JP4614772B2 - ポリアミド系多層フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、食品等の包装に用いられるポリアミド系多層フィルムに関する。
ポリアミド系フィルムは、ガスバリア性、強度などに優れているため、内容物保護を主目的として食品包装用等で広く使用されている(特許文献1、2等)。
しかし、ポリアミド系フィルムは吸湿しやすいため、フィルム表面の滑性が悪くなりやすいという欠点がある。例えば、自動充填機を用いて、包装用ポリアミド系フィルムにスープ、蒟蒻等の水物系の食品を充填する際に、作業環境が多湿度になるため、ポリアミド系フィルムが吸湿し機械適性が悪くなり、食品充填工程が停止してしまうことがしばしば発生する。これでは、食品包装の作業効率が低下してしまう。
また、昨今では、上記の水物系食品の包装用ポリアミド系フィルムについて、流通等の課程で事故発生頻度を限りなくゼロにしたいというユーザーの強い意向があり、更に耐ピンホール性を付与する試みがなされている。この耐ピンホール性を向上させるために、オレフィン、ポリアミドエラストマー等の改質材が配合されるが、これがかえってフィルムの吸湿を助長して更に滑性を悪くする場合がある。
そのため、多湿度下においてもフィルム表面の滑性が高く、かつ、耐ピンホール性に優れたポリアミド系フィルムが望まれている。
特開昭62−115029号公報 特開昭62−131060号公報
本発明は、フィルム表面の滑性が高く、かつ、耐ピンホール性に優れたポリアミド系多層フィルム及びその製造方法を提供することを主な目的とする。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、滑剤を含むポリアミド層、柔軟剤を含むポリアミド層及びガスバリア層を有し、該滑剤を含むポリアミド層が最外層となるポリアミド系多層フィルムが、フィルム表面の滑性が高く、かつ、耐ピンホール性に優れていることを見いだした。かかる知見に基づき、さらに研究を重ねることにより、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のポリアミド系多層フィルム及びその製造方法を提供する。
項1.滑剤を含むポリアミド層、柔軟剤を含むポリアミド層、及びガスバリア層を含み、該滑剤を含むポリアミド層が最外層であるポリアミド系多層フィルムであって、
(a)ASTM D-1894に準拠したポリアミド系多層フィルムの最外層面同士の動摩擦係数(25℃×80%RH)が0.40以下であり、かつ
(b)5℃×1,000回のゲルボフレックス試験で発生するピンホールの個数が8個/300cm2以下である
ことを特徴とするポリアミド系多層フィルム。
項2.滑剤が、無機フィラー粒子及び/又はビスアミド化合物である項1に記載のポリアミド系多層フィルム。
項3.滑剤が、無機フィラー粒子及びビスアミド化合物であり、ポリアミド100重量部に対し、無機フィラー粒子の配合量が0.05〜0.5重量部、及びビスアミド化合物の配合量が0.05〜0.5重量部である項2に記載のポリアミド系多層フィルム。
項4.柔軟剤が、変性エチレン−酢酸ビニル共重合体及び/又はエチレン−メタクリル酸共重合アイオノマーである項1、2又は3に記載のポリアミド系多層フィルム。
項5.柔軟剤が、変性エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−メタクリル酸共重合アイオノマーであり、ポリアミド100重量部に対し、変性エチレン−酢酸ビニル共重合体の配合量が0.5〜10.0重量部、及びエチレン−メタクリル酸共重合アイオノマーの配合量が0.1〜5.0重量部である項4に記載のポリアミド系多層フィルム。
項6.ガスバリア層が、EVOH又は芳香族ポリアミドである項1〜5のいずれかに記載のポリアミド系多層フィルム。
項7.下記の層構成を有する項1〜6のいずれかに記載のポリアミド系多層フィルム:
A1/B1/C1、
A1/B1/C1/A2、
A1/B1/C1/B2、
A1/B1/C1/B2/A2、
A1/B1/C1/A2/B2、
A1/C1/B1、
A1/C1/B1/A2、
A1/C1/A2/B1
(式中、A1及びA2は同一又は異なって滑剤を含むポリアミド層、B1及びB2は同一又は異なって柔軟剤を含むポリアミド層、C1はガスバリア層を示し、A1は最外層を示す。)。
項8.フィルムの総厚みが10〜75μm程度である項1〜7のいずれかに記載のポリアミド系多層フィルム。
項9.最外層である滑剤を含むポリアミド層A1の厚みが、ポリアミド系多層フィルムの総厚みに対して6〜30%程度である項7に記載のポリアミド系多層フィルム。
項10.柔軟剤を含むポリアミド層の総厚みが、ポリアミド系多層フィルムの総厚みに対して13〜91%程度である項1〜7のいずれかに記載のポリアミド系多層フィルム。
項11.下記の層構成を有する項7に記載のポリアミド系多層フィルム:
A1/B1/C1/B2/A2
(但し、A1、A2、B1、B2及びC1は前記に同じ)。
項12.二軸延伸フィルムである項1〜11のいずれかに記載のポリアミド系多層フィルム。
項13.滑剤を含むポリアミド層、柔軟剤を含むポリアミド層、及びガスバリア層を含み、該滑剤を含むポリアミド層が最外層であるポリアミド系多層フィルムの製造方法であって、滑剤及びポリアミドを含む樹脂組成物、柔軟剤及びポリアミドを含む樹脂組成物、及びガスバリア性を有する樹脂組成物を、最外層が滑剤を含むポリアミド層になるように共押出により積層し、縦横2軸に延伸し、加熱処理することを特徴とするポリアミド系多層フィルムの製造方法。
項14.項1〜12のいずれかに記載のポリアミド系多層フィルムの最外層と反対側の面に、シール層をラミネートしてなる食品包装用フィルム。
項15.項14に記載の食品包装用フィルムの最外層を外側に向けて袋状にして、シール層面同士をヒートシールして得られる食品包装用袋。
項16.項15に記載の食品包装用袋に食品を充填してなる食品包装物。
以下、本発明を詳述する。
I.ポリアミド系多層フィルム
本発明のポリアミド系多層フィルムは、滑剤を含むポリアミド層(以下、「ポリアミド層A」とも表記する)、柔軟剤を含むポリアミド層(以下、「ポリアミド層B」とも表記する)及びガスバリア層Cを含み、該ポリアミド層Aが最外層を形成しており、(a)ASTM D-1894に準拠したポリアミド系多層フィルムの最外層面同士の動摩擦係数(25℃×80%RH)が0.40以下であり、かつ、(b)5℃×1,000回のゲルボフレックス試験で発生するピンホールの個数が8個/300cm2以下であることを特徴とする。
ポリアミド層A
ポリアミド層Aに用いられるポリアミドとしては、脂肪族ポリアミドを必須成分とし、必要に応じて芳香族ポリアミド、非晶質ポリアミド、ポリアミドエラストマー等を含有してもよい。
脂肪族ポリアミドとしては、脂肪族ナイロン及びその共重合体が挙げられる。具体的には、ポリカプラミド(ナイロン−6)、ポリ−ω−アミノヘプタン酸(ナイロン−7)、ポリ−ω−アミノノナン酸(ナイロン−9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン−11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン−12)、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン−2,6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン−4,6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン−6,6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン−6,10)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン−6,12)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン−8,6)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン−10,8)、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン−6/12)、カプロラクタム/ω−アミノノナン酸共重合体(ナイロン−6/9)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン−6/6,6)、ラウリルラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン−12/6,6)、エチレンジアミンアジパミド/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体(ナイロン−2,6/6,6)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン−6,6/6,10)、エチレンアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート/ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート共重合体(ナイロン−6/6,6/6,10)などを例示でき、これらのうち、2種以上の脂肪族ポリアミドを混合しても良い。
脂肪族ポリアミドとして、好ましくはナイロン−6、ナイロン-6,6であり、より好ましくはナイロン−6、ナイロン−6/6,6(ナイロン6とナイロン6,6の共重合体)であり、特に好ましくはナイロン−6である。
また、芳香族ポリアミドとしては、例えば、メタキシレンジアミン、パラキシレンジアミン等の芳香族ジアミンとアジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸又はその誘導体との重縮合反応で得られる結晶性芳香族ポリアミドが挙げられる。好ましくは、ポリメタキシレンアジパミド(MXD−ナイロン)等の芳香族ナイロンである。芳香族ナイロンとしては、S-6007、S-6011(いずれも三菱ガス化学(株)製)等が例示される。
非晶質ポリアミドとしては、イソフタル酸−テレフタル酸−ヘキサメチレンジアミン重縮合反応で得られるポリアミド(6T−6Iナイロン)等を例示できる。
ポリアミドエラストマーとしては、ポリエーテルエステルアミドを例示できる。
ポリアミド中には、脂肪族ポリアミドが、50〜100重量%程度、好ましくは60〜95重量%程度、より好ましくは80〜90重量%程度含有している。また、ポリアミド中には、芳香族ポリアミド及び/又は非晶質ポリアミド及び/又はポリアミドエラストマーが、0〜50重量%程度、好ましくは5〜40重量%程度、より好ましくは10〜20重量%程度含有している。
ポリアミド層Aに含まれる滑剤としては、最外層であるポリアミド層A表面の動摩擦係数を低下させ得るものであれば特に限定はないが、例えば、無機フィラー粒子、ビスアミド化合物等が挙げられる。本発明においてポリアミド層Aには、滑剤はとして無機フィラー粒子及びビスアミド化合物の双方が含まれているのが好ましい。
無機フィラー粒子の具体例としては、クレー、カオリン、焼成カオリンなどに代表されるシリカ−アルミナ系粘土鉱物;タルクに代表されるシリカーマグネシウム類;ケイ酸カルシウム;シリカ;アルミナ;炭酸カルシウム等が挙げられる。無機系フィラー粒子の平均粒子径は、0.5〜6μm程度、好ましくは2.0〜5.0μm程度である。かかる平均粒子径であれば、ポリアミド層Aが最外層となった場合、その表面に優れた滑性が付与される。
ビスアミド化合物としては、広く公知のビスアミド化合物を用いることができる。具体的には、一般式(I)又は(II);
Figure 0004614772
(式中、R1は2価の炭化水素残基、R2及びR3は同一又は異なって1価の炭化水素残基、R4及びR5は同一又は異なって水素原子又は1価の炭化水素残基、R6は2価の炭化水素残基、R7及びR9は同一又は異なって1価の炭化水素残基、R8及びR10は同一又は異なって水素原子又は1価の炭化水素残基を示す。)
で表されるビスアミド化合物が例示される。
一般式(I)で示されるビスアミド化合物において、R1で示される2価の炭化水素残基としては、2価の脂肪族炭化水素残基又は芳香族炭化水素残基が挙げられる。2価の脂肪族炭化水素残基としては、エチレン、プロピレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン、ドデカメチレンなどのアルキレン基が挙げられる。2価の芳香族炭化水素残基としては、フェニレン、キシリレン、ナフチレン、フェナントリレンなどのアリーレン基が挙げられる。
2又はR3で示される1価の炭化水素残基としては、1価の脂肪族炭化水素残基(一部が不飽和であってもよい)が挙げられ、好ましくは直鎖のC5−25アルキルが挙げられる。具体的には、ステアリン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、エライジン酸、モンタン酸などの脂肪酸からカルボキシル基を除いて得られる1価の基が挙げられる。
4又はR5で示される1価の炭化水素残基としては、C1−6アルキル基、好ましくはメチル、エチル、n−プロピル等の直鎖のC1−3アルキル基が挙げられる。なお、R4及びR5として好ましくは、水素原子である。
一般式(I)で示されるビスアミド化合物のうち、代表的なものとしては、エチレンビスステアリルアミド、エチレンビスベヘニルアミドなどのエチレンビス脂肪酸アミドが挙げられる。
一般式(I)で示されるビスアミド化合物は、対応するジアミンと脂肪酸とをアミド化することにより容易に製造できる。
一般式(II)で示されるビスアミド化合物において、R6で示される2価の炭化水素残基としては、テレフタル酸、p−フェニレンジプロピオン酸、コハク酸、アジピン酸などのジカルボン酸から2つのカルボキシル基を除いて得られる2価の基が挙げられる。
7又はR9で示される1価の炭化水素残基としては、1価の脂肪族炭化水素残基又は芳香族炭化水素残基が挙げられる。1価の脂肪族炭化水素残基としては、メチル、エチル、ブチル、ヘキシル、デシル、ペンタデシル、オクタデシル、ドデシルなどのC1−20アルキル基;シクロヘキシルなどのC3−7シクロアルキル基などが挙げられる。1価の芳香族炭化水素残基としては、フェニル、ナフチルなどのアリール基;ベンジルアミンなどのアラルキル基が挙げられる。
8又はR10で示される1価の炭化水素残基としては、R7又はR9で示される1価の炭化水素残基が挙げられる。R8及びR10として好ましくは、水素原子である。
一般式(II)で示されるビスアミド化合物のうち、代表的なものとしては、ジオクタデシルテレフタル酸アミドなどのジオクタデシルジカルボン酸アミドを挙げることができる。
一般式(II)で示されるビスアミド化合物は、対応するジカルボン酸とモノアミンとをアミド化することにより容易に製造できる。
ポリアミド層Aに配合される滑剤の量は、ポリアミド100重量部に対し、0.05〜2.0重量部程度、好ましくは0.1〜1.0重量部程度である。特に、ポリアミド100重量部に対し、無機フィラー粒子0.05〜0.5重量部、及びビスアミド化合物0.05〜0.5重量部を配合するのが好ましい。
なお、最外層であるポリアミド層Aの表面には、シランカップリング剤等の表面処理を行ってもよい。これにより、フィルム製造工程において、ダイスリップ口に付着する異物(メヤニ)の発生を抑制する効果がある。
ポリアミド層Aには、さらに本発明の効果に悪影響を与えない範囲で、アンチブロッキングの効果を持つポリメタクリル酸メチル等の他の成分を含有していてもよい。ポリアミド層Aに他の成分を含有する場合、この成分の含有量は、通常、ポリアミド100重量部に対して0.5重量部以下、好ましくは0.02〜0.2重量部程度であるのが好ましい。
ポリアミド層B
ポリアミド層Bに用いられるポリアミドとしては、脂肪族ポリアミドを必須成分とし、必要に応じて芳香族ポリアミド、非晶質ポリアミド、ポリアミドエラストマー等を含有してもよい。具体的には、上記のポリアミド層Aで例示したポリアミドが好適に用いられる。なお、ポリアミド層Bに含まれるポリアミドの種類や配合割合は、ポリアミド層Aと同一であっても異なっていてもよいが、多層フィルム製造の簡便さの点から、両者は同一のポリアミドを用いるのが好ましい。
ポリアミド層Bに含まれる柔軟剤としては、多層フィルムの耐ピンホール性を向上させるために用いられるものであれば特に限定はない。柔軟剤の具体例としては、変性エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合アイオノマーなどが例示される。ここで、変性エチレン−酢酸ビニル共重合体には、(1)−OCOCH3を部分的にけん化した樹脂、(2)−OCOCH3を部分的に−OCOCH2CH3に置換した樹脂、(3)無水マレイン酸等の酸無水物を部分的にグラフト重合した樹脂が含まれる。
ポリアミド層Bに配合される柔軟剤の量は、ポリアミド100重量部に対し、0.6〜15重量部程度、好ましくは1.5〜10重量部程度、特に2.0〜8.0重量部程度である。中でも、ポリアミド100重量部に対し、変性エチレン−酢酸ビニル共重合体を0.5〜10.0重量部(特に2.5〜6.0重量部)、及びエチレン−メタクリル酸共重合アイオノマーを0.1〜5.0重量部(特に0.3〜2.0重量部)配合するのが好ましい。
ポリアミド層Bには、さらに本発明の効果に悪影響を与えない範囲で、アンチブロッキングの効果を持つポリメタクリル酸メチル等の他の成分を含有していてもよい。ポリアミド層Bに他の成分を含有する場合、この成分の含有量は、通常、ポリアミド100重量部に対して0.5重量部以下、好ましくは0.02〜0.2重量部程度であるのが好ましい。
ガスバリア層C
ガスバリア層Cとしては、EVOH、芳香族ポリアミド等が挙げられる。
EVOHとしては、特に限定されないが、エチレン含量55モル%以下(好ましくは20〜50モル%、より好ましくは29〜44モル%)で、酢酸ビニル成分のケン化度が90モル%以上(好ましくは95モル%以上)のものが好適に用いられる。
また、EVOHには、本発明の効果に悪影響を与えない範囲で、更に少量のプロピレン、イソブテン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のα−オレフィン;不飽和カルボン酸又はその誘導体(例えば、塩、部分アルキルエステル、完全アルキルエステル、ニトリル、アミド、無水物);不飽和スルホン酸又はその塩等のコモノマーを含んでいても差支えない。
また、EVOHのメルトインデックス(MI)は、0.5〜50g/10分(210℃、2160g荷重)が好ましく、更には1〜35g/10分(同上)が好ましい。かかるMIが0.5g/10分(同上)以上の粘度であれば溶融押出しに支障がない粘度であり、逆に50g/10分(同上)以下であれば製膜性の低下を抑制することができる。
好ましいEVOHとしては、例えば、SG464B、SG372B、DC3203FB、DT2903B(いずれも日本合成化学(株)製)等が挙げられる。
芳香族ポリアミドとしては、例えば、メタキシレンジアミン、パラキシレンジアミン等の芳香族ジアミンとアジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等のジカルボン酸又はその誘導体との重縮合反応で得られる結晶性芳香族ポリアミドが挙げられる。好ましくは、ポリメタキシレンアジパミド(MXD−ナイロン)等の芳香族ナイロンである。芳香族ナイロンとしては、S-6007、S-6011(いずれも三菱ガス化学(株)製)等が例示される。
ガスバリア層Cには、さらに本発明の効果に悪影響を与えない範囲で、脂肪族アミド、変性エチレン酢酸ビニル共重合体、メタクリル酸共重合体アイオノマー等の他の成分を含有していてもよい。ガスバリア層Cに他の成分を含有する場合、この成分の含有量は、通常、EVOH又は芳香族ポリアミド100重量部に対して15重量部以下、好ましくは1.0〜7.5重量部程度であるのが好ましい。
ポリアミド系多層フィルムの構成
本発明のポリアミド系多層フィルムは、ポリアミド層A、ポリアミド層B及びガスバリア層Cを含み、該ポリアミド層Aが最外層を形成している。すなわち、最外層としてポリアミド層Aを有する少なくとも3層からなる多層フィルムである。
具体的には、次のような多層フィルムの層構成が例示される。
A1/B1/C1、
A1/B1/C1/A2、
A1/B1/C1/B2、
A1/B1/C1/B2/A2、
A1/B1/C1/A2/B2、
A1/C1/B1、
A1/C1/B1/A2、
A1/C1/A2/B1
(式中、A1及びA2は同一又は異なって滑剤を含むポリアミド層、B1及びB2は同一又は異なって柔軟剤を含むポリアミド層、C1はガスバリア層を示し、A1は最外層を示す。)
本発明のポリアミド系多層フィルムの総厚みは、10〜75μm程度、好ましくは、12〜40μm程度である。かかる範囲では、フィルムの生産性、販売単価が良好となるため好ましい。
最外層である滑剤を含むポリアミド層(例えば、A1)の厚みは、ポリアミド系多層フィルムの総厚みに対して6〜30%程度であり、好ましくは10〜25%程度である。かかる範囲であれば、多湿度条件下でもフィルム表面の滑性を向上させる(動摩擦係数を小さくする)効果が発揮される。
柔軟剤を含むポリアミド層Bの総厚み(例えば、B1又はB1+B2)は、ポリアミド系多層フィルムの総厚みに対して13〜91%程度、好ましくは20〜85%程度である。かかる範囲であれば、フィルムに柔軟性を付与し、屈曲による耐ピンホール製を向上させることができる。
ガスバリア層Cの総厚みは、ポリアミド系多層フィルムの総厚みに対して3〜47%程度である。かかる範囲であれば、フィルムに所望のガスバリア性を付与することができる。
また、最外層である滑剤を含むポリアミド層A1と柔軟剤を含むポリアミド層Bの総厚みとの比(A1/B)が、1/7〜3/1となる範囲に調整するのが好ましい。
上記の層構成のうち、A1/B1/C1/B2/A2で示される層構成が好ましい。また、フィルム作製の金型の簡便性、生産性等の点から、A1及びA2が同一組成であり、B1及びB2が同一組成であるものが好ましい。
なお、上記の各層間には、本発明の効果に悪影響を与えない範囲で、滑剤や柔軟剤を含まない他のポリアミド層等を設けてもよい。この場合も、ポリアミド系多層フィルムの総厚みは、10〜75μm程度とすることが好ましい。
なお、最外層であるポリアミド層Aの表面には、シランカップリング剤等の表面処理を行ってもよい。これにより、フィルム製造過程においてダイスリップ口に付着する異物(メヤニ)の発生を抑制する効果がある。
II.ポリアミド系多層フィルムの製造
本発明のポリアミド系多層フィルムは、例えば、各層の樹脂を最外層に滑剤を含むポリアミド層がくるように、Tダイスより冷却水が循環するチルロール上に共押出せしめ、フラット状の多層フィルムを得る。得られたフィルムは、例えば50〜100℃のロール延伸機により2〜4倍に縦延伸し、更に90〜150℃の雰囲気のテンター延伸機により2〜5倍に横延伸せしめ、引き続いて同テンターにより100〜240℃雰囲気中で熱処理して得ることができる。本発明の多層フィルムは、一軸延伸又は二軸延伸(同時二軸延伸、逐次二軸延伸)しても良く、得られた多層フィルムは、必要ならばその両表面又は片表面にコロナ放電処理を施すこともできる。
III.ポリアミド系多層フィルムの特徴
上記のようにして製造される本発明のポリアミド系多層フィルムは、ガスバリア性はもとより、多湿度条件下でもフィルム表面の滑性が高く、かつ、屈曲による耐ピンホール性に優れているという特徴を有している。
具体的には、ASTM D-1894に準拠したポリアミド系多層フィルムの最外層面同士の動摩擦係数(25℃×80%RH)が0.40以下、更に0.37以下、特に0.25〜0.35程度であるという特徴を有している。滑性(動摩擦係数)の評価は、試験例1に記載の通りである。
加えて、5℃×1,000回のゲルボフレックス試験で発生するピンホールの個数が8個/300cm2以下、更に6個/300cm2以下、特に5個/300cm2以下であるという特徴を有している。屈曲によるピンホールの評価は、試験例1に記載の通りである。
本発明のポリアミド系多層フィルムは、上記の特徴を有しているため、水物系の食品の包装フィルムとして好適に用いられる。具体的には、ポリアミド系多層フィルムの最外層(滑剤を含むポリアミド層)と反対側の面に、シール層をラミネートして、食品包装用フィルムを製造する。これを、最外層を外側に向けて袋状にして、シール層面同士をヒートシールして袋状に加工して食品包装用袋を製造する。
ここで、シール層としては、ヒートシール性を有する樹脂フィルムであればよく、例えば、LLDPE、LDPE、CPP、EVA等のポリオレフィンが挙げられる。ポリアミド系多層フィルムとシール層とをラミネートする方法は、公知の方法を採用することができる。また、ヒートシールする方法も公知の方法を採用することができる。
得られた食品包装用袋に食品を充填して食品包装物を得る。包装する食品は特に限定は無いが、スープ、蒟蒻等の水物系の食品を包装する場合に、本発明の効果が顕著に発揮される。
本発明のポリアミド系多層フィルムは、ガスバリア性に加え、多湿度条件下でもフィルム表面の滑性が高く、かつ、屈曲による耐ピンホール性に優れている。これまで、多湿度条件下でフィルム表面の高い滑性を有し、かつ、優れた耐ピンホール性を兼ね備えたポリアミド系フィルムの報告例はなく、本発明のポリアミド系多層フィルムにより初めて達成することが可能となった。
これにより、自動充填機を用いて、スープ等の水物系の食品を充填する場合でも、フィルムの滑性低下により食品充填工程が停止してしまうことがなく、食品包装の作業効率が大幅に向上することになった。
また、優れた耐ピンホール性を有しているため、流通等の課程で事故発生頻度を低減することが可能となった。
次に本発明を、以下の実施例及び比較例によって更に詳述するが、これに限定されるものではない。
実施例1
ナイロン−6(1022FD20、宇部興産製;不定形シリカ3,600ppm、エチレンビスベヘニルアミド1,600ppm、エチレンビスステアリルアミド600ppmを含有)86重量部、及び芳香族ナイロン(S-6011;三菱ガス化学製)14重量部を配合して、第1層及び第5層を構成する樹脂組成物を製造した。
また、ナイロン−6 81.7重量部、芳香族ナイロン(S-6011;三菱ガス化学製)14重量部、変性エチレン−酢酸ビニル共重合体 3.7重量部、及びエチレン−メタクリル酸共重合物アイオノマー 0.6重量部を配合して、第2層及び第4層を構成する樹脂組成物を製造した。
また、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(DC3203FB、日本合成化学製;エチレン含有量32モル%、けん化度99%)を、第3層を構成する樹脂組成物とした。
各層を構成する樹脂組成物を、第1層/第2層/第3層/第4層/第5層の順序になるように、Tダイスより冷却水が循環するチルロール上に共押出しせしめて、フラット状の5層フィルムを得た。この5層フィルムを、65℃のロール延伸機により3.0倍に縦延伸し、次いで110℃の雰囲気のテンター延伸機により4.0倍に横延伸し、さらに同テンターにより210℃の雰囲気中で熱処理して厚さ15μmのフィルムを得た。各層の厚さは3/3/3/3/3(μm)であった。
実施例2
ナイロン−6(1022FD20、宇部興産製;不定形シリカ3,600ppm、エチレンビスベヘニルアミド1,600ppm、エチレンビスステアリルアミド600ppmを含有)80重量部、及びアモルファスナイロン(X−21;三菱エンジニアリングプラスチック製)20重量部を配合して、第1層及び第5層を構成する樹脂組成物を製造した。
また、ナイロン−6 80重量部、アモルファスナイロン 20重量部、変性エチレン−酢酸ビニル共重合体 3.7重量部、及びエチレン−メタクリル酸共重合物アイオノマー 0.6重量部を配合して、第2層及び第4層を構成する樹脂組成物を製造した。
また、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(DC3203FB、日本合成化学製;エチレン含有量32モル%、けん化度99%)を、第3層を構成する樹脂組成物とした。
各層を構成する樹脂組成物を、第1層/第2層/第3層/第4層/第5層の順序になるように、Tダイスより冷却水が循環するチルロール上に共押出しせしめて、フラット状の5層フィルムを得た。この5層フィルムを、65℃のロール延伸機により3.0倍に縦延伸し、次いで110℃の雰囲気のテンター延伸機により4.0倍に横延伸し、さらに同テンターにより210℃の雰囲気中で熱処理して厚さ20μmのフィルムを得た。各層の厚さは4/4.5/3/4.5/4(μm)であった。
比較例1
ナイロン−6(1022FD20、宇部興産製;不定形シリカ3,600ppm、エチレンビスベヘニルアミド1,600ppm、エチレンビスステアリルアミド600ppmを含有)86重量部、芳香族ナイロン(S-6011;三菱ガス化学製)14重量部、変性エチレン−酢酸ビニル共重合体 3.7重量部、及びエチレン−メタクリル酸共重合物アイオノマー 0.6重量部を配合して、第1層及び第5層を構成する樹脂組成物を製造した。
また、ナイロン−6 81.7重量部、芳香族ナイロン(S-6011;三菱ガス化学製)14重量部、変性エチレン−酢酸ビニル共重合体 3.7重量部、及びエチレン−メタクリル酸共重合物アイオノマー 0.6重量部を配合して、第2層及び第4層を構成する樹脂組成物を製造した。
また、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(DC3203FB、日本合成化学製;エチレン含有量32モル%、けん化度99%)を、第3層を構成する樹脂組成物とした。
各層を構成する樹脂組成物を、第1層/第2層/第3層/第4層/第5層の順序になるように、Tダイスより冷却水が循環するチルロール上に共押出しせしめて、フラット状の5層フィルムを得た。この5層フィルムを、65℃のロール延伸機により3.0倍に縦延伸し、次いで110℃の雰囲気のテンター延伸機により4.0倍に横延伸し、さらに同テンターにより210℃の雰囲気中で熱処理して厚さ20μmのフィルムを得た。各層の厚さは4/4.5/3/4.5/4(μm)であった。
比較例2
ナイロン−6(1022FD20、宇部興産製;不定形シリカ3,600ppm、エチレンビスベヘニルアミド1,600ppm、エチレンビスステアリルアミド600ppmを含有)80重量部、アモルファスナイロン(X−21;三菱エンジニアリングプラスチック製)20重量部、変性エチレン−酢酸ビニル共重合体 3.7重量部、及びエチレン−メタクリル酸共重合物アイオノマー 0.6重量部を配合して、第1層及び第5層を構成する樹脂組成物を製造した。
また、ナイロン−6 80重量部、アモルファスナイロン(X−21;三菱エンジニアリングプラスチック製製)20重量部、変性エチレン−酢酸ビニル共重合体 3.7重量部、及びエチレン−メタクリル酸共重合物アイオノマー 0.6重量部を配合して、第2層及び第4層を構成する樹脂組成物を製造した。
また、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(DC3203FB、日本合成化学製;エチレン含有量32モル%、けん化度99%)を、第3層を構成する樹脂組成物とした。
各層を構成する樹脂組成物を、第1層/第2層/第3層/第4層/第5層の順序になるように、Tダイスより冷却水が循環するチルロール上に共押出しせしめて、フラット状の5層フィルムを得た。この5層フィルムを、65℃のロール延伸機により3.0倍に縦延伸し、次いで110℃の雰囲気のテンター延伸機により4.0倍に横延伸し、さらに同テンターにより210℃の雰囲気中で熱処理して厚さ20μmのフィルムを得た。各層の厚さは4/4.5/3/4.5/4(μm)であった。
比較例3
ナイロン−6(1022FD20、宇部興産製;不定形シリカ3,600ppm、エチレンビスベヘニルアミド1,600ppm、エチレンビスステアリルアミド600ppmを含有)86重量部、及び芳香族ナイロン(S-6011;三菱ガス化学製)14重量部を配合して、第1層及び第5層を構成する樹脂組成物を製造した。
また、ナイロン−6 81.7重量部、及び芳香族ナイロン(S-6011;三菱ガス化学製)14重量部を配合して、第2層及び第4層を構成する樹脂組成物を製造した。
また、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(DC3203FB、日本合成化学製;エチレン含有量32モル%、けん化度99%)を、第3層を構成する樹脂組成物とした。
各層を構成する樹脂組成物を、第1層/第2層/第3層/第4層/第5層の順序になるように、Tダイスより冷却水が循環するチルロール上に共押出しせしめて、フラット状の5層フィルムを得た。この5層フィルムを、65℃のロール延伸機により3.0倍に縦延伸し、次いで110℃の雰囲気のテンター延伸機により4.0倍に横延伸し、さらに同テンターにより210℃の雰囲気中で熱処理して厚さ15μmのフィルムを得た。各層の厚さは3/3/3/3/3(μm)であった。
比較例4
実施例1と同様の原料配合にて、第1層〜第5層を構成する樹脂組成物を製造した。
各層を構成する樹脂組成物を、第1層/第2層/第3層/第4層/第5層の順序になるように、Tダイスより冷却水が循環するチルロール上に共押出しせしめて、フラット状の5層フィルムを得た。この5層フィルムを、65℃のロール延伸機により3.0倍に縦延伸し、次いで110℃の雰囲気のテンター延伸機により4.0倍に横延伸し、さらに同テンターにより210℃の雰囲気中で熱処理して厚さ15μmのフィルムを得た。各層の厚さは0.5/5.5/3/5.5/0.5(μm)であった。
比較例5
実施例1と同様の原料配合にて、第1層〜第5層を構成する樹脂組成物を製造した。
各層を構成する樹脂組成物を、第1層/第2層/第3層/第4層/第5層の順序になるように、Tダイスより冷却水が循環するチルロール上に共押出しせしめて、フラット状の5層フィルムを得た。この5層フィルムを、65℃のロール延伸機により3.0倍に縦延伸し、次いで110℃の雰囲気のテンター延伸機により4.0倍に横延伸し、さらに同テンターにより210℃の雰囲気中で熱処理して厚さ15μmのフィルムを得た。各層の厚さは5/1/3/1/5(μm)であった。
比較例6
ナイロン−6(1022FD17、宇部興産製;不定形シリカ2,000ppm、エチレンビスステアリン酸マグネシウム300ppmを含有)86重量部、及び芳香族ナイロン(S-6011;三菱ガス化学製)14重量部を配合して、第1層及び第5層を構成する樹脂組成物を製造した。
また、ナイロン−6 81.7重量部、芳香族ナイロン(S-6011;三菱ガス化学製)14重量部、変性エチレン−酢酸ビニル共重合体 3.7重量部、及びエチレン−メタクリル酸共重合物アイオノマー 0.6重量部を配合して、第2層及び第4層を構成する樹脂組成物を製造した。
また、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(DC3203FB、日本合成化学製;エチレン含有量32モル%、けん化度99%)を、第3層を構成する樹脂組成物とした。
各層を構成する樹脂組成物を、第1層/第2層/第3層/第4層/第5層の順序になるように、Tダイスより冷却水が循環するチルロール上に共押出しせしめて、フラット状の5層フィルムを得た。この5層フィルムを、65℃のロール延伸機により3.0倍に縦延伸し、次いで110℃の雰囲気のテンター延伸機により4.0倍に横延伸し、さらに同テンターにより210℃の雰囲気中で熱処理して厚さ15μmのフィルムを得た。各層の厚さは3/3/3/3/3(μm)であった。
試験例1
実施例1、2及び比較例1〜6で得られたポリアミド系多層フィルムについて、滑性及び耐ピンホール性の評価を行った。測定方法は、次の通りである。
[滑性(動摩擦係数)の評価]
滑性測定用サンプル(ポリアミド系多層フィルム)を、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE、50μm、東セロ(株)製TUX-FCD)にドライラミネートした。得られた2枚のLLDPEラミネートリアミド系多層フィルムについて、ポリアミド面同士の滑性(動摩擦係数)を、ASTM D-1894に準じて測定した。測定は、25℃×80%RHの条件で行った。3回の試験を行い動摩擦係数を測定し、その平均値を表1に示す。
[屈曲によるピンホールの評価]
屈曲によるピンホール性の評価は、理化学工業(株)製のゲルボフレックステスターを用いて行った。その方法は、折り径150mm、長さ300mmの筒状に製袋したフィルムをゲルボフレックステスターに装着し、捻り角度440°で62.5cmの直線水平運動を5℃条件下で1000回繰り返した後、浸透液を用いてピンホールの数を調べるものである。なお、ピンホール数の測定は、捻り屈曲を行ったサンプル中央部分の300cm2の箇所で行った。3枚のサンプルについてピンホールの数を測定し、その平均値を表1に示す。
Figure 0004614772
表1の比較例1及び2より、最外層(第1層及び第5層)に滑剤と柔軟剤の両方を配合しても、動摩擦係数が大きくなり十分な滑性が得られなかった。
比較例3より、第2層及び第4層に柔軟剤を配合しないと、耐ピンホール性が極端に悪化した。
比較例4より、最外層が薄いと、十分な滑性が得られなかった。
比較例5より、第2層及び第4層が薄いと、十分な耐ピンホール性が得られなかった。
比較例6より、最外層において不定形シリカやビスアミド化合物などの滑剤の量が少ないと十分な滑性が得られなかった。
これに対し、実施例1及び2のポリアミド系多層フィルムは、動摩擦係数が小さく、しかも屈曲によるピンホールの数も少ない。すなわち、多湿条件下でも優れた滑性を有し、かつ、耐ピンホール性が高いことがわかる。

Claims (14)

  1. 下記の層構成を有する共押出で形成されるポリアミド系多層フィルムであって、
    A1/B1/C1/A2、
    A1/B1/C1/B2、
    A1/B1/C1/B2/A2、
    A1/B1/C1/A2/B2、
    A1/C1/B1、
    A1/C1/B1/A2、又は
    A1/C1/A2/B1
    (式中、A1及びA2は同一又は異なってポリアミド層A、B1及びB2は同一又は異なってポリアミド層B、C1はガスバリア層Cを示し、A1は最外層を示す。)
    ポリアミド層Aがポリアミド及び滑剤を含みかつ変性エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−メタクリル酸共重合アイオノマーを含まず、滑剤が平均粒子径2.0〜5.0μmの無機フィラー及びビスアミド化合物であり、ポリアミド層A中の滑剤の含有量がポリアミド100重量部に対し0.05〜2.0重量部であり、最外層であるポリアミド層Aの厚みがポリアミド系多層フィルムの総厚みに対して6〜30%であり、
    ポリアミド層Bがポリアミド及び柔軟剤を含み、ポリアミド層B中の柔軟剤が変性エチレン−酢酸ビニル共重合体及び/又はエチレン−メタクリル酸共重合アイオノマーであり、
    ガスバリア層Cがエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(EVOH)を含み、
    (a)ASTM D-1894に準拠したポリアミド系多層フィルムの最外層面同士の動摩擦係数(25℃×80%RH)が0.40以下であり、かつ
    (b)5℃×1,000回のゲルボフレックス試験で発生するピンホールの個数が8個/300cm2以下である
    ことを特徴とするポリアミド系多層フィルム。
  2. ポリアミド層A中において、ポリアミド100重量部に対し、無機フィラー粒子の配合量が0.05〜0.5重量部、及びビスアミド化合物の配合量が0.05〜0.5重量部である請求項に記載のポリアミド系多層フィルム。
  3. ポリアミド層B中において、柔軟剤が、変性エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−メタクリル酸共重合アイオノマーであり、ポリアミド100重量部に対し、変性エチレン−酢酸ビニル共重合体の配合量が0.5〜10.0重量部、及びエチレン−メタクリル酸共重合アイオノマーの配合量が0.1〜5.0重量部である請求項1又は2に記載のポリアミド系多層フィルム。
  4. フィルムの総厚みが10〜75μmである請求項1〜のいずれかに記載のポリアミド系多層フィルム。
  5. 最外層である滑剤を含むポリアミド層A1の厚みが、ポリアミド系多層フィルムの総厚みに対して10〜25%である請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミド系多層フィルム。
  6. 柔軟剤を含むポリアミド層Bの総厚みが、ポリアミド系多層フィルムの総厚みに対して13〜91%である請求項1〜のいずれかに記載のポリアミド系多層フィルム。
  7. 最外層である滑剤を含むポリアミド層A1と柔軟剤を含むポリアミド層Bの総厚みとの比(A1/B)が、1/7〜3/1である請求項1〜6のいずれかに記載のポリアミド系多層フィルム。
  8. ポリアミド層Aに含まれるポリアミド及びポリアミド層Bに含まれるポリアミドが、同一又は異なって、脂肪族ポリアミドを必須成分とし、必要に応じて芳香族ポリアミド、非晶質ポリアミド及びポリアミドエラストマーからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む請求項1〜7のいずれかに記載のポリアミド系多層フィルム。
  9. 下記の層構成を有する請求項1〜8のいずれかにに記載のポリアミド系多層フィルム:
    A1/B1/C1/B2/A2
    (但し、A1、A2、B1、B2及びC1は前記に同じ)。
  10. 二軸延伸フィルムである請求項1〜のいずれかに記載のポリアミド系多層フィルム。
  11. 請求項1のポリアミド系多層フィルムを製造する方法であって、
    (1)滑剤及びポリアミドを含みかつ変性エチレン−酢酸ビニル共重合体及びエチレン−メタクリル酸共重合アイオノマーを含まないポリアミド層A用樹脂組成物、柔軟剤及びポリアミドを含むポリアミド層B用樹脂組成物、及びガスバリア性を有するガスバリア層C用樹脂組成物を、下記の層構成となるように共押出して、
    A1/B1/C1/A2、
    A1/B1/C1/B2、
    A1/B1/C1/B2/A2、
    A1/B1/C1/A2/B2、
    A1/C1/B1、
    A1/C1/B1/A2、又は
    A1/C1/A2/B1
    (式中、A1及びA2は同一又は異なってポリアミド層A用樹脂組成物、B1及びB2は同一又は異なってポリアミド層B用樹脂組成物、C1はガスバリア層C用樹脂組成物を示し、A1は最外層を示す。)
    最外層であるポリアミド層Aの厚みがポリアミド系多層フィルムの総厚みに対して6〜30%になるように積層し(ここで、滑剤が平均粒子径2.0〜5.0μmの無機フィラー及びビスアミド化合物であり、ポリアミド層A用樹脂組成物中の滑剤の含有量がポリアミド100重量部に対し0.05〜2.0重量部であり、ポリアミド層B用樹脂組成物中の柔軟剤が変性エチレン−酢酸ビニル共重合体及び/又はエチレン−メタクリル酸共重合アイオノマーであり、ガスバリア層C用樹脂組成物がエチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(EVOH)を含む)、
    (2)この積層フィルムを縦横2軸に延伸し、及び
    (3)この延伸された積層フィルムを加熱処理する、
    ことを特徴とするポリアミド系多層フィルムの製造方法。
  12. 請求項1〜10のいずれかに記載のポリアミド系多層フィルムの最外層と反対側の面に、シール層をラミネートしてなる食品包装用フィルム。
  13. 請求項12に記載の食品包装用フィルムの最外層を外側に向けて袋状にして、シール層面同士をヒートシールして得られる食品包装用袋。
  14. 請求項13に記載の食品包装用袋に食品を充填してなる食品包装物。
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