JP2015000966A - ポリアミド樹脂組成物及びそれを用いて製造される成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明が解決しようとする課題は、シリカ等の滑材を用いなくとも、摩擦係数が小さいポリアミド樹脂組成物を提供することにある。【解決手段】 結晶性ポリアミド樹脂(X)及び非晶性ポリアミド樹脂(Y)を含む樹脂組成物であって、前記結晶性ポリアミド樹脂(X)の原料に蓚酸化合物を含み、前記ポリアミド樹脂(Y)の含有量が、前記結晶性ポリアミド樹脂(X)及び前記非晶性ポリアミド樹脂(Y)の総量に対し、15重量%以下であるポリアミド樹脂組成物である。【選択図】 なし
Description
本発明は非晶性ポリアミド樹脂を含むポリアミド樹脂組成物およびそれを用いて製造される成形品に関するものである。
従来からナイロン6、ナイロン66等に代表される結晶性ポリアミド樹脂は、その優れた特性と溶融成形の容易さから、衣料用、産業資材用の繊維、あるいは自動車分野、電気電子分野などにおける射出成型品、また、押出フィルム、先進フィルムとしても広く用いられている。押出フィルム、延伸フィルムはガスバリア性、強靭性、熱的特性や機械的特性に優れるため、食品包装用フィルムや電気電子分野のフィルムなどに単層フィルムあるいは他の樹脂との共押出による積層フィルムの構成素材として、様々な分野に用いられている。
しかしながら、滑材等を添加していないポリアミドフィルム同士は摩擦係数が高く、ラミネート工程や印刷工程等の後加工工程だけでなく、最終工程の包装工程においても不良やトラブルを引き起こす要因となるため、特許文献1、2にあるように、シリカ等の滑材を添加し、滑り性を改善している。
一方、シリカは、凝集しやすく、強度低下等の問題を引き起こしやすい為、これを用いなくとも、摩擦係数の小さいポリアミド樹脂が求められている。
即ち、本発明が解決しようとする課題は、シリカ等の滑材を用いなくとも、摩擦係数が小さいポリアミド樹脂組成物を提供することである。
特定のポリアミド樹脂及び、非晶性ポリアミド樹脂を含有する樹脂組成物が、押出成形性が良好で表面摩擦係数が小さく、かつ、水蒸気バリア性に優れていることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、結晶性ポリアミド樹脂(X)及び非晶性ポリアミド樹脂(Y)を含む樹脂組成物であって、前記結晶性ポリアミド樹脂(X)の原料に蓚酸化合物を含み、前記非晶性ポリアミド樹脂(Y)の含有量が、前記結晶性ポリアミド樹脂(X)及び前記非晶性ポリアミド樹脂(Y)の総量に対し、15重量%以下であるポリアミド樹脂組成物である。
本発明の樹脂組成物は、従来のポリアミド樹脂に比べて、表面摩擦係数が小さく、さらに、水蒸気バリア性に優れ、また、ジカルボン酸成分に蓚酸化合物を用いたポリアミド樹脂であるポリオキサミド樹脂に比べて、押出成形性に優れた組成物を提供することができる。
本発明は、結晶性ポリアミド樹脂(X)及び非晶性ポリアミド樹脂(Y)を含む樹脂組成物であって、前記結晶性ポリアミド樹脂(X)の原料に蓚酸化合物を含み、前記非晶性ポリアミド樹脂(Y)の含有量が、前記結晶性ポリアミド樹脂(X)及び前記非晶性ポリアミド樹脂(Y)の総量に対し、15重量%以下であるポリアミド樹脂組成物である。
[結晶性ポリアミド樹脂(X)]
本発明に用いられる結晶性ポリアミド樹脂(X)は、原料に蓚酸化合物を含むものである。
本発明に用いられる結晶性ポリアミド樹脂(X)は、原料に蓚酸化合物を含むものである。
(1)結晶性ポリアミド樹脂(X)の原料
蓚酸由来の単位を結晶性ポリアミド樹脂(X)に提供する化合物であり、蓚酸及び/又は蓚酸ジエステル等の蓚酸に由来した化合物である。蓚酸化合物はアミノ基との反応性を有するものであればよい。重合温度を高くして、ポリアミドを製造する場合、蓚酸そのものを原料として使用すると、蓚酸が熱分解することもあることから、重合温度を高くして製造する場合の蓚酸化合物は、蓚酸に由来した化合物が好ましい。
蓚酸由来の単位を結晶性ポリアミド樹脂(X)に提供する化合物であり、蓚酸及び/又は蓚酸ジエステル等の蓚酸に由来した化合物である。蓚酸化合物はアミノ基との反応性を有するものであればよい。重合温度を高くして、ポリアミドを製造する場合、蓚酸そのものを原料として使用すると、蓚酸が熱分解することもあることから、重合温度を高くして製造する場合の蓚酸化合物は、蓚酸に由来した化合物が好ましい。
蓚酸に由来した化合物としては、重縮合反応における副反応を抑制する観点から、蓚酸ジエステルが好ましい。
蓚酸ジエステルとしては、脂肪族1価アルコールの蓚酸ジエステル、脂環式アルコールの蓚酸ジエステル、及び芳香族アルコールの蓚酸ジエステルが挙げられる。
脂肪族1価アルコールの蓚酸ジエステルとしては、蓚酸ジメチル、蓚酸ジエチル、蓚酸ジn−(又はi−)プロピル、蓚酸ジn−(又はi−、又はt−)ブチルが挙げられ、炭素原子数が3を超える脂肪族1価アルコールの蓚酸ジエステルが好ましく、蓚酸ジn−ブチル、蓚酸ジi−ブチル及び/又は蓚酸ジt−ブチルがより好ましく、蓚酸ジn−ブチルがさらに好ましい。
脂環式アルコールの蓚酸ジエステルとしては、蓚酸ジシクロヘキシル等が挙げられる。
芳香族アルコールの蓚酸ジエステルとしては、蓚酸ジフェニル等が挙げられる。
蓚酸ジエステルとしては、炭素原子数が3を超える脂肪族1価アルコールの蓚酸ジエステル、脂環式アルコールの蓚酸ジエステル及び芳香族アルコールの蓚酸ジエステルよりなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、蓚酸ジn−ブチル、蓚酸ジi−ブチル及び/又は蓚酸ジt−ブチルがより好ましく、蓚酸ジn−ブチルがさらに好ましい。
これらの蓚酸化合物は、単独で、あるいは2種以上で、結晶性ポリアミド樹脂(X)の製造時に添加することができる。
蓚酸化合物以外の原料としては、蓚酸化合物以外のジカルボン酸、ジアミン、ラクタム、アミノカルボン酸等が挙げられる。
蓚酸化合物以外のジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン、芳香族ジカルボン酸およびそれに由来した化合物が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸としては、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸が挙げられる。
脂環式ジカルボン酸としては、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジ安息香酸、4,4’−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸が挙げられる。
これらの蓚酸化合物以外のジカルボン酸は、単独で、あるいは2種以上で、結晶性ポリアミド樹脂(X)の製造時に添加することができる。
さらに、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸を蓚酸化合物以外のジカルボン酸の有無に関わらず、溶融成形が可能な範囲内で用いることもできる。
蓚酸化合物は、結晶性ポリアミド樹脂(X)に用いる全ジカルボン酸中、得られるポリマーの吸水性の観点から、好ましくは、50モル%以上であり、より好ましくは80モル%以上であり、さらに好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは99モル%以上である。蓚酸化合物の割合が多いと吸水性が低くなる傾向にある。
また、蓚酸化合物は、結晶性ポリアミド樹脂(X)に用いる全原料中、得られるポリマーの吸水性の観点から、好ましくは、10モル%以上であり、より好ましくは30モル%以上であり、さらに好ましくは49モル%以上である。
ジアミンとしては、たとえば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン等の脂肪族ジアミン、シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン等の脂環式ジアミン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等の芳香族ジアミン等が挙げられ、これらを単独で、あるいは二種以上で、製造時に添加することができる。
これらの中でも、ポリアミド(X)の高分子量化、及び、原料の供給安定性の観点から、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、得られるポリマーの融点、吸水性のバランスのから、1,9−ノナンジアミン及び/又は2−メチル−1,8−オクタンジアミンがより好ましい。
1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比は、結晶性ポリアミド樹脂(X)の高分子量化の観点から、1:99〜99:1であることが好ましく、5:95〜95:5であることがより好ましく、5:95〜40:60又は60:40〜95:5であることがさらに好ましく、5:95〜30:70又は70:30〜90:10であることがさらに好ましい。
1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンは、結晶性ポリアミド樹脂(X)に用いる全ジアミン中に、得られるポリマーの融点、吸水性、機械的特性のバランスから、好ましくは、50モル%以上であり、より好ましくは80モル%以上であり、さらに好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは99モル%以上である。
また、1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンは、結晶性ポリアミド樹脂(X)に用いる全原料中、得られるポリマーの吸水性の観点から、好ましくは、10モル%以上であり、より好ましくは30モル%以上であり、さらに好ましくは49モル%以上である。
ラクタムとしては、ε−カプロラクタム、ω−エナントラクタム、ω−ラウロラクタム、α−ピロリドン、α−ピペリドン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、ε−カプロラクタム及び/又はω−ラウロラクタムが好ましい。
アミノカルボン酸としては、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンドデカン酸、12−アミノドデカン酸等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンドデカン酸及び/又は12−アミノドデカン酸が好ましい。
本発明に用いられる結晶性ポリアミド樹脂(X)は、ポリアミドを製造する方法として知られている任意の方法を用いて製造することができるが、高分子量化及び生産性の観点から、好ましくは、原料をバッチ式又は連続式で重縮合反応させることにより製造することであり、より好ましくは、原料を前重縮合工程と後重縮合工程とからなる二段重合法又はWO2008−072754公報記載の加圧重合法によって製造することである。
(2)結晶性ポリアミド樹脂(X)の製造
二段重合法及び加圧重合法の例としては、具体的には、以下の操作が挙げられる。なお、ジカルボン酸は、蓚酸化合物を含む。
二段重合法及び加圧重合法の例としては、具体的には、以下の操作が挙げられる。なお、ジカルボン酸は、蓚酸化合物を含む。
(2−1)二段重合法
(i)前重縮合工程:まず反応器内を窒素置換した後、原料を混合する。混合する場合に原料が可溶な溶媒を用いても良い。ジアミン及び蓚酸化合物が共に可溶な溶媒として、トルエン、キシレン、トリクロロベンゼン、フェノール、トリフルオロエタノールなどを用いることができ、特にトルエンを好ましく用いることができる。例えば、ジアミンを溶解したトルエン溶液を50℃に加熱した後、これに対して蓚酸ジエステルを加える。
(i)前重縮合工程:まず反応器内を窒素置換した後、原料を混合する。混合する場合に原料が可溶な溶媒を用いても良い。ジアミン及び蓚酸化合物が共に可溶な溶媒として、トルエン、キシレン、トリクロロベンゼン、フェノール、トリフルオロエタノールなどを用いることができ、特にトルエンを好ましく用いることができる。例えば、ジアミンを溶解したトルエン溶液を50℃に加熱した後、これに対して蓚酸ジエステルを加える。
ジアミン及びジカルボン酸の仕込み比は、高分子量化の観点から、ジカルボン酸のモル量/ジアミンのモル量で、0.8〜1.5(モル比)、好ましくは0.91〜1.1(モル比)、更に好ましくは0.99〜1.01(モル比)である。
このように仕込んだ反応器内を攪拌及び/又は窒素バブリングしながら、常圧下で昇温する。反応温度は、最終到達温度が80〜150℃、好ましくは100〜140℃の範囲になるように制御するのが好ましい。最終到達温度での反応時間は3時間〜6時間とすることが好ましい。
(ii)後重縮合工程:更に高分子量化を図るために、前重縮合工程で生成した重合物を常圧下において反応器内で徐々に昇温する。昇温過程において前重縮合工程の最終到達温度、すなわち好ましくは80〜150℃から、最終的に、好ましくは295℃以上350℃以下、より好ましくは298℃以上345℃以下、更に好ましくは298℃以上340℃以下の温度範囲にまで到達させる。
昇温時間を含めて好ましくは1〜8時間、より好ましくは2〜6時間保持して反応を行うことが好ましい。さらに後重合工程において、必要に応じて減圧下での重合を行うこともできる。減圧重合を行う場合の好ましい最終到達圧力は13.3Pa以上0.1MPa未満である。
(2−2)加圧重合法
まずジアミンを耐圧容器内に入れ窒素置換した後、封圧下において反応温度まで昇温する。その後、反応温度において封圧状態を保ったまま、ジカルボン酸を耐圧容器内に注入し、重縮合反応を開始させる。反応温度は、ジアミン及びジカルボン酸の反応によって生じるポリアミドが、スラリー状、もしくは溶液状態を維持でき、かつ熱分解しない温度であれば特に制限されない。ジアミン及びジカルボン酸の仕込み比は、ジカルボン酸のモル量/ジアミンのモル量で、0.8〜1.5(モル比)、好ましくは0.91〜1.1(モル比)、更に好ましくは0.99〜1.01(モル比)である。
まずジアミンを耐圧容器内に入れ窒素置換した後、封圧下において反応温度まで昇温する。その後、反応温度において封圧状態を保ったまま、ジカルボン酸を耐圧容器内に注入し、重縮合反応を開始させる。反応温度は、ジアミン及びジカルボン酸の反応によって生じるポリアミドが、スラリー状、もしくは溶液状態を維持でき、かつ熱分解しない温度であれば特に制限されない。ジアミン及びジカルボン酸の仕込み比は、ジカルボン酸のモル量/ジアミンのモル量で、0.8〜1.5(モル比)、好ましくは0.91〜1.1(モル比)、更に好ましくは0.99〜1.01(モル比)である。
次に耐圧容器内を封圧状態に保ちながら結晶性ポリアミド樹脂(X)の融点以上かつ熱分解しない温度以下に昇温する。例えば、ジアミンの場合、融点が通常は245〜300℃であることから、250℃以上350℃以下、好ましくは255℃以上340℃以下、更に好ましくは260℃以上335℃以下に昇温する。所定温度に到達するまでの耐圧容器内の圧力は、およそ生成するアルコールの飽和蒸気圧から0.1MPaG、好ましくは1MPaGから0.2MPaGに調整する。所定温度に到達後は、生成したアルコールを留去しながら放圧し、必要に応じて常圧窒素気流下もしくは減圧下において継続して重縮合反応を行う。減圧重合を行う場合の好ましい最終到達圧力は13.3Pa以上0.1MPa未満である。
(3)結晶性ポリアミド樹脂(X)の特性
ポリアミド樹脂濃度が1.0g/dl(溶媒:96質量%硫酸)の溶液を用い、25℃で測定した本発明に用いられる結晶性ポリアミド樹脂(X)の相対粘度は、物性や成形性の観点から、1.8〜6.0が好ましく、2.0〜5.5がより好ましく、2.5〜4.5がさらに好ましい。
ポリアミド樹脂濃度が1.0g/dl(溶媒:96質量%硫酸)の溶液を用い、25℃で測定した本発明に用いられる結晶性ポリアミド樹脂(X)の相対粘度は、物性や成形性の観点から、1.8〜6.0が好ましく、2.0〜5.5がより好ましく、2.5〜4.5がさらに好ましい。
[非晶性ポリアミド樹脂(Y)]
本発明に用いられる非晶性ポリアミド樹脂(Y)は、結晶化がほとんど起こらないか、又は結晶化速度が非常に小さいポリアミド樹脂である。具体的には、DSCにて10℃/minの昇温条件で行なったチャートで明確な融解による吸熱ピークを示さないポリアミド樹脂をさす。
本発明に用いられる非晶性ポリアミド樹脂(Y)は、結晶化がほとんど起こらないか、又は結晶化速度が非常に小さいポリアミド樹脂である。具体的には、DSCにて10℃/minの昇温条件で行なったチャートで明確な融解による吸熱ピークを示さないポリアミド樹脂をさす。
非晶性ポリアミド樹脂は、結晶化を阻害するような構造を有するポリアミド樹脂が好ましく、たとえば、分岐構造を有する脂肪族又は、脂環族、芳香族等の官能基を主鎖又は側鎖に有するポリアミドが挙げられる。また、結晶化を阻害する観点から、共重合体であることがより好ましい。非晶性ポリアミドの重合方法は、公知の方法であればよく、特に限定されるものではない。
非晶性ポリアミドに用いられるジカルボン酸としては、たとえば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジ安息香酸、4,4’−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸が挙げられる。
非晶性ポリアミドに用いられるジアミンとして、たとえば、シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン等の脂環式ジアミン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等の芳香族ジアミンが挙げられる。
本発明に用いられる非晶性ポリアミド樹脂(Y)は、たとえば、ポリアミド6T/6Iのような芳香環を有した共重合体が結晶性ポリアミド樹脂の結晶化を阻害するため好ましい。
[樹脂組成物]
原料に蓚酸化合物を含む結晶性ポリアミド樹脂(X)と非晶性ポリアミド樹脂(Y)を含むポリアミド樹脂組成物であり、結晶性ポリアミド樹脂(X)及び非晶性ポリアミド樹脂(Y)の総量に対し、前記非晶性ポリアミド樹脂(Y)を、15重量%以下含むポリアミド樹脂組成物である。
原料に蓚酸化合物を含む結晶性ポリアミド樹脂(X)と非晶性ポリアミド樹脂(Y)を含むポリアミド樹脂組成物であり、結晶性ポリアミド樹脂(X)及び非晶性ポリアミド樹脂(Y)の総量に対し、前記非晶性ポリアミド樹脂(Y)を、15重量%以下含むポリアミド樹脂組成物である。
本発明の樹脂組成物において、非晶性ポリアミド樹脂(Y)の含有量は、機械的特性と吸水性の観点から、結晶性ポリアミド樹脂(X)及び非晶性ポリアミド樹脂(Y)の総量に対し、15質量%以下であり、好ましくは14質量%以下であり、より好ましくは13質量%以下である。また、押出成形性の観点から、結晶性ポリアミド樹脂(X)及び非晶性ポリアミド樹脂(Y)の総量に対し、非晶性ポリアミド樹脂(Y)は1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、4質量%以上であることがさらに好ましい。
結晶性ポリアミド樹脂(X)及び非晶性ポリアミド樹脂(Y)の含有量は、それぞれの樹脂の特性、及び本発明の効果を維持する観点から、ポリアミド樹脂組成物全量中、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、95質量%以上がさらに好ましく、99質量%以上がさらに好ましい。
(1)他のポリマー
本発明の樹脂組成物には、本発明に用いられる結晶性ポリアミド樹脂(X)や非晶性ポリアミド樹脂(Y)以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、他のポリマーを含んでよい。他のポリマーとしては、結晶性ポリアミド樹脂(X)や非晶性ポリアミド樹脂(Y)以外のポリアミド樹脂、及びポリアミド樹脂以外の熱可塑性ポリマーが挙げられる。
本発明の樹脂組成物には、本発明に用いられる結晶性ポリアミド樹脂(X)や非晶性ポリアミド樹脂(Y)以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、他のポリマーを含んでよい。他のポリマーとしては、結晶性ポリアミド樹脂(X)や非晶性ポリアミド樹脂(Y)以外のポリアミド樹脂、及びポリアミド樹脂以外の熱可塑性ポリマーが挙げられる。
結晶性ポリアミド樹脂(X)や非晶性ポリアミド樹脂(Y)以外のポリアミド樹脂としては、例えば、結晶性ポリアミド樹脂(X)以外の結晶性芳香族ポリアミド、結晶性脂肪族ポリアミド、結晶性脂環式ポリアミドが挙げられる。
ポリアミド樹脂以外の熱可塑性ポリマーとしては、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。
他のポリマーの含有量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されないが、ポリアミド樹脂組成物全量に対し、その合計が、50質量%未満が好ましく、30質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。
(2)添加剤
本発明の樹脂組成物、本発明に用いられる結晶性ポリアミド樹脂(X)、非晶性ポリアミド(Y)、他のポリマーは、本発明の効果を損なわない範囲において、他の添加剤を含有することができ、添加剤としては、例えば、顔料、染料、着色剤、耐熱剤、酸化防止剤、耐候剤、紫外線吸収剤、光安定剤、相溶化剤、滑材、結晶核材、結晶化促進剤、離型剤、帯電防止剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、ガラス繊維、潤滑剤、フィラー、補強繊維等を挙げることができる。これらの添加剤は、1種又は2種以上、含有することができる。その含有量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されないが、本発明の樹脂組成物中に、その合計が、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。
本発明の樹脂組成物、本発明に用いられる結晶性ポリアミド樹脂(X)、非晶性ポリアミド(Y)、他のポリマーは、本発明の効果を損なわない範囲において、他の添加剤を含有することができ、添加剤としては、例えば、顔料、染料、着色剤、耐熱剤、酸化防止剤、耐候剤、紫外線吸収剤、光安定剤、相溶化剤、滑材、結晶核材、結晶化促進剤、離型剤、帯電防止剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、ガラス繊維、潤滑剤、フィラー、補強繊維等を挙げることができる。これらの添加剤は、1種又は2種以上、含有することができる。その含有量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されないが、本発明の樹脂組成物中に、その合計が、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。
耐熱剤としては、銅含有化合物が好ましく、その中でも、ヨウ化銅や臭化銅などのハロゲン化銅が好ましい。銅含有化合物の含有量としては、本発明の樹脂組成物中に、10〜1000ppmが好ましい。通常は、アルキルハロゲン化合物が、二次酸化防止剤としてさらに添加される。
有機系酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤が挙げられ、1種又は2種以上、本発明の樹脂組成物中に含有することができる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、トリエチレングリコール・ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール・ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等を挙げることができ、中でも、特にペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)が挙げられ、1種又は2種以上、本発明の樹脂組成物中に含有することができる。
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエーテル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェビン6−イル]オキシ]−N,N−ビス[2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェビン6−イル]オキシ]−エチル]エタナミン,ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどを挙げることができ、中でも特に2−[[2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェビン6−イル]オキシ]−エチル]エタナミンが挙げられ、1種又は2種以上、本発明の樹脂組成物中に含有することができる。
イオウ系酸化防止剤としては、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、テトラキス[メチレン−3−(ドデシルチオ)プロピオネート]メタン等が挙げられ、1種又は2種以上、本発明の樹脂組成物中に含有することができる。
他のポリマー及び添加剤の添加方法は、特に制限されるものではなく、その効果を損なわない任意の時点において、結晶性ポリアミド樹脂(X)に添加することができる。例えば、他のポリマー及び添加剤を、結晶性ポリアミド樹脂(X)の前重合工程及び/又は後重合工程中に添加することができる。また、非晶性ポリアミド樹脂(Y)に添加することもでき、また、本発明のポリアミド樹脂組成物を製造する前、製造中、製造後に添加することもできる。
(3)ポリアミド樹脂組成物の製造
本発明の樹脂組成物の製造方法は、結晶性ポリアミド樹脂(X)と特定量の非晶性ポリアミド樹脂(Y)が含まれるようにできれば、特に制限はないが、例えば、ドライブレンドによる製造方法や単軸押出機、二軸押出機、多軸押出機、ニーダー等の溶融混練による製造方法が挙げられる。ポリアミド樹脂組成物中の結晶性ポリアミド樹脂(X)と非晶性ポリアミド樹脂(Y)の分散の観点から、溶融混練による製造方法が好ましく、中でも本発明のポリアミド樹脂組成物の混練時の生産性の観点から、二軸押出機を使用した製造がより好ましい。
本発明の樹脂組成物の製造方法は、結晶性ポリアミド樹脂(X)と特定量の非晶性ポリアミド樹脂(Y)が含まれるようにできれば、特に制限はないが、例えば、ドライブレンドによる製造方法や単軸押出機、二軸押出機、多軸押出機、ニーダー等の溶融混練による製造方法が挙げられる。ポリアミド樹脂組成物中の結晶性ポリアミド樹脂(X)と非晶性ポリアミド樹脂(Y)の分散の観点から、溶融混練による製造方法が好ましく、中でも本発明のポリアミド樹脂組成物の混練時の生産性の観点から、二軸押出機を使用した製造がより好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形、真空成形、プレス成形等の公知の成形方法によって各種の成形品に成形することができる。押出成形の分野に有用であり、特にフィルム用途に有用である。
本発明の樹脂組成物は、表面摩擦係数が小さく、水蒸気透過度の低い成形品を提供できる。即ち、シリカ等の滑材を用いることなく、滑り性に優れ、また、水蒸気透過度の低いフィルムが提供できる。本発明のポリアミド樹脂組成物は、他にも、プリント配線基板や摺動部品に好適に使用することが可能である。
本発明の樹脂組成物は、結晶性ポリアミド樹脂(X)及び非晶性ポリアミド(Y)が本来有する優れた特性、たとえば、優れた押出成形性、低吸水性を有していることから、自動車部品、工業材料、産業資材、機械部品、事務機器用部品、家庭用品、シート、フィルム、繊維等に有用に使用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらより制限されるものではない。
[成形、評価方法]
(1)フィルム成形
Tダイを備えた単軸押出機に組成物を供給し、押出機設定温度260℃、スクリュー回転数40RPM、フィルムの引取速度5m/minの条件にて厚み50μmのフィルムを成形した。この条件下で成形したフィルムの膜厚が50±2μmの範囲内の場合成形が良好であると判断した。
(1)フィルム成形
Tダイを備えた単軸押出機に組成物を供給し、押出機設定温度260℃、スクリュー回転数40RPM、フィルムの引取速度5m/minの条件にて厚み50μmのフィルムを成形した。この条件下で成形したフィルムの膜厚が50±2μmの範囲内の場合成形が良好であると判断した。
(2)表面摩擦試験
ASTM D−1894に準拠し、23℃、相対湿度50%RHにおける成形したフィルム同士の静摩擦係数および、動摩擦係数を東洋精機製作所社製のTR-2でそれぞれ5回測定し、その平均値で評価した。
ASTM D−1894に準拠し、23℃、相対湿度50%RHにおける成形したフィルム同士の静摩擦係数および、動摩擦係数を東洋精機製作所社製のTR-2でそれぞれ5回測定し、その平均値で評価した。
(3)透湿度試験
JIS Z0208に準拠し、塩化カルシウムを封入した透湿カップを用い、24時間毎に、3日間カップの重量を測定することにより、厚み50μm、70mmφの円形のフィルムの水蒸気透過度を測定した。
JIS Z0208に準拠し、塩化カルシウムを封入した透湿カップを用い、24時間毎に、3日間カップの重量を測定することにより、厚み50μm、70mmφの円形のフィルムの水蒸気透過度を測定した。
[結晶性ポリアミド樹脂(X)]
・ポリアミド92
ポンプを直結した原料投入口、窒素ガス導入口、放圧口、攪拌機、温度計、トルクメーター、圧力計、圧力調整装置及びポリマー抜出口を備えた内容積が約150Lの圧力容器に、1,9−ノナンジアミン20.1kg(127モル)と2−メチル−1,8−オクタンジアミン3.5kg(22モル)を仕込み、圧力容器を窒素ガスで0.5MPaGに加圧した。次に常圧まで窒素ガスを放出する操作を繰り返し、窒素置換を行った。その後、攪拌しながら系内を昇温した。内温を150℃にした後、蓚酸ジブチル30.2kg(149モル)をポンプにより流速1.49L/分で反応容器内に供給しながら昇温した。供給直後の圧力容器内の内圧は、重縮合反応により生成したブタノールによって0.35MPaGまで上昇し、重縮合物の温度は約170℃まで上昇した。その後、温度を235℃まで昇温した。その間、生成したブタノールは放圧口より抜き出しながら、内圧を1.0MPaGに調節した。重縮合物の温度が235℃に達した直後から放圧口よりブタノールを抜き出し、内圧を常圧にした。常圧にしたところから、1.5L/分で窒素ガスを流しながら昇温を開始し、重縮合物の温度を260℃にし、260℃における攪拌機のトルクが一定になるまで反応させた。その後、攪拌を止めて系内を窒素で1MPaGに加圧した後、内圧0.5MPaGまで放圧し、ポリアミド92(以下、PA92と称する場合がある。)を圧力容器下部抜出口より紐状に抜き出した。紐状のPA92を水冷し、ペレタイザーでペレット化した。相対粘度は、3.13であった。得られるPA92は、PA92に含まれる全ジカルボン酸由来の単位の総量中に、蓚酸化合物由来の単位の含有量が100モル%であり、全ジアミン由来の単位の総量中に、1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミン由来の単位の合計の含有量が、100モル%であり、1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比は、83:17〜86:14である。
・ポリアミド92
ポンプを直結した原料投入口、窒素ガス導入口、放圧口、攪拌機、温度計、トルクメーター、圧力計、圧力調整装置及びポリマー抜出口を備えた内容積が約150Lの圧力容器に、1,9−ノナンジアミン20.1kg(127モル)と2−メチル−1,8−オクタンジアミン3.5kg(22モル)を仕込み、圧力容器を窒素ガスで0.5MPaGに加圧した。次に常圧まで窒素ガスを放出する操作を繰り返し、窒素置換を行った。その後、攪拌しながら系内を昇温した。内温を150℃にした後、蓚酸ジブチル30.2kg(149モル)をポンプにより流速1.49L/分で反応容器内に供給しながら昇温した。供給直後の圧力容器内の内圧は、重縮合反応により生成したブタノールによって0.35MPaGまで上昇し、重縮合物の温度は約170℃まで上昇した。その後、温度を235℃まで昇温した。その間、生成したブタノールは放圧口より抜き出しながら、内圧を1.0MPaGに調節した。重縮合物の温度が235℃に達した直後から放圧口よりブタノールを抜き出し、内圧を常圧にした。常圧にしたところから、1.5L/分で窒素ガスを流しながら昇温を開始し、重縮合物の温度を260℃にし、260℃における攪拌機のトルクが一定になるまで反応させた。その後、攪拌を止めて系内を窒素で1MPaGに加圧した後、内圧0.5MPaGまで放圧し、ポリアミド92(以下、PA92と称する場合がある。)を圧力容器下部抜出口より紐状に抜き出した。紐状のPA92を水冷し、ペレタイザーでペレット化した。相対粘度は、3.13であった。得られるPA92は、PA92に含まれる全ジカルボン酸由来の単位の総量中に、蓚酸化合物由来の単位の含有量が100モル%であり、全ジアミン由来の単位の総量中に、1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミン由来の単位の合計の含有量が、100モル%であり、1,9−ノナンジアミン及び2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比は、83:17〜86:14である。
[非晶性ポリアミド樹脂(Y)]
非晶性ポリアミド樹脂には、ポリアミド6T/6IであるEMS−CHEMIE AG製グリボリーG21を使用した。(以下、PA6T/6Iと称する場合がある。)
非晶性ポリアミド樹脂には、ポリアミド6T/6IであるEMS−CHEMIE AG製グリボリーG21を使用した。(以下、PA6T/6Iと称する場合がある。)
[実施例1]
PA92を95重量%及びPA6T/6Iを5重量%の割合で、2軸押出機に供給し、シリンダー温度260℃の条件下で溶融混練し、ストランドとして押し出し、冷却固化させた後、ペレタイザーにて切断し、ペレット状のポリアミド樹脂組成物を得た。得られたペレットを乾燥させた。乾燥させたペレットを用いて、上記のフィルム成形を行い、押出成形性を確認した。加えて、上記の表面摩擦試験及び透湿度試験を行った。結果を表1に示す。
PA92を95重量%及びPA6T/6Iを5重量%の割合で、2軸押出機に供給し、シリンダー温度260℃の条件下で溶融混練し、ストランドとして押し出し、冷却固化させた後、ペレタイザーにて切断し、ペレット状のポリアミド樹脂組成物を得た。得られたペレットを乾燥させた。乾燥させたペレットを用いて、上記のフィルム成形を行い、押出成形性を確認した。加えて、上記の表面摩擦試験及び透湿度試験を行った。結果を表1に示す。
[実施例2]
PA92を90重量%及びPA6T/6Iを10重量%の割合に変更した以外は、実施例1と同様にした。結果を表1に示す。
PA92を90重量%及びPA6T/6Iを10重量%の割合に変更した以外は、実施例1と同様にした。結果を表1に示す。
[実施例3]
PA92を88重量%及びPA6T/6Iを12重量%の割合に変更した以外は、実施例1と同様にした。結果を表1に示す。
PA92を88重量%及びPA6T/6Iを12重量%の割合に変更した以外は、実施例1と同様にした。結果を表1に示す。
[比較例1]
PA92を100質量%にし、PA6T/6Iをなしにした以外は、実施例1と同様にした。結果を表1に示す。尚、厚みに不均一な部分やしわが発生し、実施例と同等のフィルムが得られなかった為、押出成形性を△とした。
PA92を100質量%にし、PA6T/6Iをなしにした以外は、実施例1と同様にした。結果を表1に示す。尚、厚みに不均一な部分やしわが発生し、実施例と同等のフィルムが得られなかった為、押出成形性を△とした。
[比較例2]
ポリアミド6である宇部興産株式会社製の1020B(以下、PA6と称する場合がある。)を用いて比較例1と同様にした。結果を表1に示す。尚、比較例2のフィルムの摩擦係数が大きすぎて、用いた測定機器では計測できなかった。
ポリアミド6である宇部興産株式会社製の1020B(以下、PA6と称する場合がある。)を用いて比較例1と同様にした。結果を表1に示す。尚、比較例2のフィルムの摩擦係数が大きすぎて、用いた測定機器では計測できなかった。
[比較例3]
PA92の代わりにPA6を用いた以外は実施例2と同様にした。結果を表1に示す。尚、比較例2のフィルムの摩擦係数と同様、比較例3のフィルムの摩擦係数も、大きすぎて、計測できなかった。
PA92の代わりにPA6を用いた以外は実施例2と同様にした。結果を表1に示す。尚、比較例2のフィルムの摩擦係数と同様、比較例3のフィルムの摩擦係数も、大きすぎて、計測できなかった。
本発明のポリアミド樹脂と非晶性ナイロン樹脂とを含む樹脂組成物は、フィルム成形に代表されるような押出成形性を良好にし、表面摩擦係数が低く、水蒸気バリア性が高い。本発明の樹脂組成物は電気・電子、産業資材、工業材料、日用品及び、家庭用品などのフィルムとして好適に使用することができる。
Claims (6)
- 結晶性ポリアミド樹脂(X)及び非晶性ポリアミド樹脂(Y)を含む樹脂組成物であって、
前記結晶性ポリアミド樹脂(X)の原料に蓚酸化合物を含み、
前記非晶性ポリアミド樹脂(Y)の含有量が、前記結晶性ポリアミド樹脂(X)及び前記非晶性ポリアミド樹脂(Y)の総量に対し、15重量%以下であるポリアミド樹脂組成物。 - 前記結晶性ポリアミド樹脂(X)の原料に、さらに、1,9−ノナンジアミン及び/又は2−メチル−1,8−オクタンジアミンを含む請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 前記1,9−ノナンジアミンと前記2−メチル−1,8−オクタンジアミンのモル比が5:95〜95:5である請求項2に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 前記蓚酸化合物が蓚酸ジエステルである請求項1〜3のいずれ1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物を用いて製造される成形品。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物を用いて製造されるフィルム。
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JP2013127383A JP2015000966A (ja) | 2013-06-18 | 2013-06-18 | ポリアミド樹脂組成物及びそれを用いて製造される成形品 |
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KR100680694B1 (ko) * | 2002-02-07 | 2007-02-08 | 야스아키 오쿠야 | 주조용 언, 탕도, 제품 등의 파쇄·절단장치의 날붙이구조 |
WO2017135338A1 (ja) * | 2016-02-03 | 2017-08-10 | 宇部興産株式会社 | ポリアミド樹脂組成物 |
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2013
- 2013-06-18 JP JP2013127383A patent/JP2015000966A/ja active Pending
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