JP5773564B2 - 表面処理ポリアミド系積層フィルム及びその製造方法 - Google Patents

表面処理ポリアミド系積層フィルム及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、優れた湿潤時のラミネート強度、ガスバリア性を有すると共に、低熱水収縮性や厚み精度にも優れた特性を有し、例えば食品、薬品、工業製品等の包装袋の基材フィルムとして好適に使用できる、表面処理ポリアミド系積層フィルム及び、表面処理ポリアミド系ラミネートフィルム、またその製造方法に関する。
ナイロン6等のポリアミド樹脂を主体とするフィルムや、ポリアミド樹脂を層構成とする積層フィルムは引張強度、衝撃強度に優れていることから、これらのポリアミド系フィルムを食品、薬品等を包装するための包装袋に二次加工して、様々な形態で製造・販売されている。
近年、消費者の利便性、賞味期限の延長、保存性の向上の観点から、レトルト殺菌への適応が重要になっている。通常、このような用途にポリアミド系フィルムを使用する場合、(多くの場合は印刷をしたのち、)シーラントフィルムやその他のフィルムとラミネートしてラミネートフィルムを作製し、そのラミネートフィルムのシーラント層同士をヒートシールして袋状にし、さらに内容物を充填した後に開口部をヒートシールすることにより密閉し、容器として使用される。また、内容物を充填後高温でレトルト滅菌処理をすることで、内容物の賞味期限を延長したり、風味を保つ方法が行われる。しかし、レトルト処理中には内圧が高くなるため、ラミネート強度が劣るフィルムを用いた包装袋をレトルト処理する場合、破袋やデラミ等のトラブルがしばしば発生する。
そこでナイロン等の機能性樹脂フィルムとシーラント等からなる複合フィルムを袋状にした容器で、内容物を充填後高温でレトルト滅菌処理する際に、破袋やデラミ等の不良が発生しない包装材が求められている。このような包装材に用いられる機能性樹脂フィルムに要求される特性としては、強度やガスバリア性等の基本特性に加え、デラミ発生を防ぐ為に高いラミネート強度が挙げられる。
ここで、例えば特許文献1では、ポリアミドフィルムの、ナイロン等の機能性樹脂フィルム自体に高いラミネート強度を付与する手段として、フィルム表層の樹脂の配向を制御する方法がある。しかし、この場合、フィルム表面の凝集剥離によるデラミを防ぐことが目的であり、接着剤とフィルムの密着力を向上させる訳ではないため、実質的なラミネート強度が向上している訳ではない。
また、その他の方法として、例えば特許文献2では、ポリアミドフィルムの、表面処理を二回以上行うことにより処理を均一に行うことで、処理ムラにより印刷抜け等のトラブルを防ぐ方法が提案されている。しかし、均一に処理されたことで処置ムラによる印刷抜け、ラミネート強度の低下を防ぐことは出来るが、ラミネート強度自体を向上させる訳ではないため根本的な解決に至っていない。
また、特許文献3では、窒素原子によりフィルム表面の処理を行うことにより、接着剤層を介すことなくフィルム同士を接着する方法が記載されている。しかし、この方法では湿潤時のラミネート強度は2.0N/15mm以上と低く、レトルト処理等の高い湿潤時のラミネート強度が必要な用途には使用出来ない。
特開平9−239930 特開2008−297416 特開2007−307771
そこで、本発明は、引張強度、衝撃強度等の機械的強度に優れると共に、高い湿潤時のラミネート強度及びガスバリア性に優れた表面処理ポリアミド系積層フィルム及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、このような現状に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、従来の問題点を解消できるポリアミド系フィルムを見出した。
即ち、本発明は、以下の表面処理ポリアミド系積層フィルム及びその製造方法を提供するものである。
1.脂肪族ポリアミド樹脂(A)を主成分とする(a)層、芳香族ポリアミド樹脂(B)を90〜99.9質量%と耐屈曲ピンホール性改良材を0.1〜10質量%含有する(b)層、及び脂肪族ポリアミド樹脂(A)を65〜90質量%と芳香族ポリアミド樹脂(B)を10〜35質量%含有する(c)層を有し、(a)/(c)/(b)/(c)/(a)の積層構造を有し、延伸後の(b)層の厚みはフィルム全体の40%以下であり、かつ、2〜7μmであるポリアミド系樹脂積層フィルムにおいて、MD、TDともに2.4倍以上の延伸倍率でテンター式逐次二軸延伸法により延伸する工程の後、200℃以上、且つ前記脂肪族ポリアミド樹脂(A)の補外融解開始温度(JIS K 7121に準拠して測定)より10℃高い温度以下で熱固定を行う工程を経て、フィルムの少なくとも一方の表面に、不活性ガス濃度99%以上、活性ガス濃度1%以下の雰囲気下での放電処理による表面処理が行われた表面処理面の湿潤時のラミネート強度が4.9N/15mm以上、且つ、25℃×50%RHの条件下における酸素透過率が80fmol/(m2・sec・Pa)以下であることを特徴とする表面処理ポリアミド系積層フィルム。
2.前記脂肪族ポリアミド樹脂(A)がナイロン6、前記芳香族ポリアミド樹脂(B)がポリメタキシリレンアジパミドである上記1に記載の表面処理ポリアミド系積層フィルム
.前記不活性ガスが窒素である上記1または2に記載の表面処理ポリアミド系フィルム。
.95℃×5分におけるフィルムの流れ方向(MD)の熱水収縮率が3.0%以下、且つ、フィルムの幅方向(TD)の厚み変動率が平均厚みの10%以下である上記1からのいずれか1つに記載の表面処理ポリアミド系積層フィルム。
.表面処理時の雰囲気が、不活性ガス濃度99%以上、活性ガス濃度1%以下、反応性ガス濃度1%以下ある上記1からのいずれか1つに記載の表面処理ポリアミド系積層フィルム。
.上記1からのいずれか1つに記載の表面処理ポリアミド系積層フィルムにおける前記表面処理面が、樹脂積層体の少なくともいずれか一方の表面を構成するよう配置された多層構造からなる表面処理ポリアミド系積層フィルム。
.上記1からのいずれか1つに記載の表面処理ポリアミド系積層フィルムの前記表面処理面に、シーラントフィルムをラミネートしてなることを特徴とする表面処理ポリアミド系ラミネートフィルム。
.上記記載の表面処理ポリアミド系ラミネートフィルムからなる袋体。
.内容物充填後高温レトルト滅菌処理を行う上記に記載の袋体。
10.脂肪族ポリアミド樹脂(A)を主成分とする(a)層、芳香族ポリアミド樹脂(B)を90〜99.9質量%と耐屈曲ピンホール性改良材を0.1〜10質量%含有する(b)層、及び脂肪族ポリアミド樹脂(A)を65〜90質量%と芳香族ポリアミド樹脂(B)を10〜35質量%含有する(c)層を有し、(a)/(c)/(b)/(c)/(a)の積層構造を有し、延伸後の(b)層の厚みはフィルム全体の40%以下であり、かつ、2〜7μmであるポリアミド系樹脂積層フィルムの少なくとも一方の表面が表面処理されている表面処理ポリアミド系積層フィルムの製造方法であって、フラットダイから押出された未延伸フィルムをMD、TDともに2.4倍以上の延伸倍率でテンター式逐次二軸延伸法により延伸する工程の後、200℃以上、且つ前記脂肪族ポリアミド樹脂(A)の補外融解開始温度(JIS K 7121に準拠して測定)より10℃高い温度以下で熱固定を行う工程を経て、フィルムの少なくとも一方の表面に、不活性ガス濃度99%以上、活性ガス濃度1%以下の雰囲気下での放電処理による表面処理を行う工程を有することを特徴とする表面処理ポリアミド系積層フィルムの製造方法。
本発明によれば、引張強度、衝撃強度等の機械的強度に優れると共に、高い湿潤時のラミネート強度、ガスバリア性を有する表面処理ポリアミド系積層フィルム、さらには低熱水収縮性や厚み精度にも優れた特性を備えた表面処理ポリアミド系積層フィルム及びその製造方法が提供できる。
以下、本発明を詳しく説明するが、本発明の範囲は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
まず、本発明の表面処理ポリアミド系積層フィルムは、(a)層と(b)層とをそれぞれ少なくとも一層有する積層フィルムである。
ここで、層構成としては、(a)/(b)の2層構成、(a)/(b)/(a)、(b)/(a)/(b)の3層構成、さらに、後述する接着層である(c)層を有する(a)/(c)/(b)/(c)/(a)、(b)/(c)/(a)/(c)/(b)等の5層構成などが挙げられるが、積層フィルムの生産性や袋体へのラミネートなどの二次加工性の点等から(a)/(b)/(a)の3層構成、(a)/(c)/(b)/(c)/(a)の5層構成が好適に用いられる。
本発明の表面処理ポリアミド系積層フィルム全体の厚さは、酸素ガスバリア性と耐ピンホール性のバランスなど、軟包装用途に適するなどの点から10〜50μmとすることが包装用途として充分なフィルムを得るうえで好ましい。
前記(a)層及び(b)層((c)層を有する場合(c)層を含む)の合計含有率は、フィルム全体の50%以上とすることが好ましい。
(a)層は機械強度を保持するために、フィルム全体の40%以上、かつ、6μm以上、であることが好ましい。(a)層が積層フィルム中に2層以上構成される場合には、その合計厚みが上記範囲内にあることが好ましい。そのばあいさらに、3μm以上の(a)層が少なくとも1層含まれていることが好ましい。
(b)層はフィルム全体の40%以下、かつ、2〜7μmとすることが好ましい。より好ましくは3〜6μmである。ここで、(b)層が積層フィルム中に2層以上構成される場合には、その合計厚みが上記範囲内にあることが好ましい。
ここで、(b)層の厚みが2μm以上であれば、25℃×50%RHの条件下における酸素透過率が80fmol/(m2・sec・Pa)以下が達成されるため好ましい。また、(b)層の厚みがフィルム全体の40%以下、かつ、7μm以下であれば、機械強度が良好であるため好ましい。
前記(a)層は、脂肪族ポリアミド樹脂(A)を主成分とする層であって、脂肪族ポリアミド樹脂(A)を65〜100質量%、芳香族ポリアミド樹脂(B)を0〜35質量%とする脂肪族ポリアミド樹脂(A)と芳香族ポリアミド樹脂(B)との混合物を用いることが好ましい。芳香族ポリアミド樹脂(B)がこの範囲内であれば、得られるフィルムの衝撃強度の大幅な低下を抑えることができる。
ここで、脂肪族ポリアミド樹脂(A)と芳香族ポリアミド樹脂(B)の混合物は、原料樹脂(ペレットなど)同士を混合したものや、これらに本発明のポリアミド系フィルムを製造する際に発生する規格外フィルムや切断端材(耳トリム)を混合したものであってもよい。
また、前記(b)層は、芳香族ポリアミド樹脂(B)を主成分とする層であって、芳香族ポリアミド樹脂(B)の含有割合は90〜100質量%であることが好ましい。芳香族ポリアミド樹脂(B)が90質量%以上であればフィルムに十分なガスバリア性を付与することができる。ここで、(b)層には少量(10質量%程度以下)の脂肪族ポリアミド樹脂(A)や耐屈曲ピンホール性改良材が含まれていてもよい。
本発明の表面処理ポリアミド系積層フィルムに用いられる脂肪族ポリアミド樹脂(A)としては、特に制限はないが、環状ラクタムの開環重合物、アミノカルボン酸の重縮合物、ジカルボン酸とジアミンとの重縮合物などが挙げられる。具体的には、ナイロン6と称されるε−カプロラクタムの単独重合体、あるいはナイロン66と称されるポリヘキサメチレンアジパミド等が安価に入手でき、かつ、延伸操作を円滑に遂行し得る点から好ましい。
また、芳香族ポリアミド樹脂(B)としては、特に制限はないが、キシリレンジアミンと炭素数が6〜12のα,ω脂肪族ジカルボン酸とからなるポリアミド構成単位を分子鎖中に70モル%以上含有している樹脂等が使用できる。具体的には、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリメタキシリレンピメラミド、ポリメタキシリレンアゼラミド、ポリパラキシリレンアゼラミド、ポリパラキシリレンデカナミドなどの単独重合体、メタキシリレン/パラキシリレンアジパミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンピメラミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンアゼラミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンセパカミド共重合体などの共重合体が挙げられるが、ポリメタキシリレンアジパミド(以下、「MXD6」という)が強度やガスバリア性等の基本特性に優れ、工業的にも比較的入手し易い点から好ましい。
前記(A)及び(B)以外のポリアミド構成成分としては、ジアミン類とジカルボン酸類とのナイロン塩およびε−カプロラクタムなどのラクタム類、ε−アミノカルボン酸などのω−アミノカルボン酸類等が挙げられ、これらを本発明の表面処理ポリアミド系積層フィルムに含有することができる。
ナイロン塩の成分であるジアミン類には、ヘキサメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン、ピペラジンビスプロピルアミン、ネオペンチルグリコールビスプロピルアミンなどの異節環または異原子含有ジアミン等があり、また、ジカルボン酸類には、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジガルボン酸などの環状脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。
本発明においては、前記(a)層と(b)層との間に層間密着性を向上させるという点から、上記接着層(c)層を設けることが好ましい。接着層を構成する成分としては特に制限はないが、上記脂肪族ポリアミド樹脂(A)と上記芳香族ポリアミド樹脂(B)との混合物や、ポリオレフィン系やポリエステル系の接着樹脂類等を用いることができる。
(c)層における脂肪族ポリアミド樹脂(A)と、芳香族ポリアミド樹脂(B)との含有割合は、脂肪族ポリアミド樹脂(A)を65〜90質量%、芳香族ポリアミド樹脂(B)を10〜35質量%とすることが好ましい。芳香族ポリアミド樹脂(B)がこの範囲内であれば、得られるフィルムの層間密着性が向上し、さらに衝撃強度の大幅な低下を抑えることができる。
本発明の表面処理ポリアミド系積層フィルムには、耐屈曲ピンホール性改良材を添加することができ、これにより耐屈曲ピンホール性を向上させることができる。耐屈曲ピンホール性改良材としては、ポリオレフィン類、ポリアミドエラストマー類、ポリエステルエラストマー類などが挙げられる。
ポリオレフィン類としては、主鎖中にポリエチレン単位及び/又はポリプロピレン単位を50質量%以上含むものが挙げられ、無水マレイン酸等でグラフト変性していてもよい。ポリエチレン単位、ポリプロピレン単位以外の構成単位としては、酢酸ビニルあるいはその部分けん化物、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、あるいはこれらの部分金属中和物(アイオノマー類)、ブテン等の1−アルケン類、アルカジエン類、スチレンなどが挙げられる。ポリオレフィン類としては、これらの構成単位を複数含むものでもよい。
ポリアミドエラストマー類としては、ポリエーテルアミド、ポリエーテルエステルアミド等のポリアミド系ブロック共重合体などが挙げられ、アミド成分としてはナイロン6、ナイロン66、ナイロン12等が例示され、エーテル成分としては、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシ−1、2−プロピレングリコール等が例示されるが、好ましくはポリテトラメチレングリコールとポリラウリルラクタム(ナイロン12)を主成分とする共重合体である。また、任意成分としてドデカンジカルボン酸、アジピン酸、テレフタル酸等のジカルボン酸を少量併用したものであってもよい。
また、ポリエステルエラストマー類としては、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールを組み合わせたポリエーテル・エステルエラストマーや、ポリブチレンテレフタレートとポリカプロラクトンを組み合わせたポリエステル・エステルエラストマーなどがあげられる。
これらの耐屈曲ピンホール性改良材は単独でも2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明においては、耐屈曲ピンホール性の改良効果と、フィルムとした際の透明性低下とのバランスの点から、耐屈曲ピンホール性改良材の添加量は、前記(a)〜(c)の各層において0.1〜10質量%程度である。ここで、耐屈曲ピンホール性改良材を含有する脂肪族ポリアミド重合体(A)や芳香族ポリアミド重合体(B)としては、これらを所定の割合でドライブレンドしたもの、ドライブレンド物をあらかじめ押出機で溶融混合した後、ペレット化したもののいずれであってもよい。
なお、上述した脂肪族ポリアミド樹脂(A)、には、本発明の主旨を超えない範囲内で適宜必要に応じて、衝撃改良剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、安定剤、染料、顔料、無機質微粒子等の各種添加剤を添加することができる。具体例としては、衝撃改良剤(エラストマー等)、アンチブロッキング剤(無機フィラー等)、撥水剤(エチレンビスステアリン酸エステル等)、滑剤(エチレンビスステアリン酸アミド等)を挙げることができる。
本発明の表面処理ポリアミド系積層フィルムを包装袋として使用する際には、内容物の品質保持や腐敗防止の観点から、さらにガスバリア性樹脂層を積層すること、アルミニウム等の金属や、二酸化珪素、アルミナ等の金属酸化物を蒸着加工すること、ガスバリア性コート剤を塗布すること等により、ガスバリア性や防湿性をさらに向上させることができる。
本発明の表面処理ポリアミド系積層フィルムには、本発明の主旨を超えない範囲内で適宜必要に応じて、本発明の表面処理ポリアミド系積層フィルムを製造する際に発生する規格外フィルムや切断端材(耳トリム)を上記(a)層、(b)層、(c)層の各層、あるいは、複数の層に添加することができる。
次に、本発明の表面処理ポリアミド系積層フィルムは、下記の(1)〜(4)の特徴を有する。これらは、主にフィルムの製造条件(延伸倍率、熱固定温度など)と、表面処理により制御することができる。
(1)湿潤時のラミネート強度が3.9N/15mm以上であることが必要である。ここで、湿潤時のラミネート強度が3.9N/15mm以上であれば、ラミネート、製袋後のレトルト処理等によって応力がかかった状態でも、デラミ、破袋等のトラブルが発生しにくい。
さらに、湿潤時のラミネート強度が4.9N/15mm以上であることが好ましい。湿潤時のラミネート強度が4.9N/15mm以上であれば、エアバッグ包装袋等の常時強い応力がかかる包装袋に用いた場合にも、デラミ、破袋等のトラブルが発生しにくい。
本発明において、「湿潤時のラミネート強度」とは、ラミネートされた表面処理ポリアミド系積層フィルムとシーラントとの層間の剥離強度をいい、具体的には後述の測定方法により得られた値である。
(2)25℃×50%RHの条件下における酸素透過率が80fmol/(m2・sec・Pa)以下であることが必要である。ここで、酸素透過率が80fmol/(m2・sec・Pa)以下であれば十分なガスバリア性が得られ、内容物の保存性、シェルライフの向上の観点等より高度なガスバリア性が必要な用途に使用できる。
(3)95℃×5分におけるフィルムの流れ方向(MD)の熱水収縮率が3.0%以下であることが好ましい。ここで、MDの熱水収縮率が3.0%以下であれば、印刷、ラミネート等の工程での熱収縮によるピッチずれ等のトラブルの発生を抑えることができる。
(4)フィルムの幅方向(TD)の厚み変動率が平均厚みの10%以下であることが好ましい。ここで、厚み変動率が平均厚みの10%以下であれば、厚みムラに起因するシワの発生や、タルミが発生して印刷見当がずれたり、フィルムパスが蛇行して印刷ピッチがずれる等のトラブルの発生を抑えることができる。
以下、本発明の表面処理ポリアミド系積層フィルムを得るために好適な製造方法について説明する。
すなわち、ポリアミド系樹脂を原料として用いて、まず、実質的に無定形で配向していないフィルム(以下、「未延伸フィルム」という)を、共押出法により製造する。この未延伸フィルムの製造は、例えば、上記原料を1〜7台の押出機により溶融し、フラットダイから押出した後、急冷することによりフラット状の未延伸フィルムとする共押出法を採用することができる。押出機に供給する原料は、上記した脂肪族ポリアミド樹脂(A)と芳香族ポリアミド樹脂(B)の両樹脂のペレットを二軸混練機等であらかじめ溶融、混練して作製したペレットでも、両樹脂のペレットを単にブレンダでドライブレンドした混合ペレットでもよい。
次に、上記の未延伸フィルムを、フィルムの流れ方向(MD)、およびその直交方向である幅方向(TD)で、延伸効果、フィルム強度等の点から、二軸方向に延伸する。
二軸延伸の方法としては、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸等、従来公知の延伸方法がいずれも採用できる。例えば、テンター式逐次二軸延伸方法の場合には、未延伸フィルムを50〜110℃の温度範囲に加熱しロール式縦延伸機によって縦方向に2.4倍以上に延伸することが重要である。
ここで、縦延伸倍率が2.4倍未満では、延伸ムラが発生し厚みが不均一になったり、配向不足のためにフィルムの強度が低下したりする。
上記方法により延伸された縦延伸フィルムは、続いて端部をテンタークリップで保持し、テンター式横延伸機によって60〜140℃の温度範囲内でTDに2.4倍以上で延伸することが重要である。
ここで、横延伸倍率が2.4倍未満では横延伸倍率が低すぎ、未延伸部分が残る等の延伸ムラが発生し、厚みが不均一になったり、配向不足のためにフィルムの強度が低下するという問題がある。
上記方法により延伸された二軸延伸フィルムは、引き続き端部をテンタークリップで保持し、テンターオーブンにて200℃以上、且つ上記した脂肪族ポリアミド樹脂(A)の補外融解開始温度より10℃高い温度以下で、1秒〜2分程度、好ましくは1秒〜30秒、より好ましくは3秒〜15秒の時間で熱固定を行う。ここで、熱固定温度が200℃より低い場合や、処理時間が1秒以下となる場合は、MDの熱水収縮率を3.0%以下に抑えることができず、印刷、ラミネート等の工程で収縮してしまいピッチがずれる等のトラブルが発生する。一方、熱固定温度が上記した脂肪族ポリアミド樹脂の補外融解開始温度より10℃高い温度を超える場合や、処理時間が2分を超える場合は、熱固定中のフィルムの溶融や結晶化の応力による破断が生じ、フィルムの機械物性が不足してしまう。
なお、上記した補外融解開始温度とは、JIS K 7121:1987に記載されている示差走査熱量測定(DSC)における融解ピークの低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、融解ピークの低温側の曲線に勾配が最大になる点で引いた接線の交点から求められる温度のことである。
上記方法により延伸された二軸延伸フィルムは、引き続き少なくとも一方の面に不活性ガス濃度99%以上、活性ガス濃度1%以下、反応性ガス濃度1%以下の雰囲気下で、放電処理によって表面処理を実施することが必要である。
このとき、不活性ガスの濃度は高いほど、湿潤時のラミネート強度が向上し好ましく、99%以上である必要があり、好ましくは99.9%以上、より好ましくは99.98%以上である。ただし通常生産する場合での生産性、コスト、を考えた場合、処理の際に、ある程度大気中に含まれる活性ガスである酸素が搬送流として流入してしまう。不活性ガスの吹き込み量を増やせば、活性ガス濃度を下げることが出来るが、製品あたりの不活性ガス使用量が増え、コストが増加してしまう。そのため、充分に効果がある範囲内で、不活性ガスの使用量を抑えることがコストを抑えるために望ましい。また、不活性ガスの吹き込み量を増やせば、排気が間に合わなくなる可能性があり、その場合室内雰囲気の酸素濃度が低下し、作業者が酸欠に陥ってしまうおそれがある。安全性の観点から室内雰囲気の酸素濃度を維持するためにも、不活性ガスの濃度は99.999%までとすることが現実的である。
一方、活性ガスの濃度は1%以下である必要があり、好ましくは0.1%以下、より好ましくは0.02%以下である。
不活性ガス濃度が99%以上、活性ガス濃度が1%以下で有れば、ラミネートフィルムの湿潤時のラミネート強度が飛躍的に向上し、3.9N/15mm以上を達成することが出来る。
本発明において、不活性ガスとは、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトンなどをいい、窒素、アルゴン等が安価に入手でき、かつ、表面処理操作を安全に、円滑に遂行し得る点から好ましい。
また、本発明において、活性ガスとは、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、オゾンなどいい、酸素、二酸化炭素が安価に入手でき、かつ、表面処理操作を安全に、円滑に遂行し得る点から好ましい。
上記の不活性ガス、活性ガスは、それぞれ複数の物を混合した物でもかまわない。
また、湿潤時のラミネート強度をさらに向上させるために、上記不活性ガス、活性ガスに加えさらに反応性ガスを添加することが出来る。反応性ガスの添加量としては、1%以下が表面処理操作を安全に、円滑に遂行し得る点から好ましい。
さらに、本発明において、反応性ガスとは、水素、アンモニア、アセチレン、メタン、などをいい、水素、アンモニアが安価に入手でき、かつ、表面処理操作を円滑に遂行し得る点から好ましい。また上記の反応性ガスは、それぞれ複数の物を混合した物でもかまわない。
前記放電処理の方法としては、特に制限はないが、コロナ処理、大気圧プラズマ処理、リモートプラズマ処理等が挙げられる。具体的にはコロナ処理、大気圧プラズマ処理が、簡便、かつ、表面処理操作を安全に、円滑に遂行し得る点から好ましい。
本発明の実施形態として、上記表面処理ポリアミド系積層フィルムの、当該表面処理面に、シーラントフィルムをラミネートしてなることを特徴とする表面処理ポリアミド系ラミネートフィルムがある。
前記ラミネートフィルムとしては、前記表面処理ポリアミド系積層フィルムの表面処理がなされた少なくとも片側面に、シーラントフィルム(層)が配されたものが例示される。
前記シーラントフィルムとしては、熱融着できる樹脂であればよく、一般にポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。具体的には、ポリプロピレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン・α−オレフィン共重合体、アモルファスポリエステル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。前記シーラントフィルムの厚さは、15〜100μm程度が一般的に好適に使用できる。シーラントフィルムが薄い場合はヒートシール時のシール強度が劣る傾向があり、一方厚すぎる場合は包装用途に適さなくなる傾向がある。
また、前記表面処理ポリアミド系積層フィルムとシーラントフィルムとのラミネートの方法としては、特に制限はないが、ドライラミネート法、ウェットラミネート法、押出しラミネート法などが挙げられる。具体的には、ドライラミネート法、押出しラミネート法が通常用いられる。
さらに本発明の他の実施形態として、上記表面処理ポリアミド系ラミネートフィルムからなる袋体がある。これは上記ラミネートフィルムを二次加工したものであり、シーラント層同士を熱溶着させて製袋して得られる。袋体の内容物としては、酸素による変質を嫌う食品、医薬品、薬品、香料等を挙げることができる。さらに高い湿潤時のラミネート強度を必要とする用途としては、内容物の重量が大きい場合や、レトルト処理を行う食品等の包装や、エアバッグ式緩衝材等の、内部より高い圧力がかかる用途に、好適に用いられる。
以下、本発明の内容および効果を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、その主旨を越えない限り以下の例に限定されるものではない。なお、フィルムの評価および測定法は次の各方法によって行ったものである。
(1)湿潤時のラミネート強度
ドライラミネート
製膜された表面処理ポリアミド系積層フィルムの処理面に、接着剤として主剤に東洋モートン社製AD−900を、硬化剤として東洋モートン社製CAT−RT85を、希釈溶剤として酢酸エチルをそれぞれ37.7%、5.7%、56.6%で混合し、グラビアコート塗布後、80℃で乾燥して酢酸エチルを除去して接着剤塗布量を3g/mとした。シーラントとして東セロ社製LLDPEフィルムT.U.X FCS 50μmを90℃でドライラミネートにて接着したのち、40℃で3日間エージングを行った。
ラミネート後の湿潤時のラミネート強度
上記方法にてドライラミネートされたポリアミド系樹脂積層フィルムとシーラントの層間を水やエタノールを用いてピンセットで剥がす。剥がした部分が1cmほどになったら剥がした部分にかかるようにラピーテープ(セメダイン製18mm幅)をフィルムの縦方向に密着させる。ラピーテープを貼ったフィルムを流れ方向に直角な方向に幅15mm長さ100mmで短冊状に切り出し、水をつけながら50mmほどに剥離部分を広げる。剥がしたフィルムの両側をオートグラフ(東洋精機製)のチャックで掴み、フィルムの剥離部分に水を付けながら、速度50mm/minで引っ張った。最初のピーク値をn=5で測定し、平均値を湿潤時のラミネート強度(N/15mm)とした。
測定結果
湿潤時のラミネート強度が3.9N/15mm以上のものは(○)、
湿潤時のラミネート強度が3.9N/15mmに満たないものは(×)
(2)酸素透過率(fmol/(m2・sec・Pa))
モダンコントロール社製の「OXY−TRAN100型酸素透過率測定装置」を使用し、温度25℃、50%RH(相対湿度50%)の条件下で測定(n=3)し、得られた平均値の少数第一位を四捨五入して以下の評価を行った。
酸素透過率が80fmol/(m2・sec・Pa)以下のものは(○)、
酸素透過率が80fmol/(m2・sec・Pa)を超えるものは(×)
(3) 熱水収縮率
得られたフィルムの両端部、及び中央の三点から、MDに120mm×TDに120mmに切り出し、このサンプルのMDに約100mmの基準線を三本引く。このサンプルを23℃、50%RH雰囲気下に24時間放置し基準線を測長する。測長した熱処理前の長さをFとする。このサンプルを95℃に保持した熱水中に浸し、5分間加熱した後取り出す。さらに23℃、50%RH雰囲気下に30分放置した後、前記基準線を測長し、熱処理後の長さをGとする。
熱水収縮率を、下式で算出し、三本の平均値(平均値の少数第二位を四捨五入)をMDの熱水収縮率とし、両端部、及び中央の三点のうち、最大のものに関して、以下の評価を行った。
熱水収縮率=[(F−G)/F]×100(%)
MDの熱水収縮率が3.0%以下のものは(○)、3.0%を超えるものは(×)
(4)厚み変動率(%)
打点式厚み計を用い、得られたフィルムの幅方向に20mm間隔で厚みを測定し、そのときの最大値をTmax、最小値をTmin、全測定点を合計し測定点数で割った平均値をTaveとした。
厚み変動率を下式で算出(少数第一位を四捨五入)し、以下の評価を行った。
厚み変動率=[(Tmax−Tmin)/Tave]×100(%)
厚み変動率が10%以下のものは(○)、10%を超えるものは(×)
(実施例1)
脂肪族ポリアミド(A)として、ナイロン6「三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名ノバミッド 1022C6、補外融解開始温度:215℃」を、芳香族ポリアミド(B)としてMXD6「三菱ガス化学(株)製、商品名MXナイロン S6007」を用い、
(a)層として脂肪族ポリアミド(A)を、
(b)層として芳香族ポリアミド(B)とポリアミドエラストマー(アトフィナ製PEBAX4033SA1)とを97:3の割合(重量比)で、ドライブレンドにて混合したものを、
(c)層として脂肪族ポリアミド(A)を80重量%と芳香族ポリアミド(B)20重量%を、ドライブレンドにて混合した物を、それぞれ65mmφ押出機(L/D=28)3台を使用して設定温度260℃にて別々に溶融、混練し、次いで、(a)層、(c)層についてはそれぞれ分配ブロックでほぼ半々に分割し、層構成が(a)/(c)/(b)/(c)/(a)の5層構造となるように、共押出Tダイ内で積層させて積層フィルムとして押出し、30℃のキャストロールに密着急冷し、それぞれ(a)層が32μm、(c) 層が19μm、(b) 層が38μm、(c) 層が19μm、(a)層が32μmとなる未延伸積層フィルムを得た。
得られた未延伸積層フィルムを60℃の条件下でロール式延伸機にて縦方向に2.7倍延伸し、次いで、この縦延伸フィルムの端部をテンタークリップで保持し、テンターオーブン内で100℃の条件下で横方向に3.4倍に延伸した後、215℃で6秒間の熱固定を行った。熱固定を行った後のフィルムは、クリップの把持部に相当する両端部分はトリミングした。トリミング後のフィルムの片面に、不活性ガスとして窒素ガスを用い、窒素濃度が99.9%、活性ガスとして酸素ガスを用い、酸素濃度が0.1%の雰囲気下で、コロナ処理を行った。表面処理を行った後、フィルムをロール状に巻き取り、(a)/(c)/(b)/(c)/(a)=3.5μm/2μm/4μm/2μm/3.5μmの3層構成で、全体の厚さが約15μmの積層二軸延伸フィルムを得た。得られた表面処理ポリアミド系積層フィルムを用いて評価した結果を表1に示した。
(実施例2)
実施例1で、表面処理時の窒素濃度を99%、酸素濃度を1%とした以外は同様の方法でフィルムを得、同様の評価を行った。その結果を表1に示した。
(実施例3)
実施例1で、表面処理時の窒素濃度を99.995%、酸素濃度を0.005%とした以外は同様の方法でフィルムを得、同様の評価を行った。その結果を表1に示した。
(実施例4)
実施例1で、縦方向の延伸倍率を2.4倍とした以外は同様の方法でフィルムを得、同様の評価を行った。その結果を表1に示した。
(実施例5)
実施例1で、延伸後の熱固定温度を200℃とした以外は同様の方法でフィルムを得、同様の評価を行った。その結果を表1に示した。
(実施例6)
実施例1で、延伸後の熱固定温度を225℃とした以外は同様の方法でフィルムを得、同様の評価を行った。その結果を表1に示した。
(実施例7)
実施例1で、表面処理時の窒素濃度を99.8%、酸素濃度を0.1%とし、さらに反応性ガスとして水素を0.1%添加した以外は同様の方法でフィルムを得、同様の評価を行った。その結果を表1に示した。
(実施例8)
実施例1で、(b)層の厚みを2μmにした以外は同様の方法でフィルムを得、同様の評価を行った。その結果を表1に示した。
(比較例1)
実施例1で、表面処理時の窒素濃度を90%、酸素濃度を10%とした以外は同様の方法でフィルムを得、同様の評価を行った。その結果を表1に示した。
(比較例2)
実施例1で、縦方向の延伸倍率を2.3倍とした以外は同様の方法でフィルムを得、同様の評価を行った。その結果を表1に示した。
(比較例3)
実施例1で、延伸後の熱固定温度を190℃とした以外は同様の方法でフィルムを得、同様の評価を行った。その結果を表1に示した。
(比較例4)
実施例1で、延伸後の熱固定温度を230℃とした以外は同様の方法で検討を行ったが、テンター内でフィルムの破断が頻発し、連続して製膜することができなかった。その結果を表1に示した。
(比較例5)
実施例1で、(b)層の厚みを1μmに以外は同様の方法でフィルムを得、同様の評価を行った。その結果を表1に示した。
(比較例6)
実施例1で、(c)層の脂肪族ポリアミド(A)を95重量%と芳香族ポリアミド(B)5重量%にした以外は同様の方法でフィルムを得、同様の評価を行った。その結果を表1に示した。
Figure 0005773564
表1から、本発明フィルムである実施例1から実施例8については、すべての評価項目について良好な結果を示していることが分かる。特に、表面処理時の窒素濃度99%、酸素濃度1%とした実施例2に比べ、表面処理時の窒素濃度を99.9%、酸素濃度を0.1%とした他の実施例はラミネート強度が優れること、表面処理時の窒素濃度を99.995%、酸素濃度を0.005%とした実施例3はさらにラミネート強度が優れることが明らかとなった。また、縦延伸倍率を2.4倍とした実施例4に比べ、縦延伸倍率を2.7倍とした他の実施例はラミネート強度がより優れることが明らかとなった。さらに、表面処理時の雰囲気を、窒素濃度を99.8%、酸素濃度を0.01%、水素ガスを0.01%とした実施例7は、水素ガスを用いずに表面処理がなされた他の実施例に比べ、ラミネート強度がより優れることが明らかとなった。
これに対して、表面処理時の窒素ガス比率が90%と高かった比較例1は表面処理の効果が薄く、湿潤時のラミネート強度が低かった。縦延伸倍率が低い比較例2は、延伸ムラが発生し、厚み変動率が大きいフィルムであった。その上、延伸ムラの影響で、湿潤時のラミネート強度も低かった。熱固定温度が低い比較例3では、MDの熱水収縮率が大きいため、印刷、ラミネート等の工程で収縮してしまいピッチがずれる等のトラブルが発生しやすいという問題がある。さらに、延伸配向の影響で、湿潤時のラミネート強度も低かった。熱固定温度が高い比較例4ではテンター内で破断が頻発し、連続して製膜することができなかった。(b)層の厚みが1μmと薄い比較例5では、酸素透過率が160fmol/(m2・sec・Pa)と高く、ガスバリア性包材としては不適である。(c)層の脂肪族ポリアミド(A)を95重量%と芳香族ポリアミド(B)5重量%にした比較例6は、湿潤時のラミネート強度が低かった。

Claims (10)

  1. 脂肪族ポリアミド樹脂(A)を主成分とする(a)層、芳香族ポリアミド樹脂(B)を90〜99.9質量%と耐屈曲ピンホール性改良材を0.1〜10質量%含有する(b)層、及び脂肪族ポリアミド樹脂(A)を65〜90質量%と芳香族ポリアミド樹脂(B)を10〜35質量%含有する(c)層を有し、(a)/(c)/(b)/(c)/(a)の積層構造を有し、延伸後の(b)層の厚みはフィルム全体の40%以下であり、かつ、2〜7μmであるポリアミド系樹脂積層フィルムにおいて、MD、TDともに2.4倍以上の延伸倍率でテンター式逐次二軸延伸法により延伸する工程の後、200℃以上、且つ前記脂肪族ポリアミド樹脂(A)の補外融解開始温度(JIS K 7121に準拠して測定)より10℃高い温度以下で熱固定を行う工程を経て、フィルムの少なくとも一方の表面に、不活性ガス濃度99%以上、活性ガス濃度1%以下の雰囲気下での放電処理による表面処理が行われた表面処理面の湿潤時のラミネート強度が4.9N/15mm以上、且つ、25℃×50%RHの条件下における酸素透過率が80fmol/(m2・sec・Pa)以下であることを特徴とする表面処理ポリアミド系積層フィルム。
  2. 前記脂肪族ポリアミド樹脂(A)がナイロン6、前記芳香族ポリアミド樹脂(B)がポリメタキシリレンアジパミドである請求項1に記載の表面処理ポリアミド系積層フィルム。
  3. 前記不活性ガスが窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトンから選ばれる少なくとも一種の気体である請求項1または2に記載の表面処理ポリアミド系フィルム。
  4. 95℃×5分におけるフィルムの流れ方向(MD)の熱水収縮率が3.0%以下、且つ、フィルムの幅方向(TD)の厚み変動率が平均厚みの10%以下である請求項1からのいずれか1つに記載の表面処理ポリアミド系積層フィルム。
  5. 表面処理時の雰囲気が、不活性ガス濃度99%以上、活性ガス濃度1%以下、反応性ガス濃度1%以下ある請求項1からのいずれか1つに記載の表面処理ポリアミド系積層フィルム。
  6. 請求項1からのいずれか1つに記載の表面処理ポリアミド系積層フィルムにおける前記表面処理面が、樹脂積層体の少なくともいずれか一方の表面を構成するよう配置された多層構造からなる表面処理ポリアミド系積層フィルム。
  7. 請求項1からのいずれか1つに記載の表面処理ポリアミド系積層フィルムの前記表面処理面に、シーラントフィルムをラミネートしてなることを特徴とする表面処理ポリアミド系ラミネートフィルム。
  8. 請求項記載の表面処理ポリアミド系ラミネートフィルムからなる袋体。
  9. 内容物充填後高温レトルト滅菌処理を行う請求項に記載の袋体。
  10. 脂肪族ポリアミド樹脂(A)を主成分とする(a)層、芳香族ポリアミド樹脂(B)を90〜99.9質量%と耐屈曲ピンホール性改良材を0.1〜10質量%含有する(b)層、及び脂肪族ポリアミド樹脂(A)を65〜90質量%と芳香族ポリアミド樹脂(B)を10〜35質量%含有する(c)層を有し、(a)/(c)/(b)/(c)/(a)の積層構造を有し、延伸後の(b)層の厚みはフィルム全体の40%以下であり、かつ、2〜7μmであるポリアミド系樹脂積層フィルムの少なくとも一方の表面が表面処理されている表面処理ポリアミド系積層フィルムの製造方法であって、フラットダイから押出された未延伸フィルムをMD、TDともに2.4倍以上の延伸倍率でテンター式逐次二軸延伸法により延伸する工程の後、200℃以上、且つ前記脂肪族ポリアミド樹脂(A)の補外融解開始温度(JIS K 7121に準拠して測定)より10℃高い温度以下で熱固定を行う工程を経て、フィルムの少なくとも一方の表面に、不活性ガス濃度99%以上、活性ガス濃度1%以下の雰囲気下での放電処理による表面処理を行う工程を有することを特徴とする表面処理ポリアミド系積層フィルムの製造方法。
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