JP5494659B2 - ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、フィルム製膜時の厚みムラが少なく、フィルム延伸時の破断発生を防止し、かつ透明性、滑り性、印刷性、柔軟性に優れたポリアミド樹脂組成物に関する。
ポリアミドフィルムは、ガスバリア性、強靭性、機械的、熱的特性に優れている。そのため、ポリアミド樹脂は包装用フィルム、特に食品包装分野を中心に、単層フィルムあるいはラミネートフィルムの基材、さらに他樹脂との共押出による積層フィルムの構成素材として、様々な分野で使用されている。こうしたポリアミドフィルムにおける滑り性は、フィルムの生産性や品質・商品価値の点から、重要な要求特性の一つとなっている。滑り性が悪いと、後加工時の作業性、つまり、製袋時にフィルムが引っ掛かったり、多色印刷時にインクの印刷ズレが生じたりすることがある。
かかるポリアミドフィルムの滑り性向上のために、無機フィラーを配合する方法(特許文献1参照)が提案されている。無機フィラーを配合させることで滑り性を向上する方法において、無機フィラーを十分な量使用することで、満足しうる滑り性が付与されたフィルムを得ることが可能となるが、その配合量が多くなりすぎると、フィルム中での無機フィラーの均一な分散が妨げられ、ポリアミドフィルムの特徴である透明性が著しく低下し、その商品価値が損なわれてしまうといった欠点を有しており、その配合量が制約されていた。
その上、無機フィラーを配合する方法では、フィッシュアイと称される粒状欠陥や、ダイラインと称される筋状の外観不良が生じ易く、ダイのリップ口にポリマー劣化物、添加剤の凝集体が蓄積した目脂の発生が早くなるため、外観に優れた高品質フィルムを安定的に生産することは難しく、さらに、頻繁に押出機を停止させダイのリップ口を浄化することが強いられ、生産効率の低下を余儀なくされていた。
滑り性を損なわずダイライン、目脂の発生を抑える様々な方法として、無機フィラー及びヒドロキシ脂肪酸マグネシウム塩を配合する方法(特許文献2参照)、無機フィラー及び酸化亜鉛と塩基性脂肪酸マグネシウムの混合物を配合する方法(特許文献3参照)、無機フィラー及び、ビスアミド化合物、3〜6価の脂肪族アルコールと炭素数10〜22の脂肪酸との部分エステル化合物を配合する方法(特許文献4参照)、無機フィラー及び、3〜6価の脂肪族アルコールと炭素数10〜22の脂肪酸との部分エステル化合物、炭素数12〜30のヒドロキシ脂肪酸のマグネシウム塩を配合する方法(特許文献5参照)が提案されている。これらの技術においては、ダイライン発生の抑制効果は得られるものの、フィルム生産機での長時間運転による目脂発生の防止効果が乏しく、実使用面では問題点を有していた。また、これらの文献においては、フィルム延伸時の破断防止効果に関する記載はなく、フィルム延伸時の破断が少なく、長時間の連続安定製膜が可能で、かつ透明性、滑り性、印刷性、柔軟性に優れたポリアミドフィルムは工業的に得られていないのが現状であった。
一方、柔軟性に優れたポリアミドフィルムを得る方法として、ポリエチレングリコールを配合する方法が提案されている(特許文献6参照)。また、滑剤とポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが配合され、溶融押出成形の際、吐出ムラが少なく、押出機の所要動力を低減させることができる押出性が良好な成形用ポリアミド樹脂組成物が提案されている(特許文献7参照)。これらの文献にはフィルム延伸時の破断防止効果等連続生産性に関する記載はなく、その技術的示唆もなされていない。また、オルガノポリシロキサンにより表面処理された無機フィラー及び、比表面積が200m/g以下である無機フィラーを配合してなるポリアミド樹脂組成物が提案されている(特許文献8参照)。同ポリアミド樹脂組成物よりなるフィルムは、透明性、滑り性に優れ、さらにダイライン、目脂、ボイドによる外観不良の発生が少ない。しかしながら、フィルム成形時の高吐出化や高速化に伴い、フィルム延伸時の破断防止効果については改善の余地があり、連続生産性についてはさらなる改良が望まれている。さらに、後述の実施例の通り、オルガノポリシロキサンにより表面処理された無機フィラーとポリアルキレングリコール及び/又は多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物を単純に併用しても透明性が著しく悪化する場合があることが判明した。
特公昭54−4741号公報 特開平6−179813号公報 特開平8−73734号公報 特開平5−59274号公報 特開2005−132929号公報 特開平7−233322号公報 特開平10−147711号公報 特開2006−241439号公報
本発明の目的は、ポリアミド樹脂からなるフィルムが本来有する諸特性を維持し、かつ透明性、滑り性、印刷性、柔軟性に優れ、さらに、フィルム製膜時の厚みムラやフィルム延伸時の破断の発生が少なく、連続生産性良好なポリアミド樹脂組成物を得ることである。
本発明者らは、前述の問題点を解決するポリアミド樹脂組成物の開発を目的に鋭意検討した結果、オルガノポリシロキサンにより表面処理され、かつオルガノポリシロキサン処理量と比表面積の比が特定範囲にある無機フィラーとポリアルキレングリコール及び/又は多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物を配合したポリアミド樹脂組成物よりなるポリアミドフィルムが上記課題を解決することを見出し、本発明に到達した。オルガノポリシロキサンにより表面処理された無機フィラーや、ポリアルキレングリコール及び/又は多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物は、それぞれ単独で配合されることは公知であるが、本発明者らは、ポリアルキレングリコール及び/又は多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物をオルガノポリシロキサンにより表面処理され、かつオルガノポリシロキサン処理量と比表面積の比が特定範囲にある無機フィラーとを併用することにより、透明性、滑り性を維持したまま、印刷性、柔軟性に優れ、フィルム製膜時の厚みムラが少なく、フィルム延伸時の破断の発生を防止することから連続生産性に優れることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、ポリアミド樹脂と、(A)オルガノポリシロキサンにより表面処理された無機フィラーであって、無機フィラーの比表面積S(m/g)、無機フィラー1g当りの表面処理剤オルガノポリシロキサンの処理量M(μモル/g)としたとき、M/S(μモル/m)が0.1以下である無機フィラーと、(B)数平均分子量200以上、4,000以下のポリアルキレングリコール及び/又は(C)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物とを含み、ポリアミド樹脂100質量部に対し、(B)成分と(C)成分を合計して0.01質量部以上、0.5質量部以下配合してなることを特徴とするポリアミド樹脂組成物に関するものである。
本発明のポリアミド樹脂組成物の好ましい態様を以下に示す。以下の好ましい態様は複数組み合わせることができる。
[1]M/S(μモル/m)が0.002以上であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
[2]無機フィラーが、ポリアミド樹脂100質量部に対し、0.01質量部以上、0.5質量部以下であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
[3](D)ヒドロキシ脂肪酸マグネシウム塩0.003質量部以上、0.1質量部以下をさらに配合してなり、(B)数平均分子量200以上、4,000以下のポリアルキレングリコール及び(C)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物の合計配合量と(D)ヒドロキシ脂肪酸マグネシウム塩の配合量の比率(D)/((B)+(C))が0.05以上(質量比)、0.7以下(質量比)であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
[4](A)無機フィラーが、シリカ100質量部に対して、オルガノポリシロキサン0.5質量部以上、15質量部以下にて表面処理されたシリカであることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
[5]ポリアミド樹脂100質量部に対して、さらに、(E)(A)以外の無機フィラーであって、比表面積が200m/g以下である無機フィラー0.01質量部以上、0.2質量部以下を配合してなることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
[6](E)無機フィラーが、シリカ、カオリン、及びゼオライトよりなる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
[7]ポリアミド樹脂が、カプロラクタム、ドデカンラクタム、12−アミノドデカン酸、及びヘキサメチレンジアミンとアジピン酸のナイロン塩よりなる群より選ばれる少なくとも1種の単一重合体あるいは共重合体であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
[8]ポリアミド樹脂が、ポリアミド6重合体、ポリアミド6/66共重合体、ポリアミド6/12共重合体、及びポリアミド6/66/12共重合体よりなる群より選ばれるいずれかであることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
[9]前記ポリアミド樹脂組成物からなるポリアミドフィルム。
[10]二軸延伸ポリアミドフィルムであるポリアミドフィルム。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、オルガノポリシロキサンにより表面処理され、かつオルガノポリシロキサン処理量と比表面積の比が特定範囲にある無機フィラーとポリアルキレングリコール及び/又は多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物を含有していることから、透明性、滑り性を維持したまま、印刷性、柔軟性に優れ、フィルム製膜時の厚みムラが少なく、フィルム延伸時の破断の発生を防止することから連続生産性に優れるという特性を有している。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂と、(A)オルガノポリシロキサンにより表面処理された無機フィラーであって、無機フィラーの比表面積S(m/g)、無機フィラー1g当りの表面処理剤オルガノポリシロキサンの処理量M(μモル/g)としたとき、M/S(μモル/m)が0.1以下である無機フィラーと、(B)数平均分子量200以上、4,000以下のポリアルキレングリコール及び/又は(C)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物とを含み、ポリアミド樹脂100質量部に対し、(B)成分と(C)成分を合計して0.01質量部以上、0.5質量部以下配合してなる。
ポリアミド樹脂は、ラクタム、アミノカルボン酸、又はジアミンとジカルボン酸とからなるナイロン塩を原料として、溶融重合、溶液重合や固相重合等の公知の方法で重合、又は共重合することにより得られる。
ラクタムとしては、カプロラクタム、エナントラクタム、ウンデカンラクタム、ドデカンラクタム、α−ピロリドン、α−ピペリドン等が挙げられ、経済性、入手の容易さから、カプロラクタムおよびドデカンラクタムが好ましい。アミノカルボン酸としては、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等が挙げられ、経済性、入手の容易さから、12−アミノドデカン酸が好ましい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
また、ナイロン塩を構成するジアミンとしては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン、テトラデカメチレンジアミン、ペンタデカメチレンジアミン、ヘキサデカメチレンジアミン、ヘプタデカメチレンジアミン、オクタデカメチレンジアミン、ノナデカメチレンジアミン、エイコサメチレンジアミン、2−/3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン等の脂肪族ジアミン、1,3−/1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3−/1,4−シクロヘキサンジメチルアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、5−アミノ−2,2,4−トリメチル−1−シクロペンタンメチルアミン、5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン(イソホロンジアミン)、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ビス(アミノエチル)ピペラジン、ノルボルナンジメチルアミン、トリシクロデカンジメチルアミン等の脂環式ジアミン、m−/p−キシリレンジアミン等の芳香族ジアミンが挙げられ、経済性、入手の容易さから、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン(イソホロンジアミン)、m−/p−キシリレンジアミンが好ましく、ヘキサメチレンジアミンがより好ましい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
一方、ナイロン塩を構成するジカルボン酸としては、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、トリデカンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン酸、ペンタデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、エイコサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,3−/1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ジシクロヘキサンメタン−4,4’−ジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−/2,6−/2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられ、経済性、入手の容易さから、アジピン酸が好ましい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
ポリアミド樹脂において、これらラクタム、アミノカルボン酸、又はジアミンとジカルボン酸とからなるナイロン塩から誘導される単一重合体又は共重合体を各々単独又は混合物の形で用いる事ができる。得られるフィルムの耐熱性、機械的強度、透明性、経済性、入手の容易さ等を考慮して、ポリアミド樹脂はカプロラクタム、ドデカンラクタム、12−アミノドデカン酸、及びヘキサメチレンジアミンとアジピン酸のナイロン塩よりなる群より選ばれる少なくとも1種の単一重合体又は共重合体であることが好ましい。
使用されるポリアミド樹脂の具体例としては、ポリカプロラクタム(ポリアミド6)、ポリウンデカンラクタム(ポリアミド11)、ポリドデカンラクタム(ポリアミド12)、ポリエチレンアジパミド(ポリアミド26)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ポリアミド69)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンウンデカミド(ポリアミド611)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ポリアミド6T)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ポリアミド6I)、ポリヘキサメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド6T(H))、ポリノナメチレンアジパミド(ポリアミド96)、ポリノナメチレンアゼラミド(ポリアミド99)、ポリノナメチレンセバカミド(ポリアミド910)、ポリノナメチレンドデカミド(ポリアミド912)、ポリノナメチレンテレフタラミド(ポリアミド9T)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタラミド(ポリアミドTMHT)、ポリノナメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド9T(H))、ポリノナメチレンナフタラミド(ポリアミド9N)、ポリデカメチレンアジパミド(ポリアミド106)、ポリデカメチレンアゼラミド(ポリアミド109)、ポリデカメチレンデカミド(ポリアミド1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)、ポリデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド10T)、ポリデカメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド10T(H))、ポリデカメチレンナフタラミド(ポリアミド10N)、ポリドデカメチレンアジパミド(ポリアミド126)、ポリドデカメチレンアゼラミド(ポリアミド129)、ポリドデカメチレンセバカミド(ポリアミド1210)、ポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212)、ポリドデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド12T)、ポリドデカメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド12T(H))、ポリドデカメチレンナフタラミド(ポリアミド12N)、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、ポリメタキシリレンスベラミド(ポリアミドMXD8)、ポリメタキシリレンアゼラミド(ポリアミドMXD9)、ポリメタキシリレンセバカミド(ポリアミドMXD10)、ポリメタキシリレンドデカミド(ポリアミドMXD12)、ポリメタキシリレンテレフタラミド(ポリアミドMXDT)、ポリメタキシリレンイソフタラミド(ポリアミドMXDI)、ポリメタキシリレンナフタラミド(ポリアミドMXDN)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ポリアミドPACM12)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンテレフタラミド(ポリアミドPACMT)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンイソフタラミド(ポリアミドPACMI)、ポリビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ポリアミドジメチルPACM12)、ポリイソホロンアジパミド(ポリアミドIPD6)、ポリイソホロンテレフタラミド(ポリアミドIPDT)やこれらの原料モノマーを用いたポリアミド共重合体が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。得られるフィルムの耐熱性、機械的強度、透明性、経済性、入手の容易さ等を考慮して、ポリアミド6、ポリアミド12、ポリアミド66、ポリアミド6/66共重合体(ポリアミド6とポリアミド66の共重合体、以下、共重合体は同様に記載)、ポリアミド6/69共重合体、ポリアミド6/610共重合体、ポリアミド6/611共重合体、ポリアミド6/612共重合体、ポリアミド6/12共重合体、ポリアミド6/66/12共重合体、ポリアミド6/6T共重合体、ポリアミド6/6I共重合体、ポリアミド6/IPD6共重合体、ポリアミド6/IPDT共重合体、ポリアミド66/6T共重合体、ポリアミド66/6I共重合体、ポリアミド6T/6I共重合体、ポリアミド66/6T/6I共重合体、ポリアミドMXD6であることが好ましく、ポリアミド6、ポリアミド12、ポリアミド66、ポリアミド6/66共重合体、ポリアミド6/12共重合体、ポリアミド6/IPD6共重合体、ポリアミド6/IPDT共重合体、ポリアミド6/66/12共重合体であることがより好ましい。ポリアミド6、ポリアミド6/66共重合体、ポリアミド6/12共重合体、ポリアミド6/66/12共重合体であることがさらに好ましい。
ポリアミド樹脂のJIS K−6920に準じて、96質量%の硫酸中、ポリアミド濃度1質量%、温度25℃の条件下にて測定した相対粘度は、2.0以上、5.0以下であることが好ましく、2.5以上、4.5以下であることがより好ましい。ポリアミド樹脂の相対粘度が前記の値未満であると、得られるポリアミドフィルムの機械的性質が低くなることがある。一方、前記の値を超えると、溶融時の粘度が高くなり、フィルムの成形が困難となることがある。
なお、ポリアミド樹脂の末端基の種類及びその濃度や分子量分布に特別の制約は無い。分子量調節や成形加工時の溶融安定化のため、分子量調整剤として、モノアミン、ジアミン、モノカルボン酸、ジカルボン酸のうちの1種あるいは2種以上を適宜組合せて添加することができる。例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等の脂肪族モノアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン、アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族モノアミン、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン等の脂環式ジアミン、m−/p−フェニレンジアミン、m−/p−キシリレンジアミン等の芳香族ジアミンや酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソブチル酸等の脂肪族モノカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、α−/β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸、アジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−/1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−/2,6−/2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これら分子量調節剤の使用量は分子量調節剤の反応性や重合条件により異なるが、最終的に得ようとするポリアミド樹脂の相対粘度が前記の範囲になるように適宜決められる。
ポリアミド樹脂については、さらに、JIS K−6920に規定する低分子量物の含有量の測定方法に準じて測定した水抽出量は1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。水抽出量が前記の値を超えると、ダイ付近へのオリゴマー成分の付着が著しく、これら付着物によるダイラインやフィッシュアイの発生により外観不良が生じ易い。さらに、ポリアミド樹脂は、オレフィン樹脂と比較して吸湿性が大きく、吸湿したものを使用すると、原料を溶融押出しする際、加水分解が起こるためオリゴマーが発生し、フィルム製造が困難となるので事前に乾燥し、水分含有率が0.1質量%以下とすることが好ましい。
本発明に使用される無機フィラーは、(A)オルガノポリシロキサンにより表面処理された無機フィラーであって、無機フィラーの比表面積S(m/g)、無機フィラー1g当りの表面処理剤オルガノポリシロキサンの処理量M(μモル/g)としたとき、M/S(μモル/m)が0.1以下である無機フィラーである(以下、(A)オルガノポリシロキサンにより表面処理された無機フィラーと称する場合がある。)。
無機フィラーは、表面突起が表面に形成され、滑り性に優れたポリアミドフィルムが得られさえすれば、その形状は特に制限されず、粉末状、粒子状、フレーク状、板状、繊維状、針状、クロス状、マット状、その他如何なる形状のものであってもよいが、粒子状、板状のものが好ましい。無機フィラーの平均粒径は、0.1μm以上、20μm以下であることが好ましく、0.5μm以上、15μm以下であることがより好ましい。平均粒径が前記の値を超えると、フィッシュアイゲルが発生しフィルム外観を損なう場合や、滑り性改良効果は発現するとしても、フィルムの透明性が悪くなる場合がある。一方、前記の値未満であると、二次凝集し易くなり、逆にフィッシュアイゲルが発生する場合や、凝集を防止できたとしても、フィルム表面の凹凸効果を得ることが難しく、滑り性が改良されない場合がある。よって、無機フィラーの粒径が前記の範囲に適合しない場合、予め粉砕処理や分級を行うことが望ましい。
無機フィラーの具体例として、ゲルタイプシリカ、沈降タイプシリカ、球状シリカ等のシリカ、タルク、カオリン、モンモリロナイト、ゼオライト、マイカ、ガラスフレーク、ウォラストナイト、セピオライト、ゾノライト、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム等のケイ酸化合物、硫酸マグネシウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム等が挙げられ、ケイ酸化合物が好ましく、これらの中でも、シリカ、タルク、カオリン、ゼオライトが易分散性の点から特に好ましい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
特に、得られるフィルムの透明性、滑り性の観点から、シリカであることがより好ましい。シリカは、SiOで表される二酸化ケイ素を主成分とするものであり、その製造方法により大別して、湿式法シリカと乾式法シリカの2つに分けられるがいずれも用いることができる。乾式法シリカは一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化珪素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化珪素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独又は四塩化硅素と混合した状態で使用することができる。一方、湿式法シリカは、さらに製造方法によって沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカに分類される。沈降法シリカは珪酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカ粒子が凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の工程を経て製品化される。この方法で製造されたシリカの二次粒子は緩やかな凝集粒子となり、比較的粉砕し易い粒子が得られる。ゲル法シリカは珪酸ソーダと硫酸を酸性条件化で反応させて製造する。熟成中に微小粒子は溶解し、他の一次粒子同士を結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。ゾル法シリカは、コロイダルシリカとも呼ばれ、珪酸ソーダの酸等による複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾルを加熱熟成して得られる。
シリカの平均粒子径は特に限定されるものではないが、0.1μm以上、20μm以下であることが好ましく、0.5μm以上、15μm以下であることがより好ましく、1μm以上、10μm以下であることがさらに好ましい。平均粒子径が前記の値未満であると、ポリアミド樹脂組成物として耐ブロッキング性の発現が困難となる場合があり、一方、前記の値を超えると、フィルム等においてフィッシュアイが発生する場合がある。
無機フィラーの表面処理剤として使用されるオルガノポリシロキサンは、下記式(I)で表される。
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(I)式において、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子又は有機基を表す。前記有機基としては特に限定されるものではないが、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、2−エチルブチル基、オクチル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ジフェニル基のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等のシクロアルキル基、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子により置換された炭化水素基、置換あるいは非置換の水酸基、シロキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、メルカプト基、エポキシ基、(メタ)アクリロキシ基、アミノ基、−O−、−(CHO)−、−(OCH−、−(CHO)CH−等のエーテル結合部位を含む構造単位、−CO−、−COCO−、−CO(CHCO−、−CO(C)CO−等のカルボニル基を含む構造単位、アミド結合部位を含む構造単位、エステル結合部位を含む構造単位、ケトン結合部位を含む構造単位を含有する置換基等が挙げられる。
これらの中でも、製造時あるいは使用時の安定性、安全衛生の点から、R〜Rは水素原子、炭素数1以上、20以下のアルキル基、アリール基又はアラルキル基が好ましく、炭素数1以上、10以下のアルキル基、アリール基又はアラルキル基がより好ましく、炭素数1以上、6以下のアルキル基又はアリール基がさらに好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
オルガノポリシロキサンとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、各種変性ポリシロキサン等が挙げられる。各種変性ポリシロキサンとしては、ポリシロキサン骨格の両末端にシラノール基が導入されたシラノール変性ポリシロキサン、ポリシロキサン骨格の側鎖にフロロアルキル基が導入されたフッ素変性ポリシロキサン、ポリシロキサン骨格の側鎖に長鎖アルキル基が導入されたアルキル変性ポリシロキサン、ポリシロキサン骨格の側鎖にアラルキル基が導入されたアラルキル変性ポリシロキサン、ポリシロキサン骨格の側鎖に高級脂肪酸エステル基が導入された脂肪酸エステル変性ポリシロキサン、ポリシロキサン骨格の側鎖に高級脂肪酸アミド基が導入された脂肪酸アミド変性ポリシロキサン、ポリエチレンオキサイドやポリプロピレンオキサイド等のポリエーテル基がポリシロキサン骨格の両末端あるいは側鎖に導入されたポリエーテル変性ポリシロキサン、ポリシロキサン骨格の両末端あるいは側鎖にアミノ基が導入されたアミノ変性ポリシロキサン、ポリシロキサン骨格の両末端あるいは側鎖にエポキシ基が導入されたエポキシ変性ポリシロキサン、ポリシロキサン骨格の両末端あるいは側鎖にエポキシ基とポリエーテル基が導入されたエポキシ−ポリエーテル変性ポリシロキサン、ポリシロキサン骨格の両末端にフェノール性水酸基が導入されたフェノール変性ポリシロキサン、ポリシロキサン骨格の両末端あるいは側鎖にカルボキシル基が導入されたカルボキシル変性ポリシロキサン、ポリシロキサン骨格の両末端に(メタ)アクリル基が導入された(メタ)アクリレート変性ポリシロキサン、ポリシロキサン骨格の両末端にアルコキシ基が導入されたアルコキシ変性ポリシロキサン、ポリシロキサン骨格の両末端あるいは側鎖にカルビノール基が導入されたカルビノール変性ポリシロキサン、ポリシロキサン骨格の両末端あるいは側鎖にメルカプト基が導入されたメルカプト変性ポリシロキサン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、入手の容易さ、安全衛生の観点から、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンが好ましく、ジメチルポリシロキサンがより好ましい。
また、上記一般式(I)中のm、nは自然数であり、mとnの合計数(m+n)は5以上、500以下であることが好ましく、10以上、300以下であることがより好ましく、20以上、200以下であることがさらに好ましい。mとnの比率(n/m)は、使用するポリアミド樹脂と無機フィラーの親和性を考慮し、導入される有機基の種類、含有量により決定され、1/100以上、10以下であることが好ましく、1/50以上、5以下であることがより好ましい。
さらに、上記オルガノポリシロキサンは、25℃における動的粘度が5cSt(5×10−6/s)以上、1,000cSt(1×10−3/s)以下であることが好ましく、8cSt(8×10−6/s)以上、600cSt(6×10−4/s)以下であることがより好ましい。動的粘度が前記の値未満であると、引火点が低下すると共に分解し易くなるので高温で加工することが難しくなる場合がある。一方、前記の値を超えると無機フィラー表面を均一に処理できず、粗大凝集粒子が発生しやすくなる場合がある。
オルガノポリシロキサンの処理量は、無機フィラー(乾燥物基準)100質量部に対して、0.5質量部以上、15質量部以下であることが好ましく、1質量部以上、12質量部以下であることがより好ましく、2質量部以上、10質量部以下であることがさらに好ましい。オルガノポリシロキサンの処理量が前記の値未満であると、延伸破断防止効果が小さく、連続生産性が良好でない場合がある。一方、前記の値を超えると、ポリアミド樹脂と無機フィラーの親和力が十分でなくなり、分散性が悪くなるばかりか、最終的に得られるポリアミドフィルムの機械的性質を損なう場合や、該オルガノポリシロキサンのフィルムへのブリードアウト等の問題が生じる場合がある。
無機フィラーの比表面積(S)は50m/g以上、1000m/g以下であることが好ましく、100m/g以上、800m/g以下であることがより好ましく、150m/g以上、500m/g以下であることがさらに好ましく、200m/g以上、400m/g以下であることが特に好ましい。比表面積が前記の値未満であると、表面処理剤による表面処理の効果が発現しにくい場合があり、一方、前記の値を超えると、二次粒子、三次粒子の内部まで表面処理剤が含浸し難くなって、フリーの表面処理剤がポリアミド樹脂組成物中に存在することとなり、フィルムの外観、物性に悪影響を及ぼす場合がある。尚、比表面積は、BET法により測定された値を意味する。
オルガノポリシロキサンで表面処理された前記無機フィラーにおいて、その無機フィラー1g当りの表面処理剤オルガノポリシロキサンの処理量(M)(μモル/g)を前記比表面積(S)(m/g)で除した値(M/S)は0.1(μモル/m)以下であり、ある実施態様では0.002(μモル/m)以上である。M/Sが、0.003(μモル/m)以上、0.08(μモル/m)以下であることが好ましく、0.005(μモル/m)以上、0.07(μモル/m)以下であることがより好ましい。M/Sが前記の値未満であると、延伸破断防止効果が小さく、連続生産性が良好でない場合がある。一方、前記の値を超えると、フリーの表面処理剤がポリアミド樹脂組成物中に存在することとなり、後述の(B)数平均分子量200以上、4,000以下のポリアルキレングリコール及び/又は(C)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物と非相溶であるため、フィルムの透明性に悪影響を及ぼす場合がある。
オルガノポリシロキサンで無機フィラーを処理する方法は特に限定されないが、溶媒中に無機フィラーとオルガノポリシロキサンを加え、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の高剪断力混合機を用いて均一に混合した後、溶媒を除去することによって表面処理を行う湿式処理法、あるいは、無機フィラーをマイクロナイザー、ジェットミル、ヘンシェルミキサー等の流体エネルギー粉砕機で粉砕する際にオルガノポリシロキサンを添加し、均一になるように攪拌したのち次いで所定の温度で乾燥を行う乾式処理法等が挙げることができ、流体としては、通常は圧縮空気、加熱圧縮空気、スチーム等が用いられる。
特に、表面処理後又は処理中に、表面処理無機フィラーを加熱乾燥させることにより無機フィラー表面の疎水性が向上し、水分吸着等による無機フィラーの含水量が大きく低減する。このようにして得られた低含水量の表面処理無機フィラーは樹脂へ混練分散の際、樹脂劣化が抑えられるため、分散力や分散時間を上げられる等様々な利点がある。
(A)オルガノポリシロキサンにより表面処理された無機フィラーの配合量は、ポリアミド樹脂100質量部に対し、一般に0.01質量部以上、0.5質量部以下であり、0.05質量部以上、0.3質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上、0.2質量部以下であることがより好ましい。配合量が前記の値未満であると、得られるフィルムの滑り性改良の効果が小さい場合があり、一方、前記の値を超えると、ポリアミドフィルムの透明性、外観等が損なわれる場合がある。
本発明にて使用する(B)ポリアルキレングリコールは、アルキレングリコールを構造単位とするエーテル重合体である。ポリアルキレングリコールとしては、入手の容易さ、安全衛生の観点から、炭素数2以上、6以下のアルキレングリコールの重合体が好ましく、例えば、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2−又は1,3−プロピレン)グリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等が挙げられる。これらアルキレングリコール構造単位は、ブロック又はランダムに共重合されてもよい。例えば、ポリエチレングリコール/プロピレングリコール重合体、ポリエチレングリコール/テトラメチレングリコール重合体等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
(B)ポリアルキレングリコールの数平均分子量は、200以上、4,000以下であり、300以上、2,000以下であることが好ましい。特に常温で液体状であり、取り扱いの容易さから300以上、1,000以下であることがより好ましい。数平均分子量が前記の値未満であると、柔軟剤としての効果は大きいがフィルム表面へのブリードアウト性が高く、共押出やラミネートで積層フィルムとした際の接着性や、印刷性が悪くなる。一方、前記の値を超えると柔軟性付与剤としての効果が十分でない。尚、ここでいう「数平均分子量」とは、JIS K−1557−1に準拠した末端OH定量法から算出されたものである。
本発明にて使用する(C)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物は、多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル誘導体である。
(C)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物を構成する多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−/1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−/1,3−/1,4−/1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,7−ヘプタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリ−(トリメチロールプロパン)、トリメチロールブタン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,4−ブタンテトロール、ソルビタン、イソソルバイド、ソルビトール、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール、キシロース、アラビノース、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、シュクロース、ラフィノース、ゲンチアノース、メレジトース等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
(C)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物を構成するアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラエチレンオキサイド等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらのアルキレンオキサイドは単独でも、ブロック又はランダムに共重合されたものでもよい。これらの中でも、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、及びこれらの共重合体が好ましい。アルキレンオキサイドの付加モル数は、特に限定されないが、0.1以上、60モル以下であることが好ましく、0.5以上、50モル以下であることがより好ましい。アルキレンオキサイドの付加モル数が前記の値未満であると、フィルム表面へのブリードアウトが多くなり、共押出やラミネートで積層フィルムとした際の接着性や、印刷性が悪くなる場合があり、一方、前記の値を超えると柔軟性付与剤としての効果が十分でない場合がある。
(C)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物を構成する脂肪酸としては、炭素数6以上、30以下の脂肪酸が好ましく、飽和、不飽和脂肪酸でどちらであっても構わない。また、直鎖、分岐鎖の何れを含む構造でもあってもよい。具体的には、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ベヘニン酸、エルカ酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。脂肪酸の炭素数が前記の値未満であると所定の効果を得られない場合があり、一方、前記の値を超えると透明性の低下が生じる場合がある。
(C)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物において、多価アルコールとアルキレンオキサイド付加物の基本構造が同じである場合、アルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物と同一の化合物となり、アルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物も(C)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物に包含される。
(C)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物は実質的に部分エステルであることが必要であり、化合物中の水酸基全体の30%以上がエステル化せず残存していることが好ましい。上記水酸基の割合を満たす限りにおいては、水酸基の割合が異なる2種類以上の(C)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物の混合物でも構わない。この場合、(C)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物混合物の水酸基の割合は、混合物を構成する化合物の水酸基の割合及び配合割合により決まる。
(C)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物中の水酸基の割合が前記の値を超えると、ブリードし易くなる場合がある。一方、前記の値未満であると、親水性が低くなり、ポリアミド樹脂との相溶性が悪くなる場合がある。
(C)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物は、従来公知のエステル化反応及びアルキレンオキサイド付加反応を行うことで得ることができる。例えば、脂肪酸と多価アルコールの混合物にエステル化触媒を添加し、150℃以上、250℃以下で反応させることによりエステル化合物が得られ、さらにアルカリ触媒等の存在下にアルキレンオキサイドを付加することにより、アルキレンオキサイド付加物が得られる。また、脂肪酸あるいは多価アルコールにアルキレンオキサイドを付加後、エステル化してもよい。さらに脂肪酸にアルキレンオキサイドを付加することのみで得られる場合もある。
また、(C)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物の分子量としては500以上、10,000以下が好ましい。分子量が前記の値未満であると、柔軟性が改善されないばかりでなく、ブリードアウトも抑制されない場合がある。一方、前記の値を超えると、フィルムの透明性が低下する場合がある。
(C)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物としては、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルであることが、延伸改良効果が大きく、透明性の阻害が少なく、安全性も高いことから好ましい。
(C)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物の具体例としては、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノパルミテート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリエチレングリコールモノベヘネート、ポリプロピレングリコールモノラウレート、ポリプロピレングリコールモノパルミテート、ポリプロピレングリコールモノステアレート、ポリプロピレングリコールモノオレエート、ポリプロピレングリコールモノベヘネート、ポリオキシエチレングリセリンモノラウレート、ポリオキシエチレングリセリンモノミリステート、ポリオキシエチレングリセリンモノパルミテート、ポリオキシエチレングリセリンモノステアレート、ポリオキシエチレングリセリンモノオレエート、ポリオキシエチレングリセリンモノベヘネート、ポリオキシエチレングリセリンジラウレート、ポリオキシエチレングリセリンジミリステート、ポリオキシエチレングリセリンジパルミテート、ポリオキシエチレングリセリンジステアレート、ポリオキシエチレングリセリンジオレエート、ポリオキシエチレングリセリンジベヘネート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリンモノラウレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリンモノミリステート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリンモノパルミテート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリンモノステアレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリンモノオレエート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリンモノベヘネート、ポリオキシエチレンジグリセリンモノラウレート、ポリオキシエチレンジグリセリンモノミリステート、ポリオキシエチレンジグリセリンモノパルミテート、ポリオキシエチレンジグリセリンモノステアレート、ポリオキシエチレンジグリセリンモノオレエート、ポリオキシエチレンジグリセリンモノベヘネート、ポリオキシエチレンジグリセリンジラウレート、ポリオキシエチレンジグリセリンジミリステート、ポリオキシエチレンジグリセリンジパルミテート、ポリオキシエチレンジグリセリンジステアレート、ポリオキシエチレンジグリセリンジオレエート、ポリオキシエチレンジグリセリンジベヘネート、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールモノラウレート、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールモノミリステート、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールモノパルミテート、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールモノステアレート、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールモノオレエート、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールモノベヘネート、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールジラウレート、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールジミリステート、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールジパルミテート、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールジステアレート、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールジオレエート、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールジベヘネート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノミリステート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノベヘネート、ポリオキシエチレンソルビタンジラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンジミリステート、ポリオキシエチレンソルビタンジパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンジステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンジオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンジベヘネート、ポリオキシエチレンソルビットモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビットモノミリステート、ポリオキシエチレンソルビットモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビットモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビットモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビットモノベヘネート、ポリオキシエチレンソルビットジラウレート、ポリオキシエチレンソルビットジミリステート、ポリオキシエチレンソルビットジパルミテート、ポリオキシエチレンソルビットジステアレート、ポリオキシエチレンソルビットジオレエート、ポリオキシエチレンソルビットジベヘネート、ポリオキシエチレンソルビットトリラウレート、ポリオキシエチレンソルビットトリミリステート、ポリオキシエチレンソルビットトリパルミテート、ポリオキシエチレンソルビットトリステアレート、ポリオキシエチレンソルビットトリオレエート、ポリオキシエチレンソルビットトリベヘネート、ポリオキシエチレンソルビットテトララウレート、ポリオキシエチレンソルビットテトラミリステート、ポリオキシエチレンソルビットテトラパルミテート、ポリオキシエチレンソルビットテトラステアレート、ポリオキシエチレンソルビットテトラオレエート、ポリオキシエチレンソルビットテトラベヘネート等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
(B)数平均分子量200以上、4,000以下のポリアルキレングリコール及び/又は(C)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物の配合量は、ポリアミド樹脂100質量部に対し、(B)成分と(C)成分を合計して、0.01質量部以上、0.5質量部以下であり、0.05質量部以上、0.3質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上、0.2質量部以下であることがより好ましい。配合量が前記の値未満であると、得られるフィルムの柔軟性、フィルム厚みムラ発生防止や延伸性改良の効果が小さい。一方、前記の値を超えると、ポリアミドフィルムの表面へのブリードアウト量が多くなり、印刷性やラミネート性が損なわれる。
(B)数平均分子量200以上、4,000以下のポリアルキレングリコールと(C)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物を併用する場合、得られるフィルムの柔軟性や印刷性等のバランス性能を勘案すると、(B)数平均分子量200以上、4,000以下のポリアルキレングリコール、(C)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物の配合割合は、(B)/(C)=80/20(質量比)〜20/80(質量比)、80/20(質量比)〜30/70(質量比)、80/20(質量比)〜40/60(質量比)、70/30(質量比)〜20/80(質量比)、60/40(質量比)〜20/80(質量比)、70/30(質量比)〜30/70(質量比)、70/30(質量比)〜40/60(質量比)、60/40(質量比)〜30/70(質量比)、60/40(質量比)〜40/60(質量比)であることが好ましく、70/30(質量比)〜30/70(質量比)、70/30(質量比)〜40/60(質量比)、60/40(質量比)〜30/70(質量比)であることがより好ましく、60/40(質量比)〜40/60(質量比)であることがさらに好ましい。
本発明にて任意成分として使用する(D)ヒドロキシ脂肪酸マグネシウム塩は、ヒドロキシ飽和又は不飽和脂肪酸カルボン酸とマグネシウムの塩であり、ヒドロキシ飽和又は不飽和脂肪酸カルボン酸とマグネシウムの酸化物もしくは水酸化物と加熱直接反応により得ることができる。その際、マグネシウムの酸化物もしくは水酸化物を過剰に加えて、塩基性の高いヒドロキシ脂肪酸マグネシウムを得ることができ、これを使用するとより良好な結果が得られる。ヒドロキシ飽和又は不飽和脂肪酸のマグネシウム塩としては、ヒドロキシラウリン酸マグネシウム塩、ヒドロキシミリスチン酸マグネシウム塩、ヒドロキシパルミチン酸マグネシウム塩、ヒドロキシステアリン酸マグネシウム塩、ヒドロキシベヘン酸マグネシウム塩等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。脂肪酸の炭素数は12以上、30以下であることが好ましく、12以上、24以下であることがより好ましい。脂肪酸の炭素数が前記の値未満であると所定の効果を得られない場合があり、一方、前記の値を超えると透明性の低下が生じる場合がある。
(D)ヒドロキシ脂肪酸マグネシウム塩の配合量は、ポリアミド樹脂100質量部に対し、0.003質量部以上、0.1質量部以下であることが好ましく、0.005質量部以上、0.08質量部以下であることがより好ましく、0.01質量部以上、0.05質量部以下であることがさらに好ましい。配合量が前記の値未満であると、目脂発生防止、フィルム厚みムラ発生防止や延伸時の破断防止効果が小さい場合があり、一方、前記の値を超えると、ポリアミドフィルムの透明性や印刷性等が損なわれる場合がある。
さらに、本発明においては、(B)数平均分子量200以上、4,000以下のポリアルキレングリコール及び/又は(C)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物と(D)ヒドロキシ脂肪酸マグネシウム塩の配合量は前記の範囲であると共に、(B)数平均分子量200以上、4,000以下のポリアルキレングリコールと(C)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物の合計配合量と(D)ヒドロキシ脂肪酸マグネシウム塩の配合量の比率(D)/((B)+(C))が0.05以上(質量比)、0.7以下(質量比)であることが好ましく、0.05以上(質量比)、0.5以下(質量比)であることがより好ましい。配合比率(D)/((B)+(C))が前記の値未満であると、フィルム厚みムラ発生防止や延伸破断防止の効果が発揮されない場合がある。一方、前記の値を超えると各成分の相溶性が悪化し、透明性、印刷性等が損なわれる場合がある。
(A)オルガノポリシロキサンにより表面処理された無機フィラーや、(B)数平均分子量200以上、4,000以下のポリアルキレングリコール、(C)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物、任意成分の(D)ヒドロキシ脂肪酸マグネシウム塩をポリアミド樹脂に添加する方法としては、ポリアミド樹脂の重合工程の任意の段階で添加する重合内添法や予め高濃度の(A)オルガノポリシロキサンにより表面処理された無機フィラーや、(B)数平均分子量200以上、4,000以下のポリアルキレングリコール、(C)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物、任意成分の(D)ヒドロキシ脂肪酸マグネシウム塩をポリアミド樹脂に1軸又は二軸の押出機を使用して練り込み、これを成形時に希釈して使用するいわゆるマスターバッチ法、成形に使用する添加剤濃度で(A)オルガノポリシロキサンにより表面処理された無機フィラーや、(B)数平均分子量200以上、4,000以下のポリアルキレングリコール、(C)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物、任意成分の(D)ヒドロキシ脂肪酸マグネシウム塩を予めポリアミド樹脂に練り込み使用する練り込み法、成形時に、ポリアミド樹脂に対して、所定量の(A)オルガノポリシロキサンにより表面処理された無機フィラーや、(B)数平均分子量200以上、4,000以下のポリアルキレングリコール、(C)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物、任意成分の(D)ヒドロキシ脂肪酸マグネシウム塩を添加するドライブレンド法、アルコール等の有機溶剤に(B)数平均分子量200以上、4,000以下のポリアルキレングリコール、(C)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物を溶解した溶液をポリアミド樹脂原料にスプレー法や浸漬法で付着させ、その後有機溶剤を蒸発させる方法等が挙げられる。また、(B)数平均分子量200以上、4,000以下のポリアルキレングリコールや(C)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物は、室温で固体の場合があるので、ポリアミド樹脂原料を予め(B)数平均分子量200以上、4,000以下のポリアルキレングリコールや(C)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物の融点以上に加熱しておき、この状態の原料に固体のまま(B)数平均分子量200以上、4,000以下のポリアルキレングリコール、(C)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物を加えて原料の熱で融解し、そのまま均一に付着させる方法も可能である。
また、(A)オルガノポリシロキサンにより表面処理された無機フィラー、(B)数平均分子量200以上、4,000以下のポリアルキレングリコール、(C)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物、任意成分の(D)ヒドロキシ脂肪酸マグネシウム塩のポリアミド樹脂への配合は、同時に行なっても、別々に異なる方法で行なってもどちらでも構わない。
本発明においてはさらに、(E)(A)以外の無機フィラー、例えば、オルガノポリシロキサンにより表面処理されていない無機フィラーであって、比表面積が200m/g以下である無機フィラーを配合することが滑り性を改良する観点から好ましい。(E)無機フィラーの具体例として、ゲルタイプシリカ、沈降タイプシリカ、球状シリカ等のシリカ、タルク、カオリン、モンモリロナイト、ゼオライト、マイカ、ガラスフレーク、ウォラストナイト、セピオライト、ゾノライト、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム等のケイ酸化合物、硫酸マグネシウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム等が挙げられ、ケイ酸化合物が好ましく、これらの中でも、シリカ、カオリン、ゼオライトが易分散性の点から特に好ましい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
また、(E)(A)以外の無機フィラーの比表面積は、200m/g以下であることが好ましく、180m/g以下であることがより好ましく、160m/g以下であることがさらに好ましい。比表面積が前記の値を超えると、延伸時のボイドの発生や延伸切れは少なくなるが、2次凝集物による目脂の発生が多発する場合がある。なお、比表面積は、BET法により測定された値を意味する。
(E)無機フィラーとしては、オルガノポリシロキサン以外の表面処理剤、例えばシランカップリング剤等により表面処理されたものを使用することもできる。シランカップリング剤としては、一般にアミノ基、エポキシ基、メルカプト基、イソシアナト基、水酸基等を含有するアルコキシシラン化合物が挙げられる。具体的には、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノジチオプロピルトリヒドロキシシラン、γ−(ポリエチレンアミノ)プロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノプロピル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)−エチレンジアミン、γ−ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有アルコキシシラン化合物、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等のウレイド基含有アルコキシシラン化合物、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプト基含有アルコキシシラン化合物、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシラン等のイソシアナト基含有アルコキシシラン化合物、γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン等の水酸基含有アルコキシシラン化合物が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。ポリアミド樹脂との相溶性の観点から、これらの中でも、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有アルコキシシラン化合物が好ましい。
また、シランカップリング剤の添加量は、無機フィラー(乾燥物基準)100質量部に対して1質量部以上、10質量部以下であることが好ましく、2質量部以上、8質量部以下であることがより好ましく、3質量部以上、7質量部以下であることがさらに好ましい。シランカップリング剤の添加量が前記の値未満であると、無機フィラーとポリアミド樹脂との親和力が十分でなくなり、分散性が悪くなる場合がある。一方、前記の値を超えると、添加量を増加しても分散性向上効果はほとんど高まらないばかりか、最終的に得られるポリアミドフィルムの機械的性質を損なう場合や、シランカップリング剤のフィルム表面へのブリードアウト等の問題が生じる場合がある。
シランカップリング剤で無機フィラーを処理する方法は特に限定されないが、例えば、無機フィラーにシランカップリング剤又はシランカップリング剤溶液を滴下あるいはスプレーにより添加し、ヘンシェルミキサー等の適当な装置で均一になるように攪拌したのち次いで所定の温度で乾燥を行う乾式処理法、あるいは無機フィラーを水等に分散させてスラリー化し、これを攪拌しながらシランカップリング剤を加え、その後脱水、乾燥を行う湿式処理法等が挙げられる。
(E)(A)以外の無機フィラーであって、比表面積が200m/g以下である無機フィラーの配合量は、ポリアミド樹脂100質量部に対し、0.01質量部以上、0.2質量部以下であることが好ましく、0.03質量部以上、0.18質量部以下であることがより好ましく、0.05質量部以上、0.15質量部以下であることがさらに好ましい。配合量が前記の未満であると、得られるフィルムの滑り性改良効果が小さい場合があり、一方、前記の値を超えると、ポリアミドフィルムの透明性、外観等が損なわれる場合がある。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、得られるフィルムの特性を損なわない範囲内で、通常配合される各種の添加剤及び改質剤、例えば、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、フィラー、粘着性付与剤、シール性改良剤、防曇剤、結晶核剤、離型剤、可塑剤、架橋剤、発泡剤、着色剤(顔料、染料等)、耐屈曲疲労性改良材等を添加することができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物には、ビスアミド化合物を配合することが透明性、滑り性を改良する観点から好ましい。ビスアミド化合物としては、N,N’−メチレンビスステアリン酸アミド、N,N’−エチレンビスステアリン酸アミド、N,N’−エチレンビスベヘン酸アミド、N,N’−ジオクタデシルアジピン酸アミド等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
ビスアミド化合物の配合量は、ポリアミド樹脂100質量部に対し、0.01質量部以上、0.5質量部以下であることが好ましく、0.02質量部以上、0.3質量部以下であることがより好ましく、0.03質量部以上、0.2質量部以下であることがさらに好ましい。配合量が前記の値未満であると、得られるフィルムの透明性、滑り性改良効果が小さい場合があり、一方、前記の値を超えると、フィルムの印刷性やラミネート加工時の密着性が低下する場合がある。
本発明においては、ポリアミド樹脂、(A)オルガノポリシロキサンにより表面処理された無機フィラー、(B)数平均分子量200以上、4,000以下のポリアルキレングリコール及び/又は(C)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物、任意成分の(D)ヒドロキシ脂肪酸マグネシウム塩からなるポリアミド樹脂組成物(以下、原料ポリアミド樹脂組成物と称する場合がある。)を使用して、公知のフィルム製造方法を適用し、製膜することによりポリアミドフィルムが得られる。例えば、原料ポリアミド樹脂組成物を押出機で溶融混練し、T−ダイあるいはコートハンガーダイによりフラットフィルム状に押出し、キャスティングロール面上にキャスティング、冷却してフィルムを製造するキャスティング法、リング状ダイにより筒状に溶融押出したチューブ状物を空冷あるいは水冷してフィルムを製造するチューブラー法等がある。製造されたフィルムは実質的に無配向の未延伸フィルムとして使用できるが、得られるフィルムの強度及びガスバリア性の観点から二軸延伸フィルムであることが好ましい。
得られた未延伸フィルムを延伸するには、従来から知られている工業的方法により行うことができる。例えば、キャスティング法によって製造するフィルムは、未延伸シートをテンター式同時二軸延伸機で縦横同時に延伸する同時二軸延伸法、Tダイより溶融押出しした未延伸シートをロール式延伸機で縦方向に延伸した後、テンター式延伸機で横方向に延伸する逐次二軸延伸法、環状ダイより成形したチューブ状シートを気体の圧力でインフレーション式に縦横同時に延伸するチューブラー延伸法が挙げられる。延伸工程はポリアミドフィルムの製造に引続き、連続して実施しても良いし、ポリアミドフィルムを一旦巻き取り、別工程として延伸を実施しても良い。
延伸フィルムの延伸倍率は使用用途によって異なるが、テンター式二軸延伸法、チューブラー法において、通常、縦方向、横方向ともに1.5倍以上、4.5倍以下であることが好ましく、2.5倍以上、4.0倍以下であることがより好ましい。延伸倍率が前記の値未満であると、得られるフィルムの強度や、バリア性が劣る場合がある。一方、前記の値を超えると、延伸時にフィルムが裂けたり、破断が頻繁に発生する場合がある。延伸温度は、30℃以上、210℃以下であることが好ましく、50℃以上、200℃以下であることがより好ましい。縦方向の延伸温度が、前記の値未満であると、配向が進行し、延伸時の応力が増大する場合があり、一方、前記の値を越えると、熱結晶化が促進され、横延伸にて結晶化による白化が生じる場合がある。横方向の延伸温度が、前記の値未満であると、配向が進行し、均一な横延伸を行いにくくなる場合があり、一方、前記の値を超えると、結晶化による白化が生じる場合がある。
上記方法により延伸されたフィルムは、引続き熱処理をすることが望ましい。熱処理することにより常温における寸法安定性を付与することができる。この場合の熱処理温度は、110℃を下限として該原料ポリアミド樹脂組成物の融点より5℃低い温度を上限とする範囲を選択するのがよく、これにより常温寸法安定性のよい、任意の熱収縮率をもった延伸フィルムを得ることができる。延伸フィルムは、熱収縮性が乏しいか、あるいは実質的に有していないものが望ましい。よって、延伸後に行なわれる熱処理条件において、熱処理温度は150℃以上であることが好ましく、180℃以上、220℃以下であることがより好ましく、緩和率は、幅方向に20%以内であることが好ましく、3%以上、10%以下であることがより好ましい。
熱処理操作により、充分に熱固定された延伸フィルムは、常法に従い、冷却して巻き取ることができる。
さらに、ポリアミドフィルムは、印刷性、ラミネート、粘着剤付与性を高めるため、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、酸処理等の表面処理を行うことができる。また、必要に応じて、このような処理がなされた後、印刷、ラミネート、粘着剤塗布、ヒートシール等の二次加工工程を経てそれぞれの目的とする用途に使用することができる。
本発明のポリアミドフィルムは、透明性、滑り性、印刷性、柔軟性に優れ、単独での利用価値が高いが、これに他の熱可塑性樹脂を積層することにより、さらに多くの特性を付加させることが可能である。具体的には本発明のポリアミドフィルムの少なくとも片面に熱可塑性樹脂層を積層して、積層フィルムとして使用することもできる。
該積層フィルムを製造するに当たっては、該原料ポリアミド樹脂組成物よりなる層の片面又は両面に他の基材を積層するが、その積層方法としては、共押出法、押出ラミネート法、ドライラミネート法等が挙げられる。共押出法は、該原料ポリアミド樹脂組成物と他の熱可塑性樹脂を共押出する方法であり、共押出シート成形、共押出キャスティングフィルム成形、共押出インフレーションフィルム成形等が挙げられる。押出ラミネート法は、本発明のポリアミドフィルムと熱可塑性樹脂等の基材に、それぞれアンカーコート剤を塗布し、乾燥後、その間に熱可塑性樹脂等を溶融押出しながらロール間で冷却し圧力をかけて圧着することによりラミネートフィルムを得る方法である。ドライラミネート法は、有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステル系化合物、ポリウレタン化合物等の公知の接着剤を本発明のポリアミドフィルムに塗布し、乾燥後、熱可塑性樹脂等の基材と張り合わせることによりラミネートフィルムを得る方法である。ラミネート後のフィルムは、エージングすることで、接着強度を上げることができる。ラミネートする際には、ポリアミドフィルムの片面又は両面をコロナ処理して使用することが好ましい。
積層される熱可塑性樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン/プロピレン共重合体(EPR)、エチレン/ブテン共重合体(EBR)、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/酢酸ビニル共重合体鹸化物(EVOH)、エチレン/アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン/メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン/アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン/アクリル酸エチル共重合体(EEA)等のポリオレフィン系樹脂及び、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エンドビシクロ−[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸等のカルボキシル基及びその金属塩(Na、Zn、K、Ca、Mg)、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、エンドビシクロ−[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物等の酸無水物基、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、シトラコン酸グリシジル等のエポキシ基等の官能基が含有された化合物により変性された、上記ポリオレフィン系樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、PET/PEI共重合体、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶ポリエステル(LCP)等のポリエステル系樹脂、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド(PPO)等のポリエーテル系樹脂、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)等のポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリチオエーテルスルホン(PTES)等のポリチオエーテル系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリルエーテルケトン(PAEK)等のポリケトン系樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、メタクリロニトリル/スチレン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS)、メタクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合体(MBS)等のポリニトリル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル(PEMA)等のポリメタクリレート系樹脂、ポリ酢酸ビニル(PVAc)等のポリビニルエステル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/メチルアクリレート共重合体等のポリビニル系樹脂、酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート(PC)等のポリカーボネート系樹脂、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド等のポリイミド系樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(TFE/HFP,FEP)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデン共重合体(TFE/HFP/VDF,THV)、テトラフルオロエチレン/フルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)等のフッ素系樹脂、熱可塑性ポリウレタン系樹脂、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー等が挙げられる。また、本発明において規定した前記ポリアミド樹脂を積層することも可能であり、フィルム強度のバランス、ガスバリア性の観点からポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)やエチレン/酢酸ビニル共重合体鹸化物(EVOH)を積層することが好ましい。
また、本発明のポリアミドフィルムには、ヒートシール性を付与する観点から、シーラント層を設けることが望ましい。シーラント層として使用される材料は、熱融着できる樹脂であればよく、一般にポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられ、ポリオレフィン系樹脂を使用することが好ましい。具体的には、ポリプロピレン(PP)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン/メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン/アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン/アクリル酸エチル共重合体(EEA)、アイオノマー樹脂、アモルファスポリエステル(A−PET)等が挙げられる。
さらに、無延伸、一軸又は二軸延伸熱可塑性樹脂フィルム又はシートや熱可塑性樹脂以外の任意の基材、例えば、紙、金属系材料、織布、不織布、金属綿、木材等を積層することも可能である。金属系材料としては、アルミニウム、鉄、銅、ニッケル、金、銀、チタン、モリブデン、マグネシウム、マンガン、鉛、錫、クロム、ベリリウム、タングステン、コバルト等の金属や金属化合物及びこれら2種類以上からなるステンレス鋼等の合金鋼、アルミニウム合金、黄銅、青銅等の銅合金、ニッケル合金等の合金類等が挙げられる。特に、ガスバリアや水蒸気バリア性を向上させるために、金属及び/又は金属化合物を蒸着することも可能である。蒸着する材料としては、Siや、Al、Ti、Zn、Zr、Mg、Sn、Cu、Fe等の金属や、これらの酸化物、窒化物、フッ素物、硫化物等が挙げられる。具体的には、SiOx(x=1.0〜2.0)、アルミナ、マグネシア、硫化亜鉛、チタニア、ジルコニア、酸化セリウム等の無機酸化物や、HMDSO(ヘキサメチルジシロキサン)等の有機化合物、シランガスのような無機ガスをキャリアガス及び酸化させるための酸素と混合後、反応により得られる酸化珪素等が挙げられる。蒸着簿膜の作製方法としては、公知の方法、物理的堆積法(PVD法)として真空蒸着法、EB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、化学的堆積法(CVD)法としてプラズマCVD法や化学反応法等を用いることができる。
ポリアミドフィルムの厚みは用途により適宜決定すればよく、特に制限されないが、ポリアミドフィルムの厚みは、厚ければポリアミドフィルムの強度は向上するが、透明性や耐屈曲疲労性は低下するので、これらを勘案すれば、ポリアミド単層フィルムの場合、5μm以上、100μm以下であることが好ましく、10μm以上、80μm以下であることがより好ましく、10μm以上、60μm以下であることがさらに好ましい。また、積層フィルムの場合、該原料ポリアミド樹脂組成物層の厚みとして、2μm以上、100μm以下であることが好ましく、3μm以上、80μm以下であることがより好ましく、5μm以上、60μm以下であることがさらに好ましい。
本発明のポリアミドフィルムは、ポリアミド樹脂本来有する諸特性を維持し、かつ透明性、滑り性、印刷性、柔軟性に優れ、さらにフィルム製膜時の厚みムラや延伸時の破断が少なく、連続生産性が良好である。特に、オルガノポリシロキサンにより表面処理された無機フィラーであって、無機フィラーの比表面積S(m/g)、無機フィラー1g当りの表面処理剤オルガノポリシロキサンの処理量M(μモル/g)としたとき、M/S(μモル/m)が0.1以下である無機フィラーと、数平均分子量200以上、4,000以下のポリアルキレングリコール及び/又は多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物を併用することにより、あるいは、上記の無機フィラー、並びに上記のポリアルキレングリコール及び/又は上記の多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物とヒドロキシ脂肪酸マグネシウム塩を特定の比率で併用することにより、フィルムの透明性、印刷性を維持しつつ、フィルムの厚みムラが少なく、柔軟性、延伸時の破断防止性に優れる。従って、透明性、滑り性、印刷性、柔軟性が優れ、厚みムラが少ないフィルムを、延伸時の破断といった製膜操業時のトラブルを最小限に抑え、長時間安定して生産することが可能となる。
以下において例を掲げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の要旨を越えない限り以下の例に限定されるものではない。フィルムの各種評価方法と使用した原材料を次に示す。
[透明性]
ASTM D−1003に準じ、スガ試験機(株)製直読ヘイズコンピューター(HGM−2DP)を使用して、ヘイズを測定した。ヘイズ値が3.0%以下の場合、フィルムの透明性に優れていると判断した。
[滑り性]
ASTM D−1894に準じ、23℃、50%相対湿度(RH)において、フィルム表面同士の動摩擦係数をそれぞれ測定した。測定は5回行い、その平均値を求めた。動摩擦係数が0.4以下の場合、フィルムの滑り性に優れていると判断した。
[印刷性]
濡れ指数をJIS K−6768に準拠して測定した。濡れ指数が、36mN/m以上の場合、印刷性に優れていると判断した。
[柔軟性]
レオメトリック・サイエンティフィック社製自動動的粘弾性測定装置(ARES−2000)を使用し、フィルムの固さを室温付近(23℃)の弾性率(E’)を評価した。尚、E’の値が低いほど柔軟性が高いことを示す。
[フィルム厚みムラ]
該原料樹脂組成物を使用して、円形ダイを備えた40mmφの押出機において、押出温度260℃にて溶融させ、20℃の水により冷却しながら、引き取りを行い、ブローアップ比1.0(例1〜20)又は1.5(例21〜47)の条件にて未延伸フィルムを連続して製造した。製膜開始1時間後及び8時間後の未延伸フィルムをサンプリングし、端部を切り開き、アンリツ電気(株)製フィルム厚み連続測定器(検知器型番:K−306C広範囲電子マイクロメータ及びフィルム送り装置及び記録計型番:K−310Cレコーダー)により、走行速度を25mm/秒で幅方向(フィルム長314mm)のフィルム厚みを計測し、下式から厚みムラを算出した。
厚みムラ(%)=[(フィルム厚みの最大値−フィルム厚みの最小値)/厚みの平均値]×100
製膜開始1時間後のフィルム厚みムラと8時間後のフィルムの厚みムラの経時変化率(偏肉度の経時変化率)を下式から算出し、偏肉度の経時変化率が15%以内の場合、厚みムラが少ないと判断した。
偏肉度の経時変化率(%)=[(製膜開始8時間後のフィルム厚みムラ−製膜開始1時間後のフィルム厚みムラ)/製膜開始1時間後のフィルム厚みムラ]×100
[延伸性、連続生産性]
該原料樹脂組成物を使用して、円形ダイを備えた40mmφの押出機において、押出温度260℃にて溶融させ、20℃の水により冷却しながら、引き取りを行い、未延伸フィルムを連続して製造した。引き続き、気体の圧力でインフレーション式に縦横同時に延伸するチューブラー延伸法にて、延伸温度180℃、延伸倍率(縦、横ともに)3.0倍にて延伸を行った。引取速度30m/min(例1〜20)又は60m/min(例21〜47)にて24時間運転を継続し、延伸工程における破断回数を記録した。24時間以内の破断回数が3回以下の場合、連続生産性(延伸性)に優れていると判断した。
[使用した原材料]
(A)オルガノポリシロキサンにより表面処理された無機フィラー
(A−1)オルガノポリシロキサンにより表面処理されたシリカ(水澤化学工業(株)製、ミズカシルPM−363DS、比表面積300m/g、平均粒径4.0μm、ジメチルポリシロキサン(信越化学(株)製、信越シリコーンKF−96 100CS、分子量6000g/モル、動的粘度:100cSt)処理量:シリカ100質量部に対して10質量部、M/S=0.056(μモル/m))
(A−2)オルガノポリシロキサンにより表面処理されたシリカ(水澤化学工業(株)製、ミズカシルC−102DS、比表面積20m/g、平均粒径3.0μm、ジメチルポリシロキサン(信越化学(株)製、信越シリコーンKF−96 100CS、分子量6000g/モル、動的粘度:100cSt)処理量:シリカ100質量部に対して5質量部、M/S=0.417(μモル/m))
尚、シリカにおける前記比表面積、及び平均粒子径は、それぞれ以下の方法によって測定した。
[比表面積]
JIS K−1150に準拠し、窒素の吸着量からBET法で測定した。
[平均粒子径]
コールターカウンター法によって体積平均粒子径を測定した。
(B)ポリアルキレングリコール
(B−1)ポリエチレングリコール(日本油脂(株)製、PEG400、数平均分子量:400)
(B−2)ポリエチレングリコール(日本油脂(株)製、PEG1000、数平均分子量:1,000)
(B−3)ポリエチレングリコール(日本油脂(株)製、PEG20000、数平均分子量:20,000)
(C)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物
(C−1)ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(日本油脂(株)製、ノニオン LT−221、エチレンオキサイドの付加モル数:20モル)
(C−2)ポリエチレングリコールモノステアレート(日本油脂(株)製、ノニオン S−15.4、エチレンオキサイドの付加モル数:32モル)
(C−3)ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート(花王(株)製、レオドール TW−S320V、エチレンオキサイドの付加モル数:20モル)
(C−4)ポリエチレングリコールジステアレート(花王(株)製、エマノーン 3299V、エチレンオキサイドの付加モル数:140モル)
(D)ヒドロシキ脂肪酸マグネシウム塩
(D−1)12−ヒドロシキステアリン酸マグネシウム(勝田化工(株)製、EM644、脂肪酸の炭素数:18)
(D−2)12−ヒドロシキベヘン酸マグネシウム(脂肪酸の炭素数:22)
(D−3)ステアリン酸マグネシウム(日本油脂(株)製、工マグネシウムステアレート)
(D−4)12−ヒドロシキステアリン酸カルシウム(日本油脂(株)製、カルシウムヒマステ)
(E)比表面積が200m/g以下である無機フィラー
(E−1)γ−アミノプロピルトリエトキシシランにより表面処理されたシリカ(水澤化学工業(株)製、ミズカシルC−002、平均粒径:2.0μm、比表面積43m/g)
(E−2)ゼオライト(水澤化学工業(株)製、シルトンAMT−25、平均粒径約2.5μm、比表面積3m/g)
(E−3)シリカ(水澤化学工業(株)製、ミズカシルP−707、平均粒径:2.2μm、比表面積300m/g)
(E−4)γ−アミノプロピルトリエトキシシランにより表面処理されたシリカ(水澤化学工業(株)製、ミズカシルC−402、平均粒径:2.2μm、比表面積300m/g)
例1
内容積70リットルの攪拌機付き耐圧力反応容器にカプロラクタム10kg、水1kg、(A)オルガノポリシロキサンにより表面処理されたシリカ(A−1)15.0gを入れ、100℃に加熱し、この温度で反応系内が均一な状態になるように攪拌した。引き続き、さらに温度を260℃まで昇温させ、2.0MPaの圧力下で1時間攪拌した。その後、放圧して水分を反応容器から揮散させながら常圧下、260℃で2時間重合反応を行い、さらに260℃、53kPaの減圧下で2時間重合反応させた。反応終了後、反応容器の下部ノズルからストランド状に取り出した反応物を水槽に導入して冷却し、カッティングして、シリカが均一に分散したポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。そこで、このペレットを熱水中に浸漬し、未反応モノマーを抽出して除去した後、減圧乾燥した。得られたポリアミド樹脂組成物の相対粘度、水抽出量、水分含有量は、それぞれ3.4、0.17質量%、0.04質量%であった。
次に、円筒型混合機を用いて、ポリアミド樹脂組成物100質量部と(A)オルガノポリシロキサンにより表面処理されたシリカ(A−1)0.15質量部よりなる前記ポリアミド樹脂組成物に対して、表1に示す量の(B)ポリエチレングリコール(B−1)0.15質量部とエチレンビスステアリルアミド0.08質量部を配合し、同組成物を使用して、円形ダイを備えた40mmφ一軸フルフライトスクリューの押出機にて、押出温度260℃にて溶融させ、20℃の水により冷却しながら、引き取りを行い、実質的に無定形で配向していないチューブラー状のポリアミド未延伸フィルムを得た。引き続き、気体の圧力でインフレーション式に縦横同時に延伸するチューブラー延伸法にて、延伸温度180℃、延伸倍率(縦、横ともに)3.0倍にて延伸を行った。その後、チューブ状フィルムの端を切り開き、フラット状のフィルムをテンター内に導入し、5%の幅方向に緩和処理を行ないつつ、210℃にて熱固定処理を行なった。フィルム両端をクリップから解放し、耳部をトリミングして巻き取り、厚み15μmの二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて、連続生産性について調査した結果を表1に示す。
例2〜3
例1において、(B)ポリエチレングリコール(B−1)の配合量を表1に示す量に変更した以外は、例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて、連続生産性について調査した結果を表1に示す。
例4
例1において、(B)ポリエチレングリコール(B−1)を(B−2)に変更した以外は、例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて、連続生産性について調査した結果を表1に示す。
例5
例1において、(B)ポリエチレングリコール(B−1)を(C)ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(C−1)に変更した以外は、例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて、連続生産性について調査した結果を表1に示す。
例6
例5において、(C)ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(C−1)をポリエチレングリコールモノステアレート(C−2)に変更した以外は、例5と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて、連続生産性について調査した結果を表1に示す。
例7
例1において、(A)オルガノポリシロキサンにより表面処理されたシリカ(A−1)とともに、(E)γ−アミノプロピルトリエトキシシランにより表面処理されたシリカ(E−1)を表1に示す割合にて配合した以外は、例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて、連続生産性について調査した結果を表1に示す。
例8
例7において、(E)γ−アミノプロピルトリエトキシシランにより表面処理されたシリカ(E−1)を(E)ゼオライト(E−2)に変更し、(B)ポリエチレングリコール(B−1)を(C)ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(C−1)に変更した以外は、例7と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて、連続生産性について調査した結果を表1に示す。
例9
例1において、(B)ポリエチレングリコール(B−1)とともに、(C)ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(C−1)を表1に示す割合にて配合した以外は、例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて、連続生産性について調査した結果を表1に示す。
例10
例7において、(B)ポリエチレングリコール(B−1)とともに、(C)ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(C−1)を表1に示す割合にて配合した以外は、例7と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて、連続生産性について調査した結果を表1に示す。
例11
例1において、(A)オルガノポリシロキサンにより表面処理されたシリカ(A−1)を使用しない以外は、例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて、連続生産性について調査した結果を表1に示す。
例12
例1において、(B)ポリエチレングリコール(B−1)を使用しない以外は、例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて、連続生産性について調査した結果を表1に示す。
例13〜14
例9において、(B)ポリエチレングリコール(B−1)と(C)ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(C−1)の配合量を表1に示す量に変更した以外は、例9と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて、連続生産性について調査した結果を表1に示す。
例15
例1において、(B)ポリエチレングリコール(B−1)を(B−3)に変更した以外は、例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて、連続生産性について調査した結果を表1に示す。
例16
例5において、(C)ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(C−1)をポリオキシエチレンソルビタントリステアレート(C−3)に変更した以外は、例5と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて、連続生産性について調査した結果を表1に示す。
例17
例5において、(C)ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(C−1)をポリエチレングリコールジステアレート(C−4)に変更した以外は、例5と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて、連続生産性について調査した結果を表1に示す。
例18
例1において、(A)オルガノポリシロキサンにより表面処理されたシリカ(A−1)を(A−2)に変更した以外は、例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて、連続生産性について調査した結果を表1に示す。
例19
例1において、(A)オルガノポリシロキサンにより表面処理されたシリカ(A−1)を(E)シリカ(E−3)に変更した以外は、例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて、連続生産性について調査した結果を表1に示す。
例20
例1において、(A)オルガノポリシロキサンにより表面処理されたシリカ(A−1)を(E)γ−アミノプロピルトリエトキシシランにより表面処理されたシリカ(E−4)に変更した以外は、例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表1に示す。また、上記の方法にて、連続生産性について調査した結果を表1に示す。
Figure 0005494659
表1から明らかなように、例1から10のフィルムは、透明性、滑り性、印刷性及び柔軟性に優れ、かつフィルム製膜時の厚みムラや延伸破断回数が少なく、長時間の連続生産性に優れている。
例21
内容積70リットルの攪拌機付き耐圧力反応容器にカプロラクタム10kg、水1kg、(A)オルガノポリシロキサンにより表面処理されたシリカ(A−1)15.0gを入れ、100℃に加熱し、この温度で反応系内が均一な状態になるように攪拌した。引き続き、さらに温度を260℃まで昇温させ、2.0MPaの圧力下で1時間攪拌した。その後、放圧して水分を反応容器から揮散させながら常圧下、260℃で2時間重合反応を行い、さらに260℃、53kPaの減圧下で2時間重合反応させた。反応終了後、反応容器の下部ノズルからストランド状に取り出した反応物を水槽に導入して冷却し、カッティングして、シリカが均一に分散したポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。そこで、このペレットを熱水中に浸漬し、未反応モノマーを抽出して除去した後、減圧乾燥した。得られたポリアミド樹脂組成物の相対粘度、水抽出量、水分含有量は、それぞれは3.4、0.17質量%、0.04質量%であった。
次に、円筒型混合機を用いて、ポリアミド樹脂組成物100質量部と(A)オルガノポリシロキサンにより表面処理されたシリカ(A−1)0.15質量部よりなる前記ポリアミド樹脂組成物に対して、表2に示す量の(B)ポリエチレングリコール(B−1)、(D)12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム(D−1)とエチレンビスステアリルアミド0.08質量部を配合し、同組成物を使用して、円形ダイを備えた40mmφ一軸フルフライトスクリューの押出機にて、押出温度260℃にて溶融させ、20℃の水により冷却しながら、引き取りを行い、実質的に無定形で配向していないチューブラー状のポリアミド未延伸フィルムを得た。引き続き、気体の圧力でインフレーション式に縦横同時に延伸するチューブラー延伸法にて、延伸温度180℃、延伸倍率(縦、横ともに)3.0倍にて延伸を行った。その後、チューブ状フィルムの端を切り開き、フラット状のフィルムをテンター内に導入し、幅方向に緩和処理を行ないつつ、210℃にて熱固定処理を行なった。フィルム両端をクリップから解放し、耳部をトリミングして巻き取り、厚み15μmの二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表2に示す。また、上記の方法にて、連続生産性について調査した結果を表2に示す。
例22〜23
例21において、(B)ポリエチレングリコール(B−1)の配合量を表2に示す量に変更した以外は、例21と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表2に示す。また、上記の方法にて、連続生産性について調査した結果を表2に示す。
例24
例21において、(B)ポリエチレングリコール(B−1)を(B−2)に変更した以外は、例21と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表2に示す。また、上記の方法にて、連続生産性について調査した結果を表2に示す。
例25
例21において、(B)ポリエチレングリコール(B−1)を(C)ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(C−1)に変更した以外は、例21と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表2に示す。また、上記の方法にて、連続生産性について調査した結果を表2に示す。
例26
例25において、(C)ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(C−1)をポリエチレングリコールモノステアレート(C−2)に変更した以外は、例25と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表2に示す。また、上記の方法にて、連続生産性について調査した結果を表2に示す。
例27
例21において、(A)オルガノポリシロキサンにより表面処理されたシリカ(A−1)とともに、(E)γ−アミノプロピルトリエトキシシランにより表面処理されたシリカ(E−1)を表2に示す割合にて配合した以外は、例21と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表2に示す。また、上記の方法にて、連続生産性について調査した結果を表2に示す。
例28
例27において、(E)γ−アミノプロピルトリエトキシシランにより表面処理されたシリカ(E−1)を(E)ゼオライト(E−2)に変更し、(B)ポリエチレングリコール(B−1)を(C)ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(C−1)に変更した以外は、例27と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表2に示す。また、上記の方法にて、連続生産性について調査した結果を表2に示す。
例29
例21において、(B)ポリエチレングリコール(B−1)とともに、(C)ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(C−1)を表2に示す割合にて配合した以外は、例21と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表2に示す。また、上記の方法にて、連続生産性について調査した結果を表2に示す。
例30〜31
例21において、(D)12−ヒドロシキステアリン酸マグネシウム(D−1)の配合量を表2に示す量に変更した以外は、例21と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表2に示す。また、上記の方法にて、連続生産性について調査した結果を表2に示す。
例32
例21において、(D)12−ヒドロシキステアリン酸マグネシウム(D−1)を12−ヒドロシキベヘン酸マグネシウム(D−2)に変更した以外は、例21と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表2に示す。また、上記の方法にて、連続生産性について調査した結果を表2に示す。
例33
例21において、(A)オルガノポリシロキサンにより表面処理されたシリカ(A−1)を使用しない以外は、例21と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表2に示す。また、上記の方法にて、連続生産性について調査した結果を表2に示す。
例34
例21において、(B)ポリエチレングリコール(B−1)を使用しない以外は、例21と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表2に示す。また、上記の方法にて、連続生産性について調査した結果を表2に示す。
例35〜36
例29において、(B)ポリエチレングリコール(B−1)と(C)ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(C−1)の配合量を表2に示す量に変更した以外は、例29と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表2に示す。また、上記の方法にて、連続生産性について調査した結果を表2に示す。
例37
例21において、(B)ポリエチレングリコール(B−1)を(B−3)に変更した以外は、例21と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表2に示す。また、上記の方法にて、連続生産性について調査した結果を表2に示す。
例38
例25において、(C)ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(C−1)をポリオキシエチレンソルビタントリステアレート(C−3)に変更した以外は、例25と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表2に示す。また、上記の方法にて、連続生産性について調査した結果を表2に示す。
例39
例25において、(C)ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(C−1)をポリエチレングリコールジステアレート(C−4)に変更した以外は、例25と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表2に示す。また、上記の方法にて、連続生産性について調査した結果を表2に示す。
例40
例21において、(D)12−ヒドロシキステアリン酸マグネシウム(D−1)を使用しない以外は、例21と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表2に示す。また、上記の方法にて、連続生産性について調査した結果を表2に示す。
例41〜42
例29において、(D)12−ヒドロシキステアリン酸マグネシウム(D−1)の配合量を表2に示す量に変更した以外は、例29と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表2に示す。また、上記の方法にて、連続生産性について調査した結果を表2に示す。
例43
例21において、(D)12−ヒドロシキステアリン酸マグネシウム(D−1)をステアリン酸マグネシウム(D−3)に変更した以外は、例21と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表2に示す。また、上記の方法にて、連続生産性について調査した結果を表2に示す。
例44
例21において、(D)12−ヒドロシキステアリン酸マグネシウム(D−1)を12−ヒドロシキステアリン酸カルシウム(D−4)に変更した以外は、例21と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表2に示す。また、上記の方法にて、連続生産性について調査した結果を表2に示す。
例45
例21において、(A)オルガノポリシロキサンにより表面処理されたシリカ(A−1)を(A−2)に変更した以外は、例21と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表2に示す。また、上記の方法にて、連続生産性について調査した結果を表2に示す。
例46
例21において、(A)オルガノポリシロキサンにより表面処理されたシリカ(A−1)を(E)シリカ(E−3)に変更した以外は、例21と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表2に示す。また、上記の方法にて、連続生産性について調査した結果を表2に示す。
例47
例21において、(A)オルガノポリシロキサンにより表面処理されたシリカ(A−1)を(E)γ−アミノプロピルトリエトキシシランにより表面処理されたシリカ(E−4)に変更した以外は、例21と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムの物性測定結果を表2に示す。また、上記の方法にて、連続生産性について調査した結果を表2に示す。
Figure 0005494659
表2から明らかなように、例21から32のフィルムは、透明性、滑り性、印刷性及び柔軟性に優れ、かつフィルム製膜時の厚みムラやフィルム延伸時の破断の発生が少なく、長時間の連続安定運転が可能である。

Claims (10)

  1. ポリアミド樹脂と、(A)オルガノポリシロキサンにより表面処理された無機フィラーであって、無機フィラーの比表面積S(m/g)、無機フィラー1g当りの表面処理剤オルガノポリシロキサンの処理量M(μモル/g)としたとき、M/S(μモル/m)が0.1以下である無機フィラーと、(B)数平均分子量200以上、4,000以下のポリアルキレングリコール及び/又は(C)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物とを含み、ポリアミド樹脂100質量部に対し、前記(A)無機フィラーを0.01質量部以上、0.5質量部以下配合してなると共に、(B)成分と(C)成分を合計して0.01質量部以上、0.5質量部以下配合してなり、且つ、前記(C)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物において、アルキレンオキサイドの付加モル数が0.1モル以上60モル以下であり、水酸基全体の30%以上がエステル化せずに残存していることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
  2. M/S(μモル/m)が0.002以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
  3. ポリアミド樹脂100質量部に対し、(D)ヒドロキシ脂肪酸マグネシウム塩0.003質量部以上、0.1質量部以下をさらに配合してなり、(B)数平均分子量200以上、4,000以下のポリアルキレングリコール及び(C)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物の合計配合量と(D)ヒドロキシ脂肪酸マグネシウム塩の配合量の比率(D)/((B)+(C))が0.05以上(質量比)、0.7以下(質量比)であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリアミド樹脂組成物。
  4. 前記(A)無機フィラーが、シリカ100質量部に対して、オルガノポリシロキサン0.5質量部以上、15質量部以下にて表面処理されたシリカであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  5. ポリアミド樹脂100質量部に対して、さらに、(E)(A)以外の無機フィラーであって、比表面積が200m/g以下である無機フィラー0.01質量部以上、0.2質量部以下を配合してなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  6. 前記(E)無機フィラーが、シリカ、カオリン、及びゼオライトよりなる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項5に記載のポリアミド樹脂組成物。
  7. ポリアミド樹脂が、カプロラクタム、ドデカンラクタム、12−アミノドデカン酸、及びヘキサメチレンジアミンとアジピン酸のナイロン塩よりなる群より選ばれる少なくとも1種の単一重合体あるいは共重合体であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  8. 前記ポリアミド樹脂が、ポリアミド6重合体、ポリアミド6/66共重合体、ポリアミド6/12共重合体、及びポリアミド6/66/12共重合体よりなる群より選ばれるいずれかであることを特徴とする請求項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物からなるポリアミドフィルム。
  10. 二軸延伸ポリアミドフィルムであることを特徴とする請求項9に記載のポリアミドフィルム。
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