JPH1024489A - 延伸多層ポリアミドフィルムの製造方法 - Google Patents

延伸多層ポリアミドフィルムの製造方法

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JPH1024489A
JPH1024489A JP8180406A JP18040696A JPH1024489A JP H1024489 A JPH1024489 A JP H1024489A JP 8180406 A JP8180406 A JP 8180406A JP 18040696 A JP18040696 A JP 18040696A JP H1024489 A JPH1024489 A JP H1024489A
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polyamide
weight
film
composition
resin layer
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Application number
JP8180406A
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English (en)
Inventor
Kenji Koyanagi
健治 小柳
Shunichi Kawakita
俊一 川北
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Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 強度、層間剥離強力、ガスバリヤー性、寸法
安定性、耐レトルト性に優れた延伸多層ポリアミドフィ
ルムを製造する。 【解決手段】 キシリレンジアミン成分と炭素数が4〜
12の脂肪族ジカルボン酸成分とから形成されたポリアミ
ド(a)に、変性ポリエチレン、タルクを含有させた組
成物からなる樹脂層(X)と、脂肪族ポリアミド(b)
に変性ポリエチレンを1〜5重量%含有させた組成物か
らなる樹脂層(Y)の中間に、ポリアミド(a)及び/
又は脂肪族ポリアミド(b)50〜20重量%と、非晶性ポ
リアミド(c)50〜80重量%とを含有する組成物からな
る樹脂層(Z)を有する多層シートを冷却ロールに密着
させて成形した後、該シートを40〜70℃に温調された湯
浴中に通過させ、140 〜 210℃に予熱し、次いで 160〜
220℃で同時二軸延伸する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた透明性、引
張強度、層間剥離強力、耐ピンホール性、ガスバリヤー
性、寸法安定性を有する耐レトルト性(熱水処理耐性)
に優れた包装用途に好適な延伸多層ポリアミドフィルム
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】食品、医薬品、雑貨等の包装には各種の
プラスチックフィルム製の包装袋が大量に使用されてお
り、通常、二軸延伸プラスチックフィルムをベースフィ
ルムとし、ヒートシール可能なシーラントフィルム(た
とえば無配向フィルム)をラミネートした積層フィルム
が用いられている。ベースフィルムとしては、透明性、
耐ピンホール性、ガスバリヤー性、寸法安定性、引張強
度などの性質が優れていることが求められ、また、シー
ラントフィルムとの間の層間剥離強力が優れていること
が必要である。しかし、最近の包装内容物の長期保存の
要求から、包装材料の品質向上が求められ、高度なガス
バリヤー性を付与するために、二軸延伸ポリアミドフィ
ルムの表面に塩化ビニリデン系重合体ラテックスをコー
トしたフィルムが幅広く用いられているが、熱水処理に
より白濁するという欠点がある。
【0003】また、アジピン酸とメタキシリレンジアミ
ンとから合成されるポリメタキシリレンアジパミド(以
下、MXD6という)を原料として用いたフィルムはガ
スバリヤー性に優れているが、耐ピンホール性が劣るた
め、他のポリアミド樹脂と混合したり、ポリアミド、ポ
リエステル、ポリオレフィンなどの樹脂層と共押出した
り、あるいは、ラミネートした多層フィルムとすること
が提案されている。
【0004】たとえば、MXD6と脂肪族ポリアミドと
の混合物から形成された二軸延伸フィルム(特開昭48-5
4176号公報)、MXD6と脂肪族ポリアミドをチューブ
ラ法により積層した二軸延伸フィルム(特開昭57-51427
号公報)、あるいは、MXD6と脂肪族ポリアミドとの
混合物よりなる表面層と、主としてMXD6よりなる中
間層を有する3層フィルム(特開昭56-155762 号公報)
などが提案されている。
【0005】しかしながら、MXD6と脂肪族ポリアミ
ドとの混合物から形成された二軸延伸フィルムにより、
ガスバリヤー性と耐ピンホール性を兼備させることは困
難であり、また、脂肪族ポリアミドとMXD6を積層し
た場合には、層間剥離し易い欠点があった。また、上記
の特開昭56-155762 号公報に記載された構成にした場合
でも、耐ピンホール性が不十分であり、層間剥離の問題
があった。
【0006】また、特に包装用途においては、フィルム
の縦及び横方向の物性は、できるだけ均等であることが
好ましく、たとえば、縦横の引張強度が不均一の場合に
は、包装袋に圧力や衝撃が加えられた場合に破袋した
り、熱水収縮率が不均一の場合には、内容物を充填した
包装袋を熱水処理した場合に袋が変形したり、破袋する
という問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記のよう
な欠点が解消され、優れた透明性、引張強度、層間剥離
強力、ガスバリヤー性、寸法安定性を有し、かつ、引張
強度や熱収縮率の縦及び横方向の物性の均一性に優れ
た、耐レトルト性を有する包装用途に好適な延伸多層ポ
リアミドフィルムの製造方法を提供しようとするもので
ある。具体的には、脂肪族系ポリアミド樹脂層とMXD
6樹脂層の間で層間剥離が生じることがなく、脂肪族系
ポリアミド樹脂層の優れた機械的性質、耐ピンホール
性、透明性に加え、MXD6樹脂層の耐熱性、ガスバリ
ヤー性を兼ね備えた包装用材料として好適な延伸多層ポ
リアミドフィルムの製造方法を提供しようとするもので
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の課
題を解決するために鋭意検討した結果、特定の成分から
なる組成物を積層した未延伸多層ポリアミドシートを、
特定の条件で延伸することによりこれらの課題を解決す
ることができることを見出し、本発明に到達した。
【0009】すなわち、本発明の要旨は次のとおりであ
る。下記組成物Aからなる樹脂層(X)と、組成物Bか
らなる樹脂層(Y)の中間に、組成物Cからなる樹脂層
(Z)を有する、少なくとも3層の延伸多層フィルムを
製造する方法において、押出機より押し出した未延伸シ
ートを冷却ロールに密着させて成形した後、該シートを
40〜70℃に温調された湯浴中に通過させ、水分率を3〜
7%に調整した後、140 〜 210℃に予熱し、次いで 160
〜 220℃で縦横それぞれ3〜4倍の延伸倍率で同時二軸
延伸することを特徴とする多層延伸ポリアミドフィルム
の製造方法。 組成物A:キシリレンジアミン成分と炭素数が4〜12の
脂肪族ジカルボン酸成分とから形成されたポリアミド
(a)に、下記の変性ポリエチレンを 0.5〜3重量%、
タルクを 0.01 〜 0.5重量%含有させた組成物。 組成物B:脂肪族ポリアミド(b)に、下記の変性ポリ
エチレンを1〜5重量%含有させた組成物。 組成物C:ポリアミド(a)及び/又は脂肪族ポリアミ
ド(b)50〜20重量%と、非晶性ポリアミド(c)50〜
80重量%とを含有する組成物。 変性ポリエチレン:エチレン95〜50重量%、不飽和ジカ
ルボン酸及び/又はその誘導体 0.1〜10重量%、不飽和
モノカルボン酸及び/又はその低級アルキルエステル誘
導体 4.9〜40重量%とからなる共重合体。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明におけるポリアミド(a)は、メタ及び/
又はパラキシリレンジアミンと炭素数が4〜12の脂肪族
ジカルボン酸とから重縮合反応によって得られたポリア
ミドであり、特に、メタキシリレンジアミンとアジピン
酸とから合成されるMXD6が好適である。
【0011】本発明における、脂肪族ポリアミド(b)
としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイ
ロン 610、ナイロン 612、ナイロン12、ナイロン11、及
びこれらの共重合ポリアミド、混合ポリアミド樹脂を挙
げることができ、特に、ナイロン6が好ましい。
【0012】非晶性ポリアミド(c)とは、結晶性がな
いものか、結晶性の乏しいものを総称しており特に制限
はないが、一般には、結晶化を阻害するような構造、す
なわち側鎖や環構造を有するモノマー成分を含有する重
合体である。このような重合体としては、テレフタル
酸、イソフタル酸などのジカルボン酸と、ヘキサメチレ
ンジアミン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル
−ジシクロヘキシレンメタン、4,4’−ジアミノ−ジ
シクロヘキシレンプロパン、イソフォロンジアミンなど
のジアミンとの反応により得られるポリアミド、あるい
は、上記成分にさらにラクタム成分や4,4’−ジフェ
ニルメタン−ジイソシアネートなどのイソシアネート成
分を共重合したポリアミドなどが挙げられる。
【0013】ポリアミド(a)と(b)は、一般に接着
性が良くなく、非晶性ポリアミドを配合した樹脂層
(Z)を中間層として積層することにより、(a)と
(b)からなる樹脂層の層間剥離強力が向上する。
【0014】ポリアミド樹脂層(Z)においては、ポリ
アミド(a)及び/又は脂肪族ポリアミド(b)50〜20
重量%に対して、非晶性ポリアミド(c)を50〜80重量
%配合することによって、層間剥離強力が向上する。非
晶性ポリアミド(c)が50重量%未満の場合、層間剥離
強力が充分でなく、80重量%を超えると熱水処理した際
に白濁しやすくなり好ましくない。
【0015】本発明における変性ポリエチレンは、エチ
レン95〜50重量%、3〜8個の炭素原子を有する不飽和
ジカルボン酸及び/又はその誘導体 0.1〜10重量%、不
飽和モノカルボン酸及び/又はその低級アルキルエステ
ル誘導体 4.9〜40重量%とからなるエチレン系三元共重
合体であり、メルトインデックスが 0.1〜60g/10分、好
ましくは1〜50g/10分のものが好適である。
【0016】不飽和ジカルボン酸及びその誘導体として
は、たとえば、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、
シトラコン酸、メサコン酸及びそれらの金属塩や酸無水
物などの誘導体が挙げられる。これらの中で、コストパ
フォーマンスなどの点から無水マレイン酸が最も好適で
ある。
【0017】また、不飽和モノカルボン酸及びその低級
アルキルエステル誘導体としては、アクリル酸、メタク
リル酸などや、メチルアクリレート、メチルメタクリレ
ート、エチルアクリレート、n −プロピルアクリレー
ト、イソプロピルアクリレート、n −ブチルアクリレー
ト、イソブチルアクリレート、t −ブチルアクリレート
などが挙げられるが、特に、n −ブチルアクリレートが
好適である。
【0018】樹脂層(X)及び樹脂層(Y)中の変性ポ
リエチレンの配合量は、樹脂層(Y)においては、1〜
5重量%、さらに好ましくは 1.5〜3重量%であり、1
重量%未満の場合には、耐ピンホール性の改良効果が不
十分であり、5重量%を超えて添加しても耐ピンホール
性の改良効果が飽和するばかりか、フィルムのヘーズが
損なわれたりして好ましくない。また、樹脂層(X)に
おける変性ポリエチレンの配合量は、 0.5〜3重量%、
好ましくは1〜2重量%であり、 0.5重量%未満では耐
ピンホール性の改良効果が不十分であり、3重量%を超
える場合には、酸素透過率が大きくなる傾向になる。
【0019】また、樹脂層(X)にタルクを 0.01 〜
0.5重量%、好ましくは0.05〜 0.3重量%添加すること
により、得られる延伸多層ポリアミドフィルムの強度を
向上させることができる。配合するタルクの量が 0.01
重量%未満では強度の改良効果が発現せず、 0.5重量%
を超えて添加しても強度の改良効果が飽和するばかり
か、フィルムのヘーズが損なわれたりして好ましくな
い。
【0020】本発明における延伸多層ポリアミドフィル
ムの構成は、X/Z/Yからなる少なくとも3層構成を
有することが必要であるが、用途や目的に応じて層の構
成は適宜変更すればよい。
【0021】代表的な層構成としては、得られる多層フ
ィルムの透明性、引張強度、ガスバリヤー性などの点か
ら、たとえば、Y/Z/X/Z/Yなどの5層構成の製
品は物性バランス上、特に好適である。
【0022】本発明の方法によって得られる多層延伸ポ
リアミドフィルムは、引張強度 23〜35kg/mm2、ピンホ
ール発生個数3以下、熱水収縮率 0.5〜3.5 %、ヘーズ
6%以下、酸素透過率6cc/atm/m2/日以下、層間剥離強
力270g/15mm 以上の各物性を有している。引張強度及び
熱水収縮率は、共にフィルムの縦方向と横方向の平均値
である。
【0023】引張強度が23kg/mm2より小さいと包装袋と
したときの強度が不足し、35kg/mm2を超えても過剰品質
となるばかりか、かえってフィルム製造時の操業性を悪
化させ、経済的に好ましくない。ピンホール発生個数が
3個を超えると包装袋としたときの強度が不足し、好ま
しくない。熱水収縮率が 3.5%を超えると包装袋を製造
する工程でのカールなどの問題が発生し、 0.5%未満と
しても過剰品質となるばかりか、かえってフィルム製造
時の操業性を悪化させ、経済的に好ましくない。
【0024】ヘーズが6%を超えると包装袋としたとき
の商品価値が低下し好ましくなく、酸素透過率が6cc/a
tm/m2/日より大きいと包装袋としての内容物の保護が不
十分となる。また、層間剥離強力が270g/15mm より小さ
いと包装袋としたときの層間剥離強度が不十分である。
なお、引張伸度は、通常 80 〜 130%(縦方向MDと横
方向TDの平均値)の範囲にあればよい。
【0025】本発明における未延伸多層ポリアミドシー
トの製造方法としては、各層を構成する各々の樹脂を別
々の押出機を用いて溶融し、フィードブロック法により
重ね合わせた後ダイスより押し出す方法、溶融した数種
の樹脂をマルチマニホールドダイス中で重ね合わせた後
押し出す方法、各樹脂層をラミネートにより貼り合わせ
る方法、及びこれらを組み合わせた方法などをとること
ができる。
【0026】本発明における多層フィルムの延伸方法と
しては、フラット式同時二軸延伸法、フラット式逐次二
軸延伸法、チューブラ法などの方法を用いることができ
るが、多層フィルムの厚みの均一性や、フィルムの縦及
び横方向の物性の均一性を得るためにはフラット式同時
二軸延伸法が最も好ましい。
【0027】ただし、未延伸多層ポリアミドシートを製
造するに際し、ダイスより押し出した樹脂を急冷する方
法としては、静電印加キャスト法は好ましくなく、エア
ーナイフキャスト法、すなわち、エアーナイフ装置から
空気を吹きつけることにより、溶融した樹脂を回転冷却
ロールに押しつけて冷却する方法が好ましい。この理由
は、本発明における多層ポリアミドシートにおいては、
樹脂層(X)と樹脂層(Y)の静電特性が異なるため、
静電印加キャスト法を用いた場合には、製膜斑が発生し
て操業性が低下し、製膜が困難になることがあるからで
ある。
【0028】次に、本発明におけるフラット式同時二軸
延伸法による延伸多層フィルムの製造方法の具体例につ
いて説明する。まず、3種5層共押出Tダイを用いて、
押出機(イ)よりナイロン6と変性ポリエチレンからな
る組成物を、押出機(ロ)よりMXD6と変性ポリエチ
レンとタルクからなる組成物を、押出機(ハ)よりナイ
ロン6と非晶性ポリアミドからなる組成物をそれぞれ23
0 〜280 ℃の温度範囲で、未延伸多層シートを押し出
し、室温以下に温度調節した冷却ドラム上に密着させて
急冷する。
【0029】次に、得られたシートを40〜70℃に温調さ
れた湯浴中に通過させ、水分率を3〜7%に調整した
後、140 〜 210℃に予熱し、次いで 160〜 220℃で縦横
それぞれ3〜4倍の延伸倍率で同時二軸延伸した後、横
方向に1〜5%弛緩処理した後、150 〜220 ℃で数秒間
熱処理を施し、所望の厚みの延伸多層フィルムを得るこ
とができる。
【0030】湯浴の温度が40℃より低いと、未延伸多層
シートを一定の水分率とするために要する含浸時間が長
くなり経済的でなく、70℃より高いと、含浸中にシート
が変形する。また、水分率が3%よりも低くても、7%
よりも高くても延伸性が低下する。また、予熱温度及び
延伸温度が上記の範囲を外れると、延伸斑が発生した
り、延伸時にフィルムが破断したりするので好ましくな
い。
【0031】延伸倍率は大きい方がフィルムの強度は高
くなるが、延伸安定性の面から縦横それぞれ3〜4倍程
度が好ましい。縦横の延伸倍率比は、引張強度などの縦
及び横方向のバランス上、等倍率が好ましいが、熱処理
工程での弛緩処理によるフィルムの横方向への収縮を考
慮し、横方向の延伸倍率を縦方向の 1.0〜1.2 倍程度と
するのが好ましい。
【0032】上記の範囲において製造条件を設定するこ
とにより、引張強度及び熱水収縮率の、縦方向と横方向
の差がそれぞれ10%以下及び70%以下の延伸多層フィル
ムを得ることができる。上記の引張強度及び熱水収縮率
の縦方向と横方向の差とは、縦方向と横方向の物性値の
差の絶対値を、縦方向と横方向の物性値の平均値で除し
た値をいう。引張強度及び熱水収縮率の、縦方向と横方
向の差がそれぞれ10%及び70%を超えると、包装袋に圧
力や衝撃が加えられた場合に袋が変形したり、破袋する
という問題が発生する。
【0033】本発明の方法で得られる延伸多層フィルム
を包装袋用として使用する場合には、通常、ヒートシー
ル性が付与され、また、用途によりガスバリアー性や機
械的強度をさらに高めるために、ポリプロピレン、ポリ
エチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエステ
ルなどのプラスチックフィルム、紙、アルミニウムなど
の金属箔と積層して用いられる。
【0034】本発明における延伸多層フィルムの厚みは
特に制限はないが、フレキシブルな包材として使用する
場合、300 μm 以下、通常、5〜50μm とするのが適当
である。
【0035】フィルムの生産性を向上させるため、通
常、シリカ、アルミナ、カオリン、炭酸カルシウムなど
の無機滑剤やエチレンビスステアリルアミドなどの有機
滑剤を添加してフィルム表面のスリップ性を向上させる
ことができる。
【0036】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。なお、実施例及び比較例の評価に用いた原料
及び測定法は、次のとおりである。
【0037】1.原料 (1) ナイロン6(N6);ユニチカ社製 A1030BRF (2) MXD6;三菱瓦斯化学社製 MXナイロン 6007
(相対粘度 2.64 ) (3) 非晶性ポリアミド;EMS社製 グリボリーXE30
38 テレフタル酸、イソフタル酸、ヘキサメチレンジアミ
ン、4,4 ’−ジアミノ−3,3 ’−ジメチル−ジシクロヘ
キシレンメタンの4元共重合体 (4) 変性ポリエチレン;日本ポリオレフィン社製 レク
スパール ET 183 B エチレン、n−ブチルアクリレート、無水マレイン酸の
3元共重合体 (5) タルク;林化成社製 UPNHS-T0.5
【0038】2.測定法 (1) 水分率 湯浴に含浸した未延伸多層シートから約 20gを秤量瓶に
採取精秤する。次に 120±2℃の定温乾燥機中で2時間
乾燥した後、塩化カルシウムデシケータ中で室温まで徐
冷した後の重量を精秤し、減量率(%)を求めた。 (2) 引張強度、伸度 幅10mm、長さ10cmの試料を用いてASTM-D882 に準じて測
定した。 (3) 熱水収縮率 幅10mm、長さ10cmの試料を沸騰水に30分間浸漬し、処理
前後の寸法変化を測定し、元の長さに対する百分率を求
めた。 (4) ヘーズ 東京電色社製全自動ヘーズメータ(TC−H3DPK )を用い
て、JIS K-6714に準拠し測定した。 ヘーズ(%)=〔Td(拡散透過率%)/Tt(全光線透過
率%)〕×100 (5) 耐ピンホール性 MIL-B ・131Fに示されるFed.Test Method Std. 101C の
Method 2017に従い、12インチ×8インチのサンプルを
直径3.5 インチの円筒状とし、両端を把持し、初期把持
間隔7インチ、最大屈曲時の把持間隔を1インチとし、
40回/分の速さで、いわゆるゲルボテスター(理学工業
社製)により、5℃で 1,000回屈曲を加えた後に生じた
ピンホール個数を数えた。 (6) 酸素透過率 Modern Control社製の OX-TRAN10-50Aを使用し、20℃、
65%RHの条件で測定した。(単位:cc/mm2/atm/ 日) (7) 層間剥離強力 幅15mmの延伸多層フィルム端部を界面で剥離した後、20
℃,65%RH雰囲気中で、島津製作所社製オートグラフを
用い、Tピール法にて剥離速度300mm/分の条件で剥離強
力を測定した。 (8) 熱水処理耐性 延伸多層フィルムに、ドライラミネート法により厚み60
μm の未延伸ポリプロピレンフィルム(東レ社製トレフ
ァンZK- 93K )をラミネートした後、3方ヒートシール
を行い縦14cm×横12cmの長方形の充填袋を製作した。次
に、この袋に水50mlを充填し、残る一方をヒートシール
した後、120 ℃×30分の熱水処理を施した後の袋の外観
を目視により観察した。
【0039】実施例1 3種5層共押出Tダイを用いて、押出機(イ)よりN6
に変性ポリエチレン2.0 重量%を混合したものを温度25
0 ℃で(Y層)、押出機(ロ)よりMXD6に変性ポリ
エチレン1.3 重量%及びタルク 0.2重量%を混合したも
のを温度 265℃で(X層)、押出機(ハ)よりN6に非
晶性ポリアミド70重量%を混合したものを温度 280℃で
(Z層)それぞれ溶融押し出しし、Y/Z/X/Z/Y
の順に積層したシートをダイスより押し出し、表面温度
18℃に温調した冷却ドラム上に密着させて急冷し、各層
の厚みがY/Z/X/Z/Y=45/5/50/5/45(μm )
で、合計の厚み 150μm の未延伸多層シートを得た。得
られたシートを60℃に温調した温水槽に送り、1.5 分間
の浸水処理を施し、水分率 4.7%に調整した。このシー
トの端部をテンター式同時二軸延伸機のクリップで把持
し、175 ℃で予熱した後、延伸温度190 ℃で、延伸倍率
が縦 3.0倍、横 3.3倍で同時二軸延伸した後、横方向の
弛緩率を5%として、210 ℃で4秒間の熱処理を施した
後、フィルムを冷却して巻取り、各層の厚みがそれぞ
れ、Y/Z/X/Z/Y=4.5/0.5/5.0/0.5/4.5 (μm
)の厚み15μm の延伸多層フィルムを得た。次いで、
得られた原反ロールをスリットし、各種のフィルム性能
を評価した結果を表1に示した。表1に示したように、
包装用フィルムとして良好な適性を有していた。
【0040】実施例2〜5 温水槽の温度、未延伸シートの水分率、予熱温度、延伸
温度をそれぞれ表1のように変更した以外は、実施例1
と同様にして延伸多層フィルムを得た。得られた延伸多
層フィルムを実施例1と同様に評価し、結果を表1に示
した。
【0041】比較例1 予熱温度を 215℃、延伸温度を 222℃とした以外は、実
施例1と同様にして延伸多層フィルムを得た。実施例1
と同様に評価し、結果を表1に示した。
【0042】比較例2 温水槽の温度を80℃とした以外は、実施例1と同様にし
て、浸水処理を行ったところ、移送中に未延伸シートが
変形し延伸することができなかった。
【0043】比較例3 未延伸多層シートを60℃に温調した温水槽に送り、0.5
分間浸水処理を施し、水分率を 2.4%に調整した以外
は、実施例1と同様にして延伸多層フィルムを得たが、
延伸斑が発生し平滑で厚み均一なフィルムを得ることは
できなかった。
【0044】比較例4 未延伸多層シートを60℃に温調した温水槽に送り、4分
間の浸水処理を施し、水分率を 7.5%に調整した以外
は、実施例1と同様に延伸を試みたが、フィルムが破断
し、安定して延伸することができなかった。
【0045】比較例5 予熱温度を 135℃、延伸温度を 155℃とした以外は実施
例1と同様にして未延伸多層フィルムの延伸を試みた
が、フィルムが破断し、安定して延伸することができな
かった。
【0046】比較例6 未延伸多層フィルムに浸水処理を施さない他は、実施例
1と同様にして未延伸多層フィルムの延伸を試みたが、
延伸斑が発生し、平滑で厚み均一なフィルムを得ること
はできなかった。なお、未延伸シートの水分率は 0.1%
であった。
【0047】
【表1】
【0048】
【発明の効果】本発明の方法によって得られる延伸多層
ポリアミドフィルムは、優れた透明性、引張強度、層間
剥離強力、ガスバリヤー性、寸法安定性を有し、レトル
ト用として用いた場合、加工性、経済性にも優れてお
り、産業上の利用価値は極めて高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B32B 7/02 B32B 7/02 27/34 27/34 C08K 3/00 KKQ C08K 3/00 KKQ C08L 77/00 LQS C08L 77/00 LQS LQW LQW //(C08L 77/00 23:08) B29K 77:00 B29L 7:00 9:00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記組成物Aからなる樹脂層(X)と、
    組成物Bからなる樹脂層(Y)の中間に、組成物Cから
    なる樹脂層(Z)を有する、少なくとも3層の延伸多層
    フィルムを製造する方法において、押出機より押し出し
    た未延伸多層シートを冷却ロールに密着させて成形した
    後、該シートを40〜70℃に温調された湯浴中に通過さ
    せ、水分率を3〜7%に調整した後、140 〜 210℃に予
    熱し、次いで 160〜 220℃で縦横それぞれ3〜4倍の延
    伸倍率で同時二軸延伸することを特徴とする延伸多層ポ
    リアミドフィルムの製造方法。 組成物A:キシリレンジアミン成分と炭素数が4〜12の
    脂肪族ジカルボン酸成分とから形成されたポリアミド
    (a)に、下記の変性ポリエチレンを 0.5〜3重量%、
    タルクを 0.01 〜 0.5重量%含有させた組成物。 組成物B:脂肪族ポリアミド(b)に、下記の変性ポリ
    エチレンを1〜5重量%含有させた組成物。 組成物C:ポリアミド(a)及び/又は脂肪族ポリアミ
    ド(b)50〜20重量%と、非晶性ポリアミド(c)50〜
    80重量%とを含有する組成物。 変性ポリエチレン:エチレン95〜50重量%、不飽和ジカ
    ルボン酸及び/又はその誘導体 0.1〜10重量%、不飽和
    モノカルボン酸及び/又はその低級アルキルエステル誘
    導体 4.9〜40重量%とからなる共重合体。
  2. 【請求項2】 引張強度及び熱水収縮率の、縦方向と横
    方向の差がそれぞれ10%以下及び70%以下である請求項
    1記載の延伸多層ポリアミドフィルムの製造方法。
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