JP6477471B2 - 空洞含有ポリプロピレンフィルム - Google Patents
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Description
包装材料としての重要な特性として隠蔽性が挙げられる。包装用フィルムの隠蔽性付与の方策として(1)印刷、(2)顔料や着色剤等の練り込み、添加、(3)発泡剤添加によるボイド形成などが挙げられるが、コストや品質安定性の面から(2)無機顔料の添加や(3)発泡剤の添加によるボイド形成による方法が一般的である。
また、空洞含有フィルムは延伸むらが起こりやすく、外観に難がある場合があった。また加工性向上のため、さらに剛性の向上が求められていた。
すなわち、本発明の空洞含有ポリプロピレンフィルムは、ポリプロピレン樹脂を主体として構成された空洞含有フィルムであって、フィルムを構成するポリプロピレン樹脂が下記1)〜4)の条件を満たし、見掛け比重が0.90以下であることを特徴とする空洞含有ポリプロピレンフィルムである。
1)メソペンタッド分率の下限が96%である。
2)プロピレン以外の共重合モノマー量の上限が0.1mol%である。
3)230℃、2.16kgfで測定されるメルトフローレート(MFR)の下限が1g/10minである。
4)z+1平均分子量(Mz+1)/数平均分子量(Mn)の下限が50である。
それゆえ、ヒートシール温度を高く設定することができ、ヒートシール強度を向上させることができるだけでなく、製袋加工におけるライン速度を大きくすることなどが可能となり、生産性が向上する。さらには、レトルトなど高温処理を行う際にも、袋の変形量を抑えることができる。
1)メソペンタッド分率の下限が96%である。
2)プロピレン以外の共重合モノマー量の上限が0.1mol%である。
3)230℃、2.16kgfで測定されるメルトフローレート(MFR)の下限が1g/10minである。
4)z+1平均分子量(Mz+1)/数平均分子量(Mn)の下限が50である。
本発明の空洞含有ポリプロピレンフィルムの特徴の一つは、構成するポリプロピレン樹脂の分子量分布状態にある。
本発明の空洞含有ポリプロピレンフィルムを構成するポリプロピレン樹脂は、例えば質量平均分子量(Mw)が10万程度の低分子量の成分を主とし、さらに例えばMwが150万程度の非常に分子量の高い高分子量成分が含まれている。低分子量成分を主とすることで結晶性を大きく高めることができ、従来にはない高剛性、高耐熱性の延伸ポリプロピレンフィルムが得られていると考えられる。一方、低分子量のポリプロピレン樹脂は加熱軟化した場合の溶融張力が低く、一般には延伸発泡フィルムとすることはできない。そこに高分子量成分を数%〜数十%存在させることで延伸を可能にさせると共に、高分子量成分が結晶核の役割を果たし、さらにフィルムの結晶性を上げ、本発明の空洞含有フィルムの効果を達成しているものと考えられる。
本発明においては、Mw/Mnの下限は5.5であることが好ましい。Mw/Mnの下限は、好ましくは6であり、より好ましくは6.5であり、さらに好ましくは7であり、特に好ましくは7.2である。Mw/Mnが上記未満であると高温での低い熱収縮率など本願の効果が得られない。一方、Mw/Mnの上限は好ましくは30であり、より好ましくは25であり、さらに好ましくは20であり、特に好ましくは15であり、最も好ましくは13である。Mw/Mnが上記を超えると現実的な樹脂の製造が困難になることがある。
分子量10万以下の成分の量の上限は好ましくは65質量%であり、より好ましくは60質量%であり、さらに好ましくは58質量%であり、特に好ましくは56質量%であり、最も好ましくは55質量%である。
分子量1万以下の成分の量の下限は好ましくは2質量%であり、より好ましくは2.5質量%であり、さらに好ましくは3質量%であり、特に好ましくは3.3質量%であり、最も好ましくは3.5質量%である。分子量1万以下の成分の量が上記範囲であると低分子量成分の効果である高温での低い熱収縮率など本願の効果がより得られやすくなったり、延伸が容易となることがある。
GPC積算カーブでの分子量1万以下の成分の量の上限は好ましくは20質量%であり、より好ましくは17質量%であり、さらに好ましくは15質量%であり、特に好ましくは14質量%であり、最も好ましくは13質量%である。
高分子量成分の230℃、2.16kgfで測定されるメルトフローレート(MFR)の下限は好ましくは0.0001g/10minであり、より好ましくは0.0005g/10minであり、さらに好ましくは0.001g/10minであり、特に好ましくは0.005g/10minである。高分子量成分のMFRが上記範囲であると現実的に樹脂の製造が容易であったり、空洞含有フィルムのフィッシュアイを低減できる。
なお、高分子量成分の230℃、2.16kgfでのMFRは小さすぎて現実的測定が困難となる場合がある。そのような場合には10倍の荷重(21.6kgf)でのハイロードMFRを測定すればよく、その場合、好ましい下限は0.1g/10minであり、より好ましくは0.5g/10minであり、さらに好ましくは1g/10minであり、特に好ましくは5g/10minである。
高分子量成分の230℃、2.16kgfで測定されるMFRの上限は好ましくは0.5g/10minであり、より好ましくは0.35g/10minであり、さらに好ましくは0.3g/10minであり、特に好ましくは0.2g/10minであり、最も好ましくは0.1g/10minである。高分子量成分のMFRが上記範囲であると全体のMFRを維持するために必要な高分子成分の量が少なくてすみ、低分子量成分が奏する高温での低い熱収縮率など本願の効果がより得られやすくなる。
低分子量成分の230℃、2.16kgfで測定されるMFRの下限は好ましくは70g/10minであり、より好ましくは80g/10minであり、さらに好ましくは100g/10minであり、特に好ましくは150g/10minであり、最も好ましくは200g/10minである。低分子量成分のMFRが上記範囲であると結晶性が良くなり、高温での低い熱収縮率など本願の効果がより得られやすくなる。一方、低分子量成分の230℃、2.16kgfで測定されるMFRの上限は好ましくは2000g/10minであり、より好ましくは1800g/10minであり、さらに好ましくは1600g/10minであり、特に好ましくは1500g/10minであり、最も好ましくは1400g/10minである。低分子量成分のMFRが上記範囲であると全体でのMFRを維持しやすくなり、製膜性に優れる。
また本発明におけるポリプロピレン樹脂は、ポリプロピレン樹脂全体としてMFRを調整するために、上記の高分子量成分や低分子量成分以外の分子量を有する成分を含有していてもよく、例えば、Mwの下限が150000超であり、Mwの上限が500000未満の中分子量成分が挙げられる。また、分子鎖の絡み合いをほぐしやすくして延伸性などを調節するために、低分子量成分の分子量以下、特に分子量Mwが3万程度以下、さらには分子量Mwが1万程度以下のポリプロピレン樹脂を含有させても良い。
本発明の空洞含有ポリプロピレンフィルムを構成するポリプロピレン樹脂全体の230℃、2.16kgfで測定されるMFRの下限は、1g/10minであることが重要である。ポリプロピレン樹脂全体のMFRの下限は、好ましくは1.2g/10minであり、より好ましくは1.4g/10minであり、さらに好ましくは1.5g/10minであり、特に好ましくは1.6g/10minである。ポリプロピレン樹脂全体のMFRが上記範囲であると機械的負荷が小さく延伸が容易となる。一方、ポリプロピレン樹脂全体のMFRの上限は好ましくは20g/10minであり、より好ましくは17g/10minであり、さらに好ましくは15g/10minであり、特に好ましくは14g/10minであり、最も好ましくは13g/10minである。ポリプロピレン樹脂全体のMFRが上記範囲であると延伸が容易となったり、厚み斑が小さくなったり、延伸温度や熱固定温度が上げられやすく熱収縮率がより低くなる。
本発明の空洞含有ポリプロピレンフィルムを構成するポリプロピレン樹脂のメソペンタッド分率([mmmm]%)の下限は好ましくは96%であることが重要である。メソペンタッド分率の下限は、好ましくは96.5%であり、より好ましくは97%である。メソペンタッド分率が上記範囲であると結晶性が向上し、高温での熱収縮率を低く抑えることができる。メソペンタッド分率([mmmm]%)の上限は好ましくは99.5%であり、より好ましくは99.3%であり、さらに好ましくは99%である。メソペンタッド分率が上記範囲であると現実的な製造が容易となる。
本発明の空洞含有ポリプロピレンフィルムを構成するポリプロピレン樹脂は、プロピレンモノマーのみから得られる完全ホモポリプロピレンであることが最も好ましいが、微量であれば共重合モノマーとの共重合体であっても良い。共重合モノマー種としてはエチレン、ブテン等のオレフィンが好ましい。
上記のポリプロピレン樹脂は、チーグラー・ナッタ触媒や、メタロセン触媒等の公知の触媒を用いて、原料となるプロピレンを重合させて得られる。中でも異種結合をなくすためにはチーグラー・ナッタ触媒が好ましく、かつ、立体規則性の高い重合が可能な触媒を用いることが好ましい。
プロピレンの重合方法としては、公知の方法が利用できるが、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等の不活性溶剤中で重合する方法、液状のプロピレンやエチレン中で重合する方法、気体であるプロピレンやエチレン中に触媒を添加し、気相状態で重合する方法、または、これらを組み合わせて重合する方法、等が挙げられる。
高分子量成分、低分子量成分は別々に重合した後に混合しても良く、多段階の反応器を持つ一連のプラントにおいて多段階で重合しても良い。特に、多段階の反応器を持つプラントを用い、高分子量成分を最初に重合した後に、その存在下で低分子量成分を重合する方法が好ましい。
本発明の空洞含有ポリプロピレンフィルムは、上記ポリプロピレン樹脂を主成分とするものであるが、空洞を形成させるには発泡剤を添加するのが好ましい方法である。
本発明の空洞含有フィルムに用いられる発泡剤としては、炭酸カルシウム、シリカ等の無機系フィラー、ポリメチルアクリレート等の有機系フィラーが好ましい。特に好ましくは炭酸カルシウムである。これらフィラー表面には各種の表面処理を施すことも可能であり、またこれらは単独で使用し得るほか、2種以上を併用することも可能である。
また、空洞含有ポリプロピレンフィルム中における発泡剤の配合含有量としては0.1重量%〜20重量%が好ましく、特に0.3重量%〜15重量%であることが好ましい。発泡剤が0.1重量%未満では良好な発泡が得られず、空洞含有量も少ないためにクッション性が低下したり、20重量%より多いと発泡フィルム製膜時に破断の多発、異物が多発し、表面外観が悪くなる、また空洞含有フィルム物性としてはボイド率が高すぎ、層間強度が悪化するなどの問題が発生する。発泡剤の粒径としては0.5μm〜10μmが好ましく、特に1.0μm〜5μmが好ましい。0.5μm以下(特に0.5μm未満)ではボイドが発生しにくく、10μm以上(特に10μm超)では凝集物による外観不良が発生する。測定される平均粒子系は、マイクロトラック HRA X−100で実施された。
本発明の空洞含有フィルムには隠蔽性を増加させるために無機質あるいは有機質の微細粒子を配合することも可能である。無機質微細粒子としては、二酸化チタン、酸化タングステン、二酸化珪素、ゼオライト等が挙げられ、コスト、効果から二酸化チタンが特に好ましい。これらの形状は、球状、楕円状、円錐状、不定形と種類を問うものではなく、その粒子径も空洞含有フィルムの用途、使用法により所望のものを使用配合することができる。
また、これら無機質微細粒子表面に各種の表面処理を施すことも可能であり、また、これらは単独で使用し得るほか、2種以上を併用することも可能である。また粒径としては150nm〜500nmが好ましく、特に200nm〜400nmが好ましい。粒径が200nm以下(特に150nm未満)では隠蔽効果を発揮しにくく、500nm以上(特に500nm超)ではブツ(フィッシュアイ)発生など外観が悪化したりする。粒子径はマイクロトラック HRA X−100にて測定した。
また、必要に応じて、添加剤やその他の樹脂を添加しても良い。
添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、造核剤、粘着剤、防曇剤、難燃剤、アンチブロッキング剤等が挙げられる。
その他の樹脂としては、本発明で用いられる特定のポリプロピレン樹脂以外のポリプロピレン樹脂;プロピレンと、エチレンおよび/または炭素数4以上のα−オレフィンの共重合体であるランダム共重合体(ランダムコポリマーなど);各種エラストマー等が挙げられる。
添加剤の添加量は、空洞含有フィルム成形用樹脂組成物中5重量%以下であることが好ましく、その他の樹脂の添加量は、空洞含有フィルム成形用樹脂組成物中50重量%以下であることが好ましい。これらは、ポリプロピレン樹脂とヘンシェルミキサー等でブレンドするか、事前に溶融混錬機を用いて作製したマスターペレットを所定の濃度になるようにポリプロピレンで希釈するか、予め全量を溶融混練して使用することができる。
また、結晶性が高いため、発泡剤を添加して延伸する際に樹脂と剥離しやすくなることで、ボイドを発生させる効率が良好になり、ボイド界面の表面積が増えるため、高い隠蔽性を示す。また、高い熱固定でもボイドが潰れにくいため、耐熱性を維持したまま、優れた隠蔽性を有することが出来る。この場合、従来使用していたポリプロピレンと同じ隠蔽性を維持するのに、より少ない発泡剤量で同等の隠蔽性を発現することが出来る。見掛け比重も、より低い発泡フィルムを得ることが出来る。
まず、ポリプロピレン樹脂と発泡剤を単軸または2軸の押し出し機で加熱溶融させ、チルロール上に押し出して未延伸フィルムを得る。溶融押出しの際には、例えば、樹脂温度が200〜280℃となるようにして、Tダイよりシート状に押出し、10〜100℃の温度の冷却ロールで冷却固化することが好ましい。ついで、例えば120〜165℃の延伸ロールでフィルムをMD方向(本明細書において「MD方向」とは空洞含有フィルムの長手方向を意味し、「MD方向」を「縦方向」と称することもある)に3〜8倍に延伸し、引き続き幅(TD)方向(本明細書において「TD方向」とは空洞含有フィルムの幅方向を意味し、「TD方向」を「横方向」と称することもある)に155℃〜180℃の温度で4〜20倍に延伸することが好ましい。さらに、好ましくは165〜175℃の雰囲気温度で1〜15%のリラックスを許しながら熱処理を施すことが好ましい。また、少なくとも片面にコロナ放電処理を施すことができ、その後、ワインダーで巻取ることによりロールサンプルを得ることができる。
MD方向の延伸温度の上限は好ましくは165℃であり、より好ましくは160℃であり、さらに好ましくは155℃であり、特に好ましくは150℃である。温度が高い方が熱収縮率の低下には好ましいが、ロールに付着し延伸できなくなったり、ボイドが潰れて発泡効率が低下し、隠蔽性が失われることがある。
本発明の空洞含有ポリプロピレンフィルムのMD方向における155℃熱収縮率の下限は好ましくは0%であり、より好ましくは0.5%である。熱収縮率が上記範囲であるとコスト面などで現実的な製造が容易となったり、厚みムラが小さくなったりすることがある。一方、MD方向における155℃熱収縮率の上限は11%が好適である。MD方向における155℃熱収縮率の上限は、好ましくは8%であり、より好ましくは7%であり、さらに好ましくは6%であり、特に好ましくは5%であり、最も好ましくは4%である。熱収縮率が上記範囲であると155℃程度の高温に晒される可能性のある用途での使用がより容易となる。
なお、ヤング率は延伸倍率を高くすることで高めることができ、MD−TD延伸の場合はMD延伸倍率を低めに設定し、TD延伸倍率を高くすることでTD方向のヤング率を大きくすることができる。
見掛け比重の上限は現実的な面から好ましくは0.90g/cm3であり、より好ましくは0.85g/cm3であり、さらに好ましくは0.80g/cm3である。
なお、以下の実施例、比較例における物性の測定方法は以下の通りである。
JIS K7210に準拠し、温度230℃で測定した。
分子量および分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて単分散ポリスチレン基準により求めた。
GPC測定での使用カラム、溶媒は以下のとおりである。
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン
カラム:TSKgel GMHHR−H(20)HT×3
流量:1.0ml/min
検出器:RI
測定温度:140℃
数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)、z+1平均分子量(Mz+1)はそれぞれ、分子量校正曲線を介して得られたGPC曲線の各溶出位置の分子量(Mi)の分子数(Ni)により次式で定義される。
数平均分子量:Mn=Σ(Ni・Mi)/ΣNi
質量平均分子量:Mw=Σ(Ni・Mi2)/Σ(Ni・Mi)
z+1平均分子量:Mz+1=Σ(Ni・Mi4)/Σ(Ni・Mi3)
分子量分布:Mw/Mn、Mz+1/Mn
また、GPC曲線のピーク位置の分子量をMpとした。
ベースラインが明確でないときは、標準物質の溶出ピークに最も近い高分子量側の溶出ピークの高分子量側のすそ野の最も低い位置までの範囲でベースラインを設定することとする。
得られたGPC曲線から、分子量の異なる2つ以上の成分にピーク分離を行った。各成分の分子量分布はガウス関数を仮定し、通常のポリプロピレンの分子量分布と同様になるようにMw/Mn=4とした。得られた各成分のカーブから、各平均分子量を計算した。
メソペンタッド分率([mmmm]%)およびメソ平均連鎖長の測定は、13C−NMRを用いて行った。メソペンタッド分率は、Zambelliら、Macromolecules,第6巻,925頁(1973)に記載の方法に従い、メソ平均連鎖長は、J.C.Randallによる、“Polymer Sequence Distribution”第2章(1977年)(Academic Press,New York)に記載の方法に従って算出した。
13C−NMR測定は、BRUKER社製「AVANCE500」を用い、試料200mgをo−ジクロロベンゼンと重ベンゼンの8:2(体積比)の混合液に135℃で溶解させ、110℃で実施した。
ポリプロピレン試料1gを沸騰キシレン200mlに溶解して放冷後、20℃の恒温水槽で1時間再結晶化させ、ろ過液に溶解している質量の、元の試料量に対する割合をCXS(質量%)とした。
島津製作所製DSC−60示差走査熱量計を用いて熱測定を行った。試料には空洞含有フィルムから5mgを切り出して測定用のアルミパンに封入した。室温から20℃/分の割合で230℃まで昇温し、試料の融解吸熱ピーク温度をTmpとした。
JIS Z 1712に準拠して測定した。
空洞含有フィルムを20mm巾で200mmの長さでMD、TD方向にそれぞれカットし、熱風オーブン中に吊るして5分間加熱した。加熱後の長さを測定し、元の長さに対する収縮した長さの割合で熱収縮率を求めた。
JIS K 7127に準拠してMDおよびTD方向のヤング率を23℃で測定した。
巻き取った空洞含有フィルムロールから長さが1mの正方形のサンプルを切り出し、MD方向およびTD方向にそれぞれ10等分して測定用サンプルを100枚用意した。測定用サンプルのほぼ中央部を接触式のフィルム厚み計で厚みを測定した。
得られた100点のデータの平均値を求め、また最小値と最大値の差(絶対値)を求め、最小値と最大値の差の絶対値を平均値で除した値を空洞含有フィルムの厚み斑とした(表3では、「厚み均一性(%)」と示した)。
JIS K 7375に従って測定した。
サンプルを280mm×400mmのサイズにカットし、化学天秤にて重さを測定する。その後ダイヤルゲージを用いて厚みを測定する。それらの結果を以下の式(1)に当てはめ算出する。
見掛け比重(g/cm3)=重さ(g)/(面積(cm2)×厚み(μm)) (1)
2延伸後の空洞含有フィルム1枚を蛍光灯で透かして見た際に、延伸ムラが見えない範囲のものを○、延伸ムラが見える範囲のものを×とした。
シーラントで無延伸ポリプロピレン東洋紡製P1128(40μm)を実施例記載の空洞含有フィルムにドライラミネートした積層体をシーラント同士を向かい合わせて2枚重ね、テスター産業製テストシーラーを用いて、160℃で1分間ヒートシールを行った。ヒートシール後の空洞含有フィルムの収縮による外観の変化の具合を目視により評価した。ヒートシール部の変形量が小さく、使用に影響しない範囲のものを○、ヒートシールによる収縮が大きく、変形量が大きいものを×とした。
TD延伸後にフィルムが30分間破断しない状態を○、1回破断する状態を△、2回以上破断する状態を×とした。
空洞含有フィルムを構成するポリプロピレン樹脂として、Mw/Mn=8.9、Mz+1/Mn=110、MFR=3.0、[mmmm]=97.1%であるプロピレン単独重合体「HU300」(サムスントタル(株)製)(PP−1)を用いた。PP−1を91重量%、PP−1が50重量%と炭酸カルシウム(備北粉化工業(株)製「PO150B−10」)が50重量%からなる炭酸カルシウム含有マスターバッチ(MB−1)を5重量%、住友化学(株)製の住友ノーブレン「FS2011DG3」(PP−3)が40重量%と二酸化チタン(堺化学工業(株)製、ルチル型)が60重量%からなる二酸化チタンマスターバッチ((株)大日本精機製「7862W」)(MB−T)を4重量%をドライブレンドし、60mm押出機を用いて、250℃でTダイよりシート状に押出し、50℃の冷却ロールで冷却固化した後、135℃で長さ方向に4.5倍に延伸し、ついで両端をクリップで挟み、熱風オーブン中に導いて、179℃で予熱後、167℃で横方向に8.2倍に延伸し、ついでリラックスを6.7%させながら170℃で熱処理した。その後、フィルムの片面にコロナ処理を行い、ワインダーで巻き取った。こうして得られたフィルムの厚みは50μmであった。表1にポリプロピレン樹脂の分子構造、表2に配合量と製膜条件、表3に物性を示す。熱収縮率が低く、ヤング率が高く、発泡性が良好な空洞含有フィルムが得られた。
横延伸における熱固定温度を174℃とした以外は、実施例1と同様な方法でフィルムを得た。得られた空洞含有フィルムのポリプロピレン樹脂の分子構造を表1に、配合量と製膜条件を表2に、物性を表3に示す。
PP−1を81重量%、炭酸カルシウム含有マスターバッチ(MB−1)を15重量%とした以外は、実施例1と同様な方法でフィルムを得た。得られた空洞含有フィルムのポリプロピレン樹脂の分子構造を表1に、配合量と製膜条件を表2に、物性を表3に示す。
PP−1を95重量%、炭酸カルシウム含有マスターバッチ(MB−1)を1重量%とした以外は、実施例1と同様な方法でフィルムを得た。得られた空洞含有フィルムのポリプロピレン樹脂の分子構造を表1に、配合量と製膜条件を表2に、物性を表3に示す。
空洞含有フィルムを構成するポリプロピレン樹脂として、Mw/Mn=7.7、Mz+1/Mn=140、MFR=5.0g/10分、[mmmm]=97.3%であるプロピレン単独重合体「SA4L」(日本ポリプロ(株)製)(PP−2)を用い、PP−2を91重量%、PP−2が50%と炭酸カルシウム(備北粉化工業(株)製「PO150B−10」)が50%からなる炭酸カルシウム含有マスターバッチ(MB−2)を5重量%とした以外は、実施例1と同様な方法でフィルムを得た。得られた空洞含有フィルムのポリプロピレン樹脂の分子構造を表1に、配合量と製膜条件を表2に、物性を表3に示す。
横延伸における熱固定温度を165℃とした以外は、実施例4と同様な方法でフィルムを得た。得られた空洞含有フィルムのポリプロピレン樹脂の分子構造を表1に、配合量と製膜条件を表2に、物性を表3に示す。
空洞含有フィルムを構成するポリプロピレン樹脂として「FS2011DG3」(住友化学(株)製、Mw/Mn=4.0、Mz+1/Mn=21、MFR=2.5g/10分、[mmmm]=97.0%、エチレン量=0.6mol%)(PP−3)を用い、PP−3を91重量%、PP−3が50重量%と炭酸カルシウム(備北粉化工業(株)製「PO150B−10」)が50重量%からなる炭酸カルシウム含有マスターバッチ(MB−3)を5重量%、上記二酸化チタンマスターバッチ(MB−T)4重量%をドライブレンドし、縦延伸温度を125℃、横延伸における予熱温度を170℃、延伸温度を155℃、熱固定温度を165℃とした以外は実施例1と同様な方法でフィルムを得た。得られた空洞含有フィルムのポリプロピレン樹脂の分子構造を表1に、配合量と製膜条件を表2に、物性を表3に示す。
熱固定温度を168℃とした以外は、比較例1と同様な方法でフィルムを得た。得られた空洞含有フィルムのポリプロピレン樹脂の分子構造を表1に、配合量と製膜条件を表2に、物性を表3に示す。
「FS2011DG3」を81重量%、炭酸カルシウム含有マスターバッチ(MB−3)を15重量%とした以外は、比較例1と同様な方法でフィルムを得た。得られた空洞含有フィルムのポリプロピレン樹脂の分子構造を表1に、配合量と製膜条件を表2に、物性を表3に示す。
「FS2011DG3」を95重量%、炭酸カルシウム含有マスターバッチ(MB−3)を1重量%とした以外は、比較例1と同様な方法でフィルムを得た。得られた空洞含有フィルムのポリプロピレン樹脂の分子構造を表1に、配合量と製膜条件を表2に、物性を表3に示す。
また、従来用いられにくかったコート剤やインキ、ラミネート接着剤などを用いることができたり、インモールドラベル用途のフィルム、モーターなどの絶縁フィルム、太陽電池のバックシートのベースフィルムなどの工業用途にも適する。
Claims (6)
- ポリプロピレン樹脂を主体として構成され、発泡剤を含有する空洞含有フィルムであって、
フィルムを構成するポリプロピレン樹脂が下記1)〜5)の条件を満たし、
見掛け比重が0.90以下であることを特徴とする空洞含有ポリプロピレンフィルム。
1)メソペンタッド分率の下限が96%である。
2)プロピレン以外の共重合モノマー量の上限が0.1mol%である。
3)230℃、2.16kgfで測定されるメルトフローレート(MFR)の下限が1g/10minである。
4)z+1平均分子量(Mz+1)/数平均分子量(Mn)の下限は50である。
5)質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)の上限は13である。 - フィルムを構成するポリプロピレン樹脂が、更に下記6)の条件を満たすものである請求項1に記載のフィルム。
6)質量平均分子量(Mw)が10万以下の低分子量成分の含有量の下限が35質量%である。 - フィルムを構成するポリプロピレン樹脂が、更に下記7)の条件を満たすものである請求項1または2に記載のフィルム。
7)z+1平均分子量(Mz+1)の下限は2500000である。 - 前記発泡剤が、無機系フィラーおよび有機系フィラーよりなる群から選択される少なくとも一種である請求項1〜3のいずれかに記載のフィルム。
- MD方向における155℃熱収縮率が0〜11%、
TD方向における155℃熱収縮率が−5〜13%、
23℃におけるMD方向のヤング率が1.3〜2.5GPa、
23℃におけるTD方向のヤング率が2.4〜4.5GPa
である請求項1〜4のいずれかに記載のフィルム。 - 請求項1〜5のいずれかに記載のフィルムであって、長手方向に3〜8倍、幅方向に4〜20倍延伸された空洞含有ポリプロピレンフィルム。
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