合、積層未延伸フィルムを60〜110℃の温度範囲において、縦横方向同時に各軸方向に2.5〜5倍に延伸することにより積層二軸延伸フィルムを製造することができる。
【0053】
上記方法により延伸された積層二軸延伸フィルムは、引続き熱処理をする。熱処理することにより常温における寸法安定性を付与することができる。この場合の熱処理温度は、110℃を下限として重合体(B)の融点より5℃低い温度を上限とする範囲を選択するのがよく、これにより常温寸法安定性のよい、任意の熱収縮率をもった延伸フィルムを得ることができる。
熱処理操作により、充分に熱固定された積層二軸延伸フィルムは、常法に従い、冷却して巻き取る。
また、実験室的には、バッチ式延伸機(例えば、岩本製作所製、東洋精機社製など)を使用して延伸フィルムを得ることができる。この場合、工業的に生産されている延伸フィルムと同等の物性を得るためには、延伸前の予熱温度を60〜90℃、延伸倍率を2.5〜4.0倍、熱固定温度190〜220℃の条件下で延伸を行えば良い。
【0054】
本発明に係わるポリアミド積層二軸延伸フィルムは、上記の方法により製造することができるが。本発明を考慮すると次のような物性、すなわち、温度25℃、相対湿度65%条件下における酸素透過率が15cc/m・24H・atm以下、かつ、130℃以上の酸素と水蒸気との雰囲気下での過酷な条件でのレトルト処理においても、引張強度、伸度や耐屈曲疲労性などのフィルム物性の低下が起こらないものであることが要求される。
【0055】
本発明のポリアミド積層二軸延伸フィルムの全体の厚みは、10〜40μmが好ましい。全体の厚みが、10μm未満のものは、酸素バリア性、耐ピンホール性のバランスが悪く、また、40μmを超えるものは、フィルムが硬くなり、さらにラミネートする場合、フィルム全体が非常に厚くなり軟包装用に適さなくなる。
【0056】
本発明のポリアミド積層二軸延伸フィルムは、他の熱可塑性樹脂フィルムやアルミニウム箔、紙等などと積層にして使用することができる。積層される他の熱可塑性樹脂フィルムとしてはポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂、アイオノマー樹脂などから得られる延伸もしくは未延伸フィルムを挙げることができる。
【0057】
さらに、本発明のポリアミド積層二軸延伸フィルムは、印刷性、ラミネート、粘着剤付与性を高めるため、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、酸処理などの表面処理を行うことができる。また、必要に応じて、このような処理がなされた後、印刷、ラミネート、粘着剤塗布、ヒートシールなどの二次加工工程を経てそれぞれの目的とする用途に使用することができる。
【0058】
【実施例】
以下において実施例および比較例を掲げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の要旨を越えない限り以下の例に限定されるものではない。以下、使用したポリアミド樹脂、軟質重合体、得られたポリアミド二軸延伸積層フィルムの評価方法を記載する。
【0059】
[ポリアミド樹脂]
1.ポリアミド樹脂の相対粘度の測定
ポリアミドの相対粘度ηrはJIS K6810に準じて、98%の硫酸中、ポリアミド濃度1%、温度25℃の条件下で測定した。
2.ポリアミド樹脂の末端基濃度の測定
アミノ末端基濃度は、ポリアミド1gをフェノール・メタノール混合溶液に溶解し、0.02Nの塩酸で滴定して測定した。
カルボキシル末端基濃度は、ポリアミド1gをベンジルアルコールに溶解し、0.05Nの水酸化ナトリウム溶液で滴定して測定した。
【0060】
3.末端調整脂肪族ポリアミド樹脂の製造
200リットルのオートクレーブに、ε−カプロラクタム60kg、水1.5kgと表1に示すアミン成分及びカルボン酸成分を仕込んだ。
重合槽内を窒素置換した後、100℃まで加熱し、この温度で反応系内が均一な状態になるように攪拌した。次いで重合槽内温度を260℃まで昇温させ、槽内圧力を15.0kg/cmGの圧力下、2時間攪拌した。その後、常圧に放圧し、次いで、表1に示す圧力まで減圧し、重合を行なった。次いで、窒素をオートクレーブ内に導入し、常圧に復圧後、反応容器の下部ノズルからストランドとして抜き出し、カッティングしてペレットを得た。このペレットを熱水中に浸漬し、約10%の未反応モノマーを抽出、除去した後、減圧乾燥した。得られたポリアミド樹脂の相対粘度、末端アミノ基濃度、末端カルボキシル基濃度を測定した。その結果を表1に示す。
【0061】
4.使用した重合体(A),重合体(B),混合物(C)
重合体(A):ポリメタキシリレンアジパミド(三菱ガス化学(株)製、MX―ナイロン6011)
重合体(B):上記記載の方法により製造された末端調整脂肪族ポリアミド樹脂を、表2に示す組成にて混合した末端調整脂肪族ポリアミド樹脂混合物
混合物(C):フィルム製造テストから発生した耳トリム端材物(芳香族ポリアミドと脂肪族ポリアミドとの割合(重量)が40:60)
【0062】
5.使用した重合体(P)
P−1:エチレン・酢酸ビニル部分鹸化物共重合体デュミラン XD−159(武田薬品工業株式会社製) 曲げ弾性率 140 MPa
P−2:アイオノマー重合体 ハイミラン1706(三井・デュポン・ポリケミカル社製) 曲げ弾性率 240 MPa
P−3:変性エチレン・プロピレン共重合体 T7712SP(JSR株式会社製) 曲げ弾性率 13 MPa
P−4:変性エチレン・アクリル酸エチル共重合体 HPR AR201(三井・デュポン・ポリケミカル社製) 曲げ弾性率 5 MPa
P−5:変性エチレン・酢酸ビニル部分鹸化物共重合体デュミラン C−1591(武田薬品工業株式会社製) 曲げ弾性率 190 MPa
P−6:エチレン・プロピレン共重合体 EP02P(JSR株式会社製) 曲げ弾性率 8 MPa
P−7:エチレン・アクリル酸エチル共重合体 エバフレックスEEA A−703(三井・デュポン・ポリケミカル社製) 曲げ弾性率 17 MPa
P−8:エチレン・ビニルアルコール エバールEP−E105 (クラレ製) 曲げ弾性率 2600MPa
【0063】
6. 評価方法
<透明性>
透明性の尺度であるヘイズはASTM D−1003に準じ、スガ試験機製の直読ヘイズコンピューター(HGM−2DP)を使用して測定した。
【0064】
<酸素透過率>
ASTM D−3985に準じて、モダンコントロール社製MOCON−OX−TRAN2/20を使用して、23℃、65%RHの条件下で測定した。
【0065】
<レトルト処理評価>
(1)レトルト処理
下記の各例に記載の方法により得られたポリアミド二軸延伸積層フィルム(縦300mm、横400mm)をレトルト食品用オートクレーブ(トミー精工製、SR−240)に入れ、135℃の条件で30分間処理した。
【0066】
(2)引張強度,伸度の測定
引張強度,伸度はASTM D−882に準じ、オリエンテック製テンシロンUTMIII―200にて測定した。レトルト処理前後フィルムの引張強度,伸度を測定し、その保持率を計算した。
引張強度保持率=[(レトルト処理後引張強度)/(レトルト処理前引張強度)]×100 (%)
引張伸度保持率=[(レトルト処理後引張伸度)/(レトルト処理前引張伸度)]×100 (%)
引張強度,伸度の保持率の値が高いほどレトルト処理による影響が小さいことを示す。
【0067】
(3)ピンホール数の測定
理学工業製恒温槽付ゲルボフレックステスターにより、MIL−B−131Cに準じ、0℃下で1000回の屈曲テストを行った後、そのフィルムに生じるピンホールの個数をサンコウ電子製ピンホール探知器を使用して測定した。レトルト処理前後フィルムのピンホール数から、その変化率を計算した。
ピンホール数変化率=(レトルト処理後のピンホール数)/(レトルト処理前のピンホール数)
ピンホール数の変化率の値が小さいほどレトルト処理による影響が小さいことを示す。
【0068】
実施例1〜5
重合体(P)1.0重量%と重合体(A)99.0重量%からなる組成物((a)層)、 重合体(P)3.0重量%と重合体(B)97.0重量%、エチレンビスステアリルアミド(以下EBSという)0.08重量部からなる組成物((b)層)、および重合体(P)2.2重量%、混合物(C)97.8重量%、EBS0.08重量部からなる組成物((c)層)をφ40mm押出機3台を使用して別々に溶融させ、水冷インフレーション用ダイ(プラコー社製)を用いて、外層が約54μmの(b)層、中間層が約36μmの(a)層、そして内層が約45μmの(c)層の各々よりなるポリアミド未延伸積層フィルムを得た。次に、得られたポリアミド未延伸積層フィルムを、二軸延伸装置(岩本製作所製BIX703)を使用し、延伸温度90℃、延伸倍率3.0×3.0倍に同時二軸延伸した後、210℃の加熱空気で熱処理を行ない、外層が6μm、中間層が4μm、そして内層が5μmである、(b)/(a)/(c)なる3層構成で、全体の厚みが約15μmのポリアミド積層二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムについて、前記の方法により酸素透過率、レトルト処理前フィルムの引張強度,伸度、引張強度,伸度の保持率、レトルト処理前フィルムのピンホール数、ピンホール数変化率を評価した。その結果を、フィルム層構成等と共に、表2,表3に示す。
【0069】
実施例6〜7
実施例1において、重合体(B)を表2に記載したような組成比に代えた他は、同例に記載した同様の方法で、ポリアミド積層二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムについて、前記の方法により酸素透過率、レトルト処理前フィルムの引張強度,伸度、引張強度,伸度の保持率、レトルト処理前フィルムのピンホール数、ピンホール数変化率を評価した。その結果を、フィルム層構成等と共に、表2,表3に示す。
【0070】
実施例8〜9
実施例1において、重合体(P)の含有量を表2に記載したように代えた他は、同例に記載した同様の方法で、ポリアミド積層二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムについて、前記の方法により酸素透過率、レトルト処理前フィルムの引張強度,伸度、引張強度,伸度の保持率、レトルト処理前フィルムのピンホール数、ピンホール数変化率を評価した。その結果を、フィルム層構成等と共に、表2,表3に示す。
【0071】
実施例10
重合体(P)1.0重量%と重合体(A)99.0重量%からなる組成物((a)層)、および重合体(P)3.0重量%と重合体(B)97.0重量%とを混合した組成物55重量%と、重合体(P)2.2重量%と混合物(C)97.8重量%からなる組成物45重量%にEBS0.08重量部添加した混合物((c)層)をφ40mm押出機3台を使用して別々に溶融させ、水冷インフレーション用ダイ(プラコー社製)を用いて、内外層が約50μmの(c)層、中間層が約36μmの(a)層よりなるポリアミド未延伸積層フィルムを得た。その後、実施例1と同様の方法により、、内外層が約5.5μm、中間層が4μmである、(c)/(a)/(c)なる3層構成で、全体の厚みが約15μmのポリアミド積層二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムについて、前記の方法により酸素透過率、レトルト処理前フィルムの引張強度,伸度、引張強度,伸度の保持率、レトルト処理前フィルムのピンホール数、ピンホール数変化率を評価した。その結果を、フィルム層構成等と共に、表2,表3に示す。
【0072】
実施例11
重合体(P)1.0重量%と重合体(A)99.0重量%からなる組成物((a)層)、および重合体(P)3.0重量%と重合体(B)97.0重量%、EBS0.08重量部からなる組成物((b)層)をφ40mm押出機3台を使用して別々に溶融させ、水冷インフレーション用ダイ(プラコー社製)を用いて、内外層が約45μmの(b)層、中間層が約45μmの(a)層よりなるポリアミド未延伸積層フィルムを得た。その後、実施例1と同様の方法により、内外層が5μm、中間層が5μmである、(b)/(a)/(b)なる3層構成で、全体の厚みが約15μmのポリアミド積層二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムについて、前記の方法により酸素透過率、レトルト処理前フィルムの引張強度,伸度、引張強度,伸度の保持率、レトルト処理前フィルムのピンホール数、ピンホール数変化率を評価した。その結果を、フィルム層構成等と共に、表2,表3に示す。
【0073】
比較例1〜2
実施例1において、重合体(B)を表2に記載したような組成比に代えた他は、同例に記載した同様の方法でポリアミド積層二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムについて、前記の方法により酸素透過率、レトルト処理前フィルムの引張強度,伸度、引張強度,伸度の保持率、レトルト処理前フィルムのピンホール数、ピンホール数変化率を評価した。その結果を、フィルム層構成等と共に、表2,表3に示す。
【0074】
比較例3
実施例1において、層構成を表2に記載したように代えた他は、同例に記載した同様の方法でポリアミド積層二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムについて、前記の方法により酸素透過率、レトルト処理前フィルムの引張強度,伸度、引張強度,伸度の保持率、レトルト処理前フィルムのピンホール数、ピンホール数変化率を評価した。その結果を、フィルム層構成等と共に、表2,表3に示す。
【0075】
比較例4〜5
実施例1において、重合体(P)の含有量を表2に記載したように代えた他は、同例に記載した同様の方法でポリアミド積層二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムについて、前記の方法により酸素透過率、レトルト処理前フィルムの引張強度,伸度、引張強度,伸度の保持率、レトルト処理前フィルムのピンホール数、ピンホール数変化率を評価した。その結果を、フィルム層構成等と共に、表2,表3に示す。
【0076】
比較例6
実施例1において、重合体(P)を本特許の条件を満たさないP−8に代えた他は、同例に記載した同様の方法でポリアミド積層二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムについて、前記の方法により酸素透過率、レトルト処理前フィルムの引張強度,伸度、引張強度,伸度の保持率、レトルト処理前フィルムのピンホール数、ピンホール数変化率を評価した。その結果を、フィルム層構成等と共に、表2,表3に示す。
【0077】
比較例7
実施例10において、重合体(B)を表2に記載したような組成比に代えた他は、同例に記載した同様の方法でポリアミド積層二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムについて、前記の方法により酸素透過率、レトルト処理前フィルムの引張強度,伸度、引張強度,伸度の保持率、レトルト処理前フィルムのピンホール数、ピンホール数変化率を評価した。その結果を、フィルム層構成等と共に、表2,表3に示す。
【0078】
比較例8
実施例11において、重合体(B)を表2に記載したような組成比に代えた他は、同例に記載した同様の方法でポリアミド積層二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムについて、前記の方法により酸素透過率、レトルト処理前フィルムの引張強度,伸度、引張強度,伸度の保持率、レトルト処理前フィルムのピンホール数、ピンホール数変化率を評価した。その結果を、フィルム層構成等と共に、表2,表3に示す。
【0079】
【表1】
Figure 0003982228
【0080】
【表2】
Figure 0003982228
【0081】
【表3】
Figure 0003982228
【0082】
【発明の効果】
本発明のポリアミド積層二軸延伸フィルムは、優れたバリア性、耐屈曲疲労性、強靭性および酸素を含む水蒸気による高温(特に130℃以上における)熱水処理後においても、機械的強度、耐屈曲性等、実用的な物性の低下が少ない。そのため、酸素による内容物の変質を嫌う食品包装用や医療、薬品包装用フィルムとして、高温から低温まで、幅広い温度範囲において使用可能であり、利用価値は極めて大きい。

Claims (4)

  1. 下記組成の重合体(A)と、重合体(P)3.0重量%以下が含有されてなる(a)層、重合体(B)と、重合体(P)0.3〜5.0重量%が含有されてなる(b)層、前記重合体(A)と重合体(B)との混合物(C)と、重合体(P)0.3〜5.0重量%が含有されてなる(c)層のうち、(a)層と(a)層以外の少なくとも1種の層を含む構成であって、 ( ) 層は(b)層または(c)層と直接積層されていることを特徴とするポリアミド積層二軸延伸フィルム。
    重合体(A):m-および/またはp-キシリレンジアミンと炭素数6〜12のα、ω-脂肪酸ジカルボン酸とからなるポリアミド構成単位を分子鎖中に70モル%以上含有する芳香族ポリアミド
    重合体(B):末端基濃度の異なる2種類以上の脂肪族ポリアミド樹脂からなる脂肪族ポリアミド樹脂混合物であり、末端アミノ基濃度[X](μeq/ポリマー1g)と末端カルボキシル基濃度[Y](μeq/ポリマー1g)とした時、5≦[X]−[Y]≦45、20≦[X]≦65の条件を満たし、かつ相対粘度が2.5〜4.5であることを特徴とする脂肪族ポリアミド
    重合体(P):ASTM D−790に準拠して測定した曲げ弾性率が1〜300MPaのオレフィン系共重合体からなる軟質重合体
  2. 前記軟質重合体がエチレン・酢酸ビニル部分鹸化物系共重合体、アイオノマー重合体、変性エチレン・α−オレフィン系共重合体、変性エチレン・α,β−不飽和カルボン酸エステル系共重合体、変性エチレン・酢酸ビニル部分鹸化物系共重合体からなる群より選択された少なくとも1種類以上を含むことを特徴とする請求項1記載のポリアミド積層二軸延伸フィルム。
  3. 3〜5層よりなることを特徴とする請求項1〜2記載のポリアミド積層二軸延伸フィルム。
  4. (c)/(a)/(c)、(b)/(a)/(c)、または(b)/(a)/(b)の3層構成よりなることを特徴とする請求項1〜3に記載のポリアミド積層二軸延伸フィルム。
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