JP5776276B2 - フィルム用ポリアミド樹脂組成物及びそれよりなるポリアミドフィルム - Google Patents
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Description
ポリアミド樹脂からなるフィルムが本来有する諸特性を維持し、
透明性が良好であり、かつそのムラが少なく、
印刷性、柔軟性、耐熱水性に優れ、さらに、
フィルム製膜時の厚みムラやフィルム延伸時の破断の発生が少なく、
連続生産性良好なフィルム用ポリアミド樹脂組成物、
それよりなるポリアミドフィルム、
そのポリアミドフィルムを含む積層フィルム、
その積層フィルムの製造方法、及び
その製造方法により得られる積層二軸延伸フィルムを得ることである。
(1)ポリアミド樹脂と、
ポリアルキレングリコールと脂肪酸との部分エステル化合物(成分A)及び/又は
多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物(成分B)とを配合してなるフィルム用ポリアミド樹脂組成物であって、
前記ポリアミド樹脂が、下記式(1)
[A]−[B]≧0.2×10000/((ηr−(18−x)/10)×M) (1)
([A]は前記ポリアミド樹脂の1g当りの末端アミノ基濃度(μeq/g)(eqは当量)、
[B]は前記ポリアミド樹脂の1g当りの末端カルボキシル基濃度(μeq/g)(eqは当量)、
x=[CH2]/[NHCO]([CH2]は前記ポリアミド樹脂中のメチレン基数、[NHCO]は前記ポリアミド樹脂中のアミド基数を表す)、
ηrは、JIS K−6920において96質量%硫酸中、前記ポリアミド樹脂濃度1質量%、25℃の条件下にて測定した相対粘度で、ηr>(18−x)/10であり、
Mは前記ポリアミド樹脂の構成繰り返し単位1モルあたりの質量を表す)
を満たし、
前記成分Aの数平均分子量が200〜4000であり、
前記ポリアミド樹脂100質量部に対し、
前記成分A及び/又は成分Bが0.01〜0.5質量部
であるフィルム用ポリアミド樹脂組成物。
(2)前記(1)に記載のフィルム用ポリアミド樹脂組成物よりなるポリアミドフィルム。
(3)前記(2)に記載のポリアミドフィルムよりなる層(a)を含む積層フィルム。
(4)前記(3)記載の積層フィルムの製造方法であって、
前記積層フィルムにおいて、
ポリエステル系樹脂よりなる層(d)の間に、
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸でグラフト変性した変性ポリエステル系エラストマーよりなる層(c)が、前記層(a)及び前記層(d)に接触して配置されており
共押出により、前記層(a)、(c)及び(d)が接触した積層未延伸フィルムを成形する工程1、及び、前記工程1で得られた前記積層未延伸フィルムを、縦横各々2.0倍以上延伸する工程2を含むことを特徴とする積層フィルムの製造方法。
(5)前記(4)に記載の積層フィルムの製造方法により得られる積層二軸延伸フィルム。
ポリアミド樹脂からなるフィルムが本来有する諸特性を維持し、
透明性が良好であり、かつそのムラが少なく、
印刷性、柔軟性、耐熱水性に優れ、さらに、
フィルム製膜時の厚みムラやフィルム延伸時の破断の発生が少なく、
連続生産性良好なフィルム用ポリアミド樹脂組成物、
それよりなるポリアミドフィルム、
そのポリアミドフィルムを含む積層フィルム、
その積層フィルムの製造方法、及び
その製造方法により得られる積層二軸延伸フィルムを得ることができる。
特定の末端基濃度を有するポリアミド樹脂に対して、
ポリアルキレングリコール及び/又は多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物を配合したポリアミド樹脂組成物、
それよりなるポリアミドフィルム、
そのポリアミドフィルムを含む積層フィルム、
その積層フィルムの製造方法、及び
その製造方法により得られる積層二軸延伸フィルムが上記課題を解決することを見出し、本発明に到達した。
本発明者らは、特定の末端基濃度を有するポリアミド樹脂(以下、ポリアミド樹脂ともいう)と、
ポリアルキレングリコール及び/又は多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物とを併用することにより驚くべき相乗効果が得られることを見出し、本発明に到達した。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度[A](μeq/ポリマー1g)、末端カルボキシル基濃度[B](μeq/ポリマー1g)とした時、[A]−[B]≧0.2×10000/((ηr−(18−x)/10)×M)、好ましくは、[A]−[B]>0.2×10000/((ηr−(18−x)/10)×M)を満たすポリアミド樹脂100質量部に対し、(A)数平均分子量200〜4,000のポリアルキレングリコール及び/又は(B)多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物成分Bを0.01〜0.5質量部を配合してなる。
(上記の式において、x=[CH2]/[NHCO]であって、[CH2]、[NHCO]は、それぞれポリアミド樹脂中のメチレン基数、アミド基数、ηrは、JIS K−6920により測定した相対粘度(96%硫酸中、ポリマー(即ち、ポリアミド樹脂)濃度1%、25℃)、Mはポリアミド樹脂の構成繰り返し単位あたりの質量を表す。)
ポリアミド樹脂に対して、
ポリアルキレングリコールと脂肪酸との部分エステル化合物(成分A)及び/又は
多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物(成分B)とを配合してなるフィルム用ポリアミド樹脂組成物であって、
前記ポリアミド樹脂が、下記式(1)
[A]−[B]≧0.2×10000/((ηr−(18−x)/10)×M) (1)
([A]は前記ポリアミド樹脂の1g当りの末端アミノ基濃度(μeq/g)(eqは当量)、
[B]は前記ポリアミド樹脂の1g当りの末端カルボキシル基濃度(μeq/g)(eqは当量)、好ましくは、下記式(2)
[A]−[B]>0.2×10000/((ηr−(18−x)/10)×M) (2)
を満たし、
x=[CH2]/[NHCO]([CH2]は前記ポリアミド樹脂中のメチレン基数、[NHCO]は前記ポリアミド樹脂中のアミド基数を表す)、
ηrは、JIS K−6920において96質量%硫酸中、前記ポリアミド樹脂濃度1質量%、25℃の条件下にて測定した相対粘度で、ηr>(18−x)/10であり、
Mは前記ポリアミド樹脂の構成繰り返し単位1モルあたりの質量を表す)
を満たし、
前記成分Aの数平均分子量が200〜4000であり、
前記ポリアミド樹脂100質量部に対し、
前記成分A及び/又は成分Bが0.01〜0.5質量部
である。
尚、ポリアミド樹脂の表記は、JIS K−6920−1のホモポリアミド材料及びコポリアミド材料の化学構造を表す記号に準拠している。
ηr>(18−x)/10であり、2.0〜5.0であることが好ましく、2.5〜4.5であることがより好ましい。
ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度を[A](μeq/ポリマー1g)、即ち、ポリアミド樹脂の1g当りの末端アミノ基濃度を[A](μeq/g)(eqは当量)、
末端カルボキシル基濃度を[B](μeq/ポリマー1g)、即ち、ポリアミド樹脂の1g当りの末端カルボキシル基濃度を[B](μeq/g)(eqは当量)とした時、以下の式(1)
[A]−[B]≧0.2×10000/((ηr−(18−x)/10)×M) (1)
好ましくは、以下の式(2)
[A]−[B]>0.2×10000/((ηr−(18−x)/10)×M) (2)
を満たす。前記の式において、
x=[CH2]/[NHCO]であって、[CH2]、[NHCO]は、それぞれポリアミド樹脂中のメチレン基数、アミド基数、
ηrは、JIS K−6920により測定した相対粘度(96%硫酸中、ポリマー(即ち、ポリアミド樹脂)濃度1%、25℃)、Mはポリアミド樹脂の構成繰り返し単位あたりの質量を表す。
但し、ηr>(18−x)/10である。
[CH2]/[NHCO]=5であり、
ポリアミド樹脂の構成繰り返し単位あたりの質量Mは113である。
[CH2]/[NHCO]=11であり、
ポリアミド樹脂の構成繰り返し単位あたりの質量Mは197である。
[CH2]/[NHCO]=5であり、
ポリアミド樹脂の構成繰り返し単位あたりの質量Mは113である。
重合質量比が80:20であるポリアミド6/12の場合、
[CH2]/[NHCO]=5.75、
ポリアミド樹脂の構成繰り返し単位あたりの質量Mは123.5である。
0.3×10000/((ηr−(18−x)/10)×M)<[A]−[B]
<1.5×10000/((ηr−(18−x)/10)×M)
であることが好ましく、
0.4×10000/((ηr−(18−x)/10)×M)<[A]−[B]
<1.4×10000/((ηr−(18−x)/10)×M)
であることがより好ましい。
末端カルボキシル基濃度[B](μeq/g)は、該ポリアミドをベンジルアルコールに溶解し、0.05Nの水酸化ナトリウム溶液で滴定して測定することができる。
ポリアルキレンポリアミンとしては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミン、或いは、エチレンジアミンと多官能化合物との反応物等が挙げられる。
ポリビニルアミンは、例えば、N−ビニルホルムアミドを重合させてポリ(N−ビニルホルムアミド)とした後、該重合体を塩酸等の酸で部分加水分解又は完全加水分解することにより得られる。
ポリアリルアミンは、一般に、アリルアミンモノマーの塩酸塩を重合させた後、塩酸を除去することにより得られる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、ポリアルキレンイミンが好ましい。
ポリアルキレンイミンは、アルキレンイミンを原料として、これを開環重合させて得られる1級アミン、2級アミン及び3級アミンを含む分岐型ポリアルキレンイミン、あるいはアルキルオキサゾリンを原料とし、これを重合させて得られる1級アミンと2級アミンのみを含む直鎖型ポリアルキレンイミン、三次元状に架橋された構造のいずれであってもよい。さらに、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミン、ジヘキサメチレントリアミン、アミノプロピルエチレンジアミン、ビスアミノプロピルエチレンジアミン等を含むものであってもよい。
ポリアルキレンイミンは、通常、含まれる窒素原子上の活性水素原子の反応性に由来して、第3級アミノ基の他、活性水素原子をもつ第1級アミノ基や第2級アミノ基(イミノ基)を有する。
また、ポリアルキレンイミンの数平均分子量は、100〜20,000であることが好ましく、200〜10,000であることがより好ましく、500〜8,000であることがさらに好ましい。
ポリアミド樹脂の製造において、十分な反応性と所望の粘度を確保する観点から、ポリアミド原料に対して(繰り返し単位を構成するモノマー又はモノマーユニット1モル)、アミン類の添加量は、それぞれ、0.5〜20meq/モルであることが好ましく、1.0〜10meq/モルであることがより好ましい(アミノ基の当量は、カルボキシル基と1:1で反応してアミド基を形成するアミノ基の量を1当量とする。)。
[A]≧1.1×10000/((ηr−(18−x)/10)×M) (3)
を満たすことが好ましく、式(4)
[A]>1.1×10000/((ηr−(18−x)/10)×M) (4)
を満たすことがより好ましく、式(5)
[A]>1.15×10000/((ηr−(18−x)/10)×M) (5)
を満たすことがさらに好ましく、式(6)
1.2×10000/((ηr−(18−x)/10)×M)<[A]
<2.0×10000/((ηr−(18−x)/10)×M) (6)
を満たすことがさらに好ましい。
従って、ポリアミド樹脂製造時の生産性を落とさずに、前記末端基濃度の条件を満たすためには、ジアミン及び/又はポリアミンを重合時に添加することが好ましく、ゲル発生抑制という観点から、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、及びポリアミンよりなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
この場合、ポリアミド樹脂混合物の末端アミノ基濃度、末端基カルボキシル濃度は、混合物を構成するポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度、末端カルボキシル基濃度及び配合割合により決まる。
さらに、ポリアミド樹脂は、オレフィン樹脂と比較して吸湿性が大きく、吸湿したものを使用すると、原料を溶融押出しする際、加水分解が起こるためオリゴマーが発生し、フィルム製造が困難となるので事前に乾燥し、水分含有率が0.1質量%以下とすることが好ましい。
成分Aとしては、炭素数2〜6のアルキレングリコールから誘導される単位から構成される重合体が好ましく、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等が挙げられる。
これらアルキレングリコールから誘導される単位は、ブロック又はランダムに共重合されてもよく、例えば、ポリエチレングリコール/プロピレングリコール重合体、ポリエチレングリコール/テトラメチレングリコール重合体等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
尚、ここでいう「数平均分子量」とは、JIS K−1557−1に準拠した末端OH(水酸基価)定量法によって求めた水酸基価を使用して求めた。具体的には、式[2/水酸基価]で算出した値である。
成分Bを構成する多価アルコールとしては、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−/1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−/1,3−/1,4−/1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,7−ヘプタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリ−(トリメチロールプロパン)、トリメチロールブタン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,4−ブタンテトロール、ソルビタン、イソソルバイド、ソルビトール、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール、キシロース、アラビノース、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、シュクロース、ラフィノース、ゲンチアノース、メレジトース等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラエチレンオキサイド等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらのアルキレンオキサイドは単独でも、ブロック又はランダムに共重合されたものでもよい。
これらの中でも、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、及びこれらの共重合体が好ましい。アルキレンオキサイドの付加モル数は、特に限定されないが、0.1〜60モルであることが好ましく、0.5〜50モルであることがより好ましい。
具体的には、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ベヘニン酸、エルカ酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
即ち、部分エステル化率は、70%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましく、また同様の観点から、5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましく、5〜70%がさらに好ましく、10〜50%がさらに好ましい。
尚、部分エステル化率の%は、モル%である。
水酸基の割合が異なる2種類以上の成分Bの混合物でも構わない。この場合、成分B混合物の水酸基の割合は、混合物を構成する化合物の水酸基の割合及び配合割合により決まる。
例えば、脂肪酸と多価アルコールの混合物にエステル化触媒を添加し、150〜250℃で反応させることによりエステル化合物が得られ、さらにアルカリ触媒等の存在下にアルキレンオキサイドを付加することにより、アルキレンオキサイド付加物が得られる。
また、脂肪酸あるいは多価アルコールにアルキレンオキサイドを付加後、エステル化してもよい。さらに脂肪酸にアルキレンオキサイドを付加することのみで得られる場合もある。
ポリアルキレングリコールと脂肪酸との部分エステル化合物を構成するポリアルキレングリコールとしては、入手の容易さ、安全衛生の観点から、炭素数2〜6のアルキレングリコールの重合体が好ましく、炭素数2〜3のアルキレングリコールの重合体がより好ましく、例えば、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2−又は1,3−プロピレン)グリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等が挙げられる。これらアルキレングリコール構造単位は、ブロック又はランダムに共重合されてもよい。例えば、ポリエチレングリコール/プロピレングリコール重合体、ポリエチレングリコール/テトラメチレングリコール重合体等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
同アルキレングリコールの数平均分子量は、ポリアミドフィルムの柔軟性を向上し、ブリードアウトを抑制し、安定な透明性を確保し、共押出やラミネートで積層フィルムとした際、安定した接着性や印刷性を確保する観点から、500〜10,000であることが好ましく、200〜4,000であることがより好ましく、300〜3,000であることがさらに好ましく、300〜2,000であることがさらに好ましい。
JIS K−1557−1に準拠した末端OH(水酸基価)定量法によって求めた水酸基価を使用し、アルキレングリコールの数平均分子量を求めた。具体的には、式[2/水酸基価]で算出した値である。
ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノパルミテート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリエチレングリコールモノベへネート等のポリオキシエチレン脂肪酸部分エステル、
ポリプロピレングリコールモノラウレート、ポリプロピレングリコールモノパルミテート、ポリプロピレングリコールモノステアレート、ポリプロピレングリコールモノオレエート、ポリプロピレングリコールモノベへネート等のポリオキシプロピレン脂肪酸部分エステル、
ポリオキシエチレングリセリンモノラウレート、ポリオキシエチレングリセリンモノミリステート、ポリオキシエチレングリセリンモノパルミテート、ポリオキシエチレングリセリンモノステアレート、ポリオキシエチレングリセリンモノオレエート、ポリオキシエチレングリセリンモノベへネート、ポリオキシエチレングリセリンジラウレート、ポリオキシエチレングリセリンジミリステート、ポリオキシエチレングリセリンジパルミテート、ポリオキシエチレングリセリンジステアレート、ポリオキシエチレングリセリンジオレエート、ポリオキシエチレングリセリンジベへネート等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル、
ポリオキシプロピレングリセリンモノラウレート、ポリオキシプロピレングリセリンモノミリステート、ポリオキシプロピレングリセリンモノパルミテート、ポリオキシプロピレングリセリンモノステアレート、ポリオキシプロピレングリセリンモノオレエート、ポリオキシプロピレングリセリンモノベへネート等のポリオキシプロピレングリセリン脂肪酸部分エステル、
ポリオキシエチレンペンタエリスリトールモノラウレート、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールモノミリステート、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールモノパルミテート、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールモノステアレート、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールモノオレエート、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールモノベへネート、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールジラウレート、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールジミリステート、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールジパルミテート、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールジステアレート、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールジオレエート、ポリオキシエチレンペンタエリスリトールジベへネート等のポリオキシエチレンペンタエリストール脂肪酸部分エステル、
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノミリステート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノベへネート、ポリオキシエチレンソルビタンジラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンジミリステート、ポリオキシエチレンソルビタンジパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンジステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンジオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンジベへネート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル、
ポリオキシエチレンソルビットモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビットモノミリステート、ポリオキシエチレンソルビットモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビットモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビットモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビットモノベへネート、ポリオキシエチレンソルビットジラウレート、ポリオキシエチレンソルビットジミリステート、ポリオキシエチレンソルビットジパルミテート、ポリオキシエチレンソルビットジステアレート、ポリオキシエチレンソルビットジオレエート、ポリオキシエチレンソルビットジベへネート、ポリオキシエチレンソルビットトリラウレート、ポリオキシエチレンソルビットトリミリステート、ポリオキシエチレンソルビットトリパルミテート、ポリオキシエチレンソルビットトリステアレート、ポリオキシエチレンソルビットトリオレエート、ポリオキシエチレンソルビットトリベへネート、ポリオキシエチレンソルビットテトララウレート、ポリオキシエチレンソルビットテトラミリステート、ポリオキシエチレンソルビットテトラパルミテート、ポリオキシエチレンソルビットテトラステアレート、ポリオキシエチレンソルビットテトラオレエート、ポリオキシエチレンソルビットテトラベへネート等のポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステルが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。尚、上記例示の各ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステルは、それぞれの化学名中、「ソルビット」を「ソルビトール」に置き換えた化学名も使用される。
成分Aと成分Bを併用する場合、得られるフィルムの柔軟性や印刷性等のバランス性能を勘案すると、成分A、成分Bの配合割合は、成分A/成分B=80/20〜20/80(質量比)であることが好ましく、70/30〜30/70(質量比)であることがより好ましく、60/40〜40/60(質量比)であることがさらに好ましい。
これは、特定の末端基濃度を有するポリアミド樹脂と透明性の成分A及び/又は成分Bを併用することにより、フィルムの厚みムラが少ないため、ポリアミドフィルムが水と均一に接触し、効果的に冷却するためだと推定される。
成形に使用する添加剤濃度で成分A、成分Bを予めポリアミド樹脂に練り込み使用する練り込み法、成形時に、ポリアミド樹脂に対して、所定量の成分A、成分Bを添加するドライブレンド法、
アルコール等の有機溶剤に成分A、成分Bを溶解した溶液をポリアミド樹脂原料にスプレー法や浸漬法で付着させ、その後有機溶剤を蒸発させる方法等が挙げられる。
また、成分Aや成分Bは、室温で固体の場合があるので、ポリアミド樹脂原料を予め成分Aや成分Bの融点以上に加熱しておき、この状態の原料に固体のまま成分A、成分Bを加えて原料の熱で融解し、そのまま均一に付着させる方法も可能である。
成分A、成分Bのポリアミド樹脂への配合は、同時に行なっても、別々に異なる方法で行なってもどちらでも構わない。
ヒドロキシ脂肪酸マグネシウム塩は、ヒドロキシ飽和又は不飽和脂肪酸カルボン酸とマグネシウムの塩であり、具体的には、ヒドロキシラウリン酸マグネシウム塩、ヒドロキシミリスチン酸マグネシウム塩、ヒドロキシパルミチン酸マグネシウム塩、ヒドロキシステアリン酸マグネシウム塩、ヒドロキシベヘン酸マグネシウム塩等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
ビスアミド化合物としては、N,N’−メチレンビスステアリン酸アミド、N,N’−エチレンビスステアリン酸アミド、N,N’−エチレンビスベヘン酸アミド、N,N’−ジオクタデシルアジピン酸アミド等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
[A]−[B]>0.2×10000/((ηr−(18−x)/10)×M)
を満たすポリアミド樹脂、成分A及び/又は成分Bからなるポリアミド樹脂組成物(以下、原料ポリアミド樹脂組成物と称する場合がある。)を使用して、公知のフィルム製造方法を適用し、製膜することによりポリアミドフィルムが得られる。
例えば、原料ポリアミド樹脂組成物を押出機で溶融混練し、T−ダイあるいはコートハンガーダイによりフラットフィルム状に押出し、キャスティングロール面上にキャスティング、冷却してフィルムを製造するキャスティング法、リング状ダイにより筒状に溶融押出したチューブ状物を空冷あるいは水冷してフィルムを製造するチューブラー法等がある。
製造されたフィルムは実質的に無配向の未延伸フィルムとして使用できるが、得られるフィルムの強度及びガスバリア性の観点から二軸延伸フィルムであることが好ましい。
熱処理することにより常温における寸法安定性を付与することができる。
この場合の熱処理温度は、110℃を下限として該原料ポリアミド樹脂組成物の融点より5℃低い温度を上限とする範囲を選択するのがよく、これにより常温寸法安定性のよい、任意の熱収縮率をもった延伸フィルムを得ることができる。
延伸フィルムは、熱収縮性が乏しいか、あるいは実質的に有していないものが望ましい。よって、延伸後に行なわれる熱処理条件において、熱処理温度は150℃以上であることが好ましく、180〜220℃であることがより好ましく、緩和率は、幅方向に20%以内であることが好ましく、3〜10%であることがより好ましい。
熱処理操作により、充分に熱固定された延伸フィルムは、常法に従い、冷却して巻き取ることができる。
本発明においては、前記フィルム用ポリアミド樹脂組成物よりなる層(a)、即ち、ポリアミドフィルムからなる層(a)を含む積層フィルム(以下、積層フィルムともいう。)が好ましい。具体的には層(a)の少なくとも片面に熱可塑性樹脂層が積層された積層フィルムである。
押出ラミネート法は、本発明のポリアミドフィルムと熱可塑性樹脂等の基材に、それぞれアンカーコート剤を塗布し、乾燥後、その間に熱可塑性樹脂等を溶融押出しながらロール間で冷却し圧力をかけて圧着することによりラミネートフィルムを得る方法である。
ドライラミネート法は、有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステル系化合物、ポリウレタン化合物等の公知の接着剤を本発明のポリアミドフィルムに塗布し、乾燥後、熱可塑性樹脂等の基材と張り合わせることによりラミネートフィルムを得る方法である。ラミネート後のフィルムは、エージングすることで、接着強度を上げることができる。
ラミネートする際には、ポリアミドフィルムの片面又は両面をコロナ処理して使用することが好ましい。
積層フィルムにおいては、経済性の観点から、共押出法により製造されることが好ましい。
本発明のポリアミド樹脂を積層することも可能であり、フィルム強度のバランス、ガスバリア性の観点からポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)やエチレン/酢酸ビニル共重合体鹸化物(EVOH)、加熱滅菌処理の観点からポリエチレンテレフタレート(PET)をはじめとするポリエステル系樹脂を積層することが好ましい。
シーラント層として使用される材料は、熱融着できる樹脂であればよく、一般にポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられ、ポリオレフィン系樹脂を使用することが好ましい。
具体的には、ポリプロピレン(PP)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン/メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン/アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン/アクリル酸エチル共重合体(EEA)、アイオノマー樹脂、アモルファスポリエステル(A−PET)等が好ましいものとして挙げられる。
特に、ガスバリアや水蒸気バリア性を向上させるために、金属及び/又は金属化合物を蒸着することも可能である。蒸着する材料としては、Siや、Al、Ti、Zn、Zr、Mg、Sn、Cu、Fe等の金属や、これらの酸前記化物、窒化物、フッ素物、硫化物等が挙げられる。
具体的には、SiOx(x=1.0〜2.0)、アルミナ、マグネシア、硫化亜鉛、チタニア、ジルコニア、酸化セリウム等の無機酸化物や、HMDSO(ヘキサメチルジシロキサン)等の有機化合物、シランガスのような無機ガスをキャリアガス及び酸化させるための酸素と混合後、反応により得られる酸化珪素等が挙げられる。
蒸着簿膜の作製方法としては、公知の方法、物理的堆積法(PVD法)として真空蒸着法、EB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、化学的堆積法(CVD)法としてプラズマCVD法や化学反応法等を用いることができる。
これらの中でも、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールから誘導される単位がより好ましい。
これらの中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートがより好ましく、経済性や加熱滅菌に優れていることからポリエチレンテレフタレートがさらに好ましい。
副生する低分子化合物は連続的に反応系外へ除去する。反応は、常圧、減圧、加圧のいずれの条件下でも行うことができるが、減圧して反応させるのが好ましい。次いで所望により、前記ポリマーをチップ又はペレット状にするか、ブロック状にして粉砕して用いる。必要に応じて、常法に従い、固相重合しても良い。
使用する触媒として、スズ、アンチモン、コバルト、マンガン、カルシウム、ゲルマニウム、ニッケル、亜鉛、鉛、鉄、マグネシウム及び/又はチタン化合物等が挙げられる。触媒の添加量は、原料成分に基づいて、5〜100mmol%であることが好ましく、10〜50mmol%であることがより好ましい。さらに、カルボキシル末端基数等の品質をコントロールするため、アルカリ金属を添加しても良い。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムが好ましく、これらの中でもカリウムが好ましい。アルカリ金属の添加量は、原料成分に基づいて、0.1〜20mmol%であることが好ましい。
分子量の調整や反応の制御を目的として、モノカルボン酸、モノアルコール等を必要により使用してもよい。モノカルボン酸としては、安息香酸、パラオキシ安息香酸、トルエンカルボン酸、サリチル酸、酢酸、プロピオン酸、ステアリン酸等が挙げられる。モノアルコールとしては、ベンジルアルコール、トルエン−4−メタノール、シクロヘキサンメタノール等が挙げられる。尚、パラオキシ安息香酸はp−オキシ安息香酸とも記載される。
例えば、ハードセグメントとして芳香族ポリエステル、ソフトセグメントとしてポリアルキレンエーテルグリコールや脂肪族ポリエステルからなるものが好ましい。
特に、ソフトセグメントとしてポリアルキレンエーテルグリコールを使用したポリエステルポリエーテルブロック共重合体が好ましい。
ポリアルキレンエーテルグリコール成分の含有量は、ポリエステル系樹脂に対する接着性と積層フィルムの強度を安定に確保し、ポリアミド樹脂組成物に対する接着性と積層フィルムの柔軟性を安定に確保する観点から、生成するブロック共重合体に対して、5〜90質量%であることが好ましく、30〜80質量%であることがより好ましく、55〜80質量%であることがさらに好ましい。
ポリアルキレンエーテルグリコール成分の含有量はH1−NMRを使用し、その水素原子の化学シフトとその含有量に基づいて算出することができる。
これらの中でも、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールが好ましく、1,4−ブタンジオールがより好ましい。
これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。芳香族ジカルボン酸及び/又は脂環式ジカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、上記ジカルボン酸のジメチルエステル、ジエチルエステル等のアルキルエステルが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
これらの中でも、テレフタル酸ジメチル、2,6−ナフタレン酸ジメチルが好ましい。
数平均分子量とはゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定されたものを言う。
GPCのキャリブレーションには、英国POLYMERLABORATORIES社のPOLYTETRAHYDROFURANキャリブレーションキットを使用すればよい。
上記のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸は、変性すべきポリアルキレンエーテルグリコールセグメントを含有する共重合体や変性条件に応じて適宜選択することができ、1種又は2種以上を用いることができる。
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸は有機溶剤等に溶解して使用することもできる。
そして、この変性反応は、活性水素化合物の存在下に行うことにより、高分子量化反応と同時に行うこともできる。
変性に際してはラジカル発生剤を使用するのが好ましい。
この変性反応においては、ポリエステル系エラストマーにα,β−エチレン性不飽和カルボン酸やその誘導体が付加するグラフト反応が主として起こるが、分解反応も起こる。その結果、変性ポリエステル系エラストマーは、分子量が低下して溶融粘度が低くなる。また、上記の変性反応においては、通常、他の反応として、エステル交換反応等も起こるものと考えられ、得られる反応物は、一般的には、未反応原料等を含む組成物であるが、変性ポリエステル系エラストマー単独であってもよい。反応物が組成物の場合、変性ポリエステル系エラストマーの含有率は、10質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましい。
ラジカル発生剤は有機溶剤等に溶解して使用することもできる。
溶融混練反応法による場合は、前記の各成分と、必要に応じてその他添加剤を所定の配合割合にて、均一に混合した後に溶融混練すればよい。混合には、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等を用いて均一に混合した後、溶融混練には、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、一軸又は二軸等の多軸混練押出機等が使用される。
また、後述の活性水素化合物とその他の任意成分を途中から供給して溶融混練してもよい。溶融混練温度は、樹脂が熱劣化しないように、100〜300℃であることが好ましく、120〜280℃であることがより好ましく、150〜250℃の範囲であることがさらに好ましい。
さらに、変性ポリエステル系エラストマーのMFR(230℃、2.16kg荷重)は、溶融張力の低下を抑制して成形時のドローダウン等の問題の発生を抑止し、流動性の低下を抑制して安定した成形性を確保する観点から、1〜300g/10分であることが好ましく、3〜150g/10分であることがより好ましく、5〜100g/10分であることがさらに好ましい。
グラフト量(質量%)=100×(C÷3×98)/{(A×148÷4)+(B×72÷4)+(C÷3×98)}
(但し、式中のAは7.8〜8.4ppmの積分値、Bは1.2〜2.2ppmの積分値、Cは2.4〜2.9ppmの積分値である。)
H1−NMR測定に使用する機器としては、日本電子社製GSX−400を用いることができる。
具体的には、樹脂成分、ゴム成分、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、ガラス繊維等のフィラー、パラフィンオイル等の可塑剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、架橋剤、架橋助剤、着色剤、難燃剤、分散剤、帯電防止剤、防菌剤、蛍光増白剤等の各種添加物を添加することができる。
本発明のポリアミド樹脂は、積層フィルムにおける変性ポリエステルエラストマーとポリアミド樹脂との安定した耐層間剥離性、特に、加熱滅菌や加熱処理等後の安定した層間剥離強度を確保する観点から、
[A]−[B]>0.2×10000/((ηr−(18−x)/10)×M)
を満たす。
また、積層フィルムの場合、該原料ポリアミド樹脂組成物層の厚みとして、2〜100μmであることが好ましく、3〜80μmであることがより好ましく、5〜60μmであることがさらに好ましい。
特に、特定の末端基濃度を有するポリアミド樹脂と成分A及び/又は成分Bを併用することにより、フィルムの透明性、印刷性を維持しつつ、フィルムの厚みムラが少なく、柔軟性、耐熱水性、延伸時の破断防止性に優れる。
従って、透明性が良好であり、かつそのムラが少なく、印刷性、柔軟性、耐熱水性が優れ、厚みムラが少ないフィルムを、延伸時の破断といった製膜操業時のトラブルを最小限に抑え、長時間安定して生産することが可能となる。
さらに、本発明の積層フィルムにおいては、特定の末端基濃度を有するフィルム用ポリアミド樹脂組成物よりなる層とポリエステル系樹脂よりなる層の間に、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸でグラフト変性した変性ポリエステル系エラストマーよりなる層が配置されることにより、ポリアミド樹脂とα,β−エチレン性不飽和カルボン酸でグラフト変性した変性ポリエステル系エラストマーの耐層間剥離性に優れ、特に、層間剥離強度の耐久性が良好な積層フィルムを提供できる。
ポリアミド樹脂特性の測定法、フィルムの各種評価方法、使用した原材料を次に示す。
JIS K−6920に準じて、96%の硫酸中、ポリアミド濃度1%、温度25℃の条件下で測定した。
三つ口ナシ型フラスコに所定量のポリアミド試料を入れ、ベンジルアルコール40mLを加えた後、窒素気流下、180℃に設定したオイルバスに浸漬する。上部に取り付けた攪拌モーターにより攪拌溶解し、指示薬にフェノールフタレインを用いてN/20(0.05N)の水酸化ナトリウム溶液で滴定を行い、末端カルボキシル基濃度を求めた。
活栓付三角フラスコに所定量のポリアミド試料を入れ、あらかじめ調整しておいた溶媒フェノール/メタノール(体積比9/1)の40mLを加えた後、マグネットスターラーで攪拌溶解し、指示薬にチモールブルーを用いてN/20(0.05N)の塩酸で滴定を行い、末端アミノ基濃度を求めた。
ASTM D−1003に準じ、直読ヘイズコンピューター(スガ試験機(株)製、HGM−2DP)を使用して、ヘイズを測定した。ヘイズ値が2.0%以下の場合、フィルムの透明性に優れていると判断した。
該原料樹脂組成物を使用して、円形ダイを備えた40mmφの押出機において、押出温度260℃にて溶融させ、透明の不均一性が発生しやすいように、35℃の水により冷却しながら、引き取りを行い、ブローアップ比1.0の条件にて未延伸フィルムを連続して製造した。製膜開始1時間後の未延伸フィルムをサンプリングし、端部を切り開き、ASTM D−1003に準じ、製直読ヘイズコンピューター(スガ試験機(株)製、HGM−2DP)を使用して、ヘイズを測定した。測定は20点行い、標準偏差を計算した。
標準偏差が2.0%以下の場合、透明性のムラが少ないと判断した。
濡れ指数をJIS K−6768に準拠して測定した。
濡れ指数が、36mN/m以上の場合、印刷性に優れていると判断した。
自動動的粘弾性測定装置(レオメトリック・サイエンティフィック社製、ARES−2000)を使用し、フィルムの固さを室温付近(23℃)の弾性率(E’)を評価した。
尚、E’の値が低いほど柔軟性が高いことを示す。
該原料樹脂組成物を使用して、円形ダイを備えた40mmφの押出機において、押出温度260℃にて溶融させ、20℃の水により冷却しながら、引き取りを行い、ブローアップ比1.0の条件にて未延伸フィルムを連続して製造した。
製膜開始1時間後及び8時間後の未延伸フィルムをサンプリングし、端部を切り開き、フィルム厚み連続測定器(アンリツ電気(株)製、検知器型番:K−306C、フィルム送り装置及び記録計型番:K−310C)により、走行速度を25mm/秒で幅方向(フィルム長314mm)のフィルム厚みを計測し、下式から厚みムラを算出した。
厚みムラ(%)
=[(フィルム厚みの最大値−フィルム厚みの最小値)/厚みの平均値]×100
製膜開始1時間後のフィルム厚みムラと8時間後のフィルムの厚みムラの経時変化率(偏肉度の経時変化率)を下式から算出し、偏肉度の経時変化率が15%以内の場合、厚みムラが少ないと判断した。
偏肉度の経時変化率(%)
=[(製膜開始8時間後のフィルム厚みムラ−製膜開始1時間後のフィルム厚みムラ)/製膜開始1時間後のフィルム厚みムラ]×100
該原料樹脂組成物を使用して、円形ダイを備えた40mmφの押出機において、押出温度260℃にて溶融させ、20℃の水により冷却しながら、引き取りを行い、未延伸フィルムを連続して製造した。
引き続き、気体の圧力でインフレーション式に縦横同時に延伸するチューブラー延伸法にて、延伸温度180℃、延伸倍率(縦、横ともに)3.0倍にて延伸を行った。
24時間運転を継続し、延伸工程における破断回数を記録した。
24時間以内の破断回数が3回以下の場合、連続生産性(延伸性)に優れていると判断した。
ポリアミド二軸延伸フィルム(縦300mm、横400mm)を金属製の枠に固定した後、レトルト食品用オートクレーブ(トミー精工(株)製、SR−240)に入れ、135℃の条件で30分間処理した。
レトルト処理前後のフィルムの引張強度を、ASTM D−882に準じ、万能材料試験機(オリエンテック社製、テンシロンUTM III−200)にて測定した。
レトルト処理前後でのフィルムの引張強度の保持率を以下の式にて算出した。
引張強度保持率
=[(レトルト処理後引張強度)/(レトルト処理前引張強度)]×100 (%)
引張強度の保持率の値が高いほどレトルト処理による影響が小さく、耐熱水性に優れていると判断した。
幅15mmのフィルム端部を層間にて剥離した後、20℃、相対湿度(RH)65%雰囲気中で、万能材料試験機(オリエンテック社製、テンシロンUTM III−200)にて、引張速度200mm/分の条件にてT剥離試験を行い、層間剥離強度を測定した。層間剥離強度が1.8N/cm以上であると、耐層間剥離性に優れていると判断した。
各例に記載の方法により得られた積層フィルム(縦200mm、横200mm)を枠に固定した状態で130℃に加熱した水中に30分間浸漬してボイル処理を行なった。
処理後、フィルムを取り出し、上記の方法にてレトルト処理後の積層フィルムの層間剥離強度を測定した。レトルト処理後の積層フィルムの層間剥離強度が1.0N/cm以上であると、高温高湿雰囲気下における層間剥離強度の耐久性に優れていると判断した。
(成分A)
(A−1)ポリエチレングリコール(日本油脂(株)製、PEG 400)
(A−2)ポリエチレングリコール(日本油脂(株)製、PEG 1,000)
(A−3)ポリエチレングリコール(日本油脂(株)製、PEG 20,000)
尚、PEG 400、PEG 1,000及びPEG 20,000は、それぞれ数平均分子量400、1,000及び20,000のPEGを表す。
(B−1)ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(日本油脂(株)製、ノニオン LT−221、エチレンオキサイドの付加モル数:20モル、エステル化率25%)
(B−2)ポリエチレングリコールモノステアレート(日本油脂(株)製、ノニオン S−15.4、ポリエチレングリコールの数平均分子量:1,410、エステル化率50%)
(B−3)ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート(花王(株)製、レオドール TW−S320V、エチレンオキサイドの付加モル数:20モル、エステル化率75%)
(B−4)ポリエチレングリコールジステアレート(花王(株)製、エマノーン 3299V、ポリエチレングリコールの数平均分子量:6,160、エステル化率100%)
(C−1)変性ポリエステル系エラストマー
ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、数平均分子量2,000のポリテトラメチレンエーテルグリコールをソフトセグメントとする、ポリエステルポリエーテルブロック共重合体であって、該共重合体中のポリテトラメチレンエーテルグリコールセグメントの含有量が65質量%のポリエステルエラストマー100質量部と、
無水マレイン酸(和光純薬工業(株)製)を0.5質量部、及び、
ラジカル発生剤として2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(日本油脂(株)製、パーヘキサ25B)0.05質量部
をあらかじめ混合し、二軸溶融混練機((株)日本製鋼所製 型式:TEX44)に供給し、シリンダー温度190〜230℃で溶融混練し、溶融樹脂をストランド状に押出した後、これを水槽に導入し、冷却、カット、真空乾燥して、変性ポリエステルエラストマーのペレットを得た(以下、この変性ポリエステルエラストマーを(C−1)という。)。
該変性ポリエステルエラストマーにおいて、赤外吸収スペクトルにより測定された変性量は0.34であった。
(D−1)ポリエチレンテレフタレート((株)ベルポリエステルプロダクツ製、ベルペット−EFG6C)
(ポリアミド6の製造)
内容積70リットルの攪拌機付き耐圧力反応容器に
カプロラクタム10kg、
水1kg、
イソホロンジアミン(5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン)37.6g(1/400 eq/molカプロラクタム)
を入れ、100℃に加熱し、この温度で反応系内が均一な状態になるように攪拌した。
引き続き、さらに温度を260℃まで昇温させ、2.5MPaの圧力下で1時間攪拌した。
その後、放圧して水分を反応容器から揮散させながら常圧下、260℃で2時間重合反応を行い、さらに260℃、53kPaの減圧下で4時間重合反応させた。
反応終了後、反応容器の下部ノズルからストランド状に取り出した反応物を水槽に導入して冷却し、カッティングして、シリカが均一に分散したポリアミド樹脂ペレットを得た。
そこで、このペレットを熱水中に浸漬し、未反応モノマーを抽出して除去した後、減圧乾燥し、ポリアミド樹脂(PA−1)を得た。
(PA−1)の
相対粘度ηrは3.36、
末端アミノ基濃度[A]=55μeq/g、
カルボキシル基濃度[B]=35μeq/g、
[A]−[B]=20
>0.2×10000/((ηr−(18−x)/10)×M)
=0.2×10000/((3.36−(18−5)/10)×113)
=8.6μeq/gを満たす。また、
[A]=55
>1.1×10000/((ηr−(18−x)/10)×M)
=1.1×10000/((3.36−(18−5)/10)×113)
=47μeq/gであった。
次に、円筒型混合機を用いて、該ポリアミド樹脂に対して、表1に示す量の(A−1)とエチレンビスステアリルアミド(N,N’−エチレンビスステアリン酸アミド)0.08質量部を配合し、同組成物を使用して、円形ダイを備えた40mmφ一軸フルフライトスクリューの押出機にて、押出温度260℃にて溶融させ、20℃の水により冷却しながら、引き取りを行い、実質的に無定形で配向していないチューブラー状のポリアミド未延伸フィルムを得た。
引き続き、気体の圧力でインフレーション式に縦横同時に延伸するチューブラー延伸法にて、延伸温度180℃、延伸倍率(縦、横ともに)3.0倍にて延伸を行った。
その後、チューブ状フィルムの端を切り開き、フラット状のフィルムをテンター内に導入し、幅方向に緩和処理を行ないつつ、210℃にて熱固定処理を行なった。
フィルム両端をクリップから解放し、耳部をトリミングして巻き取り、厚み15μmの二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。
実施例1において、
イソホロンジアミン37.6g(1/400 eq/molカプロラクタム)を
ヘキサメチレンジアミン51.3g(1/200 eq/molカプロラクタム)に変更した以外は実施例1と同様の方法にてポリアミド樹脂(PA−2)を得た。
(PA−2)の
相対粘度ηrは3.19、
末端アミノ基濃度[A]=68μeq/g、
末端カルボキシル基濃度[B]=27μeq/g、
[A]−[B]=41
>0.2×10000/((ηr−(18−x)/10)×M)
=0.2×10000/((3.19−(18−5)/10)×113)
=9.4μeq/gを満たす。また、
[A]=68
>1.1×10000/((ηr−(18−x)/10)×M)
=1.1×10000/((3.19−(18−5)/10)×113)
=52μeq/gであった。
引き続き、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。
実施例1において、
イソホロンジアミン37.6g(1/400 eq/molカプロラクタム)を
2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミンと2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミンとの混合物46.6g(1/300 eq/molカプロラクタム)に変更した以外は実施例1と同様の方法にてポリアミド樹脂(PA−3)を得た。
(PA−3)の
相対粘度ηrは3.60、
末端アミノ基濃度[A]=52μeq/g、
末端カルボキシル基濃度[B]=25μeq/g、
[A]−[B]=27
>0.2×10000/((ηr−(18−x)/10)×M)
=0.2×10000/((3.60−(18−5)/10)×113)
=7.7μeq/gを満たす。また、
[A]=52
>1.1×10000/((ηr−(18−x)/10)×M)
=1.1×10000/((3.60−(18−5)/10)×113)
=42μeq/gであった。
引き続き、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。
実施例1において、(A−1)の配合量を表1に示す量に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。
実施例1において、(A−1)を(A−2)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。
実施例1において、(A−1)を(B−1)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。
実施例7において、(B−1)を(B−2)に変更した以外は、実施例7と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。
実施例1において、(A−1)とともに、(B−1)を表1に示す割合にて配合した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。
実施例1の(ポリアミド6の製造)により得られた
ポリアミド樹脂(PA−1)100質量部に対して、
エチレンビスステアリルアミド0.08質量部を、
円筒型混合機を用いて配合した組成物と(C−1)、(D−1)とを使用して、円形5層ダイを備えた40mmφの押出機にて、(PA−1)を押出温度240℃、(C−1)を押出温度210℃、(D−1)を押出温度270℃にて別々に溶融させ、20℃の水により冷却しながら、引き取りを行い、
ポリアミド樹脂組成物からなる層を(a)層、
(C)変性ポリエステル系エラストマーからなる層を(c)層、
(D)ポリエステル系樹脂からなる層を(d)層としたとき、
層構成が(d)/(c)/(a)/(c)/(d)の実質的に無定形で配向していない積層未延伸フィルムを得た。
引き続き、気体の圧力でインフレーション式に縦横同時に延伸するチューブラー延伸法にて、延伸温度150℃、延伸倍率(縦、横ともに)3.0倍にて延伸を行った。
その後、チューブ状フィルムの端を切り開き、フラット状のフィルムをテンター内に導入し、幅方向に緩和処理を行ないつつ、210℃にて熱固定処理を行なった。
フィルム両端をクリップから解放し、耳部をトリミングして巻き取り、
(d)/(c)/(a)/(c)/(d)=3/2/5/2/3μm
の積層二軸延伸フィルムを得た。
実施例1の(ポリアミド6の製造)において、
イソホロンジアミン37.6g(1/400 eq/molカプロラクタム)を使用せず、
減圧を53kPaから93kPaに変えた以外は、実施例1と同様の方法にてポリアミド樹脂(PA−4)を得た。
(PA−4)の
相対粘度ηrは3.30、
末端アミノ基濃度[A]=42μeq/g、
末端カルボキシル基濃度[B]=43μeq/g、
[A]−[B]=−1
<0.2×10000/((ηr−(18−x)/10)×M)
=0.2×10000/((3.30−(18−5)/10)×113)
=8.6μeq/gであった。また、
[A]=41
<1.1×10000/((ηr−(18−x)/10)×M)
=1.1×10000/((3.30−(18−5)/10)×113)
=49μeq/gであった。
引き続き、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。
実施例1の(ポリアミド6の製造)において、
イソホロンジアミン37.6g(1/400 eq/molカプロラクタム)を
酢酸15.2g(1/700 eq/molカプロラクタム)に変えた以外は、実施例1と同様の方法にてポリアミド樹脂(PA−5)を得た。
(PA−5)の
相対粘度ηrは3.45、
末端アミノ基濃度[A]=31μeq/g、
末端カルボキシル基濃度[B]=41μeq/g、
[A]−[B]=−10
<0.2×10000/((ηr−(18−x)/10)×M)
=0.2×10000/((3.45−(18−5)/10)×113)
=8.2μeq/gであった。また、
[A]=31
<1.1×10000/((ηr−(18−x)/10)×M)
=1.1×10000/((3.45−(18−5)/10)×113)
=45μeq/gであった。
引き続き、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。
実施例1において、(A−1)を使用しない以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。
実施例1において、(A−1)の配合量を表1に示す量に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。
実施例9において、(A−1)と(B−1)の配合量を表1に示す量に変更した以外は、実施例9と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。
実施例1において、(A−1)を(A−3)に変更した
以外は、実施例1と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。
実施例7において、(B−1)を(B−3)に変更した以外は、実施例7と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。
実施例7において、(B−1)を(B−4)に変更した以外は、実施例7と同様の方法にて二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。
実施例10において、(PA−1)を(PA−5)に変更した以外は、実施例10と同様の方法にて積層二軸延伸フィルムを得た。
実施例1の(ポリアミド6の製造)において、
イソホロンジアミン37.6g(1/400 eq/molカプロラクタム)を
酢酸20.3g(1/525 eq/molカプロラクタム)、
オクタデシルアミン92.0g(1/520 eq/molカプロラクタム)
に変えた以外は、実施例1と同様の方法にてポリアミド樹脂(PA−6)を得た。
(PA−6)の
相対粘度ηrは3.05、
末端アミノ基濃度[A]=35μeq/g、
末端カルボキシル基濃度[B]=35μeq/g、
[A]−[B]=0
<0.2×10000/((ηr−(18−x)/10)×M)
=0.2×10000/((3.05−(18−5)/10)×113)
=10.1μeq/gであった。また、
[A]=35
<1.1×10000/((ηr−(18−x)/10)×M)
=1.1×10000/((3.05−(18−5)/10)×113)
=56μeq/gであった。
実施例10において、(PA−1)を(PA−6)に変更した以外は、実施例10と同様の方法にて積層二軸延伸フィルムを得た。
本発明に規定の末端基濃度の条件を満たさないポリアミドを使用した比較例1、2は、
透明性のムラが大きく、透明性の均一性や耐熱水性に劣っていた。
成分Aを使用しない比較例3は、
フィルムの厚みムラが大きく、延伸破断回数が多く、連続生産性、柔軟性に劣っていた。
成分Aの配合量が規定範囲未満である比較例4は、
フィルムの厚みムラが大きく、延伸破断回数が多く、連続生産性、柔軟性に劣っていた。
成分の配合量が規定範囲を超える比較例5は、
気泡が発生し、延伸操作が不可能であった。
また、成分A及び成分Bを併用しても、成分A及び成分Bの配合量が規定範囲未満である比較例6は、
フィルムの厚みムラが大きく、延伸破断回数が多く、連続生産性や柔軟性に劣っていた。
本発明に規定以外の数平均分子量を有する成分Aを使用した比較例7は柔軟性に劣り、また、フィルムの厚みムラが大きく、延伸破断回数が多く、連続生産性に劣っていた。
本発明に規定以外の成分Bを使用した比較例8、9は印刷性が悪く、延伸破断回数が多く、連続生産性に劣っていた。
表3から明らかにように、
本発明に規定の末端基濃度の条件を満たさないポリアミドを使用した比較例10、11の積層二軸延伸フィルムは、初期の層間剥離強度は高いレベルにあるものの、レトルト処理後の層間剥離強度に劣り、層間剥離性の耐久性に優れていなかった。
一方、本発明に規定されているポリアミド樹脂組成物より得られる実施例1から9のフィルムは、透明性が良好であり、かつそのムラが少なく、印刷性、柔軟性、耐熱水性に優れ、フィルム製膜時の厚みムラや延伸破断回数が少なく、長時間の連続生産性に優れており、本発明に規定されているポリアミド樹脂組成物より得られる実施例10の積層二軸フィルムは、層間剥離強度やその耐久性に優れていることは明らかである。
Claims (10)
- ポリアミド樹脂に対して、
ポリアルキレングリコール(成分A)及び/又は
多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と脂肪酸との部分エステル化合物であってエステル化率が70%以下である部分エステル化合物(成分B)とを配合してなるフィルム用ポリアミド樹脂組成物であって、
前記ポリアミド樹脂が、下記式(1)
[A]−[B]≧20 (1)
([A]は前記ポリアミド樹脂の1g当りの末端アミノ基濃度(μeq/g)(eqは当量)、[B]は前記ポリアミド樹脂の1g当りの末端カルボキシル基濃度(μeq/g)(eqは当量)を表す)
を満たし、
前記成分Aの数平均分子量が200〜4000であり、
前記ポリアミド樹脂100質量部に対し、
前記成分A及び/又は成分Bが0.01〜0.5質量部
であるフィルム用ポリアミド樹脂組成物。 - 前記ポリアミド樹脂が、
カプロラクタムから誘導される単位、
ヘキサメチレンアジパミドから誘導される単位、及び、
ドデカンラクタムから誘導される単位からなる群より選ばれる少なくとも1種を単位とする単独重合体あるいは共重合体である請求項1に記載のフィルム用ポリアミド樹脂組成物。 - 前記ポリアミド樹脂が、ポリアミド6、ポリアミド6/66、ポリアミド6/12、及びポリアミド6/66/12からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリアミド樹脂である請求項1又は2に記載のフィルム用ポリアミド樹脂組成物。
- 前記ポリアミド樹脂が、アミン類の存在下で、ラクタム、アミノカルボン酸及びナイロン塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が重合又は共重合してなり、
前記アミン類が、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン及びポリアミンよりなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3いずれかに記載のフィルム用ポリアミド樹脂組成物。 - 請求項1〜4いずれかに記載のポリアミド樹脂組成物からなるポリアミドフィルム。
- 二軸延伸ポリアミドフィルムであることを特徴とする請求項5に記載のポリアミドフィルム。
- 請求項5又は6記載のポリアミドフィルムよりなる層(a)を含む積層フィルム。
- 前記層(a)と、
ポリエステル系樹脂よりなる層(d)の間に、
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸でグラフト変性した変性ポリエステル系エラストマーよりなる層(c)が、前記層(a)及び前記層(d)に接触して配置されている請求項7記載の積層フィルム。 - 請求項8記載の積層フィルムの製造方法であって、
共押出により、請求項8記載の層(a)、(d)及び(c)が接触した積層未延伸フィルムを成形する工程1、及び
前記工程1で得られた前記積層未延伸フィルムを、縦横各々2.0倍以上延伸する工程2
を含むことを特徴とする積層フィルムの製造方法。 - 請求項9に記載の積層フィルムの製造方法により得られる積層二軸延伸フィルム。
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