JPH10168310A - 滑り性の優れたポリアミドフィルム - Google Patents

滑り性の優れたポリアミドフィルム

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JPH10168310A
JPH10168310A JP8334050A JP33405096A JPH10168310A JP H10168310 A JPH10168310 A JP H10168310A JP 8334050 A JP8334050 A JP 8334050A JP 33405096 A JP33405096 A JP 33405096A JP H10168310 A JPH10168310 A JP H10168310A
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JP
Japan
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film
polyamide
polyamide film
substance
protrusions
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JP8334050A
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English (en)
Inventor
Rikio Tanioka
力夫 谷岡
Shoichi Tanaka
章一 田中
Masao Nishiyama
昌男 西山
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Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、優れた耐ピンホール性や酸素ガス
バリヤー性とともに、フィルムとしての透明性や表面光
沢などの光学特性を維持した上で、滑り性、特に高湿度
下において優れた滑り性を有し、水分の多い食品包装用
フィルムとして好適に使用され得るポリアミドフィルム
を提供するものである。 【解決手段】 本発明は、触針式二次元表面粗さ測定装
置による表面粗さ測定において得られる表面粗さ曲線に
おいて中心線より0.06μm以上の高さの突起の数が
6〜30個/mmである表面粗さを有し、かつ23℃に
おける水との静的接触角が64°以上である疎水性を有
し、さらに、ヘイズが10%以下で、グロスが110よ
り大きい値である、高湿度下において滑り性の優れたポ
リアミドフィルムに関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、滑り性の優れたポ
リアミドフィルムに関する。さらに詳しくは、フィルム
表面に特定サイズの突起を特定の存在密度で形成し、か
つ、フィルム表面を疎水化することにより、透明性や表
面光沢などを維持した上で滑り性、特に高湿度下におい
て優れた滑り性を有するポリアミドフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】ポリアミドフィルムは、透明性、耐ピン
ホール性、ガスバリヤー性、耐熱性および耐油性などの
諸特性に優れていることから主として食品包装の分野で
広く使用されている。このような分野においては、包装
用フィルムの滑り性が重要な特性であり、滑り性が悪い
と、ラミネート工程や印刷工程などの後加工工程の際に
トラブルを招くだけでなく、最終の包装工程においても
フィルムの供給が円滑に進まず、包装不良が発生する。
特に水分を多く含む食品の包装においては、高湿度環境
下で使用されることから、高湿度下での滑り性が重要視
されている。
【0003】しかし、一般にポリアミドフィルム、特に
ナイロン6を主成分とするポリアミドフィルムは高湿度
下での滑り性が悪く、改善が求められていた。そこで、
ポリアミドフィルムの滑り性改善のために、例えば、無
機フィラーの添加による表面突起の形成(特開昭62−
252452号公報、特開昭63−251460号公
報、特開平1−156333号公報など参照)、他の樹
脂を分散させることによる表面突起の形成(特開昭62
−294526号公報、特開平1−92235号公報な
ど参照)、フィルム成形時または後加工時における突起
の形成(特公昭51−7708号公報、特開平5−42
782号公報など参照)およびフィルム表面への突起形
成物質のコーティング(特開昭55−95571号公報
など参照)などのようなフィルム表面の粗面化による方
法、あるいは、有機滑剤を添加する方法(特開平3−7
9634号公報、特開平8−73626号公報など参
照)など種々の方法が試みられてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
滑り性改善手段のうち、無機フィラーの添加による方法
は、フィルム表面への微小突起の形成が最も容易で、か
つ有効であるが、フィルムの厚みによって有効な添加量
が異なるなど、効果にばらつきが有り完成された技術で
はなかった。すなわち、無機フィラーの添加量が少ない
と十分な滑り性が得られず、逆に添加量が多過ぎるとフ
ィルムの透明性や表面光沢が著しく低下してしまい、包
装用フィルムとしての商品価値を失ってしまうといった
問題から、滑り性、特に高湿度下で十分な滑り性を有す
るポリアミドフィルムは得られていなかった。また、他
の樹脂を分散させることによる表面突起の形成、フィル
ム成形時または後加工時の突起の形成、およびフィルム
表面への突起形成物質のコーティングなど他の粗面化法
においても、上記無機フィラーの添加による方法と同様
に、フィルムの透明性、光沢度といった光学的性質など
の特性を保持したままで、滑り性、特に高湿度下での滑
り性改善に有効な表面突起の形成についての確立した技
術はなかった。
【0005】一方、有機滑剤を添加する方法についてみ
ると、有機滑剤の添加はブリードアウトなどによりポリ
アミドフィルムの表面組成に影響を及ぼし、その結果と
して易滑性表面が形成され、滑り性に優れたポリアミド
フィルムが得られる。しかし、有機滑剤の添加だけで良
好な滑り性、特に高湿度下における良好な滑り性を得る
ためには、有機滑剤を多量に添加することが必要とな
り、押出機による溶融成形時の食い込みトラブルや得ら
れたフィルムの印刷性不良を招くなどの問題が生じる。
一般に、表面が疎水性であるほどフィルムの滑り性は良
いとされるが、ポリアミドフィルムの場合、どの程度の
疎水性表面を形成すれば実用的に有効なのかが明確でな
かったこともあり、上記有機滑剤を添加する方法は、滑
り性、特に高湿度下での十分な滑り性を有するポリアミ
ドフィルムの製造法としての確立された技術としてはな
お不十分なものであった。
【0006】したがって、本発明の目的は、このような
従来技術における問題点を解決した、すなわち、フィル
ムの透明性や表面光沢を維持しつつ、高湿度下において
滑り性に優れたポリアミドフィルムを提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
ポリアミドフィルムにおける上記の課題を解決すべく、
フィルムの透明性や表面光沢などの光学的特性、溶融成
形性や印刷加工性、および後加工性を保持しつつ、滑り
性、特に高湿度下における滑り性に優れたポリアミドフ
ィルムについて鋭意検討を重ねた結果、ポリアミドフィ
ルム表面に特定サイズの突起を特定の存在密度で形成さ
せるとともに、特定の表面疎水化物質を添加してフィル
ム表面を一定以上に疎水化することにより、上記の目的
が達成できることを見いだし、本発明を完成するに至っ
たのである。
【0008】すなわち、本発明における第1の発明は、
表面粗さ測定において中心線より0.06μm以上の高
さの突起の数が6〜30個/mmである表面粗さを有
し、かつ23℃における水との静的接触角が64°以上
である疎水性を有し、さらに、ヘイズが10%以下で、
グロスが110より大きい値である、高湿度下における
滑り性の優れたポリアミドフィルムを提供することによ
り達成できる。本発明における第2の発明は、ポリアミ
ド樹脂に粗面化物質および表面疎水化物質を配合した組
成物を成形してなるポリアミド原反フィルムを面積比で
3倍以上に延伸して得られる上記第1の発明に係わるポ
リアミドフィルムを提供することにより達成できる。ま
た、本発明における第3の発明は、粗面化物質が無機微
粒子である上記第2の発明に係わるポリアミドフィルム
を、そして、本発明における第4の発明は、表面疎水化
物質が長鎖脂肪族系ビスアミド化合物である上記第2ま
たは第3の発明に係わるポリアミドフィルムを、それぞ
れ、提供することにより達成できる。さらにまた、本発
明における第5の発明は、ポリアミド樹脂の50重量%
以上がポリ−ε−カプラミド、またはポリ−ε−カプラ
ミドの反復構造単位を主成分とする共重合体である上記
第2〜第4の発明のいずれか1つに係わるポリアミドフ
ィルムを提供することにより達成できる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳しく説明す
る。本発明に用いられるポリアミド樹脂は、一般にポリ
アミドとして知られるものでフィルム形成可能なもので
あればいかなる構造および組成のものでもよい。しか
し、特にフィルム状態で高湿度下における滑り性の低下
が大きいポリアミド樹脂を用いた場合に、得られるポリ
アミドフィルムがその透明性や表面光沢を維持したま
ま、高湿度下において優れた滑り性を有するという本発
明の効果が顕著である。ここで、『高湿度下』とは、相
対湿度60%の雰囲気を常態とし、それより高い相対湿
度の雰囲気状態にあることを意味し、具体的には、相対
湿度が70%を越える雰囲気状態下にあることをいう。
なお、以下、本発明において『高湿度下』とは、この意
味において用いる。本発明において用いられる上述のポ
リアミド樹脂としては、下記式(I)
【0010】
【化1】
【0011】で示されるポリ−ε−カプラミド反復構造
単位からなるポリアミド、または該ポリ−ε−カプラミ
ド反復構造単位を主成分として含有するポリアミドを挙
げることができる。上記式(I)で示されるポリ−ε−
カプラミド反復構造単位からなるポリアミドは、具体的
には、ε−カプロラクタムの開環重合やアミノカプロン
酸の重縮合などによって得られるポリ−ε−カプラミ
ド、すなわち、ナイロン6である。
【0012】一方、上記式(I)で示されるポリ−ε−
カプラミド反復構造単位を主成分として含有するポリア
ミドとしては、上記ナイロン6と、3員環以上のラクタ
ム、重合可能なω−アミノカルボン酸、ジカルボン酸と
ジアミン、ジカルボン酸とジアミンから得られる塩など
の重縮合によって得られるポリアミドとの共重合体が挙
げられる。そして、3員環以上のラクタムとして、例え
ば、ω−エナントラクタム、ω−ウンデカンラクタム、
ω−ドデカラクタム、α−ピロリドン、δ−メチルピロ
リドンおよびα−ピペリドンなどを挙げることができ
る。重合可能なω−アミノカルボン酸として、例えば、
ω−アミノヘプタン酸、ω−アミノノナン酸、ω−アミ
ノウンデカン酸およびω−アミノドデカン酸などを挙げ
ることができる。
【0013】また、ジカルボン酸としては、例えば、コ
ハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン
酸、3−メチルアジピン酸、3−t−ブチルアジピン
酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン
酸、ノナンジオン酸、デカンジオン酸、ウンデカンジオ
ン酸、ドデカンジオン酸、トリデカンジオン酸、テトラ
デカンジオン酸、ペンタデカンジオン酸、ヘキサデカン
ジオン酸およびアイコサンジオン酸などの脂肪族ジカル
ボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソ
フタル酸およびヘキサヒドロフタル酸などの脂環族ジカ
ルボン酸、およびテレフタル酸、イソフタル酸、5−t
−ブチルイソフタル酸、1,2−ナフタレンジカルボン
酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタ
レンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、
1,6−ナフタレンジカルボン酸、1,7−ナフタレン
ジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,
3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,3−
アントラセンジカルボン酸、1,4−アントラセンジカ
ルボン酸、1,5−アントラセンジカルボン酸、1,9
−アントラセンジカルボン酸、2,3−アントラセンジ
カルボン酸、9,10−アントラセンジカルボン酸、ビ
フェニル−2,2’−ジカルボン酸、ビフェニル−2,
3’−ジカルボン酸および3−(4−カルボキシフェニ
ル)1,1,3−トリメチル−5−インダンカルボン酸
などの芳香族ジカルボン酸を挙げることができる。
【0014】ジアミンとしては、例えば、エチレンジア
ミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、
ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘ
プタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナ
メチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメ
チレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4
−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−ト
リメチルヘキサメチレンジアミン、2−メチルヘキサメ
チレンジアミン、3−メチルヘキサメチレンジアミン、
2−エチルオクタメチレンジアミンおよび3−t−ブチ
ルヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン、1,
3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロ
ヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサ
ン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イ
ソホロンジアミン、ピペラジン、N−アミノエチルピペ
ラジン、2,5−ジメチルピペラジン、ビス(4−アミ
ノシクロヘキシル)メタンおよび2,2−ビス−(4’
−アミノシクロヘキシル)プロパンなどの脂環族ジアミ
ン、およびメタキシリレンジアミンおよびパラキシリレ
ンジアミンなどの芳香族ジアミンを挙げることができ
る。
【0015】したがって、本発明において用いられる前
記式(I)で示されるポリ−ε−カプラミド反復構造単
位を主成分として含有するポリアミドとして、具体的に
は、ナイロン4/6共重合体、ナイロン6/7共重合
体、ナイロン6/8共重合体、ナイロン6/9共重合
体、ナイロン6/11共重合体、ナイロン6/12共重
合体、ナイロン6/46共重合体、ナイロン6/66共
重合体、ナイロン6/69共重合体、ナイロン6/61
0共重合体、ナイロン6/611共重合体、ナイロン6
/612共重合体、ナイロン6/66/610三元共重
合体、ナイロン6/66/611三元共重合体、ナイロ
ン6/66/612三元共重合体、ナイロン6/66/
11三元共重合体およびナイロン6/66/12三元共
重合体などのナイロン6と脂肪族系ホモポリアミドもし
くはコポリアミドとの二元または三元共重合体、ナイロ
ン6と、ポリヘキサメチレンテレフタラミド(ナイロン
6T)、ポリヘキサメチレンイソフタラミド(ナイロン
6I)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMX
D6)、ポリメタキシリレンスベラミド(ナイロンMX
D8)、ポリメタキシリレンセバカミド(ナイロンMX
D10)、ナイロン6T/6I共重合体、メタキシリレ
ン/パラキシリレンアジパミド共重合体、メタキシリレ
ン/パラキシリレンピメラミド共重合体、メタキシリレ
ン/パラキシリレンアゼラミド共重合体、メタキシリレ
ン/パラキシリレンセバカミド共重合体およびメタキシ
リレン/パラキシリレン・アジパミド/セバカミド共重
合体などのセミ芳香族系ホモポリアミドもしくはコポリ
アミドとの二元または三元共重合体、および、ナイロン
6/66/6T三元共重合体、ナイロン6/66/6I
三元共重合体、ナイロン6/11/6T三元共重合体、
ナイロン6/11/6I三元共重合体、ナイロン6/1
2/6T三元共重合体およびナイロン6/12/6I三
元共重合体などのナイロン6と脂肪族−セミ芳香族系コ
ポリアミドとの三元共重合体などが挙げられる。本発明
においては、上記ポリ−ε−カプラミド反復構造単位か
らなるポリアミド、すなわち、ナイロン6、またはポリ
−ε−カプラミド反復構造単位を主成分として含有する
ポリアミドの中でも、経済性や入手の容易さなどを考慮
すれば、ナイロン6、ナイロン6/66共重合体、ナイ
ロン6/12共重合体、ナイロン6/66/12三元共
重合体、ナイロン6/6T共重合体、ナイロン6/6I
共重合体、ナイロン6/MXD6共重合体などが好まし
い。
【0016】本発明において使用されるポリアミド樹
脂、すなわち、ナイロン6もしくはポリ−ε−カプラミ
ド反復構造単位を主成分として含有するポリアミドは、
単独でも、別のポリアミド樹脂とのブレンド系で使用し
てもよく、あるいは、本発明の目的を損なわない程度の
少量であれば他の熱可塑性樹脂を併用して使用してもよ
い。しかしながら、ポリ−ε−カプラミド反復構造単位
を主成分として含有するポリアミド中のナイロン6成
分、すなわち、前記式(I)で示されるポリ−ε−カプ
ラミド反復構造単位の含有量は、60重量%以上、好ま
しくは70重量%以上であることが望ましい。さらに、
本発明において使用されるポリアミド樹脂中の上記ナイ
ロン6もしくはポリ−ε−カプラミド反復構造単位を主
成分として含有するポリアミドの量は、50重量%以
上、好ましくは70重量%以上であることが望ましい。
上記ナイロン6もしくはポリ−ε−カプラミド反復構造
単位を主成分として含有するポリアミドの量が50重量
%未満の場合は、本発明の効果(すなわち、最終的に得
られるポリアミドフィルムがその透明性や表面光沢など
の光学的特性を維持したまま、高湿度下において滑り性
に優れていること)が十分に発現されないことがある。
【0017】本発明で使用される上記ポリアミド樹脂
は、例えば、原料として前述のジアミンとジカルボン酸
を用いる場合は、これら成分のほぼ当量をあらかじめ混
合した水溶液または水分散液の形で、また、原料として
前述のジアミンとジカルボン酸との等モル塩、ω−アミ
ノカルボン酸または三員環以上のラクタムを用いる場合
は、これら原料の水溶液または水分散液の形で、通常の
オートクレーブ中で重縮合して低次縮合物を製造した
後、さらに、該低次縮合物を、二軸押出機や二軸ニーダ
ーなどの汎用の溶融混練機を用いて溶融重合し、ペレッ
ト化後真空乾燥する方法、あるいはブレンダーやナウタ
ーミキサーなどを用いて固相重合し、溶融ペレット化後
真空乾燥する方法など、それ自体公知の方法で製造でき
る。また、上記ポリアミド樹脂を他のポリアミド樹脂ま
たは他の熱可塑性樹脂との混合物として使用する場合
は、上述のようにして得られたナイロン6もしくはポリ
−ε−カプラミド反復構造単位を主成分として含有する
ポリアミド樹脂のペレットと、粉末状あるいはペレット
状の他のポリアミド樹脂または熱可塑性樹脂とをV型ま
たは円筒型ブレンダーにより所定の割合で混合し、必要
に応じてさらに溶融再ペレット化すればよい。
【0018】本発明においては、最終的に得られるポリ
アミドフィルムが、触針半径5μmの触針式二次元表面
粗さ測定装置を用いての後述する方法による表面粗さ測
定において、得られた表面粗さ曲線の中心線より0.0
6μm以上の高さの突起の数が6〜30個/mm、好ま
しくは10〜20個/mmとなるような存在密度で突起
が形成される表面粗さを有する必要があり、これが本発
明の一つの特徴となっている。ここで、本発明における
突起とは、上記触針半径5μmの触針式二次元表面粗さ
測定装置による表面粗さ測定で得られる表面粗さ曲線
の、中心線より+側の凸部を指す。この突起の高さが前
記表面粗さ測定で得られる表面粗さ曲線において中心線
より0.06μm未満の場合には、該突起の数の如何に
かかわらず、最終的に得られるポリアミドフィルムにお
いて高湿度下での優れた滑り性が得られない。
【0019】また、上記表面粗さ測定において得られた
表面粗さ曲線の中心線より0.06μm以上の高さの突
起の存在密度が6個/mm未満の場合も、最終的に得ら
れるポリアミドフィルムにおいて高湿度下での優れた滑
り性が得られないので好ましくない。一方、該突起の存
在密度が30個/mmを越えると、最終的に得られるポ
リアミドフィルムにおいて透明性や表面光沢度などの光
学的特性の低下が甚だしくなるので、この場合も好まし
くない。本発明において、ポリアミドフィルムの光学的
特性の低下が少なく、高湿度下における滑り性に優れる
前記突起の存在密度としては、上述の好ましい範囲、す
なわち、10〜20個/mmである。
【0020】なお、本発明において、前記突起の大きさ
は限定されるものではないが、最終的に得られるポリア
ミドフィルムにおいて透明性や表面光沢度などを維持し
たまま、高湿度下でのより優れた滑り性を発現させるた
めには、5〜40μm程度であることが好ましい。
【0021】本発明におけるポリアミドフィルム表面の
突起形成の手段は、特に制限されるものではない。前述
のポリアミド樹脂を用い、後述する方法により成形して
得られるフィルムの表面に前記の突起が形成できる方法
であればよく、前述のポリアミド樹脂に粗面化物質を混
合した後にフィルムを溶融成形して突起を形成する方
法、フィルム成形時に蒸気吹き付けやエンボス付き冷却
ロールにより突起を形成する方法、あるいは、後加工時
にエンボス付きロールを使用することにより突起を形成
する方法などを適用することができる。あるいはまた、
フィルム表面に粗面化物質のコーティングを行う方法で
もよい。これらの方法の中でも、粗面化物質の添加によ
る方法が、特別な装置を必要としないことから最も容易
であり好ましい。
【0022】本発明において用いられる粗面化物質は、
フィルム成形時および/または延伸時に、ポリアミドフ
ィルム表面に有効に微細突起を形成する物質であれば、
公知の無機粒子や他の樹脂など、特に限定されない。具
体的な粗面化物質としては、無機微粒子として、ゲルタ
イプシリカや球状シリカなどのシリカ、タルク、カオリ
ン、層状珪酸塩およびガラスマイクロビーズなどを挙げ
ることができる。また、有機化合物の粗面化物質とし
て、無機微粒子を添加する場合と同様に該粗面化物質自
身がポリアミドフィルムの表面に有効な微細突起を形成
する粒子として働く場合や、該粗面化物質がポリアミド
樹脂中に分散してポリアミドの結晶化に影響を及ぼした
結果としてポリアミドフィルム表面が粗面化される場合
などがある。前者の具体例としては、エポキシ樹脂、フ
ェノール樹脂、ユリア樹脂やシリコーン樹脂、あるいは
種々の置換基を有するこれらの誘導体などの熱硬化性樹
脂の粒子などが挙げられ、後者の具体例としては、結晶
核剤(例えば、ナイロン6の環状オリゴマーや、ナイロ
ン6T、ナイロン22などの高融点ナイロンなど)およ
び結晶化速度の異なるポリアミド(例えば、再生ナイロ
ン6や、ナイロン6T、ナイロン22などの高融点ナイ
ロンなど)などが挙げられる。本発明においては、これ
ら粗面化物質の中でも前記無機微粒子の使用が好まし
い。
【0023】本発明の粗面化物質は、前述のポリアミド
樹脂と混合した際に、該ポリアミド樹脂中での分散性が
良いことが必要である。分散性が悪いと、粗面化物質の
凝集が起こって、得られるポリアミドフィルムにおける
透明性の低下やフィッシュアイの多発といった外観不良
や、延伸時のボイド発生など、包装用フィルムとしての
機能低下、さらには、溶融成形における生産性低下を招
いてしまうなどの恐れがある。例えば、ゲルタイプシリ
カや球状シリカなどのシリカを添加する場合、粗面化効
果は大きいが、ポリアミド樹脂中では二次凝集して粗大
粒子を形成し、フィルムの透明性が低下してしまうばか
りでなく、溶融成形時のダイスの汚染を促進してダイラ
イン発生などフィルムの外観不良を招くため、頻繁にダ
イスのクリーニングが必要になるなどの問題が生じる。
そこで、本発明では、前記粗面化物質としての無機微粒
子は、前記ポリアミド樹脂中での該無機微粒子の分散性
向上、および/または、フィルムの溶融成形時のダイス
の汚れ抑制などのために、必要に応じて、前記ポリアミ
ド樹脂との混合に先立って表面処理剤により表面処理さ
れる。例えば、前記無機微粒子としてタルクを使用する
場合など、表面処理剤の適用を必ずしも必要としない場
合が多いが、ゲルタイプシリカや球状シリカなどのシリ
カを使用する場合は、上述したような理由から、通常、
シランカップリング剤などで表面処理し、分散性を良く
して使用する必要があるのである。
【0024】前記表面処理剤の種類や添加量は、前記粗
面化物質として使用される無機微粒子の種類によっても
異なり一概に言うことはできないが、例えば、無機微粒
子が前述のシリカである場合には、一般にアミノ基ある
いはエポキシ基を有するシランカップリング剤が使用さ
れ得る。具体的には、γ−アミノプロピルトリメトキシ
シラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−
フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N
−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメト
キシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプ
ロピルトリエトキシシラン、γ−アミノジチオプロピル
トリヒドロキシシラン、γ−(ポリエチレンアミノ)プ
ロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノプロピ
ル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N
−(トリメトキシシリルプロピル)−エチレンジアミ
ン、γ−ジブチルアミノプロピルトリメトキシシランお
よびγ−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどのア
ミノ系シランカップリング剤、あるいは、γ−グリシド
キシプロピルトリメトキシシランおよびβ−(3,4−
エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランな
どのエポキシ系シランカップリング剤を挙げることがで
きる。さらにこれらのシランカップリング剤を2種以上
混合したものも使用することができる。
【0025】また、表面処理剤の添加量についても、例
えば、粗面化物質(無機微粒子)がゲルタイプシリカや
球状シリカなどのシリカである場合、表面処理剤、つま
り、上記シランカップリング剤の添加量は、これらのシ
リカ(乾燥物基準)に対して1〜10重量%、好ましく
は3〜8重量%である。添加量が1重量%より少ない
と、粗面化物質(無機微粒子)、つまり、上述のシリカ
は、前記ポリアミド樹脂との親和力が十分でなくなり、
前記ポリアミド樹脂中での分散性が悪くなる。逆に添加
量が10重量%を越える場合は、添加量を増加しても上
述のシリカの前記ポリアミド樹脂中での分散性向上効果
はほとんど高まらないばかりか、最終的に得られるポリ
アミドフィルムの機械的性質を損なうなどの問題が生じ
る。なお、添加量が1〜3重量%の範囲では、上述のシ
リカの前記ポリアミド樹脂中での分散性が悪くなること
があり、添加量が8〜10重量%の範囲である場合は、
最終的に得られるポリアミドフィルムの機械的性質を損
なう傾向がみられる。表面処理方法は、特に限定しない
が、例えば、上述のシリカの所定量に、加熱攪拌下、適
量の水で希釈した前記表面処理剤の所定量を加えて表面
処理する方法や、それぞれ所定量の前記表面処理剤と上
述のシリカとをヘンシェルミキサーなどの適当な装置で
混合し、次いで所定の温度で熱処理する方法など、一般
に行われる方法を適用することができる。
【0026】本発明において、前述した無機微粒子や有
機化合物などの粗面化物質の形状は特に制限されない。
触針半径5μmの触針式二次元表面粗さ測定装置を用い
ての表面粗さ測定において得られた表面粗さ曲線の中心
線より0.06μm以上の高さの突起の数が6〜30個
/mmとなるような存在密度で突起が表面に形成され、
高湿度下における滑り性に優れたポリアミドフィルムが
得られさえすれば、粉末状、粒子状、フレーク状、板
状、繊維状、針状、クロス状、マット状、その他如何な
る形状のものであってもよいが、粒子状のものが特に好
ましい。
【0027】ところで、最終的に得られるポリアミドフ
ィルム表面に形成される突起の大きさや数は、前記粗面
化物質の平均粒径および粒径分布、前記ポリアミド樹脂
中への分散状態などによって左右される。すなわち、前
記粗面化物質の粒径が大きくなったり分散が悪いと、ポ
リアミドフィルム表面に大きな突起ができ、粒径が小さ
いと、小さな突起ができる。本発明において最終的に得
られるポリアミドフィルムは、該フィルム表面の突起の
大きさや高さが大きくなると、透明性が悪化し、逆に小
さくなると滑り性が悪化する傾向にある。したがって、
本発明においては、前記粗面化物質の前記ポリアミド樹
脂への添加によって、上述したように、触針半径5μm
の触針式二次元表面粗さ測定装置を用いての表面粗さ測
定において得られた表面粗さ曲線の中心線より0.06
μm以上の高さの突起の数が6〜30個/mmとなるよ
うな存在密度で突起がポリアミドフィルム表面に形成さ
れなければならないが、前記ポリアミド樹脂中への分散
性が使用される前記粗面化物質の種類によって異なって
いるため、この条件を満たす前記粗面化物質の平均粒径
および粒径分布は、使用される前記粗面化物質によって
まちまちである。よって、前記粗面化物質の大きさも特
に制限はなく、ポリアミドフィルム表面に上記突起が上
述の存在密度で形成されるような範囲内で、任意の大き
さのものを使用することができる。
【0028】また、前記粗面化物質の添加量は、最終的
に得られるポリアミドフィルムが、後述するように、高
湿度下において優れた滑り性を有し、かつ、透明性や表
面光沢度などの光学的特性を維持できる範囲内の量であ
るべきである。この添加量は、前記粗面化物質の種類、
形状および大きさ、あるいはフィルム成形後の延伸の程
度(延伸倍率など)によって異なるものであり、一概に
は言えないが、例えば、前記粗面化物質として無機微粒
子を添加する場合、使用される前記ポリアミド樹脂の量
(重量)に対する値として、前記シランカップリング剤
で表面処理された平均粒径1〜3μmのゲルタイプシリ
カでは1500〜8000ppm、前記シランカップリ
ング剤で表面処理された平均粒径1〜5μmの球状シリ
カでは500〜4000ppm、そして平均粒径2〜7
μmのカオリンおよび平均粒径1〜3μmのタルクでは
3000〜8000ppmの範囲であることが好まし
い。添加量が上記範囲より少ないと、最終的に得られる
ポリアミドフィルムの高湿度下における滑り性改良の効
果が小さい。また、添加量が上記範囲を越える場合は、
該ポリアミドフィルムの透明性、外観などが損なわれる
ので好ましくない。
【0029】前記粗面化物質の前記ポリアミド樹脂への
添加は、前述したようなポリアミド樹脂の製造過程から
フィルム成形過程に至るまでの任意の段階で行うことが
できる。例えば、重合反応前の前記ポリアミド原料に添
加してもよく、あるいは、重合反応後の任意の時期に添
加してもよい。さらには、重合反応終了後ペレットに成
形する前、または成形時、あるいはペレット化後のポリ
アミド樹脂に添加することもできる。粗面化物質として
無機微粒子を使用して重合反応前の前記ポリアミド原料
に添加する場合、例えば、ε−カプロラクタムを原料と
し、水を触媒としてナイロン6を製造する場合には、必
要に応じて前述した方法により前記シランカップリング
剤などで表面処理された無機微粒子を、まず、適当量の
水または50〜80重量%ε−カプロラクタム水溶液に
分散させた後、ε−カプロラクタムに添加すると均一に
原料に配合されるので望ましい。また、前記粗面化物質
を高濃度で含むポリアミド樹脂組成物をマスターバッチ
的に予め製造し、次いでこれと前記粗面化物質を含まな
いポリアミド樹脂とをフィルムに成形する前に所定量、
混合してもよい。この場合、前記ポリアミド樹脂と前記
の必要に応じて表面処理された粗面化物質との混合は、
ペレット状態、より好ましくは粉末状態の前記ポリアミ
ド樹脂および前記粗面化物質の所定量を通常の混合に使
用されるヘンシェルミキサーなどの高速回転混合機やコ
ーンブレンダー、タンブラーなどの低速回転混合機など
を用いて室温でドライブレンドする方法、あるいは、該
ブレンド物をさらにバンバリーミキサー、スーパーミキ
サー、ミキシングロール、二軸連続ミキサー、ブラベン
ダープラストグラフ、ニーダー、単軸押出機、二軸押出
機などの装置を使用し、該ブレンド物の溶融が十分に進
行しかつ分解しない温度で溶融混練する方法など、それ
自体公知の方法によって行われ得る。
【0030】本発明においては、さらに、最終的に得ら
れるポリアミドフィルムがその透明性や表面光沢などの
光学的特性を維持したまま、高湿度下において滑り性に
優れているという本発明の効果をより効果的に発現させ
るためには、該ポリアミドフィルムが、その表面におい
て後述する方法により測定される23℃の水との静的接
触角が64°以上、好ましくは66°以上である疎水性
を有することが必要であり、このことが本発明のもう一
つの特徴となっている。上記静的接触角が64°未満の
場合は、ポリアミドフィルムの高湿度下における滑り性
が不十分であり、64°以上66°未満の範囲では、こ
の滑り性が十分でないことがある。
【0031】本発明において、ポリアミドフィルム表面
が上述した疎水性を有するための該表面の疎水化の手段
は、特に限定されないが、フィルム成形後に表面疎水化
物質を塗布する方法などでは特別な装置を必要とするこ
とから、フィルムの溶融成形時に表面疎水化物質を添加
する方法が最も容易である。すなわち、表面疎水化物質
の前記ポリアミド樹脂への添加は、前述した方法により
製造されたポリアミド樹脂からフィルムを成形するまで
の任意の段階、例えば、前記ポリアミド樹脂の重合反応
後の任意の時期、あるいは前記ポリアミド樹脂のペレッ
ト成形前、成形時または成形後に行えばよい。
【0032】前記表面疎水化物質としては、フィルム成
形時および/または延伸時において、フィルム表面を疎
水化できる、つまり、フィルム表面と23℃の水との静
的接触角が64°以上となり得る化合物であればよく、
特に制限はない。しかし、本発明のポリアミドフィルム
の場合、炭素原子数が22〜50、好ましくは26〜5
0の長鎖脂肪族系ビスアミド化合物の添加が疎水性表面
の形成には効果が大きい。具体的な長鎖脂肪族系ビスア
ミド化合物としては、N,N’−エチレンビスベヘナミ
ド、N,N’−エチレンビスステアラミド、N,N’−
エチレンビスパルミタミドおよびN,N’−エチレンビ
スラウラミドなどのエチレンビスアミド類、および、
N,N’−ヘキサメチレンビスベヘナミド、N,N’−
ヘキサメチレンビスステアラミド、N,N’−ヘキサメ
チレンビスパルミタミドおよびN,N’−ヘキサメチレ
ンビスラウラミドなどのヘキサメチレンビスアミド類な
どを挙げることができる。
【0033】また、前記表面疎水化物質の添加量は、前
記粗面化物質の場合と同様、最終的に得られるポリアミ
ドフィルムが、後述するように、高湿度下において優れ
た滑り性を有し、かつ、透明性や表面光沢度などの光学
的特性を維持できる範囲内の量であればよく、使用され
る前記ポリアミド樹脂の量(重量)に対して200〜5
000ppm、好ましくは500〜2000ppmであ
ることが望ましい。前記表面疎水化物質の添加量が使用
される前記ポリアミド樹脂の量(重量)に対して200
ppmより少ないと、最終的に得られるポリアミドフィ
ルムにおいて、本発明の目的とする高湿度下における十
分な滑り性が得られない。逆に、該添加量を使用される
前記ポリアミド樹脂の量(重量)に対して5000pp
mより多くしても、最終的に得られるポリアミドフィル
ムの高湿度下における滑り性はそれ以上向上しないし、
また、押出機による溶融成形時の食い込みトラブルや得
られたフィルムの印刷性不良を招くなどの問題が生じる
ので好ましくない。なお、これらの好ましくない現象の
発生を確実に防止するには、該添加量は前述の好ましい
範囲内とすべきである。
【0034】本発明においては、さらに必要に応じて、
通常樹脂組成物に配合される各種の添加剤および改質
剤、例えば、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸
化防止剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、粘
着性付与剤、シール性改良剤、防曇剤、結晶核剤、離型
剤、可塑剤、架橋剤、発泡剤、難燃剤および着色剤(顔
料、染料など)などを配合してもよい。特に、防曇剤と
しては、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂
肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、脂肪酸アルカノ
ールアミドなどの非イオン界面活性剤を単独または複合
して用いることができる。また、耐侯性を要求される場
合は、紫外線吸収剤や光安定剤あるいはそれらと酸化防
止剤とを併用して配合することが望ましい。また、上記
の添加剤や改質剤は、本発明の目的を損なわない程度の
量において配合されるべきであり、配合時期も前記表面
疎水化物質の前記ポリアミド樹脂への添加の場合と同
様、前述したようなポリアミド樹脂製造後からフィルム
成形過程に至るまでの任意の段階で行うことができる。
【0035】次に、本発明の好ましい態様におけるポリ
アミドフィルム表面の突起形成の手段である前記粗面化
物質を添加する方法においては、上述のようにして、前
記ポリアミド樹脂、必要に応じて表面処理された前記粗
面化物質および前記表面疎水化物質からなる混合物を
得、続いて、得られた混合物に常用のフィルム成形法を
適用してポリアミドフィルムを容易に製造することがで
きる。本発明のポリアミドフィルムを得る成形法として
は、上記のポリアミド樹脂、粗面化物質および表面疎水
化物質からなる混合物を220〜300℃の押出温度で
押出機より溶融押出しし、キャスティング法(Tダイ
法)の場合にはキャスティングロール面上で冷却する
か、あるいは、チューブラー法の場合には空冷または水
冷することにより冷却が行われる。また、ポリオレフィ
ンなどとの共押出法による各種多層フィルムの成形によ
ってもポリアミドフィルムを得ることができる。
【0036】さらにまた、本発明の好ましい態様におけ
るポリアミドフィルム表面の突起形成の手段である前記
粗面化物質を添加する方法において、本発明の要件とす
るフィルム表面の突起の形成(つまり、表面粗さ測定に
おいて得られる表面粗さ曲線において、中心線より0.
06μm以上の高さの突起が6〜30個/mmの存在密
度で形成されること)を前述したような少量の前記粗面
化物質の添加で達成するには、フィルム成形後の延伸が
有効である。すなわち、前記ポリアミド樹脂中に添加さ
れた前記粗面化物質が延伸によりフィルム表面に突出す
るために、得られるポリアミドフィルムの滑り性、特に
高湿度下における滑り性は、より一層顕著になるのであ
る。
【0037】上記の場合、さらに効果的にポリアミドフ
ィルムの滑り性、特に高湿度下における滑り性を向上さ
せるためには、延伸条件としては、面積比で3倍以上、
好ましくは4倍以上の延伸倍率での延伸が必要である。
すなわち、延伸倍率が面積比で3倍未満の場合、前記の
本発明の要件とする表面突起を効果的に出現させること
はできず、面積比で3倍以上に延伸することではじめ
て、最終的に得られるポリアミドフィルムの透明性や表
面光沢度などの光学的特性を維持できる範囲内の前述し
たような少量の粗面化物質の添加で、効果的な滑り性、
特に高湿度下での十分な滑り性を得ることができる。な
お、前記の本発明の要件とする表面突起を確実に出現さ
せるには、面積比で4倍以上の延伸倍率での延伸、特に
二軸延伸が望ましい。
【0038】延伸方法としては、キャスティング法また
はチューブラー法で成形した未延伸フィルムを30〜1
80℃の延伸温度で延伸し、必要に応じて120℃以
上、かつ前記ポリアミド樹脂の融点より10℃低い温度
以下の温度で熱固定するのが一般的である。また、延
伸、特に二軸延伸は、特に限定されるものではなく、速
度差を有する二組のピンチロール間で縦方向に延伸した
後、テンター延伸機により横方向に延伸するロール/テ
ンター方式の逐次二軸延伸、テンター方式の逐次または
同時二軸延伸、チューブラー方式(つまり、インフレー
ション方式)による同時二軸延伸など、公知の方法を適
用することができる。
【0039】本発明では、前記粗面化物質として、最終
的に得られるポリアミドフィルムの透明性や表面光沢度
などの光学的特性を著しく低下させることなく、表面粗
さ測定において得られる表面粗さ曲線において、中心線
より0.06μm以上の高さの突起の数が6〜30個/
mmの存在密度で突起を該フィルム表面に形成し得る粗
面化物質を使用する場合、上述したようなフィルム成形
後の延伸は必ずしも必要とされない。また、前述したよ
うに、前記粗面化物質を添加する方法以外の方法で前記
の本発明の要件とする表面突起を形成する場合も、上記
延伸を必要としないことは言うまでもないことである。
【0040】以上のようにして得られる本発明のポリア
ミドフィルムは、該フィルム表面に、触針半径5μmの
触針式二次元表面粗さ測定装置を用いての表面粗さ測定
において得られる表面粗さ曲線において、中心線より
0.06μm以上の高さの突起の数が6〜30個/mm
の存在密度で突起を有し、かつ、該フィルム表面と23
℃の水との静的接触角が64°以上であるが、従来の滑
り性向上剤を添加したものに比べ、透明性や表面光沢度
の低下が小さく、フィルム用途としてのこれら光学的特
性を維持したものであると言える。具体的には、本発明
のポリアミドフィルムは、ヘイズが10%以下、好まし
くは7%以下であり、かつグロスが110より大きい
値、好ましくは110を越え170以下の値である。ヘ
イズが10%を越える場合やグロスが110未満の場合
は、ポリアミドフィルムの透明性が悪いので好ましくな
い。なお、グロスが170を越えると、ポリアミドフィ
ルムの滑り性が悪くなる傾向がみられる。
【0041】また、本発明のポリアミドフィルムは、滑
り性、特に前述した高湿度下における滑り性に優れるも
のである。ここで、『滑り性に優れる(すなわち、滑り
性が良い)』とは、滑り摩擦が小さいことを意味し、具
体的には、JIS K7125に準拠して後述する方法
によって測定される静摩擦係数で表わされる。フィルム
の静摩擦係数は、一般に相手材料の種類や測定雰囲気
(温度および湿度)条件などによって大きく異なるもの
であり、したがって、本発明の高湿度下において滑り性
に優れたポリアミドフィルムの静摩擦係数の範囲も一概
に限定することはできない。例えば、本発明のポリアミ
ドフィルムは、後述する方法により測定される静摩擦係
数が、相手材料がポリアミドフィルムの場合、23℃お
よび相対湿度60%(以下「60%RH」と略記)にお
いて0.6以下、好ましくは0.5以下、かつ23℃お
よび相対湿度80%(以下「80%RH」と略記)にお
いて0.5以下であり、そして、相手材料がフェライト
板の場合、23℃および60%RHにおいて0.3以
下、好ましくは0.25以下、かつ23℃および80%
RHにおいて0.3以下であることが望ましい。本発明
において最終的に得られるポリアミドフィルムの静摩擦
係数が上記通常範囲を外れる場合は、該ポリアミドフィ
ルムの高湿度下における滑り性が悪くなり、本発明の目
的を達成することができない。なお、この好ましくない
現象の発生を確実に防止するためには、前記ポリアミド
フィルムは、上述の好ましい範囲内の静摩擦係数を有す
るべきである。
【0042】なお、本発明では、ポリアミドフィルムの
高湿度下における優れた滑り性を維持したままで、さら
に透明性を改善するために、前記ポリアミド樹脂と前記
粗面化物質と前記表面疎水化物質とを混合した本発明の
ポリアミドフィルム層を、前記粗面化物質および/また
は前記表面疎水化物質が添加されていないポリアミド樹
脂などの熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に積層
したフィルムとすることもできる。すなわち、積層フィ
ルムとすることにより、本発明のポリアミドフィルム層
の厚みを薄くすることができ、滑り性の悪化を伴わず
に、フィルム全体としての透明性を改善できるのであ
る。また、本発明のポリアミドフィルムの厚みは特に限
定されないが、3〜100μm、好ましくは5〜60μ
mとするのが望ましく、そして積層フィルムとした場合
は、本発明のポリアミドフィルム層厚みを好ましくは
0.5〜30μm、さらに好ましくは1〜20μmとす
るのが良い。
【0043】さらに、本発明のポリアミドフィルムは、
印刷性、ラミネート、粘着剤塗布性を向上させるため
に、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、酸処理
などの表面処理を行うことができる。また、必要に応じ
このような処理がなされた後、印刷、ラミネート、粘着
剤塗布、ヒートシールなどの二次加工工程を経てそれぞ
れ目的とする用途に使用することもできる。
【0044】
【実施例】以下に、実施例および比較例を挙げて本発明
をより具体的に説明するが、これらは本発明を何ら限定
するものではない。以下の実施例および比較例におい
て、ポリアミド樹脂およびポリアミドフィルムの物性
は、下記の方法により測定した。 (1)ポリアミド樹脂の相対粘度 JIS K6810−1970に準じ、98重量%濃硫
酸を用いて測定した。
【0045】(2)ポリアミドフィルムの表面粗さ(突
起数および突起サイズ) 東京精密(株)製の表面粗さ形状測定器サーフコム55
0A型を使用し、触針の先端半径:5μm、荷重:40
0mgで、測定長:1mm、測定速度:0.06mm/
secおよびカットオフ値:0.05mmにてポリアミ
ドフィルム試料の表面粗さ測定を行い、表面粗さ曲線を
得た。突起数は、該表面粗さ曲線の中心線に平行な所定
の高さ(中心線より0.02μmおよび0.06μm)
の線と+側に交差した後、−側に交差した時に1カウン
トする方法で任意の方向において測定した1mm当たり
の総カウント数を求めた。測定は20回行い、その平均
値を「突起数」とした。また、上記突起数の測定に際
し、得られた表面粗さ曲線の中心線より0.06μm以
上の高さの突起について、突起前後の凹部(極小点)間
の水平距離の最大値および最小値を測定し、これらの値
を「突起サイズ」とした。なお、ポリアミドフィルム試
料は、23℃、相対湿度55%の雰囲気に24時間以上
置いて状態調節を行った後、上記表面粗さ測定に供し
た。
【0046】(3)ポリアミドフィルムの透明性(ヘイ
ズ) スガ試験機社製のカラーコンピューターSM−3型を使
用し、ASTM D−1003に準じて霞度(ヘイズ)
を測定した。
【0047】(4)ポリアミドフィルムの表面光沢度
(グロス) スガ試験機社製のデジタル変角光沢計を使用し、AST
M D−523に準じてグロスを測定した。
【0048】(5)ポリアミドフィルムの表面疎水性
(静的接触角) 協和界面科学社製接触角計CA−X型を使用し、23℃
において飽和水蒸気雰囲気下の測定セル内でポリアミド
フィルム試料を10分間調整後、該試料上に水滴を滴下
し、30秒後に該試料と水滴との静的接触角を測定し
た。
【0049】(6)ポリアミドフィルムの滑り性(滑り
摩擦) JIS K7125に準じ、23℃、60%RHおよび
23℃、80%RHにおいて、フィルム/相手材料フィ
ルムの静摩擦係数をそれぞれ測定した。ただし、測定雰
囲気(湿度)による静摩擦係数の変化を求めるために、
ポリアミドフィルム試料部分を恒温恒湿器中に置いて測
定した。測定は5回行い、その平均値として求めた。
【0050】実施例1 内容積70リットルの攪拌機付き耐圧力反応容器に10
kgのε−カプロラクタム、1kgの水、および1gの
γ−アミノプロピルトリエトキシシランで表面処理した
20gのゲルタイプシリカ(水澤化学工業(株)製、商
品名:ミズカシルP707、平均粒径:2.2μm、γ
−アミノプロピルトリエトキシシランの添加量:ゲルタ
イプシリカに対して5重量%)を入れ、100℃に加熱
し、この温度で反応系内が均一な状態になるように攪拌
した。引き続き、さらに温度を260℃まで昇温させ、
15kg/cm2 Gの圧力下で1時間攪拌した。その
後、放圧して水分を反応容器から揮散させながら常圧
下、260℃で2時間重合反応を行い、さらに400m
mHgの減圧下に260℃の温度で1時間重合反応させ
た。反応終了後、反応容器の下部ノズルからストランド
状に取り出した反応物を水槽に導入して冷却し、カッテ
ィングして、前記ゲルタイプシリカが均一に分散したポ
リアミド樹脂ペレットを得た。そこで、このペレットを
熱水中に浸漬し、約10%の未反応モノマーを抽出して
除去した後、減圧乾燥した。得られたポリマー(ポリア
ミド樹脂)の相対粘度は3.6であった。
【0051】次に、円筒型混合機を用いて、このナイロ
ン6のペレットに対して重量比で500ppmのN,
N’−エチレンビスベヘナミドと300ppmのステア
リン酸カルシウムをドライブレンドし、続いて押出機
(プラスチック工学研究所社製、型式:PLABOR−
GT−40)に供給して260℃で溶融混練し、該押出
機に連結したTダイから押出した。さらに、押出された
溶融樹脂を、内部に水を通して約30℃に制御された冷
却ロールにキャストして、厚さ120μmの未延伸フィ
ルムを成形した。その後、該フィルムを、テンター式二
軸延伸機((株)岩本製作所製、型式:BIX−70
3)を使用し、延伸温度50℃にて縦横とも延伸倍率を
3.0倍に設定して同時二軸延伸し、さらに190℃で
1分間、熱固定を行って厚さ約14μmの二軸延伸フィ
ルムを得た。得られたポリアミドフィルムの透明性(ヘ
イズ)、表面光沢度(グロス)、突起数、突起サイズ、
静的接触角および静摩擦係数(フィルム/相手材料フィ
ルム)は、表1に示す通りであった。
【0052】実施例2 ゲルタイプシリカ(水澤化学工業(株)製、商品名:ミ
ズカシルP707、平均粒径:2.2μm、γ−アミノ
プロピルトリエトキシシランの添加量:ゲルタイプシリ
カに対して5重量%)を添加しなかったこと以外は、実
施例1と全く同様に重合反応、熱水抽出および減圧乾燥
してポリアミド樹脂のペレットを得た。そこで、このペ
レットを粉砕して粉末状態にした後、その95重量部
と、γ−アミノプロピルトリエトキシシランで表面処理
した球状シリカ(水澤化学工業(株)製、商品名:ミズ
パールM201SC5、平均粒径:2.1μm、γ−ア
ミノプロピルトリエトキシシランの添加量:球状シリカ
に対して5重量%)5重量部とをヘンシェルミキサーを
用いてドライブレンドし、続いて、二軸押出機(池貝鉄
工(株)製、型式:PCM30)を使用して260℃に
てストランド状に押出し、さらに水槽に導入して冷却し
てカッティングを行った後、減圧乾燥して高濃度に球状
シリカを含有するポリアミド樹脂ペレットを得た。
【0053】次に、円筒型混合機を用いて、前記の粗面
化物質を含まないポリアミド樹脂96.2重量部に対し
て、上記高濃度に球状シリカを含有するポリアミド樹脂
4重量部、N,N’−エチレンビスベヘナミド0.05
重量部およびステアリン酸カルシウム0.03重量部を
ドライブレンドした後、実施例1と全く同様にして、未
延伸フィルムの成形、ならびに、それに続く逐次二軸延
伸および熱固定を実施して、厚さが約14μmの二軸延
伸フィルムを得た。得られたポリアミドフィルムの透明
性、表面光沢度、突起数、静的接触角および静摩擦係数
(フィルム/相手材料フィルム)は、表1に示す通りで
あった。
【0054】実施例3 N,N’−エチレンビスベヘナミドの添加量を0.05
重量部に変えて0.2重量部にしたこと以外は、実施例
2と全く同様の操作を行った。得られたポリアミドフィ
ルムの透明性、表面光沢度、突起数、静的接触角および
静摩擦係数(フィルム/相手材料フィルム)の測定結果
を表1に示す。
【0055】実施例4 表面疎水化物質として、N,N’−エチレンビスベヘナ
ミド0.05重量部に代えて、N,N’−エチレンビス
ステアラミド0.05重量部を使用したこと以外は、実
施例2と全く同様の操作を行った。得られたポリアミド
フィルムの透明性、表面光沢度、突起数、静的接触角お
よび静摩擦係数(フィルム/相手材料フィルム)の測定
結果を表1に示す。
【0056】実施例5 N,N’−エチレンビスステアラミドの添加量を0.0
5重量部に変えて0.2重量部にしたこと以外は、実施
例4と全く同様の操作を行った。得られたポリアミドフ
ィルムの透明性、表面光沢度、突起数、静的接触角およ
び静摩擦係数(フィルム/相手材料フィルム)の測定結
果を表1に示す。
【0057】実施例6 表面疎水化物質として、N,N’−エチレンビスベヘナ
ミド0.05重量部に代えて、N,N’−エチレンビス
パルミタミド0.2重量部を使用したこと以外は、実施
例2と全く同様の操作を行った。得られたポリアミドフ
ィルムの透明性、表面光沢度、突起数、静的接触角およ
び静摩擦係数(フィルム/相手材料フィルム)の測定結
果を表1に示す。
【0058】実施例7 表面疎水化物質として、N,N’−エチレンビスベヘナ
ミド0.05重量部に代えて、N,N’−エチレンビス
ラウラミド0.2重量部を使用したこと以外は、実施例
2と全く同様の操作を行った。得られたポリアミドフィ
ルムの透明性、表面光沢度、突起数、静的接触角および
静摩擦係数(フィルム/相手材料フィルム)の測定結果
を表1に示す。
【0059】実施例8 粗面化物質として、γ−アミノプロピルトリエトキシシ
ランで表面処理した球状シリカ(水澤化学工業(株)
製、商品名:ミズパールMC201SC5、平均粒径:
2.1μm、γ−アミノプロピルトリエトキシシランの
添加量:球状シリカに対して5重量%)に代えて、カオ
リン(水澤化学工業(株)製、商品名:インシュライト
MC6、平均粒径:5.9μm)を使用したこと、粗面
化物質を含まないポリアミド樹脂の使用量を96.2重
量部に変えて90.5重量部にしたこと、および、高濃
度に球状シリカを含有するポリアミド樹脂4重量部に代
えて、前記のカオリンを用い、実施例2と同様に処理し
て得られた高濃度にカオリンを含有するポリアミド樹脂
10重量部を使用したこと以外は、実施例2と全く同様
の操作を行った。得られたポリアミドフィルムの透明
性、表面光沢度、突起数、突起サイズ、静的接触角およ
び静摩擦係数(フィルム/相手材料フィルム)の測定結
果を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】比較例1 N,N’−エチレンビスベヘナミドの添加量を0.05
重量部に変えて0重量部にしたこと、すなわち、N,
N’−エチレンビスベヘナミドを添加しなかったこと以
外は、実施例1と全く同様の操作を行った。得られたポ
リアミドフィルムの透明性、表面光沢度、突起数、突起
サイズ、静的接触角および静摩擦係数(フィルム/相手
材料フィルム)の測定結果を表2に示す。表面疎水性測
定において静的接触角が63°であり、フィルム/相手
材料フィルムの場合の80%RH雰囲気下における静摩
擦係数は0.90であった。したがって、得られたポリ
アミドフィルムは、高湿度下において滑り性が悪くなる
ことが判る。
【0062】比較例2 N,N’−エチレンビスベヘナミドの添加量を0.05
重量部に変えて0重量部にしたこと、すなわち、N,
N’−エチレンビスベヘナミドを添加しなかったこと以
外は、実施例2と全く同様の操作を行った。得られたポ
リアミドフィルムの透明性、表面光沢度、突起数、静的
接触角および静摩擦係数(フィルム/相手材料フィル
ム)の測定結果を表2に示す。表面粗さ測定において得
られた表面粗さ曲線における中心線より0.06μm以
上の高さの突起数が16.8個/mmであるにもかかわ
らず、表面疎水性測定において静的接触角が61°であ
った。したがって、フィルム/相手材料フィルムの場合
の80%RH雰囲気下における静摩擦係数は0.60で
あり、実施例1〜8の場合(0.41〜0.47)に比
べて値が大きく、得られたポリアミドフィルムは、高湿
度下において滑り性が悪くなることが判る。
【0063】比較例3 粗面化物質を含まないポリアミド樹脂の使用量を96.
2重量部に変えて90.5重量部にしたこと、および、
高濃度に球状シリカを含有するポリアミド樹脂の添加量
を4重量部に変えて10重量部にしたこと以外は、実施
例2と全く同様の操作を行った。得られたポリアミドフ
ィルムの透明性、表面光沢度、突起数、突起サイズ、静
的接触角および静摩擦係数(フィルム/相手材料フィル
ム)の測定結果を表2に示す。ポリアミド樹脂の使用量
(重量)に対する値としての粗面化物質の球状シリカの
添加量、ならびに、フィルム/相手材料フィルムの場合
の60%RH雰囲気下および80%RH雰囲気下におけ
る静摩擦係数は、実施例2では、それぞれ、2000p
pm、0.39および0.47であるのに対して、本比
較例では、それぞれ、5000ppm、0.35および
0.41である。したがって、本比較例では、実施例2
の場合に比べて、粗面化物質の球状シリカを多量に添加
しているため、フィルム/相手材料フィルムの場合の高
湿度下における静摩擦係数が小さくなっており、滑り性
が向上していると言える。しかしながら、本比較例にお
いて得られたポリアミドフィルムのヘイズおよびグロス
が、それぞれ、14.0%および99であり、透明性や
表面光沢度などの光学的特性が大きく低下することが判
る。
【0064】比較例4 粗面化物質として、γ−アミノプロピルトリエトキシシ
ランで表面処理した球状シリカ(水澤化学工業(株)
製、商品名:ミズパールM201SC5、平均粒径:
2.1μm、γ−アミノプロピルトリエトキシシランの
添加量:球状シリカに対して5重量%)に代えて、γ−
アミノプロピルトリエトキシシランで表面処理した沈降
タイプシリカ(水澤化学工業(株)製、商品名:ミズカ
シルP527、平均粒径:1.8μm、γ−アミノプロ
ピルトリエトキシシランの添加量:沈降タイプシリカに
対して5重量%)を使用したこと、粗面化物質を含まな
いポリアミド樹脂の使用量を96.2重量部に変えて9
0.5重量部にしたこと、および、高濃度に球状シリカ
を含有するポリアミド樹脂4重量部に代えて、前記の沈
降タイプシリカを用い、実施例2と同様に処理して得ら
れた高濃度に沈降タイプシリカを含有するポリアミド樹
脂10重量部を使用したこと以外は、実施例2と全く同
様の操作を行った。得られたポリアミドフィルムの透明
性、表面光沢度、突起数、静的接触角および静摩擦係数
(フィルム/相手材料フィルム)の測定結果を表2に示
す。表面粗さ測定において得られた表面粗さ曲線におけ
る中心線より0.02μm以上の高さの突起数は29.
3個/mmであるが、中心線より0.06μm以上の高
さの突起数は0.4個/mmであり、フィルム/相手材
料フィルムの場合の80%RH雰囲気下における静摩擦
係数の測定結果において、得られたポリアミドフィルム
がブロッキングを起こしている。したがって、得られた
ポリアミドフィルムは、高湿度下において滑り性が悪く
なることが判る。
【0065】比較例5 粗面化物質を含まないポリアミド樹脂の使用量を90.
5重量部に変えて96.2重量部にしたこと、および、
高濃度にカオリンを含有するポリアミド樹脂の添加量を
10重量部に変えて4重量部にしたこと以外は、実施例
8と全く同様の操作を行った。得られたポリアミドフィ
ルムの透明性、表面光沢度、突起数、突起サイズ、静的
接触角および静摩擦係数(フィルム/相手材料フィル
ム)の測定結果を表2に示す。表面粗さ測定において得
られた表面粗さ曲線における中心線より0.02μm以
上の高さの突起数は15.3個/mmであるが、中心線
より0.06μm以上の高さの突起数は4.5個/mm
であり、フィルム/相手材料フィルムの場合の80%R
H雰囲気下における静摩擦係数の測定結果において、得
られたポリアミドフィルムがブロッキングを起こしてい
る。したがって、得られたポリアミドフィルムは、高湿
度下において滑り性が悪くなることが判る。
【0066】比較例6 粗面化物質として、γ−アミノプロピルトリエトキシシ
ランで表面処理した球状シリカ(水澤化学工業(株)
製、商品名:ミズパールM201SC5、平均粒径:
2.1μm、γ−アミノプロピルトリエトキシシランの
添加量:球状シリカに対して5重量%)に代えて、分級
タルク(日本タルク(株)製、商品名:ミクロエースL
1、平均粒径:1.8μm)を使用したこと、および、
高濃度に球状シリカを含有するポリアミド樹脂4重量部
に代えて、前記の分級タルクを用い、実施例2と同様に
処理して得られた高濃度に分級タルクを含有するポリア
ミド樹脂4重量部を使用したこと以外は、比較例2と全
く同様の操作を行った。得られたポリアミドフィルムの
透明性、表面光沢度、突起数、突起サイズ、静的接触角
および静摩擦係数(フィルム/相手材料フィルム)の測
定結果を表2に示す。表面粗さ測定において得られた表
面粗さ曲線における中心線より0.02μm以上の高さ
の突起数は21.7個/mmであるが、中心線より0.
06μm以上の高さの突起数は4.7個/mmであり、
フィルム/相手材料フィルムの場合の80%RH雰囲気
下における静摩擦係数の測定結果において、得られたポ
リアミドフィルムがブロッキングを起こしている。した
がって、得られたポリアミドフィルムは、高湿度下にお
いて滑り性が悪くなることが判る。
【0067】
【表2】
【0068】実施例9 延伸倍率を縦横ともに3.0倍に変えて2.0倍に設定
したこと以外は、実施例2と全く同様の操作を行った。
得られたポリアミドフィルムの突起数、静的接触角およ
び静摩擦係数(フィルム/相手材料フィルム)の測定結
果を表3に示す。
【0069】実施例10 延伸倍率を縦横ともに3.0倍に変えて2.6倍に設定
したこと以外は、実施例2と全く同様の操作を行った。
得られたポリアミドフィルムの突起数、静的接触角およ
び静摩擦係数(フィルム/相手材料フィルム)の測定結
果を表3に示す。
【0070】比較例7 延伸倍率を縦横ともに3.0倍に変えて1.0倍に設定
したこと、すなわち、延伸を行わずに190℃での1分
間の熱固定のみを行ったこと以外は、実施例2と全く同
様の操作を行った。得られたポリアミドフィルムの突起
数、静的接触角および静摩擦係数(フィルム/相手材料
フィルム)の測定結果を表3に示す。表面粗さ測定にお
いて得られた表面粗さ曲線における中心線より0.06
μm以上の高さの突起数は3.4個/mmであり、フィ
ルム/相手材料フィルムの場合の60%RH雰囲気下お
よび80%RH雰囲気下における静摩擦係数の測定結果
において、得られたポリアミドフィルムがブロッキング
を起こしている。したがって、得られたポリアミドフィ
ルムは、高湿度下において滑り性が悪くなることが判
る。
【0071】比較例8 延伸倍率を縦横ともに3.0倍に変えて1.5倍に設定
したこと以外は、実施例2と全く同様の操作を行った。
得られたポリアミドフィルムの突起数、静的接触角およ
び静摩擦係数(フィルム/相手材料フィルム)の測定結
果を表3に示す。表面粗さ測定において得られた表面粗
さ曲線における中心線より0.06μm以上の高さの突
起数は3.8個/mmであり、フィルム/相手材料フィ
ルムの場合の80%RH雰囲気下における静摩擦係数の
測定結果において、得られたポリアミドフィルムがブロ
ッキングを起こしている。したがって、得られたポリア
ミドフィルムは、高湿度下において滑り性が悪くなるこ
とが判る。
【0072】
【表3】
【0073】
【発明の効果】以上述べた実施例および比較例からも明
らかなように、本発明によれば、触針半径5μmの触針
式二次元表面粗さ測定装置による表面粗さ測定において
中心線より0.06μm以上の突起の数が6〜30個/
mmとなるような存在密度で突起が表面に形成され、か
つ、23℃の水との静的接触角が64°以上となる表面
疎水性を有することにより、耐ピンホール性や酸素ガス
バリヤー性などに優れたポリアミドフィルムにおいて、
その透明性および表面光沢などの光学的特性が維持され
た上で、滑り性、特に高湿度下において優れた滑り性が
得られる。したがって、本発明のポリアミドフィルム
は、特に高湿度環境下で使用されることが多い、水分の
多い食品包装用ナイロンフィルムの製造技術としての有
用性が高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08K 5/00 C08K 5/00 5/20 5/20 7/18 7/18 // B29K 77:00 B29L 7:00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面粗さ測定において中心線より0.0
    6μm以上の高さの突起の数が6〜30個/mmである
    表面粗さを有し、かつ23℃における水との静的接触角
    が64°以上である疎水性を有し、さらに、ヘイズが1
    0%以下で、グロスが110より大きい値である、高湿
    度下における滑り性の優れたポリアミドフィルム。
  2. 【請求項2】 ポリアミド樹脂に粗面化物質および表面
    疎水化物質を配合した組成物を成形してなるポリアミド
    原反フィルムを面積比で3倍以上に延伸して得られる請
    求項1に記載のポリアミドフィルム。
  3. 【請求項3】 粗面化物質が無機微粒子である請求項2
    に記載のポリアミドフィルム。
  4. 【請求項4】 表面疎水化物質が長鎖脂肪族系ビスアミ
    ド化合物である請求項2または3に記載のポリアミドフ
    ィルム。
  5. 【請求項5】 ポリアミド樹脂の50重量%以上がポリ
    −ε−カプラミド、またはポリ−ε−カプラミドの反復
    構造単位を主成分とする共重合体である請求項2〜4の
    いずれか1項に記載のポリアミドフィルム。
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Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002294068A (ja) * 2001-03-30 2002-10-09 Asahi Kasei Corp ポリアミド樹脂組成物
JP2005105167A (ja) * 2003-09-30 2005-04-21 Toray Ind Inc ポリアミド樹脂組成物
JP2005162805A (ja) * 2003-12-01 2005-06-23 Toray Ind Inc 芳香族ポリアミドフィルム
JP2007136873A (ja) * 2005-11-18 2007-06-07 Unitika Ltd 2軸延伸積層ポリアミドフィルム
WO2008001571A1 (fr) * 2006-06-30 2008-01-03 Toyox Co., Ltd. Tuyau en résine synthétique
JP2017171740A (ja) * 2016-03-22 2017-09-28 興人フィルム&ケミカルズ株式会社 滑り性の優れたポリアミドフィルム
JP2017171741A (ja) * 2016-03-22 2017-09-28 興人フィルム&ケミカルズ株式会社 滑り性と安定生産性の優れたポリアミドフィルム

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