JP2022073267A - プロピレン系重合体組成物、二軸延伸フィルム、および包装袋 - Google Patents

プロピレン系重合体組成物、二軸延伸フィルム、および包装袋 Download PDF

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Abstract

【課題】二軸延伸フィルムを製造する際に、TD方向の均一延伸性に優れると共に、TD方向およびMD方向において比較的低い加熱収縮率を有する二軸延伸フィルムを製造しうるプロピレン系重合体組成物を提供することを課題とする【解決手段】プロピレン系重合体と、結晶核剤とを含有するプロピレン系重合体組成物であって、温度230℃、荷重21.18Nで測定されるメルトフローレートが5g/10分~30g/10分であり、アイソタクチック・ペンタッド分率が90%以上であり、結晶核剤の濃度が50質量ppm~5000質量ppmである。【選択図】 なし

Description

本発明は、プロピレン系重合体を含むプロピレン系重合体組成物、該プロピレン系重合体組成物を用いた二軸延伸フィルム、および該二軸延伸フィルムを用いた包装袋に関する。
従来、例えば各種包装材料として用いられるフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート系二軸延伸フィルムを基材フィルムとし、該基材フィルムに、ポリプロピレン系無延伸フィルムやポリエチレン系無延伸フィルムをシーラントフィルムとして積層した構成のものが知られている。かかる構成のフィルムは、基材フィルムが高剛性および高耐熱性を有し、シーラントフィルムが低温でのヒートシール性を有していることで、各種包装袋として優れた機能を発揮しうるものとなっている。
近年、この種のフィルムに対してもリサイクルの要望が高まっており、モノマテリアル化が求められている。具体的には、ポリプロピレンやポリエチレンといったオレフィン系樹脂で構成されるシーラントフィルムと同種のオレフィン系樹脂であるポリプロピレン系二軸延伸フィルムを基材フィルムとして採用することが好適とされている。
しかしながら、ポリプロピレン系二軸延伸フィルムは、ポリエチレンテレフタレート系二軸延伸フィルム等と比較して、加熱収縮率が高い。そのため、ポリプロピレン系二軸延伸フィルムを基材フィルムとして用いたフィルムは、その用途が制限されるという問題がある。
加熱収縮率を改善したポリプロピレン系二軸延伸フィルムとしては、従来、下記特許文献1記載のフィルムが知られている。具体的には、特許文献1には、高規則性のプロピレン系重合体を用いて二軸延伸フィルムを形成することにより、加熱収縮率を改善する方法が開示されている。
しかし、特許文献1記載のプロピレン系重合体では、二軸延伸フィルムの製造時に、流れ方向(以下では、「MD方向」とも記す。)に対して交差する方向(以下では、「TD方向」とも記す。)の均一延伸性が悪く、延伸時に、厚みムラや破れが生じることがあり、延伸成形性が悪いという問題がある。また、得られる二軸延伸フィルムのTD方向およびMD方向の加熱収縮率も十分に低いものとはいえない。
延伸成形性を改善したポリプロピレン系二軸延伸フィルムとしては、従来、下記特許文献2記載のフィルムが知られている。具体的には、特許文献2には、プロピレン系重合体と結晶核剤とを含むプロピレン系重合体組成物を用いて二軸延伸フィルムを形成することで、延伸成形性を改善する方法が開示されている。
しかし、特許文献2記載のプロピレン系重合体組成物であっても、得られる二軸延伸フィルムのTD方向およびMD方向の加熱収縮率は十分に低いものとはいえない。
国際公開第2015/012324号 特開平08-291236号公報
本発明は、二軸延伸フィルムを製造する際に、TD方向の均一延伸性に優れると共に、TD方向およびMD方向において比較的低い加熱収縮率を有する二軸延伸フィルムを製造しうるプロピレン系重合体組成物、該プロピレン系重合体組成物を用いた二軸延伸フィルム、および該二軸延伸フィルムを用いた包装袋を提供することを課題とする。
本発明に係るプロピレン系重合体組成物は、
プロピレン系重合体と、結晶核剤とを含有するプロピレン系重合体組成物であって、
温度230℃、荷重21.18Nで測定されるメルトフローレートが5g/10分~30g/10分であり、
アイソタクチック・ペンタッド分率が90%以上であり、
結晶核剤の濃度が50質量ppm~5000質量ppmである。
本発明に係る二軸延伸フィルムは、上記のプロピレン系重合体組成物を含む。
本発明に係る包装袋は、上記の二軸延伸フィルムを含む。
本発明によれば、二軸延伸フィルムを製造する際にTD方向の均一延伸性に優れると共に、TD方向およびMD方向において比較的低い加熱収縮率を有する二軸延伸フィルムを製造しうるプロピレン系重合体組成物、該プロピレン系重合体組成物を用いた二軸延伸フィルム、および該二軸延伸フィルムを用いた包装袋を提供することができる。
本発明に係るプロピレン系重合体組成物は、プロピレン系重合体と結晶核剤とを含有するものであり、二軸延伸フィルムの原料となるものである。
<プロピレン系重合体>
本発明で用いられるプロピレン系重合体としては、例えば、プロピレン単独重合体またはプロピレン系ランダム共重合体を用いることができる。得られる二軸延伸フィルムの加熱収縮率を比較的低くする共に、剛性を比較的高くする観点から、プロピレン系重合体としては、好ましくはプロピレン単独重合体である。本発明で用いられるプロピレン系重合体がプロピレン系ランダム共重合体である場合、該プロピレン系ランダム共重合体としては、例えば、プロピレンと、エチレンおよび炭素原子数4~20のα-オレフィンから選択された少なくとも1種のコモノマーと、を共重合して得られるものが挙げられる。
炭素原子数4~20のα-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、2-メチル-1-プロペン、1-ペンテン、2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、2-エチル-1-ブテン、2,3-ジメチル-1-ブテン、2-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、3,3-ジメチル-1-ブテン、1-ヘプテン、メチル-1-ヘキセン、ジメチル-1-ペンテン、エチル-1-ペンテン、トリメチル-1-ブテン、メチルエチル-1-ブテン、1-オクテン、メチル-1-ペンテン、エチル-1-ヘキセン、ジメチル-1-ヘキセン、プロピル-1-ヘプテン、メチルエチル-1-ヘプテン、トリメチル-1-ペンテン、プロピル-1-ペンテン、ジエチル-1-ブテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン等が挙げられる。前記α-オレフィンとしては、好ましくは1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、または1-オクテンであり、より好ましくは1-ブテンである。
本発明でプロピレン系重合体として用いられるプロピレン系ランダム共重合体としては、例えば、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-α-オレフィンランダム共重合体等が挙げられる。プロピレン-α-オレフィンランダム共重合体としては、例えば、プロピレン-1-ブテンランダム共重合体、プロピレン-1-ヘキセンランダム共重合体、プロピレン-1-オクテンランダム共重合体、プロピレン-エチレン-1-ブテンランダム共重合体、プロピレン-エチレン-1-ヘキセンランダム共重合体、プロピレン-エチレン-1-オクテンランダム共重合体等が挙げられ、好ましくはプロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-1-ブテンランダム共重合体、プロピレン-エチレン-1-ブテンランダム共重合体である。
本発明でプロピレン系重合体として用いられるプロピレン系ランダム共重合体がプロピレン-エチレンランダム共重合体である場合、エチレン含有量は、得られる二軸延伸フィルムの加熱収縮率を比較的低くすると共に、剛性を比較的高くする観点から、好ましくは2.0質量%以下であり、より好ましくは1.0質量%以下であり、さらに好ましくは0.4質量%以下である。
本発明でプロピレン系重合体として用いられるプロピレン系ランダム共重合体がプロピレン-α-オレフィンランダム共重合体である場合、α-オレフィン含有量は、得られる二軸延伸フィルムの加熱収縮率を比較的低くすると共に、剛性を比較的高くする観点から、好ましくは8.0質量%以下であり、より好ましくは3.0質量%以下であり、さらに好ましくは1.0質量%以下である。
本発明でプロピレン系重合体として用いられるプロピレン系ランダム共重合体がプロピレン-エチレン-α-オレフィンランダム共重合体である場合、エチレンとα-オレフィンの含有量の合計は、得られる二軸延伸フィルムの加熱収縮率を比較的低くすると共に、剛性を比較的高くする観点から、好ましくは8.0質量%以下であり、より好ましくは3.0質量%以下であり、さらに好ましくは1.0質量%以下である。
プロピレン系重合体組成物中のプロピレン系重合体の含有量としては、好ましくは99.0質量%~99.9質量%であり、より好ましくは99.5質量%~99.9質量%であり、さらに好ましくは99.7質量%~99.9質量%である。
本発明で用いられるプロピレン系重合体は、冷キシレン可溶部量(以下、CXSと略す。)が、好ましくは0.1質量%~1.0質量%であり、より好ましくは0.3質量%~1.0質量%であり、さらに好ましくは0.3質量%~0.8質量%である。CXSを上記範囲とすることにより、良好な延伸加工性を呈するとともに、得られる二軸延伸フィルムにおいて、比較的高い剛性および比較的高温での比較的低い収縮率を発現させうるという効果がある。プロピレン系重合体のCXSは、例えば、プロピレンの重合時に使用する外部ドナーの種類を選定することによって、上記の範囲に調整することができる。外部ドナーの具体例としては、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジ-tert-ブチルジメトキシシラン等を例示することができる。
尚、本発明においてCXSとは、下記の[実施例]に記載の方法によって求めることができる。
本発明で用いられるプロピレン系重合体は、メルトフローレート(以下、MFRと略す。)が、好ましくは5g/10分~30g/10分であり、より好ましくは6g/10分~22g/10分であり、さらに好ましくは6g/10分~15g/10分である。MFRが上記範囲にあるプロピレン系重合体を用いることにより、ポリプロピレン(以下では、「PP」とも記す。)が溶融状態のときに適度な粘度を有し、良好な延伸加工性を呈するとともに、得られる二軸延伸フィルムにおいて、比較的高い剛性および比較的高温での比較的低い収縮率を発現させうるという効果がある。プロピレン系重合体のMFRは、例えば、プロピレンの重合時に使用する水素濃度を0.3mol%~5.0mol%に調整することによって、上記の範囲に調整することができる。
尚、本発明においてMFRとは、下記の[実施例]に記載の方法によって求めることができる。
本発明で用いられるプロピレン系重合体は、MFRの異なる複数種類のプロピレン系重合体を含むものであってもよい。好ましい例として、プロピレン系重合体は、MFRが0.1g/10分~3.0g/10分であるプロピレン系重合体(a)と、MFRが10g/10分~200g/10分であるプロピレン系重合体(b)とを含むものとすることができる。
プロピレン系重合体組成物におけるプロピレン系重合体(a)およびプロピレン系重合体(b)の含有量は、プロピレン系重合体(a)およびプロピレン系重合体(b)の合計含有量に対して、プロピレン系重合体(a)が50質量%~90質量%であることが好ましく、プロピレン系重合体(b)が10質量%~50質量%であることが好ましく、プロピレン系重合体(a)が50質量%~85質量%であることがより好ましく、プロピレン系重合体(b)が15質量%~50質量%であることがより好ましい。本発明に係るプロピレン系重合体組成物がMFRの異なる複数種類のプロピレン系重合体を含むものであることにより、延伸加工時の厚みムラが低減され、良好な延伸加工性を呈するとともに、得られる二軸延伸フィルムにおいて、比較的高い剛性および比較的高温での比較的低い収縮率を発現させうるという効果がある。
本発明で用いられるプロピレン系重合体は、アイソタクチック・ペンタッド分率が、好ましくは90%以上であり、より好ましくは97%以上であり、さらに好ましくは98%~99%である。プロピレン系重合体のアイソタクチック・ペンタッド分率は、例えば、プロピレンの重合時に使用する外部ドナーの種類を選定することによって、上記の範囲に調整することができる。外部ドナーの具体例としては、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジ-tert-ブチルジメトキシシラン等を例示することができる。
尚、本発明においてアイソタクチック・ペンタッド分率とは、下記の[実施例]に記載の方法によって求めることができる。
<プロピレン系重合体の製造>
プロピレン系重合体を製造する方法としては、公知の重合方法が挙げられる。例えば、不活性溶媒の存在下で行われる溶媒重合法、液状のモノマーの存在下で行われる塊状重合法、実質上液状の媒体の不存在下で行われる気相重合法等が挙げられる。好ましくは気相重合法である。また、上記の重合方法を2種類以上組み合わせる重合方法、2段以上の多段重合の方法等も挙げられる。
プロピレン系重合体の重合に用いられる触媒としては、上記何れの重合方法においても、プロピレンの立体規則性重合用触媒を用いることができる。
プロピレンの立体規則性重合用触媒としては、例えば、三塩化チタン触媒、チタン、マグネシウム、ハロゲン、および電子供与体を必須成分とするTi-Mg系触媒等の固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物や必要に応じて電子供与性化合物等の第3成分を組み合わせた触媒、メタロセン系触媒等が挙げられる。好ましくはマグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を必須成分とする固体触媒成分、有機アルミニウム化合物および電子供与性化合物を組み合わせた触媒であり、その具体例としては、特開昭61-218606号公報、特開昭61-287904号公報、特開平7-216017号公報、特開2004-182876等に記載された触媒が挙げられる。
本発明で使用される結晶核剤としては、α晶核剤およびβ晶核剤の少なくとも一方(好ましくはβ晶核剤)を用いることができる。
<α晶核剤>
α晶核剤とは、プロピレン系重合体に単斜晶構造であるα晶を形成させることができる化合物をいう。
有機系のα晶核剤としては、特に限定されず、従来公知の種々のものを利用することができる。例えば、ジベンジリデンソルビトール、ジメチルベンジリデンソルビトール等のソルビトール誘導体、p-tert-ブチル安息香酸ナトリウム、β-ナフトエン酸ナトリウム、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ナトリウム、ジ安息香酸アルミニウム、塩基性ジ-p-tert-ブチル安息香酸アルミニウム等の芳香族カルボン酸のナトリウム塩やアルミニウム塩等の芳香族カルボン酸金属塩、芳香族カルボン酸、リン酸2,2-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ナトリウム等の芳香族リン酸金属塩等を挙げることができる。
無機系のα晶核剤としては、特に限定されず、例えば、タルク、マイカ等を挙げることができる。無機系のα晶核剤の粒径は、フィシュアイの発生によるフィルム外観の悪化の観点から、平均粒径10μm以下のものが好ましく、6.0μm以下のものがさらに好ましい。なお、平均粒径は、JIS Z8825:2013の規定に基づいて求めることができる。
<β晶核剤>
β晶核剤とは、プロピレン系重合体に六方晶構造であるβ晶を形成させることができる化合物をいう。β晶核剤としては、特に限定されず、従来公知の種々のβ晶核剤を利用することができる。例えば、N,N'―ジシクロヘキシル―2,6―ナフタレンジカルボキシアミド、N,N'―ジシクロヘキシルテレフタルアミド、N,N’-ジフェニルヘキサンジアミド等に代表されるアミド化合物、テトラオキサスピロ化合物、キナクリドン、キナクリドンキノン等に代表されるキナクリドン類、ナノスケールのサイズを有する酸化鉄、ピメリン酸カルシウム、1,2―ヒドロキシステアリン酸カリウム、安息香酸マグネシウム若しくはコハク酸マグネシウム、フタル酸マグネシウムなどに代表されるカルボン酸のアルカリ若しくはアルカリ土類金属塩、ベンゼンスルホン酸ナトリウム若しくはナフタレンスルホン酸ナトリウムなどに代表される芳香族スルホン酸化合物、二若しくは三塩基カルボン酸のジエステル類若しくはトリエステル類、フタロシアニンブルーなどに代表されるフタロシアニン系顔料、有機二塩基酸である成分Aと周期律表第IIA族金属の酸化物、水酸化物若しくは塩である成分Bとからなる二成分系化合物、環状リン化合物とマグネシウム化合物からなる組成物などが挙げられ、これらのうちの1種類または2種類以上を混合して用いても良い。上記のβ晶核剤の中でも、アミド化合物のN,N'―ジシクロヘキシル―2,6―ナフタレンジカルボキシアミド、N,N'―ジシクロヘキシルテレフタルアミド、N,N’-ジフェニルヘキサンジアミドが好ましく、N,N'―ジシクロヘキシル―2,6―ナフタレンジカルボキシアミドがより好ましい。
<プロピレン系重合体組成物の製造方法>
プロピレン系重合体組成物を製造する方法としては、上記のプロピレン系重合体と結晶核剤とを溶融混練する方法が挙げられる。例えば、プロピレン系重合体と結晶核剤とをリボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、タンブラーミキサー等で混合し、その混合物を押出機等で溶融混練する方法が挙げられる。また、プロピレン系重合体100質量部に対して、結晶核剤を1~10質量部含むマスターバッチをあらかじめ作製し、プロピレン系重合体組成物中の結晶核剤の濃度が所定値となるように、プロピレン系重合体と結晶核剤のマスターバッチとを適宜混合する方法も挙げられる。さらに、上記のプロピレン系重合体(a)およびプロピレン系重合体(b)を含むプロピレン系重合体を用いる場合、プロピレン系重合体(a)とプロピレン系重合体(b)とをそれぞれ個別に溶融混練してペレット化し、ペレット化したプロピレン系重合体(a)とペレット化したプロピレン系重合体(b)と結晶核剤を含むマスターバッチとを、上記と同様の方法で混合し、さらに上記と同様の方法で溶融混練する方法が挙げられる。さらに、上記のようにペレット化したプロピレン系重合体(a)およびペレット化したプロピレン系重合体(b)をドライブレンド等でブレンドした後、結晶核剤を含むマスターバッチと共に直接フィルム加工機で混合して溶融混練する方法が挙げられる。また、上記のようにペレット化したプロピレン系重合体(a)およびペレット化したプロピレン系重合体(b)結晶核剤を含むマスターバッチを個別にフィルム加工機の押出機にフィードして混合し、溶融混練する方法が挙げられる。
また、プロピレン系重合体と結晶核剤を混合する際に、必要に応じて、安定剤、滑剤、帯電防止剤、および抗ブロッキング剤、無機または有機の各種フィラー等を添加してもよい。
本発明に係るプロピレン系重合体組成物は、MFRが、5g/10分~30g/10分であり、好ましくは6g/10分~22g/10分であり、より好ましくは6g/10分~15g/10分である。
また、本発明に係るプロピレン系重合体組成物は、CXSが、好ましくは0.1質量%~1.0質量%であり、より好ましくは0.3質量%~1.0質量%であり、さらに好ましくは0.3質量%~0.8質量%である。
また、本発明に係るプロピレン系重合体組成物は、プロピレン系重合体組成物中の結晶核剤の濃度が、50質量ppm~5000ppmであり、好ましくは100質量ppm~2500質量ppm以下であり、より好ましくは100質量ppm~2000質量ppmである。結晶核剤としてα晶核剤を用いる場合、プロピレン系重合体組成物中のα晶核剤の濃度としては、好ましくは100質量ppm~2500質量ppmであり、より好ましくは500質量ppm~1500質量ppmである。結晶核剤としてβ晶核剤を用いる場合、プロピレン系重合体組成物中のβ晶核剤の濃度としては、好ましくは100質量ppm~1500質量ppmであり、より好ましくは100質量ppm~900質量ppmである。
プロピレン系重合体組成物のMFRは、上記のようにプロピレン系重合体のMFRを調整することにより、上記の範囲に調整することができる。また、プロピレン系重合体組成物のCXSは、上記のようにプロピレン系重合体のCXSを調整することにより、上記の範囲に調整することができる。
また、プロピレン系重合体組成物は、下記式(I)を満たすものであってもよい。

9≦X/Y≦40・・・(I)
(式中、
Xは、温度230℃、荷重21.18Nで測定されるメルトフローレートを示す。
Yは、冷キシレン可溶部量を示す。)

また、プロピレン系重合体組成物は、下記式(II)を満たすものであってもよい。

20≦X/Y≦30・・・(II)
(式中、XおよびYは前記と同じ意味を示す。)
また、本発明に係るプロピレン系重合体組成物は、アイソタクチック・ペンタッド分率が、90%以上であり、好ましくは97%以上であり、より好ましくは98%~99%である。プロピレン系重合体組成物のアイソタクチック・ペンタッド分率は、上記のようにプロピレン系重合体のアイソタクチック・ペンタッド分率を調整することにより、上記の範囲に調整することができる。
また、本発明に係るプロピレン系重合体組成物は、プロピレン系重合体の最大メソ連鎖長が、好ましくは80以上であり、より好ましくは82以上である。尚、プロピレン系重合体の最大メソ連鎖長は、プロピレン系重合体組成物から結晶核剤を除いた組成物で測定したものである。測定されている組成物の大部分はプロピレン系重合体のため、結晶核剤を含有しない組成物の測定値をプロピレン系重合体の測定値とみなすことができる。プロピレン系重合体の最大メソ連鎖長は、例えば、プロピレンの重合時に使用する外部ドナーの種類を選定することによって、および/または、水素濃度を0.3mol%~5.0mol%に調整することによって、上記の範囲に調整することができる。外部ドナーの具体例としては、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジ-tert-ブチルジメトキシシラン等を例示することができる。
尚、本発明において最大メソ連鎖長とは、SSA法により求めることができ、具体的には、下記の[実施例]に記載の方法によって求めることができる。
本発明に係るプロピレン系重合体組成物は、MFR、アイソタクチック・ペンタッド分率、および、結晶核剤の濃度が上記範囲であることで、二軸延伸フィルムの製造においてTD方向の均一延伸性が良好であると共に、得られる二軸延伸フィルムは、MD方向およびTD方向において比較的低い加熱収縮率を有する。
具体的には、二軸延伸フィルムの加熱収縮は、プロピレン系重合体組成物を構成するPPのタイ分子(結晶間を結ぶ非晶鎖)の配向によって引き起こされると考えられる。
ここで、プロピレン系重合体組成物のMFRは、PPの分子量の指標である。MFRを高く、すなわちPPの分子鎖を短くすることで、PP結晶間をつなぐタイ分子の割合を低下させ、MD方向およびTD方向の加熱収縮率を低下させることができると考えられる。一方、MFRが高くなる(PPの分子鎖が短くなる)ことで、分子鎖の絡み合いが少なくなり、二軸延伸フィルムの製造においてTD方向の延伸時に割れやすくなったり、TD方向に延伸部分と未延伸部分とが混在したりという問題が発生することがある。このため、MFRが5g/10分以上で比較的高い場合、二軸延伸フィルムの製造において延伸加工が困難となる。これに対し、本件発明では、結晶核剤の添加により延伸性を改良して、従来は困難とされていたMFRの高いプロピレン系重合体組成物の延伸加工を良好に行うことができる。このように、本発明に係るプロピレン系重合体組成物は、MFRが5g/10分~30g/10分であることで、MD方向およびTD方向の加熱収縮率が比較的低くなり、結晶核剤を含有することで、二軸延伸フィルムの製造において延伸加工を良好に行うことができる。
アイソタクチック・ペンタッド分率は、PPの結晶性の指標である。アイソタクチック・ペンタッド分率が高ければ、PPの結晶性が高くなり、非晶部量が少なくなるので、MD方向およびTD方向の加熱収縮率が低くなる。
結晶核剤は、二軸延伸フィルムの成形時に形成されるPP結晶を微細かつ均一にすることで、二軸延伸フィルムの製造において、TD方向の均一延伸性の向上に寄与していると考えられる。プロピレン系重合体組成物中の結晶核剤の濃度が50質量ppm~5000質量ppmであれば、PP結晶の微細化および均一化が十分であり、結晶核剤の凝集による延伸不良も発生し難いと考えられる。
結晶核剤としてβ晶核剤を用いた場合、β晶核剤により形成されるPPのβ晶は、α晶核剤により形成されるPPのα晶よりも融点が低いため、二軸延伸フィルムの製造における延伸時に、β晶の融点以上の温度で延伸することで、β晶が溶融しやすくなり、非晶部が配向し難い。これにより、得られる二軸延伸フィルムについて、MD方向およびTD方向の加熱収縮率を比較的低くすることができる。
以上のように、本発明に係るプロピレン系重合体組成物は、MFRが5g/10分~30g/10分であり、アイソタクチック・ペンタッド分率が90%以上であり、結晶核剤の濃度が50質量ppm~5000質量ppmであることで、二軸延伸フィルムの製造において、TD方向の均一延伸性を優れたものとすることができる。また、得られる二軸延伸フィルムのMD方向およびTD方向において比較的低い加熱収縮率を得ることができる。
また、本発明に係るプロピレン系重合体組成物は、CXSが上記の範囲であることで、TD方向の均一延伸性がより優れたものになると共に、得られる二軸延伸フィルムのMD方向およびTD方向においてより低い加熱収縮率を得ることができる。CXSは、PPの結晶性の指標であり、CXSが低いほど、PPの結晶性が高く、PPのタイ分子(非晶部)の割合が少なくなるので、MD方向およびTD方向の加熱収縮率が低くなる。一方で、CXSが低くなると、PPの結晶性が高すぎて、TD方向の均一延伸性が悪化する場合がある。TD方向の均一延伸性は、プロピレン系重合体組成物のMFRとCXSの双方の影響を受けることから、MFRとCXSの比率が上記式(I)または式(II)に示す範囲とすることで、TD方向の均一延伸性がより優れたものになる。
また、プロピレン系重合体の最大メソ連鎖長が上記の範囲であることで、TD方向の均一延伸性がより優れたものになると共に、得られる二軸延伸フィルムのMD方向およびTD方向においてより低い加熱収縮率を得ることができる。
<二軸延伸フィルムの製造>
次に、本発明に係るプロピレン系重合体組成物を用いて二軸延伸フィルムを製造する方法について説明する。斯かる二軸延伸フィルムの製造方法としては、例えば、逐次二軸延伸方式や同時二軸延伸方式を用いることができる。
逐次二軸延伸方式においては、プロピレン系重合体組成物を、押出機を用いて加熱溶融し、Tダイより冷却ロール上に押し出してシート状に冷却固定することで未延伸シートを得る工程と、得られた未延伸シートを、一連の延伸ロールを用いてMD方向に3倍~12倍に延伸することで一軸延伸フィルムを得る工程と、得られた一軸延伸フィルムの両側端を、MD方向に沿って並んだ2列のチャックで掴み、予熱部、延伸部、熱処理部を備えた加熱炉内で、一軸延伸フィルムをTD方向に4倍~20倍に延伸した後、該2列のチャックの間隔を狭めることによりTD方向に5%~30%緩和(リラックス)させることで二軸延伸フィルムを得る工程と、を含むことができる。また、必要に応じてコロナ処理等を行う工程を含んでもよい。
逐次二軸延伸方式において、プロピレン系重合体組成物を加熱溶融する際の温度としては、例えば、230℃~290℃が好ましい。また、冷却ロールの温度としては、例えば、10℃~60℃が好ましい。未延伸シートをMD方向に延伸する際の延伸ロールの温度としては、例えば、110℃~165℃が好ましく、110℃~150℃がより好ましい。一軸延伸フィルムをTD方向に延伸する際の加熱温度としては、150℃~200℃が好ましく、TD方向に緩和する際の加熱温度としては、150℃~200℃が好ましい。
一方、同時二軸延伸方式においては、プロピレン系重合体組成物を、押出機を用いて加熱溶融し、Tダイより冷却ロール上に押し出してシート状に冷却固定することで未延伸シートを得る工程と、得られた未延伸シートの両側端をMD方向に沿って並んだ2列のチャックで掴み、予熱部、延伸部、および熱処理部を備えた加熱炉内で、上記2列のチャックのTD方向の間隔と各列内の個々のチャックのMD方向の間隔とを広げることにより、未延伸シートをMD方向に3倍~12倍に、TD方向に4倍~20倍に、同時に延伸し、その後TD方向に5%~30%緩和させることで二軸延伸フィルムを得る工程と、を含むことができる。また、必要に応じてコロナ処理等を行う工程を含んでもよい。
なお、同時二軸延伸方式における加熱溶融の温度、冷却ロールの温度、延伸時の加熱温度、については、上記の逐次二軸延伸方式における各条件と同じとすることができる。
逐次二軸延伸方式および同時二軸延伸方式において、フィルムを緩和させる際の緩和率が上記のように5%以上(好ましくは15%以上)であることで、加熱収縮率が比較的低くなり、耐熱性に優れた二軸延伸フィルムが得られる。また、緩和率が上記のように30%以下(好ましくは25%以下)であることで、フィルムの厚みムラを抑制できる。
なお、本発明において緩和率Rは、下記式(1)により求められるものである。

R=(L1-L2)/L1×100 (1)
(式中、L1はフィルムを緩和する前のTD方向におけるチャック間の距離、L2はフィルムを緩和した後のTD方向におけるチャック間の距離を示す)
本発明に係るプロピレン系重合体組成物を用いて形成される二軸延伸フィルムの厚みとしては、例えば、10μm~70μmであることが好ましい。
また、本発明に係るプロピレン系重合体組成物を用いて形成される二軸延伸フィルムは、多層フィルムの一部の層を形成するものとして用いることができる。該多層フィルムは、少なくとも一つの層が本発明に係る二軸延伸フィルムで形成され、該二軸延伸フィルムの層に任意の他の層を積層させたものである。二軸延伸フィルムの層に積層する他の層としては、例えば、シーラント層、ガスバリア層、接着層、印刷層等の任意の層が挙げられる。特には、オレフィン系のフィルムを用いたシーラント層と二軸延伸フィルムの層とを積層することが好ましい。これにより、得られた多層フィルムのリサイクルを容易に行うことができる。多層フィルムを作製する方法としては、通常用いられる押出ラミネート法、熱ラミネート法、ドライラミネート法等が挙げられる。
また、本発明に係るプロピレン系重合体組成物を用いて形成される二軸延伸フィルムは、包装袋の材料として用いることができる。具体的には、二軸延伸フィルムの層を含む上記の多層フィルムを用いて包装袋を形成することができる。該包装袋は、食品、衣料品、雑貨等の任意の包装対象物を包装する用途として使用し得る。
実施例および比較例における各項目の測定値は、下記の方法で測定した。
(1)MFR(単位:g/10分)
プロピレン系重合体組成物のMFRは、JIS K7210-1:2014に規定されたA法に従って、温度230℃、荷重21.18Nで測定した。
(2)CXS(単位:質量%)
プロピレン系重合体組成物1gを、沸騰キシレン100mlに完全に溶解させた後、20℃に降温し、1時間攪拌した。得られた混合物を析出物と溶液とに濾別した後、溶液中に溶解している成分量を、下記の条件下にて液体クロマトグラフィーにより定量し、CXSを求めた。

カラム:SHODEX GPC KF-801
溶離液:テトラヒドロフラン
カラムオーブン温度:40℃
試料注入量:130μL
流量:1mL/分
検出器:示差屈折計
(3)アイソタクチック・ペンタッド分率([mmmm]、単位:%)
プロピレン系重合体組成物の[mmmm]は、下記の条件下にて13C-NMRにより測定した。プロピレン系重合体組成物に含有されるプロピレン系重合体のNMR吸収ピークの帰属は、A.Zambelliらによって発表された方法(Macromolecules 第8巻、第687頁、1975年)に従って行った。

機種:Bruker AVANCE600
プローブ:10mmクライオプローブ
測定温度:135℃
パルス繰り返し時間:4秒
パルス幅:45°
積算回数:256回
(4)最大メソ連鎖長(単位:なし)
A.J.Mullerらによって発表されたSuccessive Self-nuculeation and Annealing法(SSA法、European PolymerJournal 第65巻、第132頁、2015年)に従って、プロピレン系重合体の最大メソ連鎖長(MSL)を測定した。測定条件を(4-1)~(4-4)に示す。
(4-1)Ts,ideal(単位:℃)の測定
示差走査型熱量計(TAインスツルメント DSC250)を用いて、プロピレン系重合体組成物5mgを、窒素雰囲気下、200℃にて3分間保持した後、降温速度10℃/分にて50℃まで冷却した。その後、プロピレン系重合体組成物を50℃にて3分間保持した後、昇温速度10℃/分にて所定の温度T(単位:℃)まで加熱した。その後、プロピレン系重合体組成物を温度Tにて5分間保持した後、降温速度10℃/分にて50℃まで冷却した。その後、プロピレン系重合体組成物を50℃にて3分間保持した後、昇温速度10℃/分にて230℃まで加熱した際の融解曲線を測定した。温度Tを173℃とした測定で得られた融解曲線が単一の融解ピークを示すことを確認した後、温度Tを1℃ずつ下げて同様の測定を行い、前記単一の融解ピークよりも高温側に新たな融解ピークが観測される温度TをT(単位:℃)と定義し、次の式によりTs,idealを求めた。

s,ideal=T+1
(4-2)T(単位:℃)の測定
示差走査型熱量計(TAインスツルメント DSC250)を用いて、プロピレン系重合体組成物5mgを、窒素雰囲気下、200℃にて3分間保持した後、降温速度10℃/分にて50℃まで冷却した。その後、プロピレン系重合体組成物を50℃にて3分間保持した後、昇温速度10℃/分にてTs,idealまで加熱した。その後、プロピレン系重合体組成物をTs,idealにて10分間保持した後、降温速度10℃/分にて50℃まで冷却した。その後、プロピレン系重合体組成物を50℃にて3分間保持した後、昇温速度10℃/分にてTs,idealより5℃低い温度まで加熱した。その後、プロピレン系重合体組成物をTs,idealより5℃低い温度にて10分間保持した後、降温速度10℃/分にて50℃まで冷却した。その後、プロピレン系重合体組成物を50℃にて3分間保持した後、昇温速度10℃/分にてTs,idealより10℃低い温度まで加熱した。その後、プロピレン系重合体組成物をTs,idealより10℃低い温度にて10分間保持した後、降温速度10℃/分にて50℃まで冷却した。その後、プロピレン系重合体組成物を50℃にて3分間保持した後、昇温速度10℃/分にてTs,idealより15℃低い温度まで加熱した。その後、プロピレン系重合体組成物をTs,idealより15℃低い温度にて10分間保持した後、降温速度10℃/分にて50℃まで冷却した。その後、プロピレン系重合体組成物を50℃にて3分間保持した後、昇温速度10℃/分にてTs,idealより20℃低い温度まで加熱した。その後、プロピレン系重合体組成物をTs,idealより20℃低い温度にて10分間保持した後、降温速度10℃/分にて50℃まで冷却した。その後、プロピレン系重合体組成物を50℃にて3分間保持した後、昇温速度10℃/分にてTs,idealより25℃低い温度まで加熱した。さらにTs,idealより25℃低い温度にて10分間保持した後、降温速度10℃/分にて50℃まで冷却した。その後、プロピレン系重合体組成物を50℃にて3分間保持した後、昇温速度10℃/分にてTs,idealより30℃低い温度まで加熱した。その後、プロピレン系重合体組成物をTs,idealより30℃低い温度にて10分間保持した後、降温速度10℃/分にて50℃まで冷却した。さらに50℃にて3分間保持した後、昇温速度10℃/分にてTs,idealより35℃低い温度まで加熱した。その後、プロピレン系重合体組成物をTs,idealより35℃低い温度にて10分間保持した後、降温速度10℃/分にて50℃まで冷却した。その後、プロピレン系重合体組成物を50℃にて3分間保持した後、昇温速度10℃/分にてTs,idealより40℃低い温度まで加熱した。その後、プロピレン系重合体組成物をTs,idealより40℃低い温度にて10分間保持した後、降温速度10℃/分にて50℃まで冷却した。その後、プロピレン系重合体組成物を50℃にて3分間保持した後、昇温速度10℃/分にてTs,idealより45℃低い温度まで加熱した。その後、プロピレン系重合体組成物をTs,idealより45℃低い温度にて10分間保持した後、降温速度10℃/分にて50℃まで冷却した。その後、プロピレン系重合体組成物を50℃にて3分間保持した後、昇温速度10℃/分にてTs,idealより50℃低い温度まで加熱した。その後、プロピレン系重合体組成物をTs,idealより50℃低い温度にて10分間保持した後、降温速度10℃/分にて50℃まで冷却した。その後、プロピレン系重合体組成物を50℃にて3分間保持した後、昇温速度10℃/分にて230℃まで加熱した際の融解曲線を測定し、最大吸熱ピークを示す温度をTと定義した。
(4-3)ラメラ厚みL(単位:m)の算出
J.Kangらによって発表された方法(Polymer Bulletin 第71巻、第563頁、2014年)に従って、次の式によりプロピレン系重合体組成物のラメラ厚みLを求めた。

=2σ/(ΔH×(1-(T+273)/T ))
(式中、表面自由エネルギーσ=0.0496J/m、平衡融解エンタルピーΔH=184×10J/m、平衡融点T =460Kの値を用いた。)
(4-4)最大メソ連鎖長(MSL、単位:なし)の算出
J.Kangらによって発表された方法(Polymer Bulletin 第71巻、第563頁、2014年)に従って、次の式によりプロピレン系重合体組成物のMSLを求めた。

MSL=3L/Lhelix
(式中、結晶格子長Lhelix=0.65×10-9mの値を用いた。)
(5)フィルム厚み(単位:μm)
二軸延伸フィルムの厚みは、JIS K7130-1999に記載のA法に従って、接触式のフィルム厚み計で測定した。
(6)均一延伸性(相対標準偏差、単位:%)
逐次二軸延伸方式において、プロピレン系重合体組成物を、押出機を用いて加熱溶融し、Tダイより押出し、冷却ロール上に押し出すことによってシート状に冷却固定し、未延伸シートを得た。得られた未延伸シートを、加熱した延伸ロールを用いてMD方向に延伸することにより、一軸延伸フィルムを得た。得られた一軸延伸フィルムに対し、TD方向に9mm毎の10本の標線を備えたスタンプを用いて標線を印字した。標線を印字した一軸延伸フィルムの両側端を、MD方向に沿って並んだ2列のチャックで掴み、予熱部、延伸部、熱処理部を備えた加熱炉内にて、一軸延伸フィルムをTD方向に延伸した。その後、該2列のチャックの間隔を狭めてTD方向に緩和させることにより二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムに対し、TD方向の標線間隔を読み取り、標線間隔の相対標準偏差を求めて延伸加工性の尺度とした。相対標準偏差が小さい程均一に延伸加工できたことを示し、延伸加工性(均一延伸性)が良好であることを示す。
(7)ヤング率(単位:GPa)
120mm×20mmの二軸延伸フィルムを、長辺方向(120mm)が測定方向(MD方向、TD方向)と一致するように採取し、23℃、湿度50%の雰囲気下において、(株)エー・アンド・デイUNIVERSAL TESTING MACHINE STB-1225を用いて、つかみ間隔60mm、引張速度5mm/分で引張り試験を行い、引張-応力カーブのゼロ点での接線からヤング率(MD方向、TD方向)を測定した。
(8)加熱収縮率(単位:%)
長軸がMD方向と平行になるように、A4サイズ(縦297mm×横210mm)のフィルムを二軸延伸フィルムから採取し、MD方向およびTD方向にそれぞれ200mmの標線を引き、150℃のオーブン中に吊るして30分間保持した。その後、フィルムを取り出し、室温にて30分間冷却した後に、各標線長さを測定した。各方向に対する加熱収縮率を、次の計算式から算出した。

加熱収縮率(%)={(200-加熱後の標線長さ(mm))/200}×100

加熱収縮率が小さいほど、高温下での寸法安定性に優れることを示す。
実施例および比較例で用いた各成分は、以下のとおりである。
<プロピレン系重合体中間組成物1>
チーグラー・ナッタ型触媒と、助触媒としてトリエチルアルミニウム、外部ドナーとしてシクロヘキシルエチルジメトキシシランを用いて、気相重合法により、水素濃度0・95mol%の環境下で、プロピレンを重合し、プロピレン系重合体1を得た。得られたプロピレン系重合体1の100質量部に対して、カルテックLT(中和剤、鈴木工業株式会社製)0.002質量部、IRGANOX1010(酸化防止剤、BASFジャパン株式会社製)0.15質量部を配合した後、溶融押出を行って、ペレット状のプロピレン系重合体中間組成物1を得た。得られたプロピレン系重合体中間組成物1のMFRは9.5g/10分、CXSは0.4質量%、[mmmm]は98.2%、最大メソ連鎖長は83であった。
<プロピレン系重合体中間組成物2>
チーグラー・ナッタ型触媒と、助触媒としてトリエチルアルミニウム、外部ドナーとしてシクロヘキシルエチルジメトキシシランを用いて、気相重合法により、水素濃度2.25mol%の環境下でプロピレンを重合し、プロピレン系重合体2を得た。得られたプロピレン系重合体2の100質量部に対して、ステアリン酸カルシウム(中和剤、堺化学工業株式会社製)0.05質量部、IRGANOX1010(酸化防止剤、BASFジャパン株式会社製)0.05質量部、IRGAFOS168(酸化防止剤、BASFジャパン株式会社製)0.05質量部を配合した後、溶融押出を行って、ペレット状のプロピレン系重合体中間組成物2を得た。プロピレン系重合体中間組成物2のMFRは19.5g/10分、CXSは0.7質量%、[mmmm]は98.4%、最大メソ連鎖長は81であった。
<プロピレン系重合体中間組成物3>
チーグラー・ナッタ型触媒と、助触媒としてトリエチルアルミニウム、外部ドナーとしてシクロヘキシルエチルジメトキシシランを用いて、気相重合法により、水素濃度0.14mol%の環境下で、プロピレンを重合し、プロピレン系重合体3を得た。得られたプロピレン系重合体3の100質量部に対して、DHT-4C(中和剤、協和化学工業株式会社製)0.01質量部、IRGANOX1010(酸化防止剤、BASFジャパン株式会社製)0.09質量部、スミライザーGP(酸化防止剤、住友化学株式会社製)0.05質量部を配合した後、溶融押出を行って、ペレット状のプロピレン系重合体中間組成物3を得た。得られたプロピレン系重合体中間組成物3のMFRは2.3g/10分、CXSは0.4質量%、[mmmm]は98.2%、最大メソ連鎖長は84であった。
<プロピレン系重合体中間組成物4>
チーグラー・ナッタ型触媒と、助触媒としてトリエチルアルミニウム、外部ドナーとしてn-プロピルメチルジメトキシシランとシクロヘキシルエチルジメトキシシランを用いて、気相重合法により、水素濃度0.06mol%の環境下でプロピレンを重合し、プロピレン系重合体4を得た。得られたプロピレン系重合体4の100質量部に対して、ステアリン酸カルシウム(中和剤、堺化学工業株式会社製)0.05質量部、DHT-4C(中和剤、協和化学工業株式会社製)0.005質量部、IRGANOX1010(酸化防止剤、BASFジャパン株式会社製)0.15質量部、IRGAFOS168(酸化防止剤、BASFジャパン株式会社製)0.10質量部を配合した後、溶融押出を行って、ペレット状のプロピレン系重合体組成物4を得た。得られたプロピレン系重合体組成物4のMFRは2.2g/10分、CXSは2.9質量%、[mmmm]は92.4%、最大メソ連鎖長は79であった。
<β晶核剤マスターバッチ>
プロピレン系重合体中間組成物1と同様の条件でプロピレンを重合し、プロピレン系重合体1を得た。得られたプロピレン系重合体1の95質量部に対して、NU-100(β晶核剤、新日本理化株式会社製)5質量部、DHT-4C(中和剤、協和化学工業株式会社製)0.01質量部、IRGANOX1010(酸化防止剤、BASFジャパン株式会社製)0.05質量部、スミライザーGP(酸化防止剤、住友化学株式会社製)0.10質量部を配合した後、溶融押出を行って、ペレット状のβ晶核剤マスターバッチを得た。
<α晶核剤マスターバッチ>
プロピレン系重合体中間組成物2と同様の条件でプロピレンを重合し、プロピレン系重合体2を得た。得られたプロピレン系重合体2の87質量部に対して、G-DXR(α晶核剤、新日本理化株式会社製)10質量部、アデカスタブPEP-36(酸化防止剤、株式会社ADEKA製)3質量部を配合し、次いで、ステアリン酸カルシウム(中和剤、堺化学工業株式会社製)0.05質量部、スミライザーGP(酸化防止剤、住友化学株式会社製)0.05質量部、IRGAFOS168(酸化防止剤、BASFジャパン株式会社製)0.05質量部、カルテックLT(中和剤、鈴木工業株式会社製)0.05質量部を配合した後、溶融押出を行って、ペレット状のα晶核剤マスターバッチを得た。
<実施例1>
プロピレン系重合体中間組成物1(99質量部)とβ晶核剤マスターバッチ(1質量部)とをヘンシェルミキサーを用いて混合した後、溶融押出しを行って、プロピレン系重合体組成物11を作製した。プロピレン系重合体組成物11中のβ晶核剤の濃度は、500質量ppmとした。プロピレン系重合体組成物11を溶融押出して得られたペレットのMFRは8.3g/10分、CXSは0.8質量%、[mmmm]は98.1%であった。このプロピレン系重合体組成物11を、スクリュー径65mmφの押出機を備えたTダイ製膜機を用いて、樹脂温度260℃で加熱溶融し、30℃の冷却ロール上に押し出すことにより、未延伸シートを得た。得られた未延伸シートを、142℃に加熱した延伸ロールを用いて、MD方向に5倍に延伸することにより、一軸延伸フィルムを得た。得られた一軸延伸フィルムの両側端を、MD方向に沿って並んだ2列のチャックで掴み、170℃に加熱した加熱炉内にて、上記2列のチャック間隔をTD方向に広げることにより、一軸延伸フィルムをTD方向に8倍に延伸し、その後165℃に加熱した加熱炉内にて、上記2列のチャック間隔を狭めて、TD方向に19.5%緩和することにより、二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムの製造条件および物性の測定値を表1および表2に示す。
<実施例2>
プロピレン系重合体中間組成物1(96質量部)とβ晶核剤マスターバッチ(4質量部)とをヘンシェルミキサーを用いて混合してプロピレン系重合体組成物12を作製した。プロピレン系重合体組成物12中のβ晶核剤の濃度は、2000質量ppmとした。プロピレン系重合体組成物12を溶融押出して得られたペレットのMFRは10.0g/10分、CXSは0.8質量%、[mmmm]は98.1%であった。このプロピレン系重合体組成物12を、スクリュー径65mmφの押出機を備えたTダイ製膜機を用いて、樹脂温度260℃で加熱溶融し、30℃の冷却ロール上に押し出すことにより、未延伸シートを得た。得られた未延伸シートを、152℃に加熱した延伸ロールを用いて、MD方向に5倍に延伸することにより、一軸延伸フィルムを得た。得られた一軸延伸フィルムの両側端を、MD方向に沿って並んだ2列のチャックで掴み、170℃に加熱した加熱炉内にて、上記2列のチャック間隔をTD方向に広げることにより、一軸延伸フィルムをTD方向に8倍に延伸し、その後165℃に加熱した加熱炉内にて、上記2列のチャック間隔を狭めて、TD方向に6.5%緩和することにより、二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムの製造条件および物性の測定値を表1および表2に示す。
<実施例3>
プロピレン系重合体中間組成物2(96質量部)とβ晶核剤マスターバッチ(4質量部)とをヘンシェルミキサーを用いて混合してプロピレン系重合体組成物13を作製した。プロピレン系重合体組成物13中のβ晶核剤の濃度は、2000質量ppmとした。プロピレン系重合体組成物13を溶融押出して得られたペレットのMFRは18.0g/10分、CXSは0.7質量%、[mmmm]は98.4%であった。このプロピレン系重合体組成物13を、スクリュー径65mmφの押出機を備えたTダイ製膜機を用いて、樹脂温度260℃で加熱溶融し、30℃の冷却ロール上に押し出すことにより、未延伸シートを得た。得られた未延伸シートを、152℃に加熱した延伸ロールを用いて、MD方向に5倍に延伸することにより、一軸延伸フィルムを得た。得られた一軸延伸フィルムの両側端を、MD方向に沿って並んだ2列のチャックで掴み、170℃に加熱した加熱炉内にて、上記2列のチャック間隔をTD方向に広げることにより、一軸延伸フィルムをTD方向に8倍に延伸し、その後165℃に加熱した加熱炉内にて、上記2列のチャック間隔を狭めて、TD方向に13.0%緩和することにより、二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムの製造条件および物性の測定値を表1および表2に示す。
<実施例4>
プロピレン系重合体中間組成物2の含有量を96質量部から99質量部に変更し、β晶核剤マスターバッチをα晶核剤マスターバッチに変更し、α晶核剤マスターバッチの含有量を4質量部から1質量部に変更して、プロピレン系重合体組成物14を作製した以外は、実施例3と同様にして、二軸延伸フィルムを得た。プロピレン系重合体組成物14中のα晶核剤の濃度は、1000質量ppmとした。プロピレン系重合体組成物14を溶融押出して得られたペレットのMFRは20.0g/10分、CXSは0.7質量%、[mmmm]は98.4%であった。得られた二軸延伸フィルムの製造条件および物性の測定値を表1および表2に示す。
<比較例1>
プロピレン系重合体中間組成物1をプロピレン系重合体中間組成物3に変更して、プロピレン系重合体組成物C11を作製した以外は、実施例1と同様にして、二軸延伸フィルムを得た。プロピレン系重合体組成物C11中のβ晶核剤の濃度は、500質量ppmとした。プロピレン系重合体組成物C11を溶融押出して得られたペレットのMFRは2.2g/10分、CXSは0.6質量%、[mmmm]は98.4%であった。得られた二軸延伸フィルムの製造条件および物性の測定値を表1および表2に示す。
<比較例2>
プロピレン系重合体中間組成物3(99質量部)とα晶核剤マスターバッチ(1質量部)とをヘンシェルミキサーを用いて混合し、押出機を用いて溶融混練してプロピレン系重合体組成物C12を作製した。プロピレン系重合体組成物C12中のα晶核剤の濃度は、1000質量ppmとした。プロピレン系重合体組成物C12を溶融押出して得られたペレットのMFRは2.2g/10分、CXSは0.6質量%、[mmmm]は98.3%であった。このプロピレン系重合体組成物C12を、スクリュー径65mmφの押出機を備えたTダイ製膜機を用いて、樹脂温度260℃で加熱溶融し、30℃の冷却ロール上に押し出すことにより、未延伸シートを得た。得られた未延伸シートを、152℃に加熱した延伸ロールを用いて、MD方向に5倍に延伸することにより、一軸延伸フィルムを得た。得られた一軸延伸フィルムの両側端を、MD方向に沿って並んだ2列のチャックで掴み、170℃に加熱した加熱炉内にて、上記2列のチャック間隔をTD方向に広げることにより、一軸延伸フィルムをTD方向に8倍に延伸し、その後165℃に加熱した加熱炉内にて、上記2列のチャック間隔を狭めて、TD方向に19.5%緩和することにより、二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムの製造条件および物性の測定値を表1および表2に示す。
<比較例3>
プロピレン系重合体中間組成物2を、スクリュー径65mmφの押出機を備えたTダイ製膜機を用いて、樹脂温度260℃で加熱溶融し、30℃の冷却ロール上に押し出すことにより、未延伸シートを得た。得られた未延伸シートを、152℃に加熱した延伸ロールを用いて、MD方向に5倍に延伸することにより、一軸延伸フィルムを得た。得られた一軸延伸フィルムの両側端を、MD方向に沿って並んだ2列のチャックで掴み、170℃に加熱した加熱炉内にて、上記2列のチャック間隔をTD方向に広げることにより、一軸延伸フィルムをTD方向に8倍に延伸し、その後165℃に加熱した加熱炉内にて、上記2列のチャック間隔を狭めて、TD方向に19.5%緩和することにより、二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムの製造条件および物性の測定値を表1および表2に示す。
<比較例4>
プロピレン系重合体中間組成物2をプロピレン系重合体中間組成物3に変更した以外は、比較例3と同様にして、二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムの製造条件および物性の測定値を表1および表2に示す。
<比較例5>
プロピレン系重合体中間組成物1をプロピレン系重合体中間組成物4に変更して、組成物中のβ晶核剤の濃度が500質量ppmとなるプロピレン系重合体組成物C13を作製した以外は、実施例1と同様にして、二軸延伸フィルムを得た。プロピレン系重合体組成物C13を溶融押出して得られたペレットのMFRは2.0g/10分、CXSは3.3質量%、[mmmm]は92.9%であった。得られた二軸延伸フィルムの製造条件および物性の測定値を表1および表2に示す。
表2から、実施例のプロピレン系重合体組成物は、二軸延伸フィルムの製造におけるTD方向の延伸において均一延伸性に優れる(相対標準偏差が小さい)と共に、得られる二軸延伸フィルムは、MD方向およびTD方向の両方で加熱収縮率が優れた値となることがわかる。
Figure 2022073267000001
Figure 2022073267000002

Claims (11)

  1. プロピレン系重合体と、結晶核剤とを含有するプロピレン系重合体組成物であって、
    温度230℃、荷重21.18Nで測定されるメルトフローレートが5g/10分~30g/10分であり、
    アイソタクチック・ペンタッド分率が90%以上であり、
    結晶核剤の濃度が50質量ppm~5000質量ppmである、プロピレン系重合体組成物。
  2. 前記アイソタクチック・ペンタッド分率が97%以上である、請求項1に記載のプロピレン系重合体組成物。
  3. 前記メルトフローレートが6g/10分~22g/10分である、請求項1または2に記載のプロピレン系重合体組成物。
  4. 冷キシレン可溶部量が0.1質量%~1.0質量%である、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロピレン系重合体組成物。
  5. プロピレン系重合体の最大メソ連鎖長が80以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロピレン系重合体組成物。
  6. 下記式(I)を満たす、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロピレン系重合体組成物。

    9≦X/Y≦40 (I)
    (式中、
    Xは、温度230℃、荷重21.18Nで測定されるメルトフローレートを示す。
    Yは、冷キシレン可溶部量を示す。)
  7. 下記式(II)を満たす、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロピレン系重合体組成物。

    20≦X/Y≦30 (II)
    (式中、
    Xは、温度230℃、荷重21.18Nで測定されるメルトフローレートを示す。
    Yは、冷キシレン可溶部量を示す。)
  8. 前記結晶核剤の濃度が100質量ppm~2500質量ppm以下である、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロピレン系重合体組成物。
  9. 前記結晶核剤がβ晶核剤である、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロピレン系重合体組成物。
  10. 請求項1~9のいずれか一項に記載のプロピレン系重合体組成物を含有する二軸延伸フィルム。
  11. 請求項10に記載の二軸延伸フィルムを含む包装袋。
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