JP2022088433A - 積層ポリプロピレンフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリ塩化ビニリデンをコートしたポリプロピレン系フィルムに匹敵するガスバリア性を有する、プロピレン系重合体を用いたフィルムと無機化合物を主たる成分とする薄膜層とを備えた積層ポリプロピレンフィルムを提供すること。【解決手段】ポリプロピレン系樹脂を用いたポリプロピレンフィルム基材と無機化合物を主たる成分とする薄膜層とを備えた積層ポリプロピレンフィルムであり、積層ポリプロピレンフィルムの150℃における縦方向の熱収縮率が7%以下であり、酸素透過度が150mL/m2/day/MPa以下であることを特徴とする積層ポリプロピレンフィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリプロピレン系樹脂を用いたフィルムと無機化合物を主たる成分とする薄膜層とを備えた積層ポリプロピレンフィルムに関する。更に詳しくは、ガスバリア性に優れるとともに、高温での寸法安定性や高い剛性が求められる様々な分野で好適に用いることができる、積層ポリプロピレンフィルムに関するものである。
背景技術
従来、ポリプロピレンの延伸フィルムは、柔軟性と防湿性に優れるため、食品や様々な商品の包装用、電気絶縁用、表面保護フィルムなど広範囲な用途で汎用的に用いられていた。
しかし食品用では、その保存のためにフィルムに酸素ガスバリア性を要求されることが多く、従来のポリプロピレンフィルムに無機化合物を蒸着した積層フィルムは酸素ガスバリア性が十分ではなく、ポリ塩化ビニリデンなどの酸素ガスバリア性を有する樹脂を溶かした液を塗布・乾燥したものが用いられてきた。
しかしながら、酸素ガスバリア性樹脂を溶かした液を塗布・乾燥する工程があるため生産コストの低減には限界があり、しかも、酸素ガスバリア性樹脂層を5μm程度の厚みにしなければならず、積層工程の時間がかかったり、原料コストが高くなるという難があった。
さらに、積層した後のフィルムの厚みが大きいため、印刷やシール、製袋加工がしにくいという課題もあった。
そこで、ポリプロピレンフィルムに無機化合物薄膜を蒸着した積層フィルムで酸素ガスバリア性に優れるものが要望されていたが、ポリプロピレン系フィルムに直接無機化合物を蒸着した積層フィルムはガスバリア性が得られなかった(例えば、特許文献1、2参照。)。
特開平11-105190号公報 特開2000-355068号公報
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたものである。すなわち、本発明の目的は、ポリ塩化ビニリデンをコートしたポリプロピレン系フィルムに匹敵するガスバリア性を有し、低コストで加工性にも優れる、ポリプロピレン系樹脂を用いたポリプロピレンフィルム基材と無機化合物を主たる成分とする薄膜層とを備えた積層ポリプロピレンフィルムを提供することにある。
本発明者は、かかる目的を達成するために鋭意検討した結果、本発明の完成に至った。すなわち、本発明の積層ポリプロピレンフィルムは、ポリプロピレン系樹脂を用いたポリプロピレンフィルム基材と無機化合物を主たる成分とする薄膜層とを備えた積層ポリプロピレンフィルムであり、積層ポリプロピレンフィルムの150℃における縦方向の熱収縮率が7%以下であり、酸素透過度が150mL/m/day/MPa以下であることを特徴とする積層ポリプロピレンフィルムである。
従来の積層ポリプロピレンフィルムは、縦方向の150℃での収縮率が9%以上あり、ポリプロピレンフィルム基材に無機化合物を蒸着する際の蒸着粒子の有する熱エネルギーあるいは無機化合物を収容する坩堝からの輻射熱によりポリプロピレンフィルム基材が収縮を起こし、その影響により無機化合物層自体にガスバリア性が低下する変化が生じたと推定している。
この場合において、前記積層ポリプロピレンフィルムのヘイズが6%以下であることが好適である。
この場合において、前記積層ポリプロピレンフィルムの150℃における横方向の熱収縮率が7%以下であることが好適である。
この場合において、前記積層ポリプロピレンフィルム及びポリオレフィンフィルムを含む積層体が好適である。
本発明の積層ポリプロピレンフィルムによれば、ポリ塩化ビニリデンをコートしたポリプロピレン系フィルムに匹敵する酸素ガスバリア性を有することができ、ひいては薄膜化が可能になる。
さらに、本発明の積層ポリプロピレンフィルムは、常温での酸素ガスバリア性はもちろんのこと、150℃程度の環境下にさらされても酸素ガスバリア性やその他の諸物性を維持することができるので、従来のポリプロピレンフィルムでは考えられなかったような酸素ガスバリア性が必要であったり、高温の環境下でも使用することができ、幅広い用途において好ましく適用される。
例えば、本発明の積層ポリプロピレンフィルムを基材層とし、基材層の表層にヒートシール層を積層することにより、ヒートシール性が必要な種々の包装形態に使用できるが、本発明の積層ポリプロピレンフィルム又はこれを用いた積層フィルムにヒートシールを行う場合、ヒートシール温度を高く設定することができ、ヒートシール強度が向上するので、製袋加工などにおけるライン速度を大きくすることが可能となり、生産性が向上する。熱負荷が大きい押出ラミネートの基材として用いることもできる。さらに、製袋後にレトルトなど高温処理を行う際にも、袋の変形量を抑えることができる。
積層ポリプリピレンフィルムの基材に使用されるポリプロピレンフィルムの広角X線回折パターンにおけるα型結晶の110面の回折強度の方位角依存性および半値幅を説明するためのチャートである。発明を実施するための形態
本発明はガスバリア性及び高温での寸法安定性、機械特性に優れた積層ポ
リプロピレンフィルムに関する。
本発明の積層ポリプロピレンフィルムは、ポリプロピレン系樹脂を用いたポリプロピレンフィルム基材と無機化合物を主たる成分とする薄膜層とを備えた積層ポリプロピレンフィルムであり、積層ポリプロピレンフィルムの150℃における縦方向の熱収縮率が7%以下であり、酸素透過度が150mL/m/day/MPa以下であることを特徴とする積層ポリプロピレンフィルムである。
[無機薄膜層]
本発明で用いられる無機薄膜層は、無機化合物を主たる成分としており、無機化合物は無機酸化物が好ましい。無機酸化物としては、酸化アルミニウム及び酸化珪素の少なくとも一方あるいはこれらの複合酸化物であることが好ましい。
ここでの「主たる成分」とは、薄膜層を構成する成分100質量%に対し、酸化アルミニウム、酸化珪素及び酸化アルミニウムと酸化珪素の複合酸化物の合計量が50質量%超であることを意味し、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、最も好ましくは100質量%(酸化アルミニウム、酸化珪素以外の成分が薄膜層を構成する成分として含有されていない)である。
ここでいう酸化アルミニウムとは、AlO,AlO,Al等の各種アルミニウム酸化物の少なくとも1種以上からなり、各種アルミニウム酸化物の含有率は薄膜層の作製条件によって調整することができる。酸化珪素とは、SiO,SiO,Si等の各種珪素酸化物の少なくとも1種以上からなり、各種珪素酸化物の含有率は薄膜層の作製条件によって調整することができる。酸化アルミニウムと酸化珪素の複合酸化物とはAlxSiy(x=1~2、y=1~3)からなり、各種珪素酸化物の含有率は薄膜層の作製条件によって調整することができる。酸化アルミニウム、酸化珪素及び酸化アルミニウムと酸化珪素の複合酸化物には、成分中に、特性が損なわれない範囲で微量(全成分に対して高々3%まで)の他成分を含んでいてもよい。「主たる成分」以外の成分として、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化亜鉛等の化合物およびそれらの混合物が挙げられる。
無機薄膜層の厚さとしては、特に限定されないが、ガスバリア性及び可撓性の点からは、5~500nmが好ましく、より好ましくは10~200nmであり、さらに好ましくは15~50nmである。薄膜層の膜厚が5nm未満では、満足のいくガスバリア性が得られ難くなるおそれがあり、一方、500nmを超えても、それに相当するガスバリア性の向上の効果は得られず、耐屈曲性や製造コストの点でかえって不利となる。
[積層ポリプロピレンフィルム]
本発明の積層ポリプロピレンフィルムは、特に積層フィルム物性に特徴がある。本発明の積層ポリプロピレンフィルムは、以下のようなフィルム物性を示す。なお、以下の各物性は、実施例で後述する方法で測定、評価する。
(熱収縮率)
本発明の積層ポリプロピレンフィルムは、ポリプロピレン系樹脂を主体として構成された延伸フィルムであって、150℃での縦方向の熱収縮率が7%以下であることが必要である。ここで、縦方向とは、フィルムの流れ方向(長さ方向または長手方向と言うこともある)であり、横方向とは、フィルムの流れ方向に垂直な方向(横方向または幅方向と言うこともある)である。従来の積層ポリプロピレンフィルムでは、縦方向の150℃熱収縮率は9%以上である。
本発明の積層ポリプロプレンフィルムの縦方向の150℃熱収縮率の上限は、好ましくは6%であり、より好ましくは5%であり、さらに好ましくは4%である。縦方向の150℃熱収縮率の上限が上記範囲であると、ガスバリア性がより良い。
ポリプロピレンフィルム基材に無機化合物を蒸着する際には、蒸着材料に使用する無機化合物分子の有する熱エネルギーあるいは無機化合物を収容する坩堝からの輻射熱によりプロピレン系重合体を用いたフィルムが収縮を起こすが、無機薄膜層の形成時にこのようなポリプロピレンフィルム基材の収縮の程度が小さいと、ガスが通過しにくくなったものと推定している。理由としては、無機薄膜層の形成途中にポリプロピレンフィルム基材の収縮が起こると基材表面の隆起などにより無機薄膜層が破壊されたり、緻密な無機薄膜層が形成されにくくなることが考えられる。
縦方向の150℃熱収縮率の下限は、好ましくは0.2%であり、より好ましくは0.3%であり、さらに好ましくは0.5%であり、特に好ましくは0.7%であり、最も好ましくは1.0%である。縦方向の150℃熱収縮率の下限が上記範囲であると、コスト面などで現実的な製造が容易となったり、厚みムラが小さくなったりすることがある。
本発明の積層ポリプロプレンフィルムの横方向の150℃熱収縮率の上限は、好ましくは7%であり、より好ましくは6%であり、さらに好ましくは5%であり、特に好ましくは4%である。横方向の150℃熱収縮率の上限が上記範囲であると、さらに積層ポリプロピレンフィルム又はこれを用いた積層フィルムにヒートシールを行う場合、ヒートシール温度を高く設定することにより、接着強度(ヒートシール強度)が向上するので、製袋加工などにおけるライン速度を大きくすることが可能となり、生産性が向上する。さらに、製袋後にレトルトなど高温処理を行う際にも、袋の変形量を抑えることができる。
横方向の150℃熱収縮率の下限は、好ましくは0.2%であり、より好ましくは0.3%であり、さらに好ましくは0.5%であり、特に好ましくは0.7%であり、最も好ましくは1.0%である。横方向の150℃熱収縮率の下限が上記範囲であると、コスト面などで現実的な製造が容易となったり、厚みムラが小さくなったりすることがある。
(酸素透過度)
本発明において、温度23℃、相対湿度65%下における積層ポリプロピレンフィルムの酸素透過度の上限は、150mL/m/day/MPa以下である必要がある。より好ましくは130mL/m/day/MPa以下であり、よりさらに好ましくは120mL/m/day/MPa以下であり、さらにより好ましくは100mL/m/day/MPa以下であり、特に好ましくは90mL/m/day/MPa以下である。酸素透過度の上限が150mL/m/day/MPaを超えると、酸素により劣化する物質や食品の保存性が不良になる。温度23℃、湿度65%下における積層ポリプロピレンフィルムの酸素透過度の下限は、特に限定されないが、好ましくは0.1mL/m/day/MPa以上である。また、製造上の点から、0.1mL/m/day/MPaが下限と考える。
(ヘイズ)
本発明の積層ポリプロピレンフィルムのヘイズの上限は、好ましくは6%であり、より好ましくは5%であり、さらに好ましくは4.5%であり、さらにより好ましくは4%であり、特に好ましくは3.5%である。ヘイズの上限が上記範囲であると、透明が要求される用途で使いやすくなることがある。ヘイズを6%以下とするには無機薄膜層が透明であることが好ましい。本発明の積層ポリプロピレンフィルムのヘイズの下限は、現実的値として、好ましくは0.1%であり、より好ましくは0.2%であり、さらに好ましくは0.3%であり、特に好ましくは0.4%である。
(ポリプロピレンフィルム基材)
本発明の積層ポリプロピレンフィルムに用いるポリプロピレンフィルム基材は、特にフィルム物性に特徴がある。本発明の延伸ポリプロピレンフィルムは、以下のようなフィルム物性を示す。なお、以下の各物性は、例えば実施例で後述する方法で測定、評価した値とする。
(熱収縮率)
本発明に用いるポリプロピレンフィルム基材は、ポリプロピレン系樹脂を主体として構成された延伸フィルムであって、150℃での縦方向の熱収縮率の上限は、好ましくは10%であり、より好ましくは9%であり、さらに好ましくは7%であり、特に好ましくは5%である。従来のポリプロピレンフィルムでは、縦方向の150℃熱収縮率は11%以上である。ポリプロピレンフィルム基材の熱収縮率を10%以下とすることで、本発明の積層ポリプロピレンフィルムの150℃における縦方向の熱収縮率を7%以下とすることができる。
また、本発明に用いるポリプロピレンフィルム基材は、ポリプロピレン樹脂を主体として構成された延伸フィルムであって、150℃での横方向の熱収縮率が15%以下であることが好ましく、より好ましくは9%であり、さらに好ましくは7%であり、特に好ましくは7%である。従来のポリプロピレンフィルムでは、横方向の150℃熱収縮率は16%以上である。ポリプロピレンフィルム基材の熱収縮率を10%以下とすることで、本発明の積層ポリプロピレンフィルムの150℃における横方向の熱収縮率を7%以下とすることができる。
ここで、縦方向とは、フィルムの流れ方向(長さ方向と言うこともある)であり、横方向とは、フィルムの流れ方向に垂直な方向(幅方向と言うこともある)である。
本発明に用いるポリプロプレンフィルム基材の縦方向および横方向の150℃熱収縮率の下限は、好ましくは0.2%であり、より好ましくは0.3%であり、さらに好ましくは0.5%であり、特に好ましくは0.7%であり、最も好ましくは1.0%である。150℃熱収縮率が上記範囲であると、コスト面などで現実的な製造が容易となったり、厚みムラが小さくなったりすることがある。
なお、150℃熱収縮率は1.5%程度までなら、例えば、フィルム基材中のポリプロピレンの低分子量成分を多くする、フィルムの延伸条件や熱固定条件を調整することで可能であるが、1.5%以下に下げるには、オフラインでアニール処理を施すなどすることが好ましい。
(ヘイズ)
本発明に用いるポリプロピレンフィルム基材のヘイズの下限は、現実的値として、好ましくは0.1%であり、より好ましくは0.2%であり、さらに好ましくは0.3%であり、特に好ましくは0.4%である。ヘイズの上限は、好ましくは6%であり、より好ましくは5%であり、さらに好ましくは4.5%であり、特に好ましくは4%であり、最も好ましくは3.5%である。ヘイズが上記範囲であると、透明が要求される用途で使いやすくなることがある。ヘイズは、例えば延伸温度、熱固定温度が高すぎる場合、冷却ロール(CR)温度が高く延伸原反シートの冷却速度が遅い場合、低分子量が多すぎる場合に悪くなる傾向があるので、これらを調節することにより、前記範囲内に制御することができる。
(厚み)
本発明に用いるポリプロピレンフィルム基材の厚みの下限は、3μmであり、好ましくは4μmであり、より好ましくは8μmである。
フィルムの厚みの下限が3μm未満であると積層ポリプリピレンフィルムがカールしやすく、ガスバリア性が低下しやすい。
フィルム厚みの加工性の点から、上限は好ましくは300μmであり、より好ましくは250μmであり、さらに好ましくは200μmであり、さらに好ましくは150μmであり、特に好ましくは100μmであり、最も好ましくは50μmである。
(耐衝撃性)
本発明に用いるポリプロプレンフィルム基材の耐衝撃性(23℃)の下限は、好ましくは0.6Jであり、より好ましくは0.7Jである。耐衝撃性が上記範囲であると、フィルムとして十分な強靱性があり、取り扱い時に破断したりすることがない。耐衝撃性の上限は、現実的な面から、好ましくは2Jであり、より好ましくは1.8Jであり、さらに好ましくは1.6Jであり、特に好ましくは1.5Jである。例えば、フィルム基材中のポリプロピレンの低分子量成分が多い場合、全体での分子量が低い場合、フィルム基材中のポリプロピレンの高分子量成分が少ない場合、高分子量成分の分子量が低い場合には耐衝撃性が低下する傾向となるため、耐衝撃性は用途に合わせてこれらの要因を調整することにより、前記範囲内に制御することができる。
(ヤング率)
本発明に用いるポリプロピレンフィルム基材が二軸延伸フィルムである場合、縦方向のヤング率(23℃)の下限は、好ましくは2GPaであり、より好ましくは2.1GPaであり、さらに好ましくは2.2GPaであり、特に好ましくは2.3GPaであり、最も好ましくは2.4GPaである。縦方向のヤング率の上限は、好ましくは4GPaであり、より好ましくは3.7GPaであり、さらに好ましくは3.5GPaであり、特に好ましくは3.4GPaであり、最も好ましくは3.3GPaである。縦方向のヤング率が上記範囲であると、現実的な製造が容易であり、また、縦-横バランスが良化することがある。
本発明の基材に用いるポリプロピレンフィルムが二軸延伸フィルムである場合、横方向のヤング率(23℃)の下限は、好ましくは3.8GPaであり、より好ましくは4GPaであり、さらに好ましくは4.1GPaであり、特に好ましくは4.2GPaである。横方向のヤング率の上限は、好ましくは8GPaであり、より好ましくは7.5GPaであり、さらに好ましくは7GPaであり、特に好ましくは6.5GPaである。横方向のヤング率が上記範囲であると、現実的な製造が容易であり、また、縦方向と横方向のヤング率のバランスが良化することがある。なお、縦方向、横方向のヤング率は、例えばそれぞれの方向の延伸倍率を高くすることで高めることができ、また、縦方向に延伸後に横延伸する場合は、縦延伸倍率を低めに設定し、横延伸倍率を高く設定することなどで、横方向のヤング率を大きくすることができる。
(厚み均一性)
本発明に用いるポリプロピレンフィルム基材の厚みの均一性の下限は、好ましくは0%であり、より好ましくは0.1%であり、さらに好ましくは0.5%であり、特に好ましくは1%である。厚みの均一性の上限は、好ましくは20%であり、より好ましくは17%であり、さらに好ましくは15%であり、特に好ましくは12%であり、最も好ましくは10%である。厚みの均一性が上記範囲であると、コートや印刷などの後加工時に不良が生じにくく、精密性を要求される用途に用いやすい。
(フィルム密度)
本発明に用いるポリプロピレンフィルム基材の密度の下限は、好ましくは0.910g/cmであり、より好ましくは0.911g/cmであり、さらに好ましくは0.912g/cmであり、特に好ましくは0.913g/cmである。フィルム密度が上記範囲であると、結晶性が高く熱収縮率が小さくなることがある。フィルム密度の上限は、好ましくは0.930g/cmであり、より好ましくは0.928g/cmであり、さらに好ましくは0.926g/cmであり、特に好ましくは0.925g/cmである。フィルム密度が上記上限を超えると、現実的に製造が困難となることがある。フィルム密度は、延伸倍率や延伸温度を高くする、熱固定温度を高くする、さらにはオフラインアニールすることで高めることができる。
(屈折率)
本発明に用いるポリプロピレンフィルム基材の縦方向の屈折率(Nx)の下限は、好ましくは1.502であり、より好ましくは1.503であり、さらに好ましくは1.504である。Nxの上限は、好ましくは1.520であり、より好ましくは1.517であり、さらに好ましくは1.515である。
本発明に用いるポリプロピレンフィルム基材の横方向の屈折率(Ny)の下限は、好ましくは1.523であり、より好ましくは1.525である。Nyの上限は、好ましくは1.535であり、より好ましくは1.532である。
本発明に用いるポリプロピレンフィルム基材の厚み方向の屈折率(Nz)の下限は、好ましくは1.480であり、より好ましくは1.489であり、さらに好ましくは1.500である。Nzの上限は、好ましくは1.510であり、より好ましくは1.507であり、さらに好ましくは1.505である。
(面配向係数)
本発明の基材に用いるポリプロプレンフィルムの面配向係数の下限は、好ましくは0.0125であり、より好ましくは0.0126であり、さらに好ましくは0.0127であり、特に好ましくは0.0128である。面配向係数の上限は、現実的な値として、好ましくは0.0155であり、より好ましくは0.0150であり、さらに好ましくは0.0148であり、特に好ましくは0.0145である。面配向係数は、延伸倍率の調整により範囲内とすることができる。面配向係数がこの範囲であると、フィルムの厚みムラも良好となる傾向にある。
(フィルムの配向)
ポリプロピレンフィルム基材は、一般的に結晶配向を有し、その方向や程度がフィルム物性に大きな影響を及ぼす。結晶配向の程度は、用いられるポリプロピレンの分子構造や、フィルム製造におけるプロセスや条件によって変化する。また、延伸ポリプロピレンフィルムの配向方向は、広角X線回折法により、X線をフィルム面に対して垂直に入射し、結晶由来の散乱ピークの方位角依存性を測定することによって、決定することができる。詳しくは、延伸ポリプロピレンフィルムは、典型的には単斜晶のα型結晶構造を有する。そしてそのα型結晶は、広角X線回折法により110面(面間隔:6.65オングストローム)の散乱強度の方位角依存性を測定すると、主として一軸に強い配向をもつ。つまり、α型結晶の110面由来の散乱強度を方位角に対してプロットした場合、最も強いピークが、分子軸の配向の垂直方向に観察される。本発明において、この最大ピークの半値幅によって、配向の程度を規定する。
なお、ポリプロピレンのα型結晶の110面由来の散乱の方位角依存性について、典型的なパターンを図1に示す。また図1中に、110面の方位角依存性の主たるピーク(最大ピーク、方位角180°及び360°)の半値幅を示す。
本発明の基材に用いるポリプロピレンフィルムでは、広角X線散乱法により測定される110面の散乱強度を方位角に対してプロットした時の最大ピークの半値幅が30度以下であることが好ましい。この半値幅の上限は、より好ましくは29度であり、さらに好ましくは28度である。110面由来の散乱強度の方位角依存性の半値幅が前記範囲よりも大きいと、配向が十分でなく、耐熱性や剛性が十分でない。110面由来の散乱強度の方位角依存性の半値幅の下限は、好ましくは5度であり、より好ましくは7度であり、さらに好ましくは8度である。110面の半値幅が前記範囲よりも小さいと、耐衝撃性の低下や配向割れを生じることがある。
(広角X線回折装置)
上記で規定する半値幅は、平行度の高いX線を用いて測定されることが好ましく、放射光が好ましく用いられる。
広角X線回折測定に用いるX線発生源としては、実験室で用いられる管球式や回転式などの一般的な装置でもよいが、平行度が高く高輝度の放射光を照射できる高輝度光源を用いることが好ましい。放射光では、X線が広がりにくく輝度も高いため、測定を高精度かつ短時間で行うことができ、例えば厚み数十ミクロンのフィルムサンプルでもフィルムを重ね合わせることなくフィルム1枚での測定が可能になり、しかも精度の高い測定が可能であるので詳細な結晶配向評価が可能になる。それに対して、輝度が低いX線では、厚み数十ミクロンのフィルムサンプルを測定する場合、複数枚を重ね合わさなければ測定に長時間を要することになり、複数枚を重ね合わさせると、微小なズレにより、110面の散乱強度を方位角に対してプロットした時のピークがブロードになり、得られる半値幅の値が大きくなる傾向となる。平行度が高く高輝度の放射光を照射可能な設備としては、例えば、SPring-8のような大型放射光施設等を挙げることができ、例えば、フロンティアソフトマター開発産学連合体(FSBL)が所有するビームラインBL03XUを使用して本発明の半値幅を測定することが好ましい。
(長周期構造・小角X線散乱(SAXS))
本発明に用いるポリプロピレンフィルム基材では、長周期サイズが大きいことが好ましい。一般的に、結晶性高分子は、結晶と非晶の繰り返しからなる規則的な積層構造(周期構造)を有する。ここで、結晶と非晶からなる繰り返し単位の大きさを長周期サイズと言う。この長周期サイズは、小角X線散乱法により測定される主たる配向方向の長周期構造に由来する散乱ピーク角度から求めることができる。
本発明の基材に用いるポリプロピレンフィルムの小角X線散乱測定による長周期散乱ピークは、主たる配向方向にピークが明瞭に観察されることが好ましい。ここで、主たる配向方向とは、2次元X線散乱パターンにおいて、高分子結晶の長周期に起因する散乱がより強く見られる方向を示す。一軸延伸の場合は、その延伸方向に主たる配向方向が一致する場合が多く、縦延伸-横延伸の逐次二軸延伸の場合は、それぞれの延伸倍率にもよるが、横延伸方向に主たる配向方向が一致する場合が多い。高分子結晶に起因する長周期ピークが明瞭に観察されるほど、秩序性の高い長周期構造が形成されていることが示される。
本発明の基材に用いるポリプロピレンフィルムでは、長周期散乱ピークから得られる長周期サイズが40nm以上であることが好ましい。長周期サイズの下限は、より好ましくは41nmであり、さらに好ましくは43nmである。長周期サイズが前記範囲よりも小さいと、融解ピーク温度が低く、したがって耐熱性が低下する傾向にある。長周期サイズの上限は、好ましくは100nmであり、より好ましくは90nmであり、さらに好ましくは80nmである。長周期サイズが前記範囲よりも大きいと、結晶化もしくは熱処理に長時間を要するため現実的な製造が困難になる傾向にある。
(小角X線回折装置)
小角X線散乱測定に用いるX線発生源としては、特に制限はなく、実験室で用いられる管球式や回転式などの一般的な装置を用いることができるが、上述した広角X線回折測定に用いるX線発生源と同じく、輝度が高い放射光を照射できる高輝度光源を用いることが好ましい。特に、本発明に用いるポリプロピレンフィルム基材が大きな長周期を有する場合には、長周期構造に由来するX線散乱がより小角側の領域にある。そのため、X線ビーム径が大きく、カメラ長の短い実験室のX線装置では測定することが困難であるので、X線が広がりにくく、ビーム径を数百ミクロン以下に絞ることができ、かつ、輝度も高い放射光を用いて、長いカメラ長のもとで超小角領域を測定することが好ましい。このとき、カメラ長は7m以上が好ましい。
[ポリプロピレン系樹脂]
本発明のポリプロピレンフィルム基材に使用されるポリプロピレン系樹脂は特に制約はなく、例えば、プロピレン単独重合体や、エチレンおよび/または炭素数4以上のα―オレフィンとの共重合体、さらにこれらの混合物を用いることができる。
フィルムを構成するポリプロピレン系樹脂としては、実質的にコモノマーを含まないプロピレン単独重合体が好ましく、コモノマーを含む場合であっても、コモノマー量は0.5モル%以下であることが好ましい。コモノマー量の上限は、好ましくは0.3モル%であり、さらに好ましくは0.1モル%である。上記範囲であると結晶性が向上し、高温での熱収縮率が小さくなることがある。なお、結晶性を著しく低下させない範囲内において、微量であればコモノマーが含まれていてもよい。
フィルムを構成するポリプロピレン系樹脂は、プロピレンモノマーのみから得られるプロピレン単独重合体であることがより好ましく、プロピレン単独重合体であっても、頭-頭結合のような異種結合を含まないことが最も好ましい。
(ポリプロピレン系樹脂の立体規則性)
フィルムを構成するポリプロピレン系樹脂の立体規則性の指標である13C-NMRで測定されるメソペンタッド分率の下限は96%であるのが好ましい。メソペンタッド分率の下限は、好ましくは96.5%であり、より好ましくは97%である。上記範囲であると結晶性が向上し、高温での熱収縮率がより低くなることがある。メソペンタッド分率の上限は好ましくは99.8%であり、より好ましくは99.6%であり、さらに好ましくは99.5%である。上記範囲であると現実的な製造が容易となることがある。
フィルムを構成するポリプロピレン系樹脂のメソ平均連鎖長の下限は、好ましくは100であり、より好ましくは120であり、さらに好ましくは130である。上記範囲であると、結晶性が向上し、高温での熱収縮率が小さくなることがある。メソ平均連鎖長の上限は、現実的な面から、好ましくは5000である。
フィルムを構成するポリプロピレン系樹脂のキシレン可溶分の下限は、現実的な面から、好ましくは0.1質量%である。キシレン可溶分の上限は好ましくは7質量%であり、より好ましくは6質量%であり、さらに好ましくは5質量%である。上記範囲であると結晶性が向上し、高温での熱収縮率が小さくなることがある。
(ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート)
ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)(230℃、2.16kgf)の下限は0.5g/10分である。MFRの下限は、好ましくは1.0g/10分であり、より好ましくは1.3g/10分であり、さらに好ましくは1.5g/10分であり、さらに好ましくは2.0g/10分であり、特に好ましくは4.0g/10分であり、好ましくは6.0g/10分である。上記範囲であると機械的負荷が小さく、押出や延伸が容易となることがある。MFRの上限は20g/10分であり、好ましくは17g/10分であり、より好ましくは16g/10分であり、さらに好ましくは15g/10分である。上記範囲であると延伸が容易となったり、厚み斑が小さくなったり、延伸温度や熱固定温度が上げられやすく熱収縮率がより低くなることがある。
(ポリプロピレン系樹脂の分子量)
フィィルムを構成するポリプロピレン系樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される数平均分子量(Mn)の下限は、好ましくは20000であり、より好ましくは22000であり、さらに好ましくは24000であり、特に好ましくは26000であり、最も好ましくは27000である。上記範囲であると延伸が容易となる、厚み斑が小さくなる、延伸温度や熱固定温度が上げられやすく熱収縮率が低くなるという利点が生じることがある。Mnの上限は、好ましくは200000であり、より好ましくは170000であり、さらに好ましくは160000であり、特に好ましくは150000である。上記範囲であるとポリプロピレン系樹脂の低分子量物の効果であるポリプロピレンフィルム基材の高温での低い熱収縮率など本願の効果が得られやすくなったり、延伸容易となることがある。
フィルムを構成するポリプロピレン系樹脂のGPCにより測定される質量平均分子量(Mw)の下限は、好ましくは180000であり、より好ましくは200000であり、さらに好ましくは230000であり、さらに好ましくは240000であり、特に好ましくは250000であり、最も好ましくは270000である。上記範囲であると延伸が容易となる、厚み斑が小さくなる、延伸温度や熱固定温度が上げられやすく熱収縮率が低くなるという利点が生じることがある。Mwの上限は、好ましくは500000であり、より好ましくは450000であり、さらに好ましくは420000であり、特に好ましくは410000であり、最も好ましくは400000である。上記範囲であると機械的負荷が小さく押出や延伸が容易となることがある。
(ポリプロピレン系樹脂の分子量分布)
本発明に用いるポリプロピレン系樹脂は、以下に示すような特徴を有することが好ましい。すなわち、フィルムを構成するポリプロピレン系樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)積算カーブを測定した場合、分子量10万以下の成分の量の下限は好ましくは35質量%であり、より好ましくは38質量%であり、さらに好ましくは40質量%であり、特に好ましくは41質量%であり、最も好ましくは42質量%である。上記範囲であると低分子量物の効果である高温での低い熱収縮率など本願の効果が得られやすくなったり、延伸が容易となることがある。GPC積算カーブでの分子量10万以下の成分の量の上限は好ましくは65質量%であり、より好ましくは60質量%であり、さらに好ましくは58質量%であり、特に好ましくは56質量%であり、最も好ましくは55質量%である。上記範囲であると延伸が容易となったり、厚み斑が小さくなったり、延伸温度や熱固定温度が上げられやすく熱収縮率が低くなることがある。
本発明に用いるポリプロピレン系樹脂は、分子量分布の広さの指標である質量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の下限が、好ましくは4であり、より好ましくは4.5であり、さらに好ましくは5であり、特に好ましくは5.5であり、最も好ましくは6である。Mw/Mnの上限は、好ましくは30であり、より好ましくは25であり、さらに好ましくは22であり、特に好ましくは21であり、最も好ましくは20である。Mw/Mnが上記範囲であると、現実的な製造が容易である。なお、ポリプロピレンの分子量分布は、異なる分子量の成分を多段階に一連のプラントで重合したり、異なる分子量の成分をオフラインで混錬機にてブレンドしたり、異なる性能をもつ触媒をブレンドして重合したり、所望の分子量分布を実現できる触媒を用いたりすることで調整することが可能である。
(ポリプロピレン系樹脂の製造方法)
ポリプロピレン系樹脂は、チーグラー・ナッタ触媒やメタロセン触媒等の公知の触媒を用いて、原料となるプロピレンを重合させることにより得られる。中でも、異種結合をなくすためにはチーグラー・ナッタ触媒のなかでも立体規則性の高い重合が可能な触媒を用いることが好ましい。
プロピレンの重合方法としては、公知の方法を採用すればよく、例えば、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等の不活性溶剤中で重合する方法、液状のモノマー中で重合する方法、気体のモノマー中に触媒を添加し、気相状態で重合する方法、または、これらを組み合わせて重合する方法等が挙げられる。
(添加剤)
本発明に用いるポリプロピレンフィルム基材には、必要に応じて、添加剤やその他の樹脂を添加しても良い。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、造核剤、粘着剤、防曇剤、難燃剤、アンチブロッキング剤、無機または有機の充填剤等が挙げられる。その他の樹脂としては、本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂以外のポリプロピレン系樹脂、プロピレンとエチレンおよび/または炭素数4以上のα-オレフィンとの共重合体であるランダムコポリマーや、各種エラストマー等が挙げられる。これらは、多段の反応器を用いて逐次重合するか、ポリプロピレン系樹脂とヘンシェルミキサーでブレンドするか、事前に溶融混錬機を用いて作製したマスターペレットを所定の濃度になるようにポリプロピレンで希釈するか、予め全量を溶融混練して使用するなどすればよい。
(延伸ポリプロピレンフィルムの製造方法)
本発明の基材に用いるポリプロピレンフィルムとしては縦方向(長手方向)もしくは横方向(幅方向)の一軸延伸フィルムでも良いが、二軸延伸フィルムであることが好ましい。二軸延伸の場合は逐次二軸延伸であっても同時二軸延伸であっても良い。
以下に最も好ましい例である縦延伸-横延伸の逐次二軸延伸フィルムの製造方法を説明する。
まず、ポリプロピレン系樹脂を単軸または二軸の押出機で加熱溶融させ、チルロール上に押出して未延伸シートを得る。溶融押出条件としては、樹脂温度が200~280℃となるようにして、Tダイよりシート状に押出し、10~100℃の温度の冷却ロールで冷却固化する。ついで、120~165℃の延伸ロールでフィルムを長さ(縦)方向に3~8倍、好ましくは3~7倍に延伸し、引き続き横方向に155℃~175℃、好ましくは158℃~170℃の温度で4~20倍、好ましくは6~12倍延伸を行う。さらに、165~175℃、好ましくは166~173℃の雰囲気温度で1~15%のリラックスを許しながら熱処理を施す。こうして得られたポリプロピレンフィルムに、必要に応じて、少なくとも片面にコロナ放電処理を施した後、ワインダーで巻取ることによりロールサンプルを得ることができる。
縦方向の延伸倍率の下限は、好ましくは3倍であり、より好ましくは3.5倍である。縦方向の延伸倍率が上記未満であると、膜厚ムラとなることがある。縦方向の延伸倍率の上限は、好ましくは8倍であり、より好ましくは7倍である。縦方向の延伸倍率が上記を超えると、引き続き行う横延伸が困難になることがある。
縦方向の延伸温度の下限は、好ましくは120℃であり、より好ましくは125℃であり、さらに好ましくは130℃である。縦方向の延伸温度が上記未満であると機械的負荷が大きくなったり、厚みムラが大きくなったり、フィルムの表面粗れが起こることがある。縦方向の延伸温度の上限は、好ましくは165℃であり、より好ましくは160℃であり、さらに好ましくは155℃であり、特に好ましくは150℃である。延伸の温度が高い方が熱収縮率の低下には好ましいが、ロールに付着し延伸できなくなったり、表面粗れが起こることがある。
横の延伸倍率の下限は、好ましくは4倍であり、より好ましくは5倍であり、さらに好ましくは6倍である。横の延伸倍率が上記未満であると、厚みムラとなることがある。横延伸倍率の上限は、好ましくは20倍であり、より好ましくは17倍であり、さらに好ましくは15倍、特に好ましくは12倍である。横の延伸倍率が上記を超えると、熱収縮率が高くなったり、延伸時に破断することがある。
横延伸での予熱温度は、速やかに延伸温度付近にフィルム温度を上げるため、好ましくは延伸温度より5~15℃高く設定する。
横の延伸は、従来の延伸ポリプロピレンフィルムより3~5℃高い温度で行うことが好ましい。TDの延伸温度の下限は、好ましくは155℃であり、より好ましくは157℃であり、さらに好ましくは158℃である。横の延伸温度が上記未満であると、十分に軟化せずに破断したり、熱収縮率が高くなることがある。横延伸温度の上限は、好ましくは175℃であり、より好ましくは170℃であり、さらに好ましくは168℃である。熱収縮率を低くするためには、横延伸温度は高い方が好ましいが、上記を超えると、低分子量成分が融解、再結晶化して配向が低下するだけでなく、表面粗れやフィルムが白化することがある。
延伸後のフィルムは通常、熱固定される。本発明では、従来の延伸ポリプロピレンフィルムより3~10℃高い温度で熱固定を行うことが可能である。熱固定温度の下限は、好ましくは165℃であり、より好ましくは166℃である。熱固定温度が上記未満であると、熱収縮率が高くなることがある。また、熱収縮率を低くするために長時間の処理が必要になり、生産性が劣ることがある。熱固定温度の上限は、好ましくは175℃であり、より好ましくは173℃である。熱固定温度が上記を超えると、低分子量成分が融解、再結晶化して表面粗れやフィルムが白化することがある。
熱固定時にはリラックス(緩和)させることが好ましい。リラックスの下限は、好ましくは1%であり、より好ましくは2%であり、さらに好ましくは3%である。上記未満のリラックスでは、熱収縮率が高くなることがある。リラックスの上限は、好ましくは10%であり、より好ましくは8%である。上記を超えるリラックスでは、厚みムラが大きくなることがある。
さらに、熱収縮率を低下させるためには、上記の工程で製造されたフィルムを一旦ロール状に巻き取った後、オフラインでアニールさせることもできる。オフラインアニール温度の下限は、好ましくは160℃であり、より好ましくは162℃であり、さらに好ましくは163℃である。オフラインアニール温度が上記未満であると、アニールの効果が得られないことがある。オフラインアニール温度の上限は、好ましくは175℃であり、より好ましくは174℃であり、さらに好ましくは173℃である。オフラインアニール温度が上記を超えると、透明性が低下したり、厚みムラがおおきくなったりすることがある。
オフラインアニール時間の下限は、好ましくは0.1分であり、より好ましくは0.5分であり、さらに好ましくは1分である。オフラインアニール時間が上記未満であると、アニールの効果が得られないことがある。オフラインアニール時間の上限は、好ましくは30分であり、より好ましくは25分であり、さらに好ましくは20分である。オフラインアニール時間が上記を超えると、生産性が低下することがある。
なお、150℃熱収縮率は1.5%程度までなら、例えば、低分子量成分を多くする、延伸条件や熱固定条件を調整することで可能であるが、1.5%以下に下げるには、オフラインでアニール処理を施すなどすることが好ましい。
ヘイズは、例えば延伸温度、熱固定温度が高すぎる場合、冷却ロール(CR)温度が高く延伸原反シートの冷却速度が遅い場合、低分子量が多すぎる場合に悪くなる傾向があるので、これらを調節することにより、前記範囲内に制御することができる。
このようにして得られた延伸ポリプロピレンフィルムは通常、幅2000~12000mm、長さ1000~50000m程度に製膜され、ロール状に巻き取られる。さらに、各用途に合わせてスリットされ幅300~2000mm、長さ500~5000m程度のスリットロールとして供される。
(無機薄膜層の作製方法)
無機薄膜層の作製には、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法などのPVD法(物理蒸着法)、あるいは、CVD法(化学蒸着法)などの公知の製法が適宜用いられるが、物理蒸着法であることが好ましく、真空蒸着法であることがより好ましい。例えば、真空蒸着法においては、蒸着源材料としてAlとSiOの混合物やAlとSiOの混合物等が用いられ、加熱方式としては、抵抗加熱、高周波誘導加熱、電子ビ-ム加熱等を用いることができる。また、反応性ガスとして、酸素、窒素、水蒸気等を導入したり、オゾン添加、イオンアシスト等の手段を用いた反応性蒸着を用いてもよい。また、フィルム基材にバイアス等を加えたり、フィルム基材の温度を上げたり、あるいは、下げたりしたり等、本発明の目的を損なわない限りにおいて、作製条件を変更してもよい。スパッタ 法やCVD法等のほかの作製法でも同様である。
このとき、ポリプロピレンフィルム基材と無機薄膜層の間に被覆層を設けたり、無機薄膜層の上に被覆層を設けてもよい。
[用途]
本発明の積層ポリプロピレンフィルムは上記の様な従来にはない優れた特性を有する。包装フィルムとして用いた場合には、ガスバリア性に優れるためポリ塩化ビニリデンをコートしたポリプリピレンフィルムの代替として使用できるばかりか、それより高剛性であるため薄肉化が可能であり、よりコストダウン、軽量化ができる。
また本発明の積層ポリプロピレンフィルムは、耐熱性が高いため、コートや印刷時に高温での処理が可能となり、生産の効率化や従来用いられにくかったコート剤やインキ、ラミネート接着剤などを用いることができる。
さらには、本発明の積層ポリプロピレンフィルムは、包装用に限定されず、コンデンサーやモーターなどの絶縁フィルム、太陽電池のバックシーのベースフィルムとして用いることも可能である。
(ラミネート積層体の作製方法)
本発明の積層ポリプロピレンフィルムにヒートシール性を有するポリオレフィン系樹脂層を設けた積層体を使用して飲食品、医薬品、洗剤、シャンプ-、オイル、歯磨き、接着剤、粘着剤等の化学品ないし化粧品、その他の種々の物品の充填包装適性、保存適性等に優れた包装容器を製造することができる。
ヒートシール性を有するポリオレフィン系樹脂層としは熱によって溶融し相互に融着し得る樹脂のフィルムないしシ-トを使用することができ、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマ-樹脂、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマ-、ポリブテンポリマ-、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマ-ル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、その他の各種の樹脂のフィルムないしシ-トを使用することができる。代表的なものは直鎖状(線状)低密度ポリエチレンあるいはポリプロピレンからなるフィルムないしはシートである。
ラミネート積層体の温度23℃、相対湿度65%下における酸素透過度の上限は、50mL/m/day/MPaであることが好ましく、より好ましくは30mL/m/day/MPaであり、さらに好ましくは20mL/m/day/MPaであり、特に好ましくは15mL/m/day/MPaである。酸素透過度の上限が50mL/m/day/MPaであると、酸素により劣化する物質や食品の保存性に優れる。温度23℃、湿度65%における積層ポリプロピレンフィルムの酸素透過度の下限は、特に限定されないが、好ましくは0.1mL/m/day/MPaである。また、製造上の点から、0.1mL/m2/day/MPaが下限と考える。
ラミネート積層体の縦方向のラミネート強度の下限は、1.1N/15mmであることが好ましく、より好ましくは1.2N/15mmであり、さらに好ましくは1.2N/15mmである。縦方向のラミネート強度の下限が1.1N/15mmであると、包装容器の強度に優れる。縦方向のラミネート強度の上限は、特に限定されないが、好ましくは3.0N/15mmである。また、製造上の点から、3.0N/15mmが上限と考える。
以下に本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。実施例における物性の測定方法は次のとおりである。
1)立体規則性)
メソペンタッド分率([mmmm]%)およびメソ平均連鎖長の測定は、13C-NMRを用いて下記のように行った。
メソペンタッド分率は、「Zambelliら、Macromolecules,第6巻,925頁(1973)」に記載の方法に従って算出した。
メソ平均連鎖長は、「J.C.Randallによる、“PolymerSequence Distribution”第2章(1977年)(Academic Press,New York)」に記載の方法に従って算出した。
13C-NMR測定は、BRUKER社製「AVANCE500」を用い、試料200mgをo-ジクロロベンゼンと重ベンゼンの8:2(体積比)の混合液に135℃で溶解し、110℃で行った。
2)キシレン可溶分(単位:質量%)
ポリプロピレン試料1gを沸騰キシレン200mlに溶解して放冷後、20℃の恒温水槽で1時間再結晶化させ、ろ過液に溶解している質量の、元の試料量に対する割合をキシレン可溶分(質量%)とした。
3)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
MFRは、JIS K7210-1:2014に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgfで測定した。
4)分子量および分子量分布
分子量および分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて単分散ポリスチレン基準により求めた。GPC測定での使用カラム、溶媒等の測定条件は以下のとおりである。
溶媒:1,2,4-トリクロロベンゼン
カラム:TSKgel GMHHR-H(20)HT×3
流量:1.0ml/min
検出器:RI
測定温度:140℃
数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)、Z+1平均分子量(Mz+1)はそれぞれ、分子量較正曲線を介して得られたGPC曲線の各溶出位置の分子量(Mi)の分子数(Ni)により次式で定義される。
数平均分子量:Mn=Σ(Ni・Mi)/ΣNi
質量平均分子量:Mw=Σ(Ni・Mi)/Σ(Ni・Mi)
Z+1平均分子量:Mz+1=Σ(Ni・Mi)/Σ(Ni・Mi
分子量分布:Mw/Mn
また、GPC曲線のピーク位置の分子量をMpとした。
ベースラインが明確でないときは、標準物質の溶出ピークに最も近い高分子量側の溶出ピークの高分子量側のすそ野の最も低い位置までの範囲でベースラインを設定することとした。
5)広角X線回折
本発明の実施例では、大型放射光施設SPring―8の中にフロンティアソフトマター開発産学連合体(FSBL)が所有するビームラインBL03XUの第2ハッチにおいて、X線源方向とフィルム面とのなす角が垂直となすようし、測定フィルムをセットし、広角X線(WAXS)測定を行った。測定条件を下記に示す。
X線波長は0.1nmとし、検出器としてイメージングプレート(RIGAKU RAXIS VII)またはイメージインテンシファイア付きCCDカメラ(Hamamatsu Photonics V7739P+ORCA R2)を用い、試料前後にセットしたイオンチェンバーの値から透過率を算出した。得られた2次元像に対して暗電流(ダークノイズ)および透過率を勘案した空気散乱補正を行った。カメラ長の測定には酸化セリウム(CeO)を用い、Fit2D (European Synchrotron Radiation Facility製のソフトウェア[http://www.esrf.eu/computing/scientific/FIT2D/])を用いて(110)面の方位角プロファイルを算出した。
6)小角X線散乱法による長周期サイズ
大型放射光施設SPring―8の中にフロンティアソフトマター開発産学連合体(FSBL)が所有するビームラインBL03XUの第2ハッチにおいて、フィルムの縦方向を上下、横方向を左右とし、X線源方向とフィルム面とのなす角が垂直となすように測定フィルムをセットし、小角X線(SAXS)測定を行った。測定条件を下記に示す。
X線波長は0.2nmとし、カメラ長は約7.7m、検出器としてはイメージングプレート(RIGAKU R-AXIS VII)を用い散乱ベクトルqの0.01~0.5(nm-1)の範囲の散乱像を得た。ここで散乱ベクトルqはθを散乱角2θの半分、πを円周率、λをX線の波長とした時、式q=4πsinθ/λによって算出される。得られた散乱像に対してWAXS測定と同様に暗電流(ダークノイズ)および透過率を勘案した空気散乱補正を行い、正確なカメラ長の測定にはベヘン酸銀で別途校正したコラーゲンを用いた。前述のFit2dソフトウェアを用い試料の巾方向のプロファイルを算出し横軸に散乱ベクトルq(nm-1)、縦軸に強度I(q)の常用対数をとりプロットした。ここでプロファイルの算出範囲は巾方向から±5度とした。
7)示差走査熱量分析(DSC)
示差走査熱量計(島津製作所社製「DSC-60」)を用いて熱測定を行った。試料フィルムから約5mgを切り出して測定用のアルミパンに封入した。20℃/分の速度で室温から230℃まで昇温し、試料の融解吸熱ピーク温度、融解吸熱ピーク面積(全融解熱)を測定した。ここでベースラインは、吸熱ピークの開始からピーク終了まで、融解前後の温度でカーブがスムーズにつながるように設定した。また融解吸熱ピーク面積のうち、150℃以下の部分の面積を150℃融解熱とした。
8)熱収縮率(単位:%)
JIS Z 1712:2009に準拠して以下の方法で測定した。フィルム基材及び積層フィルムを巾20mm、長さ200mmの大きさで、縦方向、横方向にそれぞれ各5ヶカットし、150℃の熱風オーブン中に吊るして15分間加熱した。加熱後の約50mm間隔の標線での長さを測定し、元の長さに対する収縮した長さの割合(百分率)を熱収縮率とした。
9)ヤング率(単位:GPa)
JIS K 7127:1999に準拠してフィルム基材及び積層フィルムの縦方向および横方向のヤング率を23℃にて測定した。フィルム基材及び積層フィルムを巾15mm、長さ200mmの大きさで、縦方向、横方向にそれぞれ各5ヶカットし、200mm/min.引張速度で、引張試験した際の引張強度を測定した。
10)耐衝撃性(単位:J)
東洋精機社製「フィルムインパクトテスター(衝撃頭:12.7mm)」を用いて、23℃にて測定した。フィルム基材を巾(横方向):105mm、長さ(縦方向):297mmの大きさで、各5ヶカットし、衝撃強度を測定した。
11)厚み均一性(厚み斑)(単位:%)
巻き取ったフィルムロールから長さが1mの正方形のサンプルを切り出し、縦方向および横方向にそれぞれ10等分して測定用サンプルを100枚用意した。測定用サンプルのほぼ中央部を接触式のフィルム厚み計で厚みを測定した。得られた100点のデータの平均値Aを求め、また最小値と最大値の差(絶対値)Bを求め、(B/A)×100の式を用いて計算した値をフィルムの厚み斑とした。
12)ヘイズ(単位:%)
JIS K7136:1999に従ってフィルム基材を測定した。
13)フィルム密度(単位:g/cm
フィルム基材の密度は、JIS K7112:1999に従って、密度勾配管法により測定した。
14)屈折率(Nx、Ny、Nz)
アッベ屈折計(アタゴ社製)を用いて、23℃、湿度 65%、測定用液はベンジルアルコール、測定波長は589nm(ナトリウムD線)でフィルム基材を測定した。縦方向、横方向に沿った屈折率をそれぞれNx、Nyとし、厚み方向の屈折率をNzとした。
15)面配向係数P
上記14)で測定したNx、Ny、Nzを用いて、式:P=[(Nx+Ny)/2]-Nzから算出した。
(無機薄膜層の組成・膜厚)
無機化合物の組成膜厚は蛍光X線分析装置(リガク社製ZSX100e)を用いて、予め作成した検量線により膜厚組成を測定した。なお、励起X線管の条件として50kV、70mAとした。
検量線は以下の手順で求めたものである。
酸化アルミニウムと酸化ケイ素とからなる無機化合物薄膜を持つフィルムを数種類作製し、誘導結合プラズマ発光法(ICP法)で酸化アルミニウムと酸化ケイ素それぞれの付着量を求めた。次いで、付着量を求めた各フィルムを蛍光X線分析装置(リガク社製ZSX100e、励起X線管の条件:50kv、70mA)で分析することにより各サンプルの酸化アルミニウムと酸化ケイ素との蛍光X線強度を求めた。そして、蛍光X線強度とICPで求めた付着量の関係を求めて検量線を作成した。
ICPで求めた付着量は基本的に質量であるのでこれを膜厚組成とするため以下のように変換した。
膜厚は、無機酸化薄膜の密度がバルク密度の8割であるとし、かつ酸化アルミニウムと酸化ケイ素とが混合された状態であってもそれぞれ体積を保つとして算出した。
酸化アルミニウムの膜中の含有率wa(質量%)、酸化ケイ素の膜中の含有量ws(質量%)は、酸化アルミニウムの単位面積当たりの付着量をMa(g/cm2)、酸化ケイ素の単位面積当たりの付着量をMs(g/cm2)とすると、各々下記式(1)、(2)で求められる。
wa=100×[Ma/(Ma+Ms)] (1)
ws=100-wa (2)
すなわち、酸化アルミニウムの単位面積当たりの付着量をMa(g/cm2)、そのバルクの密度をρa(3.97g/cm)とし、酸化ケイ素の単位面積当たりの付着量をMs(g/cm2)、そのバルクの密度をρs(2.65g/cm)とすると、膜厚t(nm)は下記式(3)で求められる。
t=((Ma/(ρa×0.8)+Ms/(ρs×0.8))×107・・・式(3)
蛍光X線で測定した膜厚の値は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、実際に計測した膜厚と近いものであった。
16)酸素透過率(mL/m/day/MPa)
酸素透過度測定装置(MOCON社製OX-TRAN2/21)を用いて、温度23℃、相対湿度65%の条件にてポリプロピレンフィルム基材、積層ポリプロピレンフィルム及び上記ラミネート積層体の測定を行った。無機薄膜層と反対側の面を調湿側になるようにした。
17)水蒸気透過率(g/m・day)
水蒸気透過量は、水蒸気透過度測定装置(MOCON社製PERMATRAN-W3/33)を用いて、温度37.8℃、相対湿度90%の条件にてポリプロピレンフィルム基材、積層ポリプロピレンフィルム及び下記手順で作成したラミネート積層体の測定を行った。無機薄膜層と反対側の面を高湿度側になるようにした。
18)ラミネート強度
ラミネート強度は以下のような手順により測定した。
1)シーラントフィルムとのラミネート積層体の作成連続式のドライラミネート機を用いて以下の様に行った。
実施例、比較例で得られた積層ポリプロピレンフィルムのコロナ面に接着剤を乾燥時塗布量が3.0g/mとなるようにグラビアコートした後、乾燥ゾーンに導き80℃、5秒で乾燥した。引き続き下流側に設けられたロール間でシーラントフィルムと貼り合わせた(ロール圧力0.2MP、ロール温度:60℃)。得られたラミネート積層体は巻き取った状態で40℃、3日間のエージング処理を行った。
なお、接着剤は主剤(東洋モートン社製、TM329)17.9質量%、硬化剤(東洋モートン社製、CAT8B)17.9質量%および酢酸エチル64.2質量%を混合して得られたエーテル系接着剤を使用し、シーラントフィルムは東洋紡社製 無延伸ポリプロピレンフィルム(パイレン(登録商標)CT P1128、厚み30μm)を使用した。
2)ラミネート強度の測定
上記で得られたラミネート積層体を二軸配向ポリプロピレンフィルムの縦方向に長辺を持つ短冊状(長さ200mm、幅15mm)に切り出し、引張試験機(テンシロン、オリエンテック社製)を用いて、23℃の環境下200mm/分の引張速度でT字剥離した際の剥離強度(N/15mm)を測定した。測定は3回行い、その平均値をラミネート強度とした。
(実施例1)
ポリプロピレン系樹脂として、Mw/Mn=7.7、Mz+1/Mn=140、MFR=5.0g/10分、メソペンタッド分率[mmmm]=97.3%であるプロピレン単独重合体(日本ポリプロ(株)製「ノバテック(登録商標)PP SA4L」:共重合モノマー量は0モル%;以下「PP-1」と略する)を用いた。
このポリプロピレン系樹脂を、60mm一軸押出機を用いて、250℃でTダイよりシート状に押出し、30℃の冷却ロールで冷却固化した後、135℃で長さ方向(縦方向)に4.5倍に縦延伸し、次いで両端をクリップで挟み、熱風オーブン中に導いて、170℃で予熱後、160℃で横方向(横方向)に8.2倍に横延伸し、次いで6.7%のリラックスを掛けながら168℃で熱処理した。その後、フィルムの片面にコロナ処理を行い、ワインダーで巻き取って、本発明の基材として用いる延伸ポリプロピレンフィルムとした。
得られたフィルムの厚みは20μmであった。表1にフィルムを構成する
ポリプロピレンの特性を、表2に製膜条件をそれぞれ示す。得られたフィルムの物性は、表3に示すとおりであり、熱収縮率は低く、ヤング率は高かった。また、このフィルムの示差走査熱量測定(DSC)で得られたチャートを図2に示す。
蒸着源として、3~5mm程度の大きさの粒子状のAl(純度99.5%)とSiO(純度99.9%)を用い、電子ビーム蒸着法で、上記延伸ポリプロピレンフィルム上にAlとSiOを同時に蒸着しAl-SiO系薄膜層の形成を行った。蒸着材料は、直径40mmの円形の坩堝をカーボン板で2つに仕切り、それぞれに粒状のAl、粒状のSiOを混合せずに投入した。加熱源として一台の電子銃を用い、AlとSiOのそれぞれを時分割で電子ビームを照射して加熱し、ポリプロピレンフィルム表面に加熱気化しAlとSiOとを混合して蒸着させた。その時の電子銃のエミッション電流は205mA、加速電圧は6kV、坩堝に投入された酸化アルミニウムには160mA×6kV相当の、酸化硅素には45mA×6kV相当の電力投入がされた。蒸着時の真空圧は1.1×10-4Paとし、フィルムを支持するロールの温度を23℃とした。薄膜層の厚みは製膜速度を変更することによって水晶振動子式膜厚計を使い20nmとなるように蒸着し、積層ポリプロピレンフィルムを得た。得られたフィルム物性を表3に示す。
(実施例2)
ポリプロピレン系樹脂として、Mw/Mn=8.9、Mz+1/Mn=110、MFR=3.0g/10分、[mmmm]=97.1%であるプロピレン単独重合体(サムスントタル(株)製「HU300」:共重合モノマー量は0モル%;以下「PP-2」と略する)を用い、横延伸の予熱温度を171℃、横延伸温度を161℃、横延伸後の熱処理温度を170℃とした以外は、実施例1と同様にして、本発明の基材である延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
得られたフィルムの厚みは20μmであった。表1にフィルムを構成するポリプロピレンの構造を、表2に製膜条件をそれぞれ示す。得られたフィルムの物性は、表3に示すとおりであった。
実施例1と同様にして、上記延伸ポリプリピレンフィルムに無機薄膜層を蒸着した。得られたフィルム物性を表3に示す。
(実施例3)
実施例1で用いたプロピレン単独重合体(PP―1)90質量部に対して、分子量10000の低分子量プロピレン(三井化学(株)製 ハイワックス「NP105」:共重合モノマー量は0モル%)を10質量部加えて合計100質量部とし、30mm二軸押出機にて溶融混錬して、Mw/Mn=11、Mz+1/Mn=146、MFR=7.0g/10分、[mmmm]=96.5%であるプロピレン重合体の混合物(以下「PP-3」と略する)のペレットを得た。このペレットをポリプロピレン系樹脂として用いた以外は、実施例1と同様にして、本発明の基材に用いる延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
得られたフィルムの厚みは20μmであった。表1にフィルムを構成するポリプロピレンの構造を、表2に製膜条件をそれぞれ示す。得られたフィルムの物性は、表3に示すとりであった。
実施例1と同様にして、上記延伸ポリプリピレンフィルムに無機薄膜層を蒸着した。得られたフィルム物性を表3に示す。
(実施例4)
長さ方向に5.5倍、横方向に12倍に延伸した以外は、実施例3と同様にして、本発明の基材に用いる延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
得られたフィルムの厚みは20μmであった。表1にフィルムを構成するポリプロピレンの特性を、表2に製膜条件をそれぞれ示す。得られたフィルムの物性は、表3に示すとおりであった。
実施例1と同様にして、上記延伸ポリプリピレンフィルムに無機薄膜層を蒸着した。得られたフィルム物性を表3に示す。
(実施例5)
実施例1で作製した延伸ポリプロピレンフィルムに、テンター内で、フィルム幅方向両端をクリップで挟み、170℃で5分間の熱処理を施し、本発明の延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
得られたフィルムの厚みは20μmであった。表1にフィルムを構成するポリプロピレンの特性を、表2に製膜条件をそれぞれ示す。得られたフィルムの物性は、表3に示すとおりであった。
実施例1と同様にして、上記延伸ポリプリピレンフィルムに無機薄膜層を蒸着した。得られたフィルム物性を表3に示す。
(実施例6)
ポリプロピレン系樹脂として、Mw/Mn=4.0、Mz+1/Mn=23、MFR=6.0g/10分、[mmmm]=98.7%であるプロピレン単独重合体(共重合モノマー量は0モル%;以下「PP-4」と略する)を用いた以外は、実施例1と同様にして、本発明の基材に用いる延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
得られたフィルムの厚みは20μmであった。表1にフィルムを構成するポリプロピレンの構造を、表2に製膜条件をそれぞれ示す。得られたフィルムの物性は、表3に示すとおりであった。
実施例1と同様にして、上記延伸ポリプリピレンフィルムに無機薄膜層を蒸着した。得られたフィルム物性を表3に示す。
(実施例7)
A層の両側にB層を積層した積層フィルム(B層/A層/B層)であり、A層には、表1に示すポリプロピレン単独重合体PP-4を用い、B層には、表1に示すポリプロピレン単独重合体PP-8に、アンチブロッキング剤としてシリカを0.15質量%配合したものを用いた。B層を積層することで、ラミ強度を向上させることが出来る。A層は60mm押出機、B層は65mm押出機を用いて、250℃でTダイからシート状に押し出し、30℃のチルロールで冷却固化した後、135℃で縦方向に4.5倍に延伸した。
次いでテンター内で、フィルム幅方向両端をクリップで挟み、170℃で予熱後、160℃で幅方向に8.2倍に延伸し、リラックスを6.7%させながら168℃で熱固定した。A層とB層が1層ずつ積層された二軸延伸積層ポリプロピレンフィルムを得た。積層ポリプロピレンフィルムのB層側にコロナ処理を施し、ワインダーで巻き取った。得られたフィルムの厚みは20μmであった。表1にポリプロピレン系樹脂原料の構造を、表2に製膜条件をそれぞれ示す。得られたフィルムの物性は、表3に示すとおりである。
実施例1と同様にして、上記延伸ポリプロピレンフィルムに無機薄膜層を蒸着した。得られたフィルム物性を表3に示す。
(比較例1)
ポリプロピレン系樹脂として、Mw/Mn=4、Mz+1/Mn=21、MFR=2.5g/10分、[mmmm]=97.0%であるプロピレン-エチレン共重合体(住友化学(株)製「住友ノーブレン(登録商標)FS2011DG3」:共重合モノマー量は0.6モル%;以下「PP-5」と略する)を用い、縦延伸温度を125℃、横延伸における予熱温度を168℃、横延伸温度を155℃、横延伸後の熱処理温度を163℃とした以外は、実施例1と同様にして、延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
得られたフィルムの厚みは20μmであった。表1にフィルムを構成するポリプロピレンの特性を、表2に製膜条件をそれぞれ示す。得られたフィルムの物性は、表4に示すとおりであった。
実施例1と同様にして、上記延伸ポリプリピレンフィルムに無機薄膜層を蒸着した。得られたフィルム物性を表4に示す。
(比較例2)
横延伸における予熱温度を171℃、横延伸温度を160℃、横延伸後の熱処理温度を165℃とした以外は、比較例1と同様にして、延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
得られたフィルムの厚みは20μmであった。表1にフィルムを構成するポリプロピレンの特性を、表2に製膜条件をそれぞれ示す。得られたフィルムの物性は、表4に示すとおりであった。
実施例1と同様にして、上記延伸ポリプリピレンフィルムに無機薄膜層を蒸着した。得られたフィルム物性を表4に示す。
(比較例3)
ポリプロピレン系樹脂として、Mw/Mn=4.3、Mz+1/Mn=28、MFR=0.5g/10分、[mmmm]=97.0%であるプロピレン単独重合体(共重合モノマー量は0モル%;以下「PP-6」と略する)を用いた以外は、比較例2と同様にして、延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
実施例1と同様にして、上記延伸ポリプリピレンフィルムに無機薄膜層を蒸着した。得られたフィルム物性を表4に示す。
得られたフィルムの厚みは20μmであった。表1にフィルムを構成するポリプロピレンの構造を、表2に製膜条件をそれぞれ示す。得られたフィルムの物性は、表4に示すとおりであった。
(比較例4)
ポリプロピレン系樹脂として、Mw/Mn=2.8、Mz+1/Mn=9.2、MFR=30g/10分、[mmmm]=97.9%であるであるポリプロピレン系重合体(日本ポリプロ(株)製「ノバテック(登録商標)PP SA03」:共重合モノマー量は0モル%;以下「PP-7」と略する)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、延伸ポリプロピレンフィルムを得ようと試みたが、横延伸でフィルムが破断してしまい、二軸延伸できなかった。破断の理由は流れ方向の延伸時に縦方向の配向が進み、垂直方向への延伸時に裂けてしまうためである。
(比較例5)
縦延伸温度を125℃、横延伸における予熱温度を168℃、横延伸温度を155℃、横延伸後の熱処理温度を163℃とした以外は、実施例1と同様にして、延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
得られたフィルムの厚みは20μmであった。表1にフィルムを構成するポリプロピレンの特性を、表2に製膜条件をそれぞれ示す。得られたフィルムの物性は、表4に示すとおりであった。
実施例1と同様にして、上記延伸ポリプリピレンフィルムに無機薄膜層を蒸着した。得られたフィルム物性を表4に示す。
Figure 2022088433000001
Figure 2022088433000002
Figure 2022088433000003
Figure 2022088433000004
本発明の積層ポリプロピレンフィルムは、包装用途、工業用途などに広く使用することができるが、特にガスバリア性に優れるため薄肉化が可能であり、コストダウン、軽量化を図ることができる。また、本発明の積層ポリプロピレンフィルムは、耐熱性が高いため、コートや印刷時に高温での処理が可能となり、生産の効率化や従来用いられにくかったコート剤やインキ、ラミネート接着剤などを用いることができる。さらには、本発明のポリプロピレンフィルムは、コンデンサーやモーターなどの絶縁フィルム、太陽電池のバックシート、ITOなどの透明導電フィルムのベースフィルムにも適する。

Claims (4)

  1. 13C-NMRで測定されるメソペンタッド分率の下限が96%であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)積算カーブを測定した場合の分子量10万以下の成分の量が35質量%以上であるポリプロピレン系樹脂を用いた二軸延伸ポリプロピレンフィルム基材に酸化アルミニウム及び酸化ケイ素の少なくとも一方あるいはこれらの複合酸化物を主たる成分とする無機薄膜層を直接蒸着した積層ポリプロピレンフィルムであり、かつ積層ポリプロピレンフィルムの150℃における縦方向の熱収縮率が7%以下である積層ポリプロピレンフィルムと、直鎖状低密度ポリエチレンあるいはポリプロピレンからなるフィルムとのラミネート積層体であって、温度23℃、相対湿度65%下における酸素透過度が20mL/m/day/MPa以下であり、縦方向のラミネート強度が1.1N/15mm以上である、ラミネート積層体。
  2. 二軸延伸ポリプロピレンフィルム基材の縦方向のヤング率が2GPa以上であり、横方向のヤング率が3.8GPa以上である、請求項1に記載のラミネート積層体。
  3. 積層ポリプロピレンフィルムの150℃における横方向の熱収縮率が7%以下である、請求項1又は2に記載のラミネート積層体。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載のラミネート積層体を用いた包装容器。
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