JP5472100B2 - 食品包装用ポリアミドフィルム及びその製造方法 - Google Patents

食品包装用ポリアミドフィルム及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、特定のヒンダードフェノール系酸化防止剤及びリン系加工安定剤を特定量含有するフィルム用ポリアミド樹脂組成物及び食品包装用ポリアミドフィルムに関する。詳しくは、フィルム生産性に優れていながら、熱安定性、透明性も良好であり、かつ、レトルト処理後でも、機械的性質、特に、引張物性保持率が高いなど実用的性質が良好なフィルム用ポリアミド樹脂組成物、および食品包装用ポリアミドフィルム、特に、レトルト包装用フィルムとして好適に使用されるポリアミドフィルムに関する。
ポリアミド樹脂からなるフィルムは、ガスバリヤ性、強靭性、耐ピンホール性、耐熱性あるいは耐油性などの諸特性が優れている。そのため、ポリアミドは包装用フィルム、特に食品包装用分野を中心に、単層フィルムあるいはラミネートフィルムの基材として、また、他樹脂との共押出による多層フィルムの構成素材として使用されている。近年、特に、レトルト食品包装用フィルムとしての需要が増加している。
ポリアミド樹脂からフィルムを製造する場合、樹脂の流動性や生産性を考慮して、使用するポリアミド樹脂の融点より30〜80℃程度、高い温度で溶融混練し、製膜することが多い。この様な温度でポリアミド樹脂を保持した場合、ポリアミド樹脂は部分的な架橋や劣化することがあり、ゲル状物を生成したり、着色したりすることがある。そのため、長時間連続してフィルムを製造した場合や製造を途中で中断するような間欠的な方法でフィルムを製造した場合、製造されたフィルムの表面にゲル状物が多数発生することがあり、フィルムとしての商品価値が低下することがあった。
このゲル状物を捕捉し、フィルムの透明性、品質を維持するために、押出機内のポリマー流路にフィルターを設置するのは公知である。しかし、ポリマーの架橋や増粘、または劣化物やゲル状物の蓄積によりフィルターが閉塞することがある。この際、フィルターの交換を余儀なくされ、この交換時にフィルムの生産性が大きく低下するという問題があった。
また、レトルト食品包装に使用されるフィルムは、内容物を充填後、滅菌処理されるが、近年、レトルト処理は約130℃以上の熱水や水蒸気で処理されることが多く、処理条件が厳しくなっている。このような条件でポリアミドフィルムを処理した場合、ポリアミドフィルムの機械的性質、特に、引張強度や引張伸びの低下が大きくなったり、透明性が低下したりするなど実用的な性質が損なわれることがあった。
従来、フィルムを長時間連続製造した場合でも、ゲル状物の発生や着色が少ないなど熱安定性が良好なポリアミド樹脂に関する開発や、レトルト処理を受けても実用的性質の低下が少ないフィルム用ポリアミド樹脂に関する研究開発が進められている。例えば、特許文献1(特開平4−4232号公報)、特許文献2(特開平4−28727号公報)、特許文献3(特開平7−138472号公報)、特許文献4(特開平7−268209号公報)、特許文献5(特開平8−156205号公報)などに開示されている。
特許文献2(特開平4−28727号公報)には、特定の末端変性ポリアミド樹脂からなるレトルト食品包装用フィルムが開示されているが、このポリアミド樹脂の熱安定性に関しては、なんらの記載も示唆もされていない。特許文献1(特開平4−4232号公報)、特許文献3(特開平7−138472号公報)、特許文献4(特開平7−268209号公報)、特許文献5(特開平8−156205号公報)などには、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加したフィルム用ポリアミド樹脂組成物もしくはポリアミドフィルムが開示されている。しかし、ヒンダードフェノール系酸化防止剤のみを使用した場合、耐レトルト性は改善することができるが、フィルムの透明性が十分でないため、製品としての外観が悪くなり、フィルムとしての商品価値が低下する。また、これまで開示されてきたいずれの特許文献にも、フィルムの生産性に関しては、なんらの記載も示唆もされていない。
特開平4−4232号公報 特開平4−28727号公報 特開平7−138472号公報 特開平7−268209号公報 特開平8−156205号公報
本発明の目的は、長時間連続運転が可能であるためにフィルム生産性に優れ、熱安定性が高いためにレトルト処理後でも物性低下が少なく、透明性が良好なフィルム用ポリアミド樹脂組成物を得ることである。
本発明者らは、上記の要望を満たすフィルム用ポリアミド樹脂を目的に種々検討した結果、特定のヒンダードフェノール系酸化防止剤およびリン系加工安定剤が特定量配合されたポリアミド樹脂組成物により目的を達成することを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、ポリアミド樹脂100質量部に対し、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を0.03〜0.30質量部、及びトリス[2−[[2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェフィン−6−イル]オキシ]エチル]アミンを0.03〜0.30質量部含有させたフィルム用ポリアミド樹脂組成物に関するものである。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、特定のヒンダードフェノール系酸化防止剤とリン系加工安定剤を所定量含有していることから、熱安定性と透明性を両方維持できる。また、フィルム製膜時、押出機内の溶融樹脂の通路に設置されているフィルターの閉塞が少なくなるため、フィルムの生産性が優れている。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において使用されるポリアミド樹脂は、ラクタム、アミノ酸、またはジアミンとジカルボン酸とからなるナイロン塩を重合、または共重合することによって得られる。これらの重合、または共重合は溶融重合、溶液重合や固相重合など公知の重合方法で行うことができる。製造装置としては、バッチ式反応釜、一槽式ないし多式の連続反応装置、管状連続反応装置、一軸型混練押出機、二軸型混練押出機などの混練反応押出機など、公知のポリアミド製造装置を用いることができる。
ラクタムとしては、例えば、ε−カプロラクタム、ω−エナントラクタム、ω−ラウロラクタム、α−ピロリドン、α−ピペリドンなどを挙げることができる。アミノ酸としては、例えば、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンドデカン酸、12−アミノドデカン酸などを挙げることができる。
ナイロン塩を構成するジアミンとしては、例えば、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族アミン、1,3−/1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ピペラジン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス−(4’−アミノシクロヘキシル)プロパンなどの脂環族ジアミン、およびメタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン等の芳香族ジアミンを挙げることができる。
ナイロン塩を構成するジカルボン酸としては、例えば、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セパチン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂環族カルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸(1,2−体、1,3−体、1,4−体、1,5−体、1,6−体、1,7−体、1,8−体、2,3−体、2,6−体、2,7−体)などの芳香族ジカルボン酸を挙げることができる。
本発明においては、上記のラクタム、アミノ酸、またはジアミンとジカルボン酸からなるナイロン塩の重合、または共重合により製造されるホモポリマーまたはコポリマーを各々単独または混合して用いることができる。
使用されるポリアミド樹脂の具体例としては、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン7、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン611、ナイロン612、ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロンMXD6、ナイロン6/66(ナイロン6とナイロン66のコポリマー、以下、コポリマーは同様に記載)、ナイロン6/69、ナイロン6/610、ナイロン6/611、ナイロン6/12、ナイロン6/612、ナイロン6/6T、ナイロン6/6I、ナイロン6/66/610、ナイロン6/66/12、ナイロン6/66/612、ナイロン66/6T、ナイロン66/6I、ナイロン6T/6I、ナイロン66/6T/6Iなどが挙げられる。好ましいポリアミド樹脂としては、得られる成形品の耐熱性、機械的強度、透明性や経済性、入手の容易さなどを考慮して、ナイロン6、ナイロン12、ナイロン66、ナイロンMXD6、ナイロン6/66、ナイロン6/12、ナイロン6/66/12である。
本発明で使用されるポリアミド樹脂は、JIS K6920に準じ、96%硫酸中濃度1%、温度25℃の条件で測定された相対粘度(以下、ηrと記載)が、2.0〜6.0、好ましくは2.0〜5.0の範囲のものである。相対粘度が低すぎると、得られる成形品の機械的強度が不十分な場合があり、高すぎるとフィルム製造が困難になる場合がある。
本発明において使用されるヒンダードフェノール系酸化防止剤は、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]であり、下記式で表わされ、
Figure 0005472100
ポリアミド樹脂に対して0.03〜0.30質量部含有されていることが必要である。配合量が0.03質量部未満であると、レトルト処理後の物性低下が大きくなるので、好ましくない。一方、配合量が0.30質量部以上であると、酸化防止剤がフィルム表面にブリードアウトしやすくなり、透明性、印刷特性が悪化するので好ましくない。より好ましくは、0.05〜0.20質量部である。
更に、本発明において使用されるリン系加工安定剤は、トリス[2−[[2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェフィン−6−イル]オキシ]エチル]アミンであり、下記式で表わされ、
Figure 0005472100
ポリアミド系樹脂に対して0.03〜0.30質量部含有されていることが必要である。このリン系加工安定剤を添加することによって、種々物性を低下させることなく、フィルムの生産性も維持することが出来る。配合量が0.03質量部未満であると、透明性が不十分であるだけでなく、フィルムの生産性も低下するため好ましくない。一方、配合量が0.30質量部以上であると、リン系加工安定剤がフィルム表面にブリードアウトしやすくなり、透明性、印刷特性が悪化するので好ましくない。より好ましくは、0.05〜0.20質量部である。
また、本発明のポリアミド組成物には、得られるフィルムの特性を損なわない範囲内で、前記以外の公知のヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系加工安定剤、イオウ系酸化防止剤、紫外線吸収剤を含む耐候剤、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムなどの金属石鹸、メチレンビスアミド、エチレンビスアミドなどのビスアミド化合物、ポリ(オキシエチレン)アルキルアミン、アルキルスルホネート、第4級アンモニウムサルフェートなどの帯電防止剤、シリカ、タルク、モンモリナイトなどの各種フィラー、ブロッキング防止剤、染料、顔料などの各種添加剤が配合されていてもよい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂とペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]及びトリス[2−[[2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェフィン−6−イル]オキシ]エチル]アミン、更に必要に応じて各種添加剤を配合し、公知の方法で混合することによって製造される。例えば、タンブラーやミキサーなどの公知の混合装置を使用し、ポリアミド樹脂と前記添加剤とをドライブレンドして製造する方法、ポリアミド樹脂と前記添加剤を公知の一軸または二軸の押出機を用いて溶融混練して、製造する方法などがあり、特に限定されない。前記添加剤は、同時に加えても、別々に加えてもよい。
本発明のフィルム用ポリアミド樹脂組成物からフィルムを製造する方法としては、公知のポリアミドのフィルム製造方法を適用することができる。例えば、本発明のフィルム用ポリアミド樹脂組成物を押出機で溶融混練し、T−ダイあるいはコートハンガーダイによりフラットフィルム状に押出し、キャスティングロール面上にキャスティング、冷却してフィルムを製造するキャスティング法、リング状ダイにより筒状に溶融押出したチューブ状物を空冷あるいは水冷してフィルムを製造するチューブラー法等がある。製造されたフィルムは未延伸の状態で使用できるが、通常、延伸フィルムとして使用されることが多い。延伸フィルムとしては、一軸延伸フィルム、同時二軸延伸フィルム、逐次二軸延伸フィルムなどであり、これらは、ロール式一軸延伸法、テンター式逐次二軸延伸法、テンター式同時二軸延伸法、チューブラー延伸法など公知の延伸方法によって製造される。また、延伸工程はポリアミドフィルムの製造に引続き、連続して実施しても良いし、ポリアミドフィルムを一旦巻き取り、別工程として延伸を実施しても良い。
延伸フィルムの延伸倍率は使用用途によって異なるが、通常、一軸延伸フィルムの場合、1.5〜5倍、好ましくは、1.8〜3.5倍である。また、テンター式二軸延伸フィルムは、通常、フィルム製造の巻取方向(縦方向)の延伸倍率は1.5〜4倍、巻取方向と直角の方向(横方向)の延伸倍率は1.5〜5倍である。チューブラー法で延伸する場合、縦方向1.5〜4倍、横方向1.5〜4倍である。
更に、本発明のフィルム用ポリアミド組成物から得られるフィルムは、他の熱可塑性樹脂フィルムやアルミニウム箔などと積層体にして、使用することができる。積層される他の熱可塑性樹脂フィルムとしては低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂などから得られるフィルムを挙げることができる。
ポリアミドフィルムと他の熱可塑性樹脂フィルムとの積層体を製造する方法は、公知の方法が適用できる。例えば、ポリアミドフィルムと他の1種もしくは2種以上の熱可塑性樹脂フィルムを接着剤で接着する方法や、ポリアミド樹脂と1種もしくは2種以上の他の熱可塑性樹脂フィルムを構成する熱可塑性樹脂を、接着性樹脂を介して多層口金から溶融共押出しする方法などを適用することができる。
以下において実施例および比較例を掲げて本発明をさらに詳しく説明するが、これらの例に限定されない。以下、実施例、比較例で使用したポリアミド樹脂、酸化防止剤、リン系加工安定剤、各種評価方法を記載する。
<実施例1>
相対粘度が3.6のポリアミド6樹脂(宇部興産(株)製UBE NYLON 1022B)と、ヒンダードフェノール系酸化防止剤であるペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバジャパン(株)製、IRGANOX1010)を0.09質量部、及びリン系加工安定剤であるトリス[2−[[2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェフィン−6−イル]オキシ]エチル]アミン(チバジャパン(株)製、IRGAFOS12)を0.09質量部を、二軸押出機(日本製鋼所(株)製、TEX44型)に供給し、押出機設定温度250℃、スクリュー回転数100rpmの条件で、溶融混練して、造粒し、ポリアミド樹脂組成物を得た。この樹脂組成物のペレットを乾燥後、Tダイを備えた単軸押出機((株)プラスチック工学研究所製40mmφEx)に供給し、押出機設定温度250℃、スクリュー回転数40rpm、冷却ロール温度40℃の条件に設定し、厚さ50μmの評価用ポリアミドフィルムを製造した。
A.フィルム生産性評価
ポリアミドフィルムをTダイ押出機で製造する際、成形中のフィルター差圧の経時測定を実施し、その差圧上昇が顕著に認められる時点をフィルターが閉塞したと判定した。その押出開始から閉塞までのフィルム成形経過時間を測定し、時間が長いほどフィルム生産性は良好であると判断した。なお、フィルターへの閉塞状況を速やかに判断するために、フィルターは細かいメッシュサイズのものを使用し、また熱劣化等促進のため押出温度は通常より20℃高めに設定した。以下に押出条件を示す。
スクリュー内径:30mm
L/D:28
スクリュー圧縮比:3.2
Tダイ:コートハンガータイプ
ダイ幅:300mm
スクリュー回転数:40rpm
フィルターメッシュ:80/125/125/80/500/500/80/125/125/80
押出温度:C1/C2/C3/AD/D=210℃/240℃/280℃/280℃/280℃
B.レトルト処理
前記50μm厚さのポリアミドフィルム(縦150mm、横150mm)をレトルト食品用オートクレーブ(トミー精工製、SR−240)に入れ、135℃、全圧bar(ゲージ圧)、空気分圧1.0bar(ゲージ圧)の条件で30分間処理した。
C.引張伸度の測定
引張伸度は、ASTM D−882に準じて測定し、レトルト処理前と処理後の値を比較した。なお、伸び保持率は、
伸度保持率(%)=(レトルト処理前の引張伸度)/(レトルト処理後の引張伸度)×100
として算出した。
D.透明性評価
前記50μmのポリアミドフィルムを用い、スガ試験機製直読ヘイズメーターにより、ASTM D−1003に準じてフィルムの曇価(ヘイズ率)を測定し、レトルト処理前後のヘイズを比較した。
<実施例2、3>
実施例2は、使用するIRGANOX1010及びIRGAFOS12を、それぞれ0.15質量部及び0.15質量部として二軸押出機に供給し、実施例1の操作に準じてポリアミドフィルムを作成した。一方、実施例3は、同じく使用するIRGANOX1010及びIRGAFOS12を、それぞれ0.045質量部及び0.045質量部とし、実施例1の操作に準じてポリアミドフィルムを作成した。
<比較例1>
実施例1で使用したポリアミド6樹脂に、酸化防止剤及び加工安定剤を添加せずにTダイ押出機に供給し、実施例1同様の条件でポリアミドフィルムを作成し、成形安定性、レトルト処理前後の引張物性、透明度、耐ピンホール性を評価した。
<比較例2>
使用する酸化防止剤の含有量を0.15質量部、及びリン系加工安定剤を添加しなかったこと以外は実施例1の操作に準じてポリアミドフィルムを作成し、成形安定性、レトルト処理前後の引張物性、透明度、耐ピンホール性を評価した。
<比較例3>
使用するリン系加工安定剤を、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト(チバジャパン(株)製、IRGAFOS168)とした以外は実施例1の操作に準じてポリアミドフィルムを作成し、フィルム生産性、レトルト処理前後の引張物性、透明度、耐ピンホール性を評価した。
<比較例4>
使用する酸化防止剤を、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール(チバジャパン(株)製、IRGANOX1330)、およびリン系加工安定剤を、IRGAFOS168(チバジャパン(株)製)とした以外は実施例1の操作に準じてポリアミドフィルムを作成し、フィルム生産性、レトルト処理前後の引張物性、透明度、耐ピンホール性を評価した。
Figure 0005472100
表1より、酸化防止剤および加工安定剤を添加しなかった比較例1は、レトルト処理後の引張伸度の低下が著しく、伸度保持率は17%と低いレベルであった。また、ヘイズも高く、透明性は不良だった。リン系加工安定剤を添加していない比較例2は、レトルト処理後の伸度保持率が72%と改善されたものの、ヘイズが高く透明性不良だった。リン系加工安定剤をIRGAFOS168に変更した比較例3は、伸度保持率は75%と良好で、透明性は若干改善されたものの、フィルム成形時間が5時間と短く、フィルム生産性は不良だった。酸化防止剤をIRGANOX1330に変更した比較例4は、伸度保持率は74%で良好だったものの、透明性が不良であった。更には、フィルム成形時間が6時間と短く、成形性も不良であった。
一方、本発明に準ずる実施例1から3は、レトルト処理後でも伸び保持率は70%以上、特に実施例1及び2は80%以上で優良であった。レトルト処理後のヘイズは、いずれも6.0%以下であり、透明性に優れていた。更には、12時間以上の連続生産が可能であり、フィルム成形性は良好だった。
本発明の、ポリアミド樹脂と特定のヒンダードフェノール系酸化防止剤及びリン系加工安定剤を適量含有するポリアミド樹脂組成物は、フィルム生産性に優れていながら、熱安定性、透明性も良好であり、かつレトルト処理後の引張物性保持率が高いため、生麺、加工食品、漬物、肉類などの食品包装用材料に適しており、特に、レトルト食品包装用材料として好適に利用される。

Claims (4)

  1. ポリアミド樹脂100質量部に対し、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を0.03〜0.30質量部、及びトリス[2−[[2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェフィン−6−イル]オキシ]エチル]アミンを0.03〜0.30質量部含有させたポリアミド樹脂組成物からなる食品包装用ポリアミドフィルム
  2. 二軸延伸ポリアミドフィルムである請求項1記載の食品包装用ポリアミドフィルム
  3. ポリアミド樹脂100質量部に対し、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を0.03〜0.30質量部、及びトリス[2−[[2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェフィン−6−イル]オキシ]エチル]アミンを0.03〜0.30質量部含有させたポリアミド樹脂組成物を用いて食品包装用ポリアミドフィルムを製造する方法。
  4. 前記ポリアミドフィルムを二軸延伸する請求項3に記載の方法。
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