JP2023069515A - プロピレン系重合体組成物、プロピレン系重合体組成物の製造方法、および、二軸延伸フィルム - Google Patents

プロピレン系重合体組成物、プロピレン系重合体組成物の製造方法、および、二軸延伸フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性に比較的優れた二軸延伸フィルムを得ることが可能なプロピレン系重合体組成物、および、プロピレン系重合体組成物の製造方法を提供すること、さらに、耐熱性に比較的優れた二軸延伸フィルムを提供することを課題とする。【解決手段】本発明に係るプロピレン系重合体組成物は、プロピレン系重合体を含有し、下記要件(1)~(4)を満たす。(1)温度230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが2g/10分~10g/10分である。(2)アイソタクチック・ペンタッド分率が98.0%以上である。(3)下記式(I)を満たす。3.0≦Mw/Mn≦20 (I)(4)下記式(II)を満たす。(Mw(CXS)/Mn(CXS))/(Mw/Mn)≦0.70 (II)【選択図】 なし

Description

本発明は、プロピレン系重合体組成物、該プロピレン系重合体組成物の製造方法、および、前記プロピレン系重合体組成物を用いて得られる二軸延伸フィルムに関する。
従来、例えば各種包装材料に用いられるフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)系二軸延伸フィルムを基材フィルムとし、該基材フィルムに、ポリプロピレン(PP)系無延伸フィルムをシーラントフィルムとして積層した構成のものが知られている。かかる構成のフィルムは、基材フィルムが高剛性および高耐熱性を有し、シーラントフィルムが低温でのヒートシール性を有していることで、各種包装袋として優れた機能を発揮しうるものとなっている。
近年、この種のフィルムに対してもリサイクルの要望が高まっており、モノマテリアル化が求められている。具体的には、ポリプロピレンで構成されるシーラントフィルムと同系種のポリプロピレン系二軸延伸フィルムを基材フィルムとして採用することが好適とされている。
しかしながら、ポリプロピレン系二軸延伸フィルムは、ポリエチレンテレフタレート系二軸延伸フィルムと比較して、剛性および耐熱性が劣る。このため、ポリプロピレン系二軸延伸フィルムを基材フィルムとして用いたフィルムは、その用途が制限されるという問題があった。
高剛性および高耐熱性を有する成形体の形成に用いられるプロピレン系重合体として、例えば、特許文献1には、特定の固体状チタン触媒成分と特定の外部ドナーとを組み合わせてプロピレンを重合することで得られる、極めて長いメソ連鎖(α-メチル炭素が同一方向に向いているプロピレン単位連鎖)と、MFRとの関係でTREF(昇温溶出分別測定法)高温溶出成分と、を有するプロピレン系重合体が提案されている。
国際公開第2019/004418号
しかしながら、特許文献1に記載のプロピレン系重合体を含む樹脂組成物を用いて得られる二軸延伸フィルムは、加熱収縮率、特に、製造時の流れ方向(以下では、「MD方向」とも記す。)に対して交差する方向(以下では、「TD方向」とも記す。)における加熱収縮率について改善の余地があり、耐熱性により優れたフィルムが要望されている。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、耐熱性に比較的優れた二軸延伸フィルムを得ることが可能なプロピレン系重合体組成物、および、プロピレン系重合体組成物の製造方法を提供すること、さらに、耐熱性に比較的優れた二軸延伸フィルムを提供することを課題とする。
本発明に係るプロピレン系重合体組成物は、プロピレン系重合体を含有するプロピレン系重合体組成物であって、下記要件(1)~(4)を満たす。
(1)温度230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが2g/10分~10g/10分である。
(2)アイソタクチック・ペンタッド分率が98.0%以上である。
(3)下記式(I)を満たす。
3.0≦Mw/Mn≦20 (I)
(式中、
Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるプロピレン系重合体組成物の数平均分子量を示す。
Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるプロピレン系重合体組成物の重量平均分子量を示す。)
(4)下記式(II)を満たす。
(Mw(CXS)/Mn(CXS))/(Mw/Mn)≦0.70 (II)
(式中、
MnおよびMwは、前記と同じ意味を示す。
Mn(CXS)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるプロピレン系重合体組成物の冷キシレン可溶部のポリスチレン換算の数平均分子量を示す。
Mw(CXS)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるプロピレン系重合体組成物の冷キシレン可溶部のポリスチレン換算の重量平均分子量を示す。)
本発明に係るプロピレン系重合体組成物の製造方法は、上述のプロピレン系重合体組成物を製造する方法であって、下記工程(11)を含む。
(11)オレフィン重合用固体触媒成分と、有機アルミニウム化合物と、外部電子供与体と、を接触させて得られたオレフィン重合用触媒の存在下で、プロピレンを重合させてプロピレン系重合体を得る工程であって、
外部電子供与体が下記式(IV)で表される化合物である、工程。
SiR (OR(4-n) (IV)
(式中、
nは1~3の整数を示す。
は、炭素原子数3~10の環状脂肪族炭化水素基を示す。Rが複数存在する場合、これらは同一でも異なっていてもよい。
は、炭素原子数1~20の炭化水素基を示す。Rが複数存在する場合、これらは同一でも異なっていてもよい。)
本発明に係る二軸延伸フィルムは、上述のプロピレン系重合体組成物を用いて得られる。
本発明によれば、耐熱性に比較的優れた二軸延伸フィルムを得ることが可能なプロピレン系重合体組成物、および、プロピレン系重合体組成物の製造方法を提供すること、さらに、耐熱性に比較的優れた二軸延伸フィルムを提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
[プロピレン系重合体組成物]
本実施形態に係るプロピレン系重合体組成物は、プロピレン系重合体を含有する。
プロピレン系重合体は、プロピレンに由来する構造単位を50質量%超含む重合体であり、すなわち、プロピレン単独重合体、または、プロピレンに由来する構造単位を50質量%超含むプロピレン系共重合体である。プロピレン系重合体は、二軸延伸フィルムの耐熱性および剛性を向上させる観点から、好ましくはプロピレン単独重合体である。プロピレン系共重合体としては、プロピレンと、エチレンおよび炭素原子数4~20のα-オレフィンから選択された少なくとも1種の単量体と、を共重合して得られるものが挙げられる。
炭素原子数4~20のα-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、2-メチル-1-プロペン、1-ペンテン、2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、2-エチル-1-ブテン、2,3-ジメチル-1-ブテン、2-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、3,3-ジメチル-1-ブテン、1-ヘプテン、メチル-1-ヘキセン、ジメチル-1-ペンテン、エチル-1-ペンテン、トリメチル-1-ブテン、メチルエチル-1-ブテン、1-オクテン、メチル-1-ペンテン、エチル-1-ヘキセン、ジメチル-1-ヘキセン、プロピル-1-ヘプテン、メチルエチル-1-ヘプテン、トリメチル-1-ペンテン、プロピル-1-ペンテン、ジエチル-1-ブテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン等が挙げられ、好ましくは、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、または、1-オクテンであり、より好ましくは、1-ブテンである。
プロピレン系共重合体としては、例えば、プロピレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-1-ヘキセン共重合体、プロピレン-1-オクテン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ブテン共重合体、プロピレン-エチレン-1-ヘキセン共重合体、プロピレン-エチレン-1-オクテン共重合体等が挙げられ、好ましくは、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-1-ブテン共重合体、または、プロピレン-エチレン-1-ブテン共重合体である。
プロピレン系共重合体がプロピレン-エチレン共重合体である場合、エチレンに由来する構造単位の含有量は、二軸延伸フィルムの耐熱性および剛性を向上させる観点から、好ましくは2.0質量%以下であり、より好ましくは1.0質量%以下であり、さらに好ましくは0.4質量%以下である。
プロピレン系共重合体がプロピレン-α-オレフィン共重合体である場合、α-オレフィンに由来する構造単位の含有量は、二軸延伸フィルムの耐熱性および剛性を向上させる観点から、好ましくは8.0質量%以下であり、より好ましくは3.0質量%以下であり、さらに好ましくは1.0質量%以下である。
プロピレン系共重合体がプロピレン-エチレン-α-オレフィン共重合体である場合、エチレンとα-オレフィンに由来する構造単位の合計含有量は、二軸延伸フィルムの耐熱性および剛性を向上させる観点から、好ましくは8.0質量%以下であり、より好ましくは3.0質量%以下であり、さらに好ましくは1.0質量%以下である。
プロピレン系重合体の冷キシレン可溶部量(以下、CXSと略す。)は、好ましくは2.0質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%~1.0質量%であり、さらに好ましくは0.3質量%~1.0質量%である。CXSを上記範囲とすることにより、二軸延伸フィルムの製造時に、良好な延伸加工性を呈するとともに、二軸延伸フィルムにおいて、高い剛性および耐熱性を発現させ得るという効果がある。なお、プロピレン系重合体のCXSは、プロピレン系重合体を沸騰キシレンに溶解させた後、冷却し、得られた混合物のろ液に溶解しているプロピレン系重合体を、液体クロマトグラフィー(LC)を用いて定量することによって求めることができる。
プロピレン系重合体は、温度230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(以下、MFRと略す。)が、好ましくは1g/10分~50g/10分であり、より好ましくは1g/10分~20g/10分であり、さらに好ましくは2g/10分~15g/10分である。MFRが上記範囲にあるプロピレン系重合体を用いることにより、溶融状態のポリプロピレンが適度な粘度を有し、二軸延伸フィルムの製造時に、良好な延伸加工性を呈するとともに、二軸延伸フィルムにおいて、高い剛性および耐熱性を発現させ得るという効果がある。なお、プロピレン系重合体のMFRは、JIS K7210-1:2014に規定されたA法に従って測定される。
プロピレン系重合体組成物は、プロピレン系重合体を1種のみ含んでもよく、構造単位の種類やその含有量の異なるプロピレン系重合体を2種以上含んでもよい。また、プロピレン系重合体組成物は、プロピレン系重合体以外の他の成分を含むものであってもよい。プロピレン系重合体組成物中のプロピレン系重合体の含有量としては、好ましくは80質量%~99.9質量%であり、より好ましくは90質量%~99.9質量%であり、さらに好ましくは99質量%~99.9質量%である。プロピレン系重合体組成物としては、例えば、MFRの異なる複数種類のプロピレン系重合体を含むものであってもよい。好ましい例としては、MFRが4g/10分以下であるプロピレン系重合体(a)と、MFRが20g/10分~500g/10分であるプロピレン系重合体(b)とを含むプロピレン系重合体組成物である。
プロピレン系重合体組成物におけるプロピレン系重合体(a)およびプロピレン系重合体(b)の含有量はそれぞれ、プロピレン系重合体(a)およびプロピレン系重合体(b)の合計含有量に対して、好ましくは、プロピレン系重合体(a)が50質量%~90質量%、プロピレン系重合体(b)が10質量%~50質量%であり、より好ましくは、プロピレン系重合体(a)が50質量%~85質量%、プロピレン系重合体(b)が15質量%~50質量%である。MFRの異なる複数種類のプロピレン系重合体を含むプロピレン系重合体組成物を用いることにより、二軸延伸フィルムの製造における延伸加工時の厚みムラが低減され、良好な延伸加工性を呈するとともに、二軸延伸フィルムにおいて、高い剛性および耐熱性を発現させ得るという効果がある。
プロピレン系重合体組成物のCXSは、好ましくは2.0質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%~1.0質量%であり、さらに好ましくは0.3質量%~1.0質量%である。CXSを上記範囲とすることにより、二軸延伸フィルムの製造時に、良好な延伸加工性を呈するとともに、二軸延伸フィルムにおいて、高い剛性および耐熱性を発現させ得るという効果がある。なお、プロピレン系重合体組成物のCXSは、プロピレン系重合体組成物を沸騰キシレンに溶解させた後、冷却し、得られた混合物のろ液に溶解しているプロピレン系重合体を、液体クロマトグラフィー(LC)を用いて定量することによって求めることができる。
本実施形態に係るプロピレン系重合体組成物は、上記のようなプロピレン系重合体に加え、延伸性改良剤を含有してもよい。延伸性改良剤としては、例えば、β晶核剤および炭化水素樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられ、好ましくは、β晶核剤である。
β晶核剤とは、プロピレン系重合体に六方晶構造であるβ晶を形成させることができる化合物をいう。β晶核剤としては、特に限定されず、従来公知の種々のβ晶核剤を利用することができる。例えば、N,N’-ジシクロヘキシル-2,6-ナフタレンジカルボキシアミド、N,N’-ジシクロヘキシルテレフタルアミド、N,N’-ジフェニルヘキサンジアミド等に代表されるアミド化合物、テトラオキサスピロ化合物、キナクリドン、キナクリドンキノン等に代表されるキナクリドン類、ナノスケールのサイズを有する酸化鉄、ピメリン酸カルシウム、1,2-ヒドロキシステアリン酸カリウム、安息香酸マグネシウム若しくはコハク酸マグネシウム、フタル酸マグネシウムなどに代表されるカルボン酸のアルカリ若しくはアルカリ土類金属塩、ベンゼンスルホン酸ナトリウム若しくはナフタレンスルホン酸ナトリウムなどに代表される芳香族スルホン酸化合物、二若しくは三塩基カルボン酸のジエステル類若しくはトリエステル類、フタロシアニンブルーなどに代表されるフタロシアニン系顔料、有機二塩基酸である成分Aと周期律表第IIA族金属の酸化物、水酸化物若しくは塩である成分Bとからなる二成分系化合物、環状リン化合物とマグネシウム化合物からなる組成物等が挙げられ、これらのうちの1種類または2種類以上を混合して用いてもよい。上記のβ晶核剤の中でも、好ましくは、アミド化合物のN,N’-ジシクロヘキシル-2,6-ナフタレンジカルボキシアミド、N,N-ジシクロヘキシルテレフタルアミド、N,N’-ジフェニルヘキサンジアミドであり、より好ましくは、N,N’-ジシクロヘキシル-2,6-ナフタレンジカルボキシアミドである。
炭化水素樹脂としては、石油系不飽和炭化水素を原料とするシクロペンタジエン系樹脂、および、高級オレフィン系炭化水素を主原料とする樹脂等が挙げられる。
プロピレン系重合体組成物は、フィルムの耐熱性を向上させる観点から、下記要件(1)を満たし、好ましくは、下記要件(1’)を満たす。
(1)温度230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが2g/10分~10g/10分である。
(1’)温度230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが2g/10分~4g/10分である。
プロピレン系重合体組成物のMFRを大きくする方法としては、例えば、後述するプロピレン系重合体組成物の製造方法において、重合時に使用する水素濃度を高くすることが挙げられる。一方、プロピレン系重合体組成物のMFRを小さくする方法としては、例えば、後述するプロピレン系重合体組成物の製造方法において、重合時に使用する水素濃度を低くすることが挙げられる。なお、プロピレン系重合体組成物のMFRは、JIS K7210-1:2014に規定されたA法に従って測定される。
プロピレン系重合体組成物は、フィルムの耐熱性を向上させる観点から、下記要件(2)を満たし、好ましくは、下記要件(2’)を満たす。
(2)アイソタクチック・ペンタッド分率が98.0%以上である。
(2’)アイソタクチック・ペンタッド分率が99.0%以上である。
プロピレン系重合体組成物のアイソタクチック・ペンタッド分率(以下、[mmmm]と略す。)とは、プロピレン系重合体の分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率であり、すなわち、プロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中にあるプロピレンモノマー単位の分率である。プロピレン系重合体組成物の[mmmm]を大きくする方法としては、例えば、重合温度を高くすること、有機アルミニウム化合物の使用量(mmol/h)に対する外部電子供与体の使用量(mmol/h)の比を小さくすること等が挙げられる。なお、プロピレン系重合体組成物の[mmmm]は、13C-NMRにより測定される。
プロピレン系重合体組成物は、フィルムの耐熱性を向上させる観点から、下記要件(3)を満たし、好ましくは、下記要件(3’)を満たし、より好ましくは、下記要件(3’’)を満たす。
(3)下記式(I)を満たす。
3.0≦Mw/Mn≦20 (I)
(3’)下記式(I’)を満たす。
3.0≦Mw/Mn≦10 (I’)
(3’’)下記式(I’’)を満たす。
3.0≦Mw/Mn≦5.0 (I’’)
式(I),(I’)および(I’’)中、Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるプロピレン系重合体組成物の数平均分子量を示す。Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるプロピレン系重合体組成物の重量平均分子量を示す。
Mw/Mnを大きくする方法としては、例えば、重合温度を低くすること、有機アルミニウム化合物の使用量(mmol/h)に対する外部電子供与体の使用量(mmol/h)の比を小さくすること、高分子量の重合体と低分子量の重合体とを作り分けること、高分子量の重合体と低分子量の重合体とを連続的に製造して混合すること等が挙げられる。一方、Mw/Mnを小さくする方法としては、例えば、重合温度を高くすること、有機アルミニウム化合物の使用量(mmol/h)に対する外部電子供与体の使用量(mmol/h)の比を大きくすること等が挙げられる。
プロピレン系重合体組成物は、フィルムの耐熱性を向上させる観点から、下記要件(4)を満たし、好ましくは、下記要件(4’)を満たす。
(4)下記式(II)を満たす。
(Mw(CXS)/Mn(CXS))/(Mw/Mn)≦0.70 (II)
(4’)下記式(II’)を満たす。
0.50≦(Mw(CXS)/Mn(CXS))/(Mw/Mn)≦0.70 (II’)
式(II)および(II’)中、MnおよびMwは、前記と同じ意味を示す。Mn(CXS)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるプロピレン系重合体組成物の冷キシレン可溶部のポリスチレン換算の数平均分子量を示す。Mw(CXS)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるプロピレン系重合体組成物の冷キシレン可溶部のポリスチレン換算の重量平均分子量を示す。
(Mw(CXS)/Mn(CXS))/(Mw/Mn)を大きくする方法としては、例えば、後述するプロピレン系重合体組成物の製造方法において、オレフィン重合用固体触媒成分の使用量(g/h)に対する有機アルミニウム化合物の使用量(mmol/h)の比を大きくする、有機アルミニウム化合物の使用量(mmol/h)に対する外部電子供与体の使用量(mmol/h)の比を小さくする、重合時に使用する水素濃度を小さくすることが挙げられる。一方、(Mw(CXS)/Mn(CXS))/(Mw/Mn)を小さくする方法としては、例えば、後述するプロピレン系重合体組成物の製造方法において、環状脂肪族炭化水素基を有する外部電子供与体を用いる、オレフィン重合用固体触媒成分の使用量(g/h)に対する有機アルミニウム化合物の使用量(mmol/h)の比を小さくする、有機アルミニウム化合物の使用量(mmol/h)に対する外部電子供与体の使用量(mmol/h)の比を大きくする、重合時に使用する水素濃度を大きくすることが挙げられる。
プロピレン系重合体組成物は、フィルムの耐熱性を向上させる観点から、好ましくは、下記要件(5)を満たす。
(5)下記式(III)を満たす。
Mw(CXS)/Mn(CXS)<3.0 (III)
Mw(CXS)/Mn(CXS)は、好ましくは1.5以上であり、より好ましくは1.8以上である。また、Mw(CXS)/Mn(CXS)は、より好ましくは2.5以下である。
Mw(CXS)/Mn(CXS)を小さくする方法としては、例えば、後述するプロピレン系重合体組成物の製造方法において、環状脂肪族炭化水素基を有する外部電子供与体を用いること、オレフィン重合用固体触媒成分の使用量(g/h)に対する有機アルミニウム化合物の使用量(mmol/h)の比を小さくすること、有機アルミニウム化合物の使用量(mmol/h)に対する外部電子供与体の使用量(mmol/h)の比を大きくすること等が挙げられる。
[プロピレン系重合体組成物の製造方法]
本実施形態に係るプロピレン系重合体組成物の製造方法は、下記工程(11)を含む。
(11)オレフィン重合用固体触媒成分と、有機アルミニウム化合物と、外部電子供与体と、を接触させて得られたオレフィン重合用触媒の存在下で、プロピレンを重合させてプロピレン系重合体を得る工程であって、外部電子供与体が下記式(IV)で表される化合物である、工程。
SiR (OR(4-n) (IV)
式(IV)中、nは1~3の整数を示す。Rは、炭素原子数3~10の環状脂肪族炭化水素基を示す。Rが複数存在する場合、これらは同一でも異なっていてもよい。Rは、炭素原子数1~20の炭化水素基を示す。Rが複数存在する場合、これらは同一でも異なっていてもよい。
本実施形態に係るプロピレン系重合体組成物の製造方法は、さらに、下記工程(12)を含んでいてもよい。
(12)上記工程(11)で得られたプロピレン系重合体と、延伸性改良剤、安定剤、滑剤、帯電防止剤、抗ブロッキング剤、無機フィラーおよび有機フィラーからなる群から選ばれる少なくとも1種と、を混合して、プロピレン系重合体組成物を得る工程。
<オレフィン重合用触媒>
オレフィン重合用触媒は、オレフィン重合用固体触媒成分と、有機アルミニウム化合物と、外部電子供与体と、を接触させることによって、製造することができる。すなわち、オレフィン重合用触媒は、オレフィン重合用固体触媒成分、有機アルミニウム化合物および外部電子供与体を含む。
<オレフィン重合用固体触媒成分>
オレフィン重合用固体触媒成分は、チタン原子、マグネシウム原子、ハロゲン原子および内部電子供与体を含む。
オレフィン重合用固体触媒成分とは、少なくともトルエン中で固形分として存在し、有機アルミニウム化合物および外部電子供与体とを接触させることにより、オレフィン重合用触媒を構成するものを意味する。
オレフィン重合用固体触媒成分におけるチタン原子の一部または全部は、ハロゲン化チタン化合物に由来する。オレフィン重合用固体触媒成分におけるハロゲン原子の一部または全部は、ハロゲン化チタン化合物に由来する。
ハロゲン化チタン化合物としては、テトラハロゲン化チタン、トリハロゲン化モノアルコキシチタン、ジハロゲン化ジアルコキシチタン、モノハロゲン化トリアルコキシチタンが挙げられ、好ましくは、テトラハロゲン化チタンまたはトリハロゲン化モノアルコキシチタンであり、より好ましくは、テトラハロゲン化チタンである。ハロゲン化チタン化合物は、単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
オレフィン重合用固体触媒成分におけるマグネシウム原子の一部または全部は、マグネシウム化合物に由来する。また、オレフィン重合用固体触媒成分におけるハロゲン原子の一部は、マグネシウム化合物に由来し得る。
マグネシウム化合物としては、ジアルキルマグネシウム、マグネシウムジアルコキシド、アルキルマグネシウムハライド、アルコキシマグネシウムハライド、アリールオキシマグネシウムハライド、ハロゲン化マグネシウムが挙げられ、好ましくは、ハロゲン化マグネシウムまたはマグネシウムジアルコキシドである。
マグネシウム化合物は、単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
内部電子供与体とは、オレフィン重合用固体触媒成分に含まれる1つまたは複数の金属原子に対して電子対を供与可能な有機化合物を意味する。内部電子供与体としては、例えば、モノエステル化合物、ジカルボン酸エステル化合物、ジオールジエステル化合物、β-アルコキシエステル化合物、およびジエーテル化合物等が挙げられる。
モノエステル化合物とは、分子内に1つのエステル結合(-CO-O-)を有する有機化合物を意味し、好ましくは、芳香族カルボン酸エステル化合物および脂肪族カルボン酸エステル化合物である。
ジカルボン酸エステル化合物とは、分子内に2つのエステル結合(-CO-O-)を有する化合物であって、ジカルボン酸の2つのカルボキシル基が一価のアルコールでエステル化された構造を有する化合物を意味し、好ましくは、芳香族ジカルボン酸エステル化合物および脂肪族ジカルボン酸エステル化合物である。
ジオールジエステル化合物とは、分子内に2つのエステル結合(-CO-O-)を有する化合物であって、ジオールの2つの水酸基のそれぞれが、モノカルボン酸またはジカルボン酸のカルボキシル基をエステル化した構造を有する化合物を意味する。
β-アルコキシエステル化合物とは、アルコキシカルボニル基を有し、該アルコキシカルボニル基のβ位にアルコキシ基を有する化合物を意味する。
ジエーテル化合物とは、分子内に2つのエーテル結合を有する化合物を意味する。
また、特開2011-246699号公報に記載された内部電子供与体も例示することができる。
上記の内部電子供与体のうち、好ましくは、ジカルボン酸エステル化合物、ジオールジエステル化合物またはβ-アルコキシエステル化合物である。内部電子供与体は、単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
オレフィン重合用固体触媒成分の中心粒径は、通常60μm以下であり、好ましくは20~50μmであり、より好ましくは30~40μmである。
オレフィン重合用固体触媒成分の中心粒径は、オレフィン重合用固体触媒成分中のマグネシウム化合物の粒径により制御することができる。
<有機アルミニウム化合物>
有機アルミニウム化合物は、炭素-アルミニウム結合を1つ以上有する化合物であり、具体的には、特開平10-212319号公報に記載された化合物を例示することができる。有機アルミニウム化合物は、好ましくは、トリアルキルアルミニウム、トリアルキルアルミニウムとジアルキルアルミニウムハライドとの混合物、または、アルキルアルモキサンであり、より好ましくは、トリエチルアルミニウム、トリiso-ブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムクロリドとの混合物、または、テトラエチルジアルモキサンである。
<外部電子供与体>
外部電子供与体は、上記式(IV)で表される化合物である。前記化合物として、具体的には、ジシクロブチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン等が挙げられ、好ましくは、ジシクロペンチルジメトキシシランである。外部電子供与体は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
オレフィン重合用触媒を生成する際に、オレフィン重合用固体触媒成分と、有機アルミニウム化合物と、外部電子供与体と、を接触させる方法としては、オレフィン重合用触媒が生成される限り、特に限定されない。接触は溶媒の存在下または非存在下で行われる。これらの接触混合物を重合槽に供給してもよいし、各成分を別々に重合槽に供給して重合槽中で接触させてもよいし、任意の二成分の接触混合物と残りの成分とを別々に重合槽に供給してこれらを重合槽中で接触させてもよい。
<オレフィン重合用固体触媒成分の予備活性化>
オレフィン重合用触媒を生成する際に、オレフィン重合用固体触媒成分の予備活性化として、少量のオレフィンの存在下で、オレフィン重合用固体触媒成分と有機アルミニウム化合物とを接触させてもよい。
少量のオレフィンを供給する方法は、オレフィン重合用固体触媒成分と有機アルミニウム化合物とを接触させた後、少量のオレフィンを系内に供給してもよいし、オレフィン重合用固体触媒成分と少量のオレフィンとを接触させ後、系内に有機アルミニウム化合物を供給してもよい。少量のオレフィンの供給方法は、反応系内を所定の圧力に保持しながら少量のオレフィンを供給してもよいし、少量のオレフィン量を最初に供給してもよい。
有機アルミニウム化合物の使用量は、オレフィン重合用固体触媒成分中のチタン原子1モルあたり、通常0.5~700モルであり、好ましくは0.8~500モルであり、より好ましくは1~200モルである。
オレフィンの使用量は、オレフィン重合用固体触媒成分1gあたり、通常0.01~1000gであり、好ましくは0.05~500gであり、より好ましくは0.1~200gである。
オレフィン重合用固体触媒成分の予備活性化において、必要に応じて電子供与性化合物をオレフィン重合用固体触媒成分に接触させてもよい。
電子供与性化合物としては、酸素含有化合物、窒素含有化合物、リン含有化合物、硫黄含有化合物が挙げられ、好ましくは、酸素含有化合物または窒素含有化合物である。酸素含有化合物としては、アルコキシシラン類、エーテル類、エステル類、ケトン類等が挙げられ、これらの中でもアルコキシシラン類またはエーテル類が好ましい。また、電子供与性化合物としては、後述する外部電子供与体と同一であっても異なっていてもよい。
電子供与性化合物の使用量としては、有機アルミニウム化合物1モルあたり、通常0.003~5モルであり、好ましくは0.005~3モルであり、さらに好ましくは0.01~2モルである。
電子供与性化合物の供給方法には特に制限はなく、有機アルミニウム化合物と電子供与性化合物とを別々に供給してもよいし、有機アルミニウム化合物と電子供与性化合物とを予め接触させた後、供給してもよい。また、オレフィン重合用固体触媒成分の予備活性化の際に使用されるオレフィンは、重合で使用されるオレフィンと同一であっても異なっていてもよい。
<オレフィン重合工程>
オレフィン重合用固体触媒成分の使用量は、重合反応装置の仕様や重合体の製造量に合わせて適切に設定すればよい。
有機アルミニウム化合物の使用量は、固体触媒成分中のチタン原子1モルあたり、通常1~1000モルであり、好ましくは5~600モルである。
外部電子供与体の使用量は、固体触媒成分中のチタン原子1モルあたり、通常0.1~2000モルであり、好ましくは0.3~1000モルであり、さらに好ましくは0.5~800モルである。
オレフィン重合用固体触媒成分の使用量(g/h)に対する有機アルミニウム化合物の使用量(mmol/h)の比は、(Mw(CXS)/Mn(CXS))/(Mw/Mn)を小さくし、二軸延伸フィルムの耐熱性を向上させる観点から、好ましくは10~40であり、より好ましくは15~35であり、さらに好ましくは20~30である。
有機アルミニウム化合物の使用量(mmol/h)に対する外部電子供与体の使用量(mmol/h)の比は、(Mw(CXS)/Mn(CXS))/(Mw/Mn)を小さくし、二軸延伸フィルムの耐熱性を向上させる観点から、好ましくは0.20~0.40であり、より好ましくは0.22~0.35であり、さらに好ましくは0.25~0.30である。
<プロピレン系重合体の重合>
工程(11)では、プロピレンを単独で重合させてもよいし、プロピレンと、エチレンおよび炭素原子数4~20のα-オレフィンから選択された少なくとも1種の単量体と、を共重合させてもよい。
重合方法としては、公知の重合方法を用いることができる。例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素化合物に代表される不活性溶剤を用いる溶剤重合法、液状のモノマーを溶剤として用いる塊状重合法、気体のモノマー中で行う気相重合法等が挙げられ、好ましくは、後処理等が容易な塊状重合法または気相重合法である。これらの重合法は、バッチ式であってもよく、連続式であってもよい。
工程(11)における重合方法として気相重合法を用いる場合、重合時の有効水素濃度(水素濃度/(水素濃度+プロピレン濃度))は、(Mw(CXS)/Mn(CXS))/(Mw/Mn)を小さくし、二軸延伸フィルムの耐熱性を向上させる観点から、好ましくは1.5mol%超であり、より好ましくは1.6~3.0mol%であり、さらに好ましくは1.6~2.0mol%である。
工程(11)における重合方法は、上記の重合方法を用い、第一工程と第二工程以降の工程とを備え、多段的に重合を行う方法(多段重合法)であってもよい。第一工程の重合方法と第二工程以降の工程の重合方法は、同じであってもよく、異なっていてもよい。重合活性および後処理が容易であるという観点から、好ましくは、第一工程が不活性溶剤の不存在下で重合を行う工程であり、第二工程以降の工程が気相で重合を行う工程である。また、第一工程の重合と第二工程以降の工程の重合は、同一の重合槽(反応器)で行ってもよく、異なる重合槽(反応器)で行ってもよい。
多段重合法としては、例えば、溶剤-溶剤重合法、塊状-塊状重合法、気相-気相重合法、溶剤-気相重合法、塊状-気相-気相重合法、溶剤-気相-気相重合法、塊状-気相-気相重合法等が挙げられ、好ましくは、塊状-気相重合法、気相-気相重合法、塊状-気相-気相重合法である。
第一工程の重合温度は、特に制限はないが、好ましくは20℃~180℃であり、生産性の観点から、より好ましくは30℃~100℃である。
第二工程以降の重合温度は、第一工程の重合温度と同一でもよく、異なっていてもよいが、好ましくは20℃~180℃であり、より好ましくは30℃~100℃である。
本実施形態に係るプロピレン系重合体組成物の製造方法において、少なくとも2種のプロピレン系重合体を含むプロピレン系重合体組成物を製造する場合、上述の重合方法を用いて、少なくとも2種のプロピレン系重合体をそれぞれ個別に重合し、得られたプロピレン系重合体を混合してプロピレン系重合体組成物とする方法が挙げられる。個別に重合された少なくとも2種のプロピレン系重合体を混合する方法としては、これら重合体が均一に分散する方法であればよい。例えば、少なくとも2種のプロピレン系重合体をリボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、タンブラーミキサー等で混合し、その混合物を押出し機等で溶融混練する方法、少なくとも2種のプロピレン系重合体をそれぞれ個別に溶融混練しペレット化し、ペレット化したものを上記と同様の方法で混合し、さらに溶融混練する方法、少なくとも2種のプロピレン系重合体をそれぞれ個別に溶融混練しペレット化し、ペレット化したものをドライブレンド等でブレンドした後、直接フィルム加工機で混合する方法、少なくとも2種のプロピレン系重合体をそれぞれ個別に溶融混練しペレット化し、ペレット化したものを個別にフィルム加工機の押出機にフィードして混合する方法等が挙げられる。また、一方のプロピレン系重合体100質量部に対して、他方のプロピレン系重合体を1~99質量部含むマスターバッチをあらかじめ作製し、所定の濃度となるように適宜混合する方法等も挙げられる。
本実施形態に係るプロピレン系重合体組成物の製造方法は、必要に応じて、後処理として触媒の失活、脱溶剤、脱モノマー、乾燥、造粒等を行う工程を備えてもよい。
[二軸延伸フィルム]
本実施形態に係る二軸延伸フィルムは、上述のプロピレン系重合体組成物を用いて得られる。
二軸延伸フィルムの厚みは、好ましくは10μm~70μmであり、より好ましくは10μm~30μmである。
二軸延伸フィルムの製造方法は、逐次二軸延伸方式によるものであってもよい。
二軸延伸フィルムの製造方法は、プロピレン系重合体組成物を、押出機を用いて加熱溶融し、冷却ロール上に押し出すことにより未延伸シートを得る押出工程を備える。押出工程では、例えば、プロピレン系重合体組成物を、押出機を用いて加熱溶融し、Tダイより冷却ロール上に押し出すことによってシート状に冷却固定し、未延伸シートを得ることができる。
二軸延伸フィルムの製造方法は、押出工程で得られる未延伸シートを、延伸ロールを用いてMD方向に6倍~10倍、好ましくは8倍~10倍に延伸することにより、一軸延伸シートを得るMD延伸工程をさらに備えていてもよい。
また、二軸延伸フィルムの製造方法は、MD延伸工程で得られる一軸延伸シートを、MD方向に沿って並んだ2列のチャックを用いて、加熱炉内にて、TD方向に4倍~20倍、好ましくは4倍~10倍に延伸することにより、二軸延伸フィルムを得るTD延伸工程を備えていてもよい。TD延伸工程では、例えば、一軸延伸シートのTD方向の両側端を、MD方向に沿って並んだ2列のチャックで掴み、予熱部、延伸部、熱処理部を備えた加熱炉内にて、一軸延伸シートをTD方向に上記の倍率で延伸することによって二軸延伸フィルムを得ることができる。
また、二軸延伸フィルムの製造方法は、TD延伸工程で得られる二軸延伸フィルムのTD方向の延伸を、MD方向に沿って並んだ2列のチャックを用いて、加熱炉内にて、TD方向に16%~30%、好ましくは18%~25%緩和させる緩和工程をさらに備えていてもよい。該緩和工程では、TD延伸工程で得られる二軸延伸フィルムのTD方向の両端部を把持した2列のチャックのTD方向の間隔を狭めることにより該TD方向の延伸を上記の割合で緩和(リラックス)させる。緩和率が16%未満では、加熱時の収縮率が高くなり、耐熱性に優れた二軸延伸フィルムが得られない場合がある。また、緩和率が30%を超えると、二軸延伸フィルムの厚みムラが大きくなる場合がある。緩和率は、下記式(X)により求めることができる。
緩和率=(L1-L2)/L1×100・・・(X)
(式中、
L1はフィルムを緩和する前のTD方向におけるチャック間の距離、L2はフィルムを緩和した後のTD方向におけるチャック間の距離を示す。)
また、二軸延伸フィルムの製造方法は、必要に応じて、コロナ処理等を行う工程を含んでもよい。
上記の製造方法では、プロピレン系重合体組成物を押出機で加熱溶融する際の溶融温度は、好ましくは230~290℃である。Tダイより押出されたプロピレン系重合体組成物をシート状に冷却固定する際の冷却ロールの温度は、好ましくは10℃~60℃である。未延伸シートをMD方向に延伸する際の延伸ロールの温度は、好ましくは110~165℃である。一軸延伸シートをTD方向に延伸する際の加熱温度は、好ましくは150~200℃であり、TD方向に緩和する際の加熱温度は、好ましくは150~200℃である。
本実施形態に係る二軸延伸フィルムは、多層フィルムの一層として用いることができる。多層フィルムは、本実施形態に係る二軸延伸フィルムからなる層に任意の層を積層したものである。例えば、本実施形態に係る二軸延伸フィルムに、シーラント層、ガスバリア層、接着層、印刷層等の任意の層を積層して多層フィルムを構成することができる。中でも、本実施形態に係る二軸延伸フィルムからなる層にオレフィン系のフィルムを用いたシーラント層を積層することが好ましく、得られた多層フィルムは、リサイクルしやすいという効果がある。本実施形態に係る二軸延伸フィルムを用いた多層フィルムを作製する方法としては、通常用いられる押出ラミネート法、熱ラミネート法、ドライラミネート法等が挙げられる。
本実施形態に係る二軸延伸フィルムは、各種包装材料として用いることできる。例えば、上記の多層フィルムで形成した包装袋は、食品、衣料品、雑貨等の任意の包装対象物を包装する用途で使用し得る。
なお、本実施形態に係るプロピレン系重合体組成物、プロピレン系重合体組成物の製造方法、および、二軸延伸フィルムは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。また、上記および下記の複数の実施形態の構成や方法等を任意に採用して組み合わせてもよい(1つの実施形態に係る構成や方法等を他の実施形態に係る構成や方法等に適用してもよい)ことは勿論である。
実施例および比較例における各項目の測定値は、下記の方法で測定した。
(1)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
プロピレン系重合体組成物のMFRは、JIS K7210-1:2014に規定されたA法に従って、温度230℃、荷重2.16kgで測定した。
(2)アイソタクチック・ペンタッド分率([mmmm]、単位:%)
プロピレン系重合体組成物の[mmmm]は、下記の条件下にて13C-NMRにより測定した。プロピレン系重合体組成物に含有されるプロピレン系重合体のNMR吸収ピークの帰属は、A.Zambelliらによって発表された方法(Macromolecules 第8巻、第687頁、1975年)に従って行った。

・機種:Bruker AVANCE600
・プローブ:10mmクライオプローブ
・測定温度:135℃
・パルス繰り返し時間:4秒
・パルス幅:45°
・積算回数:256回
(3)分子量(単位:g/mol)および分子量分布(単位:なし)
プロピレン系重合体組成物の各種分子量(数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、z平均分子量Mz)は、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(GPC)を用いて、下記の条件にて測定した。なお、ISO16014-1の記載に基づき、クロマトグラム上のベースラインを規定してピークを指定した。

(GPC装置およびソフトウェア)
・装置:HLC-8321GPC/HT(東ソー)
・ソフトウェア:HLC-8321 GPC/HT Program Version 2.02(東ソー)

(測定条件)
・GPCカラム:TSKgel GMHHR-H(S)HT 7.8mm I.D.×300mm(東ソー) 3本
・移動相:オルトジクロロベンゼン(和光、特級)にBHTを0.1g/100mLの濃度で添加して使用した。
・流速:1mL/分
・カラムオーブン温度:140℃
・オートサンプラー温度:140℃
・システムオーブン温度:40℃
・検出:示差屈折率検出器(RID)
・RIDセル温度:140℃
・試料溶液注入量:300μL

(試料溶液調製条件)
・溶媒:オルトジクロロベンゼン(和光、特級)にBHTを0.1g/100mL添加して使用した。
・試料溶液濃度:1mg/mL
・溶解条件:5mgの試料を1000meshのSUS製の金網袋に封入し、試料を封入した金網袋を試験管に入れ、試験管に5mLの溶媒を加え、試験管にアルミホイルで蓋をし、試験管を溶解用自動振とう器DF-8020(東ソー)にセットし、60往復/分の撹拌速度で、140℃で120分間撹拌した。

(解析方法)
GPCカラム較正用標準物質として、東ソー製標準ポリスチレンをそれぞれ下表のような組み合わせで量り取り、5mLのオルトジクロロベンゼン(移動相と同じ組成)を加え、室温で120分間静置して溶解させた。
Figure 2023069515000001
標準物質から得られた較正曲線を用いて、プロピレン系重合体組成物のポリスチレン換算平均分子鎖長An、Aw、Azを求めた。このポリスチレン換算平均分子鎖長にそれぞれポリプロピレンのQファクター26.4を乗ずることで、ポリスチレン換算平均分子量Mn、Mw、Mzを得た。得られたMn、Mw、Mzより各種分子量分布(Mw/Mn、Mz/Mn)を算出した。
(4-1)冷キシレン可溶部量(CXS、単位:質量%)
プロピレン系重合体組成物を沸騰キシレンに溶解させた後、得られたキシレン溶液を冷却し、冷キシレン不溶分を析出させた。得られた混合物をろ過し、得られたろ液に溶解しているオレフィン重合体(冷キシレン可溶部)を、液体クロマトグラフィー(LC)を用いて定量した。
(前処理条件)
・試料量:1g
・溶媒:ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を2mg/100mLの濃度で添加したキシレン100mL(富士フィルム和光純薬株式会社性、特級グレード)
・溶解条件:沸騰後30分間還流
・温度条件:氷水で20分間冷却した後、20℃に昇温して1時間撹拌
・ろ過条件:ろ紙(No.50)でろ過してLCを用いて測定
(LC測定条件)
・送液ポンプ:LC-20AD(島津製作所社製)
・デガッサー:DGU-20A3(島津製作所社製)
・オートサンプラー:SIL-20A HT(島津製作所社製)
・カラムオーブン:CTO-20A(島津製作所社製)
・示差屈折率検出器:RID-10A(島津製作所社製)
・システムコントローラー:CBM-20A(島津製作所社製)
・測定・解析ソフト:LC solution ver. 1.24 SP1
・カラム:SHODEX GPC KF-801(上限排除限界分子量1500)
・溶離液:テトラヒドロフラン(関東化学社製、特級、安定剤不含)
・カラムオーブン温度:40℃
・試料注入量:130μL
・流量:1mL/min
・検出器:示差屈折計
(4-2)冷キシレン可溶部の分子量(単位:g/mol)および分子量分布(単位:なし)
プロピレン系重合体組成物の冷キシレン可溶部の各種分子量(数平均分子量Mn(CXS)、重量平均分子量Mw(CXS)、z平均分子量Mz(CXS))は、ゲル・パーミエイションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、下記の条件にて測定した。なお、ISO16014-1の記載に基づき、クロマトグラム上のベースラインを規定してピークを指定した。
(測定試料)
上述したプロピレン系重合体組成物のCXS測定で得られたろ液を測定試料とした。
(GPC測定条件)
・送液ポンプ:LC-20AD(島津製作所社製)
・デガッサー:DGU-20A3(島津製作所社製)
・オートサンプラー:SIL-20A HT(島津製作所社製)
・カラムオーブン:CTO-20A(島津製作所社製)
・示差屈折率検出器:RID-10A(島津製作所社製)
・システムコントローラー:CBM-20A(島津製作所社製)
・測定・解析ソフト:LC solution ver. 1.24 SP1(島津製作所社製)
・GPCカラム:Plus Poreシリーズ Poly Pore 7.5mm I.D.×300mm(アジレント・テクノロジーズ) 2本
・移動相:テトラヒドロフラン(関東化学、特級、安定剤不含)
・流速:1mL/分
・カラムオーブン温度:35℃
・検出:示差屈折率検出器
・示差屈折率検出器セル温度:35℃
・試料溶液注入量:300μL
・GPCカラム較正用標準物質:PStQuick Kit-H(東ソー社製)
(解析方法)
東ソー社製標準ポリスチレンキットPStQuick Kit-H(PStQuickA:重量平均分子量が1090000、190000、18100、2420のポリスチレン混合物、PStQuickB:重量平均分子量が706000、96400、10200、1010のポリスチレン混合物、PStQuickC:重量平均分子量が427000、37900、5970、500のポリスチレン混合物)のバイアル瓶それぞれにテトラヒドロフラン(関東化学社製、特級、安定剤不含)を1mLずつ加えて溶解させ、較正曲線作成試料を調製した。較正曲線作成試料のGPC測定のクロマトグラムにおいて、ピークトップの溶出時間と分子量を用いて、LC用解析ソフト(島津製作所社製、LC solution)で較正曲線を作成した。較正曲線は3次の近似式とした。較正曲線に基づき、冷キシレン可溶部のポリスチレン換算の平均分子量Mn(CXS)、Mw(CXS)、Mz(CXS)を得た。得られたMn(CXS)、Mw(CXS)、Mz(CXS)より、各種分子量分布(Mw/Mn(CXS)、Mz/Mn(CXS))を算出した。
なお、GPC測定のクロマトグラムにおいて、プロピレン系重合体組成物中の成分に由来するピークは、対象とするピークの立ち上がりから、BHTのピークが立ち上がる直前までのピークとした。
(5)加熱収縮率(単位:%)
長軸がMD方向と平行になるように、A4サイズ(縦297mm×横210mm)のフィルムを二軸延伸フィルムから採取し、MD方向およびTD方向にそれぞれ200mmの標線を引き、150℃のオーブン中に吊るして30分間保持した。その後、フィルムを取り出し、室温にて30分間冷却した後に、各標線長さを測定した。各方向に対する加熱収縮率を、次の計算式から算出した。

加熱収縮率(%)={(200-加熱後の標線長さ(mm))/200}×100

加熱収縮率が小さいほど、耐熱性に優れることを示す。
(6)ヤング率(単位:GPa)
120mm×20mmの二軸延伸フィルムを、長辺方向(120mm)が測定方向(MD方向、TD方向)と一致するように採取し、23℃、湿度50%の雰囲気下において、(株)エー・アンド・デイUNIVERSAL TESTING MACHINE STB-1225を用いて、つかみ間隔60mm、引張速度5mm/分で引張り試験を行い、引張-応力カーブのゼロ点での接線からヤング率(MD方向、TD方向)を測定した。
<製造例1:オレフィン重合用固体触媒成分1>
特開2009-173870号公報の実施例1に記載の方法に従って、オレフィン重合用固体触媒成分1を得た。
<製造例2:オレフィン重合用固体触媒成分2>
特開2004-067850号公報の実施例1に記載の方法に従って、オレフィン重合用固体触媒成分2を得た。
<β晶核剤マスターバッチ>
チーグラー・ナッタ型触媒と、助触媒としてトリエチルアルミニウム、外部ドナーとしてシクロヘキシルエチルジメトキシシランを用いて、気相重合法により、水素濃度0.95mol%の環境下でプロピレンを重合し、プロピレン系重合体を得た。得られたプロピレン系重合体の95質量部に対して、NU-100(β晶核剤、新日本理化株式会社製)5質量部、DHT-4C(中和剤、協和化学工業株式会社製)0.005質量部、IRGANOX1010(酸化防止剤、BASFジャパン株式会社製)0.09質量部、スミライザーGP(酸化防止剤、住友化学株式会社製)0.05質量部を配合した後、溶融押出を行って、ペレット状のβ晶核剤マスターバッチを得た。
<実施例1:プロピレン系重合体組成物1>
(オレフィン重合用触媒成分の予備活性化)
内容積2Lの攪拌機を備えたオートクレーブ内に、脱水処理および脱気処理を行ったn-ヘキサン(1.5L)、トリエチルアルミニウム(36.9mmol)、外部電子供与体としてジシクロペンチルジメトキシシラン(8.1mmol)および上記オレフィン重合用触媒成分1(15.4g)を加えた。オートクレーブ内の温度を3~10℃にした後、プロピレン(53.9g)を30分かけて連続的に供給して予備活性化を行い、予備重合触媒のスラリーを得た。得られた予備重合触媒のスラリーを、内容積160Lの攪拌機を備えたオートクレーブ内に移送した後、そこへ、液状ブタン(130L)を加えて希釈した。
(重合工程)
内容積1.4mであり、攪拌機を備えた気相流動床型反応容器を用いて、流動床の重合体保持量54kg、重合温度86℃、重合圧力1.9MPaG、反応容器内部のガス空塔速度0.15m/秒とし、気相部の有効水素濃度(水素濃度/(水素濃度+プロピレン濃度))1.7mol%にてプロピレンと水素を供給しながら、トリエチルアルミニウム(27mmol/h)、外部電子供与体としてジシクロペンチルジメトキシシラン(5.9mmol/h)および上記予備重合触媒のスラリー(オレフィン重合用触媒成分1の質量として0.70g/h)を供給することで、プロピレン系重合体(13kg/h)を得た。その後、プロピレン系重合体を後処理工程に連続的に移送した。
(後処理工程)
気相流動床型反応容器から乾燥槽に移送されたプロピレン系重合体へ、水(100mL/時)および窒素ガス(20m/h)を供給して、プロピレン系重合体の乾燥および触媒の失活を行った。
得られたプロピレン系重合体100質量部に対して、DHT-4C(協和化学工業株式会社製)0.01質量部、IRGANOX1010(BASFジャパン株式会社製)0.09質量部、IRGAFOS168(BASFジャパン株式会社製)0.05質量部を配合した後、溶融押出を行って、ペレット状のプロピレン系重合体組成物1を得た。プロピレン系重合体組成物1の製造条件を表2に示す。プロピレン系重合体組成物1の物性を表3に示す。
(二軸延伸フィルムの作製)
プロピレン系重合体組成物1を、押出機を備えたTダイ製膜機を用いて、樹脂温度260℃で加熱溶融し、30℃の冷却ロール上に押し出すことにより、厚さ0.5mmの未延伸シートを得た。得られた未延伸シートから、10cm四方のシートを切り出した。その四辺をチャックで掴み、157℃に加熱した加熱炉内にて3分間予熱した後、MD方向およびTD方向に同時にそれぞれ6倍に延伸することにより、二軸延伸フィルムを得た。二軸延伸フィルムの評価結果を表3に示す。
<実施例2:プロピレン系重合体組成物2>
(オレフィン重合用触媒成分の予備活性化)
内容積2Lの攪拌機を備えたオートクレーブ内に、脱水処理および脱気処理を行ったn-ヘキサン(1.5L)、トリエチルアルミニウム(36.9mmol)、外部電子供与体としてシクロヘキシルエチルジメトキシシラン(3.3mmol)および上記オレフィン重合用触媒成分2(18.5g)を加えた。オートクレーブ内の温度を3~10℃にした後、プロピレン(18.5g)を30分かけて連続的に供給して予備活性化を行い、予備重合触媒のスラリーを得た。得られた予備重合触媒のスラリーを、内容積160Lの攪拌機を備えたオートクレーブ内に移送した後、そこへ、液状ブタン(130L)を加えて希釈した。
(重合工程)
内容積163Lの攪拌機付きベッセルタイプのリアクターを用いて、重合温度72.5℃にて、プロピレン(35kg/h)、水素(37NL/h)、トリエチルアルミニウム(14mmol/h)、ジシクロペンチルジメトキシシラン(3.9mmol/h)および前記予備重合触媒成分のスラリー(オレフィン重合用触媒成分量として、0.69g/h)をリアクターに連続的に供給することで、プロピレン系重合体(17kg/h)を得た。プロピレン系重合体を後処理工程に連続的に移送した。
(後処理工程)
リアクターから乾燥槽に移送されたプロピレン系重合体へ、水(100mL/h)および窒素ガス(20Nm/h)を供給して、プロピレン系重合体の乾燥および触媒の失活を行った。
得られたプロピレン系重合体100質量部に対して、DHT-4C(協和化学工業株式会社製)0.01質量部、IRGANOX1010(BASFジャパン株式会社製)0.09質量部、IRGAFOS168(BASFジャパン株式会社製)0.05質量部を配合した後、溶融押出を行って、ペレット状のプロピレン系重合体組成物2を得た。プロピレン系重合体組成物2の製造条件を表2に示す。プロピレン系重合体組成物2の物性を表3に示す。
(二軸延伸フィルムの作製)
プロピレン系重合体組成物2を用いて、実施例1と同様にして、二軸延伸フィルムを得た。二軸延伸フィルムの評価結果を表3に示す。
<製造例1’:プロピレン系重合体組成物1’>
製造条件を表2のように変更した以外は、実施例1と同様にして、プロピレン系重合体組成物1’を得た。
<比較例1:プロピレン系重合体組成物C1>
製造条件を表2のように変更した以外は、実施例1と同様にして、プロピレン系重合体組成物C1を得た。プロピレン系重合体組成物C1の物性を表3に示す。次いで、実施例1と同様にして、二軸延伸フィルムを得た。二軸延伸フィルムの評価結果を表3に示す。
<比較例2:プロピレン系重合体組成物C2>
製造条件を表2のように変更した以外は、実施例1と同様にして、プロピレン系重合体組成物C2を得た。プロピレン系重合体組成物C2の物性を表3に示す。次いで、実施例1と同様にして、二軸延伸フィルムを得た。二軸延伸フィルムの評価結果を表3に示す。
Figure 2023069515000002
なお、表2中における「-」は、該当する条件がないか、データがないことを意味する。
Figure 2023069515000003
<実施例3:プロピレン系重合体組成物3>
プロピレン系重合体組成物1(99質量部)とβ晶核剤マスターバッチ(1質量部)とを溶融混練することで、プロピレン系重合体組成物3を得た。プロピレン系重合体組成物3の物性を表4に示す。
(二軸延伸フィルムの作製)
プロピレン系重合体組成物3を押出機を備えたTダイ製膜機を用いて、樹脂温度260℃で加熱溶融し、30℃の冷却ロール上に押し出すことにより、未延伸シートを得た。得られた未延伸シートを、142℃に加熱した延伸ロールを用いて、MD方向に8倍に延伸することにより、一軸延伸フィルムを得た。得られた一軸延伸フィルムの両側端を、MD方向に沿って並んだ2列のチャックで掴み、170℃に加熱した加熱炉内にて、上記2列のチャック間隔をTD方向に広げることにより、一軸延伸フィルムをTD方向に8倍に延伸し、その後165℃に加熱した加熱炉内にて、上記2列のチャック間隔を狭めて、TD方向に19.5%緩和することにより、二軸延伸フィルムを得た。二軸延伸フィルムの評価結果を表4に示す。
<実施例4:プロピレン系重合体組成物4>
プロピレン系重合体組成物1’(99質量部)とβ晶核剤マスターバッチ(1質量部)とを溶融混練することで、プロピレン系重合体組成物4を得た。プロピレン系重合体組成物4の物性を表4に示す。次いで、実施例3と同様にして、二軸延伸フィルムを得た。二軸延伸フィルムの評価結果を表4に示す。
<比較例3:プロピレン系重合体組成物C3>
プロピレン系重合体組成物C2(99質量部)とβ晶核剤マスターバッチ(1質量部)とを溶融混練することで、プロピレン系重合体組成物C3を得た。プロピレン系重合体組成物C3の物性を表4に示す。次いで、実施例3と同様にして、二軸延伸フィルムを得た。二軸延伸フィルムの評価結果を表4に示す。
Figure 2023069515000004
表3および表4の結果から分かるように、本発明の構成要件をすべて満たす各実施例の二軸延伸フィルムは、各比較例の二軸延伸フィルムに対して、加熱収縮率、特に、TD方向における加熱収縮率が小さく、耐熱性に優れる。

Claims (11)

  1. プロピレン系重合体を含有するプロピレン系重合体組成物であって、下記要件(1)~(4)を満たす、プロピレン系重合体組成物。

    (1)温度230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが2g/10分~10g/10分である。

    (2)アイソタクチック・ペンタッド分率が98.0%以上である。

    (3)下記式(I)を満たす。
    3.0≦Mw/Mn≦20 (I)
    (式中、
    Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるプロピレン系重合体組成物の数平均分子量を示す。
    Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるプロピレン系重合体組成物の重量平均分子量を示す。)

    (4)下記式(II)を満たす。
    (Mw(CXS)/Mn(CXS))/(Mw/Mn)≦0.70 (II)
    (式中、
    MnおよびMwは、前記と同じ意味を示す。
    Mn(CXS)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるプロピレン系重合体組成物の冷キシレン可溶部のポリスチレン換算の数平均分子量を示す。
    Mw(CXS)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるプロピレン系重合体組成物の冷キシレン可溶部のポリスチレン換算の重量平均分子量を示す。)
  2. 下記要件(1’)を満たす、請求項1に記載のプロピレン系重合体組成物。

    (1’)温度230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレートが2g/10分~4g/10分である。
  3. 下記要件(2’)を満たす、請求項1または2に記載のプロピレン系重合体組成物。

    (2’)アイソタクチック・ペンタッド分率が99.0%以上である。
  4. 下記要件(3’)を満たす、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロピレン系重合体組成物。

    (3’)下記式(I’)を満たす。
    3.0≦Mw/Mn≦10 (I’)
    (式中、MnおよびMwは、前記と同じ意味を示す。)
  5. 下記要件(3’’)を満たす、請求項4に記載のプロピレン系重合体組成物。

    (3’’)下記式(I’’)を満たす。
    3.0≦Mw/Mn≦5.0 (I’’)
    (式中、MnおよびMwは、前記と同じ意味を示す。)
  6. 下記要件(4’)を満たす、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロピレン系重合体組成物。

    (4’)下記式(II’)を満たす。
    0.50≦(Mw(CXS)/Mn(CXS))/(Mw/Mn)≦0.70 (II’)
    (式中、Mn、Mw、Mn(CXS)およびMw(CXS)は、前記と同じ意味を示す。)
  7. 下記要件(5)を満たす、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロピレン系重合体組成物。

    (5)下記式(III)を満たす。
    Mw(CXS)/Mn(CXS)<3.0 (III)
    (式中、(CXS)およびMw(CXS)は、前記と同じ意味を示す。)
  8. さらに延伸性改良材を含有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロピレン系重合体組成物。
  9. 前記延伸性改良材がβ晶核剤である、請求項8に記載のプロピレン系重合体組成物。
  10. 請求項1~9のいずれか一項に記載のプロピレン系重合体組成物を製造する方法であって、
    下記工程(11)を含む、プロピレン系重合体組成物の製造方法。

    (11)オレフィン重合用固体触媒成分と、有機アルミニウム化合物と、外部電子供与体と、を接触させて得られたオレフィン重合用触媒の存在下で、プロピレンを重合させてプロピレン系重合体を得る工程であって、
    外部電子供与体が下記式(IV)で表される化合物である、工程。

    SiR (OR(4-n) (IV)
    (式中、
    nは1~3の整数を示す。
    は、炭素原子数3~10の環状脂肪族炭化水素基を示す。Rが複数存在する場合、これらは同一でも異なっていてもよい。
    は、炭素原子数1~20の炭化水素基を示す。Rが複数存在する場合、これらは同一でも異なっていてもよい。)
  11. 請求項1~9のいずれか一項に記載のプロピレン系重合体組成物を用いて得られる、二軸延伸フィルム。
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