JP2014055276A - 延伸ポリプロピレンフィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フィルムを構成するポリプロピレン樹脂が下記1)〜5)の条件を満たし、かつ、フィルムの面配向係数の下限が0.0125である、延伸ポリプロピレンフィルム。1)メソペンタッド分率の下限が96%である。2)プロピレン以外の共重合モノマー量の上限が0.1mol%である。3)230℃、2.16kgfで測定されるメルトフローレート(MFR)の下限が1g/10minである。4)質量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の下限が5.5である。5)z+1平均分子量(Mz+1)/数平均分子量(Mn)の下限は50である。
【選択図】なし
Description
また、高立体規則性を持ち、分子量分布の広いポリプロピレンを用いて延伸フィルムとすることにより、電気絶縁性、機械特性等に優れたキャパシターフィルムとして好適に用いることができるという技術が知られている(特許文献2参照)。
1)メソペンタッド分率の下限が96%である。
2)プロピレン以外の共重合モノマー量の上限が0.1mol%である。
3)230℃、2.16kgfで測定されるメルトフローレート(MFR)の下限が1g/10minである。
4)質量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の下限が5.5である。
5)z+1平均分子量(Mz+1)/数平均分子量(Mn)の下限は50である。
さらに、本発明の延伸ポリプロピレンフィルムは、150℃以上の環境下にさらされても諸物性を維持することができるので、従来のポリプロピレンフィルムでは考えられなかったような高温の環境下でも使用することができ、幅広い用途への適用が可能になる。
(ポリプロピレン樹脂の分子量分布)
本発明の延伸ポリプロピレンフィルムの特徴の一つは、構成するポリプロピレン樹脂の分子量分布状態にある。
本発明の延伸ポリプロピレンフィルムを構成するポリプロピレン樹脂は、低分子量の成分を主とし、さらに非常に分子量の高い高分子量成分が含まれている。低分子量成分を主とすることで結晶性を大きく高めることができ、従来にはない高剛性、高耐熱性の延伸ポリプロピレンフィルムが得られていると考えられる。一方、低分子量のポリプロピレン樹脂は加熱軟化した場合の溶融張力が低く、一般には延伸フィルムとすることはできない。そこに高分子量成分を数%〜数十%存在させることで延伸を可能にさせると共に、高分子量成分が結晶核の役割を果たし、さらにフィルムの結晶性を上げ、本発明の延伸フィルムの効果を達成しているものと考えられる。
本発明においては、Mw/Mnの下限は5.5であることが重要である。Mw/Mnの下限は、好ましくは6であり、より好ましくは6.5であり、さらに好ましくは7であり、特に好ましくは7.2である。上記未満であると高温での低い熱収縮率など本願の効果が得られない。一方、Mw/Mnの上限は好ましくは30であり、より好ましくは25であり、さらに好ましくは20であり、特に好ましくは15であり、最も好ましくは13である。上記を超えると現実的な樹脂の製造が困難になることがある。
分子量1万以下程度の分子は分子鎖同士の絡み合いには寄与せず、可塑剤的に分子同士の絡み合いをほぐす効果がある。分子量1万以下の成分の量が特定量含まれることで延伸時の分子の絡み合いがほどけやすく、低い延伸応力での延伸が可能となり、その結果として残留応力も低く高温での収縮率を低くできるものと考えられる。
高分子量成分の230℃、2.16kgfで測定されるメルトフローレート(MFR)の下限は好ましくは0.0001g/10minであり、より好ましくは0.0005g/10minであり、さらに好ましくは0.001g/10minであり、特に好ましくは0.005g/10minである。上記範囲であると現実的に樹脂の製造が容易であったり、フィルムのフィッシュアイを低減できる。
なお、高分子量成分の230℃、2.16kgfでのMFRは小さすぎて現実的測定が困難となる場合がある。そのような場合には10倍の荷重(21.6kgf)でのハイロードMFRを測定すればよく、その場合、好ましい下限は0.1g/10minであり、より好ましくは0.5g/10minであり、さらに好ましくは1g/10minであり、特に好ましくは5g/10minである。
高分子量成分の230℃、2.16kgfで測定されるメルトフローレート(MFR)の上限は好ましくは0.5g/10minであり、より好ましくは0.35g/10minであり、さらに好ましくは0.3g/10minであり、特に好ましくは0.2g/10minであり、最も好ましくは0.1g/10minである。上記範囲であると全体のMFRを維持するために必要な高分子成分の量が少なくてすみ、低分子量成分が奏する高温での低い熱収縮率など本願の効果がより得られやすくなる。
低分子量成分の230℃、2.16kgfで測定されるメルトフローレート(MFR)の下限は好ましくは70g/10minであり、より好ましくは80g/10minであり、さらに好ましくは100g/10minであり、特に好ましくは150g/10minであり、最も好ましくは200g/10minである。上記範囲であると結晶性が良くなり、高温での低い熱収縮率など本願の効果がより得られやすくなる。一方、低分子量成分の230℃、2.16kgfで測定されるメルトフローレート(MFR)の上限は好ましくは2000g/10minであり、より好ましくは1800g/10minであり、さらに好ましくは1600g/10minであり、特に好ましくは1500g/10minであり、最も好ましくは1400g/10minである。上記範囲であると全体でのMFRを維持しやすくなり、製膜性に優れる。
また本発明におけるポリプロピレン樹脂は、ポリプロピレン樹脂全体としてMFRを調整するために、上記の高分子量成分や低分子量成分以外の分子量を有する成分を含有していてもよい。また、分子鎖の絡み合いをほぐしやすくして延伸性などを調節するために、低分子量成分の分子量以下、特に分子量3万程度以下、さらには分子量1万程度以下のポリプロピレン樹脂を含有させても良い。
本発明の延伸ポリプロピレンフィルムを構成するポリプロピレン樹脂全体の230℃、2.16kgfで測定されるメルトフローレート(MFR)の下限は、1g/10minであることが重要である。全体のMFRの下限は、好ましくは1.2g/10minであり、より好ましくは1.4g/10minであり、さらに好ましくは1.5g/10minであり、特に好ましくは1.6g/10minである。上記範囲であると機械的負荷が小さく延伸が容易となる。一方、全体のMFRの上限は好ましくは11g/10minであり、より好ましくは10g/10minであり、さらに好ましくは9g/10minであり、特に好ましくは8.5g/10minであり、最も好ましくは8g/10minである。上記範囲であると延伸が容易となったり、厚み斑が小さくなったり、延伸温度や熱固定温度が上げられやすく熱収縮率がより低くなる。
本発明の延伸ポリプロピレンフィルムを構成するポリプロピレン樹脂のメソペンタッド分率の下限は好ましくは96%であることが重要である。メソペンタッド分率の下限は、好ましくは96.5%であり、より好ましくは97%である。上記範囲であると結晶性が向上し、高温での熱収縮率を低く抑えることができる。メソペンタッド分率の上限は好ましくは99.5%であり、より好ましくは99.3%であり、さらに好ましくは99%である。上記範囲であると現実的な製造が容易となる。
本発明の延伸ポリプロピレンフィルムを構成するポリプロピレン樹脂は、プロピレンモノマーのみから得られる完全ホモポリプロピレンであることが最も好ましいが、微量であれば共重合モノマーとの共重合体であっても良い。共重合モノマー種としてはエチレン、ブテン等のオレフィンが好ましい。
上記のポリプロピレン樹脂は、チーグラー・ナッタ触媒や、メタロセン触媒等を用いて、原料となるプロピレンを重合させて得られる。中でも異種結合をなくすためにはチーグラー・ナッタ触媒のような、規則性の高い重合が可能な触媒を用いることが好ましい。
プロピレンの重合方法としては、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等の不活性溶剤中で重合する方法、液状のプロピレンやエチレン中で重合する方法、気体であるプロピレンやエチレン中に触媒を添加し、気相状態で重合する方法、または、これらを組み合わせて重合する方法が挙げられる。
高分子量成分、低分子量成分は別々に重合した後に混合しても良く、多段階の反応器を持つ1連のプラントにおいて多段階で重合しても良い。特に、多段階の反応器を持つプラントを用い、高分子量成分を最初に重合した後に、その存在下で低分子量成分を重合する方法が好ましい。なお、分子量の調節は、重合の際に系中に混在させる水素の量で行うことができる。
本発明の延伸ポリプロピレンフィルムの面配向係数の下限は0.0125であることが重要である。面配向係数の下限は、好ましくは0.0126であり、より好ましくは0.0127であり、さらに好ましくは0.0128である。一方、面配向係数の上限は現実的な値として好ましくは0.0155であり、より好ましくは0.0150であり、さらに好ましくは0.0148であり、特に好ましくは0.0145である。面配向係数は延伸倍率の調整により範囲内とすることが出来る。この範囲だとフィルムの厚みムラも良好である。
なお、融解開始はDSCチャートから求めることができる。例として、後述する実施例1および比較例1で得られた延伸ポリプロピレンフィルムの上記DSCチャートを図1に示す。実施例1では、150〜160℃の間(155℃付近)でピークの立ち上がり(融解開始)が認められ、比較例1では140℃を越えたあたりからピークの立ち上がり(融解開始)が認められる。
本発明の延伸ポリプロピレンフィルムのMD方向(本明細書において「MD方向」とはフィルムの長手方向を意味し、「MD方向」を「縦方向」と称することもある)における150℃熱収縮率の下限は好ましくは0.5%であり、より好ましくは1%であり、さらに好ましくは1.5%であり、特に好ましくは2%であり、最も好ましくは2.5%である。上記範囲であるとコスト面などで現実的な製造が容易となったり、厚みムラが小さくなったりすることがある。一方、MD方向における150℃熱収縮率の上限は好ましくは8%であり、より好ましくは7%であり、さらに好ましくは6.5%であり、特に好ましくは6%であり、最も好ましくは5%である。上記範囲であると150℃程度の高温に晒される可能性のある用途での使用がより容易となる。
なお、150℃熱収縮率は2.5%程度までなら、低分子量成分を多くする、延伸条件、固定条件を調整することで達成可能であるが、さらに熱収縮率を下げるにはオフラインでアニール処理をすることが好ましい。
なお、ヤング率は延伸倍率を高くすることで高めることができ、MD−TD延伸の場合はMD延伸倍率を低めに設定し、TD延伸倍率を高くすることでTD方向のヤング率を大きくすることができる。
本発明の延伸ポリプロピレンフィルムは、ポリプロピレン樹脂を含むフィルム成形用樹脂組成物を公知の方法でフィルム化し、得られた未延伸フィルムを延伸することにより製造できる。延伸フィルムとすることで、従来のポリプロピレンフィルムでは予想できなかった150℃でも熱収縮率が低いフィルムを得ることができる。
まず、ポリプロピレン樹脂を単軸または2軸の押し出し機で加熱溶融させ、チルロール上に押し出して未延伸フィルムを得る。溶融押出しの際には、例えば、樹脂温度が200〜280℃となるようにして、Tダイよりシート状に押出し、10〜100℃の温度の冷却ロールで冷却固化することが好ましい。ついで、例えば120〜165℃の延伸ロールでフィルムを長手(MD)方向に3〜8倍に延伸し、引き続き幅(TD)方向に155℃〜175℃(より好ましくは158℃〜170℃)の温度で4〜20倍に延伸することが好ましい。さらに、好ましくは165〜175℃(より好ましくは166〜173℃)の雰囲気温度で1〜15%のリラックスを許しながら熱処理を施すことが好ましい。こうして得られた延伸ポリプロピレンフィルムには、少なくとも片面にコロナ放電処理を施すことができ、その後、ワインダーで巻取ることによりロールサンプルを得ることができる。
オフラインアニール温度の下限は好ましくは160℃であり、より好ましくは162℃であり、さらに好ましくは163℃である。上記未満であるとアニールの効果が得られないことがある。一方、オフラインアニール温度の上限は好ましくは175℃であり、より好ましくは174℃であり、さらに好ましくは173℃である。上記を超えると透明性が低下したり、厚みムラが大きくなったりすることがある。
なお、以下の実施例、比較例における物性の測定方法は以下の通りである。
MFRは、JIS−K7210に準拠し、温度230℃で測定した。
(2)極限粘度(η)(dl/g)
極限粘度は、JIS K7367−1:2002にしたがって、試料をテトラリンに溶解させ、135℃にて測定した。
分子量および分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて単分散ポリスチレン基準により求めた。GPC測定での使用カラム、溶媒等の測定条件は以下のとおりである。
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン
カラム:TSKgel GMHHR−H(20)HT×3
流量:1.0ml/min
検出器:RI
測定温度:140℃
数平均分子量:Mn=Σ(Ni・Mi)/ΣNi
質量平均分子量:Mw=Σ(Ni・Mi2)/Σ(Ni・Mi)
Z平均分子量:Mz=Σ(Ni・Mi3)/Σ(Ni・Mi2)
Z+1平均分子量:Mz+1=Σ(Ni・Mi4)/Σ(Ni・Mi3)
分子量分布:Mw/Mn、Mz+1/Mn、Mz/Mn
また、GPC曲線のピーク位置の分子量をMpとした。
ベースラインが明確でないときは、標準物質の溶出ピークに最も近い高分子量側の溶出ピークの高分子量側のすそ野の最も低い位置までの範囲でベースラインを設定することとした。
メソペンタッド分率(アイソタクチックメソペンタッド分率)およびメソ連鎖長(メソ平均連鎖長)の測定は、13C−NMRを用いて行った。アイソタクチックメソペンタッド分率は、「Zambelliら、Macromolecules,第6巻,925頁(1973)」に記載の方法に従い、アイソタクチックメソ平均連鎖長は、「J.C.Randallによる、“Polymer Sequence Distribution”第2章(1977年)(Academic Press,New York)」に記載の方法に従って算出した。
13C−NMR測定は、BRUKER社製「AVANCE500」を用い、試料200mgをo−ジクロロベンゼンと重ベンゼンの8:2(体積比)の混合液に135℃で溶解させ、110℃で実施した。
フィルムの密度は、JIS−K7112に従って密度勾配管法により測定した。
示差走査熱量計(島津製作所製「DSC−60」)を用いて熱測定を行った。試料フィルムから約5mgを切り出して測定用のアルミパンに封入した。20℃/分の速度で室温から230℃まで昇温し、試料の融解吸熱ピーク温度を融点Tmpとした。結晶化度は、H.Bu,S.Z.D.Cheng,B.WunderlichらによるDie Makromolekulare Chemie,Rapid Communications,第9巻,75頁(1988)に記載のポリプロピレン完全結晶の融解熱を209J/gとし、これを100%として、上記熱測定で得られた融解ピーク面積(ΔHm)から求められるDSC融解プロファイルの融解熱の比率を百分率で示すことで求めた。150℃結晶化度は、DSC融解プロファイルの150℃以上の融解熱より求めた。
ポリプロピレン試料1gを沸騰キシレン200mlに溶解して放冷後、20℃の恒温水槽で1時間再結晶化させ、ろ過液に溶解している質量の、元の試料量に対する割合をCXS(質量%)とした。
JIS−Z1712に準拠して測定した。すなわち、延伸フィルムを20mm巾で200mmの長さでMD方向、TD方向にそれぞれカットし、熱風オーブン中に吊るして5分間加熱した。加熱後の長さを測定し、元の長さに対する収縮した長さの割合で熱収縮率を求めた。
東洋精機製フィルムインパクトテスターを用いて、23℃にて測定した。
JIS−K7127に準拠してMD方向およびTD方向の引張強度を23℃で測定した。
JIS−K7105に従って測定した。
アッベ屈折計(アタゴ社製)を用いて測定した。MD方向、TD方向に沿った屈折率をそれぞれNx、Nyとし、厚み方向の屈折率をNzとした。
(13)面配向係数
上記(12)で測定したNx、Ny、Nzから、[(Nx+Ny)/2]−Nzの式を用いて計算した。
巻き取ったフィルムロールから長さが1mの正方形のサンプルを切り出し、MD方向およびTD方向にそれぞれ10等分して測定用サンプルを100枚用意した。測定用サンプルのほぼ中央部の厚みを接触式のフィルム厚み計で測定した。そして、得られた100点のデータの平均値Aを求め、また最小値と最大値の差(絶対値)Bを求め、(B/A)×100の式を用いて計算した値をフィルムの厚み斑とした。
ポリプロピレン樹脂として、Mw/Mn=7.7、Mz+1/Mn=140、MFR=5.0g/10min、メソペンタッド分率[mmmm]=97.3%であるポリプロピレン単独重合体(日本ポリプロ(株)製「ノバテック(登録商標)PP SA4L」:共重合モノマー量は0mol%;以下「PP−1」と略する)を用いた。
このポリプロピレン樹脂を65mm押出機を用いて、250℃でTダイよりシート状に押出し、30℃の冷却ロールで冷却固化した後、135℃で長手方向(長さ方向)に4.5倍に縦延伸し、次いで両端をクリップで挟み、熱風オーブン中に導いて、170℃で予熱した後、160℃で幅方向(横方向)に8.2倍に横延伸し、次いで幅方向に6.7%のリラックスを掛けながら168℃で熱処理した。こうして得られたフィルムの片面にコロナ処理を行い、ワインダーで巻き取って、本発明の延伸ポリプロピレンフィルムとした。
得られたフィルムの厚みは20μmであり、その物性は表1、表2および表3に示すとおりであった。表の結果から、このフィルムは熱収縮率が低く、ヤング率が高いことが分かる。また、このフィルムの示差走査熱量測定(DSC)で得られたチャートを図1に示す。
実施例1で用いたポリプロピレン単独重合体(PP―1)90質量部に対して、分子量分布が狭く粘度平均分子量が10000である低分子量プロピレン単独重合体(三井化学社製「ハイワックス NP105」:共重合モノマー量は0mol%)を10質量部添加し、30mmの2軸押出機にて溶融混錬して得られたペレット状の混合物(PP−2)を、ポリプロピレン樹脂として用いたこと以外、実施例1と同様にして、本発明の延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
得られたフィルムの厚みは20μmであり、その物性は表1、表2および表3に示すとおりであった。表の結果から、このフィルムは熱収縮率が低く、ヤング率が高いことが分かる。
実施例1で用いたポリプロピレン単独重合体(PP―1)70質量部に対して、Mw/Mn=4.6、Mz+1/Mn=22、MFR=120g/10min、メソペンタッド分率[mmmm]=98.1%であるポリプロピレン単独重合体(住友化学社製「住友ノーブレン(登録商標)U501E1」:共重合モノマー量は0mol%)を30重量部添加し、ドライブレンドして得られた混合物(PP−3)を、ポリプロピレン樹脂として用いたこと以外、実施例1と同様にして、本発明の延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
得られたフィルムの厚みは20μmであり、その物性は表1、表2および表3に示すとおりであった。表の結果から、このフィルムは熱収縮率が低く、ヤング率が高いことが分かる。
実施例1において、横延伸における予熱温度を173℃、延伸温度および熱処理温度を167℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、本発明の延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
得られたフィルムの厚みは20μmであり、その物性は表1、表2および表3に示すとおりであった。表の結果から、このフィルムは熱収縮率が低く、ヤング率が高いことが分かる。
実施例2において、長手方向(長さ方向)に5.5倍、幅方向(横方向)に12倍延伸したこと以外は、実施例2と同様にして、本発明の延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
得られたフィルムの厚みは20μmであり、その物性は表1、表2および表3に示すとおりであった。表の結果から、このフィルムは熱収縮率が低く、ヤング率が高いことが分かる。
実施例1で得られた延伸ポリプロピレンフィルムを、さらにテンター式熱風オーブン中、170℃で5分間熱処理した。
得られたフィルムの厚みは20μmであり、その物性は表1、表2および表3に示すとおりであった。
ポリプロピレン樹脂として、Mw/Mn=8.9、Mz+1/Mn=110、MFR=3.0g/10min、メソペンタッド分率[mmmm]=97.2%であるポリプロピレン単独重合体(サムスントタル社製「HU300」:共重合モノマー量は0mol%)を用い、横延伸の予熱温度を171℃、横延伸温度を161℃、横延伸後の熱処理温度を170℃とした以外は、実施例1と同様にして、本発明の延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
得られたフィルムの厚みは20μmであり、その物性は表1、表2および表3に示すとおりであった。
ポリプロピレン樹脂として、Mw/Mn=4、Mz+1/Mn=21、MFR=2.5g/10minであるポリプロピレン系重合体(住友化学(株)製「住友ノーブレン(登録商標)FS2011DG3」:共重合モノマー量は0.6mol%)を用い、横延伸における予熱温度を168℃、延伸温度を155℃、熱処理温度を163℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、比較用の延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
得られたフィルムの厚みは20μmであり、その物性は表1、表2および表3に示すとおりであった。また、このフィルムの示差走査熱量測定(DSC)で得られたチャートを図1に示す。
横延伸における予熱温度を171℃、延伸温度を160℃、熱処理温度を165℃としたこと以外は、比較例1と同様にして、比較用の延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
得られたフィルムの厚みは20μmであり、その物性は表1、表2および表3に示すとおりであった。
ポリプロピレン樹脂として、Mw/Mn=2.8、Mz+1/Mn=9.2、MFR=30g/10minであるポリプロピレン系重合体(日本ポリプロ(株)製「ノバテック(登録商標)PP SA03」:共重合モノマー量は0mol%)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、延伸ポリプロピレンフィルムを得ようと試みたが、横延伸でフィルムが破断してしまい、二軸延伸できなかった。
また本発明の延伸ポリプロピレンフィルムは、耐熱性が高く、コート処理や印刷を施した際の乾燥時に高温乾燥か可能となるので、生産の効率化が図れ、また従来採用し難かったコート剤、インキ、ラミネート接着剤などを用いた処理を適用することができる。
さらには本発明の延伸ポリプロピレンフィルムは、例えば、コンデンサーやモーターなどの絶縁フィルム、太陽電池のバックシート、無機酸化物のバリアフィルム、ITOなど透明導電フィルムのベースフィルム等にも適する。
Claims (3)
- フィルムを構成するポリプロピレン樹脂が下記1)〜5)の条件を満たすこと、及び、フィルムの面配向係数の下限が0.0125であることを特徴とする延伸ポリプロピレンフィルム。
1)メソペンタッド分率の下限が96%である。
2)プロピレン以外の共重合モノマー量の上限が0.1mol%である。
3)230℃、2.16kgfで測定されるメルトフローレート(MFR)の下限が1g/10minである。
4)質量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の下限が5.5である。
5)z+1平均分子量(Mz+1)/数平均分子量(Mn)の下限は50である。 - 二軸延伸されたものである請求項1に記載の延伸ポリプロピレンフィルム。
- 長手方向の延伸倍率が3〜8倍であり、幅方向の延伸倍率が4〜20倍である請求項2に記載の延伸ポリプロピレンフィルム。
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