JP2008080688A - ポリアミド延伸フィルムおよび製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ガスバリア性、耐ピンホール性、柔軟性、耐衝撃性に優れ、かつフィルム幅の変動と厚みムラの少ないポリアミド延伸フィルムを得る。
【解決手段】メタキシリレンジアミンと炭素数6〜12のα,ω−脂肪族ジカルボン酸を主原料として得られたポリアミド樹脂を主成分とする層、および脂肪族ポリアミド樹脂を主成分とする層からなる多層フィルムをロール/テンター式の逐次二軸延伸法で製造するに際し、縦延伸ロール温度、縦延伸後の冷却ロールの温度および横延伸温度を特定範囲に制御することを特徴とする二軸延伸フィルムの製造方法、ならびに該製造方法で得られる二軸延伸フィルム。
【選択図】 なし
【解決手段】メタキシリレンジアミンと炭素数6〜12のα,ω−脂肪族ジカルボン酸を主原料として得られたポリアミド樹脂を主成分とする層、および脂肪族ポリアミド樹脂を主成分とする層からなる多層フィルムをロール/テンター式の逐次二軸延伸法で製造するに際し、縦延伸ロール温度、縦延伸後の冷却ロールの温度および横延伸温度を特定範囲に制御することを特徴とする二軸延伸フィルムの製造方法、ならびに該製造方法で得られる二軸延伸フィルム。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ボイル処理やレトルト処理の可能な柔軟性、耐衝撃性、耐ピンホール性、透明性、ガスバリア性に優れたポリアミド延伸フィルムの製造方法に関する。
ガスバリア性を有する包装材料としては、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリアミド等をガスバリア層に利用した多層フィルムが使用されている。ポリアミドの中でも、メタキシリレンジアミンと炭素数6〜12のα,ω−脂肪族ジカルボン酸を重縮合して得られるメタキシリレン基含有ポリアミドは、他のガスバリア性樹脂に対して、ボイル処理やレトルト処理を行った場合、ガスバリア性の低下が少なく、また、ガスバリア性の回復も速いという特徴を有している。特に、炭素数6〜12のα,ω−脂肪族ジカルボン酸としてアジピン酸を用いたポリメタキシリレンアジパミド(以下ナイロンMXD6ということがある)は、この特徴を生かして最近包装分野での利用が進んでいる。
ナイロンMXD6は、無延伸状態では耐衝撃性、柔軟性、耐ピンホール性が低いという欠点がある一方、延伸することにより、耐衝撃性、柔軟性、耐ピンホール性がある程度改善できる。しかし、ナイロンMXD6単独では充分な改良は不可能であり、二種類のポリアミド系重合体を別々に溶融押出して、インフレーション法により積層二軸延伸フィルムを製造する方法が提案されている(特許文献1参照)。また、脂肪族ポリアミド重合体を主成分とした層の間に、芳香族ポリアミド重合体を主成分とした層を挟み込む構造の積層フィルムについても提案されている(特許文献2参照)。
これら二種類のポリアミドからなるフィルムの生産に関しては、添加剤を用いて物性を改善する方法(特許文献3〜10参照)が提案されている。しかし、これら二種類のポリアミドからなる多層構造体を延伸しようとすると、ナイロンMXD6と脂肪族ポリアミドのガラス転移温度が異なるため、それぞれの最適延伸条件が異なり、組み合わせた多層構造体の延伸が困難となる。特に、ガスバリア性、ピンホール性、柔軟性、耐衝撃性に優れたB層(脂肪族ポリアミド)/A層(ナイロンMXD6)/B層構成などのフィルムをロールで縦延伸する際には、縦延伸後のフィルム幅が変動し、次工程の横延伸時にチャックで掴めないトラブルや、得られたフィルムの厚みムラが大きくなるといったトラブルが発生し、安定生産できないという問題点がある。
特開昭57−51427号公報
特開昭56−155762号公報
特許第3021851号公報
特開平7−117198号公報
特開平7−276591号公報
特許第2666663号公報
特許第3021854号公報
特許第3074883号公報
特許第3136789号公報
特許第3395474号公報
本発明の目的は、上記実状に鑑み、ガスバリア性、耐ピンホール性、柔軟性、耐衝撃性に優れ、かつフィルム幅の変動と厚みムラの少ないポリアミド延伸フィルムを得ることである。
本発明者らは、ナイロンMXD6を主成分とする層と脂肪族ポリアミド樹脂を主成分とする層からなる多層構成のフィルムを製造するに際し、縦延伸ロール温度、縦延伸後の冷却ロールの温度および横延伸温度を特定範囲に制御することで、縦延伸後のフィルム幅変動を抑え、厚みムラが極めて少ない延伸フィルムが得られることを見いだし、本発明を完成させた。
即ち本発明は、ジアミンに由来する構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来するものであり、かつジカルボン酸に由来する構成単位の70モル%以上が炭素数6〜12のα,ω−脂肪族ジカルボン酸に由来するものであるポリアミド樹脂(X)を主成分とする層(A)、および脂肪族ポリアミド樹脂(Y)を主成分とする層(B)からなる未延伸積層フィルムをロール/テンター式の逐次二軸延伸法により延伸して二軸延伸フィルムを製造するに際し、80〜110℃のロールを用いて縦延伸を行い、縦延伸後の冷却ロールの温度を40〜80℃とし、ついで80〜160℃でテンター式横延伸することを特徴とする二軸延伸フィルムの製造方法、ならびに該製造方法で得られた、厚みムラが±1μm以内の二軸延伸フィルムに関するものである。
即ち本発明は、ジアミンに由来する構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来するものであり、かつジカルボン酸に由来する構成単位の70モル%以上が炭素数6〜12のα,ω−脂肪族ジカルボン酸に由来するものであるポリアミド樹脂(X)を主成分とする層(A)、および脂肪族ポリアミド樹脂(Y)を主成分とする層(B)からなる未延伸積層フィルムをロール/テンター式の逐次二軸延伸法により延伸して二軸延伸フィルムを製造するに際し、80〜110℃のロールを用いて縦延伸を行い、縦延伸後の冷却ロールの温度を40〜80℃とし、ついで80〜160℃でテンター式横延伸することを特徴とする二軸延伸フィルムの製造方法、ならびに該製造方法で得られた、厚みムラが±1μm以内の二軸延伸フィルムに関するものである。
本発明の二軸延伸フィルムの製造方法により、透明性、耐衝撃性、耐ピンホール性、ガスバリア性が優れており、しかも、ボイル処理或いはレトルト処理が可能な延伸フィルムを安定生産することができ、得られた延伸フィルムは、食品、医薬、工業薬品、化粧品類、インキ等の包装材料として好適に用いることが出来る。本発明の二軸延伸フィルムは、特にガスバリア性に優れるため、食品保存性に優れ、特に食品包装として好適に用いることができる。
本発明の二軸延伸フィルムは、少なくともポリアミド樹脂(X)を主成分とする層(A)と脂肪族ポリアミド樹脂(Y)を主成分とする層(B)の2層からなり、B/A/B、B/A、B/A/B/A/B、B/A/B/A 等の構成が可能であるが、これらに限定されるものではない。これらの中では、B/A/B構成が実用的で好ましい。
本発明で使用するポリアミド樹脂(X)は、ジアミンに由来する構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来するものであり、かつジカルボン酸に由来する構成単位の70モル%以上が炭素数6〜12のα,ω−脂肪族ジカルボン酸に由来するものである。ポリアミド樹脂(X)は、例えば、メタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分と、炭素数6〜12のα,ω−脂肪族ジカルボン酸を70モル%以上含むジカルボン酸成分とを使用し、これらを重縮合して得られる。メタキシリレンジアミンに由来する構成単位は、90モル%以上であるのが好ましく、100モル%であるのが更に好ましい。メタキシリレンジアミンに由来する構成単位が上記範囲内であることにより所定のガスバリア性を保持することが可能となる。
重縮合に際しては、メタキシリレンジアミン以外のジアミンとして、パラキシリレンジアミン、オルソキシリレンジアミン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、オルソフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン等を使用することができる。
又、炭素数6〜12のα,ω−脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位が70モル%以上であることによりポリアミド樹脂の実用的な物性を得ることが可能となる。炭素数6〜12のα,ω−脂肪族ジカルボン酸として、アジピン酸、セバシン酸等を挙げることができる。これらのジカルボン酸は、単独でも2種以上混合しても使用可能である。これらのなかでもポリアミド樹脂(X)のガスバリア性の観点から、ジカルボン酸成分としてアジピン酸を使用することが特に望ましい。炭素数6〜12のα,ω−脂肪族ジカルボン酸以外のジカルボン酸として芳香族カルボン酸等を用いることができ、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸等を例示することができる。
又、炭素数6〜12のα,ω−脂肪族ジカルボン酸に由来する構成単位が70モル%以上であることによりポリアミド樹脂の実用的な物性を得ることが可能となる。炭素数6〜12のα,ω−脂肪族ジカルボン酸として、アジピン酸、セバシン酸等を挙げることができる。これらのジカルボン酸は、単独でも2種以上混合しても使用可能である。これらのなかでもポリアミド樹脂(X)のガスバリア性の観点から、ジカルボン酸成分としてアジピン酸を使用することが特に望ましい。炭素数6〜12のα,ω−脂肪族ジカルボン酸以外のジカルボン酸として芳香族カルボン酸等を用いることができ、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸等を例示することができる。
脂肪族ポリアミド樹脂(Y)としては、アミド結合を持つ鎖状のポリアミドであればよく、具体例としては、ε−カプロラクタムの単独重合体、ポリヘキサメチレンアジバミド、および、ε−カプロラクタムまたはヘキサメチレンアジバミドを主成分とし、これと共重合可能な化合物2〜10モル%とからなる共重合体、等が挙げられる。ε−カプロラクタムまたはヘキサメチレンアジバミドと共重合可能な化合物としては、脂肪族ジアミン類と、脂肪族ジカルボン酸類とのナイロン塩が挙げられる。脂肪族ジアミン類の具体例としては、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン等が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸類の具体例としては、アジピン酸、セバシン酸、コルク酸、グルタール酸、アゼライン酸、β−メチルアジピン酸、デカメチレンジカルボン酸、ドデカメチレンジカルボン酸、ピメリン酸等が挙げられる。これら重合体の中では、ε−カプロラクタムの単独重合体であるナイロン−6、またはナイロン66と称されるポリヘキサメチレンアジバミドが、安価に入手でき、かつ、二軸延伸操作を円滑に遂行し得るので好ましい。更にこれらを共重合したナイロン6,66も好適に用いることができる。
本発明では、フィルムの切断端材を各層へリサイクルして用いることも可能である。テンター法での延伸では、ロールを用いて縦延伸した後、チャックやクリップでフィルムを掴んで横延伸を行う逐次延伸法が一般的であるが、チャックで掴んだ近辺は延伸されないので製品とはならず、スリッターでこの部分を切断するのが普通である。同時二軸延伸法でも同様であり、チャックやクリップでフィルムを掴んで同時に二軸延伸するが、チャックで掴んだ近辺は延伸されないので製品とはならず、スリッターでこの部分を切断するのが普通である。これらの耳トリムと呼ばれる部分を各層に再利用することができる。また、一般に延伸フィルムの製造に際しては、最初は低速でフィルムの生産を始め、次第に増速して通常の生産速度に持っていくが、この定常状態に至るまでのフィルムも製品とならないので、再利用の対象となる。装置で得られたフィルムの幅は、印刷やラミネートを行う際の数倍の幅であり、適当な幅に切断して用いるのが普通であるが、印刷やラミネート装置の幅、最終形態でのフィルム幅の関係で、この際に、どうしても切断した余りができてしまう。この余り分も再利用の対象となる。縦延伸工程、横延伸工程などでトラブルがあった場合、その前の工程でフィルムを巻取ながら対応することがあるが、その際の巻き取ったフィルムも再利用の対象となる。また、押出し開始時のパージ品なども再利用の対象となる。
ポリアミド樹脂(X)や脂肪族ポリアミド樹脂(Y)、得られるフィルム、切断端材等はいずれも吸湿性が大きく、吸湿した物を使用すると、原料を熱溶融し押出す際に、水蒸気やオリゴマーが発生し、フィルム化を阻害するので、吸湿しないように乾燥空気、或いは窒素中で保管、搬送するか、事前に乾燥して水分含有率を0.5重量%以下とするのが好ましい。
本発明の二軸延伸フィルムの厚さは、10μm以上40μm以下が好ましい。全体の厚さが、10μm未満のときは、酸素ガスバリア性と耐屈曲ピンホール性のバランスが悪く、耐摩耗性も悪いので包装用途として満足なフィルムは得られない。また、40μmを越えるときは、フィルムが硬くなり、更にシーラント層を張り合わせる場合には、フィルム全体が非常に厚くなり軟包装用途には適さなくなる。
本発明の二軸延伸フィルム中のポリアミド樹脂(X)を主成分とする層(A)の厚みは、複数ある場合は合わせて3〜20μmが適切である。これにより多層フィルムとしての酸素透過率が2〜15cc/m2・day・atmを達成することができる。層(A)の厚みがこれより薄いとバリア性が悪くなるし、厚いと耐ピンホール性、耐衝撃性、柔軟性が低下するので好ましくない。
本発明の二軸延伸フィルムの製品(耳トリム等を除いたもの)の厚みムラ(平均厚みに対する偏差)は±1μm以内が好ましい。厚みムラが±1μmを超えると、該延伸フィルムへの印刷工程でフィルムが蛇行したり、皺が入ったりして安定運転ができなくなったり、商品価値が無くなってしまうため好ましくない。また印刷したフィルムや無地のフィルムをシーラントとラミネートする際に、フィルムが蛇行したり、皺が入ったりして安定運転ができなくなったり、商品価値が無くなってしまうため好ましくない。
層(A)や層(B)には、耐衝撃性、耐ピンホール性、柔軟性を改善するため耐衝撃性改良材を加えても良い。耐衝撃性改良材としては、ポリオレフィン、ポリアミドエラストマー、スチレン-ブタジエン共重合樹脂の水素添加処理物、アイオノマー、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂の無水マレイン酸変性品、エチレンーメタクリル酸共重合樹脂、ナイロン12、エチレン−プロピレン共重合エラストマー、ポリエステルエラストマー等を添加する事ができる。耐衝撃性改良材の添加量は1〜10重量%が好ましく、1〜5重量%が更に好ましく、2〜3重量%が特に好ましい。添加量が多いと、透明性、ガスバリア性が低下する。添加量が少ないと、耐衝撃性、耐ピンホール性、柔軟性があまり改善されない。
層(A)や層(B)には滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、安定剤、染料、顔料、無機質微粒子、粘土鉱物等の各種添加剤を、フィルムの性質に影響を与えない範囲で、添加することができる。
本発明で得られる二軸延伸フィルムは、熱可塑性樹脂とラミネートして使用することができる。熱可塑性樹脂として使用可能な物としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、これらの共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体や変性ポリオレフィン樹脂及びこれらの混合物等を用いることが出来るがこれらの中でも低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、及びポリプロピレンが望ましい。
本発明にかかるフィルムは、以下の方法で逐次二軸延伸することにより製造することができる。
まず、原料のポリアミド樹脂(X)と脂肪族ポリアミド樹脂(Y)より、実質的に無定型で配向していない未延伸積層フィルムを製造する。該未延伸積層フィルムの厚みは、フィルムの用途や延伸倍率に応じて適宜選択されるが、通常は60〜1000μmの範囲である。共押出法による製造法は、上記原料を2〜3台の押出機により溶融し、フラットダイから押出した後、冷却することによりフラット状の未延伸積層フィルムとする。この際の冷却ロールの温度を30〜60℃とすることで、その後のロールを用いた縦延伸時のロールへの粘着、巻き付きを防止し、安定生産が可能となる。この冷却ロールの温度が30℃未満では、その後のロールを用いた縦延伸時のロールへの粘着、巻き付きが発生し、外観不良、物性低下が発生すると共に、安定生産ができなくなる。この冷却ロールの温度が60℃を超えるとポリアミド樹脂の結晶化が進み、その後のロールを用いた縦延伸時に延伸不良や白化が起こるので好ましくない。
次いで未延伸積層フィルムの縦延伸を行う。ロールを用いた縦延伸工程では、未延伸積層フィルムを80〜110℃のロールを用いて加熱し、縦軸方向に2.5〜5倍に延伸する。このロール温度が80℃未満では、加熱不足による延伸不良により、破断や外観不良が発生するため好ましくない。このロール温度が110℃を超えると結晶化が進行し延伸不良や白化が起こるので好ましくない。縦延伸の倍率が2.5倍未満では機械物性が低下するし、5倍を超えると破断や白化、外観不良が発生するため好ましくない。
通常ロールで縦延伸を行う場合は、加熱ロールとゴム製のニップロールでフィルムを挟み、この部分は低速で回転させ、この後に設置された冷却ロールとゴム製のニップロールでフィルムを挟み、この部分は高速で回転させることで延伸を行う。この回転数の差が延伸倍率となる。この高速側の冷却ロールの温度を40〜80℃に制御することで幅変動を防止する事ができる。この冷却ロールの温度が、40℃未満では縦延伸後のフィルム幅が変動し、次工程の横延伸でのチャックでフィルムが掴めなくなり、延伸不良が発生するので好ましくない。この冷却ロールの温度が80℃を超えると、冷却ロールへの粘着や巻き付きが発生し、外観不良や破断トラブルを起こすので好ましくない。
縦延伸後のフィルムは、続いてテンター式横延伸機によって80〜160℃の温度範囲内で横軸方向に2.5〜5倍に延伸することにより製造することができる。横延伸温度が80℃未満では、加熱不足による延伸不良により、破断や外観不良が発生するため好ましくない。この横延伸温度が160℃を超えると結晶化が進行し延伸不良や白化が起こるので好ましくない。横延伸の倍率が2.5倍未満では機械物性が低下するし、5倍を超えると破断や白化、外観不良が発生するため好ましくない。
上記方法により延伸されたフィルムは、その後、熱処理を施すことが好ましい。熱処理を施すことにより、寸法安定性の優れた延伸フィルムを得ることができる。熱処理温度は、110℃を下限として構成成分のなかで融点の最も低い物の融点より5℃低い温度を上限とする範囲を選択することにより、寸法安定性の優れた延伸フィルムのほかに任意の熱収縮率を持った延伸フィルムも得ることができる。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明の特徴を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
なお、本実施例及び比較例において、以下に示す測定法及び評価法を採用した。
(1)くもり価
測定は、ASTM D1003に準じて23℃、相対湿度60%にて行った。
使用した測定機器は、日本電色工業(株)製、差・濁度測定器(型式:COH−300A)である。また、同様に121℃で30分レトルト処理した後のくもり価も測定した。
(2)酸素透過率
測定は、ASTM D3985に準じて行った。
使用した測定機器は、モダンコントロールズ社製、酸素透過率測定装置(型式:OX−TRAN 10/50A)であり、測定条件は、23℃、相対湿度60%である。
(3)衝撃穴あけ強度
測定は、ASTM D781に準じて行った。
使用した測定機器は、東測精密工業(株)製、フィルムインパクト試験機(型式:ITF−60)であり、測定条件は、23℃、相対湿度50%である。
(4)柔軟性試験(耐ピンホール性試験)
使用した測定機器は、理学工業(株)製、ゲルボーフレックステスターであり、測定条件は、23℃、相対湿度50%である。所定回数(500回)の屈曲を行い、ピンホールテスターでピンホールの個数/624cm2当たり を数えた。
(5)引張強度試験
測定は、ASTM D882 に準じて行った。
使用した測定機器は、東洋精機(株)製 ストログラフ V1-Cであり、測定条件は、23℃、相対湿度50%である。
(6)厚み測定
以下の厚み測定機を使用して多層構成の各層の厚みを測定した。
測定機器:グンゼ製 多層膜厚測定装置 DC-8200
なお、本実施例及び比較例において、以下に示す測定法及び評価法を採用した。
(1)くもり価
測定は、ASTM D1003に準じて23℃、相対湿度60%にて行った。
使用した測定機器は、日本電色工業(株)製、差・濁度測定器(型式:COH−300A)である。また、同様に121℃で30分レトルト処理した後のくもり価も測定した。
(2)酸素透過率
測定は、ASTM D3985に準じて行った。
使用した測定機器は、モダンコントロールズ社製、酸素透過率測定装置(型式:OX−TRAN 10/50A)であり、測定条件は、23℃、相対湿度60%である。
(3)衝撃穴あけ強度
測定は、ASTM D781に準じて行った。
使用した測定機器は、東測精密工業(株)製、フィルムインパクト試験機(型式:ITF−60)であり、測定条件は、23℃、相対湿度50%である。
(4)柔軟性試験(耐ピンホール性試験)
使用した測定機器は、理学工業(株)製、ゲルボーフレックステスターであり、測定条件は、23℃、相対湿度50%である。所定回数(500回)の屈曲を行い、ピンホールテスターでピンホールの個数/624cm2当たり を数えた。
(5)引張強度試験
測定は、ASTM D882 に準じて行った。
使用した測定機器は、東洋精機(株)製 ストログラフ V1-Cであり、測定条件は、23℃、相対湿度50%である。
(6)厚み測定
以下の厚み測定機を使用して多層構成の各層の厚みを測定した。
測定機器:グンゼ製 多層膜厚測定装置 DC-8200
<実施例1>
ナイロンMXD6(ポリアミド樹脂(X)に相当。三菱ガス化学(株)製、商品名:MXナイロン6011。ジアミンに由来する構成単位はメタキシリレンジアミン由来で、ジカルボン酸に由来する構成単位は炭素数6のアジピン酸由来。)、ポリ−ε−カプロアミド(宇部興産(株)社製、ウベナイロン1022FDX04)(脂肪族ポリアミド(Y))を、65mmφ押出機3台を使用して別々に溶融させ、Tダイ内で積層させて3層構造(Y/X/Y)の積層フィルムとして押出し、30℃のキャストロールにピニング装置を用いて密着急冷し、Y/X/Y=50/50/50μmの多層原反フィルム(未延伸積層フィルム)を得た。得られた未延伸積層フィルムを、ロール式延伸機にて低速側の加熱ロール温度85℃、高速側の冷却ロール温度50℃で、縦軸方向に3倍延伸し、ついでこのフィルムの端部をテンタークリップで保持し、テンターオーブン内で、100〜120℃の条件下で、横軸方向に3.3倍に延伸した後、215℃で10秒間の熱固定処理を行った。得られた延伸フィルムの評価結果を表1に示した。
ナイロンMXD6(ポリアミド樹脂(X)に相当。三菱ガス化学(株)製、商品名:MXナイロン6011。ジアミンに由来する構成単位はメタキシリレンジアミン由来で、ジカルボン酸に由来する構成単位は炭素数6のアジピン酸由来。)、ポリ−ε−カプロアミド(宇部興産(株)社製、ウベナイロン1022FDX04)(脂肪族ポリアミド(Y))を、65mmφ押出機3台を使用して別々に溶融させ、Tダイ内で積層させて3層構造(Y/X/Y)の積層フィルムとして押出し、30℃のキャストロールにピニング装置を用いて密着急冷し、Y/X/Y=50/50/50μmの多層原反フィルム(未延伸積層フィルム)を得た。得られた未延伸積層フィルムを、ロール式延伸機にて低速側の加熱ロール温度85℃、高速側の冷却ロール温度50℃で、縦軸方向に3倍延伸し、ついでこのフィルムの端部をテンタークリップで保持し、テンターオーブン内で、100〜120℃の条件下で、横軸方向に3.3倍に延伸した後、215℃で10秒間の熱固定処理を行った。得られた延伸フィルムの評価結果を表1に示した。
<実施例2>
実施例1において、キャストロールの温度を40℃、ロール式延伸機にて低速側の加熱ロール温度90℃、高速側の冷却ロール温度40℃とした他は実施例1と同様にしてフィルムを生産し、製品延伸フィルムを得た。得られた延伸フィルムの評価結果を表1に示した。
実施例1において、キャストロールの温度を40℃、ロール式延伸機にて低速側の加熱ロール温度90℃、高速側の冷却ロール温度40℃とした他は実施例1と同様にしてフィルムを生産し、製品延伸フィルムを得た。得られた延伸フィルムの評価結果を表1に示した。
<比較例1>
実施例1において、ロール式延伸機にて低速側の加熱ロール温度85℃、高速側の冷却ロール温度20℃とした他は実施例1と同様にしてフィルムを生産しようとしたが、縦延伸後のフィルム幅が55cm〜65cmで変動し、次工程の横延伸槽入り口のチャックでフィルムを安定してクリップすることができず、製品延伸フィルムが連続的に得られなかった。結果を表2に示した。
実施例1において、ロール式延伸機にて低速側の加熱ロール温度85℃、高速側の冷却ロール温度20℃とした他は実施例1と同様にしてフィルムを生産しようとしたが、縦延伸後のフィルム幅が55cm〜65cmで変動し、次工程の横延伸槽入り口のチャックでフィルムを安定してクリップすることができず、製品延伸フィルムが連続的に得られなかった。結果を表2に示した。
<比較例2>
実施例1において、キャストロールの温度を30℃、縦延伸のロール温度を60℃とした他は実施例1と同様にしてフィルムを生産し、製品延伸フィルムを得た。生産中に縦延伸ロールへの粘着は発生しなかったが、縦延伸温度が低いため延伸不良が発生し、フィルムの外観不良、厚みムラが発生した。得られた延伸フィルムの評価結果を表2に示した。
実施例1において、キャストロールの温度を30℃、縦延伸のロール温度を60℃とした他は実施例1と同様にしてフィルムを生産し、製品延伸フィルムを得た。生産中に縦延伸ロールへの粘着は発生しなかったが、縦延伸温度が低いため延伸不良が発生し、フィルムの外観不良、厚みムラが発生した。得られた延伸フィルムの評価結果を表2に示した。
Claims (3)
- ジアミンに由来する構成単位の70モル%以上がメタキシリレンジアミンに由来するものであり、かつジカルボン酸に由来する構成単位の70モル%以上が炭素数6〜12のα,ω−脂肪族ジカルボン酸に由来するものであるポリアミド樹脂(X)を主成分とする層(A)、および脂肪族ポリアミド樹脂(Y)を主成分とする層(B)からなる未延伸積層フィルムをロール/テンター式の逐次二軸延伸法により延伸して二軸延伸フィルムを製造するに際し、80〜110℃のロールを用いて縦延伸を行い、縦延伸後の冷却ロールの温度を40〜80℃とし、ついで80〜160℃でテンター式横延伸することを特徴とする二軸延伸フィルムの製造方法。
- 前記未延伸積層フィルムの層構成が、層(B)/層(A)/層(B)である請求項1に記載の製造方法。
- 請求項1または2に記載の製造方法で得られた、厚みムラが±1μm以内の二軸延伸フィルム。
Priority Applications (6)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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