JP3953597B2 - 透明バリア性フィルム、それを使用した積層体および包装用容器 - Google Patents

透明バリア性フィルム、それを使用した積層体および包装用容器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明バリア性フィルム、それを使用した積層体および包装用容器に関し、更に詳しくは、優れた透明性を有し、更に、酸素ガスあるいは水蒸気等に対するハイバリア性を有し、飲食品、医薬品、化粧品、化学品、電子製品、雑貨品、その他等の種々の物品の充填包装に適する透明バリア性フィルム、それを使用した積層体および包装用容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、飲食品、医薬品、化粧品、その他等の種々の物品を充填包装するために、種々の包装用素材が開発され、提案されている。
それらの中で、近年、酸素ガスあるいは水蒸気等に対するバリア性素材として、プラスチック基材の表面に、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法等の物理気相成長法(PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(CVD法)等を利用して、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、その他等の無機酸化物の蒸着膜を形成してなる透明ガスバリア性フィルムが注目されている。
而して、上記の透明ガスバリア性フィルムにおいて、プラスチック基材としては、例えば、2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム、ナイロンフィルム、2軸延伸ポリプロピレンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物フィルム等の樹脂のフィルムを使用することが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の透明ガスバリア性フィルムにおいて、プラスチック基材として、2軸延伸ポリプロピレンフィルムを使用する場合、該2軸延伸ポリプロピレンフィルムには、例えば、ブロッキング防止等のために、添加剤・充填剤等を含有していることから、その表面は、微細な凹凸形状をなしており、そのために、表面平滑性が、他の基材(2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム、2軸延伸ナイロンフィルム等)と比べて劣り、結果的に、その片面に、無機酸化物の蒸着膜を形成しにくく、連続状にその表面を完全に覆う蒸着膜を形成することは極めて困難であり、十分に満足し得る透明ガスバリア性フィルムを製造することは困難であるという問題点がある。
また、2軸延伸ポリプロピレンフィルムを使用し、その片面に、プラズマ化学気相成長法で酸化ケイ素の蒸着膜等の無機酸化物の蒸着膜を形成する場合には、該2軸延伸ポリプロピレンフィルムが、プラズマ処理により、黄変、あるいは、褐変し、更には、化学的に劣化し、無色透明なバリア性2軸延伸ポリプロピレンフィルムを製造することは極めて困難であるという問題点もある。
更に、2軸延伸ポリプロピレンフィルムを使用し、その片面に、プラズマ化学気相成長法で酸化ケイ素の蒸着膜等の無機酸化物の蒸着膜を形成する場合には、該2軸延伸ポリプロピレンフィルムの表面に、プラズマ処理により、いわゆる、接着性が弱くなる層(Weak Boundary Laywr WBL)が生成し、これにより、該2軸延伸ポリプロピレンフィルムと無機酸化物の蒸着膜との密着強度が不足し、バリア性が向上しないという問題点もある。
また、2軸延伸ポリプロピレンフィルムは、耐熱性に劣ることから、例えば、物理気相成長法により、無機酸化物の蒸着膜を形成する際には、熱によりフィルム自身が劣化し、もはや、透明ガスバリア性フィルムを製造することができないという現象が、しばしば、生じるものである。
更に、上記の透明ガスバリア性フィルムにおいては、一般的に、基材フィルムである無機酸化物の蒸着膜面に印刷を行うが、その際に、基材フィルムを印刷機の巻き取り側まで通すことやインキ調整で多量の使えない(やれ)フィルムが発生し、また、ラミネ−ト工程においても、基材フィルムをコ−タ−に巻き取り側まで通すため、同様に使えない(やれ)フィルムが発生し、結果的にコスト高の原因となるものである。
そこで本発明は、基材として、2軸延伸ポリプロピレンフィルムを使用するも、黄変、あるいは、褐変、更には、化学的に劣化することもなく、更に、その密着強度にも優れ、酸素ガスあるいは水蒸気等に対するハイバリア性を有し、かつ、優れた透明性を有し、飲食品、医薬品、化粧品、化学品、電子部品、雑貨品、その他等の種々の物品の包装用材料として有用な透明ガスバリア性フィルム、それを使用した積層体および包装用容器を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記のような問題点を解決すべく種々研究の結果、無機酸化物の蒸着膜を形成する際に、プラスチック基材として、2軸延伸ポリプロピレンフィルムを使用する代わりに、表面平滑性に優れているシ−ラント基材を使用することに着目し、而して、該シ−ラント基材の一方の面に、プラズマ化学気相成長法等を利用して、無機酸化物の蒸着膜を形成し、これにより、無機酸化物の蒸着膜を、シ−ラント基材の表面に、連続状に、均一に、かつ、その表面を完全に覆う状態で形成することができ、更に、該無機酸化物の蒸着膜を有するシ−ラント基材の無機酸化物の蒸着膜面に、2軸延伸ポリプロピレンフィルムを積層することにより、例えば、プラズマ化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜を形成する際に、2軸延伸ポリプロピレンフィルムの表面の黄変、あるいは、褐変、更には、化学的ないし熱的な劣化等を防止し、かつ、上記のように2軸延伸ポリプロピレンフィルムを積層することにより、間接的に、その表面を完全に覆う無機酸化物の蒸着膜を形成することができ、更に、その積層に際し、積層接着剤等を介して積層することにより、無機酸化物の蒸着膜の密着強度を向上させ、終極的には、透明性を有し、酸素ガスあるいは水蒸気等に対するバリア性に充分に満足し得る透明バリア性フィルム、それを使用した積層体および包装用容器を製造することができることを見出して本発明を完成したものである。
【0005】
すなわち、本発明は、シ−ラント基材の一方の面に、プラズマ化学気相成長法による無機酸化物の薄膜からなるバリア層を有することを特徴とする透明バリア性フィルム、およびそれを使用した積層体および包装用容器に関するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
上記の本発明について以下に更に詳しく説明する。
まず、本発明にかかる透明バリア性フィルム、それを使用した積層体および包装用容器の構成についてその二三を例示して図面を用いて説明すると、図1および図2は、本発明にかかる透明バリア性フィルムについてその一二例の層構成を示す断面図であり、図3および図4は、上記の本発明にかかる透明バリア性フィルムを使用して製造した積層体についてその一二例の層構成を示す断面図であり、図5、図6、図7、図8および図9は、上記の本発明にかかる透明バリア性フィルムを使用した積層体を使用して製袋ないし製函してなる包装用容器の構成を示す平面図ないし斜視図である。
【0007】
本発明にかかる透明バリア性フィルム1は、図1に示すように、基本的な構成としては、シ−ラント基材2の一方の面に、プラズマ化学気相成長法による無機酸化物の薄膜3からなるバリア層4を設けた構成からなるものである。
而して、本発明にかかる透明バリア性フィルムについて、別の形態からなるものを例示すると、図2に示すように、上記の図1に示す透明バリア性フィルム1において、シ−ラント基材2が、ヒ−トシ−ル性を有するポリオレフィン系樹脂を使用し、その2ないしそれ以上からなる共押し出し積層体フィルム2aからなり、該共押し出し積層体フィルム2aの一方の面に、プラズマ化学気相成長法による無機酸化物の薄膜3からなるバリア層4を設けた構成からなる透明明バリア性フィルム1aでもよい。
本発明において、上記の例示は、本発明にかかる透明バリア性フィルムの一二例を例示したものであり、これに限定されるものではなく、例えば、図示しないが、バリア層等は、シ−ラント基材の一方の面のみならずその両方の面に設けたものでもよいものである。
【0008】
次に、上記の本発明にかかる透明バリア性フィルムを使用して製造する積層体についてその一二を例示して説明すると、本発明にかかる積層体としては、例えば、図3に示すように、上記の図1に示す透明バリア性フィルム1のプラズマ化学気相成長法による無機酸化物の薄膜3からなるバリア層4の面に、基材フィルム5を積層してなる積層体Aを挙げることができる。
更には、本発明にかかる積層体としては、図4に示すように、上記の図2に示す積層体Aの基材フィルム5の面に、更に、少なくとも、ヒ−トシ−ル性を有するポリオレフィン系樹脂層6を積層した積層体Bを挙げることができる。
而して、上記に挙げた例は、本発明にかかる積層体を構成する一二例の例示であり、これによって限定されるものではなく、例えば、本発明においては、図示しないが、基材フィルム、ヒ−トシ−ル性を有するポリオレフィン系樹脂層等の他に、更に、その使用目的、充填包装する内容物、流通経路、販売形態、用途等によって、他の基材を任意に積層して、種々の形態の積層体を設計して製造することができるものである。
また、本発明において、基材フィルム層、ヒ−トシ−ル性を有するポリオレフィン系樹脂層、その他の層の積層位置としては、その使用目的、用途等によって、任意に積層することができ、種々の形態の積層体を設計して製造することができるものである。
【0009】
次に、本発明において、上記のような積層体を使用して製袋ないし製函してなる本発明にかかる包装用容器の構成について説明すると、かかる包装用容器としては、例えば、上記の図3に示す積層材Aを使用して製袋ないし製函した包装用容器を例示して説明すると、図5の斜視図に示すように、上記の積層体A、Aを2枚用意し、その最内層に位置するシ−ラント基材2、2の面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部の三方をヒ−トシ−ルしてシ−ル部7、7、7を形成して、本発明にかかる三方シ−ル型の軟包装用容器Cを製造することができる。
【0010】
次にまた、本発明にかかる包装用容器としては、図6の平面図に示すように、例えば、上記の図4に示す積層材Bを使用し、まず、それから所定の折罫l(点線で示している)、貼着部8等を有する紙容器形成用のブランク板9を打ち抜き加工して製造し、次に、図7の斜視図に示すように、該ブランク板9の貼着部8を他方の側端部10(図6に示す)と重ね合わせ、その重合部分をヒ−トシ−ルして側端シ−ル部11を形成して胴部12を製造し、更に、該胴部12の下方部分を常法に従って折り込んでヒ−トシ−ルして底部13を形成し、更にまた、その上方部分を常法に従ってヒ−トシ−ルして屋根型シ−ル部14を形成して、本発明にかかる屋根型の紙製包装用容器Dを製造することができる。
【0011】
更にまた、本発明にかかる包装用容器としては、図8の平面図に示すように、例えば、上記の図4に示す積層材Bを使用し、まず、それから貼着部8a等を有し、筒状胴部を形成し得る長方形の紙容器形成用のブランク板9aを打ち抜き加工して製造し、次に、図9の斜視図に示すように、該ブランク板9aの貼着部8aを他方の側端部10a(図8に示す)と重ね合わせ、その重合部分をヒ−トシ−ルして側端シ−ル部11aを形成して筒状胴部12aを製造し、更に、該筒状胴部12aの下方部分に、例えば、円筒状の底板15をヒ−トシ−ルして底シ−ル部16を形成して底部15aを構成し、更にまた、筒状容器12aの上方部分に、例えば、引き剥がし片17で密閉されている飲み口18を有する円筒状の蓋板19をヒ−トシ−ルして上部シ−ル部20を形成して蓋部19aを構成して、本発明にかかる円筒状の紙缶状包装用容器Eを製造することができる。
なお、本発明においては、上記に図示した例示の包装用容器に限定されるものでないことは言うまでもないことであり、その目的、用途等により、種々の形態の包装用容器を製造することができることは言うまでもないことである。
【0012】
次に、本発明において、上記のような本発明にかかる透明バリア性フィルム、積層体および包装用容器等を構成する材料、その製造法等について説明すると、かかる材料、方法等としては、種々のものを採用することができる。
まず、本発明において、本発明にかかる透明バリア性フィルムを構成する材料について説明すると、まず、シ−ラント基材としては、プラズマ化学気相成長法による無機酸化物の薄膜からなるバリア層を形成することができ、更に、熱によって溶融し相互に融着し得る樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができ、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリブテンポリマ−、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマ−ル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、その他等の各種の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
【0013】
而して、本発明において、上記のシ−ラント基材としての上記のような樹脂のフィルムないしシ−トの厚さとしては、製造時の安定性等から適宜に設定することが可能であるが、約10μmないし100μm位が好ましくは、更には、20μmないし50μm位が望ましい。
本発明において、上記のシ−ラント基材としては、表面粗さが10点平均粗さで1.4μm以下の範囲内の表面平滑性を有することが好ましい。
それは、蒸着膜が基材の表面を完全に覆うことが可能であり、また、必要とするバリア性が十分に得られるためである。
また、本発明において、上記のシ−ラント基材としては、内容物を見えることができること等の観点から透明性を有することが好ましい。
更に、本発明において、上記のようなシ−ラント基材の中でも、特に、未延伸ポリプロピレンフィルムを使用することが好ましく、それは、シ−ラント基材の中でも耐熱性があり、更に、シ−ル性、耐油性、および、透明性等にも優れているからである。
また、本発明において、上記のシ−ラント基材として、上記に例示したヒ−トシ−ル性を有するポリオレフィン系樹脂を使用し、その2ないしそれ以上からなる樹脂を組み合わせて、これらを、例えば、Tダイ共押し出し成形法、あるいは、共押し出しインフレ−ション成形法等を利用して共押し出してなる共押し出し積層体フィルムを使用することができる。
この場合には、バリア性、および、透明性等に優れ、十分なヒ−トシ−ル性を有するという利点があることが好ましいものである。
【0014】
次に、本発明において、バリア層としてのプラズマ化学気相成長法による無機酸化物の薄膜について説明すると、かかるプラズマ化学気相成長法による無機酸化物の薄膜としては、具体的には、プラズマ化学気相成長法による酸化ケイ素の蒸着膜(薄膜)を使用することができる。
而して、上記のプラズマ化学気相成長法による酸化ケイ素の蒸着膜としては、式SiOX (Xは、0〜2の数を表す)で表される酸化ケイ素を主体とする連続状の蒸着膜であり、更に、透明性、バリア性等の点から、式SiOX (Xは、1.7〜2.0の数を表す。)で表される酸化ケイ素の蒸着膜を主体とする薄膜であることが好ましいものである。
上記の酸化ケイ素の蒸着膜は、少なくとも、ケイ素と酸素とを構成元素として有し、更に、炭素、水素および酸素の1種以上からなる微量構成元素を含む酸化ケイ素の蒸着膜からなるものである。
更に、上記の酸化ケイ素の蒸着膜は、炭素を含有し、更に、その炭素量が蒸着膜の深さ方向に減少している酸化ケイ素の蒸着膜であることが望ましいものである。
また、本発明において、酸化ケイ素の蒸着膜の膜厚としては、膜厚400Å以下であることが望ましく、具体的には、その膜厚としては、50〜400Å位、より好ましくは、100〜300Å位が望ましく、而して、上記において、400Å、更には、300Åより厚くなると、その膜にクラック等が発生し易くなるので好ましくなく、また、100Å、更には、50Å未満であると、バリア性の効果を奏することが困難になることから好ましくないものである。
【0015】
本発明において、上記のような酸化ケイ素の蒸着膜としては、具体的には、有機珪素化合物を原料とし、低温プラズマ発生装置等を利用するプラズマ化学気相成長法を用いて形成した酸化ケイ素の蒸着膜を使用することができる。
上記のプラズマ化学気相成長法について、その一例を挙げて更に具体的に説明すると、図10の概略的構成図に示すように、プラズマ化学蒸着装置111の真空チャンバ−112内に配置された巻き出しロ−ル113から繰り出すシ−ラント基材114は、補助ロ−ル115を介して一定の速度で搬送されると共に、冷却・電極ドラム116周面上において、原料揮発供給装置117、118、119から供給される有機珪素化合物、酸素ガス、不活性ガス等からなる混合ガスを原料供給ノズル120を通して導入し、グロ−放電プラズマ121によって、酸化ケイ素の蒸着膜を、上記のシ−ラント基材114の上に形成し製膜化し、而して、冷却・電極ドラム116は、チャンバ−外に配置されている電源122から所定の電圧が印加されており、また、冷却・電極ドラム116の近傍には、マグネット123を配置してプラズマの発生を促進し、次に、上記で酸化ケイ素の蒸着膜を形成したシ−ラント基材114は、補助ロ−ル115を介して巻き取りロ−ル124に巻き取って、本発明にかかる透明バリア性フィルムを製造することができる。
なお、図中、125は、真空ポンプを表す。
【0016】
上記において、有機珪素化合物としては、例えば、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、その他等を使用することができる。
本発明において、上記のような有機珪素化合物の中でも、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、または、ヘキサメチルジシロキサンを原料として使用することが、その取り扱い性、形成された蒸着膜の特性等から、特に、好ましい原料である。
また、上記において、低温プラズマ発生装置としては、例えば、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、マイクロ波プラズマ等の発生装置を使用することがてき、而して、本発明においては、高活性の安定したプラズマを得るためには、高周波プラズマ方式による発生装置を使用することが望ましい。
【0017】
本発明にかかる透明バリア性フィルムは、上記のように、シ−ラント基材の一方の面に、バリア層としてのプラズマ化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜を設けて、ハイバリア性を有する透明バリア性フィルムを製造可能とするものである。
本発明においては、平滑性に優れているシ−ラント基材、特に、未延伸ポリプロピレンフィルムを使用し、その一方の面に、バリア層としてのプラズマ化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜を形成することで、平滑性に劣る2軸延伸ポリプロピレンフィルムと比べて、無機酸化物の蒸着膜を形成し易いという利点があり、更に、基材表面を完全に覆うことができ、バリア性が極めて向上するという利点を有するものである。
更に、本発明においては、シ−ラント基材、例えば、未延伸ポリプロピレンフィルムは、2軸延伸ポリプロピレンフィルムと同様に、耐熱性に劣るため、低温で蒸着が可能であるプラズマ化学気相成長法により無機酸化物の蒸着膜を形成するものであり、これにより、例えば、物理気相成長法等を利用して無機酸化物の蒸着膜を形成する際に生じる基材の劣化または熱収縮、更に、これによるバリア性の低下等を防止するものである。
また、本発明においては、シ−ラント基材に無機酸化物の蒸着膜を形成することにより、その無機酸化物の蒸着膜面に、基材フィルム等を積層して包装用材料としての積層体を製造するものであることから、印刷工程やラミネ−ト工程で多量の使えない(やれ)フィルムが発生する基材フィルムと違い、蒸着膜をのせたシ−ラント基材を無駄なく使用することができ、コスト的にも優れているものである。
而して、本発明において、本発明にかかる透明バリア性フィルムは、酸素透過度が、10cc/m2 /day(23℃/90%RH)以下であることが好ましいものである。
【0018】
次にまた、本発明において、積層体を構成する基材フィルムとしては、例えば、包装用容器を構成する場合、基本素材となることから、機械的、物理的、化学的、その他等において優れた性質を有し、特に、強度を有して強靱であり、かつ耐熱性を有する樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができ、具体的には、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、フッ素系樹脂、その他等の強靱な樹脂のフィルムないしシ−ト、その他等を使用することができる。
而して、上記の樹脂のフィルムないしシ−トとしては、未延伸フィルム、あるいは一軸方向または二軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものでも使用することができる。
そのフィルムの厚さとしては、5μmないし100μm位、好ましくは、10μmないし50μm位が望ましい。
なお、本発明においては、上記のような基材フィルムには、例えば、文字、図形、記号、絵柄、模様等の所望の印刷絵柄を通常の印刷法で表刷り印刷あるいは裏刷り印刷等が施されていてもよい。
【0019】
次にまた、本発明において、上記の基材フィルムとしては、例えば、紙層を構成する各種の紙基材を使用することができ、具体的には、本発明において、紙基材としては、賦型性、耐屈曲性、剛性等を持たせるものであり、例えば、強サイズ性の晒または未晒の紙基材、あるいは純白ロ−ル紙、クラフト紙、板紙、加工紙等の紙基材、その他等を使用することができる。
上記において、紙層を構成する紙基材としては、坪量約80〜600g/m2 位のもの、好ましくは、坪量約100〜450g/m2 位のものを使用することが望ましい。
勿論、本発明においては、紙層を構成する紙基材と、上記に挙げた基材フィルムとしての各種の樹脂のフィルムないしシ−ト等を併用して使用することができる。
【0020】
本発明において、上記のような基材フィルムの中でも、特に、2軸延伸ポリプロピレンフィルムを使用することが好ましく、而して、かかる2軸延伸ポリプロピレンフィルムとしては、例えば、プロピレンの単独重合体、または、他のモノマ−との共重合体からなるポリプロピレン系樹脂のフィルムないしシ−トであって、2軸方向に延伸されているものを使用することができる。
この樹脂のフィルムないしシ−トは、単層、あるいは、2層以上の共押し出し法で製膜したフィルムでも使用することができ、更に、その厚さとしては、透明バリア性フィルムの製造時の安定性等から、約10〜100μm位、好ましくは、20〜50μm位が望ましい。
【0021】
次に、本発明において、積層体を形成するヒ−トシ−ル性を有するポリオレフィン系樹脂層を構成するポリオレフィン系樹脂としては、前述の熱によって溶融し相互に融着し得る樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができ、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリブテンポリマ−、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマ−ル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、その他等の各種の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
而して、上記のフィルムないしシ−トは、その樹脂を含む組成物によるコ−ティング膜の状態で使用することができる。
その膜もしくはフィルムないしシ−トの厚さとしては、5μmないし300μm位が好ましくは、更には、10μmないし100μm位が望ましい。
【0022】
次に、本発明において、本発明にかかる積層体を構成する材料として、例えば、水蒸気、水等のバリア−性を有する低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等の樹脂のフィルムないしシ−ト、あるいは、酸素、水蒸気等に対するバリア−性を有するポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコ−ル、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物等の樹脂のフィルムないしシ−ト、樹脂に顔料等の着色剤を、その他、所望の添加剤を加えて混練してフィルム化してなる遮光性を有する各種の着色樹脂のフィルムないしシ−ト等を使用することができる。
これらの材料は、一種ないしそれ以上を組み合わせて使用することができる。上記のフィルムないしシ−トの厚さとしては、任意であるが、通常、5μmないし300μm位、更には、10μmないし100μm位が望ましい。
【0023】
なお、本発明においては、通常、包装用容器は、物理的にも化学的にも過酷な条件におかれることから、包装用容器を構成する包装材料には、厳しい包装適性が要求され、変形防止強度、落下衝撃強度、耐ピンホ−ル性、耐熱性、密封性、品質保全性、作業性、衛生性、その他等の種々の条件が要求され、このために、本発明においては、上記のような諸条件を充足する材料を任意に選択して使用することができ、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジェン−スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロ−ス、その他等の公知の樹脂のフィルムないしシ−トから任意に選択して使用することができる。
その他、例えば、セロハン等のフィルム、合成紙等も使用することができる。
本発明において、上記のフィルムないしシ−トは、未延伸、一軸ないし二軸方向に延伸されたもの等のいずれのものでも使用することができる。
また、その厚さは、任意であるが、数μmから300μm位の範囲から選択して使用することができる。
更に、本発明においては、フィルムないしシ−トとしては、押し出し成膜、インフレ−ション成膜、コ−ティング膜等のいずれの性状の膜でもよい。
【0024】
次に、上記の本発明において、上記のような材料を使用して積層体を製造する方法について説明すると、かかる方法としては、通常の包装材料をラミネ−トする方法、例えば、ウエットラミネ−ション法、ドライラミネ−ション法、無溶剤型ドライラミネ−ション法、押し出しラミネ−ション法、Tダイ押し出し成形法、共押し出しラミネ−ション法、インフレ−ション法、共押し出しインフレ−ション法、その他等で行うことができる。
而して、本発明においては、上記の積層を行う際に、必要ならば、例えば、コロナ処理、オゾン処理、フレ−ム処理、その他等の前処理をフィルムに施すことができ、また、例えば、ポリエステル系、イソシアネ−ト系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジェン系、有機チタン系等のアンカ−コ−ティング剤、あるいはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロ−ス系、その他等のラミネ−ト用接着剤等の公知のアンカ−コ−ト剤、接着剤等を使用することができる。
【0025】
次に、本発明において、上記のような積層体を使用して製袋ないし製函する方法について説明すると、例えば、包装用容器がプラスチックフィルム等からなる軟包装袋の場合、上記のような方法で製造した積層体を使用し、その内層のヒ−トシ−ル性樹脂層の面を対向させて、それを折り重ねるか、或いはその二枚を重ね合わせ、更にその周辺端部をヒ−トシ−ルしてシ−ル部を設けて袋体を構成することができる。
而して、その製袋方法としては、上記の積層体を、その内層の面を対向させて折り曲げるか、あるいはその二枚を重ね合わせ、更にその外周の周辺端部を、例えば、側面シ−ル型、二方シ−ル型、三方シ−ル型、四方シ−ル型、封筒貼りシ−ル型、合掌貼りシ−ル型(ピロ−シ−ル型)、ひだ付シ−ル型、平底シ−ル型、角底シ−ル型、その他等のヒ−トシ−ル形態によりヒ−トシ−ルして、本発明にかかる種々の形態の包装用容器を製造することができる。
その他、例えば、自立性包装袋(スタンディングパウチ)等も製造することが可能であり、更に、本発明においては、上記の積層材を使用してチュ−ブ容器等も製造することができる。
上記において、ヒ−トシ−ルの方法としては、例えば、バ−シ−ル、回転ロ−ルシ−ル、ベルトシ−ル、インパルスシ−ル、高周波シ−ル、超音波シ−ル等の公知の方法で行うことができる。
なお、本発明においては、上記のような包装用容器には、例えば、ワンピ−スタイプ、ツウ−ピ−スタイプ、その他等の注出口、あるいは開閉用ジッパ−等を任意に取り付けることができる。
【0026】
次にまた、包装用容器として、紙基材を含む液体充填用紙容器の場合、例えば、積層材として、紙基材を積層した積層材を製造し、これから所望の紙容器を製造するブランク板を製造し、しかる後該ブランク板を使用して胴部、底部、頭部等を製函して、例えば、ブリックタイプ、フラットタイプあるいはゲ−ベルトップタイプの液体用紙容器等を製造することができる。
また、その形状は、角形容器、丸形等の円筒状の紙缶等のいずれのものでも製造することができる。
【0027】
本発明において、上記のようにして製造した包装用容器は、透明性、酸素、水蒸気等に対するバリア性、耐衝撃性等に優れ、更に、ラミネ−ト加工、印刷加工、製袋ないし製函加工等の後加工適性を有し、また、バリア性膜としての蒸着薄膜の剥離を防止し、かつ、その熱的クラックの発生を阻止し、その劣化を防止して、バリア−性膜として優れた耐性を発揮し、例えば、飲食品、医薬品、洗剤、シャンプ−、オイル、歯磨き、接着剤、粘着剤等の化学品ないし化粧品、電子部品、雑貨品、その他等の種々の物品の充填包装適性、保存適性等に優れているものである。
【0028】
【実施例】
実施例1
(1).厚さ25μmの未延伸ポリプロピレンフィルムを使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロ−ルに装着し、下記の条件で厚さ120Åの酸化ケイ素の蒸着膜を形成して、本発明にかかる透明バリア性フィルムを製造した。
反応ガス混合比:ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1:10:10
真空チャンバ−内の真空度:5.0×10-6mbar
蒸着チャンバ−内の真空度:6.0×10-2mbar
冷却・電極ドラム供給電力:20kW
フィルムの搬送速度:130m/分
蒸着面:コロナ処理面
蒸着膜の厚さ:120Å(蛍光X線分析法)
(2).上記で製造した透明バリア性フィルムの酸化ケイ素の蒸着膜面に、下記の条件でコロナ処理を行った。
その結果、酸化ケイ素の蒸着膜表面の表面張力は、41dynから62dynに向上した。
出力:10Kw
処理速度:100m/min
(3).次に、厚さ20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルムを使用し、これをドライラミネ−トコ−タ−機の一方の送り出しロ−ルに装着し、他方、上記でコロナ処理した透明バリア性フィルムを上記のドライラミネ−トコ−タ−機の他方の送り出しロ−ルに装着し、次いで、上記のコロナ処理した透明バリア性フィルムのコロナ処理面に、上記の2軸延伸ポリプロピレンフィルムを対向させて、その両者を下記の条件でドライラミネ−トして、本発明にかかる積層体を製造した。
接着剤:ウレタン系接着剤を使用
(主剤)タケネ−トA−515(武田薬品工業株式会社製、商品名)
(硬化剤)タケネ−トA−50(武田薬品工業株式会社製、商品名)
(溶剤)酢酸エチル
(混合比)主剤:硬化剤:溶剤=10:1:100(重量%)
(コ−ト量)4.0g/m2 (ドライ)
【0029】
比較例1
(1).厚さ20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルムを使用し、これをプラズマ化学気相成長装置の送り出しロ−ルに装着し、下記の条件で厚さ140Åの酸化ケイ素の蒸着膜を形成して、透明バリア性フィルムを製造した。
反応ガス混合比:ヘキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1:10:10
真空チャンバ−内の真空度:5.0×10-6mbar
蒸着チャンバ−内の真空度:6.0×10-2mbar
冷却・電極ドラム供給電力:22kW
フィルムの搬送速度:100m/分
蒸着面:コロナ処理面
蒸着膜の厚さ:140Å(蛍光X線分析法)
(2).上記で製造した透明バリア性フィルムの酸化ケイ素の蒸着膜面に、下記の条件でコロナ処理を行った。
その結果、酸化ケイ素の蒸着膜表面の表面張力は、39dynから60dynに向上した。
出力:10Kw
処理速度:100m/min
(3).次に、厚さ25μmの未延伸ポリプロピレンフィルムを使用し、これをドライラミネ−トコ−タ−機の一方の送り出しロ−ルに装着し、他方、上記でコロナ処理した透明バリア性フィルムを上記のドライラミネ−トコ−タ−機の他方の送り出しロ−ルに装着し、次いで、上記のコロナ処理した透明バリア性フィルムのコロナ処理面に、上記の未延伸ポリプロピレンフィルムを対向させて、その両者を下記の条件でドライラミネ−トして、積層体を製造した。
接着剤:ウレタン系接着剤を使用
(主剤)タケネ−トA−515(武田薬品工業株式会社製、商品名)
(硬化剤)タケネ−トA−50(武田薬品工業株式会社製、商品名)
(溶剤)酢酸エチル
(混合比)主剤:硬化剤:溶剤=10:1:100(重量%)
(コ−ト量)4.0g/m2 (ドライ)
【0030】
実験例
上記の実施例1、および、比較例1で製造した各透明バリア性フィルムおよび各積層体について、下記のデ−タを測定した。
(1).酸素透過度の測定
これは、温度23℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、オクストラン(OXTRAN)〕にて測定した。
(2).水蒸気透過度の測定
これは、温度40℃、湿度100%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、パ−マトラン(PERMATRAN)〕にて測定した。
(3).表面平滑性の測定
これは、シ−ラント基材としての厚さ25μmの未延伸ポリプロピレンフィルムと、厚さ20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルムについて測定した。
その測定法は、3次元表面粗さ測定器(東京精密株式会社製、機種名、サ−フコム 590A−3DF)を用いて測定を行った。
表面粗さは、10点平均値(Rs)で評価した。
上記の(1)と(2)の測定結果については、下記の表1(透明バリア製フィルムについて)と表2(積層体について)に示し、また、上記の(3)の測定結果については、下記の表3に示す。
【0031】
【表1】
Figure 0003953597
上記の表1において、酸素透過度は、cc/m2 /day・23℃・90%RHの単位であり、また、水蒸気透過度は、g/m2 /day・40℃・100%RHの単位である。
【0032】
【表2】
Figure 0003953597
上記の表2において、酸素透過度は、cc/m2 /day・23℃・90%RHの単位であり、また、水蒸気透過度は、g/m2 /day・40℃・100%RHの単位である。
【0033】
【表3】
Figure 0003953597
【0034】
上記の表1〜2に示す結果より明らかなように、実施例1のものは、透明バリア性フィルムおよび積層体について、いずれも、酸素透過度および水蒸気透過度において良好であったが、これに対し、比較例1のものは、そのいずれも、劣っていた。
特に、酸素透過度においては、実施例1のものと、比較例1のものとでは、有意な差が観察された。
以上のことから、シ−ラントフィルムに無機酸化物の蒸着膜を形成させる方が、酸素透過度および水蒸気透過度において優れていることが判明した。
次に、上記の表3に示す結果より明らかなように、未延伸ポリプロピレンフィルの平滑性は、2軸延伸ポリプロピレンフィルムのそれよりも高いことが確認された。
【0035】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明は、無機酸化物の蒸着膜を形成する際に、プラスチック基材として、2軸延伸ポリプロピレンフィルムを使用する代わりに、表面平滑性に優れているシ−ラント基材を使用することに着目し、而して、該シ−ラント基材の一方の面に、プラズマ化学気相成長法等を利用して、無機酸化物の蒸着膜を形成し、これにより、無機酸化物の蒸着膜を、シ−ラント基材の表面に、連続状に、均一に、かつ、その表面を完全に覆う状態で形成することができ、更に、該無機酸化物の蒸着膜を有するシ−ラント基材の無機酸化物の蒸着膜面に、2軸延伸ポリプロピレンフィルムを積層することにより、例えば、プラズマ化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜を形成する際に、2軸延伸ポリプロピレンフィルムの表面の黄変、あるいは、褐変、更には、化学的ないし熱的な劣化等を防止し、かつ、上記のように2軸延伸ポリプロピレンフィルムを積層することにより、間接的に、その表面を完全に覆う無機酸化物の蒸着膜を形成することができ、更に、その積層に際し、積層接着剤等を介して積層することにより、無機酸化物の蒸着膜の密着強度を向上させ、終極的には、透明性を有し、酸素ガスあるいは水蒸気等に対するバリア性に充分に満足し得る透明バリア性フィルム、それを使用した積層体および包装用容器を製造することができるというものである。
本発明においては、特に、表面平滑性に劣る2軸延伸ポリプロピレンフィルムの表面にプラズマ化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜を形成しても、酸素ガスあるいは水蒸気等に対する充分なバリア性を得られないが、表面平滑性に優れている未延伸ポリプロピレンフィルムの表面にプラズマ化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜を形成することにより、酸素ガスあるいは水蒸気等に対するバリア性に優れた、特に、酸素ガスに対するバリア性において格段に優れている透明バリア性フィルムを製造することができるという利点を有するものである。
また、本発明においては、有機珪素化合物等の安価な蒸着原料を使用し、更に、低真空度で、プラズマ化学気相成長法により、無機酸化物の蒸着膜を形成可能とするものであり、その製造コストの低減化になるものである。
更に、本発明においては、未延伸ポリプロピレンフィルム等のシ−ラントフィルムの表面に無機酸化物の蒸着膜を形成することから、例えば、2軸延伸ポリプロピレンフィルム等の表面に無機酸化物の蒸着膜を形成することと比べて、バリア性、あるいは、コスト的にも優れているものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる透明バリア性フィルムについてその一例の層構成を示す断面図である。
【図2】本発明にかかる透明バリア性フィルムについてその一例の層構成を示す断面図である。
【図3】本発明にかかる透明バリア性フィルムを使用して製造した積層体についてその一例の層構成を示す断面図である。
【図4】本発明にかかる透明バリア性フィルムを使用して製造した積層体についてその一例の層構成を示す断面図である。
【図5】本発明にかかる透明バリア性フィルムを使用した積層体を使用して製袋ないし製函した包装用容器の構成を示す斜視図である。
【図6】本発明にかかる透明バリア性フィルムを使用した積層体を使用して製袋ないし製函した包装用容器の構成を示す平面図である。
【図7】本発明にかかる透明バリア性フィルムを使用した積層体を使用して製袋ないし製函した包装用容器の構成を示す斜視図である。
【図8】本発明にかかる透明バリア性フィルムを使用した積層体を使用して製袋ないし製函した包装用容器の構成を示す平面図である。
【図9】本発明にかかる透明バリア性フィルムを使用した積層体を使用して製袋ないし製函した包装用容器の構成を示す斜視図である。
【図10】プラズマ化学蒸着装置の概略の構成を示す構成図である。
【符号の説明】
1 透明バリア性フィルム
1a 透明バリア性フィルム
2 シ−ラント基材
3 無機酸化物の薄膜
4 バリア層
5 基材フィルム
6 ヒ−トシ−ル性を有するポリオレフィン系樹脂層
7 シ−ル部
8 貼着部
9 紙容器形成用のブランク板
10 側端部
11 側端シ−ル部
12 胴部
13 底部
14 屋根型シ−ル部
8a 貼着部
9a 紙容器形成用のブランク板
10a 側端部
11a 側端シ−ル部
12a 筒状胴部
15 円筒状の底板
15a 底部
16 底シ−ル部
17 引き剥がし片
18 飲み口
19 円筒状の蓋板
19a 蓋部
20 上部シ−ル部
A 積層体
B 積層体
C 三方シ−ル型の軟包装用容器
D 屋根型の紙製包装用容器
E 円筒状の紙缶状包装用容器
l 折罫

Claims (6)

  1. 表面粗さが、10点平均粗さRsで1.4μm以下の範囲内の表面平滑性を有する厚さ10μm〜100μmの未延伸ポリプロピレンフィルムの一方の面に、プラズマ化学気相成長法による膜厚400Å以下の無機酸化物の薄膜からなるバリア層を設けた構成からなることを特徴とする透明バリア性フィルム。
  2. 無機酸化物の薄膜からなるバリア層が、酸化ケイ素の薄膜からなるバリア層であり、更に、該酸化ケイ素の薄膜中に、炭素、水素、ケイ素または酸素からなる元素の1種または2種以上からなる化合物を少なくとも一種類含有していることを特徴とする上記の請求項1に記載する透明バリア性フィルム。
  3. 無機酸化物の薄膜からなるバリア層が、炭素を含有し、更に、その炭素量がバリア層の深さ方向に減少していることを特徴とする上記の請求項1または2のいずれか1項に記載する透明バリア性フィルム。
  4. 酸素透過度が、10cc/m2 /day(23℃/90%RH)以下であることを特徴とする上記の請求項1、2または3のいずれか1項に記載する透明バリア性フィルム。
  5. 表面粗さが、10点平均粗さRsで1.4μm以下の範囲内の表面平滑性を有する厚さ10μm〜100μmの未延伸ポリプロピレンフィルムの一方の面に、プラズマ化学気相成長法による膜厚400Å以下の無機酸化物の薄膜からなるバリア層を設けた構成からなる透明バリア性フィルムのバリア層の面に、2軸延伸ポリプロピレンフィルムを積層した構成からなることを特徴とする積層体。
  6. 表面粗さが、10点平均粗さRsで1.4μm以下の範囲内の表面平滑性を有する厚さ10μm〜100μmの未延伸ポリプロピレンフィルムの一方の面に、プラズマ化学気相成長法による膜厚400Å以下の無機酸化物の薄膜からなるバリア層を設けた構成からなる透明バリア性フィルムのバリア層の面に、2軸延伸ポリプロピレンフィルムを積層した構成からなる積層体を使用し、これを製袋または製函してなることを特徴とする包装用容器。
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