JP2885378B2 - 熱可塑性樹脂延伸フィルム - Google Patents

熱可塑性樹脂延伸フィルム

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JP2885378B2
JP2885378B2 JP1205294A JP20529489A JP2885378B2 JP 2885378 B2 JP2885378 B2 JP 2885378B2 JP 1205294 A JP1205294 A JP 1205294A JP 20529489 A JP20529489 A JP 20529489A JP 2885378 B2 JP2885378 B2 JP 2885378B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、熱可塑性樹脂延伸フィルムに関し、さらに
詳しくは、溶融押出法による成形時にゲル等が発生せ
ず、長時間にわたり安定して成膜に供し得る樹脂組成物
を溶融混練し、押出成膜して得られる透明で酸素ガスバ
リヤー性および耐屈曲ピンホール性に優れる延伸フィル
ムに関するものである。
[従来の技術] エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物は、これから
得られるフィルムやシートが、極めて優れた酸素ガスバ
リヤー性を示し、かつ透明性、耐油性に優れていること
から、従来より、食品や医薬品の包装用フィルムおよび
各種用途の容器などの成形材料として注目されてきた。
しかしながら、従来のエチレン−酢酸ビニル共重合体
ケン化物は、溶融押出に際しての加工安定性が劣ってお
り、溶融押出加工を長時間にわたって連続して行うと、
溶融物中にゲルが発生したり、押出機のスクリュー部、
ダイ等の吐出部に樹脂カスがたまり、ゲルや樹脂カスの
発生が激しい場合には押出機のスクリーンやノズルが閉
塞するため、一旦運転を中止して押出機を解体し、閉塞
物の除去作業をした上で、運転を再開しなければならな
いという、いわゆる溶融押出加工のロングラン性に問題
点があった。
しかも、従来のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化
物を溶融押出した未延伸のシート若しくはフィルムには
ゲルや樹脂カスの混入が避けられないため、ゲルや樹脂
カスの混入が原因で押出機のスクリーンやノズルが閉塞
するまでには至らずとも、得られるシートやフィルム表
面の肌荒れに基づく外観不良を生起し、さらには未延伸
のシート若しくはフィルムの延伸工程や延伸品の熱固定
工程においてゲル部分からのフィルム破断をも引起こし
易く、いずれにしても溶融押出加工のロングラン性とい
う点では、実用的なものではなかった。
さらに、従来のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化
物より得られる延伸フィルムは、耐屈曲ピンホール性が
劣るため、極めて限られた用途にしか用いることができ
なかった。
従来、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物延伸フ
ィルムの耐屈曲ピンホール性を補完するため、この延伸
フィルムに二軸延伸ナイロンフィルムなどをラミネート
したフィルム(例えば特開昭53−35778号公報)やエチ
レン−酢酸ビニル共重合体ケン化物とポリアミド系樹脂
とよりなる共押出し・共延伸フィルム(例えば特開昭59
−196246号公報)などが提案されているが、前者では、
製造コストが高いうえ、フィルムの全厚みが厚くなる等
の欠点があり、後者では、耐屈曲ピンホール性が不十分
であるという問題があった。
[発明が解決しようとする課題] 本発明は、かかる従来技術の欠点を解決しようとする
ものであって、溶融押出法による成形時にゲル等が発生
せず、長時間にわたり安定して成膜し供し得る熱可塑性
樹脂組成物から製せられる、透明で酸素ガスバリヤー性
および耐屈曲ピンホール性に優れる延伸フィルムを提供
することを目的とするものである。
[課題を解決するための手段] 本発明者等は、上記従来技術の問題点を解決すべく鋭
意研究を重ねた結果、特定のエチレン−酢酸ビニル共重
合体ケン化物(以下、「EVOH」と略称する。)に特定量
の変性ポリオレフィンを含有せしめた樹脂組成物が、溶
融押出に際しての加工安定性に優れ、透明でEVOHフィル
ムの有する耐油性および酸素ガスバリヤー性を損なわ
ず、優れた耐屈曲ピンホール性をも兼備えた延伸フィル
ムの製造に供し得るとの知見を得、本発明を完成したも
のである。
しかして、本発明の第1発明の要旨とするところは、
エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物に、ポリオレフ
ィン類に不飽和カルボン酸類をグラフト重合して得られ
た不飽和カルボン酸類含有率が0.01〜5重量%の変性ポ
リオレフィンを0.3〜5重量%含有せしめた熱可塑性樹
脂組成物からなり、少なくとも一軸方向に延伸されてな
ることを特徴とする熱可塑性樹脂延伸フィルムに存し、
さらに、本発明の第2発明の要旨とするところは、上記
の熱可塑性樹脂組成物とポリアミドを共押出して積層体
を形成し、該積層体を少なくとも一軸方向に延伸してな
ることを特徴とする熱可塑性樹脂延伸フィルムに存す
る。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いるEVOHは、エチレン−酢酸ビニル共重合
体の酢酸ビニル残基をケン化して製造され、通常に製膜
原料として用いられるものであれば特に制限されるもの
ではなく、溶融押出したシートの延伸性、得ようとする
延伸フィルムの酸素ガスバリヤー性等を勘案して、その
エチレン含有率、ケン化度に着目して選択すればよい。
本発明においては、エチレン含有率が20〜70モル%、好
ましくは25〜60モル%で、ケン化度が90モル%以上、好
ましくは95モル%以上のものを用いるのがよい。
エチレン含有率が25モル%未満であると、これを用い
た樹脂組成物の溶融押出性が劣り、着色し易く、20モル
%未満であると、この傾向が顕著になるからであり、一
方、60モル%を超えると、これを用いた樹脂組成物から
得られるフィルムの酸素ガスバリヤー性や印刷適正等の
特性が劣ったものとなり、70モル%を超えると、この傾
向が顕著になるからである。また、ケン化度が95モル%
未満であると、得られるフィルムの酸素ガスバリヤー性
や耐湿性が劣ったものとなり、90モル%未満であると、
この傾向が顕著になるからである。
また、本発明で用いるEVOHは、プロピレン、イソブテ
ン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等
のα−オレフィン類;不飽和カルボン酸またはその塩、
部分アルキルエステル、完全アルキルエステル、ニトリ
ル、アミド、無水物;不飽和スルホン酸またはその塩、
などの共重合可能なモノマー成分を少量含んだものであ
っても差支えない。
本発明で用いる変性ポリオレフィンは、ポリオレフィ
ン類に不飽和カルボン酸類をグラフト重合したものであ
り、ポリオレフィン類としては、高密度ポリエチレン、
低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン等のホモポリ
マーまたはこれらのホモポリマーを構成するモノマー成
分を共重合したコポリマーを例示することができるが、
これらの中では低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体が好ましく、また、これらのポリオレフィ
ン類にグラフト重合される不飽和カルボン酸としては、
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イ
タコン酸、シトラコン酸、またはこれらの無水物もしく
は金属塩、例えば無水マイレン酸、無水シトラコン酸、
無水イタコン酸、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カ
リウム、メタクリル酸カリウムなどを例示することがで
きるが、これらの中では無水マレイン酸が特に好まし
い。
本発明で用いる変性ポリオレフィンは、不飽和カルボ
ン酸の含有率が0.01〜5重量%の範囲のものが好まし
く、0.1〜3重量%の範囲のものが特に好ましい。不飽
和カルボン酸の含有率が0.1重量%以下である変性ポリ
オレフィンは、EVOHに対する均一混合性が劣り、また、
得られる樹脂組成物がヘイジーとなる傾向があり、不飽
和カルボン酸の含有率が0.01重量%以下である変性ポリ
オレフィンは、この傾向が一層顕著となるので好ましく
ない。また、不飽和カルボン酸の含有率が5重量%以上
である変性ポリオレフィンは高価で、ゲル発生防止効果
が同程度であるので、変性ポリオレフィンとしては、不
飽和カルボン酸含有率の上限が3〜5重量%、好ましく
は3重量%以下のものを用いるのがよい。
本発明で用いる変性ポリオレフィンは、上記例示のポ
リオレフィン類と不飽和カルボン酸類とを、溶融状態で
反応させる方法(例えば特公昭43−27421号公報)、溶
液状態で反応させる方法(例えば特公昭44−15422号公
報)、スラリー状態で反応させる方法(例えば特公昭43
−18144号公報)、気相状態で反応させる方法(例えば
特開昭50−77493号公報)等任意の方法で製造すること
ができる。
本発明に係る樹脂組成物は、前記EVOHに前記変性ポリ
オレフィンを0.3〜5重量%の範囲で含有せしめてなる
ことが必要であるが、0.5〜3重量%の範囲であるのが
好ましい。
変性ポリオレフィンの割合が0.5重量%未満である
と、溶融押出成形時にゲル発生の恐れがあり、0.3重量
%未満であるとゲルの発生を十分に防止できないからで
ある。また、3重量%を超えると、得られるフィルムが
ヘイジーとなって透明性が損なわれる傾向が現れ、5重
量%を超えるとこの傾向が顕著となる。従って、変性ポ
リオレフィンの上限割合は3〜5重量%の範囲内で、目
的に応じ選択すればよい。
本発明の樹脂組成物は、この組成物の基本的特性を損
なわない限度で、この組成物に各種の安定剤、フィラ
ー、染料・顔料、滑剤、ブロックング防止剤、少量の熱
可塑性樹脂等が添加することができる。
本発明の熱可塑性樹脂延伸フィルムは、上記樹脂組成
物を原料とし、少なくとも一軸方向に延伸され、必要に
応じ更に熱固定されてなるものである。
上記樹脂組成物から延伸フィルムを製造するには、こ
の原料樹脂組成物を従来公知の押出機を用いて溶融混練
し、押出機のT−ダイもしくはチューブラーダイから押
出し、得られたシート状、若しくはチューブ状の未延伸
シートを、ロール延伸による一軸延伸法、テンター方式
逐次二軸延伸法、またはテンター方式同時二軸延伸法、
若しくはチューブラー方式二軸延伸法等の従来公知の方
法により一軸方向または二軸方向に延伸し、必要に応じ
更に熱固定する方法を採用すればよい。
一軸延伸の場合には、未延伸シートの温度条件は45〜
100℃の範囲とし、延伸倍率は2〜8倍が好ましく、2.5
〜5倍が更に好ましい。延伸倍率が2倍未満であると、
延伸効果が不十分なためフィルムの強度が劣り、8倍を
超えると、延伸中にフィルムが破断し易いので好ましく
ない。
テンター方式逐次二軸延伸の場合には、未延伸シート
の温度条件を50〜75℃の範囲とし、ロール式縦延伸機に
よって縦方向に2〜5倍に延伸し、次いでテンター式横
延伸機によって60〜95℃の範囲内で横方向に2〜5倍に
延伸するのがよい。また、テンター方式同時二軸延伸、
チューブラー方式二軸延伸の場合には、未延伸シートの
温度条件を60〜100℃の範囲とし、縦方向横方向に2〜
5倍に延伸するのがよい。
上記の延伸フィルムは、更にこれを熱固定(熱処理)
することによって、寸法安定性を付与することができ
る。熱処理温度は、110℃を下限とし原料樹脂組成物の
融点より約5℃低い温度を上限とする条件範囲内から適
宜選択することができ、この熱処理温度の選択によっ
て、得られる延伸フィルムに常温寸法安定性を付与でき
ると共に、所望の熱水収縮率を付与することができる。
この様にして得られる本発明の延伸フィルムは、繰返
し屈曲テスト(ゲルボフレックステスト)を実行して
も、ピンホールは殆ど発生しない。また、その酸素透過
率は、変性ポリオレフィンを添加しない従来のEVOH二軸
延伸フィルムのそれと同等で、変性ポリオレフィンの添
加による酸素バリヤー性の低下は殆ど認められない。
また、上記本発明の樹脂組成物を溶融混練し、押出し
て成形したシートは、圧空成形、真空成形等の熱成形に
供することができ、本発明の樹脂組成物からは、酸素バ
リヤー性に優れ、高強度の成形品を得ることもできる。
本発明の前記熱可塑性樹脂組成物は、溶融時の安定性
に優れており、溶融押出法による成形時にゲル等が発生
しないのみならず、溶融状のポリアミドと接してもゲル
化することがないので、共押出法による積層延伸フィル
ムの製造に供することができ、この場合、高強度かつ耐
ピンホール性、ガスバリヤー性ともに優れた積層フィル
ムを長時間にわたり連続して安定的に生産することがで
きる。
本発明の積層延伸フィルムは、前記熱可塑性樹脂組成
物よりなる層(以下、「EVOH層」という。)の少なくと
も片面に、共押出しによるポリアミド層が積層されてな
り、少なくとも一軸方向に延伸されてなるものである。
本発明の積層延伸フィルムは、EVOH層の片面にポリア
ミド層が積層された2層構成のもの、EVOH層を中心層と
してその両面にポリアミド層が積層されたポリアミド/E
VOH/ポリアミドの3層構成のものは勿論、EVOH/ポリア
ミド/EVOHの3層構成、ポリアミド/EVOH/ポリアミド/EV
OH、EVOH/ポリアミド/EVOH/ポリアミドの4層構成……
等の各種の多層構成のものを包含する。
EVOH層の少なくとも片面に共押出しにより積層するこ
とのできるポリアミドとしては、一般的にはナイロン
6、ナイロン66、ナイロン12などを用いるが、これらに
限定されるものではなく、3員環以上のラクタムもしく
はω−アミノ酸の重縮合によって得られるポリアミド、
ジカルボン酸とジアミンよりなるナイロン塩の重合また
は共重合によって得られるポリアミド、更にはこれらの
均一な混合組成物も好適に用いることができる。
共押出しにより積層することのできる上記のポリアミ
ドの製造に用いる原料としては、 3員環以上のラクタム類:ε−カプロラクタム、エナ
ントラクタム、カプリルラクタム、ラウリルラクタム、
α−ピロリドン、α−ピペリドン、ω−アミノ酸類:6−
アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノ
ノナン酸、11−アミノウンデカン酸、 ジカルボン酸類:マロン酸、コハク酸、グルタル酸、
アジピン酸、ヒメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、
セバシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカンジオン酸、
トリデカンジオン酸、テトラデカンジオン酸、ヘキサデ
カンジオン酸、ヘキサデセンジオン酸、オクタデカンジ
オン酸、オクタデセンジオン酸、エイコサジオン酸、エ
イコセンジオン酸、ドコサンジオン酸、2,2,4−トリメ
チルアジピン酸のような脂肪族ジカルボン酸;1,4−シク
ロヘキサンジカルボン酸のような脂環式ジカルボン酸;
テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、キシリレンジ
カルボン酸のような芳香族ジカルボン酸、 ジアミン類:エチレンジアミン、トリメチレンジアミ
ン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミ
ン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミ
ン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、
デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ド
デカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン、ヘ
キサデカメチレンジアミン、オクタデカメチレンジアミ
ン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,2,4
−トリメチルヘキサメチレンジアミンのような脂肪族ジ
アミン酸;シクロヘキサジアミン、ビス−(4,4′アミ
ノヘキシル)メタンのような脂環式ジアミン、キシリレ
ンジアミンのような芳香族ジアミン、 を例示することができる。
また、共押出しによる積層するポリアミドは、目的に
応じて、各種の安定剤、顔料、染料、滑剤、ブロックン
グ防止剤、あるいは他の熱可塑性樹脂が配合されたもの
であってもよい。
本発明の積層延伸フィルムは、従来公知の共押出法に
よって所定の層構成を有する未延伸積層シートを調製
し、この未延伸シートを、ロール延伸による一軸延伸
法、テンター方式逐次二軸延伸法、またはテンター方式
同時二軸延伸法、若しくはチューブラー方式二軸延伸法
等の従来公知の方法により、一軸方向または二軸方向に
延伸し、必要に応じ更に熱固定することによって製造で
きる。
一軸延伸の場合には、未延伸積層シートの温度条件は
45〜100℃の範囲とし、延伸倍率は2〜8倍が好まし
く、2.5〜5倍が更に好ましい。延伸倍率が2倍未満で
あると、延伸効果が不十分なためフィルムの強度が劣
り、8倍を超えると、延伸中にフィルムが破断し易いの
で好ましくない。
テンター方式逐次二軸延伸の場合には、未延伸積層シ
ートの温度条件を45〜70℃の範囲とし、ロール式縦延伸
機によって縦方向に2〜5倍に延伸し、次いで60〜100
℃の温度条件でテンター式横延伸機によって横方向に2
〜5倍に延伸するのがよい。また、テンター方式同時二
軸延伸、チューブラー方式二軸延伸の場合には、未延伸
積層シートの温度条件を60〜100℃の範囲とし、縦方向
横方向に2〜5倍に延伸するのがよい。
上記の積層延伸フィルムは、更にこれを熱固定(熱処
理)することによって、寸法安定性を付与することがで
きる。熱処理温度は、130℃を下限とし原料樹脂組成物
の融点より約5℃低い温度を上限とする条件範囲内から
適宜選択することができ、この熱処理温度の選択によっ
て、得られる積層延伸フィルムに常温寸法安定性を付与
できると共に、所望の熱水収縮率を付与することができ
る。
この様にして得られる本発明の積層延伸フィルムは、
繰返し屈曲テスト(ゲルボフレックステスト)を実行し
ても、ピンホールは殆ど発生せず、EVOH層の厚みを薄く
しても高度の酸素バリヤー性を発揮する。
[発明の効果] 本発明は、次のように特別に顕著な効果を奏し、その
産業上の利用価値は極めて大である。
(1)本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、溶融押出法
による成形時にゲル等が発生せず、長時間にわたり安定
して成形に供し得る。
(2)本発明に係る熱可塑性樹脂延伸フィルムは、透明
性、強靱性等の機械的性質に優れ、高い酸素ガスバリヤ
ー性を有し、優れた耐屈曲ピンホール性を示す。
(3)本発明に係る積層延伸フィルムは、透明性、強靱
性等の機械的性質に優れ、高い酸素ガスバリヤー性およ
び優れた耐屈曲ピンホール性を有する。
[実施例] 次に、実施例および比較例を挙げて、本発明の熱可塑
性樹脂組成物およびこれから得られる熱可塑性樹脂延伸
フィルム、積層延伸フィルムを更に具体的に説明する。
なお、以下の例において、熱可塑性樹脂組成物の連続
加工性、および延伸フィルム、積層延伸フィルムの酸素
透過率および耐屈曲ピンホール性は、次の方法によって
評価した。
連続加工性:溶融押出し−延伸・熱固定の一貫した工
程において、押出機のトルクアップ、フィルム表面の荒
れやゲルの発生状況を観察し、異常なく連続生産が可能
な期間で評価した。
酸素透過率:モダンコントロール社製のオキシトラン
100型酸素透過率測定装置を用い、28℃、80%RHの条件
下における透過率(cc/m2、24hrs.atm.)を測定して評
価した。
耐屈曲ピンホール性:ゲルボフレックステスター(理
学工業(株)製、No.1型)を用い、米軍用規格MIL−B
−131Cに準拠した耐屈曲性テストを連続して200回繰返
した後、耐屈曲性テストを経たサンプルについて、ピン
ホールテスター(サンコー電子研究所製、TRD型)によ
り、1KVの電圧を印加してフィルム発生したピンホール
の数を計測して評価した。なお、耐屈曲性テストは、3.
5インチ直進中に440度回転させ、更に2.5インチ直進さ
せ、次に逆方向に直進させて元の位置に戻すまでの工程
を1回とし、この工程を23℃、50%RHの条件下において
連続して200回繰返し実施したものである。
実施例1 エチレン含有率32モル%、ケン化度98モル%のEVOH
(クラレ社製、商品名エバールEP−F)とエチレン−酢
酸ビニル共重合体に不飽和カルボン酸をグラフト重合し
た変性ポリオレフィン(三菱化成社製、ノバテックAX−
133E)とを、97重量部:3重量部の割合で混合した樹脂組
成物をコートハンガーT−ダイを備えた65mmφの押出機
に供給し、220℃の温度条件で溶融混練しつつシート状
に押出し、このシート状溶融物を25℃の温度条件に調節
した冷却ローラーで急冷して、厚さ約135μmの未延伸
シートを得た。次いで、この未延伸シートを60℃に加熱
昇温してロール式縦延伸機により縦方向に3倍に延伸し
た後、テンタークリップでその両端部を把持して80℃に
加熱昇温して横方向に3倍に延伸し、得られた二軸延伸
フィルムを更に160℃の温度条件下にて4秒間の熱固定
を行い、厚さ15μmのフィルムを製造した。
上記の条件で、連続して3週間のフィルム生産を行っ
たが、押出機のトルクアップ、フィルム表面の荒れやゲ
ルの発生は全く認められなかった。得られたフィルムの
表結果を、後記第1表に示す。
実施例2 65mmφの押出機3台を用い、共押出法により、エチレ
ン含有率32モル%、ケン化度98モル%のEVOH(クラレ社
製、商品名エバールEP−F)とエチレン−酢酸ビニル共
重合体に不飽和カルボン酸をグラフト重合した変性ポリ
オレフィン(三菱化成社製、ノバテックAX−133E)とを
97重量部:3重量部の割合で混合した樹脂組成物よりなる
厚さ45μmの層を中心層とし、この層の両面にナイロン
6(三菱化成社製、ノバミッド1022)の夫々の厚さ45μ
mの層を共押出しラミネートした3層構成の、全体の厚
さが135μmの未延伸積層シートを得た。次いで、この
未延伸シートを50℃に加熱昇温してロール式縦延伸機に
より縦方向に3倍に延伸した後、テンタークリップでそ
の両端部を把持して80℃に加熱昇温して横方向に3倍に
延伸し、得られた二軸延伸フィルムを更に190℃の温度
条件下にて4秒間の熱固定を行い、厚さ15μmの積層延
伸フィルムを製造した。
上記の条件で、連続して3週間のフィルム生産を行っ
たが、押出機のトルクアップ、フィルム表面の荒れやゲ
ルの発生は全く認められなかった。得られたフィルムの
評価結果を、後記第1表に示す。
比較例1 実施例1に記載の例において、同例において用いた変
性ポリオレフィン配合の原料樹脂を、エチレン含有率32
モル%、ケン化度98モル%のEVOH(クラレ社製、商品名
エバールEP−F)に変更したほかは同例におけると同様
にして、厚さ15μmの延伸フィルムを製造した。
しかしながら、製造開始1週間後には、1mmφ大のゲ
ルの発生が多くなり、延伸工程でのフィルムの破断も多
発するようになったので、この時点で製造を中止した。
得られたフィルムについての評価結果を、後記第1表
に示す。
比較例2〜3 次に示す2種類の市販EVOH二軸延伸フィルム(いずれ
も、エチレン含有率は32モル%)について酸素透過率お
よび耐屈曲ピンホール性の評価を行った。その結果を同
じく後記第1表に示す。
比較例2: エバールフィルムEF−XL、クラレ社製 比較例3: エクシードフィルムEX−S、大倉工業社製 第1表より、次のことが明らかである。
(1)本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、フィルム製
造時におけるゲル等の発生がなく、押出機のスクリーン
や成形ダイを閉塞することがないので、溶融押出しおよ
び延伸加工のロングラン性が極めて優れている。
(2)本発明に係る熱可塑性樹脂組成物を溶融混練し、
押出成形した未延伸シートより得られる二軸延伸フィル
ムは、高い酸素ガスバリヤー性を有すると共に、優れた
耐屈曲ピンホール性を示す。
(3)本発明の要件を満たさない樹脂組成物は、溶融押
出加工時の安定性が悪く、多量のゲル発生により押出機
の運転を阻害する。
(4)本発明に係る熱可塑性樹脂組成物よりなる層の両
面にポリアミド層を共押出法により積層した二軸延伸フ
ィルムは、高い酸素ガスバリヤー性と優れた耐屈曲ピン
ホール性を有する。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物
    に、ポリオレフィン類に不飽和カルボン酸類をグラフト
    重合して得られた不飽和カルボン酸類含有率が0.01〜5
    重量%の変性ポリオレフィンを0.3〜5重量%含有せし
    めた熱可塑性樹脂組成物からなり、少なくとも一軸方向
    に延伸されてなることを特徴とする熱可塑性樹脂延伸フ
    ィルム。
  2. 【請求項2】請求項(1)記載のフィルムであって、MI
    L−B−131Cに準拠した耐屈曲性テストにおけるピンホ
    ールの発生数が100個/m2以下である、熱可塑性樹脂延
    伸フィルム。
  3. 【請求項3】エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物
    に、ポリオレフィン類に不飽和カルボン酸類をグラフト
    重合して得られた不飽和カルボン酸類含有率が0.01〜5
    重量%の変性ポリオレフィンを0.3〜5重量%含有せし
    めた熱可塑性樹脂組成物とポリアミドとを共押出して積
    層体を形成し、該積層体を、少なくとも一軸方向に延伸
    してなることを特徴とする積層延伸フィルム。
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