JP6901029B2 - 積層フィルム - Google Patents
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Description
しかしながら、これらのポリプロピレンフィルムは延伸性に難があり、耐衝撃性など機械特性も劣るものであった。
。
しかしながら、これらのポリプロピレンフィルムは、未だに150℃を超えるような高温での耐熱性は十分なものとは言えず、高い耐熱性を持ち、耐衝撃性、透明性に優れたポリプロピレンフィルムは知られていなかった。つまり、従来のポリプロピレンフィルムの域を超えるものではなく、その用途は限られたものであり、例えば150℃を超えるような高温での耐熱性については着目もされていなかった。
しかしながら、上記のポリビニルアルコールやエチレンビニルアルコール共重合体の高分子樹脂組成物を用いてなる積層フィルムは湿度依存性が大きいため、高湿下においてガスバリア性の低下が見られ、炭化水素環を含有するポリウレタン樹脂では十分満足できるガスバリア性能は得られていなかった。
しかしながら、シリカやアルミナなどを無機組成物を蒸着、積層させたフィルムは、蒸着工程中や、その後の印刷層やラミネート層を積層時での乾燥工程、包装材料として用いる際の袋体加工時の加熱工程時にてかかる熱により、基材であるポリプロピレンフィルムの収縮により、前記蒸着層に割れや亀裂が生じ、ガスバリア性の低下が見られ、十分満足できる性能は得られていなかった。
しかしながら、これらの積層フィルムは、架橋させるためには十分な加熱処理が必要で、基材であるポリプロピレンフィルムの機械特性の劣化や加工時の熱ジワにより包装材料として十分な特性を満足できない他、加工時の加熱処理の際、たくさんのエネルギーが必要なため、環境負荷の観点でも好ましくなかった。
しかしながら、これらの積層フィルムは、無機層状粒子により透明性を低下させ、包装材料として使用する際に内容物の視認性がするため、好ましくなかった。
しかしながら、これらの積層フィルムは、基材フィルムであるポリプロピレンフィルムによって、水蒸気バリア性に優れるものの、酸素バリア性を付与するポリ塩化ビニリデン系樹脂からなる被膜層の機能は従来技術の範疇であり、更に高度な酸素バリア性能を発現するためには、前記被膜層の膜厚を大きくするのが現状であった。
膜厚の増大は製造コストの増大になるほか、被膜層を含む塗布液を塗布後、乾燥工程にて十分な加熱処理となり、機械特性の劣化や加工時の熱ジワにより包装材料として十分な特性を満足できなかった。さらに前記被膜層の厚みが大きいことで省資源化の観点や廃棄・焼却の際に有害物質が発生する危険性が高く、環境負荷の観点でも好ましくなかった。
第2の発明は、前記基材フィルムが以下の要件(a)〜(c)を満たすプロピレン系重合体から主としてなる配向フィルムであり、かつ、以下の要件(d)を満たす、第1の発明に記載の積層フィルムである。
(a)メソペンタッド分率が96%以上
(b)プロピレン以外のコモノマー含有量が0.5モル%以下
(c)メルトフローレート(MFR)が0.5g/10分以上、20g/10分以下
(d)広角X線散乱法により測定されるポリプロピレンのα型結晶の110面の散乱強度を方位角に対してプロットした時の最大ピークの半値幅が30度以下
(積層フィルム)
本発明の積層フィルムでは、被覆層の比重が1.20g/cm3以上、1.60g/cm3以下であることが重要である。ポリ塩化ビニリデン系樹脂の比重が1.20g/cm3より小さい場合、酸素バリア性を十分に発現することができない。一方、1.60g/cm3より大きい場合、塗布層が脆弱となり、包装材料として用いる際、取り扱い時の積層フィルムの変形に対して、被覆層が追従できず、割れ等の欠陥を生じる。
本発明の積層フィルムの120℃におけるMD方向、及び、TD方向の熱収縮率において、積層フィルムの熱収縮率Bが共に2.0%以下であることが好ましい。熱収縮率Bが2.0%を超えると、印刷層やラミネート層を積層時での乾燥工程の場合や、包装材料として用いる際の袋体加工時の加熱工程時の場合に、積層フィルムが収縮し、加工性の低下や包装材料としての品位を損ねることがある。
さらに、後述の被覆層を薄膜化しても、従来の積層フィルムと同等以上のガスバリア性能の発現を可能とするという利点も有する。
ここで、MD方向とは、フィルムの流れ方向(長さ方向または長手方向と言うこともある)であり、TD方向とは、フィルムの流れ方向に垂直な方向(横方向または幅方向と言うこともある)である。
本発明の積層フィルムは酸素透過度(OTR)が150ml/m2・day・MPa以下、かつ、水蒸気透過度(WVTR)が5.0g/m2・day以下が好ましい。さらには酸素透過度(OTR)が100ml/m2・day・MPa以下が好ましく、さらには水蒸気透過度(WVTR)が3.0g/m2・day以下であることが好ましい。
ここで酸素透過度(OTR)の評価はJIS K7126−2A法に準じて、20℃、80%RHの条件下で酸素透過度測定装置(MOCON社製OX−TRAN2/21)を用いて測定し、水蒸気透過度(WVTR)の評価は40℃、90%RHの条件下で水蒸気透過度測定装置(MOCON社製PERMATRAN−W3/33)を用いて測定を行った。この場合、例えば食品や医薬品、工業製品などの包装材料として好適に用いることがきる
本発明における被覆層はポリ塩化ビニリデン系樹脂を主成分とすることが重要である。
ポリビニルアルコール樹脂のように高湿度環境下での酸素バリア性の低下が小さく、優れた酸素バリア性を有することができ好適である。
ポリ塩化ビニリデン系樹脂が酸素バリア性を発現する要因として、前記樹脂中の結晶部の比率を挙げることができ、この結晶部の比率が大きいほど、高い酸素バリア性を発現する。
従来の技術では、基材として用いるポリプロピレンフィルムには耐熱性が無いため、ポリ塩化ビニリデン系樹脂を少なくとも含む塗布液を塗布後、乾燥工程する際に、高い熱負荷を与えることが非常に困難なため、被覆層に含有するポリ塩化ビニリデン系樹脂が持つ結晶部の比率を大きくできず、高度な酸素バリア性は発現させることができなかった。室温より高い温度で長期間エージング処理する方法も試みられたが、塗布乾燥後では被覆層に含有するポリ塩化ビニリデン系樹脂の分子運動が制約され、結晶部の比率は期待するほど大きくならなかった。
これに対して、本発明では後述する基材フィルムを使用することにより、乾燥工程にて、従来よりも高い熱負荷を与えることが可能で、この熱負荷によりポリ塩化ビニリデン系樹脂中の非結晶部が結晶部に取り込まれ、結晶成長をし、従来では発現することができなかった高度な酸素バリア性は発現することを新たに見出した。
本発明で用いる基材フィルムは、プラスチック基材フィルムであり、例えば、プラスチックを溶融押出しし、必要に応じ、長手方向及び/又は幅方向に延伸、冷却、熱固定を施したフィルムを用いることができる。基材フィルムを構成する樹脂組成としては、ナイロン4・6、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン12等に代表されるポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等に代表されるポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等に代表されるポリオレフィン系樹脂;のほか、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリ乳酸等が挙げられる。これらの中でも、水蒸気バリア性の点でポリオレフィン系樹脂が好ましく、特にポリプロピレンやポリプロピレンに他の成分を共重合した共重合体などのポリプロピレン系樹脂が好ましい。
ここで、耐熱性有するとは前記積層フィルムの120℃におけるMD方向、及び、TD方向の熱収縮率が共に2.0%以下であるのに適した、熱収縮特性を有することを意味する。熱収縮率が小さい方が、記積層フィルムの120℃におけるMD方向、及び、TD方向の熱収縮率は小さくなる傾向にあるが、積層フィルムの120℃におけるMD方向、及び、TD方向の熱収縮率が共に2.0%以下となるように設計すればよい。
プロピレン単独重合体であることがより好ましく、プロピレン単独重合体であっても、頭
−頭結合のような異種結合を含まないことが最も好ましい。
広角X線回折測定に用いるX線発生源としては、実験室で用いられる管球式や回転式などの一般的な装置でもよいが、平行度が高く高輝度の放射光を照射できる高輝度光源を用いることが好ましい。放射光では、X線が広がりにくく輝度も高いため、測定を高精度かつ短時間で行うことができ、例えば厚み数十ミクロンのフィルムサンプルでもフィルムを重ね合わせることなくフィルム1枚での測定が可能になり、しかも精度の高い測定が可能であるので詳細な結晶配向評価が可能になる。それに対して、輝度が低いX線では、厚み数十ミクロンのフィルムサンプルを測定する場合、複数枚を重ね合わさなければ測定に長時間を要することになり、複数枚を重ね合わさせると、微小なズレにより、110面の散乱強度を方位角に対してプロットした時のピークがブロードになり、得られる半値幅の値が大きくなる傾向となる。
平行度が高く高輝度の放射光を照射可能な設備としては、例えば、SPring−8のような大型放射光施設等を挙げることができ、例えば、フロンティアソフトマター開発産学連合体(FSBL)が所有するビームラインBL03XUを使用して本発明の半値幅を測定することが好ましい。
本発明の積層フィルムは、基材フィルムと被覆層の接着性の向上を目的に中間層を設けることができる。なお、基材フィルムの透明性を上げるためにフィルム中に粒子を含有させない場合、粒子を含有する中間層をフィルム製造時に同時に設けることにより、基材フィルムのハンドリング性を付与することができる。
本発明において、基材フィルム上に被覆層を設ける方法としては、溶媒、ポリ塩化ビニリデン系樹脂等を含有する塗布液を基材フィルム上に塗布、乾燥する方法が挙げられる。
溶媒として、塗布層を形成する材料との混合性や加工条件等で任意に選択され、トルエン等の有機溶剤、水、あるいは水と水溶性の有機溶剤の混合系が挙げられるが、好ましくは、環境問題の点から水単独あるいは水に水溶性の有機溶剤を混合したものが好ましい。
本発明の積層フィルムは、公知の積層フィルムが備えているシーラントと呼ばれるヒートシール性樹脂層を積層することが包装材料としても好適である。ヒートシール性樹脂層は積層フィルムの任意の片面、もしくは両面に設けることが可能だが、ガスバリア性を具備する被膜層の保護の観点より、被膜層上に設けることが好ましい。ヒートシール性樹脂層を形成する熱可塑性重合体としては、シーラント接着性が十分に発現できるものであればよく、HDPE、LDPE、LLDPEなどのポリエチレン樹脂類、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体、アイオノマー樹脂等を使用できる。
また、本願発明の好ましい実施態様として、耐熱性や剛性の高いポリプロピレンフィルムを基材とし、ガスバリア性を有するポリ塩化ビニリデン系樹脂を含有した被膜層を積層したフィルムを用いる場合は、機械特性とガスバリア性の両方の特性をより高度に両立でき、例えば菓子やパンなどの食品包装として好適に使用しうる。
以下の方法でサンプルを調製し透過型電子顕微鏡を用いて観察した。まず、得られたフィルムをフィルムの流れ方向に対して垂直に切り出し、エポキシ樹脂中に包埋した。エポキシ樹脂としては、ルアベック812、ルアベックNMA(以上ナカライテスク社製)、DMP30(TAAB社製)を、100:89:3の重量割合で良く混合したものを用いた。サンプルフィルムをエポキシ樹脂中に包埋した後、温度60℃に調整したオーブン中に16時間放置し、エポキシ樹脂を硬化せしめ包埋ブロックを得た。
得られた包埋ブロックを、日製産業製ウルトラカットNに取り付け、超薄切片を作成した。まず、ガラスナイフを用いてフィルムの観察に供したい部分の断面がレジン表面に現れるまでトリミングを実施した。次に、ダイアモンドナイフ(住友電工製、スミナイフSK2045)を用いて超薄切片を切りだした。切りだした超薄切片をメッシュ上に回収した後、薄くカーボン蒸着を施した。電子顕微鏡観察は、日本電子製JEM−2010を用いて、加速電圧200kVの条件で実施した。フィルム断面の電子顕微鏡撮影で得られた像より、基材フィルム厚み、及び、被覆層厚みの測定を行った。
メソペンタッド分率、及び、メソ平均連鎖長の測定は、13C−NMRを用いて行った。メソペンタッド分率は、「Zambelliら、Macromolecules,第6巻,925頁(1973)」に記載の方法に従い、メソ平均連鎖長は、「J.C.Randallによる、“Polymer Sequence Distribution”第2章(1977年)(Academic Press,New York)」に記載の方法に従って算出した。13C−NMR測定は、BRUKER社製「AVANCE500」を用い、試料200mgをo−ジクロロベンゼンと重ベンゼンの8:2(体積比)の混合液に135℃で溶解し、110℃で行った。
ポリプロピレン試料1gを沸騰キシレン200mlに溶解して放冷後、20℃の恒温水槽で1時間再結晶化させ、ろ過液に溶解している質量の、元の試料量に対する割合をキシレン可溶分(質量%)とした。
JIS K7210に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgfで測定した。
分子量、および、分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて単分散ポリスチレン基準により求めた。GPC測定での使用カラム、溶媒等の測定条件は以下のとおりである。
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン
カラム:TSKgel GMHHR−H(20)HT×3
流量:1.0ml/min
検出器:RI
測定温度:140℃
数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)はそれぞれ、分子量校正曲線を介して得られたGPC曲線の各溶出位置の分子量(Mi)の分子数(Ni)により次式で定義される。
数平均分子量:Mn=Σ(Ni・Mi)/ΣNi
質量平均分子量:Mw=Σ(Ni・Mi 2)/Σ(Ni・Mi)
分子量分布:Mw/Mn
また、GPC曲線のピーク位置の分子量をMpとした。
ベースラインが明確でないときは、標準物質の溶出ピークに最も近い高分子量側の溶出ピークの高分子量側のすそ野の最も低い位置までの範囲でベースラインを設定することとした。
本発明の基材フィルムでは、大型放射光施設SPring―8の中にフロンティアソフトマター開発産学連合体(FSBL)が所有するビームラインBL03XUの第2ハッチにおいて、X線源方向とフィルム面とのなす角が垂直となすようし、測定フィルムをセットし、広角X線(WAXS)測定を行った。測定条件を下記に示す。
X線波長は0.1nmとし、検出器としてイメージングプレート(RIGAKU R−AXIS VII)またはイメージインテンシファイア付きCCDカメラ(Hamamatsu Photonics V7739P + ORCA R2)を用い、試料前後にセットしたイオンチェンバーの値から透過率を算出した。得られた2次元像に対して暗電流(ダークノイズ)および透過率を勘案した空気散乱補正を行った。カメラ長の測定には酸化セリウム(CeO2)を用い、Fit2D (European Synchrotron Radiation Facility製のソフトウェア[http://www.esrf.eu/computing/scientific/FIT2D/])を用いて(110)面の方位角プロファイルを算出した。
大型放射光施設SPring―8の中にフロンティアソフトマター開発産学連合体(FSBL)が所有するビームラインBL03XUの第2ハッチにおいて、フィルムのMD方向を上下、TD方向を左右とし、X線源方向とフィルム面とのなす角が垂直となすように測定フィルムをセットし、小角X線(SAXS)測定を行った。測定条件を下記に示す。
X線波長は0.2nmとし、カメラ長は約7.7m、検出器としてはイメージングプレート(RIGAKU R−AXIS VII)を用い散乱ベクトルqの0.01〜0.5(nm−1)の範囲の散乱像を得た。ここで散乱ベクトルqはθを散乱角2θの半分、πを円周率、λをX線の波長とした時、式q=4πsinθ/λによって算出される。得られた散乱像に対してWAXS測定と同様に暗電流(ダークノイズ)および透過率を勘案した空気散乱補正を行い、正確なカメラ長の測定にはベヘン酸銀で別途校正したコラーゲンを用いた。前述のFit2dソフトウェアを用い試料の巾方向のプロファイルを算出し横軸に散乱ベクトルq(nm−1)、縦軸に強度I(q)の常用対数をとりプロットした。ここでプロファイルの算出範囲は巾方向から±5度とした。
JIS K 7127に準拠してフィルムのMD方向およびTD方向のヤング率を23℃にて測定した。
JIS K7136に準拠し、濁度計(日本電色製、NDH2000)を用いて測定した。
JIS K7126−2Aに準じて、酸素透過度測定装置(MOCON社製「OX−TRAN 2/20」)を用い、20℃、80%RHの条件下で測定した。ここで酸素透過度が150ml/m2・day・MPa以下のものを酸素バリア性を有するものとし、100ml/m2・day・MPa以下を優れた酸素バリア性を有するものと、50ml/m2・day・MPa以下を特に優れた酸素バリア性を有するものと判断した。
JIS K7129−Bに準じて、水蒸気透過度測定装置(MOCON社製PERMATRAN−W3/33)を用いて、40℃、90%RHの条件下にて測定を行った。ここで水蒸気透過度が5.0g/m2・day以下のものを水蒸気バリア性を有するものとし、4.5g/m2・day以下を優れた水蒸気バリア性を有するものと、4.0g/m2・day以下を特に優れた水蒸気バリア性を有するものと判断した。
JIS Z 1712に準拠して以下の方法で測定した。実施例、および、比較例で得られた積層フィルムを巾20mm、長さ200mmの大きさで、MD方向、TD方向にそれぞれカットし、120℃の熱風オーブン中に吊るして5分間加熱した。加熱後の長さを測定し、元の長さに対する収縮した長さの割合(百分率)を熱収縮率とした。
JIS K7112に準拠して、密度勾配管法により以下の方法で測定した。実施例、および、比較例で得られた基材フィルムの比重Ds、積層フィルムの比重Dtを測定した。その測定値と基材フィルム厚みTs、被覆層厚みTcより、下記式により被覆層の比重を求めた。
被覆層の比重(g/cm3)=(Dt×(Ts+Tc)−Ts×Ds)/Tc
塗布液を塗布後の乾燥温度、フィルム張力が適切かどうか判定するために、シワ発生の有無を評価した。幅300mm、長さ1000mの基材フィルムに塗布乾燥し被覆層を設けた際に、得られた積層フィルムにシワが発生しなければ良好(○)、発生した場合は不良(×)と判定した。
塗布液を塗布後の乾燥温度、フィルム張力が適切かどうか判定するために、塗工外観を評価した幅300mm、長さ1000mの基材フィルムに塗布乾燥して被覆層を設けた際に、被覆層にコート抜け、ハジキが全く見られなければ良好(○)、欠陥が見られれば不良(×)と判定した。
塗布液を塗布後の乾燥温度、フィルム張力が適切かどうか判定するために、幅方向収縮率を評価した。幅300mm、長さ1000mの基材フィルムに塗布乾燥して被覆層を設けた後、フィルム幅長さを測定した。塗工前のフィルム幅長さをa、塗工後のフィルム幅長さをbとしてとき、下記式により塗工前後でのフィルム幅方向の収縮率(幅方向収縮率)を求めた。この収縮率が2.0%以下であれば良好、2.0%を超えた場合は不良と判定した。
幅方向収縮率(%)=(a−b)×100/a
ポリプロピレン樹脂として、Mw/Mn=7.7、MFR=5.0g/10分、メソペンタッド分率=97.3%であるプロピレン単独重合体(日本ポリプロ製「ノバテック(登録商標)PP SA4L」:共重合モノマー量は0モル%;以下「PP−1」と略する)を用いた。
このポリプロピレン樹脂を、60mm押出機を用いて、250℃でTダイよりシート状に押出し、30℃の冷却ロールで冷却固化した後、135℃で長さ方向(MD方向)に4.5倍に縦延伸し、次いで両端をクリップで挟み、熱風オーブン中に導いて、170℃で予熱後、160℃で横方向(TD方向)に8.2倍に横延伸し、次いで6.7%のリラックスを掛けながら168℃で熱処理した。その後、両端部をシア刃によりトリミング処理を行い、フィルムの片面にコロナ処理を行い、ワインダーで巻き取って、幅300mm、長さ1000m、厚み20μmの基材フィルムを得た。得られた基材フィルムのポリプロピレンの構造を表1、製膜条件を表2、基材フィルムの物性を表3にそれぞれ示す。
ポリプロピレン樹脂として、Mw/Mn=8.9、MFR=3.0g/10分、メソペンタッド分率=97.1%であるプロピレン単独重合体(サムスントタル製「HU300」:共重合モノマー量は0モル%;以下「PP−2」と略する)を用い、横延伸の予熱温度を171℃、横延伸温度を161℃、横延伸後の熱処理温度を170℃とした以外は、基材フィルム(S−1)と同様にして、厚み20μmの基材フィルムを得た。得られた基材フィルムのポリプロピレンの構造を表1、製膜条件を表2、基材フィルムの物性を表3にそれぞれ示す。
基材フィルム(S−1)で用いたプロピレン単独重合体(PP―1)90質量部に対して、分子量10000の低分子量プロピレン(三井化学製 ハイワックス「NP105」:共重合モノマー量は0モル%)を10質量部加えて合計100質量部とし、30mm二軸押出機にて溶融混錬して、Mw/Mn=11、MFR=7.0g/10分、メソペンタッド分率=96.5%であるプロピレン重合体の混合物(以下「PP−3」と略する)のペレットを得た。このペレットをポリプロピレン樹脂として用いた以外は、基材フィルム(A−1)と同様にして、厚み20μmの基材フィルムを得た。得られた基材フィルムのポリプロピレンの構造を表1、製膜条件を表2、基材フィルムの物性を表3にそれぞれ示す。
長さ方向に5.5倍、横方向に12倍に延伸した以外は、基材フィルム(S−3)と同様にして、厚み20μmの基材フィルムを得た。得られた基材フィルムのポリプロピレンの構造を表1、製膜条件を表2、基材フィルムの物性を表3にそれぞれ示す。
ポリプロピレン樹脂として、Mw/Mn=4.0、MFR=6.0g/10分、メソペンタッド分率=98.7%であるプロピレン単独重合体(共重合モノマー量は0モル%;以下「PP−4」と略する)を用いた以外は、基材フィルム(S−1)と同様にして、厚み20μmの基材フィルムを得た。得られた基材フィルムのポリプロピレンの構造を表1、製膜条件を表2、基材フィルムの物性を表3にそれぞれ示す。
ポリプロピレン樹脂として、Mw/Mn=4、MFR=2.5g/10分、メソペンタッド分率=97%であるプロピレン−エチレン共重合体(住友化学製「住友ノーブレン(登録商標)FS2011DG3」:共重合モノマー量は0.6モル%;以下「PP−5」と略する)を用い、縦延伸温度を125℃、横延伸における予熱温度を168℃、横延伸温度を155℃、横延伸後の熱処理温度を163℃とした以外は、基材フィルム(S−1)と同様にして、厚み20μmの基材フィルムを得た。得られた基材フィルムのポリプロピレンの構造を表1、製膜条件を表2、基材フィルムの物性を表3にそれぞれ示す。
ポリプロピレン樹脂として、Mw/Mn=4.3、MFR=0.5g/10分、メソペンタッド分率=97%であるプロピレン単独重合体(共重合モノマー量は0モル%;以下「PP−6」と略する)を用いた以外は、基材フィルム(S−7)と同様にして、厚み20μmの基材フィルムを得た。得られた基材フィルムのポリプロピレンの構造を表1、製膜条件を表2、基材フィルムの物性を表3にそれぞれ示す。
ポリプロピレン樹脂として、Mw/Mn=2.8、MFR=30g/10分、メソペンタッド分率=97.9%であるであるポリプロピレン系重合体(日本ポリプロ製「ノバテック(登録商標)PP SA03」:共重合モノマー量は0モル%;以下「PP−7」と略する)を用いたこと以外は、基材フィルム(S−1)と同様にして、延伸ポリプロピレンフィルムを得ようと試みたが、横延伸でフィルムが破断してしまい、二軸延伸できなかった。
基材フィルム(S−1)のフィルムロールをロール・トゥ・ロールでコロナ処理を施した面に下記の塗布液(D−1)をマイクログラビア方式を用いて塗布乾燥後の被覆層の厚みが1.0μmになるように塗布し、フィルム張力80N/mの条件のもと、温度120℃の熱風で30秒乾燥し、ポリプロピレン製の直径6インチの円筒状コアに積層フィルムを巻き付け、幅が300mm、長さ1000mの積層フィルムロールを作成した。
(塗布液D−1)
下記の材料を下記に示す質量比で混合し、30分以上攪拌して溶解させた。次いで、公称ろ過精度が50μmのフィルターを用いて未溶解物を除去して、塗布液(D−1)を作成した。
・イオン交換水 46.48質量%
・イソプロパノール 2.50質量%
・ポリ塩化ビニリデン樹脂 51.02質量%
(旭化成ケミカルズ製サランラテックスL536B、固形分比率49%)
実施例1において、基材フィルムを基材フィルム(S−2)に変更すること以外は実施例1と同様にして、積層フィルムロールを作成した。
実施例1において、基材フィルムを基材フィルム(S−3)に変更すること以外は実施例1と同様にして、積層フィルムロールを作成した。
実施例1において、基材フィルムを基材フィルム(S−4)に変更すること以外は実施例1と同様にして、積層フィルムロールを作成した。
実施例1において、基材フィルムを基材フィルム(S−5)に変更すること以外は実施例1と同様にして、積層フィルムロールを作成した。
実施例1において、塗布乾燥後の被覆層の厚みが0.7μmになるように塗布すること以外は実施例1と同様にして、積層フィルムロールを作成した。
実施例1において、塗布乾燥後の被覆層の厚みが4.0μmになるように塗布すること以外は実施例1と同様にして、積層フィルムロールを作成した。
実施例1において、乾燥温度を80℃にすること以外は実施例1と同様にして、積層フィルムロールを作成した。
実施例1において、乾燥温度を150℃にすること以外は実施例1と同様にして、積層フィルムロールを作成した。
実施例1において、フィルム張力を30N/mに変更すること以外は同様にして、積層フィルムロールを作成した。
実施例1において、フィルム張力を150N/mに変更すること以外は同様にして、積層フィルムロールを作成した。
実施例1において、塗布乾燥後の被覆層の厚みが0.5μmになるように塗布すること以外は実施例1と同様にして、積層フィルムロールを作成した。
実施例1において、塗布乾燥後の被覆層の厚みが5.0μmになるように塗布すること以外は実施例1と同様にして、積層フィルムロールを作成した。
実施例1において、基材フィルムを基材フィルム(S−6)に変更すること以外は実施例1と同様にして、積層フィルムロールを作成した。
実施例1において、基材フィルムを基材フィルム(S−7)に変更すること以外は実施例1と同様にして、積層フィルムロールを作成した。
実施例1において、被覆層を形成する塗布液を下記の塗布液(D−2)に変更すること以外は実施例1と同様にして、積層フィルムロールを作成した。
(塗布液D−2)
・イオン交換水 15.00質量%
・イソプロパノール 5.00質量%
・ポリビニルアルコール水溶液 80.00質量%
(日本合成化学製OKS8149、固形分比率10%)
実施例1において、乾燥温度を60℃にすること以外は実施例1と同様にして、積層フィルムロールを作成した。
実施例1において、乾燥温度を160℃にすること以外は実施例1と同様にして、積層フィルムロールを作成した。
実施例1において、フィルム張力を20N/mに変更すること以外は同様にして、積層フィルムロールを作成した。
実施例1において、フィルム張力を160N/mに変更すること以外は同様にして、積層フィルムロールを作成した。
Claims (2)
- 小角X線散乱法により測定される主たる配向方向の長周期散乱ピークから求められる長周期サイズが40nm以上である基材フィルムの少なくとも一方の面に、少なくともポリ塩化ビニリデン系樹脂を含む樹脂組成物からなる被覆層を有する積層フィルムであって、前記被覆層の厚みが0.7μm以上、4.0μm以下であり、かつ被覆層の比重が1.40〜1.60g/cm3であり、前記積層フィルムの120℃におけるMD方向、及び、TD方向の熱収縮率が共に2.0%以下であることを特徴とする積層フィルム。
- 前記基材フィルムが以下の要件(a)〜(c)を満たすプロピレン系重合体から主としてなる配向フィルムであり、かつ、以下の要件(d)を満たす請求項1に記載の積層フィルム。
(a)メソペンタッド分率が96%以上
(b)プロピレン以外のコモノマー含有量が0.5モル%以下
(c)メルトフローレート(MFR)が0.5g/10分以上、20g/10分以下
(d)広角X線散乱法により測定されるポリプロピレンのα型結晶の110面の散乱強度を方位角に対してプロットした時の最大ピークの半値幅が30度以下
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