JP2005132929A - フィルム用ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 透明で、滑り性、印刷性に優れ、ダイラインやフィッシュアイの発生を抑え、更に昨今の高吐出量成形に対応した高い温度での長時間にわたる連続安定生産が可能なフィルム用ポリアミド樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 ポリアミド樹脂100重量部に対し、(A)無機フィラー粒子を0.01〜0.5重量部、(B)3〜6価の脂肪族アルコールと、炭素数10〜22の脂肪酸との部分エステル化合物を0.01〜0.7重量部、(C)炭素数12〜30のヒドロキシ脂肪酸のマグネシウム塩を0.001〜0.1重量部の範囲内であって、かつ、(B)成分に対して0.05〜0.7重量倍となる量、を配合してなるフィルム用ポリアミド樹脂組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】 ポリアミド樹脂100重量部に対し、(A)無機フィラー粒子を0.01〜0.5重量部、(B)3〜6価の脂肪族アルコールと、炭素数10〜22の脂肪酸との部分エステル化合物を0.01〜0.7重量部、(C)炭素数12〜30のヒドロキシ脂肪酸のマグネシウム塩を0.001〜0.1重量部の範囲内であって、かつ、(B)成分に対して0.05〜0.7重量倍となる量、を配合してなるフィルム用ポリアミド樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
本発明は、透明性、滑り性、外観および生産性に優れたポリアミドフィルムの製造に適した樹脂組成物およびそれから得られるフィルムに関するものである。
ポリアミド樹脂製フィルムは、ガスバリヤー性と機械的・熱的特性に優れているため、食品包装を主体として、単層、他樹脂との多層フィルム、他材料とのラミネートフィルム等として、広範囲な用途に使用されている。しかして、ポリアミド樹脂製フィルムは、滑り性が悪いと、製袋時にフィルムが引っ掛かったり、多色印刷時にインクの印刷ズレが生じたりすることがある。このため、フィルムの滑り性は、フィルムの生産性や品質・商品価値の点から極めて重要な特性である。
ポリアミド樹脂製フィルムの滑り性改良のために従来から種々の方法が試みられてきた。例えば、無機フィラー粒子を配合する方法(例えば特許文献1)が提案されている。しかしながら、無機フィラー粒子を配合する方法では、得られるフィルムの透明性が低下して商品価値を著しく低下せしめる為に、その配合量が制約される。また、無機フィラー粒子の配合だけでは、フィルムの滑り性を十分に改良することは出来ない。その上、無機粒子を配合する方法では、無機粒子の表面活性が高い場合には、ポリアミド樹脂の熱安定性が不良になり、フィッシュアイと称される粒状欠陥や、ダイラインと称される筋状のキズが発生して外観不良を招きやすく、外観に優れたフィルムを安定的に連続生産することが難しい。殊に、シリカ系の無機粒子を配合した場合には、得られるフィルムの透明性と滑り性については比較的良好な結果が得られるものの、ダイラインやフィッシュアイなどの外観不良が極めて生じ易く、外観の良好なフィルムを長時間安定生産することが困難であった。
このため、例えば、特許文献2には、無機フィラー粒子をシランカップリング剤で処理することにより、粒子の分散を高め外観不良の発生を抑える方法が提案され、特許文献3には、ダイラインやフィッシュアイの発生を抑えるため、3〜6価の脂肪族アルコールと、炭素数10〜22の脂肪酸との部分エステル化合物を0.01〜1重量部配合した組成物が提案されている。また、特許文献4は、ダイラインやフィッシュアイの発生を抑えるため、炭素数12〜30のヒドロキシ脂肪酸のマグネシウム塩を0.01〜0.5重量部配合した組成物が提案されている。
そして、特許文献5は特許文献3あるいは特許文献4の提案より優れたダイライン抑制効果が得られるとして、酸化亜鉛と塩基性脂肪酸マグネシウムの混合比率が10:90〜30:70である添加物を0.03〜0.5重量%を配合したポリアミド樹脂組成物が提案されている。しかし特許文献5の提案でも、フィルム成形時の押出機シリンダ温度が250℃を超えるような昨今の高吐出対応の成形条件では、ダイラインが発生しやすくなってしまうという問題を抱えていた。
そして、特許文献5は特許文献3あるいは特許文献4の提案より優れたダイライン抑制効果が得られるとして、酸化亜鉛と塩基性脂肪酸マグネシウムの混合比率が10:90〜30:70である添加物を0.03〜0.5重量%を配合したポリアミド樹脂組成物が提案されている。しかし特許文献5の提案でも、フィルム成形時の押出機シリンダ温度が250℃を超えるような昨今の高吐出対応の成形条件では、ダイラインが発生しやすくなってしまうという問題を抱えていた。
本発明は、ポリアミド樹脂製フィルムの連続生産を続けると発生してくる上述のごときダイラインやフィッシュアイの発生を抑え、更に昨今の高吐出量成形に対応した高い温度での長時間にわたる連続安定生産が可能で、透明性、滑り性、印刷性に優れフィルム製造用ポリアミド樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、このような従来のフィルム用ポリアミド樹脂組成物が有する欠点を克服し、透明性、滑り性および印刷性に優れ、連続製膜を行なっても外観不良が更に生じにくいポリアミド樹脂組成物を提供すべく鋭意検討した結果、無機フィラー粒子(A成分)と多価アルコールの部分エステル(B成分)およびヒドロキシ脂肪酸のマグネシウム塩(C成分)を特定の割合で配合したポリアミド樹脂組成物を使用してフィルムを形成することによって、その目的を達成しうることを見出し、本発明に到達した。多価アルコールの部分エステル及びヒドロキシ脂肪酸のマグネシウム塩は,それぞれ単独でフィルム用ポリアミド樹脂に配合されることは、特許文献3及び4に記載されているが、併用することは知られていない。本発明者らはこれらを特定割合で併用し、無機フィラーと共にポリアミド樹脂に配合することにより、驚くべき相乗効果が得られることを見出し、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明の要旨は、ポリアミド樹脂100重量部に対し、(A)無機フィラー粒子を0.01〜0.5重量部、(B)3〜6価の脂肪族アルコールと、炭素数10〜22の脂肪酸との部分エステル化合物を0.01〜0.7重量部、(C)炭素数12〜30のヒドロキシ脂肪酸のマグネシウム塩を0.001〜0.1重量部の範囲内であって、かつ、(B)成分に対して0.05〜0.7重量倍となる量を配合してなるフィルム用ポリアミド樹脂組成物およびかかる樹脂組成物を成形してなるフィルムに存する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に使用されるポリアミド樹脂としては、3員環以上のラクタム、重合可能なω−アミノ酸、二塩基酸とジアミンなどの重縮合によって得られる鎖中に酸アミド結合を有する重合体を用いることが出来る。具体的には、ε−カプロラクタム、アミノカプロン酸、エナントラクタム、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸、9−アミノノナン酸、α−ピロリドン、α−ピペリドンなどの重合体、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタキシレンジアミンなどのジアミンと、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二塩基酸、グルタール酸などのジカルボン酸と重縮合せしめて得られる重合体またはこれらの共重合体であり、例えば、ナイロン4、6、7、8、11、12、6・6、6・10、6・11、6・12、6T、6/6・6、6/12、6/6T、61/6Tなどがあげられる。
本発明に使用されるポリアミド樹脂としては、3員環以上のラクタム、重合可能なω−アミノ酸、二塩基酸とジアミンなどの重縮合によって得られる鎖中に酸アミド結合を有する重合体を用いることが出来る。具体的には、ε−カプロラクタム、アミノカプロン酸、エナントラクタム、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸、9−アミノノナン酸、α−ピロリドン、α−ピペリドンなどの重合体、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタキシレンジアミンなどのジアミンと、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二塩基酸、グルタール酸などのジカルボン酸と重縮合せしめて得られる重合体またはこれらの共重合体であり、例えば、ナイロン4、6、7、8、11、12、6・6、6・10、6・11、6・12、6T、6/6・6、6/12、6/6T、61/6Tなどがあげられる。
これらのうち、得られるフィルムの熱的・機械的特性の面から、特にナイロン6樹脂、ナイロン6/6・6共重合樹脂の使用が好適である。ポリアミド樹脂の粘度数については、JIS−K−6933−99(ISO307の翻訳)にしたがって、96%硫酸中濃度1%、温度23℃で測定した値で、118〜310、好ましくは、124〜278の範囲が好適に使用される。粘度数が低すぎると、得られるフィルムの機械的特性が不十分であり、高すぎると製膜が困難になる。
本発明のポリアミド樹脂については、更に、JIS−K−6810に準じて、低分子量物の含有量を測定する水抽出量を、1%以下、好ましくは0.5%以下とすることが好適である。水抽出量が多いと、ダイス口周辺に、モノマー、ダイマーを始めとする低分子量物が付着し易く、そうした低分子量物がフィルムに接したり、付着したりすることによって、フィッシュアイ等の外観不良が生じ易い。
本発明に使用される(A)無機フィラー粒子については特に制限はなく、従来、樹脂の充填材として慣用されているものの中から任意のものを選択して使用することが出来る。具体的には、クレー、カオリン、焼性カオリンに代表されるシリカ−アルミナ系粘土鉱物(含水ケイ酸アルミニウム類)、タルクに代表されるシリカ−マグネシウム類、さらにはケイ酸カルシウム、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウムなどが挙げられるが、これらの中で、特にタルク、カオリン、焼性カオリン、シリカが易分散性の点から好適である。なかでも、シリカを使用すると、得られるフィルムの透明性に優れ、滑り性も良好であり、特に好適である。
これらの無機フィラー粒子は、粒径10μm以上の粒子を含まず、かつ平均粒径が0.4〜6μmの範囲にあるものが好適である。粒径が大きいと、フィッシュアイの発生の原因になり、粒径が小さ過ぎると分散性が不良になり、またフィラーの二次凝集によるフィッシュアイを招き易くなって好ましくない。本発明に好適なシリカについては、いわゆる湿式シリカ、及び乾式シリカの両方とも使用出来るが、BET法による比表面積50m2/g以上、さらに望ましくは、100m2/g以上であり、かつ、JIS−K−5101に従って測定した吸油量が50ml/100g以上であることが好ましい。
また、これらの無機フィラー粒子は、シラン処理剤やチタニウム系処理剤などの周知の表面処理剤で表面処理したものを使用すると、良好な分散性が得られると同時に、得られるフィルムの透明性も改良される。表面処理の方法については特に限定はないが、例えば、特許文献1の特開昭63−251460号公報に記載されている方法などが用いられる。
本発明の無機フィラー粒子は、上述のもの1種、もしくは2種以上を組み合わせて用いられ、その配合量は、ポリアミド樹脂100重量部に対し、0.01〜0.5重量部、好ましくは0.05〜0.3重量部の範囲で選ばれる。配合量が少ないと、得られるフィルムの滑り性の改良がみられず、配合量が多すぎると透明性が低下する。
本発明で使用される(B)3〜6価の脂肪族アルコールと炭素数10〜22の脂肪酸との部分エステル化合物とは、具体的には、脂肪族アルコールとして、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、メソエリスリトール、ソルビトールなどが挙げられる。また、炭素数10〜22脂肪酸とは、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチル酸、ステアリン酸、ベヘン酸などが挙げられる。脂肪酸の炭素骨格には、水酸基などの置換基が存在していてもよい。こうした脂肪族アルコール類と脂肪酸とのエステル化合物は、実質的に部分エステルであることが必要であり、好ましくは、多価アルコール中の水酸基全体の30%以上がエステル化せず残存しているものが用いられる。なかでも、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリンモノベヘネート、グリセリンジステアレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールモノベヘネート、ペンタエリスリトールジベヘネートなどの使用が好ましい。こうした部分エステル化合物は、単独もしくは複数の化合物を併用して使用することができ、その配合量は、ポリアミド樹脂100重量部に対し、0.01〜0.7重量部、好ましくは0.03〜0.4重量部である。配合量が少ないと、得られるフィルムの外観改良効果がみられず、配合量が多すぎると、印刷特性が悪化する。
本発明に使用される(C)炭素数12〜30のヒドロキシ脂肪酸のマグネシウム塩は、例えば、ヒドロキシカルボン酸とマグネシウム酸化物もしくは水酸化物を加熱反応させることによって得ることができる。この際、マグネシウム酸化物もしくは水酸化物を過剰に加えて、塩基性の高いヒドロキシ脂肪酸マグネシウムを合成すると、より良好な結果が得られる。具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸などの脂肪族カルボン酸のヒドロキシ化合物のマグネシウム塩である。脂肪酸の炭素数が小さいと所定の効果を得られず、炭素数が大き過ぎると透明性の低下が生じるため好ましくない。このため、脂肪酸の炭素数は12〜30、好ましくは12〜24の範囲で選ばれる。ヒドロキシ脂肪酸のマグネシウム塩の配合量は、ポリアミド樹脂100重量部に対し、0.001〜0.1重量部、好ましくは、0.005〜0.07重量部の範囲で配合される。配合量が少ないと外観改良の効果が見られず、配合量が多いと透明性および印刷性が低下する。
更に、本発明においては、(B)と(C)の配合量が、それぞれ、上記範囲から選ばれることと共に、その比率(C)/(B)が0.05〜0.7(重量比)であることが必要であり、さらに0.07〜0.5であることが好ましい。配合比率(C)/(B)が小さいとダイラインの発生抑制に対する相乗効果が発揮されない。大きいと各成分の相溶性が悪化し、透明性などが損なわれる。
更に、本発明においては、(B)と(C)の配合量が、それぞれ、上記範囲から選ばれることと共に、その比率(C)/(B)が0.05〜0.7(重量比)であることが必要であり、さらに0.07〜0.5であることが好ましい。配合比率(C)/(B)が小さいとダイラインの発生抑制に対する相乗効果が発揮されない。大きいと各成分の相溶性が悪化し、透明性などが損なわれる。
本発明組成物には更に、滑り性および水冷却製膜法における透明性を改良する目的で、ビスアミド化合物を配合すると効果的である。ビスアミド化合物としては、下記一般式〔I〕又は〔II〕で表される化合物が用いられる。
(式中、R1は2価の炭化水素基、R2及びR3は、同じ又は異なって、1価の炭化水素基、R4及びR5は、同じ又は異なって、水素原子、または1価の炭化水素基を示す)。
前記一般式〔I〕で表されるビスアミド化合物としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミンなどのアルキレンジアミン、フェニレンジアミン、ナフタレンジアミンなどのアリーレンジアミン、キシリレンジアミンなどのアリーレンアルキルジアミンなどのジアミンとステアリン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、エライジン酸、モンタン酸などの脂肪酸との反応によって得られるアルキレンビス脂肪酸アミド、アリーレンビス脂肪酸アミド、アリールアルキレンビス脂肪酸アミドなどが挙げられるが、これらの中で代表的なものとして、N,N'−メチレンビスステアリン酸アミド及びN,N'−エチレンビスステアリン酸アミドを挙げることが出来る。
前記一般式〔II〕で表されるビスアミド化合物としては、例えば、エチルアミン、メチルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、デシルアミン、ペンタデシルアミン、オクタデシルアミン、ドデシルアミンなどのアルキルアミン、アニリン、ナフチルアミンなどのアリールアミン、ベンジルアミンなどのアラルキルアミン、シクロヘキシルアミンなどのシクロアルキルアミンなどのモノアミンとテレフタル酸、p−フェニレンジプロピオン酸、コハク酸、アジピン酸などのジカルボン酸との反応によって得られるものが選ばれる。これらの中で代表的なものとして、N,N'−ジオクタデシルテレフタル酸アミドなどのジオクタデシル二塩基酸アミドを挙げることができる。
これらのビスアミド化合物は一種を用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよく、その配合量は、ポリアミド樹脂100重量部に対し、0.01〜1重量部、好ましくは、0.05〜0.5重量部の範囲から選ばれる。配合量が少ないと、滑り性改良の効果が観られず、多すぎるとフィルムの印刷性やラミネート加工時の密着性が低下し好ましくない。
本発明の樹脂組成物の製法は特に限定されるものではなく、ポリアミド樹脂の重合から成形品の製造にいたるまでの任意の段階で、ポリアミド樹脂に、(A)無機フィラー、(B)多価アルコールの部分エステルおよび(C)ヒドロキシステアリン酸のマグネシウム塩を配合すればよい。即ち、ポリアミド樹脂のペレット状原料にドライブレンドするいわゆる外添法でも、溶融混合する練込法でも、あるいは、高濃度に含有する原料を配合するいわゆるマスターバッチ法でも、重合時に添加する内添法でも、いずれの配合方法も可能である。
本発明の樹脂組成物には、上記の配合物以外に,本発明の効果を阻害する恐れのない範囲で当該業者に周知の各種の添加剤、例えば、ヒンダードフェノール、リン酸エステルや亜リン酸エステルなどの酸化防止剤、トリアジン系化合物などの耐候性改良剤、顔料、染料などの着色剤、帯電防止剤、滑剤などを配合してもよい。このようにして調製された樹脂組成物は、公知のフィルム製膜法によって、本発明のポリアミド製フィルムに成形することができる。フィルム製膜法としては、公知の方法、例えばTダイ法、インフレーション法などが適用され、未延伸フィルムのまま、もしくは一軸延伸、二軸延伸等の延伸工程を経て延伸フィルムとして使用される。また、本発明のポリアミド樹脂組成物を使用したフィルムは、単層ポリアミドフィルムであってもよいし、共押出やラミネートなどによる積層フィルムであってもよい。
本発明のポリアミド樹脂組成物を使用してフィルムを製造する場合、連続生産の際のダイラインの発生が長時間抑制され、生産を途中で停止することなく長時間連続して外観、透明性、滑り性、印刷性の優れたポリアミドフィルムを製造することができる。その結果、製造コストの低下が期待でき、ポリアミドフィルムの食品包装などへ用途を拡大する効果がある。
以下に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、下記の例に限定されるものではない。なお、以下の例で使用した材料及びフィルムの評価方法は次の通りである。
<材料>
A)シリカ:サイリシア244 富士シリシア化学(株)製
B)多価アルコール部分エステル:グリセリンモノステアレート、S100A 理研ビタミン(株)製。
C)ヒドロキシ脂肪酸マグネシウム:12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、EM644 栄伸化成(株)製。
D)ビスアミド化合物:エチレンビスステアリン酸アミド、ライオン(株)製。
E)酸化亜鉛:和光純薬(株)製。
F)塩基性ステアリン酸マグネシウム:EM144、栄伸化成(株)製。
A)シリカ:サイリシア244 富士シリシア化学(株)製
B)多価アルコール部分エステル:グリセリンモノステアレート、S100A 理研ビタミン(株)製。
C)ヒドロキシ脂肪酸マグネシウム:12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、EM644 栄伸化成(株)製。
D)ビスアミド化合物:エチレンビスステアリン酸アミド、ライオン(株)製。
E)酸化亜鉛:和光純薬(株)製。
F)塩基性ステアリン酸マグネシウム:EM144、栄伸化成(株)製。
<フィルムの評価方法>
(1)ヘーズ:東京電色(株)製ヘーズメーターを用いて、JIS K−7105に準拠してヘーズ値を測定した。
(2)滑り性:相対湿度65%、温度23℃の条件下、東洋精機製作所製平行移動式摩擦測定機を用いASTM D−1894に準拠して静止摩擦係数(μS)を測定した。静止摩擦係数0.5以下が良好といえる。
(1)ヘーズ:東京電色(株)製ヘーズメーターを用いて、JIS K−7105に準拠してヘーズ値を測定した。
(2)滑り性:相対湿度65%、温度23℃の条件下、東洋精機製作所製平行移動式摩擦測定機を用いASTM D−1894に準拠して静止摩擦係数(μS)を測定した。静止摩擦係数0.5以下が良好といえる。
(3)印刷性:相対湿度65%、温度23℃の条件下、ASTM D−5725に準拠して、エルマー社製エルマーゴニオメーターを用いて、純水1μlをフィルムに滴下した時の水滴接触角を測定した。水滴接触角が60〜70°のとき印刷性良好といえる。
(4)製膜長時間連続成形性:製膜開始後、2時間、4時間、6時間後のフィルムを用い、各フィルムを300mm×300mmの正方形に切取り、その部分の肉眼観察によって、ダイラインの発生の有無を測定した。
(4)製膜長時間連続成形性:製膜開始後、2時間、4時間、6時間後のフィルムを用い、各フィルムを300mm×300mmの正方形に切取り、その部分の肉眼観察によって、ダイラインの発生の有無を測定した。
<参考例:無機粒子マスターバッチの製造>
ポリアミド樹脂として、粘度数182.15の市販のナイロン6樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、ノバミッド(R)1020。)100重量部に無機フィラー粒子としてシリカを1重量部ドライブレンドした後、日本製鋼所製2軸押出機TEX30を用いてシリンダ設定温度250℃、吐出量10kg/hにて溶融混練しペレット化した。得られたペレットを120℃の減圧乾燥機にて8時間乾燥し、無機フィラー粒子1重量部を配合したマスターバッチを得た。
ポリアミド樹脂として、粘度数182.15の市販のナイロン6樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、ノバミッド(R)1020。)100重量部に無機フィラー粒子としてシリカを1重量部ドライブレンドした後、日本製鋼所製2軸押出機TEX30を用いてシリンダ設定温度250℃、吐出量10kg/hにて溶融混練しペレット化した。得られたペレットを120℃の減圧乾燥機にて8時間乾燥し、無機フィラー粒子1重量部を配合したマスターバッチを得た。
<実施例1〜2、比較例1〜5>
ポリアミド樹脂として、粘度数245.85の市販のナイロン6樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、ノバミッド(R)1030。)に参考例にて製造した無機粒子マスターバッチを、無機フィラー粒子の量が表−1に示す配合比率となる様にドライブレンドした(ポリアミド樹脂:マスターバッチの重量比=約9:1)。
次に押出機シリンダ径40mmφのTダイ式製膜機を用い、押出機シリンダ設定温度270℃、冷却ロール温度40℃にて、厚み25μのフィルムを製膜した。また、製膜開始後、2時間、4時間、6時間後のフィルムを用い、ダイラインと称される筋状の外観不良の有無を肉眼で観察し長時間連続製膜安定性を評価した。また、製膜開始後、1時間目のフィルムを用い、ヘーズ値、静止摩擦係数および印刷性を測定した。結果を表−1に示した。
ポリアミド樹脂として、粘度数245.85の市販のナイロン6樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、ノバミッド(R)1030。)に参考例にて製造した無機粒子マスターバッチを、無機フィラー粒子の量が表−1に示す配合比率となる様にドライブレンドした(ポリアミド樹脂:マスターバッチの重量比=約9:1)。
次に押出機シリンダ径40mmφのTダイ式製膜機を用い、押出機シリンダ設定温度270℃、冷却ロール温度40℃にて、厚み25μのフィルムを製膜した。また、製膜開始後、2時間、4時間、6時間後のフィルムを用い、ダイラインと称される筋状の外観不良の有無を肉眼で観察し長時間連続製膜安定性を評価した。また、製膜開始後、1時間目のフィルムを用い、ヘーズ値、静止摩擦係数および印刷性を測定した。結果を表−1に示した。
表−1から明らかな様に、(C)又は(D)成分の一方のみを用いた比較例1,2,あるいは(C)及び(D)を併用してもその比率が本発明の規定外である比較例3,4においては,いずれも製膜開始6時間後のフィルムにダイラインが発生した。また、比較例2,3は印刷性が悪く、比較例2、4は滑り性がわるい。比較例3、4はダイス周りの汚れが特に激しかった。酸化亜鉛と脂肪酸マグネシウムを併用した比較例5も6時間後のフィルムにはダイラインが発生した。
一方,本発明の組成にて得られる実施例1,2のフィルムは、透明性,滑り性及び印刷性に優れ,ダイラインなどの外観不良の発生が抑えられ、長時間連続安定生産が可能であることが判明した。
一方,本発明の組成にて得られる実施例1,2のフィルムは、透明性,滑り性及び印刷性に優れ,ダイラインなどの外観不良の発生が抑えられ、長時間連続安定生産が可能であることが判明した。
本発明の樹脂組成物から得られるポリアミド樹脂フィルムは、透明性、印刷性、外観に優れるなどの特性を有し、食品用の包装材などとして特に有用である。
Claims (4)
- ポリアミド樹脂100重量部に対し、
(A)無機フィラー粒子を0.01〜0.5重量部、
(B)3〜6価の脂肪族アルコールと、炭素数10〜22の脂肪酸との部分エステル化合物を0.01〜0.7重量部、
(C)炭素数12〜30のヒドロキシ脂肪酸のマグネシウム塩を0.001〜0.1重量部の範囲内であって、かつ、(B)成分に対して0.05〜0.7重量倍となる量
を配合してなるフィルム用ポリアミド樹脂組成物。 - ポリアミド樹脂100重量部に対して、更に、(D)ビスアミド化合物を、0.01〜1重量部配合してなる請求項1記載のフィルム用ポリアミド樹脂組成物。
- (A)無機フィラー粒子が、シリカであることを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルム用ポリアミド樹脂組成物。
- 請求項1〜3の何れかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなるポリアミド樹脂製フィルム。
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Cited By (4)
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---|---|---|---|---|
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-
2003
- 2003-10-29 JP JP2003369590A patent/JP2005132929A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007070541A (ja) * | 2005-09-08 | 2007-03-22 | Unitika Ltd | ポリアミド樹脂用成形性改良マスターチップの製造方法 |
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WO2009119860A1 (ja) * | 2008-03-27 | 2009-10-01 | 宇部興産株式会社 | フィルム用ポリアミド樹脂組成物 |
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