JP2002080716A - ポリアミド組成物 - Google Patents

ポリアミド組成物

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JP2002080716A
JP2002080716A JP2001175079A JP2001175079A JP2002080716A JP 2002080716 A JP2002080716 A JP 2002080716A JP 2001175079 A JP2001175079 A JP 2001175079A JP 2001175079 A JP2001175079 A JP 2001175079A JP 2002080716 A JP2002080716 A JP 2002080716A
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acid
film
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Koji Nakamura
孝治 中村
Yutaka Yamaguchi
裕 山口
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Ube Corp
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Ube Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高温でのレトルト処理を行っても、機械的性質
や透明性の低下が小さく、フィルム製膜性も良好なフィ
ルム用ポリアミド組成物を提供する。 【解決手段】(A)末端基濃度の異なる2種類以上のポ
リアミドからなるポリアミド混合物 100重量部と、
(B)一般式(1)で表されるヒドロキシフェニルプロピ
オン酸エステル 0.01〜1.0重量部とを含むポリ
アミド組成物であって、(A)の末端基濃度の異なる2
種類以上のポリアミドからなるポリアミド混合物のアミ
ノ末端基濃度が2.0×10-5〜7.0×10-5当量/
g、かつ、カルボキシル末端基濃度が1.5×10-5
4.0×10-5当量/gであり、アミノ末端基濃度がカ
ルボキシル末端基濃度より高いことを特徴とする。 【化1】 (式中、R1は炭素数1〜3のアルキル基を表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、末端基濃度の異な
る2種類以上のポリアミドからなるポリアミド混合物と
特定の酸化防止剤を特定量含有するポリアミド組成物、
および、それから得られる食品包装用ポリアミドフィル
ムに関する。詳しくは、レトルト処理後でも、機械的性
質や透明性の低下が少ないなどの実用的性質が良好なフ
ィルムの製造に適したポリアミド組成物である。このポ
リアミド組成物は、食品包装用ポリアミドフィルム、特
に、レトルト食品包装用フィルムに好適である。
【0002】
【従来の技術】ポリアミドからなるフィルムは、ガスバ
リヤ性、強靭性、耐ピンホール性、耐熱性あるいは耐油
性などの諸特性が優れている。そのため、ポリアミドは
包装用フィルム、特に食品包装用分野を中心に、単層フ
ィルムあるいはラミネートフィルムの基材として、ま
た、他樹脂との共押出による多層フィルムの構成素材と
して使用されている。
【0003】生麺、調理食品や漬物などの食品類を充填
包装する工程において、長期保存を目的に内容物を充填
後、滅菌処理のため、高温高湿度でレトルト処理される
ことが多くなっている。近年、レトルト処理時の温度は
約130℃と高くなる傾向にあり、食品包装用フィルム
は、約130℃の熱水や水蒸気での処理により、機械的
性質や透明性が変化しないことが求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ポリアミドフィルムは
約130℃の高温高湿度の条件でレトルト処理された場
合、機械的性質、特に、引張強度が大きく低下したり、
白化して透明性が損なわれたりすることがあった。
【0005】そのため、高温高湿度のレトルト処理を行
っても、機械的性質や透明性などの低下が少ないポリア
ミドに関する開発が進められている。例えば、ポリアミ
ドフィルムが直接高温高湿度の環境にさらされないよう
に、表面にポリエステルフィルムをラミネートする方法
が提案されている。しかし、この方法は、ポリアミドフ
ィルム自体の特性は改良されておらず、生産工程が長く
なったり、複雑となったりして、生産性の面で課題があ
った。
【0006】特開平4−28727号公報には、特定の
末端基変性ポリアミド樹脂よりなるレトルト食品包装用
フィルムが開示されている。この方法で得られるポリア
ミドフィルムでも、レトルト処理後の機械的性質や透明
性は低下することがあり、用途によっては使用に制約が
あった。特開平7−268209号公報には、特定の酸
化防止剤が配合されたポリアミド組成物からなるレトル
ト食品包装用フィルムが開示されている。この方法で得
られるポリアミドフィルムはレトルト処理後の機械的性
質や透明性は必ずしも十分と言えなかった。また、特開
昭59−231089号公報には、ヒドロキシフェニル
プロピオン酸エステルを含むポリアミド組成物が開示さ
れている。しかし、このポリアミド組成物の性質に関す
る具体的なデータの開示はなく、また、フィルム用途に
関する記載やレトルト処理による実用的性質への影響に
関する示唆もされていない。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、レトルト
処理を行っても、機械的性質や透明性などの低下が少な
いフィルム用ポリアミドの開発を目的に検討した結果、
末端基濃度の異なる2種類以上のポリアミドからなるポ
リアミド混合物と特定の酸化防止剤を含むポリアミド組
成物が本発明の目的を達成することを見出し、本発明に
到達した。
【0008】すなわち、本発明の第一の発明は、(A)
末端基濃度の異なる2種類以上のポリアミドからなるポ
リアミド混合物100重量部と、(B)一般式(1)で
表されるヒドロキシフェニルプロピオン酸エステル
0.01〜1.0重量部とを含むポリアミド組成物であ
って、(A)の末端基濃度の異なる2種類以上のポリア
ミドからなるポリアミド混合物のアミノ末端基濃度が
2.0×10-5〜7.0×10-5当量/g、カルボキシ
ル末端基濃度が1.5×10-5〜4.0×10-5当量/
gであり、かつ、アミノ末端基濃度がカルボキシル末端
基濃度より高いポリアミド組成物である。
【化2】 (式中、R1は炭素数1〜3のアルキル基を表す。)
【0009】本発明の第二の発明は、前記のポリアミド
組成物から得られる食品包装用ポリアミドフィルムであ
る。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おいて使用される(A)ポリアミド混合物を構成する末
端基濃度の異なるポリアミドは、特定量のアミン類、あ
るいはアミン類とカルボン酸類からなる混合物の存在
下、または、不存在下に、3員環以上のラクタム、アミ
ノ酸、またはジアミンとジカルボン酸とからなるナイロ
ン塩を原料として、溶融重合、溶液重合や固相重合など
の公知の方法で重合、または共重合させることによって
製造される。混合物を構成するポリアミドの末端基構造
はアミノ基、カルボキシル基、または炭素数1〜22の
炭化水素基などである。
【0011】3員環以上のラクタムとしては、例えば、
ε―カプロラクタム、ω−エナントラクタム、ω−ラウ
ロラクタム、α―ピロリドン、α―ピペリドンなどを挙
げることができる。アミノ酸としては、例えば、6―ア
ミノカプロン酸、7―アミノヘプタン酸、9―アミノノ
ナン酸、11―アミノウンデカン酸、12―アミノドデ
カン酸などを挙げることができる。
【0012】ナイロン塩を構成するジアミンとしては、
例えば、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジア
ミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミ
ン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウ
ンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、
2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレン
ジアミンなどの脂肪族アミン、1,3−/1,4−ビス
(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミ
ン、ピペラジン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メ
タン、2,2−ビス−(4’−アミノシクロヘキシル)
プロパンなどの脂環族ジアミン、およびメタキシリレン
ジアミン、パラキシリレンジアミン等の芳香族ジアミン
を挙げることができる。
【0013】ナイロン塩を構成するジカルボン酸として
は、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタール酸、アジ
ピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバ
シン酸、ウンデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸
類、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル
酸、イソフタル酸、キシリレンジカルボン酸などの脂環
式、芳香族ジカルボン酸類が挙げられる。
【0014】本発明の末端基濃度の異なるポリアミドの
製造で、特定量のアミン類、あるいはアミン類とカルボ
ン酸類からなる混合物を使用する場合、アミン類、ある
いはアミン類とカルボン酸類からなる混合物は、重合反
応中の任意の段階で添加できるが、重合反応の初期段階
に添加することが好ましい。添加されるアミン類、ある
いはアミン類とカルボン酸類からなる混合物の使用量は
製造しようとするポリアミドのアミノ末端基濃度、カル
ボキシル末端基濃度および相対粘度を考慮して、公知の
方法により適宜決められる。通常、3員環以上のラクタ
ム、アミノ酸、またはナイロン塩などのポリアミド原料
1モルに対して、アミン類、あるいはアミン類とカルボ
ン酸類の混合物は、1〜25meq/モル、好ましく
は、3.5〜18meq/モルの割合で添加される。
【0015】添加されるアミン類の具体例としては、メ
チルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルア
ミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミ
ン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ノニ
ルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミンなどの脂肪
族アミン、シクロヘキシルアミン、メチルシクロヘキシ
ルアミンなどの脂環式モノアミン、ベンジルアミン、β
―フエニルメチルアミンなどの脂肪族モノアミン、N-N
ジメチルアミン、N−Nジエチルアミン、N−Nジプロ
ピルアミン、N−Nジブチルアミン、N−Nジヘキシル
アミン、N−Nジオクチルアミンなどの対称第二アミ
ン、N−メチルーN−エチルアミン、N−メチルーNブ
チルアミン、N−メチルーNドデシルアミン、N−メチ
ルーNオクタデシルアミン、N−エチルーNヘキサデシ
ルアミン、N−エチルーNオクタデシルアミン、N−プ
ロピルーNヘキサデシルアミンなどの混成第二アミン、
エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチ
レンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレ
ンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレン
ジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミ
ン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミ
ン、トリデカメチレンジアミン、ヘキサデカメチレンジ
アミン、オクタデカメチレンジアミン、2,2,4−/
2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンなどの
脂肪族ジアミン、シクロヘキサンジアミン、メチルシク
ロヘキサンジアミン、1,3−/1,4−ビス(アミノ
メチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ピペラ
ジン、ビス(4,4’−アミノシクロヘキシル)メタ
ン、2,2−ビス−(4’−アミノシクロヘキシル)プ
ロパンなどの脂環式ジアミン、およびメタキシリレンジ
アミン、パラキシリレンジアミン等の芳香族ジアミンを
挙げることができる。
【0016】カルボン酸類の具体例は、酢酸、プロピオ
ン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリ
ン酸、ウンデカン酸、ラウリル酸、トリデカン酸、パル
ミチン酸、ステアリン酸などの脂肪族モノカルボン酸、
シクロヘキサンカルボン酸、メチルシクロヘキサンカル
ボン酸などの脂環式モノカルボン酸、安息香酸、トルイ
ル酸、エチル安息香酸、フエニル酢酸などの芳香族モノ
カルボン酸、マロン酸、コハク酸、グルタール酸、アジ
ピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバ
シン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカンジオン酸、ヘキ
サデカジオン酸、ヘキサデセンジオン酸、オクタデカジ
オン酸、オクタデセンジオン酸、エイコサンジオン酸、
エイコセンジオン酸、ドコサンジオン酸、ジグリコール
酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸などの脂肪族ジカ
ルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの
脂環式ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フ
タル酸、メタキシリレンジカルボン酸、パラキシリレン
ジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸を挙げることが
できる。
【0017】(A)ポリアミド混合物は、アミノ末端基
濃度は2.0×10-5〜7.0×10-5当量/g、好ま
しくは、 3.0×10-5〜6.5×10-5当量/g、
カルボキシル末端基濃度は1.5×10-5〜4.0×1
-5当量/g、好ましくは、2.0×10-5〜3.5×
10-5当量/g、であり、かつ、アミノ末端基濃度はカ
ルボキシル末端基濃度より高いものである。(A)ポリ
アミド混合物は末端基濃度の異なる2種類以上のポリア
ミドで構成されるため、(A)ポリアミド混合物のアミ
ノ末端基濃度、カルボキシル末端基濃度は、構成するポ
リアミドのアミノ末端基濃度、カルボキシル末端基濃度
および配合割合により決まる。(A)ポリアミド混合物
のアミノ末端基濃度、カルボキシル末端基濃度が前記の
範囲をはずれた場合やカルボキシル末端基濃度がアミノ
末端基濃度より高い場合など、前記の条件のいずれかが
満たされない場合、レトルト処理後のポリアミドフィル
ムの機械的性質や透明性の低下が大きくなることがあ
る。
【0018】(A)ポリアミド混合物は、JIS K 6
810に準じて測定した相対粘度が、2.0〜5.0、
好ましくは、2.5〜4.0である。この相対粘度は、
ポリアミド混合物を構成するポリアミドの相対粘度およ
び配合割合により決まる。ポリアミド混合物の相対粘度
が2.0より小さい場合、得られるポリアミドフィルム
の機械的性質が低くなる。また、5.0より大きくなる
と、溶融時の粘度が高くなり、フィルムの製造が困難と
なることがあり、平滑なフィルムを得ることが難しくな
る。
【0019】(A)ポリアミド混合物を構成する末端基
濃度の異なる2種類以上のポリアミドの混合割合は、ポ
リアミド混合物のアミノ末端基濃度およびカルボキシル
末端基濃度が本発明の末端基濃度の条件に満足すれば、
任意の割合で混合することができる。
【0020】(A)ポリアミド混合物は、類似の末端基
濃度を有するポリアミドが混合されたものより、末端基
濃度に差があるもの、例えば、アミノ末端基濃度が1.
0×10-5当量/g以上、好ましくは、2.0×10-5
当量/g以上、より好ましくは、3.0×10-5当量/
g以上の差があるポリアミドを混合したものの方がよ
い。
【0021】また、本発明の目的を達成するうえで、
(A)ポリアミド混合物を構成するポリアミドの少なく
とも1種類はアミノ末端基濃度とカルボキシル末端基濃
度との差が1.0×10-5当量/g以上、好ましくは、
2.0×10-5当量/g以上である、いわゆるアミノ基
リッチのポリアミドがあることが好ましい。また、ポリ
アミド混合物を構成するポリアミドは、混合の容易さや
フィルム製造の容易さの観点から、同種のポリアミド、
例えば、ナイロン6どうし、ナイロン6/12共重合体
どうし、ナイロン6/66/12どうしなどを使用する
ことが好ましい。
【0022】本発明のポリアミド混合物と同一範囲内の
末端基濃度を有し、かつ、相対粘度も同一範囲内にある
単独のポリアミドを得ることは可能である。しかし、理
由は不明であるが、単独のポリアミドは、レトルト処理
により機械的性質や透明性が低下することがあったり、
フィルムの連続製造において、製造時間が長くなると、
ゲル状物が多数発生するなどの現象が起ることがあり、
本発明の目的を達成することが難しい。
【0023】本発明において使用される、(B)一般式
(1)で表されるヒドロキシフェニルプロピオン酸エス
テルは(以下、これを単にヒドロキシフェニルプロピオ
ン酸エステルと呼ぶ。)、3−(3−アルキルー5−t
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、ま
たはその酸塩化物、酸無水物などの反応性誘導体と3,
9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)
2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウン
デカン類とを公知の方法で反応させることにより製造す
ることができる。
【化3】 (式中、R1は炭素数1〜3のアルキル基を表す。)
【0024】かかる一般式(1)で表されるヒドロキシ
フェニルプロピオン酸エステルにおいて、R1は、メチ
ル基、エチル基、プロピル基を示すが、熱および酸化安
定性の点でメチル基が好ましい。ヒドロキシフェニルプ
ロピオン酸エステルの具体例としては、3,9−ビス
[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−
メチルフエニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメ
チルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ
[5・5]ウンデカン、3,9−ビス[2−〔3−(3
−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−エチルフエニル)
プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−
2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウン
デカン、3,9−ビス[2−〔2−(3−t−ブチル−
4−ヒドロキシ−5−イソプロピルフエニル)プロピオ
ニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,
8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンな
どがあるが、これらの中では、3,9−ビス[2−〔3
−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフエ
ニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチ
ル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・
5]ウンデカンが好ましく使用される。
【0025】本発明のポリアミド組成物は、ポリアミド
混合物100重量部と、ヒドロキシフェニルプロピオン
酸エステル0.01〜1.0重量部、好ましくは、0.
01〜0.5重量部、より好ましくは0.05〜0.2
5重量部を含有するものである。ヒドロキシフェニルプ
ロピオン酸エステルの配合量が0.01重量部未満の場
合、高温でのレトルト処理で機械的性質が低下すること
があったり、フィルムの製造時間が長くなると、ゲル状
物が発生し易くなったりする。また1.0重量部を超え
て配合しても、それに見合う効果の向上が期待できず、
経済的に不利となる。
【0026】本発明の目的達成のためには、末端基濃度
の異なる2種類以上のポリアミドからなるポリアミド混
合物とアミノ末端基濃度およびカルボキシル末端基濃度
が特定の濃度範囲にあることと特定のヒドロキシフェニ
ルプロピオン酸エステルが特定量配合されることが必要
である。
【0027】また、本発明のポリアミド組成物には、特
性の損なわない範囲内で、(B)ヒドロキシフェニルプ
ロピオン酸エステル以外の公知のフェノール系酸化防止
剤、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォス
ファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニ
ル)−4,4‘−ビフェニレンフォスファイトなどのリ
ン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、紫外線吸収剤を
含む耐候剤、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マ
グネシウムなどの金属石鹸、メチレンビスアミド、エチ
レンビスアミドなどのビスアミド化合物、ポリ(オキシ
エチレン)アルキルアミン、アルキルスルホネート、第
4級アンモニウムサルフェートなどの帯電防止剤、シリ
カ、タルク、モンモリナイトなどの各種フィラー、ブロ
ッキング防止剤、染料、顔料などの各種添加剤が配合さ
れていてもよい。
【0028】本発明のポリアミド組成物は、ポリアミド
混合物とヒドロキシフェニルプロピオン酸エステルおよ
び必要に応じて各種添加剤を配合し、公知の方法で混合
することによって製造される。例えば、タンブラーやミ
キサーなどの公知の混合装置を使用し、ポリアミド混合
物とヒドロキシフェニルプロピオン酸エステルとをドラ
イブレンドして製造する方法、ヒドロキシフェニルプロ
ピオン酸エステルを可溶な溶媒に溶解させた溶液をポリ
アミド混合物に散布した後、溶媒を蒸発させて製造する
方法、ポリアミド混合物とヒドロキシフェニルプロピオ
ン酸エステルを公知の一軸または二軸の押出機を用いて
溶融混練して、製造する方法などがある。なお、ポリア
ミド混合物は末端基濃度の異なる2種類以上のポリアミ
ドをドライブレンド、溶融ブレンドなど公知のブレンド
法によって容易に得ることができる。
【0029】本発明のポリアミド組成物からフィルムを
製造する方法としては、公知のポリアミドのフィルム製
造方法を適用することができる。例えば、本発明のポリ
アミド組成物を押出機で溶融混練し、T−ダイあるいは
コートハンガーダイによりフラットフィルム状に押出
し、キャスティングロール面上にキャスティング、冷却
してフィルムを製造するキャスティング法、リング状ダ
イにより筒状に溶融押出したチューブ状物を空冷あるい
は水冷してフィルムを製造するチューブラー法等があ
る。製造されたフィルムは未延伸の状態で使用できる
が、通常、延伸フィルムとして使用されることが多い。
延伸フィルムとしては、一軸延伸フィルム、同時二軸延
伸フィルム、逐次二軸延伸フィルムなどであり、これら
は、ロール式一軸延伸法、テンター式逐次二軸延伸法、
テンター式同時二軸延伸法、チューブラー延伸法など公
知の延伸方法によって製造される。また、延伸工程はポ
リアミドフィルムの製造に引続き、連続して実施しても
良いし、ポリアミドフィルムを一旦巻き取り、別工程と
して延伸を実施しても良い。
【0030】延伸フィルムの延伸倍率は使用用途によっ
て異なるが、通常、一軸延伸フィルムの場合、1.5〜
5倍、好ましくは、1.8〜3.5倍である。また、テ
ンター式二軸延伸フィルムは、通常、フィルム製造の巻
取方向(縦方向)の延伸倍率は1.5〜4倍、巻取方向
と直角の方向(横方向)の延伸倍率は1.5〜5倍であ
る。チューブラー法で延伸する場合、縦方向1.5〜4
倍、横方向1.5〜4倍である。
【0031】更に、本発明のポリアミド組成物から得ら
れるフィルムは、他の高分子フィルムやアルミニウム箔
などと積層体にして、使用することができる。積層され
る他の高分子フィルムとしては低密度ポリエチレン、高
密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/酢酸ビ
ニル共重合体、アイオノマー樹脂などから得られるフィ
ルムを挙げることができる。
【0032】ポリアミドフィルムと他の高分子フィルム
との積層体を製造する方法は、公知の方法が適用でき
る。例えば、ポリアミドフィルムと他の1種もしくは2
種以上の高分子フィルムを接着剤で接着する方法や、ポ
リアミド組成物と1種もしくは2種以上の他の高分子フ
ィルムを構成する高分子化合物を、接着性樹脂を介して
多層口金から溶融共押出しする方法などを適用すること
ができる。
【0033】本発明のポリアミド組成物から得られるフ
ィルムは熱安定性に優れ、かつ、レトルト処理により実
用的性質の低下が少ないため、生麺、加工食品、漬物、
肉類などの食品包装用材料に適しており、特に、レトル
ト食品包装用材料として好適に利用される。
【0034】
【実施例】以下において実施例および比較例を掲げて本
発明をさらに詳しく説明するが、これらの例に限定され
ない。以下、実施例、比較例で使用したポリアミドの合
成法、酸化防止剤およびポリアミドフィルムの評価方法
を記載する。
【0035】1.ポリアミド(ナイロン)の合成 (1)A−1(ナイロン6)の合成 70リットルのオートクレイブに、ε−カプロラクタム
20 kg、水1.0kgとメタキシリレンジアミン83g
(6.9meq/molカプロラクタム)を仕込み、重合
槽内を窒素置換した後、100℃まで加熱し、この温度
で反応系内が均一な状態になるように攪拌した。次いで
重合槽内温度を260℃まで昇温させ、槽内圧力を1
7.5kgf/cmに調圧しながら、2時間攪拌下に
重合した。その後、約2時間かけて常圧に放圧し、次い
で、400mmHgまで減圧し、減圧下において2時間重
合を行なった。次いで、窒素をオートクレーブ内に導入
し、常圧に復圧後、反応容器の下部ノズルからストラン
ドとして抜き出し、カッティングしてペレットを得た。
このペレットを熱水中に浸漬し、約10%の未反応モノ
マーを抽出、除去した後、減圧乾燥した。得られたポリ
マーの相対粘度は、2.6、アミノ末端基濃度 9.7
×10-5 eq/g、カルボキシル末端基濃度 2.3×1
-5 eq/gであった。
【0036】(2)A−2(ナイロン6)の合成 70リットルのオートクレイブに、ε−カプロラクタム
20kg、水1.0kgを仕込み、重合槽内を窒素置換した
後、100℃まで加熱し、この温度で反応系内が均一な
状態になるように攪拌した。次いで重合槽内温度を26
0℃まで昇温させ、槽内圧力を17.5kgf/cm
に調圧しながら、2時間攪拌下に重合した。その後、約
2時間かけて常圧に放圧し、水分を反応容器から揮散さ
せながら、常圧、窒素気流下で2時間重合を行なった。
反応終了後、反応容器の下部ノズルからストランドとし
て抜き出し、カッティングしてペレットを得た。このペ
レットを熱水中に浸漬し、約10%の未反応モノマーを
抽出して除去した後、減圧乾燥した。得られたポリマー
の相対粘度は3.6、アミノ末端基濃度4.1×10-5
eq/g 、カルボキシル末端基濃度 4.2×10-5 eq
/gであった。
【0037】(3)A−3(ナイロン6)の合成 70リットルのオートクレイブに、ε−カプロラクタム
20kg、水1.0kgを仕込み、重合槽内を窒素置換した
後、100℃まで加熱し、この温度で反応系内が均一な
状態になるように攪拌した。 次いで重合槽内温度を2
60℃まで昇温させ、槽内圧力を17.5kgf/cm
に調圧しながら、2時間攪拌下に重合した。その後、
約2時間かけて常圧に放圧し、水分を反応容器から揮散
させながら、常圧、窒素気流下で3時間重合を行なっ
た。反応終了後、反応容器の下部ノズルからストランド
として抜き出し、カッティングしてペレットを得た。こ
のペレットを熱水中に浸漬し、約10%の未反応モノマ
ーを抽出して除去した後、減圧乾燥した。得られたポリ
マーの相対粘度は4.4、アミノ末端基濃度 3.3×
10-5 eq/g、カルボキシル末端基濃度3.1×10
-5 eq/g であった。
【0038】2.使用した酸化防止剤 B−1:3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−
4−ヒドロキシ−5−メチルフエニル)プロピオニルオ
キシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10
−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン:住友化学
工業株式会社製酸化防止剤 商品名スミライザー GA
−80 B−2:ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,
5−ジーt−ブチルー4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート]:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会
社製酸化防止剤 商品名イルガノックス1010
【0039】3.ポリアミドの相対粘度の測定 ポリアミドの相対粘度ηrはJIS K6810に準じ
て、98%の硫酸中、ポリアミド濃度1%、温度25℃
の条件下で測定した。
【0040】3.ポリアミドの末端基濃度の測定 アミノ末端基濃度は、ポリアミド1gをフェノール・メタ
ノール混合溶液に溶解し、0.02Nの塩酸で滴定して
測定した。カルボキシル末端基濃度は、ポリアミド1g
をベンジルアルコールに溶解し、0.05Nの水酸化ナ
トリウム溶液で滴定して測定した。
【0041】4.評価用フィルムの作成 ポリアミドと酸化防止剤を二軸押出機(日本製鋼所製、
TEX30型)に供給し、押出機設定温度250℃、ス
クリュー回転数100rpmの条件で、溶融混練して、
造粒し、ペレットを製造、乾燥した。このペレットをT
ダイを備えた単軸押出機(プラスチック工学研究所製、
Plaborφ40Ex型)に供給し、押出機設定温度
250℃、スクリュー回転数40rpm、冷却ロール温
度30℃の条件に設定して、厚さ100μmのポリアミ
ド未延伸フィルムを製造した。このフィルムから縦90
mm、横90mmのサンプルを切出し、岩本製作所製二
軸延伸機に取付け、延伸温度70℃で同時二軸延伸を行
い、縦2.8倍、横2.8倍に延伸した後、210℃で
熱固定して、二軸延伸フィルムを作成した。この二軸延
伸フィルムからサンプルを切出し、評価用フィルムとし
た。
【0042】5.レトルト処理 上記で得られた未延伸フィルム(縦150mm、横15
0mm)と、延伸フィルム(縦150mm、横150m
m)をそれぞれレトルト食品用オートクレーブ(トミー
精工製、SR−240)に入れ、135℃、全圧3.2
kg/cm2(ゲージ圧)、空気分圧1.0kg/cm2の条件で3
0分間処理した。
【0043】6.引張強度保持率の測定 引張強度はASTM D−882に準じて測定した。引
張強度保持率は[(レトルト処理後引張強度)/(レト
ルト処理前引張強度)]×100(%)で求めた。引張
強度度保持率の値が高いほどレトルト処理による影響が
小さいことを示す。
【0044】7.ヘイズ(曇度)の測定 透明性の尺度であるヘイズはASTM D−1003に
準じ、スガ試験機製の直読ヘイズコンピューター(HG
M−2DP)を使用して測定した。フィルムのレトルト
処理前後のヘイズを測定し、その変化率を計算した。ヘ
イズ変化率=(レトルト処理後のヘイズ)/(レトルト
処理前のヘイズ)
【0045】実施例1〜4及び比較例1〜4 ポリアミドと酸化防止剤とを表1記載の割合で配合し
て、前記の方法で評価用フィルムを作成した。得られた
フィルムのレトルト処理前後の引張強度およびヘイズを
測定した。表1にレトルト処理前後の引張強度、引張強
度保持率、ヘイズおよびヘイズ変化率を示した。
【0046】
【表1】
【0047】
【発明の効果】本発明のポリアミド組成物は、高温での
レトルト処理を行っても、機械的性質や透明性の低下が
小さく、フィルム製膜性も良好である。このポリアミド
組成物は、食品包装用フィルム、特に、レトルト食品包
装用フィルムに好適に利用される。
フロントページの続き Fターム(参考) 3E086 BA02 BB85 CA01 4F071 AA54 AA88 AC10 AC11 AC19 AE05 AH04 BC01 4J002 CL01W CL01X CL03W CL03X CL05W CL05X EL106 FD076 GG02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)末端基濃度の異なる2種類以上のポ
    リアミドからなるポリアミド混合物 100重量部と、
    (B)一般式(1)で表されるヒドロキシフェニルプロピ
    オン酸エステル 0.01〜1.0重量部とを含むポリ
    アミド組成物であって、(A)の末端基濃度の異なる2
    種類以上のポリアミドからなるポリアミド混合物のアミ
    ノ末端基濃度が2.0×10-5〜7.0×10-5当量/
    g、かつ、カルボキシル末端基濃度が1.5×10-5
    4.0×10-5当量/gであり、アミノ末端基濃度がカ
    ルボキシル末端基濃度より高いことを特徴とするポリア
    ミド組成物。 【化1】 (式中、R1は炭素数1〜3のアルキル基を表す。)
  2. 【請求項2】請求項1記載の(A)末端基濃度の異なる
    2種類以上のポリアミドからなるポリアミド混合物の相
    対粘度が2.0〜5.0であるポリアミド組成物。
  3. 【請求項3】請求項1記載の(B)ヒドロキシフェニル
    プロピオン酸エステルが3,9−ビス[2−〔3−(3
    −t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフエニル)
    プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−
    2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウン
    デカンであるポリアミド組成物。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミ
    ド組成物から得られる食品包装用ポリアミドフィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013540192A (ja) * 2010-10-25 2013-10-31 ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. ポリマー組成物、その組成物の製造方法およびその組成物から得られる物品
WO2014104482A1 (ko) * 2012-12-28 2014-07-03 제일모직 주식회사 폴리아미드 수지, 이의 제조방법 및 이를 포함하는 성형품

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